(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149439
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】3Dプリンタ用樹脂組成物及びその造形品
(51)【国際特許分類】
B29C 64/314 20170101AFI20241010BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20241010BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20241010BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20241010BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20241010BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20241010BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B29C64/314
B33Y70/00
B33Y10/00
B29C64/118
B33Y80/00
C08L23/08
C08L101/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060917
(22)【出願日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2023061387
(32)【優先日】2023-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303060664
【氏名又は名称】日本ポリエチレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】黒川 菜摘
【テーマコード(参考)】
4F213
4J002
【Fターム(参考)】
4F213AA07
4F213AA08
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL23
4F213WL92
4J002AA01X
4J002BB00X
4J002BB04X
4J002BB05W
4J002BC02X
4J002BD03X
4J002CB00X
4J002CF00X
4J002CK02X
4J002CL00X
4J002CM04X
4J002FD010
4J002FD050
4J002FD070
4J002FD090
4J002FD100
4J002FD110
4J002FD140
4J002FD200
4J002FD320
4J002GM00
4J002GT00
(57)【要約】
【課題】 低融点領域で柔軟性を有する、3Dプリンタ用の樹脂を提供する。
【解決手段】 エチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体(P)と、任意選択的に前記共重合体(P)に該当しない熱可塑性樹脂を含み、前記共重合体(P)の量が樹脂組成物全体に対して50質量%以上である、3Dプリンタ用樹脂組成物であって、共重合体(P)が、(A-i)メルトフローレート(190℃、21.18N荷重)が0.1~200g/10分であること、及び(A-ii)密度が0.865~0.930g/cm3であることを満足する樹脂である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体(P)と、任意選択的に前記共重合体(P)に該当しない熱可塑性樹脂を含み、前記共重合体(P)の量が樹脂組成物全体に対して50質量%以上である、3Dプリンタ用樹脂組成物であって、前記共重合体(P)が下記(A-i)~(A-ii)の特性を有する、3Dプリンタ用樹脂組成物。
(A-i)メルトフローレート(190℃、21.18N荷重)が0.1~300g/10分である
(A-ii)密度が0.865~0.950g/cm3である
【請求項2】
前記共重合体(P)の融点が130℃以下であることを特徴とする、請求項1に記載の3Dプリンタ用樹脂組成物。
【請求項3】
前記共重合体(P)の融点が30℃以上であることを特徴とする、請求項1に記載の3Dプリンタ用樹脂組成物。
【請求項4】
前記共重合体(P)の曲げ弾性率が1800MPa以下であることを特徴とする、請求項1に記載の3Dプリンタ用樹脂組成物。
【請求項5】
前期共重合体(P)の結晶化度が50%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の3Dプリンタ用樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の3Dプリンタ用樹脂組成物が、融着フィラメント堆積による1つ以上の線の堆積によって造形されている、3Dプリンティング造形品。
【請求項7】
