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特開2024-149468積層体の変形を最小化したセルパウチ用フィルム及びその製造方法
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  • 特開-積層体の変形を最小化したセルパウチ用フィルム及びその製造方法 図1
  • 特開-積層体の変形を最小化したセルパウチ用フィルム及びその製造方法 図2
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  • 特開-積層体の変形を最小化したセルパウチ用フィルム及びその製造方法 図4
  • 特開-積層体の変形を最小化したセルパウチ用フィルム及びその製造方法 図5a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149468
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】積層体の変形を最小化したセルパウチ用フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20241010BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20241010BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20241010BHJP
   H01M 50/129 20210101ALI20241010BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20241010BHJP
   H01M 50/131 20210101ALI20241010BHJP
   B65H 18/00 20060101ALN20241010BHJP
【FI】
B32B27/00 H
H01M50/119
H01M50/105
H01M50/129
H01M50/121
H01M50/131
B65H18/00
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061605
(22)【出願日】2024-04-05
(31)【優先権主張番号】10-2023-0045412
(32)【優先日】2023-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523422299
【氏名又は名称】ユルチョン・ケミカル・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】YOULCHON CHEMICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ノクチョン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ヒシク
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジミン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ハンチョル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒフン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ドゥヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ゴンリョン
【テーマコード(参考)】
3F055
4F100
5H011
【Fターム(参考)】
3F055AA10
3F055BA18
4F100AB04C
4F100AB10C
4F100AB12C
4F100AB17C
4F100AB20C
4F100AB31C
4F100AB40C
4F100AK03B
4F100AK03D
4F100AK33B
4F100AK33D
4F100AK41B
4F100AK41D
4F100AK42E
4F100AK48E
4F100AK51B
4F100AK51D
4F100AK53B
4F100AK53D
4F100AT00E
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10E
4F100EH17A
4F100EH17B
4F100EH46B
4F100GB16
4F100GB41
4F100JD02C
4F100JL04
4F100JL11B
4F100JL11D
4F100JL12A
5H011AA09
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD01
5H011DD12
5H011KK01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】金属層とセルパウチ用フィルムに加えられる巻取り張力を最小化することができて金属層の機械的変形を最小化し、且つセルパウチ用フィルム積層体の変形を最小化することができるセルパウチ用フィルムとその製造方法を提供する。
【解決手段】シーラント層500;前記シーラント層の上に積層された内面接着層400;前記内面接着層の上に積層されたバリア300層;前記バリア層の上に積層された外面接着層200;及び前記外面接着層の上に形成された外層100;を含むセルパウチフィルムであって、セルパウチフィルムの成形前のカール(Curl)偏差が3mm以下である、セルパウチフィルムが提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーラント層;
前記シーラント層の上に積層された内面接着層;
前記内面接着層の上に積層されたバリア層;
前記バリア層の上に積層された外面接着層;及び
前記外面接着層の上に形成された外層;
を含むセルパウチフィルムであって、
下記の方法にて測定したセルパウチフィルムの成形前のカール(Curl)偏差が3mm以下であることを特徴とするセルパウチ用フィルム。
[セルパウチ用フィルムの成形前のカール(Curl)の評価]
セルパウチ用フィルム試片を15cm×1515cmの大きさで四角形状に作製し、当該試片を平らな固定台の上に載置して平坦にテープで固定する。
固定された試片の中央点を通るように15cm長さのX字状切り込みを入れ、中央点を挟んでMD(縦方向)側の二箇所及びTD(横方向)側の二箇所から浮き上がった(カールした)高さを測定する。各MD測定値及びTD測定値の差から偏差を求める。
【請求項2】
前記セルパウチ用フィルムは、下記の方法にて測定した成形後のカール(Curl)偏差が5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のセルパウチ用フィルム。
[成形後のカール(Curl)の評価]
(1)MD方向の成形(MD成形カールの評価)
26.6(MD)×24.0(TD)cmの大きさで成形試片を作製する。クロムコートされた1カップ(cup)成形機にて0.3MPaで成形評価を行う(成形深さはAL40μm適用品8mm、AL60μm適用製品12mmで行う)。成形機のR値(角部曲率半径値)は4R(4mm)とし、成形時のフォーミングサイズは横90mm×160mmとし、シングルフォーミングで行う。
(2)TD方向の成形(TD成形カールの評価)
26.6(TD)×24.0(MD)cmの大きさで成形試片を作製する。クロムコートされた1カップ(cup)成形機にて0.3MPaで成形評価を行う(成形深さはAL40μm適用品8mm、AL60μm適用製品12mmで行う)。成形機のR値(角部曲率半径値)は4R(4mm)とし、成形時のフォーミングサイズは横90mm×160mmとし、シングルフォーミングで行う。
