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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149424
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20241010BHJP
   F16D 41/08 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
F16H25/20 K
F16H25/20 E
F16D41/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】37
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059995
(22)【出願日】2024-04-03
(31)【優先権主張番号】63/457,795
(32)【優先日】2023-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500059575
【氏名又は名称】信昌機械廠股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】519012792
【氏名又は名称】福州明芳汽車部件工業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 凱 翔
(72)【発明者】
【氏名】侯 志 達
(72)【発明者】
【氏名】江 季 達
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AA01
3J062AB21
3J062AC07
3J062BA19
3J062CD02
3J062CD23
3J062CD77
(57)【要約】      (修正有)
【課題】駆動装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る駆動装置は、開閉体を駆動するために用いられ、且つ、駆動源と、駆動組み立て部材と、螺合組み立て部材と、クラッチ組み立て部材と、を備えている。駆動源は駆動組み立て部材を駆動する。螺合組み立て部材は互いに螺合されるナット及びスクリューを含み、スクリューには互いに垂直になる長さ方向及びラジアルが定義され、スクリューの一端は開閉体に連結されている。クラッチ組み立て部材は駆動組み立て部材と螺合組み立て部材との間に設置され、ナットはクラッチ組み立て部材によりラジアルに沿って駆動組み立て部材に接合されるか脱離する。ナットが駆動組み立て部材に接合されると、駆動源が駆動組み立て部材を駆動し、駆動組み立て部材がナットを連動させ、スクリューを長さ方向に沿って移動させる。こうすることで、開閉体の電動開閉動作に外力により随時介入する効果を達成させている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体を駆動するための駆動装置であって、
駆動源と、
前記駆動源により駆動される駆動組み立て部材と、
互いに螺合されるナット及びスクリューを含む螺合組み立て部材であって、前記スクリューには長さ方向及び前記長さ方向に対して垂直になるラジアルが定義され、前記スクリューの一端は前記開閉体に連結するために用いられている螺合組み立て部材と、
前記駆動組み立て部材と前記螺合組み立て部材との間に設置されるクラッチ組み立て部材と、を備え、
前記ナットは、前記クラッチ組み立て部材により前記ラジアルに沿って前記駆動組み立て部材に接合されるか脱離し、
前記ナットが前記駆動組み立て部材に接合されると、前記駆動源が前記駆動組み立て部材を駆動し、前記駆動組み立て部材が前記ナットを連動させ、前記スクリューを前記長さ方向に沿って移動させることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記螺合組み立て部材は前記ナット、前記クラッチ組み立て部材、及び前記駆動組み立て部材により前記ラジアル上で相互に干渉し、前記ナットが前記駆動組み立て部材に接合されることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記螺合組み立て部材は前記ナット、前記クラッチ組み立て部材、及び前記駆動組み立て部材により前記ラジアル上で相互に重合し、前記ナットが前記駆動組み立て部材に接合されることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記螺合組み立て部材が前記長さ方向に沿って前記駆動組み立て部材に対して移動することで、前記ナットが前記駆動組み立て部材に接合されるか脱離することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記クラッチ組み立て部材は接合状態及び脱離状態を有し、前記ナットが前記駆動組み立て部材に接合されると、前記クラッチ組み立て部材は前記接合状態となり、前記駆動組み立て部材が前記ナットを駆動可能となり、前記ナットが前記駆動組み立て部材から脱離すると、前記クラッチ組み立て部材は前記脱離状態となり、前記ナットは前記駆動組み立て部材により駆動不能となることを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記クラッチ組み立て部材は相互に係合可能な第1凹凸構造及び第2凹凸構造を備え、前記第1凹凸構造が前記ナットの外周面に周設されると、前記第2凹凸構造が前記駆動組み立て部材の内周面に周設され、前記駆動組み立て部材を同時に連動させて前記第2凹凸構造と共に前記長さ方向に沿って前記螺合組み立て部材に対して移動させるように前記開閉体に外力が付勢されると、前記第2凹凸構造が前記駆動組み立て部材に追随して前記長さ方向に沿って前記第1凹凸構造と位置をずらし、前記駆動組み立て部材が前記ナットから脱離することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記第1凹凸構造は複数の第1歯溝及び複数の第1凸歯を備え、複数の前記第1凸歯は前記ラジアルに沿って互いに間隔を置いて前記ナットの前記外周面から突出し、前記第1歯溝のそれぞれは隣接する何れか2つの前記第1凸歯の間に形成され、前記第2凹凸構造は前記駆動組み立て部材の前記内周面に形成されている複数の第2歯溝及び複数の第2凸歯を備え、前記第2凸歯のそれぞれは前記ラジアルに沿って各前記第1歯溝内に進入し、前記第1凸歯のそれぞれは前記ラジアルに沿って各前記第2歯溝内に進入することを特徴とする請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記クラッチ組み立て部材は前記ナットの両側にそれぞれ設置されている第1弾性要素及び第2弾性要素を備え、前記第1弾性要素及び前記第2弾性要素が弾力を提供することで前記ナットが前記クラッチ組み立て部材により前記ラジアルに沿って前記駆動組み立て部材に接合されることