(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149478
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】行政事業管理システム、行政事業管理方法、行政事業管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20241010BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066669
(22)【出願日】2024-04-17
(62)【分割の表示】P 2023185650の分割
【原出願日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】P 2023062422
(32)【優先日】2023-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年2月9日オンライン、令和5年2月21日高浜市役所、令和5年3月2日オンライン、令和5年3月3日南小国町役場、令和5年3月24日熊本市役所、令和5年3月27日つくばみらい市役所、令和5年4月18日大阪府庁、令和5年4月20日石川県庁、令和5年4月24日オンライン、令和5年4月28日豊中市役所、令和5年5月26日品川区役所、令和5年6月20日和歌山県庁、令和5年7月27日藤沢市役所、令和5年7月31日オンライン、令和5年8月4日和歌山県庁、令和5年8月31日北九州市役所、令和5年9月20日滋賀県庁、令和5年9月25日大田区役所、令和5年9月28日福井県庁、令和5年9月29日富山県庁、令和5年10月4日オンライン、令和5年10月4日三重県庁、令和5年10月6日株式会社NTTデータ北陸、令和5年10月6日石川県庁、令和5年10月10日宮城県庁、令和5年10月11日目黒区役所、令和5年10月20日宮崎県庁において開催された説明会による公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年8月10日ウェブサイト<URL:https://corp.wise-vine.com/service>、<URL:https://corp.wise-vine.com/recruit>においてウェブサイトを通じた公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年3月23日復興庁、令和5年10月30日一般社団法人熱意ある地方創生ベンチャー連合、令和5年10月31日株式会社トラストバンクに対し、メール送信による公開
(71)【出願人】
【識別番号】518355630
【氏名又は名称】株式会社WiseVine
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉本 翔生
【テーマコード(参考)】
5L050
【Fターム(参考)】
5L050CC35
(57)【要約】 (修正有)
【課題】行政業務フローの効率的な管理運用を支援する技術を提供する行政事業管理システム、行政事業管理方法及び行政事業管理プログラムを提供する。
【解決手段】行政事業管理システム1において、行政事業管理装置2は、法令に基づき制定された事務事業に関する事務事業情報の登録を受け付ける事業登録部21と、事務事業情報に関連付けられる行動履歴を取得し、行動履歴に基づき、事務事業に対する行動状況を出力する行動状況出力部30と、を備える。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
行政事業管理システムであって、
事業登録部と、行動履歴取得部と、行動状況出力部と、を備え、
前記事業登録部は、法令に基づき制定された少なくとも政策、施策、事務事業に関する政策体系情報の登録を受け付け、
前記行動履歴取得部は、前記政策体系情報に関連する行動履歴を取得し、
前記行動状況出力部は、前記行動履歴に基づき、前記政策、前記施策又は前記事務事業に関連する行動状況を出力する、行政事業管理システム。
【請求項2】
前記行動履歴は、前記事務事業に対する承認行動を含み、
前記行動状況は、前記事務事業に対する承認状況を含み、
前記行動状況出力部は、前記承認行動に基づき、前記事務事業の承認状況を出力する、請求項1に記載の行政事業管理システム。
【請求項3】
前記行動状況出力部は、複数の事務事業が属するグループにおける承認件数または承認達成率を含む承認状況を出力する、請求項2に記載の行政事業管理システム。
【請求項4】
前記行動履歴は、前記事務事業に対する指摘行動を含み、
前記行動履歴取得部は、前記事務事業に対する指摘要素と関連付けて投稿データを受け付けることで、前記指摘行動を取得し、
前記指摘行動に対応する承認指示と関連付けて投稿データを受け付けることで、前記承認行動を取得する、請求項2に記載の行政事業管理システム。
【請求項5】
前記行動履歴は、コメント行動を含み、
前記行動履歴取得部は、前記指摘行動に対応するコメントと関連付けて投稿データを受け付けることで、前記コメント行動を取得し、
前記行動状況出力部は、前記指摘行動、前記コメント行動、前記承認行動を含む行動履歴と、当該行動履歴を行った行動者を示す情報と、に基づき、前記行動者のアイコンを時系列チャートで示す行動状況を出力する、請求項4に記載の行政事業管理システム。
【請求項6】
前記時系列チャートは、前記指摘行動を起点とし、前記承認行動を終点する、請求項5に記載の行政事業管理システム。
【請求項7】
前記行動履歴は、前記事務事業に対する執行行動を含み、
前記行動状況は、前記事務事業に対する執行状況を含み、
前記行動状況出力部は、前記執行行動に基づき、前記事務事業の執行状況を出力する、請求項1に記載の行政事業管理システム。
【請求項8】
前記行動状況出力部は、少なくとも1つ以上の執行行動と関連付けて予算補正指示の入力を受け付け、前記執行状況を生成し、執行管理者に対する通知として出力する、請求項7に記載の行政事業管理システム。
【請求項9】
前記行動履歴は、重点事務事業に対する行動履歴と、一般事務事業に対する行動履歴と、を含み、
前記行動状況は、前記重点事務事業に対する行動状況と、前記一般事務事業に対する行動状況と、を含み、
前記行動状況出力部は、前記重点事務事業および前記一般事務事業に対するそれぞれの行動履歴に基づき、前記重点事務事業および前記一般事務事業のそれぞれの行動状況を出力する、請求項1~請求項8の何れか一項に記載の行政事業管理システム。
【請求項10】
前記行動履歴は、前記重点事務事業に対する重点予算および前記一般事務事業に対する一般予算を編成する予算編成行動と、前記重点事務事業および前記一般事務事業に対する承認行動と、を含み、
前記行動状況出力部は、前記重点事務事業に対する予算編成行動および承認行動を取得することで、前記一般事務事業に対する予算編成行動および承認行動を取得するための通知を生成する、請求項9に記載の行政事業管理システム。
【請求項11】
前記行動履歴は、答弁または執行の要因に基づく課題と、当該課題に基づく政策、施策、事務事業と、を提起する提起行動を含み、
前記行動状況出力部は、前記提起行動と、前記課題または前記政策、施策、事務事業の指定と、に基づき、前記課題または前記政策、施策、事務事業の成立に関連する経緯を提起状況として出力する、請求項1に記載の行政事業管理システム。
【請求項12】
行政事業管理方法であって、
法令に基づき制定された少なくとも政策、施策、事務事業に関する政策体系情報の登録を受け付ける工程と、
前記政策体系情報に関連する行動履歴を取得する工程と、
前記行動履歴に基づき、前記政策、前記施策又は前記事務事業に関連する行動状況を出力する工程と、
をコンピュータが実行する、行政事業管理方法。
【請求項13】
行政事業管理プログラムであって、
事業登録部と、行動履歴取得部と、行動状況出力部と、としてコンピュータを機能させ、
前記事業登録部は、法令に基づき制定された少なくとも政策、施策、事務事業に関する政策体系情報の登録を受け付け、
前記行動履歴取得部は、前記政策体系情報に関連する行動履歴を取得し、
前記行動状況出力部は、前記行動履歴に基づき、前記政策、前記施策又は前記事務事業に関連する行動状況を出力する、行政事業管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行政事業管理システム、行政事業管理方法および、行政事業管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自治体等における財政では、限られた財源の中から予算を編成し、事業の実施に充てている。自治体等における事務事業は多種多様であり、それらに対して効率的に予算を編成するためには、事務事業を適切に評価する必要がある。
【0003】
特許文献1では、行政評価制度を導入する自治体によるその自治体の特性に合致した行政評価指標の設定を効率的に支援することが可能な技術を開示している。具体的には、特許文献1では、行政評価制度を新たに導入する自治体の自治体特性を自治体特性データベースに登録するステップと、前記自治体の事務事業の指定を受付け、その受付けた事務事業の候補指標を生成する為の自治体特性の値が前記登録した自治体特性の値と近い自治体について前記事務事業の指標に対応する成果指標レベルを行政評価指標データベースから読み出して当該成果指標レベルを格納した行政評価候補指標情報を生成するステップと、前記生成した行政評価候補指標情報を出力するステップとを有することを特徴とする技術を開示している。
【0004】
特許文献2では、予算査定や行革計画にかかわる財政担当課の処理の単純化、および事務事業の実態に即した予算査定や長期財政推計の実現を図るための技術を開示している。具体的には、特許文献2では、事務事業ごとに、事務事業シートに入力されたコスト・財源の年度別計画値を集計する年度別計画値集計工程と、歳入情報や事務事業シートを作らない事務事業について、客観的推計値をもとに費目ごとの推計値を算出する推計値算出工程と、特定の費目について推計する特定費目推計工程と、歳入・歳出の費目ごとに実行する推計方法を選択する推計方法選択工程と、前記推計方法選択工程で選択された方法に基づいた推計結果から、個別事務事業の計画をベースとする中長期財政見通しを試算する中長期財政見通し試算工程と、を含んだことを特徴とする技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-334185号公報
【特許文献2】特開2005-293321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
行政における業務フローは複雑であり、これを効率的に管理・運用することは、困難であった。また、行政において執行する事務事業などは、当該事務事業などの重点度に応じて予算編成方法や管轄が異なるなどの実態から、それらの管理・運用上のコストが増大する傾向にあることが課題となっている。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、行政業務フローの効率的な管理運用を支援する技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、行政事業管理システムであって、事業登録部と、行動履歴取得部と、行動状況出力部と、を備え、前記事業登録部は、法令に基づき制定された少なくとも政策、施策、事務事業に関する政策体系情報の登録を受け付け、前記行動履歴取得部は、前記政策体系情報に関連する行動履歴を取得し、前記行動状況出力部は、前記行動履歴に基づき、前記政策、前記施策又は前記事務事業に関連する行動状況を出力する。
【0009】
また、本発明は、行政事業管理方法であって、法令に基づき制定された少なくとも政策、施策、事務事業に関する政策体系情報の登録を受け付ける工程と、前記政策体系情報に関連する行動履歴を取得する工程と、前記行動履歴に基づき、前記政策、前記施策又は前記事務事業に関連する行動状況を出力する工程と、をコンピュータが実行する。
【0010】
また、本発明は、行政事業管理プログラムであって、事業登録部と、行動履歴取得部と、行動状況出力部と、としてコンピュータを機能させ、前記事業登録部は、法令に基づき制定された少なくとも政策、施策、事務事業に関する政策体系情報の登録を受け付け、前記行動履歴取得部は、前記政策体系情報に関連する行動履歴を取得し、前記行動状況出力部は、前記行動履歴に基づき、前記政策、前記施策又は前記事務事業に関連する行動状況を出力する。
【0011】
このような構成とすることで、事務事業に関連する行動履歴に基づき事務事業などに関連する行動状況を出力することで、事務事業などの効率的な管理運用を支援できる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記行動履歴は、前記事務事業に対する承認行動を含み、前記行動状況は、前記事務事業に対する承認状況を含み、前記行動状況出力部は、前記承認行動に基づき、前記事務事業の承認状況を出力する。
本発明の好ましい形態では、前記行動状況出力部は、複数の事務事業が属するグループにおける承認件数または承認達成率を含む承認状況を出力する。
このような構成とすることで、事務事業に対する承認行動の状況を出力することで、事務事業の効率的な管理運用を支援できる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記行動履歴は、前記事務事業に対する指摘行動を含み、前記行動履歴取得部は、前記事務事業に対する指摘要素と関連付けて投稿データを受け付けることで、前記指摘行動を取得し、前記指摘行動に対応する承認指示と関連付けて投稿データを受け付けることで、前記承認行動を取得する。
このような構成とすることで、投稿データのやりとりによる円滑な行動履歴の取得を実現することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記行動履歴は、コメント行動を含み、前記行動履歴取得部は、前記指摘行動に対応するコメントと関連付けて投稿データを受け付けることで、前記コメント行動を取得し、前記行動状況出力部は、前記指摘行動、前記コメント行動、前記承認行動を含む行動履歴と、当該行動履歴を行った行動者を示す情報と、に基づき、前記行動者のアイコンを時系列チャートで示す行動状況を出力する。
本発明の好ましい形態では、前記時系列チャートは、前記指摘行動を起点とし、前記承認行動を終点する。
このような構成とすることで、事務事業に対する行動履歴の経過をチャートとして出力し、事務事業の状況をより効率的に把握するための好適なユーザインターフェイスを提供することができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記行動履歴は、前記事務事業に対する執行行動を含み、前記行動状況は、前記事務事業に対する執行状況を含み、前記行動状況出力部は、前記執行行動に基づき、前記事務事業の執行状況を出力する。
本発明の好ましい形態では、前記行動状況出力部は、少なくとも1つ以上の執行行動と関連付けて予算補正指示の入力を受け付け、前記執行状況を生成し、執行管理者に対する通知として出力する。