成形後に発生したカール(Curl)を評価するために平らな所に両面テープを貼り付けた後、その上に成形されたセルパウチ用フィルムを固定して、発生するカール(Curl)の高さを測定する。測定位置として2ポイント(Point)を測定し高い値を記録する。成形試料の各角を測定した後、カール(Curl)が最も高く発生した角の高さをカール(Curl)値とする。
【請求項3】
前記セルパウチ用フィルムにおいてバリア層は、製造工程中に単独で巻き取られることなく少なくとも外層とともに巻取りが適用されたことを特徴とする請求項2に記載のセルパウチ用フィルム。
【請求項4】
前記セルパウチ用フィルムは、製造工程中に2回以下に巻取りが適用されたことを特徴とする請求項3に記載のセルパウチ用フィルム。
【請求項5】
前記バリア層の金属は、アルミニウム又はその合金、チタン又はその合金、タングステン又はその合金、モリブデン又はその合金、銅又はその合金、及びステンレス鋼からなる群より選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のセルパウチ用フィルム。
【請求項6】
前記外層は、ナイロン樹脂、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂からなる群より選ばれる一つ以上の樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のセルパウチ用フィルム。
【請求項7】
前記バリア層には表面処理層が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のセルパウチ用フィルム。
【請求項8】
前記内面接着層及び外面接着層は、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、及びポリエステル系接着剤のうちの一つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のセルパウチ用フィルム。
【請求項9】
前記内面接着層は、接着剤コーティング層;押出コーティング層;又は接着剤コーティング層及び押出コーティング層であることを特徴とする請求項1に記載のセルパウチ用フィルム。
【請求項10】
前記シーラント層は、シーラントフィルム又は押出された樹脂層であることを特徴とする請求項1に記載のセルパウチ用フィルム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のセルパウチ用フィルムからなるとを特徴とするセルパウチ。
【請求項12】
請求項11に記載のセルパウチで外装されたことを特徴とする二次電池。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載のセルパウチ用フィルムを製造するための方法であって、
バリア層に含まれる金属原反の両面に表面処理を施す両面表面処理段階;
前記表面処理が施された金属原反の一方側の面に接着剤を塗布して外面接着層を形成する外面接着層コーティング段階;及び
前記外面接着層の上に外層原反をラミネートする外層ラミネート段階;を含み、
前記セルパウチ用フィルムは、製造工程中に2回以下に巻取りが適用されたものであり、
前記セルパウチ用フィルムにおいてバリア層は、製造工程中に単独で巻き取られることなく外層とともに巻き取られ、又は外層及びシーラント層とともに巻き取られたことを特徴とするセルパウチ用フィルムの製造方法。
【請求項14】
前記両面表面処理段階は、
金属原反の一方側の面の表面処理後、乾燥段階を行うことなく直ちに前記金属原反の他方側の面の表面処理が行われることを特徴とする請求項13に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法。
【請求項15】
前記方法は、前記両面表面処理段階と外面接着層コーティング段階との間に前記両面に表面処理が施された金属原反をフローティング方式にて乾燥して物性を安定化させる物性安定化乾燥段階をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法。
【請求項16】
前記両面表面処理段階は、金属原反の一方側の面はダイレクトコーティング(Direct coating)及びRKC(Reverse Kiss Coating)の兼用方式にて水系及び溶剤系コーティング液を塗布する第1次コーティングを行い、
金属原反の他方側の面はRKC及びフィルムアップダウンコーティング(Film up/down coating)方式にてコーティング液を塗布する第2次コーティングを行うことを含むことを特徴とする請求項13に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法。
【請求項17】
前記方法は、
前記外層ラミネート段階の後に第1回の巻取りを行う段階;
前記第1回の巻取りの後、表面処理が施された金属原反において外層がラミネートされていない他方側の面に接着剤を塗布して内面接着層を形成する内面接着層コーティング段階;
前記内面接着層の下にシーラント層原反をラミネートする段階;及び
前記シーラント層原反のラミネート後に第2回の巻取りを行う段階;を含む、請求項13に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、積層体の変形を最小化したセルパウチ用フィルム及びその製造方法に関する。

[本発明を支援した国家研究開発事業]
[課題固有番号]1415185612
[課題番号]20022450
[部署名]産業通商資源部
[課題管理(専門)機関名]韓国産業技術評価管理院
[研究事業名]素材部品パッケージ型(最高企業)
[研究課題名]2倍以上の高接着強度(60℃)の具現が可能な次世代二次電池パウチの開発
[寄与率]1/1
[課題遂行機関名]栗村化学(株)
[研究期間]2023.01.01~2023.12.31
【背景技術】
【0002】
一般的に電気自動車などに使用されるパウチ型バッテリーは、円筒型や角型バッテリーに比べて形態が変形し易く且つエネルギー密度が高いという長所がある。このようなセルパウチは、一般的に金属層の一方側の面に表面処理を施す第1工程、金属層の他方側の面に表面処理を施す第2工程、一方側の面に外層をラミネートする第3工程、他方側の面にシーラント層をラミネートする第4工程がこの順に行われて製造され、各工程毎にコーティング、乾燥、及び巻取りなどの処理が順に繰り返し行われる。しかし、この場合、原反の送りの際に発生する走行損失(Loss)や工程不良が発生する確率が増加し改善が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第10-2016-0070468号
【特許文献2】大韓民国公開特許公報第10-2022-0031820号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の例示的な具現例では、一側面において、製造工程の改善によって金属層とセルパウチ用フィルムに加えられる巻取り張力を最小化することができて金属層の機械的変形を最小化し、且つセルパウチ用フィルム積層体の変形を最小化することができるセルパウチ用フィルムとその製造方法を提供する。
【0005】
本発明の例示的な具現例では、他の一側面において、製造工程の改善によって引張強度や成形性が向上し、且つ成形前及び後のカール(Curl)特性を向上することができるセルパウチ用フィルムとその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な具現例では、シーラント層;前記シーラント層の上に積層された内面接着層;前記内面接着層の上に積層されたバリア層;前記バリア層の上に積層された外面接着層;及び前記外面接着層の上に形成された外層;を含むセルパウチ用フィルムであって、前記セルパウチ用フィルムは、下記の方法にて測定したセルパウチ用フィルムのカール(Curl)偏差が3mm以下であるセルパウチ用フィルム(請求項1に記載のセルパウチ用フィルム)を提供する。
