(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149392
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20241010BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20241010BHJP
H01F 17/00 20060101ALN20241010BHJP
【FI】
H01F17/04 F
H01F27/29 123
H01F17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024028282
(22)【出願日】2024-02-28
(31)【優先権主張番号】10-2023-0045578
(32)【優先日】2023-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェ フン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボウム セオク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジュ ファン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ス ミン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ドー ホ
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB01
5E070BA11
5E070BB03
5E070CB06
5E070CC10
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】小型化に有利でありながらも構造的安定性が向上したコイル部品を実現する。
【解決手段】
本発明の一実施形態は、本体と、上記本体内に配置された支持部材と、上記支持部材の互いに対向する一面及び他面の少なくとも一つの面に配置されたコイルと、上記本体に配置されて上記コイルと連結された外部電極を含み、上記支持部材はそれぞれポリイミドを含む第1層及び第2層を含み、上記支持部材で上記コイルが配置された面の平均表面粗さはRa値で0.1から0.5μmであるコイル部品を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体内に配置された支持部材と、
前記支持部材の互いに対向する一面及び他面の少なくとも一つの面に配置されたコイルと、
前記本体に配置されて前記コイルと連結された外部電極と、を含み、
前記支持部材は、それぞれポリイミドを含む第1層及び第2層を含み、
前記支持部材で前記コイルが配置された面の平均表面粗さは、Ra値で0.1から0.5μmである、コイル部品。
【請求項2】
前記支持部材の厚さは、5μm以上10μm未満である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記支持部材は、前記第1層を複数個含む、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第2層は、複数の前記第1層の間に配置された、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記コイルは、前記複数の第1層の表面に配置された、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1層は熱可塑性ポリイミド層である、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記第2層はポリイミド層である、請求項6に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記支持部材で前記コイルが配置された面の平均表面粗さは、Rz値で1.0から2.5μmである、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記コイルは、第1コイル層及び第2コイル層を含む多層構造である、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記第1コイル層は、前記支持部材の表面と接触する、請求項9に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記第1コイル層は、前記支持部材の表面の凹凸を充填する形態である、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記第1コイル層はスパッタリング層である、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記第2コイル層はめっき層である、請求項12に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記コイルの平均幅は80μm以下である、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項15】
前記コイルの平均アスペクト比は2より大きい、請求項1または2に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルTV、携帯電話、ノートパソコンなどの電子機器の小型化及び薄型化に伴い、このような電子機器に適用されるコイル部品にも小型化及び薄型化が要求されており、このような要求に応えるために様々な形態の巻線タイプまたは薄膜タイプのコイル部品の研究開発が活発に行われている。
【0003】
コイル部品の小型化及び薄型化に伴う主なイシューは、このような小型化及び薄型化にも関わらず、従来と同等のレベルの特性を維持することである。かかる要求を満たすためには、磁性物質が充填されるコアにおいて磁性物質の割合を増加させなければならないが、本体の強度、絶縁性に伴う周波数特性変化などの理由でその割合を増加させることに限界がある。
【0004】
