(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149458
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】安全なHV-DC配電システムのための障害検出及び管理方式
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20241010BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H02J1/00 301B
H02J13/00 311R
H02J13/00 311B
H02J1/00 309Q
H02J1/00 301E
H02J1/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024061472
(22)【出願日】2024-04-05
(31)【優先権主張番号】63/457,191
(32)【優先日】2023-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/605,100
(32)【優先日】2024-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507202736
【氏名又は名称】パンドウィット・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ワリード・バリード
(72)【発明者】
【氏名】マスド・ボロウリ-サランサー
【テーマコード(参考)】
5G064
5G165
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AA04
5G064AA08
5G064AB01
5G064AB05
5G064AC05
5G064AC08
5G064BA07
5G064CB06
5G064CB16
5G064DA03
5G064DA05
5G165CA01
5G165EA01
5G165HA01
5G165HA07
5G165LA01
5G165LA02
5G165PA01
5G165PA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安全な高電圧DC電力の供給及び配電を提供するための信頼性の高い障害検出及び管理システムを提供する。
【解決手段】DC電力供給システムにおいて、DC電力送信機(DC-PTX)1は、高電圧電源6と、高電圧電源に結合されたバスの電流を監視する電流感知回路9と、高電圧電源の電力出力を調整するためのスイッチを制御するために電流感知回路の出力を監視する計算処理要素(CPE)8と、CPEから通信信号を受信するための通信インターフェースと、通信インターフェースから通信信号を受信し、伝送路を介して通信信号を送信するバンドパスフィルタ12と、高電圧電源から電力出力を受信し、電力伝送路(PTL)3を介して電力出力を送信する帯域阻止フィルタ10と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラス4電力システムで使用するためのDC電力送信機であって、
高電圧電源と、
前記高電圧電源に結合されたバスの電流を監視するように構成された電流感知回路と、
前記高電圧電源の電力出力を調整するためのスイッチを制御するために前記電流感知回路の出力を監視するように構成されている、安全コントローラと、
前記安全コントローラから通信信号を受信するための通信インターフェースと、
前記通信インターフェースから前記通信信号を受信し、伝送路を介して前記通信信号を送信するように構成されている、バンドパスフィルタと、
前記高電圧電源から前記電力出力を受信し、前記伝送路を介して前記電力出力を送信するように構成された帯域阻止フィルタと、を備える、前記DC電力送信機。
【請求項2】
前記高電圧電源は、前記DC電力送信機の最大電流に調整された電流制限器をさらに含む、請求項1に記載のDC電力送信機。
【請求項3】
前記通信インターフェースは、前記安全コントローラから受信したRFフォーマットの前記通信信号を変調及び復調するように構成された無線周波数(RF)変調器/復調器である、請求項1に記載のDC電力送信機。
【請求項4】
前記高電圧電源からの前記出力電力が最大225VのDCになるように構成される、請求項1に記載のDC電力送信機。
【請求項5】
前記伝送路に安全超低電圧(SELV)信号を送り、前記伝送路に結合された受信機にある受信機側回路構成要素と通信して、前記伝送路の安全状態を確認してから、前記高電圧電源が前記伝送路を介して前記受信機に前記出力電力を供給できるようにするように構成される、送信機側回路構成要素をさらに含む、請求項1に記載のDC電力送信機。
【請求項6】
前記SELV信号は、システム初期化状態中に前記伝送路に送られる、請求項5に記載のDC電力送信機。
【請求項7】
前記SELV信号は、障害回復状態中に前記伝送路に送られる、請求項5に記載のDC電力送信機。
【請求項8】
前記送信機側回路構成要素は、
前記受信機側回路構成要素にピング信号を送信して、前記受信機に校正済み基準電流をシンクする校正済み基準負荷を導入し、
前記受信機側回路構成要素から、前記校正済み基準負荷の前記校正済み基準電流を確認する監視信号を受信し、また
前記校正済み基準電流と、前記電流感知回路によって前記伝送路で感知された前記電流との比較に基づいて、前記安全状態を確認するように構成されている、請求項5に記載のDC電力送信機。
【請求項9】
前記送信機側回路構成要素は、
前記伝送路を介して前記受信機側回路構成要素から応答信号を受信し、前記応答信号は、前記受信機の基準負荷の測定値を提供することによって前記受信機の存在を確認するように構成されている、請求項5に記載のDC電力送信機。
【請求項10】
前記送信機側回路構成要素は、
前記DC電力送信機の基準負荷の両端の電圧と前記受信機の基準負荷の両端の電圧を比較して、前記伝送路を介したデータ通信の質を検証するように構成されている、請求項5に記載のDC電力送信機。
【請求項11】
前記送信機側回路構成要素は、
RF信号を前記伝送路に重畳し、
前記伝送路に結合された前記受信機に情報を通信するためのRF通信リンクを確立し、
前記DC電力送信機の基準負荷の両端で測定された電圧を識別する第1の電圧検出信号を、前記RF通信リンクを介して前記受信機に送信し、
前記RF通信リンクを介して前記DC電力送信機で、前記受信機の基準負荷の両端で測定された電圧を識別する第2の電圧検出信号を前記受信機から受信し、
前記DC電力送信機において、前記DC電力送信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電圧と、前記受信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電圧とを比較し、
前記RF通信リンクを介して前記DC電力送信機で、前記DC電力送信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電圧と、一致した前記受信機の基準負荷の両端で測定された前記電圧との比較を示す前記受信機からの検証信号を受信し、
前記DC電力送信機での前記比較と前記検証信号により、前記DC電力送信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電圧と、前記受信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電圧が一致することが確認されたときに、前記伝送路の前記安全状態を確認し、また
前記安全状態が確認されたときに、前記高電圧電源が前記伝送線を介して前記出力電力を供給できるようにするように構成されている、請求項5に記載のDC電力送信機。
【請求項12】
前記送信機側回路構成要素は、
RF信号を前記伝送路に重畳し、
前記伝送路に結合された前記受信機に情報を通信するためのRF通信リンクを確立し、
前記DC電力送信機の基準負荷の両端で測定された電流を識別する第1の電流検出信号を、前記RF通信リンクを介して前記受信機に送信し、
前記RF通信リンクを介して前記DC電力送信機で、前記受信機の基準負荷の両端で測定された電流を識別する電流電圧検出信号を前記受信機から受信し、
前記DC電力送信機において、前記DC電力送信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電流と、前記受信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電流とを比較し、
前記RF通信リンクを介して前記DC電力送信機で、前記DC電力送信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電流と、一致した前記受信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電流との比較を示す前記受信機からの検証信号を受信し、
