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特開2024-149382操作制御方法、操作制御システム、及び操作制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149382
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】操作制御方法、操作制御システム、及び操作制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
A01B69/00 303A
A01B69/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016177
(22)【出願日】2024-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2023062202
(32)【優先日】2023-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】池乗 健太
(72)【発明者】
【氏名】上野 草
【テーマコード(参考)】
2B043
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB11
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB01
2B043BB03
2B043BB04
2B043BB11
2B043DA01
2B043DA07
2B043DA15
2B043DA17
2B043EA13
2B043EB05
2B043EB15
2B043EC12
2B043EC13
2B043EC14
2B043ED12
2B043EE01
2B043EE06
(57)【要約】
【課題】作業機械において減速時に機体に加わる衝撃を緩和しやすい操作制御方法、操作制御システム、及び操作制御プログラムを提供すること。
【解決手段】操作制御方法は、作業機械の走行に関する走行制御を行うことと、作業機械の減速時に作業機械の移動速度を目標速度V1,V2に到達させるまでの加速度を、ユーザーの操作に従って調節することと、を有する。
【選択図】図44
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の走行に関する走行制御を行うことと、
前記作業機械の減速時に前記作業機械の移動速度を目標速度に到達させるまでの加速度を、ユーザーの操作に従って調節することと、を有する、
操作制御方法。
【請求項2】
前記作業機械の増速時に前記作業機械の移動速度を前記目標速度に到達させるまでの加速度を、ユーザーの操作に従って調節すること、を更に有する、
請求項1に記載の操作制御方法。
【請求項3】
前記減速時の加速度と前記増速時の加速度とは一括で調節される、
請求項2に記載の操作制御方法。
【請求項4】
前記作業機械が停止状態から増速する発進期間の前記加速度を、前記発進期間以外の加速度よりも小さく抑えること、を更に有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の操作制御方法。
【請求項5】
第1操作部の操作に応じて前記目標速度の設定を行うこと、を更に有し、
前記目標速度が前記第1操作部の操作に応じて変更されたときに、変更後の前記目標速度に前記作業機械の移動速度を到達させるまでの加速度を、前記ユーザーの操作に従って調節する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の操作制御方法。
【請求項6】
前記第1操作部とは別の第2操作部の操作に応じて前記目標速度を低下させること、を更に有し、
前記目標速度が前記第2操作部の操作に応じて低下したときに、低下後の前記目標速度に前記作業機械の移動速度を到達させるまでの加速度を、前記ユーザーの操作に従って調節する、
請求項5に記載の操作制御方法。
【請求項7】
前記作業機械は複数の速度レンジ間で前記作業機械の速度レンジを切替可能な副変速機を備えており、
前記複数の速度レンジのうちの一部の速度レンジにあるときのみ、ユーザーの操作に従って前記加速度を調節可能である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の操作制御方法。
【請求項8】
前記作業機械の移動中であっても、ユーザーの操作に従って前記加速度を調節可能である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の操作制御方法。
【請求項9】
前記加速度の調節用の走行設定画面を表示させること、を更に有し、
前記走行設定画面に含まれる加速度操作部に対するユーザーの操作に従って前記加速度を調節可能である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の操作制御方法。
【請求項10】
前記作業機械を自律走行させること、を更に有し、
前記作業機械の自律走行中には前記加速度の調節は無効化される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の操作制御方法。
【請求項11】
前記作業機械は複数の速度レンジ間で前記作業機械の速度レンジを切替可能な副変速機を備えており、
前記複数の速度レンジを2以上の変速グループに分け、前記変速グループごとに、ユーザーの操作に従って前記加速度を調節可能である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の操作制御方法。
【請求項12】
前記2以上の変速グループは、作業用の速度レンジを含む第1グループと、路上走行用の速度レンジを含む第2グループと、を有する、
請求項11に記載の操作制御方法。
【請求項13】
前記変速グループごとに、前記加速度を独立して調節可能である、
請求項11に記載の操作制御方法。
【請求項14】
前記加速度の調節用の走行設定画面を表示させること、を更に有し、
前記走行設定画面に含まれる加速度操作部に対するユーザーの操作に従って前記加速度を調節可能であり、
前記2以上の変速グループのそれぞれの前記加速度は、一画面上で調節可能である、
請求項11に記載の操作制御方法。
【請求項15】
前記加速度の調節用の走行設定画面を表示させること、を更に有し、
前記走行設定画面に含まれる加速度操作部に対するユーザーの操作に従って前記加速度を調節可能であり、
前記2以上の変速グループのそれぞれの前記加速度は、別画面上で調節可能である、
請求項11に記載の操作制御方法。
【請求項16】
作業機械の走行に関する走行制御を行う走行制御処理部と、
前記作業機械の減速時に前記作業機械の移動速度を目標速度に到達させるまでの加速度を、ユーザーの操作に従って調節する加速度調節処理部と、を備える、
操作制御システム。
【請求項17】
作業機械の走行に関する走行制御を行うことと、
前記作業機械の減速時に前記作業機械の移動速度を目標速度に到達させるまでの加速度を、ユーザーの操作に従って調節することと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための操作制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行可能な作業機械の操作制御方法、操作制御システム、及び操作制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場において自動走行可能な作業機械であって、自動操舵の開始又は終了を切り換える操作と、自動操舵の走行基準ラインの始点を設定する操作とを受け付ける操作部を備えた作業機械が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の作業機械は、機体(車体)の走行方向を切り替えるリバーサレバー(シャトルレバー)を備え、リバーサレバーが中立位置にあるときは停止し、リバーサレバーが前方に操作されると前進し、リバーサレバーが後方に操作されると後進する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-107655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記作業機械においては、例えば、作業機械の前進、後進を小刻みに切り替える場合等に、機体が急に減速すると、減速時に機体に衝撃が加わり、作業機(作業装置)による作業精度が低下したり、減速時のショックがオペレータに伝わったりする可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、作業機械において減速時に機体に加わる衝撃を緩和しやすい操作制御方法、操作制御システム、及び操作制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る操作制御方法は、作業機械の走行に関する走行制御を行うことと、
前記作業機械の減速時に前記作業機械の移動速度を目標速度に到達させるまでの加速度を、ユーザーの操作に従って調節することと、を有する。
【0008】
また、本発明に係る操作制御システムは、走行制御処理部と、加速度調節処理部と、を備える。前記走行制御処理部は、作業機械の走行に関する走行制御を行う。前記加速度調節処理部は、前記作業機械の減速時に前記作業機械の移動速度を目標速度に到達させるまでの加速度を、ユーザーの操作に従って調節する。
【0009】
また、本発明に係る操作制御プログラムは、作業機械の走行に関する走行制御を行うことと、前記作業機械の減速時に前記作業機械の移動速度を目標速度に到達させるまでの加速度を、ユーザーの操作に従って調節することと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機体と機体に装着される作業機とを備える作業機械における作業効率を向上させることが可能な操作制御方法、操作制御システム、及び操作制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の基本構成に係る作業機械の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の基本構成に係る作業機械の一例を示す外観図である。
図3図3は、本発明の基本構成に係る操作端末の一例を示す外観図である。
図4図4は、本発明の基本構成に係る作業機械の目標経路の一例を示す図である。
図5A図5Aは、本発明の基本構成に係る作業機械における自動走行の走行方法を説明するための図である。
図5B図5Bは、本発明の基本構成に係る作業機械における自動走行の走行方法を説明するための図である。
図5C図5Cは、本発明の基本構成に係る作業機械における自動走行の走行方法を説明するための図である。
図6図6は、本発明の基本構成に係る操作端末に表示されるガイダンス画面の一例を示す図である。
図7図7は、本発明の基本構成に係る操作端末に表示されるガイダンス画面の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の基本構成に係る操作端末に表示されるホーム画面の一例を示す図である。
図9図9は、本発明の基本構成に係る操作端末に表示されるUFO操作画面の一例を示す図である。
図10図10は、本発明の基本構成に係る操作端末に表示されるホーム画面の一例を示す図である。
図11図11は、本発明の基本構成に係る操作端末に表示されるUFO操作画面の一例を示す図である。
図12図12は、本発明の基本構成に係る操作端末に表示されるガイダンス画面の一例を示す図である。
図13図13は、本発明の基本構成に係る操作端末に表示されるガイダンス画面の一例を示す図である。
図14図14は、本発明の基本構成に係る操作端末に表示されるホーム画面の一例を示す図である。
図15図15は、本発明の基本構成に係る作業機械によって実行される操作制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、本発明の実施形態1に係る作業機械の構成を示すブロック図である。
図17図17は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図18図18は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図19図19は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図20図20は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図21図21は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図22図22は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図23図23は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図24図24は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図25図25は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図26図26は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図27図27は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図28図28は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図29図29は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図30図30は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図31図31は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図32図32は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図33図33は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図34図34は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図35図35は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図36図36は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図37図37は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図38図38は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図39図39は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図40図40は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図41図41は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図42図42は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図43図43は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって制御される車速の一例を示すグラフである。
図44図44は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって制御される車速の一例を示すグラフである。
図45図45は、本発明の実施形態1に係る作業機械によって実行される操作制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図46図46は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図47図47は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図48図48は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図49図49は、本発明の実施形態1に係る作業機械によって実行される操作制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図50図50は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図51図51は、本発明の実施形態1に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図52図52は、本発明の実施形態1に係る作業機械によって実行される操作制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図53図53は、本発明の実施形態2に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図54図54は、本発明の実施形態2に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図55図55は、本発明の実施形態2に係る操作制御方法によって操作端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
(基本構成)
本発明の基本構成に係る自動走行システム100(本発明の操作制御システムの一例)は、作業機械10と、衛星202(図2参照)と、基地局201(図2参照)とを含んでいる。本基本構成では、作業機械10がトラクターである場合を例に挙げて説明する。なお、他の実施形態として、作業機械10は、田植機、コンバイン、建設機械、除雪車などの作業車両、又は、散布作業用のドローンなどの飛行体などであってもよい。作業機械10は、圃場F(図4参照)内をオペレータ(ユーザー)の操作に応じて、目標経路に従って走行しながら所定の作業(例えば耕耘作業)を行う。具体的には、作業機械10は、自動操舵に応じて目標経路を直進走行し、オペレータによる手動操舵(運転操作)に応じて旋回走行する。作業機械10は、直進経路の自動走行と旋回経路の手動走行とを切り替えながら圃場F内を走行して作業を行う。目標経路は、オペレータの操作に基づいて予め生成され、経路データとして記憶されてもよい。なお、作業機械10は、直進経路及び旋回経路のそれぞれを自動走行してもよい。
【0014】
作業機械10は、例えば図4に示す圃場Fにおいて、直進走行と旋回走行とを繰り返しながら作業が終了するまで走行する。自動走行用の目標経路Rには、複数の直進経路(作業経路)が含まれる。複数の作業経路のそれぞれは互いに略平行である。図4には、作業経路Ra1~Ra12を例示している。例えば、作業機械10は、作業経路Ra1の自動走行、旋回経路Rc1の手動走行、作業経路Ra2の自動走行、旋回経路Rc2の手動走行、作業経路Ra3の自動走行を順に実行する。図4に示す符号A1は、作業機械10が走行及び作業を行った作業軌跡(作業済領域)を示している。
【0015】
図4に示す目標経路Rは一例であって、目標経路Rは、作業機械10のサイズ、作業機14の幅(作業幅)、隣接する作業領域同士が重なる幅(ラップ幅)、作業内容、圃場Fの形状などに応じて適宜決定される。
【0016】
また、自動走行システム100は、オペレータが操作する操作端末17を含んでいる。言い換えれば、操作端末17は、作業機械10等と共に、操作制御システムの一例である自動走行システム100を構成する。操作端末17は、例えば、タブレット端末、スマートフォン又はラップトップコンピュータ等の汎用端末で構成されている。汎用端末からなる操作端末17には、専用のアプリケーションソフト(プログラム)がインストールされており、このアプリケーションソフトを起動することにより、操作端末17は、自動走行システム100の操作端末17として機能する。操作端末17は、作業機械10との間で相互に通信可能である。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信(電波又は光を媒体とする通信)の適宜の通信方式により、直接的、又は通信網(ネットワーク)若しくは中継器等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。通信網は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、公衆電話回線、携帯電話回線網、パケット回線網又は無線LAN等を含む。
【0017】
例えばオペレータは、操作端末17において、各種情報(作業機械情報、圃場情報、作業情報など)などを登録する操作を行う。また、オペレータは、作業機械10から離れた場所において、操作端末17に表示される走行軌跡により、作業機械10の走行状況、作業状況などを把握することが可能である。本基本構成では一例として、操作端末17は、図2に示すように、作業機械10においてオペレータが搭乗する搭乗部としてのキャビン18内に配置される。操作端末17は、作業機械10の構成要素に含まれてもよいし、作業機械10の構成要素に含まれなくてもよい。
【0018】
[作業機械10]
図1及び図2に示すように、作業機械10は、車両制御装置11、記憶部12、走行装置13、作業機14、通信部15、測位装置16、操作端末17などを備える。車両制御装置11は、記憶部12、走行装置13、作業機14、測位装置16、操作端末17などに電気的に接続されている。少なくとも走行装置13は、作業機械10の機体101に設けられている。なお、車両制御装置11及び測位装置16は、無線通信可能であってもよい。また、車両制御装置11及び操作端末17は、無線通信可能であってもよい。
