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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149457
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】磁性部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/08 20060101AFI20241010BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20241010BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20241010BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H01F38/08 D
H01F38/08 B
H01F27/24 H
H01F27/28 147
H01F17/04 A
H01F17/04 F
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024061441
(22)【出願日】2024-04-05
(31)【優先権主張番号】63/457,903
(32)【優先日】2023-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】武藤 高見
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043BA01
5E070AA05
5E070AA19
(57)【要約】
【課題】漏れインダクタンスを容易に制御することが可能になる磁性部品を提供する。
【解決手段】磁性部品は、第1方向に延びる第1突出部及び第2突出部を含むコアと、第1フラットワイヤを含む第1導体であって、第1フラットワイヤは、第1フラットワイヤの最小寸法が第1方向に対して平行又は実質的に平行であるように第1突出部の周りに延びる第1ターン部を画定する、第1導体と、第2フラットワイヤを含む第2導体であって、第2フラットワイヤは、第2フラットワイヤの最小寸法が第1方向に対して平行又は実質的に平行であるように第2突出部の周りに延びる第2ターン部を画定する、第2導体と、を含む。第1ターン部及び第2ターン部は、互いに隣接しており、第1導体及び第2導体の隣接するターン部間にギャップを画定するように二次元でずれて設定されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性部品であって、
第1方向に延びる第1突出部及び第2突出部を含むコアと、
第1フラットワイヤを含む第1導体であって、前記第1フラットワイヤは、前記第1フラットワイヤの最小寸法が前記第1方向に対して平行又は実質的に平行であるように前記第1突出部の周りに延びる第1ターン部を画定する、第1導体と、
第2フラットワイヤを含む第2導体であって、前記第2フラットワイヤは、前記第2フラットワイヤの最小寸法が前記第1方向に対して平行又は実質的に平行であるように前記第2突出部の周りに延びる第2ターン部を画定する、第2導体と、を備え、
前記第1ターン部及び前記第2ターン部は、互いに隣接しており、前記第1導体及び前記第2導体の隣接するターン部間にギャップを画定するように二次元でずれて設定されている、磁性部品。
【請求項2】
前記第1ターン部によって画定される第1平面と、前記第2ターン部によって画定される第2平面とは、同一平面上にない、請求項1に記載の磁性部品。
【請求項3】
前記第1導体は、反対方向に延びる第1足部及び第2足部を含み、
前記第2導体は、反対方向に延びる第1足部及び第2足部を含む、請求項1に記載の磁性部品。
【請求項4】
前記第1ターン部は、単一のフルターン部又は単一の4分の3ターン部のいずれかであり、
前記第2ターン部は、単一のフルターン部又は単一の4分の3ターン部のいずれかである、請求項1に記載の磁性部品。
【請求項5】
前記コアは、上部コア及び下部コアを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の磁性部品。
【請求項6】
前記ギャップに最も近い前記上部コアの上部ギャップ角部及び前記下部コアの下部ギャップ角部は、面取りされている、請求項5に記載の磁性部品。
【請求項7】
前記上部ギャップ角部の反対側にある前記上部コアの上部部品角部、及び前記下部ギャップ角部の反対側にある前記下部コアの下部部品角部は、両方とも切り欠かれている、請求項6に記載の磁性部品。
【請求項8】
磁性部品アセンブリであって、
上部基板及び下部基板と、
前記上部基板と前記下部基板との間に取り付けられた請求項1~4のいずれか一項に記載の磁性部品と、を備える、磁性部品アセンブリ。
