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特開2024-149467セルパウチ用フィルム及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149467
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】セルパウチ用フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/105 20210101AFI20241010BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20241010BHJP
   H01M 50/129 20210101ALI20241010BHJP
   H01M 50/131 20210101ALI20241010BHJP
   B32B 15/20 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/119
H01M50/129
H01M50/131
B32B15/20
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061604
(22)【出願日】2024-04-05
(31)【優先権主張番号】10-2023-0045258
(32)【優先日】2023-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523422299
【氏名又は名称】ユルチョン・ケミカル・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】YOULCHON CHEMICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ノクチョン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ヒシク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒフン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジミン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ハンチョル
(72)【発明者】
【氏名】イ,ドゥヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ゴンリョン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ソンチョル
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ムンギュ
【テーマコード(参考)】
4F100
5H011
【Fターム(参考)】
4F100AB01C
4F100AB10C
4F100AB31C
4F100AK01A
4F100AK05E
4F100AK06E
4F100AK07E
4F100AK09E
4F100AK42A
4F100AK48A
4F100AK51B
4F100AK51D
4F100AK63E
4F100AK64E
4F100AT00A
4F100AT00E
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10E
4F100EH46B
4F100EH46D
4F100EJ64C
4F100EJ94
4F100GB16
4F100GB32
4F100GB41
4F100JD02C
4F100JK02
4F100JK08
4F100JL11B
4F100JL11D
5H011AA01
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD09
5H011DD26
5H011KK07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】機械的強度に優れ、フィルムに加えられるストレスが少なくて機械的強度の偏差が低く、成形性に優れるセルパウチ用フィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】金属からなり、両面に表面処理が施されたバリア層300;前記バリア層の両面に形成された接着層200、400;及び前記接着層の両面に形成された機能性原反層100、500;を含み、長手方向(MD)の破断強度と幅方向(TD)の破断強度との差は40N/15mm以下である、セルパウチ用フィルムを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属からなり、両面に表面処理が施されたバリア層;
前記バリア層の両面に形成された接着層;及び
前記接着層の両面に形成された機能性原反層;を含み、
長手方向(MD)の破断強度と幅方向(TD)の破断強度との差は40N/15mm以下である、セルパウチ用フィルム。
【請求項2】
前記接着層の一方側の面に形成される機能性原反層は、合成樹脂原反からなる外層であり、
前記接着層の他方側の面に形成される機能性原反層は、シーラント原反からなるシーラント層である、請求項1に記載のセルパウチ用フィルム。
【請求項3】
前記フィルムの幅方向(TD)の破断強度は250N/15mm以下である、請求項1に記載の強いパウチ用フィルム。
【請求項4】
前記フィルムの長手方向(MD)の伸び率と幅方向(TD)の伸び率との差は6%以下である、請求項1に記載のセルパウチ用フィルム。
