(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149436
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】板紙
(51)【国際特許分類】
D21H 27/00 20060101AFI20241010BHJP
D21H 11/14 20060101ALI20241010BHJP
D21H 11/04 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
D21H27/00 E
D21H11/14
D21H11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060784
(22)【出願日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2023062996
(32)【優先日】2023-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】松尾 啓士
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AA02
4L055AC06
4L055AC09
4L055AG50
4L055AG72
4L055AH11
4L055AH16
4L055AJ01
4L055BD18
4L055EA04
4L055EA07
4L055EA08
4L055FA11
4L055FA13
4L055GA05
4L055GA06
(57)【要約】
【課題】古紙パルプの再利用を図りつつ、高い強度性能及び優れた外観を有する板紙を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る板紙は、表層、中層及び裏層の3層以上の紙層を有し、上記表層及び上記裏層のパルプが針葉樹クラフトパルプからなり、上記中層が段ボール古紙パルプを含み、全層における全パルプに対する針葉樹クラフトパルプの含有量が45質量%以上80質量%以下であり、全層における中層の質量が36質量%以上であり、かつ、全パルプに対する段ボール古紙パルプの含有量が20質量%以上であり、表面及び裏面の破裂指数が4.30kPa・m2/g以上である。上記表層の坪量が25.0g/cm2以上50.0g/cm2以下であり、上記裏層の坪量が30.0g/cm2以上65.0g/cm2以下であることが好ましい。JIS-P8116(2000)に準拠した繊維の幅方向の引裂強度が1200mN以上1600mN以下であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表層、中層及び裏層の3層以上の紙層を有し、
上記表層及び上記裏層のパルプが針葉樹クラフトパルプからなり、
上記中層が段ボール古紙パルプを含み、
全層における全パルプに対する針葉樹クラフトパルプの含有量が45質量%以上80質量%以下であり、
全層における中層の質量が36質量%以上であり、かつ、全パルプに対する段ボール古紙パルプの含有量が20質量%以上であり、
表面及び裏面の破裂指数が4.30kPa・m2/g以上である板紙。
【請求項2】
上記表層の坪量が25.0g/cm2以上50.0g/cm2以下であり、
上記裏層の坪量が30.0g/cm2以上65.0g/cm2以下である請求項1に記載の板紙。
【請求項3】
JIS-P8116(2000)に準拠した繊維の幅方向の引裂強度が1200mN以上1600mN以下である請求項1又は請求項2に記載の板紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板紙に関する。
【背景技術】
【0002】
梱包用包装容器に用いられる板紙は、木製や樹脂容器製に比べて軽量であり、クッション性を有することから内容物を破損しにくいため、精密機器をはじめ様々な分野で用いられている。
【0003】
近年、木材資源の保護と経済性の観点から、古紙を原料パルプとして用いることが指向されている。例えば原料コストを低減するために、古紙パルプの配合率を高くした板紙が提案されており、全パルプに占める古紙パルプの配合率が70質量%以上であり、坪量が350.0g/m2以上である技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような板紙は中芯原紙と組み合わせて段ボールシートに加工されて、各種包装箱等に使用されるが、近年段ボール箱の機能が、商品を保管・輸送などの流通過程で受ける物理的な力から守るだけでなく、商品が詰められたまま展示、あるいはセリ等に見られるように商品の顔としての機能を付加するために多色印刷が多く行われている。