【請求項9】
前記上部基板の上面上に第1電子部品を更に備える、請求項8に記載の磁性部品アセンブリ。
【請求項10】
前記上部基板の下面に取り付けられた上部第2電子部品と、
前記下部基板の上面に取り付けられた下部第2電子部品と、を更に備え、
前記コアは、
前記上部基板に隣接し、前記上部第2電子部品を収容するように切り欠かれた上部部品角部と、
前記下部基板に隣接し、前記下部第2電子部品を収容するように切り欠かれた下部部品角部と、を含む、請求項8に記載の磁性部品アセンブリ。
【請求項11】
磁性部品であって、
コアであって、
上面及び前記上面と平行でない下面を含む上部コアと、
上面及び前記上面と平行でない下面を含む下部コアであって、前記上部コアの前記上面と前記下部コアの前記下面とが平行又は実質的に平行である、下部コアと、
前記コアを貫通して延びる第1溝及び第2溝と、を含む、コアと、
第1フラットワイヤを含む第1導体であって、前記第1フラットワイヤは、前記第1フラットワイヤの最小寸法が前記コアの最小寸法と平行でないように前記第1溝を通って延びる、第1導体と、
第2フラットワイヤを含む第2導体であって、前記第2フラットワイヤは、前記第2フラットワイヤの最小寸法が前記コアの前記最小寸法と平行でないように前記第2溝を通って延びる、第2導体と、を備え、
前記第1溝及び前記第2溝と前記第1導体及び前記第2導体とは、前記第1導体及び前記第2導体の隣接するターン部間にギャップを画定するように配置されている、磁性部品。
【請求項12】
前記第1導体によって画定される第1平面と、前記第2導体によって画定される第2平面とは、同一平面上又は実質的に同一平面上にある、請求項11に記載の磁性部品。
【請求項13】
前記第1導体は、反対方向に延びる第1足部及び第2足部を含み、
前記第2導体は、反対方向に延びる第1足部及び第2足部を含む、請求項11に記載の磁性部品。
【請求項14】
前記ギャップの高さは、前記第1導体及び前記第2導体の少なくとも一方の高さ未満である、請求項11~13のいずれか一項に記載の磁性部品。
【請求項15】
前記第1溝及び前記第2溝は、前記上部コア内に含まれる、請求項11~13のいずれか一項に記載の磁性部品。
【請求項16】
前記第1溝及び前記第2溝は、前記下部コア内に含まれる、請求項11~13のいずれか一項に記載の磁性部品。
【請求項17】
前記上部コアの前記上面は、切り欠かれた上部部品角部を含み、
前記下部コアの前記下面は、切り欠かれた下部部品角部を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の磁性部品。
【請求項18】
磁性部品アセンブリであって、
上部基板及び下部基板と、
前記上部基板と前記下部基板との間に取り付けられた請求項11~13のいずれか一項に記載の磁性部品と、を備える、磁性部品アセンブリ。
【請求項19】
前記上部基板の上面上に第1電子部品を更に備える、請求項18に記載の磁性部品アセンブリ。
【請求項20】
前記上部基板の下面に取り付けられた上部第2電子部品と、
前記下部基板の上面に取り付けられた下部第2電子部品と、を更に備え、
前記上部コアの前記上面は、前記上部第2電子部品を収容するように切り欠かれた上部部品角部を含み、
前記下部コアの前記下面は、前記下部第2電子部品を収容するように切り欠かれた下部部品角部を含む、請求項18に記載の磁性部品アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性部品に関する。より具体的には、本発明は、漏れインダクタンスを制御するために使用することができる磁性部品のギャップ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
インダクタ又は変圧器などの磁性部品はコンバータに埋め込まれ得ることが知られている。磁性部品では、漏れインダクタンスにより、コンバータが広い帯域幅又は広い動作周波数で機能することが可能になる。従来技術では、漏れインダクタンスの量を制御することができない。漏れインダクタンスは、磁気コア内のギャップにおいて発生させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ある距離のギャップでのみ所望の漏れインダクタンスを達成することは困難なので、ギャップの幅をある距離に制御する必要がある。換言すると、漏れインダクタンスは、ギャップが狭すぎる場合であっても又は広すぎる場合であっても、正確に制御することが困難である。
【0004】
