(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149386
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】カーゴローダ、コントローラ、コントローラの動作方法、協調制御方法
(51)【国際特許分類】
B64F 1/32 20060101AFI20241010BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B64F1/32
B65G1/00 501C
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024019560
(22)【出願日】2024-02-13
(62)【分割の表示】P 2023129619の分割
【原出願日】2023-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】316002154
【氏名又は名称】全日本空輸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 誠
(72)【発明者】
【氏名】森 真希子
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022EE09
3F022JJ13
(57)【要約】
【課題】ドーリを用いた貨物の取り扱いにおいて、作業者の負担を軽減する。
【解決手段】開示のドーリシステムは、複数のドーリと、コントローラと、を備える。複数のドーリそれぞれは、貨物が載置される載置面と、コントローラからの信号に基づき、貨物を他のドーリへ移載する移載駆動装置と、を備える。複数のドーリは、カーゴローダに対する貨物の移載ポイントである1又は複数の第1ドーリを含む。第1ドーリは、コントローラからの信号に基づき、前記第1ドーリの前記載置面を水平回転させる回転駆動装置を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の貨物の運搬に用いられるとともに、前記航空機に装着されたカーゴローダとの間で前記貨物が移載されるドーリシステムであって、
連結部を介して直列に連結された複数のドーリと、
前記複数のドーリを制御する1又は複数のコントローラと、
を備え、
前記複数のドーリそれぞれは、
前記貨物が載置される載置面と、
前記コントローラからの信号に基づき、前記載置面に載置された貨物を、前記複数のドーリにおいて隣接して連結された他のドーリへ移載するための駆動力を発生する移載駆動装置と、
を備え、
前記複数のドーリは、前記カーゴローダに対する貨物の移載ポイントである1又は複数の第1ドーリを含み、
前記第1ドーリは、前記コントローラからの信号に基づき、前記第1ドーリの前記載置面を水平回転させることで、前記載置面に載置された貨物の向きを変更するとともに、前記移載駆動装置による移載方向を変更する回転駆動装置を備える
ドーリシステム。
【請求項2】
前記複数のドーリは、前記移載ポイントではない1又は複数の第2ドーリを含み、
前記1又は複数のコントローラは、ドーリ制御のため、搭載処理及び取卸処理の少なくともいずれか一方の処理を実行するよう構成され、
前記搭載処理は、前記第2ドーリに載置された貨物が、前記第1ドーリに移載されるように、少なくとも前記第2ドーリの前記移載駆動装置を制御することを含み、
前記取卸処理は、前記カーゴローダから前記第1ドーリに移載した前記貨物が、前記第2ドーリに移載されるように、少なくとも前記第1ドーリの前記移載駆動装置を制御することを含む
請求項1に記載のドーリシステム。
【請求項3】
前記複数のドーリは、前記移載ポイントではない1又は複数の第2ドーリを含み、
前記1又は複数のコントローラは、前記複数のドーリの制御のため、搭載処理及び取卸処理の少なくともいずれか一方の処理を実行するよう構成され、
前記搭載処理は、
前記第2ドーリに載置された貨物が、前記第1ドーリに移載されるように、少なくとも前記第2ドーリの前記移載駆動装置を制御し、
前記第1ドーリに貨物が載置されていることを検知するセンサによって、前記貨物が前記第1ドーリに移載したことを検知すると、前記移載方向が、前記第1ドーリの側方に位置する前記カーゴローダに向くように、前記回転駆動装置を制御し、
前記移載方向が前記カーゴローダに向いた後に、前記第1ドーリに移載した前記貨物を前記他の航空機支援機材に移載するため、前記第1ドーリの前記移載駆動装置を制御する
ことを含み、
前記取卸処理は、
前記移載方向が、前記第1ドーリの側方に位置する前記カーゴローダに向くように、前記回転駆動装置を制御し、
前記第1ドーリに貨物が載置されていることを検知するセンサによって、前記貨物が前記カーゴローダから前記第1ドーリに移載したことを検知すると、前記移載方向が隣接する他のドーリに向くように、前記回転駆動装置を制御し、
前記移載方向が隣接する他のドーリに向いた後に、前記第1ドーリに移載した前記貨物を前記第2ドーリに移載するため、少なくとも前記第1ドーリの前記移載駆動装置を制御する
ことを含む
請求項1に記載のドーリシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記搭載処理において、前記カーゴローダのコントローラへ、前記カーゴローダにおける貨物の回転の制御に用いられるデータを送信すること、及び
前記取卸処理において、前記カーゴローダのコントローラから、前記回転駆動装置による回転の制御に用いられるデータを受信すること、
の少なくともいずれか一方を実行するよう構成されている
請求項2又は請求項3に記載のドーリシステム。
【請求項5】
前記1又は複数のコントローラは、前記搭載処理において、前記複数のドーリに載置されている1又は複数の貨物を識別するための貨物データと、前記航空機において前記貨物が搭載されるべき位置を示す搭載指示データと、に基づいて、前記移載駆動装置を制御する
請求項2又は請求項3に記載のドーリシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記搭載処理において、前記ドーリに搭載された貨物の向きを示すデータと、前記航空機において前記貨物が搭載されるべき位置を示す搭載指示データと、に基づいて、前記回転駆動装置による回転方向を制御する
請求項2又は請求項3に記載のドーリシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記取卸処理において、前記カーゴローダ上での貨物の向きを識別するためのデータに基づいて、前記回転駆動装置による回転方向を制御する
請求項2又は請求項3に記載のドーリシステム。
【請求項8】
前記複数のドーリそれぞれは、
前記載置面に載置された貨物を固定するためのロックと、
前記コントローラからの信号に基づいて、前記ロックにロック動作及び解除動作をさせるロック駆動装置と、
を備え、
前記ロックは、前記貨物の大きさに合わせた位置で前記貨物をロック可能に構成され、
前記コントローラは、前記載置面に載置された貨物の大きさを識別するためのデータに基づいて、前記貨物の大きさに合わせた位置で前記貨物がロックされるよう前記ロック駆動装置を制御する
請求項1に記載のドーリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドーリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機のグランドハンドリングのための航空機地上支援機材(グランド・サポート・イクイップメント:GSE)の一つとして、ドーリがある。ドーリは、航空機の貨物の搬送用機材である。ドーリとしては、例えば、コンテナを搬送するコンテナドーリ(特許文献1参照)及びパレットを搬送するパレットドーリ(特許文献2)がある。
【0003】
航空機の貨物の搭降載においては、航空機の貨物室の貨物搬入口に対して、ハイリフトローダなどのカーゴローダが装着される。カーゴローダは、貨物の搭降載のために航空機に装着される機側作業用機材である。
【0004】
航空機へ搭載される貨物は、ドーリによってカーゴローダまで搬送される。ドーリ上の貨物は、人力によってカーゴドーリへ移載される。カーゴローダは、ドーリから移載された貨物を、航空機の貨物室へ搬送する。また、航空機から降載される貨物は、貨物室から搬出され、カーゴローダによってドーリへ搬送される。
【0005】
なお、特許文献3は、航空コンテナ輸送用トレーラを開示している。特許文献3の航空コンテナ輸送用トレーラは、ドーリを介して車体幅方向から航空コンテナを積降し、空港外の道路を通って運搬するものであり、ドーリではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-348840号公報
【特許文献2】特開2008-230404号公報
【特許文献3】特開2021-133865号公報
【発明の概要】
【0007】
従来、ドーリにおける貨物の取り扱いは、人力で行われており、作業者の負担が大きいという問題がある。例えば、作業者は、ドーリ上の貨物を、人力で押すといった力作業を行う必要がある。一般に、一つの貨物の重さは数百kg以上あるため、作業者の負担は非常に大きい。
【0008】
したがって、ドーリを用いた貨物の取り扱いにおいて、作業者の負担を軽減することが望まれる。
【0009】
本開示のある側面は、ドーリシステムである。開示のドーリシステムは、航空機の貨物の運搬に用いられるとともに、前記航空機に装着されたカーゴローダとの間で前記貨物が移載される。
【0010】
開示のドーリシステムは、連結部を介して直列に連結された複数のドーリと、前記複数のドーリを制御する1又は複数のコントローラと、を備え得る。前記複数のドーリそれぞれは、前記貨物が載置される載置面と、前記コントローラからの信号に基づき、前記載置面に載置された貨物を、前記複数のドーリにおいて隣接して連結された他のドーリへ移載するための駆動力を発生する移載駆動装置と、を備え得る。
【0011】
前記複数のドーリは、前記カーゴローダに対する貨物の移載ポイントである1又は複数の第1ドーリを含み得る。
【0012】
前記第1ドーリは、前記コントローラからの信号に基づき、前記第1ドーリの前記載置面を水平回転させることで、前記載置面に載置された貨物の向きを変更するとともに、前記移載駆動装置による移載方向を変更する回転駆動装置を備え得る。
【0013】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係るドーリシステムの説明図である。
【
図2】
図2は、ドーリシステムとカーゴローダの平面図並びに貨物室平面及び断面図である。
【
図3】
図3は、搭載データを示すデータ構造図である。
【
図4】
図4は、ドーリシステム及びカーゴローダ等のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<1.ドーリシステム等の概要>
【0016】
(1)実施形態に係るシステムは、航空機の貨物の運搬に用いられるとともに、前記航空機に装着されたカーゴローダとの間で前記貨物が移載されるドーリシステムであり得る。実施形態に係るドーリシステムは、連結部を介して直列に連結された複数のドーリと、前記複数のドーリを制御する1又は複数のコントローラと、を備え得る。
【0017】
前記複数のドーリそれぞれは、前記貨物が載置される載置面と、前記コントローラからの信号に基づき、前記載置面に載置された貨物を、前記複数のドーリにおいて隣接して連結された他のドーリへ移載するための駆動力を発生する移載駆動装置と、を備え得る。この場合、移載駆動装置によって、貨物を他のドーリへ移載することができ、作業者の負荷が軽減される。
【0018】
前記複数のドーリは、前記カーゴローダに対する貨物の移載ポイントである1又は複数の第1ドーリを含み得る。前記第1ドーリは、前記コントローラからの信号に基づき、前記第1ドーリの前記載置面を水平回転させることで、前記載置面に載置された貨物の向きを変更するとともに、前記移載駆動装置による移載方向を変更する回転駆動装置を備え得る。この場合、回転駆動装置によって、貨物の向きを変更でき、作業者の負荷が軽減される。
【0019】
(2)前記複数のドーリは、前記移載ポイントではない1又は複数の第2ドーリを含み得る。前記1又は複数のコントローラは、ドーリ制御のため、搭載処理及び取卸処理の少なくともいずれか一方の処理を実行するよう構成され得る。前記搭載処理は、前記第2ドーリに載置された貨物が、前記第1ドーリに移載されるように、少なくとも前記第2ドーリの前記移載駆動装置を制御することを含み得る。前記取卸処理は、前記カーゴローダから前記第1ドーリに移載した前記貨物が、前記第2ドーリに移載されるように、少なくとも前記第1ドーリの前記移載駆動装置を制御することを含み得る。この場合、貨物の搭載又は取卸が容易になる。
【0020】
(3)前記複数のドーリは、前記移載ポイントではない1又は複数の第2ドーリを含み得る。前記1又は複数のコントローラは、前記複数のドーリの制御のため、搭載処理及び取卸処理の少なくともいずれか一方の処理を実行するよう構成され得る。前記搭載処理は、前記第2ドーリに載置された貨物が、前記第1ドーリに移載されるように、少なくとも前記第2ドーリの前記移載駆動装置を制御し、前記第1ドーリに貨物が載置されていることを検知するセンサによって、前記貨物が前記第1ドーリに移載したことを検知すると、前記移載方向が、前記第1ドーリの側方に位置する前記カーゴローダに向くように、前記回転駆動装置を制御し、前記移載方向が前記カーゴローダに向いた後に、前記第1ドーリに移載した前記貨物を前記他の航空機支援機材に移載するため、前記第1ドーリの前記移載駆動装置を制御することを含み得る。前記取卸処理は、前記移載方向が、前記第1ドーリの側方に位置する前記カーゴローダに向くように、前記回転駆動装置を制御し、前記第1ドーリに貨物が載置されていることを検知するセンサによって、前記貨物が前記カーゴローダから前記第1ドーリに移載したことを検知すると、前記移載方向が隣接する他のドーリに向くように、前記回転駆動装置を制御し、前記移載方向が隣接する他のドーリに向いた後に、前記第1ドーリに移載した前記貨物を前記第2ドーリに移載するため、少なくとも前記第1ドーリの前記移載駆動装置を制御することを含み得る。この場合、貨物の搭載又は取卸が容易になる。
【0021】
(4)前記コントローラは、前記搭載処理において、前記カーゴローダのコントローラへ、前記カーゴローダにおける貨物の回転の制御に用いられるデータを送信すること、及び前記取卸処理において、前記カーゴローダのコントローラから、前記回転駆動装置による回転の制御に用いられるデータを受信すること、の少なくともいずれか一方を実行するよう構成され得る。この場合、カーゴローダと協調して、貨物を回転させることができる。
【0022】
(5)前記1又は複数のコントローラは、前記搭載処理において、前記複数のドーリに載置されている1又は複数の貨物を識別するための貨物データと、前記航空機において前記貨物が搭載されるべき位置を示す搭載指示データと、に基づいて、前記移載駆動装置を制御し得る。この場合、コントローラは、貨物が搭載されるべき位置に応じて、貨物の移載順序を識別したり、動作すべき移載駆動装置を識別したりできる。
【0023】
前記1又は複数のコントローラは、前記搭載処理において、前記複数のドーリに載置されている1又は複数の貨物を識別するための貨物データ(貨物識別データ)と、前記航空機において前記貨物が搭載されるべき位置を示す搭載指示データと、に基づいて、移載駆動装置及び回転駆動装置を制御し得る。
【0024】
前記1又は複数のコントローラは、前記搭載処理において、前記複数のドーリに載置されている1又は複数の貨物を識別するための貨物データ(貨物識別データ)と、前記航空機において前記貨物が搭載されるべき位置を示す搭載指示データと、に基づいて、ドーリのロック駆動装置を制御し得る。この場合、コントローラは、貨物が搭載されるべき位置に応じて、動作させるべきロックを識別し、適切にロックを動作させることができる。
【0025】
(6)前記コントローラは、前記搭載処理において、前記ドーリに搭載された貨物の向きを示すデータと、前記航空機において前記貨物が搭載されるべき位置を示す搭載指示データと、に基づいて、前記回転駆動装置による回転方向を制御し得る。この場合、貨物が搭載されるべき位置に応じて、回転駆動装置を適切に動作させることができる。
【0026】
(7)前記コントローラは、前記取卸処理において、前記カーゴローダ上での貨物の向きを識別するためのデータに基づいて、前記回転駆動装置による回転方向を制御し得る。この場合、貨物を適切な向きに回転させることができる。
【0027】
(8)前記複数のドーリそれぞれは、前記載置面に載置された貨物を固定するためのロックと、前記コントローラからの信号に基づいて、前記ロックにロック動作及び解除動作をさせるロック駆動装置と、を備え得る。
【0028】
前記ロックは、前記貨物の大きさに合わせた位置で前記貨物をロック可能に構成され得る。前記コントローラは、前記載置面に載置された貨物の大きさを識別するためのデータに基づいて、前記貨物の大きさに合わせた位置で前記貨物がロックされるよう前記ロック駆動装置を制御し得る。
【0029】
前記コントローラは、前記カーゴローダが前記第1ドーリの右側方及び左側方のいずれに位置しているかを識別するための位置識別データに基づいて、前記回転駆動装置による回転方向を制御し得る。
