(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149407
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】棒又は条片の形態の半加工品から微小機械部品を機械加工する数値制御工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/48 20060101AFI20241010BHJP
B23Q 1/74 20060101ALI20241010BHJP
B23B 3/30 20060101ALI20241010BHJP
B23C 1/12 20060101ALI20241010BHJP
B23C 1/14 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B23Q1/48 F
B23Q1/74
B23B3/30
B23C1/12
B23C1/14
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024049017
(22)【出願日】2024-03-26
(31)【優先権主張番号】23167070.4
(32)【優先日】2023-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ファム
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ドンツェ
【テーマコード(参考)】
3C045
3C048
【Fターム(参考)】
3C045BA04
3C045BA07
3C045BA40
3C045CA05
3C048BC01
3C048BC03
3C048DD10
3C048DD15
(57)【要約】
【課題】棒又は条片の形態の半加工品から微小機械部品を機械加工する数値制御工作機械を提供すること。
【解決手段】本発明は、棒又は条片の形態の半加工品(100)から微小機械部品を機械加工する数値制御工作機械(10)に関し、数値制御工作機械(10)は、フレーム(12)と、部品(100)を所定の位置に保持することを意図する部品支持体ユニット(11)と、切削工具(130)を支持することを意図する工具支持体ユニット(13)とを備え、部品支持体ユニット(11)は、フレーム(12)に対して、座標系XYZにおける方向Zでの1度のみの回転自由度及び1度の並進自由度を有するようにフレーム(12)に運動学的に接続され、工具支持体ユニット(13)は、フレーム(12)に対して、方向Xでの1度のみの並進自由度、及び方向Yでの1度の回転並進自由度を有するようにフレーム(12)に運動学的に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒又は条片の形態の半加工品(100)から微小機械部品を機械加工する数値制御工作機械(10)であって、前記数値制御工作機械(10)は、フレーム(12)と、前記部品(100)を所定の位置に保持することを意図する部品支持体ユニット(11)と、切削工具(130)を支持することを意図する工具支持体ユニット(13)とを備える、数値制御工作機械(10)において、
-前記部品支持体ユニット(11)は、前記フレーム(12)に対して、座標系XYZにおける方向Zでの1度の回転自由度及び1度の並進自由度を有するように前記フレーム(12)に運動学的に接続され、
-前記工具支持体ユニット(13)は、前記フレーム(12)に対して、方向Xでの1度のみの並進自由度、方向Yでの1度の回転並進自由度を有するように前記フレーム(12)に運動学的に接続されることを特徴とする、数値制御工作機械(10)。
【請求項2】
前記部品支持体ユニット(11)は、少なくとも1つの摺動体(120)により前記フレーム(12)に接続される部品支持体キャリッジ(110)を含み、前記部品支持体キャリッジ(110)は、部品支持体モジュール(112)を含み、前記部品支持体モジュール(112)は、前記部品支持体キャリッジ(110)が前記部品(100)を所定の位置に保持する締結状態、又は前記部品支持体キャリッジ(110)が前記部品(100)の移動を可能にする解放状態にする制御に適合する、請求項1に記載の工作機械(10)。
【請求項3】