図1は、導体110と、上部コア120と、下部コア130と、を含む既知の磁性部品100を示す。導体110は、下部コア130の突出部130a又は上部コア120の突出部に巻き付いているターン部110aを含み、かつ、基板、例えば、プリント回路基板(printed circuit board、PCB)に取り付けることができる足部110bを含む。図1は、4つの導体110を有する磁性部品100を示しており、4つの導体110は、フラットワイヤを含む。磁性部品100の4つの導体110のターン部110aは、互いに同一平面上にあり、足部110bの各々は、ターン部110aによって画定される平面と製造誤差範囲内で平行又は実質的に平行である基板に4つの導体110を接続することができるように、ターン部110aによって画定される平面に対して製造誤差範囲及び/又は測定誤差範囲内で垂直又は実質的に垂直に延びている。図1では、導体110の隣接するターン部110a間のギャップは、一次元でのみであり(すなわち、ギャップは、水平ギャップである)、これは、漏れインダクタンスの制御を困難にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を克服するために、本発明の例示的な実施形態は、第1フラットワイヤ導体及び第2フラットワイヤ導体の隣接するターン部が、第1フラットワイヤ導体及び第2フラットワイヤ導体の隣接するターン部間のギャップを画定するように二次元でオフセット(off-set)しており、漏れインダクタンスを容易に制御することが可能になる、磁性部品を提供する。
【0006】
本発明の例示的な実施形態によれば、磁性部品は、第1方向に延びる第1突出部及び第2突出部を含むコアと、第1フラットワイヤを含む第1導体であって、第1フラットワイヤは、第1フラットワイヤの最小寸法が第1方向に対して平行又は実質的に平行であるように第1突出部の周りに延びる第1ターン部を画定する、第1導体と、第2フラットワイヤを含む第2導体であって、第2フラットワイヤは、第2フラットワイヤの最小寸法が第1方向に対して平行又は実質的に平行であるように第2突出部の周りに延びる第2ターン部を画定する、第2導体と、を含む。第1ターン部及び第2ターン部は、互いに隣接しており、第1導体及び第2導体の隣接するターン部間にギャップを画定するように二次元でずれて設定(off set)されている。
【0007】
第1ターン部によって画定される第1平面と、第2ターン部によって画定される第2平面とは、同一平面上にある必要はない。第1導体は、反対方向に延びる第1足部及び第2足部を含むことができ、第2導体は、反対方向に延びる第1足部及び第2足部を含むことができる。第1ターン部は、単一のフルターン部又は単一の4分の3ターン部のいずれかであってもよく、第2ターン部は、単一のフルターン部又は単一の4分の3ターン部のいずれかであってもよい。
【0008】
コアは、上部コア及び下部コアを含むことができる。ギャップに最も近い上部コアの上部ギャップ角部及び下部コアの下部ギャップ角部は、面取りされていてもよい。上部ギャップ角部の反対側にある上部コアの上部部品角部、及び下部ギャップ角部の反対側にある下部コアの下部部品角部は、両方とも切り欠かれていてもよい。
【0009】
本発明の例示的な実施形態によれば、磁性部品アセンブリは、上部基板及び下部基板と、上部基板と下部基板との間に取り付けられた本発明の様々な他の例示的な実施形態のうちの1つの磁性部品と、を含む。
【0010】
磁性部品アセンブリは、上部基板の上面上に第1電子部品を更に含むことができる。
磁性部品アセンブリは、上部基板の下面に取り付けられた上部第2電子部品と、下部基板の上面に取り付けられた下部第2電子部品と、を更に含むことができる。コアは、上部基板に隣接し、上部第2電子部品を収容するように切り欠かれた上部部品角部と、下部基板に隣接し、下部第2電子部品を収容するように切り欠かれた下部部品角部と、を含むことができる。
【0011】
本発明の例示的な実施形態によれば、磁性部品は、コアであって、上面及び上面と平行でない下面を含む上部コアと、上面及び上面と平行でない下面を含む下部コアであって、上部コアの上面と下部コアの下面とが平行又は実質的に平行である、下部コアと、コアを貫通して延びる第1溝及び第2溝と、を含むコアと、第1フラットワイヤを含む第1導体であって、第1フラットワイヤは、第1フラットワイヤの最小寸法がコアの最小寸法と平行でないように第1溝を通って延びる、第1導体と、第2フラットワイヤを含む第2導体であって、第2フラットワイヤは、第2フラットワイヤの最小寸法がコアの最小寸法と平行でないように第2溝を通って延びる、第2導体と、を含む。第1溝及び第2溝と第1導体及び第2導体とは、第1導体及び第2導体の隣接するターン部間にギャップを画定するように配置されている。
【0012】
