(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149459
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】多軸ロードセル本体
(51)【国際特許分類】
G01L 5/1627 20200101AFI20241010BHJP
【FI】
G01L5/1627
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024061473
(22)【出願日】2024-04-05
(31)【優先権主張番号】63/457,234
(32)【優先日】2023-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/625,762
(32)【優先日】2024-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】リチャード エー.メイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス イー.メイヤー
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB03
2F051AB06
2F051AB09
2F051BA07
2F051DA03
2F051DB03
(57)【要約】
【課題】ロードセル本体及びロードセル本体を作製する方法の提供。
【解決手段】複数の方向に力及びモーメントを伝達するロードセル本体は、中心軸を有する剛性中央ハブと、中心軸の回りに中央ハブと同心の剛性環状リングとを有する。少なくとも3つの径方向部材は、中央ハブから環状リングへの対応する長手方向軸に沿って中心軸に対して径方向に延在し、各径方向部材は、中心軸に平行な開口軸に沿って開口が貫通する中央体を備える。第1の撓み部は、中央体を中央ハブに接合し、第2の撓み部は、中央体を環状リングに接合する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の方向に力及びモーメントを伝達するためのロードセル本体であって、
中心軸を有する剛性中央ハブと、
前記中心軸の回りに前記中央ハブと同心の剛性環状リングと、
前記中央ハブから前記環状リングへ、対応する長手方向軸に沿いつつ前記中心軸に対して径方向に延びる、少なくとも3つの径方向部材であって、各径方向部材が、
開口を有する中央体であって、前記開口は前記中心軸に平行な開口軸に沿って前記中央体を貫通する、中央体と、
前記中央体を前記中央ハブに接合する第1の撓み部と、
前記中央体を前記環状リングに接合する第2の撓み部と、
を備える、径方向部材と、
を備える、ロードセル本体。
【請求項2】
前記第1の撓み部のそれぞれ及び前記第2の撓み部のそれぞれは、前記中心軸の回りのモーメントに対してコンプライアンス性がある、請求項1に記載のロードセル本体。
【請求項3】
各径方向部材の前記第1の撓み部及び前記第2の撓み部のうちの少なくとも一方は、前記中心軸の回りのモーメントについて前記撓み部の曲げを測定するように構成されたセンサを含む、請求項2に記載のロードセル本体。
【請求項4】
前記センサは、歪みセンサを備える、請求項3に記載のロードセル本体。
【請求項5】
前記センサは、各径方向部材の前記第1の撓み部及び前記第2の撓み部のうちの前記少なくとも一方の第1の側上の第1の歪みセンサと、各径方向部材の前記第1の撓み部及び前記第2の撓み部のうちの前記少なくとも一方の第2の側上の第2の歪みセンサと、を備える、請求項4に記載のロードセル本体。
【請求項6】
複数の前記第1の歪みセンサのそれぞれ及び複数の前記第2の歪みセンサのそれぞれは、ホイートストンブリッジをなして接続される、請求項5に記載のロードセル本体。
【請求項7】
複数の前記中央体のそれぞれは、少なくとも1つの中央体センサであって、前記中心軸に沿って又は前記中心軸に直交して前記中央ハブに作用する力を測定するように構成された少なくとも1つの中央体センサを含む、請求項1に記載のロードセル本体。
【請求項8】
各中央体の外面は、複数の厚さ低減部分を含む、請求項7に記載のロードセル本体。