3Dプリンタを用いて請求項1~5のいずれか一項に記載の3Dプリンタ用樹脂組成物を複数の層に堆積して、造形品を形成する工程を含む、3Dプリンティング造形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリンタ用樹脂組成物及びその造形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3Dプリンティングは、コンピュータで作成された3次元モデルデータを元に立体物を製造する技術である。金型での成型や切削での造形と異なり、鋳型や切削道具を必要としない点、頻繁な設計変更にも即座に対応できる点、中空の形状や複雑な内部形状の造形が可能である点等から、3Dプリンティング技術は幅広い分野で急速に普及している技術である。
【0003】
3Dプリンティングの技法は、3次元モデルデータの断面形状を積層させることによって造形が行われることが一般的であり、多様な積層方法を包括してAdditive manufacturingと呼ばれている。造形には流動性のある樹脂を硬化させることが基本となる。特に、材料押出法と呼ばれる手法が付帯設備を必要としないため利用しやすい。材料押出法は、ペレット状又はフィラメントに加工された状態の熱可塑性樹脂を溶融させ、それを押し出しながら積層させることで立体形状を作製する方法である。ABS樹脂やポリカーボネートなどのエンジニアリングプラスチックも利用可能であり、各エンジニアリングプラスチックの特性に沿った造形品を製造可能である。3Dプリンタでの造形は、樹脂の物性によって操作性が変わってくるため、3Dプリンタ用の樹脂として種々の樹脂を配合することが試みられている(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2020-503186号公報
【特許文献2】特表2020-500112号公報
【特許文献3】特表2021-532005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
材料押出法による3Dプリンティング技術は多くの利点があるものの、樹脂の物性によっては利用が難しくなることがある。例えば、決まった寸法に切削する造形とは異なり、材料押出法による3Dプリンティングには溶融状態の樹脂を押し出したあとで冷却する工程があるため、冷却時に収縮が発生するなどして寸法の変化があると、目的の形状に造形できないことがある。このため溶融樹脂押出方式では非晶質の熱可塑性樹脂が主に使われており、樹脂の選択肢が狭められている。特にポリオレフィンは、安価かつ機械的特性に優れるという長所があるものの、結晶性樹脂であるがゆえに収縮が発生することから3Dプリンティングには不向きとされてきた。
一方、3Dプリンティング技術をより普及させるためには、工法自体の安全性を考慮する事も必要となる。3Dプリンティングは材料となる樹脂を溶融させる工程において、樹脂を溶融させるための加熱ユニットを備え、溶融樹脂を吐出する吐出口周辺も加熱する必要が有る。樹脂を溶融させるためには樹脂の融点以上の温度まで加熱する必要があり、安全性の観点を考慮するならば、可能な限り低い温度で3Dプリンティングする事が求められる。特許文献3記載のような樹脂は比較的融点が高い樹脂を多く用いるため、加熱ユニットを高温に設定する必要があり、安全性の観点では改善の必要性があった。さらには、造形品自体が柔軟性を有することにより、造形品の取り扱いの面で切傷等の危険性が低減できる。
このように、3Dプリンタに用いられる樹脂には、冷却工程での収縮が小さく、低融点かつ柔軟性を有するという需要が存在する。本願は、そのような3Dプリンタ用の樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、エチレンと炭素数3~12のα-オレフィンの均一な分子構造を持つ共重合体を利用することで、ポリオレフィンを主体とする樹脂を用いているにもかかわらず上記課題を解決することができることを見出した。
高分子の重合においては、重合方法によってポリマー鎖の構造に違いが生じることがある。本発明者らは、触媒の選択を含む重合条件を適宜設定しエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体の結晶化度をコントロールすることによって、ポリオレフィンという結晶性樹脂を主体とするにもかかわらず、3Dプリンティングにおける溶融状態の樹脂を押し出したあとの冷却する工程で収縮が発生しないことを見出した。また、これまでの3Dプリンティングに用いられている熱可塑性樹脂と比較して低温での造形が可能で、なおかつ柔軟性を持ち合わせていることから安全性の観点からも優位点があることを発見し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の各項目に関する。
[1]エチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体(P)と、任意選択的に前記共重合体(P)に該当しない熱可塑性樹脂を含み、前記共重合体(P)の量が樹脂組成物全体に対して50質量%以上である、3Dプリンタ用樹脂組成物であって、共重合体(P)が下記(A-i)~(A-ii)の特性を有する、3Dプリンタ用樹脂組成物。