[セルパウチ用フィルムの成形前のカール(Curl)の評価]
セルパウチ用フィルム試片を15cm×1515cmの大きさで四角形状に作製し、当該試片を平らな固定台の上に載置して平坦にテープで固定する。
固定された試片の中央点を通るように15cm長さのX字状切り込みを入れ、中央点を挟んでMD(縦方向)側の二箇所及びTD(横方向)側の二箇所から浮き上がった(カールした)高さを測定する。各MD測定値及びTD測定値の差から偏差を求める。
【0007】
例示的な具現例において、前記セルパウチ用フィルム(請求項1に記載のセルパウチ用フィルム)は、下記の方法にて測定した成形後のカール(Curl)偏差が5mm以下であるセルパウチ用フィルム(請求項2に記載のセルパウチ用フィルム)であってよい。
[成形後のカール(Curl)の評価]
(1)MD方向の成形(MD成形カールの評価)
26.6(MD)×24.0(TD)cmの大きさで成形試片を作製する。クロムコートされた1カップ(cup)成形機にて0.3MPaで成形評価を行う(成形深さはAL40μm適用品8mm、AL60μm適用製品12mmで行う)。成形機のR値(角部曲率半径値)は4R(4mm)とし、成形時のフォーミングサイズは横90mm×160mmとし、シングルフォーミングで行う。
(2)TD方向の成形(TD成形カールの評価)
26.6(TD)×24.0(MD)cmの大きさで成形試片を作製する。クロムコートされた1カップ(cup)成形機にて0.3MPaで成形評価を行う(成形深さはAL40μm適用品8mm、AL60μm適用製品12mmで行う)。成形機のR値(角部曲率半径値)は4R(4mm)とし、成形時のフォーミングサイズは横90mm×160mmとし、シングルフォーミングで行う。
成形後に発生したカール(Curl)を評価するために平らな所に両面テープを貼り付けた後、その上に成形されたセルパウチ用フィルムを固定して、発生するカール(Curl)の高さを測定する。測定位置として2ポイント(Point)を測定し高い値を記録する。成形試料の各角を測定した後、カール(Curl)が最も高く発生した角の高さをカール(Curl)値とする。
【0008】
例示的な具現例において、前記セルパウチ用フィルム(請求項1又は2に記載のセルパウチ用フィルム)は、バリア層が製造工程中に単独で巻き取られることなく少なくとも外層とともに巻取りが適用されたセルパウチ用フィルム(請求項3に記載のセルパウチ用フィルム)であってよい。
【0009】
例示的な具現例において、前記セルパウチ用フィルム(請求項1~3のいずれか一項に記載のセルパウチ用フィルム)は、製造工程中に2回以下に巻取りが適用されたセルパウチ用フィルム(請求項4に記載のセルパウチ用フィルム)であってよい。
【0010】
例示的な具現例において、前記セルパウチ用フィルム(請求項1~4のいずれか一項に記載のセルパウチ用フィルム)は、前記バリア層が金属層であり、前記金属層の金属は、アルミニウム又はその合金、チタン又はその合金、タングステン又はその合金、モリブデン又はその合金、銅又はその合金、及びステンレス鋼からなる群より選ばれる1種以上を含むセルパウチ用フィルム(請求項5に記載のセルパウチ用フィルム)であってよい。
【0011】
例示的な具現例において、前記セルパウチ用フィルム(請求項1~5のいずれか一項に記載のセルパウチ用フィルム)は、前記外層が、ナイロン樹脂、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂からなる群より選ばれる一つ以上の樹脂を含むセルパウチ用フィルム(請求項6に記載のセルパウチ用フィルム)であってよい。
例示的な具現例において、前記セルパウチ用フィルム(請求項1~6のいずれか一項に記載のセルパウチ用フィルム)は、前記バリア層に表面処理層が形成されたセルパウチ用フィルム(請求項7に記載のセルパウチ用フィルム)であってよい。
【0012】
例示的な具現例において、前記セルパウチ用フィルム(請求項1~7のいずれか一項に記載のセルパウチ用フィルム)は、前記内面接着層及び外面接着層がエポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、及びポリエステル系接着剤のうちの一つ以上を含むセルパウチ用フィルム(請求項8に記載のセルパウチ用フィルム)であってよい。
例示的な具現例において、前記セルパウチ用フィルム(請求項1~8のいずれか一項に記載のセルパウチ用フィルム)は、前記内面接着層が、接着剤コーティング層;押出コーティング層;又は接着剤コーティング層及び押出コーティング層であるセルパウチ用フィルム(請求項9に記載のセルパウチ用フィルム)であってよい。
【0013】
例示的な具現例において、前記セルパウチ用フィルム(請求項1~9のいずれか一項に記載のセルパウチ用フィルム)は、前記シーラント層が、シーラントフィルム又は押出された樹脂層であるセルパウチ用フィルム(請求項10に記載のセルパウチ用フィルム)であってよい。
【0014】
また、本明細書の例示的な具現例では、前記セルパウチ用フィルム(請求項1~10のいずれか一項に記載のセルパウチ用フィルム)を含むセルパウチ(請求項11に記載のセルパウチ)又は当該セルパウチ用フィルム(請求項1~10のいずれか一項に記載のセルパウチ用フィルム)で外装された二次電池(請求項12に記載の二次電池)、特に中大型の二次電池を提供する。
【0015】
また、本明細書の例示的な具現例では、前記セルパウチ用フィルム(請求項1~10のいずれか一項に記載のセルパウチ用フィルム)を製造するための方法であって、バリア層に含まれる金属原反の両面に表面処理を施す両面表面処理段階;前記表面処理が施された金属原反の一方側の面に接着剤を塗布して外面接着層を形成する外面接着層コーティング段階;及び前記外面接着層の上に外層原反をラミネートする外層ラミネート段階;を含み、前記セルパウチ用フィルムは、製造工程中に2回以下に巻取りが適用され、前記セルパウチ用フィルムにおいてバリア層は、製造工程中に単独で巻き取られることなく外層とともに巻き取られ、又は外層及びシーラント層とともに巻き取られたことを特徴とするセルパウチ用フィルムの製造方法(請求項13に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法)を提供する。
【0016】
例示的な具現例において、前記方法(請求項13に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法)において、前記両面表面処理段階は、金属原反の一方側の面の表面処理後、乾燥段階を行うことなく直ちに前記金属原反の他方側の面の表面処理が行われるセルパウチ用フィルムの製造方法(請求項14に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法)であってよい。
【0017】
例示的な具現例において、前記方法(請求項13又は14に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法)は、前記両面表面処理段階と外面接着層コーティング段階との間に前記両面に表面処理が施された金属原反をフローティング方式にて乾燥して物性を安定化させる物性安定化乾燥段階をさらに含むセルパウチ用フィルムの製造方法(請求項15に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法)であってよい。