前記DC電力送信機での前記比較と前記検証信号により、前記DC電力送信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電流と前記受信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電流が一致することが確認されたときに、前記伝送路の安全状態を確認し、また
前記安全状態が確認されたときに、前記高電圧電源が前記伝送線を介して前記出力電力を供給できるようにするように構成されている、請求項5に記載のDC電力送信機。
【請求項13】
前記送信機側回路構成要素は、
RF信号を前記伝送路に重畳し、
前記伝送路に結合された前記受信機に情報を通信するためのRF通信リンクを確立し、
前記DC電力送信機の基準負荷の両端で測定された電流を識別する第1の電流検出信号を、前記RF通信リンクを介して前記受信機に送信し、
前記DC電力送信機の基準負荷の両端で測定された電圧を識別する第1の電圧検出信号を、前記RF通信リンクを介して前記受信機に送信し、
前記RF通信リンクを介して前記DC電力送信機で、前記受信機の基準負荷の両端で測定された電流を識別する電流電圧検出信号を前記受信機から受信し、
前記RF通信リンクを介して前記DC電力送信機で、前記受信機の基準負荷の両端で測定された電圧を識別する第2の電圧検出信号を前記受信機から受信し、
前記DC電力送信機において、前記DC電力送信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電流と、前記受信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電流とを比較し、
前記DC電力送信機において、前記DC電力送信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電圧と、前記受信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電圧とを比較し、
前記RF通信リンクを介して前記DC電力送信機で、前記DC電力送信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電流と、一致した前記受信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電流との比較を示す前記受信機からの検証信号を受信し、
前記RF通信リンクを介して前記DC電力送信機で、前記DC電力送信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電圧と、一致した前記受信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電圧との比較を示す前記受信機からの検証信号を受信し、
前記DC電力送信機での前記比較と前記検証信号により、前記DC電力送信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電流と前記受信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電流が一致することが確認されたか、または前記DC電力送信機での前記比較と前記確認信号により、前記DC電力送信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電圧と前記受信機の前記基準負荷の両端で測定された前記電圧が一致することが確認されたかの少なくとも1つのとき、前記伝送路の前記安全状態を確認し、また、
前記安全状態が確認されたときに、前記高電圧電源が前記伝送線を介して前記出力電力を供給できるようにするように構成されている、請求項5に記載のDC電力送信機。
【請求項14】
前記クラス4電力システム内の障害状態を識別するための障害検出回路をさらに含む、請求項1に記載のDC電力送信機。
【請求項15】
前記障害状態は、前記伝送線への接触、前記伝送線の短絡、伝送線または負荷の切断、不足電圧の場合、過電圧の場合、または望ましくないアーク事象のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載のDC電力送信機。
【請求項16】
前記障害検出回路は、
受信機側の障害検出回路と通信して、前記伝送路の電流の変化に基づいて前記障害状態を識別し、また
前記障害状態が識別された場合は、前記高電圧電源を切断するように構成されている、請求項14に記載のDC電力送信機。
【請求項17】
前記伝送路は、少なくとも18AWG以上の太さを有する複数の導線を含むケーブルである、請求項1に記載のDC電力送信機。
【請求項18】
前記通信インターフェースが、
RF信号を前記伝送路に重畳し、
前記伝送路に結合された受信機に情報を通信するためのRF通信リンクを確立し、
前記RF通信リンクを介して、負荷が前記受信機によって安全に検出されたという確認信号を含む確認メッセージを前記受信機から受信するように構成される、請求項1に記載のDC電力送信機。
【請求項19】
前記RF通信リンクは、単一の搬送周波数及び2つの異なるデジタル変調方式を使用し、2つの異なるベースバンド信号の変調に依存し、それぞれが異なる計算処理要素(CPE)からのデータを符号化し、単一の搬送周波数を使用することによって冗長性を提供する、請求項18に記載のDC電力送信機。
【請求項20】
前記RF通信リンクは、2つの異なる搬送周波数及び2つの異なるデジタル変調方式を使用し、2つの異なるベースバンド信号の変調に依存し、それぞれが異なる計算処理要素(CPE)からのデータを符号化することによって冗長性を提供する、請求項18に記載のDC電力送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2023年4月5日に出願された米国仮特許出願第63/457,191号に対する利益を主張する。なおこの文献の全体は本明細書において参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
信頼性が高く安全な配電システムは、人々が日常生活に依存するインフラストラクチャの解決法を提供するためのバックボーンである。最新の適用では、National Electrical Code(NEC)によって定義されたクラス4の電力システムに準拠した高電圧電力を利用することで、長距離にわたって信頼性が高く安全な電力を供給することを可能にし得る。クラス4の電力システムは、安全要件を遵守しながら、長距離にわたって大量の電力を提供する電力システムとして定義される。
【0003】
ただし、クラス4の電源システムカテゴリ内でも、様々な解決法が利用可能である。したがって、本開示では、他の既知の解決法と比較して、より安全で信頼性の高い電力を提供するクラス4の電力システムについて説明する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
このセクションは本開示の一般的な概要を提供するものであり、その全範囲またはすべての特徴を包括的に開示するものではない。
【0005】
実施形態によれば、クラス4電力システムで使用するためのDC電力送信機が提供され、DC電力送信機は、高電圧電源、高電圧電源に結合されたバスの電流を監視するように構成された電流感知回路、高電圧電源の電力出力を調整するためのスイッチを制御するために電流感知回路の出力を監視するように構成されている、安全コントローラ、安全コントローラから通信信号を受信するための通信インターフェース、通信インターフェースから通信信号を受信し、伝送路を介して通信信号を送信するように構成されている、バンドパスフィルタ、及び高電圧電源から電力出力を受信し、伝送路を介して電力出力を送信するように構成された帯域阻止フィルタを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態による、例示的な安全なDC電力供給システムの構成要素を示す。
【
図2】実施形態による、
図1に示す安全なDC電力供給システムの構成要素が、どのようにポイントツーポイントトポロジで構成され、結合された電力を供給し得るかを示す例示的な図を示す。
【
図3】実施形態による、
図1に示す安全なDC電力供給システムの構成要素が、どのようにデイジーチェーントポロジで構成され得るかを示す例示的な図を示す。
【
図4】実施形態による、単一チャネルの安全なDC電力供給システムの例示的なシステムアーキテクチャを示す。
【
図5】実施形態による、安全なDC電力供給システムに含まれる例示的な障害検出安全システムを示す。
【
図6】実施形態による、安全なDC電力供給システムに含まれる代替の例示的な障害検出安全システムを示す。
