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特開2024-149483ジョー及び/又は電極、及び電気手術用増幅器を持つ電気手術器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149483
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ジョー及び/又は電極、及び電気手術用増幅器を持つ電気手術器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024102585
(22)【出願日】2024-06-26
(62)【分割の表示】P 2022142076の分割
【原出願日】2011-10-03
(31)【優先権主張番号】61/389,012
(32)【優先日】2010-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503000978
【氏名又は名称】アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ブルスタッド ジョン アール
(72)【発明者】
【氏名】ファルケンシュタイン ゾラン
(72)【発明者】
【氏名】リンヴィル-エングラー ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ウィクシー マシュー エイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン ゲイリー エム
(72)【発明者】
【氏名】エリオット パトリック
(57)【要約】
【課題】ジョー及び/又は電極、及び電気手術用増幅器を持つ電気手術器具を提供する。
【解決手段】電気手術器具は、一つ又はそれ以上の電極と接触した組織を電気的に変異するのに使用される電極形態(103a、103b、105b)を持つジョー(102、104)を含む。器具は、器具と電気手術ユニットのソケットとの間を延びる電気手術コネクタを介して電気手術ユニットに取り外し自在に連結できる。電気手術器具は、ジョーの電極への電気接続部を破壊することなく、回転できる。電極の一つ又はそれ以上が引き込み式である。電気手術ユニット及び器具は、組織の確認及び組織の変異の監視に基づいて、高周波エネルギを適用することによって組織を最適にシール及び/又は切断する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気手術器具において、
第1ジョーと、
前記第1ジョーとの間に組織を捕捉するため、前記第1ジョーに連結された、前記第1ジョーと向き合った第2ジョーと、
前記第1ジョーに接続され、前記第1ジョー内の第1位置から前記ジョーの外側の第2位置まで延ばすことができ、前記第1又は第2のジョーに位置決めされた定置電極に電気的に接続された第1電極とを含む、電気手術器具。
【請求項2】
請求項1に記載の器具において、
前記第1電極は曲線をなしている、器具。
【請求項3】
請求項1に記載の器具において、
前記第1電極は尖っていない、器具。
【請求項4】
請求項1に記載の器具において、
前記第1電極は先が尖っている、器具。
【請求項5】
電気手術ユニットにおいて、
組織を凝固し切断するため、RFエネルギを供給するように形成された高周波(RF)増幅器を含み、前記RF増幅器は、組織を切断するためにRFエネルギを供給する前に、組織を完全に凝固するには不十分なRFエネルギを組織に供給する、電気手術ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の電気手術ユニットにおいて、
前記RF増幅器は、確認された位相値が第1の所定の位相値と等しいか或いはこれを越えるまで、前記第1電極と前記第2電極との間にRFエネルギを供給するように構成されており、前記第1の所定の位相値は、組織を凝固することが確認された第2の所定の位相値よりも小さい、電気手術ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の電気手術ユニットにおいて、
前記RF増幅器は、前記第1及び第2の電極間に配置された組織を切断するため、前記第1及び第2の電極間にRFを供給するように構成されている、電気手術ユニット。
【請求項8】
請求項5に記載の電気手術ユニットにおいて、
前記RF増幅器は、前記第1及び第2の電極間に配置された組織を予備切断するため、前記第1電極と前記第2電極との間にRFエネルギを供給するように構成されている、電気手術ユニット。
【請求項9】
請求項8に記載の電気手術ユニットにおいて、
前記RF増幅器は、前記第1及び第3の電極間に配置された組織を切断するため、前記第1電極と第3電極との間にRFエネルギを供給するように構成されている、電気手術ユニット。
【請求項10】
請求項6に記載の電気手術ユニットにおいて、
前記第1の所定の位相値は、前記第1及び第2のジョーの電極間の間隔に基づく、電気手術ユニット。
【請求項11】
請求項6に記載の電気手術ユニットにおいて、
供給されたRFエネルギは、前記第1の所定の位相値に基づく第1量である、電気手術ユニット。
【請求項12】
電気手術器具において、
第1ジョーと、
前記第1ジョーとの間に組織を捕捉するため、前記第1ジョーに連結された、前記第1ジョーと向き合った第2ジョーと、
前記第1ジョーに配置された第1電極と、
前記第1ジョーに配置された第2電極と、
前記第1ジョーに配置された第3電極と、
前記第1ジョーに配置された第4電極と、
前記第2ジョーに配置された第5電極とを含む、電気手術器具。
【請求項13】
請求項12に記載の電気手術器具において、
前記第1電極は前記第1ジョーに前記第5電極と直交して配置されており、前記第1及び第2のジョーが互いに近接した位置にある状態で前記第1及び第2のジョー間に配置された組織を切断するため、前記第1及び第5電極は電気的に接続されている、電気手術器具。
【請求項14】
請求項12に記載の電気手術器具において、
前記第1及び第2のジョーが互いに近接した位置にある状態で前記第1及び第2のジョー間に配置された組織を切断するため、前記第1、第2、及び第3電極は電気的に接続されており、前記第2及び第3電極は互いに反対側に前記第1ジョーの外面に配置されている、電気手術器具。
【請求項15】
請求項12に記載の電気手術器具において、
前記第1及び第2のジョーが互いに近接した位置にある状態で前記第1及び第2のジョー間に配置された組織を切断するため、前記第2、第3、及び第5電極は電気的に接続されており、前記第2及び第3電極は互いに反対側に前記第1ジョーの外面に配置されている、電気手術器具。
【請求項16】
請求項12に記載の電気手術器具において、
前記第1及び第2のジョーが互いに間隔が隔てられた位置にある状態で前記第1及び第2のジョー間に配置された組織を切断するため、前記第1、第2、及び第3電極は電気的に接続されており、前記第2及び第3電極は互いに反対側に前記第1ジョーの外面に配置されている、電気手術器具。
【請求項17】
請求項12に記載の電気手術器具において、
前記第1及び第2のジョーが互いに間隔が隔てられた位置にある状態で前記第1及び第2のジョーの外側に配置された組織を切断するため、前記第2、第3、及び第4電極は電気的に接続されており、前記第2及び第3電極は互いに反対側に前記第1ジョーの外面に配置されており、前記第4電極は、前記第1ジョーに、前記第5電極に対して垂直に配置されており、前記第1及び第2のジョーから遠ざかる方向に延びている、電気手術器具。
【請求項18】
請求項12に記載の電気手術器具において、
前記第1及び第2のジョーが互いに間隔が隔てられた位置にある状態で前記第1及び第2のジョーの外側に配置された組織を凝固するため、前記第2及び第3電極は電気的に接続されており、前記第2及び第3電極は互いに反対側に前記第1ジョーの外面に配置されている、電気手術器具。
【請求項19】
電気手術器具において、
第1ジョーと、
前記第1ジョーとの間に組織を捕捉するため、前記第1ジョーに連結された、前記第1ジョーと向き合った第2ジョーと、
前記第1ジョーに接続された第1電極と、
前記第1及び第2のジョーに連結された移動自在のカッターと、
アクチュエータとを含み、このアクチュエータは、
前記ジョーを、間隔が隔てられた位置と近接した位置との間で移動するため、前記第1及び第2のジョーの少なくとも一方に連結された、定置のハンドル及び移動自在のトリガーと、
前記アクチュエータ及び前記第1又は第2のジョーに連結された細長いシャフトと、
前記細長いシャフト内に配置された前記移動自在のカッターに連結された、ブレードシャフトに連結された、長さ方向軸線に沿って移動自在のブレードトリガーと、
長さ方向軸線に沿った前記ブレードシャフトの遠位方向移動を制限する第1ストップとを含む、電気手術器具。
【請求項20】
請求項19に記載の電気手術器具において、更に、
前記長さ方向軸線に沿った前記ブレードシャフトの近位方向移動を制限する第2ストップとを含む、電気手術器具。
【請求項21】
電気手術器具において、
第1ジョーと、
前記第1ジョーとの間に組織を捕捉するため、前記第1ジョーに連結された、前記第1ジョーと向き合った第2ジョーと、
前記第1ジョーに接続された第1電極と、
アクチュエータとを含み、このアクチュエータは、
アクチュエータ及び第1又は第2のジョーに連結された回転自在の細長いシャフトと、 前記アクチュエータ内で前記回転自在の細長いシャフトの一部を取り囲む、少なくとも一つの導電性接続部と、
前記アクチュエータ内に配置されており、前記少なくとも一つの導電性接続部に電気的に接続できる少なくとも一つの定置接点とを含み、前記少なくとも一つの導電性リングは前記第1電極に電気的に接続されている、電気手術器具。
【請求項22】
請求項21に記載の電気手術器具において、
前記アクチュエータは、更に、
定置ハンドルと、前記ジョーを間隔が隔てられた位置と近接した位置との間で移動するため、前記第1及び第2のジョーの少なくとも一方に連結された移動自在のトリガーとを含み、更に、
アクチュエータ内に配置された、外部からはアクセスできない内部スイッチであって、前記内部スイッチと接触した前記移動自在のトリガーによって作動される内部スイッチと、
アクチュエータに配置された少なくとも一つの外部スイッチと、前記少なくとも一つの外部スイッチ及び前記内部スイッチを賦勢する電気接続部とを含む、電気手術器具。
【請求項23】
電気手術器具において、
第1ジョーと、
前記第1ジョーとの間に組織を捕捉するため、前記第1ジョーに連結された、前記第1ジョーと向き合った第2ジョーと、
前記第1ジョーに接続された第1電極とを含む、電気手術器具。
【請求項24】
請求項24に記載の器具において、
前記第1電極は、前記第2ジョーの先端に配置されている、器具。
【請求項25】
請求項24に記載の器具において、
前記第1電極は、前記第1ジョーの周囲遠位部分に沿って露呈されており、前記第1ジョーの近位部分に向かって延びる前記第1電極の残りの周囲部分に沿って露呈されていない、器具。
【請求項26】
電気手術ユニットにおいて、
RFエネルギを供給するように形成されたRF増幅器と、
供給されたRFエネルギの電圧と電流との間の位相差に基づいて組織の性質を計測するように形成された前記RF増幅器に接続された位相弁別器とを含む、電気手術ユニット。
【請求項27】
請求項26に記載の電気手術ユニットにおいて、更に、
前記電気手術ユニットに取り外し自在に連結されたモノポーラ電極を含む、電気手術ユニット。
【請求項28】
請求項26に記載の電気手術ユニットにおいて、
前記電気手術ユニットは、前記電気手術器具の電極が接触した組織の種類を記録するように構成されている、電気手術ユニット。
【請求項29】
請求項26に記載の電気手術ユニットにおいて、
更に、前記電気手術器具と前記電気手術ユニットとの間に位置決めされたコネクタを含み、このコネクタは、作動データを記憶するメモリーを含む、電気手術ユニット。
【請求項30】
電気手術器具において、
細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端に配置された少なくとも一つの電極であって、接触した組織の種類を確認するように形成された、少なくとも一つの電極とを含む、電気手術器具。
【請求項31】
請求項30に記載の器具において、
組織の種類の確認は、加えられた電圧と電流との間の位相差に基づいて行われる、器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2010年10月1日に出願された米国仮特許出願第60/389,012号の恩恵を主張するものである。出典を明示することにより、この出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0002】
本願は、全体として、電気手術システム及び方法に関し、更に詳細には、電気手術器具及び器具と電気手術ユニットとの間の接続部に関する。
【背景技術】
【0003】
外科手術は、多くの場合、臓器、筋組織、結合組織、及び脈管系を含む体組織の切断及び結合を必要とする。数世紀に亘り、鋭いブレード及び縫合糸が切断手順及び再結合手順の頼みの綱であった。外科手術中、体組織、特に比較的高度に血管化した組織を切断すると出血が生じる。かくして、外科医等の医師は、外科手術中の出血を遅らせ又は減少する手術器具及び方法を長い間探し求めてきた。
【0004】
最近になって、特定の手術タスクを行うのに電気エネルギを使用する電気手術器具が利用できるようになってきた。代表的には、電気手術器具は、グラスパ(把握器)、鋏、ピンセット、ブレード、ニードル、及び電源を含む電気手術ユニットから電気エネルギが供給されるように形成された一つ又はそれ以上の電極を含むこの他の手持ち式の器具等の手持ち式の器具である。電気エネルギは、器具が適用された組織の凝固、癒合、又は切断に使用できる。有利なことに、ブレードを用いる代表的な手順とは異なり、電気エネルギを組織に加えると組織の出血が止まる。
【0005】
電気手術器具は、代表的には、モノポーラ及びバイポーラの二つの種類に分けられる。モノポーラ器具では、特定の極性の電気エネルギが器具の一つ又はそれ以上の電極に供給される。別の戻し電気が患者に電気的に接続される。モノポーラ電気手術器具は、特定の手順では有用であるが、特定の種類の患者には、電気熱傷等の危険がある。これは、少なくとも部分的には、戻し電極の機能に起因する。バイポーラ電気手術器具では、一つ又はそれ以上の電極を第1極性の電気エネルギ源に電気的に接続し、一つ又はそれ以上の他の電極を第1極性とは逆の第2極性の電気エネルギ源に電気的に接続する。かくして、別の戻し電極なしで作動するバイポーラ電気手術器具は、集中した領域に電気信号を送出でき、患者が受傷する危険を減少する。
【0006】
バイポーラ電気手術器具では、手術効果が比較的集中するが、手術結果は、多くの場合、外科医の技術に高度に依存する。例えば、電気エネルギを比較的長時間に亘って送出した場合や、短時間であっても比較的高出力の電気信号を送出した場合、熱による組織の損傷及び壊死が生じる場合がある。電気エネルギを加えて組織に所望の凝固効果又は切断効果が生じる速度は、組織の種類によって異なり、更に電気手術器具によって組織に加えられた圧力によって変化する。しかしながら、高度に経験を積んだ外科医でも、電気手術器具が掴んだ種類が異なる組織の組み合わせの塊を所望量だけどれ程手早く癒合するのかを評価することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国仮特許出願第60/389,012号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電気手術プロセス中に組織が損傷する危険を低減する様々な試みがなされてきた。例えば、従来の電気手術システムは、電気手術中にオーム抵抗及び組織の温度を監視し、ひとたび所定点に達すると電気エネルギを停止するジェネレータを含む。しかしながら、これのシステムには、様々な種類の組織又は種類が異なる組織の組み合わせの塊について、組織の凝固、癒合、又は切断の終点を決定する一貫した結果が与えられていないという欠点があった。これらのシステムは、更に、器具及び電極の形状が異なる様々な器具を使用するうちに、一貫した電気手術の結果を提供することができなかった。代表的には、変化が、製品の寿命中の器具の形状に対する比較的些細な改良であっても、使用される各器具の種類について電気手術ユニットの再較正を行わなければならない。これは、費用と時間がかかる手順であり、そのため、望ましからぬことに、電気手術ユニットが選択肢から外されることとなる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一般的には、電気手術器具、ユニット、及びこれらの間の接続部を提供する。様々な器具、ユニット、及び/又は接続部に関して説明した様々な実施例は、相互交換自在であり、以下に説明したように適用できる。一実施例では、第1ジョーと、第1ジョーとの間に組織を捕捉するため、第1ジョーに連結された、第1ジョーと向き合った第2ジョーとを含む、電気手術器具が提供される。第1電極が第1ジョーに連結されている。第1電極は第1ジョー内の第1位置から第1ジョーの外側の第2位置まで延びることができる。第1電極は、第1及び第2のジョーに位置決めされた定置電極に電気的に接続される。
【0010】
別の実施例では、電気手術ユニットは、高周波(RF)増幅器を備えている。RF増幅器は、組織を凝固し切断するため、RFエネルギを供給するように形成されている。RF増幅器は、組織を切断するためにRFエネルギを供給する前に組織を完全に凝固するには不十分なRFエネルギを組織に供給する。
【0011】
別の実施例では、第1ジョーと、第1ジョーとの間に組織を捕捉するため、第1ジョーに連結された、第1ジョーと向き合った第2ジョーとを含む電気手術器具が提供される。第1、第2、第3、及び第4電極が第1ジョーに配置されており、第5電極が第2ジョーに配置されている。