【請求項9】
前記少なくとも1つの中央体センサは、前記中心軸に沿って前記中央ハブに作用する力を測定するように構成された複数の第1の中央体センサを備える、請求項8に記載のロードセル本体。
【請求項10】
各径方向部材の前記複数の第1の中央体センサは、ホイートストンブリッジをなして接続される、請求項9に記載のロードセル本体。
【請求項11】
前記複数の第1の中央体センサのそれぞれは、歪みゲージである、請求項10に記載のロードセル本体。
【請求項12】
各厚さ低減部分は、各関連する径方向部材についての平坦面であって、前記中心軸に平行な第1の方向に拡がるとともに、前記中央ハブに対する径方向である第2の方向に拡がる、平坦面を含み、前記複数の第1の中央体センサのそれぞれは、複数の前記平坦面のうちの1つの上に配置される、請求項11に記載のロードセル本体。
【請求項13】
前記少なくとも1つの中央体センサは、前記中心軸を横切って前記中央ハブに作用する力を測定するように構成された複数の第2の中央体センサを備える、請求項8に記載のロードセル本体。
【請求項14】
複数の前記径方向部材は、前記中心軸の回りに互いに等しい角度間隔で離隔された4つであり、前記中心軸を横切って前記中央ハブに作用する第1の力を測定するために、互いに対向する前記径方向部材の第1の対の前記複数の第2の中央体センサはそれぞれ第1のホイートストンブリッジをなして一緒に接続され、前記中心軸を横切ってかつ前記第1の力を横切って前記中央ハブに作用する第2の力を測定するために、互いに対向する前記径方向部材の第2の対の前記複数の第2の中央体センサはそれぞれ第2のホイートストンブリッジをなして一緒に接続される、請求項13に記載のロードセル本体。
【請求項15】
前記第2の中央体センサのそれぞれは、前記中央体の開口のうちの1つを形成する内面上に配置された歪みゲージである、請求項14に記載のロードセル本体。
【請求項16】
前記中央ハブ、前記環状リング及び前記少なくとも3つの径方向部材は、単体から形成された一体物である、請求項1に記載のロードセル本体。
【請求項17】
複数の方向に力及びモーメントを伝達するためのロードセル本体であって、
中心軸を有する剛性中央ハブと、
前記中心軸の回りに前記中央ハブと同心の剛性環状リングと、
前記中央ハブから前記環状リングへ、対応する長手方向軸に沿いつつ前記中心軸に対して径方向に延びる、少なくとも3つの径方向部材であって、各径方向部材が、
開口を有する中央体であって、前記開口は前記中心軸に平行な開口軸に沿って前記中央体を貫通する、中央体と、
前記中央体を前記中央ハブに接合する第1の撓み部と、
前記中央体を前記環状リングに接合する第2の撓み部と、
を備える、径方向部材と、
前記中央体及び/又は撓み部材のそれぞれの歪みを検知して、前記中央ハブ又は前記環状リングに対する力及び/又はモーメントを示す、単数又は複数の信号を提供するように構成された、複数のセンサと、
を備える、ロードセル本体。
【請求項18】
複数の方向に力及びモーメントを伝達するためのロードセル本体を作製する方法であって、
一体型アセンブリであって、剛性中央ハブと、前記ハブと同心の剛性環状リングと、前記中央ハブから前記環状リングへ、対応する長手方向軸に沿いつつ前記中心軸に対して径方向に延びる少なくとも3つの径方向部材と、を有し、各径方向部材が、開口を有する中央体であって、前記開口は前記中心軸に平行な開口軸に沿って前記中央体を貫通する、中央体と、前記中央体を前記中央ハブに接合する第1の撓み部と、前記中央体を前記環状リングに接合する第2の撓み部と、を備えている一体型アセンブリを、単一の材料ブロックから、製造すること、
を含む、方法。
【請求項19】
前記製造することは、各径方向部材について、各径方向部材の外面が複数の厚さ低減部分を含んでいることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
各厚さ低減部分は、各関連する径方向部材についての平坦面であって、前記中心軸に平行な第1の方向に拡がるとともに、前記中央ハブに対する径方向である第2の方向に拡がる平坦面を含んでいる、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2023年4月5日に出願された米国仮特許出願第63/457,234号に基づき、その利益を主張するものであり、その内容は、引用することによりその全体が本開示の一部をなす。