このような構成とすることで、事務事業の執行に関する状況の管理運用を効率化することができる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記行動履歴は、重点事務事業に対する行動履歴と、一般事務事業に対する行動履歴と、を含み、前記行動状況は、前記重点事務事業に対する行動状況と、前記一般事務事業に対する行動状況と、を含み、前記行動状況出力部は、前記重点事務事業および前記一般事務事業に対するそれぞれの行動履歴に基づき、前記重点事務事業および前記一般事務事業のそれぞれの行動状況を出力する。
本発明の好ましい形態では、前記行動履歴は、前記重点事務事業に対する重点予算および前記一般事務事業に対する一般予算を編成する予算編成行動と、前記重点事務事業および前記一般事務事業に対する承認行動と、を含み、前記行動履歴取得部は、前記重点事務事業に対する予算編成行動および承認行動を取得することで、前記一般事務事業に対する予算編成行動および承認行動を取得するための通知を生成する。
このような構成とすることで、重点事務事業と一般事務事業によってそれぞれ異なる行政業務フローを一元的かつ効率的に管理運用することを支援できる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記行動履歴は、答弁または執行の要因に基づく課題と、当該課題に基づく政策、施策、事務事業と、を提起する提起行動を含み、前記行動状況出力部は、前記提起行動と、前記課題または前記政策、施策、事務事業の指定と、に基づき、前記課題または前記政策、施策、事務事業の成立に関連する経緯を提起状況として出力する。
このような構成とすることで、行政業務フローの中で生じる課題や事務事業の一連の状況の管理運用を効率化することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、行政業務フローの効率的な管理運用を支援する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図6】本実施形態の進捗情報作成画面、指示通知の表示例。
【
図10】本実施形態の予算編成段階の処理フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて、本発明の行政事業管理システム、方法および、プログラムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0021】
本実施形態では行政事業管理システムの構成、動作等について説明するが、同様の構成の方法、装置、コンピュータのプログラムおよび当該プログラムを格納したプログラム記録媒体なども、同様の作用効果を奏することができる。以下で説明する本実施形態にかかる一連の処理は、コンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD-ROMやフレキシブルディスクなどの非一過性コンピュータ可読記録媒体、更には通信回線を経て提供可能である。
【0022】
行政事業管理システムは、コンピュータ装置により構成される。コンピュータ装置は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置および記憶装置を有する。当該コンピュータ装置は、記憶装置に格納される行政事業管理プログラムを、演算装置により実行することで、当該コンピュータ装置を行政事業管理装置として機能させることができる。行政事業管理方法は、行政事業管理装置を含むコンピュータ装置の処理により実現される。
【0023】
本実施形態において、行政事業管理システムは、行政組織で利用される。行政組織は、国や地方自治体などの官公庁、省庁、公共団体などを含む行政を運営する組織である。
【0024】
本実施形態において、政策とは、制定された行政区分(市区町村等)におけるまちづくりの方向性や目的を示すものである。施策とは、当該政策を実現するための方策を示すものである。事務事業とは、施策を実現するためのより具体的な手段を示すものである。事務事業は、行政区分に所属する各局における予算を元に、各局により実施される。なお、政策、施策、事務業務などの区分は、これらに限定されるものではなく、細施策などの区分が更に設けられてもよい。
【0025】
本実施形態では、行政事業管理システムを用いた事務事業の計画段階、予算編成段階、執行段階、評価段階などの各段階における行政業務を支援する仕組みを中心に説明する。計画段階では、対象の事務事業の執行年度(例えば、翌年度)に実施する事務事業の計画書の作成などを実施する。予算編成段階では、計画書に係る事務事業の予算要求書の作成や、予算要求書に対する財政査定などを実施する。執行段階では、査定を通過した事務事業を執行する。評価段階では、執行した事務事業に対する行政評価書の作成などを実施する。なお、上述した各段階は、一例であり、段階の数や内容などが限定されるものではない。
【0026】
<システム構成>
図1は、行政事業管理システム1のシステム構成図を示す。行政事業管理システム1は、
図1に示すように、行政事業管理装置2と、利用者端末3と、依頼先端末4と、記憶部DBと、を備え、各構成部はそれぞれ通信ネットワークNWに接続され、通信可能に構成されている。
【0027】
<行政事業管理装置:実装例1>
行政事業管理装置2は、機能構成要素として、事業登録部21と、グループ登録部22と、タグ処理部23と、評価部24と、更新部25と、検索処理部26と、マッチング処理部27と、を備える。
【0028】
利用者端末3は、自治体などの行政区分の各局における利用者により操作される端末装置である。利用者端末3は、
図1において1つのみ示したが、各自治体で複数設置される。また、自治体は、複数存在してもよい。
【0029】
本実施形態において、利用者は、各局の財政担当者と、原課担当者と、総務の管理者と、などを含む。原課担当者は、事務事業の計画書作成や、予算要求書作成、行政評価書作成などの業務を実施する。財政担当者は、原課担当者への予算要求書作成依頼、予算要求書の評価などの財政関係の業務を実施する。管理者は、計画書に基づく重点事業選定、優先順位付け、財政担当者により承認された予算要求書の査定などの業務を実施する。行政事業管理システム1は、各利用者に対して所定の操作権限を設けており、操作権限に応じた所定の機能の許可や制限を制御している。
【0030】
依頼先端末4は、行政による事務事業の委託または協業の依頼先により操作される端末装置である。本実施形態において、依頼先は、民間企業、他の自治体などを含む。依頼先端末4は、
図1において、1つのみ示したが、これらは複数存在してもよい。
【0031】
記憶部DBは、データベースであって、行政事業管理装置2とデータ通信可能な構成であれば、
図1に示す構成に限定されない。記憶部DBは、例えば、行政事業管理装置2に内蔵されるか、行政事業管理装置2の外部に設置され有線により通信接続される態様であってもよい。記憶部DBは、IDなどの各種情報に固有の識別情報をキーとして、各種情報を一意に識別可能な構成のデータを格納する。
【0032】
図2(a)は、行政事業管理装置2のハードウェア構成図を示す。行政事業管理装置2は、ハードウェア構成として、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、を備える。本実施形態において、行政事業管理装置2は、サーバやパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いることができる。なお、行政事業管理装置2は、複数のコンピュータ装置により構成されてもよく、全体として上述の機能構成要素(21-27)を実現できれば、
図2(a)に示す構成に限定されるものではない。
【0033】
制御部201は、CPUなどの1つ以上のプロセッサにより構成され、行政事業管理プログラムやOS(Operating System)、その他のアプリケーションを実行することで、行政事業管理装置2における全体処理を制御する。記憶部202は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などであって、行政事業管理プログラムおよび各種データを記憶する。通信部203は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、利用者端末3、依頼先端末4および、記憶部DBとのデータ通信を実現する。制御部201は、行政事業管理プログラムを実行することで、コンピュータを行政事業管理装置2として機能させる。
【0034】
図2(b)は、利用者端末3、依頼先端末4を含む端末装置9のハードウェア構成図を示す。端末装置9は、ハードウェア構成として、制御部901と、記憶部902と、通信部903と、入力部904と、表示部905と、を備える。本実施形態において、端末装置9は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末などを用いることができる。
【0035】
制御部901は、CPUなどの1つ以上のプロセッサにより構成され、OS、その他のアプリケーションを実行することで、端末装置9における全体処理を制御する。記憶部902は、HDD、SSD、フラッシュメモリ、RAMなどであって、ブラウザアプリケーション、および各種データを記憶する。通信部903は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、行政事業管理装置2とのデータ通信を実現する。入力部904は、操作者による操作要求を受け付ける入力インターフェイスであって、タッチパネル、マウス、キーボードなどにより構成される。表示部905は、制御部901による処理結果を表示するディスプレイなどにより構成される。
【0036】
図3は、事務事業の計画段階、予算編成段階、執行段階、評価段階における処理フローを示す。行政事業管理システム1は、事務事業の計画段階、予算編成段階、執行段階、評価段階などの各業務を管理するためのプラットフォームを提供する。事務事業の進捗は、事務事業情報に関連付けされている進捗ステータスによって管理される。
【0037】
計画段階において、翌年度に執行予定の事務事業に関連する事業計画書を作成する。新規の事務事業を計画する場合(S11でYES)、事業登録部21は、事務事業情報の登録を受け付け記憶部DBに格納する(S12)。事業登録部21は、事務事業情報に基づいて、翌年度の事業計画書を作成し、事務事業情報に関連付けて登録する(S13)。なお、既存の事務事業がある場合(S11でNO)、既存の事務事業情報に基づいて、翌年度の事業計画書を作成し、事務事業情報に関連付けて登録する(S13)。
【0038】
行政事業管理装置2は、事務事業情報に対応し作成された予算情報を含む予算要求操作を受け付ける(S14)。更新部25は、予算要求操作に応じて進捗ステータスを要求前から要求済に更新する。更新部25は、財政担当者の利用者端末3を介して、予算要求に対する承認操作を受け付けると(S15でYES)、事務事業情報の進捗ステータスを査定済に更新する(S16)。更新部25は、財政担当者の利用者端末3を介して、予算要求を非承認とする操作を受け付けると(S15でNO)、事務事業情報の進捗ステータスを非承認または要求前に更新する。予算要求操作が非承認の場合、更新部25は、予算情報の修正依頼通知を利用者端末3に出力し、修正された予算情報を含む予算要求操作を再度受け付けてもよい。なお、予算編成段階において、更新部25は、更に、管理者の利用者端末3を介して予算要求に対する承認操作を受け付けることで、進捗ステータスを最終査定に更新してもよい。
【0039】
執行段階において、事務事業情報の進捗ステータスは、執行段階へと更新され、事務事業が執行される。ここで、進捗ステータスは、執行年度となることで自動更新されるか、利用者端末3による更新操作により更新される。行政事業管理装置2は、利用者端末3を介して、事務事業情報の実績情報の入力操作を適宜受け付けてもよい。更新部25は、事務事業の執行が完了すると、進捗ステータスを評価段階に更新する。ここで、進捗ステータスは、執行期限の経過により自動更新されるか、利用者端末3による更新操作により更新される。
【0040】
評価段階において、執行完了した事務事業に関連する行政評価書が作成される。評価部24は、利用者端末3を介して事務事業情報に評価情報を関連付けする入力操作を受け付け、記憶部DBに格納する(S18)。評価段階が完了すると、事務事業情報に対して、計画情報、予算情報、評価情報などが関連付けられることとなり、翌年度に執行予定の事務事業に関連する事業計画書の作成の際に、既存の事務事業情報を活用することができる。行政事業管理装置2は、更に翌年度の事務事業を管理する際に、S11から処理を繰り返し実行することができる。
【0041】
<事業登録部>
事業登録部21は、法令に基づき制定された事務事業に関する事務事業情報の登録を、利用者端末3を介して受け付け、記憶部DBに格納する。事務事業情報は、各自治体に設置されるデータベースから取得されてもよい。
【0042】
図4は、事務事業情報および、事務事業情報に関連付けられる各種情報の構成例を示す。事務事業情報は、
図4(a)に示すように、事務事業を識別するための事業IDをキーとして、基本情報、事業グループ情報、タグ情報、進捗ステータス、計画情報、予算情報、評価情報などを有する。事務事業情報に含まれる各種情報は、それぞれのIDにより識別される。
【0043】
基本情報は、自治体IDと、事務事業名と、事業概要と、執行予定年度と、所属名と、細節名と、などを有する。執行予定年度は、執行予定の年数や年度を示す。
【0044】
計画情報は、
図4(b)に示すように、計画IDをキーとして、執行年度、計画概要、評価項目、評価項目に対する目標などを有する。計画情報は、執行年度別に作成される事業計画書として作成され、事務事業情報に関連付けて記憶部DBに格納される。
【0045】
評価項目は、定量評価項目および/またはタスク評価項目を含む。評価項目は、それぞれ目標が設定され、当該目標の達成状況により評価される。
【0046】
定量評価項目は、数値などにより定量的評価が可能な評価項目であって、KPIやKGIなどを含む。例えば、「農業従事者の確保」に関する事務事業であれば、定量評価項目として「農業就業者数」などが設定され、定量評価項目に対する目標として具体的な人数が設定される。目標の達成状況は、設定された目標に対する実績により評価される。定量評価項目は、複数設定されてもよい。
【0047】
タスク評価項目は、設定されたタスクの達成により評価が可能な評価項目である。タスク評価項目は、任意のタスク名やタスク内容などとして設定され、当該タスク評価項目に対する目標として当該タスクを実施するスケジュールなどが設定される。目標の達成状況は、設定された目標に対する実績により評価される。タスク評価項目の実績は、タスクが完了したか、タスクがスケジュール内に完了したか、などとして入力される。タスク評価項目は、複数設定されてもよい。また、タスク評価項目は、設定されたタスクの中から重要タスクを設定可能であってよく、重要タスクと通常タスクのそれぞれの目標の達成状況を評価することができる。
【0048】
予算情報は、