(A-i)メルトフローレート(190℃、21.18N荷重)が0.1~300g/10分である
(A-ii)密度が0.865~0.950g/cm3である
[2]前記共重合体(P)の融点が130℃以下であることを特徴とする、前記[1]の3Dプリンタ用樹脂組成物。
[3]前記共重合体(P)の融点が30℃以上であることを特徴とする、前記[1]又は[2]の3Dプリンタ用樹脂組成物。
[4]前記共重合体(P)の曲げ弾性率が1800MPa以下であることを特徴とする、前記[1]~[3]のいずれかの3Dプリンタ用樹脂組成物。
[5]前期共重合体(P)の結晶化度が50%以下であることを特徴とする、前記[1]~[4]のいずれかの3Dプリンタ用樹脂組成物。
[6]前記[1]~[5]のいずれかの3Dプリンタ用樹脂組成物が、融着フィラメント堆積による1つ以上の線の堆積によって造形されている、3Dプリンティング造形品。
[7]3Dプリンタを用いて前記[1]~[5]のいずれかの3Dプリンタ用樹脂組成物を複数の層に堆積して、造形品を形成する工程を含む、3Dプリンティング造形品の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特定のエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体を主成分として用いることで、低融点での造形が可能で、なおかつ柔軟な、3Dプリンタ用の樹脂組成物及びそれを用いた造形品が提供される。本発明の樹脂組成物は、通常のポリエチレンと比較して、柔軟性の高いポリエチレン系軟質ポリマーであり、低い結晶化度が特徴である。これまでの3Dプリンティングに用いられている熱可塑性樹脂組成物と比較して低温での造形が可能で、なおかつ柔軟性を持ち合わせていることから安全性の観点からも優位点があるため、幅広い用途で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】高圧ラジカル法重合プロセスにより重合された多分岐状オレフィン共重合体の分子構造のイメージ図である。
【
図2】気相法重合プロセスによって重合された短い側鎖を多数含む直鎖状オレフィン共重合体の分子構造のイメージ図である。
【
図3】金属触媒を用いて重合された直鎖状オレフィン共重合体の分子構造のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、エチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体と、任意選択的に該共重合体に該当しない熱可塑性樹脂を含み、前記共重合体の量が樹脂組成物全体に対して50質量%以上である3Dプリンタ用樹脂組成物及び当樹脂を用いた造形品である。本発明に用いられる樹脂組成物は、造形品に良好な透明性、柔軟性、強度を付与する機能を有する。
【0011】
以下、本発明を構成する樹脂について、項目毎に詳細に説明する。また、本明細書において数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、本明細書において、共重合体とは、少なくとも一種の単位(A)と、少なくとも一種の単位(B)とを含む、二元系以上の共重合体を意味する。
【0012】
(1)エチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体(P)
本発明に用いられる共重合体(P)は、エチレンから誘導される構成単位を主成分としたエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとのランダム共重合体である。エチレンとしては、石油原料由来の他、植物原料由来等の非石油原料由来のエチレンを用いることができる。植物由来のエチレン及びポリエチレンとしては、例えば、特表2010-511634号公報に記載のエチレンやそのポリマーが挙げられる。植物由来のエチレンやそのポリマーは、カーボンニュートラル(化石原料を使わず大気中の二酸化炭素の増加につながらない)の性質を持ち、環境に配慮した製品の提供が可能である。
コモノマーとして用いられるα-オレフィンの具体例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ヘプテン、4-メチル-ペンテン-1、4-メチル-ヘキセン-1、4,4-ジメチルペンテン-1等が挙げられる。
樹脂の具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-オクテン共重合体、エチレン・4-メチル-ペンテン-1共重合体等が挙げられる。また、α-オレフィンは1種又は2種以上の組み合わせでもよい。
2種のα-オレフィンを組み合わせてターポリマーとする場合は、エチレン・プロピレン・ヘキセンターポリマー、エチレン・ブテン・ヘキセンターポリマー、エチレン・プロピレン・オクテンターポリマー、エチレン・ブテン・オクテンターポリマー等が挙げられる。
【0013】