【請求項5】
前記フィルムの長手方向(MD)の破断強度と幅方向(TD)の破断強度との差(N/15mm)、及び前記フィルムの長手方向(MD)の伸び率と幅方向(TD)の伸び率との差(%)の積は240以下である、請求項1に記載のセルパウチ用フィルム。
【請求項6】
前記フィルムの長手方向(MD)の成形性及び幅方向(TD)の成形性は両方とも16.5mm以上である、請求項1に記載のセルパウチ用フィルム。
【請求項7】
前記バリア層の金属は、アルミニウム又はその合金であり、
前記外層は、ポリエチレンテレフタルレート樹脂及びナイロン樹脂からなる群より選ばれる一つ以上の樹脂を含み、
前記シーラント層は、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリブテン、及びエチレン/プロピレンコポリマーからなる群より選ばれる一つ以上のポリオレフィン樹脂を含む、請求項2に記載のセルパウチ用フィルム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のセルパウチ用フィルムを含む、セルパウチ。
【請求項9】
バリア層を形成する金属原反の両面に表面処理を施す両面表面処理段階;
前記表面処理が施された金属原反の一方側の面に接着剤を塗布して接着層を形成する一方側の面コーティング段階;及び
前記接着層の一方側の面に機能性原反をラミネートして機能性原反層を形成するラミネート段階;を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記セルパウチ用フィルムの送りは駆動ロールによって行われ、前記駆動ロールの全部又は一部はサクションロールである、請求項9に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法。
【請求項11】
前記サクションロールによってセルパウチ用フィルムに適用されるテンションは、0.02kgf/cm~2.5kgf/cmである、請求項10に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法。
【請求項12】
前記セルパウチ用フィルムの製造過程においてセルパウチ用フィルムの金属原反は、計2回以下巻き取られる、請求項10に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、セルパウチ用フィルム及びその製造方法が開示される。

[本発明を支援した国家研究開発事業]
[課題固有番号]1415185612
[課題番号]20022450
[部署名]産業通商資源部
[課題管理(専門)機関名]韓国産業技術評価管理院
[研究事業名]素材部品パッケージ型(最高企業)
[研究課題名]2倍以上の高接着強度(60℃)の具現が可能な次世代二次電池パウチの開発
[寄与率]1/1
[課題遂行機関名]栗村化学(株)
[研究期間]2023.01.01~2023.12.31
【背景技術】
【0002】
一般的に電気自動車などに使用されるパウチ型バッテリーは、円筒型や角型バッテリーに比べて形態が変形し易く且つエネルギー密度が高いという長所がある。このようなセルパウチは、一般的に金属層の一方側の面に表面処理を施す第1工程、金属層の他方側の面に表面処理を施す第2工程、一方側の面に外層をラミネートする第3工程、他方側の面にシーラント層をラミネートする第4工程がこの順に行われて製造される。
【0003】
韓国公開特許公報第10-2016-0070468号はこのような工程を開示する。しかし、このような従来の工程によれば、各工程毎にコーティング、乾燥、及び巻取りなどの処理が順に繰り返し行われるが、この場合、原反の送りの際に発生する走行損失(Loss)や工程不良が発生する確率が高くなる恐れがある。また、従来の工程はその速度が遅く且つ複数回繰り返される巻取りによってフィルムに加えられるストレスが増加するという問題が生じる。さらには、フィルムを送る駆動ロールのテンションが高くてフィルムの引張曲線に変化を引き起こし、フィルムの長手方向(MD)及び幅方向(TD)の機械的強度が変わるという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2016-0070468号
【特許文献2】韓国公開特許公報第10-2022-0031820号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一側面に係る目的は、機械的強度に優れ、フィルムに加えられるストレスが少なくて機械的強度の偏差が低く、成形性に優れるセルパウチ用フィルム及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面において、本発明は、金属からなり、両面に表面処理が施されたバリア層;前記バリア層の両面に形成された接着層;及び前記接着層の両面に形成された機能性原反層;を含み、長手方向(MD)の破断強度と幅方向(TD)の破断強度との差は40N/15mm以下である、セルパウチ用フィルムを提供する。
【0007】
他の一側面において、本発明は、前記セルパウチ用フィルムを含む、セルパウチを提供する。
【0008】
他の一側面において、本発明は、バリア層を形成する金属原反の両面に表面処理を施す両面表面処理段階;前記表面処理が施された金属原反の一方側の面に接着剤を塗布して接着層を形成する一方側の面コーティング段階;及び前記接着層の一方側の面に機能性原反をラミネートして機能性原反層を形成するラミネート段階;を含む、前記セルパウチ用フィルムの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一具現例に係るセルパウチ用フィルム及びその製造方法は、機械的強度に優れ且つフィルムに加えられるストレスが少なくて、機械的強度の偏差が低く且つ成形性に優れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施例に係るフィルムの断面を概略的に示した図である。