【0030】
実施形態に係るドーリは、航空機の貨物の運搬のため、他のドーリと連結して使用されるドーリである。ドーリは、前記貨物が載置される載置面と、前記載置面に載置された貨物を、連結された前記他のドーリへ移載するための駆動力を発生する移載駆動装置と、前記移載駆動装置を制御するとともに、前記他のドーリが備えるコントローラと通信可能であるコントローラと、を備え得る。実施形態に係るドーリシステム又はドーリは、ドーリシステム又はドーリの動作を制御するコントローラを備え得る。ドーリシステム又はドーリは、ローダのコントローラと通信可能であり得る。実施形態に係るローダは、ローダの動作を制御するコントローラを備え得る。ローダのコントローラは、ドーリシステム又はドーリのコントローラと通信可能であり得る。
【0031】
ドーリは、前述の回転駆動装置を備え得る。ドーリは、前記載置面を人力によっても水平回転させることができるよう構成されているのが好ましい。ドーリは、載置面に載置された貨物を人力でも移載方向に移載できるよう構成されているのが好ましい。
【0032】
<2.ドーリシステム等の例>
【0033】
以下、図面を参照しつつ、実施形態に係るドーリシステム100を用いた貨物搭降載システム10及び貨物の搭降載方法について説明する。
【0034】
図1(A)及び
図1(B)は、実施形態に係るドーリシステム100を示している。ドーリシステム100は、複数のドーリD1,D2,D3,D4,D5,D6が前後方向に直列に連結されて構成されている。各ドーリD1,D2,D3,D4,D5,D6は、一例として、非自走式であり、連結された状態で、トーイングトラクタ150などの牽引車によって牽引される。なお、ドーリは自走式であってもよい。トーイングトラクタ150は、一例として、人である運転手によって操縦される。トーイングトラクタ150は、自動運転されて、無人で自動走行してもよい。
【0035】
図示のドーリシステム100においては、トーイングトラクタ150に最も近いドーリから順に、D1,D2,D3,D4,D5,D6の符号が付されている。図示のドーリシステム100は、6つのドーリを連結して構成されているが、6よりも少ない数又は6よりも多い数のドーリを連結して構成されてもよい。すなわち、ドーリの連結数は特に限定されない。また、複数のドーリそれぞれは、他のドーリ又はトーイングトラクタに対して連結及び連結解除できるよう構成されている。
【0036】
以下では、ドーリシステム100において、ドーリ連結方向である前後方向をY方向とし、トーイングトラクタ150側を前側とし、その反対を後側とする。水平面においてX方向と直交する方向(左右方向)をY方向とする。ドーリシステム100の後側から前側を見た時の左手側を左側方といい、同じく右手側を右側方という。なお、水平面は、XY平面である。また、上下方向(垂直方向)をZ方向とする。Z方向は、X方向及びY方向と直交する。
【0037】
複数のドーリD1,D2,D3,D4,D5,D6には、それぞれ、貨物1,2,3,4,5,6を載置可能である。なお、
図1(A)及び(B)において、一つのドーリに一つの貨物しか載置されていないが、一つのドーリに複数の貨物が載置されてもよい。
【0038】
実施形態において、貨物は、一例として、Unit Load Device(ULD)である。ULDは、航空機専用の収納機材である。ULDは、International Air Transport Association(IATA)によって規格化されている。
【0039】
ULDには、一例として、コンテナとパレットとが含まれる。パレットは、段ボール箱などの輸送物が積載される板状のULDである。パレット上に積載された輸送物は、専用のネットが被せられる。このネットによって、輸送物がパレットに固縛される。パレットは、航空機300の貨物室の床の大きさにフィットするように、大きさが規格化されている。
【0040】
コンテナは、内部に輸送物が積載される箱型のULDである。以下では、貨物としてコンテナを例に挙げて説明するが、貨物は、パレット又はその他の貨物であってもよい。
【0041】
コンテナは、航空機300の貨物室の床及び壁面の大きさ及び形状にフィットするように、大きさ及び形状が規格化されている。また、コンテナには、LD-3、LD-4などの様々なタイプがある。LD-3は、コンテナの矩形状底面の長手方向(
図1(A)(B)のY方向)が147cm程度の比較的小型のものである。LD-4は、コンテナの矩形状底面の長手方向(
図1(A)(B)のY方向)が236cm程度の比較的大型のものである。
【0042】
コンテナは、輸送物の出し入れのための開口を有する。開口は、例えば、コンテナに設けられたドアによって開閉される。開口及びドアは、コンテナの矩形状底面が有する2つの長手辺(
図1(A)(B)のY方向の2辺)から立ち上がる長手側面のうち、一方の面Aだけに設けられている。
【0043】
複数のコンテナ1,2,3,4,5,6は、開口が設けられた面Aが、同じ向きを向くようにドーリシステム100に載置される。
図1(A)(B)においては、一例として、面Aが、ドーリシステム100の左側方を向くように載置されている。ドーリシステム100に載置されたコンテナの面Aの向きが揃っていることで、空港の荷捌き場(荷ほどき場)において、複数のコンテナ1,2,3,4,5,6への輸送物の出し入れが容易となる。
【0044】
コンテナ形状としては、一例として、直方体形状、コンテナ長手方向(Y方向)片側だけに下部傾斜面Sを有する形状、及び、コンテナ長手方向(Y方向)両側に下部傾斜面を有する形状の3種類がある。以下では、長手方向片側だけに下部傾斜面Sを有する形状を、片側オーバハング(Overhang)といい、長手方向両側に下部傾斜面を有する形状を、両側オーバハングという。
図1(A)(B)では、一例として、片側オーバハングのコンテナ1,2,3,4,5,6が示されている。
【0045】
片側オーバハング及び両側オーバハングは、航空機300の貨物室310の形状に沿うためのものである。
図1(D)は、2つの片側オーバハングのコンテナ1,2が、航空機300の貨物室310内に左右に並べて配置された様子を示している。
図1(D)に示すように、各コンテナ1,2の下部傾斜面Sが、それぞれ、航空機300の左右の両側に位置するように、配置される。例えば、
図1(D)において、貨物室310の左側に搭載されたコンテナ1は、下部傾斜面Sが左側にあり、貨物室310の右側に搭載されたコンテナ2は、下部傾斜面Sが右側にある。この配置によって、航空機300の貨物室310の形状に沿ってコンテナ1,2が配置され、積載効率が高まる。なお、
図1(D)の配置においては、例えば、コンテナ1の面Aが、航空機300の後方に向いている場合、コンテナ2の面Aは、反対に、航空機300の前方に向く必要がある。
【0046】
このように、片側オーバハングのコンテナを航空機300に搭載する場合には、コンテナが搭載される位置に応じて、コンテナの向きを適切にしておく必要がある。
【0047】
図2に示すように、航空機300は、一例として、前方貨物室(フォワード・カーゴ・コンパートメント)310と、後方貨物室(アフター・カーゴ・コンパートメント)320と、を備え得る。後方貨物室320は、前方貨物室310よりも後方にある。貨物室310,320は、機体301の胴体内部に設けられている。前方貨物室310に貨物を搬入するための搬入口は、前方貨物搬入口302Aと呼ぶことができる。
図1(C)に示すように、前方貨物搬入口302は、例えば、主翼303よりも前方にある。後方貨物室320に貨物を搬入するための搬入口は、後方貨物搬入口302Bと呼ぶことができる。
図1(C)に示すように、後方貨物搬入口302Bは、例えば、主翼303よりも後方にある。搬入口302A,302Bは、貨物の搬出にも用いられ得る。航空機300に設けられている貨物搬入口は、1つでもよいし、複数でもよい。
【0048】
前方貨物搬入口302A及び後方貨物搬入口302Bは、一般に、機体301の右側面に設けられている。なお、機体301の右側面とは、航空機300の背面から前方に向いて見た場合に、機体301の右手にある面である。
【0049】
貨物室310,320には、貨物の搭載位置が設定されている。例えば、
図2の貨物室310,320には、左右に並んだ2つの貨物を、前後方向に複数搭載することができる。各搭載位置には、一つの貨物(例えば、一つのコンテナ又は一つのパレット)が搭載される。各搭載位置には、搭載位置を示す記号が付与されている。例えば、前方貨物室310は、18個の搭載位置を有し、各搭載位置には、11L,11R,12L,12R,13L,13R,14L,14R,21L,21R,22L,22R,23L,23R,24L,24R,25L,25Rの記号が付与されている。また、後方貨物室320は、14個の搭載位置を有し、各位置には、31L,31R,32L,32R,33L,33R,41L,41R,42L,42R,43L,43R,44L,44Rの記号が付与されている。
【0050】
図2に示すように、貨物室310,320内に余分なスペースが少ない場合、貨物の搭載の際には、搬入口302A,302Bから最も遠い搭載位置に搭載される貨物から順に、貨物室310,320内へ搬入する必要がある。
【0051】
どの貨物を、どの搭載位置に搭載するかは、予め搭載計画として作成される。搭載計画は、搭載データ401(搭載指示データ)として、後述のサーバ400によって生成され得る。搭載データ401は、航空機300の出発空港のサーバによって生成され得る。搭載データ401は、生成された搭載データは、航空機300の到着空港のサーバに送信され得る。搭載データは、出発空港及び到着空港のいずれか一方又は両方における貨物の搬送に利用され得る。
【0052】
図3は、搭載データ401の一例を示している。
図3の搭載データ401は、機種が「xxxx」である航空機300の前方貨物室310における貨物の搭載位置等を示している。搭載データ401は、前方貨物室310における搭載位置を示す搭載位置データ401Bを有する。なお、
図3の搭載データ401においては、
図2に示す前方貨物室310の搭載位置のうち、貨物が搭載されない搭載位置13Rは示されていない。
【0053】
搭載データ401は、「ULD-ID」401Cを有する。「ULD-ID」401Cは、個々の貨物を識別するためのID(識別コード)であり、ここでは、貨物としてのULDのID(識別コード)を示す。「ULD-ID」401Cは、例えば、XXXnnnnnYYYの形式で表される。
【0054】
XXXは、貨物のIATA ID CODEである。IATA ID CODEは、3文字アルファベットからなる3レターコードであり、貨物に関する情報を示す。
【0055】
XXXの最初の1文字目は、貨物の種類を示す。例えば、XXXの最初の1文字目は、貨物がコンテナであるかパレットであるかを示す。より詳細には、XXXの最初の1文字目が、例えば、「A」であれば「コンテナ(耐空証明有り)」を示し、「D」であれば「コンテナ(耐空証明無し)」を示し、「R」であれば「保冷用コンテナ(耐空証明有り)」を示し、「P」であれば「パレット(耐空証明有り)」を示す。XXXの最初の1文字目には、特殊なコンテナ(SPECIAL CONTAINER)を示す「M」,「R」などもある。
【0056】
XXXの2文字目は、ULDの底面サイズ(Base Size)を示す。XXXの最初の2文字目が、例えば、「A」であれば「8×125」を示し、「K」であれば「60.4×61.5」を示し、「L」であれば「60.4×125」を示し、「M」であれば「96×125」を示す。なお、ここでのサイズ単位は、inchである。
【0057】
XXXの3文字目は、ULDの形状(及び航空機の搭載可能場所)を示す。XXXの最初の3文字目が、例えば、「E」又は「N」,であれば片側オーバハングを示し、「H」又は「F」であれば両側オーバハングを示し、「P」であれば、直方体を示す。
【0058】
nnnnnは、5桁又は4桁の数字からなるシリアルナンバーである。YYは、貨物の保有者を示す2レターコード(オーナーコード)である。例えば、NHであれば、保有者は全日本空輸である。シリアルナンバーは、ULDの保有者によって付けられる。
【0059】
例えば、ULD-IDが、AKE12345NHであれば、片側オーバハングの形状を持ち、底面サイズが60.4×61.5[inch]であるコンテナ(耐空証明有り)であって、シリアルナンバーが12345であり、保有者が、全日本空輸であることを示す。なお、ULD-IDが「AKE」のコンテナのULDタイプは、「LD-3」である。また、ULDタイプが「LD-4」であるコンテナのULD-IDとしては、「DQP」がある。
【0060】
搭載データ401では、搭載位置401Bと「ULD-ID」401Cとが対応付けられている。例えば、
図3の搭載データ401は、DKN48611NHのULD-IDを持つ貨物が、搭載位置14Lに搭載されるべきことを示している。同様に、
図3の搭載データ401は、14R,21L,21R,22L,22Rに搭載されるべき貨物のULD-IDを示している。なお、実際には、11L-13L,23L-25RにもULD-IDが対応付けられるが、
図3では、簡略化のため、省略されている。
【0061】
図3の搭載データ401では、一つのドーリシステム100によって運搬される1又は複数の貨物単位で、グループ分けされている。搭載データ401は、グループを示すID401A(グループ識別子)を有する。例えば、11Lから13Lに搭載される貨物が、ID=#11のグループとしてまとめられ、14Lから22Rに搭載される貨物が、ID=#12のグループとしてまとめられ、23Lから25Rに搭載される貨物が、ID=#13のグループとしてまとめられている。
【0062】
搭載データ401は、「ULD-ID」401Cに対応付けられた輸送物データ401Dを有し得る。輸送物データ401Dは、ULDによって輸送される物の種類を示し、例えば、コンテナの内容物の種類、又は、パレットの積載物の種類を示す。輸送物データ401Dは、輸送物が、例えば、手荷物、手荷物以外の貨物、又は空(貨物なし)であることを示す。
図3に示される「貨物」は、輸送物が、「手荷物以外の貨物」であることを示す。
【0063】
搭載データ401は、「ULD-ID」401Cに対応付けられた「ドーリID」401Eを有し得る。「ドーリID」401Eは、ULD-IDで示される貨物が、ドーリシステム100を構成する複数のドーリのうちのどれに載置されるべきか、又は、(ドーリに貨物が載置された後においては)どれに載置されているか、を示す。
図3においては、「ドーリID」401Eとして、D1~D6が示されている。
図3におけるD1~D6は、
図1(A)(B)における各ドーリの符号D1~D6に対応している。例えば、搭載位置14Lに搭載される「DKN48611NH」の貨物は、ドーリシステム100の前から5番目のドーリD5に載置されていることを示している。
【0064】
搭載データ401は、搭載順データ401Fを有し得る。搭載順データ401Fは、ULD-IDで示される貨物が、航空機の貨物室に搬入される順番(搬入口を通る順番)を示している。
図3の搭載データ401は、一例として、ドーリD1、ドーリD2、ドーリD3、ドーリD4、ドーリD5、ドーリD6の順で、それらに載置された貨物が、貨物室に搬入されるべきことを示している。なお、搭載順は、ドーリシステム100の先頭の貨物から順番である必要はなく、ドーリシステム100の前後方向中途(例えば、ドーリD3の貨物)から最初に搭載してもよい。また、
図3では、グループID=#12内での搭載順序が示されているが、貨物室310全体での搭載順が示されていてもよい。
【0065】
前述のように、貨物の搭載の際には、搬入口302A,302Bから最も遠い搭載位置に搭載される貨物から順に、貨物室310,320内へ搬入する必要があるため、搭載順は、貨物の搭載位置に応じて決定される。なお、貨物をどのドーリに載置させるかは、搭載順を考慮して決定され得る。
【0066】
なお、搭載データ401において、搭載順データ401Fは、明示のデータ項目として存在している必要はなく、例えば、搭載データ401において、各貨物のデータが搭載順に並んでいることによって、搭載順が示されてもよい。
【0067】
図1(C)に示すように、航空機300に対する貨物の搭降載においては、航空機300の貨物搬入口302A,302Bに対して、カーゴローダ200が装着される。カーゴローダ200は、ドーリシステム100とともに、実施形態に係る貨物搭降載システム10を構成し得る。ここで、「装着」は、貨物室310,320とカーゴローダ200との間で貨物を移載可能な程度に、カーゴローダ200が航空機300に近接していれば足り、カーゴローダ200と航空機300とが物理的に結合している必要はない。
【0068】
カーゴローダ200は、一例として、ハイリフトローダである。ハイリフトローダは、ロア・デッキ・カーゴローダとも呼ばれる。カーゴローダ200は、メイン・デッキ・カーゴローダ又はその他のカーゴローダであってもよい。
【0069】
図1(C)に示すように、ドーリシステム100を、前方貨物搬入口302Aに装着されたハイリフトローダ200へ近接させる場合、一例として、トーイングトラクタ150は、航空機300の前方から、後方に向かうように進行する。したがって、ハイリフトローダ200の位置に到着したドーリシステム100からみて、カーゴローダ200は、ドーリシステム100の右側方に位置する。この場合、ドーリシステム100とカーゴローダ200との間の貨物の移載は、ドーリシステム100の右側方において行われる。