前記部品支持体キャリッジ(110)は、貫通開口を有し、前記貫通開口は、方向Zで延在し、前記部品支持体モジュール(112)の端部の一方に開口し、前記開口は、前記工作機械(10)の機械加工区域に供給するために前記部品(100)を受け入れることを意図する、請求項2に記載の工作機械(10)。
【請求項4】
前記工具支持体ユニット(13)は、方向Xで延在する少なくとも1つの摺動体(120)により前記フレーム(12)に接続される第1のキャリッジ(131)と、前記第1のキャリッジ(131)に接続され、工具支持体(135)を含む第2のキャリッジ(133)とを含み、前記工具支持体(135)は、方向Yで回転並進移動し得る、請求項1に記載の工作機械(10)。
【請求項5】
前記第2のキャリッジ(133)は、少なくとも1つの摺動体(120)上に組み付けられ、前記少なくとも1つの摺動体(120)は、前記第1のキャリッジ(131)に固定され、方向Yで延在する、請求項4に記載の工作機械(10)。
【請求項6】
更なるユニット(14)と、更なるキャリッジ(140)とを含み、前記更なるユニット(14)は、Z方向での1度のみの回転自由度及び1度の並進自由度を有するように前記フレーム(12)に運動学的に接続され、前記更なるユニット(14)は、前記切削工具(130)が前記部品支持体ユニット(11)と前記更なるユニット(14)との間に介挿されるように構成され、前記更なるキャリッジ(140)は、前記部品支持体ユニット(11)の反対に配置され、対の部品支持体モジュール(141)を受け入れ、前記対の部品支持体モジュール(141)は、部品(100)の固定若しくは解放を意図するか、又は切削工具(130)の支持を意図する第2の工具支持体を受け入れる、請求項1に記載の工作機械(10)。
【請求項7】
前記更なるキャリッジ(140)は、方向Zで延在する貫通開口(142)を有し、前記対の部品支持体モジュール(141)の端部の一方に開口し、前記貫通開口(142)は、前記工作機械(10)の機械加工区域から前記部品(100)を取り出すために前記部品(100)を受け入れることを意図する、請求項6に記載の工作機械(10)。
【請求項8】
前記部品支持体ユニット(11)は、少なくとも1つの摺動体(120)により前記フレーム(12)に接続される部品支持体キャリッジ(110)を含み、前記部品支持体キャリッジ(110)は、部品支持体モジュール(112)を含み、前記部品支持体モジュール(112)は、前記部品支持体モジュール(112)が前記部品(100)を所定の位置に保持する締結状態、又は前記部品支持体モジュール(112)が前記部品(100)の移動を可能にする解放状態にする制御に適合し、前記更なるキャリッジ(140)は、前記フレーム(12)に固定される少なくとも1つの摺動体(120)上に組み付けられ、前記部品支持体キャリッジ(110)及び前記更なるキャリッジ(140)が接続される前記摺動体(120)は、同じ摺動体によって形成される、請求項6に記載の工作機械(10)。
【請求項9】
前記部品支持体ユニット(11)は、少なくとも1つの摺動体(120)により前記フレーム(12)に接続される部品支持体キャリッジ(110)を含み、前記部品支持体キャリッジ(110)は、部品支持体モジュール(112)を含み、前記部品支持体モジュール(112)は、前記部品支持体モジュール(112)が前記部品(100)を所定の位置に保持する締結状態、又は前記部品支持体モジュール(112)が前記部品(100)の移動を可能にする解放状態にする制御に適合し、前記部品支持体モジュール(112)及び前記対の部品支持体モジュール(141)は、前記部品(100)が移動する際の前記部品(100)の案内又は前記部品(100)の所定の位置での保持を意図する配置デバイスを含み得る、請求項6に記載の工作機械(10)。
【請求項10】
前記工具支持体ユニット(13)と同様の第2の工具支持体ユニットを備え、前記第2の工具支持体ユニットは、対称平面YZに対して前記工具支持体ユニット(13)に対称的に配置され、前記工具支持体ユニットはそれぞれ、前記部品支持体ユニット(11)及び前記更なるユニット(14)のいずれかの側にあるようにする、請求項6に記載の工作機械(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御工作機械の分野の範囲内にあり、特に、棒又は条片の形態の半加工品から微小機械部品を機械加工する数値制御工作機械に関する。