図2】本発明の一実施例に係るセルパウチ用フィルムの製造装置の模式図である。
図3】本発明の一実施例に係るセルパウチ用フィルムの応力-ひずみ曲線(Stress-strain curve)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照して本発明の好適な実施例を詳しく説明することにする。
【0012】
本文に開示されている本発明の実施例は、単に説明のための目的から例示されたものであって、本発明の実施例は多様な形態で実施でき、本文に説明された実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明は多様な変更を加えることができ、種々の形態を有することができるところ、実施例は本発明を特定の開示形態に限定するためのものではなく、本発明の思想や技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。
【0013】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特にこだわりがない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含んでよいことを意味する。
【0014】
明細書全体にわたって類似の部分に対しては同じ図面符号を付した。明細書全体において、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」又は「うえに」あるとしたとき、これは他の部分の直接上にある場合だけではなく、その中間に他の部分を介在する場合も含む。明細書全体において第1、第2などといった用語は、多様な構成要素を説明するために用いられているだけであり、構成要素がかかる用語によって限定されてはならない。用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみから用いられる。
【0015】
本明細書において「セル(cell)」とは、電池を意味するものであって、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池などのような二次電池や携帯用蓄電池などのような各種の電池をすべて含む最も広い意味である。
【0016】
本明細書において「セルパウチ(cell pouch)」は、正極、負極、及びセパレータ(separator)などのセル構成要素が電解液に含侵されて収納されたものであって、前記セル構成要素を収納するためにガスバリア性、曲げ性、耐電解液性、及び熱接着性などを考慮した積層構造のフィルムを袋型や箱型などに加工されたものをすべて含む最広義の意味である。
【0017】
本明細書において「バリア性」は、電池の外部からの水蒸気を遮断する性能のことを意味する。
【0018】
本明細書において「曲げ性(flexibility)」は、セル及び/又はセルパウチの曲げの程度を意味することであって、曲げ性に優れるほどセル及び/又はフレキシブルセルパウチが曲げ易くなる。
【0019】
セルパウチ用フィルム
図1は、本開示の一実施例に係るフィルムの断面を概略的に示した図である。
【0020】
本発明の例示的な具現例では、金属からなり、両面に表面処理が施されたバリア層300;前記バリア層の両面に形成された接着層200、400;及び前記接着層200、400の両面に形成された機能性原反層100、500;を含み、長手方向(Machine direction、MD)の破断強度と幅方向(Machine direction、TD)の破断強度との差は40N/15mm以下である、セルパウチ用フィルムを提供する。
【0021】
本開示の一実施例は、シーラント層500;前記シーラント層500の上に積層された内面接着層400;前記内面接着層400の上に積層されたバリア層300;前記バリア層300の上に積層された外面接着層200;及び前記外面接着層200の上に形成された外層100を含み、前記バリア層300は、金属層320及び前記金属層320の両面にそれぞれ均一にコートされた表面処理層310、330を含むセルパウチ用フィルムを提供することができる。
【0022】
一具現例において、前記接着層と前記機能性原反層との間に押出樹脂層がさらに形成されてよい。前記押出樹脂層は、パウチの曲げ性、接着性、絶縁性などを向上させることができる。前記押出樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂などのオレフイン系樹脂を含む。前記押出樹脂層は、約5~80μmの厚さを有してよい。又は、前記内面接着層を有さずに前記押出樹脂層及び前記シーラント層でセルパウチ用フィルムの内部層を構成してもよい。前記のように内面接着層を有さない場合には、前記押出樹脂層が内面接着層の役割を兼ねてもよい。
【0023】
一具現例において、前記バリア層は、外部の湿気や空気、そして内部で発生したガスの出入を遮断することができる。前記バリア層は、ガスバリア性を持つ金属であれば特に制限されない。前記バリア層は、金属薄膜及び金属蒸着層などから選ばれた一つ以上を含んでよい。このとき、前記金属薄膜は、金属箔(metal foil)などを用いてよく、金属蒸着層は、別途のプラスチックフィルム、例えば、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)などのフィルムに真空蒸着されて形成されてよい。
