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特開2024-149419リニア形ペリスタルティックポンプ用のデバイス、ローター及びリニア形ペリスタルティックポンプ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149419
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】リニア形ペリスタルティックポンプ用のデバイス、ローター及びリニア形ペリスタルティックポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/12 20060101AFI20241010BHJP
   F04C 5/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
F04B43/12 A
F04B43/12 D
F04C5/00 341G
F04C5/00 341C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024059424
(22)【出願日】2024-04-02
(31)【優先権主張番号】10 2023 108 837.8
(32)【優先日】2023-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】524126714
【氏名又は名称】ガードナー デンバー トーマス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】グンター エーリッヒ シュミット
【テーマコード(参考)】
3H077
【Fターム(参考)】
3H077CC04
3H077CC10
3H077DD02
3H077EE35
3H077FF03
3H077FF06
3H077FF42
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リニア形ペリスタルティックポンプ用のデバイス、ローター及びリニア形ペリスタルティックポンプを提供すること。
【解決手段】デバイス10は、連続的に延在する軌道又は摺動路100を備え、軌道又は摺動路100は、複数のセクションに分割された半径R及び中間点Mを具備する円形コース101を有する。更に、軌道又は案内路若しくは摺動路100は、第1及び第2の部分領域102,103を備える。第1及び第2の部分領域は好ましくは、円形コースから間隔を空けて配置された曲線コースであり、曲線コースは、半径方向において第1の長さL1、L11が半径Rと円形コースに対する第1の間隔110、111との差であり、半径方向において第2の長さL2、L12が半径Rと円形コースに対する第2の間隔120、121との和であるように構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に延在する軌道又は案内路若しくは摺動路(100)を具備する、フレキシブルチューブ(40)の中を通して流体を移送するためのリニア形ペリスタルティックポンプ(1)用のデバイス(10)であって、
前記軌道又は案内路/摺動路(100)が、複数のセクションに分割された半径(R)及び中間点(M)を具備する円形コース(101)を有し、前記軌道又は案内路/摺動路(100)が、
a) 直線又は曲線コースを具備する第1の部分領域(102)であって、前記円形コース(101)に対して間隔を空けて延在し、半径方向において、第1の最大間隔(110)を有する第1の部分領域(102)と、
b) 曲線コースを具備する第2の部分領域(103)であって、前記第1の部分領域(102)の反対側に配置され、前記円形コース(101)に対して間隔を空けて延在し、前記半径方向において、第2の最大間隔(120)を有する第2の部分領域(103)と
を更に備え、
c) 前記第1及び第2の最大間隔(110、120)が、同一のサイズである、
デバイス(10)。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイス(10)であって、
前記半径方向において第1の長さ(L1、L11)が前記半径(R)と前記円形コースに対する第1の間隔(110、111)との差であり、前記半径方向において第2の長さ(L2、L12)が前記半径(R)と前記円形コースに対する第2の間隔(120、121)との和であるように、前記第1及び第2の部分領域の前記直線又は曲線コースが構成される、
デバイス(10)。
【請求項3】
請求項2に記載のデバイス(10)であって、
前記第1の長さ(L1)が、前記第1の部分領域(102)上の第1の点(P102)を規定し、前記第2の長さ(L2)が、前記第2の部分領域(103)上の第2の点(P103)を規定し、及び/又は前記第1の長さ(L1)と前記第2の長さ(L2)との和が、前記半径Rの2倍に対応する、
デバイス(10)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス(10)であって、
前記第1の最大間隔(110)が、前記第1の部分領域(102)の中央に配置され、前記第2の最大間隔(120)が、前記第2の部分領域(102)の中央に配置される、
デバイス(10)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス(10)であって、
前記円形コース(101)の2つの円弧が、互いに反対側に配置され、並びに/又は
前記第1の部分領域(102)の両方の端部及び前記第2の部分領域(103)の両方の端部が、それぞれ前記円形コース(101)の1つのセクションに接続される、
デバイス(10)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス(10)であって、
前記第2の部分領域(103)が、凸状であるように構成され、及び/又は
前記第1の部分領域(102)の前記曲線コースが、
- 前記中間点(M)に向かうアーチ状であるように構成され、若しくは
- 前記中間点(M)から遠ざかるアーチ状であるように構成される、
デバイス(10)。
【請求項7】
請求項1から6の一項に記載の前記デバイス(10)であって、
当該デバイス(10)が、チューブ(40)を収容するための溝(26)を有し、前記溝(26)が、前記第1のサブセクション(102)の領域に開口部(27)を有し、及び/又は、前記チューブ(40)を当該デバイス(10)内に固定するために、当該デバイス(10)が、クロージャ(30)若しくはカバーを有する、
デバイス(10)。
【請求項8】
フレキシブルチューブ(40)の中を通して流体を移送するためのリニア形ペリスタルティックポンプ(1)のデバイス(10)、好ましくは請求項1から7の一項に記載のデバイス(10)のためのローター(12)であって、
- 第1及び第2の絞り手段(15)を有する少なくとも1組ある第1の組の絞り手段と、
- 前記第1及び第2の絞り手段(15)を収容するための少なくとも1つの絞り手段支持体(13、14)と、
- 前記少なくとも1つの絞り手段支持体(13、14)を案内及び/又は収容するための少なくとも1つのカム(17)と
を有するローター(12)。
【請求項9】
請求項8に記載のローター(12)であって、