【0002】
本文において、用語「棒」は、その断面形状にかかわらず、任意の中実若しくは中空のワイヤ、形材又は管を意味する。
【背景技術】
【0003】
微小機械学の分野において、数値制御工作機械の寸法を低減すること、特に、機械加工体積部に対する工作機械のサイズを低減することは、いくつかの利点をもたらし、これらの利点には、移動質量体の慣性が低減することによる、切削速度及び切削工具移動速度の増大、前記工作機械の保管に必要な床空間の低減、並びにそのような工作機械のエネルギー消費量の低減がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、工作機械の寸法を低減すると、工作機械の静的剛性の損失を伴う場合がある。即ち、工作機械を形成する部品が、より変形しやすくなり、時計製造等の微小技術用途で必要とされる高精度機械加工には好ましくない。
【0005】
「工作機械の剛性」という概念は、機械学の分野において、熱勾配又は機械応力の影響下、工作機械を形成する部品の寸法安定性、特に、機械加工される部品と、工作機械を形成する部品を通過する切削工具との間に運動学的経路、即ち、力のループを形成する部品の寸法安定性を特徴付けるものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の欠点を克服するものであり、この目的で、棒又は条片の形態の半加工品から微小機械部品を機械加工する数値制御工作機械に関し、数値制御工作機械は、フレームと、部品を所定の位置に保持することを意図する部品支持体ユニットと、切削工具を支持することを意図する工具支持体ユニットとを備える。
【0007】
本文において、用語「切削工具」は、旋削工具等の固定工具であるか、フライス加工工具等の回転工具であるかにかかわらず、材料を部品から除去するのに使用される任意の工具を指す。
【0008】
部品支持体ユニットは、フレームに対して、座標系XYZにおける方向Zでの1度の回転並進自由度を有するようにフレームに運動学的に接続される。工具支持体ユニットは、工具支持体ユニットが、フレームに対して、方向Xでの1度の並進自由度及び方向Yでの1度の回転並進自由度を有するようにフレームに運動学的に接続される。
【0009】
本文において、用語「方向」は、所与の方向で延在する軸を指す。例えば、方向Xは、軸X又は軸Xに平行な軸を指す。
【0010】
有利には、本発明は、工作機械のサイズと半加工品のサイズとの間の比率の最適化を可能にし、より詳細には、工作機械の寸法の最小化及び/又は半加工品の寸法の最大化を可能にする。
【0011】
例として、工作機械は、工作機械の体積が、機械加工区域の体積より実質的に5倍大きいように設計され、機械加工前の半加工品の体積は、機械加工区域の体積より少なくとも5倍大きくし得る。したがって、工作機械の体積と半加工品の体積との比率は、1に等しくし得る。
【0012】
特定の実施形態では、本発明は、単独で又はあらゆる技術的に可能な組合せに従って取られる1つ又は複数の以下の特徴を更に含み得る。
【0013】
特定の実施形態では、部品支持体ユニットは、フレームに直接固定される少なくとも1つの摺動体によりフレームに接続される部品支持体キャリッジを含み、前記部品支持体キャリッジは、部品支持体モジュールを含み、部品支持体モジュールは、部品支持体モジュールが部品を所定の位置に保持する締結状態、又は部品支持体モジュールが部品の移動を可能にする解放状態にする制御に適合する。
【0014】
特定の実施形態では、部品支持体キャリッジは、方向Zで延在する貫通開口を有し、部品支持体モジュールの端部の一方に開口し、前記開口は、工作機械の機械加工区域に供給するために部品を受け入れることを意図する。
【0015】
特定の実施形態では、工具支持体ユニットは、少なくとも1つの摺動体によりフレームに接続される第1のキャリッジを含み、少なくとも1つの摺動体は、フレームに直接固定され、方向Xで延在する。工具支持体ユニットは、第2のキャリッジを含み、第2のキャリッジは、第1のキャリッジに接続され、工具支持体を備え、工具支持体は、方向Yで回転並進移動し得る。
【0016】
特定の実施形態では、第2のキャリッジは、少なくとも1つの摺動体上に組み付けられ、少なくとも1つの摺動体は、方向Yで延在する第1のキャリッジに固定され、工具支持体は、第2のキャリッジに対して回転移動可能である。