【0024】
一具現例において、前記フィルムの長手方向(Machine direction、MD)の破断強度と幅方向(Machine direction、TD)の破断強度との差は40N/15mm以下である。より具体的に、前記フィルムの長手方向(MD)の破断強度と幅方向(TD)の破断強度との差は、5N/15mm以上、10N/15mm以上、15N/15mm以上、20N/15mm以上、23N/15mm以上;40N/15mm以下、35N/15mm以下、30N/15mm以下、25N/15mm以下、23N/15mm以下であってよいが、これに制限されることではない。
【0025】
本発明は、従来のように各工程毎にコーティング、乾燥、及び巻取りなどの処理を繰り返し行う方式ではない、本発明の製造方法に従い一つの設備で3回以上のコーティング過程が行われ得る1パス3コーティング(1 Pass 3 Coating、1P3C)のインライン方式を用いる。これにより、原反の送りの際に発生する走行損失(Loss)や工程不良が発生する確率を低減することができる。また、本発明の方法によれば、工程速度が高く、巻取り回数が減ることでフィルムに加えられるストレスが減少し、フィルムを送る駆動ロールのテンションが低くてフィルムの引張曲線に変化を引き起こさず、フィルムの長手方向(MD)及び幅方向(TD)の機械的強度が変化しない。
【0026】
一具現例において、前記接着層の一方側の面に形成される機能性原反層は、合成樹脂原反からなる外層であり、前記接着層の他方側の面に形成される機能性原反層は、シーラント原反からなるシーラント層である。
【0027】
一具現例において、前記シーラント層は、内層であって、セルが内蔵された後、熱によって接着されてシーリング(sealing)性を付与するものであり、熱接着のためのシーリング樹脂(sealing resin)を含んでよい。
【0028】
一具現例において、前記フィルムの幅方向(TD)の破断強度は250N/15mm以下である。より具体的に、前記フィルムの幅方向(TD)の破断強度は、150N/15mm以上、160N/15mm以上、170N/15mm以上、180N/15mm以上、190N/15mm以上、200N/15mm以上、210N/15mm以上、220N/15mm以上、230N/15mm以上、231N/15mm以上;250N/15mm以下、240N/15mm以下、231N/15mm以下であってよいが、これに制限されることではない。
【0029】
一具現例において、前記フィルムの長手方向(MD)の伸び率と幅方向(TD)の伸び率との差は6%以下である。より具体的に、前記フィルムの長手方向(MD)の伸び率と幅方向(TD)の伸び率との差は、0%以上、1%以上、2%以上、3%以上;6%以下、5%以下、4%以下、3%以下であってよいが、これに制限されるこではない。
【0030】
一具現例において、前記フィルムの長手方向(MD)の破断強度と幅方向(TD)の破断強度との差(N/15mm)、及び前記フィルムの長手方向(MD)の伸び率と幅方向(TD)の伸び率との差(%)の積は240以下である。より具体的に、前記破断強度の差(N/15mm)及び伸び率の差(%)の積は、5以上、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上、55以上、60以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、95以上、99以上;200以下、190以下、180以下、170以下、160以下、150以下、140以下、130以下、120以下、110以下、100以下、99以下であってよいが、これに制限されることではない。前記破断強度の差(N/15mm)及び伸び率の差(%)の積が前記範囲である場合、セルパウチ用フィルムが長手方向(MD)及び幅方向(TD)において均一な物性を持つことで、セルパウチ用フィルムの成形及び加工工程中にフィルムに加えられる応力を均一に分散させることができる。これにより、一方向にストレスが集中してクラックの発生が加速化する現象を遅延させることで成形性及び耐久性を向上させることができる。
【0031】
一具現例において、前記フィルムの長手方向(MD)の成形性及び幅方向(TD)の成形性は両方とも16.5mm以上である。セルパウチ用フィルムを切断した試片に対して成形を行なってからその深さを測定したとき、当該深さで10個のうち10個とも破れが発生していないと、より深い深さを適用し、このとき、1個でも破れが発生した場合、その直前の深さを最大高さとして成形性と呼称する。より具体的に、前記フィルムの長手方向(MD)の成形性及び幅方向(TD)の成形性は両方とも16.5mm以上であってよいが、これに制限されることではない。セルパウチ用フィルムの成形時の成形形状は正方形ではない矩形状(例えば、横の長さ190mm、縦の長さ90mm)が一般的である。例えば、フィルムの長手方向(MD)の成形性は、成形される矩形状で横の長さ190mm(TD方向)、縦の長さ90mm(MD方向)であることを意味する。幅方向(TD)の成形性は、成形される矩形状で横の長さ190mm(MD方向)、縦の長さ90mm(TD方向)であることを意味する。
【0032】