【0019】
通信部15は、作業機械10を有線又は無線で通信網に接続し、通信網を介して外部機器(操作端末など)との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0020】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。記憶部12には、車両制御装置11に後述の操作制御処理(図15参照)を実行させるための操作制御プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、操作制御プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。なお、操作制御プログラムは、サーバー(不図示)から通信網を介して作業機械10にダウンロードされて記憶部12に記憶されてもよい。また、記憶部12には、操作端末17において生成される目標経路のデータが記憶されてもよい。
【0021】
走行装置13は、作業機械10を走行させる駆動部である。図2に示すように、走行装置13は、エンジン131、前輪132、後輪133、トランスミッション134、フロントアクスル135、リアアクスル136、ハンドル137などを備える。なお、前輪132及び後輪133は、作業機械10の左右にそれぞれ設けられている。また、走行装置13は、前輪132及び後輪133を備えるホイールタイプに限らず、作業機械10の左右に設けられるクローラを備えるクローラタイプであってもよい。
【0022】
エンジン131は、不図示の燃料タンクに補給される燃料を用いて駆動するディーゼルエンジン又はガソリンエンジンなどの駆動源である。走行装置13は、エンジン131とともに、又はエンジン131に代えて、電気モーターを駆動源として備えてもよい。なお、エンジン131には、不図示の発電機が接続されており、当該発電機から作業機械10に設けられた車両制御装置11等の電気部品及びバッテリー等に電力が供給される。なお、前記バッテリーは、前記発電機から供給される電力によって充電される。そして、作業機械10に設けられている車両制御装置11、測位装置16、及び操作端末17等の電気部品は、エンジン131の停止後も前記バッテリーから供給される電力により駆動可能である。
【0023】
エンジン131の駆動力は、トランスミッション134及びフロントアクスル135を介して前輪132に伝達され、トランスミッション134及びリアアクスル136を介して後輪133に伝達される。また、エンジン131の駆動力は、PTO軸(不図示)を介して作業機14にも伝達される。走行装置13は、車両制御装置11の命令に従って走行動作を行う。
【0024】
作業機14は、例えば耕耘機、播種機、草刈機、プラウ、又は施肥機などであって、作業機械10の機体101に対して着脱可能である。これにより、作業機械10は、作業機14各々を用いて各種の作業を行うことが可能である。図2には、作業機14が耕耘機である場合を示している。
【0025】
作業機14は、作業機械10において、不図示の昇降機構により昇降可能に支持されてもよい。車両制御装置11は、前記昇降機構を制御して作業機14を昇降させることが可能である。例えば、車両制御装置11は、オペレータが昇降レバー14L(図3参照)により作業機14を下降させる操作(例えば、昇降レバー14Lを「下降」の位置に入れる操作)を行うと、作業機14を作業位置に下降させ、オペレータが昇降レバー14Lにより作業機14を上昇させる操作(例えば、昇降レバー14Lを「上昇」の位置に入れる操作)を行うと、作業機14を非作業位置に上昇させる。昇降レバー14Lは、例えばハンドル137付近に設けられるが(図3参照)、キャビン18内の他の位置に設けられてもよい。
【0026】
また、車両制御装置11は、作業の停止指示を取得した場合に、作業機14に作業の停止命令を出力する。車両制御装置11は、作業の停止指示を取得すると、PTO軸の駆動を停止させて作業機14の動作(作業)を停止させる。
【0027】
ハンドル137は、オペレータ又は車両制御装置11によって操作される操作部である。例えば走行装置13は、オペレータ又は車両制御装置11によるハンドル137の操作に応じて、油圧式パワーステアリング機構(不図示)などによって前輪132の角度を変更し、作業機械10の進行方向を変更する。
【0028】
また、走行装置13は、主変速レバー、PTOスイッチ、リバーサレバー、シフトレバー、アクセル、クラッチ、ブレーキ等を備える。走行装置13は、例えば、オペレータが主変速レバーにより作業機械10の車速を上げる増速操作を行うと、作業機械10の車速を増速させ、オペレータが主変速レバーにより作業機械10の車速を下げる減速操作を行うと、作業機械10の車速を減速させる。リバーサレバーは、作業機械10の前後進を切り替える操作具であり、「前進」、「中立」、「後進」に設定可能である。
【0029】
また、走行装置13は、例えば、オペレータがPTOスイッチをONに設定する操作(例えば、PTOスイッチを「ON」の位置に入れる操作)を行うと、エンジン131の駆動力をPTO軸を介して作業機14に伝達して作業機14を動作させ、オペレータがPTOスイッチをOFFに設定する操作(例えば、PTOスイッチを「OFF」の位置に入れる操作)を行うと、エンジン131から作業機14に対する駆動力の伝達を遮断して作業機14の動作を停止させる。
【0030】
また、走行装置13は、前記ブレーキの操作に応じて電磁ブレーキを用いて前輪132及び後輪133の回転を制動する。また、走行装置13は、前記シフトレバーの操作に応じて、トランスミッション134のギアを前進ギア又はバックギアなどに切り替え、作業機械10の走行態様を前進又は後進などに切り替える。また、走行装置13は、前記アクセルの操作に応じてエンジン131の回転数を制御する。
【0031】
測位装置16は、測位制御部161、記憶部162、通信部163、及び測位用アンテナ164などを備える通信機器である。例えば、測位装置16は、図2に示すように、オペレータが搭乗するキャビン18の上部に設けられている。また、測位装置16の設置場所はキャビン18に限定されない。さらに、測位装置16の測位制御部161、記憶部162、通信部163、及び測位用アンテナ164は、作業機械10において異なる位置に分散して配置されていてもよい。なお、前述したように測位装置16には前記バッテリーが接続されており、当該測位装置16は、エンジン131の停止中も稼働可能である。また、測位装置16として、例えば携帯電話端末、スマートフォン、又はタブレット端末などが代用されてもよい。
【0032】
測位制御部161は、一又は複数のプロセッサーと、不揮発性メモリ及びRAMなどの記憶メモリとを備えるコンピュータシステムである。記憶部162は、測位制御部161に測位処理を実行させるための測位制御プログラム、及び測位情報、移動情報などのデータを記憶する不揮発性メモリなどである。例えば、前記測位制御プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部162に記憶される。なお、前記測位制御プログラムは、サーバー(不図示)から通信網を介して測位装置16にダウンロードされて記憶部162に記憶されてもよい。
【0033】
通信部163は、測位装置16を有線又は無線で通信網に接続し、通信網を介して基地局サーバーなどの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0034】
測位用アンテナ164は、衛星から発信される電波(GNSS信号)を受信するアンテナである。
【0035】
測位制御部161は、測位用アンテナ164が衛星から受信するGNSS(Global Navigation Satellite System)信号に基づいて作業機械10の現在位置を算出する。例えば、作業機械10が圃場Fを自動走行する場合に、測位用アンテナ164が複数の衛星202のそれぞれから発信される電波(発信時刻、軌道情報など)を受信すると、測位制御部161は、測位用アンテナ164と各衛星202との距離を算出し、算出した距離に基づいて作業機械10の現在位置(緯度及び経度)を算出する。また、測位制御部161は、作業機械10に近い基地局(基準局)201に対応する補正情報を利用して作業機械10の現在位置を算出する、リアルタイムキネマティック方式(RTK-GNSS測位方式(RTK方式))による測位を行ってもよい。このように、作業機械10は、RTK方式による測位情報を利用して自動走行を行う。なお、作業機械10の現在位置は、測位位置(例えば測位用アンテナ164の位置)と同一位置であってもよいし、測位位置からずれた位置であってもよい。
【0036】
操作端末17は、作業機械10に搭乗するオペレータが操作する機器であり、各種情報を表示したり、オペレータの操作を受け付けたりする。具体的には、操作端末17は、各種設定画面を表示させてオペレータから各種の設定操作を受け付けたり、ガイダンス画面を表示させて走行中の作業機械10に関する情報を表示させたりする。操作端末17の具体的構成は後述する。
【0037】
車両制御装置11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、車両制御装置11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより作業機械10を制御する。また、車両制御装置11は、前記CPUで前記自動走行プログラムに従った各種の処理を実行する。車両制御装置11は、本発明の動作処理部の一例である。
【0038】
具体的には、車両制御装置11は、作業機械10の走行を制御する。例えば、車両制御装置11は、作業機械10の走行モードが手動走行(手動走行モード)の場合に、オペレータの操作(手動操舵)に基づいて作業機械10を手動走行させる。例えば、車両制御装置11は、オペレータによるハンドル操作、変速操作、シフト操作、アクセル操作、ブレーキ操作などの運転操作に対応する操作情報を取得し、当該操作情報に基づいて走行装置13に走行動作を実行させる。
【0039】
また、車両制御装置11は、作業機械10の走行モードが自動走行(自動走行モード)の場合に、測位制御部161により測位される作業機械10の現在位置を示す位置情報(測位情報)に基づいて作業機械10を自動走行させる。例えば、車両制御装置11は、作業機械10が自動走行開始条件を満たし、オペレータから走行開始指示を取得すると、前記測位情報に基づいて作業機械10の自動走行を開始させる。また、車両制御装置11は、予め生成された目標経路R(作業経路)(図4参照)に従って作業機械10を自動走行させる。
【0040】
また、車両制御装置11は、作業機械10が作業経路の終端(終了点)に到達すると走行モードを手動走行に切り替える。車両制御装置11は、作業機械10が終了点に到達したと判定した場合に走行モードを手動走行に切り替えてもよいし、オペレータの操作に応じて走行モードを手動走行に切り替えてもよい。走行モードが手動走行に切り替えられると、例えばオペレータは、手動操舵により作業機械10を旋回走行(手動走行)させる(図4参照)。なお、各作業経路の終了点の位置は、圃場Fの端部から所定距離だけ内側に入った位置、オペレータが予め指定した位置、直前の作業済経路においてオペレータが自動走行から手動走行に切り替えた位置に並ぶ位置(手動に切り替えた位置を通り作業済経路に垂直な線と作業経路とが交わる位置、又は、手動に切り替えた位置を通り圃場Fの端辺に平行な線と作業経路とが交わる位置)、基準線L1のB点を通り基準線L1に垂直な線と作業経路とが交わる位置(例えば図5Cの位置Pe)などである。
【0041】
なお、作業機械10を自動走行させる各作業経路の終了点は、作業機械10を手動走行させる非作業経路(旋回経路)の開始点の位置に一致し、各作業経路の開始点は、非作業経路(旋回経路)の終了点の位置に一致する。
【0042】
以上のようにして、車両制御装置11は、オペレータによる操作端末17における操作に応じて走行モードを切り替えて、作業機械10を、自動操舵により作業経路(目標経路R)を自動走行させ、手動操舵により非作業経路(旋回経路)を手動走行させる。また、車両制御装置11は、各作業経路の終了点において、作業機械10にオペレータの設定操作に応じた動作(放音動作、表示動作、走行制御動作など)を実行させる。
【0043】
また、本開示でいう「自動走行」には、オペレータの操作によらずに作業機械10が自律的に走行する「自律走行」と、例えば直進アシストのように操舵のみが自動化される「半自動走行」と、が含まれる。
【0044】
「自律走行」は、例えば、目標経路Rに沿って作業機械10が走行するように、操舵輪(前輪132)の自動操舵に加えて、車速等の制御も自動的に行われる走行態様である。「直進アシスト」は、例えば、基準となる直線(基準線)に平行な直線経路に沿って作業機械10が走行するように、操舵輪(前輪132)の自動操舵のみが行われ、車速等はオペレータの操作によって制御される走行態様である。つまり、「半自動走行」は、オペレータの操作なしでは作業機械10は走行できないものの、オペレータにとっては操舵にかかる負担が軽減され、かつ直線経路等の目標経路Rに沿って走行できるため作業効率の向上につながる。そして、自律走行と半自動走行とのいずれにおいても、操舵輪(前輪132)は自動操舵されるので、自動操舵の一態様であると言える。
【0045】
本基本構成においては、特に断りが無い限り、「自動走行」は、操舵のみが自動化され直線経路に沿って作業機械10を走行させる「直進アシスト」であることとする。すなわち、図4に示すように、複数の直線経路(直進経路)からなる作業経路Ra1~Ra12を含む目標経路Rが設定されると、作業機械10は、作業経路Ra1の自動走行(直進アシスト)、旋回経路Rc1の手動走行、作業経路Ra2の自動走行(直進アシスト)、旋回経路Rc2の手動走行、作業経路Ra3の自動走行(直進アシスト)を順に実行する。
【0046】
[操作端末17]
図1に示すように、操作端末17は、操作制御部71、記憶部72、操作表示部73などを備える。操作端末17は、作業機械10に着脱可能な機器であってもよい。また、操作端末17は、オペレータが携帯可能な携帯端末(タブレット端末、スマートフォンなど)であってもよい。操作端末17は、車両制御装置11に有線又は無線により通信可能に接続されている。
【0047】
操作表示部73は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部と、操作を受け付ける操作ボタン又はタッチパネルなどの操作部とを備えるユーザーインターフェースである。操作表示部73は、操作制御部71の指示に応じて各種の表示画面を表示する。また、操作表示部73は、前記各表示画面においてオペレータの操作を受け付ける。
【0048】
また、前記操作部は、作業機械10に自動走行を開始させる際にオペレータが走行開始指示を行う自動走行ボタン171と、作業機械10と目標経路との位置偏差を補正する補正操作(シフト操作)を行うシフトボタン172とを含んでいる(図3参照)。自動走行ボタン171及びシフトボタン172は、物理的なボタンで構成されてもよい。
【0049】
操作端末17は、例えば図2及び図3に示すように、キャビン18内のハンドル137付近に設置される。
【0050】
記憶部72は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどの不揮発性の記憶部である。記憶部72には、操作端末17に後述の操作制御処理(図15参照)を実行させるための操作制御プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記操作制御プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部72に記憶される。なお、前記操作制御プログラムは、サーバー(不図示)から通信網を介して操作端末17にダウンロードされて記憶部72に記憶されてもよい。また、記憶部72には、操作端末17において生成される目標経路のデータが記憶されてもよい。また、前記制御プログラムには、目標経路を生成する経路生成プログラムが含まれてもよい。
【0051】
操作制御部71は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、操作制御部71は、前記ROM又は記憶部72に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより操作端末17を制御する。
【0052】
具体的には、図1に示すように、操作制御部71は、表示処理部711、受付処理部712、生成処理部713などの各種の処理部を含む。なお、操作端末17は、前記CPUで前記制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記制御プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0053】
表示処理部711は、各種情報を操作表示部73に表示させる。例えば、表示処理部711は、目標経路を生成する際の操作画面、自動走行に関する情報(作業機械10の走行状況、作業状況等)を表示する操作画面(図6等のガイダンス画面D1)、メニュー画面(図8等のホーム画面D2)、各種の設定を行う設定画面(例えば図9等のUFO操作画面D3)などを操作表示部73に表示させる。
【0054】
受付処理部712は、オペレータによる各種操作を受け付ける。例えば、受付処理部712は、作業機械10を自動走行させるための設定情報を入力する操作、自動走行の目標経路を生成するための操作、自動走行を開始又は停止させる操作などをオペレータから受け付ける。
【0055】
生成処理部713は、作業機械10に自動走行させる目標経路Rを生成する。例えば、生成処理部713は、圃場F内のA点(第1基準点)及びB点(第2基準点)を通る基準線L1に基づいて、所定の間隔(等間隔)に配列される複数の直進経路(作業経路)を含む目標経路Rを生成する。
【0056】
以下、目標経路Rの生成手順の一例を説明する。例えば、表示処理部711は、基準線L1を設定する設定操作をオペレータから受け付ける操作画面(不図示)を操作表示部73に表示させる。オペレータは、圃場F内において作業機械10を任意の位置に移動させてA点登録ボタン(不図示)を押下する。例えば、オペレータは、作業機械10を圃場Fの外周端部に移動させてA点登録ボタンを押下する。オペレータがA点登録ボタンを押下すると、生成処理部713は作業機械10の現在位置を第1基準点(A点)として登録する。生成処理部713がA点を登録すると、表示処理部711は、第2基準点(B点)の登録操作を受け付ける操作画面(不図示)を操作表示部73に表示させる。オペレータは、作業機械10に走行及び作業させたい方向(目標方向)に、作業機械10を手動走行させる(図5A参照)。具体的には、オペレータは、作業機械10が作業領域で作業する際の作業方向(例えば耕耘方向)に平行な方向に作業機械10を直進走行させる。このとき、作業機械10は、手動走行しながら所定の作業(例えば耕耘作業)を行ってもよい。そして、オペレータは、任意の位置(例えば圃場Fの外周端部)においてB点登録ボタン(不図示)を押下する。オペレータがB点登録ボタンを押下すると、生成処理部713は作業機械10の現在位置を第2基準点(B点)として登録する。
【0057】
生成処理部713は、A点及びB点の位置情報を取得すると、A点及びB点を通る直線を基準線L1として設定する(図5A参照)。なお、生成処理部713は、作成した基準線L1の方位を調整可能であってもよい。例えば、生成処理部713は、作成した基準線L1を操作画面に表示させて、オペレータから登録操作を受け付けた場合に基準線L1を設定(登録)する。一方、生成処理部713は、オペレータから基準線L1の方位を変更する操作(例えば、画面のタッチ操作など)を受け付けると、操作に応じて基準線L1の方位を調整する。生成処理部713は、B点を登録する操作を受け付けた場合に、基準線L1を登録するか又は調整するかの選択画面を表示させてもよい。
【0058】
生成処理部713は、基準線L1と、基準線L1に平行な複数の直線とを含む走行経路(目標経路R)を生成する。例えば、生成処理部713は、予め設定される作業幅(作業機14の横幅)及びラップ幅(隣接する作業済領域と重なる幅)に基づいて複数の平行な直線を、基準線L1を基準として等間隔に生成する(図5B参照)。生成処理部713は、生成した目標経路Rを記憶部72に登録するとともに、操作表示部73に表示させる。
【0059】
上記方法によれば、圃場Fの両端部の2点(A点及びB点)を通る基準線L1により目標経路Rを生成することができるため(図4参照)、作業機械10による作業精度を向上させることができる。なお、生成処理部713は、A点を登録してから作業機械10が所定距離(例えば5m)だけ走行した場合にB点を登録可能としてもよい。これにより、より精度の高い基準線L1を設定することができる。
【0060】
目標経路Rの生成方法は上記方法に限定されず、例えば、A点及び作業機械10の向きから作成される基準線に基づいて目標経路Rを生成する方法(「A点+車両方位角」)であってもよいし、A点及び設定方位角から作成される基準線に基づいて目標経路Rを生成する方法(「A点+設定方位角」)であってもよい。
【0061】
目標経路Rが生成された後、オペレータは、圃場F内において作業機械10に自動走行を開始させる指示(走行開始指示)を行う。例えば作業機械10が、目標経路Rから所定距離以内かつ目標経路Rに対して所定方位以内に位置するなど(図5C参照)、自動走行開始条件を満たし自動走行可能な状態になると、表示処理部711は、図6に示すガイダンス画面D1を表示させる。また、表示処理部711は、ガイダンス画面D1において、作業機械10が自動走行可能な状態になったことを示すメッセージ(例えば「直進アシストを開始できます」)を表示させる。図6に示すガイダンス画面D1は、作業機械10の自動走行の開始指示をオペレータから受け付ける受付画面の一例である。
【0062】
