(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149428
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】極紫外線ペリクルの保管、及びその極紫外線ペリクル特性の保存方法
(51)【国際特許分類】
G03F 1/66 20120101AFI20241010BHJP
【FI】
G03F1/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060410
(22)【出願日】2024-04-03
(31)【優先権主張番号】63/457,890
(32)【優先日】2023-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516124627
【氏名又は名称】リンテック オブ アメリカ インク
【氏名又は名称原語表記】LINTEC OF AMERICA, INC.
【住所又は居所原語表記】15930 S. 48th Street, Suite 110, Phoenix, Arizona 85048, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】リマ マルシオ ディー
(72)【発明者】
【氏名】リ セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】ラフマーニー フーマン
【テーマコード(参考)】
2H195
【Fターム(参考)】
2H195BA10
2H195BC31
2H195BE12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】極紫外線(EUV)ペリクルまたはペリクルフィルムを保管する方法を提供する。
【解決手段】この方法には、保管または輸送用の容器を構築するために、ステンレス鋼またはガラス材料などの材料を選択することが含まれる。真空密閉されたまたは不活性ガスを充填した容器がさらに好ましい。材料は、極紫外線(EUV)リソグラフィペリクルの1つ以上の特性を維持し、1つ以上の特性は、EUV透過率、EUV透過変動、EUV散乱、EUVペリクルフィルムのたわみ、EUVペリクルフィルムの引張強度、またはそれらの組み合わせから選択される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管装置であって、
材料を含み、
前記材料は、極紫外線(EUV)リソグラフィペリクルの1つ以上の特性を維持し、
前記1つ以上の特性は、EUV透過率、EUV透過変動、EUV散乱、EUVペリクルフィルムのたわみ、EUVペリクルフィルム引張強度、またはそれらの組み合わせから選択される、前記保管装置。
【請求項2】
前記材料がガスを放出して、前記EUVリソグラフィペリクルの1つ以上の特性を維持する、請求項1に記載の保管装置。
【請求項3】
前記材料はステンレス鋼である、請求項1に記載の保管装置。
【請求項4】
前記材料は、ガラスまたはホウケイ酸ガラスから選択される、請求項1に記載の保管装置。
【請求項5】
前記材料は、ガラスセラミックまたは石英から選択される、請求項1に記載の保管装置。
【請求項6】
前記保管装置は真空封止されている、請求項1に記載の保管装置。
【請求項7】
前記保管装置には不活性ガスが充填されている、請求項1に記載の保管装置。
【請求項8】
前記材料が不活性ガスで事前にパージされる、請求項1に記載の保管装置。
【請求項9】
極紫外線(EUV)リソグラフィペリクルを保管する方法であって、
EUVリソグラフィペリクルを調製することと、
前記EUVリソグラフィペリクルを容器内に配置することと、
を含み、
前記容器は少なくとも材料を含み、
前記材料は、EUV透過率、EUV透過変動、EUV散乱、EUVリソグラフィペリクルフィルムのたわみ、EUVリソグラフィペリクルフィルムの引張強度、またはそれらの組み合わせから選択されるEUVリソグラフィペリクルの1つ以上の特性を維持する、前記方法。
【請求項10】
前記材料は、ステンレス鋼、ガラス、ホウケイ酸ガラス、ガラスセラミック、または石英から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記容器内の真空圧を維持することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記容器を不活性ガスで充填することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記容器内に含まれる前記材料を不活性ガスでパージすることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、半導体マイクロチップの製造に使用される超薄型フィルム及び超薄型フィルム装置の保管に関し、より詳細には、容器材料からのガス放出による超薄型フィルム及び/または超薄型フィルム装置への望ましくない影響を回避し、または軽減するために、超薄型、超低密度、ナノ構造の自立型ペリクルフィルムを適切に保管し、輸送するための保管容器材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ペリクルは、フォトマスクを覆う保護装置であり、半導体マイクロチップ製造において用いられる。フォトマスクは、画定されたパターンに光が差し込まれるようにする孔または透明度を伴う不透明なプレートのことを指し得る。このようなフォトマスクは、フォトリソグラフィ及び集積回路の製造において広く用いられている場合がある。フォトマスクは、マスターテンプレートとして、基板(通常、半導体チップ製造の場合はウェーハとして知られるシリコンの薄いスライス)上にパターンを作成するために使用される。
【0003】
粒子汚染は、しばしば半導体製造において重大な問題となり得る。この問題は、多くの高解像度プロセスの先進フォトリソグラフィでは、冗長性が組み込まれていないチップ上の論理回路の印刷パターンを、無視できない粒子が変化させる可能性があるため、より顕著な問題となって、製品の歩留まりに影響を及ぼす。
【0004】
フォトマスクは、フォトマスクのパターン面を覆って取り付けられるフレーム(中央開口部を備えたペリクル境界とも呼ばれる)の上に張られた薄い透明フィルムであるペリクルによって、粒子から保護される。ペリクルは、マスクの近くにあるが、ペリクル上に付着する中~小サイズの粒子が、焦点が遠すぎて印刷されないことになるように、マスクから十分に離れた場所にある。しかし、半導体業界の現場報告によれば、未知の粒子発生源を使用する露光期間の後にも、依然として落下粒子が観察されている。
【0005】
近年、マイクロチップ製造業界は、ペリクルが、粒子及び汚染物質以外の原因から生ずる損傷からもフォトマスクを保護する可能性があることに気付いた。
【0006】
極紫外線(EUV)リソグラフィは、EUV波長の範囲(より具体的には、約13.5nmの波長)を用いる高度な光リソグラフィ技術である。EUVリソグラフィにより、半導体マイクロチップ製造業者は、7nm以下の解像度で最も精巧な特徴部をパターニングして、必要なスペースのサイズを増加させることなく、さらに多くのトランジスタを配置することが可能になる。EUVフォトマスクは光を反射させることによって機能する。この光の反射は、モリブデン及びシリコンの複数の交互層を用いることによって達成される。EUV光源が作動すると、EUV光は最初にペリクルフィルムに当たり、それを通過し、次に、フォトマスクの真下から跳ね返って、もう一度ペリクルフィルムに当たり、その後、EUV光は経路を進み続けてマイクロチップを印刷する。このプロセスの間にエネルギーの一部が吸収され、その結果、熱が生成され、吸収され、蓄積され得る。ペリクルの温度は、500℃~1000℃以上の範囲まで熱くなり得る。