【0018】
例示的な具現例において、前記方法(請求項13~15のいずれか一項に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法)において、前記両面表面処理段階は、金属原反の一方側の面はダイレクトコーティング(Direct coating)及びRKC(Reverse Kiss Coating)の兼用方式にて水系及び溶剤系コーティング液を塗布する第1次コーティングを行い、金属原反の他方側の面はRKC及びフィルムアップダウンコーティング(Film up/down coating)方式にてコーティング液を塗布する第2次コーティングを行うことを含むセルパウチ用フィルムの製造方法(請求項16に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法)であってよい。
【0019】
例示的な具現例において、前記方法(請求項13~16のいずれか一項に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法)において、前記方法は、前記外層ラミネート段階の後に第1回の巻取りを行う段階;前記第1回の巻取りの後、表面処理が施された金属原反において外層がラミネートされていない他方側の面に接着剤を塗布して内面接着層を形成する内面接着層コーティング段階;前記内面接着層の下にシーラント層原反をラミネートする段階;及び前記シーラント層原反のラミネート後に第2回の巻取りを行う段階;を含む、セルパウチ用フィルムの製造方法(請求項17に記載のセルパウチ用フィルムの製造方法)であってよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の例示的な具現例に係るセルパウチ用フィルムは、製造工程の改善によって巻取り回数の短縮と巻取り張力を最小化して金属層の機械的変形を最小化し、これによりセルパウチ用フィルムの積層体の変形を最小化することができる。また金属層を個別に巻き取ることなく金属層よりも弾性係数の低い樹脂フィルムをラミネートして1回巻取りを行うため、張力の調整を低テンションで調整し易い。さらに、製造工程の改善によって引張強度と成形性が向上し、且つ成形前及び後のカール(Curl)特性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の例示的な具現例に係るセルパウチ用フィルムの断面を概略的に示した図である。
図2】本発明の例示的な具現例に係るセルパウチ用フィルムの製造装置の模式図である。
図3】本発明の実験例におけるセルパウチ用フィルムの成形前のカール(Curl)の評価方法を示す写真である。
図4】本発明の実験例における成形後のカール(Curl)の評価方法を示す写真である。
図5a】本発明の実験例における実施例の巻取り長さ(単位m)に応じた巻取り張力(単位N)を概略的に示したグラフである。
図5b】本発明の実験例における比較例の巻取り長さ(単位m)に応じた巻取り張力(単位N)を概略的に示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参照して本発明の例示的な具現例を詳しく説明する。
【0023】
用語の定義
本明細書において単数の表現は、文脈上明らかに異なって捉えられない限り、複数の表現を含んでよい。本出願における「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせが存在することを表すためのものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせなどの存在又は付加可能性を排除しない。
【0024】
本明細書において第1、第2などといった表現は、特に言及されない限り、特定の順序を指すことではなく、構成を互いに区分して指すために用いられる。
【0025】
本明細書において「セル(cell)」とは、電池を意味するものであって、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池などのような二次電池や携帯用蓄電池などのような各種の電池をすべて含む最も広い意味である。
【0026】
本明細書において「セルパウチ(cell pouch)」又は「セルパウチフィルム(cell pouch film)」は、正極、負極、及びセパレータ(separator)などのセル構成要素が電解液に含侵されて収納されたものであって、前記セル構成要素を収納するためにガスバリア性、曲げ性、耐電解液性、及び熱接着性などを考慮した積層構造のフィルムを袋型や箱型などに加工されたものをすべて含む最広義の意味である。
【0027】
本明細書において最終構造とは、セルパウチ用フィルムが有する最終的な層構造のことを意味する。このような最終構造は、多様な製造工程のタイプに応じて少しずつ異なり得る。
【0028】
例えば、最終構造は、外部カバー基材(又は外層)、第1接着剤層、外表面処理層、基準基材(又はバリア層)、内表面処理層、第2接着剤層、及び内部カバー基材(又はシーラント層)からなることであってよい。又は、最終構造は、外部カバー基材(又は外層)、第1接着剤層、外表面処理層、基準基材(又はバリア層)、内表面処理層、押出コーティング層、内部カバー基材(又はシーラント層)からなることであってよい。又は、最終構造は、外部カバー基材(又は外層)、第1接着剤層、外表面処理層、基準基材(又はバリア層)、内表面処理層、第2接着層、押出コーティング層、内部カバー基材(又はシーラント層)からなることであってよい。
【0029】
本明細書において中間構造とは、セルパウチ用フィルムの製造工程の途中で形成される構造のことであって、製造工程に応じて多様なセルパウチの中間構造が生じ得る。
【0030】
例えば、外部カバー基材(又は外層)、第1接着剤層(又は外面接着層)、外表面処理層、基準基材(又はバリア層)、内表面処理層、第2接着剤層(又は内面接着層)からなる第1中間構造が生じてよい。又は、外部カバー基材(又は外層)、第1接着剤層(又は外面接着層)、外表面処理層、基準基材(又はバリア層)、内表面処理層からなる第2中間構造が生じてよい。
【0031】
本明細書において一つのインライン(in-line)工程は、原反がアンワインダとリワインダ(巻取りロール)との間で1回の走行を行うロール・ツー・ロール(roll-to-roll)工程のことを意味する。
【0032】
本明細書において1回の巻取り(リワインディング)とは、巻取りロールが1回回転するという意味ではなく(巻取りロールは当然ながら複数回回転してよい)、フィルムが巻取りロールに巻き取られて1回目の走行を終えるとのことを意味する。したがって、2回の巻取り(リワインディング)とは、製造工程中に1回目の走行を終えてから再び走行を開始して2回目の走行を終えるとのことを意味する。
【0033】
本明細書において原反とは、製造工程の際に提供されるバリア層又は金属層の材料のことを意味してよい。
【0034】
本明細書において機能性原反とは、シーラント層及び/又は外層を形成する樹脂原反を意味してよい。
【0035】
例示的な具現例の説明
一般的に、従来技術は、i)金属層の一方側の面に表面処理層をコートし乾燥した後にこれを巻き取る1次巻取り(winding)段階を経てから前記金属層の他方側の面に他の表面処理層をコートし乾燥した後にこれを再び巻き取る2次巻取りを行う段階;ii)前記表面処理が施された金属層の一方側の面に外面接着層を形成して外層をラミネートし乾燥した後にこれを巻き取る3次巻取りを行う段階;及びiii)前記表面処理が施された金属層の他方側の面に内面接着層を形成してシーラント層をラミネートし乾燥する段階を含む。このように複数の工程を繰り返し行うようになる場合、走行損失や工程不良の発生確率が高くなることがある。また、従来技術に従い製造されるフィルムは、シーラント層のラミネートまで最小3回の巻取り段階を含むことでバリア層に用いられる金属(アルミニウムなど)が巻取り張力によって変形する可能性が非常に高い。さらに、金属は弾性係数が高いことから巻取り張力を下げて巻取りをしようとすると巻取り自体に困難がある(例えば、アルミニウムの場合、69~86のヤング弾性係数を有する)。そして、金属の場合、復元力が低いことから一度変形すると回復するのに限界がある。そのため、金属に変形を加え得る工程を複数回繰り返し行う場合、張力による変形が発生し、結果として、最終セルパウチ用フィルムの物性低下を引き起こすことがある。