【0070】
また、ドーリシステム100を、後方貨物搬入口302Bに装着されたハイリフトローダ200へ近接させる場合、一例として、トーイングトラクタ150は、航空機300の後方から、前方に向かうように進行する。したがって、ローダ200の位置に到着したドーリシステム100からみて、ローダ200は、ドーリシステム100の左側方に位置する。この場合、ドーリシステム100とローダ200との間の貨物の移載は、ドーリシステム100の左側方において行われる。
【0071】
このように、ローダ200は、ドーリシステム100の左側方に位置することもあれば、右側方に位置することもある。すなわち、ローダ200が、ドーリシステム100の左右のどちらに位置するかは、ケースバイケースである。
【0072】
実施形態のドーリシステム100は、ドーリシステム100内での貨物の自動移載が可能である。すなわち、ドーリシステム100は、載置された貨物を、連結されたドーリ間で、自動的に移載することができる。このように、ドーリシステム100は、載置された貨物の自動移載機能を有する。自動移載機能は、貨物を移載するための駆動力を発生する。したがって、実施形態のドーリシステム100によれば、載置された貨物を人力で押すことなく、連結された複数のドーリ中のあるドーリから、他のドーリへ貨物を移載することができる。したがって、作業者の負担が軽減される。
【0073】
ドーリシステム100上で貨物を移載可能であると、あるドーリを、代表的に、ローダ200に対する移載ポイントとして利用することができる。すなわち、他のドーリに載置された貨物を、移載ポイントを経由して、ローダ200へ移載することができる。例えば、
図2では、ドーリD3が、ローダ200に近接して停車しており、ローダ200への移載ポイントになっている。
【0074】
この場合、移載ポイントであるドーリD3をローダ200に近接させて停車させたまま、移載ポイントではないドーリD4,D5,D6に載置された貨物4,5,6を、ドーリD3を経由して、ローダ200へ移載することができる。したがって、ドーリD4,D5,D6の貨物4,5,6をローダ200に移載するために、トーイングトラクタ150を運転してドーリD4,D5,D6が順番にローダ200に近接するように、ドーリシステム100の位置を変更する必要がない、又は、運転が必要となる回数が減る。この結果、トーイングトラクタ150の運転手の作業負荷が軽減される。作業負荷が軽減された運転手は、一例として、後述の作業者P1として、端末500を利用して、ドーリシステム100等の操作を担うことができる。この結果、貨物の搭降載の作業に必要な人数を減らすことができる。
【0075】
ドーリシステム100の自動移載機能は、ドーリに載置された貨物をローダ200へ移載する場合、又は、ローダ200によって搬送された貨物をドーリに移載する場合にも利用され得る。この場合、貨物を人力で押すことなく、ドーリシステム100とローダ200との間で、貨物を移載することができる。
【0076】
実施形態のドーリシステム100は、ドーリ上に載置された貨物を、自動的に水平回転させることができる。つまり、ドーリシステム100は、載置された貨物の自動回転機能を有する。自動回転機能は、貨物を回転させるための駆動力を発生する。したがって、実施形態のドーリシステム100によれば、貨物を人力で回転させる必要がない。この結果、作業者の負担が軽減される。
【0077】
貨物を回転させることで、航空機300への搭載時の貨物の向きと、ドーリへの載置時の貨物の向きと、が異なる場合であっても対応することができる。例えば、ドーリシステム100に載置された貨物1,2,3,4,5の底面長手方向は、ドーリシステム100の前後方向を向いている。一方、航空機300に搭載された貨物1,2,3,4,5の底面長手方向は、航空機300の左右方向を向く。そして、ローダ200は、貨物を、航空機300への搭載時の向きで、貨物室310,320へ搬送する必要がある。
【0078】
したがって、航空機300に対して平行に停車したドーリシステム100と、ローダ200との間で、貨物を移載する場合、ドーリシステム100上で貨物を水平回転(例えば、90°水平回転)させる。これにより、航空機300への搭載時の向きで、貨物をローダ200へ移載することができる。また、ローダ200から移載された貨物を、ドーリシステム100上で水平回転させて、ドーリシステム100への載置に適した向きに変更することができる。
【0079】
ドーリシステム100内での自動移載機能は、例えば、ドーリシステム100を構成する複数のドーリD1,D2,D3,D4,D5,D6それぞれが、移載駆動装置160(
図4参照)を備えることで実現される。移載駆動装置160は、例えば、移載のための駆動力を発生させるモータを備え得る。移載駆動装置160は、ドーリの載置面に載置された貨物を、ドーリシステム100の前後方向に移載するための駆動力を発生する。移載駆動装置160は、移載方向を前後に切り替え可能に構成されている。したがって、貨物は、ドーリの前方にも自動移載され得るし、ドーリの後方にも自動移載され得る。
【0080】
ドーリシステム100の自動回転機能は、例えば、ドーリD1,D2,D3,D4,D5,D6のいずれかが、回転駆動装置170(
図4参照)を備えることで実現される。回転駆動装置170は、例えば、回転のための駆動力を発生させるモータを備え得る。
【0081】
回転駆動装置170は、ドーリにおいて貨物が載置される載置面を水平回転させる。すなわち、載置面は回転面になる。載置面が回転することにより、載置面に載置された貨物が水平回転する。回転駆動装置170は、載置面を回転させることにより、移載駆動装置160による移載方向を、水平面内において変更することができる。例えば、回転駆動装置170は、移載方向を、前後方向から左右方向に変更することができる。
【0082】
以上のように、実施形態によれば、貨物の搭降載において、人力による作業を減らすことができ、作業者の負担が軽減される。この結果、作業者の人数が少なくても、貨物の搭降載の作業に対応することが可能になる。また、貨物の搭降載において、作業者の介在が減るため、作業の安全性が向上する。
【0083】
実施形態においては、複数のドーリD1,D2,D3,D4,D5,D6のうち、回転駆動装置170を備えるドーリを第1ドーリ110という。第1ドーリ110は、ローダ200との間の移載ポイントとして機能し得る。ドーリシステム100は、少なくとも1つの第1ドーリ110を含めば足りるが、複数の第1ドーリ110を含んでもよい。ドーリシステム100に含まれる第1ドーリの数は、ドーリシステム100を構成する全ドーリD1,D2,D3,D4,D5,D6の数よりも少ないのが好ましい。
【0084】
また、複数のドーリD1,D2,D3,D4,D5,D6のうち、回転駆動装置170を備えないドーリを第2ドーリ120という。第2ドーリ120は、ローダ200に対する非移載ポイントになり得る。第2ドーリ120に載置された貨物は、移載ポイントである第1ドーリ110を介して、ローダ200との間で移載される。なお、第1ドーリ110の回転駆動装置170を機能させないことで、第1ドーリ110を非移載ポイントとして利用してもよい。
【0085】
図2に示すドーリシステム100においては、一例として、ドーリD1,D3が、移載ポイントになり得る第1ドーリ110であり、ドーリD2,D4,D5,D6が非移載ポイントである第2ドーリ120である。
【0086】
図4は、第1ドーリ110及び第2ドーリ120を含むドーリシステム100を備える貨物搭降載システム10を示している。第1ドーリ110は、前述の移載駆動装置160及び回転駆動装置170を制御するコントローラ175を備える。また、第1ドーリ110は、コントローラ175によって制御されるロック駆動装置165を備える。移載駆動装置160,回転駆動装置170,ロック駆動装置165は、コントローラ175の信号に基づいて動作する。さらに、第1ドーリ110は、様々なセンサ180を備える。センサ180はコントローラ175に接続されている。
【0087】
第2ドーリ120は、前述の移載駆動装置160を制御するコントローラ175を備える。また、第2ドーリ120は、第1ドーリ110と同様に、コントローラ175によって制御されるロック駆動装置165を備える。移載駆動装置160及びロック駆動装置165は、コントローラ175の信号に基づいて動作する。さらに、第2ドーリ120は、様々なセンサ180を備える。センサ180はコントローラ175に接続されている。
【0088】
実施形態においては、一例として、連結された複数のドーリそれぞれが、コントローラ175を備える。すなわち、ドーリシステム100は、複数のコントローラ175によって、制御される。コントローラ175は、CPU及びメモリを備えるコンピュータによって構成され得る。コントローラ175のメモリは、CPUに、コントローラ175として動作するための命令を実行させるプログラムコードを備える。
【0089】
コントローラ175は、通信部を備える。複数のドーリが備える各コントローラ175は、通信部によって、互いに通信可能である。このため、ドーリ間での協調動作が可能である。また、コントローラ175は、後述の端末500並びにローダ200及びその他の外部装置と通信可能である。その他の外部装置は、例えば、後述のサーバ400である。
【0090】
コントローラ175の通信は、例えば、無線通信又は有線通信である。各コントローラ175間の通信としては、互いに直接通信するP2P(ピアツーピア)通信が行われてもよいし、複数のコントローラ175のいずれか又は他の装置が通信アクセスポイントになって通信が行われてもよい。なお、ドーリシステム100を制御するコントローラ175は、全体で一つでもよい。
【0091】
ドーリそれぞれのコントローラ175が互いに有線通信をする場合、
図4に示すように、あるドーリのコントローラは、他のドーリのコントローラと通信をするための通信ケーブル176A,176B(通信線)を備える。ケーブル176A,176Bは、コントローラ175から延設され、その先端にコネクタ177A,177Bを備え得る。コネクタ177A,177Bは、他のドーリのコネクタ177A,177Bに対して着脱自在である。着脱自在のコネクタ177A,177Bを備えることで、後述の連結部103A,103Bによるドーリ同士の連結を解除したときに、ドーリ間の通信ケーブル176A,176Bの接続も解除できる。ドーリシステム100を構成する各ドーリは、連結を解除できるとともに、互いを通信可能に接続する通信ケーブル176A,176Bの接続も解除可能である。したがって、ドーリシステム100を構成する各ドーリをバラバラにした状態で、ドーリを保管することができる。また、必要に応じて、多数のドーリの中から適宜選択された、任意の数のドーリを任意の順序で連結して、ドーリシステム100を構成することができる。
【0092】
ドーリが備える通信ケーブルは、例えば、第1ケーブル176Aと、第2ケーブル176Bとを含み得る。第1ケーブル176Aは第1コネクタ177Aを備える。第2ケーブル176Bは第2コネクタ177Bを備える。
【0093】
あるドーリの第1コネクタ177Aは、例えば、そのドーリの前側に隣接して連結されるドーリの第2コネクタ177Bに接続され得る。また、あるドーリの第2コネクタ177Bは、例えば、そのドーリの後側に隣接して連結されるドーリの第1コネクタ177Aに接続され得る。したがって、連結部103A,103Bによって直列状に連結された複数のドーリにおいて、各ドーリが備える各コントローラ175の通信ケーブル176A,176Bは、直列接続される。つまり、この場合、ドーリシステム100が備える複数のコントローラ175は直列接続される。ドーリシステム100が備える各コントローラ175は、他のコントローラ175と直接的に、又は他のコントローラ175を介して間接的に、通信することができる。
【0094】
ドーリシステム100を構成する複数のドーリ175それぞれが備えるコントローラ175には、そのコントローラ175を備えるドーリが、ドーリシステム100におけるどの位置に存在しているかが設定され得る。例えば、ドーリシステム100の前から1番目に存在するドーリD1のコントローラ175には、1番目に位置していることが設定され、ドーリシステム100の前から6番目に存在するドーリD1のコントローラ175には、6番目に位置していることが設定される。かかる設定により、各コントローラ175は、そのコントローラ175を備えるドーリがドーリシステム100のどの位置に存在するかを把握できる。かかる設定は、後述の端末500等の操作装置を介して、作業者によって、コントローラ175に設定されてもよいし、通信可能に接続されたコントローラ175同士が、互いに通信することによって、ドーリシステム200における位置を認識する処理を各コントローラ175が行うことで自動設定されてもよい。
【0095】
ドーリシステム100は、端末500を備え得る。端末500は、貨物の搭降載のための作業者P1によって使用され得る。端末500は、例えば、タブレットコンピュータ、又はスマートフォンなどの携帯型端末である。端末は、CPU及びメモリを備えるコンピュータによって構成され得る。端末500のメモリは、CPUに、端末500としての動作するための命令を実行させるプログラムコードを備える。端末500は、例えば、作業者が、ドーリシステム100を操作するためのリモートコントローラとして動作し得る。また、端末500は、各ドーリが備えるコントローラ175を統括して制御するメインコントローラとして動作し得る。端末500は、ドーリシステム100とローダ200とが連携して動作するようドーリシステム100及びローダ200を制御してもよい。また、端末500は、貨物のデータを読み取るための読取器として動作し得る。
【0096】
端末500は、通信部を備える。端末500は、通信部によって、ドーリシステム100並びにローダ200及び他の装置と通信可能である。他の装置は、例えば、後述のサーバ400である。端末500の通信は、無線通信が好適である。端末500は、ドーリシステム100が備える複数のコントローラ175それぞれと通信してもよいし、複数のコントローラ175が互いに通信可能であれば、複数のコントローラ175のいずれか一つと通信してもよい。
【0097】
実施形態の貨物搭降載システム10は、サーバ400を備え得る。サーバ400は、貨物の搭載データ401を有する。搭載データ401は、どの貨物を航空機のどの位置に搭載すべきかを示すデータ、又は、航空機のどの位置にどの貨物が搭載されているかを示すデータである。貨物をどの位置に搭載すべきかの決定は、航空機における貨物の重量バランスを考慮して行われる。搭載データ401は、例えば、サーバ400において生成され、コントローラ175,275又は端末500などの装置へ送信される。端末500は、搭載データ401に基づいて、ドーリシステム100及びローダ200のいずれか一方又は両方を制御し得る。コントローラ175は、搭載データ401に基づいて、ドーリシステム100を制御し得る。コントローラ275は、搭載データ401に基づいて、ローダ200を制御し得る。搭載データ401については後述される。
【0098】
実施形態においては、一例として、搭載データ401は、航空機に搭載される貨物の向きを適切にすべく、ドーリシステム100又はローダ200における貨物の回転方向を決定するために用いられ得る。また、搭載データ401は、航空機から降載(取卸)された貨物の向きを適切にすべく、ドーリシステム100又はローダ200における貨物の回転方向を決定するために用いられ得る。また、搭載データ401は、ドーリシステム100からローダ200への貨物の移載順序を決定又は識別するために用いられ得る。
【0099】
前述のように、実施形態の貨物搭降載システム10は、ローダ200を含み得る。ローダ200は、ドーリと貨物室の間で、貨物を搬送するための搬送駆動装置260と、搬送駆動装置260を制御するコントローラ275を備える。
【0100】
コントローラ275は、通信部を備える。コントローラ275は、ドーリシステム100のコントローラ175と通信可能である。また、コントローラ275は、端末500と通信可能である。コントローラ275は、サーバ400と通信可能であってもよい。
【0101】
ローダ200のコントローラ275とドーリシステム100のコントローラ175との通信は、一例として、空間光伝送による通信であり得る。空間光伝送は、ケーブルを用いないデータ伝送である。空間光伝送によるデータ伝送は、例えば、シリアル伝送であり得る。ローダ200及びドーリシステム100は、それぞれ、空間光伝送のための送受信ユニットを備え得る。一例として、ドーリシステム100は、送受信ユニット190A,190Bを備え得る。送受信ユニット190A,190Bは、コントローラ175に接続されている。送受信ユニット190A,190Bは、例えば、ローダ290に横付けされて移載ポイントとなる第1ドーリ110が備え得る。
【0102】
また、一例として、ローダ200は、送受信ユニット290を備え得る。送受信ユニット290は、コントローラ275に接続されている。送受信ユニット290は、2つの送受信ユニット190A,190Bのいずれかと通信可能である。送受信ユニット290は、ドーリシステム100の送受信ユニットと通信できるように、例えば、ローダ200の後端に設けられる。