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記クラッチ組み立て部材は第1ベアリング及び第2ベアリングを更に備え、前記ナットはナット本体及び前記ナット本体の両側から延長されている第1延長部分及び第2延長部分を有し、前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングは前記第1延長部分及び前記第2延長部分にそれぞれ設置され、前記第1弾性要素及び前記第2弾性要素は前記第1延長部分及び前記第2延長部分にそれぞれ覆設され、且つ前記第1弾性要素の一端及び前記第2弾性要素の一端は前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングにそれぞれ当接されることを特徴とする請求項8に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記クラッチ組み立て部材は、相互作用構造と、ラッチ構成と、複数のボールと、を備え、前記ラッチ構成は前記駆動組み立て部材の内周面に周設され、前記相互作用構造は前記ナットの外周面に周設されると共に突起部及び前記突起部に対して凹設されている少なくとも1つの凹部を有し、複数の前記ボールは前記ラッチ構成と前記相互作用構造との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記クラッチ組み立て部材は複数の収容穴を有する保持具を更に備え、前記ボールのそれぞれは各前記収容穴内に可動に収容され、前記収容穴のそれぞれは開口部及び収束口を有し、前記ラッチ構成は複数の前記ボールを巻回し、前記ボールのそれぞれの一部分は前記開口部のそれぞれにより前記ラッチ構成に向けて露出し、前記ボールのそれぞれの他の部分は前記収束口のそれぞれにより前記相互作用構造に向けて露出することを特徴とする請求項10に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記クラッチ組み立て部材は前記保持具の両側にそれぞれ設置されている第1弾性要素及び第2弾性要素を更に備え、前記駆動組み立て部材には前記保持具が設置され、前記第1弾性要素及び前記第2弾性要素が弾力を提供することで前記ナットが前記クラッチ組み立て部材により前記ラジアルに沿って前記駆動組み立て部材に接合されることを特徴とする請求項11に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記ナットはナット本体及び前記ナット本体の両側から延長されている第1延長部分及び第2延長部分を有し、前記ナット本体は前記ラジアルに沿って前記駆動組み立て部材に接合されるか脱離すると共に、前記相互作用構造が設置され、前記第1延長部分及び前記第2延長部分は第1ストッパー及び第2ストッパーをそれぞれ有し、前記第1弾性要素及び前記第2弾性要素は前記第1延長部分及び前記第2延長部分にそれぞれ覆設されていると共に、前記保持具の前記両側と前記第1ストッパー及び前記第2ストッパーとの間でそれぞれ弾性により支持していることを特徴とする請求項12に記載の駆動装置。
【請求項14】
複数の前記ボールが前記ラッチ構成と前記突起部との間に係止されると、前記ナットが前記駆動組み立て部材に接合されることを特徴とする請求項10に記載の駆動装置。
【請求項15】
前記駆動組み立て部材を同時に連動させて前記ラッチ構成と共に前記長さ方向に沿って移動させるように前記開閉体に外力が付勢されると、複数の前記ボールが前記駆動組み立て部材に追随して前記長さ方向に沿って前記突起部から前記凹部内に移動し、前記駆動組み立て部材が前記ナットから脱離することを特徴とする請求項10に記載の駆動装置。
【請求項16】
前記クラッチ組み立て部材は、前記駆動組み立て部材に設置されていると共に前記ラッチ構成を有するラッチ輪を更に備えていることを特徴とする請求項10に記載の駆動装置。
【請求項17】
前記クラッチ組み立て部材は保持具を更に備え、前記駆動組み立て部材はリングギヤを有し、前記駆動組み立て部材は前記リングギヤにより前記駆動源に噛合され、前記保持具は前記駆動組み立て部材と前記ナットとの間に設置されていると共にリング溝を有し、前記ラッチ輪の一部は前記リング溝内に位置していることを特徴とする請求項16に記載の駆動装置。
【請求項18】
前記ラッチ輪には前記ラジアルに沿って少なくとも1つの係合構成が突出し、前記リングギヤは少なくとも1つの対応する係合構造を有し、前記対応する係合構造は前記係合構成により係合されていることを特徴とする請求項17に記載の駆動装置。
【請求項19】
前記ナットは外周面を有し、前記相互作用構造は前記ナットの前記外周面を巻回し、前記突起部は前記外周面の一部分から前記ラジアルに沿って突出し、前記凹部は前記突起部と前記外周面の他の部分との間に形成されていることを特徴とする請求項10に記載の駆動装置。
【請求項20】
前記相互作用構造及び前記ナットは相互に一体形成されていることを特徴とする請求項19に記載の駆動装置。
【請求項21】
前記突起部及び少なくとも1つの前記凹部は前記長さ方向に沿って相互に並列されていることを特徴とする請求項19に記載の駆動装置。
【請求項22】
前記クラッチ組み立て部材は複数の補助弾性素子を更に備え、前記補助弾性素子のそれぞれは隣接する何れか2つの前記ボールの間で弾性により支持していることを特徴とする請求項10に記載の駆動装置。
【請求項23】
前記ラッチ構成は相互に巻回している複数のラッチブロックを有し、前記ラッチブロックのそれぞれは2つのラッチ凸部及び前記ラッチ凸部に対して凹設されている解放凹部を有し、前記解放凹部は前記2つのラッチ凸部の間に位置し、前記ボールのそれぞれは前記突起部と各前記ラッチブロックのうちの1つの前記ラッチ凸部との間に係止されていることを特徴とする請求項22に記載の駆動装置。
【請求項24】
複数の前記ボールが前記ラッチ凸部と前記突起部との間に係止されると、前記ナットが前記駆動組み立て部材に接合されることを特徴とする請求項23に記載の駆動装置。
【請求項25】
前記駆動組み立て部材を同時に連動させて前記ラッチ構成と共に前記長さ方向に沿って移動させるように前記開閉体に外力が付勢されると、複数の前記ボールが前記駆動組み立て部材に追随して前記長さ方向に沿って前記突起部から前記解放凹部と前記凹部との間に移動し、前記駆動組み立て部材が前記ナットから脱離することを特徴とする請求項23に記載の駆動装置。
【請求項26】
前記クラッチ組み立て部材は複数の収容穴及び複数のチャンネルを有する保持具を更に備え、前記チャンネルのそれぞれは隣接する何れか2つの前記収容穴の間に連通し、前記ボールのそれぞれは各前記収容穴内に可動に収容され、前記補助弾性素子のそれぞれは各前記チャンネル内に収容されると共に隣接する何れか2つの前記ボールの間で弾性により支持し、前記収容穴のそれぞれは破裂部及び収束口を有し、前記ラッチ構成は複数の前記ボールを巻回すると共にこれら前記破裂部に進入して複数の前記ボールに接触し、前記ボールの一部分は前記収束口のそれぞれにより前記相互作用構造に向けて露出することを特徴とする請求項22に記載の駆動装置。