【0036】
そこで、本発明の例示的な具現例では、従来のようにセルパウチ用フィルムを各層の積層工程毎にコーティング、乾燥、及び巻取りなどの工程を繰り返し行って製造する方法ではない、一つのインライン工程で原反の一度の走行で3回以上のコーティング過程が行われ得る1P3C(1 Pass 3 Coating、1P3C)方式によって製造することで前記のような従来技術の問題を解決し且つ金属層の機械的変形を最小化して最終のセルパウチ用フィルム積層体の変形を最小化することができる。
【0037】
また、金属層だけを個別に巻き取ることなく金属層より弾性係数の低い樹脂フィルムをラミネートして1回巻き取るため、張力調整を低テンションで調整し易い。図5a、bは、金属層だけを個別に巻き取った比較例(図5b)に比べて、金属層と樹脂フィルムとをラミネートしして巻き取った場合(図5a)に張力調整がより容易であることを示す。
【0038】
これにより、セルパウチ用フィルムの成形前のカール(Curl)特性及び成形後のカール(Curl)特性を向上することができる。関連して、セルパウチ用フィルムの高成形性は中大型の電池には必ず必要な特性であるが、高成形性に伴って成形後のセルパウチ用フィルムにおいてその端部が反り上がる、いわゆるカール(Curl)現象が非常に深刻に現われることがある。このようなカール(Curl)現象は二次電池の製造工程の効率を低下させ得る。特に、セルの製造過程では自動化連続工程を経ており、この工程でエアー吸引機が頻繁に使用されるが、この際にカール(Curl)した部分がエアー吸引機側にさらに反り上がるようになり、工程効率をさらに低下させる要因になる。このため、カール(Curl)特性を向上することは容易ではないが、本発明の例示的な具現例では、製造工程を改善することで積層体の変形を最小化して成形前及び後のカール(Curl)特性を向上することができる。
【0039】
図1を参照して説明すると、本発明の例示的な具現例では、シーラント層500;前記シーラント層500の上に積層された内面接着層400;前記内面接着層400の上に積層されたバリア層300;前記バリア層300の上に積層された外面接着層200;及び前記外面接着層200の上に形成された外層100を含み、前記セルパウチ用フィルムは2回以下の巻取り過程が行われたものであり、前記バリア層300は、単独で巻き取られることなく少なくとも外層100と共に又は外層100及びシーラント層500と共に巻取り過程が行われたものである。
例示的な具現例において、前記セルパウチ用フィルムは、下記の方法にて測定したセルパウチフィルムのカール(Curl)[成形前のカール(Curl)]偏差が3mm以下である。
[セルパウチ用フィルムの成形前のカール(Curl)の評価]
セルパウチ用フィルム試片を15cm×1515cmの大きさで四角形状に作製し、当該試片を平らな固定台の上に載置して平坦にテープで固定する。
固定された試片の中央点を通るように15cm長さのX字状切り込みを入れ、中央点を挟んでMD(縦方向)側の二箇所及びTD(横方向)側の二箇所から浮き上がった(カールした)高さを測定する(図3参照)。各MD測定値及びTD測定値の差から偏差を求める。
【0040】
非制限的な例示において、前記成形前のカール(Curl)]偏差は、3mm以下、2.9mm以下、2.8mm以下、2.7mm以下、2.6mm以下、2.5mm以下、2.4mm以下、2.3mm以下、2.2mm以下、2.1mm以下、2.0mm以下、1.9mm以下、1.8mm以下、1.7mm以下、1.6mm以下、1.5mm以下、1.4mm以下、1.3mm以下、1.2mm以下、1.1mm以下、1.0mm以下、0.9mm以下、0.8mm以下、0.7mm以下、0.6mm以下、0.5mm以下、0.4mm以下、0.3mm以下、0.2mm以下、0.1mm以下、又は0mmであってよい。
【0041】
例示的な具現例において、前記セルパウチ用フィルムは、下記の方法にて測定した成形後のカール(Curl)偏差が5mm以下である。
[成形後のカール(Curl)の評価]
(1)MD方向の成形(MD成形カールの評価)
26.6(MD)×24.0(TD)cmの大きさで成形試片を作製する。クロムコートされた1カップ(cup)成形機にて0.3MPaで成形評価を行う(成形深さはAL40μm適用品8mm、AL60μm適用製品12mmで行う)。成形機のR値(角部曲率半径値)は4R(4mm)とし、成形時のフォーミングサイズは横90mm×160mmとし、シングルフォーミングで行う。
(2)TD方向の成形(TD成形カールの評価)
26.6(TD)×24.0(MD)cmの大きさで成形試片を作製する。クロムコートされた1カップ(cup)成形機にて0.3MPaで成形評価を行う(成形深さはAL40μm適用品8mm、AL60μm適用製品12mmで行う)。成形機のR値(角部曲率半径値)は4R(4mm)とし、成形時のフォーミングサイズは横90mm×160mmとし、シングルフォーミングで行う。
成形後に発生したカール(Curl)を評価するために平らな所に両面テープを貼り付けた後、その上に成形されたセルパウチ用フィルムを固定して、発生するカール(Curl)の高さを測定する。測定位置として2ポイント(Point)を測定し高い値を記録する。成形試料の各角を測定した後、カール(Curl)が最も高く発生した角の高さをカール(Curl)値とする。
【0042】
非制限的な例示において、前記成形後のカール(Curl)]偏差は、5mm以下、4.9mm以下、4.8mm以下、4.7mm以下、4.6mm以下、4.5mm以下、4.4mm以下、4.3mm以下、4.2mm以下、4.1mm以下、4.0mm以下、3.9mm以下、3.8mm以下、3.7mm以下、3.6mm以下、3.5mm以下、3.4mm以下、3.3mm以下、3.2mm以下、3.1mm以下、3.0mm以下、2.9mm以下、2.8mm以下、2.7mm以下、2.6mm以下、2.5mm以下、2.4mm以下、2.3mm以下、2.2mm以下、2.1mm以下、2.0mm以下、1.9mm以下、1.8mm以下、1.7mm以下、1.6mm以下、1.5mm以下、1.4mm以下、1.3mm以下、1.2mm以下、1.1mm以下、1.0mm以下、0.9mm以下、0.8mm以下、0.7mm以下、0.6mm以下、0.5mm以下、0.4mm以下、0.3mm以下、0.2mm以下、0.1mm以下、又は0mmであってよい。
【0043】
本発明の例示的な具現例において前記フィルムの各層の材料や厚さは、セルパウチ用フィルムとして製造され得るものであれば特に制限されないが、例えば、次のような構成を含んでよい。
前記バリア層は、電池の外部からの水蒸気又は空気、電池の内部で発生したガス、及び/又は水分を遮断する性能を持つ層である。
【0044】
本発明の例示的な具現例において、前記バリア層は、金属層、又はこれに前記金属層の両面にそれぞれ均一にコートされた表面処理層を含んでよく、前記金属層は、金属薄膜又は金属蒸着層であってよい。前記金属薄膜は、金属箔(metal foil)が挙げられる。前記金属蒸着層は、別途のプラスチックフィルム、例えば、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)などのフィルムに金属が真空蒸着されて形成されてよい。