【0012】
更に別の実施例では、第1ジョーと、第1ジョーとの間に組織を捕捉するため、第1ジョーに連結された、第1ジョーと向き合った第2ジョーとを含む電気手術器具が提供される。第1電極は第1ジョーに連結されており、移動自在のカッターが第1及び第2のジョーに連結されている。器具は、更に、定置ハンドルと、ジョーを間隔が隔てられた位置と近接した位置との間で移動するため、第1及び第2のジョーの少なくとも一方に連結された移動自在のトリガーと、アクチュエータ及び第1又は第2のジョーに連結された細長いシャフトと、細長いシャフト内に配置された移動自在のカッターに連結された、ブレードシャフトに連結された、長さ方向軸線に沿って移動自在のブレードトリガーとを持つアクチュエータを含む。器具は、更に、長さ方向軸線に沿ったブレードシャフトの遠位方向移動を制限する第1ストップを含む。
【0013】
一実施例では、電気手術器具は、第1ジョーと、第1ジョーとの間に組織を捕捉するため、第1ジョーに連結された、第1ジョーと向き合った第2ジョーとを含む。第1電極が第1ジョーに連結されており、アクチュエータは、アクチュエータ及び第1及び第2のジョーに連結された回転自在の細長いシャフトを含み、少なくとも一つの導電性接続部が、アクチュエータ内で回転自在の細長いシャフトの一部を取り囲み、少なくとも一つの定置接点がアクチュエータ内に配置されており、少なくとも一つの導電性接続部に電気的に接続でき、少なくとも一つの導電性リングが第1電極に電気的に接続される。
本発明は、幾つかの図面に亘り同様の部分に同様の参照番号を付した添付図面を参照して以下の説明を参照することによって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の様々な実施例による電気手術器具の一実施例の斜視図である。
図2A図2Aは、本発明の様々な実施例による電気手術ユニットに連結するための関連したカップラーを持つ電気手術器具の側面図である。
図2B図2Bは、本発明の様々な実施例による電気手術ユニットに連結するための関連したカップラーを持つ電気手術器具の分解図である。
図3A-1】図3A-1は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のアクチュエータの内部の側面図である。
図3A-2】図3A-2は、図面を簡単にするために幾つかの構成要素を取り外した、本発明の様々な実施例による電気手術器具のアクチュエータの内部の側面図である。
図3A-3】図3A-3は、本発明の様々な実施例による電気手術器具の導電性コネクタの斜視図である。
図3A-4】図3A-4は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のアクチュエータの内部の斜視図である。
図3A-5】図3A-5は、本発明の様々な実施例による電気手術器具の導電性リングの斜視図である。
図3A-6】図3A-6は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のアクチュエータの内部の斜視図である。
図3A-7】図3A-7は、本発明の様々な実施例による電気手術器具の接触ブラシの斜視図である。
図3A-8】図3A-8は、本発明の様々な実施例による例示の単一の電線を持つ回転コネクタの斜視図である。
図3B-1】図3B-1は、本発明の様々な実施例による、電気手術器具のアクチュエータの内部の様々な賦勢段階の側面図である。
図3B-2】図3B-2は、本発明の様々な実施例による、電気手術器具のアクチュエータの内部の様々な賦勢段階の側面図である。
図4A図4Aは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図4B図4Bは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図4C図4Cは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの断面図である。
図5図5は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの一方の拡大図である。
図6図6は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの側面図である。
図7図7は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図8図8は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの一方の拡大図である。
図9図9は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの正面図である。
図10図10は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図11図11は、本発明の様々な実施例による電気手術ユニットに接続された関連したカップラーを持つ電気手術器具の斜視図である。
図12図12は、本発明の様々な実施例による電気手術ユニットに接続された関連したカップラーを持つ電気手術器具の側面図である。
図13A図13Aは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のアクチュエータの内部の側面図である。
図13B-1】図13B-1は、本発明の様々な実施例による様々な作動段階での電気手術器具のアクチュエータの内部の側面図である。
図13B-2】図13B-2は、本発明の様々な実施例による様々な作動段階での電気手術器具のアクチュエータの内部の側面図である。
図13B-3】図13B-3は、本発明の様々な実施例による様々な作動段階での電気手術器具のアクチュエータの内部の側面図である。
図13C-1】図13C-1は、シャフトの一部が示してない、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョー及びシャフトの斜視図である。
図13C-2】図13C-2は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のカバーチューブの断面図である。
図13C-3】図13C-3は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のカバーチューブの斜視図である。
図13C-4】図13C-4は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のカバーチューブの側面図である。
図13C-5】図13C-5は、シャフトの一部が示してない、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョー及びシャフトの斜視図である。
図13C-6】図13C-6は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョー及びブレードシャフトの斜視図である。
図13C-7】図13C-7は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のブレードシャフトの側面図である。
図13C-8】図13C-8は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のシャフトの断面図である。
図14図14は、本発明の様々な実施例による電気手術器具及びカップラーの分解図である。
図15A図15Aは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの平面図である。
図15B図15Bは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの背面図である。
図15C図15Cは、本発明の様々な実施例による電気手術器具の一方のジョーの背面図である。
図15D図15Dは、本発明の様々な実施例による電気手術器具の反対側のジョーの平面図である。
図15E図15Eは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図15F図15Fは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの側面図である。
図15G図15Gは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの断面図である。
図16図16は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの側面図である。
図17図17は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図18図18は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図19図19は、本発明の様々な実施例による電気手術器具及びカップラーの分解図である。
図20図20は、本発明の様々な実施例による電気手術ユニットに連結された電気手術器具のカップラーの側面図である。
図21図21は、本発明の様々な実施例による電気手術ユニットに連結された電気手術器具のカップラーの分解図である。
図22図22は、本発明の様々な実施例による電気手術ユニットに連結された電気手術器具のカップラーの分解図である。
図23図23は、本発明の様々な実施例によるコネクタの斜視図である。
図24図24は、本発明の様々な実施例によるコネクタの斜視図である。
図25図25は、本発明の様々な実施例によるコネクタの反対側の斜視図である。
図26図26は、本発明の様々な実施例によるコネクタの回路、メモリー、及びピン構成の背面図である。
図27図27は、本発明の様々な実施例によるコネクタの回路、メモリー、及びピン構成の斜視図である。
図28図28は、本発明の様々な実施例によるコネクタの回路、メモリー、及びピン構成の斜視図である。
図29図29は、本発明の様々な実施例による電気手術ユニットのソケットの正面図である。
図30A図30Aは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図30B図30Bは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図31図31は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図32図32は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図33図33は、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図34A図34Aは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図34B図34Bは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図35A図35Aは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図35B図35Bは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図36A図36Aは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図36B図36Bは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図36C図36Cは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図36D図36Dは、本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの斜視図である。
図37A図37Aは、本発明の様々な実施例による電気手術器具の斜視図である。
図37B図37Bは、本発明の様々な実施例による電気手術器具の斜視図である。
図38図38は、本発明の様々な実施例による電極配置を示す例示のチャートである。
図39A-1】図39-1は、本発明の様々な実施例によるモノポーラパッド及び電気手術ユニットの斜視図である。
図39A-2】図39-2は、本発明の様々な実施例による電気手術ユニットのモノポーラポートの拡大斜視図である。
図39B図39Bは、本発明の様々な実施例による、モノポーラパッド、モノポーラ及び/又はバイポーラ電気手術器具、及び電気手術ユニットの斜視図である。
図40図40は、本発明の様々な実施例による電気手術器具用の予備切断プロセスを示すフローチャートである。
図41図41は、本発明の様々な実施例による電気手術ユニットのブロックダイヤグラムである。
図42図42は、本発明の様々な実施例による電気手術ユニットの半概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
電気手術システムは、一実施例では、一つ又はそれ以上の取り外し自在に連結された電気手術器具即ちツールに高周波エネルギを供給できる電気手術ユニット即ちジェネレータを含む。このような器具、及び器具と電気手術ユニットとの間のコネクタを添付図面に示す。各器具は、特に、特定の臨床的及び/又は技術的手術(technical operations)又は手順を行うように設計されている。更に、電気手術ユニットと器具との間の連結即ちパートナーシップは、臨床的及び/又は技術的手術が行われるように、特に電気手術ユニット及び器具の両方の手術能力を高めるように行われる。
【0016】
このような電気手術器具の一つを図1乃至図10に示す。これらの図には、本発明の様々な実施例に従って電気手術ユニットに接続できる癒合-切断電気手術器具10が示してある。図示のように、器具は、組織を取り扱うためのジョー12及びこれらのジョー12を操作するためのアクチュエータ14を含む。シャフト16がジョーをアクチュエータに連結する。一実施例では、シャフト及びジョーは、腹腔鏡手順を行うため、カニューレを通る大きさ及び構成を備えている。一実施例では、アクチュエータは、ジョーを開閉し、これらのジョー間に組織を捕捉し及び/又は圧縮するため、枢動自在のトリガー112に連結されたバレルと、ジョーに回転運動を提供する回転自在のノブ114及びコネクタとを含む。アクチュエータは、更に、切断、凝固、シール、癒合、又は他の電気手術活動を賦勢するスイッチ116、118、及び活動の賦勢又は消勢を示すインジケータを含む。
【0017】
ジョー12は、第1ジョー102及び第2ジョー104を含む。第1ジョーは定置であり、第2ジョーは、シャフト及び/又はシャフト内の構成要素を介して第2ジョーに連結されたアクチュエータによる作動により移動できる。一実施例では、両ジョーが移動自在であってもよく、又はジョーの可動性が逆になっていてもよい。即ち、移動自在のジョーが定置であり、定置のジョーが移動自在であってもよい。更に、上ジョー又は下ジョーである第1又は第2のジョーは、シャフト及びジョーが回転自在である場合には相対的であり、これによっていずれかの位置をとることができるということに着目されるべきである。第1ジョーは四つの電極を含む。第1及び第2の電極103a及び103bは、実質的に半球形形状であり、第1ジョーの全表面積の大部分をカバーする即ち占有する。一実施例では、これらの電極の半球形形状及び/又はこれと対応する第2ジョーの噛み合い形状により、切断後の組織を摺動又は他の態様でジョーと係合した状態から外す。更に、第1及び第2の電極は互いに鏡像をなし、これによって、これらの電極が実質的に第2ジョー104の長さに沿って延びるとき、第1ジョー102に沿って等しい半部即ち側部を形成する。第1及び第2の電極間に第3及び第4の電極105a、105bが配置されているこれらの電極は実質的に矩形形状であり、第1及び第2の電極103a及び103bに対して実質的に垂直であり、更に第1ジョーの長さに沿って延びる。第3及び第4の電極の縁部即ち上部分は、外科手術手順を補助するため、例えば組織を把持するための非外傷縁部を提供するため、面取りが施された、又は他の方法でテーパ、傾斜、丸み、又は湾曲を付けた縁部であってもよく、又は別の態様では、例えば組織の切断を補助するための明確な縁部であってもよい。
【0018】
第3電極105aは第2ジョーに向かって延びており、第4電極105bは第2ジョーから遠ざかる方向に延びている。第3電極105aは、第1ジョーの外に延びる第4の電極105bの高さ即ち延長よりも幾分大きく延びており、そのような高さを有する。第4電極105bは、更に、第1ジョー102の先端に沿って延びる、先端に沿って湾曲した遠位部分105b'を含む。第3及び第4の電極の長さ方向経路は、第1ジョーの長さ方向形状に実質的に従う。かくして、例示の実施例では、第3及び第4の電極は幾分曲線状である。
【0019】
第1及び第2のジョー102、104が閉鎖しているとき、例えばこれらのジョーが互いに近接した関係にある場合には、第3電極105aは第2ジョー104によって実質的に覆われており、これによって第3電極が露呈されていない状態にする。しかしながら、第4の電極105bは第2ジョーの位置に関わらず、覆われていない状態のままである。第1ジョーの電極の各々は、互いに電気的に絶縁されている。更に、操作上、各電極は特定の電気極性をとることができる。このように、各電極は、特定の手術機能、例えば切断、凝固、癒合、シール、結合、等を行うのを補助できる。一実施例では、第2ジョーもまた一つ又はそれ以上の電極、例えば第5及び第6の電極を含んでいてもよい。これらの電極は、第1ジョーの電極と関連して所望の手術機能を実行するの補助できる。
【0020】