続いて、オペレータは、自動走行ボタン171(図3参照)を押下して走行開始指示を行う。操作端末17にガイダンス画面D1が表示された状態でオペレータが自動走行ボタン171を押下すると、車両制御装置11は、走行開始指示を受け付けて、作業機械10を目標経路Rに沿うように作業機械10の自動走行を開始する。図4に示すように、作業機械10は、目標経路Rに含まれる作業経路を自動走行しながら所定の作業を実行し、当該作業経路の終了点において、手動走行に切り替えてオペレータによる手動操舵により旋回経路を旋回走行する。
【0063】
また、操作端末17にガイダンス画面D1が表示された状態でオペレータが自動走行ボタン171を押下すると、表示処理部711は、図7に示すように、ガイダンス画面D1に、作業機械10が自動走行中であることを示すメッセージ(例えば「直進アシスト走行中」)を表示させる。
【0064】
ここで、オペレータが自動走行を開始しようとする際に、操作端末17にガイダンス画面D1(図6参照)とは異なる表示画面が表示されている場合がある。例えばオペレータは、自動走行を開始する前に作業機械10の水平制御に関する設定(UFO操作)を行いたい場合に、図6に示すガイダンス画面D1においてホームボタンK1を押下する。オペレータがホームボタンK1を押下すると、表示処理部711は、図8に示すホーム画面D2を表示させる。続いてオペレータがホーム画面D2の「UFO操作」のアイコンを押下すると、表示処理部711は、図9に示すUFO操作画面D3を表示させる。オペレータは、UFO操作画面D3において、水平制御に関する設定を行うことができる。
【0065】
オペレータは、水平制御に関する設定を完了すると、自動走行を開始するための走行開始指示を行う。例えばオペレータは、操作端末17にUFO操作画面D3(図9参照)又はホーム画面D2(図8参照)が表示された状態で自動走行ボタン171(図3参照)を押下する。操作端末17にガイダンス画面D1とは異なる表示画面(UFO操作画面D3、ホーム画面D2)が表示された状態で自動走行ボタン171が押下されると、表示処理部711は、当該表示画面をガイダンス画面D1(図6参照)に遷移(移行)させる。
【0066】
また、操作端末17にガイダンス画面D1とは異なる表示画面が表示された状態で自動走行ボタン171が押下された場合、車両制御装置11は、走行開始指示を受け付けても、作業機械10の自動走行を開始させない。前記表示画面がガイダンス画面D1(図6参照)に遷移し、かつ自動走行開始条件を満たした状態でオペレータが自動走行ボタン171を押下すると、車両制御装置11は、走行開始指示を受け付けて、作業機械10を目標経路Rに沿うように作業機械10の自動走行を開始する。また、表示処理部711は、図7に示すように、ガイダンス画面D1に、作業機械10が自動走行中であることを示すメッセージ(「直進アシスト走行中」)を表示させる。
【0067】
このように、作業機械10の自動走行に関するガイダンス画面D1(図6参照)が操作端末17に表示されている状態で、自動走行ボタン171がオペレータにより操作された場合に、車両制御装置11は、作業機械10に自動走行を開始させ、表示処理部711は、ガイダンス画面D1に自動走行に関する情報(「直進アシスト走行中」)を表示させる。
【0068】
これに対して、ガイダンス画面D1とは異なる非ガイダンス画面(UFO操作画面D3(図9参照)、ホーム画面D2(図8参照)など)が操作端末17に表示されている状態で、自動走行ボタン171がオペレータにより操作された場合には、車両制御装置11は、作業機械10に自動走行を開始させず、表示処理部711は、前記非ガイダンス画面をガイダンス画面D1に遷移させる。
【0069】
すなわち、車両制御装置11は、ガイダンス画面D1が操作端末17に表示されている状態で自動走行ボタン171がオペレータにより操作された場合に、作業機械10に自動走行を実行させ、前記非ガイダンス画面が操作端末17に表示されている状態で自動走行ボタン171がオペレータにより操作された場合に、作業機械10に自動走行を実行させない。また、車両制御装置11は、ガイダンス画面D1が操作端末17に表示されている状態で、自動走行ボタン171がオペレータにより操作され、かつ自動走行開始条件を満たす場合に、作業機械10に自動走行させ、前記非ガイダンス画面が操作端末17に表示されている状態で自動走行ボタン171がオペレータにより操作された場合には、自動走行開始条件を満たす場合であっても、作業機械10に自動走行を実行させない。
【0070】
また、表示処理部711は、ガイダンス画面D1が操作端末17に表示されている状態で自動走行ボタン171がオペレータにより操作された場合に、ガイダンス画面D1に自動走行を開始したことを示す情報を表示させ(図7参照)、前記非ガイダンス画面が操作端末17に表示されている状態で自動走行ボタン171がオペレータにより操作された場合に、前記非ガイダンス画面をガイダンス画面D1(図6参照)に遷移させる。
【0071】
このように、自動走行ボタン171には、操作端末17に表示される表示画面の内容に応じて異なる機能が割り当てられている。上述の例では、自動走行ボタン171は、非ガイダンス画面(UFO操作画面D3、ホーム画面D2など)が表示されている状態で自動走行ボタン171が押下された場合にガイダンス画面D1に遷移するショートカットボタンとして機能する。上記構成によれば、オペレータは、自動走行ボタン171を押下して非ガイダンス画面をガイダンス画面D1に遷移させることができ、自動走行ボタン171を再度押下して自動走行を開始させることができるため、操作部(自動走行ボタン171)の利便性を向上させることができる。
【0072】
ここで、オペレータは、作業機械10の自動走行が開始された後、自動走行中に、ガイダンス画面D1(図7参照)を他の設定画面に移行させることが可能である。例えば自動走行中に図7に示すガイダンス画面D1においてオペレータがホームボタンK1を押下すると、表示処理部711は、図10に示すホーム画面D2を表示させる。表示処理部711は、図10に示すホーム画面D2において、作業機械10が自動走行中であることを示すメッセージ(例えば「直進アシスト走行中」)を表示させる。また、図10に示すホーム画面D2においてオペレータが「UFO操作」のアイコンを押下すると、表示処理部711は、図11に示すUFO操作画面D3を表示させる。表示処理部711は、図11に示すUFO操作画面D3において、作業機械10が自動走行中であることを示すメッセージ(例えば「直進アシスト走行中」)を表示させる。
【0073】
このように、オペレータは作業機械10が自動走行中にガイダンス画面D1を他の表示画面に切り替えることが可能である。また、作業機械10が自動走行中にオペレータがガイダンス画面D1を切り替えた場合であっても、車両制御装置11は、作業機械10の自動走行を継続させる。上記構成によれば、オペレータは、作業機械10が自動走行中であっても表示画面を切り替えて各種操作を行うことができるため利便性を向上させることができる。
【0074】
なお、ガイダンス画面D1(図7参照)から非ガイダンス画面に遷移した場合において、非ガイダンス画面において所定時間連続してオペレータの操作が行われなかった場合に、表示処理部711は、非ガイダンス画面をガイダンス画面D1(図7参照)に自動的に遷移させたり、ガイダンス画面D1に戻すように促すメッセージを表示させたりしてもよい。
【0075】
また、作業機械10が自動走行中にオペレータがガイダンス画面D1において操作可能な機能を制限してもよい。例えばガイダンス画面D1(図12参照)に表示される設定アイコンK2は、自動走行用の目標経路に関する経路設定を行うための操作ボタンである。経路設定の情報は、安全性を考慮して、作業機械10が停止中にのみ設定及び変更可能であり、自動走行中は設定及び変更が禁止される。そこで、作業機械10が自動走行中の場合には、表示処理部711は、図12に示すように、ガイダンス画面D1において設定アイコンK2を選択不可能に表示(グレーアウト)させる。設定アイコンK2がグレーアウト状態の場合は、オペレータが設定アイコンK2を押下しても、表示処理部711は、ガイダンス画面D1を設定画面(不図示)に遷移させない。この場合、表示処理部711は、設定アイコンK2の操作ができないこと、自動走行を停止した場合に操作が可能であることなどのメッセージを表示させてもよい。
【0076】
また、作業機械10の自動走行を停止(自動走行OFF)させる場合、オペレータは自動走行停止操作を行う。例えば、オペレータは、作業機械10が自動走行中に自動走行ボタン171を押下する。車両制御装置11は、自動走行停止操作を受け付けると、自動走行を停止して手動走行に切り替える。例えば、操作端末17に図7に示すガイダンス画面D1が表示された状態で作業機械10が自動走行中にオペレータが自動走行ボタン171を押下すると、車両制御装置11は自動走行を停止させ、表示処理部711は、図13に示すように、ガイダンス画面D1に、自動走行を停止したことを示すメッセージ(例えば「直進アシスト停止しました」)を表示させる。
【0077】
また例えば、操作端末17に図10に示すホーム画面D2又は図11に示すUFO操作画面D3が表示された状態で作業機械10が自動走行中にオペレータが自動走行ボタン171を押下すると、車両制御装置11は自動走行を停止させ、表示処理部711は、表示画面(非ガイダンス画面)を図13に示すガイダンス画面D1に遷移させて、ガイダンス画面D1に自動走行を停止したことを示すメッセージ(例えば「直進アシスト停止しました」)を表示させる。
【0078】
このように、作業機械10が自動走行中に、作業機械10の自動走行に関するガイダンス画面D1(図7参照)が操作端末17に表示されている状態で、自動走行ボタン171がオペレータにより操作された場合に、車両制御装置11は、作業機械10に自動走行を停止させ、表示処理部711は、ガイダンス画面D1に自動走行に関する情報(「直進アシスト停止しました」)を表示させる。これに対して、作業機械10が自動走行中に、ガイダンス画面D1とは異なる非ガイダンス画面が操作端末17に表示されている状態で自動走行ボタン171がオペレータにより操作された場合には、車両制御装置11は自動走行を停止させ、表示処理部711は、前記非ガイダンス画面をガイダンス画面D1に遷移させる。
【0079】
上述の基本構成では、自動走行ボタン171に対する操作に応じて自動走行を開始又は停止させたり、操作端末17における表示画面を切り替えたりする構成である。すなわち、自動走行ボタン171は、本発明の操作部の一例である。本発明の操作部は、自動走行ボタン171に限定されず、作業機械10を操作可能な操作部であればよい。例えば、本発明の操作部は、作業機14の姿勢を作業姿勢と非作業姿勢とに変化させる操作部であってもよい。具体的には、本発明の操作部は、作業機14を昇降させる昇降レバー14L(図3参照)であってもよい。
【0080】
ここで、操作端末17の操作制御部71は、作業機14の姿勢変化に連動して作業機械10の自動走行を開始させるか否かを設定する操作をオペレータから受け付けてもよい。例えば、オペレータは、ガイダンス画面D1(図6等参照)において、作業機連動アイコンK3を押下して、作業機14の姿勢変化に連動して作業機械10の自動走行を開始させる機能(作業機連動機能)を有効(ON)に設定することができる。作業機連動機能がONに設定されている場合、例えば、オペレータが昇降レバー14Lを「下降」の位置に入れる操作を行うと、車両制御装置11は、自動走行開始条件を満たす場合に、作業機14を作業位置に下降させるとともに、作業機械10の自動走行を開始させる。これにより、オペレータは作業機械10を自動走行の開始位置に移動させて作業機14を下降させる操作を行うことにより、自動走行及び作業を開始させることができる。また、自動走行ボタン171の押下操作を省略することができる。よって、利便性を向上させることができる。
【0081】
また、作業機連動機能がONに設定されている場合であって、操作端末17にガイダンス画面D1(図6参照)が表示されている場合に、オペレータが昇降レバー14Lを「下降」の位置に入れる操作を行うと、表示処理部711は、図7に示すように、ガイダンス画面D1に、作業機械10が自動走行中であることを示すメッセージ(「直進アシスト走行中」)を表示させる。
【0082】
なお、作業機連動機能がONに設定されている場合であっても、操作端末17にガイダンス画面D1とは異なる表示画面(ホーム画面D2(図8参照)、UFO操作画面D3(図9参照)などの非ガイダンス画面)が表示されている場合には、車両制御装置11は、オペレータが昇降レバー14Lを「下降」の位置に入れる操作を行ったとしても、作業機械10の自動走行を開始させない。この場合は、車両制御装置11は、作業機14を下降させる動作のみを実行し、自動走行動作を実行しない。また、前記非ガイダンス画面が表示された状態でオペレータが昇降レバー14Lを「下降」の位置に入れる操作を行った場合には、表示処理部711は、ガイダンス画面D1(図6参照)に遷移させることなく、前記非ガイダンス画面の表示を維持する。例えば、操作端末17に図9に示すUFO操作画面D3が表示されている場合にオペレータが昇降レバー14Lを「下降」の位置に入れる操作を行った場合には、表示処理部711は、UFO操作画面D3をそのまま表示させる。なお、この場合に、表示処理部711は、昇降レバー14Lの操作を受け付けたこと、作業機14の下降動作を実行すること、自動走行動作を実行しないこと、などのメッセージをUFO操作画面D3に表示させてもよい。このように、自動走行に関する情報とは異なる情報を表示する非ガイダンス画面が表示されている場合において、オペレータが自動走行指示とは異なる操作(作業機14の昇降操作)を行った場合には、オペレータに自動走行開始指示の意図が不明であるため、自動走行を開始したり、ガイダンス画面D1に移行したりする処理を実行しない。
【0083】
また、作業機連動機能がONに設定されている場合において、オペレータは、自動走行を停止させる場合には、昇降レバー14Lを「上昇」の位置に入れる操作を行う。オペレータが昇降レバー14Lを「上昇」の位置に入れる操作を行うと、車両制御装置11は、作業機14を非作業位置に上昇させるとともに、作業機械10の自動走行を停止させる。なお、操作端末17にガイダンス画面D1が表示されている場合であっても、非ガイダンス画面が表示されている場合であっても、車両制御装置11は、昇降レバー14Lの上昇操作に応じて、作業機14を非作業位置に上昇させるとともに、作業機械10の自動走行を停止させる。これにより、オペレータは作業機14を上昇させる操作を行うことにより、自動走行及び作業を停止させることができる。また、自動走行ボタン171の押下操作を省略することができる。よって、利便性を向上させることができる。
【0084】
また、作業機連動機能がONに設定されている場合であって、操作端末17にガイダンス画面D1(図7参照)が表示されている場合(自動走行中)に、オペレータが昇降レバー14Lを「上昇」の位置に入れる操作を行うと、表示処理部711は、図13に示すように、ガイダンス画面D1に、自動走行を停止したことを示すメッセージ(例えば「直進アシスト停止しました」)を表示させる。同様に、操作端末17に非ガイダンス画面(ホーム画面D2(図10参照)、UFO操作画面D3(図11参照))が表示されている場合(自動走行中)に、オペレータが昇降レバー14Lを「上昇」の位置に入れる操作を行うと、表示処理部711は、非ガイダンス画面をガイダンス画面D1に遷移させるとともに、図13に示すようにガイダンス画面D1に、自動走行を停止したことを示すメッセージ(例えば「直進アシスト停止しました」)を表示させる。このように、操作端末17にガイダンス画面D1が表示されている場合であっても、非ガイダンス画面が表示されている場合であっても、表示処理部711は、昇降レバー14Lの上昇操作に応じて、ガイダンス画面D1を表示させるとともに、ガイダンス画面D1に自動走行を停止したことを示すメッセージを表示させる。
【0085】
なお、作業機械10が自動走行している場合に自動走行を停止させる操作は、上述の自動走行ボタン171の操作、昇降レバー14Lの操作に限定されず、例えば、ハンドル操作であってもよい。具体的には、作業機械10が自動走行中に、作業機械10に搭乗しているオペレータがハンドル137を所定角度以上回転(操舵)した場合に、車両制御装置11は自動走行を停止させる。例えば、作業機械10が自動走行しており、操作端末17に図11に示すUFO操作画面D3が表示されている場合に、オペレータがハンドル137を所定角度以上回転させると、車両制御装置11は自動走行を停止させ、表示処理部711は、UFO操作画面D3をガイダンス画面D1(図13参照)に遷移させるとともに、ガイダンス画面D1に、自動走行を停止したことを示すメッセージ(例えば「直進アシスト停止しました」)を表示させる。
【0086】
また、作業機械10が自動走行している場合に自動走行を停止させる操作は、例えば、オペレータがキャビン18内のシート(座席)を離れる操作(動作)であってもよい。具体的には、作業機械10が自動走行中に、作業機械10に搭乗しているオペレータがシートから立ち上がった場合に、車両制御装置11は自動走行を停止させる。例えば、作業機械10が自動走行しており、操作端末17に図11に示すUFO操作画面D3が表示されている場合に、オペレータがシートから立ち上がると、車両制御装置11は自動走行を停止させ、表示処理部711は、UFO操作画面D3をホーム画面D2(図14参照)に遷移させるとともに、ホーム画面D2に、自動走行を停止した要因に関する警告メッセージ(例えば「シートを離れました」)を表示させる。オペレータが図14に示すホーム画面D2において、「戻る」ボタンK4を押下すると、表示処理部711は、図9に示すUFO操作画面D3に遷移させる。なお、オペレータがシートから立ち上がった場合に、表示処理部711は、UFO操作画面D3をガイダンス画面D1(図13参照)に遷移させるとともに、ガイダンス画面D1に、自動走行を停止したことを示すメッセージ(例えば「直進アシスト停止しました」)を表示させてもよい。
【0087】
自動走行を停止する要因は、上記各事例に限定されず、例えば、作業機械10の測位精度(位置精度)の低下、動作異常などが含まれる。前記警告メッセージには、これらの要因を示すメッセージが含まれる。
【0088】
[操作制御処理]
以下、図15を参照しつつ、車両制御装置11及び操作端末17(操作制御部71)によって実行される操作制御処理の一例について説明する。なお、本発明は、車両制御装置11及び操作端末17が前記操作制御処理の一部又は全部を実行する操作制御方法の発明、又は、当該操作制御方法の一部又は全部を車両制御装置11及び操作端末17に実行させるための操作制御プログラムの発明として捉えてもよい。また、一又は複数のプロセッサーが前記操作制御処理を実行してもよい。
【0089】
ステップS1において、操作制御部71は、オペレータから自動走行開始指示を受け付けたか否かを判定する。例えば、オペレータは、作業機械10を作業開始位置に移動させて自動走行ボタン171(図3参照)を押下する。操作制御部71は、オペレータから自動走行開始指示を受け付けると(S1:Yes)、処理をステップS2に移行させる。操作制御部71は、オペレータから自動走行開始指示を受け付けるまで待機する(S1:No)。
【0090】
ステップS2では、車両制御装置11は、作業機械10が自動走行開始条件を満たすか否かを判定する。具体的には、車両制御装置11は、作業機械10が目標経路Rから所定距離以内かつ目標経路Rに対して所定方位以内に位置するか否かを判定する。車両制御装置11は、作業機械10が自動走行開始条件を満たすと判定すると(S2:Yes)、処理をステップS3に移行させる。車両制御装置11は、作業機械10が自動走行開始条件を満たさないと判定すると(S2:No)、処理をステップS1に戻す。
【0091】
ステップS3において、操作制御部71は、操作端末17に表示されている表示画面が自動走行用のガイダンス画面D1(図6参照)であるか否かを判定する。操作制御部71は、操作端末17に表示されている表示画面がガイダンス画面D1であると判定すると(S3:Yes)、処理をステップS4に移行させる。一方、操作制御部71は、操作端末17に表示されている表示画面がガイダンス画面D1とは異なる表示画面(非ガイダンス画面)であると判定すると(S3:No)、処理をステップS31に移行させる。
【0092】
なお、作業機械10が自動走行開始条件を満たす場合に、操作制御部71は、ガイダンス画面D1に、作業機械10が自動走行可能な状態になったことを示すメッセージ(例えば「直進アシストを開始できます」)を表示させる(図6参照)。
【0093】
ステップS31では、操作制御部71は、非ガイダンス画面をガイダンス画面D1に遷移(移行)させる。例えば、操作端末17に図9に示すUFO操作画面D3が表示されている状態でオペレータが自動走行ボタン171を押下した場合に、操作制御部71は、UFO操作画面D3を図6に示すガイダンス画面D1に遷移させる。操作制御部71は、ステップS31の処理後、処理をステップS1に戻す。
【0094】
ステップS4では、車両制御装置11は、作業機械10に自動走行を開始させ、操作制御部71は、ガイダンス画面D1に、作業機械10が自動走行中であることを示すメッセージ(例えば「直進アシスト走行中」)を表示させる(図7参照)。
【0095】
これにより、作業機械10は、例えば、作業経路Ra1(図4参照)を自動走行しながら所定の作業(例えば耕耘作業)を行う。
【0096】
次にステップS5において、操作制御部71は、オペレータから自動走行停止指示を受け付けたか否かを判定する。例えば、オペレータは、作業機械10が作業経路Ra1の終了点に到達すると自動走行ボタン171(図3参照)を押下する。操作制御部71は、オペレータから自動走行停止指示を受け付けると(S5:Yes)、処理をステップS6に移行させる。操作制御部71は、オペレータから自動走行停止指示を受け付けない場合(S5:No)、処理をステップS8に移行させる。
【0097】