【0007】
耐熱性は重要であるが、ペリクルはまた、フォトマスクからの反射光及び反射光パターンを確実に通過させるために、EUVに対して透明性が高くなければならない。これが、EUVペリクルが一般に非常に薄く、その厚さが200nm未満、好ましくは100nm未満、または40nm未満であり得る主な理由の1つである。
【0008】
2016年に、ポリシリコン系のEUVペリクルが数10年の研究及び取り組みの後に開発されたが、シミュレートした比較的低出力の175ワットEUV源に対してEUV透過率はわずか78%であった。トランジスタ密度増加の要望により、より高い透過率、より低い透過率変動、より高い温度許容度、及び強い機械的強度を求める厳しい要件が、EUVペリクル開発者に、さらなる技術的課題を提示している。
【0009】
カーボンナノチューブシート中のカーボンナノチューブの含有率(例えば、99質量%に達する)を高くすることによって、高い光透過率をねらう試みがなされている。このような試みの結果、現在の業界標準に基づいたペリクルフィルムの機械的強度及び/または耐久性の要件をも満たす可能性のある製品が生まれている。さらなる改善には、より厳格な基準を満たし、ユーザエクスペリエンスを向上させ、生産コストを削減し、経済的利益を創出することが含まれる。したがって、そのようなカーボンナノチューブベースの薄膜には、その構造的完全性を支えるために、ある程度の厚みを持たせる必要がある。その結果、そのようなカーボンナノチューブベースの薄膜のEUV透過は、より厚い膜を扱う場合には妥協が必要になる可能性がある。そのため、さらなる進歩を目指して、EUV光の透過とペリクルフィルムの厚みとの両方に対応する、従来の技術や知見を超えた技法が模索され、生み出されてきた。
【0010】
超薄型、超低密度のカーボンナノチューブ(CNT)ペリクルフィルムを製造する試みが、WO2021/090699で公開されて、節目に達している。この出願では、現在の業界標準と同等のサイズの超薄型フィルム(約3nm)が達成された。しかし、そのような超薄型フィルムは、約3nmもの薄さであり、それらは、製品の梱包、輸送及び取り扱い、人やロボットの操作、ならびに製造後の保管の間中に、損傷、改質、または改変を受けやすいため、実際的な課題を提示する。
【0011】
また一方、CNTは、揮発性有機化合物(VOC)に敏感であることがわかっており、ある特定のガス状分子及び環境汚染物質を吸着させる可能性があり、それがたとえ微量であっても、最終的にCNT表面を変質させ、十分な時間さらされると、特に超薄型のCNTフィルムの場合、CNTの特性変化を引き起こす可能性がある。そのような変化は、必然的に、光及びEUVの透過率及び散乱に影響を及ぼすことになるので、避けるべきである。
【0012】
したがって、超薄型CNTペリクルまたはナノファイバペリクルを保管して、その高いEUV透過率をほとんどまたはまったく変えずにペリクルフィルムの特性を維持するには、適切な保管及び輸送環境が重要である。
【発明の概要】
【0013】
本開示の態様によれば、保管容器または輸送容器内に少なくとも1日間置かれた後のナノ構造フィルムが開示される。本ナノ構造フィルムは、ランダムに交差されて、相互接続されたネットワーク構造を平面配向で形成する複数のナノファイバであって、相互接続されたネットワーク構造が、3nmの下限から100nmの範囲、または最大で500nmの上限までの範囲にわたる厚さと、波長550nmで測定された場合の50%以上から95%以上の光透過率と、75%以上から94%以上、最大で99%までのEUV透過率とを有しており、ナノファイバ構造が、初期の状態(つまり、ナノファイバ構造が製造後に処理または表面改質を何も受けていない)であってもよく、あるいはアニーリングプロセス、例えば、熱アニーリングまたはレーザアニーリングを受けていてもよい、複数のナノファイバ構造を含む。本ナノ構造フィルムは、金属、金属酸化物、その誘導体、またはそれらの組み合わせから選択される物質でさらにコーティングされてもよい。ナノファイバは、カーボンナノファイバ、カーボンナノチューブ(CNT)、窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)、またはそれらの組み合わせであってもよい。本開示は、ステンレス鋼またはガラスを含むがこれらに限定されない、非ガス放出材料または最小限のガス放出材料を含むEUVペリクル保管容器または輸送容器をさらに含む。CNT EUVペリクルフィルムは、単層カーボンナノチューブ、二重層カーボンナノチューブ、及び多層カーボンナノチューブ(3つ以上の壁を有する)、ならびに他の種類の炭素系または非炭素系のナノファイバの任意の組み合わせを含み得る。このようなナノ構造フィルムは、製造され、必要に応じてコーティング及び/またはアニーリングされ、保管容器または輸送容器に入れて、棚の上に載せられ、少なくとも1日、好ましくは少なくとも1週間及び/または少なくとも1か月間、保管された後に、高いEUV透過率を示し、維持し、他のEUVフォトリソグラフィの要件及び基準を満たす。開示されたナノ構造フィルムは、製造完了時に測定された値と実質的に等しい高いEUV透過率を、さらに保存する。
【0014】
本開示の態様によれば、保管装置が開示される。本保管装置は、極紫外線(EUV)リソグラフィペリクルの1つ以上の特性を維持する材料を含む。1つ以上の特性は、EUV透過率、EUV透過変動、EUV散乱、EUVペリクルフィルムのたわみ、EUVペリクルフィルム引張強度、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0015】
本開示のさらなる態様によれば、ある材料は、ガスを放出してEUVリソグラフィペリクルの1つ以上の特性を変化させ得るが、他の材料は、EUVリソグラフィペリクルの1つ以上の特性を変化させることなく、ガスを放出し得る。EUVペリクル保管容器の材料は、ガスを放出したとしても、EUVリソグラフィペリクルの1つ以上の特性を維持しなくてはならない。材料がガスを放出した場合、EUVリソグラフィペリクルの1つ以上の特性を維持するために、材料が、遮蔽または処理されるべきである。
【0016】
本開示の一態様によれば、EUVペリクル保管容器用の材料は、ステンレス鋼を含む。
【0017】
本開示の別の態様によれば、EUVペリクル保管容器用の材料は、ガラスを含む。
【0018】
本開示のさらなる態様によれば、EUVペリクル保管容器用の材料は、ガラスセラミックまたは石英を含む。
【0019】
本開示のさらに別の態様によれば、EUVペリクル保管容器用の材料は、ホウケイ酸ガラスを含む。
【0020】
本開示のさらなる態様によれば、保管装置は真空密封される。
【0021】
本開示のさらなる態様によれば、保管装置は、不活性ガスで充填される。
【0022】
本開示のさらなる態様によれば、材料は不活性ガスで事前にパージされる。事前にパージされた材料は、真空圧下で不活性ガスを放出する可能性がある。
【0023】