第1導体によって画定される第1平面と、第2導体によって画定される第2平面とは、同一平面上又は実質的に同一平面上にあってもよい。第1導体は、反対方向に延びる第1足部及び第2足部を含むことができ、第2導体は、反対方向に延びる第1足部及び第2足部を含むことができる。ギャップの高さは、第1導体及び/又は第2導体の高さ未満であってもよい。第1溝及び第2溝は、上部コア及び/又は下部コア内に含まれてもよい。上部コアの上面は、切り欠かれた上部部品角部を含むことができ、下部コアの下面は、切り欠かれた下部部品角部を含むことができる。
【0013】
本発明の例示的な実施形態によれば、磁性部品アセンブリは、上部基板及び下部基板と、上部基板と下部基板との間に取り付けられた本発明の様々な他の例示的な実施形態のうちの1つの磁性部品と、を含む。
【0014】
磁性部品アセンブリは、上部基板の上面上に第1電子部品を更に含むことができる。
磁性部品アセンブリは、上部基板の下面に取り付けられた上部第2電子部品と、下部基板の上面に取り付けられた下部第2電子部品と、を更に含むことができる。上部コアの上面は、上部第2電子部品を収容するように切り欠かれた上部部品角部を含むことができ、下部コアの下面は、下部第2電子部品を収容するように切り欠かれた下部部品角部を含むことができる。
【0015】
添付の図面を参照した本発明の例示的な実施形態の以下の詳細な説明から、本発明の上記及び他の特徴、要素、特性、ステップ、並びに利点がより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】フラットワイヤコイルのターン部が同一平面上にある既知の磁性部品の斜視図である。
図2】フラットワイヤコイルのターン部が同一平面上にない、本発明の第1の例示的な実施形態による磁性部品の斜視図である。
図3】上部磁気コアが透明なものとして示されている、図2の磁性部品の斜視図である。
図4図2の磁性部品のフラットワイヤコイルの斜視図である。
図5図2の磁性部品の側面図である。
図6】磁気コアの隣接する角部は面取りされており、反対側にある角部は切り欠かれている、本発明の第2の例示的な実施形態による磁性部品の斜視図である。
図7】上部プリント回路基板が取り除かれている、図6の磁性部品の斜視図である。
図8】上部磁気コアが透明なものとして示されている、図7の磁性部品の斜視図である。
図9図6の磁性部品の側面図である。
図10】磁気コアの断面が台形である、本発明の第3の例示的な実施形態による磁性部品の斜視図である。
図11】上部磁気コアが透明なものとして示されている、図10の磁性部品の斜視図である。
図12図10の磁性部品の側面図である。
図13】磁気コアの断面は台形であり、磁気コアの反対側にある角部は切り欠かれている、本発明の第3の例示的な実施形態による磁性部品の斜視図である。
図14】上部磁気コアが透明なものとして示されている、図13の磁性部品の斜視図である。
図15図13の磁性部品の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図2図5は、本発明の第1の例示的な実施形態による磁性部品10を示す。磁性部品10は、導体11と、上部コア12及び下部コア13を有するコアと、を含む。
図2図5に示すように、磁性部品10は、4つの導体11を含むことができるが、2つ以上の任意の数の導体11を使用してもよい。各導体11は、フラットワイヤによって画定されてもよい。各導体11は、銅、真鍮、又は他の好適な導電性材料(複数可)を含むことができる。フラットワイヤの幅は、フラットワイヤの厚さよりも大きくてもよい。導体11は、ターン部11aによって接続された2つの足部11bを含むことができる。2つの足部11bは、導体11を2つの対向する平行な基板(図2図5には示されていないが、図6図9には、上部基板25及び下部基板26として示されている)に接続することができるように、反対方向(例えば、上方向及び下方向)に延びることができ、あるいは、2つの足部11bは、導体11を同じ基板(図示せず)に接続することができるように同じ方向に延びることができる。基板は、例えば、プリント回路基板(PCB)又は他の好適な基板であってもよい。磁性部品アセンブリは、1つ又は2つの基板に接続された磁性部品10を含むことができる。
【0018】
突出部12a、13aは、上部コア12又は下部コア13から第1方向に沿って延びることができる。突出部12a、13aの数は、導体11の数と同じであってもよい。突出部12a、13aは、図3に示す長方形の断面形状を含む任意の好適な断面形状を有することができる。導体11の各々のターン部11aは、対応する突出部12a又は13aに巻き付く、あるいはその周りに延びることができる。図3及び図4に示すように、ターン部11aは、例えば単一の4分の3ターン部又は単一のフルターン部を含む、単一のターン部とすることができる。幅方向によって画定されるターン部11aのフラットワイヤの表面は、製造誤差範囲及び/又は測定誤差範囲内で第1方向に対して垂直又は実質的に垂直である、すなわち、フラットワイヤの厚さ又は最小寸法は、製造誤差範囲及び/又は測定誤差範囲内で第1方向に対して平行又は実質的に平行である。