【0103】
送受信ユニット190A,290同士又は送受信ユニット190B,290同士が、対向した設置状態になることで、空間光伝送が可能になる。例えば、送受信ユニット190Aが第1ドーリ110の前側に設置されている場合、第1ドーリ110の前側がローダ200に近接するように第1ドーリ110が回転した場合、送受信ユニット190A,290同士が対向状態になる。また、送受信ユニット190Bが第1ドーリ110の後側に設置されている場合、第1ドーリ110の後側がローダ200に近接するように第1ドーリ110が回転した場合、送受信ユニット190B,290同士が対向状態になる。
【0104】
送受信ユニットは、ローダ200とドーリシステム100とが近接していること、すなわち、ローダ200とドーリシステム100とがそれらの間で貨物を移載可能な配置にあることを検出するセンサとしても機能する。つまり、送受信ユニット190A,290同士又は送受信ユニット190B,290同士が通信可能になれば、コントローラ175,275は、貨物を移載できる程度にローダ200とドーリシステム100とが近接していることを認識できる。また、ドーリシステム100が備える送受信ユニットは一つでもよいが、複数の送受信ユニット190A,190Bを備えていると、どちらの送受信ユニット190A,190Bが通信可能になるかによって、どちらの送受信ユニット190A,190B側がローダ200に近接しているかを検出することができる。
【0105】
また、ローダ200は、ローダ200を上で貨物を水平回転させるための回転駆動装置270を備え得る。回転駆動装置270は、コントローラ275によって制御される。さらに、ローダ200は、様々なセンサ280を備える。センサ280はコントローラ275に接続されている。
【0106】
ローダ200は、以下では、ハイリフトローダを例として説明する。
図2に示すように、ハイリフトローダ200は、一例として、車両前部220と、車両後部230と、を備える。車両前部220は、貨物搬入口302A,302Bに装着される昇降部BPを備える。昇降部BPは、高さ調整可能である。昇降部BPは、昇降式プラットフォームBPとも呼ばれる。昇降式プラットフォームBPは、貨物室310,320の床面の高さに合わせて高さ調整される。
【0107】
車両前部220は、昇降部BPととともに昇降する運転台(図示省略)を備える。運転台は、作業者P2がハイリフトローダ200を操作するために用いられる。作業者P2は、主に、貨物室310,320内における貨物の搬送、貨物室310,320とハイリフトローダ200との間の貨物の移送、及びハイリフトローダ200における貨物の搬送に関する作業を担う。
【0108】
車両後部230は、車両前部220の後方に設けられた昇降式デッキMPを備える。昇降式デッキMPは、コンテナ等の貨物の荷上げ・荷下ろしに用いられる。昇降式デッキMPは、車両前部220の昇降式プラットフォームBPと同じ高さに、高さ調整され得る。車両後部230は、昇降式デッキMPの後方に設けられた作業プラットフォームEPを備える。作業プラットフォームEPは、例えば、ドーリとの間で貨物の積み替え作業に利用される。つまり、作業プラットフォームEPとドーリとの間で、貨物が移載される。
【0109】
図2は、第1ドーリ110が備える様々なセンサ180及びハイリフトローダ200が備える様々なセンサ280の一例を示している。第1ドーリ110が備えるセンサ180は、第2ドーリ120も同様に備えることができる。
【0110】
第1ドーリ110は、ドーリ回転状態を検知する第1センサ181A,181Bを備え得る。第1センサ181A,181Bは、第1ドーリ110の前後両端それぞれに設けられている。第1センサ181A,181Bは、例えば、距離センサ又は近接センサであり、ドーリがどの向きに回転しているかを検出する。コントローラ175は、第1センサ181A,181Bからの信号に基づいて、ドーリがどの向きに回転しているかを把握できる。例えば、
図2に示すドーリD3(第1ドーリ110)のように、ドーリが回転している場合、第1センサ181A,181Bのうちの一方のセンサ181Aは、ドーリシステム100の右側方を向いてローダ200に近接し、他方のセンサ181Bは、ドーリシステム100の左側方を向いてローダ200の反対側にある。したがって、コントローラ175は、第1センサ181A,181Bそれぞれで検出される距離の差に基づいて、ドーリの回転状態を把握できる。
【0111】
なお、ドーリ回転状態は、回転駆動装置170による回転角度を検出することで把握されてもよい。ただし、第1センサ181A,181Bが設けられていることで、ドーリの回転によって、ドーリの前端又は後端がローダ200に実際に近接していることをコントローラ175が確認できる。コントローラ175は、ドーリの前端又は後端のうち、ローダ200に近接しているほうの端部へ向けて、貨物が移載されるように、移載駆動装置160を制御することができる。これにより、ドーリ上の貨物がローダ200へ移載される。
【0112】
前述の送受信ユニット190Aは、センサ181Aと同じ位置に配置され得る。また、送受信ユニット190Bは、センサ181Bと同じ位置に配置され得る。センサとしての送受信ユニット190A,190Bとセンサ181A,181Bとの役割は共通するところがあるため、送受信ユニット190A,190Bが省略されてもよいし、センサ181A,181Bが省略されてもよい。
【0113】
また、第1ドーリ110は、貨物がドーリの前端を通過したことを検出する第2センサ182,182と、貨物がドーリの後端を通過したことを検出する第3センサ183,183と、を備え得る。第2センサ182,182は、発光素子182と受光素子182とを備える光センサによって構成され得る。第3センサ183,183も、発光素子183と受光素子183とを備える光センサによって構成され得る。
【0114】
ローダ200は、ドーリ回転状態を検知する第1センサ281を備え得る。第1センサ281は、例えば、距離センサ又は近接センサであり、ドーリが前後方向を向いているか左右方向を向いているかを検知する。
図2に示すドーリD3のようにドーリ前端及び後端が、ドーリシステム100の左右方向を向いている場合と、ドーリ前端及び後端がドーリシステム100の前後方向を向いている場合とでは、第1センサ281からドーリまでの距離が異なる。
図2に示すドーリD3のようにドーリ前端及び後端が、ドーリシステム100の左右方向を向いている場合が、ローダ200からドーリシステム100への貨物の移載に適した状態である。したがって、ローダ200のコントローラ275は、
図2に示すドーリD3のようにドーリ前端及び後端がドーリシステム100の左右方向を向いている状態であることが第1センサ281によって検出されたときに、ローダ200の貨物が、ドーリD3に移載されるように、搬送駆動装置260を制御する。これにより、ローダ200の貨物が、ドーリD3に適切に移載される。
【0115】
前述の送受信ユニット290は、センサ281と同じ位置に配置され得る。センサとしての送受信ユニット290とセンサ281との役割は共通するところがあるため、送受信ユニット190A,190Bが省略されてもよいし、センサ181A,181Bが省略されてもよい。
【0116】
ローダ200は、貨物が、昇降式デッキMPと作業プラットフォームEPとの間を通過したことを検出する第2センサ282,282を備える。また、ローダ200は、貨物が、作業プラットフォームEPの後端(ドーリシステム100側端)を通過したことを検出する第3センサ283,283を備える。第2センサ282,282及び第3センサ283,283それぞれは、発光素子282,283と受光素子282,283とを備える光センサによって構成され得る。
【0117】
航空機から貨物を取卸(降載)する際には、貨物室310から搬入口302Aを通って、ローダ200に移載された貨物が、搬送駆動装置260等によって、自動的に、昇降式プラットフォームBPから作業プラットフォームEPまで搬送される。この搬送中において、貨物が、昇降式デッキMPと作業プラットフォームEPとの間に到達したことが、第2センサ282,282によって検出されると、コントローラ275は、貨物が、作業プラットフォームEPの後端に到達したことが第3センサ283,283によって検出されるまで、搬送駆動装置260を制御する。貨物が、作業プラットフォームEPの後端に到達したことが第3センサ283,283によって検出されると、コントローラ275は、貨物の搬送を、一旦、停止する。
【0118】
コントローラ275は、貨物が搬送停止されると、必要に応じて、貨物をローダ200の幅方向に位置調整する。コントローラ275は、幅方向に並配置された2つの第1センサ281,281それぞれによって、検知されたドーリまでの距離に差がある場合には、ドーリの位置が、ローダ200の幅方向にずれていると判断する。コントローラ275は、そのずれが小さくなるように、貨物が幅方向に位置調整されるよう作業プラットフォームEPの幅寄せ駆動装置(図示省略)を制御する。
【0119】
コントローラ275は、貨物の幅方向位置を調整した後、再び、搬送駆動装置260を動作させて、貨物を、作業プラットフォームEPからドーリD3へ移載させる。
【0120】
貨物がドーリD3の前端に到達したことが第2センサ182によって検出されると、ドーリシステム100のコントローラ175は、貨物が、ドーリD3上に移載されるようにドーリD3の移載駆動装置160を制御する。なお、このとき、コントローラ175は、予め、貨物の種類(例えば、LD-3,LD-4)を識別し、貨物の種類(大きさ)に応じた位置において、貨物をドーリ上で停止させるためのロック(移載方向前側のロック)が立つようにロック駆動装置165を制御する。コントローラ175は、貨物の移載方向前端が、ロックに到達すると、貨物の移載方向後側のロックが立つようにロック駆動装置165を制御し、両ロックによって、ドーリD3上の貨物を両側から固定する。
【0121】
そして、コントローラ175は、ドーリD3上で貨物を回転させ、ドーリシステム100内で貨物を移載する。コントローラ175は、例えば、ドーリシステム100に載置される貨物がすべて同じ向きを向くように(
図1(A)(B)参照)、貨物の回転方向を決定し、決定した方向に回転するように回転駆動装置170を制御する。貨物の取卸(降載)時において、貨物の回転方向は、例えば、ドーリD3に移載する貨物のドアの向き(面Aの向き)に応じて決定され得る。面Aは、貨物が航空機に搭載されていた位置によって、航空機300の前方を向いている場合もあれば、航空機300の後方を向いている場合もある。したがって、航空機の貨物室310からローダ200に移載された貨物には、ドア(面A)が、航空機300の前方を向いているものと、航空機300の後方を向いているものとが、混在し得る。
【0122】
コントローラ175は、ドーリに移載する貨物のドアがどの方向を向いているかを、例えば、適宜のセンサ等によって、ローダ200又はドーリD3上で貨物の向きを識別することによって把握し得る。例えば、貨物においてドアが設けられている面Aに、バーコード等の1次元コード若しくはQRコード(登録商標)などの2次元コード、又は、RFIDなどのICタグを取り付けておく。コントローラ175は、ローダ200又はドーリD3上に複数設けられた読取器のうち、コード又はICタグの読取に成功した読取器がある方に、ドアが存在することを把握できる。また、コントローラ175は、ドーリシステム100に設けられたカメラによって取得した画像に対する画像認識処理によって、貨物の向きを把握してもよいし、ドーリシステム100に設けられた近接センサ又は距離センサによって、貨物の向きを把握してもよい。
【0123】
また、貨物の取卸(降載)時において、ドーリで貨物を回転させることに代えて、ローダ200の回転駆動装置270によって、ローダ200上で貨物を回転させてもよい。回転駆動装置270は、ドーリシステム100に移載される貨物が全て同じ向きになるように、貨物を回転させることができる。ローダ200のコントローラ275は、ローダに設けられたセンサ等によって、ローダ200上の貨物の向きを把握した上で、貨物の向きを揃えるべく、必要に応じて貨物がローダ200上で回転するように、回転駆動装置270を制御する。この場合、ドーリシステム100に移載される貨物の向きは所定の向きに揃っていることになる。この結果、ドーリシステム100のコントローラ175は、ドーリD3に移載される貨物の向きが揃っていることを前提に、回転駆動装置170による回転方向を決定できる。
【0124】
ローダ200のコントローラ275は、ローダ200上の貨物のドアがどの方向を向いているかを、例えば、適宜のセンサ等によって、ローダ200上で貨物の向きを識別することによって把握し得る。例えば、貨物においてドアが設けられている面Aに、バーコード等の1次元コード若しくはQRコード(登録商標)などの2次元コード、又は、RFIDなどのICタグを取り付けておく。コントローラ275は、例えば、ローダ200上に複数設けられた読取器のうち、コード又はICタグの読取に成功した読取器がある方に、ドアが存在することを把握できる。また、コントローラ275は、ローダ200に設けられたカメラによって取得した画像に対する画像認識処理によって、貨物の向きを把握してもよいし、ドーリ110と同様に、ローダ200に設けられた近接センサ又は距離センサによって、貨物の向きを把握してもよい。ローダ200上の貨物の向きを把握したコントローラ275は、その貨物の向きを示すデータを、ドーリシステム100のコントローラ175へ送信する。コントローラ175は、向きを示すデータを受信し、受信したデータに基づいて回転方向を決定できる。
【0125】
また、ローダ200又はドーリシステム100における貨物の回転方向は、貨物の取卸(降載)時において、貨物の種類に応じても決定され得る。例えば、コンテナの荷ほどき位置は、空港毎に、コンテナ内容物(手荷物であるか、手荷物以外の貨物であるか)によって、異なり得る。例えば、ある空港では、到着手荷物を収納したコンテナは、コンテナのドアが、ドーリシステム100の右側方を向くように載置されるべきである。また、手荷物以外の到着貨物を収納したコンテナは、コンテナのドアが、ドーリシステム100の左側方を向くように載置されるべきである。そこで、コントローラ175,275は、貨物の種類を示すデータに基づいて、貨物の種類を識別し、貨物の種類に応じた適切な向きになるように、貨物を回転させる。
【0126】
貨物の内容物(輸送物)の種類は、例えば、貨物のIDを、貨物に取り付けられた前述の1次元コード若しくは2次元コード又はICタグから読み取ることによって、識別され得る。コントローラ175は、貨物のIDに基づいて、貨物の搭載データ401を参照して、貨物の内容物(内容物)の種類を把握し、内容物の種類に応じて、回転方向を決定する。
【0127】
コントローラ175は、ドーリD3上の貨物を回転させた後、貨物が他のドーリへ移載されるよう移載駆動装置160を制御する。また、コントローラ175は、他のドーリへの移載に先立って、ドーリD3のロックを倒すとともに、ドーリシステム100上における貨物の移載先のドーリのロックが立つように、ロック駆動装置165を制御する。このように、コントローラ175は、貨物の移載がロックによって阻害されないようにするとともに、移載先のドーリにおいて貨物が固定されるように、ロックを立てるロック動作及びロックを倒すロック解除を制御する。
【0128】
航空機へ貨物を搭載する際には、ドーリシステム100のコントローラ175は、貨物の搭載データ401を参照して、ドーリシステム100に搭載された貨物のうち、貨物搬入口302から最も遠い位置にある貨物から順に、ローダ200に移載されるように、移載駆動装置160及び回転駆動装置170を制御する。また、コントローラ175は、貨物の移載及び回転に応じて、必要なロック動作及びロック解除が行われるように、ロック駆動装置165を制御する。
【0129】
航空機への貨物の搭載時において、貨物の回転方向は、ローダ200に移載する貨物の向き(面Aの向き)に応じて決定され得る。コントローラ175は、ローダ200に移載する貨物のドアがどの方向を向いているかを、例えば、適宜のセンサ等によって、ドーリ上で貨物の向きを識別することによって把握する。ドーリ上での貨物の向きの把握は、降載時と同様に、コントローラ175は、ドーリD3上に複数設けられた読取器のうち、コード又はICタグの読取に成功した読取器がある方に、ドアが存在することを把握できる。
【0130】
航空機への貨物の搭載時において、貨物の回転方向は、貨物の種類(コンテナの種類)及び貨物室における貨物の搭載位置に応じても決定され得る。貨物の種類が、片側オーバハングである場合、貨物の搭載位置に応じて、下部傾斜面Sが貨物室の形状に沿うように、予め貨物を回転させておく必要がある。
【0131】
貨物の種類(コンテナの種類)は、例えば、コンテナのIDを、コンテナに取り付けられた前述の1次元コード若しくは2次元コード又はICタグから読み取ることによって、識別され得る。コントローラ175は、コンテナのIDに基づいて、貨物の搭載データ401を参照して、コンテナの種類を把握し、コンテナの種類に応じて、回転方向を決定する。
【0132】