ステップS6において、操作制御部71は、操作端末17に表示されている表示画面がガイダンス画面D1(図7参照)であるか否かを判定する。操作制御部71は、操作端末17に表示されている表示画面がガイダンス画面D1であると判定すると(S6:Yes)、処理をステップS7に移行させる。一方、操作制御部71は、操作端末17に表示されている表示画面がガイダンス画面D1とは異なる表示画面(非ガイダンス画面)であると判定すると(S6:No)、処理をステップS61に移行させる。
【0098】
ステップS7では、車両制御装置11は、作業機械10に自動走行を停止させ、操作制御部71は、ガイダンス画面D1に、作業機械10の自動走行が停止したことを示すメッセージ(例えば「直進アシスト停止しました」)を表示させる(図13参照)。ステップS7の後、処理はステップS8に移行する。
【0099】
ステップS61では、車両制御装置11は、作業機械10の自動走行を停止させ、操作制御部71は、非ガイダンス画面をガイダンス画面D1に遷移(移行)させる。例えば、操作端末17に図11に示すUFO操作画面D3が表示されている状態でオペレータが自動走行ボタン171を押下した場合に、車両制御装置11は、作業機械10の自動走行を停止させ、操作制御部71は、UFO操作画面D3を図13に示すガイダンス画面D1に遷移させて、ガイダンス画面D1に自動走行を停止したことを示すメッセージ(例えば「直進アシスト停止しました」)を表示させる。ステップS61の後、処理はステップS8に移行する。
【0100】
ステップS8において、車両制御装置11及び操作制御部71は、作業機械10による作業が終了したか否かを判定する。例えば、作業機械10が目標経路Rに含まれる作業経路Ra12の終了点に到達した場合に、車両制御装置11及び操作制御部71は、作業機械10による作業が終了したと判定する。作業が終了すると(S8:Yes)、前記操作制御処理は終了する。作業が終了しない場合(S8:No)、処理はステップS1に戻り、車両制御装置11及び操作制御部71は、上述の処理を繰り返す。
【0101】
以上説明したように、本基本構成に係る作業機械10は、作業機械10の自動走行に関する第1表示画面(ガイダンス画面D1)が操作端末17に表示されている状態で、作業機械10を操作可能な操作部(自動走行ボタン171、昇降レバー14Lなど)がユーザー(オペレータ)により操作された場合に、作業機械10に第1動作(例えば自動走行)を実行させ、第1表示画面とは異なる第2表示画面(非ガイダンス画面)が操作端末17に表示されている状態で、前記操作部がユーザーにより操作された場合に、作業機械10に前記第1動作を実行させない。
【0102】
上記構成によれば、自動走行に関するガイダンス画面D1が操作端末17に表示されている状態でオペレータが自動走行開始指示を行った場合には、作業機械10に自動走行を開始させる一方、自動走行に関するガイダンス画面D1が操作端末17に表示されていない状態でオペレータが自動走行開始指示を行った場合には、作業機械10に自動走行を開始させない。ここで、自動走行に関するガイダンス画面D1が表示されていないときにオペレータにより自動走行開始指示が行われた場合には、当該指示はオペレータの意図したものではない可能性がある。この点、上記構成によれば、オペレータの意図しない自動走行開始指示により、作業機械10が自動走行を開始することを防ぐことができる。
【0103】
また、本基本構成に係る作業機械10は、作業機械10の自動走行に関する第1表示画面(ガイダンス画面D1)が操作端末17に表示されている状態で、作業機械10を操作可能な操作部(自動走行ボタン171など)がユーザー(オペレータ)により操作された場合に、前記第1表示画面に自動走行に関する情報を表示させ、第1表示画面とは異なる第2表示画面(非ガイダンス画面)が操作端末17に表示されている状態で、前記操作部がユーザーにより操作された場合に、前記第2表示画面を自動走行に関する表示画面(例えばガイダンス画面D1)に遷移させる。
【0104】
上記構成によれば、自動走行に関するガイダンス画面D1が操作端末17に表示されている状態でオペレータが自動走行開始指示を行った場合には、ガイダンス画面D1に自動走行を開始したことを示す情報を表示させる一方、自動走行に関するガイダンス画面D1が操作端末17に表示されていない状態でオペレータが自動走行開始指示を行った場合には、ガイダンス画面D1に画面遷移させる。このように、1つの操作部(例えば自動走行ボタン171)に、表示画面の内容に応じた複数の機能(自動走行開始指示、画面遷移などの機能)が割り当てられるため、操作部の利便性を向上させることができる。
【0105】
なお、本発明の操作部は、作業機械10に設けられてもよいし(例えば自動走行ボタン171、昇降レバー14Lなど)、作業機械10の外部に設けられてもよい。例えば、本発明の操作部は、作業機械10と通信可能な操作端末17(タブレット端末、スマートフォンなど)に設けられてもよい。例えば、本発明の操作部である自動走行ボタン171が、操作端末17の表示画面(例えばガイダンス画面D1とは異なる表示画面)にアイコン画像として表示されてもよいし、操作端末17に物理スイッチとして設けられてもよい。また、本発明の操作端末17は、作業機械10に持ち込み可能かつ作業機械10から持ち出し可能な構成であってもよい。
【0106】
本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、本発明の操作部は、作業機械10の目標経路の位置又は方位を変更させる操作をユーザーから受け付ける操作部であってもよい。具体的には、本発明の操作部は、作業機械10と目標経路との位置偏差を補正する補正操作(シフト操作)を行うシフトボタン172(図3参照)であってもよい。
【0107】
例えば、作業機械10が自動走行を実行している状態でシフトボタン172がオペレータにより操作された場合に、作業機械10の目標経路の位置又は方位を変更させる。これに対して、作業機械10が自動走行を実行していない状態でシフトボタン172がオペレータにより操作された場合には、操作端末17の表示内容に応じた動作を実行させる。
【0108】
例えば、操作端末17に図7に示すガイダンス画面D1が表示されており、作業機械10が自動走行しているときに、オペレータがシフトボタン172の右側を押下すると、車両制御装置11は、作業機械10の目標経路の位置を右側にシフトさせる。
【0109】
これに対して、操作端末17に図6に示すガイダンス画面D1が表示されており、作業機械10が自動走行していないときに、オペレータがシフトボタン172の右側を押下すると、操作制御部71は、図6に示すガイダンス画面D1における「感度」を大きい値に変更する。前記感度は、作業機械10が目標経路から位置ずれした場合に目標経路に復帰する際の補正感度を示す。すなわち、シフトボタン172の右側がガイダンス画面D1の「感度」の「+」ボタンに対応し、シフトボタン172の左側がガイダンス画面D1の「感度」の「-」ボタンに対応するように、シフトボタン172に機能が割り当てられる。
【0110】
また操作端末17に図9に示すUFO操作画面D3が表示されており、作業機械10が自動走行していないときに、オペレータがシフトボタン172の右側を押下すると、操作制御部71は、図9に示すUFO操作画面D3における「傾き」度合いを変更する。すなわち、シフトボタン172の右側がUFO操作画面D3の右矢印に対応し、シフトボタン172の左側がUFO操作画面D3の左矢印に対応するように、シフトボタン172に機能が割り当てられる。
【0111】
なお、シフトボタン172による設定内容の変更操作には、オフセット変化量の変更操作が含まれる。例えば、シフトボタン172の右側を1回押下したときの目標経路の変化量(シフト量)が「X1」に設定されている場合に、オペレータが作業機械10の自動走行中にシフトボタン172を押下すると、目標経路が「X1」だけシフトする。これに対して、シフト量が「X1」に設定されており、作業機械10が自動走行していないときにオペレータがシフトボタン172を押下すると、シフト量を「X1」から「X2」に変更することができる。シフト量が「X2」に変更されると、オペレータが作業機械10の自動走行中にシフトボタン172を押下すると、目標経路が「X2」だけシフトする。このように、操作部には、当該操作部の本来の機能(上記の例では「経路シフト」)に関連する設定情報(上記の例では「シフト量」)を変更する機能が割り当てられてもよい。
【0112】
以上のように、操作制御部71は、作業機械10が自動走行を実行していない状態かつ作業機械10に関する設定画面が操作端末17に表示されている状態で操作部(例えばシフトボタン172)がオペレータにより操作された場合に、作業機械10の設定内容を変更させる。これにより、前記操作部に複数の機能が割り当てられるため、前記操作部の利便性を向上させることができる。
【0113】
なお、図6に示すガイダンス画面D1では「感度」の設定項目が設定可能となっているが、オペレータは、ガイダンス画面D1で設定可能な設定項目を任意に登録することが可能であってもよい。例えば、操作制御部71は、オペレータの登録操作に応じて、ガイダンス画面D1に、前記シフト量の設定項目、UFOの設定項目などを表示させてもよい。
【0114】
本発明の他の実施形態として、本発明の第2表示画面は、操作表示部73が消灯した非表示画面(消灯画面)であってもよい。例えばホーム画面D2(図8参照)においてオペレータが「OFF」のアイコンを押下すると、表示処理部711は、操作表示部73を消灯させる。また例えばオペレータが操作表示部73を所定時間連続して操作しなかった場合に、表示処理部711は、操作表示部73を消灯させる。
【0115】
操作表示部73が消灯画面の状態で、例えば自動走行ボタン171がオペレータにより自動走行を開始させる操作(走行開始指示)が行われた場合、車両制御装置11は、作業機械10に自動走行を開始させず、表示処理部711は、操作表示部73を点灯(画面点灯)させるとともにガイダンス画面D1を表示(消灯画面からガイダンス画面D1に遷移)させる。また、作業機械10が自動走行中に、操作表示部73が消灯画面の状態で自動走行ボタン171がオペレータにより自動走行を停止させる操作(走行停止指示)が行われた場合、車両制御装置11は、作業機械10に自動走行を停止させ、表示処理部711は、操作表示部73を点灯(画面点灯)させるとともにガイダンス画面D1を表示させる。
【0116】
また、作業機連動機能がONに設定されている場合において、操作表示部73が消灯画面の場合には、車両制御装置11は、オペレータが昇降レバー14Lを「下降」の位置に入れる操作を行ったとしても、作業機械10の自動走行を開始させない。この場合、車両制御装置11は、作業機14を下降させる動作のみを実行し、自動走行動作を実行させない。また、この場合、表示処理部711は、操作表示部73を点灯(画面点灯)させるとともに、消灯前の表示画面を表示させる(ガイダンス画面D1に遷移させない)。
【0117】
また、作業機連動機能がONに設定されている場合において、操作表示部73が消灯画面の場合には、オペレータが昇降レバー14Lを「上昇」の位置に入れる操作を行うと、車両制御装置11は、作業機14を非作業位置に上昇させるとともに作業機械10の自動走行を停止させ、表示処理部711は、操作表示部73を点灯(画面点灯)させるとともに、ガイダンス画面D1を表示(消灯画面からガイダンス画面D1に遷移)させて自動走行を停止したことを示すメッセージ(例えば「直進アシスト停止しました」)を表示させる。
【0118】
本発明の操作制御システムは、操作端末17単体で構成されてもよいし、操作端末17に含まれる各処理部を備えたサーバーで構成されてもよい。また、前記操作制御システムは、操作端末17を備える作業機械10で構成されてもよい。
【0119】
(実施形態1)
本実施形態に係る自動走行システム100A(操作制御システムの一例)は、主として操作制御部71及び車両制御装置11の構成、並びに操作端末17に表示される表示画面の態様が、基本構成と相違する。以下、基本構成と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0120】
[1]自動走行システムの構成
本実施形態に係る自動走行システム100Aでは、図16に示すように、操作端末17の操作制御部71は、表示処理部711、受付処理部712及び生成処理部713に加えて、設定処理部714を含んでいる。また、作業機械10の車両制御装置11は、走行制御処理部111及び加速度調節処理部112を含んでいる。
【0121】
設定処理部714は、操作表示部73に表示される各種の表示画面に対するユーザー(オペレータ)の操作に従って、各種の設定を行う設定処理を実行する。本実施形態では、設定処理部714は、少なくともUFO(水平制御)操作画面Dp5(図50参照)に含まれる制御操作部(第1操作要素K531,K532等。図50参照)に対するユーザーの操作に従って、水平制御に関する設定を行う。
【0122】
走行制御処理部111は、作業機械10の走行に関する走行制御を行う。具体的に、走行制御処理部111は、例えば、ユーザー(オペレータ)による主変速レバー181の操作に従って、走行装置13のトランスミッション134を制御することで、作業機械10の移動速度(車速)を調節する。さらに、走行制御処理部111は、例えば、ユーザー(オペレータ)によるアクセルレバー184の操作に従って、走行装置13のエンジン131の回転数を制御する。
【0123】
加速度調節処理部112は、作業機械10の移動速度(車速)を目標速度(目標車速)に到達させるまでの加速度を調節する加速度調節を行う。本開示でいう「加速度」は、現在の作業機械10の移動速度である現在速度とは異なる目標速度が設定された場合に、現在速度から目標速度に至るまでの時間に対する速度の変化率(傾き)を意味する。つまり、加速度が大きいほど、現在速度から目標速度に至るまでの時間は短くなるが、変速ショックは大きくなり、加速度が小さいほど、現在速度から目標速度に至るまでの時間は長くなるが、変速ショックは小さくなる。
【0124】
さらに、作業機械10の増速時の加速度を正(プラス)の加速度とし、作業機械10の減速時の加速度を負(マイナス)の加速度とする。そのため、ある移動速度(車速)で走行中の作業機械10に、正の加速度が作用すると作業機械10が増速して車速は高速側に変化するのに対し、負の加速度が作用すると作業機械10が減速して車速は低速側に変化する。負の加速度は、「減速度」と同義である。
【0125】
本実施形態では、加速度調節処理部112は、少なくとも作業機械10の減速時に作業機械10の移動速度を目標速度に到達させるまでの加速度(つまり「負の加速度」)を、ユーザーの操作に従って調節可能である。さらに、加速度調節処理部112は、作業機械10の増速時に作業機械10の移動速度を目標車速に到達させるまでの加速度(つまり「正の加速度」)についても、ユーザーの操作に従って調節可能である。
【0126】
要するに、本実施形態では、作業機械10の減速時及び増速時のいずれの加速度についても、つまり負及び正のいずれの加速度についても、ユーザー(オペレータ)の操作に従って調節することが可能である。
【0127】
具体的に、例えば、オペレータが主変速レバー181を操作に対して目標速度を変更すると、作業機械10の移動速度を変更後の目標速度に一致させるように、走行制御処理部111が走行装置13(トランスミッション134)を制御して、作業機械10の移動速度を変化させる。ここで、走行制御処理部111は、加速度調節処理部112で調節されている加速度に基づいて、作業機械10の移動速度の変化率を決定する。例えば、加速度が小さく設定されていると、走行制御処理部111は、目標速度を徐々に変更することで、作業機械10の移動速度を緩やかに変化させる。反対に、加速度が大きく設定されていると、走行制御処理部111は、目標速度を急峻に変更することで、作業機械10の移動速度を急峻に変化させる。
【0128】
また、図16においては、オペレータが搭乗する搭乗部としてのキャビン18(図2参照)内に配置され、オペレータによって操作される複数の操作部を含む操作部群180を図示する。操作部群180は、例えば、主変速レバー181、副変速レバー182、リバーサレバー183、アクセルレバー184、ブレーキペダル185及びクラッチペダル186等の種々の操作部を含む。図16では図示を省略するが、操作部群180は昇降レバー14L(図3参照)等も含む。ただし、図16に示す操作部群180は一例に過ぎず、操作部群180に含まれる操作部は図16に例示する操作部に限らない。例えば、操作部群180は、アクセルレバー184に加えて又は代えて、アクセルペダルを含んでもよい。
【0129】
主変速レバー181は、作業機械10の車速を無段階に増減させる操作(増速操作及び減速操作)を受け付ける。副変速レバー182は、複数の速度レンジ間で作業機械10の速度レンジを切り替える操作を受け付ける。一例として、副変速機には「C段」、「1速」及び「2速」の3段階の速度レンジがあり、副変速レバー182の操作に応じて副変速機の速度レンジが、「C段」から「1速」、さらに「1速」から「2速」に切り替わる度に、作業機械10の速度レンジが高く(高速に)なる。耕耘作業等の作業に用いられるのは低速段である「C段」及び「1速」であって、「2速」は作業には用いられない。ここで、「C段」は、「1速」よりも更に低速である「微速段」の意味であって、「Creep」の頭文字(C)をとって「C段」と呼称する。
【0130】
リバーサレバー183は、作業機械10の前後進を切り替える操作を受け付ける。リバーサレバー183が「前進」又は「後進」にあれば、主変速レバー181で車速を最低にしても作業機械10の車速は「0」にはならず、作業機械10はリバーサレバー183で指示された進行方向へ微速で走行する。リバーサレバー183が「中立」位置に操作されると、作業機械10の車速が「0」となって作業機械10が停止する。アクセルレバー184は、エンジン131の回転数を調節する操作を受け付ける。ブレーキペダル185は、作業機械10を制動させる操作を受け付ける。クラッチペダル186は、エンジン131の動力を断続させる操作を受け付ける。
【0131】
[2]表示画面
以下に、本実施形態に係る自動走行システム100Aにおいて、操作端末17に表示される表示画面の態様について図17図52を参照して説明する。
【0132】
図17等では、タッチパネルディスプレイからなる操作端末17の操作表示部73に表示される表示画面を例示している。本開示でいう表示画面等の「画面」は、操作表示部73等に表示される映像(画像)を意味し、図像、図形、写真、テキスト及び動画等を含む。すなわち、自動走行システム100Aは、例えば、操作端末17の操作制御部71(表示処理部711)が、種々の表示面を生成して操作表示部73に表示させることが可能である。ここで、表示画面が動画等を含む場合には、当該表示画面は一定の映像ではなく、刻一刻と変化する映像を含む。図17等の操作表示部73に表示される表示画面を示す図面において、領域を表す一点鎖線、引出線及び参照符号は、いずれも説明のために付しているに過ぎず、実際に操作表示部73に表示される訳ではない。
【0133】
また、以下で説明する表示画面におけるオブジェクトの意匠、配置及びサイズは一例に過ぎず、適宜変更可能である。表示画面におけるオブジェクト又は領域は、境界線によって明確に区分されていてもよいし、区分されていなくてもよい。
【0134】
ここで、自動走行システム100A(操作制御システムの一例)は、操作制御プログラムを実行させるための予め設定された特定の開始操作が行われた場合に、操作制御方法における各種表示画面の表示に係る処理を実行する。開始操作は、例えば、作業機械10の車両制御装置11に対する操作端末17の接続(アプリケーションソフトウェアの起動)、並びにユーザーID及びパスワードの入力を伴う専用サイトへのログイン等を含む。一方、自動走行システム100Aは、予め設定された特定の終了操作が操作端末17に対して行われた場合に、操作制御方法における各種表示画面の表示に係る処理を終了する。終了操作は、例えば、ログアウト、及び作業機械10の車両制御装置11に対する操作端末17の接続切断等を含む。
【0135】
[2.1]ホーム画面
ここではまず、本実施形態に係る操作制御方法によって操作端末17の操作表示部73に表示されるホーム画面Dp1について、図17図18及び図19を参照して説明する。
【0136】
ホーム画面Dp1は、操作制御方法により操作表示部73に表示されることになる基本的な表示画面である。タッチパネルディスプレイからなる操作表示部73に表示される表示画面は、ホーム画面Dp1から、操作表示部73に対する操作に従って、操作画面(ガイダンス画面D1)等を含む様々な表示画面への遷移が可能である。ホーム画面Dp1は、基本構成におけるホーム画面D2(図8参照)に相当する。
【0137】
ホーム画面Dp1は、図17に示すように、主領域G1及び帯領域G2を含む。具体的には、ホーム画面Dp1は、縦方向(上下方向)に2つの領域に分割されている。そして、主領域G1及び帯領域G2は、上から順に、帯領域G2、主領域G1の順に配置される。主領域G1は、ホーム画面Dp1のうちの大部分を占める領域であるのに対し、帯領域G2は、横方向(左右方向)に長さを有しホーム画面Dp1の上端部のみを占める帯状の領域である。
【0138】
ホーム画面Dp1の主領域G1には、複数のホームアイコンK101~K110が表示される。複数のホームアイコンK101~K110は、それぞれユーザー(オペレータ)の操作を受け付けるオブジェクトである。これら複数のホームアイコンK101~K110には、それぞれ個別の機能が割り当てられている。例えば、「トラクタ情報」の機能が割り当てられているホームアイコンK101がユーザー(オペレータ)に操作されると、ホーム画面Dp1から「トラクタ情報」を示すトラクタ情報画面Dp2(図26参照)に遷移する。一方、「トラクタ設定」の機能が割り当てられているホームアイコンK107がユーザーに操作されると、ホーム画面Dp1から「トラクタ設定」を示すトラクタ設定画面Dp3(図27参照)に遷移する。
【0139】