【0002】
発明の背景
本発明は、3つの直交軸に沿った直線力及び3つの直交軸の回りのモーメントを伝達及び測定するロードセルに関する。より詳細には、1つの例示的な実施形態において、車輪力トランスデューサに好適な特徴を有するコンパクトなロードセル本体が開示される。
【背景技術】
【0003】
3つの直交軸に沿った力又は3つの直交軸の回りのモーメントを測定するホイール力トランスデューサ又はロードセルが既知である。ホイール力トランスデューサは、典型的には、車両スピンドルと車両リムの一部との間に取り付けられる。トランスデューサは、車両の動作時にスピンドルにおいてホイールアセンブリを通して反作用する力及びモーメントを測定する。
【0004】
大きな成功を収め、批評家からの称賛を受けているホイール力トランスデューサの1つの形態は、ミネソタ州エデンプレイリ所在のMTS Systems Corporation社が販売しているSwift(商標)トランスデューサであり、特許文献1及び特許文献2に詳細に記載されている。概して、このトランスデューサは、剛性中央部材と、剛性環状リングと、径方向に延在し、中央部材を環状リングに接合する複数の管状部材とを有するロードセル本体を備える。複数の検知回路が複数の管状部材に取り付けられる。剛性中央部材は、車両スピンドルに取り付けられ、環状リングは、車両リムに取り付けられる。エンコーダが、径方向管状部材を通して伝達される力を直交静止座標系に関して解消することを可能にするロードセル本体の角度位置を測定する。
【0005】
Swift(商標)トランスデューサは、車両スピンドルを通して乗用車等の車両に対して反作用する負荷を測定するのに好適であるが、製造が容易でコンパクトなロードセルを改善することが引き続き必要とされている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]米国特許第5,969,268号
[特許文献2]米国特許第6,038,933号
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本開示におけるこの概要及び要約は、詳細な説明において下記に更に説明される選り抜きの概念を、簡略化された形態で紹介するために提供される。この概要及び要約は、請求される主題の重要となる特徴又は不可欠な特徴を識別することを意図せず、請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用されることも意図していない。請求される主題は、背景技術に記載される任意又は全ての欠点を解決する実装に限定されるものではない。
【0007】
1つの包括的な態様は、複数の方向に力及びモーメントを伝達するロードセル本体を含む。ロードセル本体は、中心軸を有する剛性中央ハブと、中心軸の回りに中央ハブと同心の剛性環状リングとを有する。少なくとも3つの径方向部材は、中央ハブから環状リングへの対応する長手方向軸に沿って中心軸に対して径方向に延在し、各径方向部材は、中心軸に対して平行な開口(孔)軸に沿って開口が貫通する中央体を備える。第1の撓み部は、中央体を中央ハブに接合し、第2の撓み部は、中央体を環状リングに接合する。
【0008】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。第1の撓み部のそれぞれ及び第2の撓み部のそれぞれは、中心軸の回りのモーメントに対してコンプライアンス性があるロードセル本体。各径方向部材の第1の撓み部及び第2の撓み部のうちの少なくとも一方は、中心軸の回りのモーメントについて撓み部の曲げを測定するように構成されるセンサを備える。センサは、歪みセンサを含むことができる。センサは、各径方向部材の第1の撓み部及び第2の撓み部のうちの少なくとも一方の第1の側上に第1の歪みセンサを備え、各径方向部材の第1の撓み部及び第2の撓み部のうちの少なくとも一方の第2の側上に第2の歪みセンサを含むことができる。第1の歪みセンサのそれぞれ及び第2の歪みセンサのそれぞれは、ホイートストンブリッジをなして接続されることができる。