前記カム(17)が、スロット(20、21)、空洞又は凹みを有し、前記少なくとも1つの絞り手段支持体(13、14)が、スロット(20、21)、空洞又は凹みの中に変位可能に配置される、
ローター(12)。
【請求項10】
請求項8に記載のローター(12)であって、
前記カム(17)が、互いに間隔を空けて平行に配置された2つのカム部材(18、19)を含み、前記カム部材(18、19)が、前記絞り手段(15)を案内するためのスロット(22、23)、空洞又は凹みを有し、前記少なくとも1つの絞り手段支持体(13、14)が、前記カム部材(18、19)間に変位可能に配置され、任意選択により、前記第1の絞り手段支持体(13、14)の第1の長手方向軸(135)及び第2の絞り手段支持体(13、14)の第2の長手方向軸(145)が、互いに垂直に配置される、
ローター(12)。
【請求項11】
請求項8から10の一項に記載のローター(12)であって、
前記少なくとも1つの絞り手段支持体(13、14)が、前記カム(17)に対して変位するように設定され、並びに/又は、2つ以上の絞り手段支持体(13、14)がある場合、前記絞り手段支持体(13、14)が、前記カム(17)及び/若しくは互いに対して変位するように構築される、
ローター(12)。
【請求項12】
請求項1から7の一項に記載の少なくとも1つのデバイス(10)と、請求項8から11の一項に記載のローター(12)とを備えるリニア形ペリスタルティックポンプ(1)であって、
前記デバイスが、連続的に延在する軌道又は案内路若しくは摺動路(100)を備え、前記軌道又は摺動路(100)が、複数のセクションに分割された半径(R)及び中間点(M)を具備する円形コース(101)を有し、前記軌道又は摺動路(100)が、
d) 直線又は曲線コースを具備する第1の部分領域(102)であって、前記円形コース(101)に対して間隔を空けて延在し、前記半径方向において、第1の最大間隔(110)を有する第1の部分領域(102)と、
e) 曲線コースを具備する第2の部分領域(103)であって、前記第1の部分領域(102)の反対側に配置され、前記円形コース(101)に対して間隔を空けて延在し、前記半径方向において、第2の最大間隔(120)を有する第2の部分領域(103)と
を更に備え、
f) 前記第1及び第2の最大間隔(110、120)が、同一のサイズである、
リニア形ペリスタルティックポンプ(1)。
【請求項13】
請求項12に記載のリニア形ペリスタルティックポンプ(1)であって、
前記半径方向において第1の長さ(L1、L11)が前記半径(R)と前記円形コースに対する第1の間隔(110、111)との差であり、前記半径方向において第2の長さ(L2、L12)が前記半径(R)と前記円形コースに対する第2の間隔(120、121)との和であるように、前記第1及び第2の部分領域の前記直線又は曲線コースが構成される、
リニア形ペリスタルティックポンプ(1)。
【請求項14】
請求項12に記載のリニア形ペリスタルティックポンプ(1)であって、
フレキシブルチューブ(40)の中を通して流体を移送するために、前記デバイス(10)の溝(26)の中に配置することが可能で前記溝(26)の前記開口部(27)の中に突出する前記フレキシブルチューブ(40)を、少なくとも1組ある第1の組の絞り手段(15)によって絞るように前記ローターが構成され、前記少なくとも1つの第1の絞り手段支持体(13、14)が、前記カム及び/若しくは互いに対して、並びに/又は前記軌道又は摺動路(100)に対して変位するように構築される、
リニア形ペリスタルティックポンプ(1)。
【請求項15】
請求項12から14の一項に記載のリニア形ペリスタルティックポンプ(1)であって、
前記軌道又は摺動路(100)が縁部のところで、歯付きラック(51)又は歯部として構成され、前記少なくとも1つの絞り手段(15)が縁部に、スプロケット(50)として構成された領域を有し、前記歯付きラック(51)又は前記歯部が、前記絞り手段(15)の前記スプロケット(50)とかみ合う、
リニア形ペリスタルティックポンプ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニア形ペリスタルティックポンプ用のデバイスに関する。本発明は、デバイスのためのローターに更に関する。更に、本発明は、リニア形ペリスタルティックポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ペリスタルティックポンプは、従来技術により以前から公知である。
【0003】
チューブ絞りポンプ又はペリスタルティックポンプとも呼ばれるチューブポンプは、フレキシブルチューブが外因による機械的変形を起こすことによって、移送すべき媒体がフレキシブルチューブの中を押し進められる容積式ポンプである。好ましくは、ローリングポンプ、ローラーポンプ又はチューブ絞りポンプが公知である。ローラー又はローターのスライディングブロックは、チューブ内でチューブへのローラー又はスライディングブロックの接触によって発生した閉塞箇所に存在する圧送すべき媒体、好ましくは流体を押し進める。
【0004】
特許文献1は、プッシュロッドがフレキシブル輸液チューブを周期的に絞るように構築される、複数のプッシュロッドを具備するペリスタルティックポンプを記述する。更に、チューブ交換が煩雑であると実証されたチューブポンプも公知である。
【0005】
特許文献2は、フレキシブルアームを介して取り付けられた2つの以上のローラーを有するローターを具備するペリスタルティックポンプに関する。ローラーは、フレキシブルチューブに圧力を加えて液体を送り込む。このようなローラー及びばね付きアームを有する類似のローターは、次の欠点を有する。チューブに加えられる力は、使用されるばねに依存し、システムの設計上、フレキシブルチューブを支持する部品とローターの回転軸との距離を変更することができる場合を除いて適応させることができない。結果として、チューブ内に送り込まれる液体製品の量も変化する。
【0006】
ローラー又はばね付きローラーを具備するフレキシブルアームを使用するローターの別の欠点は、力のすべてがローターシャフトに作用し、この力を、モータのシャフト又は対応するベアリングによって吸収しなければならないことである。
【0007】
一般的なペリスタルティックポンプの別の欠点は、調整ができないことで、直線セクションの力曲線が最小値から最大値まで上昇した後、再び下降することである。したがって、連続的な圧力の上昇という目的は達成できない。したがって、ローラーがチューブと接触したときに、全長にわたって連続的な圧力を与えることが技術的な一目的である。
【0008】
従来技術のポンプの更なる欠点は、メンテナンス及び/又は修理の際に不利な影響が出る複雑な構造を有することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/240201(A1)号明細書