そのため、包装用途にも転用することが可能な板紙として、高い強度性能のみならず、優れた外観も有することが求められる。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、古紙パルプの再利用を図りつつ、高い強度性能及び優れた外観を有する板紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る板紙は、表層、中層及び裏層の3層以上の紙層を有し、上記表層及び上記裏層のパルプが針葉樹クラフトパルプからなり、上記中層が段ボール古紙パルプを含み、全層における全パルプに対する針葉樹クラフトパルプの含有量が45質量%以上80質量%以下であり、全層における中層の質量が36質量%以上であり、かつ、全パルプに対する段ボール古紙パルプの含有量が20質量%以上であり、表面及び裏面の破裂指数が4.30kPa・m2/g以上である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、古紙パルプの再利用を図りつつ、高い強度性能及び優れた外観を有する板紙を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係る板紙は、表層、中層及び裏層の3層以上の紙層を有し、上記表層及び上記裏層のパルプが針葉樹クラフトパルプからなり、上記中層が段ボール古紙パルプを含み、全層における全パルプに対する針葉樹クラフトパルプの含有量が45質量%以上80質量%以下であり、全層における中層の質量が36質量%以上であり、かつ、全パルプに対する段ボール古紙パルプの含有量が20質量%以上であり、表面及び裏面の破裂指数が4.30kPa・m2/g以上である。
【0010】
当該板紙においては、最外層である表層及び裏層が針葉樹クラフトパルプからなることで、破裂強度の向上を図ることができるとともに外観に優れる。また、中層が段ボール古紙パルプを含み、全層における全パルプに対する針葉樹クラフトパルプの含有量が45質量%以上80質量%以下であることで、破裂強度を向上しつつ古紙パルプの再利用を図ることができる。全層における中層の質量が36質量%以上であり、かつ、全パルプに対する段ボール古紙パルプの含有量が20質量%以上であることで、当該板紙のクッション性を向上できる。さらに、表面及び裏面の破裂指数が4.30kPa・m2/g以上であることで、当該板紙は、高い強度性能を有する。従って、当該板紙は、古紙パルプの再利用を図りつつ、高い強度性能及び優れた外観を有する。
【0011】
上記表層の坪量が25.0g/cm2以上50.0g/cm2以下であり、上記裏層の坪量が30.0g/cm2以上65.0g/cm2以下であることが好ましい。当該板紙の表層及び裏層の坪量が上記範囲であることで、当該板紙の強度性能及びベック平滑度を向上できる。
【0012】
当該板紙のJIS-P8116(2000)に準拠した繊維の幅方向の引裂強度の下限としては、1200mNが好ましい。当該板紙の繊維の幅方向の引裂強度が1200mN以上であることで、当該板紙の繊維の幅方向の引裂強度が上記範囲であることにより、高い破れ耐久性及び加工適性を向上させることができる。一方、引裂強度の上限としては、1600mNが好ましい。当該板紙の繊維の幅方向の引裂強度が1600mN以下であることで、当該板紙のクッション性を良好にできる。上記引裂強度は、JIS-P8116(2000)に準拠して測定される。
【0013】
[本発明の実施形態の詳細]
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
【0014】
<板紙>
本発明の実施形態に係る板紙は、少なくとも表層、中層及び裏層をこの順に備える。また、当該板紙は、上記中層と上記裏層との間に単層又は複数の層を備えていてもよい。すなわち、当該板紙は、少なくとも3層以上の多層抄き紙であればよく、4層以上の多層抄き紙である場合、上記中層と上記裏層との間に第2の中層を備える構成や、上記中層と上記裏層との間に第2の裏層を備える構成であることが好ましい。このように、中層、裏層又はこれらの組み合わせを多層構造とすることが好ましく、このような構造とすることにより、当該板紙は紙層の柔軟性を高め、高い強度性能のみならず加工適性の向上を図ることができる。
【0015】
[表層及び裏層]
表層及び裏層は、針葉樹クラフトパルプからなる。針葉樹クラフトパルプは比較的大きな強度を有する。針葉樹クラフトパルプとしては、針葉樹未哂クラフトパルプ及び針葉樹晒クラフトパルプが挙げられる。針葉樹クラフトパルプとしては、針葉樹未晒クラフトパルプが好ましい。
【0016】
(針葉樹未晒クラフトパルプ)