【0019】
図2図3、及び図5では、コアは2つの部分、すなわち上部コア12及び下部コア13を含むことができるが、任意の数の部分を使用してもよい。例えば、コアは、単一の部分を含んでもよく、あるいは、3つ以上の部分を含んでもよい。上部コア12及び下部コア13を含むコアは、MnZnフェライトなどのフェライト、又は任意の他の好適な磁性材料で作製されてもよい。
【0020】
図2図5では、突出部12aは下部コア12のみから延びており、突出部13aは下部コア13のみから延びており、突出部12a、13aは互いに位置合わせされるように配置されているが、他の配置も可能である。例えば、突出部は、上部コア12のみから延びてもよく、突出部は、下部コア13からのみ延びてもよく、あるいは、突出部は、突出部が互いに位置合わせされるように上部コア12と下部コア13の両方から延びてもよい。
【0021】
図5は、導体11の隣接するターン部11aによって画定される平面が同一平面上にないことを示す。隣接する第1ターン部11a及び第2ターン部11aは、隣接するターン部11a間にギャップを画定するように二次元でオフセットされている。漏れインダクタンスは、第1ターン部11a及び第2ターン部11aの幾何学的形状、特に第1ターン部11aと第2ターン部11aとの間の距離によって決定される。第1ターン部11aと第2ターン部11aとの間の距離を変化させることにより、漏れインダクタンスが変化する。第1ターン部11aと第2ターン部11aとの間の距離を増大させることにより、漏れインダクタンスは増大する。第1ターン部11aと第2ターン部11aとの間に特定の距離を有するギャップによって、所望の漏れインダクタンスを発生させることができる。二次元でオフセットされているギャップにおいて、漏れインダクタンスをより容易に発生させることができる。すなわち、上部コア12及び下部コア13によって画定される内部の段差により、漏れインダクタンスをより容易に決定することが可能になる。
【0022】
図6図9は、本発明の第2の例示的な実施形態による磁性部品20を示す。磁性部品20は、導体21と、上部コア22及び下部コア23を有するコアと、を含む。図6は、磁性部品アセンブリを画定するために上部基板25と下部基板26との間に取り付けられた磁性部品20を示す。上部基板25及び下部基板26は、例えば、PCB又は他の好適な基板であってもよい。上部基板25の上部に電子部品25aを取り付けることができ、上部基板25の下面に電子部品25bを配置することができ、電下部基板26の上面に電子部品26bを配置することができる。電子部品25a、25b、26bは、例えば、集積回路(integrated circuit、IC)、トランジスタなどの能動部品であっても、あるいは、抵抗器、コンデンサ、インダクタなどの受動部品であってもよい。電子部品25a、25b、26bを含む可能性がある上部基板25及び下部基板26が、本発明の他の例示的な実施形態と共に使用されてもよい。電子部品25aを第1電子部品、電子部品25bを上部第2電子部品、電子部品26bを下部第2電子部品と呼ぶことができる。
【0023】
図6図9に示すように、磁性部品20は、4つの導体21を含むことができるが、2つ以上の任意の数の導体21を使用してもよい。各導体21は、フラットワイヤによって画定されてもよい。各導体21は、銅、真鍮、又は他の好適な導電性材料(複数可)を含むことができる。フラットワイヤの幅は、フラットワイヤの厚さよりも大きくてもよい。導体21は、ターン部21aによって接続された2つの足部21bを含むことができる。2つの足部21bは、導体21を2つの対向する平行な上部基板25及び下部基板26基板に接続することができるように、反対方向(例えば、上方向及び下方向)に延びることができ、あるいは、2つの足部21bは、導体21を同じ基板(図示せず)に接続することができるように同じ方向に延びることができる。ターン部21aは、対応する突出部23aに巻き付くことができる。
【0024】
突出部22a、23aは、上部コア22又は下部コア23から第1方向に沿って延びることができる。突出部22a、23aの数は、導体21の数と同じであってもよい。突出部22a、23aは、図8に示す長方形の断面形状を含む任意の好適な断面形状を有することができる。導体21の各々のターン部21aは、対応する突出部22a又は23aに巻き付く、あるいはその周りに延びることができる。図8に示すように、ターン部21aは、例えば単一の4分の3ターン部又は単一のフルターン部を含む、単一のターン部とすることができる。幅方向によって画定されるターン部21aのフラットワイヤの表面は、製造誤差範囲及び/又は測定誤差範囲内で第1方向に対して垂直又は実質的に垂直である、すなわち、フラットワイヤの厚さ又は最小寸法は、製造誤差範囲及び/又は測定誤差範囲内で第1方向に対して平行又は実質的に平行である。
