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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149401
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】経口用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20241010BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A23L33/105
A61P3/04
A61P3/10
A61P43/00 105
A61K31/343
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024042416
(22)【出願日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2023061694
(32)【優先日】2023-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000119472
【氏名又は名称】一丸ファルコス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】濱田 朋志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 達治
(72)【発明者】
【氏名】山地 亮一
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD08
4B018MD53
4B018ME01
4B018ME14
4B018MF01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA05
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA70
4C086ZC33
4C086ZC35
(57)【要約】
【課題】新たに内臓脂肪を低減するための経口用組成物、などを提供することである。
【解決手段】シナロピクリンを含有する、内臓脂肪を低減するための経口用組成物。アーティチョーク葉抽出物を含有する、内臓脂肪を低減するための経口用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シナロピクリンを含有する、内臓脂肪を低減するための経口用組成物。
【請求項2】
シナロピクリンを含有するインスリン抵抗性を改善するための経口用組成物。
【請求項3】
シナロピクリンを含有する、内臓脂肪を低減するための及びインスリン抵抗性を改善するための経口用組成物。

























【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ヒト等に用いるための、内臓脂肪を低減するための及び/又はンスリン抵抗性を改善するための経口用組成物、などに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活習慣病の増加が社会問題としてクローズアップされている。生活習慣病は、
食事、運動、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣が発症や進行に関与する疾患群である。
このような生活習慣病には、日本人の三大死因である癌、脳血管疾患および心疾患に加えて、
脳血管疾患および心疾患の危険因子となる動脈硬化症、糖尿病、高血圧症および脂質異常症
なども含まれる。これらの危険因子に肥満が悪影響を及ぼすのは広く知られているが、日本
では体格指数(BMI)が25以上の場合「肥満」と判定される。肥満は体脂肪が多すぎる
状態であるが、体脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪とがある。内臓脂肪は、内臓の周りに蓄積す
る。内臓脂肪は、女性よりも男性に付き易い、短時間で蓄積されるが落としやすい、生活
習慣病の原因になる、と言われている。皮下脂肪は、皮膚と筋肉との間に蓄積する脂肪である。皮下脂肪は、男性より女性に付き易い、少しずつ蓄積され体温を維持したり内臓や骨を保護する機能を有するため落としにくい、美容やダイエットで問題となる、と言われている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許7223193
【0004】
【特許文献2】特開2012-40094
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ヒト等に用いるための、内臓脂肪を低減するための及び/又はンスリン抵抗性を改善するための経口用組成物、などに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の発明者は、鋭意検討を重ねた結果、以下の本発明を完成した。具体的には、本発明は以下の項を含む発明、である。
〔項1〕シナロピクリンを含有する、内臓脂肪を低減するための及び/又はンスリン抵抗性を改善するための経口用組成物。
〔項2〕アーティチョーク葉抽出物を含有する、内臓脂肪を低減するための及び/又はンスリン抵抗性を改善するための経口用組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、新たに内臓脂肪を低減するための及び/又はンスリン抵抗性を改善するための経口用組成物、などを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0009】