【
図7】実施形態による、安全なDC電力供給システムに含まれる代替の例示的な障害検出安全システムを示す。
【
図8】実施形態による、安全なDC電力供給システムに含まれる代替の例示的な障害検出安全システムを示す。
【
図9】実施形態による、安全なDC電力供給システムの代替の例示的なマルチドロップ実装を示す。
【
図10】実施形態による、
図9に示される安全なDC電力供給システムのマルチドロップ実装において非同期スロット通信を提供するように構成された通信信号の例示的な描写を示す。
【
図11】実施形態による、
図9に示される安全なDC電力供給システムのマルチドロップ実装において同期スロット通信を提供するように構成された通信信号の例示的な描写を示す。
【
図12】実施形態による、安全なDC電力供給システムに含まれるRF通信サブシステムの例示的なシステムアーキテクチャを示す。
【
図13】実施形態による、安全なDC電力供給システムにおける障害電流制限を検出するための電流の量に対する電流継続時間をプロットした例示的なグラフを示す。
【
図14】実施形態による、
図13に示される障害電流制限検出を実装するように構成された安全なDC電力供給システムの例示的なシステムアーキテクチャを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に説明する方法、装置、システム、及び他の特徴は、多くの異なる形式で具体化され得る。しかし、図示された構成要素のすべてが必要となり得るわけではなく、いくつかの実施態様には、本開示で明示的に説明されているものの追加の、異なる、またはより少ない構成要素が含まれる場合がある。構成要素の配置及び種類の変更は、本明細書に記載の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく行われ得る。さらに、論理演算の追加、削除、または再配置及び順序を含む、説明したプロセスの変更は、本明細書に記載の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく行われ得る。
【0008】
クラス4電源システムは、クライアントがデバイスにリモートで電力を供給する方法を変更して、より優れた安全レベルと電力効率を利用することができる。クラス4電源システムには、低電力クラスのような電力制限がなく、最大電圧は450Vだが、安全性を最優先に考慮して設計されてもいる。電源/送信機及び/または受信機に実装された安全回路(複数可)は、クラス4電力システムの電力供給を制御し、障害を監視し、障害事象の間に利用可能なエネルギーと電力を制限する。
【0009】
Underwriters Laboratories(UL)が最近、UL1400-1及びUL1400-2を発行し、これらの文書がどちらもANSIプロセスを通じて提出され、規格となっている。UL1400-1は障害管理電源システム(FMPS)の要件を定義し、UL1400-2はクラス4回路ケーブルの評価に関する安全上の考慮事項と基準を説明する。
【0010】
FMPSは、NFPA/NECのクラス4指定に関連付けられている。これは、かなり異なる方法で感電や火災の危険から保護する、障害エネルギーが制限された電源である。配線の障害を継続的に監視し、障害が検出された場合(例えば、誰かが動作中に露出した配線に誤って触れた場合)、障害エネルギーを安全なレベルに制限することにより、直ちに自動的に電力を遮断する。
【0011】
FMPSには電力制限がなく、数百ワットの電力を安全に供給できるため、業界は以前は100Wの電力レベル(クラス2など)または100メートルの距離に制限されていた(例えば、Power over Ethernet(PoE)の距離制限) ケーブルを使用して、より高いレベルで長距離、電力をサポートできるようになる。例えば、18AWGワイヤのペアを使用すると、FMPSシステムは2kWで400m、または400Wで2000mを伝送し得、どちらも70%を超える効率で伝送し得る。FMPSは、接触しても安全であるように設計されている。FMPSは接続配線を継続的にスキャンして、障害の存在を検出する。障害が安全ガイドラインの範囲内で存在する場合、回路が開き、心室細動現象を防止する。
【0012】
FMPSを使用すると、ケーブル導管を必要とせずに、集中リモート電源管理と配電、電力測定、及び電源バックアップが可能になる。クラス2DC電源(ESLV電源、PoEなど)と比較して、クラス4のDC電源(最大450VのDC)は、より細い銅導体を使用して、より長い距離にわたってより多くの電力を供給できる。
【0013】
本開示は、信頼性の高い、安全な高電圧DC電力供給及び配電を提供するために、本明細書に記載される基準を満たすように構成された、強化されたFMPSの実施形態を採用し得る、新規な障害検出及び管理解決法について説明する。説明した解決法は、高電圧単一ペア導体ケーブル上で機能安全定格のRF通信リンクを統合するために使用される様々な技術と方法を示している。本明細書で実証するこれらの技術の実装は、NECが定義するクラス4電源システムの要件を満たすことを意図しており、さらに、長距離にわたって大量の電力を供給しながら、時間とコストの大幅な節約をもたらす、より安全でより信頼性の高い、設置が簡単な電力供給システムのため、UL規格1400-1及び/または1400-2に準拠するように設計されている。
【0014】
直流をオン/オフ間隔にチョッピング(つまり、パルス化)することに依存し、別のパルスを送信し得る前に各間隔で障害状態をテストするクラス4の電力を供給するためのパルス電力またはパルス電流システムとは異なり、高電圧をチョッピングすることなく、電源(送信機)から標準の多導体銅ケーブルを介する負荷(受信機)までの直流電流の供給を、本解決法が制御する。受信機は、高電圧直流をクライアントに適用可能な電圧(例えば、+/-57VDC)に変換し、複数のエンドデバイスに電力を供給するために使用できる。本開示の目的のために、この解決法は安全DC電源(SDCP)及びSDCP供給システムと呼ばれる。
【0015】
SDCP供給システムは、例えば、1)人のケーブルとの接触、2)ケーブルの短絡、3)ケーブルの切断、4)不足電圧の場合、5)過電圧の場合、または6)負荷の切断を含む、様々な障害インシデントについて伝送路をチェックする障害検出回路の冗長性を実装する。障害が発生した場合、送信機は受信機(複数可)と連携して線電流の変化を検出し、非常に短時間のうちに送信機の高電圧電源を切断する。安全超低電圧(SELV)の値(またはUL1400-1で定義されている「放出」制限に達していない値)は、伝送路が安全であることを確認するために参照され、その後高電圧電力を再度有効にし、安全切断行為が続くようにし得る。これにより、銅導体に触れても安全になり、設置が簡素化され(ケーブル導管が不要、認定電気技術者が不要など)、配備する時間とコストが削減される。SDCP供給システムは、本明細書で説明する解決法を採用して、高電圧電流のチョップアップに依存するパルス解決法と比較して、より高い電力効率を提供し、スイッチングのストレスとノイズを低減する。
【0016】
SDCP供給システムでは、単一または複数の周波数のRF通信信号を同じ伝送路に重畳して、スケーラブルで管理性の高い配電システムでのシステムの安全性、管理、制御、及びデータ報告を可能にする機能を提供し得る。
システムアーキテクチャ
【0017】
図1は、例示的なSDCPシステム100を示しており、それは、3つの主要な要素、すなわち、DC電力送信機(DC-PTX)1(すなわち、送信機側1)、DC電力受信機(DC-PRX)2(すなわち、受信機側2)、及び電力伝送路(PTL)3からなる。
図1に示すSDCPシステム100は、単一の密閉されたポイントツーポイントSDCPシステムの例である。しかしながら、SDCPシステム100は、集中管理ポイントの下でより密閉されたシステムと接続するように拡張され得る。例えば、1つのSDCPシステムには、単一ペアのPTLを介してポイントツーポイント方式でDC-PRXチャネルに接続する最大48個のDC-PRXチャネルが含まれる場合がある。
【0018】
SDCPシステム100はまた、
図2に示すように、より高い出力電力をサポートするために、いくつかのDC-PRXチャネルを組み合わせることもサポートし得る。集積電力結合回路4は、n個の制御出力スイッチ、n個の逆電流/極性阻止/保護コントローラ、n個の負荷共有コントローラ、及びエンプロイの高度な負荷起動アルゴリズムを含み得、この場合nは整数である。
図2に示すように、負荷5は、統合された電力結合回路4の出力に接続され、結合された電力を受信し得る。
【0019】
DC-PTX1とDC-PRX2との間の相互接続は、ポイントツーポイント回路結合トポロジに限定されない場合があり、
図3に示すような「バスまたはマルチドロップ」トポロジに従って結合してもよい。DC-PTX1とDC-PRX2を、このような