【特許文献2】英国特許出願公開第2230301(A)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明によって対処される課題は、上記の従来技術の欠点を克服することである。更に、代替的なデバイス、ローター及びリニア形ペリスタルティックポンプを提供するように意図される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、フレキシブルチューブの中を通して流体を移送するためのリニア形ペリスタルティックポンプ用のデバイスによって解決される。デバイスは、連続的に延在する軌道又は案内路若しくは摺動路を備え、延在する軌道又は摺動/案内路が、複数のセクションに分割された半径及び中間点を具備する円形コースを有し、軌道又は摺動路が、
a) 直線又は曲線コースを具備する第1の部分領域であって、円形コースに対して間隔を空けて延在し、半径方向において、第1の最大間隔を有する第1の部分領域と、
b) 曲線コースを具備する第2の部分領域であって、第1の部分領域の反対側に配置され、円形コースに対して間隔を空けて延在し、半径方向において、第2の最大間隔を有する第2の部分領域と
を更に備え、
c) 第1の最大間隔と第2の最大間隔が同一のサイズである。
【0012】
言い換えると、第1の部分領域及び第2の部分領域は、円形コースの変化又は円形コースから外れることを意味する。円形コースに対して間隔を空けて延在する第1の部分領域の直線又は曲線コースは、円形コースに対して第1の間隔を生じさせ、複数の第1の間隔のうちの1つは、第1の最大間隔である。好ましくは、第1の最大間隔は1つのみ存在する。同様に、第2の部分領域の曲線コースは、1つの第2の最大間隔を含む複数の第2の間隔を有する。
【0013】
規定の軌道/案内路又は摺動路を具備するデバイスを提供する結果、デバイスに挿入可能なローターを使用することができる。ペリスタルティックポンプの動作中、挿入されたローターの絞り手段は、案内路に沿って案内される。
【0014】
軌道又は案内路は、ローラー軌道であると解することができる。摺動路は、スライディングブロック軌道であると解することができる。
【0015】
軌道、案内路又は摺動路は好ましくは、ローター又はローターの絞り手段を案内するように構築される。絞り手段は好ましくは、チューブを閉塞させ、押し、締め付け、好ましくは締め付けて遮断し、押し圧し、若しくは圧搾し、又は圧縮するための手段であり得る。特に、絞り手段は、ローラー又はスライディングブロックであり得る。ローラーは、転動体、回転可能な物体又は転がり軸受等であると解することもできる。
【0016】
更に、規定の態様でチューブの中を通して流体を移送するために、好ましくは第1の部分領域の領域内において、ローターによって、デバイスに挿入されたフレキシブルチューブを絞り、閉塞させ、締め付け、好ましくは締め付けて遮断し、押し圧し、若しくは圧搾し、又は圧縮することができる。
【0017】
デバイスは、制御リンク、ステータ又はハウジングであると解することができる。リニア形ペリスタルティックポンプは、ローラーポンプとしても知られる。
【0018】
好ましくは、リニア形ペリスタルティックポンプにおいて、チューブは、対向する滑走面を使用してチューブの長手方向軸を曲げることなくデバイスに導入され、又ははめ込まれる。言い換えると、チューブは、曲がりのない又はねじれのない態様でペリスタルティックポンプ又はポンプのデバイスに導入され、又ははめ込まれる。したがって、この好ましい実施形態によれば、リニア形ペリスタルティックポンプは、直線的に延びる滑走面を有し、軌道又は案内路若しくは摺動路の第1の部分領域も直線的に延びる。直線的に延びる第1の部分領域の反対側に第2の部分領域が配置される、曲線コースを具備する第2の部分領域の特殊な形状により、チューブに作用する力は、対向する滑走面が調節されるかに依存する。上記のチューブの対向する滑走面には、ばねで荷重をかけることが可能であり、対向する表面のばね予荷重を変化させて、前述の力を変更することができる。
【0019】
一般的なローラーポンプとは著しく異なり、ローター部材はばね又は可とう部品を使用しないので、第2の部分領域の特殊な設計の一利点は、ローターを保持するベアリングではなくハウジングに力を直接導入することができることである。
【0020】
したがって、他の直線方式の解決法に比較して構造が単純でメンテナンスも複雑ではないデバイスが提供される。特に、ローターを回転させるためのモータの少なくとも1つのシャフトは、半径方向において受ける応力が著しく減少し、又は応力を受けない。このようにして、ローター又はアームのようなローターの部品は、ばねを用いない方式で又は可とう要素を用いることなく、デバイス内に取り付けることができる。従来技術とは著しく異なり、互いに向き合う絞り手段又はローラーは、一定の伸びの支持体によって連結され得る。このようにして、対向する絞り手段は固定間隔を有し、固定連結される。
【0021】
軌道又は案内路若しくは摺動路は、複数のセクションに分割された半径及び中間点を具備する円形コースを有する。したがって、円形コースの部分又はセクションが形成される。例えば、これらのセクションは、2つの円弧によって形成されてもよい。これらの円弧は、好ましくは、互いに間隔を空けて配置される。言い換えると、上記円弧は、好ましい一実施形態において、互いに対称であり、対称軸に対して規定の間隔、好ましくは固定間隔を有し得る。
【0022】
「連続的な」は、シームレスにつなげられ、一様に延び、より遠くに向かって延び、及び/又は間断のないことを確実にしているコースであると解することができる。
【0023】
曲線コースは、ドーム状コースであると解することができる。ドーム状コースは、好ましくは、楕円体ドーム又は扁平楕円体であり得る。曲線コースは、好ましくは、左右対称である。曲線コースは、好ましくは、数学的な1階関数又は(1+n)階関数(式中、n≧1)に従うことができる。曲線コースは頂点を有し得、楕円状、放物線状、懸垂線状に構成され得、好ましくは、カテナリー曲線、カテノイド曲線又はフニキュラー曲線として構成され得る。
【0024】
好ましい一実施形態において、第1の部分領域は、円形コースの周回軌道の内側に配置され、第2の部分領域は、円形コースの周回軌道の外側に配置される。結果として、軌道又は案内/摺動路の連続的なコースを作り出すことができる。
【0025】
更なる好ましい一実施形態において、半径方向では、第1の長さは、半径と第1の間隔との差である。更に、半径方向では、第2の長さは、半径と第2の間隔の和である。言い換えると、第1の長さは、第2の長さより短い。すなわち、ローターを具備するペリスタルティックポンプの動作中、第1及び第2の長さは、ローターの回転角に応じた可変の長さであり得る。
【0026】
このようにして、絞りローラー又は他の絞り手段によって、チューブへの一定の絞り力をチューブに与えることができる。第1及び第2の長さは、円形コースの半径の角度の関数として変化し、したがって、動作中においては、例えばローラーのような対向する絞り手段の中心間の間隔がローターの回転角に対して同じように無関係なままであるように、ローターの回転角に依存する。したがって、チューブをローラー等の絞り手段又は要素と接触させたときにチューブに加えられる力は、チューブの対向する滑走面が多かれ少なかれチューブに押された場合にのみ変化し得る。対向する滑走面をチューブに向けて圧搾することは、ばね機構又は他の機械的手段を使用してチューブに対する対向する滑走面の距離を調整することによって実行され得る。
【0027】
更に別の好ましい実施形態において、第1の長さは、第1の部分領域上の第1の点を規定し、第2の長さは、第2の部分領域上の第2の点を規定する。したがって、第1の点は、第2の点より中間点Mに近い。