【請求項27】
前記クラッチ組み立て部材はラッチ輪を更に備え、前記ラッチ輪は前記駆動組み立て部材に設置されていると共に前記ラッチ構成を有することを特徴とする請求項22に記載の駆動装置。
【請求項28】
前記駆動源は駆動本体及び駆動ギヤを備え、前記駆動本体は前記駆動ギヤを回転するように駆動し、前記駆動本体は前記駆動ギヤにより前記駆動組み立て部材を回転するように駆動することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項29】
前記駆動源はウォームギアを更に備え、前記ウォームギア及び前記駆動ギヤは相互に同軸に固定され、前記駆動本体は駆動シャフトを有し、前記駆動シャフトの外周面にはヘリカルギヤが突出され、前記ヘリカルギヤは前記ウォームギアに噛合することを特徴とする請求項28に記載の駆動装置。
【請求項30】
位置制限部を含むハウジングを更に備え、前記駆動組み立て部材は前記位置制限部に回転可能に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項31】
前記ハウジングは前記位置制限部に設置されている第1ブッシュ及び第2ブッシュを更に備え、前記駆動組み立て部材は球体であり、前記駆動組み立て部材は前記第1ブッシュと前記第2ブッシュとの間に設置されることで前記ハウジングに対して回転可能となり、前記スクリューが前記駆動組み立て部材を中心点として前記長さ方向に対して角度を変化させると、前記駆動組み立て部材が前記スクリューの前記角度の変化に追随して回転することを特徴とする請求項30に記載の駆動装置。
【請求項32】
前記駆動組み立て部材の両側はそれぞれ第1半球面構造及び第2半球面構造であり、前記第1半球面構造及び前記第2半球面構造は前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュにそれぞれ接触することを特徴とする請求項31に記載の駆動装置。
【請求項33】
前記駆動組み立て部材はリングギヤを有し、前記リングギヤの外周面にはオリーブ形状を呈する複数の受動凸歯が設置され、前記駆動組み立て部材が回転すると、前記駆動組み立て部材が複数の前記受動凸歯により前記駆動源に揺動するように噛合されることを特徴とする請求項30に記載の駆動装置。
【請求項34】
前記駆動組み立て部材は第1半球面構造及び第2半球面構造を更に有し、前記第1半球面構造及び前記第2半球面構造は前記リングギヤの両側にそれぞれ設置されていることを特徴とする請求項33に記載の駆動装置。
【請求項35】
前記受動凸歯のそれぞれは前記長さ方向に沿って前記駆動組み立て部材の外周面に横設されていることを特徴とする請求項33に記載の駆動装置。
【請求項36】
前記受動凸歯のそれぞれは前記長さ方向上に位置している2つの端部を有し、前記端部のそれぞれの形状は前記駆動組み立て部材の前記外周面から、前記駆動組み立て部材の前記外周面から離れる方向にかけて幅が狭まる形状に形成されていることを特徴とする請求項33に記載の駆動装置。
【請求項37】
前記受動凸歯のそれぞれは前記駆動組み立て部材の前記外周面から離れる外縁を有し、前記外縁の形状はアーチ状を呈していることを特徴とする請求項33に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体を開閉するための装置に関し、より詳しくは、クラッチ機能を有する駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、開閉駆動装置が既に開示されている。従来の開閉駆動装置は、本体に対して開閉動作を行うように電動方式で開閉体を駆動する。例えば、前記本体は交通車両であり、開閉体は交通車両の1つのドアに取り付けられている。従来の開閉駆動装置は別途ヒンジ部材により本体に連結され、且つモーターに対応する駆動機構を配置してヒンジ部材に対して力を付勢し、開閉体が従来の複数のヒンジをシャフトとして交通車両に対して開閉する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の開閉駆動装置は開閉体を電動方式で開閉可能であるが、ユーザーが随時手動で操作することが難しかった。すなわち、従来の開閉駆動装置は電動で開くか閉めるかのどちらかしか実行できず、多くは実行した動作を終了しなければ次の動作が行えなかった。例えば、電動閉動作過程において、ユーザーが開閉体を緊急で開く必要がある場合、まずシステムが電動閉動作を実行した後でなければ電動開動作を行えなかった。或いは、命令方式(例えば、キー命令)により、まずシステムが実行した動作を中断してから次の指定動作を実行する。このため、ユーザーが随時手動で操作することが難しかった。
【0004】
さらに、従来の開閉駆動装置が電動方式で開閉を行う過程において、外力(例えば、手動で力を付勢する)を受けて逆方向に操作されると、開閉駆動装置内部の機械構造が高い確率で故障した。
【0005】
さらに、従来の開閉駆動装置は、その駆動機構のスクリューが開閉体を直接押し引きすると(スクリューの一端が前記本体のヒンジ部材に連結される)、ヒンジ部材と従来の開閉体の複数のヒンジとは同軸ではないため、開閉体を開閉する過程において、スクリューが単純に線形移動して力を付勢できない問題、及び、従来の複数のヒンジが劣化し、開閉体が本体に対して下垂する問題が存在した。これらの要因によりスクリューが振動し、開閉駆動装置内部の機械構造が破壊されてしまった。
【0006】
そして、内部の機械構造を破壊せずにスクリューを振動させ、開閉するように開閉体を駆動するための動力として用いると、駆動機構の歯と歯の間の噛合角度が振動作用により改変されるため、押し引きする動力をスムーズに伝達できないという問題が発生した。
【0007】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的とするところは、外力で随時操作可能なクラッチ機能を有する駆動装置を提供することにある。
【0009】
その第二の目的とするところは、駆動組み立て部材がスクリューの振動に追随する駆動装置を提供することにある。
【0010】
その第三の目的とするところは、駆動組み立て部材と駆動源との間の噛合角度が振動により改変されても、駆動源の動力をスムーズに伝達可能な駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一態様である駆動装置は、開閉体を駆動するために用いられ、駆動源と、前記駆動源により駆動される駆動組み立て部材と、互いに螺合されるナット及びスクリューを含む螺合組み立て部材であって、前記スクリューには長さ方向及び前記長さ方向に対して垂直になるラジアルが定義され、前記スクリューの一端は前記開閉体に連結するために用いられている螺合組み立て部材と、前記駆動組み立て部材と前記螺合組み立て部材との間に設置され、前記ナットは前記クラッチ組み立て部材により前記ラジアルに沿って前記駆動組み立て部材に接合されるか脱離するクラッチ組み立て部材と、を備えている。前記ナットが前記駆動組み立て部材に接合されると、前記駆動源が前記駆動組み立て部材を駆動し、前記駆動組み立て部材が前記ナットを連動させ、前記スクリューを前記長さ方向に沿って移動させる。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明によれば、次のような効果がある。