一方、コイル部品を小型化するために部品の厚さを減らす試みが多いが、このために本体の厚さを減らす場合、コイル部品の磁気的特性が低下するおそれがある。すなわち、本体の厚さを減らす場合、コイルの上部と下部のカバー領域の厚さが減ることがあり、これによってカバー領域で磁束の流れが滑らかにならない可能性がある。また、支持部材の厚さを減らす場合、コイルを安定して支持することが困難であり、これによってコイル部品の構造的安定性が低下する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、小型化に有利でありながらも構造的安定性が向上したコイル部品を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための方法として、本発明は、一例を介してコイル部品の新規な構造を提案しようとし、具体的には、本体と、上記本体内に配置された支持部材と、上記支持部材の互いに対向する一面及び他面の少なくとも一つの面に配置されたコイルと、上記本体に配置されて上記コイルと連結された外部電極を含み、上記支持部材は、それぞれポリイミドを含む第1層及び第2層を含み、上記支持部材において上記コイルが配置された面の平均表面粗さは、Ra値で0.1から0.5μmである。
【0007】
一実施形態において、上記支持部材の厚さは、5μm以上10μm未満であり得る。
【0008】
一実施形態において、上記支持部材は上記第1層を複数個含むことができる。
【0009】
一実施形態において、上記第2層は上記複数の第1層の間に配置されることができる。
【0010】
一実施形態において、上記コイルは上記複数の第1層の表面に配置されることができる。
【0011】
一実施形態において、上記第1層は熱可塑性ポリイミド層であり得る。
【0012】
一実施形態において、上記第2層はポリイミド層であり得る。
【0013】
一実施形態において、上記支持部材において上記コイルが配置された面の平均表面粗さは、Rz値で1.0から2.5μmであり得る。
【0014】
一実施形態において、上記コイルは、第1コイル層及び第2コイル層を含む多層構造であり得る。
【0015】
一実施形態において、上記第1コイル層は上記支持部材の表面と接触することができる。
【0016】
一実施形態において、上記第1コイル層は、上記支持部材の表面の凹凸を充填する形態であり得る。
【0017】
一実施形態において、上記第1コイル層はスパッタリング層であり得る。
【0018】
一実施形態において、上記第2コイル層はめっき層であり得る。
【0019】
一実施形態において、上記コイルの平均幅は80μm以下であり得る。
【0020】
一実施形態において、上記コイルの平均アスペクト比は2より大きいことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一効果として、小型化に有利でありながらも構造的安定性が向上したコイル部品を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態のコイル部品を概略的に示した透過斜視図である。
【
図2】
図1の部分拡大図として構成要素間の連結関係を示した組み立て図である。
【
図3】
図1の一部領域を拡大して示した平面図である。
【
図4】
図1のコイル部品のうち一領域に対する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0024】
電子機器には様々な種類の電子部品が用いられるが、このような電子部品の間にはノイズ除去などの目的で様々な種類のコイル部品が適宜用いられることができる。すなわち、電子機器においてコイル部品は、パワーインダクタ(Power Inductor)、高周波インダクタ(HF Inductor)、通常のビード(General Bead)、高周波用ビード(GHz Bead)、共通モードフィルタ(Common Mode Filter)などに利用されることができる。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態のコイル部品を概略的に示した透過斜視図であり、
図2及び
図3は、それぞれ
図1のI-I'線に沿った断面図及びII-II'線に沿った断面図であり、
図4は、
図2の部分拡大図であり、
図5及び
図6は、変形された例によるコイル部品を示す。
【0026】
図1~
図4を参照すると、本実施形態によるコイル部品100は、本体101、支持部材102、コイル103、外部電極105、106を含み、ここで、支持部材102は、それぞれポリイミドを含む第1層111及び第2層112を含む。そして、支持部材102においてコイル103が配置された面S1、S2の平均表面粗さはRa値で0.1から0.5μmであり、このような表面粗さ条件によって支持部材102とコイル103の結合力が向上することで、コイル部品100の構造的安定性が向上することができる。以下、本実施形態のコイル部品100を構成する主要要素を説明する。
【0027】
本体101は、その内部に支持部材102、コイル103などが配置され、コイル部品100の外観を成すことができる。この場合、本体101は、コイル103と連結された引き出し部Lの一部領域が外部に露出するように形成されることができる。一例として、本体101は、後述する外部電極105、106が形成された本実施形態によるコイル部品100が2.5mmの長さ、2.0mmの幅及び1.0mmの厚さを有するか、2.0mmの長さ、1.2mmの幅及び0.65mmの厚さを有するか、1.6mmの長さ、0.8mmの幅及び0.8mmの厚さを有するか、1.0mmの長さ、0.5mmの幅及び0.5mmの厚さを有するか、0.8mmの長さ、0.4mmの幅及び0.65mmの厚さを有するように形成されることができるが、これに制限されるものではない。一方、上述の数値は工程誤差などを反映しない設計上の数値に過ぎないため、工程誤差と認められ得る範囲までは本発明の範囲に属すると見るべきである。
【0028】