共重合体(P)中のα-オレフィンの含有量は、共重合体(P)の結晶化度を適度に低下させる観点から、5~40質量%であることが好ましく、7~35質量%であることがより好ましく、8~30質量%であることが特に好ましい。α-オレフィンの含有量は、下記の条件の13C-NMR法によって計測される値である。
装置:日本電子製 JEOL-GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
【0014】
本発明に用いられる共重合体(P)の重合方法としては、触媒の存在下でのスラリー法、気層流動床法(例えば、特開昭59-23011号公報に記載の方法)、溶液法、又は圧力が200kg/cm2以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法若しくは高圧イオン重合法等、樹脂の有する下記特性、特に密度を規定の範囲内として共重合体を得ることができる方法として当業者に公知の手段、条件を採ることができる。共重合体(P)の重合反応に用いる触媒としては、特開2014-180326号に記載された触媒及び同公報にて引用された文献記載の触媒を用いることができる。
【0015】
(2)樹脂の各特性
(A-i)メルトフローレート(MFR)
本発明に用いられる共重合体(P)のMFR(190℃、21.18N荷重)は、0.1~300g/10分であり、好ましくは0.3~200g/10分であり、より好ましくは0.5~110g/10分であり、より好ましくは1.0~80g/10分であり、さらに好ましくは1.5~50g/10分である。MFRが0.1g/10分未満では樹脂の流動性が悪いためノズルから樹脂が出にくくなり、造形性が不良となる。一方、300g/10分を超えると3Dプリンティング時に流動性が高すぎるため形を保持できず造形性が不良になる。
なお、MFRは、JIS-K6922-2:2018附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定した値である。
【0016】
(A-ii)密度
本発明に用いられる共重合体(P)の密度は、0.865~0.950g/cm3、好ましくは0.870~0.940g/cm3、さらに好ましくは0.880~0.933g/cm3であり、さらに好ましくは0.890~0.930g/cm3である。密度が0.865g/cm3未満では、剛性が不十分であり一方、0.950g/cm3を超えると、柔軟性が低下し好ましくない。
なお、密度は、JIS-K6922-2:1997附属書(低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定した値である(23℃)。
【0017】
(A-iii)Mw/Mn
本発明に関わる共重合体(P)は、上記(A-i)(A-ii)に加えて、以下の要件を満たしているものであることが好ましい。本発明に関わる共重合体(P)の分子量分布パラメーター(Mw/Mn)は、1.0~15.0であることが好ましく、1.5~9.0であることがより好ましく、2.0~7.0であることがさらに好ましく、2.3~6.5であることが特に好ましい。分子量分布が1.0を下回ると流動性が悪くなるため造形性が十分でなくなることがあり、分子量分布が15.0を超えると耐衝撃性や耐クリープ性が劣るものとなることがある。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる。また、分子量分布パラメーター(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって、更に数平均分子量(Mn)を求め、MwとMnの比、Mw/Mnを算出するものである。
【0018】
本発明に関わるGPCの測定方法の一例は以下の通りである。
(測定条件)
使用機種:ウォーターズ社製150C
検出器:FOXBORO社製MIRAN1A・IR検出器(測定波長:3.42μm)
測定温度:140℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
カラム:RESONAC社製AD806M/S(3本)
流速:1.0mL/分
注入量:0.2mL
(試料の調製)
試料はODCB(0.5mg/mLのBHT(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール)を含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
(分子量(M)の算出)
標準ポリスチレン法により行い、保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは例えば、東ソー社製の、(F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000)の銘柄、RESONAC社製単分散ポリスチレン(S-7300、S-3900、S-1950、S-1460、S-1010、S-565、S-152、S-66.0、S-28.5、S-5.05、の各0.07mg/ml溶液)などである。各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式、又は溶出時間と分子量の対数値を4次式で近似したものなどを用いる。分子量(M)への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いる。