【0013】
主に開閉体の電動開閉動作を外力により随時行える効果を有している。また、駆動組み立て部材がスクリューの振動に追随してハウジングに対して回転する効果、及び、駆動組み立て部材と駆動源との間の噛合角度が振動により改変されても、駆動源の動力をスムーズに伝達する効果を更に有する。
【0014】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施例に係る開閉体に取り付けられ、開閉体が開かれていない状態の一例を概略的に示す。
図2】本発明の第1実施例に係る駆動装置を示す概略傾斜図である。
図3(1)】図3は本発明の第1実施例に係る駆動装置の部分部材を示す分解図である。
図3(2)】図3-1は本発明の第1実施例に係る駆動装置の駆動組み立て部材を示す傾斜図である。
図4】本発明の第1実施例に係る駆動装置の駆動組み立て部材、螺合組み立て部材と部分のクラッチ組み立て部材を示す側面図である。
図5】本発明の第1実施例に係る駆動装置の接合状態での概略断面図である。
図6】本発明の第1実施例に係る駆動装置において、図1による開閉体を開いたときの一例を概略的に示す。
図7】本発明の第1実施例に係る駆動装置において、図7による開閉体が外力を作用して脱離状態となったときの概略断面図である。
図8】本発明の第1実施例に係る駆動装置において、スクリューが駆動組み立て部材とともに角度が変化するときの概略断面図である。
図9】本発明の第2実施例に係る駆動装置を示す概略傾斜図である。
図10(1)】図10は本発明の第2実施例に係る駆動装置の部分部材を示す分解図である。
図10(2)】図10-1は本発明の第2実施例に係る駆動装置のナットとラッチリングを示す概略断面図である。
図11】本発明の第2実施例に係る駆動装置の保持具とボールを示す分解図である。
図12】本発明の第2実施例に係る駆動装置において、図11による概略断面図である。
図13】本発明の第2実施例に係る駆動装置の駆動組み立て部材とラッチリングを示す傾斜図である。
図14】本発明の第2実施例に係る駆動装置の駆動源を示す概略傾斜図である。
図15】本発明の第2実施例に係る駆動装置の接合状態での概略断面図である。
図16】本発明の第2実施例に係る駆動装置において、開閉体が外力を作用して離脱状態となったときの概略断面図である。
図17】本発明の第2実施例に係る駆動装置の接合状態での部分部材を示す概略断面図であり、部分部材が接合状態となったときの部分概略断面図である。
図18】本発明の第3実施例に係る駆動装置の部分部材を示す分解図である。
図19】本発明の第3実施例に係る駆動装置の保持具とボールと補助弾性素子を示す分解図である。
図20】本発明の第3実施例に係る駆動装置において、図19による概略断面図である。
図21】本発明の第3実施例に係る駆動装置の駆動組み立て部材とラッチリングを示す分解図である。
図22】本発明の第3実施例に係る駆動装置において、図21による組み立て後の概略断面図である。
図23】本発明の第3実施例に係る駆動装置の接合状態での概略断面図である。
図24】本発明の第3実施例に係る駆動装置において、開閉体が外力を作用して脱離状態となったときの概略断面図である。
図25】本発明の第3実施例に係る駆動装置の接合状態での部分部材を示す概略断面図である。
図26】本発明の第3実施例に係る駆動装置において、図25による脱離状態となったときの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
本発明の駆動装置100は、本体(図示省略)に対して開閉(図1図6参照)するように開閉体Oを駆動するために用いられている。本発明は主に、駆動装置100がクラッチ機能を有している。本発明の第1実施例の構成を図1から図8に示す。本発明の第2実施例の構成を図9から図17に示す。本発明の第3実施例の構成を図18から図26に示す。前記本体は、例えば交通車両であり、開閉体Oは、例えば交通車両に取り付けられたドアであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
<第1実施例>
駆動装置100の第1実施例は、駆動組み立て部材1と、クラッチ組み立て部材2aと、螺合組み立て部材3と、駆動源6と、を備えている(図1乃至図8参照)。
【0019】
なお、本発明に係る駆動装置100は前述した本体(図示省略)に設置され、図に示す如く開閉体Oに設置されている。本実施例では、開閉体Oに設置される例をとり説明する。本実施例では、開閉体Oは複数の従来のヒンジ(図示省略)により本体に連結される。従来のヒンジのシャフト(図示省略)は第1軸線H1を有し(図1図6参照)、開閉体Oは第1軸線H1を軸として本体に対して回転する。本体には従来のヒンジ部材が設置され、ヒンジ部材はヒンジシャフトを有し、ヒンジシャフトは第2軸線H2を有している(図1図6参照)。
【0020】
駆動組み立て部材1は駆動源6により駆動され、駆動源6の動力を螺合組み立て部材3に伝動する。ちなみに、本発明は駆動組み立て部材1がどのように駆動され、どのように駆動するか限定せず、図示する方式でも、他の方式でもよい。
【0021】
螺合組み立て部材3は互いに螺合されるナット31a及びスクリュー32を備え、スクリュー32は正常状態では互いに垂直になる長さ方向D1及びラジアルD2が定義され(図2参照)、長さ方向D1はスクリュー32に平行する。ナット31aは駆動源6により回転するように間接的に駆動され、スクリュー32がナット31aに対して長さ方向D1に沿って伸縮する。スクリュー32の一端は本体の前述した従来のヒンジシャフト(このヒンジシャフトは第2軸線H2を有する)に連結されている。ちなみに、本実施例では、前述した第1軸線H1の位置は第2軸線H2の位置とは相違し、すなわち同軸ではなく、スクリュー32が電動伸縮する力がこのヒンジシャフトに作用するため、第1軸線H1に対してトルクを発生させ、開閉体Oがこのトルクの影響を受けて開閉する。また、本発明はナット31aを限定せず、一般的によくあるねじに螺合されるように厚いリング状(図示省略)や、細長い筒状(図3参照)でもよい。
【0022】
クラッチ組み立て部材2aは接合及び脱離機能を有すると共に駆動組み立て部材1と螺合組み立て部材3との間に設置され(図4参照)、ナット31aがクラッチ組み立て部材2aによりラジアルD2に沿って駆動組み立て部材1に接合されるか脱離する。すなわち、クラッチ組み立て部材2aは接合状態及び脱離状態を有し、ナット31aが駆動組み立て部材1に接合されると、クラッチ組み立て部材2aが接合状態となり、駆動組み立て部材1をナット31aに対して駆動させ、スクリュー32を長さ方向D1に沿って移動させる。逆に、ナット31aが駆動組み立て部材1から脱離すると、クラッチ組み立て部材2aが脱離状態となり、駆動組み立て部材1がナット31aまで駆動できなくなる。