【0025】
図6図9では、コアは2つの部分、すなわち上部コア12及び下部コア13を含むことができるが、任意の数の部分を使用してもよい。例えば、コアは、単一の部分を含んでもよく、あるいは、3つ以上の部分を含んでもよい。上部コア12及び下部コア13を含むコアは、MnZnフェライトなどのフェライト、又は任意の他の好適な磁性材料で作製されてもよい。
【0026】
図6図9では、突出部22aは下部コア22のみから延びており、突出部23aは下部コア23のみから延びており、突出部22a、23aは互いに位置合わせされるように配置されているが、他の配置も可能である。例えば、突出部は、上部コア22のみから延びてもよく、突出部は、下部コア23からのみ延びてもよく、あるいは、突出部は、突出部が互いに位置合わせされるように上部コア22と下部コア23の両方から延びてもよい。
【0027】
図9は、導体21の隣接するターン部21aによって画定される平面が同一平面上にないことを示す。隣接する第1ターン部21a及び第2ターン部21aは、隣接するターン部21a間にギャップを画定するように二次元でずれて設定されている。漏れインダクタンスは、第1ターン部21a及び第2ターン部21aの幾何学的形状、特に第1ターン部21aと第2ターン部21aとの間の距離によって決定される。第1ターン部21aと第2ターン部21aとの間の距離を変化させることにより、漏れインダクタンスが変化する。第1ターン部21aと第2ターン部21aとの間の距離を増大させることにより、漏れインダクタンスは増大する。第1ターン部21aと第2ターン部21aとの間に特定の距離を有するギャップによって、所望の漏れインダクタンスを発生させることができる。二次元でずれて設定されているギャップにおいて、漏れインダクタンスをより容易に発生させることができる。すなわち、上部コア22及び下部コア23によって画定される内部の段差により、漏れインダクタンスをより容易に決定することが可能になる。
【0028】
図6図9及び図2図5に示すように、上部コア22及び下部コア23は、上部コア12及び下部コア13とは異なる。2つの相違点は、上部コア22が角部22bを含むことができること、及び、下部コア23が角部23bを含むことができることである。角部22b、23bは、隣接するターン部21a間のギャップに最も近い角部であり、磁性部品の長さに沿って延びており、面取りされていてもよい。角部22b、23bにより、上部コア22と下部コア23とを互いに近づけることが可能になり、それにより、磁性部品20の小型化が可能になり得る。角部22b、23bは、上部ギャップ角部又は下部ギャップ角部と呼ぶことができる。
【0029】
上部コア22及び下部コア24における更なる相違点は、上部コア22が上部コア22の上面に(例えば、角部22bの反対側に)切り欠かれた角部22cを含むことができること、及び、下部コア23が下部コアの下面に(例えば、角部23bの反対側に)切り欠かれた角部23cを含むことができることである。角部22c、23cは、対応する電子部品25b、26bを収容するように切り欠かれていてもよく、それにより、磁性部品アセンブリの小型化が可能になる。角部22c、23cに加えて角部22b、23bを含むことにより、対応する電子部品25b、26bを収容するために利用可能な空間量を増大させることができ、それにより、磁性部品アセンブリの更なる小型化が可能になり得る。角部22b、23bは、上部部品角部又は下部部品角部と呼ぶことができる。
【0030】
図10図12は、本発明の第3の例示的な実施形態による磁性部品30を示す。磁性部品30は、導体31と、上部コア32及び下部コア33を有するコアと、を含む。
図10図12に示すように、磁性部品30は、2つの導体31を含むことができるが、2つ以上の任意の数の導体31を使用してもよい。各導体31は、フラットワイヤによって画定されてもよい。各導体31は、銅、真鍮、又は他の好適な導電性材料(複数可)を含むことができる。フラットワイヤの幅は、フラットワイヤの厚さよりも大きくてもよい。導体31は、ターン部31aによって接続された2つの足部31bを含むことができる。2つの足部31bは、導体31を2つの対向する平行な基板(図10図12には示されていないが、図6図9には、上部基板25及び下部基板26として示されている)に接続することができるように、反対方向(例えば、上方向及び下方向)に延びることができ、あるいは、2つの足部31bは、導体31を同じ基板(図示せず)に接続することができるように同じ方向に延びることができる。基板は、例えば、プリント回路基板(PCB)又は他の好適な基板であってもよい。磁性部品アセンブリは、1つ又は2つの基板に接続された磁性部品30を含むことができる。