図3に示すようなデイジーチェーン回路接続トポロジで接続する場合、単一のDC-PTX1はn個のDC-PRX2チャネルを駆動し得る。各DC-PRX2チャネルは、RF通信リンクを介してSDCPシステム100の起動時に割り当てられる固有のアドレスでアドレス指定され得る。
【0020】
図4は、SDCPシステム100における単一チャネルのより詳細な例示的なシステムアーキテクチャを示す。このシステムアーキテクチャには、PTL3を介して高電圧電力とRF通信データを重畳するサブシステムが含まれている。
【0021】
図4に示す詳細なシステムアーキテクチャでは、DC-PTX1の一部である構成要素が対応する点線の中に示されており、DC-PRX2の一部である構成要素が対応する点線の中に示されている。PTL3は、依然として、DC-PTX1とDC-PRX2の間で信号を送信するための接続として示されている。
【0022】
DC-PTX1には、プログラム可能な電流制限器を備えた高電圧電源(PSU)6が含まれている。PSU6への入力電源はAC電源またはDC電源であり得る。PSU6の出力は最大±225VのDCで、電流が制限されており、PSU6の出力は1つ以上の高電力スイッチ(複数可)7を介して冗長CPE8によって直接制御される。
【0023】
スイッチ7からの出力は、DC-PTX1の線電流を継続的に監視する高精度の電流感知回路9に供給される。電流感知回路9は、バスのハイサイド、ローサイド、または両側の電流を監視するために利用できる。電流感知回路9から出力されたデータは、CPE8によって、リアルタイムで分析される。
【0024】
電流感知回路9の電力出力は、高電圧、高電力、非常に狭帯域の共振帯域阻止フィルタ10に供給される。帯域阻止フィルタ10は、高電力及び高電圧の共振インダクタ及びコンデンサから構成され、RF通信搬送周波数では非常に高い特性インピーダンス(ノッチ)を設け、それ以外の場合は非常に低いインピーダンスを設けてもよい。この帯域阻止フィルタ10がなければ、RF信号はシステムのバルク静電容量によって分路されることになる。
【0025】
帯域阻止フィルタ10の出力は、PTL3に直接接続される。RF通信信号は、差動、高電圧、狭帯域、共振バンドパスフィルタ12を介して同じPTL3に重畳される差動信号である。バンドパスフィルタ12は、一次回路(HV)及び二次(LV)回路の間に3KV強化絶縁障壁を設け、DC成分を遮断するために使用される高電圧共振インダクタ及びX1Y1コンデンサから構成され、フィルタ帯域の低電圧、高周波成分のみが、RFフロントエンドで確認できるようにする。
【0026】
通信信号は、CPE8によって符号化または復号化され、RF変調器/復調器11を使用して単一搬送波または複数搬送波周波数を介して変調または復調される。通信信号は、スケーラブルで管理可能な配電システムのシステムの安全性、管理、制御、及びデータ報告の手段を提供する。RF変調器/復調器11のより詳細なシステムアーキテクチャについては、本開示で後述する。
【0027】
DC-PRX2は、帯域阻止フィルタ10、RF変調器/復調器11、及びバンドパスフィルタ12を含む、DC-PTX1に含まれるのと同じ要素の多くを含む。DC-PRX2の電流感知回路13は、DC-PTX1の電流感知回路9と同様であるが、電流感知回路13は、電源の最大電流ではなく負荷の最大電流に対して調整される。電流感知回路13は、バスのハイサイド、ローサイド、または両側の電流を監視するために利用され得る。
【0028】
計算処理要素(CPE)14は、電流感知回路13から受信したリアルタイムデータを分析し、RF変調器/復調器11の通信信号の符号化及び復号化を実行し、DC-PRX2の電力変換を制御する。CPE14は、本明細書でより詳細に説明するように、安全感知及び制御用に構成されている。
【0029】
回路構成要素15(例えば、ダイオード)は、DCバスバルクコンデンサ16から放出される逆電流を阻止するために使用される。回路構成要素17(例えば、SELVを含む)は、高電圧電力を再び有効にする前に線路が安全であることを確認するためにPTL3に安全超低電圧(SELV)を加えるために使用される。回路構成要素18は、回路構成要素17(例えば、SELVを含む)がアクティブである場合にのみアクティブであり、システム障害検出回路を確認するための基準負荷として使用される。回路構成要素17(例えば、SELVを含む)は、回路構成要素18と共に、SDCPシステム100のテスターのテスト機能、システム検証機能、及び負荷存在機能を設ける。回路構成要素18は、基準負荷構成要素を含む。
【0030】
スイッチ19は、初期化中のシステムの校正/確認のため、また通常動作中のシステムの検証/テスターのテスト機能のために負荷を切断するために使用される。回路構成要素18は、スイッチ19とともに、SDCPシステム100の初期化中及び通常動作中に、システムの校正/確認機能を提供する。
障害検出
【0031】
図5は、送信機側1-1及び受信機側2-1を含む例示的なSDCPシステム500のハイレベルアーキテクチャの図を示し、SDCPシステム500の安全障害検出機能に関与する構成要素を示す。送信機側1-1には、主要な安全関連機能を実装するための構成要素が含まれている。これらの機能は、例えば、1)人のケーブルとの接触、2)ケーブルの短絡、3)ケーブル/負荷の切断、4)不足電圧の場合、5)過電圧の場合、6)過負荷の場合、または7)アーク事象を含む様々な障害インシデントについてPTL3をチェックする障害検出回路を採用している。ケーブルとの接触などの障害の状態では、送信機側1-1は受信機側2-1と連携してPTL3の電流変化を検出し、高圧電源6を瞬時に遮断する。
【0032】
送信機側1-1は、安全超低電圧(SELV)電源17を採用しており、SELV電源17は、システムの初期化中及びSDCPシステム500の障害回復プロセス中に有効にされて、受信機側2-1の存在を確認し、RF通信リンクを確立し、PTL3の安全状態を確認してから、高電圧電源6を有効にする。冗長電源スイッチ7を介して高電圧電源6を有効/無効にするために使用される安全レベル制御。電流感知回路9とSELV電源17の両方を制御する安全信号は、計算処理要素(CPE)8によって処理される。CPE8は、個別のハードウェア、機能安全認定プロセッサ、またはプログラマブル論理回路に基づき得る。CPE14は、本明細書でより詳細に説明するように、安全感知及び制御用に構成されている。
【0033】
通信リンクが確立され、受信機側2-1がその存在と完全性を確認すると、送信機側1-1は受信機側2-1にPTL3の状態確認プロセスを開始するように命令する。このプロセスには、校正済み基準回路構成要素18(例えば、基準負荷)は、システムの最小電流検出分解能に等しい電流をシンクする。電流感知回路9は、PTL3を通る給電電流を監視し、電流感知回路13は、回路構成要素18(例えば、基準負荷)によるシンク電流を監視する。電流感知回路9及び電流感知回路13のデータ出力は、それぞれの送信機側1-1及び受信機側2-1のCPE8及びCPE14によってリアルタイムで分析される。スイッチ19は確認段階で切断される。
【0034】
システム検証プロセスは、事前に定義された期間にわたって継続される。この間、リアルタイムで分析されたデータは、CPE8及びCPE14によって符号化/復号化され、また、それぞれの送信機側1-1と受信機側2-1の両方でRF変調器/復調器11によって変調/復調される。CPE8は、他のシステムメトリクスに加えて電流感知データを両側(つまり、送信機側1-1と受信機側2-1)から分析することで、さらなるステップを実装し、システムの完全性、妥当性、安全性の基準がすべて満たされていることを確認する。
【0035】
確認が完了すると、CPE8は、CPE14に、回路構成要素18(例えば、基準負荷)を無効にし、通信リンクを介した受領通知及び電流感知回路9を介して受信される給電電流の監視によって無効になるまで待機するように命令する。その後、SELV17は無効にされ、高電圧電源6は有効にされる。ここで、SDCPシステム500は、受信機側2-1がスイッチ19を閉じることによって負荷5に電力を供給できる通常動作モードに切り替えられる。
【0036】
通常動作モードでは、両端のSDCPシステム500は、電流感知回路9がPLT3を介して給電電流を監視し、電流感知回路13が負荷5によるシンク電流を監視するいずれかの障害状態についてリアルタイムで監視される。電流感知回路9及び電流感知回路13のデータ出力は、それぞれCPE8及びCPE14によってリアルタイムで分析される。CPE14は、分析されたデータを符号化し、RF変調器/復調器11は、次いで動的に割り当て/割り当てられた通信スロットで送信機側1-1に通信されるデータを変調する。送信機側1-1側のRF変調器/復調器11は、受信機側2-1に送信するデータを変調し、受信機側2-1から受信したデータを復調する。CPE8は、受信した監視データを処理し、それをローカル監視データと比較する。高電圧電源6によって供給されるリアルタイム電流が負荷5によるシンク電流と等しい場合、通常の動作が継続する。そうでない場合、CPE8は高電圧電源6を遮断し、システム検証モードに戻る。上掲の7つの障害インシデントのいずれかがまた、システムの電源をバックオフし、システム検証モードに切り替え得る。