針葉樹クラフトパルプは、上述のように比較的大きな強度を有するが、特にリグニン及びステロールのエステル化合物があまり除去されていない針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)は、パルプ中に残存するリグニンの作用によって強度がより大きく、かつパルプ中に残存するステロールのエステル化合物によりパルプ繊維が良好な滑性を示すとともに適度な剛直性や耐折れ性を有する。このため、原料パルプとして針葉樹未晒クラフトパルプを用いることで、当該片艶クラフト紙に大きな強度と好適な作業性とを付与することができる。また、針葉樹未晒クラフトパルプは、紙層中で他のパルプ繊維との共存と絡み合い、和紙調の風合いを得る観点から、叩解初期の濃度は5~15質量%が好ましく、叩解中期から末期の濃度は2~8質量%が好ましい。針葉樹クラフトパルプは、高濃度で叩解されるとき、刃物による切断よりも、繊維同士の摩擦により微細化する。このため、短繊維化よりもフィブリル化が優位に叩解され、平均繊維幅を広く保ったまま短繊維化ができる。原料濃度が低濃度だと、短繊維化が優位に働くためフィブリルが発生し難く、発生したフィブリルも刃物による切断力が加わり脱落してしまう。
【0017】
針葉樹未晒クラフトパルプの上記フリーネスの下限としては、400mlが好ましく、440mlがより好ましい。離解パルプのフリーネスが400ml以上であることで、針葉樹未晒クラフトパルプの存在を表現し易く、和紙調の風合いを醸し出し易い。
【0018】
針葉樹未晒クラフトパルプの白色度としては、見た目の楮(こうぞ)、みつまた、雁皮(がんぴ)の靭皮繊維の含有を醸しだす観点から、23%以上32%以下が好ましい。
【0019】
「カッパー価」とは、JIS-P-8211(2011)に準拠して測定される値であり、未晒パルプのリグニン量の指標となる。針葉樹未晒クラフトパルプのカッパー価としては、14以上18以下が好ましい。針葉樹未晒クラフトパルプのカッパー価が上記下限に満たない場合、見た目の未晒パルプの存在が薄れ和紙調の風合いが損なわれるおそれがある。また、上記カッパー価が上記上限を超える場合、楮(こうぞ)、みつまた、雁皮(がんぴ)の靭皮繊維の含有を強調できるものの、紙層中で他のパルプとの共存が得られ難くなり、未晒パルプの脱落や表出が生じ易くなり、見た目が損なわれ、包装紙や手提げ袋用途には不向きになるおそれがある。
【0020】
(針葉樹晒クラフトパルプ)
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)は、強くてしなやかである。
【0021】
針葉樹晒クラフトパルプの上記フリーネスの下限としては400mlが好ましく、440mlがより好ましい。上記フリーネスが400ml以上であることで、当該板紙の主用途である包装紙や手提げ袋における地合いや引張り強度、引裂き強度を担保でき、針葉樹未晒クラフトパルプの共存と相俟って、和紙調に風合いを醸しだすことができる。
【0022】
針葉樹晒クラフトパルプの白色度の下限としては、漂白パルプ繊維中に未漂白パルプ繊維の混在が外観上明瞭となる観点から、66%以上70%以下が好ましい。
【0023】
[中層]
中層は、古紙パルプの中でも強度が高い段ボール古紙パルプを含む。また、全層における中層の質量が36質量%であり、かつ、全層における段ボール古紙パルプの含有量が20質量%以上であることで、古紙パルプの再利用を図りつつ、破裂強度及びクッション性を向上できる。
【0024】
良好な破裂強度を備えつつ、クッション性を向上させる観点から、全層における中層の質量が36質量%以上、かつ、全パルプに対する段ボール古紙パルプの含有量が20質量%以上であり、好ましくは、全層における中層の質量が40質量%以上、かつ、全パルプに対する段ボール古紙パルプの含有量が36質量%以上である。全層における段ボール古紙パルプの含有量が20質量%以上であることで、当該板紙の紙腰が向上するとともに、クッション性が向上する。
【0025】
中層は、単層であってもよく、複数の層を備えていてもよい。
【0026】
(段ボール古紙パルプ)
段ボール古紙パルプは、公益社団法人古紙再生促進センターで定義する「段ボール古紙」事業所、家庭、市中等より発生する段ボール、新段ボール古紙「製函工場から発生する段ボールの裁落及び損紙」も含むものから得られる古紙パルプである。
【0027】
(その他の古紙パルプ)
中層は、段ボール古紙パルプ以外に、公益社団法人古紙再生促進センターで定義する「雑誌古紙」、「上白・カード」、「特白・中白・白マニラ」、「模造・色上(アート古紙を含む)」、「茶模造紙古紙(洋段を含む)」、「切付(中色)・中更反古」、「新聞」、「台紙・地券・ボール古紙・込新」を含むことができる。
【0028】
(全層における針葉樹クラフトパルプの含有量)