【0031】
溝32bは、上部コア32の下面に沿って第1方向に延びることができる。溝32bの数は、導体31の数と同じであってもよい。溝32bは、図12の断面図に示す長方形の断面形状を含む任意の好適な断面形状を有することができる。導体31の各々のターン部31aは、対応する溝32bを通って延びることができる。図11に示すように、ターン部31aは、例えば単一の4分の1ターン部を含む、単一のターン部とすることができる。幅方向によって画定される、ターン部31aのフラットワイヤの表面は、上部コア32の上面と平行ではなく、かつ、下部コア33の下面と平行ではない、すなわち、フラットワイヤの厚さ又は最小寸法は、コアの厚さ又は最小寸法と平行ではない。
【0032】
図10図12では、コアは2つの部分、すなわち上部コア32及び下部コア33を含むことができるが、任意の数の部分を使用してもよい。例えば、コアは、単一の部分を含んでもよく、あるいは、3つ以上の部分を含んでもよい。上部コア32及び下部コア33を含むコアは、MnZnフェライトなどのフェライト、又は任意の他の好適な磁性材料で作製されてもよい。図12に示すように、上部コア32及び下部コア33の断面形状は、2つの隣接する直角、1つの鋭角、及び1つの鈍角を有し、製造誤差範囲及び/又は測定誤差範囲内の対向する平行又は実質的に平行な2本の線と、対向する平行でない2本の線とを有する直角台形の形状のものであってもよい。上部コア32及び下部コア33が各々面している線が、上部コア32の上面と平行ではなく、かつ下部コア33の下面と平行ではないように、上部コア32の鈍角と鋭角とを結ぶ平行ではない線(すなわち、上部コア32の下面)と、下部コア33の鈍角と鋭角とを結ぶ平行ではない線(すなわち、下部コア33の上面)とは向かい合うことができる。
【0033】
図11及び図12に示すように、上部コア32は、インダクタ31間にギャップが画定されるように突出部32aを含むことができる。代替的に、下部コア33に突出部が含まれてもよく、あるいは、上部コア32及び/又は下部コア33内で導体31間にギャップが画定されるように、上部コア32及び下部コア33の各々に突出部が含まれてもよい。
【0034】
図12は、導体31の隣接するターン部31aによって画定される平面が、製造誤差範囲及び/又は測定誤差範囲内で同一平面又は実質的に同一平面上にあるが、上述したように、上部コア32の上面と平行ではなく、かつ、下部コア33の下面と平行ではないことを示している。図12に示すように、ギャップの高さは、ターン部31aの高さよりも小さくてもよい。漏れインダクタンスは、第1ターン部31a及び第2ターン部31aの幾何学的形状、特に第1ターン部31aと第2ターン部31aとの間の距離によって決定される。第1ターン部31aと第2ターン部31aとの間の距離を変化させることにより、漏れインダクタンスが変化する。第1ターン部31aと第2ターン部31aとの間の距離を増大させることにより、漏れインダクタンスは増大する。第1ターン部31aと第2ターン部31aとの間に特定の距離を有するギャップによって、所望の漏れインダクタンスを発生させることができる。突出部32aによって画定されるギャップにおいて、漏れインダクタンスをより容易に発生させることができる。すなわち、突出部32aによって画定される内部の段差により、漏れインダクタンスをより容易に決定することが可能になる。
【0035】
図13図15は、本発明の第4の例示的な実施形態による磁性部品40を示す。磁性部品40は、導体41と、上部コア42及び下部コア43を有するコアと、を含む。
図13図15に示すように、磁性部品40は、2つの導体41を含むことができるが、2つ以上の任意の数の導体41を使用してもよい。各導体41は、フラットワイヤによって画定されてもよい。各導体41は、銅、真鍮、又は他の好適な導電性材料(複数可)を含むことができる。フラットワイヤの幅は、フラットワイヤの厚さよりも大きくてもよい。導体41は、ターン部41aによって接続された2つの足部41bを含むことができる。2つの足部41bは、導体41を2つの対向する平行な基板(図13図13には示されていないが、図6図9には、上部基板25及び下部基板26として示されている)に接続することができるように、反対方向(例えば、上方向及び下方向)に延びることができ、あるいは、2つの足部41bは、導体41を同じ基板(図示せず)に接続することができるように同じ方向に延びることができる。基板は、例えば、プリント回路基板(PCB)又は他の好適な基板であってもよい。磁性部品アセンブリは、1つ又は2つの基板に接続された磁性部品40を含むことができる。
【0036】