一具現例において、前記バリア層を構成する金属、具体的に、前記金属薄膜や金属蒸着層を構成する金属は、例えば、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、及びタングステン(W)などからなる群より選ばれた一つ以上(単一金属又は単一金属の混合)、又はこれらから選ばれた2以上の合金(alloy)などが挙げられる。一具現例において、前記バリア層の金属は、アルミニウム又はその合金である。前記バリア層には、水蒸気やその他の気体に対するバリア性とともに成形性などの特性が要求される。さらに、前記バリア層は、耐腐食性のために、リン酸やクロムなどによって表面処理が施されたものが用いられてよい。
【0033】
一具現例において、前記外層は、ポリエチレンテレフタルレート(PET)樹脂及びナイロン樹脂からなる群より選ばれる一つ以上の樹脂を含む。前記外層には、耐熱性、耐ピンホール性、耐化学性、耐摩耗性、成形性、及び絶縁性などの特性が要求される。前記外層は、複数の層から構成されてよい。一具現例において、前記外層は、ポリエチレンテレフタルレート(PET)樹脂及びナイロン樹脂からなる。
【0034】
一具現例において、前記シーラント層は、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリブテン、及びエチレン/プロピレンコポリマーからなる群より選ばれる一つ以上のポリオレフィン樹脂を含む。前記シーラント層には、耐熱性、耐寒性、熱接着性、成形性とともに電解液と接触する層である点から、耐電解液性、絶縁抵抗性などの特性が要求される。前記シーラント層は、複数の層から構成されてよい。
【0035】
一具現例において、前記表面処理層は、金属の耐腐食性を提供するために、リン酸やクロム、ジルコニウム、セリウム、ランタンなどによる表面処理層であってよい。
【0036】
一具現例において、前記接着層は、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリオレフィン系接着剤のうちの一つ以上を含んでよい。一実施例として、前記内面接着層及び外面接着層は、それぞれ0.5μm~10μmの厚さを有してよい。
【0037】
一具現例において、前記バリア層は、5μm~100μmの厚さを有してよい。前記バリア層の厚さが5μm未満であると、二次電池のセルパウチとしての具現が容易ではなく、また前記バリア層の厚さが100μmを超えると、セルパウチの曲げ性テストで電池容量が急激に減ることがある。
一具現例において、前記外層は、5μm~50μmの厚さを有してよい。
一具現例において、前記シーラント層は、5μm~100μmの厚さを有してよい。
【0038】
一実施例において、前記内面接着層と前記シーラント層との間に押出樹脂層がさらに形成されてよい。前記押出樹脂層は、パウチの曲げ性、接着性、絶縁性などを向上させることができる。一実施例として、前記押出樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂などのオレフイン系樹脂を含んでよい。他の一実施例として、前記内面接着層を有さずに前記押出樹脂層及び前記シーラント層でセルパウチ用フィルムの内部層を構成してもよい。前記のように内面接着層を有さない場合には、前記押出樹脂層が内面接着層の役割を兼ねてもよい。一具現例において、前記押出樹脂層は、5μm~80μmの厚さを有してよい。
【0039】
セルパウチ
本発明の一実施例に係るセルパウチ用フィルムは、ガスバリア性、曲げ性、耐電解液性、及び熱接着性などに優れるので、セルパウチ用途に適合するものである。
【0040】
本発明の他の例示的な具現例では、本発明の一実施例に係るセルパウチ用フィルムを含む、セルパウチを提供する。
【0041】
セルパウチ用フィルムの製造方法
本発明の他の例示的な具現例では、バリア層を形成する金属原反の両面に表面処理を施す両面表面処理段階;前記表面処理が施された金属原反の一方側の面に接着剤を塗布して接着層を形成する一方側の面コーティング段階;及び前記接着層の一方側の面に機能性原反をラミネートして機能性原反層を形成するラミネート段階;を含む、前記セルパウチ用フィルムの製造方法を提供する。
【0042】
本発明は、各工程毎にコーティング、乾燥、及び巻取りなどの処理を繰り返し行う方式ではない、本発明の製造方法に従い一つの設備で3回以上のコーティング過程が行われ得る1パス3コーティング(1 Pass 3 Coating、1P3C)のインライン方式を用いる。これにより、原反の送りの際に発生する走行損失(Loss)や工程不良が発生する確率を低減することができる。また、本発明の方法によれば、工程速度が高く、巻取り回数が減ってフィルムに加えられるストレスが減少し、フィルムを送る駆動ロールのテンションが低くてフィルムの引張曲線に変化を引き起こさず、フィルムの長手方向(MD)及び幅方向(TD)の機械的強度が変化しない。
【0043】
前記両面表面処理段階は、金属層を形成する金属原反の両面を第1次及び第2次コートして表面処理する過程であって、前記両面表面処理段階は、第1次コータ及び第2次コータを含む両面二重コーティング手段によって行われる。
【0044】
前記両面表面処理段階は、巻き取られた金属原反を繰り出して供給する原反供給過程;供給された金属原反の表面に存在する異物を除去する異物除去過程;表面の異物が除去された金属原反の張力を調節する張力調節過程;及び一定の張力が維持される金属原反の両面にコーティングを行う両面二重コーティング過程;を含んでよい。
【0045】
前記異物除去過程は、金属原反の両面に放電処理を施して油分を除去する第1次異物除去過程を含んでよい。また、前記異物除去過程は、油分が除去された金属原反の両面にピンホールの発生の有無を確認するピンホール検査過程をさらに含んでよい。また、前記異物除去過程は、前記ピンホール検査を経た金属原反の両面に発生する異物をロール方式にて除去する第2次異物除去過程をさらに含んでよい。