【0037】
通常動作モードでは、送信機側1-1と受信機側2-1は、確認モードに戻ることなく、共同してテスターのテスト(TtT)手順を実行する。TtT手順は、オンザフライシステム診断手順を実行することにより、安全性確認の別の層を追加する。この手順は、各通信サイクルにおいて動的に割り当てられた通信スロットを利用して、非常に短い時間の間、回路構成要素18において校正済み基準負荷(例えば、基準負荷)を導入する。回路構成要素18(例えば、基準負荷)は、スイッチ19を切断しながら、及び/またはスイッチ19を切断せずに導入される。3つの例示的なシナリオがある。
【0038】
1)回路構成要素18(例えば基準負荷)は導入されず、スイッチ19が接続される。電流感知回路9及び電流感知回路13は両方とも負荷5の電流のみを感知するべきである。
【0039】
2)回路構成要素18(例えば、基準負荷)が導入され、スイッチ19が接続される。電流感知回路9及び電流感知回路13は両方とも、負荷5と回路構成要素18(例えば、基準荷重)の電流の合計を感知すべきである。または、
【0040】
3)回路構成要素18(例えば、基準負荷)が導入され、かつスイッチ19が切断される。電流感知回路9及び電流感知回路13は、回路構成要素18(例えば、基準負荷)のみを感知すべきである。
【0041】
受信機側2-1は、検証のためにそのスロットでデータを送信機側1-1に通信する。通信スロット及びサイクルのさらなる詳細については、以下の通信リンクセッションで挙げる。
冗長電流感知による拡張障害検出
【0042】
図6は、線路の両側(例えば、送信機側と受信機側)に継続的な電流監視を追加することにより、
図5に示す安全システムを拡張したSDCPシステム600の例示的なシステムアーキテクチャを示す。SDCPシステム600は、送信機側1-2及び受信機側2-2を備える。
【0043】
この解決法は、
図5の解決法と同様の方法で機能する。ただし、電流はシステムの両側のバスのハイサイドとローサイドで、送信機側1-2(冗長電流監視回路9)と受信機側2-2(冗長電流監視回路13)で監視される。
【0044】
SDCPシステム600のこの拡張された概念の利点は、ハイサイド及びローサイドのリアルタイム電流データが分析されて、送信機側1-2及び/または受信機側2-2のいずれかの漏れ電流を検出することである。さらに、この概念は、CPE8が受信機側2-2から受信したハイサイド及びローサイドの電流データを送信機側1-2のデータと比較するように、電流監視回路9及び13に自然な冗長性を追加する。SDCPシステム600が安全であると判断するためには、両側が一致していなければならない。
【0045】
システムの冗長性による拡張された障害検出
図5及び
図6に示されている概念は、1OO1(1-out-of-1)アーキテクチャを実装する。より良好な時間内障害率(FIT)及び/またはより高い安全度水準(SIL)率を達成するために、
図7に示すようにSDCPシステム700に冗長性を導入することができる。例えば、SIL3は、1OO2(1-out-of-2)アーキテクチャの2つのSIL定格CPEで実現できる。
【0046】
H1を達成するには、システムアーキテクチャを個別方式または協調方式で実装できる。
図7は、SDCPシステム700における冗長性のための1OO2協調方式を示す。
図8は、SDCPシステム800における冗長性のための1OO2個別方式を示す。
【0047】
図7の1OO2協調方式は、送信機側1-3に2つのCPE8を使用し、受信機側2-3に2つのCPE14を使用する。CPE8、14のそれぞれは、DCバスのハイサイドとローサイドで高精度電流感知回路9、13にそれぞれインターフェースされている。
【0048】
受信機側2-3では、バスのハイサイドとローサイドのリアルタイム電流感知データストリームが、最初にCPE1 14の両方、次にCPE2 14によって分析される。次に、共同的なデータ検証のために、結果が2つのCPE14間で共有される。両方からの結果がCPE2 14に割り当てられ、符号化されて送信機側1-3に通信される。
【0049】
一方、送信機側1-3が同じ手順を実行するが、受信機側2-3のCPE1 14及びCPE2 14が解析したデータをCPE1 8及びCPE2 8の両方が受信し、両方のCPE8が比較を実行して協力して決定を下す点が異なる。決定した結果は、実行するために、その後CPE2 8に割り当てられる。
【0050】
図8の1OO2個別方式は、2つの独立したチャネルを採用している。各チャネルは個別の分析と決定を行う。それぞれの結果は、次いでハードウェア意思決定ロジックにマッピングされ、SDCPシステム800が確実に動作し、安全な状態にあると両方の個別のサブシステムが同意した場合に、及び同意した場合にのみ、高電圧電源6を有効にしておく。そうでない場合、高電圧電源6は即座に無効になり、SDCPシステム800は確認モードに戻る。
【0051】
SDCPシステム800で使用される1OO2個別方式はまた、同じワイヤ対の2つの独立した通信チャネルを利用する。両方の通信回線チャネルが同じ伝送路を利用することを考えると、各チャネルのデータは独立して別々に保たれるべきである。これを行うために、2つのチャネルで次の実施態様のいずれかを使用してもよい。
【0052】
単一搬送周波数及び2つの異なるデジタル変調方式。
【0053】
2つの異なる搬送周波数(f1/f2)、及び1つのデジタル変調方式。または、
【0054】
2つの異なる搬送周波数(f1/f2)、及び2つの異なるデジタル変調方式。
【0055】
上記の実施態様のさらなる詳細については、以下の通信リンクのセクションで説明する。
マルチドロップバス及びスロット通信リンクを備えた拡張設計
【0056】
図9は、前述の実施形態で実証された概念に基づいて構築されるSDCPシステム900のマルチドロップシステムの実施態様を示す。マルチドロップSDCPシステム900は、シングルマスター、マルチスレーブ構成トポロジを実装する。通信リンクはスロット通信プロトコルを採用しており、受信機側2-5の各スレーブは、動的通信ウィンドウ内部で事前定義または割り当てられた通信スロットを利用してデータを通信する。
【0057】
図10及び
図11は、それぞれ、非同期のスロット通信機能及び同期のスロット通信機能を利用する通信信号35、40の例示的な表現を示す。通信信号35、40の通信スロット36は、非同期通信モードではマスターによって割り当てられるか、同期通信モードでは事前に定義される。しかしながら、通信ウィンドウ37は、バスに接続されたノードの数に依存する通信リンク帯域幅を最大限に活用するために、両方のモードで動的に調整される。
【0058】
図10に示す通信信号35は、実施形態によれば、非同期通信モードで利用されている。非同期通信モードは、送信機側1-5のマスターが、受信機側2-5の特定のスレーブノードに通信スロット36を割り当てるものとして定義される。各ノードには固有のIDがある。スレーブノードは、マスターからノード宛の問い合わせを受信すると、データを通信する。
【0059】
図10は、マルチドロップシステムアーキテクチャにおいて非同期スロット通信を利用する通信信号35の例示的な表現を示す。「アイドル時間」(t
idl)は、伝播遅延、許容係数を考慮し、いずれかの通信衝突の可能性を減らすために、ウィンドウの最初と最後に使用される。「問い合わせスレーブ」(t
qry)は、特定のノードをアドレス指定してデータを要求するためにマスターによって送信されるコマンドである。「スレーブの処理」(t
pcs)は、マスターによって要求されたデータをスレーブノードが処理するのに必要な時間である。「スレーブの処理」(t
rsp)は、マスターがアドレス指定されたノードから受信したデータを受信して処理するのに必要な時間である。「スロット時間」(t
slot)は、スロットの処理を実行する時間の合計である。
【0060】
スロットの数はノードの数次第である。各スロットの時間はノードの数に基づいて動的に調整される。すべてのスロットに必要な合計時間(tcycle)は、電流継続時間にわたって電流の値を安全に供給するために定義された「障害電流制限曲線」の「電流継続時間」を超えるべきではない通信リンクウィンドウ時間37である。
【0061】
最後のスロット38は、各サイクルの終わりに実行されるTtT手順に割り当てられる。これは、SDCPシステム900が「障害電流制限曲線」によって定められる時間内に各サイクルで自己検証されることを意味する。このサイクルは連続的であり、ループ39で繰り返される。