一具現例として、前記金属層の金属は、前記のような遮断性能を有するものであれば特に制限されないが、例えば、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、及びタングステン(W)などからなる群より選ばれた1以上(単一金属又は単一金属の混合)、又はこれらから選ばれた2以上の合金(alloy)などが挙げられる。具体的に、前記金属は、アルミニウム又はその合金、チタン又はその合金、タングステン又はその合金、モリブデン又はその合金、銅又はその合金、及びステンレス鋼からなる群より選ばれる1種以上を含んでよい。より具体的には、アルミニウムを含んでよい。一実施例として、前記表面処理層は、金属の耐腐食性を提供するために、リン酸、クロム、ジルコニウム、セリウム、ランタン、スカンジウム、イットリウムなどによる表面処理層であってよい。
一具現例として、前記バリア層は、20μm~80μmの厚さを有してよい。前記バリア層の厚さが20μm未満であると、成形などの工程の際にピンホール、微細クラックなどが発生することがあるため安全性の確保が難しくなることがあり、また前記バリア層の厚さが80μmを超えると、電池の作製の際にエネルギー密度が低くなることがある。
前記外層は、前記バリア層を保護するために耐熱性、耐摩耗性、耐化学性などを持つ層である。
【0045】
本発明の例示的な具現例において、前記外層は、ナイロン樹脂、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などから選ばれた一つ以上の樹脂からなる群より選ばれる一つ以上の樹脂を含んでよい。より具体的には、延伸ナイロンを含んでよい。一実施例として、前記外層は、5μm~40μmの厚さを有してよい。前記外層は、複数の層から構成されてよい。
前記シーラント層は、内層であって、セルが内蔵された後、熱によって接着されてシーリング(sealing)性を付与する層である。
【0046】
本発明の例示的な具現例において、前記シーラント層は、熱接着性樹脂、すなわち、熱接着のためのシーリング樹脂(sealing resin)を含んでよい。具体的に、前記シーラント層は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)系などのポリオレフィン系、これらの共重合体、ターポリマー又はこれらの誘導体、及びエチレンビニルアセテート(EVA)からなる群より選ばれた一つ以上を含んでよい。前記共重合体(Co-polymer)又はターポリマー(ter-polymer)としては、エチレン/プロピレン共重合体又はエチレン/プロピレン/ブタジエンのターポリマーなどを含んでよい。一実施例として、前記シーラント層は、20μm~100μmの厚さを有してよい。前記シーラント層は、複数の層から構成されてよい。
前記外面接着層は、前記バリア層と外層との接着のための接着剤層である。
【0047】
本発明の例示的な具現例において、前記外面接着層は、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、及びポリエステル系接着剤のうちの一つ以上を含んでよい。一実施例として、前記外面接着層は、0.5μm~10μmの厚さを有してよい。
【0048】
本発明の例示的な具現例において、前記内面接着層は、前記バリア層とシーラント層との接着のための接着剤層又は押出樹脂層であってよい。又は、他の一実施例として、前記内面接着層は、前記内面接着剤層及び前記シーラント層の間に押出樹脂層がさらに形成されたものであってよい。
【0049】
前記内面接着剤層は、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、及びポリエステル系接着剤のうちの一つ以上を含んでよい。一実施例として、前記内面接着剤層は、0.5μm~10μmの厚さを有してよい。一実施例において、前記押出樹脂層は、パウチの曲げ性、接着性、絶縁性などを向上させることができる。一実施例として、前記押出樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂などのオレフイン系樹脂を含んでよい。一実施例として、前記押出樹脂層は、約5~80μmの厚さを有してよい。
【0050】
本発明の例示的な具現例に係る前記セルパウチ用フィルムは、ガスバリア性、曲げ性、耐電解液性、及び熱接着性などに優れるだけでなく、従来の製造方法で問題となっていた複数回の巻取りによる金属層の変形と積層体の変形などの問題が改善され、良好な成形前及び後のカール(Curl)特性などを示すことができる。
【0051】
一方、本発明の例示的な具現例において、上述したセルパウチ用フィルムを含む、セルパウチ又はこれで外装された二次電池、特に中大型の二次電池を提供することができる。
【0052】
また一方、本発明の例示的な具現例において、上述したセルパウチ用フィルムを製造するための方法であって、バリア層に含まれる金属原反の両面に表面処理を施す両面表面処理段階;前記表面処理が施された金属原反の一方側の面に接着剤を塗布して外面接着層を形成する外面接着層コーティング段階;及び前記外面接着層の上に外層原反をラミネートする外層ラミネート段階を含み、前記セルパウチフィルムは、製造工程中に2回以下に巻取りが適用されたものであり、前記セルパウチフィルムにおいてバリア層は、製造工程中に単独で巻き取られることなく外層とともに巻き取られ、又は外層及びシーラント層とともに巻き取られたセルパウチ用フィルムの製造方法を提供することができる。
【0053】
一具現例において、前記両面表面処理段階は、金属原反の一方側の面の表面処理後、乾燥段階を行うことなく直ちに前記金属原反の他方側の面の表面処理が行われることであってよい。このとき、前記両面表面処理段階は、第1次コータ及び第2次コータを含む両面二重コーティング手段によって行われてよい。
【0054】
一具現例において、前記両面表面処理段階は、金属原反の一方側の面はダイレクトコーティング(Direct coating)及びRKC(Reverse Kiss Coating)の兼用方式にて水系及び溶剤系コーティング液を塗布する第1次コーティングを行い、金属原反の他方側の面はRKC及びフィルムアップダウンコーティング(Film up/down coating)方式にてコーティング液を塗布する第2次コーティングを行うことを含んでよい。
【0055】
具体的に、前記第1次コーティングは、第1次コータによってダイレクトコーティング(Direct coating)及びリバースキスコーティング(Reverse Kiss Coating、RKC)の兼用方式にて水系及び溶剤系コーティング液を塗布する第1次コーティングを行うことで、コーティング液の物性や変更まで考慮することができる。金属原反の他方側の面は、RKC及びフィルムアップダウンコーティング(Film up/down coating)方式にてコーティング液を塗布する第2次コーティングを行ってよい。一方、外層を形成する基材接触面とコーティングロール(Coating Roll)及びドクター(Doctor)の位置を調整できるように構成することで、コーティングの均一度及び作業速度の向上を可能にすることができる。より具体的に、前記コーティング剤の精度良いコントロールのためにチャンバ方式(密閉配管)を構成することで、コーティング剤の粘度を調節することができ、且つ異物の流入を根本的に遮断することができる。
【0056】
一具現例において、前記両面表面処理段階は、より具体的に、巻き取られた金属原反を繰り出して供給する原反供給過程;供給された金属原反の表面に存在する異物を除去する異物除去過程;表面の異物が除去された金属原反の張力を調節する張力調節過程;及び一定の張力が維持される金属原反の両面にコーティングを行う両面二重コーティング過程を含んでよい。