【0028】
更なる好ましい一実施形態において、第1の最大間隔は、第1の部分領域の中央に位置し、第2の最大間隔は、第2の部分領域の中心又は対称軸に位置する。結果として、軌道又は案内路/摺動路の連続的なコースを作り出すことができる。「中央に」は、「中心に」を意味すると解することができる。言い換えると、第1の点は、第1の部分領域の中央に配置され、第2の点は、第2の部分領域の中央に配置される。
【0029】
好ましい一実施形態において、円形コースの2つの円弧は、互いに反対側に配置される。結果として、軌道又は案内路/摺動路のコースを最適化することができる。
【0030】
更なる好ましい一実施形態において、第1の部分領域と第2の部分領域との両端は、それぞれ円形コースの1つのセクション、サブセクション又は円弧に接続される。結果として、連続的に延在する軌道又は案内路若しくは摺動路を簡単に作り出すことができる。セクションは、円弧であると解することができる。
【0031】
好ましくは、直線コースを具備する第1の部分領域は端部に、円形コースへの移行領域を有する。結果として、直線コースから円形コースへの連続的な移行が起き得る。好ましくは、移行領域は、円形コースと第1の部分領域及び/又は第2の部分領域との間の領域又はこれらの間の移行部に構成又は配置される。言い換えると、移行領域は、第1及び/又は第2の部分領域と円形コースとの移行部に構成され得る。移行領域は、上記のように、曲がったコース、ドーム状コース、直線コース又は曲線コースであり得る。
【0032】
更なる一実施形態において、第2の部分領域は、凸状であるように構成される。言い換えると、第1の最大値の和は、円形コースの直径の半分(半径R)より常に大きい。
【0033】
更なる好ましい一実施形態において、第1の部分領域の曲線コースは、
- 中間点に向かうアーチ状であるように構成され、又は
- 中間点(M)から遠ざかるアーチ状であるように構成される。
【0034】
更なる代替形態として、第1の部分領域は、上記のような直線状であるように構成される。これらの実施形態の場合、ローターのための軌道を異なる態様で構成することができる。第2の部分領域のコースは、ローターの機能を保証するために、第1の部分領域のコースの構成に応じて適応させるべきである。
【0035】
更なる好ましい一実施形態において、デバイスは、チューブを収容するための溝を有する。溝は、第1のサブセクションの領域内に開口部を有することができる。代替的には、第1のサブセクションは、間断部を有してもよい。デバイスは、溝、開口部及び/若しくは間断部の反対側に配置されたクロージャを有することもできるし、又はデバイスからチューブが抜け出ないようにするためのカバーを有することもできる。更に、チューブを固定するために、チューブ締め付けデバイスを使用することもできる。
【0036】
したがって、溝は、フレキシブルチューブを収容する役割を果たす。チューブが溝に差し込まれたとき、チューブは、好ましくは少なくとも部分的に開口部を通って、デバイスの中に突出する。規定の態様でフレキシブルチューブの中を通して流体を移送するために、ローターによってチューブを絞り、締め付け、好ましくは締め付けて遮断し、押し圧し、若しくは圧搾し、又は圧縮することができる。絞り手段がチューブと接触すると、チューブは溝の領域内でデバイスの内側に向かって、すなわち、内向きに突出するので、チューブを絞り、締め付け、好ましくは締め付けて遮断し、押し圧し、又は圧搾することができる。
【0037】
特に好ましい一実施形態において、デバイスは、少なくとも1つの絞り手段、好ましくは、デバイス内に回転可能に取り付けられたローラー又はローターのスライディングブロックによってチューブを絞り、締め付け、閉塞させ、好ましくは締め付けて遮断し、押し圧し、若しくは圧搾し、又は圧縮するように構築される。ローラーは、転動体であると解することもできる。
【0038】
「少なくとも」は、「最低でも」を意味すると解することもできる。
【0039】
更に、上記課題は、フレキシブルチューブの中を通して流体を移送するためのリニア形ペリスタルティックポンプのデバイス、好ましくは上記のデバイスのためのローターであって、
- 第1及び第2の絞り手段を有する少なくとも1組ある第1の組の絞り手段と、
- 第1及び第2の絞り手段を収容するための少なくとも1つの絞り手段支持体と、
- 少なくとも1つの絞り手段支持体を案内及び/又は収容するための少なくとも1つのカムと
を有するローターによって解決される。
【0040】
1組の絞り手段は、第1及び第2のローラー又は第1及び第2のスライディングブロックであると解することができる。上記のように、絞り手段は、チューブを押し、締め付け、好ましくは締め付けて遮断し、押し圧し、若しくは圧搾し、又は圧縮するための手段であり得る。
【0041】
絞り手段支持体は、ローラー支持体又はスライディングブロック支持体であり得る。絞り手段支持体は、案内手段又は絞り手段案内手段であると解することができる。
【0042】
それぞれが2つの絞り手段を有する、ローター内に配置された好ましくは2つの絞り手段支持体が存在する。カムは、好ましくは、シャフトを有する。特に好ましくは、カムは、モータによって作動される、すなわち、回転するように仕向けられるように構築される。
【0043】
したがって、単純な構造を有し、製造が安価なローターが提供される。複数の要素で構成される型の構造の結果、交換が必要な構成要素を置きかえやすい。
【0044】
好ましい一実施形態において、カムは、スロット、空洞又は凹みを有し、少なくとも1つの絞り手段支持体は、スロット、空洞又は凹みの中に変位可能に配置される。カムは、ワンピース方式又はツーピース方式で形成され得る。
【0045】
好ましい代替的な一実施形態において、カムは、互いに間隔を空けて平行に配置された2つのカム部材を備え、カム部材は、絞り手段を案内するためのスロット、空洞又は凹みを有し、少なくとも1つの絞り手段支持体は、カム部材間に変位可能に配置される。
【0046】
絞り手段のそれぞれは、好ましくは、シャフトを有する。代替的には、絞り手段のそれぞれは両側の前面に、いずれの場合においても、突出領域、ピン又はペグを有する。好ましくは、シャフト、突出領域又はピンは、スロット、空洞又は凹みの中に変位可能に配置される。
【0047】
ローターは好ましくは、カムに対して少なくとも1つの絞り手段支持体を変位させるように構成される。更に、ローターは、規定の態様でフレキシブルチューブの中を通して流体を移送するために、デバイスの溝に差し込まれたチューブであって、後で、好ましくは少なくとも部分的に開口部を通ってデバイスの中に突出するチューブを絞り、閉塞させ、締め付け、好ましくは締め付けて遮断し、押し圧し、若しくは圧搾し、又は圧縮するように構築される。
【0048】
更なる好ましい一実施形態において、いずれの場合においても、1つの絞り手段は、絞り手段支持体の端部のそれぞれに回転可能に配置される。
【0049】
絞り手段は好ましくは、デバイスから突出するセクションを含む。
【0050】
2つの絞り手段は好ましくは、少なくとも第2の絞り手段支持体の端部に回転可能に配置される。少なくとも2つの更なる絞り手段は好ましくは、少なくとも1つの更なる絞り手段支持体の端部に回転可能に配置される。