(シナロピクリン)
シナロピクリン(Cynaropicrin、PubChem CID:119093)は、セスキテルペン(Sesquiterpene)の一種で、下記(式I):
[化1]
で表される化合物で、分子式がC1922である。
【0010】
(アーティチョーク)
アーティチョーク(Artichoke、Globe artichoke、学名はCynara scolymus)は、キク科チョウセンアザミ属の多年草である。アーティチョークの和名はチョウセンアザミ(朝鮮薊)である。本発明では、アーティチョークの花、葉、茎、枝、枝葉、地上部又は全草の抽出物を用いるが、本発明では、上記シナロピクリンがより多く含有されていること等の観点で、好ましくはアーティチョークの葉又は枝葉の抽出物を用いるのが好ましい。
【0011】
本発明で用いるアーティチョークの抽出物を得る抽出溶媒は、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールなど)、液状多価アルコール類(1、3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、石油エーテルなど)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテルなど)が挙げられる。これらの溶媒は一種でも二種以上を混合して用いても良い。
【0012】
上記抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、希釈、濾過、活性炭などによる脱色、脱臭、エタノール沈殿などの処理をして用いても良い。さらには、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥などの処理を行い、乾燥物として用いても良い。
【0013】
本発明で用いるアーティチョーク抽出物の1日あたりの摂取量(経口用組成物での摂取の場合)は、摂取形態、使用目的、年齢、体重などによって適宜調整することができるが、所望の効果(炎症性サイトカインの抑制効果など)が発揮されるために、ヒト成人1日当り、アーティチョーク抽出物を乾燥物に換算して、好ましくは1mg/kg/日以上、より好ましくは2.5mg/kg/日以上、より好ましくは5mg/kg/日以上、より好ましくは10mg/kg/日以上、より好ましくは25mg/kg/日以上、更に好ましくは50mg/kg/日以上であり、当該摂取の際のヒト等での安全性などの観点で、好ましくは1000mg/kg/日以下、より好ましくは750mg/kg/日以下、更に好ましくは500mg/kg/日以下、である。
【0014】
本発明で用いるシナロピクリンの1日あたりの摂取量(経口用組成物での摂取の場合)は、摂取形態、使用目的、年齢、体重などによって適宜調整することができるが、所望の効果(炎症性サイトカインの抑制効果など)が発揮されるために、ヒト成人1日当り、シナロピクリンを、好ましくは0.001mg/kg/日以上、より好ましくは0.0025mg/kg/日以上、より好ましくは0.005mg/kg/日以上、より好ましくは0.01mg/kg/日以上、より好ましくは0.025mg/kg/日以上、より好ましくは0.05mg/kg/日以上、より好ましくは0.10mg/kg/日以上、より好ましくは0.25mg/kg/日以上、更に好ましくは0.50mg/kg/日以上であり、当該摂取の際のヒト等での安全性などの観点で、好ましくは12.0mg/kg/日以下、より好ましくは9.00mg/kg/日以下、更に好ましくは6.00mg/kg/日以下、である。
【0015】
(アーティチョーク抽出物の調製)
本発明で用いられるアーティチョーク抽出物は、例えば、以下の製造例1、製造例2の製造方法により作製することができる。以下実施例で記載のアーティチョーク抽出物は、以下製造例1により作製されたアーティチョーク抽出物である。
【0016】
(製造例1)アーティチョークの葉熱水抽出物の製造方法
アーティチョークの葉100gを200mLの精製水を加え、95~100℃で約45分間抽出した後、濾過、濃縮後、賦形剤を加えて調整して、乾燥後、抽出物の粉末(アーティチョーク抽出物の一例であるアーティチョークの葉熱水抽出物)を約6g得た。当該粉末中には、上述のシナロピクリンが1.0709質量%含有された。
【0017】
(製造例2)アーティチョークの葉エタノール抽出物の製造方法
アーティチョークの葉乾燥物100gを400mLの45%エタノール溶液を加え、65~70℃で約2時間抽出した後、濾過、濃縮後、賦形剤を加えて調整して、乾燥後、抽出物の粉末(アーティチョーク抽出物の一例であるアーティチョークの葉エタノール抽出物)を約50g得た。当該粉末中には、上述のシナロピクリンが1.0709質量%含有された。
【0018】
(内臓脂肪)
内臓脂肪は、腹筋および背筋の内側において内臓の周囲に蓄積した脂肪のことであり、胴部の表層に位置する皮下脂肪と区別されるものである。なお、内臓脂肪量を示す指標としては、臍位置に対応する部分の胴部断面において内臓脂肪が占める面積(以下、内臓脂肪断面積という)を採用することが一般的である。内臓脂肪量の測定には、例えば、X線CT(Computed Tomography)あるいはMRI(Magnetic Resonance Imaging)等を用いた画像解析法が利用される。この画像解析法においては、X線CTあるいはMRI等を用いることで取得した胴部の断層画像から内臓脂肪断面積が幾何学的に算出される(特許文献2)。
【0019】
(インスリン抵抗性)