【0062】
サイクルが完了すると、マスター送信機側1-5は受信データを蓄積し、それを基準ソースデータ(電流)と比較する。シンク電流がソース電流と一致しない場合、マスターは高電圧電源6を切断し、システム検証モードに切り替わる。
【0063】
同期通信モードは、マスターが各サイクルの最初のスロットでブロードキャスト信号を送信し、それに対して同期するすべてのノードをアドレス指定するものとして定義される。すべてのノードは、事前定義されたスロットでデータを通信する。
【0064】
図11は、マルチドロップシステムアーキテクチャにおいて非同期スロット通信を利用する通信信号40の例示的な表現を示す。すべてのノードは、通信リンクを介してマスターによって生成される同期信号に同期される。同期信号は通信ウィンドウ37の最初のスロット41(t
sync)に割り当てられる。これは、すべてのノードが各サイクルで同じクロック信号に厳密に同期していることを意味する。「アイドル時間」(t
idl)は、伝播遅延、許容係数を考慮して、いずれかの通信衝突の可能性を減らすために、ウィンドウの最初と最後に使用される。「スレーブがデータを通信」(t
scd)は、通信リンクを利用してデータを送信するノードである。すべてのノードが同期されており、通信スロットが事前に割り当てられているため、マスターからの問い合わせは必要ない。最後のスロット38(t
tester)はTtTプロシージャに割り当てられる。このサイクルは連続的であり、ループ39で繰り返される。
【0065】
同期通信モードは、問い合わせコマンドを追加せずに各ノードが独立してデータをマスターに送信するため、帯域幅という点で、より効率的である。すべてのノードはまた、システムの初期化段階で同期される。SLEVソースが有効になっているとき、通信リンク上のすべてのシステムコンフィギュレーションコマンドは初期化段階で実行しなければならない。ユーザーデータ、メンテナンスデータ、システム情報なども通常動作モードで実行されるが、最優先事項が安全データの通信に割り当てられる。
通信リンク
【0066】
図12は、本明細書で説明されるSDCPシステムのうちの任意の1つまたは複数に含まれ得るRF通信サブシステム1200の例示的なシステムアーキテクチャを示す。通信信号は、スケーラブルで管理可能な配電システムのシステムの安全性、管理、制御、及びデータ報告をもたらす手段を提供する。RF通信信号は、差動高電圧狭帯域共振バンドパスフィルタ12を介して、同じPTLに重畳される差動信号である。バンドパスフィルタ12は、一次及び二次回路の間に3KV強化絶縁障壁を設け、DC成分を遮断するために使用される高電圧共振インダクタ及びX1Y1コンデンサから構成され、フィルタ帯域の低電圧、高周波成分のみが、RFフロントエンド11で確認できるようにする。
【0067】
図12は、RF通信フロントエンド11のサブシステムを示す。差動RF信号は、RF通信帯域にわたって10KΩ~15KΩのCMインピーダンスとゼロに近い差動インピーダンスを設けることによっていずれのCM干渉をもブロックする電流補償型コモンモード(CM)除去フィルタ22で、RFフロントエンド11に接続される。
【0068】
RFフロントエンド11はまた、ケーブルの特性インピーダンス及びデイジーチェーンの使用事例においてバスに接続されたマルチドロップポイントの数に応じて、伝送路インピーダンスに整合するように調整できる、整合及び同調ネットワーク23を含む。
【0069】
RFフロントエンド11はまた、高次の選択的アクティブ通過帯域フィルタ24、多段、完全差動入力、低雑音増幅器25、及び多段RF復調器26を含む。復調された信号は、動的基準を提供するために時間変化する遅延を有する自己バイアス弁別器27に供給される。デジタル化された信号は、ビットバンギングアルゴリズムを使用してデータを復号化する同期デコーダ28に供給される。復号化されたデータは分析され、その後データ記憶装置29(例えばメモリ)に記憶される。
【0070】
データ送信の場合、バイナリデータはデータ記憶ユニット30(例えば、データ記憶ユニット29と同じであり得る)からCPEに供給され、それはバイナリデータ31を符号化し、対応するベースバンド周波数及び搬送周波数を生成する。RFフロントエンド11はまた、符号化データを変調する多段RF変調器32を含む。
【0071】
多段RF変調器32からの変調データは、単方向差動デジタル線路ドライバ33に供給され、次に差動高Q共振バンドパスフィルタ34に供給される。バンドパスフィルタ34からの出力は、平衡変調されたRF信号である。
【0072】
RF通信信号の符号化/復号化と変調/復調は、「システム冗長性による検出」のセクションで説明されている冗長性と信頼性の理由から、多段階で実行される。単一搬送周波数またはマルチ搬送周波数は、RF復調器26及び/またはRF変調器32によって使用される。2つの異なる実施態様が考慮される。
【0073】
1.単一搬送周波数及び2つの異なるデジタル変調方式。
【0074】
2.異なる2つの搬送周波数(f1/f2)及び異なる2つのデジタル変調方式。
単一搬送周波数及びマルチ変調方式
【0075】
この実施態様は、2つの異なるベースバンド信号を変調することに依存しており、それぞれが単一の搬送周波数を使用して、異なるCPEからのデータをエンコードする。これは、FSK(周波数偏移変調)またはPSK(位相偏移変調)の変調方式によって1段目の搬送波を変調することによって行われる。2段目では、1段目の搬送波信号の変調バージョンに対してASK(振幅偏移変調)の変調方式が実行される。結果として、最初のメッセージデータは周波数または位相変調され、2番目のメッセージデータは振幅変調される。受信機側で2つのメッセージを抽出するには、ASK復調器とFSK復調器を使用して、メッセージを同時に抽出する。
【0076】
この実施態様では、単一の搬送周波数上で2つの独立したデータチャネルが提供され、1OO2協働方式に最適である。
【0077】
マルチ搬送波及びマルチ変調方式
この実施態様は、2つの異なるベースバンド信号の変調に依存しており、それぞれが2つの異なる搬送周波数と異なる変調方式を使用して、異なるCPEからのデータをエンコードする。FSK(周波数偏移変調)、PSK(位相偏移変調)、またはASK(振幅偏移変調)の変調のいずれかが、第1の搬送波及びベースバンド信号に適用される。第2の搬送波とベースバンド信号は、3つのうち第1の搬送波に使用されていない1つで変調される。受信機側で2つのメッセージを抽出するには、2つの別個のバンドパスフィルタと復調器を使用して、メッセージを同時に抽出する。
【0078】
この実施態様では、2つの異なる搬送波上に2つの独立したデータチャネルが設けられ、1OO2の個別方式に最適である。この実施態様はまた、最初の実施態様に比べて冗長性の点で利点がある。
【0079】
概念の実装
図13は、本明細書で説明される解決法のいくつかの実施形態による、クラス4電力供給システムのUL1400-1「障害電流制限曲線(mA)」の実装を示すグラフ1300を示す。
図14は、この概念の高レベルの実装を示している。システムの電源電圧リファレンス(6)±210VのDC(420VのDC)の設定の場合、障害電流制限期間は次のように計算できる。
【数1】
式中、HBM
ResはUL 1400-1で定義されている人体の抵抗である。HFは心臓の要因である。
【0080】
D=22ミリ秒は、指定されたパラメーターの許容期間である。つまり、tサイクル37は≦22msに制限されるべきである。つまり、システムは22ミリ秒以内に障害に応答するべきである。
【0081】
UL1400-1では2KΩHBM
Resが必要である。十分なマージンを備えた堅牢なシステムを設計するために、HBM
Resが少なくとも21倍→21KΩであると仮定する。接触の結果としての障害電流は次のように計算できる。
【数2】
【0082】
システムが最大882Wを供給するように設計されていると仮定すると、これは420Vでの負荷電流が2100mAであることを意味し、システム全体の最大許容電流感知誤差は次のように計算できる。
【0083】
【0084】
10mΩ/0.1%許容差/25ppmの精度の感知抵抗が使用された場合、ノードごとの電流感知誤差は次のように計算できる。
【数4】
【0085】
測定誤差がI
接触=21mA×0.05=±1.05mAの±5であると仮定する。これは±10μVに変換される。±10μVまでの測定精度を得るには、ADCの有効分解能を次のように計算するべきである。
【数5】
【0086】
実際の例として、24ビットのデルタシグマ(ΔΣ)ADCであるADS131M04は、64kbpsのサンプリングレート及び32の利得で、13.7ビットに相当するフルスケールレンジ(FSR)±1.2V/利得及びERを有する。
【0087】