【0051】
特に好ましくは、絞り手段のそれぞれは、互いに平行な2つの絞り手段支持体の端部に回転及び変位可能に配置される。
【0052】
更なる好ましい一実施形態において、第1の絞り手段支持体の第1の長手方向及び第2の絞り手段支持体の第2の長手方向軸は、互いに垂直に配置される。
【0053】
長手方向軸は、中心軸又は長手方向中心軸であると解することができる。3つの絞り手段支持体の長手方向軸は好ましくは、互いに60°の角度で配置される。4つの絞り手段支持体の長手方向軸は好ましくは、互いに45°の角度で配置される。
【0054】
特に好ましい一実施形態において、少なくとも1つの絞り手段支持体は、カムに対して変位するように構築される。
【0055】
更に別の好ましい実施形態において、2つ以上の絞り手段支持体がある場合、これらの絞り手段支持体は、カム及び/又は互いに対して変位するように構築される。
【0056】
ローターのすべての構成要素は好ましくは、ばねを用いない方式でデバイス内に取り付けられ、又は変位可能である。好ましくは、ローターのすべての構成要素は、互いに動作可能に接続される。
【0057】
更に、上記課題は、デバイス、好ましくは上記のデバイスと、ローター、好ましくは上記のローターとを少なくとも備えるリニア形ペリスタルティックポンプによって解決される。上記デバイスは、連続的に延在する軌道又は案内路若しくは摺動路を備え、軌道又は案内路/摺動路は、複数のセクションに分割された半径(R)及び中間点を具備する円形コースを有し、軌道又は摺動路が
a) 直線又は曲線コースを具備する第1の部分領域であって、円形コースに対して間隔を空けて延在し、半径方向において、第1の最大間隔(110)を含む複数の第1の間隔(111、110)を有する第1の部分領域と、
b) 曲線コースを具備する第2の部分領域(103)であって、第1の部分領域(102)の反対側に配置され、円形コース(101)に対して間隔を空けて延在し、半径方向において、第2の最大間隔(120)を含む複数の第2の間隔(120、121)を有する第2の部分領域(103)と
を更に備え、
c) 第1及び第2の最大間隔(110、120)が、同一のサイズである。
【0058】
好ましい一実施形態において、半径方向において第1の長さ(L1、L11)が半径(R)と円形コースに対する第1の間隔(110、111)との差であり、半径方向において第2の長さ(L2、L12)が半径(R)と円形コースに対する第2の間隔(120、121)との和であるように、第1の部分領域の直線又は曲線コース及び第2の部分領域の曲線コースが構成される。
【0059】
したがって、単純な構造を有し、製造が安価なリニア形ペリスタルティックポンプが提供される。複数の要素で構成される型の構造の結果、交換が必要な構成要素を容易に置きかえることができる。ローター部材がばね又は可とう部品を使用し、シャフトに応力を発生させる一般的なローラーポンプとは著しく異なり、ペリスタルティックポンプのデバイスの第1及び第2の部分領域の特殊な設計は、ローターを回転させるモータのシャフトではなくデバイスのハウジングに力を直接導入することができるという利点をもたらす。
【0060】
チューブが溝に差し込まれると、チューブは、好ましくは少なくとも部分的に開口部を通って、デバイスの中に突出する。次いで、規定の態様でフレキシブルチューブの中を通して流体を移送するために、ローターによってチューブを絞り、締め付け、好ましくは締め付けて遮断し、押し圧し、若しくは圧搾し、又は圧縮することができる。
【0061】
好ましい一実施形態において、リニア形ペリスタルティックポンプは、それぞれが1つのローターを具備する少なくとも2つのデバイスを備える。好ましくは、2つのデバイスは互いに対して、チューブを収容するための溝が互いに反対側に位置するように配置される。チューブは好ましくは、両方のデバイスによって共同で形成された溝の中に配置することができる。
【0062】
更なる好ましい一実施形態において、少なくとも1つの第1の絞り手段支持体は、軌道又は案内路/摺動路に対して変位するよう構築される。この場合、絞り手段は、軌道又は案内路/摺動路と接触するように構築される。
【0063】
少なくとも1つの絞り手段支持体の変位は、好ましくは、ローターの回転を伴う。
【0064】
更なる好ましい一実施形態において、リニア形ペリスタルティックポンプは、ローターを駆動させるための駆動装置を更に備える。したがって、単純な方法によってローターを駆動させることができる。
【0065】
更に別の好ましい実施形態において、軌道又は案内路は縁部のところで、歯付きラック又は歯部として構成され、少なくとも1つの絞り手段は縁部に、スプロケットとして構成された領域を有し、歯付きラック又は歯部が、絞り手段のスプロケットとかみ合う。
【0066】
特に好ましい一実施形態において、リニア形ペリスタルティックポンプは、フレキシブルチューブの中を通して流体を移送するために、ローターによって、デバイスの溝に差し込まれたフレキシブルチューブであって、溝の開口部の中に突出するフレキシブルチューブを絞り、閉塞させ、締め付け、好ましくは締め付けて遮断し、押し圧し、若しくは圧搾し、又は圧縮するように構築される。
【0067】
絞り手段は好ましくは、絞られたチューブを軌道として使用するように構築される。これは、絞られた状態、すなわち、少なくとも1つの絞り手段が、絞り手段とチューブとが接触した状態にあるときのチューブが依然としてデバイスの中に突出する場合にあり得る。好ましくは、デバイス及びローターは、デバイス内のローターの回転及びチューブの絞りを保証するために、公差を許容するように寸法調整される。
【0068】
特に好ましくは、歯付きラック又は歯部は、デバイスの少なくとも1つの縁部セクションに配置される。
【0069】
本発明は、下記において、例示的な実施形態を参照しながらより詳細に説明される。本発明の様々な特徴及び利点は、本発明の様々な例を参照する図面に関する下記の記述の中に部分的に記載される。この点について、本開示のすべての図面に支援された寸法は縮尺通りではなく、例えば垂直方向のような任意の方向は、限定を加えるものではないことに留意する。図解は単純化され、各図面においてすべての構成要素が参照番号を使って示されるとは限らず、同様の参照番号が繰り越されることもある。本明細書では、下記の添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】デバイスの概略図を示す図である。
図2図1のデバイスの断面A-Aを示す図である。
図3図1の断面A-Aを示す図である。
図4】軌道ガイドの代替的な構成を示す図である。
図5】軌道ガイドの更なる代替的な構成を示す図である。
図6】ローターの構成要素の概略図を示す図である。
図7】ローラーを具備する図6の構成要素を示す図である。
図8】ローターの更なる構成要素の概略図を示す図である
図9】組み立てられた状態のローターの概略図を示す図である。
図10】代替的なローターの概略図を示す図である。
図11図10のローターの図である。
図12】リニア形ペリスタルティックポンプの概略図を示す図である。
図13図12のリニア形ペリスタルティックポンプの更なる概略図を示す図である。
図14】リニア形ペリスタルティックポンプの部品の分解図を示す図である。