【0017】
特定の実施形態では、工作機械は、更なるユニットを含み、更なるユニットは、Z方向で1度のみの回転並進自由度を有するようにフレームに運動学的に接続される。更なるユニットは、切削工具が部品支持体ユニットと前記更なるユニットとの間に介挿されるように構成され、更なるユニットは、更なるキャリッジを含み、更なるキャリッジは、部品支持体ユニットの反対に配置され、対の部品支持体モジュールを受け入れ、対の部品支持体モジュールは、部品の固定若しくは解放を意図するか、又は切削工具の支持を意図する第2の工具支持体を受け入れる。
【0018】
特定の実施形態では、更なるキャリッジは、方向Zで延在する貫通開口を有し、対の部品支持体モジュールの端部の一方に開口し、貫通開口は、工作機械の機械加工区域から取り出すために部品を受け入れることを意図する。
【0019】
特定の実施形態では、更なるキャリッジは、フレームに固定される少なくとも1つの摺動体上に組み付けられ、部品支持体キャリッジ及び更なるキャリッジが接続される摺動体は、同じ摺動体によって形成される。
【0020】
特定の実施形態では、部品支持体モジュール及び対の部品支持体モジュールは、部品が移動する際の部品の案内、又は部品の所定の位置での保持を意図する配置デバイスを含み得る。
【0021】
特定の実施形態では、工作機械は、工具支持体ユニットと同様の第2の工具支持体ユニットを備え、第2の工具支持体ユニットは、対称平面YZに対して工具支持体ユニットに対称的に配置され、前記工具支持体ユニットはそれぞれ、部品支持体ユニット及び更なるユニットのいずれかの側にあるようにする。
【0022】
本発明の他の特徴及び利点は、図面を参照しながら非限定的な例として示される以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による工作機械の一変形形態の斜視図であり、機械加工すべき半加工品は、棒の形態にある。
【
図2】
図1の工作機械の別の変形形態の斜視図であり、機械加工すべき半加工品は、条片の形態にある。
【
図4】
図3の工作機械の細部の軸A-Aに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面は、明快さのために必ずしも一定の縮尺で描かれていないことに留意されたい。
【0025】
本発明による数値制御工作機械10は、機械加工すべき半加工品から微小機械部品を機械加工するように適合され、半加工品は、
図1に示されるように棒の形態であるか、又は
図2に示されるように条片の形態である。当業者に公知の様式で、工作機械10は、マイクロコントローラ等の監視、制御ユニットを含み、監視、制御ユニットは、コンピュータ・プログラムの形態の命令の受信、及びこれらの命令に従った工作機械10の構成要素の制御を意図する。工作機械10の様々な構成要素の駆動は、当業者の範囲内にあり、したがって本発明の主題ではないため、これらの態様は、本文ではあまり詳細に説明しない。
【0026】
本発明の好ましい用途では、工作機械10は、時計製造分野に固有の部品の取得に適合され、部品は、特に、半加工品が棒の形態である場合、プッシュピース、りゅうず、ねじ、心棒、かな等であり、半加工品が条片の形態である場合、受け、板、ロッカ、中板、てんぷ車、バンド連結体等である。半加工品は、前記半加工品からの部品を次々に機械加工するために工作機械10の機械加工区域に送るように移動させる。本文を簡単に読むため、機械加工される半加工品及び部品、又は機械加工が完了している半加工品及び部品を同じ用語「部品」100と呼ぶ。
【0027】
図示のように、工作機械10は、特に、機械加工中、部品100を所定の位置に保持することを意図する部品支持体ユニット11を含む。部品支持体ユニット11は、正規直交座標系XYZにおける方向Zでの1度のみの回転自由度及び1度の並進自由度を有するように、フレーム12に運動学的に接続される。
図1から
図3に示されるように、部品支持体ユニット11は、部品100を所定の位置に保持するように構成され、このため、部品支持体ユニット11は、方向Zで長手方向に延在する。この特徴は、部品支持体ユニット11が移動する際、移動要素の慣性の制限を可能にする。
【0028】