ポリスチレン(PS):K=1.38×10-4、α=0.7
ポリエチレン(PE):K=3.92×10-4、α=0.733
ポリプロピレン(PP):K=1.03×10-4、α=0.78
【0019】
(A-iv)融点(Tm、℃):
共重合体の融点は、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク温度によって示される。最大ピーク温度とは、DSC測定において、縦軸に熱流(mW)、横軸に温度(℃)をとった際に得られる吸熱曲線に複数ピークが示された場合、そのうちベースラインからの高さが最大であるピークの温度の事を示し、ピークが1つだった場合には、そのピークの温度の事を示している。本発明において、融点は、例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製のDSC(DSC7020)を使用し、試料約5.0mgをアルミパンに詰め、10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間等温保持後、10℃/分で20℃まで降温し、20℃で5分間等温保持後、再度、10℃/分で200℃まで昇温させる際の吸収曲線より求めることができる。
共重合体(P)の融点の値が130℃以下であると、低温で成型が可能なため安全性の観点で十分であり、低温成形性により優れるため好ましい。
【0020】
・低温成形性について
本発明に関わる共重合体(P)においては、低温成形性をより良好にするため、融点が130℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、110℃以下であることが更に好ましい。また、融点は30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることが更に好ましい。融点がこの範囲より低ければ耐熱性が充分ではなく、この範囲より高い場合は成型温度が高温になり、低温での成形ができなくなるため安全性の観点で充分でない。
【0021】
(A-v)結晶化度(%):
本発明の共重合体(P)においては、示差走査熱量測定(DSC)により観測される結晶化度は、特に限定されないが、50%以下であることが好ましい。40%以下であることがより好ましく、30%以下であることが更に好ましい。結晶化度が50%より大きくなると、結晶性ゆえに成型時の寸法安定性に影響を及ぼすことがある。また、共重合体の結晶化度の下限として、0%を超えていることが好ましい。5%を超えていることがより好ましく、7%以上であることが更に好ましい。結晶化度が0%であると共重合体の剛性が充分とはならなくなる場合がある。
本発明において、結晶化度は、例えば、上記融点の測定と同じ手順でのDSC測定により得られる融解吸熱ピーク面積から融解熱(ΔH)を求め、その融解熱を高密度ポリエチレン(HDPE)の完全結晶の融解熱293J/gで除することにより求めることができる。
【0022】
・曲げ弾性率
本発明の共重合体(P)においてはJIS K6922-2:2018付属書に準拠して測定される曲げ弾性率が、1800MPa以下であることが好ましい。1500MPa以下であることがより好ましく、1300MPa以下であることが更に好ましく、1000MPa以下であることがより好ましく、800MPa以下であることがより好ましく、600MPa以下であることがさらに好ましい。曲げ弾性率の下限は特に制限されないが、1MPa以上であることが好ましい。曲げ弾性率がこの範囲であると、柔軟性を備えているため、安全性の観点から幅広い用途に用いることができるため好ましい。
【0023】
・造形性
本発明における造形性とは、材料押出法による3Dプリンティングにおいて溶融状態の樹脂を押し出したあとで冷却する工程の際、樹脂が収縮することによって反りが発生すると設計通りの造形品ができないことから、造形性は反りの原因となる樹脂の収縮の程度によって示され、収縮の程度はJIS K 7152-4:2006に準拠し測定される収縮率で表すことができる。JIS K 7152-4:2006に準拠し測定される収縮率が、2.2%以下であることが好ましい。2.0%以下であることが好ましく、1.8%以下であることがさらに好ましく、1.6%以下であることがより好ましく、0%以上1.4%以下であることがさらに好ましい。なお本発明の樹脂はエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンの共重合体を主成分として含む、3Dプリンタ用樹脂組成物であるため、収縮率が0%より小さくなることはない。収縮率がこの範囲であると、冷却時に発生する寸法の変化が小さいため設計通りの造形品を形成することができるため好ましい。
【0024】
(3)3Dプリンタ用樹脂組成物