【0009】
複数の中央体のそれぞれは、中心軸に沿った又は中心軸に対して直交した中央ハブにかかる力を測定するように構成される少なくとも1つの中央体センサを備えることができる。各中央体の外面は、複数の厚さ低減部分を備える。少なくとも1つの中央体センサは、中心軸に沿った中央ハブにかかる力を測定するように構成される複数の第1の中央体センサを含むことができる。各径方向部材の複数の第1の中央体センサは、ホイートストンブリッジをなして接続されることができる。第1の中央体センサのそれぞれは、歪みゲージであることができる。
【0010】
各厚さ低減部分は、中心軸に対して平行な第1の方向に延在するとともに、各関連する径方向部材の中央ハブに対して径方向である第2の方向に延在する平坦面を含み、第1の中央体センサのそれぞれは、平坦面のうちの1つの上に配置されることができる。
【0011】
少なくとも1つの中央体センサは、中心軸を横切る中央ハブにかかる力を測定するように構成される複数の第2の中央体センサを含むことができる。複数の径方向部材は、中心軸の回りに等しい角度間隔で離隔される4つの部材とすることができ、対向する径方向部材の第1の対の複数の第2の中央体センサは、それぞれ第1のホイートストンブリッジをなして一緒に接続され、中心軸を横切る中央ハブにかかる第1の力を測定し、対向する径方向部材の第2の対の複数の第2の中央体センサは、それぞれ第2のホイートストンブリッジをなして一緒に接続され、中心軸を横切るとともに第1の力を横切る中央ハブにかかる第2の力を測定する。第2の中央体センサのそれぞれは、中央体開口のうちの1つを形成する内面上に配置される歪みゲージとすることができる。中央ハブ、環状リング及び少なくとも3つの径方向部材は、単体から一体形成されることが好ましい。
【0012】
1つの包括的な態様はまた、複数の方向に力及びモーメントを伝達するロードセル本体を含む。ロードセル本体は、中心軸を有する剛性中央ハブと、中心軸の回りに中央ハブと同心の剛性環状リングと、中央ハブから環状リングへの対応する長手方向軸に沿って中心軸に対して径方向に延在する少なくとも3つの径方向部材とを備える。各径方向部材は、中心軸に対して平行な開口軸に沿って開口が貫通する中央体と、中央体を中央ハブに接合する第1の撓み部と、中央体を環状リングに接合する第2の撓み部と、を備えることができる。複数のセンサは、中央体及び/又は撓み部材のそれぞれの歪みを検知して、中央ハブ又は環状リングに対する力及び/又はモーメントを示す信号(複数の場合もある)を提供するように構成される。
【0013】
1つの包括的な態様はまた、複数の方向に力及びモーメントを伝達するロードセル本体を作製する方法を含む。方法は、剛性中央ハブと、ハブと同心の剛性環状リングと、中央ハブから環状リングへの対応する長手方向軸に沿って中心軸に対して径方向に延在する少なくとも3つの径方向部材とを有する一体型アセンブリを単一の材料ブロックから製造することであって、各径方向部材は、中心軸に対して平行な開口軸に沿って開口が貫通する中央体と、中央体を中央ハブに接合する第1の撓み部と、中央体を環状リングに接合する第2の撓み部とを備えること、を含む。
【0014】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。製造することは、各径方向部材について、各径方向部材の外面が複数の厚さ低減部分を備えることを含むことができる方法。各厚さ低減部分は、中心軸に対して平行な第1の方向に延在するとともに、各関連する径方向部材の中央ハブに対して径方向である第2の方向に延在する平坦面を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【0016】
【0017】
【
図3】ロードセル本体とともに使用される例示的なセンサを示す図である。
【
図4】ロードセル本体とともに使用される例示的なセンサを示す図である。
【0018】
【
図5】
図3及び
図4のセンサ用のホイートストンブリッジを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施形態の詳細な説明