【0023】
本発明はクラッチ組み立て部材2aを限定せず、接合及び脱離機能を有するのみでよい。本実施例では、本段落を例にとり説明する。クラッチ組み立て部材2aは、相互に係合して接合可能な第1凹凸構造21a及び第2凹凸構造22aを備えている。第1凹凸構造21aはナット31aの外周面に周設され、第2凹凸構造22aは中空の駆動組み立て部材1の内周面に周設され、第1凹凸構造21a及び第2凹凸構造22aは相互に係合されることで接合される(図4図5参照)。図6図7に示す如く、開閉体Oに外力が付勢されると(駆動源6以外からの力)、外力が付勢されると同時に開閉体Oが駆動組み立て部材1を連動させて第2凹凸構造22aと共に長さ方向D1に沿って螺合組み立て部材3に対して移動させる。この際、第2凹凸構造22aが駆動組み立て部材1に追随して移動するため、第2凹凸構造22aが長さ方向D1に沿って第1凹凸構造21aと位置をずらし、駆動組み立て部材1がナット31aから脱離する。
【0024】
つまり、図4に示す如く、第1凹凸構造21a及び第2凹凸構造22aがラジアルD2上で相互に干渉するか、ラジアルD2上で相互に重合すると、ナット31aが駆動組み立て部材1に接合される。
【0025】
詳しくは、図3図4に示す如く、上述した第1凹凸構造21aは複数の第1歯溝211及び複数の第1凸歯213を備え、複数の第1凸歯213はラジアルD2に沿って互いに間隔を置いてナット31aの前記外周面から突出し、第1歯溝211のそれぞれは隣接する何れか2つの第1凸歯213の間に形成されている。第2凹凸構造22aは駆動組み立て部材1の前記内周面に形成されている複数の第2歯溝221及び複数の第2凸歯223を含み、第2凸歯223のそれぞれはラジアルD2に沿って各第1歯溝211内に進入し、第1凸歯213のそれぞれはラジアルD2に沿って各第2歯溝221内に進入する。凸歯のそれぞれがラジアルD2に沿って各歯溝内に進入することで、本実施例に係るクラッチ組み立て部材2aがナット31aを駆動組み立て部材1にラジアルに接合するか脱離する。
【0026】
図3図5図7を参照すれば、前述の互いに位置をずらした第1凹凸構造21a及び第2凹凸構造22aは接合状態に自動的に復位可能であり、クラッチ組み立て部材2aは第1弾性要素24a及び第2弾性要素25aを備えている。第1弾性要素24a及び第2弾性要素25aはナット31aの両側にそれぞれ設置され、第1弾性要素24a及び第2弾性要素25aが弾力を提供することで、ナット31aが長さ方向D1に沿って移動し、且つクラッチ組み立て部材2aによりラジアルD2に沿って駆動組み立て部材1に接合される。
【0027】
具体的には、図3図5に示す如く、クラッチ組み立て部材2aは第1ベアリング26及び第2ベアリング27を更に備え、ナット31aは、ナット本体310と、第1延長部分311と、第2延長部分312と、を有し、ナット本体310は駆動組み立て部材1にラジアルに接合するか脱離する。第1延長部分311及び第2延長部分312はナット本体310の両側からそれぞれ延長されている。第1ベアリング26及び第2ベアリング27は第1延長部分311及び第2延長部分312にそれぞれ設置され、第1弾性要素24a及び第2弾性要素25aは第1延長部分311及び第2延長部分312にそれぞれ覆設され、第1弾性要素24aの一端及び第2弾性要素25aの一端は第1ベアリング26の一側及び第2ベアリング27の一側にそれぞれ当接される。他端がどこに当接するかは、本発明では限定されない。本実施例では、図5図7を例にとり説明する。第1弾性要素24aの他端及び第2弾性要素25aの他端は凹凸の組み合わせ(すなわち、相互に接合される第1凹凸構造21a及び第2凹凸構造22a)の両側にそれぞれ当接され、凹凸の組み合わせが互いに位置をずらした後、第1弾性要素24aの他端及び第2弾性要素25aの他端が第1凹凸構造21a及び第2凹凸構造22aにそれぞれ当接され、弾性により第1弾性要素24aまたは第2弾性要素25aを圧縮し、その弾性復位力を利用して前述の凹凸の組み合わせを接合状態となるように自動的に復位させる。
【0028】
なお、本発明は第1弾性要素24a及び第2弾性要素25aについて限定せず、細長い筒状の直立ばね(図3参照)でもよく、短い筒状の直立ばね(例えば、図10に示す波形ばねの第1弾性要素24b及び第2弾性要素25b)でもよく、或いは、復位可能であれば実施可能な任意の他のばねでもよい。
【0029】
これにより、図5図7に示す如く、本発明に係る駆動装置100が特にクラッチ組み立て部材2aを有し、クラッチ組み立て部材2aが接合状態にある場合、駆動源6からの動力により開閉体Oを開閉するように駆動する。クラッチ組み立て部材2aが脱離状態にある場合、駆動源6からの動力によりナット31aから脱離させる(この際、駆動組み立て部材1が駆動源6により空転するように駆動され、ナット31aは駆動組み立て部材1により駆動されないため回転を停止する)。このようにすることで、開閉体Oがどのような状態にあろうとも(完全に開いた状態または完全に閉じた状態、完全に開いた位置と完全に閉じた位置との間の任意の位置で停止した状態、或いは電動で開くまたは閉じる途中の状態を含む)、開閉体Oに直接外力を付勢すれば(例えば、手動で力を付勢する)、開閉体Oに対して外力により随時任意の操作を行えるようになり(例えば、電動で開くまたは閉じる途中で停止する開閉体Oであるが、但し、本発明では外力による操作はこれに限定されるものではない)、且つ駆動源6の動力によりナット31aから脱離し、前記外力が駆動組み立て部材1または駆動源6に設置される他の機構組み立て部材を逆方向に駆動できなくなるため、機構が損壊しない。付勢された外力が消失した後も、第1弾性要素24a及び第2弾性要素25aの弾性回復力を更に利用し、本来脱離状態にあるクラッチ組み立て部材2aを接合状態に自動的に復位させる。こうすることで、螺合組み立て部材3が長さ方向D1に沿って駆動組み立て部材1に対して移動する際に(伸長及び退縮を含む)、ナット31aが駆動組み立て部材1に接合されるか脱離する。
【0030】
詳しくは、駆動装置100が開閉体Oを図1に示す閉状態から、図6に示す開状態まで駆動する過程において、ユーザーが開閉体Oに接触するのみで、開閉体Oが駆動組み立て部材1と共に螺合組み立て部材3に対して移動し、クラッチ組み立て部材2aが脱離状態となり、駆動源6からの動力によりナット31aから脱離する。こうすることで、駆動装置100が損壊しなくなる効果を有するのみならず、電動動作に手動で随時介入する効果を更に有する。
【0031】
なお、本実施例では、前述した交通車両が坂道にある場合、開位置に位置している開閉体Oが重力の影響で閉じられるのを防止するため、前述した第1弾性要素24a及び第2弾性要素25aの弾力が、設計上開閉体Oの外力に影響する重力に抵抗することで、クラッチ組み立て部材2aが接合状態に維持される。