部品支持体ユニット11の回転自由度は、部品100に対する旋削動作を実施する、又は部品100の様々な角度位置でフライス加工動作を実施するように、有利には、部品支持体ユニット11の駆動を可能にするものである。例として、部品支持体ユニット11は、旋削動作中、8000rpm超まで、例えば20000rpmまで、部品100を駆動するように構成し得る。旋削動作は、棒の形態の部品100のみに適していることは、言うまでもない。
【0029】
本発明において、フレーム12は、工作機械10の硬質構造要素によって形成される。本発明の特徴のおかげで、フレーム12は、図示のように、比較的小型とし得る。
【0030】
工作機械10は、工具支持体ユニット13も含み、工具支持体ユニット13は、切削工具130を支持し、方向Xで1度のみの並進自由度、方向Yで1度の回転自由度及び1度の並進自由度を有するようにフレーム12に運動学的に接続されることを意図する。
【0031】
したがって、工作機械10は、5つの移動度を含み、このうち3つは、工具支持体ユニット13に固有であり、2つは、部品100に固有のものである。したがって、移動の大部分は、最低質量を有する組立体によって、即ち、工具支持体ユニット13によって行われる。更に、以下でより詳細に説明するように、運動学の観点から、移動要素の合計質量を制限し、したがって、慣性に関連する応力を最小化し、比較的小型の接続要素の使用を可能にするため、工具支持体ユニット13の並進自由度の度数を2度に制限しようとした。
【0032】
全体として、これらの構成は、工具支持体ユニット13及び部品支持体ユニット11のそれぞれとフレーム12との間に介挿される接続要素の数を最小化することも可能にし、硬質構造の工作機械10を可能にする一方で工作機械10の体積及び質量を最小化するという利点を有する。
【0033】
特に、部品支持体ユニット11は、フレーム12に直接固定される少なくとも1つの摺動体120上に組み付けられる部品支持体キャリッジ110を含む。部品支持体キャリッジ110は、例えば、
図1及び
図3に示されるチャック、又は
図2に示される配置デバイスによって形成される部品支持体モジュール112を含む。公知の様式で、部品支持体モジュール112は、部品支持体モジュール112が部品100を所定の位置で保持する締結状態、又は部品支持体モジュール112が部品100の移動を可能にする解放状態にする駆動に適合される。部品支持体キャリッジ110は、方向Zで延在する貫通開口を有し、貫通開口を通じて部品100を案内し、工作機械10の機械加工区域に送ることを意図する。ここで、開口は、部品支持体モジュール112の端部の一方で開口することを理解されたい。
【0034】
更に、工具支持体ユニット13は、少なくとも1つの摺動体120上に組み付けられる第1のキャリッジ131を含み、少なくとも1つの摺動体120は、フレーム12に直接固定され、方向Xで延在する。工具支持体ユニット13は、少なくとも1つの摺動体120上に組み付けられる第2のキャリッジ133も含み、少なくとも1つの摺動体120は、第1のキャリッジ131に固定され、方向Yで延在する。第2のキャリッジ133は、
図1から
図4に示されるように、工具支持体スピンドル等、方向Y回りに回転移動し得る工具支持体135を含む。
【0035】
図1及び
図2に示すように、方向Xは、垂直に、即ち、重力方向に向けられる。したがって、第1のキャリッジ131は、力が第1のキャリッジ131及び第2のキャリッジ133がそれぞれ支持する要素の質量に関する限り、第2のキャリッジ133より大きな力を受ける可能性がある。第1のキャリッジ131は、特に、切削工具130を機械加工区域から取り除くため、第2のキャリッジ133より更に進行するようにも構成される。
【0036】
第1のキャリッジ131は、フレーム12に直接接続されるため、第2のキャリッジ133と比較して、第1のキャリッジ131が受ける更なる力及び第1のキャリッジ131のより長い進行は、工作機械10の剛性に影響を及ぼす可能性が低い。
【0037】
ここで、部品支持体キャリッジ110並びに工具支持体ユニット13の第1のキャリッジ131及び第2のキャリッジ133の自由度の構成は、特に有利であることを理解されたい。というのは、この構成は、一方で、移動要素の質量の最小化、したがって、工作機械10が受ける応力の最小化を可能にし、もう一方で、これらの応力をフレーム12に可能な限り直接伝達可能にするためである。これらの特徴のおかげで、工作機械10、特に工具支持体ユニット13及び部品支持体ユニット11は、優れた動的挙動、移動要素の慣性の抑制、及び工作機械10の剛性の増大から利益を得る。