当該板紙の全層における針葉樹クラフトパルプの含有量の下限としては、45質量%であり、50質量%が好ましく、55質量%がより好ましい。当該板紙の全層における針葉樹クラフトパルプの含有量の上限としては、80質量%が好ましく、75質量%がより好ましく、70質量%がさらに好ましい。当該板紙の全層における針葉樹クラフトパルプの含有量が上記範囲であることで、古紙パルプの再利用を図りつつ、板紙の重要な紙質である破裂強度を担保できる。
【0029】
(添加剤)
本発明においては、表層、中層、裏層等の各層からなる板紙に、本発明の目的とする効果を損ねない範囲で各種製紙用添加剤を含有させてもよい。例えば、サイズ剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、顔料分散剤、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、蛍光消去剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤、硫酸バンド等の薬品定着剤、ポリアミド、ポリアミン、エピクロルヒドリン等の耐水化剤、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の填料、塩基性染料、酸性染料、アニオン性直接染料、カチオン性直接染料などの公知の添加剤を単独又は2種以上を併用して添加することができる。
【0030】
当該板紙は、各層にサイズ剤を含有することが好ましい。当該板紙の各層がサイズ剤を含有することで、耐久性を高めることができ、当該板紙品質維持を図ることができる。上記サイズ剤としては、スチレン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、中性ロジンサイズ剤、ロジンサイズ剤などが挙げられる。これらの中でも中性ロジンサイズ剤が好ましい。
【0031】
各層のサイズ剤の添加量の下限としては、固形分換算で0.3kg/パルプtが好ましく、0.5kg/パルプtがより好ましい。また、各層のサイズ剤の含有量の上限としては、固形分換算で4.0kg/パルプtが好ましく、3.0kg/パルプtがより好ましい。サイズ剤の添加量を上記範囲とすることで、当該板紙に十分な耐水性を付与し、耐久性を高めることができる。なお、「kg/パルプt」とは、パルプ1トンに対する添加量(kg)を表す。
【0032】
当該板紙は、各層に紙力増強剤を添加することで、古紙の再生処理により疲弊し、比較的扁平なパルプ繊維からなる段ボール古紙パルプ及び雑誌古紙パルプの繊維間の結合が強められるので、破裂強度をより向上できる。紙力増強剤としては、澱粉系紙力増強剤、アクリルアミド系紙力増強剤、ビニルアルコール系紙力増強剤、アミドエポキシ系紙力増強剤などが挙げられ、これらの中でもアクリルアミド系紙力増強剤が好ましい。より好ましくは両性のポリアクリルアミド樹脂系の紙力増強剤が好ましい。両性のポリアクリルアミドはカチオンモノマー、アニオンモノマーをアクリルアミドと重合したものであり、自らのカチオン基を介して、パルプ繊維に直接定着する。また、両性のポリアクリルアミド樹脂系の紙力増強剤の特徴として分子構造、分子量をコントロールできる点がある。また、両性澱粉をさらに加えることにより、各層の紙質強度が増強され、高い衝撃耐久性の板紙を得ることができる。
【0033】
表層の紙力増強剤の添加量の下限としては、固形分で0.3kg/パルプtが好ましく、0.6kg/パルプtがより好ましい。また、表層の紙力増強剤の添加量の上限としては、固形分で2.0kg/パルプtが好ましく、1.0kg/パルプtがより好ましい。表層の紙力増強剤の添加割合を上記上限とすることで、紙力増強剤による柔軟性低下を抑制しつつ、罫線割れなどの破断を抑制できる。
【0034】
裏層の紙力増強剤の添加量の下限としては、固形分で0.3kg/パルプtが好ましく、0.6kg/パルプtがより好ましい。また、裏層の紙力増強剤の添加量の上限としては、固形分で8.0kg/パルプtが好ましく、4.0kg/パルプtがより好ましい。裏層の紙力増強剤の添加割合が上記上限を超えると、濾水性が悪化し、抄紙機のプレスパートの圧搾及び脱水工程でパルプ原料が排出されやすい。また、上記プレスパートにおいて、ロールに貼り付いた湿紙を剥がすときに用いられるドクターブレードにパルプ原料の粕が付着し、品質が低下するおそれがある。
【0035】
一方、中層の紙力増強剤の添加量の下限としては、固形分で0.5kg/パルプtが好ましく、1.0kg/パルプtがより好ましい。また、中層の紙力増強剤の添加量の上限としては、固形分で12.0kg/パルプtが好ましく、10.0kg/パルプtがより好ましい。各層の紙力増強剤の添加量を上記範囲とすることで、当該板紙の柔軟性を担保しつつ破裂強度を向上できる。
【0036】