図4(c)に示すように、予算IDをキーとして、執行年度、予算額、歳入額などを有する。予算情報は、対象年度における予算要求が承認されることで確定し、事務事業情報に関連付けられて記憶部DBに格納される。予算額は、事務事業の執行にかかる費用の金額を示す。歳入額は、事務事業の執行にかかる財源等の金額を示す。歳入額は、一般財源、特定財源、義務的予算、重点予算、経営予算などの財源等の内訳別の金額を含んでもよい。歳入額は、執行年度の組織における財源データベース(図示せず)を参照し、組織の総財源から事務事業別に割り当てられる。
【0049】
事業グループ情報は、予算情報に基づく予算総額および歳入総額を有する。予算総額は、グループに属する事務事業の予算額の総額である。歳入総額は、グループに属する事務事業の歳入額の総額である。
【0050】
予算枠情報は、
図4(d)に示すように、予算枠IDをキーとして、執行年度と、事業グループIDと、予算枠額と、などを有する。予算枠情報は、対象の執行年度における予算要求依頼を送信する際に財政担当者により設定される。本実施形態において、予算枠額は、事業グループにおける予算総額と歳入総額の差分を補填するため設定されるものである。予算枠情報は、事業グループIDを直接的または間接的に参照可能なデータ構成であればよく、例えば、進捗IDに関連付けられていてもよい。
【0051】
評価情報は、
図4(e)に示すように、評価IDをキーとして、執行年度と、実績と、を有する。実績は、定量評価項目に対応する定量評価実績と、タスク評価項目に対応するタスク評価実績と、を含む。定量評価実績は、KPIやKGIなどの目標値に対する実績値であり、タスク評価実績は、タスク別の達成の有無、達成したタスクの数量などである。なお、実績は、事務事業の執行段階で適宜入力されてよい。なお、定量評価実績は、対象となる事務事業の執行に要した歳出額を含んでもよい。また、対象年度における事務事業の行政評価書が、評価情報に関連付けて記憶部DBに格納されてもよい。
【0052】
<進捗管理>
本実施形態において、翌年度の事務事業に関する計画、予算編成、執行および、行政評価は、カテゴリ別に生成される進捗情報により管理される。更に、進捗情報は、複数の事務事業による事業グループ別に生成され、事業グループ別の進捗が管理される。
【0053】
図5(a)は、利用者端末3に表示されるグループ管理画面W1の画面表示例を示す。グループ管理画面W1は、サマリー表示部W11と、グループ一覧表示部W12と、新規作成ボタンW13と、を備える。進捗情報は、翌年度の事務事業または事業グループの事業の計画、予算編成、執行および、行政評価などの各業務の進捗管理に用いられる。
【0054】
サマリー表示部W11は、枠設定状況、枠額および要求額の設定状況などを表示する。枠とは、予算要求可能な金額の枠を示す。
図5(a)の例では、予算要求前の枠対象の事務事業数および予算要求済の枠設定済の事務事業数の割合、全体予算および要求済予算の割合、義務的予算、重点予算、経営予算などの予算分類別の前提予算と要求済予算の割合などを表示する。
【0055】
グループ一覧表示部W12は、事業グループ情報の一覧を表示する。また、グループ一覧表示部W12は、事業グループ情報および、事業グループ情報に関連付けられた各種情報に基づき、グループID、事業グループ名、担当者、進捗状況、カテゴリ、期限、事業総額、枠額などを一覧表示する。進捗状況は、進捗ステータスの段階別の進捗状況に関する評価結果を表示する。進捗状況に関する評価結果は、事業グループに属する事務事業の総数と、所定の進捗ステータスを有する事務事業の数量と、に基づき、出力される。
【0056】
新規作成ボタンW13は、入力操作を受け付けると、
図5(b)に示すように、グループ作成画面W2を利用者端末3において表示させる。
【0057】
グループ作成画面W2は、グループ情報入力部W21と、登録ボタンW22と、を備える。本実施形態では、事業グループ情報として事業グループ名と、カテゴリと、の登録を受け付ける。カテゴリは、計画、予算編成、執行、行政評価などから選択される。登録ボタンW22は、押下されることで、グループ情報入力部W21に入力された情報を事業グループ情報として登録する要求を行政事業管理装置2に送信する。
【0058】
事業グループ情報は、
図4(f)に示すように、事業グループIDをキーとして、事業グループ名と、事業グループに関連付けられた1または複数の事務事業の事業IDと、を有する。また、事業グループ情報は、管理対象となるカテゴリを含んでもよい。ここで、事業グループ情報は、カテゴリに対応する評価軸が関連付けられる態様であってもよい。評価軸は、評価部24による評価対象の選定に用いられる。
【0059】
一態様では、事業グループ情報は、利用者により任意の事務事業情報を関連付けて登録可能に構成される。事業グループ情報のグループ名は、利用者による任意の分類条件にしたがって決定される。ここで、分類条件は、利用者により選択されるカテゴリを含む。また、分類条件は、カテゴリに加えて、利用者によるグループ化の目的に応じた任意の分類条件が適宜設けられてもよい。
【0060】
具体例として、部署や課などに対する予算枠を編成するためのグループを作成する場合、事業グループ情報は、カテゴリが予算編成に設定され、「〇年度当初 農林水産部」などのグループ名が設定される。また、重点課題とする事務事業を編成するためのグループを作成する場合、事業グループ情報は、「〇年度X市重点事業」などのグループ名が設定される。グループ名は、当該事業グループに関連付けてもよい事務事業を推測できる名称であることが好ましく、また、グループ化の目的やグループ編成に関する規則などを示すメッセージと関連付けられていてもよい。
【0061】
一態様では、事業グループ情報と、事務事業情報は、それぞれ分類条件を有する。事業グループ情報は、同様の分類条件が付与された事務事業情報を関連付けて自動登録可能に構成される。記憶部DBは、分類条件のマスター情報を格納する。事務事業情報は、マスター情報を参照し、分類条件が選択されることで、事業グループ情報に関連付けされる。なお、分類条件は、1つの事業グループまたは1つの事務事業情報に対してそれぞれ複数設定されてもよい。また、分類条件は、後述するタグ情報に対応するものであってもよい。
【0062】
具体例として、マスター情報は、分類条件として、款項目分類、政策/施策/事業分類、決算統計/目的別分類、組織分類、性質分類などを有する。款項目分類は、歳入または歳出の内訳にかかる分類であって、物件費、普建、人件費、補助交付金などの細分類を有する。政策/施策/事業分類は、分類対象が政策、施策、細施策、事務事業などの何れであるかを示す分類であって、具体的な政策名や、施策名、事務事業名などの細分類を有する。決算統計/目的別分類は、決算統計または目的にかかる分類であって、具体的な決算統計名や目的の種別などの細分類を有する。組織分類は、組織図における部署や課などの分類であって、具体的な部署名や課名などの細分類を有する。性質分類は、歳入または歳出の内訳にかかる分類であって、物件費、普建・補助・県営、人件費、補助費・補助交付金などの細分類を有する。なお、分類条件は、これらに限定されず、目的に応じて適宜設けられてもよい。
【0063】
図6は、進捗情報作成画面W3の画面表示例を示す。進捗情報作成画面W3は、進捗情報を入力する指示操作を受け付ける進捗情報入力部W31と、進捗情報入力部W31で入力された進捗情報の登録/更新の際に押下される登録ボタンW32と、を備える。本実施形態において、進捗情報作成画面W3は、グループ一覧表示部W12の3点リーダに対する選択操作を受け付けることで遷移し、当該事業グループに対する進捗情報を生成することができる。なお、進捗情報入力部W31は、登録済の事業グループ情報に基づき事業グループの選択操作を受け付けることで、当該事業グループに対する進捗情報を生成するか、新規の事業グループ名の入力操作を受け付けることで、事業グループ情報および進捗情報を生成してもよい。
【0064】
登録ボタンW32は、押下されることで、進捗情報の登録指示を行政事業管理装置2に送信する。行政事業管理装置2は、進捗情報を記憶部DBに格納する。
【0065】
進捗情報は、事業グループに属する事務事業の進捗管理に用いられる。進捗情報は、
図4(g)に示すように、進捗IDをキーとして、進捗名、事業グループID、担当者、スケジュール、メッセージなどを有する。メッセージは、担当者に対する指示などに関するテキストデータであって、例えば、グループ編成の指示や期限などを含むことができる。
【0066】
グループ登録部22は、進捗情報作成画面W3を介して、事業グループ情報に対する担当者を含む指示操作を受け付けると、事業グループ情報へのアクセス情報を含む指示通知を生成し、担当者に対して通知先を参照して出力する。
【0067】
図6(b)は、担当者に通知された指示通知の一例を示す。指示通知は、進捗情報のメッセージと、事業グループIDにより特定される事業グループのグループ編成画面へのURLなどのリンク(アクセス情報)を含む。通知先は、担当者のメールアドレスや担当者IDなどである。指示通知を受けた担当者は、グループ編成画面にアクセスし、事業グループの編成を行うことができる。
【0068】
評価部24は、進捗情報が登録されると、進捗情報に関連付けられる事業グループ情報および、当該事業グループ情報に関連付けられる事務事業情報の進捗ステータスに基づき、進捗状況を評価軸とした評価処理を実行する。更新部25は、計画段階における事業計画書の提出状況、予算編成段階における予算要求書の提出状況、執行段階における評価項目に対する実績やタスク完了の状況、行政評価段階における行政評価書の提出状況、などに応じて進捗ステータスを更新する。評価部24は、事業グループに属する事務事業の進捗ステータスを段階別に集計し、事業グループの全体に対する個別の事務事業の進捗状況に関する評価結果を出力することができる。進捗ステータスの集計結果は、例えば、ステータス別の割合や総数により示される。進捗状況に関する評価結果は、グループ一覧表示部W12の進捗状況に反映される。これによって、それぞれの事業グループにおける進捗状況を一覧として容易に把握することができる。
【0069】
事務事業情報の進捗ステータスは、カテゴリに応じた処理段階を示すステータスである。計画段階の進捗ステータスは、事業計画書の提出前、提出済など更に詳細な段階に分類される。予算編成段階の進捗ステータスは、予算要求書の要求前、要求済、査定済など更に詳細な段階に分類される。執行段階の進捗ステータスは、執行前、執行中、執行済など更に詳細な段階に分類される。評価段階の進捗ステータスは、行政評価書の提出前、提出済など更に詳細な段階に分類される。進捗ステータスは、処理段階に応じて利用者端末3を介して設定操作を受け付けることで更新される。
【0070】
<グループ編成>
事務事業情報は、事業グループ情報に関連付けられることで、グループ化される。本実施形態において、事業グループは、予算枠額内に収まるように事務事業の取捨選択を行うことや、過去の実績に応じて事務事業の取捨選択を行うことなど、好適な事業計画や予算編成を支援する趣旨で任意のグループとして定義可能である。
【0071】
図7、
図8は、利用者端末3に表示されるグループ編成画面W4の画面表示例を示す。グループ編成画面W4は、指示通知の事業グループへのリンクよりアクセスすることで、利用者端末3の表示部905に表示される。また、グループ編成画面W4は、グループ管理画面W1の詳細ボタンが押下されることで、表示されてもよい。ここでは、予算編成段階において、ある事業グループに関連する予算要求書作成依頼に関する指示通知を受けた原課担当者が、想定される予算や過去の実績などを参照しながら、事業グループに関連付ける事務事業の追加、変更、削除などのグループ編成にかかる操作入力を行う実施例を説明する。
【0072】
グループ編成画面W4は、サマリー表示部W41と、グループ編成部W42と、検索部W43と、事業表示部W44と、を備える。サマリー表示部W41、グループ編成部W42、検索部W43は、それぞれプルダウン式で表示/非表示を切替可能に構成される。
図7の表示例では、検索部W43のみを表示し、
図8の表示例では、サマリー表示部W41と、グループ編成部W42のみを表示している。
【0073】
検索部W43は、事業グループに追加、変更、削除する事務事業を検索する機能を提供する。検索部W43は、1または複数の検索条件の入力を受け付ける。検索処理部26は、検索条件に基づき、対象となる事務事業情報に関する検索処理を実行する。なお、検索部W43は、検索条件の入力形式として、キーワード入力形式、条件選択形式などを採用することができる。
【0074】
検索部W43は、検索条件として、執行年度、事業グループ、当初予算・補正予算などの予算区分、所定のキーワード、分類条件、タグ名、過去のKPIや予算に関する実績などを用いることができる。KPIや予算に関する実績は、所定期間を指定するとともにKPIや予算の増減率などにより設定される。原課担当者は、指示通知を参照しながら事業グループに追加、変更削除する事務事業の選定を実施する。
【0075】
検索部W43は、分類条件やタグ名が関連付けられた事務事業の数量など、分類条件やタグ情報の分布状況を表示することができる。また、現時点において事業グループ情報に関連付けされる事務事業情報の総数、事業グループ情報における予算総額、歳入総額などを表示してもよい。
【0076】
事業表示部W44は、検索処理部26により検索結果として取得された事務事業情報に基づき、事業グループへの追加候補となる事務事業の一覧を表示する。事業表示部W44の追加ボタンW441A~W441Cは、事業グループに追加する事務事業の選択操作を受け付ける。
【0077】
グループ編成部W42の候補表示部W421は、追加ボタンW441により選択操作されたグループの候補となる事務事業を表示する。グループ作成ボタンW422は、押下されることで、候補表示部W421に表示されている事務事業を、事業グループとして登録する。また、グループ選択部W423は、選択タブとして構成され、既存の事業グループの選択操作を受け付けることで、当該事業グループに属する事務事業を追加、変更、削除する一括操作を行うことができる。
【0078】
評価結果表示部W411は、事業グループの評価結果を表示する。ここで、評価結果は、事業グループに属する事務事業の予算総額、平均予算額などが含まれる。評価結果は、予算分類別、進捗ステータス別の予算総額や平均予算額などを区別可能に表示することができる。また、評価結果は、全体予算額、他の事業グループの予算額、枠額などと、対象の事業グループの予算額と、を対比可能に表示してもよい。
【0079】
切替部W412は、選択操作を受け付けることで評価軸を切り替え、評価結果表示部W411に表示される評価結果を更新することができる。例えば、評価軸は、評価項目として予算枠額と、評価項目に対応する目標値と、を有する。評価結果は、予算枠額の目標値と、実績値である要求予算額に基づき出力される。なお、
図8において、目標値は、事業グループに属する事務事業1件当たりの予算枠額であり、実績値は、事業グループに属する事務事業1件当たりの要求予算額である。評価結果表示部W411は,例えば、要求予算額が予算枠額を超過する場合、テキストをハイライト表示することなどにより注意を促してもよい。
【0080】