一実施例では、第1及び第2のジョー102、104を閉じ(又は一杯には開放していないか或いは部分的に閉鎖した)、使用者が凝固作業又は凝固状態を賦勢したとき、第1及び第2の電極103a、103bが特定の極性をとり、第5電極107が逆の極性をとり、これにより、第1及び第2のジョー間にクランプされた組織を通してRFエネルギを伝達し、組織を凝固する。同様に、使用者が切断作業を賦勢し、第1及び第2のジョーを閉鎖したとき、第1及び第2の電極103a、103bが特定の極性をとり、第1ジョーの第3電極105aが逆の極性をとることにより、先ず最初に組織を凝固し、次いで第1及び第2のジョー102、104間の組織を、詳細には、第3電極105aがジョー間の組織と接触する点又は区分で切断する。一つの特定の実施例では、第1及び第2のジョーを閉鎖した状態で行う切断作業において、第1及び第2の電極103a、103bは、凝固するまで及び/又は凝固の完了前まで、組織の凝固を行う場合とは逆の極性をとり、即ち所定の予備切断状態にする。一実施例では、所定の位相値に基づいて予備切断状態に達した後、第1及び第2の電極103a、103bの極性を第3電極105aと逆にする。一実施例では、アクチュエータ14はトリガースイッチを含む。トリガースイッチは、トリガーがスイッチから離れて位置決めされている場合には非作動状態にあり、即ち賦勢されていない。
【0021】
更に、第1及び第2のジョー102、104が閉じておらず(一杯には開放しているか或いは部分的に開放している)、使用者が凝固作業又は凝固状態を賦勢したとき、第1電極103aが特定の極性を取り、第2電極103bが逆の極性をとり、これにより第1及び第2の電極103a、103b間の組織を通ってRFエネルギが伝達し、組織を凝固する。同様に、使用者が切断作業を賦勢し、第1及び第2のジョーを閉鎖されていない場合には、第1及び第2の電極は特定の極性をとり、第1ジョー102の第3及び第4の電極105a、105bが逆の極性をとることにより先ず最初に組織を凝固し、次いで、電極間の組織を、詳細には、第3電極105aがジョー間の組織と接触する点即ち区分で切断する。過度に凝固した即ち完全に凝固した組織は、組織の導電性が大幅に低下するため、組織を切断する上での困難性が高いということは理解されるべきである。これは、組織を「過剰凝固」することにより血液の喪失を阻止する(即ち組織がシールされる)という風潮に反する。
【0022】
一実施例では、アクチュエータ14のトリガースイッチ103をトリガー112の位置によってスイッチと接触させて賦勢する。トリガーは、例示の実施例では、アクチュエータ14のトリガースイッチの賦勢又は消勢を行うのに使用するため、トリガーに連結した又はトリガーに組み込んだ可撓性アーム101を含む。トリガースイッチ103は、アクチュエータの内部にあり、即ちアクチュエータ内に収容されており、外科医はアクセスできない。しかしながら、トリガースイッチは、外科医がアクセスできる一つ又はそれ以上の外部スイッチを賦勢し即ちこれら外部スイッチの賦勢を可能にする。例えば、外科医がアクセスできる「切断」ボタン即ちスイッチは、内部トリガースイッチが賦勢されていない限り、たとえ外科医がボタンを押しても作動せず、即ち組織を切断するためのRFエネルギを適用しない。一実施例では、内部トリガースイッチは、トリガー及び/又はジョーの位置に応じてのみ賦勢される。内部トリガースイッチは、更に、電気手術ユニット、器具、及び/又はコネクタが提供するコマンド又はプログラムに基づいてリレーを介して賦勢してもよい。様々な実施例において、内部トリガースイッチがそれだけでRFエネルギの賦勢を賦勢する即ち許可することはなく、これにより、外科医が積極的且つ慎重に参加しない限り、器具が誤って作動することがないようにするということは理解されるべきである。更に、様々な実施例において、外科医がアクセスできるスイッチは、内部トリガースイッチが同時に賦勢されている場合にしか賦勢できず、これによって、外科医、電気手術ユニット、器具、及び/又はコネクタに埋め込まれた又はこれらが提供する積極的通信、又は慎重なプログラム又はコマンドが積極的且つ慎重に参加しない限り、器具が誤って作動することがないようにするということは理解されるべきである。
【0023】
かくして、第1及び第2のジョー間の組織の切断は、ジョーを閉鎖した状態でもジョーが閉鎖されていない状態でも行うことができるということは理解されるべきである。更に、第1及び第2のジョーが閉鎖していない場合、第1ジョーの下方及び/又は前方の組織、即ち第1及び第2のジョー間にない組織を切断できる(切断は、第4電極と第1電極との間の組織、第4電極と第2電極との間の組織、及び/又は第4電極と第1電極と第2電極との間の組織に対して行われる)。更に、電極は、適当な極性にするため、又は例えば切断又は凝固等の特定の作業を行うように接続するため、電気手術ユニットの賦勢回路のスイッチを入れ又はこの回路に接続し、組織の切断又は凝固を行うために特定のRFエネルギを加えるということは理解されるべきである。一実施例では、このようにスイッチを入れる情報即ち制御情報は、電気手術器具に接続できるプラグアダプタ又はカップラーのメモリーチップに記憶されたスクリプトデータを介して提供される。
【0024】
上文中に説明したように、一実施例では、第1ジョー102は定置であり即ち移動せず、垂直内電極及び垂直外電極を含む。このような電極形態により、一方のジョーの他方のジョーに対する位置に基づいてエネルギを所定方向に送出する。例えば、この電極形態では、切断をジョーのチップ及び/又はジョーの外面及び内面の両方で行う。更に、他方のジョーを開放した場合にジョーの作動に対して定置のジョーに配置されたこの電極形態は、外科医がアクチュエータを操作することにより切断方向又は切断経路を直接的に操作できるように行われる。これは、ジョーがシャフト及びアクチュエータに関して定置であるためである。一実施例では、両ジョーの電極が互いに作動することによって、ジョー間に捕捉された組織も切断できる。
【0025】
一つ又はそれ以上のジョーに多数の電極を追加することは、取るに足らない設計上の選択事項であるということは理解されるべきである。特に視野が限られた腹腔鏡手順では、短絡や望ましからぬ熱拡散、組織の変異、少なくとも、賦勢された電極の近くに導電体を追加することによって導入される例えば組織の炭化や切断が起こらないようにするため、電極の数を減らすのが望ましい。従って、様々な実施例に記載されているように、これらの電極は、こうした挑戦を克服するため、構成、構造、及び使用が特定されている。
【0026】
一実施例では、多数の切断ブレード又は表面を含む電気手術器具が提供される。これらのブレードの幾つか又は全てが移動自在であり、及び/又は電気的に接続される。作動的には、組織を必要に応じて癒合し又は凝固し、そして切断するため、その器具又は部品を賦勢できる。別の実施例では一つ又はそれ以上の部品が定置であり、及び/又は電気的に接続されている。
【0027】
一実施例では、第1ジョー102の電極に電線が溶接してある。これらの電線は、回転コネクタ27の周囲に通してあり、アクチュエータ14内の回転コネクタに導電性リング24a乃至24dが取り付けられている。一実施例では、回転ロックが設置されており、導電性リングを所定の場所に保持する。一実施例では、導電性リング24aは電極103aに連結されており、導電性リング24dは電極103bに連結されている。導電性リング24bは電極105aに連結されており、導電性リング24cは電極105bに連結されている。回転コネクタ27は一つ又はそれ以上のスロットを含み、これらのスロットに電極から延びる電線が通してある。導電性リングは、関連した電極の個々の対応する電線が関連した導電性リングに電気的に接続されるように、回転コネクタに固定されている。このように、導電性リングは、回転コネクタが回転するとき、ジョーの電極からシャフトを通って回転コネクタまで延びる関連した電線とともに回転し、かくしてこれらの電線はジョーの回転時にシャフトに巻き付かない。
【0028】
アクチュエータ14は、更に、接触ブラシ26a乃至26dを含む。これらのブラシは、関連した導電性リング24a乃至24dと接触した状態で配置される。例えば、例示の実施例では、接触ブラシ26aは、導電性リング24aと隣接して位置決めされる。各接触ブラシは、更に、電線又はコネクタへの同様の接続部に接続されており、最終的には、電気手術ユニットに接続されている。これは、電気手術器具のジョーの関連した電極を通して、RFエネルギ、計測信号、診断又は同様の信号を提供し、伝達するためである。一実施例では、アクチュエータのハンドル内のスロットにより、電線の配置が容易になり、接触ブラシと電気手術ユニットとの接続が容易になる。このように、導電性リングは、シャフトの回転に関わらず接触ブラシと連続的に接触する導電性表面即ち伝達表面を提供する。一実施例では、接触ブラシは導電性リングとの接触を維持するため、傾斜しており、又は押圧されている。
【0029】
アクチュエータ14内の「U」字形状チューブクリップ25は、電線に溶接してある。この電線の他端は、第2ジョー104に溶接してある。一実施例では、第2ジョー104は、引っ張りチューブによって所定位置に保持される。引っ張りチューブは、第2ジョー104の電気接続部として役立つ。導電性リング及びクリップは、電極と電気手術ユニットとの間に一定の電気伝導率を提供すると同時に、ジョー102、104が任意の方向に360°に亘って完全に回転することを許容し、即ち妨げない。例えば、リング又はクリップに繋がる電極に連結された電線は、ジョー及びこれらのジョーに取り付けられたシャフトの回転移動に追従し、その結果、シャフト又はアクチュエータ内で又はこれらに沿って絡まって回転移動を制限し、接続を切り又は接続部を外し、及び/又はアクチュエータの作動の邪魔になることがない。
【0030】
一実施例では、個々の電線は、電気手術器具の個々のジョーに溶接されている。電線、例えば電線29は、ジョーに連結されたシャフトに沿って回転ノブを通って回転コネクタ27のスロット内に通してある。一実施例では、幾つか電線はコネクタの一方の側に配置されており、他の電線はコネクタの反対側に配置されている。電線は、コネクタの長さに沿って食い違いになっている。これは、導電性リングの食い違い配置と一致する。一実施例では、食い違い配置により、リング間の不時の短絡又は導通を阻止する。導電性リングは、かくして、一実施例では、コネクタ上で摺動し、コネクタに沿って間隔が隔てられたスロットに配置され、各導電性リングを関連した食い違い電線と噛み合わせる。一実施例では、個々の電線もまたアクチュエータのハンドルのスロット内に設置され、関連した接触ブラシは関連して電線上に設置され、各電線を関連した接触ブラシと噛み合わせる。かくして、アクチュエータのハンドル内に設置された回転コネクタは、各導電性リングの電気接続部即ち導電領域を対応する接触ブラシと噛み合わせる。
【0031】
次に図11乃至図19を参照すると、これらの図には、本発明の様々な実施例による電気手術ユニットに連結できる癒合-切断電気手術器具20が示してある。器具20は、シャフト26に連結されたジョー22を含む。シャフト26はアクチュエータ24に連結されており、アクチュエータ24を操作することによりジョー22を操作する。一実施例では、アクチュエータはフローティング枢動機構221を含む。フローティング枢動機構221は、ジョーを開閉し、組織をジョー間に捕捉し、及び/又は組織をジョー間で圧縮するため、トリガー222に連結された枢動ブロックを含む。更に、アクチュエータは、一実施例では、ジョーを回転移動できるようにする回転ノブ224及びコネクタを有する。一実施例では、更に、押しバー又はブレードシャフトに連結されたブレードトリガー225を含む。これは、ジョーを通して切断エレメントを並進し、ジョー間の組織を切断するため、遠位切断エレメントに連結されており、又はこれに組み込まれている。アクチュエータは、更に、切断、凝固、シール、癒合、又は他の同様の電気手術活動を賦勢するためのスイッチ226、227、228、及び賦勢された又は消勢された活動を確認し目立たせるためのインジケータを含んでいてもよい。
【0032】
様々な実施例によれば、器具には、器具のジョー22に対して移動自在のブレード即ちカッター191が含まれている。カッターは、一方又は両方のジョーの表面と実質的に直交するように変位され、器具の長さ方向軸線に沿って移動可能である。一実施例では、カッターは、一方又は両方のジョーに対して水平に、即ちジョーと平行に位置決めされている。カッターは、一実施例では、ジョーの外側に移動でき、又は一方又は両方のジョーの外側即ち外面に配置されている。例えば、カッターは、カッターに連結されたアクチュエータによって操作したとき、一方又は両方のジョー内に配置され、ジョーの外部に露呈された又はジョーの外側に配置された引き込み式電極又は引き込み式ブレードとして作用できる。カッターの縁部は、カッター全体に沿って、又はカッターの一部に沿って延びており、これらの縁部の幾つか又は全てが鋭く、ベベルが設けられ、賦勢され、又は何等かの他の態様で組織を切断するように形成されている。
【0033】
例示の実施例では、カッター191はジョー内のチャンネルを横切り、ジョー間の組織を切断する。チャンネルは、ジョーの外周を越えて延びておらず、かくしてカッターはジョーの遠位境界内にとどまる。ブレードシャフト196にカッターが連結されており、即ちモノリシック構造としてこれに組み込まれており、アクチュエータ内に延びる。ブレードトリガーは、作動時にカッターをジョーのチャンネルを通して移動する。ブレードシャフト196は、トリガーを緩めると、カッターがその初期休止位置に引き戻されるように押圧されている。一実施例では、ブレードシャフトに連結されたばねがカッターをアクチュエータに向かって押圧する。かくして、ばねの押圧力に打ち勝ってブレードトリガーを賦勢すると、カッターが遠位方向に、一方又は両方のジョーの内側又は外側を通って、その外に即ちこれに沿って移動する。
【0034】
一実施例では、ブレードシャフト196に沿って設けられた一つ又はそれ以上のストップ195、197が、ブレードシャフト196及びかくしてカッター191の移動を制限する。例示の実施例では、ブレードシャフト上又はブレードシャフト内に配置されたストップ突出部がブレードシャフトとともに移動し、所定の点まで、例えばジョーのチャンネルの遠位端近くまで遠位方向に移動したとき、ストップ突出部は、対応するストップ突出部又はスロット194と相互作用し、ストップ突出部がストップスロットを越えてこれ以上遠位方向に移動しないようにする。一実施例では、ストップスロットは、ブレードシャフト上に配置されたカバーチューブ192上に、カバーチューブから、カバーチューブ192内に配置されており、カッターが遠位方向に所定点まで移動するとき、ブレードシャフトのストップ突出部と接触するように位置決めされている。
【0035】
一実施例では、第2ストップ突出部197がブレードシャフト196上又はブレードシャフト内に配置されている。第2ストップ突出部197は、第1ストップ突出部195から間隔が隔てられている。第2ストップ突出部は、比較的アクチュエータの近くに、即ちジョー22から離して配置されている。例示の実施例では、第2ストップ突出部197により、ばねが、ブレードを、近位方向に所定点、例えばジョーのチャンネルの近位端の近くの点を越えて引っ張ることがないようにする。このように、様々な実施例において、ブレードストップは、ブレード又はカッターが器具の遠位端に向かう方向又はここから遠ざかる方向のいずれかの方向に延ばされ又は引き込められるとき、ブレード又はカッターの前方及び/又は後方移動を制限する。ブレードストップは、一実施例では、カバーチューブ192のクリンプ部分又は変形部分194である。ブレードシャフトのストップ突出部と相互作用するクリンプ部分は、カバーチューブの内側寸法がブレードシャフトのストップ突出部の全幅よりも狭幅であるため、積極的ストップとして作用する。一方又は両方のジョーを作動及び/又は賦勢するため、ジョーに連結された引っ張りチューブ193は、ブレードシャフト196を囲むように配置されており、一実施例では、ブレードシャフトの196のストップ及びカバーチューブ192のストップを露呈し、これと相互作用するため、一つ又はそれ以上のスロットを含む。
【0036】
ストップにより、力がカッターに加わった場合にこの力が所定の点を越えないようにする。カッターは、作動時に遠位方向又は近位方向に移動し続けることができ、チャンネル又はその部分の遠位端又は近位端は、カッターのこれ以上の移動を停止できる。しかしながら、カッターを遠位方向又は近位方向に移動する更なる圧力又は押圧力が加わると、圧力が加わったジョーが一方又は両方のジョーとの接触することにより、カッターが損傷したり切れ味を損なったりする場合がある。ストップ突出部は、こうした状況が起こらないようにする。一実施例では、第2ストップ突出部197は、カッターが近位方向にこれ以上移動しないようにし、及びかくしてカッターを近位方向に向かって押圧するばねがカッターを所定の場所に保持できる。かくして、器具を組織に沿って又は組織を通して移動することにより、ブレードシャフトを移動することなく、ジョーが開放した又は閉鎖した状態でカッターを組織に沿って移動し、組織を切断できる。カッターに押し付けられた組織を切断する。これは、ばねの圧力又は力、並びにストップ突出部との相互作用によりカッターが所定の場所に保持されるためである。
【0037】
一実施例では、ジョー22は定置の第1ジョー202、及び第1ジョーに対して移動する移動自在の第2ジョー204を含む。一実施例では、両ジョーが移動自在であってもよく、第1ジョーが移動自在で第2ジョーが定置であってもよい。第1ジョー202は、全体が導電性であり、導体で形成されている。一実施例では、第1ジョーは、全体に平らであり且つ第1ジョーの上面を覆う即ち上面に亘って延びる電極を含む。第2ジョー204は、第1及び第2の電極205、206を含む。これらの電極間に絶縁層が設けられている。一実施例では、第2電極206は第1ジョー202から遠方の第2ジョー204の上部分に設けられており、第1電極205は、第1ジョー202に近い第2ジョー204の下部分に設けられている。第2ジョー204は、第1ジョーに枢着されているか或いはシャフト又は第1ジョーに連結された他の構成要素に枢着されている。この枢着により、一実施例では、第1ジョー202が第2ジョー204の第2電極206に電気的に接続される。第2電極206は全体が導電性であり、導体で形成されており、全体が第1ジョーと同様に形成されている。一実施例の第2電極206は、全体が半球形形状である。一実施例の第1ジョー202は全体が半球形形状である。しかしながら、第1及び第2のジョー202、204間にクランプされた即ち捕捉された組織は、第1電極と第2ジョーとの間に位置決めされる。このように、一実施例の第2電極206は、第1及び第2のジョー202、204間に把持された即ち捕捉された組織の電気による切断又はシールに関係せず、即ちこれに関わらない。第2電極206は、電気が加えられたとき、又はスイッチが入れられたとき、一実施例では、その外側の組織又は第2電極と少なくとも接触した組織の切断及び/又はシールと関連する。一実施例では、この形態のため、第1ジョーと第2ジョーとを電気的に絶縁する必要がなく、一実施例では、ジョーピンを介して共通に接続されていてもよい。このように、製造を容易にし、多数の又は過剰の電気接続部を減少する。
