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特開2024-149465光学フィルムとそれを含むバックライトユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149465
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】光学フィルムとそれを含むバックライトユニット
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20241010BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20241010BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20241010BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20241010BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241010BHJP
【FI】
G02B5/02 C
G02B5/04 A
F21S2/00 481
G02F1/13357
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061552
(22)【出願日】2024-04-05
(31)【優先権主張番号】10-2023-0045498
(32)【優先日】2023-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】509179087
【氏名又は名称】エルエムエス・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LMS Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ソンス
【テーマコード(参考)】
2H042
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H042BA04
2H042BA05
2H042BA12
2H042BA20
2H042CA13
2H042CA17
2H391AA03
2H391AB04
2H391AB33
2H391AC10
2H391AC13
2H391AC25
2H391AC26
3K244AA01
3K244BA26
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244GA01
3K244GA02
3K244GA04
3K244GA11
3K244GA14
3K244GB02
3K244GB14
3K244GC02
3K244GC13
3K244GC16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光源の形状が液晶パネルに視認されることを防止する性能に優れ、同時に輝度が高い液晶表示装置用の光学フィルムを提供する。
【解決手段】第1のベース部の一面に複数のピラミッドパターンが形成されたピラミッドパターン層と、第1のベース部の他面に複数の光学突出パターンが形成された第1の拡散層とを含む第1のシート、第2のベース部の一面に複数のプリズムパターンが形成された第1のプリズムパターン層と、第2のベース部の他面に接着性を有する複数の光学突出パターンが形成された第2の拡散層とを含む第2のシート、第3のベース部の一面に複数のプリズムパターンが形成された第2のプリズムパターン層と、第3のベース部の他面に接着性を有する複数の光学突出パターンが形成された第3の拡散層とを含む第3のシートを含み、第1、第2、第3のシートは、第2、第3の拡散層の光学突出パターンによって一つにラミネートされた光学フィルム。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のベース部と、前記第1のベース部の一面に、複数のピラミッドパターンが形成されたピラミッドパターン層と、前記第1のベース部の他面に、複数の光学突出パターンが形成された第1の拡散層とを含む第1のシート、
前記第1のシートの上(over)に配置され、第2のベース部と、前記第2のベース部の一面に、複数のプリズムパターンが形成された第1のプリズムパターン層と、前記第2のベース部の他面に、接着性を有する複数の光学突出パターンが形成された第2の拡散層とを含む第2のシート、及び
前記第2のシートの上(over)に配置され、第3のベース部と、前記第3のベース部の一面に、複数のプリズムパターンが形成された第2のプリズムパターン層と、前記第3のベース部の他面に、接着性を有する複数の光学突出パターンが形成された第3の拡散層とを含む第3のシートを含み、
前記ピラミッドパターン層の屈折率は、前記第1の拡散層の屈折率より大きく、又は等しく形成され、前記第1の拡散層のヘイズ(haze)値は、15%以上であり、
前記第1のシート、第2のシート、及び第3のシートは、第2の、第3の拡散層の接着性を有する複数の光学突出パターンによって一つにラミネートされた、光学フィルム。
【請求項2】
前記第1の拡散層の前記複数の光学突出パターンは、マットパターンを有する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記第1の拡散層の前記複数の光学突出パターンは、逆プリズムパターンを有する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記複数のピラミッドパターンは、陰刻で形成された、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記複数のピラミッドパターンは、前記光学フィルムの高さ方向と平行な垂直断面が二等辺三角形をなす、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記複数のピラミッドパターンは、60度以上160度以下の頂点角を有する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記複数のピラミッドパターンは、80度以上130度以下の頂点角を有する、請求項6に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記ピラミッドパターン層と前記第2の拡散層との屈折率は、偏差0.05以下で形成された、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項9】
前記第1のプリズムパターン層と前記第3の拡散層との屈折率は、偏差0.05以上で形成された、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項10】
前記ピラミッドパターン層のピッチは、前記第1のプリズムパターン及び前記第2のプリズムパターンの整数倍から所定の倍数の偏差を有するように形成されている、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項11】
ベース部と、前記ベース部の一面に、60度以上160度以下の頂点角を有する複数のピラミッドパターンが形成されたピラミッドパターン層と、前記ベース部の他面に、複数の光学突出パターンが形成された拡散層とを含み、
前記ピラミッドパターン層の屈折率は、前記拡散層の屈折率より大きく、又は等しく形成され、前記拡散層のヘイズ(haze)値は、15%以上である、光学フィルム。
【請求項12】