【0032】
図2乃至図3-1と図5図8に示す如く、螺合組み立て部材3が振動機能を有するために、本発明に係る駆動装置100はハウジング5を更に備えている。ハウジング5は開閉体Oに設置されると共に位置制限部50を含み、駆動組み立て部材1は位置制限部50に回転可能に設置されている。具体的には、駆動組み立て部材1は球体11であり、位置制限部50に対応するように内設され、駆動源6はハウジング5に設置されている。
【0033】
詳しくは、ハウジング5は共に位置制限部50に設置されている第1ブッシュ51及び第2ブッシュ52を更に備え、駆動組み立て部材1は第1ブッシュ51と第2ブッシュ52との間に設置され、駆動組み立て部材1がハウジング5に対して回転する。
【0034】
これにより、図8図7を併せて参照して、スクリュー32が駆動組み立て部材1を中心点として正常状態にある元の長さ方向D1に対して角度を変化させると、駆動組み立て部材1はスクリュー32の前述の角度変化に追随して回転する。換言すれば、螺合組み立て部材3は振動機能を有し、スクリュー32と前述の第1軸線H1との間の挟角が、開閉体Oの開閉過程で一致するように保持できないという問題を克服し、開閉体Oが前述の本体に対して下垂するという問題も更に克服する。
【0035】
図8図2乃至図4に示す如く、振動に追随する駆動組み立て部材1と組み合わせるため、駆動源6により駆動される部分も再設計する必要がある。駆動組み立て部材1はリングギヤ12及び前述の球体11を備え、リングギヤ12は球体11の外周面に周設され、駆動組み立て部材1はリングギヤ12が駆動源6に噛合され、駆動組み立て部材1が駆動源6により駆動される。リングギヤ12はリング体であり、その外周面にはオリーブ形状を呈する複数の受動凸歯121が設置され、駆動組み立て部材1が回転する際に、受動凸歯121が振動するように駆動源6の駆動ギヤ62に噛合される。球体11及びリングギヤ12は一体成形されても、組み合わせて設置されてもよく、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
詳しくは、受動凸歯121のそれぞれは長さ方向D1に沿って球体11の外周面に横設され、且つ、受動凸歯121のそれぞれは球体11の外周面から離れる外縁1211を有し、外縁1211の形状はアーチ状を呈している。受動凸歯121のそれぞれは長さ方向D1に位置している2つの端部1215を更に有し、端部1215のそれぞれの形状は、球体11の外周面から、球体11の外周面から離れる方向にかけて幅が狭まる形状に形成されている。
【0037】
これにより、図8に示す如く、スクリュー32が振動すると、受動凸歯121の形状がオリーブ形状を呈するため、受動凸歯121と駆動ギヤ62との間の噛合角度が振動により改変されても、動力をスムーズに伝達する。換言すれば、駆動組み立て部材1はスクリュー32の振動に追随してハウジング5に対して回転する。
【0038】
なお、図3-1に示す如く、球体11は第1半球面構造111及び第2半球面構造112を有し、第1半球面構造111及び第2半球面構造112はリングギヤ12の両側にそれぞれ設置され、且つ第1半球面構造111及び第2半球面構造112が第1ブッシュ51及び第2ブッシュ52にそれぞれ接触するため、駆動組み立て部材1がハウジング5中の位置に維持されると共に自由回転可能となっている(図5参照)。
【0039】
また、図3図5に示す如く、ナット31aの第1延長部分311及び第2延長部分312には第1止め輪35及び第2止め輪36がそれぞれ覆設され、第1止め輪35及び第2止め輪36は第1ベアリング26及び第2ベアリング27の外環部にのみそれぞれ接触し、第1ベアリング26及び第2ベアリング27の内環部は第1弾性要素24aの一端及び第2弾性要素25aの一端がそれぞれ当接する。よって、第1ベアリング26及び第2ベアリング27の内環部及び外環部のうちの一方がもう一方に対して回転する。
【0040】
本発明は駆動源6について限定せず、駆動可能であればよい。本実施例では、駆動本体61及び駆動ギヤ62を備える(図2参照)例について説明する。駆動本体61が駆動ギヤ62を回転させ、駆動ギヤ62がリングギヤ12に噛合し、駆動本体61が駆動ギヤ62により駆動組み立て部材1を回転するように駆動する。本実施例では、駆動本体61はモーターである。
【0041】
<第2実施例>
本発明の第2実施例の構成を図9から図17に示す。第2実施例は第1実施例と略同じであり、クラッチ組み立て部材2b及びナット31bが異なる点において第1実施例と相違する。
【0042】
クラッチ組み立て部材2bは、相互作用構造21bと、ラッチ構成224と、複数のボール28と、を備えている。本実施例では、クラッチ組み立て部材2bは保持具29bを更に備えている。ラッチ構成224は中空の駆動組み立て部材1の内周面に周設されている。相互作用構造21bはナット31bの外周面に周設されていると共に相互に固定され、相互作用構造21bは突起部2142及び突起部2142に対して凹設されている2つの凹部2143を有し、突起部2142及び2つの凹部2143は長さ方向D1に沿って相互に並列されている。複数のボール28はラッチ構成224と相互作用構造21bとの間に配置されている。本実施例では、ナット31bの外周面に外周面2141を有し、相互作用構造21bはナット31bの外周面2141を巻回し、且つ突起部2142は外周面2141の一部分からラジアルD2に沿って突出され、凹部2143は突起部2142と外周面2141の他の部分との間に対して形成されている(図10-1参照)。また、相互作用構造21bはナット本体310と相互に一体成形され、ナット本体310との組み合わせ型構造となっている。
【0043】
図10乃至図12を参照すれば、保持具29bはラジアルD2に沿って開設されている複数の収容穴292を有し、ボール28のそれぞれは各収容穴292内に可動に収容される。駆動組み立て部材1の球体11には保持具29bが内設され、且つラッチ構成224がラジアルD2上でボール28のそれぞれを巻回する。収容穴292のそれぞれはラジアルD2に位置している開口部2921b及び収束口2922を有し、ボール28のそれぞれの一部分は開口部2921bのそれぞれによりラッチ構成224に向けて露出され、ボール28のそれぞれの他の部分は収束口2922のそれぞれにより相互作用構造21bに向けて露出され、ボール28のそれぞれの一部分及び他の部分はラッチ構成224及び相互作用構造21bにそれぞれ作用する。
【0044】
図10図10-1と図15に示す如く、ナット31bの第1延長部分311及び第2延長部分312は第1ストッパー3111及び第2ストッパー3122をそれぞれ有し、第1弾性要素24b及び第2弾性要素25bは第1延長部分311及び第2延長部分312にそれぞれ覆設され、第1弾性要素24b及び第2弾性要素25bは保持具29bの両側と第1ストッパー3111及び第2ストッパー3122との間でそれぞれ弾性により支持している。