一態様として、評価結果表示部W411は、評価結果として、予算総額、事業単位の平均予算額を表示する。予算総額は、一般財源や特定財源など財源種別ごとの総額をそれぞれ表示する。平均予算額は、新規事業や重点事業など事業種別ごとの平均予算額をそれぞれ表示する。
【0081】
一態様として、評価結果表示部W411は、評価結果として、事業単位および/または事業グループ単位の平均予算額を含む。平均予算額は、予算編成段階の進捗ステータスである要求前、要求済、査定済に応じて、それぞれの進捗ステータスの事業単位および/または事業グループ単位の平均予算額を出力される。
【0082】
サマリー表示部W41は、事業グループに属する事務事業および、グループ編成部W42で選択されているグループの候補となる事務事業に基づき評価結果を出力する。例えば、グループの候補となる事務事業が追加、削除など変更されると、サマリー表示部W41は、当該変更に応じて再計算された評価結果を表示することができる。グループ編成画面W4は、少なくともサマリー表示部W41およびグループ編成部W42を同一画面上に設けることで、評価結果を参照しながら、事業グループに関連付けする事務事業を選択することを好適に支援するインターフェイスとなる。
【0083】
<予算枠登録>
図9は、利用者端末3に表示される予算枠登録画面W5の画面表示例を示す。予算枠登録画面W5は、グループ編成画面W4より遷移可能に構成される。予算枠登録画面W5は、予算情報表示部W51と、予算枠設定部W52と、登録更新ボタンW53と、を備える。予算情報表示部W51は、予算枠情報を関連付ける事業グループ名、現在の事業グループに確保されている歳入総額、現在の事業グループに必要な予算総額を表示する。予算情報表示部W51は、事業グループ情報に関連付けられた事務事業情報の予算情報を参照し、それらの対象年度における予算額および歳入額に基づき算定される事業グループ情報における予算総額および歳入総額を表示する。予算枠設定部W52は、事業グループを予算枠の付与対象とする場合、オンに設定する操作入力を受け付け、予算枠額の設定入力を受け付ける。予算枠設定部W52は、予算総額および歳入総額の差分を自動入力する態様であってもよい。登録更新ボタンW53は、押下されることで、予算枠設定部W52で設定入力された予算枠額を、予算枠情報として登録または更新する要求を行政事業管理装置2に送信する。グループ登録部22は、予算枠登録画面W5を介して、事業グループ情報に紐付けられた予算総額および歳入総額に基づき、予算枠額を含む予算枠情報の登録を受け付け、記憶部DBに格納する。
【0084】
図10は、予算編成段階の処理フローの実施例を示す。行政事業管理装置2は、財政担当の利用者端末3を介して、進捗情報の登録要求を受け付ける(S21)。S21において、登録要求は、事業グループ情報の登録要求を含んでもよい。行政事業管理装置2は、進捗情報が登録されると、担当者の利用者端末3に対してグループ編成や予算要求書作成の依頼に関する指示通知を出力してもよい。行政事業管理装置2は、財政担当者の利用者端末3を介して、予算枠情報を事業グループ情報に関連付ける登録要求を受け付ける(S22)。なお、S21およびS22の手順は、入れ替わってもよい。原課担当者は、予算情報、予算枠情報、サマリー表示部W41の評価結果、過去の評価情報などを参照しながら、事業グループ情報に関連付ける事務事業情報を選定することでグループ編成を行う。また、原課担当者は、予算枠情報や評価結果を参照しながら、各事務事業情報の執行年度における予算情報(予算要求書)を作成する。行政事業管理装置2は、原課担当者の利用者端末3を介して、事業グループ情報に関連付ける事務事業情報の登録指示、および、予算情報の登録指示を受け付ける(S23)。財政担当者および/または管理者は、予算情報、予算枠情報、評価結果、過去の評価情報などを参照しながら、予算情報の承認・非承認を判断する。行政事業管理装置2は、財政担当者および/または管理者の利用者端末3を介して、各事務事業情報の予算情報に関する承認指示を受け付けることで、予算編成段階の処理を順次完了する(S24)。完了した個別の事務事業の進捗ステータスは、事業グループの進捗状況として反映され、これによって、事業グループ別の進捗管理を実現することができる。
【0085】
<タグ情報:実施例1>
タグ処理部23は、事務事業情報および/または事業グループ情報にタグ情報を関連付けて、記憶部DBに格納する。タグ情報は、事務事業または事業グループに対して統一された規則にしたがって付与されることで、類型となる事務事業または事業グループの検索性、識別性、管理容易性などを向上させる趣旨で定義される。タグ情報は、
図4(h)に示すように、タグIDと、タグ名と、を有する。
【0086】
タグ情報は、付与対象が、政策、施策、細施策、事務事業などの何れに該当するものであるかを示す粒度レベルを更に備えてもよい。本実施形態において、タグ情報は、例えば、粒度レベルに応じた階層分類として構成される。粒度レベルが政策であるタグ情報は、例えば、保険・医療、まちづくり、物流・交通、行政運営、ものづくり、域内企業、農林水産業などを含む。粒度レベルが施策であるタグ情報は、例えば、特別支援教育の充実、スポーツ施設整備、市内企業支援、中小企業支援、農林水産業の従事者などを含む。粒度レベルが事務事業であるタグ情報は、例えば、中小企業等への資金融資、補助金の配布、地域イベントの実施、農業の従事者などを含む。
【0087】
粒度レベルは、政策、施策、事務事業の順に下位の階層分類となる。即ち、事務事業は施策の下位階層であり、施策は政策の下位階層となる。具体的には、「農林水産業」に関する政策に対して、「農林水産業の従事者」に関する施策が制定され、「農林水産業の従事者」に関する施策に対して、更に「農業の従事者」に関する事務事業が制定される。なお、本実施形態における、タグ名は、政策・施策・事務事業にそれぞれ対応する任意の名称を設定可能であり、名称により発明の範囲が制限されるものではない。
【0088】
なお、粒度レベルは、階層分類可能なタグに設けられてもよい。すなわち、粒度レベルは、政策、施策、細施策、事務事業以外の階層分類であってもよい。
【0089】
タグ情報は、年度、組織、事業、予算、重点課題、実績などに関連するタグを設定することができる。また、タグ情報は、マスター情報として格納される分類条件に対応するタグを設定されてもよい。タグ情報は、例えば、事務事業を執行する自治体を示す組織タグ、自治体の地域を示す地理タグ、事業の分類を示す事業タグなど事務事業情報の検索条件に対応した各種タグを設定することが可能である。
【0090】
タグ処理部23は、事務事業情報および/または事業グループ情報の登録や編集の際に、当該事務事業が該当するタグIDまたはタグ名を選択操作することで事務事業情報に関連付けて記憶部DBに格納される。
【0091】
タグ処理部23は、事務事業情報に含まれる事業名、事業概要、事業計画、所属名、細節名などのテキストデータを分類モデルに入力し、タグ情報を分類結果として出力することができる。
【0092】
分類モデルは、データセットにより機械学習されたモデルである。モデルは、ニューラルネットワーク、ロジスティック回帰、決定木、k近傍法など既知のものであってよい。本実施形態において、自然言語処理に適したモデルを適宜採用することができる。また、本実施形態において、タグ情報は、階層構造を有するため、階層分類モデルが採用される。
【0093】
モデルの機械学習に用いられるデータセットは、事務事業情報に含まれるテキストデータと、当該事務事業情報の分類結果に対応する1または複数のタグIDと、を含む。このデータセットによりモデルを機械学習することで、任意のテキストデータの入力に対して、タグIDを分類結果として出力する分類モデルが生成される。
【0094】
記憶部DBは、外部のコンピュータ装置などで機械学習処理された分類モデルを格納してもよい。コンピュータ装置は、1または複数のデータセットを取得し、それらデータセットを用いてモデルの機械学習処理を実行する。コンピュータ装置は、機械学習処理により学習済の分類モデルを生成する。記憶部DBは、生成された分類モデルを取得し、格納する。
【0095】
記憶部DBは、複数の分類モデルを格納してもよい。分類モデルは、例えば、事務事業の事業種別に応じたテキストデータと、タグIDを含むデータセットによりそれぞれ機械学習される。例えば、財務事業に関連する事務事業情報に対して詳細な財務事業の分類を付与することを目的として、財務事業分類モデルを生成することができる。タグ処理部23は、入力する事務事業の大まかな事業分類に応じて任意の分類モデルを選択可能に構成される。これにより、より適切なタグ情報の付与を実現する。
【0096】
タグ処理部23は、事務事業情報に含まれるテキストデータを取得し、当該テキストデータを分類モデルに入力し、分類結果を出力する。このとき、タグ処理部23は、分類結果として1または複数のタグIDを出力する。出力された1または複数のタグIDは、尤度とともに利用者端末3の表示部905に表示される。タグ処理部23は、1または複数のタグIDの選択操作を、利用者端末3を介して受け付け、タグIDを事務事業情報に関連付けて記憶部DBに格納する。なお、タグ処理部23は、分類結果として出力された1または複数のタグIDを、自動的に事務事業情報に関連付けて記憶部DBに格納することができる。このとき、タグ処理部23は、尤度が最も高いタグIDを事務事業情報に関連付ける処理や、尤度が所定値以上のタグIDを事務事業情報に関連付ける処理などを採用することで関連付け処理の自動化を実現する。
【0097】
図11は、利用者端末3に表示されるタグ処理画面W6A、W6Bの画面表示例を示す。
図11(a)において、タグ処理画面W6Aは、テキスト入力部W61と、タグ表示部W62と、モデル選択部W63と、を備える。テキスト入力部W61は、事務事業情報に含まれるテキストデータの入力操作を受け付ける。タグ表示部W62は、既に事務事業情報に付与されているタグIDに基づき、タグ名などを表示する。モデル選択部W63は、テキスト入力部W61に入力されるテキストデータを入力する分類モデルの選択操作を受け付ける。
【0098】
図11(a)のモデル選択部W63により分類モデルが選択操作されると、
図11(b)のようにタグ処理画面W6Bとして更新され、表示される。タグ処理画面W6Bは、分類結果表示部W64と、詳細表示部W65と、を更に備える。タグ処理部23は、テキスト入力部W61のテキストデータを選択された分類モデルに入力し、分類モデルから出力されるタグIDを取得する。
【0099】
分類結果表示部W64は、分類結果であるタグID、タグIDに基づき特定されるタグ名、粒度レベルおよび、尤度(スコア)を表示する。分類結果表示部W64は、尤度が最も高いタグIDについてハイライト表示にすることや、タグIDを尤度順にソートして表示することによって、利用者によるタグIDの決定を支援する。分類結果表示部W64は、タグIDに対する選択操作を受け付けることで、当該タグIDを事務事業情報に関連付けて処理を完了する。
【0100】
詳細表示部W65は、分類モデルによる分類処理の処理詳細を表示する。処理詳細は、分類処理において特徴量として抽出されたキーワードとその連関度、テキストデータに含まれるキーワード数、文字数などを含む。詳細表示部W65は、分類処理の詳細を表示することで、分類処理のブラックボックス化を防ぐことに寄与する。例えば、分類処理に用いられるキーワードとして明らかに不適切なものが含まれていないかを利用者が確認することで、最終的に付与するタグ情報の判断支援に寄与する。
【0101】
タグ情報は、タグ情報の分布状況に関する評価軸による評価に用いられる。評価部24は、タグ情報に基づき評価結果を出力する。具体的には、評価部24は、事業グループ情報に属する事務事業情報に付与されたタグ情報の分布状況に関する評価結果を出力する。分布状況とは、事業グループ内におけるそれぞれのタグ情報の集計数などを示す。分布状況は、例えば、事業グループ内における、政策、施策、事業がそれぞれ何件関連付けられているかを示すものである。
【0102】
<タグ情報:実施例2>
本実施例における異なるタグ情報の実施例を説明する。
図12は、本実施例におけるタグ情報の概要図を示す。
【0103】
図12(a)は、タグ情報のデータ構成例を示す。タグ情報は、
図12(a)によると、タグIDと、タグ名と、粒度レベルと、関係タグIDと、を含む。
【0104】
本実施例では、粒度レベルは、政策、施策、事務事業の少なくとも3つの階層である。また、粒度レベルは、更に、細事業を含む4つ以上の階層であってもよい。粒度レベルは、任意の階層数として定義可能である。粒度レベルは、政策タグ、施策タグ、事務事業タグにそれぞれ対応する。なお、本実施形態の階層分けは一例であって、粒度レベルは、任意の階層数として定義可能であり、更に多くの階層数または、更に少ない階層数として定義されてもよい。また、粒度レベルは、政策、施策、事務事業、細事業の分類に限定されない。
【0105】
関係タグIDは、当該タグと、階層構造において関係する他のタグと、の関係性を特定するタグIDを示す。関係性は、親子関係、兄弟関係、孫関係などの任意の関係であってよいが、少なくとも隣接する階層の親子関係を特定可能な態様であることが好ましい。階層構造は、政策タグ、施策タグ、事務事業タグの順に上位から下位の階層として定義されており、例えば、施策タグは、1の政策タグのタグIDを関係タグIDとして関連付けて定義され、事務事業タグは、1の施策タグのタグIDを関係タグIDとして関連付けて定義される。なお、施策タグは、1または複数の事務事業タグのタグIDを関係タグIDとして関連付けて定義され、政策タグは、1または複数の施策タグのタグIDを関係タグIDとして関連付けて定義される構成であってもよい。
【0106】
本実施例において、タグ情報は、政策タグ、施策タグ、事務事業タグなどを含む粒度レベルを定義された基本タグと、当該基本タグに付随する付随タグと、を含む。付随タグは、タグIDと、タグ名と、基本タグの少なくとも何れか1つ以上の関係するタグIDである関係タグIDと、を有する。なお、付随タグは、付随タグのタグIDを関係タグIDとして有する構成であってもよい。
【0107】
付随タグは、関係する基本タグに、付随データを付与する役割を担う。付随タグは、費用タグ、組織タグ、年度タグ、実績タグ、重点課題タグなどに分類される。費用タグは、例えば、事務事業に個別出費や特定財源など歳入および/または歳出に関する付随データを含む場合に付与される。組織タグは、例えば、基本タグにかかる政策、施策、事務事業などの執行組織に関する付随データを含む場合に付与される。執行組織は、ある組織内における部署や課などや、各地方自治体など組織自体を示すものであってよい。付随タグは、上述した分類に限定されず、基本タグの参照に有益な各種タグとして定義される。
【0108】
図12(b)は、
図12(a)に示すタグ情報の階層構造の一例を示す。タグ情報は、
図12(b)によると、政策タグAを第1の階層とし、政策タグAの子関係にあたる施策タグA、Bを第2の階層とし、施策タグAの子関係にあたる事務事業タグA、Bなどを第3の階層とし、事務事業タグAの子関係にあたる細事業タグA、Bなどを第4の階層とする階層構造を有する。ここで、細事業タグAは、付随タグA、Bと関連付けられ、付随データを付与される。また、付随タグAは、付随タグCと関連付けられ、更に詳細な付随データを付与されている。なお、付随タグは、政策タグ、施策タグ、事務事業タグ、細事業タグの何れに関連付けられていてもよい。