前記複数の光学突出パターンは、マットパターンを有する、請求項11に記載の光学フィルム。
【請求項13】
前記複数の光学突出パターンは、逆プリズムパターンを有する、請求項11に記載の光学フィルム。
【請求項14】
前記複数のピラミッドパターンは、80度以上130度以下の頂点角を有する、請求項11に記載の光学フィルム。
【請求項15】
前記複数のピラミッドパターンは、陰刻で形成された、請求項11に記載の光学フィルム。
【請求項16】
光源、
カラー変換シート、及び
前記カラー変換シートの上(over)に配置された光学フィルムが、
第4のベース部と、前記第4のベース部の一面に、60度以上160度以下の頂点角を有する複数のピラミッドパターンが形成されたピラミッドパターン層と、前記第4のベース部の他面に、複数の光学突出パターンが形成された第4の拡散層とを含む第4のシート、
前記第4のシートの上(over)に配置され、第5のベース部と、前記第5のベース部の一面に、複数のプリズムパターンが形成された第3のプリズムパターン層と、前記第5のベース部の他面に、接着性を有する複数の光学突出パターンが形成された第5の拡散層とを含む第5のシート、及び
前記第5のシートの上(over)に配置され、第6のベース部と、前記第6のベース部の一面に、複数のプリズムパターンが形成された第4のプリズムパターン層と、前記第6のベース部の他面に、接着性を有する複数の光学突出パターンが形成された第6の拡散層とを含む第6のシートを含み、
前記ピラミッドパターン層の屈折率は、前記第4の拡散層の屈折率より大きく、又は等しく形成され、前記第4の拡散層のヘイズ(haze)値は、15%以上であり、
前記第4のシート、第5のシート及び第6のシートは、第5の、第6の拡散層の接着性を有する複数の光学突出パターンによって1つのラミネーションシートで作製された光学フィルムを含む、バックライトユニット。
【請求項17】
前記第4の拡散層の前記複数の光突出パターンは、マットパターンを有する、請求項16に記載のバックライトユニット。
【請求項18】
前記第4の拡散層の前記複数の光学突出パターンは、逆プリズムパターンを有する、請求項16に記載のバックライトユニット。
【請求項19】
前記複数のピラミッドパターンは、陰刻で形成された、請求項16に記載のバックライトユニット。
【請求項20】
前記ピラミッドパターン層のピッチは、前記第3のプリズムパターン及び前記第4のプリズムパターンの整数倍から所定の倍数の偏差を有するように形成されている、請求項16に記載のバックライトユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な実施形態は、液晶表示装置に用いられる光学フィルムとそれを含むバックライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
光源として、小型化、軽量化、及び/又は低電力消費などの利点を有するミニLED(light emitting diode、発光ダイオード)、及び/又はマイクロLEDを用いた液晶表示装置が積極的に活用されている。ミニLED又はマイクロLEDは、チップの1つ1つが個別のピクセルや光源を構成することができ、ディスプレイのサイズ及び形状に関する制約を解消し、既存の光源を用いる場合よりも鮮明な画質を実現することができる。LEDチップサイズの小型化とともに、LED光の特性を補うためのバックライトユニットの研究も盛んに行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2022-0061635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光源として、ミニLED又はマイクロLEDを用いる直下型バックライトユニットは、点光源の光を面光源に変換するための拡散シートと、光を集光させて輝度を向上させるプリズムシートとを含むことができる。直下型バックライトユニットでは、光源を平面に配置するため、光源の形状(例えば、ミニLEDやマイクロLEDの形状)が液晶パネルに視認されることを防止するために、即ち、光源の形状を遮蔽するために、厚い拡散シートが備えられたか、複数の拡散シートが積層された構造を適用することがある。そして、直下型バックライトユニットは、一面に三角柱状のプリズムパターン層が形成されたプリズムシートを含み、拡散シートを通過した面光源の輝度を増加させることができる。
【0005】
ところで、光源の形状が液晶パネルに視認されることを防止するために、拡散シートを厚くすると、液晶表示装置の薄型化に限界があり、また拡散シートの厚みにより、液晶表示装置の輝度が大きく低下する問題が発生する可能性がある。これにより、少なくとも1つの拡散シート及び/又は少なくとも1つのプリズムシートをラミネーション(lamination)して、拡散シートの厚さを厚く形成せずに、遮蔽度を高める一方で、輝度の低下を防ぐことができる。一例では、光学フィルムは、1枚の拡散シートと2枚のプリズムシートとがラミネートされた形態を有することができる。ただし、1枚の拡散シートと2枚のプリズムシートとをラミネートする場合においても、ラミネーション形態に起因する輝度の低下が現れることがある。
【0006】
本発明は、様々な実施形態を通じて、厚い拡散シートを使用せずに、光源の形状が液晶パネルに視認されることを防止する性能(以下、「遮蔽性能」とも言える)に優れ、同時に輝度が高い(以下、「輝度性能」とも言える)液晶表示装置用の光学フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の様々な実施形態によれば、光学フィルムにおいて、第1のベース部と、前記第1のベース部の一面に、複数のピラミッドパターンが形成されたピラミッドパターン層と、前記第1のベース部の他面に、複数の光学突出パターンが形成された第1の拡散層とを含む第1のシート;前記第1のシートの上(over)に配置され、第2のベース部と、前記第2のベース部の一面に、複数のプリズムパターンが形成された第1のプリズムパターン層と、前記第2のベース部の他面に、複数の接着性を有する光学突出パターンが形成された第2の拡散層とを含む第2のシート;及び前記第2のシートの上(over)に配置され、第3のベース部と、前記第3のベース部の一面に、複数のプリズムパターンが形成された第2のプリズムパターン層と、前記第3のベース部の他面に、複数の接着性を有する光学突出パターンが形成された第3の拡散層とを含む第3のシート;を含み、前記ピラミッドパターン層の屈折率は、前記第1の拡散層の屈折率より大きいか等しく形成され、前記第1の拡散層のヘイズ(haze)値は、15%以上であり、前記第1のシート、第2のシート及び第の3シートは、第2の、第3の拡散層の複数の接着性を有する光学突出パターンによって、1つにラミネートされた光学フィルムを提供することができる。
【0008】
本開示の様々な実施形態によれば、光源と、前記光源から出射された光の色を変換するためのカラー変換シートと、前記カラー変換シートの上(over)に配置された前記光学フィルムとを含むバックライトユニットを提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の様々な実施形態によれば、厚い拡散シートを備えていないことによって、バックライトユニットの薄型化に寄与することができる。
【0010】
本開示の様々な実施形態によれば、ミニLED又はマイクロLEDの遮蔽性能に優れ、輝度性能も優れた光学フィルム、及びそれを含むバックライトユニットを提供することができる。
【0011】