板紙全体の紙力増強剤の添加量の下限としては、固形分換算で0.45kg/パルプtが好ましく、16.0kg/パルプtがより好ましい。また、板紙全体の紙力増強剤の添加量の上限としては、固形分換算で21.0kg/パルプtが好ましく、18.5kg/パルプtがより好ましい。板紙全体の紙力増強剤の添加量を上記範囲とすることで、当該板紙の柔軟性を担保しつつ破裂強度を向上できる。
【0037】
[塗工層]
当該板紙は、上記表層及び上記裏層の表面に塗工層を備えていてもよい。当該板紙は、上記表層及び上記裏層の表面に塗工層が形成されることで、塗工層と接する表層のパルプ繊維間の目止めをすることができるため、表面の平滑化を確保でき、印刷適性を高めることができる。
【0038】
裏層の塗工層における上記アニオン性サイズ剤及び上記澱粉の合計含有量に対する澱粉の含有割合が、固形分換算で91.0質量%以上97.0質量%以下が好ましく、93.0質量%以上96.0質量%以下がより好ましい。上記裏層の塗工層における上記アニオン性サイズ剤及び上記澱粉の含有割合が上記範囲となるように上記アニオン性サイズ剤を含有させることで、塗工層の剛性を向上できるので、当該板紙の破裂強度を向上できる。また、表層の塗工層における上記アニオン性サイズ剤及び上記澱粉の合計含有量に対する澱粉の含有割合が、固形分換算で91.0質量%以上100.0質量%以下が好ましく、93.0質量%以上100.0質量%以下がより好ましい。表層の塗工層における上記アニオン性サイズ剤及び上記澱粉の合計含有量に対する澱粉の含有割合が上記範囲であることで、当該板紙の表層側の印刷適性を向上させ、印刷面の平滑化を確保できる。上記表層の塗工層が澱粉のみを含有する場合、高粘度インキの浸透性を防ぎ、印刷適性を向上させることができる。さらに、上記表層の塗工層が澱粉のみを含有することで、段ボールケースの上フラップを閉じる際のホットメルト糊の接着性が向上する。
【0039】
澱粉としては、例えば、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉や、これらを原料とした酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉の各種変性澱粉などが挙げられるが、これに限定されるものではない。またこれらの澱粉は単独でも、又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0040】
アニオン性サイズ剤としては、例えばロジンソープサイズ剤、ロジンエマルションサイズ剤、特殊変性ロジンサイズ剤、アルケニルコハク酸、アルケニル無水コハク酸、アニオン性アルキルケテンダイマー、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン-アクリル系樹脂、スチレン-マレイン酸-アクリル系樹脂、ワックス系サイズ剤等が挙げられる。
【0041】
塗工層は、上記澱粉及びアニオン性サイズ剤に、防滑剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、流動変性剤、染料、耐水化剤、保水剤等の各種助剤を含有してもよい。
【0042】
塗工層の塗工量の下限としては、固形分換算で、1.00g/m2が好ましく、1.70g/m2がより好ましい。一方、上記塗工量の上限としては、2.25g/m2が好ましく、2.17g/m2がより好ましい。塗工層の塗工量が上記範囲であることで、当該板紙の表層側の塗工層と接する表層のパルプ繊維間の目止めをすることができるので、印刷適性を向上させることができる。上記塗工量は、表層及び裏層の合計量をさす。
【0043】
[板紙の特性]
(全体の坪量)
坪量は、JIS-P8124(2011)に準拠して測定される。当該板紙の全体の坪量は、100g/m2以上300g/m2以下であることが好ましく、120g/m2以上160g/m2以下であることがより好ましい。当該板紙においては、全体の坪量を上記範囲内とすることにより、紙厚を抑制しつつ強度性能を良好にすることができる。
【0044】
(各層の坪量)
当該板紙を構成する表層の坪量は、25.0g/m2以上50.0g/m2以下であることが好ましく、30.0g/m2以上40.0g/m2以下であることがより好ましい。中層の坪量は、36.0g/m2以上180.0g/m2以下であることが好ましく、40.0g/m2以上100.0g/m2以下であることがより好ましく、45.0g/m2以上70.0g/m2以下であることがさらに好ましい。裏層の坪量は、30.0g/m2以上65.0g/m2以下であることが好ましく、40.0g/m2以上60.0g/m2以下であることがより好ましい。当該板紙においては、各層坪量を上記範囲内とすることにより、当該板紙の強度性能及びベック平滑度を向上できる。さらに、中層の坪量を最適化することで、板紙の夾雑物を低減させることもできる。