本開示の別の態様によれば、EUVリソグラフィペリクルを保管する方法が開示される。本方法は、EUVリソグラフィペリクルを調製することと、EUVリソグラフィペリクルを容器内に配置することとを含む。容器は少なくとも材料を含み、この材料は、EUV透過率、EUV透過変動、EUV散乱、EUVリソグラフィペリクルフィルムのたわみ、EUVリソグラフィペリクルフィルムの引張強度、またはそれらの組み合わせから選択されるEUVリソグラフィペリクルの1つ以上の特性を維持する。
【0024】
本開示のさらなる態様によれば、材料は、ステンレス鋼、ガラス、ホウケイ酸ガラス、ガラスセラミック、または石英から選択される。
【0025】
本開示のさらなる態様によれば、本方法は、容器内の真空圧を維持することをさらに含む。
【0026】
本開示のさらなる態様によれば、本方法は、容器を不活性ガスで充填することをさらに含む。
【0027】
本開示のさらなる態様によれば、本方法は、容器内に含まれる材料を不活性ガスでパージすることをさらに含む。
【0028】
本開示のさらなる態様によれば、EUVペリクル保管容器用に選択される材料は、材料の内部から周囲環境に、ガス状分子、揮発性有機化学物質、または蒸気を放出しない(すなわち、ガスを放出しない)。
【0029】
本開示を、以下の詳細な説明において、本開示の好ましい実施形態の非限定的な例として言及した複数の図面を参照して、さらに説明する。図面の複数の図の全体にわたって同様の文字は同様の構成要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】例示的な実施形態による、ペリクルフィルムを形成するための濾過方法と、その後に続く任意選択の高温でのアニーリングステップとを例示する。
【
図2】例示的な実施形態による、二重壁CNT(DWCNT)主体のフィルムのナノ構造の走査型電子顕微鏡(SEM)像を例示する。
【
図3】例示的な実施形態による、アニーリング処理前後のCNTフィルム、及びアニーリング後にプラスチック容器内に24時間保管された、アニーリングされたCNTフィルムのフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを例示する。
【
図4】例示的な実施形態による、アニーリング処理前後のCNTフィルム、及びガラス容器内に24時間保管された、アニーリングされたCNTフィルムのFTIRスペクトルを例示する。
【
図5】例示的な実施形態による、アニーリング直後のアニーリングされたCNTフィルム、ならびにガラス容器に保管されたアニーリング後1日、27日、及び35日のアニーリングされたCNTフィルムのFTIRスペクトルを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
その種々の態様のうちの1つ以上を通して、本開示の実施形態及び/または具体的な特徴、サブコンポーネント、またはプロセスは、具体的に前述して以下に言及する利点のうちの1つ以上を明らかにすることが意図されている。
【0032】
ペリクルとは、半導体マイクロチップ製造の間にフォトマスクを保護する薄い透明なフィルムを指し得る。ペリクルは、1)境界またはフレーム、及び2)中央の穴または開口部を備えた保護装置を企図している。境界及び開口部の両方は、境界の少なくとも一部及び開口部の一部、好ましくは開口部全体、及び開口部に近接した境界の一部、または境界全体の上部の連続薄膜によって覆われる。開口部を拡張するこのような薄膜の中央部分は自立している。ペリクルは、製造中に粒子及び汚染物質がフォトマスク上に落ちないようにするダストカバーとして機能し得る。しかし、ペリクルは、リソグラフィを行うのに必要な光の透過を可能にするために、十分に透明でなければならない。より効果的なリソグラフィを行うためには、より高い光透過率が求められる。ほとんどのEUVリソグラフィ用途では、ペリクルからのEUV透過率が80%あれば十分であり得る。5nm以下の高解像度EUVリソグラフィ、高エネルギーEUVスキャナ(>250ワット)、または高開口数EUVリソグラフィスキャナ(0.25)の場合、92%を超えるEUV透過率、94%を超えるEUV透過率、または96%から99%までのEUV透過率が望ましい。
【0033】
さらに、EUVリソグラフィ用のペリクルは、極端で固有の特性をともなう大きな(例えば、110×140mmを上回る)自立型薄膜材料を必要とする。EUV放射に対する高い透明性に加えて、単一ペリクルの予期しないEUV透過変動(EUV透過均一性とも呼ばれる)または全体的なEUV透過低下は、製造プロセス中に悪影響を及ぼし、印刷結果の不良や生産歩留まりの低下につながる可能性がある。また、EUVペリクルフィルムは、400℃を超える温度に耐性があり、フォトリソグラフィプロセス中の取り扱い、輸送、ならびにポンプダウン及び排気操作に耐えられるように機械的に堅牢であることが要求され得る。ペリクルフィルムには、ガス透過性のみならず、マイクロメートルサイズ粒子を保持する能力も求められる。多くの高レベルの特性を考慮すると、効果的なEUVペリクルは従来、製造が難しく、製造後に従来とは異なるケアが必要とされていた。
【0034】
カーボンナノチューブ及びカーボンナノチューブフィルム
本明細書でしばしば言及されるカーボンナノチューブ(CNT)またはカーボンナノファイバは、典型的にはナノメートル単位で測定される小さな直径を有する長いチューブである。それらは、長さ対直径のアスペクト比が高く、その範囲は一般に約100:1を超えることが好ましく、約1000:1を超えることもある。別の好ましいアスペクト比は、少なくとも約10,000:1であり得る。CNTは、同心円状に巻かれた1つ以上のグラフェンシートで構成されている。グラフェンシート1枚1枚が、CNTの壁とみなされる。単一壁CNT(SWCNT)は、1枚のグラフェンシートで作られている。二重壁CNT(DWCNT)は、2枚のグラフェンシートで作られている。最後に、多重壁CNT(MWCNT)は、3枚以上のグラフェンシートを有する。他の種類のCNTには、同軸ナノチューブ(同軸ナノチューブの内壁(複数可)と外壁(複数可)とが同じまたは異なることを意味する、同種または異種のいずれか)、円錐状カーボンナノチューブ、及び閉鎖型カーボンナノチューブが含まれ得るが、これらに限定されない。金属性または半導体性のカーボンナノチューブを含む他の炭素同素体も、ペリクルフィルムとして優れた特性を備えたシートを形成する可能性がある。CNTの場合、それらは、実質的に純粋な1つの種類で存在する場合があり、またはしばしばCNT壁の数について他の種類と組み合わせて存在する場合がある。CNTは、個別に存在することもあり、他から分離して存在することもあり、またはバンドルを形成することもある。バンドルには、DWCNTを含むSWCNT、MWCNTを含むSWCNT(3枚以上の壁)など、同じ種類のCNTまたは異なる種類のCNTが含まれることがある。バンドル内では、個々のCNTの長さと直径とが異なる場合がある。2つ以上のCNTを含む各バンドルは、少なくともその全長の一部にわたって平行に整列することがある。簡略化及び便宜のため、本出願におけるCNTは、異なる種類のCNT、例えば異なる数の壁を意味する場合があり、個別にまたはバンドルになって存在するCNTを含む場合がある。
【0035】
本明細書で用いる場合、ナノファイバは、例示的には直径が1μm未満のファイバを意味する場合がある。ナノファイバとナノチューブとは、同じ意味で使用され、SWCNTと、DWCNTと、MWCNTと、炭素原子が互いに結合して円筒構造を形成する他の炭素同素体とを包含し得る。