本開示で得られる効果は、前記で言及した効果に限定されず、言及しない他の効果は、以下の記載から本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解され得るだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態による拡散シートを含む液晶表示装置を示す図である。
図2】本開示の一実施形態による光学フィルムが適用された液晶表示装置を示す図である。
図3】本開示の一実施形態による光学フィルムが適用された液晶表示装置を示す斜視図である。
図4a】本開示の一実施形態による光学フィルムを示す断面図である。
図4b】本開示の一実施形態によるピラミッドパターンを示す斜視図である。
図4c】本開示の一実施形態によるピラミッドパターンを示す斜視図である。
図4d】本開示の一実施形態によるラミネーション前の状態のピラミッドパターン層を上方視したときの様子を示す図である。
図4e】本開示の一実施形態によるラミネーション後の状態のピラミッドパターン層を上方視したときの様子を示す図である。
図5a】本開示の一実施形態による光学フィルムの頂点角による視野角を示す図である。
図5b】本開示の一実施形態による光学フィルムの頂点角による視野角を示す図である。
図6a】本開示の一実施形態による光学フィルムの頂点角による照度(遮蔽度)を示す図である。
図6b】本開示の一実施形態による光学フィルムの頂点角による照度(遮蔽度)を示す図である。
図7】本開示の一実施形態による輝度を測定するための実験の構成を示す。
図8a図1の実施形態に開示された液晶表示装置と、図2図6bの実施形態に開示された液晶表示装置との間の光学特性を示す図である。
図8b図1の実施形態に開示された液晶表示装置と、図2図6bの実施形態に開示された液晶表示装置との間の光学特性を示す図である。
図9図1の実施形態に開示された液晶表示装置と、図2図6bの実施形態に開示された液晶表示装置との間の光学特性を示すグラフである。
図10a図1の実施形態に開示された液晶表示装置と、図2図6bの実施形態に開示された液晶表示装置との間の他の光学特性を示す図である。
図10b図1の実施形態に開示された液晶表示装置と、図2図6bの実施形態に開示された液晶表示装置との間の他の光学特性を示す図である。
図11図1の実施形態に開示された液晶表示装置と、図2図6bの実施形態に開示された液晶表示装置との間の他の光学特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書の様々な実施形態及びそれに使用される用語は、本明細書に記載されている技術的特徴を、特定の実施形態に限定しようとするものではなく、その実施形態の様々な変更、均等物、又は代替物を含むものと理解されるべきである。図面の説明に関して、類似又は関連の構成要素については、同様の参照符号を使用することができる。アイテムに対応する名詞の単数形は、関連する文脈上、特に断りのない限り、1つ又はそれ以上の前記アイテムを含むことができる。
【0014】
様々な実施形態によると、前述の構成要素それぞれの構成要素(例えば、モジュール又はプログラム)は、単数又は複数のオブジェクトを含んでもよく、複数のオブジェクトのうち一部は、他の構成要素に分離配置されてもよい。様々な実施形態によると、前述の当該構成要素のうち一つ以上の構成要素又は動作が省略されても、又は一つ以上の他の構成要素又は動作が追加されてもよい。代替的に又は追加的に、複数の構成要素(例えば、モジュール又はプログラム)は、一つの構成要素に統合することができる。このような場合には、統合された構成要素は、複数の構成要素の各構成要素の一つ又はそれ以上の機能を、統合前に、複数の構成要素のうち当該構成要素によって実行されるものと同一又は類似に行うことができる。様々な実施形態によれば、モジュール、プログラム又は他の構成要素によって実行される動作は、順次に、並列に、繰り返しに、又は経験的に実行されるか、前記動作のうち一つ又はそれ以上が異なる順序で実行されるか、又は省略されるか、又は一つ又はそれ以上の他の動作が追加されることがある。
【0015】
以下、添付の図面を参照して様々な実施形態について説明する。本実施形態を説明するにあたり、同一の構成については、同一の名称及び同一の符号が使用され、これによる付加的な説明は、省略する。また、本発明の実施形態を説明するにあたって、同一の機能を有する構成要素については、同一の名称及び同一の符号を使うだけで、実質的には、従来と全く同じではないことを予め言う。
【0016】
様々な実施形態によると、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載されている特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせが存在することを示すものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせの存在又は付加の可能性を、予め排除しないものと理解されるべきである。
【0017】
図1は、一実施形態による拡散シートを含む液晶表示装置1を示す図である。
【0018】
以下の詳細な説明において、液晶表示装置1の長手方向(縦方向)は、「Y軸方向」、幅方向(横方向)は、「X軸方向」、及び/又は高さ方向(厚み方向)は、「Z軸方向」と定義することができる。いくつかの実施形態では、構成要素が指向する方向に関しては、図面に例示されている直交座標系と併せて、「負/正(-/+)」を併用することができる。例えば、図1を参照すると、第2のプリズムシート16が、第1のプリズムシート15の上(over)に配置されているとすると、第2のプリズムシート16は、第1のプリズムシート15から「+Z軸方向(又は第1の方向)」上に配置されていると定義することができる。また、例えば、図4aを参照すると、第1のベース部112の一面は、「+Z軸方向(又は第1の方向)を向く面」と、他面は、「-Z軸方向(又は第2の方向)を向く面」と定義することができる。方向の説明をする際に、以下、図1に示すように、直交座標系に「負/正(-/+)」が記載されない場合には、別途に定義しない限り、当該座標軸が+方向を指すものと解釈してもよい。例えば、「X軸方向」は、+X軸方向を指すものと解釈することができ、「Y軸方向」は、+Y軸方向を指すものと解釈することができる。そして、「Z軸方向」は、+Z軸方向を指すものと解釈することができる。方向の説明において、直交座標系の3軸のうち1つの軸を向くということは、前記軸と平行な方向を向くことを含んでもよい。これは、説明を簡潔にするために、図面に記載された直交座標系に基づいており、そのような方向又は構成要素の説明は、本開示の様々な実施形態を限定しないことに留意されたい。
【0019】
図1を参照すると、液晶表示装置(又はLCD(liquid crystal display)装置)1は、バックライトユニット10と、液晶パネル20とを含むことができる。様々な実施形態によれば、バックライトユニット10は、液晶パネル20に光を発散するように、液晶パネル20の背面(-Z軸方向を向く面)と対向することができる。バックライトユニット10は、光源11aを含む基板11、カラー変換シート13、拡散シート14、17、及びプリズムシート15、16を含むことができる。バックライトユニット10は、図面には示されていないが、反射偏光シートをさらに含んでもよい。
【0020】