溝42bは、上部コア42の下面に沿って第1方向に延びることができる。溝42bの数は、導体41の数と同じであってもよい。溝42bは、図15の断面図に示す長方形の断面形状を含む任意の好適な断面形状を有することができる。導体41の各々のターン部41aは、対応する溝42bを通って延びることができる。図14に示すように、ターン部31aは、例えば単一の4分の1ターン部を含む、単一のターン部とすることができる。幅方向によって画定される、ターン部41aのフラットワイヤの表面は、上部コア42の上面と平行ではなく、かつ、下部コア43の下面と平行ではない、すなわち、フラットワイヤの厚さ又は最短寸法は、コアの厚さ又は最短寸法と平行ではない。
【0037】
図13図15では、コアは2つの部分、すなわち上部コア42及び下部コア43を含むことができるが、任意の数の部分を使用してもよい。例えば、コアは、単一の部分を含んでもよく、あるいは、3つ以上の部分を含んでもよい。上部コア42及び下部コア3を含むコアは、MnZnフェライトなどのフェライト、又は任意の他の好適な磁性材料で作製されてもよい。図15に示すように、上部コア42及び下部コア43の断面形状は、2つの隣接する直角、鋭角、及び鈍角を有し、製造誤差範囲及び/又は測定誤差範囲内の対向する平行又は実質的に平行な2本の線と、対向する平行でない2本の線とを有する直角台形の形状のものであってもよい。上部コア42及び下部コア43が各々面している線が、上部コア42の上面と平行ではなく、かつ下部コア43の下面と平行ではないように、上部コア42の鈍角と鋭角とを結ぶ平行ではない線(すなわち、上部コア42の下面)と、下部コア43の鈍角と鋭角とを結ぶ平行ではない線(すなわち、下部コア43の上面)とは向かい合うことができる。
【0038】
図14及び図15に示すように、上部コア42は、インダクタ41間にギャップが画定されるように突出部42aを含むことができる。代替的に、下部コア43に突出部が含まれてもよく、あるいは、上部コア42及び/又は下部コア43内で導体41間にギャップが画定されるように、上部コア42及び下部コア43の各々に突出部が含まれてもよい。
【0039】
図15は、導体41の隣接するターン部41aによって画定される平面が、製造誤差範囲及び/又は測定誤差範囲内で同一平面又は実質的に同一平面上にあるが、上述したように、上部コア42の上面と平行ではなく、かつ、下部コア43の下面と平行ではないことを示している。漏れインダクタンスは、第1ターン部41a及び第2ターン部41aの幾何学的形状、特に第1ターン部41aと第2ターン部41aとの間の距離によって決定される。第1ターン部41aと第2ターン部41aとの間の距離を変化させることにより、漏れインダクタンスが変化する。第1ターン部41aと第2ターン部41aとの間の距離を増大させることにより、漏れインダクタンスは増大する。第1ターン部41aと第2ターン部41aとの間に特定の距離を有するギャップによって、所望の漏れインダクタンスを発生させることができる。突出部42aによって画定されるギャップにおいて、漏れインダクタンスをより容易に発生させることができる。すなわち、突出部42aによって画定される内部の段差により、漏れインダクタンスをより容易に決定することが可能になる。
【0040】
図13図15及び図10図12に示すように、上部コア42及び下部コア43は、上部コア32及び下部コア33とは異なる。2つの相違点は、上部コア42が上部コア43の上面に、切り欠かれた角部42cを含むことができること、及び、下部コア43が下部コア43の下面に、切り欠かれた角部43cを含むことができることである。角部42c、43cは、第2の例示的な実施形態において、どのように角部22c、23cが対応する電子部品25b、26bを収容するかと同様に、対応する電子部品を収容するように切り欠かれていてもよく、それにより、磁性部品40を含んだ磁性部品アセンブリの小型化が可能になる。
【0041】
磁性部品10、20、30、40は、インダクタとして、又は変圧器として使用することができる。磁性部品10、20、30、40は、例えば、DC-DCコンバータ、DC-ACコンバータ、又はAC-DCコンバータなどのコンバータに含まれてもよい。一例として、磁性部品10、20、30、40は、上部基板及び下部基板を含むコンバータの変圧器であってもよく、上部基板及び下部基板上の電子部品は、コンバータの他の部品であってもよい。
【0042】
前述の説明は、本発明の例示にすぎないことを理解されたい。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、様々な代替形態及び修正形態を考案することができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内に収まる、全てのそのような代替形態、修正形態、及び変形形態を包含することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【外国語明細書】