【0109】
本実施形態において、記憶部DBは、政策情報、施策情報、事務事業情報など、タグ情報の政策タグ、施策タグ、事務事業タグなどの階層に対応する情報を格納する。
事務事業情報は、
図4(a)に例示するように、事務事業IDと、事務事業の概要を含む事務事業基本情報と、タグ情報を特定するタグIDと、などを有する。事務事業の概要は、例えば、事務事業名、事業概要、執行年度、所属名、細節名などを含む。
施策情報は、施策IDをキーとして、施策の概要を含む施策基本情報と、タグ情報を特定するタグIDと、などを有する。施策の概要は、施策名、施策概要、執行年度、所属名、細節名などを含む。
政策情報は、政策IDをキーとして、政策の概要を含む政策基本情報と、タグ情報を特定するタグIDと、などを有する。政策の概要は、政策名、政策概要、執行年度、所属名、細節名などを含む。
政策情報、施策情報、事務事業情報は、それぞれのタグ情報により特定される政策タグ、施策タグ、事務事業タグの関係タグIDによって関連付けされる。なお、政策情報、施策情報、事務事業情報は、関連付けされたそれぞれの政策ID、施策ID、事務事業IDを紐付けて有してもよい。例えば、政策情報は、関連する施策IDを有し、施策情報は、関連する事務事業IDを有する態様とすることができる。
【0110】
施策情報は、関連付けられた1または複数の事務事業情報の予算情報に基づいて、施策に対する合計予算額、合計歳入額などを集計可能に構成される。政策情報は、関連付けられた1または複数の施策情報の合計予算額や合計歳入額に基づいて、更に政策に対する合計予算、合計歳入額などを集計可能に構成される。
【0111】
本実施例において、政策、施策、事務事業または、細事業などの概要に基づき、政策、施策、事務事業または細事業に関連するタグ情報が決定される。概要は、例えば、事務事業情報の事務事業名、事業概要、執行年度、所属名、細節名、などのテキストデータを含む。タグ処理部23は、政策、施策、事務事業または、細事業などに含まれる概要に基づき、タグ情報の分類結果を出力する。
【0112】
本実施例において、タグ処理部23は、政策、施策または、事務事業の概要に関するテキストデータを分類モデルに入力し、分類モデルより分類結果を出力として取得する。分類モデルは、記憶部DBに格納されている。分類モデルは、データセットにより機械学習されたモデルである。本実施例において、モデルは、ニューラルネットワーク、回帰モデル、決定木、k近傍法モデルなどを採用することができる。
【0113】
分類モデルの機械学習に用いられるデータセットは、以下の態様を含む。
一態様として、データセットは、政策、施策または、事務事業の概要に関するテキストデータと、政策タグ、施策タグ、事務事業タグまたは、細事業タグなどの少なくとも基本タグを含む分類結果と、を含む。なお、分類結果は、付随タグを含むものとしてもよい。
一態様として、データセットは、政策、施策または、事務事業の概要に関するテキストデータと、基本タグに対応する1または複数のキーワードを含む分類結果と、を含む。このとき、基本タグおよび対応するキーワードは、対応テーブルとして記憶部DBに格納されており、分類結果として出力されたキーワードに対応する基本タグを更に出力する構成とすることができる。なお、分類結果は、付随タグに対応する1または複数のキーワードを含むものとしてもよい。このとき、対応テーブルは、付随タグおよび対応するキーワードを有し、分類結果として出力されたキーワードに対応する付随タグを出力することができる。
【0114】
本実施例において、分類モデルは、複数の分類器を有する。分類器は、入力に対する分類結果を出力し、タグ情報のそれぞれの階層に少なくとも1つ以上設けられ、分類結果の出力を次の階層に設けられる分類器に受け渡す。
【0115】
図13は、本実施例における分類モデルMの構成例を示す。分類モデルMは、
図13によると、政策、施策または、事務事業の概要に関するテキストデータの入力を受け付け、政策タグの分類結果を出力する第1の分類器MA1と、第1の分類器MAの分類結果の入力を受け付け、施策タグの分類結果を出力する第2の分類器MB1、MB2と、第2の分類器MBの分類結果の入力を受け付け、事務事業タグの分類結果を出力する第3の分類器MC1、MC2と、を含む。なお、分類モデルMは、更に、第3の分類器MCの分類結果の入力を受け付け、細事業タグの分類結果を出力する第4の分類器を含んでもよく、階層数に応じた分類器の構成とすることができる。
【0116】
分類モデルMは、政策、施策または、事務事業の概要に関するテキストデータの入力を受け付け、付随タグの分類結果を出力する付随タグ分類器を備える構成であってもよい。なお、付随タグ分類器は、第1~第3の分類器による分類結果の入力を受け付け、付随タグの分類結果を出力する構成であってもよい。
【0117】
本実施例において、分類器は、それぞれ上述のデータセットを用いて機械学習されてもよい。
【0118】
それぞれの分類器は、分類結果として複数のタグ情報と、それらの尤度と、を出力する。尤度とは、分類結果として出力されるタグ情報であることの蓋然性がどの程度であるかを示す指標や推定値である。
【0119】
本実施例にかかる分類器は、尤度分布に閾値が設定されている。尤度分布とは、複数のタグ情報のそれぞれの尤度の分布であって、例えば、以下のパターンに分類される。
パターン1:特定のタグの尤度が、他のタグの尤度と比較して高い。
パターン2:それぞれのタグの尤度が、比較的均等である。
【0120】
パターン1は、特定のタグの尤度と、他のタグの尤度の差分に対して閾値を設けることで特定される。なお、特定のタグは、複数であってもよい。
パターン2は、複数のタグの尤度の差分に対して閾値を設けることで特定される。なお、パターン2では、所定のタグ数が設定され、当該タグ数のタグの尤度の差分に対して閾値を設ける態様であってもよい。
【0121】
分類器は、尤度分布に設定された閾値に基づき、少なくとも上述したパターンの何れであるかを特定し、分類結果を下位の分類器へと入力するか否かを決定する。例えば、分類器は、パターン1であれば、分類結果を下位の分類器へと入力し、パターン2であれば、分類結果を下位の分類器へと入力しない。分類モデルMは、パターン2の場合、最後に分類結果が入力された分類器に対応するタグ情報を含む分類結果を出力する。これによって、例えば、政策タグや施策タグなど上位の階層のタグ情報である蓋然性が高いタグを分類結果として出力することができる。
【0122】
図13を参照しながら、事務事業タグの分類結果を出力する流れを説明する。
第1の分類器MA1は、事務事業情報の事業概要のテキストデータの入力を受け付け、政策タグB1と尤度0.95を含む分類結果を分類器MB1に、政策タグB2と尤度0.05を含む分類結果を分類器MB2に出力する。
分類器MB1は、分類結果の入力を受け付け、施策タグC1と尤度0.75を含む分類結果を分類器MC1に、施策タグC2と尤度0.25を含む分類結果を分類器MC2に出力する。
分類器MC1は、分類結果の入力を受け付け、事務事業タグAと尤度0.88を含む分類結果と、事務事業タグBと尤度0.12を含む分類結果と、を出力する。
分類器MC2は、分類結果の入力を受け付け、事務事業タグCと尤度0.58を含む分類結果と、事務事業タグDと尤度0.42を含む分類結果と、を出力する。
ここで、分類器MC1、MC2は、例えば、尤度分布の閾値0.5が設定されており、分類器MC1は、尤度分布がパターン1であると特定し、事務事業タグAと事務事業タグBを分類結果として出力する。分類器MC2は、尤度分布がパターン2であると特定し、施策タグC2を分類結果として出力する。
分類モデルMは、分類結果として、事務事業タグA、事務事業タグB、施策タグC2および、それぞれの尤度を出力する。尤度は、通過した第1~第3の分類器のそれぞれより出力された尤度を演算することで導出される。尤度の演算は、例えば、乗算であり、事務事業タグAの尤度は、0.95*0.75*0.88=0.627、事務事業タグBの尤度は、0.95*0.75*0.12≒0.086、施策タグC2の尤度は、0.95*0.25≒0.238となる。
これら分類結果は、
図11(b)のタグ処理画面W6Bの分類結果表示部W64において、タグ名やスコアとして表示される。
【0123】
図11(b)のタグ処理画面W6Bの表示の実装例を説明する。分類結果表示部W64は、分類モデルMによる分類結果である尤度に基づき、尤度の高い順にタグ名を表示する。
一態様として、表示されるタグ名は、分類器MA1、分類器MB1、分類器MC1を経由して最終出力される事務事業タグAを含む場合、更に経由した分類器MA1に対応する政策タグB1、分類器MB1に対応する施策タグC1を含むことができる。
一態様として、表示されるタグ名は、分類器MA1、分類器MB1、分類器MC1を経由して最終出力される事務事業タグAを含む場合、最終出力である事務事業タグAのみとすることができる。事務事業タグAの尤度は、政策タグB1の尤度や施策タグC1の尤度より小さくなる場合であっても、上述の尤度分布がパターン1であれば、より下位の分類器により出力されるタグ名とする蓋然性が高いものとなる。これによって、タグ名の選定・決定をより効率化することができる。
【0124】
なお、分類モデルMは、付随タグについても同様の手順で、分類することができる。分類モデルMは、例えば、それぞれの分類器による分類結果を、付随タグの分類器に入力することで付随タグの分類結果を出力する。また、付随タグを分類するための異なる分類モデルを用いて付随タグの分類を行ってもよい。
【0125】
基本タグ、付随タグは、政策、施策、事務事業に一元的に定義されたタグとして付与されることで、それら情報の検索性、識別性、管理容易性などを向上させる趣旨で設けられる。
【0126】
検索処理部26は、利用者端末3を介してタグ情報の指定操作を受け付けると、当該タグ情報の粒度レベルを参照し、少なくとも当該粒度レベルのタグ情報と関連付けられた事務事業情報を取得する。また、検索処理部26は、タグ情報の指定操作を受け付けると、当該タグ情報の粒度レベルを参照し、当該粒度レベルのタグ情報および、当該粒度レベルの下位の階層に属するタグ情報に関連付けられた事務事業情報を取得する。
【0127】
また、具体的には、検索処理部26は、少なくとも基本タグの指定操作を受け付け、当該基本タグが共通し、組織タグが共通しないタグ情報と関連付けられた事務事業情報を含むように、事務事業情報を取得する。ここで、組織タグは、異なる地方自治体などの執行組織のタグを含み、検索処理部26は、異なる地方自治体の組織タグを付与された事務事業情報を含む情報を検索対象とすることができる。これによって、従来、地方自治体毎に呼称や分類などが統一されていなかった政策、施策、事務事業の情報が同様のタグ情報として管理され、他の地方自治体の情報の活用や協業を支援することができるようになる。
【0128】
<事務事業検索>
上述したように、事務事業情報は、事業グループ情報および/またはタグ情報を関連付けられることで、事務事業情報の検索性の向上に寄与する。検索処理部26は、利用者端末3を介して、事業グループ情報を特定するための分類条件や、タグ情報を特定するためのタグ名などを含む検索条件の入力操作を受け付け、当該検索条件に基づき対応する事務事業情報や事業グループ情報を検索処理し、その結果を利用者端末3に対して出力することができる。
【0129】
ここで、検索条件は、利用者端末3の所属する自治体の事務事業情報を対象としたもののみならず、利用者端末3の所属する自治体外の事務事業情報を対象としたものであってもよい。具体的には、検索処理部26は、組織タグが異なる事務事業情報であって、事業タグを含む検索条件が共通する事務事業情報を検索処理することで、他の自治体において参照したい事業分類の事務事業情報を取得することができる。従来、政策・施策・事務事業の分類の定義は、一律ではなく、自治体毎、部署毎、担当者毎などで任意に設定されていたが、事業グループやタグ情報などの統一された事務事業の定義にしたがって、事務事業情報が管理されることによって、自治体外における事務事業に関連する実績などの情報を取得することが容易となる。例えば、財政担当者や原課担当者、総務の管理者は、新規事業の運用にあたって、他の自治体の予算編成などを参照しながら、計画、編成、執行、評価を実施することができる。
【0130】
なお、事務事業情報は、少なくとも1つ以上のタグ情報と関連付けられることが好ましい。グループ登録部22は、事業グループ情報の分類条件(特に、事業分類)の設定において、タグ情報を用いてもよい。
【0131】
また、事務事業情報の検索機能は、地域住民の端末装置に対して提供されてもよい。これにより、透明性の高い事務事業情報の地域住民等への提供を支援することができる。
【0132】
以下、行政事業管理システム1の具体的な実施例を説明する。
【0133】
<計画段階>
計画段階において、原課担当者の利用者端末3は、計画書作成依頼に対して、計画情報を作成し、計画要求を行政事業管理装置2に対して送信する。行政事業管理装置2の更新部25は、計画要求を取得し、対象となる事務事業情報に関連付けられる計画段階の進捗ステータスを、要求前から要求済に更新する。更新部25は、管理者の利用者端末3を介して、提出された計画要求に対応する計画情報について、承認指示を取得すると、進捗ステータスを要求済から査定済に更新する。なお、更新部25は、計画情報について非承認指示を取得すると、進捗ステータスを要求済から要求前に更新する。進捗ステータスが査定済となることで、計画段階における進捗が完了となる。更新部25は、計画段階における進捗が完了すると、進捗ステータスを予算編成段階に自動更新してもよい。なお、行政事業管理装置2は、計画段階が査定済となると、財政担当者の利用者端末3に対して通知を送信する。財政担当者は、査定済の計画情報を参照しながら、予算法編成方針を決定する。
【0134】
行政事業管理装置2は、査定済の事務事業情報に対する優先順位の付与操作を、管理者の利用者端末3を介して受け付け、事務事業情報に関連付けて記憶部DBに格納してもよい。
【0135】
<予算編成>
予算編成段階において、原課担当者の利用者端末3は、財政担当者からの予算要求書作成依頼に対して、予算情報を作成し、予算要求を行政事業管理装置2に対して送信する。行政事業管理装置2の更新部25は、予算要求を取得し、対象となる事務事業情報に関連付けられる進捗ステータスを、要求前から要求済に更新する。更新部25は、財政担当者の利用者端末3を介して、提出された予算要求に対応する予算情報について、承認指示を取得すると、進捗ステータスを要求済から査定済に更新する。なお、更新部25は、予算情報について非承認指示を取得すると、進捗ステータスを要求済から要求前に更新する。進捗ステータスが査定済となることで、予算編成段階における進捗が完了となる。更新部25は、進捗ステータスを執行段階に自動更新してもよい。
【0136】
行政事業管理装置2は、予算要求に対する承認指示または非承認指示の操作を受け付ける際に、各事務事業情報に関連付けられた優先順位を、承認者(財政担当者、管理者)の利用者端末3に対して提供することができる。これによって、例えば、承認者は、優先順位を参照しながら、優先度の高い事務事業から順に査定することができる。