光源11aは、液晶パネル20の背面に光を発散させるための構成であり、基板11の一面に配置することができる。光源11aは、発光ダイオード(light emitting diode:LED、以下、LEDという)が該当することがある。光源11aは、例えば、光を発散する複数のLEDチップを含むことができる。ここで、LEDは、InGaN、GaNなどの材料を含むことができる。LEDは、LEDチップのサイズに応じて、大型(large)LED(チップサイズ:1,000μm以上)、中型(middle)LED(チップサイズ:300~500μm)、小型(small)LED(チップサイズ:200~300μm)、ミニ(mini)LED(チップサイズ:100~200μm)、マイクロ(micro)LED(チップサイズ:100μm以下)に分類することができる。本開示の光源11aとして、LEDは、大型LED、中型LED、小型LED、ミニLED、マイクロLEDのいずれかを含むことができる。図1の実施形態は、例えば、ミニLEDを含むように示されている。光源11aから出射された光は、液晶パネル20の背面に向かって(+Z軸方向に)発散することができる。光源11aから出射された光は、カラー変換シート13を通過して、拡散シート14に入射することができる。
【0021】
一実施形態によれば、基板11の表面には、反射シート12が形成されてもよい。反射シート12は、BaSO、TiO、CaCO、SiO、Ca(SOなどの物質を含むか、Agなどの物質を含むことができ、光源11aと光源11a間の基板11上に塗布又はコーティングされてもよい。反射シート12は、光源11aから発散した光が、カラー変換シート13、拡散シート14、17及びプリズムシート15、16を透過しながら、界面反射等に応じて、基板11側に反射された光を、再び光の発散方向に反射する役割を果たすことができる。これにより、光の損失を最小限に抑えることができる。すなわち、反射シート12は、光リサイクル(light recycling)を行うことができる。
【0022】
カラー変換シート13は、光源11aから発散された光の色を変換することができる。一例では、ミニLED又はマイクロLEDの光は、青色光(450nm)であってもよい。この場合、青色光は、白色光に変換する必要がある。これにより、カラー変換シート13は、光源11aから発散した青色光を透過させながら、同時に青色光を白色光に変換することができる。
【0023】
拡散シート14、17は、カラー変換シート13から入射した光を、均一に分散させることができる。拡散シート14、17は、光拡散剤ビーズ(beads)が添加された硬化性樹脂(例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、エステルアクリレート、及びラジカル発生型モノマーのうち少なくとも1つを選択し、1つ又は2つ以上を混合したものである)溶液を塗布して、光拡散剤ビーズによって、光拡散を引き起こすことができる。また、拡散シート14、17には、均一又は不均一な大きさの形状(例えば、球形、半球形又は楕円形)の突起パターン(又は突出部)を形成して、光の拡散を促進することもできる。
【0024】
拡散シート14、17は、下拡散シート14及び上拡散シート17のうち少なくとも1つの拡散シートを含むことができる。下拡散シート14は、カラー変換シート13とプリズムシート15との間に配置することができ、上拡散シート17は、プリズムシート16と液晶パネル20との間に配置することができる。バックライトユニット10が反射偏光シートをさらに含む場合、上拡散シート17は、プリズムシート16と反射偏光シートとの間に配置されてもよい。
【0025】
プリズムシート15、16は、表面に形成された光学パターンを用いて、入射した光を集光した後、液晶パネル20に出射することができる。プリズムシート15、16は、透光性ベースフィルムと、このベースフィルムの上面(+Z軸方向を向く面)に形成されたプリズムパターン層とを含むことができる。プリズムパターン層は、面方向の輝度を向上させるために、指定された角度の傾斜面(例えば、45°の傾斜面)が形成された三角アレイ(array)の形態の光学パターン層で形成することができる。プリズムパターン層のプリズムパターンは、三角柱状であってもよく、三角柱の片面がベースフィルムと対向するように配置されてもよい。プリズムパターンの各断面は、三角形であり得る。
【0026】
一実施形態によれば、プリズムシート15、16は、第1のプリズムシート15と、第2のプリズムシート16とを含む複合プリズムシート構造を形成することができる。ここで、第2のプリズムシート16は、第1のプリズムシート15の上(over)に重ねて(overlap)配置されてもよい。第1のプリズムシート15では、複数の第1のプリズムパターンが互いに並べて配置されてもよい。各第1のプリズムパターンは、一方向に延びる構造であってもよい。例えば、第1のプリズムパターンの各頂点線は、X軸方向を向くように延びて形成することができる。同様に、第2のプリズムシート16では、複数の第2のプリズムパターンも互いに並べて配置されてもよい。各第2のプリズムパターンは、一方向に延びる構造であってもよい。例えば、第2のプリズムパターンの各頂点線16aは、X軸に垂直なY軸の方向を向くように延びて形成することができる。ここで、第1のプリズムパターンの延在方向と、第2のプリズムパターンの延在方向とは、説明の便宜上、X軸とY軸に向かって示されている。ただし、図示の実施形態に限定されず、X軸又はY軸以外の他の方向を向いていてもよい。
【0027】
反射偏光シート(図示せず)は、プリズムシート15、16及び上拡散シート17の上部に設けられ、プリズムシート15、16から集光され、上拡散シートによって拡散された光に対して、一部偏光は、透過し、他の偏光は、下部に反射する役割を果たすことができる。
【0028】
液晶パネル20は、光源11aから発散した光を、電気信号に応じて、所定のパターンに屈折させることができる。この屈折された光は、液晶パネル20の前面に配置されたカラーフィルタと偏光フィルタとを通過して、画面を構成することができる。
【0029】
図1の液晶表示装置1に含まれる構成要素は、他の構成要素と高さ方向(Z軸方向)に重畳された(overlapped)状態及び積層された(stacked)状態で組み立てることができる。例えば、一実施形態による液晶表示装置1では、図1に示すように、個別に製造された下拡散シート14、第1のプリズムシート15及び第2のプリズムシート16は、高さ方向(Z軸方向)に重畳及び積層することができる。
【0030】
図2は、本開示の一実施形態による光学フィルムが適用された液晶表示装置1を示す図である。図3は、本開示の一実施形態による光学フィルムが適用された液晶表示装置1を示す斜視図である。
【0031】
図2を参照すると、本開示の一実施形態による液晶表示装置(又はLCD(liquid crystal display)装置)1は、バックライトユニット10と液晶パネル20とを含むことができる。バックライトユニット10は、光源11aを含む基板11と、光学フィルム100とを含むことができる。光源11aの一面には、反射シート12を形成することができる。本開示の一実施形態によれば、バックライトユニット10は、カラー変換シート13及び/又は拡散シート17をさらに含んでもよい。別の実施形態によれば、バックライトユニット10は、これらの構成要素のうち少なくとも1つ(例えば、拡散シート17)を省略してもよく、又は1つ又はそれ以上の他の構成要素(例えば、反射偏光シート(図示せず))を追加してもよい。
【0032】