上述したコイル部品100の第1方向(X方向)の長さは、コイル部品100の第2方向(Y方向)の中央部における第1方向(X方向)-第3方向(Z方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡またはSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準として、上記断面写真に示されたコイル部品100の第1方向(X方向)に向かい合った2つの最外側の境界線をそれぞれ連結し、第1方向(X方向)と平行な複数の線分それぞれのディメンション(dimension)のうち最大値を意味するものであることができる。あるいは、上記断面写真に示されたコイル部品100の第1方向(X方向)に向かい合った2つの最外側の境界線をそれぞれ連結し、第1方向(X方向)と平行な複数の線分におけるそれぞれのディメンション(dimension)のうち最小値を意味するものであることができる。あるいは、上記断面写真に示されたコイル部品100の第1方向(X方向)に向かい合った2つの最外側の境界線をそれぞれ連結し、第1方向(X方向)と平行な複数の線分におけるそれぞれのディメンション(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであることができる。ここで、第1方向(X方向)と平行な複数の線分は、第3方向(Z方向)に互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0029】
上述したコイル部品100の第2方向(Y方向)の長さは、コイル部品100の第3方向(Z方向)の中央部における第1方向(X方向)-第2方向(Y方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡またはSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準として、上記断面写真に示されたコイル部品100の第2方向(Y方向)に向かい合った2つの最外側の境界線をそれぞれ連結し、第2方向(Y方向)と平行な複数の線分それぞれのディメンション(dimension)のうち最大値を意味するものであることができる。あるいは、上記断面写真に示されたコイル部品100の第2方向(Y方向)に向かい合った2つの最外側の境界線をそれぞれ連結し、第2方向(Y方向)と平行な複数の線分におけるそれぞれのディメンション(dimension)のうち最小値を意味するものであることができる。あるいは、上記断面写真に示されたコイル部品100の第2方向(Y方向)に向かい合った2つの最外側の境界線をそれぞれ連結し、第2方向(Y方向)と平行な複数の線分におけるそれぞれのディメンション(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであることができる。ここで、第2方向(Y方向)と平行な複数の線分は、第1方向(X方向)に互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0030】
上述したコイル部品100の第3方向(Z方向)の長さは、コイル部品100の第2方向(Y方向)の中央部における第1方向(X方向)-第3方向(Z方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡またはSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準として、上記断面写真に示されたコイル部品100の第3方向(Z方向)に向かい合った2つの最外側の境界線をそれぞれ連結し、第3方向(Z方向)と平行な複数の線分それぞれのディメンション(dimension)のうち最大値を意味するものであることができる。あるいは、上記断面写真に示されたコイル部品100の第3方向(Z方向)に向かい合った2つの最外側の境界線をそれぞれ連結し、第3方向(Z方向)と平行な複数の線分におけるそれぞれのディメンション(dimension)のうち最小値を意味するものであることができる。あるいは、上記断面写真に示されたコイル部品100の第3方向(Z方向)に向かい合った2つの最外側の境界線をそれぞれ連結し、第3方向(Z方向)と平行な複数の線分におけるそれぞれのディメンション(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであることができる。ここで、第3方向(Z方向)と平行な複数の線分は、第1方向(X方向)に互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0031】
一方、コイル部品100の第1~第3方向の長さのそれぞれは、マイクロメータ測定法で測定されることもできる。マイクロメータ測定法は、Gage R&R(Repeatability and Reproducibility)されたマイクロメータでゼロ点を設定し、マイクロメータのチップ間に本実施例によるコイル部品100を挿入し、マイクロメータの測定レバー(lever)を回して測定することができる。一方、マイクロメータ測定法でコイル部品100の長さを測定することにおいて、コイル部品100の長さは1回測定された値を意味することもでき、複数回測定された値の算術平均を意味することもできる。
【0032】
本体101は、絶縁樹脂と磁性物質を含むことができる。具体的には、本体101は、磁性物質が絶縁樹脂に分散された磁性複合シートを1つ以上積層して形成されることができる。磁性物質はフェライトまたは金属磁性粉末であることができる。フェライトは、例として、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系などのスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系などの六方晶型フェライト類、Y系などのガーネット型フェライト及びLi系フェライトの少なくとも1つ以上であることができる。金属磁性粉末は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか1つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末の少なくとも1つ以上であることができる。金属磁性粉末は非晶質でも結晶質であることができる。例えば、金属磁性粉末は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金粉末であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。