【0057】
一具現例において、前記異物除去過程は、金属原反の両面に放電処理を施して油分を除去する第1次異物除去過程を含んでよい。また、前記異物除去過程は、油分が除去された金属原反の両面にピンホールの発生の有無を確認するピンホール検査過程をさらに含んでよい。また、前記異物除去過程は、前記ピンホール検査を経た金属原反の両面に発生する異物をロール方式にて除去する第2次異物除去過程をさらに含んでよい。
【0058】
また、一具現例に係る前記方法は、前記両面表面処理段階と外面接着層コーティング段階との間に前記両面に表面処理が施された金属原反をフローティング方式にて乾燥して物性を安定化させる物性安定化乾燥段階をさらに含んでよい。前記フローティング方式によれば、表面処理が施された金属原反の両面を同時に乾燥することができ、がイドロ-ルと原反との接触が最小化するので、がイドロ-ルによる異物転写及び原反の突き刺されなどの外観の走行性不良発生を顕著に低減することができる。
【0059】
一具現例において、前記方法は、前記のような両面に表面処理が施された金属原反をフローティング方式にて乾燥して物性を安定化させる物性安定化乾燥段階は、両面表面処理が施された原反を浮遊した状態で非接触式にて乾燥できるようにエアフローティング(Air Floating)方式を適用することができる。これにより、送りロールなどの構成との接触を最小化しながら両面コートされた金属原反を乾燥することができる。次いで、乾燥された金属原反を冷却させる冷却段階及び冷却された金属原反の表面を検査する表面検査段階をさらに含んでよい。
【0060】
一具現例において、前記表面処理が施された金属原反の一方側の面に接着剤を塗布して外面接着層をそれぞれ形成する外面接着層コーティング段階は、2回のコーティングによって表面処理が施された金属原反の一方側の面に接着剤を塗布する過程であって、第3次コータによって行われてよく、乾燥などの過程を経ながらラミネートのための準備をするようになる。接着剤を塗布してから、接着剤が塗布された金属原反を乾燥させて接着層を形成した後、乾燥された接着層の厚さを測定し、接着層の表面をコロナ処理して接着力を強化させることができる。
【0061】
一具現例において、前記方法は、前記ラミネート段階の後、前記金属原反において外層がラミネートされていない他方側の面に内面接着剤を塗布して内面接着層を形成する内面接着層コーティング段階をさらに含んでよい。また、一具現例において、前記コーティング段階の後に乾燥段階をさらに含んでよい。一具現例において、前記内面接着層の下にシーラント層原反をラミネートする段階をさらに含んでよい。
【0062】
一具現例において、前記方法は、外層ラミネート段階までの各段階で用いられる原反に突き刺され及び/又は圧痕が発生することを防止するために、セルパウチの最終構造の製造時まで計2回以下の巻取り段階を含んでよい。
【0063】
具体的に、計2回以下、より好ましくは、計1回の巻取りでセルパウチフィルムの最終構造を製造することが最も好ましい。
【0064】
一具現例において、前記巻取り段階は、前記外層ラミネート段階の後に行われてよい。又は、前記シーラント層ラミネート段階の後に行われてよい。例えば、前記巻取り段階は、図2中の(10)番段階で行われることであってよい。
【0065】
一具現例において、前記外面接着層の上に外層原反をラミネートするラミネート段階及び前記内面接着層の下にシーラント層原反をラミネートする段階は、それぞれ接着剤が塗布された金属原反の一方側の面に機能性原反をラミネートする過程であって、内側は主に電池の耐熱性及び耐寒性を安定化するためのシーラント層原反がラミネートされてよく、外側は耐熱性と耐ピンホール性及び耐摩耗性などのための外層原反がラミネートされてよい。一具現例において、前記各ラミネート段階は、予め準備された外層原反又は実ラント原反をラミネートすることであってよい。
【0066】
一具現例において、前記第3次コーティング段階とラミネート段階との間に、接着剤が塗布された金属原反を乾燥させて接着層を形成する接着剤乾燥段階;乾燥された接着層の厚さを測定する接着層厚さ測定段階;及び前記接着層の表面をコロナ処理して接着力を強化させる接着層表面処理段階をさらに含んでよい。
【0067】
一具現例において、前記ラミネート段階の後に前記シーラント層及び外層の表面を検査する表面検査段階をさらに含んでよい。
【0068】
一具現例において、各原反を送る過程で、異物及びスクラッチの発生を最小化するためにガイドロールに基材接触ロールと軸とを分離して可動するテンデンシ(Tendency)構造及び一体型で可動するシャフト(Shaft)構造を両方とも適用してよい。ガイドロールの一般の駆動方式は、モータからの回転を軸一体型ガイドロールに伝達して1:1の速度に合わせて駆動をする仕組みであるのに対し、テンテンシ駆動方式は、ガイドロールと軸とを分離して微細なロールの回転速度を相互補正する仕組みになっており、必要な区間で適宜適用してよい。一実施例として、設備の稼動に問題が生じたときに分離して運営できるようにリワインダ(Re-winder)部とアンワインダ(Un-winder)部(原反供給部)とを別途に構成してよい。
【0069】
また、一具現例において、原反の送り途中での異物及びスクラッチの発生の最小化のためにテンション制御区間ではサクションロールを適用してよく、走行途中で発生する異物がロールにくっ付いて外観不良(突き刺され、スクラッチなど)を誘発することを防止するために、異物を除去するための接触式クリーンロールを適用してよい。
【0070】
一方、本発明の例示的な具現例では、熟成段階をさらに含んでよい。前記熟成段階は、セルパウチ用フィルムの製造の際の接着力、耐電解液性、剥離強度などの信頼性を向上するために必要な工程であるが、所要時間が多少長いため最適の熟成工程が肝要である。前記セルパウチ用フィルムの最終構造に対して1回だけの熟成工程を経て製品を製造することが生産性の面から好ましい。具体的に、前記方法は、2回以下の熟成段階を含むものであってよい。より具体的に、前記方法は、前記両面表面処理段階の後に熟成段階なしに、表面処理が施された金属原反の一方側の面に接着剤を塗布するものであってよく、前記熟成段階は、外層及び/又はシーラント層のラミネート段階の後に含まれることであってよい。例えば、前記ラミネート段階前の両面表面処理段階で熟成段階が含まれる場合には、製造途中段階のフィルムが一定時間以上空気中に曝されながら積層されていない表面処理剤の脱着が生じることがある。例えば、接着層形成段階で熟成段階が含まれる場合には、接着層の反応が一部進んで後で該接着層が他の層にくっ付くブロッキング現象が生じることがある。
【0071】
一方、本発明の例示的な具現例では、バリア層を形成する金属原反の両面に表面処理を施す第1次コータ3及び第2次コータ4を含む両面表面処理手段;前記表面処理が施された金属原反の一方側の面に接着剤を塗布する第3次コータ7;及び前記接着層の一方側の面に機能性原反をラミネートするラミネート部9;を含む、前記セルパウチ用フィルムの製造装置を提供してよい。図2は、本開示の一実施例に係るセルパウチ用フィルムの製造装置の模式図である。
【0072】
一具現例において、前記両面表面処理手段は、原反供給部1、異物除去手段2、張力調節部、及び第1次コータ3及び第2次コータ4を含んでよい。前記原反供給部1は、巻き取られた金属原反を繰り出して供給する。前記異物除去手段2は、供給された金属原反の表面に存在する異物を除去する。前記張力調節部は、表面の異物が除去された金属原反の張力を調節する。前記第1次コータ3及び第2次コータ4は、一定の張力が維持される金属原反の両面にコーティングを行う。
【0073】