以下、図1と重複する部分の説明は省略する。本開示の液晶表示装置1は、図1の下拡散シート14、第1のプリズムシート15及び第2のプリズムシート16が個別に設けられておらず、本開示の光学フィルム100を提供することを特徴とすることができる。すなわち、本開示の液晶表示装置1は、図1の下拡散シート14、第1のプリズムシート15、及び第2のプリズムシート16を置き換える光学フィルム100を提供することができる。ただし、これに限定されず、下拡散シート14に加えて、光学フィルム100をさらに備えてもよいし、下拡散シート14以外のシートをさらに備えてもよいことに留意されたい。例えば、図2のバックライトユニット10は、光源11aを含む基板11、カラー変換シート13、光学フィルム100、拡散シート17を含むことが示されているが、光学フィルム100とカラー変換シート13との間に遮蔽シートをさらに含んでもよい。このとき、光学フィルム100とカラー変換シート13との間に配置された遮蔽シートは、図1の下拡散シート14のように、一枚のシートから構成されているか、複数枚のシートがラミネートされた形態などの他の様々な実施形態の適用が可能である。
【0033】
本開示において、「光学フィルム100」とは、図2及び図3に示すように、一面に複数のピラミッドパターンが形成された第1のシート110と、この第1のシート110の上に配置され、一面に複数のプリズムパターンが形成された第2のシート120と、この第2のシート120の上に配置され、一面に複数のプリズムパターンが形成された第3のシート130とを含むフィルムを意味することができる。図2及び図3では、説明の便宜上、第1のシート110、第2のシート120及び第3のシート130が互いに離隔されているように示されているが、これとは異なり、第1のシート110、第2のシート120及び第3のシート130は、互いにラミネーション(lamination)して形成されてもよい。本開示において、「ラミネーション(lamination)」とは、2つの異なるシートの対向する面の少なくとも一方の面が、接着性樹脂で形成されたパターンを含むことによって、2つの異なるシートが貼り合わされることを意味することができる。例えば、2つの異なるシートの対向する2つの面のうち一方の面に、半硬化状態の接着性樹脂で形成されたパターンが存在し、このパターンに他方の面が相互接触した状態で、その後、完全に硬化されて貼り合わされるものであってもよい。また、例えば、2つの異なるシートの対向する面は、両面が半硬化状態の接着性樹脂で形成され、互いに接触した後に、完全に硬化されて貼り合わされることができる。ラミネートされた形態の光学フィルム100は、ラミネートされず単に積層された場合の実施形態よりも薄く、遮蔽性能に優れたバックライトユニットを提供することができる。
【0034】
第1のシート110の複数のピラミッド(又は四角錐)パターンは、光源11aから伝達された光を屈折及び/又は反射させて、第2のシート120に伝達することができる。第2のシート120は、複数のプリズム(又は三角柱)が液晶表示装置1の長手方向(Y軸方向)に延び、高さ方向(Z軸方向)に突出した形態で形成されてもよい。第2のシート120は、第1のシート110を通過した光を、第3のシート130に伝達することができる。第3のシート130は、複数のプリズム(又は三角柱)が液晶表示装置1の幅方向(X軸方向)に延び、高さ方向(Z軸方向)に突出した形態で形成されてもよい。第3のシート130は、第2のシート120を通過した光を、液晶パネル20に向けて伝達することができる。光源11aから光学フィルム100に入射した光は、第1のシート110、第2のシート120及び第3のシート130を順次通過しながら、拡散及び/又は集光されて、光源11aの形状を覆う遮蔽性能の確保はもちろん、高い輝度性能も確保可能な利点がある。図3に示す実施形態では、第2のシート120のプリズムパターンは、液晶表示装置1の長手方向(Y軸方向)に延び、第3のシート130のプリズムパターンは、液晶表示装置1の幅方向(X軸方向)に延びたものが示されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、これとは異なり、第2のシート120のプリズムパターンは、液晶表示装置1の幅方向(X軸方向)に延び、第3のシート130のプリズムパターンは、液晶表示装置1の長手方向(Y軸方向)に延びてもよい。ただし、第2のシート120のプリズムパターンと、第3のシート130のプリズムパターンとは、互いに直交するだけでよい。図3を参照すると、第1のシート110のピラミッドパターン層111は、第1の方向の長さa及び第2の方向の長さbである下面と、高さh及び頂角A及び頂角Bを有する4つの側面111-1、111-2、111-3、111-4と、1つの下面とを含むピラミッドパターン(以下、図4aのピラミッドパターン111a)を含むことができる。ピラミッドパターンの寸法は、実施形態によって異なるように設定することができる。
【0035】
以下、図4aを参照して、光学フィルム100についてより詳細に説明する。
【0036】
図4aは、本開示の一実施形態による光学フィルム100を示す断面図である。図4b及び図4cは、本開示の一実施形態によるピラミッドパターンを示す斜視図である。図4dは、本開示の一実施形態によるラミネーション前の状態のピラミッドパターン層を上方視したときの様子を示す図である。図4eは、本開示の一実施形態によるラミネーション後の状態のピラミッドパターン層を上方視したときの様子を示す図である。
【0037】
図4aを参照すると、本開示の一実施形態による光学フィルム100は、第1のシート110、第2のシート120、及び第3のシート130を含むことができる。第1のシート110、第2のシート120及び第3のシート130はそれぞれ、第1のベース部112、第2のベース部122、及び第3のベース部132を含むことができる。このとき、第1のベース部112、第2のベース部122、及び第3のベース部132は、光を透過させることができる透明な材質、例えば、ポリカーボネート(polycarbonate)系、ポリスルホン(polysulfone)系、ポリアクリレート(polyacrylate)系、ポリスチレン(polystyrene)系、ポリビニルクロライド(polyvinyl chloride)系、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)系、ポリノルボルネン(polynorbornene)系、ポリエステル(polyester)系の材料を含むことができる。具体的な例として、第1のベース部112、第2のベース部122、及び/又は第3のベース部132は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)又はポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate)などからなることができる。第1のベース部112、第2のベース部122、及び第3のベース部132は、例えば、約10~約50μmの厚さを有するPETであってよく、より具体的には、約24~約40μmの厚さを有するPETであってもよい。図6a以下の図面で後述する視野角の分布を含む様々な実験例では、第1のベース部112、第2のベース部122、及び第3のベース部132がそれぞれ、24μmの厚さを有するPETであると例示することができる。しかしながら、第1のベース部112、第2のベース部122、及び第3のベース部132は、これらの厚さが前記の例に限定されないことに留意されたい。
【0038】
図3の実施形態で説明したように、第1のシート110は、第1のベース部112の一面112aに、第1の方向の長さaと、第2の方向の長さb、高さh、ピッチP、及び頂角Aと頂角Bとを形成する4つの側面111-1、111-2、111-3、111-4に対応する四角錐(quadrangular pyramid)形態のピラミッドパターン111aを含むことができる。光学フィルム100は、第1の方向に複数の列を有し、第1の方向に垂直な第2の方向に複数の行を有する複数のピラミッドパターン111aを含むことができる。
【0039】