【0038】
本発明による工作機械10の設計のおかげで、摺動体120は、比較的小型のサイズで作製し得る。
【0039】
これらの特徴は、材料から放出されるチップ及び機械加工潤滑剤から工作機械10を保護するため、保護壁(図示せず)を工作機械10に容易に統合することも可能にする。これらの保護壁は、外部環境から実質的に封止される機械加工チャンバを形成するように構成される。更に、機械加工チャンバは、例えば、ワイパ121又はベローズ122により、一方でフレーム12に、もう一方で各キャリッジに壁を封止固定することによって、かなり小型であるように設計し得る。
【0040】
特に、ベローズ122は、特に摺動体120を見せるように、透明なものとして
図1に概略的に示されている。
図3及び
図4は、2つの反対の変形可能壁を備えるベローズ122の一例を示し、キャリッジが占める位置に従って、壁の一方は拡張し、もう一方は後退する。
図4は、工具支持体135の周囲、特に、方向Yで延在する工具支持体135の円筒形部分に備え付けられたワイパ121も示す。
【0041】
工作機械10がフライス加工動作の実施を意図する場合、工具支持体135は、切削工具130、即ちフライス加工カッタをその長手方向軸回りに回転させるように構成されることに留意されたい。この構成は、当業者が利用可能な商業的解決策によって実装し得る。例として、フライス加工動作を実施する際、工具支持体135は、60000rpm超、例えば70000rpmで切削工具130をその長手方向軸回りに回転させるように構成し得る。
【0042】
工作機械10は、方向Zでの1度のみの並進自由度及び1度の回転自由度を有するようにフレーム12に運動学的に接続される更なるユニット14を含み得る。部品支持体ユニット11と同様に、
図1及び
図2に示されるように、この更なるユニット14は、少なくとも1つの摺動体120上に組み付けられる更なるキャリッジ140を含み、少なくとも1つの摺動体120は、フレーム12に直接固定される。更なるユニット14は、部品支持体ユニット11と共に工具支持体ユニット13のいずれかの側に配置されるように配設される。言い換えれば、切削工具130は、部品支持体ユニット11と更なるユニット14との間に介挿される。
【0043】
有利には、部品支持体キャリッジ110及び更なるキャリッジ140が接続される摺動体120は、同じ摺動体によって形成し得る。有利には、この特徴は、部品支持体キャリッジ110と更なるキャリッジ140との間の位置合せを保証する。
【0044】
更なるキャリッジ140は、部品支持体ユニット11の反対に配置される対の部品支持体モジュール141又は第2の工具支持体(図示せず)の受入れに適合される。更なるキャリッジ140は、更なるキャリッジ140が対の部品支持体モジュール141を含む場合、部品100を所定の位置で保持し、更なるキャリッジ140が第2の工具支持体を含む場合、部品支持体モジュール112によって保持される部品100をフライス加工又は穿孔によって機械加工することを意図する。
【0045】
特に、対の部品支持体モジュール141は、例えば、
図1に示されるクランプ若しくはマンドレルによって、又は
図2に示される嵌合デバイスによって上記と同様に形成し得る。
【0046】
部品支持体キャリッジ110と同様に、更なるキャリッジ140は、貫通開口142を有し、貫通開口142は、方向Zで延在し、対の部品支持体モジュール141の端部の一方に開口する。部品100は、工作機械10の機械加工区域から取り出すため、貫通開口142を通じて案内されることを意図する。
【0047】
有利には、
図1に示される例では、対の部品支持体モジュール141は、部品支持体キャリッジ110、特に部品支持体モジュール112によって保持される部品100を把持するように制御でき、このため、部品は、前記部品支持体モジュール112によって解放された後、前記対の部品支持体モジュール141のみによって所定の位置に固定され、新たな機械加工段階の実行を可能にする。この新たな機械加工段階の間、切削工具130は、次に、部品100が部品支持体モジュール112によって所定の位置に保持されていた際にはアクセス不可能であった部品100の区域にアクセスでき、したがって、機械加工を完結し得る。
【0048】