【0036】
個々のCNTは、1つ以上の他のCNTと交差し得る。多くのCNTが、共に、メッシュ状のナノ構造フィルムを形成することができる。例示的な一実施形態は、自立型ナノ構造薄膜を含むことがあり、その薄膜の領域には、薄膜の両側に支持材料または基板が存在しない。このような形成は、可能ではあるが、特にEUVリソグラフィペリクルに適した高い透明性などの特性を備える超薄型フィルムの製造では、全ての試行で保証されるわけではない。
【0037】
さらに、自立型フィルムを製造するいくつかの可能な方法の中で、濾過ベースのアプローチが、小サイズのフィルムからEUVリソグラフィ用の均一な膜厚を有する十分に大きなフィルムまで、フィルムを製造するのに利用された。均一な厚さのフィルムは、均一な光透過率と相関がある。この濾過ベースの方法によって、CNTのフィルムだけでなく、他の高アスペクト比のナノ粒子及びナノファイバ(たとえば、窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)または銀ナノワイヤ(AgNW))のフィルムの迅速な製造が可能になる。このアプローチでは、ナノチューブまたはナノ粒子の合成とフィルム製造プロセスとを分けているため、実質的に任意の方法によって作成される異なる種類のナノファイバを用いてもよい。異なる種類のナノチューブ(SWCNT、DWCNT、MWCNT、または炭素同素体)を、任意の所望の比率で混合することができる。濾過は、濾過プロセス中のフィルム厚の不均一性が、局所的な透過性の変動によって自己補正されるという意味でセルフレベリングプロセスであり得、したがって、非常に望ましいフィルム形成プロセスであり得、また非常に均一なフィルムの製造に対する有望な候補でもある。
【0038】
アニーリング処理
アニーリングとは、所与の材料の物理的特性、場合によっては化学的特性を変化させて、その延性を高め、硬度を下げるために、材料に熱処理を適用するプロセスを指す。アニーリングは、加熱源から始まり、材料に加熱エネルギーを与えて、その材料の温度を周囲温度から所定の高温度まで上昇させ、事前に選択した処理期間の間、所望の温度を保持し、その後、材料を冷ます。
【0039】
アニーリングのために実行される加熱は、電流、電圧、及び/または電気エネルギーを、材料に直接接触させることによって材料に通過させる電気加熱であってもよい。
【0040】
あるいは、アニーリングのための加熱は、対流加熱であってもよい。例示的な対流加熱では、加熱されたガスが表面及び/または場合によっては材料内部の流路にわたって流れ、ターゲットの温度を上昇させる。
【0041】
アニーリングのために行われる別の加熱は、電磁波がターゲット材料に向けて照射される輻射加熱であってもよい。レーザを含む可視スペクトル内の光源は、ターゲットまたはターゲット表面に直接放射線を照射することで、ターゲット材料を加熱することができる。光の光子は反射、再放射、または散乱する可能性があり、材料の所与の領域の地形的な違い、特徴、及び/または凹凸によって、加熱が不均一になる可能性がある。そのような処理を実行する環境がターゲットへの光路を妨げると、アニーリング結果が不均一になる可能性がある。直接光処理によってもたらされるこのムラは、材料表面全体が同時に照射されない場合、繰り返し照射を受ける領域と照射を回避する領域とで、より顕著になる。さらに、レーザ処理は、表面物質を燃焼、除去、または昇華させる可能性がある。レーザ処理によって生成されるこのような「浮き上がった」物質は、微量であっても、小分子や元素の形である可能性があり、未処理または場合によっては処理された表面に再吸収または再堆積する可能性があり、その結果、新たな凹凸を生じさせたり、あるいは既存の不均一性を悪化させたりする。
【0042】
しかしながら、本開示の態様はこれに限定されず、異なる加熱動作/方法が実行されてもよく、または加熱動作の組み合わせが実行されてもよい。
【0043】
アニーリングは、赤外線(例えば、近赤外線、中赤外線、及び/または遠赤外線)を含むがこれらに限定されない非可視光スペクトル内の電磁波を使用することができる熱アニーリングであってもよい。そのような電磁波長は、約10nm~約1mmの間から選択される範囲を有し得る。好ましい範囲は、約400nm~約700nmの間、または約700nm~約1mmの間から選択することもできる。さらに別の好ましい波長は、約5μm~約20μmの間であり得る。この加熱方法は、エネルギーをターゲット材料に伝達し、その熱エネルギーは材料内の他の微視的運動に散逸する。つまり、熱アニーリングは、そのエネルギーパワーを分散させてターゲット材料を加熱し、温度を均一に上昇させる。熱アニーリングは、入射エネルギー源の方向に関係なく、物体全体をカバーする。フルサイズのペリクルを受け入れるのに十分な内部空間を備えたセラミック加熱管によるセラミック加熱は、不可視光スペクトルに基づく熱加熱を実装するための多くの選択肢の1つである。加熱要素は、炭化ケイ素及び二珪化モリブデンで作られてもよい。科学理論に束縛されることを望まないが、他の加熱要素及び加熱装置も適用可能であると考えられる。
【0044】
加熱管では、1つ以上の加熱源または加熱要素が、加熱装置全体の形状に対して、断面図で円形配列、または管状配列で配置される。このような加熱源からの電磁波は、管状チャンバ内に放射線を均一に分布させる。適切な電磁波スペクトルと放出源とを用いれば、このようなアニーリングは、CNTペリクルに到達する均一な放射を確実に提供し、プロセス中の任意の時点でペリクル領域全体をカバーすることを保証するため、非全フィルムフィールドのアニーリングと比較して、EUT透過変動が最小限にまたはより低くなる。
【0045】
本例示的実施形態におけるアニーリング処理としては、上述した加熱方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0046】
一般的なアニーリング温度は、周囲温度を超える任意の温度であり得る。温度は、50℃以上、100℃以上、300℃以上、500℃以上、600℃以上、650℃以上、700℃以上、800℃以上、900℃以上、または1,000℃以上であり得る。温度はまた、3,000℃以下、2,500℃以下、2,000℃以下、1,800℃以下、1,700℃以下、1,600℃以下、1,500℃以下、または1,400℃以下であり得る。加熱温度は、前述のいずれか2つの温度の範囲内であってもよい。
【0047】
アニーリング温度を選択するには、ペリクル境界の熱膨張特性など、ペリクル境界の材料特性に応じた適切な温度範囲など、他の要素をさらに考慮する必要があり得る。ペリクル境界には、低熱膨張特性のもの(例えば、石英)が好ましい。
【0048】
アニーリング温度は、使用される加熱装置/方法及び加熱装置の加熱能力に応じて、固定速度または可変速度で上昇し得る。一般的で実際的な温度上昇速度は約20℃/分であり得る。好ましい加熱計画は、CNTペリクルを迅速に加熱して、アニーリングチャンバに付着した化学汚染物質、またはフロースルーガスに混入した化学汚染物質による潜在的なCNT酸化を回避または制限する。加熱計画では、ペリクル境界の亀裂を避けるために、ペリクル境界の物理的特性、場合によっては化学的特性、及び熱膨張とのバランスをとることもある。
【0049】