【0045】
(紙厚)
紙厚は、JIS-P8118(2014)に記載の「紙及び板紙-厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定される。当該板紙の全体の紙厚は、130μm以上200μm以下であることが好ましい。板紙の全体の紙厚と、各層の紙厚を上記範囲内とすることにより、加工適性を高めることができる。
【0046】
(密度)
当該板紙の密度の下限としては、0.78g/cm3が好ましく、0.80g/cm3がより好ましい。上記密度の上限としては、0.92g/cm3が好ましく、0.90g/cm3がより好ましい。当該板紙の密度が上記範囲であることで、クッション性を付与し、紙力増強剤を必要以上に添加せずに、高い衝撃耐久性を発揮得ることができる。
【0047】
(灰分)
灰分は、JIS-P8251(2003)に準拠して測定される値である。当該板紙の灰分の下限としては、3.0質量%が好ましく、4.0質量%がより好ましい。一方、上記灰分の上限としては、7.0質量%が好ましい。板紙が、段ボール古紙パルプを多量に含む場合、夾雑物が増加するが、表層及び裏層のパルプを針葉樹クラフトパルプとすることで表面および裏面の夾雑物を低減することができ、かつ破裂強度の表裏差を低減することができる。
【0048】
(破裂強度・破裂指数)
破裂強度は、JIS-P8131(2009)に準拠して測定されるキロパスカル(kPa)単位で表した値である。また、破裂指数は、前記破裂強度を坪量で除した値である。なお、表面の破裂指数とは、JIS-P8131(2009)に準拠し、表面からのみ10回測定した破裂強度の値を平均し、坪量で除したものをさす。裏側の破裂指数とは、裏面からのみ10回測定した破裂強度の値を平均し、坪量で除したものをさす。表面及び裏面がともに破裂指数が4.30kPa・m2/g以上であることが好ましい。当該板紙は上記破裂強度が上記範囲であることで、高い衝撃耐久性を有する。
【0049】
(板紙の幅方向の引裂強度)
JIS-P8116(2000)に準拠した当該板紙の幅方向の引裂強度の下限としては、1200mNが好ましく、1250mNがより好ましい。当該板紙の繊維の流れ方向の引裂強度の上限としては、1600mNが好ましく、1550mNがより好ましい。当該板紙の繊維の流れ方向の引裂強度が上記範囲であることにより、高い破れ耐久性及び加工適性を向上させることができる。ここで、上記幅方向は当該板紙の繊維の流れ方向(抄紙方向)と直角の方向を指す。
なお、上記範囲は135g/m2での強度を基準としており、米坪によって上記範囲から比例計算した強度がそれぞれの引裂強度の範囲とする。
【0050】
(表面および裏面の夾雑物の総個数・面積率)
当該板紙における表面および裏面の夾雑物の総個数は、50個/m2以上600個/m2以下が好ましく、10/m2以上450個/m2以下がより好ましい。また、当該板紙における表面および裏面の夾雑物の面積率は、10mm2/m2以上500mm2/m2以下が好ましく、15mm2/m2以上150mm2/m2以下がより好ましい。上記夾雑物の総個数及び面積率が上記範囲であることで、印刷面の微小異物が少なく、外観が優れた板紙を提供することができる。
【0051】
(幅方向の圧縮指数)
当該板紙の幅方向の圧縮強度は、JIS-P8126(2005)に準拠して測定される。また、圧縮指数は、圧縮強度を坪量で除した値である。当該板紙の幅方向の圧縮指数としては、180N・m2/g以上であることで、板紙として好適に用いられる強度を維持できる。一方、上記圧縮指数が320N・m2/g以下であることで、当該板紙の加工適性が優れる。上記幅方向は上記繊維の流れ方向(抄紙方向)と直角の方向を指す。
【0052】
(裏面のベック平滑度)
当該板紙の裏面のベック平滑度としては、8秒以上が好ましく、10秒以上がより好ましい。当該板紙は裏面のベック平滑度が上記範囲であることで貼合糊吸液性による貼合適性の向上や単紙で使用される際の印刷適性を有する。ベック平滑度は、空気の流通量(エアーリーク)から平滑性を評価するものである。JIS-P8119(1998)に規定されるベック平滑度は、被測定物であるシートを光学的平面仕上げのガラス製試料台とゴム製押え板間に100kPaの圧力で挟み、10mlの空気が比較的広い10cm2のガラス製標準面との間を通り、水銀柱約370mmlに減圧保持された器内に流入するのに要する時間で表され、いわゆる被測定物の面における平滑性を示す。ベック平滑度は、比較的広い面におけるマクロ的な平滑性を評価する。
【0053】
(表面のベック平滑度)
当該板紙の表面のベック平滑度としては、14秒以上が好ましく、16秒以上がより好ましい。当該板紙は表面のベック平滑度が上記範囲であることで、段ボールとした際や単紙で使用する際の印刷適性を有する。