さらに、ホーム画面Dp1の主領域G1には、複数のショートカットキーK11~K15が表示される。複数のショートカットキーK11~K15は、それぞれユーザー(オペレータ)の操作を受け付けるオブジェクトである。これら複数のショートカットキーK11~K15には、それぞれ個別の機能が割り当てられている。例えば、「トラクタ情報」の機能が割り当てられているショートカットキーK13がユーザー(オペレータ)に操作されると、ホーム画面Dp1から「トラクタ情報」を示すトラクタ情報画面Dp2に遷移する。一方、「トラクタ設定」の機能が割り当てられているショートカットキーK14がユーザー(オペレータ)に操作されると、ホーム画面Dp1から「トラクタ設定」を示すトラクタ設定画面Dp3に遷移する。
【0140】
これら複数のショートカットキーK11~K15は、主領域G1のうちの下端部に配置されている。複数のショートカットキーK11~K15は、例えば、トラクタ情報画面Dp2及びトラクタ設定画面Dp3等のホーム画面Dp1以外の表示画面においても、ホーム画面Dp1と同様の位置に表示される。つまり、複数のショートカットキーK11~K15は、操作端末17の操作表示部73に基本的に常時表示される。
【0141】
ホーム画面Dp1の帯領域G2には、燃料残量情報G11、尿素水残量情報G12、タイトル情報G13、アンテナ受信情報G14及び日付情報G15が表示される。これらの情報は、帯領域G2において、左から、燃料残量情報G11、尿素水残量情報G12、タイトル情報G13、アンテナ受信情報G14、日付情報G15の順で一列に並べて表示される。
【0142】
燃料残量情報G11としては、燃料(軽油)の残量を示すグラフが表示される。尿素水残量情報G12としては、尿素水の残量を示すグラフが表示される。タイトル情報G13としては、現在の表示画面のタイトル(ホーム画面Dp1であれば「HOME」)が表示される。アンテナ受信情報G14は測位用アンテナ164の受信状況を示し、日付情報G15は現在の日付を示す。
【0143】
帯領域G2は、例えば、トラクタ情報画面Dp2及びトラクタ設定画面Dp3等のホーム画面Dp1以外の表示画面においても、ホーム画面Dp1と同様の位置に表示される。つまり、帯領域G2は、操作端末17の操作表示部73に基本的に常時表示される。
【0144】
帯領域G2における各情報の表示位置は、固定的に定められている。そのため、例えば、尿素水を用いない作業機械10においては、燃料残量情報G11の右方に、尿素水残量情報G12を表示するためのスペースを空けて、タイトル情報G13が表示される。
【0145】
ところで、このようなホーム画面Dp1は、図18に示すように、起動ロック画面Dp11でのパスワード(パスコード)の入力を経て表示されることが好ましい。すなわち、特定の開始操作が行われた場合、まず操作表示部73には起動ロック画面Dp11が表示される。起動ロック画面Dp11には、例えば、テンキー等のパスワードを入力するための操作を受け付けるキーが表示され、起動ロック画面Dp11にて、正規のパスワードが入力されることをもって、表示画面が起動ロック画面Dp11からホーム画面Dp1に遷移する。一方、起動ロック画面Dp11にて誤ったパスワードが入力されると、図18に示すように、表示画面は起動ロック画面Dp11からエラー画面Dp12に遷移する。
【0146】
また、本実施形態では、ホーム画面Dp1は、図19に示すように、一画面に表示しきれない数のホームアイコンK101~K114を含んでいる。この場合、ホーム画面Dp1は、左右方向にスワイプ、又は左右のカーソルが押下されることで、図19の上段に示すように、主領域G1にホームアイコンK101~K110が表示される状態と、主領域G1にホームアイコンK111~K114が表示される状態と、が交互に切り替わる。
【0147】
さらに、ホーム画面Dp1は、カスタマイズが可能である。具体的に、ホーム画面Dp1において、複数のホームアイコンK101~K114のいずれかが長押しされると、表示画面は、ホーム画面Dp1から図19に示すようなカスタマイズ画面Dp13に遷移する。カスタマイズ画面Dp13では、例えば、任意のホームアイコンK101~K114をドラッグ操作により移動させ、複数のホームアイコンK101~K114のレイアウト変更が可能である。
【0148】
同様に、ホーム画面Dp1において、複数のショートカットキーK11~K15のいずれかが長押しされると、表示画面は、ホーム画面Dp1から図19に示すようなショートカット登録画面Dp14に遷移する。ショートカット登録画面Dp14では、例えば、任意のホームアイコンK101~K114を選択する操作により、ショートカットキーK11~K15に対して当該ホームアイコンK101~K114と同じ機能を割り当てることが可能である。
【0149】
[2.2]画面遷移パターン
次に、本実施形態に係る操作制御方法によって操作端末17の操作表示部73に表示される表示画面の画面遷移パターンについて、図20図41を参照して説明する。
【0150】
図20は、ホーム画面Dp1から直接的に遷移可能な表示画面の一例を示す。作業設定画面Dp21は、作業機14の設定を行うための表示画面であって、ホーム画面Dp1においてホームアイコンK104が操作されることで表示される。自動作業制御画面Dp22は、作業負荷に応じてエンジン131の回転数及び車速を自動で制御する自動作業制御に関する設定を行うための表示画面であって、ホーム画面Dp1においてホームアイコンK105が操作されることで表示される。
【0151】
旋回設定画面Dp23は、作業機械10の旋回モードの設定を行うための表示画面であって、ホーム画面Dp1において「旋回モード設定」の機能が割り当てられているホームアイコン(不図示)が操作されることで表示される。リンク設定画面Dp24は、作業機械10の外部機器とのリンク設定を行うための表示画面であって、ホーム画面Dp1においてホームアイコンK112が操作されることで表示される。
【0152】
ローダー設定画面Dp25は、作業機械10に装着される(フロント)ローダーの動作設定を行うための表示画面であって、ホーム画面Dp1においてホームアイコンK114が操作されることで表示される。GNSS設定画面Dp26は、作業機械10の測位装置16の設定を行うための表示画面であって、ホーム画面Dp1においてホームアイコンK110が操作されることで表示される。
【0153】
図21は、作業設定画面Dp21から遷移可能な表示画面の一例を示す。詳細設定画面Dp211~Dp215は、作業機14にて行う作業の詳細を設定するための表示画面であって、作業設定画面Dp21において、各作業機14に対応付けられている歯車アイコンK211(図20参照)が操作されることで表示される。
【0154】
詳細設定画面Dp211~Dp213は、作業機械10の自動走行に関連する「走行系」の設定をするための表示画面であって、詳細設定画面Dp214,Dp215は、作業機械10の水平制御に関連する「UFO系」の設定をするための表示画面である。これら詳細設定画面Dp211~Dp213と、詳細設定画面Dp214,Dp215とは、各画面中の走行系キーK212又はUFO系キーK213の操作によって交互に切り替えられる。つまり、走行系キーK212が操作されると「走行系」の詳細設定画面Dp211~Dp213が表示され、UFO系キーK213が操作されると「UFO系」の詳細設定画面Dp214,Dp215が表示される。
【0155】
詳細設定画面Dp211~Dp213の各々は、3つのタブK214~K216を含み、タブK214~K216の選択操作によって、詳細設定画面Dp211~Dp213が切り替わる。つまり、「機能切換」のタブK214が操作されると、機能切換に関する設定のための詳細設定画面Dp211が表示される。「最高エンジン回転数」のタブK215が操作されると、エンジン131の最高回転数に関する設定のための詳細設定画面Dp212が表示される。「最高車速」のタブK216が操作されると、作業機械10の最高車速に関する設定のための詳細設定画面Dp213が表示される。
【0156】
詳細設定画面Dp214,Dp215の各々は、2つのタブK217,K218を含み、タブK217,K218の選択操作によって、詳細設定画面Dp214,Dp215が切り替わる。つまり、「作業モード」のタブK214が操作されると、作業モードに関する設定のための詳細設定画面Dp214が表示される。「e-CONTROL」のタブK215が操作されると、自動作業制御に関する設定のための詳細設定画面Dp215が表示される。
【0157】
各詳細設定画面Dp211~Dp215において、作業名称のテキストボックスが選択されると、文字入力画面Dp216が表示される。文字入力画面Dp216は、ユーザー(オペレータ)によるテキスト入力を受け付けるための画面であって、ここで入力されるテキストが各詳細設定画面Dp211~Dp215のテキストボックスに入力される。
【0158】
図22は、ホーム画面Dp1から遷移可能な表示画面の一例を示す。カメラ設定画面Dp271は、作業機械10に設けられているカメラの撮像画像が表示される表示画面であって、ホーム画面Dp1においてホームアイコンK111が操作されることで表示される。さらに、カメラ設定画面Dp271中のメニューアイコンK271が操作されると、カメラ設定画面Dp271からカメラ設定画面Dp272に遷移する。カメラ設定画面Dp272では、カメラ映像に対する画像処理(例えば、反転処理及び回転処理等)の設定が可能である。
【0159】
各パワートレッド画面Dp281~Dp283は、走行装置13のトレッド等を設定するための表示画面であって、ホーム画面Dp1においてホームアイコンK106が操作されることで表示される。さらに、パワートレッド画面Dp281~Dp283の各々は、3つのタブK281~K283を含み、タブK281~K283の選択操作によって、パワートレッド画面Dp281~Dp283が切り替わる。つまり、「後輪トレッド調整」のタブK281が操作されると、後輪トレッドに関する設定のためのパワートレッド画面Dp281が表示される。「前輪ボルト位置」のタブK282が操作されると、前輪ボルト位置に関する設定のためのパワートレッド画面Dp282が表示される。「前輪切れ角ボルト寸法」のタブK283が操作されると、作業機械10の操舵輪(前輪)の最大切れ角に関する設定のためのパワートレッド画面Dp283が表示される。
【0160】
図23は、ホーム画面Dp1から遷移可能な表示画面の一例を示す。ガイダンス画面Dp4は、直進アシストに関する設定のための表示画面であって、ホーム画面Dp1においてホームアイコンK103が操作されることで表示される。ガイダンス画面Dp4は、基本構成におけるガイダンス画面D1(図6参照)に相当する。ここで、作業機械10の起動後(又は操作端末17の起動後)、初めてガイダンス画面Dp4を表示する場合には、ガイダンス画面Dp4の表示に先立って、免責確認画面Dp41が表示される。免責確認画面Dp41は、直進アシスト等の運転支援装置の利用に関する免責事項についての同意を求める表示画面であって、同意キーK41が操作されることをもって、ガイダンス画面Dp4に遷移する。ガイダンス画面Dp4について詳しくは「[2.4]ガイダンス画面Dp4」の欄で説明する。
【0161】
UFO操作画面Dp5は、作業機14の水平制御に関する設定のための表示画面であって、ホーム画面Dp1においてホームアイコンK102が操作されることで表示される。UFO操作画面Dp5は、基本構成におけるUFO操作画面D3(図9参照)に相当する。UFO操作画面Dp5は、水平制御に係るUFO操作画面Dp51と、深さ制御に係るUFO操作画面Dp52と、を含む。UFO操作画面Dp51,Dp52の各々は、2つのタブK51,K52を含み、タブK51,K52の選択操作によって、UFO操作画面Dp51,Dp52が切り替わる。つまり、「水平制御」のタブK51が操作されると、水平制御に関する設定のためのUFO操作画面Dp51が表示される。「深さ制御」のタブK52が操作されると、深さ制御に関する設定のためのUFO操作画面Dp52が表示される。UFO操作画面Dp5について詳しくは「[2.5]UFO操作画面Dp5」の欄で説明する。
【0162】
図24及び図25は、ホーム画面Dp1から遷移可能な表示画面の一例を示す。ロボット設定画面Dp601~Dp612は、オペレータが搭乗していない状態(つまり無人状態)で作業機械10が自動走行(自律走行)するロボットトラクターモードに関する設定を行うための表示画面であって、ホーム画面Dp1において、ロボットトラクターモードに対応付けられているホームアイコン(不図示)が操作されることで表示される。
【0163】
具体的に、所定期間(例えば当日)においてセーフティブレーキのチェックが未実施であれば、まずはロボット設定画面Dp601~Dp612のうちのロボット設定画面Dp601が表示される。ロボット設定画面Dp601の表示中において、駐車ブレーキがOFFで、かつリバーサレバー183が「中立」位置にあるという条件を満たすと、ロボット設定画面Dp602に遷移する。ロボット設定画面Dp602の表示中において、チェック開始キーK601が操作されると、ロボット設定画面Dp603に遷移する。ロボット設定画面Dp603の表示中には、ブレーキ装置が自動的に制御され、セーフティブレーキの動作チェックが行われる。このとき、動作チェックに失敗すると、チェック失敗であることを示すロボット設定画面Dp604に遷移する。一方、動作チェックに成功すると、チェック成功であることを示すロボット設定画面Dp605に遷移する。
【0164】
また、所定期間(例えば当日)においてセーフティブレーキのチェックが実施であるか、ロボット設定画面Dp605に遷移後に一定時間が経過すると、ロボット設定画面Dp606に遷移する。
【0165】
ロボット設定画面Dp606の表示中において、ロボットトラクターモードでの遠隔操作用の遠隔操作端末(タブレット)の状態ボタンが押下されて、作業開始条件が準備完了であるという条件を満たすと、ロボット設定画面Dp607に遷移する。ロボット設定画面Dp607の表示中において、ロボットモード開始キーK607が操作されると、ロボット設定画面Dp608に遷移する。この状態ではまだ、作業機械10は停止中であって自動走行を開始しない。
【0166】
ロボット設定画面Dp608の表示中において、遠隔操作端末で自動走行の開始操作が行われると、ロボット設定画面Dp609に遷移する。ロボット設定画面Dp609の表示中には、作業機械10は自動走行(自律走行)を行う。ロボット設定画面Dp609の表示中において、遠隔操作端末で一時停止操作が行われると、ロボット設定画面Dp610に遷移する。ロボット設定画面Dp610を表示中には、作業機械10は停止中であって、遠隔操作端末で再開操作が行われると、ロボット設定画面Dp609に遷移する。
【0167】
ロボット設定画面Dp608~Dp610のいずれかの表示中において、作業機械10の自動走行に係る機能の異常が発生するか、オペレータが作業機械10を直接的に操作すると、ロボット設定画面Dp611に遷移する。また、ロボット設定画面Dp609の表示中に、作業機械10の作業が完了するか、遠隔操作端末で緊急停止操作が行われた場合にも、ロボット設定画面Dp611に遷移する。
【0168】
ロボット設定画面Dp611の表示中において、リバーサレバー183が「中立」位置にあり、アクセルレバー184が最小位置にあり、かつPTOスイッチがOFFされるという条件を満たすと、ロボット設定画面Dp612に遷移する。ロボット設定画面Dp612の表示中において、ロボットモード終了キーK612が操作されると、ロボット設定画面Dp606に遷移する。このとき、ロボットトラクターモードは終了し、作業機械10は手動走行に戻る。
【0169】
図26は、ホーム画面Dp1から遷移可能な表示画面の一例を示す。トラクタ情報画面Dp2は、作業機械10の各設定情報を示す表示画面であって、ホーム画面Dp1においてホームアイコンK101が操作されることで表示される。
【0170】
また、本実施形態では、トラクタ情報画面Dp2は、図26に示すように、車速及びエンジン131回転数等、一画面に表示しきれない数の項目を含んでいる。この場合、トラクタ情報画面Dp2は、左右方向にスワイプ、又は左右のカーソルが押下されることで、図26の最上段に示すように、表示される項目が交互に切り替わる。
【0171】
さらに、トラクタ情報画面Dp2は、カスタマイズが可能である。具体的に、トラクタ情報画面Dp2において、項目入れ替えキーK21が操作されると、表示画面は、トラクタ情報画面Dp2から図26に示すようなカスタマイズ画面Dp201に遷移する。カスタマイズ画面Dp201において、変更対象とする任意の項目が選択されると、カスタマイズ画面Dp202に遷移する。カスタマイズ画面Dp202において、カスタマイズ画面Dp201で選択された変更対象の項目と入れ替える項目が選択されると、変更確認画面Dp203に遷移する。変更確認画面Dp203において、YESキーK22が操作されると、トラクタ情報画面Dp2における変更対象の項目(例えば「車速」)が他の項目(例えば「エンジン負荷率」)に入れ替えられ、表示画面は、トラクタ情報画面Dp2に遷移する。
【0172】
図27は、ホーム画面Dp1から遷移可能な表示画面の一例を示す。トラクタ設定画面Dp3は、作業機械10の各設定を行うための表示画面であって、ホーム画面Dp1においてホームアイコンK107が操作されることで表示される。トラクタ設定画面Dp3には、複数の設定アイコンK31~K35が表示されている。
【0173】
UFO感度設定画面Dp321~Dp324は、作業機14の水平制御の感度を設定するための表示画面であって、トラクタ設定画面Dp3において、UFO感度に対応付けられている設定アイコンK32が操作されることで表示される。
【0174】
UFO感度設定画面Dp321~Dp324の各々は、4つのタブK321~K324を含み、タブK321~K324の選択操作によって、UFO感度設定画面Dp321~Dp324が切り替わる。つまり、「UFO感度」のタブK321が操作されると、作業機械10の傾きに対する水平制御の感度を設定するためのUFO感度設定画面Dp321が表示される。「オート感度」のタブK322が操作されると、リヤカバーの変化に対する動作を設定するためのUFO感度設定画面Dp322が表示される。「すき込み速度」のタブK323が操作されると、耕耘開始時の作業機14の下降速度を設定するためのUFO感度設定画面Dp323が表示される。「遠心力補正」のタブK324が操作されると、遠心力補正の設定のためのUFO感度設定画面Dp324が表示される。
【0175】
図28は、トラクタ設定画面Dp3から遷移可能な表示画面の一例を示す。初期化画面Dp351~Dp353は、作業機械10の設定を初期化するための表示画面であって、トラクタ設定画面Dp3において、初期化に対応付けられている設定アイコンK35が操作されることで表示される。初期化画面Dp351において、初期化キーK351が長押しされると、初期化画面Dp352に遷移し、設定済みの各設定値の初期化処理が実行される。初期化処理が終了すると、初期化画面Dp353に遷移する。
【0176】
旋回感度設定画面Dp341~Dp343は、作業機械10の旋回感度を設定するための表示画面であって、トラクタ設定画面Dp3において、旋回感度に対応付けられている設定アイコン(不図示)が操作されることで表示される。
【0177】
旋回感度設定画面Dp341~Dp343の各々は、3つのタブK341~K343を含み、タブK341~K343の選択操作によって、旋回感度設定画面Dp341~Dp343が切り替わる。つまり、「スピンターン」のタブK341が操作されると、作業機械10のスピンターン時の旋回感度を設定するための旋回感度設定画面Dp341が表示される。「ブレーキターン」のタブK342が操作されると、作業機械10のブレーキターン時の旋回感度を設定するための旋回感度設定画面Dp342が表示される。「緩旋回」のタブK343が操作されると、作業機械10の緩旋回時の旋回感度を設定するための旋回感度設定画面Dp343が表示される。
【0178】
図29は、トラクタ設定画面Dp3から遷移可能な表示画面の一例を示す。走行設定画面Dp31は、走行装置13の変速フィーリング(加速度)に関する設定を行うための表示画面であって、トラクタ設定画面Dp3において、走行設定に対応付けられている設定アイコンK31が操作されることで表示される。旋回感度設定画面Dp34は、作業機械10の操舵輪(前輪)の最大切れ角に関する設定のための表示画面であって、トラクタ設定画面Dp3において、旋回設定に対応付けられている設定アイコンK34が操作されることで表示される。変速フィーリング(加速度)に関する設定について詳しくは「[2.3]加速度調節機能」の欄で説明する。
【0179】
PTO設定画面Dp331,Dp332は、PTOに関する設定のための表示画面であって、トラクタ設定画面Dp3において、PTO設定に対応付けられている設定アイコンK33が操作されることで表示される。
【0180】
PTO設定画面Dp331,Dp332の各々は、2つのタブK331,K332を含み、タブK331,K332の選択操作によって、PTO設定画面Dp331,Dp332が切り替わる。つまり、「連動切替」のタブK331が操作されると、作業機14の昇降動作への連動に係るPTOの設定のためのPTO設定画面Dp331が表示される。「停止タイミング」のタブK332が操作されると、PTOの停止に関する設定のためのPTO設定画面Dp332が表示される。
【0181】
図30は、旋回感度設定画面Dp34の詳細を示す。旋回感度設定画面Dp34は、一括キーK344、個別キーK345、設定キーK346及び切れ角オブジェクトOb2を含む。切れ角オブジェクトOb2は、ハンドル137に連動して移動するカーソルOb21、現在設定されている左側の最大切れ角を表すカーソルOb22、及び現在設定されている右側の最大切れ角を表すカーソルOb23を含む。旋回感度設定画面Dp34において、一括キーK344及び個別キーK345は択一的に選択可能である。
【0182】