図15図13のリニア形ペリスタルティックポンプの側面図を示す図である。
図16】ローターが第1の位置にあるときの図15による断面B-Bを示す図である。
図17】ローターが第2の位置にあるときの図15による断面B-Bを示す図である。
図18】ローターが第3の位置にあるときの図15による断面B-Bを示す図である。
図19】ローターが第4の位置にあるときの図15による断面B-Bを示す図である。
図20】代替的に構成されたローターが更なる位置にあるときの図15による断面B-Bを示す図である。
図21】代替的な構成における図1のデバイスの部分図を示す図である。
図22】2つのローターが第1の位置にあるときの代替的に構成されたリニア形ペリスタルティックポンプの断面を示す図である。
図23】2つのローターが第2の位置にあるときの図22の代替的に構成されたリニア形ペリスタルティックポンプの更なる断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1は、デバイス10の概略図を示す図である。デバイス10は、ローラー軌道100として構成された軌道又は案内路若しくは摺動路と、溝26と、開口部27と、コネクタ28と、後壁にある、ローターのための駆動装置(図示なし)を接続するための開口部とを有する。デバイス10は、溝26に差し込むことができるフレキシブルチューブ(図示なし)の中を通して流体を移送するためのリニア形ペリスタルティックポンプ(図示なし)用のものである。溝26は、デバイス10の上側領域のローラー軌道100に配置された開口部27を有する。図2及び図3にも示されるように、溝26は、第1の部分領域102に平行な複数のセクションの中を延在する。溝26は、溝26に差し込まれたチューブが開口部27の中に突出することができるように構築される。
【0072】
コネクタ28は、クロージャ又はカバーを収容するように機能する。デバイス10は、制御リンク、ステータ又はハウジングであると解することができる。
【0073】
デバイス10は、ローラーとの接触時に開口部27から突出する上記チューブを、デバイス10内に回転可能に取り付けられたローターの少なくとも1つの絞り手段によって絞り、締め付け、好ましくは閉塞させ、締め付けて遮断し、押し圧し、若しくは圧搾し、又は圧縮するように構築される。ローターによって、チューブの開き断面を、規定の態様でフレキシブルチューブの中を通して流体を移送するように小さくすることができる。
【0074】
図2及び図3は、図1のデバイス10の断面A-Aを示す。ローラー軌道100は、連続的に延在するように構成される。ローラー軌道100は、円形コース101に属する複数のセクションを有し、円形コース101の2つの円弧又はセクション(104及び105)は、互いに反対側に配置される。セクション104及び105は、長さL1に沿った垂直対象軸に対して互いに左右対称である。円形コース101は、半径R及び中間点Mを有し、点線で示される。ローラー軌道100は、直線又は曲線コース、好ましくは概ね直線又は曲線のコースを具備する第1の部分領域102であって、円形コース101(点線を参照されたい。)に対して間隔を空けて延在し、半径方向において、第1の最大間隔110を有する第1の部分領域102を更に備える。ローラー軌道100は、曲線コースを具備する第2の部分領域103であって、第1の部分領域102の反対側に配置され、円形コース101に対して間隔を空けて延在し、半径方向において、第2の最大間隔120を有する第2の部分領域103を更に備える。
【0075】
第1の部分領域102は、円形コース101の周回軌道の内側に配置される。第2の部分領域103は、円形コース101の周回軌道の外側に配置される。円形セクション103及び105は、円形コース上又は円形コースの一部に配置される。半径方向において、中間点Mを起点とする場合、第1の長さL1は、半径Rと第1の間隔110との差に対応する。半径方向において、中間点Mを起点とする場合、第2の長さL2は、半径Rと第2の間隔120との和に対応する。第1の長さL1は、第2の長さL2より短い。言い換えると、第1の長さL1と第2の長さL2との和は、半径Rの2倍又は円の直径(2R)長さに対応する。したがって、第1の点P102は、第2の点P103より中間点Mに近い。
【0076】
第1の長さL1は、第1の部分領域102上の第1の点P102を規定する。長さL1は、中間点Mから点P102までの最小間隔として解することができる。第2の長さL2は、第2の部分領域103上の第2の点P103を規定する。長さL2は、中間点Mから点P103までの最大間隔として解することができる。
【0077】
第1の最大間隔110及び第2の最大間隔120は、同じサイズ又は伸びである。第1の最大間隔110は、第1の部分領域102の中央に配置される。第2の最大間隔120は、第2の部分領域103の中央にある。言い換えると、第1の点P102は、第1の部分領域102の中央にあり、第2の点P103は、第2の部分領域103の中央にある。
【0078】
第1の部分領域102及び第2の部分領域103は、複数のセクションに分けて構成された円形コース101に接続される。言い換えると、第1及び第2の部分領域102、103は、円弧に結合される。移行領域は、円形コース101と第1の部分領域102との移行部に構成され得る。移行領域は、第2の部分領域103の移行部に構成されてもよい。
【0079】
更に、図3は、第1の部分領域102から円形コース101への半径方向の更なる間隔111を示し、上記更なる間隔は、リニア形ペリスタルティックポンプの動作中にチューブを受け入れる側にある。半径方向において、中間点Mを起点とする場合で、更なる間隔111の両矢印を指し示すとき、第1の長さL11は、半径Rと更なる間隔111との差に対応する。半径方向において、第2の部分領域103と中間点Mとの間では、第2の長さL12は、半径Rと、チューブ受入れ側の間隔111の反対側にある更なる間隔121との和に対応する。
【0080】
第1の長さL11は、第2の長さL22より短い。言い換えると、第1の長さL11と第2の長さL12との和は、半径Rの2倍に対応し、したがって、中間点M又は円形コース101を具備する円の直径に対応する。チューブ受入れ側の間隔の反対側の更なる間隔121は、第2の間隔120より小さいことに留意する。すなわち、第2の部分領域103は、更なる間隔121から間隔120までの間隔を長くする(距離/間隔をよりうまく説明するために、間隔121と間隔120の両方を平行な点線間の両矢印として示す。)。
【0081】
ペリスタルティックポンプの動作中、ローラー15を具備するローター12を、ローラー15の外周が軌道又は案内路と接触するようにデバイス10に入れた場合(特に、図12図18又は図20に示される)、ローラー15及び対応する支持体の最大伸びは、円形コース101の直径に対応する。したがって、絞り手段の固定連結が実現され、ローターのいかなる部分にも弾性要素又はばねが必要とされない。これには、ペリスタルティックポンプのデバイス10のハウジング内に力が直接伝達されるという利点がある。
【0082】
図4は、第1の部分領域102の第1の代替的な構成を示す。第1の部分領域102の曲線コースは、中間点Mに向かうアーチ状であるように構成される。第2の部分領域(図示なし)は、凸状であるように構成され得る。