図4a、図4b、及び図4cを一緒に参照すると、一実施形態による、ピラミッドパターン111aは、陰刻パターンであってもよい。ピラミッドパターン111aは、四角錐形状の溝(groove)が規則的に形成された陰刻パターンを意味することができ、4つの側面111-1、111-2、111-3、111-4によって定義することができる。ここで、4つの側面は、互いに同じ又は異なる三角形の形状であってもよく、頂角A及び頂角Bの寸法は、ピラミッドパターン111aの横方向の長さa、縦方向の長さb、及び各断面の高さに従って設定され得る。一実施形態によれば、頂角Aと頂角Bとは、実質的に同じ角度を形成することができ、それによって、ピラミットパターン111aの横方向の長さa及び縦方向の長さbも実質的に等しく設定することができる。ここで、頂角Aと頂角Bとが実質的に同一であるということは、頂角Aと頂角Bとが工程偏差(例えば、10%内外)内で同じ値を有することを意味することができる。
【0040】
また、ピラミッドパターン111aにおける高さhとピッチPは、頂点角Cに基づいて設定することができる。光学フィルム100は、高さ方向(Z軸方向)と平行な垂直断面が三角形又は台形のピラミッドパターン111aを含み、頂点角Cは、ピラミッドパターン111aの4つの側面のうち2つの対向する側面間の角度として定義することができる。
【0041】
一実施形態によれば、ピラミッドパターン111aにおける頂点角Cは、60度以上160度以下で定義することができる。例えば、頂点角Cは、90度であり得る。
【0042】
図4dは、第1のシート110が第2のシート120に対してラミネートされる前のピラミッドパターン層を示し、図4dは、第1のシート110が第2のシート120とラミネートされた後、第1のシート110を第2のシート120から剥離した状態のピラミッドパターン層を示すことができる。図4cを参照すると、ラミネーション前のピラミッドパターン層111は、第1の側面111-1と第4の側面111-4との間に、第1の側面111-1と第4の側面111-4の境界を区別する第1の隔壁111-5を含み、第2の側面111-2と第3の側面111-3との間に、第2の側面111-2と第3の側面111-3の境界を区別する第2の隔壁111-6を含むことができる。第1の隔壁111-5と第2の隔壁111-6とは、第1のシート110の最も高い部分であってもよい。一実施形態によれば、第1の隔壁111-5は、第1の方向と平行であり、第2の隔壁111-6は、第2の方向に平行に形成されるが、必ずしもこれに限定されないことに留意されたい。図4eを参照すると、第1のシート110の上面に位置するピラミッドパターン層111が、第2のシート120の背面(例えば、第2のシート120の背面の第2の拡散層123)にラミネートされると、ピラミッドパターン層111の最上端に位置する構成である第1の隔壁111-5と第2の隔壁111-6の端部が押されることがある。これにより、第1の隔壁111-5の先端部が変形して、所定の幅W1を有する第1の平面部111-7が形成され、第2の隔壁111-6の先端部が変形して、所定の幅W2を有する第2の平面部111-8が形成され得る。一実施形態によれば、第1の平面部111-7の幅W1と、第2の平面部111-8の幅W2とは、実質的に等しくてもよい。
【0043】
図5a及び図5bは、本開示の一実施形態による光学フィルム100の頂点角による視野角を示す図である。図6a及び図6bは、本開示の一実施形態による光学フィルム100の頂点角による照度(遮蔽度)を示す図である。
【0044】
図5a及び図5bを参照して、頂点角による視野角分布及び輝度について説明することができる。図5aは、ピラミッドパターンが頂点角90度のときの視野角分布及び輝度測定の結果を示し、図5bは、ピラミッドパターンが頂点角130度のときの視野角分布及び輝度測定の結果を示すことができる。図5a及び図5bでは、図面の中心部に光の主光線(chief ray)が通り、周辺部に光の周辺光線(marginal ray)が通ることが示されており、主光線の光量及び周辺光線の光量に応じて、明るさを様々な色分布で示すことができる。図5a及び図5bを参照すると、中心部の輝度が高く、中心部から周辺部に向かうほど、輝度が徐々に低下する様相を有することが確認できる。ただし、図5aでは、周辺部の縁部で輝度が増加することを確認することができる。図5bでは、図5aに比べて、中心部に光が集中していることを確認することができる。指定された範囲内で、ピラミッドパターン層111の頂点角が大きくなるほど、光学フィルム100に入射する光の拡散度は、小さくなり、中心部に光が集光することができ、頂点角が小さくなると、光の拡散度が大きくなり、輝度損失が大きくなることがある。光の拡散度とは、言い換えれば、光が液晶表示装置1内で反射して戻ってくる確率、すなわち、リサイクルされる確率を意味することができる。頂点角が小さくなるほど、光リサイクル確率は、増加することができ、これにより、遮蔽度は、増加(輝度損失率は増加)することができる。
【0045】
本開示の様々な実施形態によれば、ピラミッドパターン層111を含むことによって、周辺部の4つの分面方向の光を制御することができる。本開示の一実施形態によれば、ピラミッドパターン層111は、2つの対向する三角形間の角度である頂点角が、90度以上130度以下のピラミッドパターン111aを含むことができる。一実施形態によれば、ピラミッドパターン111aの頂点角が、少なくとも90度の角度で形成される場合、図6aのように、遮蔽性能を満たすことができ、頂点角がそれ以下の場合には、光源11aが視認されるホットスポット視認性(HSV;hot spot visibility)が増加されることがある。図6a及び図6bを参照して、頂点角による照度(遮蔽度)について説明することができる。図6aは、ピラミッドパターンが頂点角90度のときの照度(遮蔽度)を示し、図6bは、ピラミッドパターンが頂点角130度のときの照度(遮蔽度)を示すことができる。図6aを見ると、所定の間隔で離隔された複数の光源11aは、視認性が低下する(指定された範囲で、頂点角が小さくなるほど、光リサイクル確率が増加し、光の拡散度が大きくなり、輝度損失が増加して、遮蔽度が高くなる)ことを確認することができる。これと比較して、図6bを見ると、光源11a及び光源11a周りの暗部分布11bが、図6aに比べて、より明確に見え、視認性が高くなる(指定された範囲で、頂点角が大きくなりながら、光の拡散度が下落することで、中心方向に集光されながら、遮蔽度が低くなる)ことを確認することができる。
【0046】
ピラミッドパターン層111は、複数のピラミッドパターンから構成されてもよく、第1のシート110の一面に規則的に配置されてもよい。複数のピラミッドパターンは、基板11に形成された光源11aと1:1に対応するか、少なくとも一部が重なり合う形態で配列されることにより、光源から発散した点光源を面光源に拡散させる一方、光学フィルム100の拡散作用により、光源11aの光が光分離(又は光拡散)されるため、光の集中によるホットスポット視認性(HSV)を低減することができる。第1のベース部112の他面112bには、複数の光学突出パターンを有する第1の拡散層113が形成されてもよい。第1の拡散層113は、硬化性樹脂(例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、エステルアクリレート、及びラジカル発生型モノマーのうち少なくとも1つを選択し、1つ又は2つ以上を混合したもの)溶液に光拡散剤ビーズを添加して、光拡散を引き起こすように、光学突出パターンが形成されたものであってもよい。また、第1の拡散層113は、粗い表面を形成して、濁度を高めるマット(matte)処理、ガラス、ポリマー等のビーズを用いて、濁度を高めるビーズ(beads)処理を含めて、濁度を高める全ての処理方式を用いて、光学突出パターンを含むように作製することができる。図8以下の図で後述する視野角分布を含む様々な実験例において、第1の拡散層113は、少なくとも15%のヘイズ(haze)値を有すると例示することができる。