図1及び
図2は、ロードセル本体10を示している。ロードセル本体10は、単一の材料ブロックから製造される一体型本体12を備えることが好ましい。本体12は、剛性中央ハブ14と、中心軸15の回りに中央ハブ14と同心の剛性環状リング16とを備える。複数の径方向部材20は、中央ハブ14を環状リング16に接合する。図示の実施形態において、複数の径方向部材20は、4つの部材20A、20B、20C及び20Dを含む。部材20A~20Dのそれぞれは、対応する長手方向軸21A、21B、21C及び21Dに沿って中央ハブ14から環状リング16に向かって径方向に延在する。軸21Aは軸21Cと位置合わせされ、軸21Bは軸21Dと位置合わせされることが好ましい。加えて、軸21A及び21Cは、軸21B及び21Dに対して垂直である。複数の径方向部材20が4に等しいものと示されているが、中央ハブ14を環状リング16に接合するために、任意の数の部材、3つ又はそれ以上を使用することができることを理解されたい。複数の径方向部材20は、中心軸15の回りに等しい角度間隔で離隔されることが好ましい。
【0020】
後述のセンサからの出力信号は、6自由度で中央ハブ14と環状リング16との間に伝達される力成分及びモーメント成分を示す。説明のために、直交座標系45を定義することができ、ここで、X軸は長手方向軸20A及び20Cと位置合わせされ、Y軸は長手方向軸20B及び20Dと位置合わせされ、Z軸は中心軸15と位置合わせされる。センサの数及び検知回路の数は、5自由度以下での力及びモーメントの測定が望ましい場合に削減することができることを理解されたい。
【0021】
概して、各径方向部材20A~20Dは、同様の設計であり、開口32A~32Dが貫通する中央体31A~31Dを備え、それぞれ、中心軸15に対して平行な開口軸を有する。第1の撓み部34A~34Dは、各関連する中央体31A~31Dを中央ハブ14に接合し、第2の撓み部36A~36Dは、関連する中央体31A~31Dを環状リング16に接合する。第1の撓み部34A~34Dのそれぞれ及び第2の撓み部36A~36Dのそれぞれは、中心軸15の回りのモーメントの検知に対してコンプライアンス性(追従性)があり、第1の撓み部34A~34Dのそれぞれ及び第2の撓み部36A~36Dのそれぞれは、それぞれの軸21A~21Dに沿って中央ハブ14と環状リング16との間に中を通る径方向の力に対して実質的に剛性がある。
【0022】
中心軸15の回りのモーメントを検知するために、各径方向部材20A~20Dの第1の撓み部34A~34D及び36A~36Dのうちの少なくとも一方は、中心軸15の回りのモーメントについて関連する撓み部の曲げを測定するように構成されるセンサを備える。1つの実施形態において、センサは、歪みセンサを含む。図示の実施形態において、第1の歪みセンサ40A~40Dが、第1の撓み部34A~34D及び第2の撓み部36A~36Dのうちの少なくとも一方の第1の側上に配置され、第2の歪みセンサ42A~42Dが、第1の撓み部34A~34D及び第2の撓み部36A~36Dのうちの少なくとも一方の第2の側上に配置される。図示の実施形態において、歪みセンサ40A~40D及び42A~42Dは、第1の撓み部34A~34Dの両側に配置される。
図5を参照すると、第1の歪みセンサ40A~40Dのそれぞれ及び第2の歪みセンサ42A~42Dのそれぞれは、
図5に示されているように、中心軸15の回りのモーメントを検知して、これに従って出力信号を提供するように、ホイートストンブリッジをなして接続される。
【0023】
また、ロードセル本体10は、中心軸15に沿った及び/又は中心軸15に対して直交した中央ハブ14にかかる力を測定するセンサを有して構成することができる。中心軸15に対して直交した力に関して、センサは、それぞれの軸21A~21Dに沿った中央ハブ14と環状リング16との間の径方向の力を測定するものとみなすこともできる。
【0024】