【0038】
例えば、一実施例では、第2ジョー204の第1電極205は、使用者がシール作業を賦勢したとき、第1電極205と第1ジョー202との間に位置決めされた、これらと接触した(クランプされた又はクランプされていない)組織をシールできるように、第1及び第2の極性をとるように電気的に接続されている。このように、組織をシールするのに適したRFエネルギを、第1電極205と第1ジョー202との間の組織を通して伝達し、組織をシールする。一実施例では、第1電極205と第1ジョー202との間の組織を切断するため、使用者が移動自在の切断ブレードを作動してもよい。切断ブレードは、一実施例では、導電性であり、組織の切断に適したRFエネルギが切断ブレードと第1ジョー202、第2ジョー204、又はこれらのジョーの両方との間を伝達されるように賦勢される。一実施例では、切断ブレードは定置であってもよい。切断ブレードは、一実施例では、ブレードの電気伝導度に応じて、又はこれに関わらず、比較的鈍らでも鋭くてもよい。多数のブレードが設けられていてもよく、これらのブレードの全て又は幾つかが導電性であってもよく又は接続されていてもよい。切断ブレードは、一実施例では、第1ジョー202に対してほぼ垂直に位置決めされており、及び/又は第1及び第2のジョーの長さに亘って又は長さの一部に亘って横切ってもよい。
【0039】
一実施例では、第1及び第2のジョー202、204の外側の組織を切断及び/又は凝固できる。一実施例では、組織に対する第2電極206の接触点又は領域と第1ジョー202との接触点又は領域との間の組織を凝固するため、第2電極206及び第1ジョー202を賦勢してもよい。このように、これらのジョーの側部をその開放位置又は閉鎖位置で引きずり即ち組織を横切って摺動し、組織の凝固及び/又は切断を行う。更に、ジョー(開放位置又は閉鎖位置)の先端即ちチップを組織と接触した状態に位置決めし、組織に亘って引きずり即ち摺動し、組織を凝固及び/又は切断するように位置決めしてもよい。一実施例では、使用者が切断作業又は凝固作業の夫々を賦勢したとき、第1及び第2の電極間に位置決めされた又はこれらの電極と接触した組織を切断し、凝固するように、第2ジョー204の第1電極205及び第2ジョー204の第2電極206が第1及び第2の極性をとるように電気的に接続してもよい。
【0040】
このように、組織の切断又は凝固に適したRFエネルギを、第1電極205と第2電極206との間の組織を通して伝達し、組織の切断、凝固、癒合、又は結合を行う。このように、第2ジョー204を組織に亘って引きずり、押し、又は摺動することにより、組織の凝固及び/又は切断を行ってもよい。一実施例では、切断又は凝固は、ジョー202、204が互いから部分的に又は完全に間隔が隔てられている場合にしか行うことができない。一実施例では、スイッチ又はセンサを賦勢し、ジョー間の間隔が隔てられた関係又は間隔が隔てられていない関係を表示し、組織の切断又は凝固を賦勢できるようにする。
【0041】
一実施例では、第1電極205は、第2ジョー204の遠位端の外部分又はチップに沿って延びている。第1及び第2の電極205、206を賦勢し、これらの電極間の組織即ちこれらの電極と接触した組織の切断、凝固、癒合、又は結合を行うことができる。第1電極205を第2電極206に対して特定の領域又は構成に限定することによって、焦点領域即ち適用可能賦勢領域を第1及び第2の電極205、206の特定の部分に限定できる。一実施例では、第2電極206は、同様に、第2ジョー204の限定された部分に沿って延びるように構成されていてもよい。例示の実施例では、第1電極205と隣接して配置された絶縁体207が、第1電極の焦点組織を制限する。一実施例では、適当な又は所望の焦点領域を提供するため、第1電極、第2電極、及び/又は追加に設けられた電極の大きさ、形状、及び/又は配向を制限する。第2ジョー204の外周に沿って延びる第1電極は、第2ジョーに対してほぼ水平に位置決めされており、一実施例では、比較的鈍らである。第1電極の配向、大きさ、及び配置を、所望の外科手術に基づいて変えてもよく、追加の電極が同様に位置決めされていてもよい。
【0042】
第1電極205、第1ジョー202、及び/又は第2電極206は、一実施例では、連続した又はモノリシックな電極であり、連続した又はモノリシックなシール表面を備えている。一実施例では、モノリシックシール面は、複数のシール経路即ち表面を提供するため、間隔が隔てられた部分即ち中断部分を含む。例えば、第1電極205は、第1及び第2のシール経路217a、217bを含む。これらの第1及び第2のシール経路は、ジョーのブレードチャンネル即ち切断チャンネルを取り囲み、このチャンネルと隣接している。このチャンネルにブレード即ち切断電極が配置され、このチャンネルをブレード即ち切断電極が横切る。例示の実施例では、モノリシックシール面には、更に、スペーサ又はキャビティ215a、215b、及び第3及び第4のシール経路219a、219bが設けられている。第3及び第4のシール経路は、第1及び第2のシール経路と隣接しているがこれらのシール経路から間隔が隔てられて位置決めされている。第1及び第2のシール経路は、一実施例では、第3及び第4のシール経路の外経路に対し、内経路である。中断した又は間隔が隔てられた多数の経路は、ジョーによって電気等による治療又は操作が行われない組織の一部によって間隔が隔てられた、シールが行われる組織の過剰のシール領域又は部分を提供する。このように、間隔が隔てられた又は影響が及ぼされていない組織をシール経路間に置くことによって、組織の全体としてのシールを高め、組織に沿った熱拡散及び組織に及ぼされる作用を低減する。例示の実施例では、第1シール経路と第4シール経路との間の組織は、電極に伝達されたエネルギによる影響が及ぼされないままであるのに対し、第1シール経路及び第3シール経路に沿った組織は電気的にシールされる。同様に、第2シール経路と第4シール経路との間の組織は電気的にシールされ、これらの経路間の組織又はキャビティ内の又はキャビティに沿って組織には影響が及ぼされないままである。更に、キャビティに沿った組織は、シール経路に沿った組織と比較して、圧縮されず、機械的操作が及ぼされない。
【0043】
一実施例では、使用者が第1電極205を賦勢することにより、第1電極205及び第1ジョー202、及び/又は第2電極206と接触した、又はこれらの間にある組織を切断でき、凝固でき、癒合でき、又は結合できる。一実施例では、第2電極206及び第1ジョー202は、第1電極205と第1ジョー202との間で、及び/又は第1電極205、第2電極206、及び第1ジョー202の間でRFエネルギを伝達できるように、共通の電気接点を持ち、及び/又は共通の極性を備えている。
【0044】
一実施例では、ジョーが一杯には開放も閉鎖もしていない場合、即ち開放状態と閉鎖状態との間の状態にある場合には、ジョー202、204間に位置決めされた組織を癒合できる。しかしながら、一実施例では、RFエネルギの自動的中断を使用せず、その賦勢も消勢も行わない。これは、RFエネルギの自動的中断に適した条件が満たされない、即ちそのような状態にならないためである。更に、切断を(機械的に及び/又は電気的に)阻止できる。一実施例において、トリガー及び/又はジョーと隣接して器具に設けられたスイッチ及び/又はセンサの賦勢又は消勢、又はトリガー又はジョーの互いに対する位置の検出に基づいて、中間状態を決定する。
【0045】
様々な実施例によれば、電気手術RFエネルギは、組織をバイポーラ法で切断及び/又は凝固するため、アクティブ電極及び戻し電極の両方を使用し、例えば、一般的には、婦人科の腹腔鏡手順で使用できる。このような形態では、所望の外科的作用(例えば切断、凝固、等)は、電極間の電流密度比、電極の形状、及び電極に加えられる電流及び電圧に基づく。一実施例では、組織の切断は、200V以上の電圧出力を使用し、凝固は、200Vよりも低い電圧を使用する。電流密度を(送出電流)/(電極の表面積)として計測する。このように、アクティブ電極及び戻し電極を以下の電流密度比で評価できる。即ち、電極/戻し電極=(大電流密度)/(小電流密度)。一つの電極が、別の電極に対し、電流密度、電極の形状、及び/又は電極に供給される電流及び電圧に基づいて、アクティブ電極又は戻し電極の役割を果たし、又はアクティブ電極又は戻し電極の役割を切り換えるということは理解されるべきである。一般的には、アクティブ電極及び戻し電極は、互いから電気的に絶縁されている。
【0046】
本発明の様々な実施例による電気手術器具のジョーの様々な電極形態を図30乃至図38に示す。様々な実施例では、一方のジョーに少なくとも一つの電極又は唯一の電極が配置されている。例えば一実施例の電極は、上ジョーに配置されており、ジョーに対して水平方向に配向されている。電極は、図示のジョーとは反対側のジョーに設けられていてもよく、上下のジョーは互いに対して相対的であるということは理解されるべきである。このように、上ジョーに対する言及は、下ジョーに対する言及でもあり、移動可能なジョーに対する言及は定置ジョーに対する言及でもある。
【0047】
図30A及び図30Bでは、可動ジョー602は、外垂直電極605を含む。この電極形態では、切断は、関節連結されたジョー即ち可動ジョーのチップで及び/又はジョーの長さに沿って行われる。一実施例では、切断は関節連結的に行われ、及び/又は器具のシャフト及びアクチュエータに対する経路で行われる。例えば、ジョーに設けられた電極がジョーの移動経路(例えば経路601及び/又は603(両方向又は一方向))と平行又はこの経路と一直線上に並ぶため、上ジョーの開放時に組織を切断できる。例示の実施例では、電極605は、ジョーに設けられた電極を取り囲む比較的大きな導電性部分606又は第2電極607と関連して、RFエネルギをその間に伝導し、切断経路を形成する。
【0048】
一実施例では、定置ジョー704は、図31に示すように、外垂直電極705を含む。この電極形態により、定置ジョー704の先端で及び/又はジョーの外部分の長さに沿って切断を行う。電極705は、一実施例では、別の電極として作用する内電極又は外電極のいずれかと関連して作動し、その間にRFエネルギを伝導する。一実施例では、移動自在のジョー702には電極が設けられておらず、又は何らかの方法で電極705から絶縁されている。作動では、外科医は、ジョーが機器のシャフトに対して定置のままの状態でアクチュエータを操作することにより、切断方向又は切断経路を操作できる。
【0049】
次に図32を参照すると、一実施例では、一方のジョー802が水平電極803及び垂直電極805を含む。この電極形態により、互いに対するジョーの位置に基づいてエネルギを直接的に送出する。更に、この形態は、上ジョー作動部材を下ジョーから電気的に絶縁する必要がない。ジョーを閉鎖した場合には、下ジョー804の水平電極807は、下ジョー804を戻し電極として使用し、組織を切断するのに使用できる。ジョーが開放されている場合には、垂直電極805は、上ジョー802の先端で、並びに上ジョーの長さに沿って、シャフト及び器具のハンドピースに対して関節連結的に組織を切断できる。上ジョーを開放した状態で組織を切断できる。これは、アクティブ電極が、上ジョーが移動する経路と平行であるためである。アクティブ電極は、戻し電極として上ジョー作動部材を使用する。同様の効果を得るため、両電極の配向を、例えば、垂直方向から水平方向に及び水平方向から垂直方向に切り換えることができる。
【0050】
一実施例では、電気手術器具の切断電極811は、図33に示すように、組織を切り離すのに使用できる。機械的切断ブレード812は、器具のアクチュエータに配置されたレバーを作動することによって、器具のジョー815、816に捕捉された組織を器具のジョーの長さに沿って分割するのに使用される。機械的ブレード及び電気的ブレードを逆にしてもよいということは理解されるべきである。一実施例では、第1切断電極811を使用して組織を切り離してもよい。第2切断電極812を使用し、デバイスのジョーに捕捉された組織を、下ジョー816を戻し電極として使用することによって、分割してもよい。この第2電極は、器具のアクチュエータに配置されたレバーを作動することによって、器具のジョーの長さに沿って移動できる。
【0051】
様々な実施例において、電極(及びこれらの電極が取り付けられた部分)を使用し、電気的に賦勢されていないときに組織を物理的に調査及び/又は操作してもよい。様々な実施例において、引き込み式電極が、組織と接触し、トロカールシールを通して移動するための非侵襲的ジョーアッセンブリを提供する。一実施例では、切断電極を器具のいずれかのジョーの本体内に引っ込めることにより、電極に形成した焼痂の除去又はクリーニングを容易に行うことができる。
【0052】
一実施例では、アクチュエータのトリガーに関して移動することにより、電極91を引っ込めることができる(図34A及び図34B参照)。例えば、ジョーの移動に関して引っ込めが生じる。このような作動は、組織の切断に電極のどの位置を使用できるのかを表示できる。一実施例では、電極が延ばされているときに電極を賦勢でき、引っ込められている場合には消勢されている。引き込み式電極は、いずれかのジョーに配置されていてもよいし、両ジョーに配置されていてもよい。一実施例では、電極91の引っ込めは、トリガーやアクチュエータとは別個のレバー又は同様のアクチュエータによって行うことができる(図35A及び図35B参照)。このように、電極を、ジョーの位置に関わらず、延ばしたり引っ込めたりできる。電極は、更に、独立して、延長位置で賦勢できる。
【0053】
上文中に説明し、図36A乃至図36dに示す引き込み式電極は、丸み帯びた形状95、先が尖った形状、Lフック形状93、又はJフック形状94であってもよい。電極がLフック形状、Jフック形状、又は同様の形状であり且つ引き込み式の様々な実施例において、このような電極は、器具のジョー間及び/又は電極のフック部分に組織を捕捉するのに使用できる。
【0054】
一実施例では、一方のジョーに設けられた電極は、分離できてもよいし、二つの隣接した電極(例えば遠位電極及び近位電極)であってもよい。各電極は、同時に賦勢されてもよいし個々に賦勢されてもよい。更に、一方の電極が、他方の電極とは異なる種類の組織を様々に治療できる(例えば、一方が切断し且つ他方が凝固し、一方が一つの種類の組織を治療し且つ他方が別の種類の組織に使用される)。これらの別々の電極は、更に、組織又は別々の電極と接触した多くの種類の組織の適正な治療(例えば切断、凝固等)を行うため、組織の種類の比較又は位相監視(phase monitoring) を行うことができる。一実施例では、他方のジョー又は同じジョーの他の部分が、電極とジョーとの間でRFエネルギを交換する電極として作用できる。
【0055】
次に、図20乃至図29を参照すると、電気手術器具は、本発明の様々な実施例によるカップラー50を通して電気手術ユニットに接続できる。カップラー50は、接続器具に取り付けられており且つ接続器具から延びるケーブル501に取り付けられたプラグ502を含む。プラグ502には、電気手術ユニットに接続可能なコネクタ503が取り付けられている。一実施例では、プラグ502は、コネクタ503なしでは電気手術ユニットに接続できない。
【0056】
一実施例では、プラグ502は、電気手術ユニットに直接的に接続可能なコネクタ503に取り外し自在に取り付けられる。コネクタ503は、高周波エネルギが電気手術ユニットからケーブルを通して器具に供給されるように、コンジットを提供する。更に、電気手術ユニットへの後方通信(communication back)は、器具からケーブル及びコネクタを通して伝達される。例えば、器具は、スイッチを介して、又はハンドル又はトリガーを作動することにより信号を伝達し、RFエネルギを送出する回路を、器具が必要とするように閉じる。
【0057】
コネクタ503は、一実施例では、メモリー回路503b'及びピン構成503b''を含む。ピン構成503b''は、詳細には、電気手術器具と関連したケーブル501の対応するピン構成501dに連結されるように構成されている。ケーブルの他端には、スイッチ、インジケータ、及び/又はセンサ用の対応する接触点に、関連した電気手術器具について適切であるように接続されるように構成された接点501a、501b、及び501cが配置されている。従って、ケーブルをコネクタ503に連結するためにピン構成を変化してもよく、ケーブルを対応する電気手術器具に連結するために接点501a、501b、501c、501d、及び501fを変化してもよい。
【0058】