フェライト及び金属磁性粉末は、それぞれ平均直径が約0.1μmから30μmであることができるが、これに制限されるものではない。本体101は、樹脂に分散された2種類以上の磁性物質を含むことができる。ここで、磁性物質が異なる種類であるとは、樹脂に分散した磁性物質が平均直径、組成、結晶性、及び形状のいずれか一つで互いに区別されることを意味する。なお、以下では磁性物質が金属磁性粉末であることを前提に説明するが、本発明の範囲が絶縁樹脂に金属磁性粉末が分散した構造を有する本体101にのみ及ぶものではない。絶縁樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独または混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0033】
一方、本体101は、支持部材102及びコイル103の中央部を貫通する形態のコアCを含むことができる。コアCは、磁性物質を含む磁性複合シートがコイル103の中央及び支持部材102の中央を貫通する貫通孔を充填することによって形成されることができる。
【0034】
支持部材102は本体101の内部に配置され、コイル103を支持することができる。本実施形態の場合、支持部材102は、それぞれポリイミドを含む第1層111及び第2層112を含む。支持部材102の材質に関して一般的に用いられるプリプレグなどの絶縁層は、ガラス繊維などの補強材を含有するが、この場合、支持部材102の厚さを減らすのに限界がある。本実施形態では、小型化に適したポリイミド材質の支持部材102を用い、具体的には、支持部材102の厚さtは5μm以上15μm未満であることができ、より好ましくは5μm以上10μm未満であることができる。これは、従来のコイル部品で用いられる支持部材の厚さが数十μmレベルであるものと比較するとき、顕著に薄い厚さに該当する。支持部材102の厚さtが薄くなる場合、コイル部品100の厚さが薄くなる可能性があり、さらに本体101のカバー領域を十分に確保することによって磁束の流れが滑らかになることができる。
【0035】
上述したように、支持部材102は多層構造で採用され、具体的には、ポリイミドを含む第1層111及び第2層112を含む。材質が互いに異なるポリイミド層111、112を用いる場合、支持部材102の厚さを意図したとおりに実現するのに適し、さらに、支持部材102の領域によって特性が異なる材質を適用することで、コイル部品100の特性を最適化することができる。この場合、図示の形態のように、支持部材102は第1層111を複数個含むことができ、第2層112は複数の第1層111の間に配置されることができる。この場合、第1層111と第2層112は厚さが同一であることができ、但し、必要に応じてこれらは互いに異なる厚さを有するように設計されることもできる。コイル103は複数の第1層111の表面に配置されることができ、上述した表面粗さ条件は第1層111の表面に適用されることができる。具体的な例において、第1層111は熱可塑性ポリイミド層(Thermoplastic Polyimide)であることができ、第2層112はポリイミド層であることができる。支持部材102の最外側に配置された第1層111として耐化学性に優れた熱可塑性ポリイミド層を用いることで、支持部材102の構造的安定性が向上することができる。本実施形態では、支持部材102が2つの第1層111と1つの第2層112を含む3層構造であるが、実施形態によっては、第1層111及び第2層112を全て複数個備える4層以上の構造であることもでき、後述する変形例のように2層構造で実現されることもできる。
【0036】
本実施形態の場合、支持部材102においてコイル103が配置された面S1、S2の平均表面粗さはRa値で0.1から0.5μmであり、これにより支持部材102とコイル103が安定して結合されることができる。支持部材102の厚さtが薄くなる場合、コイル103の支持力が低くなる可能性があり、これは十分な特性確保のためにコイル103を厚く形成する場合にさらに問題となる可能性がある。本発明者の実験によると、上述した粗さ条件から外れる場合、例えば、Raが0.1μmより小さい場合、コイル103との密着力問題によりコイル103の高さHを十分に(例えば、80μm以上)確保し難かった。本実施形態の表面粗さ条件を満たすことにより、コイル103の高さHとアスペクト比(Aspet Ratio)を十分に確保することができ、具体的な例として、コイル103の平均幅Wは80μm以下であり、コイル103の平均アスペクト比(H/W)は2より大きいことができる。支持部材102の支持力をさらに向上させるための表面粗さ条件の追加的な限定として、支持部材102でコイル103が配置された面S1、S2の平均表面粗さは、Rz値で1.0から2.5μmであることができる。一方、支持部材102の粗さ(Ra、Rz)は、支持部材102で
図2または
図3に該当する1つ以上の断面で複数の領域をとって計算されることができる。具体的には、支持部材102でコイル103が配置された面S1、S2に垂直な切断面(
図2においてX-Z面、
図3においてY-Z面)のうち、例えば、約50μmから150μmの長さのサンプル領域で表面プロファイルをとる。このようなサンプル領域において仮想の中心線からの距離を平均した値を中心線平均算出法による粗さ(Ra)と定義することができ、ここで仮想の中心線からの距離の合計は、表面プロファイルと仮想の中心線との間の面積に該当することができる。そして、仮想の中心線は、表面粗さ領域の最も高いところと最も低いところとの中間で設定することができる。次に、十点平均算出法による粗さ(Rz)の場合、仮想の中心線から上方に最も遠く離れた5ヶ所の距離の平均値と下方に最も遠く離れた5ヶ所の距離の平均値を加えて得ることができる。また、コイル103の幅Wと高さHも
図2または
図3に該当する1つ以上の断面を介して得られることができ、コイル103の高さの場合、表面粗さを形成する凹凸のうち最外側に位置した凹部から測定された値であることができる。
【0037】