【0045】
保持具29bは単一部材構造(図示省略)であり、組み合わせ型構造でもよく(図11参照)、相互に組み合わせられる第1保持体2901及び第2保持体2902を備え、第1保持体2901及び第2保持体2902は組み合わせ後に共同でリング溝291を形成する。
【0046】
図10図13図15に示す如く、クラッチ組み立て部材2bはラッチ輪22bを更に備え、ラッチ輪22bは球体11に設置されていると共にラッチ構成224を有し、保持具29bは駆動組み立て部材1とナット31bとの間に設置されていると共にリング溝291を有している(図10参照)。リング溝291は開口部2921bのそれぞれに連通され、ラッチ輪22bの一部分がリング溝291内に対応するように進入することで、ラッチ構成224が開口部2921bのそれぞれに対向する。ちなみに、本発明はラッチ構成224について限定せず、係合機能を有していればよく、さらには、ラッチ構成224は、そのデザイン設計により、ボール28のそれぞれがラッチ構成224と相互作用構造21bとの間に係止される。本発明はラッチ輪22bを駆動組み立て部材1にどのように固定するかについて限定せず、相互に固定できるものであればよい。図13図15に示す如く、本実施例では、本段落の後述の例について説明する。ラッチ輪22bにはラジアルD2に沿って少なくとも1つの係合構成225が突出し、リングギヤ12は少なくとも1つの対応する係合構造122を有し、対応する係合構造122が係合構成225に係合されることで、ラッチ輪22bがリングギヤ12に固定される。
【0047】
また、本実施例では、駆動源6の駆動方向を逆転するのが難しいか、或いは逆転しないため、図14に示す如く、駆動源6はウォームギア63を更に備えている。ウォームギア63は駆動ギヤ62に相互に同軸に固定され、駆動本体61は駆動シャフト611を有し、駆動シャフト611の外周面には、ウォームギア63に噛合するヘリカルギヤ612が突出されている。このようにすることで、ヘリカルギヤ612及びウォームギア63の歯型設計により、ウォームギア63がヘリカルギヤ612を逆方向に駆動する状況を防止している。
【0048】
このように、図9図13図15図17に示す如く、駆動源6が駆動組み立て部材1を回転し始めるように駆動すると、ラッチ輪22bがそのラッチ構成224と共に駆動組み立て部材1に追随して回転し、各ボール28、ラッチ構成224、及び相互作用構造21bがラジアルD2上で相互に干渉するか、ラジアルD2上で相互に重合し、保持具29bの各ボール28の一部分がラッチ構成224により押されるか圧迫されると、各ボール28がラッチ構成224と突起部2142との間に係止され、ナット31bが駆動組み立て部材1に接合される。このようにすることで、駆動源6が駆動組み立て部材1を回転するように駆動すると、駆動組み立て部材1がナット31aを回転するように駆動し、スクリュー32が長さ方向D1に沿って移動し、開閉体Oを開閉するように駆動する。逆に、図16に示す如く、前記開閉体Oがユーザーにより外力を付勢され、駆動組み立て部材1を同時に連動して保持具29b及びラッチ構成224と共に長さ方向D1に沿って移動させると、ボール28のそれぞれが保持具29bと共に追随して長さ方向D1に沿って移動する。この際、ボール28のそれぞれの他の部分は突起部2142から凹部2143の位置まで移動し、且つボール28のそれぞれが凹部2143内に降下し、ボール28のそれぞれがラッチ構成224により係合され、駆動組み立て部材1がナット31bから脱離する。この場合、スクリュー32が駆動中状態となり、駆動組み立て部材1がナット31bから瞬間的に脱離することで、駆動組み立て部材1がナット31bを回転するように駆動できなくなり、開閉体Oが、ユーザーが付勢する外力により作動する。ちなみに、この場合、ナット31bは外力の影響を受け、スクリュー32に対して回転する。
【0049】
これにより、図15図16に示す如く、本発明に係る駆動装置100が特にクラッチ組み立て部材2bを有することで、クラッチ組み立て部材2bが接合状態にある場合、駆動源6からの動力により開閉体Oを開閉するように駆動する。クラッチ組み立て部材2bが脱離状態にある場合、駆動源6からの動力によりナット31bから脱離する。よって、開閉体Oがどの状態にあろうとも(完全に開いた状態または完全に閉じた状態、完全に開いた位置と完全に閉じた位置との間の任意の位置で停止した状態、或いは電動で開くまたは閉じる途中の状態を含む)、開閉体Oに直接外力を付勢すれば(例えば、手動で力を付勢する)、開閉体Oに対して外力により随時任意の操作を行えるようになり(例えば、電動で開くまたは閉じる途中で停止している開閉体Oであるが、但し、本発明では外力による操作はこれに限定されるものではない)、且つ駆動源6の動力によりナット31bから脱離することで、前記外力が駆動組み立て部材1または駆動源6に設置された他の機構組み立て部材を逆方向に駆動できなくなり、駆動装置100が損壊しなくなる効果を有し、電動動作に手動で随時介入する効果を更に有する。付勢された外力が消失した後、第1弾性要素24b及び第2弾性要素25bの弾性回復力を更に利用し、本来脱離状態にあるクラッチ組み立て部材2bを接合状態に自動的に復位する。こうすることで、螺合組み立て部材3が長さ方向D1に沿って駆動組み立て部材1に対して移動する際に(伸長及び退縮を含む)、ナット31bが駆動組み立て部材1に接合されるか脱離する。換言すれば、本発明に係る駆動装置100の第2実施例は、第1実施例の全ての効果を有している。
【0050】
また、前述の交通車両が坂道に停まっている場合、開閉体Oが開位置に位置していると、開閉体Oが重力(外力の一種)の影響を受けて、ハウジング5及び駆動組み立て部材1を保持具29b及びラッチ構成224と共に長さ方向D1に沿って移動するように駆動する。図16を例にとると、ボール28のそれぞれが突起部2142から完全に脱離していない場合、相互作用構造21bの突起部2142の幅の設計に、第1弾性要素24b及び第2弾性要素25bのピッチの設計を組み合わせることで、ボール28のそれぞれをラッチ構成224と突起部2142との間に係止されるように維持する。詳しくは、保持具29b及びラッチ構成224が共に長さ方向D1に沿って移動する際に、保持具29bが第1弾性要素24bを押すことで、第1弾性要素24bが力を受けてナット31bの第1ストッパー3111を押し、ナット31bが力を受けてスクリュー32に対して更に回転する。これらの回転動作が第1弾性要素24bの両端により保持具29bを回転するように駆動し、保持具29bがボール28のそれぞれをラッチ構成224と突起部2142との間に係止されるように駆動する。この場合、ナット31bにより駆動組み立て部材1及び駆動源6を回転するように駆動するには、開閉体Oに付勢される重力が不十分であるため、開閉体Oが開位置に維持される。駆動源6が前述したようにウォームギア63を更に備えているため、前述した歯型設計によりナット31bが駆動組み立て部材1及び駆動源6を回転するように駆動するのを阻止する。