メモリー回路は、一実施例では、電気手術ユニットと関連した器具の作動のアウトラインを定める、器具又はツールのデータを含む。ツールデータは、一実施例では、チップから電気手術ユニットに伝達される。ユニットは、ツールデータを分析し、そのコネクタが取り付けられる電気手術器具を認識し、確認する。更に、ツールデータは、取り付けられた電気手術器具の作動態様が記載されたスクリプト情報を含む。例えば、スクリプト情報には、電気手術器具に設けられた電極の総数、及び電極の一つ又はそれ以上が使用されている状態、又は器具が電気手術ユニットにうまく電気的に接続されたときに電気手術ユニットに伝達されるべきソフトウェアが含まれる。ツールデータは、更に、器具によって実施されるべき様々な電気手術手順及び対応するエネルギレベル範囲及びこれらの手順の持続時間に関するデータ、器具の電極形態に関するデータ、及び/又は様々な電気手術手順を行うための電極間の切り換えに関するデータを含んでいてもよい。同様に、カスタマイズされたデータ、例えば特定の外科医が好む設定又は実施されるべき外科手術の設定がツールデータに含まれていてもよく、これらのデータは、例えば、電気手術ユニットを所定モードに設定するのに使用され、又は外科医が好む特定の形態、例えば特定の電力設定又は使用者インターフェースの外観又は制御に設定するのに使用される。
【0059】
一実施例では、RFエネルギの供給又は供給停止を行うための電気手術ユニットの性能は限られている。更に、電気手術ユニットは、RFエネルギの供給量又はその強さを漸増又は漸減できる。しかしながら、RFエネルギの制御即ち調節は電気手術ユニットには含まれておらず、即ち組み込まれておらず、その代わりメモリー回路にスクリプト情報として配置されている。スクリプト情報は、使用者がボタンを押したとき又はスイッチ入れたとき、制御電極に示されているように対応する電極にRFエネルギが差し向けられるように、高周波エネルギの供給を指示する制御データを提供する。同様に、制御データは、ボタンが押されたことを確認し認識するための情報を更に含む。器具をユニットに接続するときに電気手術器具とユニットとの間を最初に接続した後、スクリプト情報が電気手術ユニットに伝達される。一実施例では、コネクタ503が再使用されないようにするため、その後の即ちそれ以上のアクセス、即ちスクリプト情報をユニットに送出する要求は提供されず、即ち許容されない。
【0060】
コネクタは、一実施例では、非滅菌コネクタであり、ケーブル及びケーブルが接続される電気手術器具には滅菌処理がなされている。コネクタの非滅菌であるという特徴は、代表的には、他の電気手術システムでは使用されないということに着目されたい。しかしながら、コネクタ内の電気部品、例えばメモリー回路のため、コネクタは、代表的には、容易には滅菌できない。従って、滅菌を行わなければならない電気手術器具にこのような構成要素を埋め込み等で設けることは、代表的には、行われない。しかしながら、別体の取り付け可能なコネクタを提供することによって、滅菌についての懸念が解消された場合には、電気手術システムをカスタマイズでき、及び/又は形成できる。
【0061】
一実施例では、コネクタ503により、電気手術ユニットに接続可能な様々な電気手術器具を調節し又は適合するように電気手術器具をカスタマイズでき、及び/又は形成できる。従って、電気手術器具が時間及び/又は外科手術を変更又は改善し、即ち手術手順を変更すると、コネクタに取り付けられた電気手術器具に合わせて特別に製作したコネクタから電気手術ユニットに最新の情報を供給できる。従って、器具又はツールに対する変更及びツールの定期的アップデートを電気手術ユニットの中断時間なしで迅速に行うことができる。これは、器具を作動するためのソフトウェアが電気手術ユニットでなく電気手術器具自体に含まれているためである。従って、器具の製造中にアップデートを行うことができ、これによって、例えば、電気手術ユニットのアップデートを行うために電気手術ユニットを病院の手術室から運び出したり交換したりする、潜在的に時間及び費用がかかる行為をなくす。
【0062】
更に、コネクタ503により、電気手術器具と電気手術ユニットとを確実に接続する。一実施例では、コネクタに記憶されたスクリプト情報は、関連した電気手術器具のみに適合し、その他の器具に対しては適合しない。例えば、使用者が、提供されたコネクタに血管シーラーを連結する場合、メモリー回路に記憶されたスクリプト情報には、特定の血管シーラーについての情報しか含まれていない。かくして、使用者が同じコネクタを電気メス(このような取り付けを妨げる機械的特徴及び電気的特徴はさておく)等の別の器具に連結すると、電気手術ユニットは、このような器具を認識し及び/又はこのような器具に電力を供給するスクリプト情報を利用できない。このように、使用者がメスを賦勢しても、このような器具についてのスクリプト情報を全く持たない電気手術ユニットは、器具にRFエネルギを供給しない。この例では、提供されたスクリプト情報は、血管シーラーについての情報である。このスクリプト情報を使用することにより、電気手術ユニットは、取り付けられたデバイスが血管シーラーでないことを確認でき、詳細には、提供されたスクリプト情報について適当な器具ではないということを確認できる。これは、一実施例では、取り付けられた器具及び電気手術ユニットの初期ハンドシェークによって認識でき、これによって、スクリプト情報は、器具を適正に使用するための保証を追加する。
【0063】
コネクタ503は、一実施例では、更に、電気手術ユニットに接続するための均等な形態を一方の側又は端部に提供し、他端に電気手術器具のプラグを提供する。ピン又は凹所構成503a、503b''は、電気手術ユニットの器具ポートの対応するピン又は凹所構成と均等に予想通りに噛み合う即ち連結する。同様に、プラグ501dは、コネクタ503の対応するピン又は凹所構成503b''に連結する凹所又はピン構成を含む。カバー502a、502b、及び502cは、プラグ502又はコネクタ503の関連した部品をカバーし即ち包囲する。従って、コネクタ503は、電気手術ユニットと関連した電気手術器具との間を均等に機械的に連結する。従って、製造及び手術での使用が容易である。しかしながら、コネクタ503に設けられた回路は、ユニットと器具との間にカスタマイズされた又は不均等な電気接続部を提供し、及び/又は器具についてのスクリプト情報をユニットに提供する。従って、アップグレードの自在性及び器具のカスタマイズが高められる。
【0064】
RFエネルギを供給する様々なRF電気手術ユニットがあり、同様に、様々な手術で使用される供給されたRFエネルギを受け取るためにこのような電気手術ユニットに接続できる様々な電気手術器具又はツールがあるということは理解されるべきである。しかしながら、特定の仕様又は方法内でRFエネルギが供給される場合、特定の電気手術器具が必要とされ、最適に機能する。幾つかの場合では、このような器具又は電気手術ユニットは単に作動せず、これにより手術チームは器具又は電気手術ユニットが故障したかと驚く。その結果、手術デバイスが誤って廃棄され、外科手術に遅れが生じる。これは問題の原因が調査され、明らかにされるためである。
【0065】
他の場合では、電気手術ユニットが器具にRFエネルギを供給するという意味で、器具又は電気手術ユニットは一緒に作動しない。しかしながら、このようなエネルギの特定の適用を予期する器具又は電気手術ユニットは、デバイスを損傷したり器具を不適正に作動したりし、例えば器具がRFエネルギを適用した後、器具が組織を十分に切断せず、又は血管がシールされない。従って、幾つかの場合では、特定の電気手術器具を特定のRF電気手術ユニットに接続してはならず、その逆を行ってもならない。
【0066】
更に、特別の場合では、手術チームは、特定の外科手術で使用するための電気手術器具又は電気手術ユニットの特殊な作動品質及び性能を期待する。しかしながら、このような作動性能は、特定の電気手術器具を特定の電気手術ユニットで使用した場合にしか得られない。従って、期待された作動品質及び性能を提供するため、このように特定のデバイスを対として使用することが必要とされる。従って、作動品質及び性能を確保し、予想外の作動上の失敗又はデバイスへの損傷を阻止するため、電気手術器具と電気手術ユニットとの間を確実に適正に接続する必要がある。
【0067】
一実施例では、特別の即ち特定の電気手術器具を、電気手術ユニットの特別の即ち対応する特定のソケットに確実に適正に接続するためのシステム及び方法を提供する。かくして、特定されていない電気手術器具を特定のソケットに不適切に接続することが阻止される。このように、とりわけ、これにより、電気手術ユニットの特定の品質及び性能と適合する特定の品質及び性能の電気手術器具だけが使用される。
【0068】
一実施例では、ツールコネクタ503は、電気手術ユニットのツールポートのツールコネクタソケット302と噛み合う。コネクタの凹み及びツールソケットの溝即ちチャンネル303により、器具又はツールの挿入時に適正な配向を確保する。コネクタの凹み及びソケットの溝により、適正な期待通りの器具が、専用の器具ポートに対し、対応する器具ポート、例えばDCポートに差し込まれる。一実施例では、挿入時に、器具プラグのラッチアーム及びソケットの対応するラッチシェルフ301を含むラッチ機構が接続を係止し、その結果、コネクタのフラットサーフィス接触パッドが、電気手術ユニットのソケットの一連の延長ピン304、例えばばね負荷されたポゴピンと係合する。一実施例では、電気手術ユニットのソケットから延びる一連のピンが、コネクタのフラットサーフィスパッドに取り外し自在に電気的に接続される。このように、フラットサーフィスパッドは、ピンを関連したパッドと相互作用し又は相互係止するための機械的コネクタを含まない。更に、一実施例では、コネクタ又はプラグは、ソケットのピンをコネクタに連結する機械的連結部又は相互係止部を含まない。例示の実施例では、接触パッドは、プラグの個々のキャビティ内が凹所をなしており、これらのキャビティは、プラグをソケットに挿入したときに関連した接触パッドと接触するように延びる関連したピンと相互係止しない。一実施例では、ソケットは、更に、ソケット内で凹所をなした、プラグによって、詳細には相互係止ピン又はプラグから延びる突出部504によって作動的に賦勢され、ソケットに挿入されるスイッチ305を含む。一実施例では、ソケットは、対応するプラグとともに円形又は同様の形状であり、これにより電気手術ユニットに沿った全表面積又は作用領域を減少する。一実施例では、ピンはプラグ又はコネクタから延び、フラットサーフィスパッドは電気手術ユニットのソケットに沿ってアレイ状をなしている。
【0069】
様々な実施例において、ツールコネクタプラグ接触パッドの反対側を示す。この図では、暗号化されたツールメモリーチップを収容した回路及び器具への接続を提供するツールコネクタヘッドを持つプリント回路基盤(PCB)が与えられる。ツールコネクタヘッドは、様々な実施例において、器具の電極(最大5個)、機能的器具スイッチ(切断、凝固、及び癒合)、器具位置スイッチ(器具が一杯に開放している及び器具が一杯に閉鎖している)、並びに電気手術器具の三色LEDを電気手術ユニットに接続する。このように、器具ソケットのピン/ソケット整合は、ツールコネクタプラグのピン/ソケット整合と対応する。
【0070】
一実施例では、スクリプトに基づく、又は器具に特定のジェネレータ・インテリジェンス(generator intelligence) が、電気手術ユニットと通信するツールコネクタのメモリーチップの不揮発性メモリー区分に記憶されている。電気手術ユニットの中央演算処理装置(CPU)のスクリプトパーサーが、以下に列挙するがこれらに限定されないツールスクリプト情報を読み取り、演算処理する。ツールスクリプト情報には、期限の認証(元来の製造者の使用を保証する)、使い捨ての保証、器具の有効期限、器具の認識、使用者インターフェースの制御(電気手術ユニットのディスプレー及び/又はトーン)、器具インターフェース設定(平らな、器具に設けられたLED)、ジョーエレメント(一杯に開放した又は一杯にクランプした)の位置に基づいていてもよい電極区分及び電気手術ユニットの設定(電圧及び電流)、時間に基づいて電力を消勢するタイムアウト制限、並びにソケットフィードバック賦勢終了点(例えば、電圧と電流との間の位相に基づく癒合終了点)及び切り換え点(例えば電圧と電流との間の位相に基づく、例えば凝固から切断への、癒合から切断への切り換え)が含まれる。
【0071】
メモリーチップは、一実施例では、以下に列挙するがこれらに限定されない、手順に特定のデータを記憶するため、電気手術ユニットのCPUによって書き込まれる。これらのデータには、使用された電気手術ユニットの製造番号、器具接続のタイムスタンプ、使用した器具の番号、各使用中に使用された電力設定、器具の使用前、使用中、及び使用後の組織フィードバックデータ、器具の使用状態(切断、凝固、癒合)、器具の使用の持続時間、停止点(自動停止、故障、手動停止、等)、並びに故障イベント及び性質(器具のショート、期限切れ、又は器具の未確認等)が含まれる。
【0072】
専用RF器具ソケットについてのピンアサインの一実施例では、1番乃至8番のピン接点をツールメモリー回路用のリザーブにし、9番乃至17番のピンを器具スイッチ及びLED用(切断、凝固、癒合、器具開放、器具閉鎖、赤色、青色、緑色のLED、及びリターン)のリザーブにし、18番乃至22番のピンを5つの器具電極用のリザーブにする。別の実施例では、専用DC器具ソケットについてのピンアサインは、1番乃至8番のピン接点をメモリー回路用のリザーブにし、9番乃至17番のピンを器具スイッチ及びLED用(オン1、オン2、オン3、器具位置1、器具位置2、赤色、青色、緑色のLED、及びリターン)のリザーブにし、20番及び21番のピンをDCに電力を提供するためのリザーブにする。
【0073】
電気手術システム及びプロセスは、様々な実施例において、モノポーラ又はバイポーラの高周波電気エネルギを手術中に患者に加える。このようなシステム及びプロセスは、アクセスが空間的に限られており、視認性のために簡単な取り扱いが求められ、血管の癒合及び他の生物組織の結合、及び組織/血管の切断及び分離に使用される、腹腔鏡手術及び内視鏡手術に特に適している。特定の実施例では、システム及びプロセスは、機械的に圧縮された組織にRFエネルギを加えることにより、組織の癒合、結合、凝固、シール、又は切断を行う。様々な実施例において、電気手術プロセスの終了点の決定は、プロセス中の電圧及び電流の位相シフトを監視し確認することによって与えられる。一実施例では、組織が乾燥し、癒合プロセスが完了したとき、インピーダンスでなく位相シフト変化の方が著しい。従って、インピーダンスを使用する場合よりも更に繊細に値を制御する。従って、電気手術制御装置を介する位相シフトの計測及び監視と関連して電気手術ユニットを介してRFエネルギを加え、電気手術システムの様々な実施例に従って血管及び組織の癒合、結合、凝固、シール、切断、又は他の電気的変異を行う。
【0074】
一実施例では、組織の誘電性を計測し、位相差を制御し、フィードバックすることにより、組織の大きさに関わらず、様々な種類の組織について、正確な制御-フィードバック機構を提供できる。例えば、電気手術ユニットの制御装置は、誘電率と導電率の積並びに加えられた電圧と電流との間の位相差を決定し、組織の電気手術プロセスを監視し制御するように形成されている。詳細には、制御装置の制御-フィードバック回路は、位相差が、誘電率及び/又は導電率の計測値によって決定された位相シフト値に達したとき、これを確認する。このような閾値即ち得られた閾値に達したとき、電気手術プロセスを終了し、別の作業を開始し、別の状態を賦勢する。終了又は状態/作業の変化を知らせる信号を発生するため、例えば視覚的インジケータ又は音響的インジケータ等のインジケータが設けられている。一態様では、制御装置は、電気エネルギが電極を通して送出されることを制限する(完全に、ほぼ完全に、又は所定の最小値まで)。一実施例では、電気手術器具は、制御装置と関連して、これによって、結合組織と非外傷的に接触し、十分なバースト圧力、引張強度、又は破壊強度を組織内に加える。
【0075】
一実施例では、組織が所定の位相(例えば組織の種類に応じて40°乃至60°の範囲)に迅速に達する代りに、計測した位相シフトが切り離し閾値に漸進的に近付く。このように漸進的に近付くには、最終位相閾値に達するのにかなりの時間を必要とする。このように、一定値に達するのに位相値を用いる代りに、追加であるが、最終位相値に漸進的に近付くのを回避するため、位相の誘導(derivate of phase) を使用してもよい。更に、決定された位相値が検出されずに、又は最終位相停止に達したことをプロセッサが認識できる前にオーバーシュートしてもよい。このように、一定値に達するのに位相値のみを用いる代りに、位相の誘導を使用してもよい。
【0076】
上文中に説明したように、及び本願に亘って説明したように、電気手術ユニットは、最終的に、接続された電気手術器具にRFエネルギを供給する。電気手術ユニットは、供給されたRFエネルギが特定のパラメータを越えないようにし、故障状態及びエラー状態を検出する。しかしながら、様々な実施例において、電気手術器具は、外科手術を行うためのRFエネルギを適当に適用するのに使用されるコマンド又は論理を提供する。電気手術器具は、器具を電気手術ユニットと関連して作動することを要求するコマンド及びパラメータを持つメモリーを含む。
【0077】
様々な実施例では、接触されている組織の位相値の連続的及び/又は定期的監視を、一つの組織状態又は種類から次の組織状態又は種類への移行、又は一つの組織状態又は種類から無接触への移行と相関できる。一つの例示の実施例では、栓子41は、接触されている組織の位相の監視に使用される二つの電極44a、44bを含む(図37A及び図37B参照)。栓子41を腹腔に挿入したとき、栓子41の先端が腹壁内にある又は腹壁を通る点を表示するために位相値を使用できる。その点で外科医がガス注入を開始できる。この進入点を視覚的警報、音響的警報、又は触感による警報で表示できる。特定の進入点又は進入状態を特定の外科手術について適当であると確認するため、ガス注入ニードル、プローブ、又は同様の器具を栓子と同様に形成してもよいということは理解されるべきである。同様の適用をステントの配置に適用し、接地パッド等を確実に適正に接触することもできる。更に、位相値、組織確認、又は状態を使用し、触感フィードバックに対する必要をなくすのを補助できる。例えば、ロボットを使用する外科手術及びそこで使用された器具では、確認監視により、組織が切断、シール、又は把握されている「感覚」に対する必要をなくすことができ、このような作業を行うために特定の圧力を及ぼす必要をなくすことができる。
【0078】