貨物の搭載時において、貨物を回転(例えば、片側オーバハングのコンテナを貨物室形状に合わせて回転)させることは、ローダ200上の回転駆動装置270で行われてもよい。ローダ200のコントローラ275は、ローダ200上のコンテナの向き、コンテナの種類、コンテナの貨物室搭載位置を把握した上で、コンテナ形状が貨物室形状に沿うように、必要に応じて貨物をローダ200上で回転させるように、回転駆動装置270を制御する。この場合、ドーリシステム100のコントローラ175は、コンテナの向き、コンテナの種類、コンテナの貨物室搭載位置を考慮することなく、回転駆動装置170による回転方向を決定できる。すなわち、コントローラ175は、ドーリシステム100とローダ200との間の貨物の移載に必要な範囲で、回転駆動装置170の回転を制御すれば足りる。貨物の回転がローダ200で行われる場合、ローダ200のコントローラ275は、例えば、ローダ200に設けられた適宜のセンサによって、貨物の向きを検出することができる。また、コントローラ275は、貨物の向きを示すデータを、コントローラ175から受信してもよい。
【0133】
ドーリシステム100からローダ200へ貨物が移載されたことが第3センサ283によって検知されると、ローダ200のコントローラ275は、貨物が貨物室に搬入されるように、搬送駆動装置260等を制御する。
【0134】
図5は、回転駆動装置170を備えない第2ドーリ120の構造の一例を示している。
図5は、一つの第2ドーリ120単体を示している。この第2ドーリ120は、他のドーリ110,120に連結して用いられる。
【0135】
ドーリ120は、車体ベース101を備える。車体ベースは、左右に対をなす前輪102Aと、同じく左右に対をなす後輪102Bと、を備える。車体ベース101の前端(
図5の左側端)には、前側連結部103Aとして、例えば、トウバー103Aが設けられている。車体ベース101の後端(
図5の右側端)には、後側連結部103Bとして、例えば、トウバー103Bが設けられている。ドーリ120は、連結部103A,103Bを介して、他のドーリ110,120又はトーイングトラクタ150に連結される。
【0136】
トウバー103A,103Bは、水平方向に回動可能に車体ベース101に設けられている。車体ベース101は、前輪102Aが、トウバー103Aに働く牽引力によって操舵され、左右に操向されるよう動作する操舵機構を備える。このような操舵機構を備えることで、ドーリ120が、トーイングトラクタ150などの牽引車の牽引方向に追従して走行することができる。
【0137】
図5(A)に示すように、ドーリ120は、車体ベース101上に、回転機構104を介して設けられた載置部105を備える。載置部105の上面は、コンテナなどの貨物が載置される載置面105Aになっている。
【0138】
図5(B)に示すように、載置部105は、載置面105A内に、移載駆動装置160によって回転駆動されるローラ106を備える。貨物は、これらのローラ106上に載置される。ローラ106は、貨物を前後方向(
図5のY方向)に移載させるよう、ローラ長手方向が左右方向(
図5のX方向)を向いて配置されている。ローラ106が移載駆動装置160によって回転駆動されることで、貨物が自動的に移載される。
図5(B)においては、移載方向Tが、前後方向(
図5のY方向)となるように、ローラ106が配置されている。
【0139】
なお、ローラ106は、通常、移載駆動装置160によって回転駆動されるように、移載駆動装置160に接続された連係状態にある。ただし、ドーリ120は、この連係の解除可能に構成されている。作業者によって、連係を解除する操作が行われると、ローラ106は、回転自在となる。ローラ106が回転自在になると、載置された貨物を人力で押して、貨物を移載させることができる。このように、人力でも貨物を移載できると、移載駆動装置160が動作しないときでも、貨物の移載が可能である。
【0140】
回転機構104は、載置部105が水平回転するように、載置部105を車体ベース101に対して回転自在に支持するよう構成されている。回転機構104は、例えば、垂直方向の軸心を有する回転軸及び回転自在に回転軸を支持するベアリング等を有する。回転機構104は、載置部105を水平面において360°回転可能に支持している。また、回転機構は、90°ごとの位置で、載置部105を位置決めして回転しないように保持する保持機構(図示省略)も備えている。載置部105を回転させる場合、作業者は、保持機構による保持を解除する操作を行い、人力で、載置部105を回せばよい。載置部105が回転することで、載置面105Aに載置された貨物も回転する。
【0141】
図5(C)は、載置部105が、
図5(B)の状態から、90°水平回転した状態を示している。載置部105の回転によって、ローラ106の向きも90°変わるため、移載方向Tが、左右方向(
図5のX方向)になる。このように、第2ドーリ120は、人力で、載置部105を回転させることで、移載方向Tを変えることができる。この結果、回転駆動装置170を備えない第2ドーリ120であっても、非常時等においては、ローダ200に対する移載ポイントとして利用し得る。なお、第2ドーリ120において、載置部105の回転が不要であれば、載置部105は回転不能に設けられていてもよい。
【0142】
載置部105は、貨物を固定するためのロック107,108を備える。
図5(A)(B)に示すように、ロック107,108は、ドーリ120の前側において貨物をロックする前側ロック107と、ドーリ120の後側において貨物をロックする後側ロック108と、を含む。前側ロック107と後側ロック108とで貨物を前後両側からロックすることで、貨物をドーリ120上で動かないように固定できる。
【0143】
ロック107,108は、貨物の異なるサイズ(底面サイズ)に対応するため、複数の位置に設けられている。例えば、前側ロック107は、前側第1ロック107Aと、前側第2ロック107Bと、を有する。また、後側ロック108は、後側第1ロック108Aと、後側第2ロック108Bと、を有する。第1ロック107A,108Aは、例えば、比較的サイズの小さいLD-3のコンテナをロックする。第2ロック107B,108Bは、例えば、比較的サイズの大きいLD-4のコンテナをロックする。なお、ここでは、2種類のサイズに対応するように、第1ロック107A,108Aと、第2ロック107B,108Bの2つが設けられているが、3種類以上のサイズに対応するように、3以上のロックが設けられていてもよい。また、一つのロックを載置面105A上で移動させて、異なるサイズに対応させてもよい。
【0144】
ロックは、載置面105Aから立ち上がって載置面105Aから突出することでロック状態となり、倒されて載置面105Aから非突出になることでロック解除状態になる。載置部105は、ロックを立てるロック動作及びロックを倒すロック解除動作を、ロックに行わせるロック駆動装置165を備える。ロック駆動装置165は、例えば、ロックに、ロック動作及び解除を行わせるアクチュエータを備え得る。また、貨物のサイズに対応するため、ロックを移動させる必要がある場合、ロック駆動装置165は、ロックを移動させるよう構成され得る。この場合、ロック駆動装置165は、ロックの移動のための駆動力を発生する。
【0145】
載置部105は、貨物を検出するためのセンサ184,185,186を備える。
図5(A)(B)に示すように、センサ184,185,186は、前側センサ184と、後側センサ185と、減速センサ186と、を含み得る。これらのセンサ184,185,186は、例えば、近接センサ又は距離センサによって構成され得る。
【0146】
なお、第2ドーリ120の載置部105は、
図2のドーリD1,D2が備えるセンサ181A,181B,182,183も備え得るが、これらのセンサ181A,181B,182,183の機能については前述のとおりである。
【0147】
センサ184,185は、載置面105A上に貨物が存在することを検出する。また、センサ184,185は、載置面105A上の貨物の大きさ(底面サイズ)を識別することもできる。
【0148】
センサ184,185は、貨物の異なるサイズ(底面サイズ)に対応するため、複数の位置に設けられている。例えば、前側センサ184は、前側第1センサ184Aと、前側第2センサ184Bと、を有する。前側センサ184は、前側ロック107の近傍に配置されている。より具体的には、センサ184Aは、ロック107Aの近傍に配置され、センサ184Bは、ロック107Bの近傍に配置されている。また、後側センサ185は、後側第1センサ185Aと、後側第2センサ185Bと、を有する。後側センサ185は、後側ロック108の近傍に配置されている。より具体的には、センサ185Aは、ロック108Aの近傍に配置され、センサ185Bは、センサ108Bの近傍に配置されている。
【0149】
第1センサ184A,185Aは、例えば、比較的サイズの小さいLD-3のコンテナが到着したことを検出する。第2センサ184B,185Bは、例えば、比較的サイズの大きいLD-4のコンテナが到着したことを検出する。なお、ここでの「到着」は、貨物がロック107,108によってロックされるべき位置に到着したことをいう。また、ここでは、2種類のサイズに対応するように、第1センサ184A,185Aと、第2センサ184B,185Bの2つが設けられているが、3種類以上のサイズに対応するように、3以上のセンサが設けられていてもよい。また、一つのセンサを載置面105A上で(ロックとともに)移動させて、異なるサイズに対応させてもよい。
【0150】
ドーリ120に載置されるべき貨物が、他のドーリ又はローダ200から貨物が移載されてくる場合、ドーリ120のコントローラ175は、貨物が、移載されてくる前に、移載方向における前側のロックが立つようにロック駆動装置165を制御する。例えば、
図5の左から右へ(ドーリ120の前から後ろへ)貨物が移載されてくる場合、コントローラ175は、移載されてくる貨物を受け止めるため、移載方向前側である後側ロック108を立てるようロック駆動装置165を制御する。また、コントローラ175は、その貨物の種類(大きさ)を示すデータに基づいて、貨物の種類(大きさ)を識別し、後側ロック108のうち、後側第1ロック108Aを立てるのか、後側第2ロック108Bを立てるのかを決定する。例えば、LD-3の貨物が移載されてくる場合、後側第1ロック108Aが立てられる。
【0151】
LD-3の貨物が、後側第1ロック108Aに受け止められるまで移載されたことは、後側第1ロック108A近傍に設けられた後側第1センサ185Aによって検出される。これにより、コントローラ175は、貨物がドーリ120に到着したことを認識できる。貨物が到着したことが検出されると、コントローラ175は、移載方向後側である前側ロック107を立てるようロック駆動装置165を制御する。このときも、コントローラ175は、その貨物の種類(大きさ)を示すデータに基づいて、貨物の種類(大きさ)に応じたロックが立つようにロック駆動装置165を制御する。ここでは、前側第1ロック107Aが立てられる。以上により、移載されてきたLD-3の貨物が、ロック107A,108Aによって両側から自動的に固定される。
【0152】
センサ186は、ドーリ120の前後方向のほぼ中央に配置されている。センサ186は、他のドーリ又はローダ200から移載されてきた貨物が、センサ186の位置まで到達したことを検出する。コントローラ175は、貨物がセンサ186の位置まで到達したことを検出すると、移載速度が低下するように、移載駆動装置160を速度制御する。これにより、後側第1ロック108A(移載方向前側のロック)に受け止められる直前において貨物の移載速度を低下させて、貨物がロックに接触する際の衝撃を低下させることができる。
【0153】
図6及び
図7は、回転駆動装置170を備える第1ドーリ110の構造の一例を示している。
図6及び
図7は、一つの第1ドーリ110単体を示している。この第1ドーリ110は、他のドーリ110,120に連結して用いられる。
【0154】
図6及び
図7に示す第1ドーリ110は、
図5に示す第2ドーリ120が備える構造・機能を全て備えている。したがって、第1ドーリ110において、第2ドーリ120と共通する構造・機能については、説明を省略する。
【0155】
第1ドーリ110は、第2ドーリ120とは異なり、回転駆動装置170を備える。回転駆動装置170は、例えば、車体ベース101に設けられている。回転駆動装置170は、例えば、モータを備える。モータの回転軸は、適宜の減速機などの機構を介して、回転機構104が備える回転軸に接続されている。したがって、回転駆動装置170が駆動すると、回転機構104を介して、載置部105が自動回転する。回転駆動装置170は、載置部105を360°水平回転させることができ、所望の回転角で載置部105を停止させることができる。例えば、載置部105を90°回転させて、載置部105の前後方向を左右方向に向けることができる。
【0156】
このように、第1ドーリ110は、回転駆動装置170を備えているため、人力で載置部105を回転させる必要がなく、作業者の負荷が少ない。また、第1ドーリ110は、移載駆動装置160も備えているため、移載のため人力で貨物を押す必要がなく、かかる観点からも作業者の負荷が少ない。
【0157】
図6に示す状態において、載置部105は、移載方向Tが、ドーリ110の前後方向(
図6のY方向)を向いている。移載方向Tがドーリ110の前後方向を向いている場合、移載駆動装置160によって、ドーリ110上の貨物LD-3を移載駆動すると、その貨物LD-3を、前方又は後方にある他のドーリに移載することができる。もしくは、他のドーリから移載されてきた貨物を、移載駆動装置160によって、ドーリ110内に引き込むことができる。
【0158】
回転駆動装置170によって、回転軸C回りに、載置部105を90°回転させると、
図6に示す状態から、
図7に示す状態になる。
図7では、載置部105は、移載方向Tが、ドーリ110の左右方向(
図7のX方向)を向いている。移載方向Tがドーリ110の左右方向を向いている場合、移載駆動装置160によって、ドーリ110上の貨物LD-3を移載駆動すると、その貨物を、左側方又は右側方にあるローダ200に移載することができる。もしくは、ローダ200から移載されてきた貨物を、移載駆動装置160によって、ドーリ110内に引き込むことができる。
【0159】
なお、載置部105は、通常、回転駆動装置170によって回転駆動されるように、回転駆動装置170に接続された連係状態にある。ただし、ドーリ110は、この連係の解除可能に構成されている。作業者によって、連係を解除する操作が行われると、載置部105は、回転自在となる。載置部105が回転自在になると、載置部105を人力で押して、載置部105を回転させることができる。このように、人力でも載置部105を回転可能であると、回転駆動装置170が動作しないときでも、移載方向Tの変更が可能である。
【0160】
載置部105は、貨物を検出するためのセンサ187A,187Bを備える。センサ187A,187Bは、ドーリ110上の貨物の向きを検出する。ここでは、片側オーバハングのコンテナLD-3の向きを検出する。片側オーバハングのコンテナは、コンテナの長辺方向両側のうち、下部傾斜面Sが形成されている側は、コンテナ底面に対してコンテナ側部がオーバハングしている一方、その反対側は、コンテナ底面に対してコンテナ側部が垂直に立っており、両者において形状が異なる。向きセンサ187A,187Bは、一例として、片側オーバハングのコンテナは、コンテナの長辺方向両側の形状が異なることを利用して、コンテナLD-3の向きを検出する。
【0161】
図6(A)において、実線で示すコンテナLD-3は、オーバハングがドーリ110の前側(
図6において左側)にある。この場合、コンテナドアがある面Aは、ドーリ左側(
図6(A)において紙面手前側、
図6(B)において下側)にある。なお、
図6(B)において、点線で示すコンテナLD-3は、
図6(A)において実線で示すコンテナLD-3に対応する。
【0162】
図6(A)において、1点鎖線で示すコンテナLD-3は、オーバハングがドーリ110の後側(
図6(A)において右側)にある。この場合、コンテナドアがある面Aは、ドーリ右側(
図6(A)において紙面奥側)にある。
【0163】
ドーリ110には、コンテナLD-3が、実線で示す向きで載置されることもあれば、1点鎖線で示す向きで載置されることもある。なお、ロック107,108は、コンテナLD-3がいずれの向きで載置されていても、同じようにロックできる。
【0164】
図示の向きセンサ187A,187Bは、ロック107,108によって位置固定されたコンテナLD-3におけるオーバハングを検出するよう設けられている。
【0165】
向きセンサ187A,187Bは、一例として、載置部105の前側に配置された向きセンサ187Aと、載置部105の後側に配置された向きセンサ187Bと、を含む。
図6(B)に示すように、向きセンサ187Aは、載置部105の前側の左右に配置された発光素子187Aと受光素子187Aとを備える光センサによって構成され得る。また、向きセンサ187Bは、載置部105の後側の左右に配置された発光素子187Bと受光素子187Bとを備える光センサによって構成され得る。センサ187A,187Bは、センサ187A,187Bが載置面105Aから所定の高さ位置に存在するように、支持体を介して載置部105に取り付けられている。
【0166】