本発明の一態様は、上記共重合体(P)を含む3Dプリンタ用の樹脂組成物である。3Dプリンタ用の樹脂としては、上記共重合体(P)を1種類単独で用いてもよく、2種類以上の共重合体(P)を混合して用いてもよい。3Dプリンタ用樹脂組成物が本発明の共重合体(P)を含むことで、収縮や変形が起きないという3Dプリンタ用途に要求される特性を備えた樹脂が提供される。さらに、柔軟性や造形性、低温成形性に優れ、3Dプリンタ用途として既存の熱可塑性樹脂では達成できなかった柔軟性や低温成形性を有する造形品を形成することができる。
【0025】
上記共重合体(P)に、任意選択的に、公知の熱可塑性樹脂で適切なものを混合して3Dプリンタ用の樹脂組成物として用いることができる。3Dプリンタ用途に適した低結晶性を確保できる限りにおいて、結晶性の樹脂を添加してもよい。上記共重合体(P)に混合可能な樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート等のテレフタル酸誘導体樹脂、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリアクリレート又はエチレン-(メタ)アクリレート共重合体、変性エチレン-(メタ)アクリレート共重合体、塩素化ポリエチレンやポリ塩化ビニルのようなハロゲン化ポリマー、アイオノマーが挙げられる。また、前記(A-i)~(A-ii)の特性のうち少なくとも1つを満足しないエチレン-α-オレフィンの共重合体を混合して用いることもできる。
【0026】
樹脂組成物における上記共重合体(P)の配合割合は、樹脂組成物全体を100質量部としたときに上記共重合体の含有量が50質量%以上であり、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、100質量%、すなわち上記共重合体(P)からなる3Dプリンタ用樹脂としてもよい。50質量%以上の上記共重合体(P)を用いることで、共重合体固有の柔軟性や造形性、低温成形性を備えた造形品の形成を行うことができる。
【0027】
・添加剤
本発明に関わる3Dプリンタ用の樹脂組成物には、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、架橋剤、発泡剤、核剤、難燃剤、導電材、及び、充填材等の3Dプリンタ用の樹脂に通常用いられる添加剤を配合してもよい。これらの添加剤の使用は、造形の用途に合わせて適宜選択される。
【0028】
本発明に関わる3Dプリンタ用の樹脂組成物は、前記共重合体(P)と必要に応じて他の樹脂又は添加剤を加えたものを、公知の手段により混練することで得ることができる。混練された樹脂は、ペレット状で用いることができるが、さらにフィラメント状に加工されていてもよい。
【0029】
・フィラメント
3Dプリンタ用の樹脂組成物のフィラメントは、当技術分野において公知の任意の方法によって形成することができる。例えば、前記共重合体(P)を含む樹脂組成物のペレットを押出機に供給し、共重合体の融解ピーク温度より高い温度で溶融した状態でダイを通して押し出し、続いて冷却することで所望の直径のフィラメントを形成することができる。フィラメントは押し出すダイの径によって任意の直径のフィラメントとして得ることができる。
【0030】
3Dプリンティングで造形するためのプロセスにおいて有用なフィラメントは、本明細書に記載される共重合体(P)を含むフィラメントであって、3Dプリンタのノズルに供給するためにコイル又はリールに巻き取られる。巻き取られたフィラメントを含むカートリッジは、3Dプリンタへ取り付けて使用される。
【0031】
・フィラメントを作製するためのプロセス
融着製造プロセスで使用するための本明細書に記載のフィラメント、ストランド又は繊維は、当技術分野において公知の任意の方法によって形成することができる。例えば、エチレンと炭素数3~12のα-オレフィンの共重合体を含むペレットは、押出機に供給され、この場合、押出機における温度は、エチレンと炭素数3~12のα-オレフィンの共重合体の融解ピーク温度より少なくとも10℃高い。溶融ポリマー組成物は、ダイを通して押し出され、続いて冷却されて所望の直径のフィラメント、ストランド又は繊維を形成する。任意の直径のフィラメントを調製することができるが、有用な直径は、典型的には1.3~3.0mmの範囲である。好ましくは、フィラメント直径は、約1.50mm~2.00mmの範囲である。
【0032】
フィラメントは、本発明の趣旨から逸脱しない範囲でエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンの共重合体(P)に任意選択的な添加剤、例えば可塑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解安定剤、抗酸化剤、染料若しくは顔料、充填剤、難燃剤、潤滑剤、加工助剤、粘着防止剤、剥離剤及び/又はこれらの混合物などを更に含むことができる。
【0033】
本発明の共重合体(P)を含む樹脂組成物は、溶融樹脂押出方式によって物品を作製するために使用することができる。これにより、本発明の共重合体(P)を含む樹脂を含む物品を、3Dプリンティング技術を使用して造形することができる。3Dプリンティングによる造形品の製造方法は、3Dプリンタを用いて上記共重合体(P)を含む3Dプリンタ用樹脂組成物を複数の層に堆積して、物品を形成する工程を含む。