本明細書で説明するSDCPシステムは、安全な高電圧DC電力の供給及び配電のための信頼性の高い障害検出及び管理方式を提供する。これらの解決法の実装は、より安全でより信頼性が高く、設置が簡単な電力供給システムのためのUL規格1400に準拠するように設計されたクラス4の電力システムの要件を満たしている。
【0088】
本明細書で説明されるSDCPシステムはまた、高電圧単一対導体ケーブル上でSIL(安全性完全性レベル)定格のRF通信リンクを統合するために使用される様々な技術及び方法を採用する。
【0089】
システム完全性自己チェック(テスターのテスト)方式を、SDCPシステムに組み込み、初期化段階及び通常の動作中にシステムの信頼性と完全性を検証してもよい。
【0090】
負荷存在機能をSDCPシステムに組み込んで、負荷/ノードの存在と、初期化段階及び通常動作中にシステムに接続されているノードの数を検証してもよい。
【0091】
初期化中に、伝送路安全チェック方式をSDCPシステムに組み込んでもよい。動的及びスロット通信リンクもSDCPシステムに組み込んでもよい。単一ペアの電力導体を介した冗長データ通信のために、2つの異なるRF通信方式をSDCPシステムに組み込んでもよい。また、システムの校正及び検証機能をSDCPシステムに組み込んでもよい。
【0092】
システムレベルでは、本明細書で説明するSDCPシステムは、安全な高電圧のDC電力供給及び配電システムを設けるための障害検出及び管理方式を提供する。これらのSDCPシステムは、クラス4電源システムの要件を満たし、より安全でより信頼性が高く、設置が簡単な電力供給システムのためのUL規格1400-1に準拠している。電力(電圧及び/または電流)をパルス/チョッピングすることなく、電源(送信機)から標準の多導体銅ケーブルを介して負荷(受信機)までの高電圧直流(DC)供給を制御する。複数のシステムのネットワーキングインターフェースをデイジーチェーン接続して、システムの電力供給能力を拡張し、インフラストラクチャの統合管理と制御を行うことができる。DC電力送信機(DC-PTX)、DC電力受信機(DC-PRX)、及び電力伝送路(PTL)という3つの主要な要素で構成される。各トランスミッタは、ポイントツーポイント方式で1つの受信機に接続することも、「バスまたはマルチドロップ」トポロジで複数の受信機に接続することもできる。受信機は、高電圧直流をクライアントに適用可能な電圧(例えば、+/-57VDC)に変換し、複数のエンドデバイスに電力を供給するために使用できる。受信機は、制御された出力スイッチ、逆電流保護コントローラ、負荷共有コントローラ、及び高度な負荷起動アルゴリズムを統合する電力結合回路を通じて、より高い出力電力をサポートするために結合される複数のチャネルをサポートする。システムは2つの異なるモード、つまり1)システム初期化及び確認モード、2)通常動作モードで動作する。伝送路の安全性チェック、DC-RTXの存在チェック、及びシステム完全性自己チェックが、初期化中及び通常動作中に実行される。安全超低電圧(SELV)電源と校正済み基準負荷が、システムの初期化及び/または障害回復中に有効になり、基準(2)の存在を確認し、RF通信リンクを確立し、基準(3)の安全状態を確認してから、高電圧源を有効にする。また、システムには冗長障害検出回路が実装されており、より優れた時間内障害率(FIT)及び/またはより高い安全度水準(SIL)率を実現する。
【0093】
本明細書で説明するSDCPシステムは、初期化中に、DC-PTX側の安全超低電圧(SELV)電源17(UL1400-1で定義されているように、「放出」制限に達していない値)、及び高電圧電力を有効にする前に、PTLが安全であることを確認するために、DC-RTX側の校正済み回路構成要素18(例えば、基準負荷)が使用されることを含む、伝送路の安全チェックをさらに提供する。校正済み回路構成要素18(例えば、基準負荷)は、固定またはプログラム可能な負荷とすることができる。高電圧電源を有効にする前に、SELV17はPTL電圧を、受信機側2の制御及び通信回路に電力を供給するSELV値に設定する。送信機側1は、受信機側2にピングして、校正済み基準電流をシンクする校正済み回路構成要素18(例えば、基準負荷)を導入する。受信機側2は、電流感知回路13を介して電流をシンクする校正済み回路構成要素18(例えば、基準負荷)を監視し、そのデータを送信機側1に通信する。送信機側1は、電流感知回路9を介してPTL給電電流を監視する。また、送信機側1はすべての測定値を比較してPTLステータスを確認する。
【0094】
本明細書で説明するSDCPシステムはさらに、負荷存在機能が設計に組み込まれ、初期化段階及び通常動作中にシステムに接続されているDC-RTXノードの存在と数を検証し、SELV17が、校正済み回路構成要素18(例えば、基準負荷)と共に、DC-RTXチェックの存在も提供し、初期化中に、送信機側1が、校正済み回路構成要素18(例えば、基準負荷)の所定の負荷の値を測定することによってPTL3ステータスを検証した後、DC-RTXの存在を検出し、また送信機側1も通信リンク応答を介してDC-RTXの存在を検出することを含むDC-RTXチェックの存在を提供する。
【0095】
本明細書で説明されるSDCPシステムはさらに、PTLステータスの安全性チェック及び/またはDC-RTXの存在のチェックの前後に実施され、定義された帯域幅でのデータ通信に関するいずれかの問題について、通信リンクのサービスの質を検証し、SELV17を介してSELV校正済み電圧レベル(複数可)を使用し、校正済み回路構成要素18を介して校正済み負荷(複数可)(例えば、基準負荷)を導入することによって、システムの精度を検証し、また両端の測定データが一緒に比較され、及び/または事前定義された基準値と比較されることを含む、初期化中のシステム完全性自己チェック(テスターのテスト)を提供する。
【0096】
本明細書で説明されるSDCPシステムはさらに、送信機側1と受信機側2が、確認モードに戻さずにオンザフライシステム診断を行うことによりテスターのテスト(TtT)を集合的に実行し、各通信サイクルにおいて動的に割り当てられた通信スロットが、スイッチ19を介して負荷を切断して、及び/または負荷を切断せずに、非常に短時間、校正済み回路構成要素18(例えば、基準負荷)を導入するために利用され、校正済み回路構成要素18(例えば、基準負荷)が導入されず、スイッチ19が接続されている場合、電流感知回路9及び電流感知回路13は両方とも負荷電流のみを感知すべきで、校正済み回路構成要素18(例えば、基準負荷)が導入され、スイッチが接続されるとき、電流感知回路9及び電流感知回路13は両方とも、負荷と校正済み回路構成要素18(例えば、基準負荷)との電流の合計を感知すべきであり、校正済み回路構成要素18(例えば、基準負荷)が導入され、スイッチ19が切断されるとき、電流感知回路9及び電流感知回路13が、校正済み基準負荷18の電流のみを感知すべきであり、また受信機側2は、検証のために動的に割り当てられた通信スロットでデータを送信機側1に通信することを含む、通常動作中のシステム完全性自己チェック(テスターのテスト)を提供する。
【0097】
本明細書で説明するSDCPシステムはさらに、システムが、1)人のケーブルとの接触、2)ケーブルの短絡、3)ケーブル/負荷の切断、4)不足電圧の場合、5)過電圧の場合、6)過負荷の場合、または7)アーク事象を含むがこれらに限定されない障害インシデントを検出し、ケーブルとの接触、ケーブルの短絡、またはケーブルの切断の場合、送信機側1は受信機側2と連携して、PTL3の負荷電流の変化を検出し、システム検証に切り替える前に高電圧電源6を即座に切断し、障害状態はリアルタイムで監視され、電流感知回路9はPTL3を通る給電電流を監視し、電流感知回路13は負荷5によるシンク電流を監視し、PTL3の電圧は、送信機側1と受信機側2の両方の回路によって過電圧/不足電圧の状態が監視され、電流感知回路9及び13が、1)障害検出回路に冗長性を追加するため、及び2)送信機側1及び/または受信機側2のいずれかの漏れ電流を検出するために、送信機側1及び受信機側2のバスの両側に拡張され、受信機側2からの電流監視データが、送信機側1のデータとリアルタイムで比較されることを含む通常動作中の障害検出を提供する。
【0098】
本明細書で説明するSDCPシステムはさらに、単一または複数の周波数のRF通信信号が同じ伝送路に重畳され、システムの安全性、管理、制御、及びスケーラブルな管理可能な配電システムのデータ報告の手段を提供し、高電圧安全コンデンサ及び共振インダクタから構成される差動高電圧広帯域共振バンドパスフィルタ12が、強化された絶縁をもたらし、DC成分をブロックし、チャネル選択性を提供するために使用され、高電圧コンデンサと共振インダクタで構成された差動高電圧狭帯域共振ノッチフィルタが、RF周波数で高インピーダンスをもたらし、電源バスのRF信号をブロックするために採用され、多段デジタル信号符号化/復号化、RF変調器32及びRF復調器26が冗長RF通信リンクに使用され、冗長方式Aが、単一の搬送周波数と2つの異なるデジタル変調方式を使用して実装され、2つの異なるベースバンド信号の変調に依存し、それぞれが単一の搬送周波数を使用して異なるCPEからのデータを符号化することを含むRF通信方式を提供する。それにおいて、