【0051】
<第3実施例>
本発明の第3実施例の構成を図18から図26に示す。第3実施例は第2実施例と略同じであり、ラッチ輪22c及び保持具29cが異なり、且つクラッチ組み立て部材2bが複数の補助弾性素子Sを更に備えている点において第2実施例と相違する。
【0052】
図19図20に示す如く、補助弾性素子Sのそれぞれは保持具29cに内設され、且つ補助弾性素子Sのそれぞれは隣接する何れか2つのボール28の間で弾性により支持し、すなわち、補助弾性素子Sがボール28に対して位置限定効果を発生させる。
【0053】
図21図22に示す如く、ラッチ構成224は、駆動組み立て部材1の内周面に対応するように巻回する複数のラッチブロック2241を有し、ラッチブロック2241のそれぞれは2つのラッチ凸部2242及びラッチ凸部2242に対して凹設されている解放凹部2243を有し、解放凹部2243は2つのラッチ凸部2242の間に位置している。ボール28のそれぞれは突起部2142とラッチブロック2241のそれぞれのうちの1つのラッチ凸部2242との間に係止されている(図25参照)。
【0054】
図19図20に戻って、保持具29cは複数の収容穴292及び複数のチャンネル293を有し、各チャンネル293は隣接する何れか2つの収容穴292の間に連通し、補助弾性素子Sのそれぞれは各チャンネル293内に収容されると共に隣接する何れか2つのボール28の間で弾性により支持する。収容穴292のそれぞれは破裂部2921c及び収束口2922を有し、収容穴292のそれぞれは破裂部2921cによりチャンネル293に連通する。ラッチブロック2241は破裂部2921cから保持具29c内に進入し、ボール28のそれぞれの一部分は各破裂部2921cによりラッチ構成224に接触し、ボール28のそれぞれの他の部分は各収束口2922により相互作用構造21bに向けて露出する(図25参照)。また、本実施例では、ラッチ輪22c及び保持具29cは相互に固定される。
【0055】
これにより、図23図25に示す如く、ボール28のそれぞれがラッチ凸部2242と突起部2142との間に係止されると、ナット31cが駆動組み立て部材1に接合される。逆に、図24図26に示す如く、開閉体Oが外力を付勢されて駆動組み立て部材1を同時に連動し、保持具29c及びラッチ構成224と共に長さ方向D1に沿って移動させると、ボール28のそれぞれが保持具29cに追随して共に長さ方向D1に沿って移動する。すなわち、突起部2142から解放凹部2243と凹部2143との間まで移動し、ボール28がラッチ構成224により係合されなくなり、駆動組み立て部材1がナット31cから脱離する。
【0056】
詳しくは、図23図24に示す如く、本発明に係る駆動装置100が特にクラッチ組み立て部材2bを有しているため、クラッチ組み立て部材2bが接合状態にある場合、駆動源6からの動力により開閉体Oを開閉するように駆動する。クラッチ組み立て部材2bが脱離状態にある場合、駆動源6からの動力によりナット31cから脱離する。よって、開閉体Oがどのような状態にあろうとも(完全に開いた状態または完全に閉じた状態、完全に開いた位置と完全に閉じた位置との間の任意の位置で停止した状態、或いは電動で開くまたは閉じる途中の状態を含む)、開閉体Oに直接外力を付勢すれば(例えば、手動で力を付勢する)、開閉体Oに対して外力により随時任意の操作を行えるようになり(例えば、電動で開くまたは閉じる途中で停止している開閉体Oであるが、但し、本発明では外力による操作はこれに限定されるものではない)、且つ駆動源6の動力によりナット31cから脱離し、前記外力が駆動組み立て部材1または駆動源6に設置されている他の機構組み立て部材を逆方向に駆動できなくなるため、駆動装置100が損壊しなくなる効果を有し、電動動作に手動で随時介入する効果を更に有している。付勢された外力が消失した後、第1弾性要素24b及び第2弾性要素25bの弾性回復力を更に利用し、本来脱離状態にあるクラッチ組み立て部材2bを接合状態に自動的に復位する。こうすることで、螺合組み立て部材3が長さ方向D1に沿って駆動組み立て部材1に対して移動すると(伸長及び退縮を含む)、ナット31cが駆動組み立て部材1に接合されるか脱離する。換言すれば、本発明に係る駆動装置100の第3実施例は、第2実施例の全ての効果を有している。
【0057】
また、第2実施例と比較すると、本実施例では、補助弾性素子Sがチャンネル293内に収容されると共に隣接する何れか2つのボール28の間で弾性により支持するため、隣接する2つのボール28がラッチ凸部2242と突起部2142との間に安定的に係止される。すなわち、図24を例にとり説明し、第1弾性要素24bの弾力により保持具29cがラッチ凸部2242の位置まで移動すると、ボール28が補助弾性素子Sの弾力の作用を受け、ラッチ凸部2242に直接係合される効果を達成する。
【0058】
以上を総合すると、本発明に係る駆動装置100は、予期する使用目的及び効果を確実に達成し、先行技術の欠陥を解決するため、特許を出願する。
【0059】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0060】
100 駆動装置
1 駆動組み立て部材
11 球体
111 第1半球面構造
112 第2半球面構造
12 リングギヤ
121 受動凸歯
1211 外縁
1215 端部
122 対応する係合構造
2a クラッチ組み立て部材
2b クラッチ組み立て部材
21a 第1凹凸構造
211 第1歯溝
213 第1凸歯
22a 第2凹凸構造
221 第2歯溝
223 第2凸歯
24a 第1弾性要素
24b 第1弾性要素
25a 第2弾性要素
25b 第2弾性要素
26 第1ベアリング
27 第2ベアリング
21b 相互作用構造
2141 外周面
2142 突起部
2143 凹部
22b ラッチ輪
22c ラッチ輪
224 ラッチ構成
2241 ラッチブロック
2242 ラッチ凸部
2243 解放凹部
225 係合構成
28 ボール
29b 保持具
29c 保持具
2901 第1保持体
2902 第2保持体
291 リング溝
292 収容穴
2921b 開口部
2921c 破裂部
2922 収束口
293 チャンネル
3 螺合組み立て部材
31a ナット
31b ナット
31c ナット
310 ナット本体
311 第1延長部分
3111 第1ストッパー
312 第2延長部分
3122 第2ストッパー
32 スクリュー
35 第1止め輪
36 第2止め輪
図1
図2
図3(1)】
図3(2)】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10(1)】
図10(2)】
図11
図12
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図15
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図26