複数の中央体31A~31Dのそれぞれは、中心軸15に対して直交した中央ハブ14にかかる径方向の力、又は中心軸15に沿った中央ハブ14にかかる力を測定するように構成される少なくとも1つの中央体センサを備える。好ましくは、各中央体31A~31Dは、複数の厚さ低減部分を備え、好ましくは、例えば、各中央体31A~31Dのリムの各半分に沿って各それぞれの第1の撓み部34A~34Dと第2の撓み部36A~36Dとの間の中間にある中央体31A~31Dのそれぞれの開口の両側に形成される47A及び47Bで識別される、2つのそのような部分を備える。
【0025】
1つの実施形態において、少なくとも1つの中央体センサは、各径方向部材20A~20Dについて中心軸15に沿った中央ハブ14にかかる力を測定するように構成される複数の第1の中央体センサ50を含む。例として径方向部材20Aを参照すると、第1の中央体センサ50は、厚さ低減部分47A、47Bのそれぞれに取り付けられる歪みセンサを含む。特に、4つの歪みセンサが、
図3及び
図4に示されているように、各厚さ低減部分47A、47B上にそれぞれ2つの歪みセンサ49A、49B及び49C、49Dずつ設けられ、ホイートストンブリッジ51A(
図5)をなして一緒に接続されて設けられる。他の径方向部材20B~20Dのそれぞれも、
図5に示されているものと同様のホイートストンブリッジを有する。それゆえ、各径方向部材20A~20Dは、中心軸15に沿った力に対して敏感であり、中心軸15に沿った合計の力は、径方向部材20A~20D上に設けられるホイートストンブリッジの出力信号によって表される対応する値を加算することによって得られ、転倒モーメントは、対向する径方向部材からの出力信号の差から得られる、すなわち、X軸の回りの転倒モーメントは、径方向部材20B及び20Dからのホイートストンブリッジ51B及び51Dの出力信号から得られ、Y軸の回りの転倒モーメントは、径方向部材20A及び20Cからのホイートストンブリッジ51A及び51Cの出力信号から得られる。
【0026】
上述のように、ロードセル本体10は、中心軸15を横切る中央ハブ14にかかる力を測定するために使用することもできる、換言すれば、軸21A~21Dに沿った中央ハブ14と環状リング16との間の径方向の力の測定に対して敏感であり得る。径方向部材の数は3つ以下を含み得るが、有利な実施形態において、4つの径方向部材21A~21Dが、中心軸15の回りに等しい角度間隔で、すなわち90度離して設けられる。複数の第2の中央体センサ60が、まとめて後述するように径方向部材20A~20D上に設けられ、中心軸15を横切る中央ハブ14にかかる力を測定するように構成される。
【0027】
図示の実施形態において、第2の中央体センサのそれぞれも、厚さ低減部分47A、47B上に配置され、センサ、本開示では歪みセンサ、が、各厚さ低減部分47A、47B上に取り付けられる。それゆえ、各中央体31A~31Dは、2つの歪みセンサ等の第2の中央体センサ60を備える。概して、対向する径方向部材上の第2の中央体センサ60は、ホイートストンブリッジをなして接続される。特に、対向する径方向部材20A及び20Cの第1の対の複数の第2の中央体センサ61A、61B及び61C、61Dは、それぞれ第1のホイートストンブリッジ61をなして一緒に接続され、軸21A及び21Cと位置合わせされるX軸に沿った中心軸15を横切る中央ハブ14にかかる第1の力を測定し、対向する径方向部材20B及び20Dの第2の対の複数の第2の中央体センサ63A、63B及び63C、63Dは、それぞれ第2のホイートストンブリッジ63をなして一緒に接続され、中心軸15を横切るとともに、軸21B及び21Dと位置合わせされるY軸に沿った第1の力も横切る中央ハブ14にかかる第2の力を測定する。第1の撓み部34B及び34D並びに第2の撓み部36B及び36Dは、X軸に沿った力に対して実質的にコンプライアンス性があり、第1の撓み部34A及び34C並びに第2の撓み部36A及び36Cは、Y軸に沿った力に対して実質的にコンプライアンス性があることに留意されたい。
【0028】