【0083】
図5は、第1の部分領域102の第2の代替的な構成を示す。第1の部分領域102の曲線コースは、中間点Mから遠ざかるアーチ状であるように構成される。第2の部分領域(図示なし)は、凸状であるように構成され得る。
【0084】
図6から図11は、空間的な条件又は向きをよりうまく説明するためのxyz座標系を示す。
【0085】
図6は、ローターの2つの構成要素13、14の概略図を示す。構成要素13、14は、ローラー支持体として構成された絞り手段支持体であると解することができる。第1の構成要素13は、開口部130を有する。第2の構成要素14は、バー140又は中央ピースを有する。第2の構成要素14のバー140は、第1の構成要素13の開口部130の中に、好ましくは無接触方式で変位可能に配置される。
【0086】
開口部及びバーは、第1の構成要素13がy方向に変位可能であるように寸法調整される。y方向への第1の構成要素13の変位は、第2の構成要素14とは無関係に起き得る。第1の移動方向132を参照されたい。開口部130及びバー140は、第2の構成要素14がx方向に変位可能であるように寸法調整される。x方向への第2の構成要素14の変位は、第1の構成要素13とは無関係に起き得る。第2の移動方向142を参照されたい。
【0087】
ローラー又は転動体の収容は、第1の構成要素13の第1及び第2の端部で可能となるようになされる。同様に、ローラー又は転動体の収容は、第2の構成要素14の第1及び第2の端部で可能となるようになされる。
【0088】
図7は、ローラー15として構成された4つの絞り手段を具備する図6の2つの構成要素13、14を示す。代替的には、ローラー15の代わりにスライディングブロック(図示なし)を使用することができる。第1の構成要素13の端部、すなわち、第1の構成要素13の第1及び第2の端部並びに第2の構成要素14の端部、すなわち、第2の構成要素14の第1及び第2の端部には、いずれの場合においても、1つのローラー15が配置される。ローラー15のうちの2つは、シャフト16によって第1の構成要素13回転可能に取り付けられる。2つの更なるローラー15は、シャフト16によって第2の構成要素13に回転可能に取り付けられる。シャフトの代替として、ボルト又はピン等を使用することもできる。
【0089】
図8は、ローターの更なる構成要素の概略図を示す。更なる構成要素は、カム17である。カム17は、1つのピースとして構成される。カム17は、スロット20、21を有する。第1のスロット20は、yz平面に広がる。第2のスロット21は、xz平面に広がる。代替的には、スロットは、空洞又は凹みとして設計されてもよい。
【0090】
図9は、駆動デバイス(モータ)を用いない完全に組み立てられた状態のローター12の概略図を示す。この場合、図7に示されるように、構成要素は、カム17内に配置又は導入される。
【0091】
ローター12は、上記のように、フレキシブルチューブの中を通して流体を移送するためのリニア形ペリスタルティックポンプのデバイス10用に想定される。ローター12は、第1の組のローラーを具備する第1のローラー支持体13と、第2の組のローラーを具備する第2のローラー支持体14とを有する。カム17は、第1のローラー支持体13及び第2のローラー支持体14を収容し、ローター12が動作中のときにローラー支持体13、14を案内し、又は変位させるように構築される。ローラー支持体13、14の変位及びこれによるローラー15の変位は、移動方向132、142に沿って起きる。
【0092】
図6に示されるように、第1のローラー支持体13の第1の長手方向軸135及び第2のローラー支持体14の第2の長手方向軸145は、カム17内で互いに垂直に配置される。ローラー支持体13、14は、カム17内で変位可能に配置される。
【0093】
ローラー支持体13、14とローラー15は、互いに対して変位するように構築される。変位は、ローラー支持体13、14の広がりの方向に直線的に起きる。ローラー支持体13、14は、カム17に接続される。
【0094】
図10は、代替的なローター12の概略図を示し、図11は、図10のローター12の図を示す。ここで、図9のローター12とは著しく異なり、カム17は、2つのピースとして構成される。カム17は、2つのカム部材18、19を備える。カム部材18、19は、十字型に形成される。カム部材18、19は、互いに平行に配置される。ローラー支持体13、14は、カム部材18、19間に変位可能に配置される。
【0095】
第1のカム部材18は、4つのスロット22を有する。互いに反対側に位置する2つのスロット22は、yz平面に広がる。スロット22のうちの2つは、xz平面に広がる。第2のカム部材19は、4つのスロット23を有する。互いに反対側に位置する2つのスロット23は、yz平面に広がる。スロット23のうちの2つは、xz平面に広がる。代替的には、スロット22、23は、空洞、凹み又は長穴として設計することもできる。
【0096】
ローラー15のうちの2つは、シャフト又はピン24の突出によって、第1のローラー支持体13と、スロット22の中に回転可能に取り付けられる。更なるローラー15のうちの2つは、シャフト又はピン24の突出によって、第2のローラー支持体14と、スロット23の中に回転可能に取り付けられる。
【0097】
ローター12の代替的な実施形態においても、ローラー支持体13、14とローラー15は、互いに対して変位するように構築される。変位は、ローラー支持体13、14の広がりの方向に直線的に起きる。ローラー支持体13、14は、好ましくはばねを用いない方式でカム17に接続される。
【0098】
図12は、リニア形ペリスタルティックポンプ1の概略図を示す。リニア形ペリスタルティックポンプ1は、特に図1に示されるようなデバイス10を備える。リニア形ペリスタルティックポンプ1は、特に図9に示されるようなローター12を更に備える。ローター12は、デバイス10に挿入され、又はデバイス10内に配置される。
【0099】
第1のローラー支持体13及び第2のローラー支持体14は、ローラー軌道100に対して変位するように構築される。ローター12は好ましくは、ローラー15が軌道100と接触するように寸法調整される。リニア形ペリスタルティックポンプ1は、ローター12を駆動させるための駆動装置25を更に備える。駆動装置25は、ローター12に接続される。
【0100】
リニア形ペリスタルティックポンプ1において、チューブ40は、溝26に差し込まれる。溝26は、複数のセクションに分けられた図1の第1の部分領域102に平行に延在する。チューブ40を固定するために、デバイス10は、クロージャ30を有する。クロージャ30は、ボルト32によってデバイスに回転可能に取り付けられ、チューブ40に面する側は、チューブ40を受け入れるための対向する中央の滑走面31を形成する。ボルトは、上記受容器26及びクロージャ30に導入される。
【0101】