【0046】
金属原反の一方側の面は、第1次コータによってダイレクトコーティング(Direct coating)及びリバースキスコーティング(Reverse Kiss Coating、RKC)の兼用方式にて水系及び溶剤系コーティング液を塗布する第1次コーティングを行うことで、コーティング液の物性や変更まで考慮した。金属原反の他方側の面は、RKC及びフィルムアップダウンコーティング(Film up/down coating)方式にてコーティング液を塗布する第2次コーティングを行なってよい。一方、基材接触面とコーティングロール(Coating Roll)及びドクター(Doctor)の位置を調整できるように構成することで、コーティングの均一度及び作業速度の向上を可能にすることができる。特に、コーティング剤の精度良いコントロールのためにチャンバ方式(密閉配管)を構成することで、コーティング剤の粘度を調節することができ、且つ異物の流入を基本的に遮断することができる。
【0047】
前記両面表面処理段階と接着層を形成する一方側の面コーティング段階との間に両面にコーティング処理が施された金属原反をフローティング方式にて乾燥して物性を安定化させる物性安定化乾燥段階;乾燥された金属原反を冷却させる冷却段階;及び冷却された金属原反の表面を検査する表面検査段階をさらに含んでよい。
【0048】
両面表面処理段階が完了すると、両面にコーティング処理が施された金属原反をフローティング(Floating)方式にて乾燥して物性を安定化させることができる。このとき、乾燥方式はコートされた基材を浮遊した状態で非接触式にて乾燥できるようにエアフローティング(Air Floating)方式を適用してよい。これにより、送りロールなどの構成との接触を最小化しながら両面表面処理が施された金属原反を乾燥することができる。次いで、乾燥された金属原反を冷却させた後、冷却された金属原反の表面を検査してよい。
【0049】
前記接着層を形成する一方側の面コーティング段階は、2回のコーティングによって表面処理が施された金属原反の一方側の面に接着剤を塗布する過程であって、第3次コータによって行われ、乾燥などの過程を経ながらラミネートのための準備をするようになる。接着剤を塗布してから、接着剤が塗布された金属原反を乾燥させて接着層を形成した後、乾燥された接着層の厚さを測定し、接着層の表面をコロナ処理して接着力を強化させることができる。
【0050】
前記方法の一実施例は、前記ラミネート段階の後、前記金属原反において外層がラミネートされていない他方側の面に内面接着剤を塗布して内面接着層を形成する内面接着層コーティング段階をさらに含んでよい。また、一実施例は、前記コーティング段階の後に乾燥段階をさらに含んでよい。一実施例は、前記内面接着層の下にシーラント層原反をラミネートする段階をさらに含んでよい。
【0051】
一実施例において、前記方法は、外層ラミネート段階までの各段階で用いられる原反に突き刺され及び/又は圧痕が発生することを防止するために、計2回以下の巻取り段階を含んでよい。具体的に、前記金属原反は、計2回以下の巻取りが行われたものであってよい。より具体的に、前記巻取り段階は、計1回の巻取り段階を含んでよい。一実施例において、前記巻取り段階は、前記外面接着層コーティング段階の後であって前記外層原反ラミネート段階の前に含まれることであってよい。例えば、前記巻取り段階は、図2中の(10)番段階で行われることであってよい。
【0052】
一実施例において、前記外面接着層の上に外層原反をラミネートするラミネート段階及び前記内面接着層の下にシーラント層原反をラミネートする段階は、それぞれ接着剤が塗布された金属原反の一方側の面に機能性原反をラミネートする過程であって、内側は主に電池の耐熱性及び耐寒性を安定化するためのシーラント層原反がラミネートされてよく、外側は耐熱性と耐ピンホール性及び耐摩耗性などのための外層原反がラミネートされてよい。一実施例において、前記各ラミネート段階は、予め準備された外層原反又はシーラント原反をラミネートすることであってよい。
【0053】
前記第3次コーティング段階とラミネート段階との間に、接着剤が塗布された金属原反を乾燥させて接着層を形成する接着剤乾燥段階;乾燥された接着層の厚さを測定する接着層厚さ測定段階;及び前記接着層の表面をコロナ処理して接着力を強化させる接着層表面処理段階をさらに含んでよい。
【0054】
前記ラミネート段階の後に前記シーラント層又は外層の表面を検査する表面検査段階をさらに含んでよい。
【0055】
一方、各原反を送る過程で、異物及びスクラッチの発生を最小化するためにガイドロールに基材接触ロールと軸とを分離して可動するテンデンシ(Tendency)構造及び一体型で可動するシャフト(Shaft)構造を両方とも適用してよい。ガイドロールの一般の駆動方式は、モータからの回転を軸一体型ガイドロールに伝達して1:1の速度に合わせて駆動をする仕組みであるのに対し、ンテンシ駆動方式は、ガイドロールと軸とを分離して微細なロールの回転速度を相互補正する仕組みになっており、必要な区間で適宜適用してよい。
【0056】
さらにまた、設備に問題が発生して設備の稼動に不具合が生じたときに分離して運営できるようにリワインダ(Re-winder)部、アンワインダ(Un-winder)部(原反供給部)とを別途に構成してよい。
【0057】