図6(A)において実線で示すコンテナLD-3のようにドーリ110前側にオーバハングがある場合には、前側の発光素子187Aと受光素子187Aとの間にオーバハングが位置する。したがって、前側にオーバハングが存在することが前側のセンサ187Aによって検出される。このとき、後側のセンサ187Bの間にはコンテナLD-3が位置しないため、センサ187BはコンテナLD-3を検出しない。
【0167】
図6(A)において1点鎖線で示すコンテナLD-3のようにドーリ110後側にオーバハングがある場合には、後側の発光素子187Bと受光素子187Bとの間にオーバハングが位置する。したがって、後側にオーバハングが存在することが後側のセンサ187Bによって検出される。このとき、前側のセンサ187Aの間にはコンテナLD-3が位置しないため、センサ187AはコンテナLD-3を検出しない。
【0168】
したがって、コントローラ175は、センサ187A,187Bによって、オーバハングがどちらにあるか、すなわち、ドーリ110上のコンテナLD-3の向き、を検出することができる。なお、ドーリシステム100のコントローラ175は、前述のように、コンテナの1次元コード又は2次元コードの読取、ICタグの読取、画像認識によって、コンテナの向きを検出してもよい。
【0169】
コントローラ175は、センサ187A,187Bによって検出された貨物の向きに基づいて、回転駆動装置170による回転方向を決定し、決定した回転方向に回転するよう回転駆動装置170を制御し得る。回転方向の決定は、センサ187A,187Bによって検出された貨物の向きだけに基づいておこなわれてもよいし、センサ187A,187Bによって検出された貨物の向きと、その他のデータと、に基づいて行われてもよい。その他のデータは、例えば、その貨物の搭載データ401である。
【0170】
例えば、航空機へのコンテナの搭載時において、コントローラ175は、センサ187A,187Bによって検出されたコンテナLD-3の向きと、そのコンテナLD-3が航空機において搭載されるときの向きを識別するためのデータと、に基づいて、回転駆動装置170による回転方向を決定し得る。搭載されるときの向きを識別するためのデータとしては、例えば、そのコンテナLD-3の搭載位置を示す搭載データ401が用いられる。この場合、コンテナLD-3は、ドーリ110において、航空機において搭載されるときの向きに自動的に変化し、その向きで、ローダ200に移載される。したがって、ローダ200は、その向きのまま、コンテナLD-3を移載すればよく、ローダ200で、コンテナの向きを把握したり、コンテナを回転させたりする必要がない。
【0171】
また、航空機からのコンテナの降載(取卸)時において、コントローラ175は、ローダ200からコンテナLD-3が移載された後、センサ187A,187Bによって検出されたコンテナLD-3の向きと、そのコンテナLD-3がドーリ上で向くべき向きを識別するためのデータと、に基づいて、回転駆動装置170による回転方向を決定し得る。コンテナLD-3がドーリ上で向くべき向きを識別するためのデータとしては、例えば、そのコンテナLD-3の搭載データ401が用いられる。搭載データ401は、コンテナ内容物(輸送物)を示すデータ401D(
図3参照)を有している。内容物に応じて、コンテナLD-3がドーリ上で向くべき向きが異なる場合、搭載データ401に含まれるデータ401Dに基づいて、回転方向を決定できる。
【0172】
なお、コントローラ175は、コンテナLD-3の向きを、外部装置(例えば、ローダ200のコントローラ275又は端末500)から取得してもよい。この場合、ドーリ110は、向きを検出するセンサ187A,187Bを備える必要がない。
【0173】
コントローラ175は、センサ187A,187Bによって検出されたコンテナLD-3の向きを、外部へ(例えば、ローダ200のコントローラ275又は端末500へ)、送信してもよい。例えば、コントローラ175から送信されたコンテナ向きを受信したローダ200のコントローラ275は、受信したコンテナ向きに基づいて、ローダ200上で、そのコンテナを回転させることができる。
【0174】
例えば、コントローラ275は、受信したコンテナ向きと、そのコンテナLD-3が航空機において搭載されるときの向きを識別するためのデータと、に基づいて、回転駆動装置270による回転方向を決定し、その方向に回転駆動装置270を制御し得る。この場合、ドーリのコントローラ175は、航空機において搭載されるときのコンテナ向きを考慮することなく、単に、コンテナがローダ200に移載されるように、コンテナを回転させれば足りる。
【0175】
図8は、ローダ200の構造の一例を示している。
図8では、
図2にローダ200の最後尾にある作業プラットフォームEPが示されている。なお、ローダ200への移載ポイントとなるドーリ110は、作業プラットフォームEPの後方(
図8の左側)に位置する。ドーリ110と作業プラットフォームEPとの間で、貨物3が移載される。
【0176】
図8(A)に示すように、作業プラットフォームEPは、車輪202,203と、搬送駆動装置260によって回転駆動されるローラ206と、を備える。貨物3は、ローラ206上で搬送される。搬送駆動装置260は、ドーリ110から移載された貨物3を貨物室へ向けて搬送する。また、搬送駆動装置260は、貨物室から搬出された貨物3をドーリ110へ向けて搬送する。なお、
図8(A)の作業プラットフォームEPにおいては、貨物3を回転させるための回転駆動装置270の図示が省略されているが、回転駆動装置270を備えていてもよい。
【0177】
図8(A)~(E)に示すように、作業プラットフォームEPは、センサ285A,285B,285C,286A,286Bを備える。
【0178】
なお、作業プラットフォームEPは、
図2に示すセンサ281,282,283も備え得るが、これらのセンサ281,282,283の機能については前述のとおりである。なお、
図8のセンサ285Aの機能・役割は、
図2のセンサ283と共通するため、センサ285A及びセンサ283のいずれか一方を省略してもよい。
【0179】
センサ285Aは、ローダ200(の作業プラットフォームEP)の後端に、貨物3が到達したことを検出する。センサ285Aは、例えば、距離センサ又は近接センサである。
【0180】
センサ285B,285Cは、貨物3の大きさ(LD-3かLD-4か)を検出し得る。センサ285B,285Cは、例えば、距離センサ又は近接センサである。
図8(B)に示す貨物3Aは、一例として、LD-4である。なお、貨物3Aに付与されたコード「DQP」は、コンテナタイプがLD-4であることを示す。
図8(C)に示す貨物3Bは、一例として、LD-3である。なお、貨物3Bに付与されたコード「AKE」は、コンテナタイプがLD-3であることを示す。
【0181】
図8(B)に示すように、貨物3Aが、センサ285Aの位置に到達したときに、センサ285C(及び285B)の上には、貨物3Aが存在する。
図8(C)に示すように、貨物3Bが、センサ285Aの位置に到達したときに、センサ285Cの上には貨物3Bが存在しないが、センサ285Bの上には、貨物3Bが存在する。
【0182】
したがって、コントローラ275は、センサ285A,センサ285B及びセンサ285Cの全てが貨物を検出しているときは、その貨物の種類(大きさ)は、LD-4であると判断する。また、コントローラ275は、センサ285A及び285Bだけが貨物を検出しているときは、その貨物の種類(大きさ)は、LD-3であると判断する。なお、
図8(D)の場合も、同様に、LD-3であると判断される。
【0183】
コントローラ275は、センサ285A,285B,285Cによって検出された貨物の種類(大きさ)を示すデータを、ドーリシステム100のコントローラ175へ送信することができる。コントローラ175は、貨物の種類(大きさ)を示すデータを受信し、受信したデータに基づいて、貨物が載置されるドーリにおいて、貨物の大きさに対応したロック107,108を動作させることができる。
【0184】
図8(C)(D)に示すように、センサ285A,285B,285Cは、センサ286A,286Bとともに、貨物3の向きを検出し得る。センサ286A,286Bは、例えば、光センサである。
【0185】
図8(C)において、センサ286Aは下部傾斜面Sによるオーバハングの位置で貨物3Bを検出するが、センサ286Bは貨物3Bを検出しない。一方、
図8(D)において、センサ286Aは貨物3Cを検出しないが、センサ286Bは下部傾斜面Sによるオーバハングの位置で貨物3Cを検出する。
【0186】
したがって、コントローラ275は、貨物が、LD-3である場合において、センサ286A,286Bのうちいずれのセンサで貨物が検出されているかによって、片側オーバハングのコンテナの向きを判断できる。なお、貨物が、両側オーバハングのLD-3である場合には、センサ286A,286Bの両方で貨物が検出され、直方体のLD-3である場合には、センサ286A,286Bの両方とも貨物を検出しない。
【0187】
図8(E)は、センサ286A,286Bの他の例を示している。
図8(E)において、センサ286A,286Bは、カメラなどの視覚センサである。視覚センサ286A,286Bは、貨物3Dを撮像する。コントローラ275は、撮像された画像に対する画像認識処理によって、貨物3Dの形状を認識する。コントローラ275は、貨物3Dの形状認識によって、下部傾斜面Sの位置を検出する。コントローラ275は、下部傾斜面Sの位置に応じて、貨物3Dの向きを検出する。
【0188】
センサ286A,286Bは、貨物3Dに付与されたULD-ID(「AKE3344NH」)を撮像してもよい。この場合、コントローラ275は、撮像された画像に対する文字認識処理によって、ULD-IDが「AKE3344NH」であることを認識し得る。つまり、コントローラ275は、視覚センサ286A、286Bによって、貨物3DのULD-IDを検出し得る。ULD-IDは、貨物3の種類・大きさなどを示すため、コントローラ275は、検出したULD-IDに基づいて、貨物3の種類又は大きさ等を識別できる。
【0189】
また、センサ286A,286Bは、カメラ又はその他のコード読取器であってもよい。ここでのコード読取器は、バーコードなどの1次元コード又はQRコード(登録商標)などの2次元コードのように、機械読み取り形式のコード3Fを読み取る装置である。
【0190】
バーコードなどの機械読み取り形式のコード3Fは、例えば、貨物3のULD-IDを示すよう構成されており、貨物3のいずれかの面に印刷等によって付与されている。この場合、コントローラ275は、読み取ったコード3Fに基づいて、ULD-IDを検出できる。
【0191】
バーコードなどの機械読み取り形式のコードは、例えば、コンテナにおいて、コンテナドアを有する面A、及び、面Aの反対面のうちのいずれか一方の面、又は、面A及びその反対面の両方に付与され得る。バーコードなどの機械読み取り形式のコード3Fは、そのコードが、貨物が有する複数の面のうちのどの面に存在するかを示すよう構成されていてもよい。この場合、コントローラ275は、コードを読み取った位置と、読み取ったコードが示す面と、に基づいて、貨物の向きを認識できる。
【0192】
なお、貨物3には、コード3Fに代えて、ICタグ(RFID)が取り付けられていてもよい。この場合、センサ286A,286Bは、ICタグ(RFID)の読取器であり得る。コード3F又はICタグの読取は、作業者P1が有する端末500によって行われてもよい。
【0193】
ローダ200上の貨物の向き等を識別したコントローラ275は、ドーリ110上の貨物の向き等を識別したコントローラ175と同様に、貨物が適切な向きに向くように、回転駆動制御し得る。なお、コントローラ275は、貨物を適切な向きにするため、コントローラ175と同様に、搭載データ401を参照し得る。ローダ200上で、貨物が適切な向きに向くことで、ドーリシステム100では、貨物の向きを把握したり、貨物の向きを適切にするための回転をしたりする必要がなくなる。
【0194】
また、コントローラ275は、貨物の種類、大きさ、向きなどを示すデータを、ドーリシステム100のコントローラ175に送信し得る。この場合、ドーリシステム100において、貨物3を適切に回転させることができる。この場合、ローダ200は、貨物の回転機能を有する必要がない。
【0195】
図9は、1又は複数のコントローラ175によって実行される搭降載処理を示している。搭降載処理は、搭載処理及び取卸処理(降載処理)のいずれか一方、又は、両方を含み得る。搭載処理は、ドーリシステム100に載置された貨物を、航空機に搭載するために、ローダ200へ移載するための制御を含む。取卸処理は、航空機から降載された貨物を、ローダ200からドーリシステム100へ移載するための制御を含む。
【0196】
搭降載処理は、ドーリシステム100が、ローダ200の傍に停車してから、実行開始される。
【0197】
コントローラ175は、ステップS91において、搭載処理を実行すべきか、取卸処理を実行すべきかを識別する。航空機の出発前には搭載処理が行われ、航空機の到着後には取卸処理が行われる。ステップS91の識別は、例えば、ドーリシステム100が備える操作装置(図示省略)又はリモートコントローラとしての端末500を、作業者P1が操作して、搭載及び取卸のいずれか一方を選択した結果に基づいて行われる。コントローラ175は、搭載処理及び取卸処理のうち、識別した処理を実行する。ステップS91の識別は、サーバ400等の他の外部装置から送信された信号に基づいて行われてもよい。
【0198】
コントローラ175は、ステップS92において、ローダ200の近傍に停車したドーリシステム100からみて、ローダ200が左右のいずれ側に位置するかを識別する。ローダ200がドーリシステム100の左側方に位置していれば、ローダ200との間の貨物の移載は、左側方において行われる(
図1参照)。一方、ローダ200がドーリシステム100の右側方に位置していれば、ローダ200との間の貨物の移載は、右側方において行われる(
図1参照)。コントローラ175は、識別したローダ200の位置に応じて、回転駆動装置170の制御、移載駆動装置160の移載方向の制御、ロック駆動装置165によるロック位置の制御などを行う。
【0199】
コントローラ175は、センサ181A,181B(
図2参照)等のセンサによって、ローダ200の位置を識別し得る。また、ローダ200の位置の識別は、ドーリシステム100が備える操作装置(図示省略)又はリモートコントローラとしての端末500を、作業者P1が操作して、ローダ200の位置を入力することで行われてもよい。
【0200】
コントローラ175は、ステップS93において、搭載データ401(
図3参照)を取得する。コントローラ175は、搭載データ401を、サーバ400から、直接、受信し得る。また、搭載データ401は、端末500及びコントローラ275の一方又は両方によっても受信され得る。コントローラ175は、端末500又はコントローラ275を介して、搭載データ401を受信してもよい。
【0201】
作業者P1は、例えば、端末500又はドーリシステム100が備える操作装置において、貨物の搭降載が行われる航空機を選択する操作(例えば、航空機の機種名の入力又は選択)を行い、その航空機に対応した搭載データ401を、サーバ400等から取得する。なお、貨物の搭降載に搭載データ401が不要な場合(例えば、貨物の取卸時であって、航空機における搭載位置を考慮せずに、ドーリシステム100へ載置する場合)、搭載データ401の取得は省略されてもよい。
【0202】
コントローラ175は、ステップS94において、貨物データを取得する。ここでの貨物データは、ドーリシステム100とローダ200との間で移載される貨物を識別するためのデータである。つまり、搭載時においては、ドーリシステム100に載置されている貨物を識別するためのデータであり、取卸時においては、航空機に搭載されている貨物又は航空機の貨物室から搬出されてローダ200上にある貨物を識別するためのデータである。
【0203】
貨物データは、例えば、貨物が有するULD-IDである。ULD-IDは、貨物の種類(大きさなど)を示す。貨物は、印刷又は貼付されたULD-ID、ULD-IDを示す1次元コード又は2次元コード、又はULD-IDを記憶したICタグなどを備え得る。このようなULD-IDは、ドーリシステム100に設けられた適宜のセンサ(読取器)、読取機能を有する端末500、ローダ200が備えるセンサ286A,286Bによって読み取られる。
【0204】
コントローラ175は、ULD-IDに基づいて、搭載データ401を参照することで、貨物の詳細なデータを取得することができる。例えば、
図3に示すように、コントローラ175は、ULD-IDに対応する搭載位置401Bを識別し得る。コントローラ175は、ULD-IDに対応する輸送物301Dを識別できる。コントローラ175は、ULD-IDに対応するドーリID401Eを識別し得る。コントローラ175は、ULD-IDに対応する搭載順401Fを識別し得る。
【0205】
また、搭載データ401においては、一つのドーリシステム100によって運搬される貨物のグループが、ID401Aによって示されている。一つのグループが、1台のドーリシステム100によって1度に搭降載される単位である。コントローラ175は、いずれかの貨物のULD-IDを取得すれば、搭載データ401において、その貨物と同じグループに属する貨物を認識できる。