一具現例において、前記異物除去手段2は、金属原反の両面に放電処理を施して油分を除去する第1次異物除去部を含んでよい。また、油分が除去された金属原反の両面にピンホールの発生の有無を確認するピンホール検査部をさらに含んでよい。確認の結果異常がない場合に金属原反の両面に発生する異物をロール方式にて除去する第2次異物除去部をさらに含んでよい。
【0074】
一具現例において、前記両面表面処理手段と第3次コータ7との間に両面がコーティング処理された金属原反をフローティング(Floating)方式にて乾燥して物性を安定化させる物性安定化乾燥部5が設けられてよい。このとき、乾燥方式は、コートされた基材を浮遊した状態で非接触式にて乾燥できるようにエアフローティング(Air Floating)方式を適用してよい。これにより、送りロールなどの構成との接触を最小化しながら両面コートされた金属原反を乾燥することができる。次いで、冷却部6によって乾燥された金属原反を冷却させ、表面検査部によって前記冷却された金属原反の表面を検査してよい。
【0075】
一具現例において、前記第3次コータ7とラミネート部9との間に、接着剤が塗布された金属原反を乾燥させて接着層を形成する接着剤乾燥部8;乾燥された接着層の厚さを測定する接着層測定部;及び接着層の表面をコロナ処理して接着力を強化させる接着層表面処理部をさらに含んでよい。
【0076】
一具現例において、前記ラミネート部9に続いて前記シーラント層及び外層の表面を検査する表面検査部をさらに含んでよい。
【0077】
一具現例によれば、、セルパウチ用フィルムは、図2の製造装置で製造されたものであってよい。一実施例において、図2中のラミネート部9と最終巻取り部(End、2nd Re-wind)との間には、表面処理が施された金属原反の他方側の面に接着剤を塗布する第4次コータ(図示せず)、乾燥部(図示せず)、機能性原反(外層、シーラント層)ラミネート部(図示せず)、押出部(共押出を含む)(図示せず)などが必要に応じて追加されてよい。
【実施例0078】
以下の実施例を通じて本開示をより詳しく説明することにする。なお、これらの実施例は単に開示を例示するためのものであって、本開示の範囲がこれらの実施例によって制限されると解釈されないことは当業界における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0079】
[実験]
実施例
本実験の実施例を次の方法によって製造した。
バリア層を形成するアルミニウム箔金属原反の一方側の面をコートして表面処理した後、次いで、前記金属原反の他方側の面をコートして表面処理した。前記両面がコーティング処理された金属原反をフローティング(Floating)方式にて乾燥して物性を安定化させた。前記乾燥された金属原反を冷却させ、第3次コータによって前記表面処理が施された金属原反の一方側の面にウレタン系接着剤を塗布して外面接着層を形成した。次いで、前記外面接着層に予め準備されたPET/ナイロンフィルムをラミネートして外層を形成した。前記表面処理が施された金属原反の他方側の面にもウレタン系接着剤を塗布し、これ無延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートしてシーラント層を形成して、セルパウチ用フィルムを製造した。以下の表1に各実施例1、2の仕様を記載した。
【0080】
比較例
比較例のセルパウチ用フィルムを次のように製造した。
先に、バリア層を形成するアルミニウム箔金属原反の一方側の面をコートし乾燥した後にこれを巻き取る1次巻取り(winding)段階を経てから前記金属原反の他方側の面に他の表面処理層をコートし乾燥した後にこれを再び巻き取る2次巻取りを行った。前記表面処理が施された金属層の一方側の面にウレタン係接着層をコートし乾燥した後、予め準備されたPET/ナイロンフィルムをラミネートして外層を形成しこれを巻き取る3次巻取りを行った。前記表面処理が施された金属層の他方側の面に内面接着層を形成し乾燥した後、無延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートして、セルパウチ用フィルムを製造した。以下の表1に各比較例1、2の仕様を記載した。
前記製造された実施例と比較例に対して引張強度、成形深さ、セルパウチフィルムの成形前のカール(Curl)の評価、成形後のカール(Curl)の評価をそれぞれ行った。その結果を表1に併せて表した。
【0081】
フィルムの引張強度の評価
先ず、製造されたセルパウチ用フィルムに対して引張強度の評価を行った。より具体的に、フィルムを試片カッターにてカットして、長手方向(MD)及び幅方向(TD)に130mm×15mmの大きさの試片を作製した。作製された試片に対し、ASTM D638に準してUTM(製造社:INSTRON)万能試験機器を用いて延伸速度50mm/分、グリップ間距離50mmの条件で引張強度を測定した。
【0082】
フィルムの成形性の評価
長手方向(MD)及び幅方向(TD)に266mm(TD)×240mm(MD)の大きさのセルパウチフィルム試片を採取した。採取された試片を矩形状(横長90mm、縦長160mm)に成形した。(クロムがコートされている高成形パウチ成形性評価装備で1カップにて成形性を評価し、R値は多様であるが基準になる角のR値は4である。)
成形を行なってからその深さを測定したとき、当該深さで10個のうち10個とも破れが発生していないと、より深い深さを適用し、このとき、1個でも破れが発生した場合、その直前の深さを最大高さとして成形性と定義した。
【0083】
セルパウチ用フィルムの成形前のカール(Curl)の評価
図3に示されたように、セルパウチ用フィルム試片を15cm×1515cmの大きさで四角形状に作製し、当該試片を平らな固定台の上に載置して平坦にテープで固定した。固定された試片の中央点を通るように15cm長さのX字状切り込みを入れ、中央点を挟んでMD(縦方向)側の二箇所及びTD(横方向)側の二箇所から浮き上がった(カールした)高さを測定した。各MD測定値及びTD測定値の差で偏差を求めた。
【0084】
セルパウチ用フィルムの成形後のカール(Curl)の評価
図4に示されたように、セルパウチ用フィルムに対してMD方向の成形(266mm(MD)×240mm(TD))、TD方向の成形(266mm(TD)×240mm(MD))を行なって試片を作製した。
クロムコートされた1カップ(cup)成形機にて0.3MPaで成形評価を行う。成形深さはAL40μm適用品8mm、AL60μm適用製品12mmとする。
成形機のR値(角部曲率半径値)は4R(4mm)である。成形時のフォーミングサイズは横90mm×160mmとし、シングルフォーミングで行った。
成形後に発生したカーリング(Curl)を評価するために平らな所に両面テープを貼り付けた後、その上に成形されたパウチを固定して発生するカーリング(Curl)の高さを測定する。測定位置として2ポイントを測定し高い値を記録する。成形試料の各角を測定した後、カール(が最も高く発生した角の高さをカール値とした。
【0085】
【表1】
【0086】
以上のように、実施例の場合は、比較例に比べて引張強度に優れ且つ成形性にも優れるだけでなく、成形前のカール特性及び成形後のカール特性にもより優れることが分かる。
【符号の説明】
【0087】
1:原反供給部 2:異物除去手段
3:第1次コータ 4:第2次コータ
5:物性安定化乾燥部 6:冷却部
7:第3次コータ 8:接着剤乾燥部
9:ラミネート部 10:巻取り部
100:外層 200:外面接着層
300:バリア層 310:表面処理層
320:金属層 330:表面処理層
400:内面接着層 500:シーラント層
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b