アニーリング後の冷却により、上昇した温度が自然に周囲条件に戻ることが可能になり得る。あるいは、冷却ガス、周囲温度のガス、または一定期間にわたって温度が降下するガスを流すことを利用して、アニーリングチャンバを冷却することもできる。ここでは不活性ガスが好ましい。
【0050】
アニーリング処理は、真空(例えば、真空アニーリング)、部分真空、または大気圧で行われてもよい。さらに、アニーリング処理は、不活性ガス、または炭化水素ガスなどの非不活性ガスの存在下で行われてもよい。
【0051】
例示的な不活性ガスには、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、及びラドンが含まれるが、これらに限定されない。例示的な炭化水素ガスには、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、及びヘプタンが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
ガスは、一定または可変の流量でアニーリングチャンバを通って流れることができる。ガス混合物としての2つ以上のガス種が、一定または可変の流量でアニーリングチャンバを通って流れることができる。また、2種以上のガスが連続的に流れされてもよく、または断続的に流されてもよい。ガスまたはガス混合物は、対流加熱のために、アニーリングチャンバに注入される前に予熱されること、及び/またはアニーリングチャンバ内で能動的に加熱されることがあり得る。ガスまたはガス混合物を意図的に選択し、アニーリング中に注入することができる。例えば、炭化水素ガスを適用すると、ナノファイバの構造欠陥やペリクルフィルム表面のナノ粒子形成が修復されることが以前に報告されている。超薄型、超低密度のフィルムを扱う性質上、フィルムの破裂を避けるために、一定のガス流、または流速の変動が最も少ないガスが望ましい場合があり、本明細書で企図されている。
【0053】
真空チャンバは、EUVスキャナの一部であってもよい。真空チャンバは、EUV製造組立ラインの部品、アクセサリ、またはアタッチメントとしてEUVスキャナと直接接続されている場合がある。真空チャンバは、スキャナの近くまたはリモートで、このようなアニーリング処理を実行するために、スタンドアロンにすることもできる。
【0054】
アニーリングプロセスは、ナノファイバ構造をフレームに取り付け、その後アニーリングチャンバまたはコンテナに直接配置されることから始まり得る。このチャンバは、約10-4トール以下のレベルの真空または真空付近まで排気される。次に、チャンバを所定の温度まで加熱する。この時点で、ペリクルは、選択された期間、チャンバ内に置かれる。加熱を開始する前に、ペリクルをチャンバ内に配置してもよい。アルゴンなどの冷却ガスの有無にかかわらず、チャンバが室温及び大気圧に戻った後、プロセスは完了し、汚染、酸化の可能性のある大気中の他のガスへの曝露、または損傷を避けるために、ペリクルを、周囲条件、真空中、不活性ガス中、またはそれらの組み合わせで保管することができる。
【0055】
アニーリングという用語は、本開示に適用可能な、または本開示に関連する様々な技術分野及び産業におけるさらなる態様及びより広い解釈を含むことがある。本明細書での1つ以上の革新的な貢献は、材料科学及び半導体の分野で生じる。
【0056】
フィルム形成及び熱アニーリング
本開示の例示的な実施形態に従って、超薄型かつ超低密度のCNTペリクルフィルムを製造し、続いて熱アニーリングプロセスを行うことができる。
【0057】
図1は、例示的な実施形態による、
図2に示すペリクルフィルムを形成し、その後にアニーリング処理を行うための濾過方法を例示する。
【0058】
本開示の別の実施形態は、アニーリング処理前に、あらゆる手段によって製造される、製造されるべき、加工される、または加工されるべき、任意のペリクル膜をさらに含むことができる。さらに、本開示の別の実施形態は、1種以上の金属元素、金属酸化物、CNT表面改質剤、またはそれらの組み合わせのコーティングまたは他の手段を含むがこれらに限定されない、様々なCNT表面改質を有する他の任意のペリクルフィルムを含む。
【0059】
図1に例示するように、自立型カーボンナノチューブベースのペリクルフィルムを、濾過に基づく方法によって作成してもよい。動作101において、水性懸濁液を形成するために用いるべきカーボンナノチューブ(CNT)から触媒を取り除く。例では、懸濁液内に分散する前に、CNTを化学的に精製して、触媒粒子の濃度を、熱重量分析によって測定した1重量%未満または好ましくは0.5重量%未満に下げてもよい。触媒の除去は何らかの特定のプロセスまたは手順に限定されず、所望の結果を実現するために任意の好適なプロセスを用いてもよい。
【0060】
動作102において、精製したCNTが水性懸濁液内に均一に分散されるように、精製したCNTを用いて水性懸濁液を調製する。1つ以上のCNT懸濁液を調製するときに、カーボンナノチューブ材料を選択した溶媒と混合して、懸濁液としての最終溶液内にナノチューブを均一に分散させることができる。混合としては、機械的混合(例えば、電磁攪拌棒及び攪拌プレートを用いる)、超音波撹拌(例えば、浸漬超音波プローブを用いる)、または他の方法を挙げることができる。いくつかの例では、溶媒は、プロトン性または非プロトン性極性溶媒、例えば、水、イソプロピルアルコール(IPA)及び水性アルコール混合物、例えば、60、70、80、90、95%IPA、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチル硫化物(DMS)、及びそれらの組み合わせとすることができる。別の例では、溶媒内でのカーボンナノファイバの均一分散を助長するために、界面活性剤を含めることもできる。界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤が挙げられるが、これに限定されない。
【0061】
カーボンナノファイバフィルムは通常、MWCNT、DWCNT、またはSWCNTのうちの1つから形成される。カーボンナノファイバフィルムはまた、異なる種類のCNT(すなわち、SWCNT、DWCNT、及び/またはMWCNT)の混合物を、異なる種類のCNT間の比率を変えて含んでいてもよい。他の種類のCNTを使用して、濾過や他の既知の熟考された方法によってCNTフィルムを製造することもできる。
【0062】
これらの3つの異なる種類の一般的なカーボンナノチューブ(例えば、MWCNT、DWCNT、及びSWCNT)はそれぞれ、特性が異なる。一例では、単一壁カーボンナノチューブは、ランダム配向されたカーボンナノチューブのシートへの以後の形成に対して、溶媒内により好都合に分散させることができる(すなわち、ナノチューブの大部分が別個に懸濁されて、他のナノチューブ上への吸着が少なくなる)。このように個々のナノチューブを溶媒内に均一に分散できる結果、懸濁されたナノファイバから溶媒を取り除くことによって形成されるより平面的に均一なナノチューブフィルムを製造することができる。この物理的均一性は、フィルム全体の他の特性(例えば、照射に対する透明性と散乱、圧力変化時の機械的強度、及び寿命/耐久性テスト)の均一性を向上させることもできる。
【0063】