【0047】
一方、第1の拡散層113のヘイズ値を15%以上で実現する場合、遮蔽力だけでなく、輝度を向上させることができる。一例として、第1の拡散層113の光学突出パターンを、図4cに開示された構造のように、逆プリズムパターンで形成して、高輝度を実現することができる。
【0048】
本開示の様々な実施形態による液晶表示装置1は、図1の下拡散シート14を別途に備えず、第1のシート110の下面に配置された下拡散シート14を、第1の拡散層113に置き換えることができる。
【0049】
一実施形態によれば、第1のシート110におけるピラミッドパターン層111の屈折率は、第1の拡散層113の屈折率より相対的に大きく、又は等しく形成することができる。これは、遮蔽度を向上するためのものであり、第1のシート110から光が入射する部分である第1の拡散層113の屈折率が、例えば、1.49のとき、光が出射される部分であるピラミッドパターン層111の屈折率は、1.49以上になるように形成することにより、ホットスポット視認性を低下させ、遮蔽性能を高めることができる。
【0050】
第2のシート120は、第2のベース部122の一面122aに、液晶表示装置1の長手方向に向かって、平行に延びる複数のプリズムパターンが形成された第1のプリズムパターン層121を含むことができる。第1のプリズムパターン層121の断面は、三角形であってもよい。例えば、第1のプリズムパターン層121に含まれる複数のプリズムパターンは、ピッチがcで、高さがdで形成されてもよい。第3のシート130は、第3のベース部132の一面132aに、液晶表示装置1の幅方向に向かって、平行に延びる複数のプリズムパターンが形成された第2のプリズムパターン層131を含むことができる。第2のプリズムパターン層131に形成されたプリズムパターンの断面は、三角形であってもよい。例えば、第2のプリズムパターン層131に形成されたプリズムパターンは、ピッチがeで、高さがfで形成されてもよい。ここで、第1のプリズムパターン層121に含まれる複数のプリズムパターンと、第2のプリズムパターン層131に含まれる複数のプリズムパターンは、互いに直交する方向に延びており、それぞれが同じピッチと高さとを有するように形成されることができるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、実施形態によって多様であり得る。また、第2のシート120の第2のベース部122の他面122bには、複数の光学突出パターンを含む第2の拡散層123が含まれ、第3のシート130の第3のベース部132の他面132bには、複数の光学突出パターンを含む第3の拡散層133が含まれてもよい。
【0051】
第2の拡散層123及び第3の拡散層133は、第1のシート110の第1のベース部112の他面112bに形成された第1の拡散層113と実質的に同一の構成であってもよい。第2の拡散層123及び第3の拡散層133はそれぞれ、粗い表面を形成して、濁度を高めるマット(matte)処理、ガラス、ポリマー等のビーズを用いて、濁度を高めるビーズ(beads)処理を含めて、濁度を高めるすべての処理方式を用いて作製することができる。例えば、図8以下の図で後述する視野角分布を含む様々な実験例において、第2の拡散層123は、3%のヘイズ値を有し、第3の拡散層133は、40%のヘイズ(haze)値を有するものを例示することができる。
【0052】
第1のシート110及び第2のシート120は、第1のシート110のピラミッドパターン層111と、第2のシート120の第2の拡散層123とが互いにラミネートされた形態で接続され、第2のシート120及び第3のシート130は、第2のシート120の第1のプリズムパターン層121と、第3のシート130の第3の拡散層133とが互いにラミネートされた形態で接続され得る。このとき、第2の拡散層123と第3の拡散層133とはそれぞれ、例えば、複数の光学突出パターン(マットパターン)を接着剤(例えば、接着性樹脂)で形成することができ、最初は、100%硬化ではなく、略50%の硬化(例えば、半硬化)状態で、他のシートにラミネートされたが、その後、100%硬化されることによって、他のシートにラミネートされる形態で作製することができる。
【0053】
図7は、本開示の一実施形態による輝度測定のための実験の構成を示す。
【0054】
図7を参照すると、輝度を測定するための実験の構成は、光学フィルム100と光測定装置210とを含むことができる。ここで、光学フィルム100は、第2のシート120と第3のシート130とが貼り合わされた様子を示すことができ、第1のシート110は、省略して示されてもよい。光測定装置210は、例えば、色彩輝度計などの高速分光測定システムであり得る。図面には示していないが、光学フィルム100を基準に、光測定装置210の反対側には、光源を含むバックライトユニットを配置することができる。
【0055】
光測定装置210は、図7に示すように、光学フィルム100の高さ方向(Z軸方向)に入射する光を計測することができる。このとき、液晶表示装置1に対して高い輝度を得るためには、光測定装置210で測定される視野角データにおいて、0度付近の明るさが高くなければならず、0度付近の明るさは、光学フィルム100で第2のシート120及び第3のシート130を通過する光が特定の角度Cで入射したときに、最も大きくなることを、実験結果からわかることができた。即ち、液晶表示装置1の輝度は、第2のシート120と第3のシート130との貼合体の下面(例えば、第2のシート120の他面122b)を通過する光が、特定の角度Cで入射するときに、最も大きくなることがある。
【0056】
例えば、第2のベース部122及び第3のベース部132がそれぞれ、24μmの厚さを有する実施形態では、第2のベース部122の一面122aに形成された第1のプリズムパターン層121のプリズムパターンのピッチcが50μmで、高さdが40μmで形成され、第2の拡散層123が3%のヘイズ値を有し、第3のベース部132の一面132aに形成された第2のプリズムパターン層131のプリズムパターンのピッチeが50μmで、高さfが40μmで形成され、第3の拡散層133が40%のヘイズ値を有するとする場合、0度付近の明るさが最も高くなる入射光の角度Cは、59度で形成することができる。すなわち、第2のシート120と第3のシート130との貼合体の下面(例えば、第2のシート120の他面122b)を通過する光が、+59度、又は-59度の角度で入射するときに、最も高い輝度値を持つことがある。
【0057】
本開示の様々な実施形態によれば、光が入射する方向の遮蔽性能を向上させると同時に、第2のシート120と第3のシート130との貼合体の下面(例えば、第2のシート120の他面122b)を通過する光が、特定の角度Cで入射するように設計された第1のシート110を含む光学フィルム100を提供することができる。一実施形態による光学フィルム100は、図2図6bに示すように、第1のベース部112、この第1のベース部112の一面112aに、複数のピラミッドパターンが形成されたピラミッドパターン層111、及び第1のベース部112の他面112bに配置された第1の拡散層113を含む第1のシート110を含み、第1のシート110の上(over)に重ねて配置され、第2のベース部122、及びこの第2のベース部122の一面に、複数のプリズムパターンが形成された第1のプリズムパターン層121及び第2のベース部122の他面122bに形成された第2の拡散層123を含む第2のシート120を含み、この第2のシート120の上(over)に重ねて配置され、第3のベース部132、この第3のベース部132の一面132aに、複数のプリズムパターンが形成された第2のプリズムパターン層131及び第3のベース部132の他面132bに形成された第3の拡散層133を含む第3のシート130を含むことができる。