・ 1段目では、FSKまたはPSK変調方式を使用して搬送波を変調する。
・ 2段目では、1段目の搬送波信号の変調バージョンに対してASK変調方式が実行される。
・ 最初のメッセージデータは周波数または位相変調され、2番目のメッセージデータは振幅変調される。
・ ASK及びFSK復調器は、受信機側でメッセージを同時に抽出するために使用される。
冗長方式Bは、2つの異なる搬送周波数f1/f2と2つの異なるデジタル変調方式を使用して実装される。2つの異なるベースバンド信号の変調に依存し、それぞれが2つの異なる搬送周波数と異なる変調方式を使用して、異なるCPEからのデータを符号化する。それにおいて、
・ FSK、PSK、またはASK変調が第1の搬送波及びベースバンド信号に適用される。
・ 第2の搬送波とベースバンド信号は、第1の搬送波とベースバンドに適用された異なる変調で変調される。
・ 2つの別個の選択フィルタ及び復調器を使用して、受信機側でメッセージを同時に抽出する。
【0099】
本明細書で説明されるSDCPシステムはさらに、マルチドロップシステムが、シングルマスター、マルチスレーブ構成トポロジを実装する、通信リンクがスロット通信プロトコルを採用しており、受信機側2の各スレーブ/ノードは、動的通信ウィンドウ内部の事前定義または割り当てられた通信スロットを利用してデータを通信し、通信スロット36が、非同期通信モードではマスター受信機側2によって割り当てられるか、同期通信モードでは事前に定義され、各スロットの時間がノードの数に基づいて動的に調整され、通信ウィンドウ37が、バスに接続されたノードの数に応じて、通信リンク帯域幅を最大限に活用するように動的に調整され、非同期通信モードでは、各ノードは固有のIDを有し、マスターによって通信スロットが割り当てられることを含むマルチドロップバス及びスロット通信リンクを提供する。ノードはマスターからの問い合わせを受けてデータを通信する。同期通信モードでは、マスターはすべてのノードが同期するように各サイクルの最初のスロット41でブロードキャスト信号を送信する。すべてのノードは、事前定義されたスロットで独自にデータを通信する。「アイドル時間」(tidl)は、伝播の遅延、許容要因を考慮し、いずれかの通信衝突の可能性を減らすために、ウィンドウの最初と最後に使用される。また、スロット38は、「障害電流制限曲線」で定義された時間内に、自己検証のために全サイクルの終わりに実行されるTtT手順に割り当てられる。
【0100】
したがって、開示された解決法(複数可)は、DC-FMPS(例えば、SDCPシステム100)における障害検出方法であって、人的接触、アーク障害、地絡、短絡、接続障害、及びPTLの不足電圧、過電圧、過電流、及び意図しない高電圧などの電圧異常を含むが必ずしもこれらに限定されない、ある範囲の障害状態を識別することができる方法を含む。この方法は、DC電力送信機(例えば、高電圧DC配電システム内でチョッピングやパルスを発生させずに連続したDCの流れを維持することを特徴とする)の高電圧スイッチを切断する必要なく、両端(つまり、DC電力送信機と受信機)の冗長センサーを介して、線路の電圧と電流をリアルタイムで監視することを含み得る。
【0101】
したがって、開示された解決法(複数可)は、受信機の存在を確認し、RF通信リンクを確立し、バルクコンデンサを充電し、PTLの安全状態を確認してから、高電圧源を有効にするためにシステムの初期化及び/または障害回復動作期間中に有効になる安全超低電圧(SELV)電源及び校正済み基準負荷を含むDC-FMPSを含む。負荷の存在は通信リンクを介して確認される。PTLのステータスは、PTLの両端の差動及びコモンモードの電流と電圧を測定し、PTLを介してDC-PRXからDC-PTXにデータを通信し、測定値を比較して、両端の測定値が一致する場合に、またはその場合に限り、HV DC電源を有効にするという協働的な決定をすることによって確認される。電流測定値のいずれかの差異は、PTLに漏れ電流を加える接触障害や、PTLと直列のインピーダンスを引き起こすアーク障害など、PTLの異常を示しているが、これらに限定されない。ケーブル接触、ケーブルの短絡、アーク障害、またはケーブル切断などの障害状態では、DC-PTXはDC-PRXと連携してPTLの負荷電流の変化を検出し、電流感知回路9を即座に切断し、DC-PTX1上の1つまたは複数のスイッチ7を介して、システム検証動作モードに切り替える。
【0102】
したがって、開示された解決法(複数可)は、DC-FMPSの初期化及び通常動作モード中のシステム完全性自己チェック(テスターのテスト、以下「TtT」と呼ぶ場合がある)のための方法を含む。システム完全性自己チェックは、回路構成要素17を介してSELV校正済み電圧レベル(複数可)を使用し、回路構成要素18を介して校正済み負荷(複数可)を導入することによって、システムの精度を検証するように構成されている。両端の測定データが一緒に、及び/または事前定義された基準値と比較される。DC-FMPS内のDC-PTX及びDC-PRXは、確認モードに戻さずにオンザフライシステム診断を実行することにより、協働してTtT手順を実行する。各通信サイクルにおいて動的に割り当てられた通信スロットは、DC-PRX2のスイッチ19を介して負荷を切断しながら、及び/または負荷を切断せずに、回路構成要素18において校正済み基準負荷を非常に短い時間導入するために利用される。
【0103】
したがって、開示された解決法(複数可)には、DC-FMPS内のシステムの安全、管理、及び制御手段を設けるために同じ伝送路に重畳される単一または複数の周波数のRF通信信号で構成されるPTLに機能安全レベルの通信リンクを確立するための方法が含まれる。リンクの冗長性は、方式1、単一の搬送周波数及び2つの異なるデジタル変調方式が、2つの異なるベースバンド信号の変調に依存し、それぞれが単一の搬送周波数を使用して、異なるCPEからのデータを符号化する、または方式2、2つの異なる搬送周波数及び2つの異なるデジタル変調方式、2つの異なるベースバンド信号の変調に依存して、それぞれが異なるCPEからのデータをエンコードする、によって実現される。通信リンクはスロット通信プロトコルを採用しており、各スレーブ/ノードは、動的通信ウィンドウ内部で事前定義または割り当てられた通信スロットを利用してデータを通信する。スロット38は、「障害電流制限曲線」で定義された時間内の自己検証のために各サイクルの終わりに実行されるTtT手順に割り当てられる。
【0104】
上記の方法、デバイス、処理、回路、及びロジックは、様々な方法で、またハードウェアとソフトウェアの様々な組み合わせで実装され得る。例えば、デバイスの実装のすべてまたは一部は、命令プロセッサ、例えば中央処理装置(CPU)、マイクロコントローラ、またはマイクロプロセッサ、または特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または、アナログ回路構成要素、デジタル回路構成要素、またはその両方を含む、ディスクリートロジックまたは他の回路構成要素を含む回路、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む回路であってもよい。回路には、個別に相互接続されたハードウェア構成要素が含まれる場合、または例として、単一の集積回路ダイで結合される場合、複数の集積回路ダイ間で分散される場合、または共通パッケージ内の複数の集積回路ダイのマルチチップモジュール(MCM)に実装される場合がある。
【0105】
したがって、回路は、実行のための命令を記憶またはアクセスし得るか、またはハードウェアのみでその機能を実装し得る。命令は、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、またはコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CDROM)、ハードディスクドライブ(HDD)、その他の磁気ディスクまたは光ディスクなどの磁気ディスクまたは光ディスク上、または別の機械可読媒体内または上など、一時的な信号以外の有形の記憶媒体に記憶され得る。コンピュータプログラム製品などの製品には、記憶媒体と、その媒体内または媒体上に記憶された命令が含まれ得、デバイスの回路によって実行されるときの命令により、デバイスは上記または図面に示されている処理のいずれかを実行する場合がある。
【符号の説明】
【0106】
1 送信機側
2 クラス
3 電力伝送路
4 電力結合回路
5 負荷
【外国語明細書】