【0054】
[板紙の製造方法]
当該板紙の製造方法は、特に限定されないが、例えば叩解工程と、抄紙工程と、塗工工程と、乾燥工程とを備える。
【0055】
(叩解工程)
叩解工程では、各層を構成する原料パルプを所望のフリーネスとなるように叩解する。上記原料パルプは、針葉樹クラフトパルプ、段ボール古紙パルプ、クラフト系古紙パルプ又はこれらの組み合わせを含有する。始めに、パルプ繊維を水に分散させて得たスラリーに、各紙層に対応した添加剤を必要に応じ添加して混合し、各紙層の紙料を調製する。
【0056】
(抄紙工程)
次に、これらの原料スラリーを用いて、板紙のpHが6以上8以下になるように中性域で抄紙機にて抄紙する。上記抄紙工程では、走行するワイヤー上に噴出させたパルプ原料を抄紙する抄紙機を用いて原料パルプを抄紙する。抄紙機は特に限定されるものではなく、公知の抄紙機、例えば長網抄紙機、円網抄紙機、ハイブリッドフォーマー、ギャップフォーマー等の抄紙機を使用することができ、3層以上の多層で抄紙される。
【0057】
(塗工工程)
上記表層及び裏層においては、印刷適性を高めるために、表面に塗工液を塗工する工程を備えていてもよい。
塗工工程では、公知の塗工機を用いることができる。
【0058】
(乾燥工程)
次に、ドライヤーシリンダーにて紙を乾燥する。
【0059】
最後にリールに巻き取り、板紙を得る。
【0060】
<その他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【実施例0061】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
[実施例1~実施例13]
(パルプスラリー)
各層のパルプスラリー中に、表に記載の含有量の原料パルプ及び下記の添加剤を添加した。次に、抄紙機を用いてこのパルプスラリーを抄紙し、全層平均でロジン系サイズ剤を1.1kg/パルプt及びアクリルアミド紙力増強剤6.0kg/パルプtを添加し、3層の板紙を得た。
【0063】
(添加剤)
(1)ロジン系サイズ剤
ハリマ化成社の「NS-77P」 特殊ロジンサイズ剤(固形分50%)
(2)アクリルアミド系紙力増強剤
ハリマ化成社の「ハーマイドHB-740」:両イオン性ポリアクリルアミド(固形分20%)
星光PMC社の「DS5870」:両イオン性ポリアクリルアミド(固形分20%)
【0064】
[比較例1~比較例7]
原料の種類、添加量及び物性値を表1~表2に示すとおりとしたこと以外は、実施例1~実施例13と同様にして、比較例1~比較例7の3層の板紙を得た。
【0065】
[参考例1及び参考例2]
原料の種類、添加量及び物性値を表1~表2に示すとおりとしたこと以外は、実施例1~実施例13と同様にして、参考例1及び参考例2の1層の板紙を得た。
【0066】
【0067】
[評価]
得られた各板紙に対して、下記方法にて評価した。評価結果を表2に示す。
(1)坪量(g/m2)
JIS-P8142(1998)に記載の「紙及び板紙-坪量測定方法」に準拠して測定した。
(2)紙厚(μm)
JIS-P8118(2014)に記載の「紙及び板紙-厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
(3)密度(g/cm3)
JIS-P8118(2014)に記載の「紙及び板紙-厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
(4)灰分
灰分率は、JIS-P8251(2003)に準拠して測定した。
(5)破裂強度及び破裂指数
破裂強度及び破裂指数は、JIS-P8131(2009)紙及び板紙のミューレン高圧形試験機による破裂強さ試験方法に準拠して測定した。
(6)繊維の幅方向の引裂強度
繊維の幅方向の引裂強度は、JIS-P8116(2000)に準拠して測定した。
(7)幅方向の圧縮強度及び圧縮指数
幅方向の圧縮強度は、JIS-P8126(2005)に準拠して測定した。
(8)ベック平滑度
ベック平滑度は、JIS-P8119(1998)に準拠して測定した。
(9)夾雑物の面積率
夾雑物の面積率は、画像処理装置を用い、下記の条件で実施例1~実施例13、比較例1~比較例7及び参考例1~参考例2の板紙における5色の夾雑物の個数及び面積を測定し、夾雑物の合計個数及び総面積が占める割合を算出した。
画像処理装置:セイコーエプソン社製「GT-X830」
編集ソフト:ワイイーエス社製「夾雑物測定装置」
サンプルの領域のサイズ:200mm×230mm
測定回数:2回の平均値
解像度:400dpi
集計した夾雑物のサイズの範囲:15ピクセル~999ピクセル