そして、旋回感度設定画面Dp34において、一括キーK344が選択された状態で、ハンドル137操作によって操舵輪(前輪)がいずれか一方に切られた状態で、設定キーK346が押下されると、左側及び右側の両方の最大切れ角が、そのときの操舵角に一括で設定される。つまり、一例として、図30の右上に示すように、ハンドル137操作によって操舵輪が右方に切られた状態で、設定キーK346が押下されると、右側の最大切れ角を表すカーソルOb23だけでなく、左側の最大切れ角を表すカーソルOb22についても、カーソルOb21の位置に応じて更新される。
【0183】
一方、旋回感度設定画面Dp34において、図30の左下に示すように、個別キーK345が選択されると、ハンドル137操作によって操舵輪(前輪)がいずれか一方に切られた状態で、設定キーK346が押下されると、左側及び右側のうち実際に操舵輪が切られている側の最大切れ角が、そのときの操舵角に設定される。つまり、一例として、図30の右下に示すように、ハンドル137操作によって操舵輪が右方に切られた状態で、設定キーK346が押下されると、右側の最大切れ角を表すカーソルOb23のみが、カーソルOb21の位置に更新される。
【0184】
図31は、PTO設定画面Dp332の詳細を示す。PTO設定画面Dp332は、時間連動キーK333、高さ連動キーK334及び設定なしキーK335を含む。PTO設定画面Dp332は、時間指定欄K336及び高さ指定欄K337を更に含む。PTO設定画面Dp332において、時間連動キーK333、高さ連動キーK334及び設定なしキーK335は択一的に選択可能である。時間指定欄K336及び高さ指定欄K337の各々の値は、プラスボタン及びマイナスボタンで調節可能である。
【0185】
そして、PTO設定画面Dp332において、図31の上段に示すように、時間連動キーK333が選択された状態では、PTOの停止から作業機14上昇までの遅延時間が、時間指定欄K336で指定された時間(図31の例では「5.0秒」)に設定される。また、PTO設定画面Dp332において、図31の左下に示すように、高さ連動キーK334が選択された状態では、PTOを停止するときの作業機14高さが、高さ指定欄K337で指定された高さ(図31の例では「80%」)に設定される。一方、PTO設定画面Dp332において、図31の右下に示すように、設定なしキーK335が選択された状態では、時間指定欄K336及び高さ指定欄K337の値によらずにPTOの停止と同時に作業機14を上昇させる設定となる。
【0186】
図32及び図33は、ホーム画面Dp1から遷移可能なモニタ設定画面Dp38、及びモニタ設定画面Dp38から更に遷移可能な表示画面の一例を示す。モニタ設定画面Dp38は、操作端末17の操作表示部73に関する設定を行うための表示画面であって、ホーム画面Dp1においてホームアイコンK108が操作されることで表示される。モニタ設定画面Dp38には、複数の設定アイコンK381~K386が表示されている。
【0187】
明るさ設定画面Dp381は、操作表示部73の明るさを設定するための表示画面であって、モニタ設定画面Dp38において、明るさ設定に対応付けられている設定アイコンK381が操作されることで表示される。明るさ設定画面Dp381では、例えば、作業機械10のヘッドライトのON、OFFのそれぞれの場合の明るさを、2つのバーグラフに分けて表示している。日付設定画面Dp382は、操作表示部73に表示させる日付(及び時刻)を設定するための表示画面であって、モニタ設定画面Dp38において、日付設定に対応付けられている設定アイコンK383が操作されることで表示される。
【0188】
起動ロック設定画面Dp383は、操作表示部73の起動時のロック(パスワード等)を設定するための表示画面であって、モニタ設定画面Dp38において、起動ロック設定に対応付けられている設定アイコンK385が操作されることで表示される。カメラ設定画面Dp384は、操作表示部73に表示させるカメラ映像に関する設定をするための表示画面であって、モニタ設定画面Dp38において、カメラ設定に対応付けられている設定アイコンK382が操作されることで表示される。
【0189】
割り込み表示設定画面Dp385は、操作表示部73における割り込み表示に関する設定のための表示画面であって、モニタ設定画面Dp38において、割り込み表示設定に対応付けられている設定アイコンK384が操作されることで表示される。本実施形態では、図33に示すように、割り込み表示設定画面Dp385は、深さダイアル及び最高車速等、一画面に表示しきれない数の項目を含んでいる。この場合、割り込み表示設定画面Dp385は、左右方向にスワイプ、又は左右のカーソルが押下されることで、図33の上段に示すように、表示される項目が交互に切り替わる。
【0190】
初期化画面Dp386は、表示設定に係る設定値を初期化するための表示画面であって、モニタ設定画面Dp38において、初期化設定に対応付けられている設定アイコンK386が操作されることで表示される。初期化画面Dp386にて初期化が行われる際、起動ロックが設定されている場合には、図33に示すように、パスワード入力を要求するパスワード入力画面Dp387が表示される。
【0191】
図34は、ホーム画面Dp1から遷移可能なレーザー設定画面Dp39、及びレーザー設定画面Dp39から更に遷移可能な表示画面の一例を示す。レーザー設定画面Dp39は、レーザーに関する設定を行うための表示画面であって、ホーム画面Dp1においてホームアイコンK113が操作されることで表示される。レーザー設定画面Dp39には、複数の設定アイコンK391,K392が表示されている。
【0192】
オフセット設定画面Dp391は、レーザーオフセット位置を設定するための表示画面であって、レーザー設定画面Dp39において、オフセット設定に対応付けられている設定アイコンK391が操作されることで表示される。感度設定画面Dp392は、レーザー感度を設定するための表示画面であって、レーザー設定画面Dp39において、感度設定に対応付けられている設定アイコンK392が操作されることで表示される。
【0193】
次に、ガイダンス画面Dp4から遷移可能な表示画面について説明する。
【0194】
図35は、ガイダンス画面Dp4から遷移可能な直進アシスト設定画面Dp42、及び直進アシスト設定画面Dp42から更に遷移可能な表示画面の一例を示す。直進アシスト設定画面Dp42は、直進アシストに関する各種の設定を行うための表示画面であって、ガイダンス画面Dp4において設定アイコンK42(図23参照)が操作されることで表示される。設定アイコンK42は、基本構成における設定アイコンK2(図12参照)に相当する。直進アシスト設定画面Dp42には、複数の設定アイコンK421~K425が表示されている。
【0195】
作業設定画面Dp421は、直進アシストに関する作業機14の設定を行うための表示画面であって、直進アシスト設定画面Dp42において、作業設定に対応付けられている設定アイコンK421が操作されることで表示される。初期化画面Dp422は、直進アシストに係る設定値を初期化するための表示画面であって、直進アシスト設定画面Dp42において、初期化設定に対応付けられている設定アイコンK425が操作されることで表示される。
【0196】
基準線設定画面Dp423は、直進アシストに用いる基準線を設定するための表示画面であって、直進アシスト設定画面Dp42において、基準線設定に対応付けられている設定アイコンK424が操作されることで表示される。アンテナ設定画面Dp424は、アンテナ位置調整に関する設定をするための表示画面であって、直進アシスト設定画面Dp42において、アンテナ位置調整に対応付けられている設定アイコンK423が操作されることで表示される。
【0197】
ところで、基準線設定画面Dp423は、複数の基準線のリスト表示と、当該基準線に対する処理と、を1つの画面に集約した画面構成を有する。すなわち、基準線設定画面Dp423は、例えば「Line1」、「Line2」…のように複数の基準線を一覧にして表示する基準線リストK430と、複数の指示キーK431~K434と、を含んでいる。基準線リストK430においては、複数の基準線のうちの任意の一つの基準線を選択可能である。そして、基準線リストK430において、いずれかの基準線が選択された状態では、当該基準線に対して、指示キーK431~K434にて指示される処理を行うことが可能である。
【0198】
例えば、オペレータが、基準線リストK430において「Line2」を選択した状態で、「呼び出し」の指示キーK432を押下することで、「Line2」を呼び出すことができる。また、オペレータが、基準線リストK430において「Line4」を選択した状態で、「登録」の指示キーK431を押下することで、「Line4」を更新するようにして新規の基準線を登録することができる。指示キーK433は基準線の名称変更を指示するキーであって、指示キーK434は基準線の消去を指示するキーである。
【0199】
また、複数のデータのリスト表示と、当該データに対する処理と、を1つの画面に集約した画面構成は、基準線以外にも適用可能である。例えば、複数の圃場のデータが登録される場合には、これら複数の圃場のリスト表示と、当該圃場に対する処理と、を1つの画面に集約してもよい。
【0200】
図36は、直進アシスト設定画面Dp42から遷移可能な表示画面の一例を示す。表示設定画面Dp425~Dp428は、直進アシストに関する表示設定を行うための表示画面であって、直進アシスト設定画面Dp42において、表示設定に対応付けられている設定アイコンK422が操作されることで表示される。
【0201】
表示設定画面Dp425~Dp428の各々は、4つのタブK441~K444を含み、タブK441~K444の選択操作によって、表示設定画面Dp425~Dp428が切り替わる。つまり、「作業履歴」のタブK441が操作されると、作業跡を塗りつぶすか否かを設定するための表示設定画面Dp425が表示される。「ズレ量表示」のタブK442が操作されると、目標経路と作業機械10の位置とのズレ量を表示するか否かを設定するための表示設定画面Dp426が表示される。「操作ガイド表示」のタブK443が操作されると、操作ガイダンスを画面中に表示するか否かを設定するための表示設定画面Dp427が表示される。「表示情報」のタブK444が操作されると、ガイダンス画面Dp4に表示する情報を設定するための表示設定画面Dp428が表示される。
【0202】
さらに、表示設定画面Dp428において、項目入れ替えキーK445が操作されると、表示画面は、カスタマイズ画面Dp429に遷移する。カスタマイズ画面Dp429において、変更対象とする任意の項目が選択されると、カスタマイズ画面Dp430に遷移する。カスタマイズ画面Dp430において、カスタマイズ画面Dp429で選択された変更対象の項目と入れ替える項目が選択されると、当該項目の入れ替えがなされる。
【0203】
図37及び図38は、作業設定画面Dp421から遷移可能な表示画面の一例を示す。詳細設定画面Dp431~Dp442は、作業機14にて行う作業の詳細を設定するための表示画面であって、作業設定画面Dp421において、各作業パターンに対応付けられている歯車アイコンK446(図35参照)が操作されることで表示される。
【0204】
詳細設定画面Dp431~Dp442の各々は、複数(ここでは12個)のタブを含み、タブの選択操作によって、詳細設定画面Dp431~Dp442が切り替わる。さらに、複数のタブはその全てが同一画面に表示されるのではなく、ページ切り替えによってその全てが表示される。
【0205】
ところで、詳細設定画面Dp432は、直進アシストにおける、作業機14の幅(作業幅)の設定、及び隣接する作業領域同士が重なる幅(ラップ幅)の設定を、1つの画面に集約した画面構成を有する。すなわち、詳細設定画面Dp432は、オーバーラップボタンK435及びオフセットボタンK436を有している。オーバーラップボタンK435が選択された状態では、詳細設定画面Dp432は、図37に示すように、作業幅入力欄K437に作業幅が入力され、ラップ幅入力欄K438にラップ幅が入力されることで、ラップ幅が規定される。つまり、作業幅及びラップ幅が指定されれば、自ずと作業機14のオフセット量も決まるため、オフセット量の入力が不要となる。ここで、作業幅入力欄K437又はラップ幅入力欄K438が押下されると、作業幅又はラップ幅を入力するためのテンキーがポップアップ表示される。
【0206】
次に、その他の遷移可能な表示画面について説明する。
【0207】
図39は、起動ロック設定画面Dp71~Dp76の一例を示す。起動ロック設定画面Dp71~Dp76では、起動ロック解除時のパスワードを変更することが可能である。具体的に、起動ロック設定画面Dp71でパスワード変更を開始する操作を受け付けると、起動ロック設定画面Dp72で現在のパスワードの入力を要求する。入力された現在のパスワードが間違っていれば起動ロック設定画面Dp73に遷移し、現在のパスワードの再入力を要求する。入力された現在のパスワードが正しければ起動ロック設定画面Dp74に遷移し、新しく設定するパスワードの入力を要求する。さらに、起動ロック設定画面Dp75に遷移し、新しく設定するパスワードの再入力を要求する。このとき、再入力されたパスワードが間違っていれば起動ロック設定画面Dp76に遷移し、新しく設定するパスワードの再入力を要求する。
【0208】
図40は、警告又はエラー発生時の画面遷移の一例を示す。すなわち、例えば、ホーム画面Dp1の表示中において、作業機械10に警告又はエラーが発生すると、まずは図40の左側に示すように、ホーム画面Dp1の下部にエラーメッセージK71が表示される。エラーメッセージK71は、優先度が高いメッセージのみを示し、この状態で、エラーメッセージK71が押下されると、図40の右側に示すような警報画面Dp77に遷移する。警報画面Dp77は、現在発生している警告又はエラーに係るメッセージの全てを確認可能な表示画面である。警報画面Dp77の背景色はメッセージの内容に応じて変化することが好ましい。
【0209】
図41は、割り込み画面Dp81~Dp88の一例を示す。割り込み画面Dp81は、主変速レバー181の設定速度に関する表示画面である。割り込み画面Dp82は、深さダイアルに関する表示画面である。割り込み画面Dp83は、最高エンジン回転数・最高車速に関する表示画面である。割り込み画面Dp84は、作業機14の高さ調整に関する表示画面である。割り込み画面Dp85は、増速確認に関する表示画面である。割り込み画面Dp86は、自動走行スイッチに関する表示画面である。割り込み画面Dp87は、UFO自動スイッチに関する表示画面である。割り込み画面Dp88は、自動スイッチ禁止に関する表示画面である。
【0210】
以上説明したように、例えば、詳細設定画面Dp211~Dp213等の表示画面においては、タブ分けを採用することで、一画面当たりに表示される情報量を抑制し、個々の情報の視認性を高めることが可能である。さらに、プルダウンリスト、テキストボックス又はテンキー等を適宜表示することで、選択肢、テキスト又は数字等のオペレータによる入力を支援することが可能である。
【0211】
[2.3]加速度調節機能
次に、走行設定画面Dp31において行われる走行装置13の変速フィーリング(加速度)に関する設定に関して、図42図45を参照して説明する。
【0212】
すなわち、本実施形態では、上述したように、走行設定画面Dp31において、走行装置13の変速フィーリング(加速度)に関する設定を行うことが可能である。具体的に、オペレータが走行設定画面Dp31において、加速度(変速フィーリング)を指定する操作を行うと、加速度調節処理部112は、指定された加速度となるように加速度調節を行う。
【0213】
図42は、走行設定画面Dp31の詳細を示す。走行設定画面Dp31は、マイナスキーK311、プラスキーK312及び加速度オブジェクトOb31を含む。加速度オブジェクトOb31は、現在設定されている加速度を表す棒グラフであって、一例として、グラフが(右方へ)伸びるほど加速度の絶対値が大きくなることを表している。さらに、加速度オブジェクトOb31には、標準の加速度が目安として示されている。
【0214】
この走行設定画面Dp31において、オペレータがマイナスキーK311を押下すると、図42の右上に示すように、加速度オブジェクトOb31が示す加速度が小さくなる。一方、走行設定画面Dp31において、オペレータがプラスキーK312を押下すると、図42の左下に示すように、加速度オブジェクトOb31が示す加速度が大きくなり、更にプラスキーK312を押下すると、図42の右下に示すように、加速度オブジェクトOb31が示す加速度が更に大きくなる。本実施形態では一例として、加速度は段階的(例えば5段階)に調節可能である。ただし、この例に限らず、加速度は無段階に調節可能であってもよい。
【0215】
加速度調節処理部112は、走行設定画面Dp31において加速度が調節されると、これに合わせて、現在速度から目標速度に至るまでの時間に対する速度の変化率(傾き)を調節する。つまり、図43に示すように、現在速度V1から目標速度V2(>V1)に至るまでの速度の変化率を、調節された加速度によって決定する。図43では、横軸を時間軸とし、縦軸を作業機械10の移動速度(車速)として、時点t1で目標速度が「V1」から「V2」に切り替えられた場合の速度変化を例示する。すなわち、図43の例では、「X1」の加速度(の絶対値)が最も小さく、「X3」の加速度(の絶対値)が最も大きい。よって、加速度が大きいほど、現在速度V1から目標速度V2に至るまでの時間は短くなるが、変速ショックは大きくなり、加速度が小さいほど、現在速度V1から目標速度V2に至るまでの時間は長くなるが、変速ショックは小さくなる。
【0216】
ところで本実施形態に係る操作制御方法では、少なくとも作業機械10の減速時に作業機械10の移動速度を目標車速に到達させるまでの加速度(つまり「負の加速度」)を、ユーザー(オペレータ)の操作に従って調節可能である。
【0217】
そのため、本実施形態に係る操作制御方法によれば、例えば、作業機械10の前進、後進を小刻みに切り替える場合等に、作業機械10が急に減速することで、減速時に作業機械10に衝撃が加わることを抑制できる。すなわち、負の加速度(の絶対値)を小さく調節すれば、作業機械10の減速時に緩やかに減速させることができ、減速時に作業機械10に加わる衝撃を緩和しやすい。結果的に、減速時に作業機械10に加わる衝撃に起因して、作業機14による作業精度が低下したり、減速時のショックがオペレータに伝わったりすることを回避できる、という利点がある。
【0218】
また、本実施形態に係る操作制御方法では、作業機械10の増速時に作業機械10の移動速度を目標車速に到達させるまでの加速度(つまり「正の加速度」)についても、ユーザー(オペレータ)の操作に従って調節可能である。よって、例えば、作業機械10の前進、後進を小刻みに切り替える場合等に、作業機械10が急に加速することで、加速時に作業機械10に衝撃が加わることも抑制できる。すなわち、正の加速度(の絶対値)を小さく調節すれば、作業機械10の加速時に緩やかに加速させることができ、加速時に作業機械10に加わる衝撃についても緩和しやすい。
【0219】
ここで、減速時の加速度と増速時の加速度とは一括で調節される。つまり、走行設定画面Dp31で調節される加速度は、減速時(負の加速度)と増速時(正の加速度)とで分けられておらず、負の加速度と正の加速度とが一括で調節される。一例として、走行設定画面Dp31において、加速度が最も小さい「0」レベルに調節されると、減速時と増速時とのいずれにおいても、「0」レベルの(絶対値が)最も小さい加速度となる。これにより、減速時と増速時との変速フィーリングを合わせることができ、オペレータが違和感を感じにくく、操作性の向上につながる。
【0220】
さらに、本実施形態に係る操作制御方法は、作業機械10が停止状態から増速する発進期間T1の加速度を、発進期間T1以外の加速度よりも小さく抑えること、を更に有する。すなわち、図44に例示するように、車速が「0」の停止状態から作業機械10が発進する発進期間T1には、通常時よりも加速度が小さく抑えられる。図44では、横軸を時間軸とし、縦軸を作業機械10の移動速度(車速)として、時点t2で目標速度が「V2」から「V1」(<V2)に切り替えられた場合の速度変化を例示する。図44の例では、停止状態から時点t1までの一定時間(一例として数百msec)の発進期間T1には、加速度がより小さく抑えられる。
【0221】
これにより、特に作業機械10に衝撃が加わりやすい停止状態からの発進時において、加速度が小さく抑えられ、作業機械10に加わる衝撃を緩和する効果が大きくなる。しかも、発進期間T1のみであるので、目標速度へ到達するまでの遅延時間も、オペレータにとっては殆ど気にならず、作業性の低下につながりにくい。
【0222】
より詳細に説明すると、本実施形態に係る操作制御方法は、第1操作部の操作に応じて目標速度の設定を行うこと、を更に有する。目標速度が第1操作部の操作に応じて変更されたときに、変更後の目標速度に作業機械10の移動速度を到達させるまでの加速度を、ユーザーの操作に従って調節する。ここでいう「第1操作部」は、主変速レバー181と副変速レバー182とリバーサレバー183との少なくとも一つを含む。つまり、ユーザー(オペレータ)においては、主変速レバー181等の第1操作部を特に意識せずに操作しても、実際の作業機械10の移動速度の変化には、調節された加速度が適用されることになる。したがって、操作性の向上につながる。
【0223】
また、本実施形態に係る操作制御方法は、第1操作部とは別の第2操作部の操作に応じて目標速度を低下させること、を更に有する。そして、目標速度が第2操作部の操作に応じて低下したときに、低下後の目標速度に作業機械10の移動速度を到達させるまでの加速度を、ユーザーの操作に従って調節する。ここでいう「第2操作部」は、ブレーキペダル185とクラッチペダル186との少なくとも一方を含む。つまり、ユーザー(オペレータ)が主変速レバー181等の第1操作部を操作して目標速度を低下させる場合だけでなく、ブレーキペダル185等の第2操作部を操作した場合にも、調節された加速度が適用されることになる。したがって、操作性の向上につながる。