コイル103は、1回以下またはそれ以上のターンを形成する螺旋型構造を有することができ、支持部材102の少なくとも一面S1、S2に形成されることができる。本実施形態においては、コイル103が支持部材102の互いに対向する2つの面S1、S2にそれぞれ配置された第1及び第2コイル103a、103bを含む例を示している。この場合、第1及び第2コイル103a、103bはパッドPを含むことができ、支持部材102を貫通する導電性ビアVによって互いに連結されることができる。引き出し部Lは、コイル103の最外側に配置され、外部電極105、106との接続経路を提供し、コイル103と一体構造で形成されることができる。この場合、図示の形態のように、外部電極105、106との連結のために、引き出し部Lは、コイル103よりも幅がさらに広い形態で実現することができ、ここで幅とは、
図1を基準としてX方向の幅に該当する。
【0038】
図4に示された形態のように、コイル103は、第1コイル層131及び第2コイル層132を含む多層構造であることができ、
図4では第1コイル103aを示したが、第2コイル103bも多層構造を有することができる。第1コイル層131は支持部材102の表面S1、S2と接触することができ、さらに、第1コイル層131は支持部材102の表面S1、S2の凹凸を充填する形態であることができる。第1コイル層131はスパッタリング層であることができ、第2コイル層132を形成するためのシード層になることができる。但し、第1コイル層131はスパッタリング層の他にも無電解めっき層であることもできる。第1コイル層131は、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)またはこれらの合金などの導電性物質で形成されることができる。第1コイル層132は、めっき層、例えば電解めっき層であることができる。ここで、電解めっき層は単層構造であることもでき、多層構造であることもできる。多層構造の電解めっき層は、いずれか一つの電解めっき層の表面に沿ってもう一つの電解めっき層が形成されたコンフォーマル(conformal)な膜構造で形成されることもでき、いずれか一つの電解めっき層の一面にのみもう一つの電解めっき層が積層された形状で形成されることもできる。
【0039】
外部電極105、106は、コイル103の両端部とそれぞれ連結された複数の外部電極を含むことができ、図示の形態のように第1及び第2外部電極105、106を含むことができる。第1及び第2外部電極105、106は、本体101に互いに離隔配置され、コイル103の両端とそれぞれ連結されることができる。外部電極105、106は、スパッタリングなどの気相蒸着法及び/またはめっき法で形成されることができるが、これに制限されるものではない。外部電極105、106は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、またはこれらの合金などの導電性物質で形成されることができるが、これに限定されるものではない。外部電極105、106は、単層または複数層の構造で形成されることができる。例として、外部電極105、106は、銅(Cu)を含む第1導電層、第1導電層に配置され、ニッケル(Ni)を含む第2導電層、第2導電層に配置され、スズ(Sn)を含む第3導電層を含むことができる。第2導電層及び第3導電層の少なくとも一つは、第1導電層を覆う形態で形成されることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。第1導電層はめっき層であるか、銅(Cu)及び銀(Ag)の少なくとも一つを含む導電性粉末と樹脂を含む導電性樹脂を塗布及び硬化して形成された導電性樹脂層であることができる。第2及び第3導電層はめっき層であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0040】
図5及び
図6を参照して変形された実施形態によるコイル部品を説明する。まず、
図5の実施形態のように、コイル103の表面には絶縁膜104が形成されることができる。絶縁膜104は、コイル103、そして支持部材102を一体に覆うことができる。具体的には、絶縁膜104は、コイル103と本体101との間、及び支持部材102と本体101との間などの領域に配置されることができる。絶縁膜104は、コイル103が形成された支持部材102の表面に沿って形成されることができるが、これに制限されるものではない。絶縁膜104は、コイル103の各隣接ターン間などの領域を充填する形態で形成されることができる。絶縁膜104は、コイル103と本体101を電気的に分離するためのものであり、パラリンなどの公知の絶縁物質を含むことができるが、これに制限されるものではない。他の例として、絶縁膜104は、パラリンではなくエポキシ樹脂などの絶縁物質を含むこともできる。絶縁膜104は気相蒸着法で形成されることができるが、これに制限されるものではない。他の例として、絶縁膜104は、コイル103が形成された支持部材102の両面に絶縁膜104を形成するための絶縁フィルムを積層及び硬化することで形成されることもでき、コイル311、312が形成された支持部材102の両面に絶縁膜104を形成するための絶縁ペーストを塗布及び硬化することによって形成されることもできる。
【0041】
次に、
図6の実施形態のように、支持部材102は、2層構造、すなわち、第1層111の1つと第2層112の1つを含む構造であることができ、これは支持部材102の厚さをさらに低減するのに有利であることができる。支持部材102が2層構造を有することによって、コイル103は第1層111及び第2層112のそれぞれの表面に配置されることができ、上述した表面粗さ条件は第1層111及び第2層112のそれぞれの表面に全て適用されることができる。
【0042】
本発明は、上述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によって限定しようとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0043】
100 コイル部品
101 本体
102 支持部材
103 コイル
104 絶縁膜
105、106 外部電極
L 引き出し部
P パッド
V 導電性ビア
C コア