様々な実施例において、治療が行われる組織の位相値の連続的及び/又は定期的監視を、組織の種類の変化又はエネルギの送出による組織の性質の変化のいずれかと相関できる。一実施例では、組織の位相値の監視に基づき、器具への電流及び電圧の出力を変化(所望の組織効果(切断、凝固、又は癒合)に基づく増減)でき、電極をアクティブに非アクティブにでき、アクティブ付属装置へのエネルギの送出を開始又は終了できる。
【0079】
本発明の様々な実施例による電気手術器具に対する組織の位相値に基づく電気手術様式移行は以下に列挙する特徴を備えていてもよい。
1.凝固-切断
2.凝固-切断-凝固(自動遮断-位相値に達した又は越えたときRFエネルギを遮断する)
3.凝固-切断-凝固(使用者遮断-外科医がエネルギの送出を解放したときRFエネルギを遮断する)
4.切断-凝固(自動遮断)
5.切断-凝固(使用者遮断)
【0080】
一実施例では、特定の位相値の組織と接触したとき、アクティブ器具の様式(切断、凝固、及び癒合)をアクティブ又はインアクティブにできる。別の実施例では、特定の位相値の組織と接触したとき、器具は、所定の位相値に達するまで、組織にエネルギを自動的に提供できる(切断、凝固、癒合、結合、又はこれらの任意の組み合わせ及び/又は上述の様式)。
【0081】
一実施例では、アクティブ器具が接触した組織の種類を表示するために視覚的、音響的、及び/又は触覚的表示を使用でき、これによって、電気手術器具は、特定の組織の種類を探すことができる。アクティブ電気手術器具の多数の電極と組み合わせて使用したとき、組織の種類の組み合わせを視覚的、音響的、及び/又は触覚的に表示でき、特定の電極を賦勢し、エネルギをデバイスの一部に所望の通りに提供し、特定の外科手術を特定の組織に基づいて行う。
【0082】
一実施例では、バイポーラRFエネルギを使用して組織を切断するため、処理がなされる組織は、コラーゲンシールだけが残る点まで乾燥又は脱水できない。この点で、「シール」は、バイポーラエネルギ送出を使用して組織を必要なだけ又は安全に切断するように電気を伝えることができない(例えば、組織の抵抗が高すぎる)。同様に、この点で、シール又はシールの周囲の組織を機械的(エネルギが加えられていない)ブレード又は切断器具を使用して切断することは、例えば組織の石灰化のため、困難である。従って、位相値を使用して「予備切断」即ち「部分シール」の移行を確認する場合、組織の完全な凝固を示す所定の位相値よりも低い周知の位相まで組織を凝固できる。次いで、切断を行う(機械的に又は電気的に)。切断後、組織の完全なシールを示す所定の位相値に達するまで、エネルギの送出を続行する。
【0083】
電気的に切断される組織が導電性であるように、切断されるべき組織に加わる熱損傷又は乾燥は最小でなければならないということは理解されるべきである。一実施例では、電気手術器具は、45°の位相シフトでデバイスのジョーの外側の横方向熱損傷を約1mm乃至2mmにする。電気手術器具の凝固電極間の間隔は約0.040インチ即ち1mmであり、45°を越える位相シフトで、効率的には切断できない程組織が乾燥する。このように、一実施例では、電極間の間隔が大きければ大きい程、予備切断移行点又は条件が高く設定され、予備切断移行支持が低いと電極間隔が狭まる。予備切断移行が低いということは、組織の完全凝固に対し、凝固が起こり難い位相値を表す。更に、比較的接近した電極に対し、RFエネルギ、例えば電圧を高速で即ち急な速度で加える。これは、予備切断移行が、電極間の間隔が大きい場合の予備切断移行よりも低いためである。同様に、比較的大きく間隔が隔てられた電極に対し、RFエネルギを低速で即ちあまり急でない速度で加える。更に、組織がジョー間に挟まれた状態で、状態内の組織にジョーの外側縁部よりも高い温度を加える。このように、ジョーに挟まれていない即ち低い温度が加わっている組織の熱損傷は低く、これにより比較的高い予備切断移行点を使用できる。
【0084】
図40図41、及び図42を参照すると、一実施例では、予備切断プロセスを示す。このプロセスでは、先ず最初に、圧力のボタン又はスイッチを賦勢することにより生じる切断コマンド(601)を受け取ることによってプロセスを開始する。切断ボタンを押したことは、電気手術器具に接続された電気手術ユニットに伝えられ、電気手術ユニットによって認識される。一実施例では、電気手術ユニット内のプロセッサが電気手術器具へのRFエネルギの出力即ち供給を指令し、即ち開始する(603)。しかしながら、供給されたRFエネルギは、電気手術器具のジョーに配置された組織を切断するには不十分である。その代わり、供給されたRFエネルギは、組織の切断に十分なエネルギよりも低く、凝固に使用される。プロセッサは、組織に供給されているRFエネルギの電流と電圧との間の位相を監視する(605)。一実施例では、電流及び電圧を監視する回路及びフィルタにより、RFエネルギの電流と電圧との間の位相を監視する。予備切断位相状態又はスイッチに対して比較を行う(607)。一実施例では、予備切断位相状態は、特定の電気手術器具及び組織の種類に特定の所定の値又は値の範囲である。組織は、使用されることが示された組織であり、又は器具にとって特定的に使用され、又は治療される組織である。他の実施例では、予備切断位相状態を、例えば組織の誘電率及び/又は導電性の計測値により、組織の種類についての初期決定又は定期的決定に基づいて、又はこれに対して動的に決定し、所与の種類の組織に対し、様々な所定値又は値の範囲を確認する。例えば、組織の種類の初期決定を使用し、経験的に又はその他の方法で、予備切断位相状態を確認するための最適の位相値又は特定の位相値であると予め決定された値、例えば予備切断位相値の表と比較する。
【0085】
上文中に説明したように、予備切断位相状態は、RFエネルギが加えられた組織がほぼ凝固したが完全凝固状態に至っていない、例えば組織がほぼ完全に乾燥し、脱水し、及び/又は石灰化した点又は状態として確認される。予備切断位相スイッチ(pre-cut phase switch)に達した又は越えたことが確認されていない場合には、プロセスを続行し、RFエネルギを供給し続け、位相を監視する。予備切断位相状態に達したことが確認された後、組織の切断に移行する。一実施例では、プロセッサは、電気手術器具のジョーのところにある組織を切断する上で適当なRFエネルギの上昇又は開始を指令し、又は開始する(609)。一実施例では、組織の予備切断後に切断するためのRFエネルギの適用は、電気手術ユニットが最大出力電圧に達し、これを提供する速度を加速するように迅速である。電圧が長い強化サイクル(long ramp-up cycle)又はステップ関数に従って増大する場合には、切断しようとする組織は凝固してしまう。このように、電気手術ユニットが切断電圧レベルに達する時間によって、組織は適切に切断するには乾燥し過ぎてしまう。
【0086】
一実施例では、組織が適正に切断されたことを確認するため、加えられた電流と電圧との間の位相を計測及び/又は監視するとき、プロセスを続行する。更に、一実施例では、組織の切断後、凝固を行うためのRFエネルギが組織に再び加えられるため、組織の完全凝固を行う又は開始することができ、組織が凝固したことを確認する。
【0087】
組織の予備切断及びその後に行われる切断は同じ又はほぼ同じであるが、組織は、先ず最初に予備切断状態まで凝固した周囲組織に関し、次いで、ほぼ凝固した組織間の組織を切断する。凝固RFエネルギ及び/又は切断RFエネルギの適用は、関連したRFエネルギを供給する電極で決まるということに着目されたい。このように、影響が及ぼされた組織は、電極の様々な組を使用して予備切断及びその次に切断されるべき電極位置からのRFエネルギ適用位置に基づいていてもよい。例えば、切断コマンドが開始されたとき、一つ又はそれ以上の電極を賦勢してRFエネルギを加え、一つ又はそれ以上の電極と接触した組織を凝固し、ひとたび予備切断状態に達した後、一つ又はそれ以上の別の電極を賦勢し、RFエネルギを加え、これらの異なる電極と接触した組織を切断する。かくして、一実施例では、電気手術器具の切断ボタンを押したとき、一つの領域の組織にRFエネルギを供給して凝固状態から予備切断状態にし、次いで別の領域の別の組織にRFエネルギを供給し別の組織を切断する。一実施例では、凝固を行うためにRFエネルギを伝達する上で一つ又はそれ以上の電極を使用し、切断を行うためにRFエネルギを伝達する上で凝固に使用された電極以外の一つ又はそれ以上の電極を使用する。更に、凝固及び切断の両方でRFエネルギの伝達に使用される共通の電極として一つ又はそれ以上の電極を使用してもよい。
【0088】
一実施例では、電気手術ユニット420は、入出力回路422、RF供給回路424、位相弁別器426、及びプロセッサ428を含んでいてもよい。一つ又はそれ以上の回路が入出力回路422に含まれていてもよい。入出力回路422は、RF供給回路424からRFエネルギを受け取り、これを電気手術ユニット420及びこれに接続された電気手術器具(図示せず)に伝達する。入出力回路422は、更に、電気手術器具から、及び/又はそれらの間のコネクタを通してツールデータ及び/又は組織データを受け取る。一実施例では、位相弁別器は、RF供給回路424から供給された電圧と電流との間の位相差を計算する。一実施例では、加えられた電圧及び電流を、例えばXOR論理ゲートを通して整流し、比較し、又は組み合わせ、パルス幅変調信号を発生する。発生した信号のデューティーサイクルは、加えられた電圧と電流との間の位相差を表す。次いで、決定された位相差をプロセッサに供給する。プロセッサは、電気手術器具と接触した特定の組織に基づく所定の位相閾値と比較する。一実施例では、プロセッサは、切断を完了するため、予備切断状態を決定する上文中に説明したプロセスを提供する。
【0089】
一実施例では、電気手術ジェネレータは、RF増幅器633、RF増幅器制御装置及びモニタ634、エネルギモニタ642、及びリレー及び組織計測装置635を含む。電気手術ジェネレータは、120Hzの電圧主入力に接続されている。主入力は、電源631の低漏絶縁変圧器で絶縁されている。電源は、制御プロセッサ637及びRF増幅器633に対して作動電圧を提供する。更に、電源は、100VDC及び8A(アンペア)の総出力を提供するために直列に接続された二つの50VDC出力モジュールを含む。RF増幅器がRF電力を発生する。例えば、切換モード低インピーダンスRFジェネレータがRF出力電圧を発生する。一実施例では、切断用の500ピークカット電圧及び凝固/癒合用の7Aの電流を発生する。
【0090】
一実施例では、組織の癒合は、比較的大きな組織片にRF電流を加える工程を含む。ツール接触領域が潜在的に大きいため、組織のインピーダンスは非常に低い。従って、有効な量のRF電力を送出するため、RF増幅器の電流容量は大きい。このように、代表的なジェネレータが2A乃至3Aの電流を発生できる場合には、ジェネレータのRF増幅器は、低インピーダンスの負荷に5A以上のRMSを供給できる。その結果、隣接した組織に対する損傷を最小にして組織を迅速に癒合する。
【0091】
RF増幅器回路は、電圧の監視及び電流の監視の両方を行う。一組の電圧センサ及び電流センサをRF増幅器制御装置及びモニタ634に接続し、これらのセンサを使用してサーボ制御を行う。電圧及び電流は、RF増幅器制御装置及びモニタに配置されたアナログ-デジタルコンバータ(ADC)を使用してプロセッサ637によって読み取ることもできる。RF増幅器制御装置及びモニタは、更に、電圧及び電流の積を計算することによって電力を計算するアナログ乗算器を有する。RF増幅器制御装置及びモニタは、電圧及び電流の平均値を使用し、位相角を含まず、及びかくして実際には、実際の電力でなく、ボルトアンペア無効電力(VAR)を計算する。電圧センサ及び電流センサの第2の組をエネルギモニタ642に接続する。電圧及び電流の重複監視を行うため、信号をADCに接続する。プロセッサは、電圧及び電流の読みを乗じ、電力出力が400W(ワット)を越えないことを確認する。エネルギモニタは、RF増幅器制御装置及びモニタから完全に独立したモニタリング回路を有する。これは、独立した電圧基準を持つADCを含む。
【0092】
RF増幅器は、一実施例では、スイッチングクラスDのプッシュプル回路である。このように、増幅器は高インピーダンスの組織に大きなRF電圧を発生でき、大きなRF電流を低インピーダンスの組織に発生できる。RF増幅器の出力レベルは、パルス幅変調(PWM)によって制御される。この高電圧PWM出力信号をRF増幅器の低域フィルタによって正弦波にする。フィルタの出力は、RF増幅器の凝固出力である。出力変圧器によって出力電圧を更に逓昇し、RF増幅器の切断出力を得る。RF増幅器制御装置及びモニタの制御サーボに一度に一つの出力だけが接続され、一度に一つの出力だけが使用されるように選択される。
【0093】
RF増幅器には、RF増幅器制御装置及びモニタ634が接続されている。RF増幅器制御装置及びモニタ634は、一実施例では、電圧及び電流の設定点を受け取る。これらの設定点は、RF増幅器の出力レベルを設定するため、使用者によって、使用者インターフェースを通して入力される。使用者設定点をRF増幅器制御装置及びモニタ634のアナログ-デジタルコンバータによって作動レベルに移行する。使用者設定点をRF増幅器制御装置及びモニタ634のアナログ-デジタルコンバータによって作動レベルに移行する。設定点は、一実施例では、最大電圧出力、最大電流出力、最大電力出力、及び位相停止を含む。RF増幅器制御装置及びモニタ634のサーボ回路は、RF出力を三つの設定点に基づいて制御する。サーボ回路は、電圧、電流、及び電力の設定点を越えないようにRF増幅器の出力電圧をこのように制御する。例えば、ESGの出力は、400W未満に制限される。個々の電圧及び電流の設定点は、組織のインピーダンスに応じて400Wを越えるように設定できる。従って、電力サーボは、電力出力を400W未満に制限する。
【0094】
RF出力電圧及び電流は、フィードバック制御システムによって調整される。出力電圧及び電流を設定点値と比較し、出力電圧を調節し指令された出力を維持する。RF出力は400Wに制限される。RF出力及び制御信号を多重送信するため、リレー635を使用することによって、二つのツール接続部が支持される。EMIラインフィルタ636が、RF絶縁変圧器及び結合コンデンサーを使用することによって、RF漏れ電圧を制限する。
【0095】
RF増幅器の切断出力電圧及び凝固出力電圧をリレー及び組織計測回路635に連結する。リレー及び組織計測回路635は、一実施例では、RF増幅器の出力を電気手術ユニットの三つの出力ポートのうちの一つに差し向けるリレーマトリックスを含む。リレーマトリックスは、更に、ツール電圧の形態を選択する。RF出力は、リレーの接点が損傷しないように、リレーのスイッチを入れる前には常にスイッチが切られている。スタック状態のリレーを緩和し、RFをアイドル出力ポートに向けるため、各出力ポートは漏れ電流センサを有する。センサは、一つのツールポートを出て別のツールポートを通って戻る電流等のRF電流のアンバランスを探す。電流センサは、リレーPCBに配置され、検出器及びADCはエネルギモニタPCBに配置される。CPUは、漏れ電流についてADCを監視する。故障が検出されると、RF電力オフ状態にする警報状態になる。
【0096】
リレー及び組織計測回路は、更に、RF電力をオン状態にする前にツールのインピーダンスの計測に使用される低電圧ネットワーク分析回路を含む。回路は、インピーダンス及び組織位相角を計測し、一実施例では、100Hzで作動する10V信号を使用する。プロセッサ637は、インピーダンスの計測値を使用し、ツールが短絡しているかどうかを確認する。ツールA又はBが短絡している場合には、システムが使用者に警告し、RF電力をオン状態にしないようにする。RF増幅器は、短絡から完全に保護されている。サーボ設定に応じて、システムは、短絡状態になるが、故障状態を生じない。一実施例では、初期インピーダンス及び/又は位相の計測値が、ジョーが開放している、及び/又はジョーと接触している組織がない、及び/又はジョーが汚れている、例えば邪魔な過剰の焼痂が溜まっているかどうかを決定できる。
【0097】
絶縁変圧器を使用することによって、電圧及び電流のフィードバックが提供され、低漏れ電流を保証する。プロセッサ637は、RF増幅器の電力出力を計算し、これを電力設定点と比較する。電力設定点は、一実施例では、使用者によって入力される。プロセッサ637は、更に、位相遅れ又は電流と電圧との間の差を監視する。更に、一実施例では、プロセッサは、組織の種類で決まる様々な位相設定を監視された位相差に対して一致する。このようなプロセッサは、RFエネルギの適用前に組織の位相シフトを計測する。以下に更に詳細に説明するように、位相の計測値は、組織の誘電率及び/又は導電性と比例し、これにより組織の種類を独特の方法で確認する。組織の種類が確認されると、その組織の種類の終了点決定と関連した位相角を決定できる。ジェネレータは、一実施例では、三つのRF出力ポート(ツールA、ツールB、及びジェネリックバイポーラ)を有する。ツールA及びBのポート639は、スマートツールの連結に使用されるのに対し、ジェネリックバイポーラポート640は標準的な電気手術ツールを支持する。RF出力がアクティブである場合又は警報状態が存在する場合には可聴音が発生する。
【0098】
ハンド制御装置及びフット制御装置もまた、漏れ電流を制限するために絶縁されている。制御プロセッサはRF出力を可能化する前に有効な選択を行うため、入力をチェックする。スイッチからの二つの制御入力が同時に賦勢されたとき、RF出力がオフ状態にされ、警報が発生する。デジタル-アナログコンバータを使用し、制御出力をアナログサーボ制御装置(Analog Servo Control)が使用できる信号に変換する。制御設定点は、出力電圧及び電流である。アナログ-デジタルコンバータを使用し、アナログ位相角度計測値を演算処理する。更に、制御装置からの電圧RMS及び電力RMS情報を使用者へのプレゼンテーションに使用可能な形態に変換する。デジタルI/Oバスインターフェース638が、使用者、制御装置、及びハンド/フットスイッチとの間をデジタルで通信する。電気手術ジェネレータからの可能な漏洩路をなくすため、絶縁回路を使用する。これもまた、使用者とジェネレータとの間をデータチャンネルプロトコルを通して通信する。