例では、動作102における水性CNT懸濁液は、少なくとも85%を超える純度のSWCNTを有していてもよい。残りは、DWCNT、MWCNT、及び/または触媒の混合物であり得る。他の例では、残りをMWCNTが占める、約20%/75%のDWCNT/SWCNT、約50%/45%のDWCNT/SWCNT、約70%/20%のDWCNT/SWCNTなど、様々な比率の異なる種類のCNTを含む分散CNT懸濁液を調製することができる。10%以上のMWCNTと、様々なDWCNT/SWCNTパーセンテージ比でブレンドされたDWCNTとSWCNTとの混合物とを調製し、ナノファイバ構造を形成する同じ濾過プロセスにかけることができる。一例では、アニオン性界面活性剤を懸濁液中の分散剤として利用して、異なる種類のCNT混合物の均一な分散を高めることができる。
【0064】
動作103において、CNT懸濁液を次に、さらに精製して、最初の混合物から凝集または膠着したCNTを取り除く。例では、異なる形態のCNT(非分散または凝集対十分に分散)を、遠心分離によって懸濁液から分離してもよい。次の濾過ステップに進む前に、界面活性剤懸濁されたカーボンナノチューブの遠心分離が、懸濁液溶液の濁度を減らして、最終的な懸濁液溶液内でのカーボンナノチューブの全分散を確実にすることを助長してもよい。しかし、本開示の態様はこれに限定されず、他の分離方法またはプロセスを用いてもよい。例示的な態様によれば、動作103は、任意選択的に実行されてもよく、またはペリクルフィルムの形成における必要なステップとして実行されてもよい。
【0065】
動作104において、任意のCNT懸濁液、好ましくは動作103からの分離手順後のCNT上澄みを次に、濾過膜を通して濾過して、CNTウェブである、交差するCNTのフィルムの連続シートを形成する。
【0066】
例では、CNTフィルムを作るための1つの手法は、水または他の流体を用いて、濾過器(多くの場合、平らな濾過膜)上にナノチューブをランダムパターンで堆積させる。均一に分散したCNT含有混合物を濾過器に通らせてまたは強制的に通して、濾過器の表面上にナノファイバ構造層を残す。結果として生じるフィルムのサイズ及び形状は、濾過器の所望の濾過面積のサイズ及び形状によって決定され、一方で、フィルムの厚さ及び密度は、非透過成分が濾過器の表面上に捕捉されるので、プロセス中に適用されるナノファイバ材料の数量と、入力材料の各成分に対する濾過膜の透過性とによって決定される。貫流濾過液中に分散しているナノファイバの濃度が分かっている場合、濾過器上に堆積されるナノファイバの質量は、濾過器を通過する流体の量から決定することができ、フィルムの面密度は、ナノファイバ質量を総濾過面積で割って決定することができる。選択した濾過器は通常、どんなCNTに対しても透過性ではない。
【0067】
濾過形成されたCNTフィルムは、SWCNT、DWCNT、及び/またはMWCNTを異なる組成で組み合わせたものであり得る。カーボンナノファイバは、ランダムに交差されて、相互接続されたネットワーク構造を平面配向で形成し、薄いCNTフィルムを形成し得る。
【0068】
動作105では、得られたCNTフィルムを、CNTフィルムの第1の端から開始して、第1の端とわずかに重なる第2の端に向かって濾過膜から分離する。濾過膜から完全に分離されると、ナノファイバフィルムは次の動作106の準備が整う。
【0069】
動作106では、剥離されたCNTフィルムは、その後、回収器フレームまたはハーベスタフレームとも呼ばれるフレームを使用して回収され、その後、画定された開口部を有するペリクル境界などの実質的に任意の固体基板上に直接移送されて搭載される。CNTフィルムをペリクル境界に取り付け、開口部を覆ってペリクルを形成し得る。5mm×5mmほどの小さな開口部を備えた、金属フレーム、シリコンフレーム、またはペリクル境界などの任意のフレームに取り付けられた移送されたフィルムは有用であり得る。実際のEUVスキャナ用のフルサイズのペリクルフィルムとして機能する、110mm×140mm以上のさらに大きなサイズのフィルムの需要が高い。光学的光透過率及び/または透過率均一性試験、EUV透過率及び/または透過率均一性試験、機械的強度、たわみ試験、透過性試験、一定圧力またはポンピングダウン条件下でのたわみ、寿命試験、粒子試験などのCNTフィルムの特性評価を行うことができる。EUVリソグラフィスキャニングに対するフルサイズのペリクルは、現在の業界標準に基づいて、極薄の自立型フィルム(通常は110mm×140mmよりも大きい)を必要とし得る。フルサイズのペリクルは、フルフィールドペリクルと呼ばれることがある。
【0070】
本明細書で言及されるペリクルフレームは、高温アニーリングを維持するために高温処理に耐えることができる。さらに、ペリクルフレームは、それ自体に取り付けられたナノファイバフィルムの伸縮を回避するために、または伸縮を引き起こすために、低い熱膨張係数を有することができる。例示的なフレーム材料は、一般に石英として知られる二酸化ケイ素や、炭化ケイ素などから選択できる。
【0071】
オプションの動作107では、フレーム、ペリクル境界、または中間移送フレーム上のCNTフィルムが熱アニーリング処理を受ける。熱アニーリング処理は、CNTフィルムを密閉チャンバ内または真空チャンバ内に所定の高温度で特定の時間置くことによって行われる。しかしながら、本開示の態様はこれに限定されず、様々な熱アニーリング処理が、異なる温度、異なる期間(継続時間)、及び異なる熱エネルギー源、例えば、異なる電磁波の波長または波長範囲で行われてもよい。
【0072】
一例では、熱アニーリング処理は、約600℃以上、約700℃以上、約800℃以上、約900℃以上、及び約3,000℃未満、約2,500℃未満、約2,000℃未満、または約1,500℃未満の目標温度で行われてもよい。実際のアニーリング温度は一定であることが好ましいが、アニーリングチャンバ内またはアニーリングターゲット、すなわちペリクルフィルムの近くで測定した所定の目標温度の上下2~10%の温度範囲で変動してもよい。目標温度が600℃の場合、実際の温度は540℃~660℃で測定され得る。
【0073】
また、別の例では、熱アニーリング処理は、目標温度または温度範囲で1秒から60分間実行されてもよい。好ましい処理時間は10分~30分である。
【0074】
別の例では、アニーリング処理は、アニーリングチャンバ圧力が大気圧、真空、またはその中間のチャンバ内で実行されてもよい。アニーリング処理チャンバは、一般に、熱エネルギーの分布、好ましくはチャンバ全体にわたる均一な分布をサポートする。熱エネルギーは、1つ以上のCNTフィルムなどの1つ以上のターゲットに向けることができる。熱エネルギーはまた、チャンバ内で拡散し、1つ以上のフィルムを浸漬し、ペリクルフィルムのセット全体をばらつき少なく均一に処理することもできる。フィルム上に蓄積される不均一なエネルギー、またはフィルムで受け取られる不均一なエネルギーなどのアニーリングの変動は、例えば、フィルムのしわ、焦点フィルムの肥厚または薄膜化、早期のフィルム破損などを引き起こす可能性がある。これらのイベントまたは変化は、フィルムの光透過率を変化させ、透過率のばらつきを悪化させ、フィルムの機械的強度を弱め、フィルムの寿命を縮める可能性がある。
【0075】
別の例では、アニーリング処理は、電磁放射によって実行されてもよい。単一波長で1nm~1mmの範囲、または2つ以上の波長が重なり、及び/または重ならないように混合された、選択された電磁波(複数可)が、0.1ミリ秒~1秒のあらかじめ決められた持続時間の間に、ペリクルフィルムの少なくとも一部分、または好ましくはペリクルフィルム全体を対象とする。