【0034】
3Dプリンティングの方式の一つである溶融樹脂押出方式では、融着フィラメント堆積による造形を行うことができる。この方法では、上記共重合体(P)を含むフィラメントは、十分な温度に加熱されたノズルを通して供給される。加熱温度は上記共重合体(P)の融点以上の温度であれば、フィラメントを溶融するのに十分である。上記共重合体(P)を含むことで、加熱温度を比較的低温に抑えることができる。溶融フィラメントは、ノズルから出て多層形状に堆積され、所望の造形品に形成される。堆積速度の制御は、フィラメントの供給速度、断面寸法並びにノズル及び/又は造形品の運動速度を変えることによって行うことができる。したがって本発明の一態様は、上記共重合体(P)を含む3Dプリンタ用樹脂組成物が、融着フィラメント堆積による1つ以上の線の堆積によって造形されている、3Dプリンティング造形品に関する。
【実施例0035】
以下、本発明を実施例によって、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例、比較例で用いた評価方法及び使用樹脂は、以下の通りである。
【0036】
1.樹脂物性の評価方法
(1)密度:前述の通り、エチレンと炭素数3~12のα-オレフィンの共重合体の密度は、JIS-K6922-2:2018附属書(23℃、低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定した。
【0037】
(2)Mw/Mn:
1)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布パラメーター(Mw/Mn)の測定
重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求めた。また、分子量分布パラメーター(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって、更に数平均分子量(Mn)を求め、MwとMnの比、Mw/Mnによって算出した。測定は下記の手順及び条件に従って行った。
2)試料溶液の調製
4mLバイアル瓶に試料3mg及びo-ジクロロベンゼン3mLを秤り採り、スクリューキャップ及びテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、センシュー科学製SSC-7300型高温振とう機を用いて150℃で2時間振とうを行った。振とう終了後、不溶成分がないことを目視で確認した。
3)測定
ウォーターズ社製Alliance GPCV2000型にRESONAC社製高温GPCカラムShowdex HT-G×1本及び同HT-806M×2本を接続し、溶離液にo-ジクロロベンゼンを使用し、温度145℃、流量:1.0mL/分下にて測定を行った。
4)較正曲線
カラムの較正は、RESONAC社製単分散ポリスチレン(S-7300、S-3900、S-1950、S-1460、S-1010、S-565、S-152、S-66.0、S-28.5、S-5.05、の各0.07mg/ml溶液)、n-エイコサン及びn-テトラコンタンの測定を上記と同様の条件にて行い、溶出時間と分子量の対数値を4次式で近似した。なお、ポリスチレン分子量(MPS)とポリエチレン分子量(MPE)の換算には次式を用いた。
MPE=0.468×MPS
【0038】
(3)融点及び結晶化度:
前述の通り、DSCにより測定した。
【0039】
(4)メルトフローレート(MFR):
前述の通り、エチレンと炭素数3~12のα-オレフィンの共重合体のMFRは、JIS-K6922-2:2018(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定した。
【0040】
(5)曲げ弾性率:
JIS K 6922―1:2018に準拠し、試験片として試料を厚さ4.0mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度180℃の熱プレス機中で8分間予熱後、加圧と減圧を繰り返すことで溶融樹脂中の残留気体を脱気し、更に4.9MPaで加圧し、5分間保持した。その後、表面温度25℃のプレス機に移し替え、4.9MPaの圧力で5分間保持することで冷却し、厚さが約4.0mmの試料からなるプレス板を作製した。前記プレス板を4×10×80mmに裁断して試験片を作製し、JIS K6922-2:2018付属書に準拠して測定した。
【0041】
(6)収縮率:
JIS K 7152-4:2006に準拠し、FANUC ROBOSHOT 2000i-100B射出成形機にて、成形温度190℃、金型温度40℃にて、1辺フィルムゲート(ゲート厚み0.2mm)の120×120×2mmの平板成形を行い、成形直後の流れ方向(MD)を測定した。その測定値を金型の長さで割ることで収縮率を算出した。
【0042】
〔試験片の作製〕
規格番号:JIS-7152(ISO294-1)
成形機:FANUC ROBOSHOT 2000i-100B射出成形機