図示の実施形態において、各中央体31A~31Dの各厚さ低減部分47A及び47Bは、中心軸15に対して平行な第1の方向に延在するとともに、各関連する径方向部材20A~20Dの中央ハブ14に対して径方向である第2の方向に延在する平坦面70、本開示では、外側を向く面、を含む。図示の実施形態において、上述した第1の中央体センサ50のそれぞれは、平坦面70上に配置される。第2の中央体センサ60のそれぞれも、厚さ低減部分47A及び47B上に配置される。本開示において、第2の中央体センサ60は、第1の中央体センサ50の反対で、中央体31A~31Dのそれぞれの開口32A~32Dの内面上に配置される。所望の場合、第1の本体センサ50及び第2の本体センサ60を厚さ低減部分47A、47Bに反転した様式で取り付けることができ、その場合、第1の本体センサ50は、中央体31A~31Dの各開口の内面上に取り付けられ、第2の本体センサ60は、各厚さ低減部分47A、47Bの外側を向く面上に取り付けられることに留意されたい。加えて、所望の場合、その場所にそのように取り付けられる場合、平坦面70のような平坦面は、第1の本体センサ50又は第2の本体センサ60のいずれかについて中央体31A~31Dの開口32A~32Dのそれぞれの内面上に形成することができる。
【0029】
本発明の別の態様は、ロードセル本体10を作製する方法である。特に、本方法は、中央ハブ14と、中央ハブ14と同心の環状リング16と、中央ハブ14から環状リング16への中心軸15に対して径方向に延在する少なくとも3つの径方向部材20とを有する一体型アセンブリを単一の材料ブロック12から製造することを含む。各径方向部材は、中心軸15に対して平行な開口軸に沿って開口32A~32Dが貫通する中央体31A~31Dを備える。第1の撓み部34A~34Dは、中央体31A~31Dを中央ハブ14に接合し、第2の撓み部36A~36Dは、中央体31A~31Dを環状リング16に接合する。中央ハブ14上の取付け開口80及び環状リング16上の取付け開口82、並びに中央体31A~31Dのそれぞれの開口が、中心軸15に対して実質的に平行であるため、ロードセル本体10の片側及び/又は反対側から実質的に機械加工することができることに留意されたい。同様に、径方向部材21A~21D間の開口90も、中心軸15に対して平行に方向付けられ、中央体31A~31Dのそれぞれの上の平坦面70を形成することを可能にするようなサイズである。
【0030】
センサは歪みセンサを含む場合を上述したが、又は光学ベースのセンサ若しくは容量ベースのセンサ等の他の形態の検知デバイスを使用することもできる。
【0031】
ロードセル本体10は、2つの本体、すなわち、中央ハブ14に取り付けられる第1の本体と、環状リング16に取り付けられる第2の本体との間の力成分及びモーメント成分を測定するのに特に好適である。そのような用途に限定されないが、ロードセル本体10は、その全体が引用することにより本開示の一部をなす特許文献1に記載されているロードセル本体と同様に、車輪リムの中央部分の代わりとすることができる。概して、そのような用途において、ロードセル本体が回転するか又は部分的に回転する場合、スリップリング組立体を通してコントローラによって電力が複数のセンサに供給され、複数のセンサから出力信号が得られる。
【0032】
コントローラは、ロードセル本体によって測定される力成分及びモーメント成分を計算、記録及び/又は表示する。特許文献1に記載されているように、部材20A~20D上の個々の検知回路から受信した出力信号を変換して、静止直交座標系内での6自由度に関する力成分及びモーメント成分を示す出力信号を得る動作が、コントローラによって行われる。検知回路からの出力信号は、換算及び幾何学変換回路によって受信することができ、換算及び幾何学変換回路は、検知回路間の不均衡を補償するように出力信号を調整し、別の回路は、出力信号を組み合わせて、回転直交座標系の力成分及びモーメント成分を示す出力信号を提供することができる。クロスカップリング効果を補償するように出力信号を調整するために、クロスカップリングマトリクス回路が存在することができる。静止直交座標系に関する力成分及びモーメント成分を提供するために、座標変換回路が、エンコーダ等から角度入力を受信する。
【0033】
本発明は好ましい実施形態を参照しながら説明されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部に関して変更を加えることができることが、当業者には認識されよう。
【外国語明細書】