【0099】
一実施例では、ユニットには四つのツールインターフェース回路がある。これらの回路は、使用者入力スイッチをシステム内部の主電源から電気的に絶縁するのに使用される。四つのツールインターフェース回路は同じであり、使用者スイッチ入力を読み取るための機内マイクロプロセッサ並びにツール暗号メモリー及びスクリプトメモリーを有する。汚れたスイッチ接点が閉鎖していると読み取られることがないように、スイッチ閉鎖抵抗(switch closure resistance) をADCで計測する。300Ω以下のスイッチ閉鎖が有効であるのに対し、1000Ω以上の読みは開放である。300Ω乃至1000Ωの読みが、故障入力であると考えられる。
【0100】
四つのツールインターフェース回路は、RS485ネットワークを使用してプロセッサと通信する。各ツールインターフェース回路は、ユニットでのそのアドレス及び位置を選択するためのジャンパーを有する。生じる可能性がある漏洩電流路をなくすため、RS485インターフェースを絶縁する。一つのツールインターフェース回路がツールA及びBポートの各々に接続する。第3ツールインターフェース回路は、DC出力ポートに接続されており、第4回路は、後パネルフットスイッチ入力に接続されている。プロセッサはネットワークのマスターであり、四つの回路はネットワークのスレーブである。プロセッサは、入力のため、各回路をポーリングする。ツールインターフェース回路は、コマンドに対してしか応答しない。これによりネットワークを決定論的にし、何らかのデッドロックを阻止する。各ツールインターフェース回路は、システムOK(System OK) の論理信号に接続される。ツールインターフェース回路によってシステムエラーが検出された場合、この信号を真実であると主張する。プロセッサはこの信号を監視し、故障を表示する。この信号は、更に、RF増幅器制御装置及びモニタ634へのハードウェア接続部を有し、真実であると主張された場合、RF増幅器を使用禁止にする。システムエラーは、同時に賦勢した二つの入力スイッチで起こるか或いはプロセッサとの通信が失われたことにより生じる。ツールA及びBポート並びにDCポートは、ツールをソケットに差し込んだときにこれを検出するマイクロスイッチを有する。このスイッチが押されるまで、ツールインターフェース回路の前パネル接続部は、前パネル接続部から漏洩電流が流れないようにオフ状態に形成されている。スイッチが押されると、ツールインターフェースにより、プロセッサは、ツール暗号メモリー及びスクリプトメモリーからの読み取り及びこれらへの書き込みを開始できる。ツールの検出後、使用者インターフェースディスプレーのウィンドウを開放し、接続されたツールの種類及び状態を示す。ジェネリックバイポーラポートは、コンフィギュレーションメモリーを持たないレガシーツールを支持する。組織計測回路を使用し、バイポーラ接続部の接点を監視する。バイポーラツールが接続されたとき、ツールの静電容量が検出され、プロセッサが使用者インターフェースディスプレーのバイポーラツールウィンドウを開放し、バイポーラツールの状態を示す。DCポートを使用し、直流12Vが加えられるカスタム手術ツールとのインターフェースを形成する。ツールをこのポートに差し込んだとき、使用者インターフェースディスプレーのウィンドウを開放し、接続されたツールの種類及び状態を示す。DCツールスクリプトコマンドを賦勢したとき、プロセッサは、電力制御絶縁回路(Power Control and Isolation circuitry) 643のリレーを閉じ、絶縁された12Vツール電力をオンにする。
【0101】
電力制御絶縁回路643には、この他の二つの特徴がある。電力制御絶縁回路643は、RF増幅器を駆動する100V電源を制御する。この電源は、RF増幅器制御装置及びモニタから制御されるリレーによってオンにされる。プロセッサは、RF増幅器制御装置及びモニタを介してこの電源にコマンドを提供する。RF増幅器制御装置及びモニタがリセットされた場合、又は故障状態を検出した場合、リレーは作動せず、100V電源をオフ状態のままにする。更に、電力制御絶縁回路には、RS485絶縁回路が配置されている。これは、余分の絶縁層を追加する。
【0102】
前パネルインターフェース回路641を使用し、前パネル制御スイッチ及びLCDディスプレーをプロセッサに接続する。前パネルインターフェース回路は、更に、主電源がオンである場合にはいつでもオンである、絶縁された待機電源によって電力が提供されるマイクロプロセッサを含む。前パネルの電源ボタンを押すと、マイクロプロセッサは、電力制御絶縁回路のリレーを使用し、主論理電源をオンにする。ボタンを押して電力をオフにしたとき、マイクロプロセッサは、電力オフ要求信号をプロセッサに送る。プロセッサがいつでも電力を切る準備ができている場合には、電力を切る信号をマイクロプロセッサに送る。次いで、電力制御リレーを開放し、主電源をオフにする。
【0103】
一実施例では、ジェネレータは、一つのスイッチ入力コマンドしか受け入れない。RFがアクティブでない状態では、例えばRFエネルギが加えられ、多数のスイッチが閉じ、フットスイッチ、ツール、又はフットスイッチ及びツールの組み合わせが無視される。RFがアクティブな状態では、二つの閉鎖により警報及びRFを終了する。フットスイッチは、一実施例では、RFエネルギの適用を賦勢する一時的スイッチを含む。スイッチは、例えば凝固、切断、及び/又は凝固又は切断を順次行うため、その操作時にRFエネルギの賦勢を開始する。フットペダルスイッチに設けられた2位置押しボタンにより、異なるツール間でトグル切り換えを行うことができる。ジェネレータのディスプレー及びハンドツールのLEDにアクティブポートを表示する。
【0104】
一実施例では、全てのRFを賦勢することにより、RFオントーン(RF ON Tone)にする。アクティブ化音量(activation tone volume)は、後パネルに取り付けられた制御摘まみで、40dBA(最小)乃至65dB(最大)で調節自在である。しかしながら、音量の制御は、警報用の音響音量に影響を及ぼさない。更に、一実施例では、汎用入力電源がジェネレータに接続されており、スイッチ又は設定を使用せずに入力電圧及び周波数範囲に亘って作動する。一実施例では、プログラミングポートを使用し、コードをジェネレータにダウンロードし、これを使用して作動データをアップロードする。
【0105】
ジェネレータは、一実施例では、3Aで直流12Vの出力電力を提供する。直流電力を使用するこのようなツールの例には、吸引/潅注ポンプ、ステープラー、及びモルセレータ(腫瘍等を小片に分割して除去するためのツール)が含まれるが、これらに限定されない。DCコネクタは、直感的一方向接続部を有する。他のツールソケットと同様に、非滅菌電子チップモジュールを適当な直流型ハンドツールのコネクタに従来の一方向係止機構によって加える。コネクタ及びチップモジュールの両方に設けられたツールに特有の彫刻により、当該チップモジュールが、プログラムされた種類のツールにしか適合しないようにする。チップコネクタによりツールは認識でき、ツールのデータの記憶を使用する。DCコネクタは、更に、不適当な挿入が行われないように形成されている。ジェネレータは、更に、取り付けられた直流型ツールを認識するように形成されている。ジェネレータはツールコネクタから形態データを読み取り、ツールが使用するデータをツールが認識し記憶できる。
【0106】
一実施例では、位相計測は、二つの正弦波信号間の相対的計測である。一方の信号を基準として使用し、その基準に対する位相シフトを計測する。信号が時変であるため、計測を瞬時に行うことはできない。信号間の差を決定できるように十分に長い時間に亘って信号を監視しなければならない。代表的には、二つの周知の点(正弦波がゼロと交差する)間の時間差を計測し、位相角を決定する。位相制御装置(phase controller) の場合には デバイスは、正確な水晶時計で出力正弦波を形成する。同じ正確な時計を使用し、入力サンプルをアナログ-デジタルコンバータで読み取る。このようにして、フェイズド制御装置(phased controller)の出力は、位相制御装置の出力と正確に同位相である。位相制御装置は、一実施例では、入力正弦波信号を基準正弦波と比較し、位相シフト量を決定する。
【0107】
位相制御装置は、離散フーリエ変換(DFT)として周知の数学的手段による計算を使用してこの比較を行う。この特定の場合、1024個の入力信号のサンプルを、正弦関数及び余弦関数の両方と一つずつ相関する。慣例により、余弦部分を実部と呼び、正弦部分を虚部と呼ぶ。入力信号に位相シフトがない場合には、DFTの結果は100%実部である。入力信号の位相シフトが90°である場合には、DFTの結果は100%虚部である。DFTの結果が実部及び虚部の両方を含む場合には、位相角を虚部の値及び実部の値の逆正接として計算できる。
【0108】
位相角の計算は、実数及び虚数の単位とは別個であるということは理解されるべきである。比だけが問題なのである。位相制御装置の位相結果もまた、ゲインとは無関係であり、位相角計算プロセスでインピーダンスの計算は行われない。DFTを実行することによって、位相制御装置は位相計測を一対の数としてエンコードする。
【0109】
様々な実施例によれば、エネルギ送出前の位相終点の正確な知識により、トリガー制御、他の電気手術ユニットよりも多くの電流の送出(7A、400W)を行うことができる。様々な実施例によれば、各器具コネクタの器具キー部分のメモリー性能により、電気手術ユニットと器具のキー又はコネクタとの間で読み取り及び書き込みを行うことができる。情報には、治療記録データ(エネルギプロファイル、組織の種類、等)、又はデバイスが再使用されないようにするデータが含まれていてもよい。一実施例では、使用期限(UBD)、使用回数、デバイスの製造番号、及び最初の使用値後の期限切れを暗号化し、器具キーが再処理及び再使用されないようにする。一例では、在庫管理を補助するため、情報には、器具をユニットに接続したとき、引き出してメモリーに記憶できる電気手術ユニットの製造番号が含まれる。次いで、製造番号等の情報をロット及び販売のデータと平行して使用し、電気手術ユニットの場所を確認し、及び/又は電気手術ユニットの動きを追跡する。同様に、GPS、RFID、IPアドレス、セルラートライアンギュレーション(cellular Triangulation)を使用するロケータ又はトラッカを器具及び/又は電気手術ユニットに組み込んで電気手術ユニット又は器具の場所を確認し、追跡してもよい。
【0110】
一実施例では、情報には、手順中に遭遇する組織の種類の記録等のメトリックス及び/又は器具又は電気手術ユニットの追跡性能(使用頻度、手順の数、等)が含まれていてもよい。予めカスタム化した外科医の設定には、コネクタ又は器具キーに記憶され、接続時に電気手術ユニットに読み込まれるデータ出力パラメータ(例えば電圧、電流、及び電力)が含まれていてもよい。器具/コネクタの発送前に特定の設定をプログラムし又は記憶してもよい。更に、器具/電気手術ユニットの診断情報が含まれていてもよい。例えば、較正及び出力確認情報が電気手術ユニットに記憶されていてもよく、その場合、接続時に器具キーにダウンロードされる。一実施例では、メモリー及び電気手術ユニットの器具ポートを介してソフトウェアアップグレードを送出してもよい。
【0111】
一実施例では、電気手術ジェネレータ又はユニットは、標準的なバイポーラ器具の挿入/接続を自動的に感知でき、又は確認できる。一実施例では、電気手術ユニットは、標準的なバイポーラ器具を補償でき、組織又はその状態を位相監視及び/又は確認する。例えば、組織計測回路は電気手術ユニットに含まれていてもよく、又は器具と電気手術ユニットとの間の中間コネクタであってもよい。回路及び/又はプログラムは、位相監視及び/又は組織の種類又は状態を確認する機能を備えていてもよい。組織計測回路は、一実施例では、位相計測調節回路、又は回路及び組織とツールポートとの間を延びるケーブルのインピーダンスを考慮するプログラムを含んでいてもよい。回路は、更に、器具による位相値の実際の変化が温度変動による潜在的変化よりも小さいため、温度補正を含んでいてもよい。
【0112】
組織を電気的に特徴付ける場合にインピーダンスでなく、電圧と電流との間の位相差を癒合プロセス又は結合プロセスで制御値として使用することを詳細に示す。血管及び組織が時間依存オーム抵抗R及び静電容量Cを並列に備えている場合(これらは、両方とも、組織の大きさ及び種類で決まる)、位相差を以下の式で得ることができる。

R=(ρ・d)/A
ここで、Rはオーム抵抗であり、ρは比抵抗であり、Aは面積であり、dは癒合組織の厚さである。

C=1/(ω・C)
ここで、Xcは容量性インピーダンスであり、ωは周波数であり、Cは組織の静電容量である。

C=(ε・ε0・A)/d
ここで、ε及びε0は、比誘電率及び絶対誘電率である。

位相差φは、以下のように表現できる。

φ=arctan(XC/R)=arctan〔(ω・ε・ε0・ρ)-1
ここで、ρは、導電率の逆数に等しい。
【0113】
このように、(オーム)抵抗Rでなく位相差φを監視すること間の相違は、φが加えられた周波数ω及び材料特性(即ち誘電率及び導電率)のみで決まり、組織の寸法(即ち圧縮された組織の面積A及び組織の厚さd)に左右されない。更に、位相差の相対的変化は、癒合プロセスの終了時に、組織抵抗の変化よりも非常に大きい。よって、計測を更に容易に且つ更に正確に行うことができる。
【0114】
更に、特定の周波数での組織の初期誘電特性(誘電率ε及び導電率)を計測することにより、組織の種類を決定できる。誘電率ε及び導電率の積の値が増大する様々な種類の生物学的組織の350kHz(この周波数は、代表的な電気手術ジェネレータの周波数範囲内にある)の周波数での誘電特性を図30に示す。組織を実際に癒合する前に、又は結合プロセス前に組織の誘電率ε及び導電率(これらは材料特性であり、組織の寸法とは無関係である)の積を計測することによって、特定の生物学的組織を適切に癒合又はシールする上で必要な位相シフトを決定できる。夫々の種類の組織を確実に癒合し又はシールするのに必要な位相シフトを、組織の誘電率ε及び導電率の積の関数として計測する。更に、終点決定を組織決定の初期位相の読みの関数として示すことができ、同様に、終点決定を組織の特性の関数(導電率×比誘電率)として示すことができる。
【0115】
その結果、(a)組織の誘電特性を計測し、(b)位相差を制御しフィードバックすることにより、組織の大きさに関わらず、様々な種類の組織用の正確な制御-フィードバック機構を提供でき、標準的な電気手術電源を使用できる(これらの電源は、非常に狭い周波数範囲で個々に作動する)。しかしながら、組織特性計測値の固有振動数は、位相の固有振動数と同じであってもよいし異なっていてもよいということに着目されるべきである。しかしながら、組織の計測がジェネレータの駆動周波数に基づき、様々なジェネレータが使用された(これらは全て、非常に近い出力範囲で作動する)場合には、終点が異なる。従って、このような場合には、(1)外部計測信号(これは同じ周波数の信号である)を使用するか或いは(b)スタンドアロン型ジェネレータを使用するのが望ましい。
【0116】
このように、制御装置は、誘電率及び導電率の積、並びに加えられた電圧と電流との間の位相差を決定し、組織の癒合プロセス又は結合プロセスを監視し制御するように形成されている。詳細には、誘電率及び導電率の計測結果によって決定された位相シフト値に位相差が達したとき、制御装置の制御-フィードバック回路が決定する。この閾値に達したとき、癒合プロセス又は結合プロセスを終了する。この終了を知らせるインジケータ、例えば視覚的インジケータ又は音響的インジケータが設けられており、一態様では、制御装置は、電極を通して電気エネルギを更に送出することを(完全に、ほぼ完全に、又は所定の最小値に)制限する。このように、組織をシール、結合、又は連結するツールは、連結組織と非外傷的に接触し、組織内に十分なバースト圧力、引張強度、又は破壊強度を提供する。
【0117】
一実施例では、モノポーラ器具を電気手術ユニットに接続できるバイポーラ/モノポーラの単一のコネクタプラグが提供される。一実施例では、コネクタは、別の電極(例えば第6電極(F))として作用する、電気手術ユニットの内部リレーにより電気手術ユニット420のオン及びオフを行う接地パッドポート310を含む(図38及び図39参照)。リレー/電極形態のプログラム又は器具のパターン(例えばコネクタのメモリーに記憶されている)に基づき、電気手術器具450は、切断及び凝固を、バイポーラで、モノポーラで、及びその両方のいずれかで行うことができる。一実施例では、バイポーラモードでは、電気手術ユニット420は二つ又はそれ以上の電極、例えば電極B及び電極Cを使用し、アクティブ経路及び戻し経路を形成し、モノポーラモードでは、電気手術ユニットは、電極の一つ又はそれ以上、例えば電極A乃至電極Eをアクティブ電極として使用し、接地パッド315を戻しのみ電極310、例えば電極Fとして使用する。一実施例では、電気手術器具の内部又は外部のスイッチ、コネクタ、及び/又はポートを使用し、モノポーラ作業を使用していることを確認し、電気手術ユニットに通知する。更に、一実施例では、モノポーラパッドが取り外されており、患者との十分な接触及び/又は電気手術器具に対する導電性を提供しないかどうかを確認するのに、加えられたRFエネルギの位相計測を使用できる。
【0118】
電気手術ユニット、器具、及びこれらの間の接続、その作動及び/又は機能のこの他の例は、2009年4月1日に出願された「電気手術システム」という表題の米国特許出願第12/416,668号、2009年4月1日に出願された「電気手術システム」という表題の米国特許出願第12/416,751号、2009年4月1日に出願された「電気手術システム」という表題の米国特許出願第12/416,765号、及び2009年3月31日に出願された「電気手術システム」という表題の米国特許出願第12/416,128号に記載されている。出典を明示することにより、これらの出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0119】