【0076】
EUV透過及びEUV透過低減
極紫外(EUV)ペリクルには、高いEUV透過率が必要とされる。このことは、現在のEUVフォトリソグラフィと将来の高出力EUVフォトリソグラフィとにとって、特に重要である。典型的なEUV透過率は、多くの場合約13.5nmの波長で測定され、一般に75%以上、80%以上、88%以上、92%以上、または好ましくは95%以上、及び最大で99%である。EUVペリクルフィルムは、EUV透過率を高めるために、さらにアニーリングされることがある。一例では、動作101から動作107で製造されたCNTフィルムに、EUV13.5nm波長で約93.05%の透過率をもたらすことができる。しかし、ナノファイバEUVペリクルフィルムとCNTEUVペリクルフィルムとの保管条件は明確にはわかっていない。93.05%のEUV透過率を有する上記のCNTペリクルフィルムを、ステンレス鋼容器(約100立方インチ、内部チャンバ15立方インチ)内に1か月間保管した後、EUV透過率を再測定した。同じサンプル調製バッチからの別のCNTペリクルフィルム(兄弟サンプル)を、アクリル容器(3.5インチ×3.5インチ×0.5インチ(長さ×幅×高さ)、厚さ1/16インチの容器材料)内に1か月間保管し、フィルムのEUV透過率を測定した。両方のサンプルとその容器とは、周囲条件、つまり、通常の大気圧、同じ室温、及び同じ湿度で保管した。両方のコンテナには、室内空気を充填した。結果を表1に要約する。
【表1】
【0077】
表1は、ペリクルフィルムの保管条件に基づいて、アニーリングされたCNTフィルムのEUV透過率が時間の経過とともに変化することを示している。断熱アクリルプラスチック容器に保管したサンプルのEUV透過率の低下は、ステンレス鋼容器に保管したサンプルのEUV透過率の低下の2倍の速さであった。どちらの断熱容器も真空密封されておらず、不活性ガスも充填されておらず、容器内で同様の量の周囲空気にさらされている。
【0078】
アクリルは、その優れた光学的透明度と透明性、温度変化への耐性、各種化学薬品に対する耐性により、保管容器材料として一般的に使用されている透明プラスチックである。ただし、ガス放出率も高い。アクリル容器から放出される揮発性有機化合物は、ステンレス鋼容器に比べてはるかに小さい容器であるにもかかわらず、これら2つの保管容器材料を比較すると、EUV透過率の低下が2倍になった。EUVペリクル容器の材料としては、他の低ガス放出プラスチック、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFEまたはテフロン(登録商標))、ポリイミド、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリカーボネートなどが、よりよい選択となり得る。ペリクルを合成プラスチック容器に長期保管する場合、超薄型CNTペリクル及びペリクルフィルムの特性に通常以上の悪影響を及ぼす可能性があるため、慎重に評価する必要がある。ペリクルフィルムの保管容器または輸送容器を、容器材料自体及び/または容器内部の保管スペースを含めて、窒素やアルゴンを含むがこれに限定されない選択された不活性ガスで事前にパージすることは、予防的な選択肢となり得る。選択した不活性ガスで事前にパージされた容器材料は、真空密封時に、そのような不活性ガスを放出する可能性がある。
【0079】
さらに、表1に示すステンレス鋼製ペリクル保管容器のEUV透過率の低下は、テスト中に大気から少量のガス物質が吸着されたためである可能性がある。真空密封された保管環境または不活性ガスで満たされた保管環境は、EUV透過率、EUV透過変動、たわみ及び引張強度などのCNT EUVペリクルフィルムの特性を適切に維持するための追加測定の1つとなり得る。
【0080】
FTIR分光測定
フーリエ変換赤外分光法(FTIR分光法)は、液体、気体、固体などのターゲットサンプルが赤外スペクトルの各波長でどれだけの光を吸収するかを測定する。サンプル材料は、その化学的特性と組成とにより赤外線の一部を吸収するが、他の赤外線は透過して検出器に到達して記録され得る。インターフェログラムと呼ばれる記録された生データをコンピュータが解析し、各波長における対応する光の吸収率または透過率を図に整理して表示する。所与のサンプル材料については、その代表的なデータセットとコンピュータで生成されたグラフの曲線とが含まれており、これはテストされた材料の指紋のようなものである。同じ材料が変更されると、その構造、化学組成、化学残留物、及びその結果として生じる分子振動パターンの変化により、その光吸収特性が変化する可能性がある。これらの変更により、新しいデータセットまたは新しい曲線が作成される。
【0081】
ほとんどの材料には複数の化学成分、汚染物質、またはガス放出物質が含まれているため、FTIR分光法は材料混合物の吸収特性を表す可能性が高く、より複雑なグラフまたはグラフパターンを示す。分光波長の特定の範囲は、所与の試験材料内の変化を示す典型的な、意味のある、及び/または十分な表現であり得る。
【0082】
サンプル材料のアニーリングの前後で収集されたデータを比較すると、同じ材料内に蓄積された変化が明らかになる場合がある。同じような比較結果は、多くの場合、同じ方法で処理された、あるいはサンプル材料に同じような変化が生じた、同じ種類のサンプル材料からの異なる測定結果と相関している。
【0083】
EUV透過測定に加えて、FTIRによって観察された差異を研究すると、ナノファイバペリクルフィルム内の同じ変更を表すか、またはそれに相関する可能性がある。
【0084】
実験では、まずCNTペリクルフィルムを650℃で30分間アニーリングした後、アクリルプラスチック容器(3.5インチ×3.5インチ×0.5インチ、厚さ1/16インチ壁)に、シリコンゴムガスケットやシリコンゴムスペーサストリップ(3.0インチ×0.25インチ×0.25インチ)などのシリコンゴム系材料と共に24時間保管した。CNTペリクルフィルムのFTIR測定は、アニーリング前(初期状態のCNTペリクルフィルムと呼ばれることが多い)、アニーリング後、及びシリコーンゴム材料と共にアクリルプラスチック容器に保管して24時間後に実行した。結果(波数2950(cm
-1)及び2880(cm
-1)からの)は
図3にプロットされており、2940(cm
-1)と2900(cm
-1)の間の波数についてのこれらの測定結果の間に、有意な変化が見られる。アニーリング前の未処理のCNTペリクルフィルムのグラフ(実線の曲線)は、2940(cm
-1)と2900(cm
-1)との間で深い「V」字型をしている。アニーリング後、グラフの線は平らになったが(アニーリング後のCNTペリクルフィルムを破線の曲線で示す)、シリコーンゴム付きのアクリルプラスチック容器に保管すると、元のグラフに非常に近い曲率に戻った(アニーリング後のCNTペリクルフィルムをアクリルプラスチック容器に24時間保管し、翌日測定したものを点線の曲線で示す)。これらの変化は、測定された赤外線透過率の増加によるCNT表面の特定の物質の初期損失と、その後の赤外線透過率の減少で示される物質の損失の回復とが起こることを示す。文献に示されている波数範囲で表される典型的な化学物質は、脂肪族炭化水素であり得る。また、これらのFTIR測定の変化は、上に示したように、以前に観察されたEUV透過率の直接EUV透過測定による変化及びEUV透過率の変化、及び本明細書には含まれない他のデータに対応している。