インスリン抵抗性は、肝臓、脂肪細胞、骨格筋などで、インスリンの主な作用である糖の吸収促進作用が弱っている状態である。抗インスリン抵抗性効果は、例えば、被験体におけるSSPG法(Steady-state plasma glucose、臨床薬理 Jpn J Clin Pharmacol Ther 27(1)Mar 1996 p373)などで用いて確認して現在又は将来のインスリン抵抗性の指標となる値がより悪化することを抑制若しくは遅滞又はその値を改善することである。
【0020】
(経口用組成物)
本発明に係る経口用組成物は、例えば飲食品(機能性表示食品、特定保健用食品、サプリメントなども含む)、医薬品などである。
【0021】
例えば、当該経口用組成物が飲食品の場合、当該飲食品の形態は、パン類、ケーキ類、麺類、菓子類、ゼリー類、冷凍食品、アイスクリーム類、乳製品、飲料などの各種飲食品の他、上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤、シロップ等)が挙げられる。種々の形態の食品は、本発明の有効成分を単独で、または他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて調製することができる。
【0022】
例えば、当該経口用組成物が医薬品の場合は、当該医薬品は一般的に苦痛の程度に従って調整することができる好都合の1日投薬レジメンを組み立てやすいが、当該医薬品の形態は、例えば固体の形態、液体の形態である。当該固体の形態は、例えば、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、トローチ剤、坐剤および分散性顆粒剤などが挙げられる。例えば、粉末剤では、担体は一般に、微粉化した活性成分との混合物である微粉化した固体である。例えば、錠剤では、活性成分は一般に、必要な結合能力を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状および大きさに成形される。適切な担体は、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、カカオバター等を非限定的に含むこともある。当該医薬品は、所望の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて賦形剤、安定剤、保存剤、結合剤、崩壊剤、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、pH調整剤、防腐剤等の成分を含有することもできる。
【0023】
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例において、各種成分の添加量を示す数値の単位%は、質量%を意味する。
【実施例0024】
以下、本発明の実施例について、説明する。なお、以下実験で用いた試料は以下である。
・アーティチョーク葉抽出物:上述の製造例1により作製したアーティチョークの葉熱水抽出物から所定の条件で精製したもの
・デキストリン:松谷化学工業株式会社、マルトデキストリン(パインデックス#1)
【0025】
[実験1:内臓脂肪低減の評価]
実験動物(マウス)を用いて、シナロピクリンを含有する経口組成物についての内臓脂肪低減作用の評価(実験)を行った。
以下実験方法を記載する。まず、5週齢の雄のKKAyマウス(日本クレア株式会社)40匹を入手した。当該入手したマウスを1週間の通常飼育(通常の餌及び水を自由に与える飼育)を行った。
【0026】
当該1週間の通常飼育をした後、1群10匹として以下4つの実験群を設定し、この設定による飼育(通常の餌及び下記群になるような水を自由に与える飼育)を6週間(42日間)行った。
【0027】
・群1:飲水により、デキストリンを当該マウスへ500mg/kg/day与えた群。
・群2:飲水により、デキストリンを当該マウスへ500mg/kg/day与えた群。この群2では、群1と異なり、トレッドミル(夏目製作所、KN-73トレッド・ミル)を用いた運動を行った。当該運動は、トレッドミルを用いて45分/1日、15m/1分の速度において週5日間、6週間実施した。
・群3:飲水より、製造例1により作製したアーティチョークの葉熱水抽出物を当該マウスへ500mg/kg/day与えた群。すなわち、飲水により、シナロピクリンを5.3545mg/kg/day与えた群。マウスへシナロピクリンを5.3545mg/kg/day与えることは、当該マウスにおけるヒト等価用量(HED)12.3を基に、ヒト成人への投与量に換算した場合、ヒト成人へシナロピクリンを0.4353mg/kg/day与えることである。
・群4:飲水より、製造例1により作製したアーティチョークの葉熱水抽出物を当該マウスへ500mg/kg/day与えた群。すなわち、飲水により、シナロピクリンを5.3545mg/kg/day与えた群。マウスへシナロピクリンを5.3545mg/kg/day与えることは、当該マウスにおけるヒト等価用量(HED)12.3を基に、ヒト成人への投与量に換算した場合、ヒト成人へシナロピクリンを0.4353mg/kg/day与えることである。この群4では、群3と異なり、トレッドミル (夏目製作所、KN-73トレッド・ミル)を用いた運動を行った。当該運動は、トレッドミルを用いて45分/1日、15m/1分の速度において週5日間、6週間実施した。
【0028】
なお、トレッドミルを用いた運動は、論文(Journal of Nutritional Science and Vitaminology、2017 年 63 巻 5 号 p.339-348)に記載の方法に基づいて行った。
【0029】