【0206】
貨物データは、貨物の向きを示すデータを含み得る。貨物の向きもドーリシステム100、ローダ200、端末500において、検出され得る。貨物の向きは、作業者P1が、端末500へ入力することによって取得されてもよい。なお、搭載時におけるドーリシステム100上の貨物の向きは、予め決まった所定の向きになっており、既知であり得るため、ステップS93で取得される搭載データ401に含まれていてもよい。
【0207】
コントローラ175は、ステップS95において、ステップS91~ステップS94で識別又は取得したデータに基づいて、貨物の自動移載のため、移載駆動装置160、ロック駆動装置165、回転駆動装置170を制御する。このとき、コントローラ175は、必要に応じて、ローダコントローラ275及び端末500のいずれか一方又は両方との間で通信を行い、搭降載のための協調制御を実行する。
【0208】
なお、ステップS91~S94の実行順序は限定されるものではなく、これらのステップS91~S94は必要に応じて任意の順序で実行され得る。
【0209】
図10及び
図11は、航空機からの貨物の取卸の手順の一例を示している。ドーリシステム100は、貨物が載置されていない状態で、トーイングトラクタ150によって牽引されて、ローダ200へ向かって走行する。一例として、
図10(A)に示すように、ドーリシステム100は、ドーリD3の右側方にローダ200が位置する状態で停車する。ここでは、ドーリD3が第1ドーリ110によって構成され、ドーリD1,D2,D4,D5,D6が第2ドーリ120によって構成されている。ドーリD3が移載ポイントであり、ドーリD1,D2,D4,D5が非移載ポイントである。なお、ドーリシステム100がローダ200に向かって走行している間は、ドーリシステム100を構成する全ドーリD1,D2,D3,D4,D5,D6のロック107,108は立ち上がっており、ロック状態にある。以下では、ロック107,108が立ち上がっていることを「ON」といい、ロックが倒れていることを「OFF」という。
図10(A)においては、全ドーリのロックがONである。
【0210】
また、
図10(A)では、航空機の貨物室から搬出された2つの貨物1,2が、ローダ200上にある。なお、以下で説明する貨物は、全て、片側オーバハングのLD-3コンテナであるものとする。貨物1,2は航空機に搭載されていたときのままの向きでローダ200上にあるため、最初にドーリシステム100に移載される貨物1は、下部傾斜面Sが、ドーリシステム100側(
図10の下側)を向いており、次の貨物2は、下部傾斜面Sが、航空機側(
図10の上側)を向いている。
【0211】
ドーリシステム100のコントローラ175は、ドーリシステム100がローダ200に横付けされると、
図9に示す搭降載処理(取卸処理)を実行する。コントローラ175は、ステップS91からステップS94を実行する。ステップS95において、駆動装置160,165,170を制御する。まず,コントローラ175は、全ドーリのロックを解除(OFF)する。
【0212】
コントローラ175は、移載ポイントであるドーリD3のロック107,108を両方ONにする。また、コントローラ175は、
図10(B)に示すように、ドーリシステム100の最前部にあるドーリD1の前側ロック107及び最後部にあるドーリD6の後側ロック108をONにする。ステップS93,S94によって、コントローラ175は、航空機から降載される予定の貨物1,2,3,4,5,6に関するデータ(貨物の大きさなど)を把握済みである。コントローラ175は、貨物の大きさに応じた位置にあるロックをONする(以下、同様)。ここでは、コンテナはLD-3であるので、ドーリにおけるロック107A,108A(
図5参照)がONされる。
【0213】
そして、
図10(B)に示すように、コントローラ175は、移載ポイントであるドーリD3の載置面の90°回転R1を実行する。ここでは、ドーリD3は反時計回りに90°回転する。これにより、ドーリD3の後側がドーリシステム右側方を向いてローダ200に近接し、ドーリD3の前側がドーリシステム左側方を向いて、ローダ200の反対側に位置する。
【0214】
ドーリD3の回転後、コントローラ175は、ドーリD3の後側ロック108をOFFにする。これにより、ドーリD3のロック107,108のうち、ローダ200に近い側のロック108がOFFであり、ローダ200から遠い側のロック107がONである状態が得られる。ローダ200側のロック108がOFFであることで、ローダ200からドーリD3へ貨物1を移載可能になる。また、ロック107は、移載された貨物を受け止める。
【0215】
コントローラ175は、ローダ200のコントローラ275から、ローダ200の後端に貨物1が到着していることを示す信号を受信した後、ドーリD3の移載駆動装置160による移載方向がT1方向(
図10(C)参照)となるように移載駆動装置160を制御する。また、ローダ200のコントローラ275も、貨物1,2がドーリD3側へ搬送されるよう搬送駆動装置260を制御する。このように、移載駆動装置160と搬送駆動装置260とが協調して同時に動作することで、ローダ200からドーリD3への移載が円滑化される。
【0216】
コントローラ175は、貨物1がドーリD3に移載されたことをドーリD3のセンサによって検知すると、ドーリD3のロック108をONし、貨物1を固定する。また、ローダ200の搬送駆動装置260も一旦停止する。
【0217】
その後、
図10(D)に示すように、コントローラ175は、ドーリD3の回転駆動装置170を制御して、90°回転R2(時計回り回転)を実行する。これにより、ドーリD3の移載方向が、隣接する他のドーリD2,D4に向く。
【0218】
回転R2の回転方向は、回転R2前における貨物1の向きに応じて決定される。また、貨物1の回転方向R2は、ドーリシステム100において貨物1が向くべき向きに応じて決定される。ここでは、貨物1の内容物が「手荷物以外の貨物」であり、下部傾斜面Sがドーリシステム前方を向くように載置されるべきことが、搭載データ401等に基づき識別される(以下、他の貨物についても同様)。コントローラ175は、以上に基づき、回転R2の回転方向を、「時計回り」に決定する。
【0219】
その後、
図10(E)に示すように、コントローラ175は、貨物1のドーリシステム内自動移載を実行する。ここでは、ローダ200から移載されてきた貨物は、一例として、その移載順に、D6,D1,D5,D2,D4,D3に載置されることが、コントローラ175において設定されている。コントローラ175は、その設定に基づき、最初にローダ200から移載された貨物1のドーリシステム内移載先がドーリD6であることを識別する。
【0220】
コントローラ175は、ドーリD3のロック107,108のうち、移載先であるドーリD6側のロック108をOFFにする。これにより、貨物1が、ドーリD6へ向かう方向に移動可能になる。
【0221】
そして、
図10(D)に示すように、コントローラ175は、貨物1が、D3から移載先であるドーリD6に移載されるように、ドーリD3,D4,D5,D6の移載駆動装置160を駆動制御する。例えば、コントローラ175は、まず、ドーリD3の移載駆動装置160を、ドーリD6へ向かう移載方向T2に貨物1が移載されるよう駆動制御する。コントローラ175は、貨物1がドーリD4に進入したことをドーリD4のセンサによって検出すると、ドーリD4の移載駆動装置160を動作させ、貨物1をドーリD4に引き込む。コントローラ175は、ドーリD3上から貨物1がなくなったことをドーリD3のセンサによって検出すると、ドーリD3の移載駆動装置160を停止させる。以下、同様にして、ドーリD4からドーリD5へ、ドーリD5からドーリD6へ、貨物1が移載されるように、各移載駆動装置160が動作する。
【0222】
コントローラ175は、貨物1がドーリD6に到着したことをドーリD6のセンサによって検出すると、ドーリD6の移載駆動装置160を停止させ、ドーリD6のロック107をONにする。これにより、貨物1が、ドーリD6上で固定される。
【0223】
コントローラ175は、貨物1の移載が完了すると、次の貨物2の移載のため、移載ポイントであるドーリD3の回転R3を実行する。ここでの回転R3は、反時計回りの90°回転である。コントローラ175は、次の貨物の受け入れ態勢が整ったことを示す信号をコントローラ275へ送信する。その信号を受信したコントローラ275は、搬送駆動装置260を駆動制御し、貨物2をドーリD3へ移載する。このとき、並行して、次の2つの貨物3,4が航空機の貨物室から搬出される(
図10(F)(G)参照)。
【0224】
コントローラ175は、ドーリD3の移載駆動装置160を駆動制御して、貨物2をドーリに引き込み、ドーリD3に貨物が到着したことを検出すると、ドーリD3のロック108をONにして、両ロック107,108によって貨物を固定した状態で、ドーリD3の回転R4を実行する(
図10(G)参照)。ここでの回転R4は、反時計回り90°回転である。これにより、ドーリD3の移載方向が、隣接する他のドーリD2,D4に向く。また、貨物2の下部傾斜面Sが、ドーリシステムの前方を向く。
【0225】
コントローラ175は、貨物2のドーリシステム内移載先がドーリD1であることを識別する。
【0226】
図10(G)に示すように、コントローラ175は、ドーリD3のロック107,108のうち、移載先であるドーリD1側にあるロック108をOFFにする。これにより、貨物1が、ドーリD1へ向かう方向に移動可能になる。
【0227】
そして、
図11(A)に示すように、コントローラ175は、貨物1が、ドーリD3から移載先であるドーリD1に移載されるように、ドーリD3,D2,D1の移載駆動装置160を駆動制御する。コントローラ175は、貨物2が、ドーリD1へ向かう移載方向T4へ移載されるよう、各移載駆動装置160を制御する。
【0228】
コントローラ175は、貨物1がドーリD1に到着したことをドーリD1のセンサによって検出すると、ドーリD1の移載駆動装置160を停止させ、ドーリD1のロック108をONにする。これにより、貨物1が、ドーリD1上で固定される。
【0229】
そして、
図11(B)に示すように、コントローラ175は、次の貨物3が載置されるドーリD5のロック108をONにした上で、回転R5を実行し、次の貨物3をローダ200から引き込む。
【0230】
続いて、
図11(C)に示すように、コントローラ175は、回転R6を実行する。また、コントローラ175は、貨物3を、ドーリD5に移載すべく、貨物3が移載方向Tに移載されるよう移載駆動装置160を制御する。コントローラ175は、貨物3がドーリD5に到着したことをドーリD5のセンサによって検出すると、ドーリD5のロック107をONにして、貨物3が、ドーリD5上で固定する。
【0231】
そして、
図11(D)及び
図11(E)に示すように、以上と同様の手順によって、次の貨物4は、ローダ200から、ドーリD3を経由して、ドーリD2に移載される。
【0232】
また、
図11(F)に示すように、その次の貨物5は、ローダ200から、ドーリD3を経由して、ドーリD4に移載される。
図11(G)に示すように、さらにその次の貨物6は、ローダ200からドーリD3に移載される。
【0233】
以上のようにして、航空機から降載された6つの貨物1,2,3,4,5,6がドーリシステム100に移載される。ドーリシステム100は、トーイングトラクタ150によって牽引されて、空港の荷ほどき場に移動する。
【0234】
図12及び
図13は、航空機への貨物の搭載の手順の一例を示している。貨物1,2,3,4,5,6が載置されたドーリシステム100は、ローダ200へ向かって走行する。一例として、
図11(A)に示すように、ドーリシステム100は、まず、ドーリD1の右側方にローダ200が位置する状態で停車する。ドーリシステム100の走行中においては、全ドーリのロックがONされている。
【0235】
ここでは、ドーリD1,D3が第1ドーリ110によって構成され、移載ポイントになる。ドーリD2,D4,D5,D6は非移載ポイントである。ドーリD1には貨物1が載置され、ドーリD2には貨物2が載置され、ドーリD3には貨物3が載置され、ドーリD4には貨物4が載置され、ドーリD5には貨物5が載置され、ドーリD6には貨物6が載置される。貨物1,2,3,4,5,6は、全て、片側オーバハングのLD-3コンテナであるものとする。ドーリシステム100上において、貨物1,2,3,4,5,6の向きは揃っており、下部傾斜面Sがドーリシステム前方(
図11(A)の左側)を向いている。
【0236】
ドーリシステム100のコントローラ175は、ドーリシステム100がローダ200に横付けされると、
図9に示す搭降載処理(搭載処理)を実行する。コントローラ175は、ステップS91からステップS94を実行する。ステップS95において、駆動装置160,165、170を制御する。
【0237】
コントローラ175は、最初の移載ポイントであるドーリD1の前側ロック107をOFFにする。ステップS93,S94によって、コントローラ175は、ドーリシステム100に載置されている貨物1,2,3,4,5,6に関するデータ(貨物の種類・大きさ・向き、搭載位置など)を把握済みである。コントローラ175は、貨物の大きさに応じた位置にあるロックをONする(以下、同様)。
【0238】
そして、
図12(B)に示すように、コントローラ175は、移載ポイントであるドーリD1の載置面の90°回転R11を実行する。ここでは、ドーリD1は時計回りに90°回転する。これにより、ドーリD1の前側がドーリシステム右側方を向いてローダ200に近接し、ドーリD1の後側がドーリシステム左側方を向いて、ローダ200の反対側に位置する。また、回転R11によって、貨物1は、下部傾斜面Sが、ローダ200側へ向く。
【0239】
回転R11の回転方向は、ドーリD1上での貨物1の向き、及び、航空機における貨物1の搭載位置に基づいて決定され得る(以下の回転についても同様)。回転方向の決定の際には、貨物1の種類が考慮されてもよい。貨物1の種類によっては、貨物1の向きを考慮せず、回転方向を決定し得る。
【0240】
ドーリD1の回転後、コントローラ175は、ドーリD1の前側ロック107をOFFにする。これにより、ドーリD1のロック107,108のうち、ローダ200に近い側のロック107がOFFであり、ローダ200から遠い側のロック108がONである状態が得られる。ローダ200側のロック108がOFFであることで、ドーリD1からローダ200へ貨物1を移載可能になる。
【0241】
コントローラ175は、ドーリD1の移載駆動装置160による移載方向がT11方向となるように移載駆動装置160を制御する。ローダ200のコントローラ275は、貨物1が、ローダ200に移載されてきたことを検出すると、搬送駆動装置260を駆動制御し、ローダ200に貨物を引き込み、貨物室まで搬送する。このように、移載駆動装置160と搬送駆動装置260とが協調して同時に動作することで、ドーリD1からローダ200への移載が円滑化される。
【0242】
図12(C)に示すように、コントローラ175は、貨物1が、完全にローダ200へ移載されて、ドーリD1上にないことを検出すると、ドーリD2上の貨物2の移載を開始する。コントローラ175は、ドーリD1が、ドーリD2から貨物2を受け入れられるように、回転R12を実行する。回転R12は、時計回りの90°回転である。これにより、ドーリD1の移載方向が、隣接するドーリD2に向く。なお、この状態において、ドーリD1のロック107,108のうち、ドーリD2に近い側のロック107はOFFである。
【0243】
回転R12の後、コントローラ175は、ドーリD2の移載駆動装置160を駆動制御し、貨物2を移載方向T12に移動させる。これにより貨物2がドーリD1に移載される。このとき、コントローラ175は、貨物2がドーリD1に進入してきたことを検出すると、ドーリD1の移載駆動装置160も駆動させて、貨物2をドーリD1に確実に引き込む。コントローラ175は、ドーリD2上から貨物2がなくなったことをドーリD2のセンサによって検出すると、ドーリD2の移載駆動装置160を停止させる。
【0244】
図12(D)に示すように、コントローラ175は、貨物2がドーリD1に到着したことをドーリD1のセンサによって検出すると、ドーリD1の移載駆動装置160を停止させ、ドーリD1のロック107をONにして、貨物2を固定した上で、反時計回りの90°回転R13を実行する。そして、コントローラ175は、ドーリD1のロック107をOFFにする。これにより、貨物2は、ドーリD1とローダ200との間で移動可能になる。また、貨物2は、下部傾斜面Sが、ドーリシステム左側方を向き、貨物1とは逆向きになる。
【0245】
そして、コントローラ175が、ドーリD1の移載駆動装置160による移載方向がT13方向となるように移載駆動装置160を制御することなどが行われることによって、貨物1と同様に、貨物2がローダ200に移載される。
【0246】
図12(E)に示すように、ローダ200のコントローラ275は、搭載位置にあわせて逆向きになった2つの貨物1,2が航空機の貨物室内へ搬送されるよう搬送駆動装置260等を制御する。
【0247】
また、