また、本開示は、一実施例として熟成段階をさらに含んでよい。前記熟成段階は、セルパウチの製造の際の接着力、耐電解液性、剥離強度などの信頼性を向上するために必要な工程であるが、所要時間が多少長いため最適の熟成工程が肝要である。前記セルパウチの最終構造に対して1回だけの熟成工程を経て製品を製造することが生産性の面から好ましい。具体的に、前記方法は、1回の熟成段階を含むものであってよい。より具体的に、前記方法は、前記両面表面処理段階の後に熟成段階なしに、表面処理が施された金属原反の一方側の面に接着剤を塗布するものであってよく、前記熟成段階は、シーラント層のラミネート段階の後に含まれることであってよい。例えば、前記ラミネート段階前の両面表面処理段階で熟成段階が含まれる場合には、製造途中段階のフィルムが一定時間以上空気中に曝されながら積層されていない表面処理剤の脱着が生じることがある。例えば、接着層形成段階で熟成段階が含まれる場合には、接着層の反応が一部進んで後で該接着層が他の層にくっ付くブロッキング現象が生じることがある。
【0058】
セルパウチ用フィルムの第1中間構造は、外層/接着層/表面処理層/バリア層/表面処理層/接着層の構造からなることであってよく、第2中間構造は、外層/接着層/表面処理層/バリア層/表面処理層の構造からなることであってよい。不可避に熟成を2回行わなければならない場合、第2中間構造で1次熟成をし、以降、最終構造で2次熟成をすることが好ましい。もし第1中間構造で1次熟成をした場合には、製造工程上の問題、物性低下などの問題が生じることがある。より具体的に、第1中間構造で1次熟成を経た製品は、内面接着層(シーラント層側)の反応が一部進み、内面接着層が外層にくっ付くブロッキング現象が生じることがある。
【0059】
そして、1次熟成後にシーラント層を形成したとき、内面接着層に接着力を強化するための工程がさらに必要となり、生産性の低下につながり得る。
【0060】
一方、原反の送り途中での異物及びスクラッチの発生の最小化のためにテンション制御区間ではサクションロールを適用してよく、走行途中で発生する異物がロールにくっ付いて外観不良(突き刺され、スクラッチなど)を誘発することを防止するために、異物を除去するための接触式クリーンロールを適用してよい。
【0061】
一具現例において、前記セルパウチ用フィルムの送りは駆動ロールによって行われ、前記駆動ロールの全部又は一部はサクションロールである。前記サクションロールは、周面から空気を吸いこむために複数個の穴を備える。穴から空気を吸いこむことでフィルムはサクションロールの周面と接触するように引き付けられる。
【0062】
一具現例において、前記サクションロールによってセルパウチ用フィルムに適用されるテンションは、0.02kgf/cm~2.5kgf/cmである。
【0063】
一具現例において、前記セルパウチ用フィルムの製造過程でセルパウチ用フィルムの金属原反は、計2回以下巻き取られる。
【0064】
セルパウチ用フィルムの製造装置
本発明の他の例示的な具現例では、バリア層を形成する金属原反の両面に表面処理を施す第1次コータ3及び第2次コータ4を含む両面表面処理手段;前記表面処理が施された金属原反の一方側の面に接着剤を塗布する第3次コータ7;及び前記接着層の一方側の面に機能性原反をラミネートするラミネート部9;を含む、前記セルパウチ用フィルムの製造装置を提供する。
【0065】
図2は、本発明の一実施例に係るセルパウチ用フィルムの製造装置の模式図である。
【0066】
前記両面表面処理手段は、原反供給部1、異物除去手段2、張力調節部、及び第1次コータ3及び第2次コータ4を含んでよい。前記原反供給部1は、巻き取られた金属原反を繰り出して供給する。前記異物除去手段2は、供給された金属原反の表面に存在する異物を除去する。前記張力調節部は、表面の異物が除去された金属原反の張力を調節する。前記第1次コータ3及び第2次コータ4は、一定の張力が維持される金属原反の両面にコーティングを行う。
【0067】
前記異物除去手段2は、金属原反の両面に放電処理を施して油分を除去する第1次異物除去部を含んでよい。また、油分が除去された金属原反の両面にピンホールの発生の有無を確認するピンホール検査部をさらに含んでよい。確認の結果異常がない場合に金属原反の両面に発生する異物をロール方式にて除去する第2次異物除去部をさらに含んでよい。
【0068】
前記両面表面処理手段と第3次コータ7との間に両面がコーティング処理された金属原反をフローティング(Floating)方式にて乾燥して物性を安定化させる物性安定化乾燥部5が設けられてよい。このとき、乾燥方式は、コートされた基材を浮遊した状態で非接触式にて乾燥できるようにエアフローティング(Air Floating)方式を適用してよい。これにより、送りロールなどの構成との接触を最小化しながら両面コートされた金属原反を乾燥することができる。次いで、冷却部6によって乾燥された金属原反を冷却させ、表面検査部によって前記冷却された金属原反の表面を検査してよい。
【0069】
前記第3次コータ7とラミネート部9との間に、接着剤が塗布された金属原反を乾燥させて接着層を形成する接着剤乾燥部8;乾燥された接着層の厚さを測定する接着層測定部;及び接着層の表面をコロナ処理して接着力を強化させる接着層表面処理部をさらに含んでよい。
【0070】
前記ラミネート部9に続いて前記シーラント層及び外層の表面を検査する表面検査部をさらに含んでよい。
【0071】
図2中のラミネート部9と最終巻取り部(End、2nd Re-wind)との間に表面処理が施された金属原反の他方側の面に接着剤を塗布する第4次コータ(図示せず)、乾燥部 (図示せず)、機能層ラミネート部(図示せず)、押出部(共押出を含む)(図示せず)などが必要に応じて追加されてよい。
【実施例0072】