更に、
図2に示される例では、この場合は条片である部品100は、有利には、部品支持体モジュール112及び対の部品支持体モジュール141によって同時に保持し得る。そのような配置デバイスは、例えば、部品支持体配置デバイスと組み合わせて、部品100が移動する際に部品100を案内することも意図する。この目的で、配置デバイスは、部品100と協働する案内路と、部品100の固定又は解放に適合する締結手段とを含む。
【0049】
本発明のこの例示的実施形態では、部品支持体モジュール112及び対の部品支持体モジュール141は、送り移動における部品100の移動を制御し得る、即ち、部品100は、方向Zの一方向のみで並進する。この部品100の送り移動は、例えば、機械加工段階の前、及び機械加工段階の終了時に実行され、未加工部品の形態の部品100の流入、及び工作機械10からの機械加工された部品100の形態の部品100の流出をもたらすようにする。より詳細には、この送り移動において部品100を移動させるため、例えば、部品支持体モジュール112又は対の部品支持体モジュール141は、部品100を保持するように駆動される一方で、もう一方のモジュールは、部品100を解放するように駆動され、次に、部品を保持するモジュールは、所与の向きで方向Zに並進する。次に、このモジュールは、部品100を解放するように駆動される一方で、もう一方のモジュールは、部品を保持するように駆動される。
【0050】
部品支持体モジュール112及び対の部品支持体モジュール141は、機械加工段階の間に部品100を移動させるように駆動することもできる。より詳細には、部品支持体モジュール112及び対の部品支持体モジュール141は共に、この場合、同一の並進移動、可能性としては回転運動で駆動され、特に部品100が棒の形態である場合に方向Zで部品100を傾斜させる。
【0051】
更なるキャリッジ140が第2の工具支持体を受け入れる際、第2の工具支持体は、フライス加工工具又は旋削工具等の切削工具の支持に適合され、このため、更なるユニット14は、工具支持体モジュール112によって固定された部品に対して旋削及びフライス加工動作の実行を可能にする。
【0052】
図1及び
図2に示すように、本発明の好ましい実施形態では、部品支持体キャリッジ110、第1のキャリッジ131、第2のキャリッジ133及び更なるキャリッジ140は、2つの摺動体120によって支持される。
【0053】
有利には、工作機械は、工具支持体ユニット13と同様の第2の工具支持体ユニットを含み、第2の工具支持体ユニットは、対称平面YZに対して工具支持体ユニットに対称的に配置されることを考慮でき、これにより、前記工具支持体ユニットはそれぞれ、部品支持体ユニット11及び更なるユニット14のいずれかの側に配置される。この特徴は、部品支持体ユニット11及び更なるユニット14によって所定の位置に保持される部品に対して機械加工動作の実行を同時に可能にするという点で有利である。第2の工具支持体ユニットは、第2の工具支持体ユニットが、工具支持体ユニット13と同一の自由度での切削工具の支持及びフレーム12への運動学的な接続を意図する工具支持体ユニットを有するという点で、工具支持体ユニット13と同様である。
【0054】
より一般的には、上記で考慮される実装形態及び実施形態は、非限定的な例として説明しており、したがって、他の変形形態が可能であることに留意されたい。
【0055】
特に、
図1及び
図2に示され、上記で説明した例示的実施形態は、部品100を機械加工区域を通じて案内することによって供給される工作機械10に関する。しかし、本発明による工作機械10は、バッチ、例えばプロットの形態での部品100の機械加工に適合でき、部品100の供給は、連続的に実行され、機械加工される各部品100は、様々な半加工品100に由来する。
【0056】
更に、この第2の工具支持体は、固定又は回転心押し台を支持し得る。
【0057】
部品支持体ユニット11及び工具支持体ユニット13並びに任意の更なるユニット14の並進移動及び回転運動は、当業者に公知の様式で、監視、制御ユニットによりサーボ制御される独立した電気モータによって保証されることに留意されたい。
【符号の説明】
【0058】
10 数値制御工作機械
11 部品支持体ユニット
12 フレーム
13 工具支持体ユニット
100 半加工品
130 切削工具
【外国語明細書】