5色の夾雑物は、各画素における下記の明度値V(Valu)、色相値H(Hue)及び彩度値S(Saturation)から判断した。
色相 彩度 明度
1.赤:160.0~ 10.6 31.7~248.3 130.0~255.0
2.黄: 22.4~ 35.3 190.0~255.0 21.7~191.7
3.青: 82.4~138.8 25.0~255.0 121.6~255.0
4.白: 0.0~180.0 0.0~ 45.0 103.3~255.0
5.黒: 0.0~180.0 0.0~255.0 0.0~110.0
(10)外観評価
実施例及び比較例で得た板紙を用いて両面に印刷を行いする試験を行い、板紙の表面及び裏面の外観を目視にて判断し、以下の基準で5段階評価した。A及びBの場合、合格である。
A:微小異物が少なく、実用上全く問題ない。
B:微小異物が見られるが、実用上問題ない。
C:微小異物が相当数見られ、実用上問題である。
D:微小異物が多く見られ、実用上問題である。
E:微小異物が非常に多く見られ、実用上問題である。
(11)衝撃耐久性
実施例及び比較例で得た板紙を用いて段ボールケースを製造し、内容物を入れて搬送試験を行い、段ボールケースの状態を目視にて判断し、以下の基準で3段階評価した。Aの場合、合格である。
A:段ボールケースに歪や穴あきがなく、実用上全く問題ない。
B:段ボールケースに歪や穴あきがないが多少の凹みや傷が見られ、実用上問題がある可能性がある。
C:段ボールケースに歪や穴あきがないが多くの凹みや傷が見られ、内容物を破損する可能性があり、実用上問題がある。
(12)クッション性
実施例及び比較例で得た板紙を用いて単紙で製袋化して包装袋を作成、内容物を入れて輸送、陳列したものを以下の基準で4段階評価した。A及びBの場合、合格である。
A:紙腰が強いため、製袋機での加工適性に優れ、陳列時の紙折れ等もなく実用上全く問題がない。
B:製袋機での加工適性があり、陳列時に多少紙折れがみられるが実用上問題ない。
C:製袋機での加工適性に問題があるとともに、陳列時に紙折れがみられ、実用上問題になる可能性がある。
D:紙腰が弱いため、製袋機での加工適性や内容物充填時の作業適性が悪く、陳列時に紙折れが多くみられるため、商品価値を下げる可能性があり、実用上問題である。
【0068】
【0069】
上記表2に示されるように、3層以上の紙層を有し、表層及び裏層のパルプが針葉樹クラフトパルプからなり、中層が段ボール古紙パルプを含み、全層における全パルプに対する針葉樹クラフトパルプの含有量が45質量%以上80質量%以下であり、全層における中層の質量が36質量%以上であり、かつ、全パルプに対する段ボール古紙パルプの含有量が20質量%以上であり、表面及び裏面の破裂指数が4.30kPa・m2/g以上である実施例1~実施例13は、外観評価、衝撃耐久性及びクッション性がいずれも良好であった。さらに、実施例8と実施例9との比較、並びに実施例10と実施例12との比較から、表層の坪量が25.0g/cm2以上であることで表面の破裂指数がより向上し、裏層の坪量が30.0g/cm2以上であることで、裏面の破裂指数がより向上することがわかる。また、実施例1~実施例13は、針葉樹未晒クラフトパルプ及び段ボール古紙パルプを含有する単層の参考例1、並びに針葉樹未晒クラフトパルプからなる単層の参考例2と比較すると、良好なクッション性が得られた。
【0070】
一方、裏層における全パルプに対する段ボール古紙パルプの含有量が27質量%であり、全層における中層の質量割合が36質量%未満である比較例1、並びに裏層における全パルプに対する段ボール古紙パルプの含有量が92質量%であり、全層における全パルプに対する針葉樹クラフトパルプの含有量が45質量%未満であり、全層における中層の質量割合が36質量%未満である比較例2は、裏面の夾雑物が多く、外観が劣るとともに、衝撃耐久性が劣っていた。
表層及び裏層が段ボール古紙パルプからなる比較例3は、表面及び裏面の夾雑物が多く、外観が非常に劣るとともに、破裂指数が低く、衝撃耐久性も非常に劣っていた。
裏層における全パルプに対する段ボール古紙パルプの含有量が5質量%である比較例4、並びに表層及び裏層における全パルプに対する段ボール古紙パルプの含有量が5質量%である比較例5は、裏面の夾雑物が多く、外観が劣るとともに、衝撃耐久性が劣っていた。
全層における全パルプに対する針葉樹クラフトパルプの含有量が45質量%未満の比較例6は、衝撃耐久性が劣っていた。
全層における全パルプに対する針葉樹クラフトパルプの含有量が80質量%を超える比較例7は、クッション性が劣っていた。
【0071】
当該板紙は、古紙パルプの再利用を図りつつ、高い強度性能及び優れた外観を有し、板紙を提供する梱包用包装容器に用いられる段ボールシートや包装袋、固体保存用の容器用のライナとして好適に用いることができる。