【0224】
さらに、作業機械10は複数の速度レンジ間で作業機械10の速度レンジを切替可能な副変速機を備えている。ここで、複数の速度レンジのうちの一部の速度レンジにあるときのみ、ユーザーの操作に従って加速度を調節可能である。すなわち、調節された加速度が適用されるのは、副変速機の速度レンジがある特定の速度レンジにあるときに限られており、これ以外の速度レンジにあるときには、調節された加速度は適用されない。一例として、副変速レバー182の操作に応じて副変速機の速度レンジが、耕耘作業等の作業に用いられる「C段」又は「1速」にある場合にのみ、ユーザーの操作に従って加速度を調節可能であることとする。つまり、副変速機の速度レンジが「2速」にある場合には、加速度はオペレータによって調節された値ではなく、固定的に定められた加速度が適用される。ただし、発進期間T1においてはこの限りでない。
【0225】
この構成によれば、例えば、作業用の速度レンジのように、あるシチュエーションでのみ加速度を調節することができる。したがって、作業機械10の操作性の向上につながる。
【0226】
ただし、調節された加速度が適用される「一部の速度レンジ」は、作業用の「C段」及び「1速」に限らず、「C段」、「1速」及び「2速」のうちの任意の1つ又は2つの速度レンジであってもよい。例えば、調節された加速度が適用される「一部の速度レンジ」は、(路上等)走行用の「2速」であってもよい。この場合、副変速レバー182の操作に応じて副変速機の速度レンジが「2速」にある場合にのみ、ユーザーの操作に従って加速度を調節可能となる。
【0227】
また、本実施形態においては、作業機械10の移動中であっても、ユーザーの操作に従って加速度を調節可能である。すなわち、走行設定画面Dp31は、作業機械10の移動中(走行中)であっても表示可能であって、作業機械10の移動中に走行設定画面Dp31において加速度を調節することが可能である。これにより、加速度を調節するためにわざわざ作業機械10を停止させる必要が無く、作業効率の低下を抑制できる。
【0228】
ここで、本実施形態に係る操作制御方法は、上述したように加速度の調節用の走行設定画面Dp31を表示させること、を有している。そして、走行設定画面Dp31に含まれる加速度操作部に対するユーザーの操作に従って加速度を調節可能である。ここでいう「加速度操作部」は、例えばマイナスキーK311及びプラスキーK312を含む。つまり、ユーザー(オペレータ)は、表示画面上で加速度の調節ができ、本来視認できない加速度というパラメータの調節がしやすくなる。
【0229】
また、本実施形態では、作業機械10を自律走行させること、を更に有する。作業機械10の自律走行中には加速度の調節は無効化される。すなわち、少なくとも車速等の制御が自動的に行われる自律走行中にあっては、オペレータが調節した加速度は適用されず、車速等の制御をオペレータが行う手動走行又は半自動走行時においてのみ、オペレータが調節した加速度が適用される。したがって、オペレータが調節した加速度が、自律走行時の作業効率に影響を与えにくい。
【0230】
図45は、本実施形態に係る操作制御方法のうち加速度の調節に関連する処理の一例を示すフローチャートである。
【0231】
すなわち、加速度調節処理部112は、副変速機の速度レンジが「C段」又は「1速」にあるかを確認する(S11)。副変速機の速度レンジが「C段」又は「1速」にあれば(S11:Yes)、加速度調節処理部112は、自律走行中か否かを確認する(S12)。作業機械10が自律走行中でなければ(S12:No)、加速度調節処理部112は、走行設定画面Dp31が呼び出されたか否かを判定する(S13)。走行設定画面Dp31が呼び出されば場合(S13:Yes)、表示処理部711は、走行設定画面Dp31を操作表示部73に表示させる(S14)。そして、加速度調節処理部112は、走行設定画面Dp31でのユーザー(オペレータ)の操作に従って、正及び負の加速度を調節する(S15)。
【0232】
自動走行システム100Aは、上記ステップS11~S15の処理を繰り返し実行する。ただし、図45に示すフローチャートは一例に過ぎず、処理が適宜追加又は省略されてもよいし、処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
【0233】
[2.4]ガイダンス画面Dp4
次に、直進アシストに関するガイダンス画面Dp4について、図46図49を参照して説明する。
【0234】
ガイダンス画面Dp4には、図46に示すように、目標経路(基準線、及び基準線に平行な複数の直線)を含むマップM1と、マップM1上に重畳される各種アイコン等のオブジェクトと、が表示される。マップM1は、作業機械10の現在位置がガイダンス画面Dp4の横方向(左右方向)の中央となるように表示される。
【0235】
マップM1に重畳表示されるオブジェクトは、第1操作オブジェクトOb41、第2操作オブジェクトOb42、オフセット目安オブジェクトOb43及び隠れ経路オブジェクトOb44,Ob45を含む。さらに、マップM1に重畳表示されるオブジェクトは、情報アイコンK401~K403、マイナスキーK404、プラスキーK405及び視点切替アイコンK406等を含む。
【0236】
情報アイコンK401~K403には、例えば、(現在の)車速、作業幅及びラップ幅のように、作業機械10による作業に関連する情報が表示されている。マイナスキーK404及びプラスキーK405は、直進アシストの感度、つまり、どれだけ厳密に目標経路に沿うように自動操舵を行うかを、調節するための操作に用いられる。つまり、ユーザー(オペレータ)は、ガイダンス画面Dp4において、マイナスキーK404を操作して感度を下げ、又はプラスキーK405を操作して感度を上げることが可能である。視点切替アイコンK406は、基準線L1の方位を基準としてマップM1を表示するか、作業機械10の方位を基準としてマップM1を表示するか、を切り替えるためのアイコンである。つまり、ユーザー(オペレータ)が、視点切替アイコンK406を操作する度に、マップM1の視点が切り替わる。
【0237】
第1操作オブジェクトOb41及び第2操作オブジェクトOb42は、図47に示すように、基準線L1の生成又は編集に際して、ユーザー(オペレータ)に操作されるオブジェクトである。具体的に、第1操作オブジェクトOb41は、A点(第1基準点)の登録及び削除に用いられ、第2操作オブジェクトOb42は、B点(第2基準点)の登録及び削除に用いられる。
【0238】
具体的に、基準線L1を生成するに際して登録されたA点及びB点はマップM1にグレーで表示されており、走行中の目標経路(直線経路)状のA点及びB点はカラーで表示される。ここで、カラー表示されるA点とB点とでは、色が異なることが好ましい。つまり、グレーで表示されるA点及びB点が登録されることにより、これらA点とB点とを結ぶように基準線L1が生成される。
【0239】
ここで、第1操作オブジェクトOb41は、登録済みの(つまりグレー表示されている)A点に関しては、削除する操作が可能であって、未登録のA点に関しては、登録する操作が可能である。同様に、第2操作オブジェクトOb42は、登録済みの(つまりグレー表示されている)B点に関しては、削除する操作が可能であって、未登録のB点に関しては、登録する操作が可能である。要するに、第1操作オブジェクトOb41及び第2操作オブジェクトOb42に割り当てられる機能は、目標経路の生成状況に応じて切り替わることになる。
【0240】
さらに、例えば、B点に関しては、A点から所定距離以上離れて登録することが定められているため、B点が未登録であっても、登録済みのA点から作業機械10が所定距離未満の位置にある場合には、登録することができない。要するに、作業機械10の動作状況によっても、第1操作オブジェクトOb41及び第2操作オブジェクトOb42に割り当てられる機能は切り替わることになる。
【0241】
このように、第1表示画面(ガイダンス画面Dp4)は、自動操舵のための目標経路Rの生成に関するユーザーの操作を受け付ける操作オブジェクト(第1操作オブジェクトOb41、第2操作オブジェクトOb42)を含む。そして、当該操作オブジェクトに割り当てられる機能は、目標経路Rの生成状況と作業機械10の動作状況との少なくとも一方に応じて切り替わる。
【0242】
これにより、単一の第1操作オブジェクトOb41(又は第2操作オブジェクトOb42)に対して、複数の機能を兼ねさせることができる。したがって、機能ごとに個別の操作オブジェクトを用意する場合に比べて、表示画面(ガイダンス画面Dp4)内で操作オブジェクトを大きく形成することができ、操作性が向上する。
【0243】
本実施形態では特に、操作オブジェクト(第1操作オブジェクトOb41、第2操作オブジェクトOb42)に割り当て可能な複数の機能には、少なくとも、目標経路Rの基準となる基準点(A点、B点)の登録操作の機能と、当該基準点の削除操作の機能と、が含まれる。
【0244】
したがって、直進アシストのように、基準線L1を生成する必要がある場合には、操作オブジェクト(第1操作オブジェクトOb41、第2操作オブジェクトOb42)を用いることで、比較的簡単に目標経路Rを生成することが可能となる。
【0245】
さらに、本実施形態では、図47に示すように、操作オブジェクト(第1操作オブジェクトOb41、第2操作オブジェクトOb42)の表示態様は、当該操作オブジェクトに割り当てられる機能に応じて変化する。一例として、図47の吹き出し内に示すように、A点及びB点のいずれも未登録、かつ登録可能な状況においては、第1操作オブジェクトOb41及び第2操作オブジェクトOb42のテキスト表記は「登録」となる。これに対して、A点が登録済みかつ削除可能で、B点が未登録かつ登録可能な状況においては、第1操作オブジェクトOb41のテキスト表記は「削除」、第2操作オブジェクトOb42のテキスト表記は「登録」となる。さらに、A点及びB点がいずれも登録済み、かつ削除可能な状況においては、第1操作オブジェクトOb41及び第2操作オブジェクトOb42のテキスト表記は「削除」となる。
【0246】
これに加えて、例えば、B点に関して、未登録であっても、登録済みのA点から作業機械10が所定距離未満の位置にある場合等、操作オブジェクトが操作を受け付けない場合には、当該操作オブジェクトはグレーアウト(非アクティブ)表示となる。
【0247】
このように、操作オブジェクトの表示態様が、その機能に応じて変化することで、ユーザー(オペレータ)にとっては、操作性が格段に向上する。
【0248】
また、オフセット目安オブジェクトOb43は、図48に示すように、作業機械10が目標経路からどのくらいずれている(オフセットしている)かを表すオブジェクトである。具体的に、図48の吹き出し内に例示するように、オフセット目安オブジェクトOb43は、その中央のオフセット量表示枠Ob431が、目標経路からの作業機械10のオフセット方向に延びる表示態様となる。
【0249】
例えば、作業機械10が目標経路から右側にずれていれば右側に、オフセット量表示枠Ob431が延びることで、オペレータは、視覚的に、目標経路からのずれを把握しやすくなる。特に、オフセット量表示枠Ob431は、そのオフセット量に応じて延びるところ、オフセット量表示枠Ob431がどこまで延びているかによってオフセット量表示枠Ob431の表示色が変化する。したがって、オペレータは、視覚的に、目標経路からのずれを一層把握しやすくなる。
【0250】
また、本実施形態では、ガイダンス画面Dp4上での操作により、図48のように、情報アイコンK401~K403を非表示にすることが可能である。これにより、マップM1の表示領域が拡大され、マップM1の視認性が向上する。しかも、ガイダンス画面Dp4上での操作で、情報アイコンK401~K403の表示/非表示を切り替え可能とすることで、ユーザーの操作回数を少なく抑えることができ、かつ作業中も切り替えが可能となる。
【0251】
ここで、情報アイコンK401~K403の各々に表示する情報は、情報アイコンK401~K403を長押しすることで変更(編集)することが可能である。つまり、例えば、図46の例では、情報アイコンK401に「車速」が表示されているところ、エンジン131の回転数等を情報アイコンK401に表示させることが可能である。
【0252】
加えて、マップM1において横方向に描画される目標経路(直線経路)の本数を、比較的多くすることで、作業機械10による作業範囲をオペレータが把握しやすくなる。さらに、隠れ経路オブジェクトOb44,Ob45は、ガイダンス画面Dp4の左側又は右側に隠れている(非表示となっている)目標経路(直線経路)の本数を表示する。これにより、作業機械10による作業範囲をオペレータがより把握しやすくなる。
【0253】
図49は、本実施形態に係る操作制御方法のうちガイダンス画面Dp4に関連する処理の一例を示すフローチャートである。
【0254】
すなわち、表示処理部711は、まずガイダンス画面Dp4を操作表示部73に表示させる(S21)。表示処理部711は、A点(第1基準点)が登録済みか否かを判定し(S22)、登録済みであれば(S22:Yes)、第1操作オブジェクトOb41にA点の削除操作を割り当てる(S23)。A点が未登録であれば(S22:No)、表示処理部711は、第1操作オブジェクトOb41にA点の登録操作を割り当てる(S24)。
【0255】
そして、表示処理部711は、B点(第2基準点)が登録済みか否かを判定し(S25)、登録済みであれば(S25:Yes)、第2操作オブジェクトOb42にB点の削除操作を割り当てる(S26)。B点が未登録であれば(S25:No)、表示処理部711は、第2操作オブジェクトOb42にB点の登録操作を割り当てる(S27)。
【0256】
自動走行システム100Aは、上記ステップS21~S27の処理を繰り返し実行する。ただし、図49に示すフローチャートは一例に過ぎず、処理が適宜追加又は省略されてもよいし、処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
【0257】
[2.5]UFO操作画面Dp5
次に、作業機14の水平制御に関するUFO操作画面Dp5について、図50図53を参照して説明する。
【0258】
UFO操作画面Dp5(水平制御に係るUFO操作画面Dp51)は、「水平制御操作画面」の一例である。UFO操作画面Dp51は、ユーザー(オペレータ)の操作を受け付ける制御操作部を含む。図50に示すように、制御操作部は、第1操作要素K531,K532、第2操作要素K54、第3操作要素K55及び第4操作要素K561~K564を有する。さらに、UFO操作画面Dp51は、傾き表示オブジェクトOb5、及び制御操作部の第5操作要素K571~K574等を有する。第5操作要素K571~K574は、3P切替(作業機14の取付タイプ)のための操作に用いられる。
【0259】
第4操作要素K561~K564は、水平制御における制御モードを切り替える機能が割り当てられている。つまり、第4操作要素K561~K564は、いずれかが択一的に選択され、選択された第4操作要素K561~K564に対応する制御モードが適用される。制御モードとしては、第4操作要素K561に対応付けられた「OFFモード」、第4操作要素K562に対応付けられた「水平モード」、第4操作要素K563に対応付けられた「傾斜地モード」、及び第4操作要素K564に対応付けられた「保持モード」がある。
【0260】
「OFFモード」は、水平制御が機能せず、機体101に対して作業機14を傾かないように固定もしないモードである。「水平モード」は、機体101が傾いても作業機14を水平に保つように制御するモードである。「傾斜地モード」は、傾いた状態の機体101に対して平行になるように作業機14の傾きを制御するモードである。「保持モード」は、牽引系の作業のためのモードであって、作業機14の傾きを制御するためのシリンダーの長さを一定に保持するように制御するモードである。
【0261】
このような第4操作要素K561~K564が、制御操作部としてUFO操作画面Dp51(水平制御操作画面)に含まれているため、ユーザー(オペレータ)は、水平制御における制御モードを切り替える操作が容易になる。
【0262】
傾き表示オブジェクトOb5は、現在設定されている作業機14の(機体101ロール方向への)傾きを表すグラフであって、一例として、指標Ob51が、中心から横方向(左右方向)のいずれかにずれると、作業機14が機体101に対して傾いていることを示す。そして、中心から遠ざかる(グラフの端部に近づく)ほどに、傾斜角が大きくなることを表している。さらに、傾き表示オブジェクトOb5は、中心位置(つまり傾き「0」の位置)が目安として示されている。
【0263】
第1操作要素K531,K532は、機体101に対する作業機14の傾き角度を調節する機能が割り当てられている。つまり、オペレータが左カーソルからなる第1操作要素K531を押下すると、傾き表示オブジェクトOb5の指標Ob51が左方に移動し、作業機14が機体101に対して左下がりに傾く。反対に、オペレータが右カーソルからなる第1操作要素K532を押下すると、図51に示すように、傾き表示オブジェクトOb5の指標Ob51が右方に移動し、作業機14が機体101に対して右下がりに傾く。本実施形態では一例として、第1操作要素K531,K532が押下される度に段階的に傾き角度が調節可能である。ただし、この例に限らず、作業機14の傾き角度は無段階に調節可能であってもよい。
【0264】
このような第1操作要素K531,K532が、制御操作部としてUFO操作画面Dp51(水平制御操作画面)に含まれているため、ユーザー(オペレータ)は、機体101に対する作業機14の傾きを手動で調節することが可能となる。
【0265】
第2操作要素K54は、第1操作要素K531,K532の操作に対する傾き角度の変化量を変更する機能が割り当てられている。具体的に、第2操作要素K54は、微調整モードのON/OFFを切り替える操作を受け付ける。つまり、オペレータが第2操作要素K54を押下すると、第1操作要素K531,K532の操作時の傾き角度の変化量(指標Ob51の移動量)が変化する。微調整モードがONのときに、微調整モードがOFFの場合に比べて、第1操作要素K531,K532の1回の押圧に対する傾き角度の刻み幅(変化量)が小さくなる。
【0266】
このような第2操作要素K54が、制御操作部としてUFO操作画面Dp51(水平制御操作画面)に含まれているため、ユーザー(オペレータ)は、機体101に対する作業機14の傾きを手動で微調整しやすくなる。
【0267】
第3操作要素K55は、第1操作要素K531,K532によって調節された作業機14の傾き角度をリセットする機能が割り当てられている。具体的に、第3操作要素K55は、中央復帰ボタンであって、機体101に対する作業機14の傾き角度を「0」とし、傾き表示オブジェクトOb5の指標Ob51を、中心位置(つまり傾き「0」の位置)に移動させる。
【0268】
このような第3操作要素K55が、制御操作部としてUFO操作画面Dp51(水平制御操作画面)に含まれているため、ユーザー(オペレータ)は、第1操作要素K531,K532を何度も操作せずとも、第3操作要素K55を操作するだけで機体101に対する作業機14の傾きをリセットできる。
【0269】
しかも、機体101に対する作業機14の傾き角度の変化に連動して、UFO操作画面Dp51(水平制御操作画面)に含まれる傾き表示オブジェクトOb5を変化させるので、傾き表示オブジェクトOb5にて作業機14の傾き角度を把握しやすくなる。言い換えれば、第1操作要素K531,K532の操作により傾き表示オブジェクトOb5の指標Ob51が移動すれば、これに追従するように、機体101に対する作業機14の傾斜角度が変化する。
【0270】
以上説明したように、本実施形態に係る操作制御方法は、機体101と機体101に装着される作業機14とを備える作業機械10について、機体101に対する作業機14の傾きを制御する水平制御に関する水平制御操作画面(UFO操作画面Dp51)を表示することを有する。さらに、操作制御方法は、水平制御操作画面に含まれる制御操作部(第1操作要素K531,K532等)に対するユーザーの操作に従って、水平制御に関する設定を行うことを有する。
【0271】
水平制御に関して、例えば、機体101に対する作業機14の傾き角度等をユーザー(オペレータ)が調節する必要があると、ユーザーの熟練度によって作業効率が低下する可能性があるところ、本実施形態の構成によれば、このような調節をUFO操作画面Dp51上で行えるため、難易度が低下する。したがって、機体101と機体101に装着される作業機14とを備える作業機械10における作業効率を向上させることが可能である、という利点がある。
【0272】
ところで、本実施形態では、傾き表示オブジェクトOb5は、水平制御の制御モードの切り替えに伴う傾き角度の変化には連動しない。すなわち、前提として、水平制御の制御モードによらず、傾き表示オブジェクトOb5はUFO操作画面Dp51に常に含まれている。例えば「OFFモード」においても、傾き表示オブジェクトOb5は表示されたままであって、第1操作要素K531,K532の操作により傾き表示オブジェクトOb5の指標Ob51が移動し、それと共に作業機14の傾き角度も変化する。
【0273】
ただし、制御モードの切り替えに伴って作業機14の傾き角度が変化することがあるので、制御モードの切り替えに伴い作業機14の傾き角度が変化する期間には、傾き表示オブジェクトOb5の連動を一時的に解除する。これにより、例えば、「傾斜地モード」から「水平モード」に制御モードが切り替わる際に、作業機14の傾き角度が変化しても、このときの傾き角度の変化に応じては、傾き表示オブジェクトOb5の指標Ob51は動かない。そのため、例えば、切替前の制御モードにおいて、傾き表示オブジェクトOb5の指標Ob51が中心位置にあれば、切替後の制御モードにおいても、傾き表示オブジェクトOb5の指標Ob51は中心位置にある。
【0274】
図52は、本実施形態に係る操作制御方法のうちUFO操作画面Dp51に関連する処理の一例を示すフローチャートである。