【0137】
<執行>
執行段階において、原課担当者の利用者端末3は、事務事業の執行に伴い、執行開始要求を行政事業管理装置2に対して送信する。更新部25は、執行開始要求を取得し、対象となる事務事業情報に関連付けられる進捗ステータスを、執行中に更新する。また、原課担当者の利用者端末3は、事務事業の執行に伴い、執行金額、執行実績などの執行情報記録要求を行政事業管理装置2に対して送信し、執行履歴として事務事業情報に関連付けて記憶部DBに格納してもよい。更新部25は、原課担当者の利用者端末3を介して事務事業の執行完了要求を取得するか、事務事業の執行期限を超過すると、進捗ステータスを執行済に更新する。進捗ステータスが執行済となることで、執行段階における進捗が完了となる。更新部25は、進捗ステータスを執行段階に自動更新してもよい。
【0138】
<行政評価>
評価段階において、原課担当者の利用者端末3は、執行済の事務事業情報に対する評価情報の登録要求を行政事業管理装置2に対して送信する。更新部25は、評価要求を取得し、対象となる事務事業情報に関連付けられる進捗ステータスを評価済に更新する。進捗ステータスが評価済となることで、対象の執行年度における進捗が全て完了となる。
【0139】
本実施形態において、執行段階または行政評価段階において、行政事業管理装置2は、事務事業情報における実績に関する入力を受け付けることができる。行政事業管理装置2は、定量評価項目に対応する定量評価実績について実績値として入力を受け付ける。行政事業管理装置2は、タスク評価項目に対応するタスク評価実績について、完了したタスクのステータスを完了に更新することで入力を受け付ける。
【0140】
<評価部>
本実施形態において、評価部24は、評価軸に応じて様々な対象の評価結果を出力することができる。評価軸は、評価対象を特定する軸を示す。評価部24は、特定の評価結果に関する要求を、利用者端末3を介して受け付けることで、要求された評価対象に対応する評価軸に基づく評価結果を利用者端末3に対して出力することができる。
【0141】
評価部24は、事業グループ情報に関連付けられた評価軸に基づき事務事業の評価結果を出力する。また、評価部24は、事業グループ情報に関連付けられた評価軸に基づき事業グループ単位の評価結果を出力する。
【0142】
本実施形態において、評価軸は、進捗状況と、経過状況と、達成状況と、分布状況と、などを有する。評価部24は、これらの評価軸に基づき、進捗状況、経過状況、達成状況、分布状況に関する評価結果を出力する。
【0143】
進捗状況の評価軸は、進捗ステータスの段階別の進捗状況の評価に用いられる。評価部24は、事業グループ情報に関連付けられる事務事業情報の進捗ステータスに基づき、事業グループにおける進捗状況に関する評価結果を出力する。具体的には、事業グループ情報に属する事務事業情報の総数と、所定の進捗ステータスを有する事務事業情報の数量と、に基づき、事業グループの全体に対する進捗ステータス別の割合や総数などを進捗状況に関する評価結果として出力する。なお、進捗状況は、計画段階、予算編成段階、執行段階、行政評価段階のそれぞれのカテゴリに応じた進捗ステータスに基づき評価結果が出力される。
【0144】
経過状況の評価軸は、予算情報の変動に関する経過状況の評価に用いられる。評価部24は、事業グループに属する事務事業の予算情報に基づき、年度別の予算総額および歳入総額を算出する。評価部24は、事業グループにおける予算総額および/または歳入総額の年度による経過状況を出力する。経過状況は、所定年度からの増減額、増減率、または、年度別の予算総額および/または歳入総額の推移を示すグラフなどにより示される。
【0145】
達成状況の評価軸は、定量評価項目およびタスク評価項目に設定された目標の達成状況の評価に用いられる。評価部24は、定量評価項目に設定されたKPIやKGIなどの目標値に対する定量評価実績として入力された実績値に基づき、事務事業情報の達成状況を評価する。ここで、個別の事務事業情報の達成状況は、実績値が目標値を超えたか、目標値に対する実績値の達成率などを示す。
【0146】
評価部24は、タスク評価項目に設定されたタスクに対するタスク評価実績として入力されたタスク完了にかかるステータスに基づき、事務事業情報の達成状況を評価する。ここで、個別の事務事業情報の達成状況は、タスクを完了したか、タスクをスケジュール内に完了したか、複数のタスクに関する達成率などを示す。評価部24は、通常タスクと重要タスクのそれぞれに対する達成状況を評価してもよい。
【0147】
評価部24は、事業グループ情報に関連付けられた個別の事務事業情報の達成状況に基づき、事業グループ全体における目標の達成状況を評価する。ここで、事業グループの達成状況は、事務事業の達成率の平均や、目標の総達成数や達成率、通常タスクと重点タスクのそれぞれの総達成数や達成率などを示す。
【0148】
達成状況は、目標の達成状況の推移を示すものであってもよい。このとき、達成状況は、例えば、所定年度からの目標の達成率の増減や達成数の増減の推移を示すグラフ形式、表形式、マップ形式として出力される。
【0149】
分布状況の評価軸は、タグ情報の分布状況の評価に用いられる。評価部24は、事業グループに属する事務事業に付与されたそれぞれのタグIDを集計する。評価部24は、集計したタグIDに基づき、それぞれのタグIDの数量を分布状況に関する評価結果として出力する。ここで、分布状況に関する評価結果は、タグIDごとの数量をグラフ形式などで出力してもよい。
【0150】
評価部24は、タグ情報の政策、施策、事務事業に関する粒度レベルに応じて、政策単位、施策単位、事務事業単位での評価結果を出力することができる。ここで、評価部24は、進捗状況、経過状況、達成状況、分布状況の評価軸を用いて評価結果を出力する。例えば、評価部24は、施策単位での進捗状況の比較や、施策単位での目標の達成状況の比較などを評価結果として出力できる。施策単位での進捗状況の評価の場合、当該施策に属する事務事業の進捗ステータスに基づき進捗状況の評価結果が出力される。
【0151】
評価部24は、政策単位、施策単位、細施策単位、事務事業単位または、事業グループ単位で、評価結果を比較可能に出力することができる。
【0152】
図14は、利用者端末3に表示される比較評価画面W7の画面表示例を示す。比較評価画面W7は、政策単位、施策単位、細施策単位、事務事業単位または、事業グループ単位などの評価結果を比較表示する。
【0153】
比較評価画面W7は、第1表示部W71と、第2表示部W72と、第3表示部W73と、第4表示部W74と、追加ボタンW75と、を備える。第1表示部W71~第4表示部W74は、利用者端末3を介して任意に設定された評価結果や事務事業などをそれぞれ表示する。追加ボタンW75は、押下されると、第5表示部として表示する内容、表示形式などの設定操作を受け付け、設定操作に基づく第5表示部を生成する。比較評価画面W7は、第1表示部W71~第4表示部W74の4つの表示部の表示例を示したが、表示部の数は制限されず、追加、編集、削除することができる。
【0154】
図14において、第1表示部W71は、それぞれの事業グループ単位のKGI評価結果を一覧表示する。ここで、事業グループに属する各事務事業のKPIの実績値の平均値または集計値が、事業グループ単位のKGIの実績値として算出され、KGI評価結果として表示される。第1表示部W71は、継続、廃止、予算増加、予算削減の対象となる事務事業または事業グループを選定する際に、利用者によって参照される。
図14において、第2表示部W72は、1または複数のお気に入りの事務事業の概要を表示する。
図14において、第3表示部W73は、予算編成段階の事務事業の数を、進捗ステータス別にグラフ形式で表示する。
図14において、第4表示部W74は、予算編成段階において、事業グループに属する一定以上の進捗ステータス(査定済など)を有する事務事業の割合を、事業グループ別の評価結果として一覧表示する。第4表示部W74は、割合に応じて事業グループをハイライトや色によって区別可能に表示可能である。第4表示部W74は、進捗ステータスが芳しくない事業グループを一見して把握することができるインターフェイスとして提供される。
【0155】
<重点課題>
本実施形態において、行政事業管理装置2は、利用者端末3を介して重点課題情報の登録指示を受け付け、記憶部DBに格納する。重点課題情報は、対象年度における重点課題を管理するための情報であって、重点課題IDと、重点課題名と、重点課題概要と、重点課題の解決するための政策、施策、細施策、事務事業などの重点事業と、重点事業にかかる執行等を担う組織と、などを含む。重点事業は、政策、施策、細施策、事務事業をそれぞれ複数設定されてもよい。
【0156】
重点課題情報は、重点事業として登録された事務事業の事務事業IDと関連付けられる。重点事業として登録された事務事業情報は、重点課題であることを示すタグ情報が付与される。重点課題情報は、重点事業に属する事務事業情報の予算情報に基づく重点課題予算総額と、重点課題歳入総額と、を有する。重点課題予算総額は、各事務事業の予算額の総額を示す。重点課題歳入総額は、各事務事業の一般財源の歳入額の総額を示す。重点課題情報は、予算枠額を設定する際に、重点予算に区分される財源を用いることができる。このように、一般事業と重点事業は、予算枠額の設定方法が区別され、それぞれに設定可能な財源を用いた予算編成を行うことができる。
【0157】
<マッチング機能>
事務事業は、行政で執行される場合と、行政が民間企業等に委託または協業を依頼し、依頼先で執行される場合と、がある。行政事業管理システム1は、事務事業の委託・協業に際して、行政および依頼先のマッチングを支援するプラットフォームを提供する。本実施形態において、依頼先は、民間企業や他の地方自治体等の行政機関が含まれる。
【0158】
行政事業管理システム1は、更に、依頼先端末4を備える。依頼先端末4は、民間企業等の担当者により操作される端末装置である。依頼先端末4は、利用者端末3と同様のハードウェア構成を備えるスマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末などを用いることができる。依頼先端末4は、通信ネットワークNWに接続され、行政事業管理装置2などとデータ通信可能に構成される。
【0159】
マッチング処理部27は、組織分類と、事業分類と、を含む事務事業の公募情報の入力操作を、利用者端末3を介して受け付け、記憶部DBに格納する。マッチング処理部27は、事務事業情報の選択操作を、利用者端末3を介して受け付け、事務事業情報に基づき生成されてもよい。マッチング処理部27は、組織分類と、事業分類と、を含む事務事業の応募情報の入力操作を、依頼先端末4を介して受け付け、記憶部DBに格納する。
【0160】
組織分類は、公募を行う地方自治体等の行政機関であることを示す公募組織と、応募を行う民間企業や行政機関であることを示す応募組織と、を区別するための分類を含む。事業分類は、公募する事務事業の分類、応募する民間企業が得意とする事務事業の分類、応募する行政機関が協業を希望する事務事業の分類などを区別するための分類を含む。事業分類は、タグ情報のタグ名などが用いられてもよい。
【0161】
マッチング処理部27は、公募情報に対する応募情報を許可する入力操作を、公募組織の利用者端末3を介して受け付けることで、公募情報および応募情報に対応する事務事業の委託または協業に関するマッチングを成立させる。また、マッチング処理部27は、応募情報に対する公募情報を許可する入力操作を、応募組織の依頼先端末4を介して受け付けることで、公募情報および応募情報に対応する事務事業の委託または協業に関するマッチングを成立させる。
【0162】
図15は、利用者端末3または依頼先端末4に表示されるマッチング画面W8の画面表示例を示す。
図15において、マッチング画面W8は、公募情報に基づく事務事業の公募一覧を表示している。マッチング画面W8は、分類切替部W81と、事業表示部W82と、を備える。分類切替部W81は、公募情報、応募情報、提案情報に関する選択操作を受け付け、事業表示部W82に一覧として表示する情報を切り替える。事業表示部W82A~82Cは、公募情報、応募情報または、提案情報に基づき対象となる事務事業の名称、組織分類、概要、公開終了日、事業分類および、マッチング状況をそれぞれ表示する。
図15において、事業表示部W82は、組織分類として公募を実施する地方自治体等の公募組織を表示する。また、事業分類は、対象となる事務事業情報に関連付けられるタグ情報に基づき表示される。マッチング状況は、対象の公募情報に対する応募情報の件数、公募情報に対する提案情報の件数などを示す。
【0163】
提案情報は、公募情報に対する応募情報を許可する入力操作を受け付けた場合、応募組織の依頼先端末4を介して入力操作を受け付けることで生成される情報であって、公募された事務事業に対する具体的な対応案などの提案概要を含む。マッチング処理部27は、公募組織の利用者端末3を介して、更に公募情報に対する提案情報を許可する入力操作を受け付けることで、正式な依頼として公募組織と応募組織の間のマッチングを成立させる。なお、公募情報に対する応募情報および提案情報は、上限数を設定され、マッチング処理部27は、上限数内でのマッチング処理のみを実行することができる。
【0164】
<行政事業管理装置:実装例2>
以下、行政事業管理装置2の実装例2について説明する。
図16は、本実施形態における行政事業管理装置2のブロック図を示す。なお、実装例1と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略する。
【0165】
政策、施策、細施策、事務事業、細事業のように行政にかかる事業等の体系が存在する。本実施形態において、これらをまとめて政策体系と定義する。すなわち、政策体系情報は、政策情報、施策情報、細施策情報、事務事業情報、細事業情報を含むものとする。以下の説明において、政策体系を使用する場合、上述した政策、施策などを区別しないものとする。これら政策体系は、上述した粒度レベルに対応するものである。
【0166】
事業登録部21は、政令に基づき制定された政策、施策、細施策、事務事業、細事業などに関する政策体系情報の登録を受け付け、記憶部DBに格納する。ここで、政策体系情報に含まれる政策情報、施策情報、細施策情報、事務事業情報、細事業情報は、実装例1と同様のデータ構成を有するものとする。以下の説明では簡略化のため、事務事業情報を例に説明するが、他の政策体系情報であってもよいものとする。
【0167】
行政事業管理装置2は、
図16によると、利用者端末3とデータ通信可能に接続される。また、行政事業管理装置2および記憶部DBは、データ通信可能に構成される。記憶部DBは、行政事業管理装置2の内部または外部に設けられる。実装例2では、行政事業管理装置2と、利用者端末3と、記憶部DBと、を少なくとも備える行政事業管理システム1が実装される。
【0168】