【0058】
図1に示す実施形態と図2図6bの実施形態とを比較すると、図1の液晶表示装置1は、単純な下拡散シート14のみを備えているため、光源11aを遮蔽しにくい一方、プリズムパターンを向く面P1から、プリズムシート15、16に入射する光の方向は、最適な輝度性能を発揮する角度を形成するように設計されないことがある。一方、図2図6bの液晶表示装置1は、第1のシート110、第2のシート120、及び第3のシート130が互いにラミネートされた形態で製造することができ、特に第1のシート110は、第1のベース部112の他面112bに第1の拡散層113が、一面112aには、ピラミッドパターンが設けられ、光を拡散させながらも、光の集中によるホットスポット視認性を良好にすることができる(遮蔽性能の向上)。また、ラミネートされた第2のシート120と第3のシート130の仕様を考慮して、第1のシート110は、第1のベース部112の他面112bに形成された第1の拡散層113と、一面112aに形成されたピラミッドパターンの仕様を適切に調整すると、第2のシート120の下面122bと当接する点(例えば、図2のP2)で、第2のシート120に向かって、光が特定の角度で入射するように光を屈折及び/又は反射させることができる(輝度性能の向上)。
【0059】
様々な実施形態によれば、ピラミッドパターン層111と第2の拡散層123との屈折率は、偏差0.05以下で形成することができる。ピラミッドパターン層111と第2の拡散層123との屈折率が、偏差0.05以下で形成されることで、貼り合わせの時、ピラミッドパターンの損傷を防止しながら、光リサイクルの特性を維持するのに有利であり得る。様々な実施形態によれば、第1のプリズムパターン層121と第3の拡散層133との屈折率は、偏差0.05以上で形成することができる。第1のプリズムパターン層121と第3の拡散層133との屈折率は、偏差0.05以上で形成することで、輝度の低下を最小化することができる。
【0060】
一実施形態によれば、第2のシート120及び第3のシート130に含まれる第1のプリズムパターン層121及び第2のプリズムパターン層131のピッチに対する第1のシート110のピラミッドパターン層111のピッチ比が、整数倍で形成される場合には、モアレ(moire)現象が発生することがある。したがって、第1のシート110のピラミッドパターン層111のピッチは、第2のシート120及び第3のシート130に含まれる第1のプリズムパターン層121及び第2のプリズムパターン層131の整数倍から所定の倍数の偏差を有するようにすることができる。例えば、第2のシート120及び第3のシート130に含まれる第1のプリズムパターン層121及び第2のプリズムパターン層131のピッチがそれぞれ、50μmで形成された場合、第1のシート110のピラミッドパターン層111のピッチpは、85μmで形成され、15%の倍数偏差が形成されるように構成することができる。
【0061】
図8a及び図8bは、図1の実施形態に開示された液晶表示装置1と、図2図6bの実施形態に開示された液晶表示装置1との間の光学特性を示す図である。図9は、図1の実施形態に開示された液晶表示装置1と、図2図6bの実施形態に開示された液晶表示装置1との間の光学特性を示すグラフである。図9は、図8a及び図8bの照度をグラフで示す図であり得る。
【0062】
ここで、図8aは、図1の実施形態に開示された拡散シート14の構成を含む液晶表示装置1における光源11aの存在によるホットスポット視認性を調べるための照度測定結果を示すことができる。図8bは、図2図6bの実施形態に開示された光学フィルム100構成を含む液晶表示装置1における光源11aの存在によるホットスポット視認性を調べるための照度測定結果を示すことができる。図8aを見ると、所定の間隔で離隔された複数の光源11aが視認されることを確認することができる。これと比較して、図8bを見ると、図8aに比べて、光源11aが多少ずれて見え、視認性が低く(遮蔽度が高くなる)、光源11a間に暗部分布11bが減少し、拡散度が増加したことが確認できる。
【0063】
図8a、図8b、及び図9を併せて参照すると、図1の実施形態及び図2図6bの実施形態のそれぞれについて照度を測定した結果、図2図6bの実施形態による光学フィルム100では、遮蔽効果が高くなることが確認できる。
【0064】
図10a及び図10bは、図1の実施形態に開示された液晶表示装置1と、図2の実施形態に開示された液晶表示装置1との間の他の光学特性を示す図である。図11は、図1の実施形態に開示された液晶表示装置1と、図2の実施形態に開示された液晶表示装置1との間の他の光学特性を示すグラフである。図11は、図10a及び図10bの視野角をグラフで示した図であり得る。
【0065】
ここで、図10aは、図1の実施形態に開示された拡散シート14の構成を含む液晶表示装置1の点P1における視野角分布と輝度測定の結果を示すことができる。図10bは、図2図6bの実施形態に開示された光学フィルム100の構成を含む液晶表示装置1の点P2における視野角分布と輝度測定の結果を示すことができる。図10a及び図10bでは、明るさを様々な色分布で表示することができる。図10a及び図10bを参照すると、中心部の輝度が高く、中心部から周辺部に向かうほど、輝度が徐々に低下する様相を有することが確認できる。ただし、図10bは、周辺部から縁に向かうほど、輝度が増加することが確認できる。
【0066】
図10a、図10b及び図11を併せて参照すると、図1の実施形態及び図2図6bの実施形態のそれぞれについて視野角及び輝度を測定した結果、図2図6bの実施形態による光学フィルム100では、+59度より大きいか、-59度より小さい角度で輝度が高くなることが確認できる。すなわち、図2図6bの実施形態で調べた光学フィルム100は、特定の角度範囲で図1の実施形態より高い輝度性能を発揮することができる。
【0067】
以上説明した本開示の様々な実施形態の光学フィルム及びそれを含むバックライトユニットは、前述の実施形態及び図面によって限定されるものではなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本開示の技術的範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であることを認識するであろう。
【符号の説明】
【0068】
1:液晶表示装置
10:バックライトユニット
11a:光源
12:反射シート
13:カラー変換シート
14:下拡散シート
15:第1のプリズムシート
16:第2のプリズムシート
17:上拡散シート
20:液晶パネル
100:光学フィルム
110:第1のシート
111:ピラミッドパターン層
112:第1のベース部
113:第1の拡散層
120:第2のシート
121:第1のプリズムパターン層
122:第2のベース部
130:第3のシート
131:第2のプリズムパターン層
123:第2の拡散層
132:第3のベース部
133:第3の拡散層
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8a
図8b
図9
図10a
図10b
図11