【0275】
すなわち、表示処理部711は、まずUFO操作画面Dp51を操作表示部73に表示させる(S41)。設定処理部714は、UFO操作画面Dp51に含まれる第1操作要素K531,K532に対するユーザーの操作があるかを判定し(S42)、第1操作要素K531,K532が操作されれば(S42:Yes)、処理をステップS43に移行させる。第1操作要素K531,K532が操作されていなければ(S42:No)、ステップS43をスキップして、処理をステップS44に移行させる。
【0276】
ステップS43では、設定処理部714は、第2操作要素K54の操作状態(微調整モードのON/OFF)を加味して、第1操作要素K531,K532の操作に応じて、作業機14の傾き角度を変化させる。このとき、傾き表示オブジェクトOb5の指標Ob51も移動する。
【0277】
そして、設定処理部714は、UFO操作画面Dp51に含まれる第3操作要素K55に対するユーザーの操作があるかを判定し(S44)、第3操作要素K55が操作されれば(S44:Yes)、傾き表示オブジェクトOb5の指標Ob51を中央復帰させる(S45)。第3操作要素K55が操作されていなければ(S44:No)、ステップS45をスキップして、一連の処理を終了する。
【0278】
自動走行システム100Aは、上記ステップS41~S45の処理を繰り返し実行する。ただし、図52に示すフローチャートは一例に過ぎず、処理が適宜追加又は省略されてもよいし、処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
【0279】
[3]変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0280】
本開示における自動走行システム100Aは、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサー及び1以上のメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラム(操作制御プログラム)をプロセッサーが実行することによって、本開示における自動走行システム100Aとしての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、制御システム1に含まれる一部又は全部の機能部は電子回路で構成されていてもよい。
【0281】
また、自動走行システム100Aの少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることは自動走行システム100Aに必須の構成ではなく、自動走行システム100Aの構成要素は、複数の装置に分散して設けられていてもよい。反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。さらに、自動走行システム100Aの少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0282】
また、操作端末17は、タブレット端末、スマートフォン又はラップトップコンピュータ等の汎用端末に限らず、専用端末で構成されていてもよい。さらに、1台の作業機械10に対して複数台の操作端末17が対応付けられていてもよい、この場合、複数台の操作端末17にて1台の作業機械10を制御可能である。反対に、複数台の作業機械10に対して1台の操作端末17が対応付けられていてもよく、この場合、1台の操作端末17にて複数台の作業機械10を制御可能である。
【0283】
また、減速時の加速度と増速時の加速度とが一括で調節されることは必須ではなく、減速時の加速度と増速時の加速度とは個別に調節されてもよい。さらに、そもそも増速時の加速度(正の加速度)が調節可能であることは必須でない。
【0284】
実施形態1の構成は、基本構成で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0285】
(実施形態2)
本実施形態に係る自動走行システム100A(操作制御システムの一例)は、主として走行装置13の変速フィーリング(加速度)に関する設定の態様が、実施形態1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0286】
本実施形態では、加速度調節処理部112は、副変速機で切替可能な複数の速度レンジを2以上の変速グループに分類し、変速グループごとに、ユーザーによって指定された加速度となるように加速度調節を行う。すなわち、作業機械10は複数の速度レンジ間で作業機械10の速度レンジを切替可能な副変速機を備えている。(副変速機で切替可能な)これら複数の速度レンジを2以上の変速グループに分け、変速グループごとに、ユーザーの操作に従って加速度を調節可能である。
【0287】
本開示でいう「変速グループ」は、副変速機で切替可能な複数の速度レンジを、複数(2以上)に分類した場合の、分類後の速度レンジの集合を意味する。各変速グループは、1つ以上の速度レンジを含んでいればよく、例えば、「C段」、「1速」及び「2速」の3つの速度レンジについて、1つの速度レンジを含む変速グループと、2つの速度レンジを含む変速グループと、に分類することが可能である。一例として、「C段」、「1速」及び「2速」の3つの速度レンジを、「C段」及び「1速」を含む変速グループと、「2速」を含む変速グループと、に分類することが可能である。あるいは、これら3つの速度レンジを、「C段」を含む変速グループと、「1速」を含む変速グループと、「2速」を含む変速グループと、に分類することも可能である。
【0288】
要するに、本実施形態に係る操作制御方法では、全ての速度レンジについて一律で加速度(変速フィーリング)が指定されるのではなく、速度レンジによって、異なる加速度(変速フィーリング)を指定することが可能である。例えば、複数の速度レンジのうちの一部の速度レンジにあるときには、加速度を大きく設定して俊敏な変速を可能としつつ、別の速度レンジにあるときには、加速度を小さく設定して変速ショックを小さく抑えること等が可能となる。
【0289】
この構成によれば、副変速機で切替可能な速度レンジごとに、適切な加速度(変速フィーリング)に調節することが可能となる。したがって、作業機械10の操作性の向上につながる。
【0290】
本実施形態では一例として、副変速レバー182の操作に応じて切替可能な副変速機の速度レンジが「C段」、「1速」及び「2速」の3つの速度レンジであって、これら3つの速度レンジを、「C段」及び「1速」を含む第1変速グループと、「2速」を含む第2変速グループと、に分類する。つまり、2以上の変速グループは、作業用の速度レンジ(「C段」及び「1速」)を含む第1グループと、路上走行用の速度レンジ(「2速」)を含む第2グループと、を有する。
【0291】
この構成によれば、例えば、副変速レバー182の操作に応じて副変速機の速度レンジが、耕耘作業等の作業に用いられる「C段」又は「1速」にある場合には、加速度を大きく設定して俊敏な変速を可能としつつ、副変速機の速度レンジが路上走行用の「2速」にある場合には、加速度を小さく設定して変速ショックを小さく抑えること等が可能となる。したがって、作業機械10を使用するシチュエーションによって、加速度(変速フィーリング)を変えることができ、作業機械10の操作性の更なる向上につながる。
【0292】
具体的に、例えば、図53に示すような走行設定画面Dp311において、変速グループごとに、走行装置13の変速フィーリング(加速度)に関する設定を行うことが可能である。つまり、オペレータが走行設定画面Dp311において、変速グループごとに、加速度(変速フィーリング)を指定する操作を行うと、加速度調節処理部112は、変速グループごとに、指定された加速度となるように加速度調節を行う。
【0293】
図53に例示する走行設定画面Dp311は、第1グループ(「C段」及び「1速」を含む変速グループ)についての加速度を調節する第1調節欄C1と、第2グループ(「2速」を含む変速グループ)についての加速度を調節する第2調節欄C2と、を有する。第1調節欄C1及び第2調節欄C2は、走行設定画面Dp311において、(例えば上下方向に)並べて配置される。第1調節欄C1及び第2調節欄C2の各々には、実施形態1で説明した走行設定画面Dp31(図42参照)と同様に、マイナスキーK311、プラスキーK312及び加速度オブジェクトOb31が含まれている。
【0294】
この走行設定画面Dp311において、オペレータが、例えば、第1調節欄C1のマイナスキーK311を押下すると、第1調節欄C1の加速度オブジェクトOb31が示す加速度が小さくなり、第1グループ、つまり「C段」及び「1速」の速度レンジについての加速度が小さくなる。このとき、第2調節欄C2の加速度オブジェクトOb31が示す加速度は変化せず、第2グループ、つまり「2速」の速度レンジについての加速度は変化しない。
【0295】
また、走行設定画面Dp311において、オペレータが、例えば、第2調節欄C2のプラスキーK312を押下すると、第2調節欄C2の加速度オブジェクトOb31が示す加速度が大きくなり、第2グループ、つまり「2速」の速度レンジについての加速度が大きくなる。このとき、第1調節欄C1の加速度オブジェクトOb31が示す加速度は変化せず、第1グループ、つまり「C段」及び「1速」の速度レンジについての加速度は変化しない。
【0296】
このように、本実施形態に係る操作制御方法では、変速グループごとに、加速度を独立して調節可能である。すなわち、加速度(変速フィーリング)の調節は、変速グループごとに、個々別々に行われるのであって、一の変速グループについての加速度の調節が、他の変速グループについての加速度の調節に影響することはない。これにより、副変速機で切替可能な速度レンジごとに、所望の加速度(変速フィーリング)に調節することが可能であるため、作業機械10の操作性の向上につながる。
【0297】
また、図53に示すような走行設定画面Dp311は、第1グループ及び第2グループのそれぞれについての加速度の調節用の加速度操作部(マイナスキーK311及びプラスキーK312等)を、一画面上に含んでいる。これにより、走行設定画面Dp311では、第1グループ及び第2グループの両方について、一画面上で加速度を調節可能である。
【0298】
すなわち、本実施形態に係る操作制御方法は、加速度の調節用の走行設定画面Dp311を表示させること、を有している。そして、走行設定画面Dp311に含まれる加速度操作部に対するユーザーの操作に従って加速度を調節可能である。ここで、2以上の変速グループのそれぞれの加速度は、一画面上で調節可能である。したがって、ユーザー(オペレータ)は、一画面上で、2以上の変速グループについて加速度の調節が可能となる。さらに、走行設定画面Dp311では、2以上の変速グループのそれぞれについての加速度を表す加速度オブジェクトOb31が一画面上に並べて表示されるので、オペレータにおいては、2以上の変速グループについての加速度を対比しやすい。
【0299】
図54は、本実施形態に係る操作制御方法によって表示可能な、別態様の走行設定画面Dp312を示している。図54に示す走行設定画面Dp312においても、変速グループごとに、走行装置13の変速フィーリング(加速度)に関する設定を行うことが可能である。
【0300】
図54に例示する走行設定画面Dp312は、マイナスキーK311、プラスキーK312及び加速度オブジェクトOb31に加えて、2つのタブK313,K314を含み、タブK313,K314の選択操作によって、加速度の調節対象となる変速グループが切り替わる。つまり、「C段又は1速」のタブK313が操作されると、走行設定画面Dp312は、第1グループ(「C段」及び「1速」を含む変速グループ)についての加速度を調節するための画面になる。「2速」のタブK314が操作されると、走行設定画面Dp312は、第2グループ(「2速」を含む変速グループ)についての加速度を調節するための画面になる。
【0301】
この走行設定画面Dp312において、例えば、「C段又は1速」のタブK313が選択された状態で、オペレータが、マイナスキーK311を押下すると、第1グループ、つまり「C段」及び「1速」の速度レンジについての加速度が小さくなる。このとき、第2グループ、つまり「2速」の速度レンジについての加速度は変化しない。一方、走行設定画面Dp312において、例えば、「2速」のタブK314が選択された状態で、オペレータが、プラスキーK312を押下すると、第2グループ、つまり「2速」の速度レンジについての加速度が大きくなる。このとき、第1グループ、つまり「C段」及び「1速」の速度レンジについての加速度は変化しない。
【0302】
図54に示すような走行設定画面Dp312は、第1グループ及び第2グループのそれぞれについての加速度の調節用の加速度操作部(マイナスキーK311及びプラスキーK312等)を、タブK313,K314の操作によって切り替わる別画面上に含んでいる。これにより、走行設定画面Dp312では、第1グループ及び第2グループのそれぞれについて、別画面上で加速度を調節可能である。
【0303】
すなわち、本実施形態に係る操作制御方法は、加速度の調節用の走行設定画面Dp312を表示させること、を有している。そして、走行設定画面Dp312に含まれる加速度操作部に対するユーザーの操作に従って加速度を調節可能である。ここで、2以上の変速グループのそれぞれの加速度は、別画面上で調節可能である。したがって、ユーザー(オペレータ)は、別画面上で、2以上の変速グループについて加速度の調節が可能となり、1つの変速グループについての加速度の調節用に走行設定画面Dp312の大部分を充てることができる。
【0304】
また、上述したような2以上の変速グループのそれぞれの加速度を調節するための画面の切り替えは、タブK313,K314の操作に限らず、例えば、画面遷移、又はポップアップ表示等の適宜の方法で行われてもよい。
【0305】
図55は、本実施形態に係る操作制御方法によって表示可能な、更に別態様の走行設定画面Dp313を示している。図55に示す走行設定画面Dp313においても、変速グループごとに、走行装置13の変速フィーリング(加速度)に関する設定を行うことが可能である。
【0306】
図55に例示する走行設定画面Dp313は、図54に示す走行設定画面Dp312に加えて、連動スイッチK315及び相対値指定欄K316を含んでいる。連動スイッチK315が「オフ」の状態では、変速フィーリング(加速度)の設定モードが独立調節モードとなり、連動スイッチK315が押下されて「オン」になると、変速フィーリング(加速度)の設定モードが連動調節モードとなる。
【0307】
独立調節モードでは、相対値指定欄K316が非アクティブ表示(又は非表示)となり、図54に示す走行設定画面Dp312と同様の操作によって、加速度の調節が行われる。つまり、変速グループごとに、加速度を独立して調節可能である。
【0308】
一方、連動調節モードでは、第1グループ、つまり「C段」及び「1速」の速度レンジについての加速度と、第2グループ、つまり「2速」の速度レンジについての加速度と、が互いに連動して調節される。例えば、第1グループと第2グループとの一方の加速度が調節されると、他方の加速度についても、相対値指定欄K316で指定されている相対値に応じて自動的に調節される。相対値指定欄K316の値(相対値)は、プラスボタン及びマイナスボタンで調節可能である。つまり、異なる変速グループ間で、加速度が連動して調節可能となる。
【0309】
一例として、連動スイッチK315が「オン」(連動調節モード)であって、相対値指定欄K316で相対値が「-1.0」に設定されている場合を想定する。この場合に、走行設定画面Dp313において、例えば、「C段又は1速」のタブK313が選択された状態で、オペレータが、マイナスキーK311を押下すると、第1グループ、つまり「C段」及び「1速」の速度レンジについての加速度が小さくなる。このとき、第2グループ、つまり「2速」の速度レンジについての加速度についても、第1グループの加速度に連動して小さくなり、第1グループの加速度に対して「-1.0」の値に調節される。
【0310】
一方、走行設定画面Dp313において、例えば、「2速」のタブK314が選択された状態で、オペレータが、プラスキーK312を押下すると、第2グループ、つまり「2速」の速度レンジについての加速度が大きくなる。このとき、第1グループ、つまり「C段」及び「1速」の速度レンジについても、第2グループの加速度に連動して大きくなり、第2グループの加速度に対して「+1.0」の値に調節される。
【0311】
このように、異なる変速グループ間で、加速度が連動して調節可能となることで、ユーザー(オペレータ)においては、2以上の変速グループについての加速度の調節にかかる手間が軽減される。
【0312】
図55に示す走行設定画面Dp313において、独立調節モードと連動調節モードとの切り替えが可能であることは必須ではなく、連動調節モードに固定されていてもよい。さらに、相対値指定欄K316において相対値が調節可能であることも必須ではなく、相対値は固定値であってもよい。
【0313】
実施形態2の構成は、基本構成又は実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0314】
〔発明の付記〕
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0315】
<付記1>
作業機械の走行に関する走行制御を行うことと、
前記作業機械の減速時に前記作業機械の移動速度を目標速度に到達させるまでの加速度を、ユーザーの操作に従って調節することと、を有する、
操作制御方法。
【0316】
<付記2>
前記作業機械の増速時に前記作業機械の移動速度を前記目標車速に到達させるまでの加速度を、ユーザーの操作に従って調節すること、を更に有する、
付記1に記載の操作制御方法。
【0317】
<付記3>
前記減速時の加速度と前記増速時の加速度とは一括で調節される、
付記2に記載の操作制御方法。
【0318】
<付記4>
前記作業機械が停止状態から増速する発進期間の前記加速度を、前記発進期間以外の加速度よりも小さく抑えること、を更に有する、
付記1~3のいずれかに記載の操作制御方法。
【0319】
<付記5>
第1操作部の操作に応じて前記目標速度の設定を行うこと、を更に有し、
前記目標速度が前記第1操作部の操作に応じて変更されたときに、変更後の前記目標速度に前記作業機械の移動速度を到達させるまでの加速度を、前記ユーザーの操作に従って調節する、
付記1~4のいずれかに記載の操作制御方法。
【0320】
<付記6>
前記第1操作部とは別の第2操作部の操作に応じて前記目標速度を低下させること、を更に有し、
前記目標速度が前記第2操作部の操作に応じて低下したときに、低下後の前記目標速度に前記作業機械の移動速度を到達させるまでの加速度を、前記ユーザーの操作に従って調節する、
付記5に記載の操作制御方法。
【0321】
<付記7>
前記作業機械は複数の速度レンジ間で前記作業機械の速度レンジを切替可能な副変速機を備えており、
前記複数の速度レンジのうちの一部の速度レンジにあるときのみ、ユーザーの操作に従って前記加速度を調節可能である、
付記1~6のいずれかに記載の操作制御方法。
【0322】
<付記8>
前記作業機械の移動中であっても、ユーザーの操作に従って前記加速度を調節可能である、
付記1~7のいずれかに記載の操作制御方法。
【0323】
<付記9>
前記加速度の調節用の走行設定画面を表示させること、を更に有し、
前記走行設定画面に含まれる加速度操作部に対するユーザーの操作に従って前記加速度を調節可能である、
付記1~8のいずれかに記載の操作制御方法。
【0324】
<付記10>
前記作業機械を自律走行させること、を更に有し、
前記作業機械の自律走行中には前記加速度の調節は無効化される、
付記1~9のいずれかに記載の操作制御方法。
【0325】
<付記11>
前記作業機械は複数の速度レンジ間で前記作業機械の速度レンジを切替可能な副変速機を備えており、
前記複数の速度レンジを2以上の変速グループに分け、前記変速グループごとに、ユーザーの操作に従って前記加速度を調節可能である、
付記1~10のいずれかに記載の操作制御方法。
【0326】
<付記12>
前記2以上の変速グループは、作業用の速度レンジを含む第1グループと、路上走行用の速度レンジを含む第2グループと、を有する、
付記11に記載の操作制御方法。
【0327】
<付記13>
前記変速グループごとに、前記加速度を独立して調節可能である、
付記11又は12に記載の操作制御方法。
【0328】
<付記14>
前記加速度の調節用の走行設定画面を表示させること、を更に有し、
前記走行設定画面に含まれる加速度操作部に対するユーザーの操作に従って前記加速度を調節可能であり、
前記2以上の変速グループのそれぞれの前記加速度は、一画面上で調節可能である、
付記11~13のいずれかに記載の操作制御方法。
【0329】
<付記15>
前記加速度の調節用の走行設定画面を表示させること、を更に有し、
前記走行設定画面に含まれる加速度操作部に対するユーザーの操作に従って前記加速度を調節可能であり、
前記2以上の変速グループのそれぞれの前記加速度は、別画面上で調節可能である、
付記11~13のいずれかに記載の操作制御方法。
【符号の説明】
【0330】
10 :作業機械
100,100A:自動走行システム(操作制御システム)
111 :走行制御処理部
112 :加速度調節処理部
181 :主変速レバー(第1操作部)
183 :リバーサレバー(第1操作部)
185 :ブレーキペダル(第2操作部)
186 :クラッチペダル(第2操作部)
Dp31,Dp311,Dp312,Dp313 :走行設定画面
K311 :マイナスキー(加速度操作部)
K312 :プラスキー(加速度操作部)
T1 :発進期間
V1,V2:目標速度
図1
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図5A
図5B
図5C
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