行政事業管理装置2は、機能構成として、事業登録部21と、行動履歴記録部28と、行動履歴取得部29と、行動状況出力部30と、を備える。事業登録部21は、利用者端末3を介して事務事業情報の登録指示を受け付け、記憶部DBに格納する。行動履歴記録部28は、利用者端末3を介して実行された行動履歴を取得し、記憶部DBに格納する。行動履歴取得部29は、利用者端末3を介して行動状況の出力に関する要求を受け付け、行動状況の出力に必要な行動履歴を記憶部DBより取得する。行動状況出力部30は、行動履歴取得部29により取得された行動履歴に基づき、行動状況を出力する。
【0169】
利用者端末3は、事務事業情報の登録指示を行政事業管理装置2に対して送信することで、事務事業情報を登録することができる。利用者端末3は、登録した事務事業情報に対して実行された行動に関する行動履歴を行政事業管理装置2に対して送信することで、行動履歴を記録することができる。利用者端末3は、行動状況の出力指示を行政事業管理装置2に対して送信し、事務事業情報に対する行動状況の出力結果を行政事業管理装置2より受信することができる。利用者端末3は、受信した出力結果を表示部に表示することで、利用者は事務事業に対する行動状況を把握することができる。
【0170】
利用者端末3は、政策体系情報の登録指示を行政事業管理装置2に送信し、政策体系情報を登録できる。利用者端末3は、政策体系情報に関連する行動に関する行動履歴を行政事業管理装置2に送信し、行動履歴を記録することができる。利用者端末3は、行動状況の出力指示を行政事業管理装置2に対して送信し、政策体系情報に関連する行動状況の出力結果を行政事業管理装置2より取得できる。利用者端末3は、取得した出力結果を表示部に表示することで、政策体系に関連する行動状況を把握することができる。
【0171】
本実施形態において、利用者端末3は、複数存在する。また、利用者端末3は、所有者の組織内の部署や役職によって異なる権限設定がされている。権限設定は、具体的には、原局原課担当、総務担当、財政担当などの部署別に設定される。また、権限設定は、具体的には、部長、課長、一般などの役職別に設定される。例えば、後述の承認行動など特定の行動は、部長や課長などの権限設定された利用者端末3による操作にのみ許可される。
【0172】
本実施形態において、行政事業管理システム1は、政策体系に関連する行動履歴の管理及び、政策体系に関連する行動状況の出力を実現する。ここで、政策体系に関連する行動は、行政業務における答弁及び、課題提起を含む。答弁とは、所定の議会や定例会などにおける答弁であって、質疑応答などを行う行政業務を指す。課題提起は、答弁や事業の執行などの行政業務を通じて発見される課題を提起する行政業務を指す。
【0173】
政策体系情報に関連する行動履歴は、政策体系情報に関連付けられた行動履歴又は、政策体系情報に関連する行動(答弁や課題提起など)に関連付けられた行動履歴を含む。政策体系に関連する行動状況は、政策、施策、事務事業に対する行動状況又は、政策、施策、事務事業に関連する行動(答弁や課題提起など)に関連付けられた行動状況を含む。すなわち、行動履歴は、答弁情報、重点課題情報に関連付けられた行動履歴を含み、行動状況は、答弁、課題提起に対する行動状況を含む。
【0174】
本実施形態において、行政事業管理装置2は、利用者端末3を介して答弁情報、重点課題情報の登録指示を受け付け、答弁情報、重点課題情報を記憶部DBに格納する。
【0175】
一態様として、答弁情報は、答弁IDと、答弁名と、質問概要と、答弁概要と、を少なくとも含む。行政事業管理装置2は、答弁情報に基づいて、当該答弁で提起された重点課題に関する重点課題情報を生成し、登録することができる。生成された重点課題情報は、答弁情報に関連付けて登録される。答弁情報は、質問概要が登録されることで生成され、当該質問概要に対する回答として答弁概要を更に登録することができる。
【0176】
一態様として、重点課題情報は、重点課題IDと、重点課題名と、重点課題概要と、を少なくとも含む。事業登録部21は、重点課題情報に基づいて、当該重点課題を解決するための政策、施策、細施策、事務事業に関する情報を生成し、登録することができる。生成された事務事業情報などは、重点課題情報に関連付けて登録される。
【0177】
<行動履歴のデータ構成>
本実施形態において、記憶部DBは、行動履歴に関する情報を記憶する行動履歴記憶部を有する。
図17は、行動履歴に関する情報のデータ構成例を示す。
【0178】
行動履歴は、
図17(a)に示すように、事務事業IDに行動履歴IDが関連付けて記憶されている。行動履歴は、事務事業IDと、行動履歴IDと、行動した利用者を識別するための行動者IDと、行動履歴の種別と、を有する。本実施形態において、行動履歴の種別は、指摘行動、コメント行動、承認行動、執行行動、予算編成行動などを有する。なお、行動履歴の種別は、事務事業に対する行動に関する者であれば、これらに限定されない。
【0179】
本実施形態において、指摘行動、コメント行動および、承認行動は、
図17(b)に示すように、利用者端末3を介して投稿されるチャット形式などによる投稿データを有する。指摘行動、コメント行動および、承認行動は、行動履歴IDと、行動者IDと、行動履歴の種別と、指摘要素と、投稿データと、投稿日時と、などを有する。投稿データは、テキストデータや添付ファイルなど、行動者の任意入力により生成される。
【0180】
指摘要素は、事務事業または、事務事業に対するある利用者(行動者)の行動に対して不明点や修正点などを指摘するものである。指摘行動は、指摘要素に加えて、回答や修正などの対応期限と、回答や修正などの対応を行う対応担当者と、などを更に含んでもよい。指摘行動は、事務事業に対する行動状況として出力される際に、起点となる行動履歴である。
【0181】
コメント行動は、事務事業または、事務事業に対するある利用者の行動に対してコメントするものである。コメント行動は、指摘行動や他のコメント行動に関連付け可能であり、一連の関連するコメントがスレッド形式で表示される。コメント行動は、事務事業に対する行動状況として出力される際に、起点および/または終点となる行動履歴である。
【0182】
承認行動は、事務事業または、事務事業に対するある利用者の行動に対して承認するものである。承認行動は、例えば、事務事業情報の計画情報に対する承認、予算情報に対する承認、評価情報に対する承認などにより生成される。承認行動は、組織において承認権限を有する所定の利用者端末3に対して許可される承認操作によって実行可能に制御されている。承認行動は、指摘行動やコメント行動に関連付け可能であって、指摘に対する対応やコメントで提起された議案などへの承認を行うことができてもよい。また、承認行動は、後述の予算編成行動に関連付け可能であって、予算編成・予算補正に対する承認に関するものを含んでもよい。承認行動は、事務事業に対する行動状況として出力される際に、終点となる行動履歴である。
【0183】
執行行動は、
図17(c)に示すように、行動履歴IDと、行動者IDと、行動履歴の種別と、執行に関する報告名と、報告内容と、報告日と、などを有する。執行行動は、事務事業の執行段階において、利用者端末3を介して、その執行の状況を適時入力されることで生成される。
【0184】
予算編成行動は、利用者端末3を介して、予算を編成する予算編成指示、または、予算を補正する予算補正指示を受け付けることで生成される。予算編成指示に伴う予算編成行動は、重点事務事業に対する重点予算と、一般事務事業に対する一般予算と、を区別可能に生成される。予算補正指示に伴う予算編成行動は、事務事業の執行段階において、執行上の問題が生じた際に、予算補正の判断に関する行動履歴として生成される。
【0185】
予算補正指示に伴う予算編成行動は、
図17(d)に示すように、行動履歴IDと、行動者IDと、行動履歴の種別と、予算補正の判断に関する報告名と、報告内容と、報告日と、当該判断に至った関連する行動履歴を識別する関連行動IDと、重点的な対策の必要性を示す重点フラグと、補正予算の種別と、要因と、などを有する。関連行動IDは、例えば、執行行動の行動履歴IDなど予算補正の判断に関連する行動履歴が参照される。補正予算の種別は、補正予算なし、または、補正予算有の場合、その時期(5月補正予算、6月補正予算など)を示す。要因は、執行上の問題が、外的要因か、内的要因か、など要因の種別を示す。
【0186】
本実施形態において、事務事業情報は、一般事務事業か重点事務事業の事業種別に少なくとも分類される。重点事務事業は、行政における重点課題の解決に向けて計画された事務事業であり、一般予算と別途重点予算を配分される。また、重点事務事業は、重点予算に限らず、一般事務事業より優先して予算配分がされる。
【0187】
図17(e)は、重点事務事業と一般事務事業の行動履歴のデータ構成例を示す。重点事務事業と一般事務事業は、それぞれ事業種別によって区別され、重点事務事業の所定の行動履歴に基づき、一般事務事業の所定の行動が制御される。
【0188】
本実施形態において、行動履歴の種別は、答弁行動を有する。答弁行動は、行動履歴IDと、行動者IDと、行動履歴の種別と、答弁概要と、答弁日と、などを有する。答弁行動は、利用者端末3を介して、答弁を行うことでその状況を適時入力されることで生成される。答弁行動は、答弁IDに答弁行動の行動履歴IDが関連付けて記憶されている。
【0189】
本実施形態において、行動履歴の種別は、提起行動を有する。提起行動は、答弁または執行の要因に基づく課題の提起と、課題に基づく事務事業などを含む政策体系の提起と、を含む。
【0190】
本実施形態において、行動履歴の種別は、課題提起行動を有する。課題提起行動は、行動履歴IDと、行動者IDと、行動履歴の種別と、課題内容と、提起日と、提起された重点課題の重点課題IDと、などを有する。課題提起行動は、更に、課題提起に至った課題要因を含むことができる。課題要因は、答弁要因と執行要因などを含む。答弁要因は、答弁を通じて発見された課題に付され、当該答弁を識別する答弁ID又は答弁行動の行動履歴IDによって要因が特定される。執行要因は、執行を通じて発見された課題に付され、当該執行の対象の事務事業情報を識別する事務事業ID又は執行行動の行動履歴IDによって要因が特定される。執行要因は、重点フラグを有する執行行動によって要因が特定されてもよい。
【0191】
本実施形態において、行動履歴の種別は、政策体系提起行動を有する。政策体系提起行動は、行動履歴IDと、行動者IDと、行動履歴の種別と、政策体系の概要と、提起日と、提起された政策体系のID(事務事業IDなど)と、などを有する。政策体系提起行動は、更に、政策体系の提起に至った対象課題を含むことができる。対象課題は、重点課題IDにより特定される重点課題などが含まれる。
【0192】
上述したように、事務事業情報などの政策体系情報は、当該事務事業などの提起の元となった重点課題情報に関連付けられ、重点課題情報は、当該重点課題の元となった答弁情報や事務事業情報などに関連付けられる。これによって、事務事業などが提起されるに至った一連の経緯を管理・把握することができる。
【0193】
本実施形態において、行動履歴は、事務事業情報に関連付けられ、当該事務事業情報の属する事業グループ情報に更に関連付けられる構成であってもよい。また、行動履歴は、事業グループ情報に関連付けられる構成であってもよい。以下の説明では、前者を例に説明するが、本態様に限定されるものではなく、後者の態様が採用されてもよい。
【0194】
<システムの処理シーケンス>
図18は、行政事業管理装置2、利用者端末3、記憶部DBの間で行われる処理シーケンスを例示する。
【0195】
まず、利用者端末3は、利用者により操作入力された事務事業情報を行政事業管理装置2に送信する(S31)。行政事業管理装置2は、受信した事務事業情報を記憶部DBに格納する(S32)。利用者端末3は、利用者により実行された事務事業に対する行動履歴を行政事業管理装置2に対して送信する(S33)。行政事業管理装置2は、受信した行動履歴を記憶部DBに格納する(S34)。利用者端末3は、事務事業に対する行動状況の出力に関する行動状況要求を行政事業管理装置2に対して送信する(S35)。行政事業管理装置2は、行動状況要求に応じて行動状況の出力に必要な行動履歴を取得するための行動履歴要求を記憶部DBに対して出力する(S36)。記憶部DBは、要求された行動履歴を行政事業管理装置2に受け渡す(S37)。行政事業管理装置2は、取得した行動履歴に基づき、事務事業に対する行動状況を利用者端末3に対して出力する(S38)。
【0196】
S31、S32で、事務事業情報は、答弁情報、重点課題情報であってよい。S33、S34で、行動履歴は、政策体系情報に関連する行動履歴であってよい。S35で、行動状況要求は、政策体系に関連する行動状況の出力に関する要求であってよい。S37で、出力される行動状況は、政策体系に関連する行動状況であってよい。
【0197】
<装置の処理フローチャート>
図19は、行政事業管理装置2による行動履歴および、行動履歴に基づく行動状況に関する処理フローチャートを例示する。なお、
図19の以下の説明では、事務事業に対する行動履歴、事務事業に対する行動状況の処理に限定されない。
【0198】
ステップS41:事業登録部21は、利用者端末3を介して操作入力された事務事業情報の登録要求を受け付け、記憶部DBに格納する。
【0199】
ステップS42:行動履歴記録部28は、利用者端末3を介して操作入力された事務事業情報に対する行動履歴を取得し、事務事業情報に関連付けて記憶部DBに格納する。
【0200】
ステップS43:行動履歴取得部29は、利用者端末3を介して操作入力された事務事業に対する行動状況の出力に関する行動状況要求を受け付ける。
【0201】
ステップS44:行動履歴取得部29は、行動状況要求により要求された行動状況の出力に必要な行動履歴を取得するための行動履歴要求を記憶部DBに対して出力する。
【0202】
ステップS45:行動履歴取得部29は、行動履歴要求により行動履歴を記憶部DBより取得する。
【0203】
ステップS46:行動状況出力部30は、取得した行動履歴に基づき、事務事業に対する行動状況を出力する。
【0204】
<画面表示>
図20(a)は、事務事業に対する指摘行動に関する指摘行動一覧W200の画面表示例を示す。指摘行動一覧W200は、利用者端末3の表示部905に表示される。指摘行動一覧W200は、図示例では、
図7、
図8の事業表示部W44のメニューとして表示される。
【0205】
指摘行動一覧W200は、事務事業に対する指摘行動W201A、W201Bを一覧表示する。一覧表示される指摘行動は、対応期限、緊急度、ステータス、作成日時などによりソート可能であって、また、事務事業情報のキーワード、分類、タグなどにより検索可能である。追加ボタンW202は、利用者により押下されることで、
図20(b)に例示する指摘行動登録画面W210へと遷移させる。指摘行動W201は、コメントによる投稿データの入力を受け付けることで、コメント行動を関連付けすることができる。
【0206】
指摘行動登録画面W210は、指摘行動入力部W211と、登録ボタンW212と、などを備える。指摘行動入力部W211は、利用者端末3を介して事務事業に対する指摘行動の登録操作を受け付ける。指摘行動は、指摘要素のタイトルと、指摘要素と、対応担当者と、対応期限と、コメントによる投稿データと、などを含む。指摘要素は、指摘対象とする事務事業を選択し、更に、当該事務事業における指摘対象とする要素を選択することで入力される。登録ボタンW212は、押下されることで、指摘行動に関する行動履歴を行政事業管理装置2に送信する。