成形機設定温度:ホッパ下から30,180,190、190,190℃
金型温度:40℃
射出速度:50mm/秒(金型キャビティー内の速度)
保持圧力:30MPa
保圧時間:10秒
金型形状:平板(厚さ2mm 幅120mm 長さ120mm)
【0043】
(7)造形性:
以下の方法で、下記実施例、比較例の共重合体のペレット状の樹脂からフィラメントを作製し、次に、作製したフィラメントから3Dプリンティング造形品を作製した。
【0044】
<フィラメント作製方法>
フィラメントを作製する方法:エチレンと炭素数3~12のα-オレフィンの共重合体を含むフィラメントを、エチレンと炭素数3~12のα-オレフィンの共重合体ペレットを65mm単軸押出機に供給することによって作製した。使用される個々のエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンの共重合体に応じて、バレル温度を70~240℃の範囲で、各樹脂の条件より最適な温度に設定した。溶融樹脂がダイから出てきたら、これを20℃前後の急冷温度において水浴中で急冷した。速度を制御しながら急冷したフィラメントをリールに巻き取り1.75mmの直径のフィラメントを21m/minの引張り速度を調節することによって作製した。
【0045】
<3Dプリンティング造形品の形成方法>
本明細書に記載の実施例では、3Dプリンタとして、公称1.75mmフィラメントを使用して、標準直接駆動押出機及び0.5mmのノズルを備えたRaise3D Pro2 Plusを使用し、以下の条件で造形を行った。
使用機種:Raise3D Pro2 Plus
ノズル温度:190℃
積層ピッチ:0.2mm
造形速度:20mm/s
【0046】
得られた造形品を観察し、以下の基準で造形性を評価した。
〇:ほぼ反っておらず、きれいに造形できる。
×:収縮が大きく、きれいに造形できない。
【0047】
2.実施例及び比較例
実施例1:線状低密度ポリエチレン
日本ポリエチレン製カーネルKJ640T(MFR:30g/10分、密度:0.88 g/cm3、Mw/Mn=2.6)の評価結果を表1に示した。
【0048】
実施例2:線状低密度ポリエチレン
日本ポリエチレン製カーネルKS240T(MFR:2.2g/10分、密度:0.88 g/cm3、Mw/Mn=2.8)の評価結果を表1に示した。
【0049】
実施例3:線状低密度ポリエチレン
日本ポリエチレン製カーネルKF360T(MFR:3.5g/10分、密度:0.898g/cm3、Mw/Mn=3.1)の評価結果を表1に示した。
【0050】
実施例4:線状低密度ポリエチレン
日本ポリエチレン製カーネルKS560T(MFR:17g/10分、密度:0.898g/cm3、Mw/Mn=2.7)の評価結果を表1に示した。
【0051】
実施例5:線状低密度ポリエチレン
日本ポリエチレン製カーネルKC581(MFR:10g/10分、密度:0.919 g/cm3、Mw/Mn=6.0)の評価結果を表1に示した。
【0052】
実施例6:線状低密度ポリエチレン
日本ポリエチレン製カーネルKC577T(MFR:14g/10分、密度:0.911g/cm3、Mw/Mn=5.8)の評価結果を表1に示した。
【0053】
実施例7:低密度ポリエチレン
日本ポリエチレン製ノバテックLJ902(MFR:45g/10分、密度:0.915g/cm3、Mw/Mn=5.8)の評価結果を表1に示した。
【0054】
実施例8:低密度ポリエチレン
日本ポリエチレン製ノバテックLJ920(MFR:58g/10分、密度:0.923g/cm3、Mw/Mn=6.7)の評価結果を表1に示した。
【0055】
実施例9:低密度ポリエチレン
日本ポリエチレン製ノバテックUJ890(MFR:110g/10分、密度:0.931g/cm3、Mw/Mn=4.3)の評価結果を表1に示した。
【0056】
実施例10:低密度ポリエチレン
日本ポリエチレン製ノバテックUJ960(MFR:5.0g/10分、密度:0.935g/cm3、Mw/Mn=4.4)の評価結果を表1に示した。
【0057】
比較例1:高密度ポリエチレン
日本ポリエチレン社製ノバテックHE421(MFR:0.14g/10分、密度:0.956g/cm3、Mw/Mn=34)の評価結果を表1に示した。
【0058】
【0059】
<実施例と比較例の考察の結果>
実施例1~6、実施例9、実施例10は、エチレンと一緒にα-オレフィンを重合しているため非晶部が多くなり、溶融時と冷却時で体積の大きさの変化が少ないことから収縮率が小さい。実施例7~8は、分岐の多い分子構造になっており分子の絡み合いが多い。その結果、溶融時と冷却時の体積の変化が小さく、収縮率が小さい。一方、比較例1は密度が高く、短鎖分岐の少ない直鎖上の構造となっており、冷却時に再配列し結晶化が起きやすいことから溶融時と冷却時の体積の変化も大きくなり、収縮率が大きい。また、直鎖の分子構造を有していない、あるいはα-オレフィンと共重合しているエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体は融点が低く、成形加工中の安全性が担保される。