【0085】
シリコーンゴムは非常に低いレベルでガスを放出し続けると報告されている。高温低圧ではガスが発生する可能性があることでも知られている。ガス放出の量は、非EUVリソグラフィ用途では無視できる場合があるが、極薄CNTペリクルフィルムに対する影響は重大である可能性がある。CNTペリクルフィルムは微量の放出ガスを吸着し、EUV透過率を変化させる可能性がある。
【0086】
要約すると、アクリルプラスチック及び/またはゴム状材料は、極薄CNTペリクルフィルムのEUV透過率に影響を与える。より具体的には、研究された材料は、薄いCNTペリクルフィルムのEUV透過率を低下させる可能性がある。
【0087】
他の一般的な保管容器の材料には、ポリカーボネートプラスチック、ポリプロピレンプラスチック、または微量の元の出発成分(モノマーまたはポリマー)、VOC、及び/または触媒を放出またはガス放出する可能性のある他の合成材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
本開示の別の態様によれば、CNT EUVペリクルフィルム保管容器及び輸送容器用の上述の材料への曝露は、EUV透過率だけでなく、EUV散乱、EUVペリクルフィルムのたわみ、EUVペリクルフィルムの引張強度、またはそれらの組み合わせにも影響を及ぼす可能性がある。CNTEUVペリクルフィルムの厚さは通常、数ナノメートルから数十ナノメートルの範囲であるため、脂肪族炭素の吸着により、最終的には超軽量フィルムの重量が増加し、フィルムのたるみや引張強度の低下を引き起こす可能性がある。
【0089】
別の実験では、CNTペリクルフィルムを最初に650℃で30分間アニーリングし、次にガラス容器内で大気圧、湿度、室内空気中で24時間保管した。このCNTペリクルフィルムのFTIR測定を、アニーリング前、アニーリング後、及びガラス容器に保管してから24時間後に実行した。結果を
図4にプロットする。
図4は、
図3と比較して異なるパターンを示している。アニーリング処理後、グラフの線(破線の曲線-アニーリングされたCNTペリクルフィルム)も予想どおり平坦になったが、元のグラフ(アニーリング前の測定に基づく実線の曲線)に近い曲率には戻らなかった。アニーリング直後に測定した結果と同様のベースライン(点線の曲線-アニーリングしたCNTペリクルフィルムをガラス容器に保管した後の測定)を保持していた。この
図4のデータから、ガラスは、少なくとも試験期間中は、超薄型CNTペリクルフィルムのEUV透過率にほとんど影響を与えないことがわかる。
【0090】
さらに、保存容器材料の長時間暴露をテストする研究では、CNTペリクルフィルムを最初に650℃で30分間アニーリングし、次にガラス容器内で室温環境条件下で最大35日間保管した。このCNTペリクル膜のFTIR測定を、アニーリング前と、ガラス容器に保管してから24時間(1日)、27日、及び35日後とに実施した。結果を
図5にプロットした。アニーリング後、グラフの線は「V」字形(実線)が消失して平坦になり、これは
図3及び
図4の両方における対応する変化及び曲線と同様である。ガラス容器内で24時間保管した後、FTIR測定値(破線の曲線)には大きな変化は見られなかった。サンプルは27日後と35日後に再測定された。アニーリングの27日後に取得した測定値を表すグラフ(点線)は、アニーリングされていないサンプル(図示せず)とアニーリング後24時間のアニーリングされたサンプルのデータセットとの間で主に曲率、つまり深い「V」特性を示し、対応する波長範囲の赤外線透過率が減少した。アニーリングから35日後に取得した測定値を表すグラフ(一点鎖線の曲線)は、より深い「V」字型の曲率とさらなる赤外線透過率の減少とを示している。この結果は、ガラス容器に保管したCNTペリクルフィルムでは、アクリル容器に保管した場合に比べて、CNT表面の脂肪族炭化水素の再獲得が非常に遅いペースであることを再度示している。どちらも最終的にはCNT EUVペリクルのEUV透過に影響を及ぼす。
【0091】
本開示の実施形態はさらに、ナノファイバEUVペリクルまたはペリクルフィルムを、真空状態、室内空気またはガスパージ環境、または慎重に選択された保管及び輸送容器材料による不活性ガス充填容器内で保管する必要性及び/または必要性を実証する。
【0092】
好ましいEUVペリクルまたはペリクルフィルム容器の材料としては、金属、ステンレス鋼、ガラス、ホウケイ酸ガラス、ガラスセラミック、または石英が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で説明した実施形態の例示は、種々の実施形態の一般的な理解を与えることを意図している。図は、本明細書に記載される製品または方法を形成する製品及び方法の全ての要素及び特徴の完全な説明として機能することを意図したものではない。本開示を検討すれば、他の多くの実施形態が当業者には明らかとなり得る。他の実施形態が本開示から利用及び導出され得るため、本開示の範囲から逸脱することなく構造的及び論理的な置換及び変更が行われ得る。さらに、例示は単に代表であり、一定の比率で描かれてはいない場合がある。例示内でのある割合は誇張されている場合があり、一方で他の割合は最小限にされている場合がある。したがって、本開示及び図は限定ではなくて例示的であると考えるべきである。
【0093】
本明細書では、本開示の1つ以上の実施形態に、単に便宜上及び本出願の範囲を何らかの特定の発明または発明概念に自発的に限定することを意図することなく、用語「発明」によって個別に及び/または一括して言及している場合がある。また、本明細書では特定の実施形態について例示及び説明してきたが、当然のことながら、同じまたは類似の目的を実現するようにデザインされた任意の後続の配置を、示した特定の実施形態の代わりに用いてもよい。本開示は、種々の実施形態のありとあらゆる後続の適応または変化に及ぶことを意図している。本説明を検討すれば、前述の実施形態の組み合わせ及び本明細書では具体的に記載していない他の実施形態が当業者には明らかである。
【0094】
本開示の要約は、特許請求の範囲の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないことを理解して提出される。加えて、前述の詳細な説明では、本開示を簡素化する目的で、単一の実施形態において種々の特徴部を一緒にグループにするかまたは説明している場合がある。開示は、特許請求の範囲に記載された実施形態がそれぞれの請求項に明示的に述べられるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、本発明の主題は、開示した実施形態のうちのいずれかの特徴部の全部未満に向けられている場合がある。したがって、以下の請求項は詳細な説明に組み込まれており、各請求項は、個別に請求された主題を規定するものとして独立している。
【0095】
前述で論じた主題は例示的であって限定ではないと考えるべきであり、添付の請求項は、全てのこのような変更、拡張、及び他の実施形態であって本開示の真の趣旨及び範囲に含まれるものを対象として含むことが意図されている。したがって、法律によって許容される最大程度まで、本開示の範囲は、以下の請求項及びそれらの均等物の最も広い許容される解釈によって決定されるべきであり、前述の詳細な説明によって制限も限定もしてはならない。