【0207】
図21(a)~(c)は、指摘行動、コメント行動、承認行動のチャット形式の投稿の表示例をそれぞれ示す。
図21(d)、(e)は、チャット形式により行動履歴を表示するチャット画面W330、W340の画面表示例を示す。
【0208】
指摘行動の投稿W300は、行動者のアイコン、氏名、所属などを含む行動者情報と、投稿日時と、指摘行動と、を表示する。投稿W300は、返信としてのコメント行動等を受け付け可能である。
【0209】
コメント行動の投稿W310は、行動者のアイコン、氏名、所属などを含む行動者情報と、投稿日時と、コメント行動と、を表示する。投稿W310は、返信としてのコメント行動や、コメントに基づく承認行動を受け付け可能である。
【0210】
承認行動の投稿W320は、行動者のアイコン、氏名、所属などを含む行動者情報と、投稿日時と、承認行動と、を表示する。投稿W320は、承認者の役職(財政課長、財政部長など)や承認の段階(1次承認、2次承認など)など、どのような承認であるかを示す表示が含まれる。本実施形態では、承認行動の投稿W320は、他の投稿と一見して区別可能とするため、異なる色やレイアウトのデザイン表示としている。なお、承認行動の投稿は、コメントなどの投稿データを含むものとしてもよい。
【0211】
チャット画面W330は、財政課の担当者(AAA)によるコメント行動の投稿W331、財政課の課長(BBB)によるコメント行動の投稿W332、財政課の課長(BBB)による承認行動の投稿W333を含む表示例である。チャット画面W330では、財政課の担当者と課長がコメントにより予算編成書の確認のやり取りを行い、課長が承認する流れをチャット形式で表示している。
【0212】
チャット画面W340は、財政課の課長(BBB)による指摘行動の投稿W341、財政課の担当者(AAA)によるコメント行動の投稿W342、財政課の課長(BBB)による第1の承認行動の投稿W343、財政課の部長(CCC)による第2の承認行動の投稿W344を含む表示例である。なお、投稿W342は、「12件の返信」とあるように、複数の利用者によるコメント行動の投稿が関連付けられている。チャット画面W340では、財政課の課長による指摘を受けた財政課の担当者がコメントにより複数の利用者の間でやり取りを行い、その結果を受けた財政課の課長および部長がそれぞれ2段階承認する流れをチャット形式で表示している。
【0213】
なお、チャット画面W330、W340では、コメント行動および/または指摘行動に関連付けて承認行動を投稿する態様を例示したが、事務事業情報の計画情報、予算情報、評価情報などに関連付けて承認行動を投稿することで、コメント行動、指摘行動は省略可能なものとする。
【0214】
図22は、行動履歴に基づき出力される時系列チャートを表示するチャート画面W400の画面表示例である。
【0215】
チャート画面W400は、指摘行動、コメント行動、承認行動の中から選択される少なくとも1つ以上を含む行動履歴と、当該行動履歴を行った行動者を示す情報と、に基づき、行動者のアイコンを時系列チャートW410で示す行動状況を表示する。行動者を示す情報は、行動者IDなどであり、行動者IDにより特定される行動者情報により氏名やアイコンなどが参照される。
【0216】
時系列チャートは、行動アイコンW421~W427(以下、まとめて行動アイコンW420とする)と、行動者アイコンW431~W438(以下、まとめて行動者アイコンW430とする)と、を有する。時系列チャートW410は、上から下へと時系列順に行動アイコンW420および行動者アイコンW430を配置している。なお、時系列チャートW410における各アイコンの並び順は、行動履歴の投稿日時など行動の日時を示す情報に基づき処理される。
【0217】
行動アイコンW420は、事務事業に対する行動履歴の種別に応じて異なるアイコンが設定される。行動アイコンW421、W425は、事務事業情報または事務事業情報に関連付けられた情報(予算情報など)の登録、変更、削除などの更新行動を示す。行動アイコンW422、W424は、事務事業情報に対するコメント行動を示す。行動アイコンW426、W427は、事務事業情報に対する承認行動を示す。行動アイコンW423、W428は、事務事業に対する指摘行動を示す。
【0218】
コメントに関する行動アイコンW422は、コメント行動に基づき生成される。生成された行動アイコンW422は、当該コメント行動の行動者を示す行動者アイコンW431を生成し、コメント行動を起点としてチャートを分岐させる。行動アイコンW422のコメント行動に関連する一連のコメント行動は、チャット形式におけるスレッドに対応する。スレッドは、コメントに返信することで生成される。
【0219】
本実施形態において、スレッドは、コメントに関する行動アイコンW422より分岐する大スレッドと、大スレッド内の行動者のコメント行動より分岐する小スレッドと、などに分類される。なお、スレッドは、スレッド内のコメント行動に応じて更に分岐してもよい。行動者アイコンW431~W435は、それぞれある行動者のコメント行動により生成された小スレッドを示す。行動者アイコンW430は、小スレッド内のコメント数を並列表示している。
【0220】
行動アイコンW422を起点として分岐したチャートは、行動者アイコンW435の行動者の行動を終点として元のチャートに合流する。終点は、当該行動者による完了指示や、承認行動などの行動により決定される。また、終点は、所定期間の経過する場合、所定期間のコメント行動が記録されない場合、自動で決定されてもよい。
【0221】
指摘行動に関する行動アイコンW423は、指摘行動に基づき生成される。生成された行動アイコンW423は、当該指摘行動の行動者を示す行動者アイコンW436を生成し、指摘行動を起点としてチャートを分岐させる。指摘行動を起点として分岐したチャートは、コメント行動を起点として分岐したチャートと同様、コメント行動を行った行動者の行動者アイコンW437などを表示する。行動アイコンW424を起点として分岐したチャートは、行動者アイコンW435の行動を終点として元のチャートに合流する。ここで、終点は、当該行動者による指摘行動に対する対応に関する承認行動であることが好ましい。なお、終点は、承認行動があった後の行動者による完了指示により決定されてよい。
【0222】
承認行動に関する行動アイコンW426、W427は、承認行動に基づき生成される。ここで、行動アイコンW426、W427は、事務事業情報に関連付けられた予算情報に対する承認など、所定の承認行動に基づき生成されるものとしてもよい。
図22では、時系列チャートW410は、例えば、予算情報に対する承認までに至る一連の事務事業に対する行動状況の流れを示すものであって、行動アイコンW421で予算情報の登録に関する更新行動が発生し、行動アイコンW423で予算情報に対する指摘行動が発生し、当該指摘行動に対する対応に関する承認行動が発生し、当該承認行動に応じて予算情報の更新行動が発生し、行動アイコンW426、W427で予算情報に対する承認行動が発生したことを一見して把握するために用いられる。
【0223】
図23は、執行段階における事務事業の管理に用いられる執行管理画面W500の画面表示例を示す。執行管理画面W500は、タスク評価項目設定部W510と、執行観察報告登録部W520と、執行状況判断報告登録部W530と、イノベーション報告登録部W540と、依頼ボタンW550と、などを備える。
【0224】
執行管理画面W500は、執行行動、予算補正に関する予算編成行動の管理に用いられる。本実施形態において、執行行動は、タスクの達成、執行観察報告の登録、イノベーション報告の登録などにより記録される。
【0225】
タスク評価項目設定部W510は、事務事業におけるタスク評価項目の設定登録を受け付ける。タスク評価項目は、タスク種別、タスク名、タスク内容、タスクの達成期日、達成報告日、重要タスクに設定可能な重要フラグ、などを有する。達成報告日は、行政事業管理装置2がタスクの達成による執行行動を取得することで、その日時が自動入力され、執行状況として表示される。
【0226】
執行観察報告登録部W520は、事務事業に対する執行行動を示す執行観察報告の登録を受け付ける。執行観察報告は、執行行動の報告名と、報告内容と、報告日と、などを有する。執行観察報告は、事務事業に対して執行した内容を執行行動として適時に記録するものである。
【0227】
執行状況判断報告登録部W530は、事務事業に対する予算編成行動に関する執行状況判断報告の登録を受け付ける。執行状況判断報告は、執行観察報告により報告された執行行動に関連し、その経過により執行上の問題などが生じた際に、予算補正の判断結果を報告するものである。執行状況判断報告は、予算補正に関する予算補正行動に対応し、予算補正の判断に関する報告名と、報告内容と、報告日と、当該判断に至った関連する執行観察報告と、重点的な対策の必要性を示す重点フラグと、補正予算の種別と、要因と、などを有する。ここで、重点フラグが付されることで、重点課題情報が生成されてもよい。
【0228】
イノベーション報告登録部W540は、事務事業に対する特殊な執行行動に関するイノベーション報告の登録を受け付ける。イノベーション報告は、報告タイトルと、課題意義と、対応内容と、成果内容と、報告日と、重点的な評価候補であるかを示す候補フラグと、を有する。なお、イノベーション報告は、事務事業に関連しない担当者の組織や行政活動に対する執行行動に関する報告を含んでもよい。
【0229】
依頼ボタンW550は、押下されることで、タスク評価項目設定部W510と、執行観察報告登録部W520と、執行状況判断報告登録部W530と、イノベーション報告登録部W540と、で入力された情報を行政事業管理装置2に送信する。行動状況出力部30は、受信した情報に基づき、執行管理者の所有する利用者端末3に対する通知として出力する。特に、行動状況出力部30は、執行行動と、執行行動と関連付けられた予算補正指示に関する予算編成行動と、に基づき執行状況を生成し、執行管理者に対して事務事業に補正予算が必要であることを示す執行状況に関する通知を出力することができる。
【0230】
<行動状況>
行動状況出力部30は、行動状況の出力要求に応じて、行動状況を出力する。
【0231】
行動状況出力部30は、指摘状況の出力要求に応じて、
図20(a)に例示する指摘行動一覧W200を指摘状況として出力する。また、行動状況出力部30は、指摘状況の出力要求に応じて、
図21(a)に例示する指摘行動の投稿W300を指摘状況として出力する。
【0232】
行動状況出力部30は、コメント状況の出力要求に応じて、
図21(b)に例示するコメント行動の投稿W310をコメント状況として出力する。
【0233】
行動状況出力部30は、承認状況の出力要求に応じて、
図21(c)に例示する承認行動の投稿W320を承認状況として出力する。また、行動状況出力部30は、承認状況の出力要求に応じて、複数の事務事業が属する事業グループにおける事務事業の承認件数または承認達成率を含む承認状況を出力する。また、承認状況は、一つの事務事業が複数の承認行動を必要とする場合、どの段階までの承認行動が実行されたかを示すものとして出力されてもよい。
【0234】
行動状況出力部30は、事務事業に対する行動状況を確認するためのチャット画面の出力要求に応じて、
図21(d)、(e)に例示するチャット画面W330,W340を出力する。チャット画面は、前述の通り、指摘行動、コメント行動、承認行動の少なくとも1つ以上の投稿データに基づき指摘状況、コメント状況、承認状況をチャット形式で出力する。
【0235】
行動状況出力部30は、事務事業に対する行動状況を確認するためのチャート画面の出力要求に応じて、
図22に例示するチャート画面W400を出力する。チャート画面W400は、前述の通り、指摘行動、コメント行動、承認行動の少なくとも何れか1つ以上を含む行動履歴に基づき指摘状況、コメント状況、承認状況の少なくとも何れか1つ以上を含む行動状況をチャート形式で出力する。
【0236】
行動状況出力部30は、執行状況の出力要求に応じて、
図23に例示する執行行動に関する登録情報を執行状況として出力する。また、行動状況出力部30は、予算補正指示に関する予算編成行動の登録に応じて、執行状況および/または予算編成状況を生成し、執行管理者に対して通知として出力する。行動状況出力部30は、好ましくは、執行状況と、執行行動に関連して生じた予算編成行動に基づく予算編成状況と、を併せて出力する。
【0237】
行動状況出力部30は、重点事務事業に対する行動履歴と、一般事務事業に対する行動履歴と、のそれぞれに基づき、重点事務事業および一般事務事業のそれぞれの行動状況を出力する。特に、重点事務事業の行動履歴は、重点事務事業に対する重点予算を編成する予算編成行動と、重点予算を承認する承認行動と、を含む。また、一般事務事業の行動履歴は、一般事務事業に対する一般予算を編成する予算編成行動と、一般予算を承認する承認行動と、を含む。
【0238】
行動状況出力部30は、答弁状況の出力要求に応じて、答弁行動に基づく出力を生成する。行動状況出力部30は、提起状況の出力要求に応じて、課題提起行動及び/又は政策体系提起行動を含む提起行動に基づく出力を生成する。これらの出力は、答弁、課題提起、政策体系提起の数などの期間別の集計結果であってよい。また、提起状況の出力要求は、対象の課題や対象の政策体系情報の指定とともに要求されてよく、当該課題の要因の答弁または執行、当該政策体系の成立の要因の課題など、課題や事務事業の成立に関連する一連の行政業務の経緯を提起状況として出力することができる。
【0239】
また、行動状況出力部30は、政策体系に関連する行動状況の出力要求に応じて、当該政策体系に関連する行動状況を出力する。行動状況出力部30は、例えば、事務事業に関連する行動状況の出力要求に応じて、対象の事務事業に関連する重点課題、当該重点課題の要因となった答弁などを一覧表示することができる。
【0240】
重点事務事業は、重点予算に加えて、一般予算を優先的に配分される。そのため、一般事務事業は、重点事務事業に優先的に配分された一般予算を差し引いた残りの一般予算を配分されることになる。行動履歴記録部28は、重点事務事業に対する予算編成行動および承認行動を取得することで、重点予算を予算情報に反映させる。行動状況出力部30は、重点事務事業に対する予算編成行動および承認行動を取得することで、予算情報が更新されると、一般事務事業に対する予算編成行動および承認行動を取得するための通知を生成し、一般事務事業の担当者の利用者端末3に対して送信する。行動履歴記録部28は、重点事務事業に対する予算編成行動および承認行動を取得することで、一般事務事業に対する予算編成行動および承認行動を取得することを許可する。これによって、重点事務事業に対する一般予算の配分後、一般事務事業に対する一般予算の配分を行う行政業務の好適な支援を実現することができる。
【符号の説明】
【0241】
1 行政事業管理システム
2 行政事業管理装置
21 事業登録部
22 グループ登録部
23 タグ処理部
24 評価部
25 更新部
26 検索処理部
27 マッチング処理部
28 行動履歴記録部
29 行動履歴取得部
30 行動状況出力部
3 利用者端末
4 依頼先端末
DB 記憶部