規定のローラー軌道を有するデバイス10と一緒にリニア形ペリスタルティックポンプ1を使用する結果、規定の態様でフレキシブルチューブ40の中を通して流体を移送するために、ローター12によって、デバイス10に差し込まれたフレキシブルチューブ40を絞り、締め付け、閉塞させ、好ましくは締め付けて遮断し、押し圧し、若しくは圧搾し、又は圧縮することができる。図1に関してすでに述べたように、チューブ40は、溝26内の開口部27を通ってデバイス10の中に突出する。ローター12を作動させると、ローラーは、ローラー軌道に追従する。公知のように、溝の領域内では、チューブが開口部からデバイスの内側に向かって突出し、したがって、ローラーがチューブと接触すると、チューブが絞られ、締め付けられ、若しくは閉塞され、好ましくは締め付けて遮断され、押し圧され、又は圧搾される。
【0102】
図13は、図12のリニア形ペリスタルティックポンプ1の更なる概略図を示す。クロージャ30は、リーフ面(leaf plane)において、デバイスの方向に下に向けて置かれる。言い換えると、クロージャ30は閉じられる。チューブ40は、溝の中に配置される。好ましくは、チューブの変位を防止するために、チューブクランプ(図示なし)が使用される。チューブクランプは、デバイス又はペリスタルティックポンプの一部であり得る。
【0103】
図14は、リニア形ペリスタルティックポンプ1の部品の分解図を示す。すでに記述された構成部品に加えて、デバイス10は、デバイス内に配置されたローター12を覆うように構築されたスクリーン33を更に備える。
【0104】
図15は、図13のリニア形ペリスタルティックポンプの側面図を示す。上記においてすでに述べたように、デバイス10は、デバイス10内に回転可能に取り付けられたローター12のローラー15によってチューブ40を絞り、締め付け、閉塞させ、好ましくは締め付けて遮断し、押し圧し、若しくは圧搾し、又は圧縮するように構築される。ローター12は好ましくは、ローラー15が軌道100と接触するように寸法調整される。言い換えると、ローター12の回転は、ローラー支持体の変位及びこれによるローラー15の変位を起こす。開口部の領域内ではチューブ40がデバイス10の中に突出し、結果として、ローター12のローラーによってチューブが絞られることは明らかである。
【0105】
ローラーは好ましくは、絞られたチューブ40を軌道として使用するように構築される。これは、絞られた状態、すなわち、少なくとも1つのローラーが、ローラーとチューブ40とが接触した状態にあるときのチューブ40が依然としてデバイス10の中に突出する場合にあり得る。特に好ましくは、デバイス及びローターは、公差を許容するように寸法調整される。
【0106】
図16図20は、異なる位置のローター12を示す。図16図20において、流体の移送方向は、Fによって指定され、ローターの回転方向は、Dによって指定される。
【0107】
図16は、ローター12が第1の位置にあるときの図15による断面B-Bを示す。ローラー15のうちの1つは、チューブ40を絞っている。
【0108】
図17は、ローター12が第2の位置にあるときの図15による断面B-Bを示す。ローラー15のうちの2つは、チューブ40を絞っている。
【0109】
図18は、ローター12が第3の位置にあるときの図15による断面B-Bを示す。ローラー15のうちの1つは、チューブ40を絞っている。
【0110】
図19は、ローター12が第4の位置にあるときの図15による断面B-Bを示す。ローラー15のうちの1つは、チューブ40を絞っている。
【0111】
図20は、代替的に構成されたローター12が第1の位置にあるときの図15による断面B-Bを示す。前述の実施形態とは著しく異なり、ローター12は、回転可能に取り付けられた2つのローラー15が端部に配置された、1つのみのローラー支持体13を備える。したがって、ローター12は、図9によるローター12に対応するが、第2のローラー支持体14を不要として、結果として、ローラー15のうちの2つを不要とする。
【0112】
図21は、代替的な構成における図1のデバイス及びローターのローラーの部分図を示す。デバイス10のローラー軌道100は両側の縁部が、歯付きラック51又は歯部として構成される。少なくとも、図示されたローラー15は両側の縁部に、スプロケット50として構成された領域を有する。歯付きラック5又は歯部は、ローラー15のスプロケット50とかみ合う。結果として、軌道100に沿ったローラー15の規定の案内が可能である。
【0113】
図22及び図23において、流体の移送方向は、Fによって指定され、ローターの回転方向は、Dによって指定される。
【0114】
図22は、代替的に構成されたリニア形ペリスタルティックポンプ1の断面を示す。リニア形ペリスタルティックポンプ1は、それぞれが1つのローター12を具備する2つのデバイス10を備える。デバイス10は互いに対して、チューブ40を収容するための溝が互いに反対側に位置するように配置される。したがって、図12図13に示される1つ示されるクロージャを不要にすることが可能である。チューブ40は、リーフ面において下に配置されデバイス10の溝、及びリーフ面において上に配置されたデバイス10の溝の中に導入又は配置される。ローター12は、チューブ40を絞るために第1の位置に配置される。
【0115】
図23は、代替的に構成された図22のリニア形ペリスタルティックポンプの更なる断面を示す。ここで、チューブ40は、両側の中央で絞られる。ローター12は、チューブ40を中央で絞るために第2の位置に配置される。
【0116】
デバイスに加えて、ローター及びリニア形ペリスタルティックポンプも提供される。すべての構成部品は、単純な構造を有する。すべての構成部品は、安価に製造することができる。したがって、複数の要素で構成される型の構造は、構成要素を、損傷した場合でも難なく交換される。
【0117】
以上から、数多くの変形形態及び修正形態が本発明の範囲から逸脱することなくなされ得ることが認められる。本明細書に記載された特定のデバイス又は方法に関する限定は意図されず、又は推測されるべきでないことを理解すべきである。当然ながら、本発明の範囲に属するこのような修正形態のすべてを包含することが意図される。
【符号の説明】
【0118】
1 ペリスタルティックポンプ
10 デバイス(ステータ)
12 ローター
13 第1の絞り手段支持体
14 第2の絞り手段支持体
15 ローラー
16 シャフト
17 カム
18 第1のカム部材
19 第2のカム部材
20 第1のスロット
21 第2のスロット
22 第3のスロット
23 第4のスロット
24 ピン(ペグ)
25 モータ
26 溝
27 開口部
28 コネクタ
30 クロージャ
31 対向する滑走面
32 ボルト
33 スクリーン(フタ)
40 フレキシブルチューブ
50 スプロケット
51 歯部
100 軌道、案内路又は摺動路
101 円形コース
102 第1の部分領域
103 第2の部分領域
104 円形コース又は第1の円弧の第1のセクション
105 円形コース又は第2の円弧の第2のセクション
110 第1の間隔
111 チューブ受け入れ側の更なる間隔
120 第2の間隔
121 チューブ受け入れ側の間隔の反対側の更なる間隔
130 開口部
132 第1の移動方向
135 第1の長手方向/長手方向軸
140 バー
142 第2の移動方向
145 第2の長手方向/長手方向軸
Z 回転方向
Y 移送方向
L1 長さ
L2 長さ
M 中間点
R 半径
P102 第1の点
P103 第2の点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図18
図19
図20
図21
図22
図23
【外国語明細書】