以下、本発明を好ましい実施例を参考にして本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は、種々の相違した形態で具現でき、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【0073】
<製造例1>セルパウチ用フィルムの製造
バリア層を形成するアルミニウム箔金属原反の両面を第1次及び第2次コートして表面処理した。次いで、両面がコーティング処理された金属原反をフローティング(Floating)方式にて乾燥して物性を安定化させた。次いで、乾燥された金属原反を冷却させ、第3次コータによって前記表面処理が施された金属原反の一方側の面にウレタン系接着剤を塗布して接着層を形成した。次いで、前記接着層の一方側の面に予め準備されたPET/ナイロンフィルムをラミネートして外層を形成した。前記接着層の他方側の面に接着剤を塗布し、無延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートしてシーラント層を形成して、セルパウチ用フィルムを製造して巻き取った(実施例1:計2,000m巻き取られたロールで、紙管部位を基準に700m地点のサンプル;実施例 2:計2,000m巻き取られたロールで、紙管部位を基準に1,300m地点のサンプル;実施例3:計2,000m巻き取られたロールで、紙管部位を基準に1,900m地点のサンプル)。
【0074】
<製造例2>セルパウチ用フィルムの製造
バリア層を形成するアルミニウム箔金属原反の一方側の面を第1次コートして表面処理し、乾燥後に巻き取った。バリア層を形成するアルミニウム箔金属原反の他方側の面を第2次コートして表面処理し、乾燥後に巻き取った。両面表面処理が施されたアルミニウム箔金属原反の一方側の面にウレタン系接着剤をコートし、乾燥後に、予め準備されたPET/ナイロンフィルムをラミネートして外層を形成して巻き取った。次いで、内面接着剤をコートし、乾燥後に、内層(シーラントフィルム)をラミネートして巻き取った(比較例1:計2,000m巻き取られたロールで、紙管部位を基準に700m地点のサンプル;比較例2:計2,000m巻き取られたロールで、紙管部位を基準に1,300m地点のサンプル;比較例3:計2,000m巻き取られたロールで、紙管部位を基準に1,900m地点のサンプル)。
【0075】
<実験例1>フィルムの長手方向(MD)の物性と幅方向(TD)の物性との差の評価
製造例1及び製造例2で製造されたセルパウチ用フィルムに対して長手方向(MD)の物性と幅方向(TD)の物性との差を評価した。
【0076】
より具体的に、巻き取られたロールで長手方向(MD)及び幅方向(TD)に130mm×15mmの大きさの試片を採取した。採取された試片に対してASTM D638に準してUTM(製造社:INSTRON)万能試験機器を用いて延伸速度50mm/分、グリップ間距離50mmの条件で引張強度を測定した。試片が切断されて破断した時点の強度である破断強度を測定し、採取された試片の中間に30mm長さを表示しておいてから、破断後に伸びた長さを実測し評価して伸び率を測定した。
【0077】
その結果を、図3及び下記の表1及び表2に表した。図3は、本発明の一実施例に係るセルパウチ用フィルムの応力-ひずみ曲線(Stress-strain curve)である。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
図3及び前記表1及び表2から、本発明に係るセルパウチ用フィルムの場合、機械的強度に優れ、且つ機械的強度の偏差が低いことを確認することができる。
【0081】
<実験例2>フィルムの長手方向(MD)の成形性と幅方向(TD)の成形性との差の評価
製造例1及び製造例2で製造されたセルパウチ用フィルムに対して長手方向(MD)の物性と幅方向(TD)の物性との差を評価した。
【0082】
より具体的に、巻き取られたロールで長手方向(MD)及び幅方向(TD)に266mm×240mmの大きさの試片を採取した。採取された試片を矩形状(横の長さ190mm、縦の長さ90mm)に成形した(クロムがコートされている高成形パウチ成形性評価装備で1cupにて成形性を評価し、R値は多様であるが基準になる角のR値は4である)。
【0083】
成形を行なってから深さを測定したとき、当該深さで10個のうち10個とも破れが発生していないと、より深い深さを適用し、このとき、1個でも破れが発生した場合、その直前の深さを最大高さとして成形性と定義した。
【0084】
長手方向(MD)の成形性は、成形される矩形状で横の長さ190mm(TD方向)、縦の長さ90mm(MD方向)であることを意味する。幅方向(TD)の成形性は、成形される矩形状で横の長さ190mm(MD方向)、縦の長さ90mm(TD方向)であることを意味する。その結果を下記の表3に表した。
【0085】
【表3】
【0086】
前記表3から、本発明に係るセルパウチ用フィルムの場合、成形性に最も優れることを確認することができる。
【0087】
以上、本発明の例示的な具現例を前記言及された好適な実施例と関連付けて説明したが、発明の要旨と範囲から逸脱することなく多様な修正や変形を加えることが可能である。したがって、添付の特許請求の範囲には本発明の要旨に属するかかる修正や変形が含まれるといえる。
【符号の説明】
【0088】
1:原反供給部 2:異物除去手段
3:第1次コータ 4:第2次コータ
5:物性安定化乾燥部 6:冷却部
7:第3次コータ 8:接着剤乾燥部
9:ラミネート部 10:最終巻取り部
100:外層 200:外面接着層
300:バリア層 310:表面処理層
320:金属層 330:表面処理層
400:内面接着層 500:シーラント層
図1
図2
図3