当該6週間の飼育後、マウスの体重を測定し麻酔下にて各群のマウスから精巣上体脂肪を摘出した。当該摘出した精巣上体脂肪の湿重量を測定した。測定結果を以下表1に示す。表1の測定結果は、各群のサンプル(10匹)の平均値を算出した結果である。群4の値(mg)は、群1の値(mg)と比べ、Tukey検定にてp<0.05、であった。群4の値(mg)は、群3の値(mg)と比べ、Tukey検定にてp<0.01、であった。
【0030】
【表1】
【0031】
[実験2:骨格筋の測定など]
実験動物(マウス)を用いて、シナロピクリンを含有する経口組成物を摂取することによる当該測定などを行った。
【0032】
(マウス飼育法)
マウス(8週齢の雄のKKAyマウス(日本クレア株式会社)、8週齢の雄のC57BL/6Jマウス)を、25℃、照明時間を12時間定時(午前8時から午後8時まで)照明に設定した飼育室で、床敷チップを敷いたプラスチックゲージ内で飼育したプレス機を用いて、表2に示した組成の飼料を固形状にした。予備飼育期間中および実験期間中に、以下の群になるように、自由摂水及び摂取にて飼育を行った。
・KKAy(con)群:KKAyマウスにデキストリン0.015%の飼料を摂取した群。
・KKAy(cyn)群:KKAyマウスに表2記載のシナロピクリン0.015%の飼料を摂取した群。
・C57BL/6J群:C57BL/6Jマウスに表2記載のデキストリン0.015%の飼料を摂取した群。
【0033】
(組織の採取など)
静脈より採血を行い、骨格筋及び白色脂肪を摘出した。
【0034】
(骨格筋の重量測定結果)
骨格筋の重量測定結果(数値の単位はg)を以下に記載する。当該結果は、各群(N=11)の平均値を示す。骨格筋の重量(g)は前脛骨筋(TA)において、C57BL/6J群:0.102g、KKAy(con)群:0.084g、KKAy(Cyn)群:0.087であった。Welchの統計解析して、以下を確認した。
・KKAy(con)群に比べて、KKAy(Cyn)群において前脛骨筋の重量が有意に(p<0.05)大きかったこと。
【0035】
また、体重に対する骨格筋の重量比を示し、KKAy(con)群の値を1としたときの相対値において、前脛骨筋(TA)C57BL/6J群:1.885、KKAy(con)群:1.000、KKAy(Cyn)群:1.047であった。・KKAy(con)群に比べて、KKAy(Cyn)群において前脛骨筋の値が有意に(p<0.05)大きかったこと。
【0036】
(白色脂肪量の測定結果)
白色脂肪量(鼠径部皮下脂肪)の重量測定結果(数値の単位はg)を記載する。当該結果は、各群(N=11)の平均値を示す。鼠径部皮下脂肪量の重量(g)においてC57BL/6J群:0.799g、KKAy(con)群:1.839g、KKAy(Cyn)群:1.586gであった。Welchの統計解析にて、以下を確認した。
・KKAy(con)群に比べて、KKAy(Cyn)群において鼠蹊部皮下脂肪の値が有意に(p<0.05)小さかったことと。
【0037】
体重に対する骨格筋の重量比を示し、KKAy(con)群の値を1としたときの相対値においてはC57BL/6J群:0.102g、KKAy(con)群:0.084g、KKAy(Cyn)群:0.087であった。
・KKAy(con)群に比べて、KKAy(Cyn)群において鼠蹊部皮下脂肪量の値が有意に(p<0.05)小さかったこと。
【0038】
[実験3:インスリン負荷試験]
実験動物(マウス)を用いて、シナロピクリンを含有する経口組成物を摂取することによる当該試験などを行った。
【0039】
(実験方法)
8週齢のマウス(雄のKKAyマウス(日本クレア株式会社)、8週齢の雄のC57BL/6Jマウス)を準備した。当該8週齢のマウスから、当該実験2に記載の方法により、15週齢のKKAy(con)群、15週齢KKAy(cyn)群及び15週齢のC57BL/6J群を作製した。準備した15週齢マウス(KKAy(con)群、KKAy(cyn)群及びC57BL/6J群、各群11匹ずつ準備)に対して、水のみ自由摂取させ6時間絶食を行った。当該絶食後、1.0 U/10 mL滅菌生理食塩水 (0.9% NaCl) /kg body weightとなるようにBovine insulin (Wako Pure Chemical Industries,Osaka,Japan) を調製し、調製した物を腹腔内投与した。投与前0分、投与後30分、60分、120分時に尾静脈血を採取し、StatStrip Xpress monitoring system (Nova Biomedical、Waltham、MA、USA)を用いて血糖値を測定した。更に、0分、30分、60分、120分のAUC(血糖上昇曲線下面積、Area Under Curve)も測定した。
【0040】
(実験結果)
実験結果を表2に示す。表2に示す結果は、当該結果は、各群(N=11)の平均値を示す。各血糖値測定時間でのKKAy(cyn)群の血糖値は、KKAy(con)群と比較して、全ての時間で有意に(Welchの統計解析で、p<0.05)低かった。また、投与前0分の血糖値を100%とし、0分の血糖値に対する各時間の血糖値を割合で算出したところ、投与60分後および120分後において、KKAy(cyn)群の血糖値は、KKAy(con)群と比較して、有意に(Welchの統計解析で、p<0.05)低かった。更に、AUC値も、KKAy(con)群が他の群に比べ一番高かった。
【表2】
【0041】
以上、本発明の実施の形態(実施例も含め)について、図面を参照して説明してきたが、本発明の具体的構成は、これに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、設計変更等があっても、本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明により、新たに内臓脂肪を低減するための経口用組成物、などを提供できる。