図12(E)に示すように、トーイングトラクタ150によって、ドーリシステム100を前進させて、2番目の移載ポイントであるドーリD3の右側方にローダ200を位置させる。
【0248】
図12(F)に示すように、コントローラ175は、ドーリD3の前側ロック107をOFFにする。そして、コントローラ175は、ドーリD3の90°時計回り回転R14を実行する。
【0249】
ドーリD3の回転後、コントローラ175は、ドーリD3の移載駆動装置160による移載方向がT15方向となるように移載駆動装置160を制御する。これにより、貨物3が、ローダ200へ移載される。その際、貨物1,2の場合と同様に、ローダ200の搬送駆動装置260も動作し得る。
【0250】
続いて、
図12(G)に示すように、コントローラ175は、貨物4の移載を開始する。貨物3がローダ200へ移載されると、コントローラ175は、ドーリD3の90°時計回り回転R15を実行する。
【0251】
回転R15の後、コントローラ175は、ドーリD4の移載駆動装置160を駆動制御し、貨物4を移載方向T16に移動させる。これにより、貨物2がドーリD4からドーリD3へ移載される。このとき、コントローラ175は、貨物4がドーリD3に進入してきたことを検出すると、ドーリD3の移載駆動装置160も駆動させて、貨物4をドーリD3に確実に引き込む。コントローラ175は、ドーリD4上から貨物4がなくなったことをドーリD4のセンサによって検出すると、ドーリD4の移載駆動装置160を停止させる。
【0252】
図13(A)に示すように、コントローラ175は、貨物2がドーリD3に到着したことをドーリD3のセンサによって検出すると、ドーリD3の移載駆動装置160を停止させ、ドーリD3のロック107をONにして、貨物4を固定した上で、反時計回りの90°回転R16を実行する。そして、コントローラ175は、ドーリD3のロック107をOFFにする。これにより、貨物4は、ドーリD3とローダ200との間で移動可能になる。
【0253】
そして、コントローラ175は、移載方向がT17方向となるように移載駆動装置160を制御する。これらの処理によって、他の貨物と同様に、貨物4がローダ200に移載される。
【0254】
図13(B)に示すように、ローダ200のコントローラ275は、搭載位置にあわせて逆向きになった2つの貨物3,4が航空機の貨物室内へ搬送されるよう搬送駆動装置260等を制御する。
【0255】
貨物4がローダ200へ移載されると、コントローラ175は、貨物5の移載を開示する。まず、コントローラ175は、90°時計回りの回転R17を実行する。また、コントローラ175は、ドーリD3からドーリD6における前後方向両端にあるドーリD3のロック108及びドーリD5のロック108を除き、ドーリD3からドーリD5までのロックをオフにする。これにより、ドーリD5からドーリD3まで貨物5の移動が可能となる。
【0256】
図13(B)に示すように、コントローラ175は、貨物5が、ドーリD5からドーリD3に移載されるよう各ドーリD5,D4,D3の移載駆動装置160を制御する。このときの移載方向はT18方向である。
【0257】
図13(C)に示すように、コントローラ175は、貨物5がドーリD3に到着したことを検出すると、90°時計回りの回転R18を実行する。そして、コントローラ175は、貨物5をローダ200へ移載させる。
【0258】
図13(D)及び
図13(E)に示すように、貨物6も、貨物5と同様に移載される。すなわち、
図13(D)に示すように、貨物6は、ドーリD6からドーリD3へ移載される。
図13(E)に示すように、ドーリD3へ移載された貨物6は、ドーリD3上で回転され、ローダ200へ移載される。
【0259】
図13(F)に示すように、ローダ200のコントローラ275は、搭載位置にあわせて逆向きになった2つの貨物5,6が航空機の貨物室内へ搬送されるよう搬送駆動装置260等を制御する。
【0260】
以上のようにして、ドーリシステム100上の6つの貨物1,2,3,4,5,6が航空機へ搭載される。ドーリシステム100は、トーイングトラクタ150によって牽引されて、航空機から離脱する。
【0261】
なお、
図10から
図13に示す搭降載の例では、ローダ200上での貨物の回転は行われていないが、貨物の向きを適切にするための貨物の回転はローダ200上で行われてもよい。この場合、ドーリシステム100のコントローラ175は、搭載処理において、ローダ200のコントローラ275へ、ローダ200における貨物の回転の制御に用いられるデータを、送信し得る。また、搭載時において、ローダ200のコントローラ275は、貨物の回転に制御に用いられるデータを、ローダ200に設けられたセンサ等によって取得し得る。また、ドーリシステム100のコントローラ175は、取卸処理において、ローダ200のコントローラ175から、回転駆動装置170による回転の制御に用いられるデータを、受信し得る。また、取卸時において、ローダ275のコントローラ275は、貨物の回転の制御に用いられるデータを、ローダ200に設けられたセンサ等によって取得し得る。
【0262】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0263】
1 :貨物
2 :貨物
3 :貨物
3A :貨物
3B :貨物
3C :貨物
3D :貨物
3F :コード
4 :貨物
5 :貨物
6 :貨物
10 :貨物搭降載システム
100 :ドーリシステム
101 :車体ベース
102A :前輪
102B :後輪
103A :前側連結部
103B :後側連結部
104 :回転機構
105 :載置部
105A :載置面
106 :ローラ
107 :前側ロック
107A :前側第1ロック
107B :前側第2ロック
108 :後側ロック
108A :後側第1ロック
108B :後側第2ロック
108B :センサ
110 :第1ドーリ
120 :第2ドーリ
150 :トーイングトラクタ
160 :移載駆動装置
165 :ロック駆動装置
170 :回転駆動装置
175 :コントローラ
180 :センサ
181A :第1センサ
181B :第1センサ
182 :第2センサ
183 :第3センサ
184 :センサ
184A :前側第1センサ
184B :前側第2センサ
185 :後側センサ
185A :後側第1センサ
185B :後側第2センサ
186 :減速センサ
187A :向きセンサ
187B :向きセンサ
200 :カーゴローダ
202 :車輪
203 :車輪
206 :ローラ
220 :車両前部
230 :車両後部
260 :搬送駆動装置
270 :回転駆動装置
275 :ローダコントローラ
280 :センサ
281 :第1センサ
282 :第2センサ
283 :第3センサ
285A :センサ
285B :センサ
285C :センサ
286A :視覚センサ
286B :視覚センサ
300 :航空機
301 :機体
301D :輸送物
302A :前方貨物搬入口
302B :後方貨物搬入口
303 :主翼
310 :前方貨物室
320 :後方貨物室
400 :サーバ
401 :搭載データ
401B :搭載位置データ
401C :ULD-ID
401D :輸送物データ
401E :ドーリID
401F :搭載順データ
500 :端末
A :面
BP :昇降式プラットフォーム
C :回転軸
D1 :ドーリ
D2 :ドーリ
D3 :ドーリ
D4 :ドーリ
D5 :ドーリ
D6 :ドーリ
EP :作業プラットフォーム
MP :昇降式デッキ
P1 :作業者
P2 :作業者
S :下部傾斜面
【手続補正書】
【提出日】2024-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の貨物の搭降載に用いられるカーゴローダ上において前記貨物の向きを検出する手段と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記カーゴローダ上において検出された前記向きを、前記カーゴローダから移載された前記貨物を回転させる回転駆動装置を備えるドーリへ送信する、又は
前記カーゴローダ上において検出された前記向きに基づいて、前記カーゴローダに設けられた回転駆動装置を制御して、前記貨物を回転させる、
カーゴローダ。
【請求項2】
前記貨物の前記向きは、前記カーゴローダ上で前記貨物を撮像した画像に対する画像認識によって検出される
請求項1に記載のカーゴローダ。
【請求項3】
前記貨物の前記向きは、前記貨物に設けられたICタグ又はコードを前記カーゴローダ上で読み取ることによって検出される
請求項1に記載のカーゴローダ。
【請求項4】
航空機の貨物の搭降載に用いられるカーゴローダ上の前記貨物の向きに基づいて、前記カーゴローダから前記貨物が移載されるドーリに設けられた回転駆動装置又は前記カーゴローダに設けられた回転駆動装置を制御して、前記貨物を回転させる、
コントローラ。
【請求項5】
航空機の貨物の搭降載に用いられるカーゴローダ上の前記貨物の向きに基づいて、前記カーゴローダから前記貨物が移載されるドーリに設けられた回転駆動装置又は前記カーゴローダに設けられた回転駆動装置を制御して、前記貨物を回転させる、
コントローラの動作方法。
【請求項6】
航空機の貨物の向きを検出する手段によって、カーゴローダ上における前記貨物の向きを検出し、
コントローラが、検出された前記向きに基づいて、前記貨物を回転させるための回転駆動装置を制御して、前記貨物を回転させる、
ことを含む方法。
【請求項7】
前記貨物の大きさを識別する手段によって、前記貨物の大きさを識別し、
前記コントローラが、識別された前記貨物の大きさに基づいて、前記カーゴローダから前記貨物が移載されるドーリにおいて前記貨物の大きさに合わせた位置で前記貨物を固定するようロックを動作させるロック駆動装置を制御する、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
カーゴローダに設けられた第1コントローラと、ドーリに設けられ、前記第1コントローラと通信可能である第2コントローラと、の協調制御方法であって、
前記第1コントローラが、前記カーゴローダ上における貨物の向きを識別し、
前記第1コントローラが識別した前記貨物の向きに基づいて、前記第2コントローラが、前記ドーリに設けられた回転駆動装置を制御して、前記カーゴローダから前記ドーリに移載された前記貨物を前記ドーリ上で回転させる、
協調制御方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本開示は、ドーリシステム及びカーゴローダ等に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
従来、航空機の貨物の取り扱いは、人力で行われており、作業者の負担が大きいという問題がある。例えば、作業者は、貨物を、人力で押すといった力作業を行う必要がある。一般に、一つの貨物の重さは数百kg以上あるため、作業者の負担は非常に大きい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
したがって、航空機の貨物の取り扱いにおいて、作業者の負担を軽減することが望まれる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本開示のある側面は、カーゴローダ、コントローラ、コントローラの動作方法、強調制御方法である。本開示の他の側面は、ドーリシステムである。開示のドーリシステムは、航空機の貨物の運搬に用いられるとともに、前記航空機に装着されたカーゴローダとの間で前記貨物が移載される。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の貨物の搭降載に用いられるカーゴローダ上において前記貨物の向きを検出する手段と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記貨物の降載時において、前記カーゴローダ上において検出された前記向きを、前記カーゴローダから移載された前記貨物が全て同じ向きになるように前記貨物を回転させる回転駆動装置を備えるドーリへ送信する、若しくは
前記貨物の降載時において、前記カーゴローダ上において検出された前記向きに基づいて、前記カーゴローダに設けられた回転駆動装置を制御して、前記カーゴローダからドーリに移載される前記貨物が全て同じ向きになるように前記貨物を回転させる、又は、
ドーリから前記カーゴローダに移載された前記貨物の搭載時において、前記カーゴローダ上において検出された前記向きに基づいて、前記カーゴローダに設けられた回転駆動装置を制御して、前記航空機の貨物室の形状に沿う向きになるように前記ドーリから前記カーゴローダに移載された前記貨物を回転させる
カーゴローダ。
【請求項2】
前記貨物の前記向きは、前記カーゴローダ上で前記貨物を撮像した画像に対する画像認識によって検出される
請求項1に記載のカーゴローダ。
【請求項3】
前記貨物の前記向きは、前記貨物に設けられたICタグ又はコードを前記カーゴローダ上で読み取ることによって検出される
請求項1に記載のカーゴローダ。
【請求項4】
航空機の貨物の降載時において、前記貨物の搭降載に用いられるカーゴローダ上の前記貨物の向きに基づいて、前記カーゴローダから前記貨物が移載されるドーリに設けられた回転駆動装置を制御して、前記ドーリ上の前記貨物が全て同じ向きになるように前記貨物を回転させる、若しくは、
前記貨物の降載時において、前記カーゴローダ上の前記貨物の向きに基づいて、前記カーゴローダに設けられた回転駆動装置を制御して、前記カーゴローダからドーリに移載される前記貨物が全て同じ向きになるように前記貨物を回転させる、又は、
ドーリから前記カーゴローダに移載された前記貨物の搭載時において、前記カーゴローダ上の前記貨物の向きに基づいて、前記カーゴローダに設けられた回転駆動装置を制御して、前記航空機の貨物室の形状に沿う向きになるようにドーリから前記カーゴローダに移載された前記貨物を回転させる
コントローラ。
【請求項5】
航空機の貨物の降載時において、前記航空機の貨物の搭降載に用いられるカーゴローダ上の前記貨物の向きに基づいて、前記カーゴローダから前記貨物が移載されるドーリに設けられた回転駆動装置を制御して、前記ドーリ上の前記貨物が全て同じ向きになるように前記貨物を回転させる、若しくは、
前記貨物の降載時において、前記カーゴローダ上の前記貨物の向きに基づいて、前記カーゴローダに設けられた回転駆動装置を制御して、前記カーゴローダからドーリに移載される前記貨物が全て同じ向きになるように前記貨物を回転させる、又は、
ドーリから前記カーゴローダに移載された前記貨物の搭載時において、前記カーゴローダ上の前記貨物の向きに基づいて、前記カーゴローダに設けられた回転駆動装置を制御して、前記航空機の貨物室の形状に沿う向きになるようにドーリから前記カーゴローダに移載された前記貨物を回転させる
コントローラの動作方法。
【請求項6】
航空機の貨物の向きを検出する手段によって、カーゴローダ上における前記貨物の向きを検出し、
コントローラが、
前記貨物の降載時において、検出された前記向きに基づいて、前記カーゴローダから前記貨物が移載されるドーリに設けられた回転駆動装置を制御して、前記ドーリ上の前記貨物が全て同じ向きになるように前記貨物を回転させる、若しくは、
前記貨物の降載時において、検出された前記向きに基づいて、前記カーゴローダに設けられた回転駆動装置を制御して、前記カーゴローダからドーリに移載される前記貨物が全て同じ向きになるように前記貨物を回転させる、又は、
ドーリから前記カーゴローダに移載された前記貨物の搭載時において、検出された前記向きに基づいて、前記カーゴローダに設けられた回転駆動装置を制御して、前記航空機の貨物室の形状に沿う向きになるようにドーリから前記カーゴローダに移載された前記貨物を回転させる
ことを含む方法。
【請求項7】
前記貨物の大きさを識別する手段によって、前記貨物の大きさを識別し、
前記コントローラが、識別された前記貨物の大きさに基づいて、前記カーゴローダから前記貨物が移載されるドーリにおいて前記貨物の大きさに合わせた位置で前記貨物を固定するようロックを動作させるロック駆動装置を制御する、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
カーゴローダに設けられた第1コントローラと、ドーリに設けられ、前記第1コントローラと通信可能である第2コントローラと、の協調制御方法であって、
前記第1コントローラが、前記カーゴローダ上における貨物の向きを識別し、
前記第1コントローラが識別した前記貨物の向きに基づいて、前記第2コントローラが、前記ドーリに設けられた回転駆動装置を制御して、前記カーゴローダから前記ドーリに移載された前記貨物を前記ドーリ上で回転させて、前記ドーリ上の前記貨物を全て同じ向きにする、
協調制御方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
従来、ドーリにおける貨物の取り扱いは、人力で行われており、作業者の負担が大きいという問題がある。例えば、作業者は、ドーリ上の貨物を、人力で押すといった力作業を行う必要がある。一般に、一つの貨物の重さは数百kg以上あるため、作業者の負担は非常に大きい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
したがって、ドーリを用いた貨物の取り扱いにおいて、作業者の負担を軽減することが望まれる。