本願は特定の好ましい実施例及び例を開示するが、本発明は具体的に開示した実施例を越えて、他の変形例及び/又は本発明の使用及びその明らかな変更及び等価物を含むということは当業者には理解されよう。更に、これらの発明の様々な特徴は、単独で使用してもよいし、上文中に明確に説明した以外のこれらの発明のこの他の特徴と組み合わせてもよい。かくして、本明細書中に開示した本発明の範囲は、上文中に説明した特定の開示の実施例によって限定されず、以下の特許請求の範囲を正しく読むことによってのみ決定されるべきである。
【符号の説明】
【0120】
10 癒合-切断電気手術器具
12 ジョー
14 アクチュエータ
16 シャフト
112 トリガー
116、118 スイッチ
102 第1ジョー
103a 第1電極
103b 第2電極
104 第2ジョー
105a 第3電極
105b 第4電極
図1
図2A
図2B
図3A-1】
図3A-2】
図3A-3】
図3A-4】
図3A-5】
図3A-6】
図3A-7】
図3A-8】
図3B-1】
図3B-2】
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B-1】
図13B-2】
図13B-3】
図13C-1】
図13C-2】
図13C-3】
図13C-4】
図13C-5】
図13C-6】
図13C-7】
図13C-8】
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図15G
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30A
図30B
図31
図32
図33
図34A
図34B
図35A
図35B
図36A
図36B
図36C
図36D
図37A
図37B
図38
図39A-1】
図39A-2】
図39B
図40
図41
図42
【手続補正書】
【提出日】2024-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気手術器具において、
第1ジョーと、
前記第1ジョーとの間に組織を捕捉するため、前記第1ジョーに連結された、前記第1ジョーと向き合った第2ジョーと、
前記第1ジョーに接続され、前記第1ジョー内の第1位置から前記ジョーの外側の第2位置まで延ばすことができ、前記第1又は第2のジョーに位置決めされた定置電極に電気的に接続された第1電極とを含む、電気手術器具。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気手術システムにおいて、
電気手術器具であって、
近位端と、遠位端と、前記近位端から前記遠位端に延びる長さ方向軸線と、を有する細長いシャフトを備え、
前記細長いシャフトの前記長さ方向軸線と整列して、前記細長いシャフトに連結され、前記細長いシャフトに対して定置である、第1ジョーであって、該第1ジョーは、該第1ジョーに沿って長さ方向に延びる第1切断チャンネルを有し、該第1ジョーは前記第1切断チャンネルを取り囲むシール表面を備える、第1ジョーを備え、
前記細長いシャフトに枢着されている第2ジョーであって、該第2ジョーは、該第2ジョーに沿って長さ方向に延びる第2切断チャンネルを備え、該第2ジョーは前記第2切断チャンネルを取り囲む第2シール表面を備える、第2ジョーを備え、
前記細長いシャフト内に設けられたブレードシャフトに連結された切断ブレードを備え、該切断ブレードは、前記第1ジョーの前記第1切断チャンネル内に適合するように設けられ、前記ブレードシャフトは、遠位ストップと近位ストップとを備え、前記遠位ストップは前記細長いシャフトに沿って設けられた第1の対応するストップと相互作用するように設けられ、前記ブレードシャフトが遠位方向に移動するとき、前記ブレードシャフトの前記遠位ストップと相互作用する前記細長いシャフトの前記第1の対応するストップの遠位相互作用点を越えた前記ブレードシャフトの遠位方向移動を防ぎ、前記近位ストップは前記細長いシャフトに沿って設けられた第2の対応するストップと相互作用するように設けられ、前記ブレードシャフトが近位方向に移動するとき、前記ブレードシャフトの前記近位ストップと相互作用する前記細長いシャフトの前記第2の対応するストップの近位相互作用点を越えた前記ブレードシャフトの近位方向移動を防ぐ、
電気手術器具を備え、
電気手術ユニットであって、前記第1ジョーのシール表面と前記第2ジョーのシール表面の間の組織をシールするため、該電気手術ユニットに取り外し自在に連結された前記電気手術器具に高周波(RF)エネルギを供給するように設けられた、電気手術ユニットを備える、
電気手術システム。
【請求項2】
前記第2ジョーはさらに、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極の間に位置付けられた絶縁体を備え、前記第2電極は、前記第1ジョーから遠方の前記第2ジョーの上部分に設けられ、前記第1電極は前記第1ジョーに近い前記第2ジョーの下部分に設けられ、前記電気手術ユニットは、RFエネルギを前記第1ジョーと前記第2電極との間に供給して、前記第2ジョーの前方の組織及び前記第2ジョーの少なくとも一方の側の組織を凝固するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電気手術ユニットがRFエネルギを前記第1電極と前記第1ジョーの間に、及び、前記第1電極と前記第2電極と前記第1ジョーの間に、供給するように、前記第2電極と前記第1ジョーは、共通の電気接点を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1ジョーと前記第2ジョーは、開位置と、閉位置と、前記開位置と前記閉位置との間の中間状態とに位置決めされるように構成され、前記第1ジョーと前記第2ジョーが前記中間状態にあるとき、第1の極性と第2の極性をとるように、前記第1電極と前記第1ジョーは電気的に接続され、癒合動作が賦勢されて前記切断ブレードによる切断が防がれるとき、前記第1電極と前記第1ジョーとの間に位置して前記第1電極と前記第1ジョーに接触する組織が癒合される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記器具はさらに、前記細長いシャフトに連結されたアクチュエータを備え、前記アクチュエータはさらに、ブレードトリガーと、定置ハンドルと、移動自在のトリガーとを備え、前記ブレードトリガーは、前記ブレードシャフトに連結され、前記移動自在のトリガーは、前記第1ジョーと前記第2ジョーを閉じるように、前記定置ハンドルに向けて移動可能であり、前記第1ジョーと前記第2ジョーを開くように、前記定置ハンドルから離れるように移動可能である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記器具はさらに、前記ブレードシャフトに連結されて、前記ブレードシャフトを近位方向に向かって押圧するばねを備え、前記近位ストップ及び前記第2の対応するストップは、前記ばねが前記近位相互作用点を越えて前記切断ブレードを近位方向に引っ張ることを防ぐように構成され、前記ばねと、前記近位ストップと、前記第2の対応するストップは、前記切断ブレードを前記近位相互作用点に定置して保持するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記細長いシャフトは、カバーチューブを備え、前記第1の対応するストップ及び前記第2の対応するストップは、前記カバーチューブの変形部分であり、該変形部分は、前記ブレードシャフトの前記遠位ストップ及び前記近位ストップと相互作用する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記器具はさらに、
前記定置ハンドル内に配置された、外部からはアクセスできない内部スイッチを備え、前記内部スイッチは、前記移動自在のトリガーから延びる可撓性アームであって、前記移動自在のトリガーが前記定置ハンドルに向けて移動したとき、前記内部スイッチと接触する可撓性アームによって賦勢され、
前記アクチュエータに配置された少なくとも一つの外部スイッチを備え、前記少なくとも一つの外部スイッチと前記内部スイッチとが電気接続されると、前記少なくとも一つの外部スイッチと前記内部スイッチは賦勢され、
前記電気手術ユニットは、前記内部スイッチが賦勢されると、前記第1ジョーと前記切断ブレードにRFエネルギを供給するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも一つの外部スイッチはさらに、電気手術活動を賦勢する第1外部スイッチと、他の電気手術活動を賦勢する第2外部スイッチと、を備え、前記第1外部スイッチは、前記第2外部スイッチに近接して配置される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記電気手術ユニットは、前記少なくとも一つの外部スイッチが消勢された後、RFエネルギを、前記切断ブレードと前記第1ジョーとの間の代わりに前記第1電極と前記第1ジョーとの間に供給するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記電気手術ユニットは、前記第1電極と前記第1ジョーとの間に供給されるRFエネルギの位相値を決定し、供給されるRFエネルギの前記決定された位相値が所定の位相値と等しくなるか或いはこれを越えたときを決定するように構成され、供給されるRFエネルギの前記決定された位相値が前記所定の位相値と等しくなるか或いはこれを越えたと決定した後、前記電気手術ユニットは、RFエネルギを、前記第1電極と前記第1ジョーとの間の代わりに前記第1ジョーと前記切断ブレードとの間に供給するように構成され、
前記電気手術ユニットは、前記第1ジョーと前記切断ブレードとの間に供給されるRFエネルギの位相値を決定し、供給されるRFエネルギの前記決定された位相値が第2の所定の位相値と等しくなるか或いはこれを越えたときを決定するように構成され、供給されるRFエネルギの前記決定された位相値が前記第2の所定の位相値と等しくなるか或いはこれを越えたと決定した後、前記電気手術ユニットは、RFエネルギを、前記第1電極と前記第1ジョーとの間に供給するように構成され、
前記電気手術ユニットは、前記第1ジョーと前記第2ジョーが前記中間状態にあるときは、供給されるRFエネルギの前記決定された位相値が所定の位相値と等しくなるか或いはこれを越えたときを決定しないように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
電気手術システムにおいて、
電気手術器具であって、
近位端と、遠位端と、前記近位端から前記遠位端に延びる長さ方向軸線と、を有する細長いシャフトを備え、
前記細長いシャフトの前記長さ方向軸線と整列して、前記細長いシャフトに連結され、前記細長いシャフトに対して定置である、第1ジョーであって、該第1ジョーは、該第1ジョーに沿って長さ方向に延びる第1切断チャンネルを有する、第1ジョーを備え、
前記細長いシャフトに接続されている第2ジョーであって、該第2ジョーは、該第2ジョーに沿って長さ方向に延びる第2切断チャンネルを備える、第2ジョーを備え、
前記細長いシャフト内に設けられたブレードシャフトに連結された切断ブレードを備え、該切断ブレードは、前記第1ジョーの前記第1切断チャンネル内及び前記第2ジョーの前記第2切断チャンネル内に適合して、前記第1切断チャンネル内及び前記第2切断チャンネル内を通って移動自在であるように設けられ、前記ブレードシャフトは、該ブレードシャフトと前記切断ブレードの移動を制限するように構成された複数のストップを備え、
前記細長いシャフトに連結されたアクチュエータを備え、前記アクチュエータはさらに、ブレードトリガーと、定置ハンドルと、移動自在のトリガーとを備え、前記移動自在のトリガーは、前記第1ジョーと前記第2ジョーを閉じるように、前記定置ハンドルに向けて移動可能であり、前記第1ジョーと前記第2ジョーを開くように、前記定置ハンドルから離れるように移動可能であり、前記ブレードトリガーは、前記ブレードシャフトに連結され、前記切断ブレードは、前記第1ジョーの前記第1切断チャンネル内及び前記第2ジョーの前記第2切断チャンネル内で長さ方向に近位方向及び遠位方向に移動自在なブレードシャフトに連結されている、
電気手術器具を備え、
電気手術ユニットであって、該電気手術ユニットに取り外し自在に連結された前記電気手術器具に高周波(RF)エネルギを供給するように設けられた、電気手術ユニットを備え、該電気手術ユニットは、前記第1ジョーと前記第2ジョーに接触する組織をシールするように、前記第1ジョーと前記第2ジョーの間にRFエネルギを供給するように構成される、
電気手術システム。
【請求項13】
前記複数のストップは、前記ブレードシャフトとともに移動可能な第1ストップ突出部を備え、前記第1ジョーの前記第1切断チャンネルの遠位端近くまで遠位方向に移動したとき、前記第1ストップ突出部は、対応するストップ突出部またはスロットと相互作用し、前記第1ストップ突出部と前記ブレードシャフトがこれ以上遠位方向に移動しないようにする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数のストップはさらに、前記ブレードシャフト上に前記第1ストップ突出部から間隔が隔てられている第2ストップ突出部を備え、該第2ストップ突出部は、前記ブレードシャフトが所定点を越えて近位方向に移動することを阻止する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記器具はさらに、前記ブレードシャフトに接続されたばねであって、前記ブレードシャフトを近位方向に向かって押圧するばねを備え、前記第2ストップ突出部は、前記ばねが前記切断ブレードを近位方向に前記所定点を越えて引っ張ることがないように構成され、前記ばねと前記第2ストップ突出部は、前記切断ブレードを前記所定点に保持するように構成され、前記所定点は前記第1ジョーの前記第1切断チャンネルの近位端の近くである、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記器具はさらに、近位端と遠位端を有するケーブルを備え、前記ケーブルの前記遠位端は、前記定置ハンドルに取り付けられて前記定置ハンドルから延び、前記ケーブルの前記近位端に接続された一端を有するプラグを備え、前記プラグの他端は、コネクタに取り付けられ、
前記電気手術ユニットはさらに、ツールコネクタソケットを備え、前記器具の前記コネクタは、取り外し自在に前記ツールコネクタソケットに取り付けられ、前記コネクタは、前記電気手術ユニットに使用されるように構成されたメモリー回路を備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ツールコネクタソケットは、前記ツールコネクタソケットに挿入される前記コネクタによって作動的に賦勢される、前記ツールコネクタソケット内で凹所をなしたスイッチを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第2ジョーは、第1電極と第2電極を備え、前記第2電極は、前記第2ジョーの上部分に位置決めされ、前記第1電極は、前記第2ジョーの下部分に位置決めされて前記第2ジョーの遠位端の外側部分に沿って延在し、前記第1電極は前記第2電極と平行であり、前記電気手術ユニットは前記第1電極と前記第1ジョーに接触する組織をシールするため、前記第1電極と前記第1ジョーの間にRFエネルギを供給するように構成され、前記第1電極と前記第2電極に接触する組織を切断するため、前記第1電極と前記第2電極の間にRFエネルギを供給するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1ジョーはさらに、前記第1ジョーの前記第1切断チャンネルを取り囲む複数のシール経路と、前記複数のシール経路と隣接しながら間隔が隔てられて位置決めされている複数の未充填キャビティとを有するシール表面と、を備え、
前記器具はさらに、前記第1ジョーに連結されて、前記第1ジョー内の第1位置から前記第1ジョーの外側で前記第1ジョーの最遠位端を過ぎた第2位置まで延ばすことができる第3電極を備え、前記電気手術ユニットは、前記第3電極と前記第1ジョーの間にRFエネルギを供給するように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記電気手術ユニットは、前記第1電極と前記第1ジョーとの間に供給されるRFエネルギの位相値を決定し、供給されるRFエネルギの前記決定された位相値が所定の位相値と等しくなるか或いはこれを越えたときを決定するように構成され、供給されるRFエネルギの前記決定された位相値が前記所定の位相値と等しくなるか或いはこれを越えたと決定した後、前記電気手術ユニットは、RFエネルギを、前記第1ジョーと前記切断ブレードとの間に供給するように構成され、
前記電気手術ユニットは、前記第1ジョーと前記切断ブレードとの間に供給されるRFエネルギの位相値を決定し、供給されるRFエネルギの前記決定された位相値が第2の所定の位相値と等しくなるか或いはこれを越えたときを決定するように構成され、供給されるRFエネルギの前記決定された位相値が前記第2の所定の位相値と等しくなるか或いはこれを越えたと決定した後、前記電気手術ユニットは、RFエネルギを、前記第1電極と前記第1ジョーとの間に供給するように構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1ジョーと前記第2ジョーは、開位置と、閉位置と、前記開位置と前記閉位置との間の中間状態とに位置決めされるように構成され、前記器具はさらに、前記移動自在のトリガーに隣接して設けられ、前記移動自在のトリガーの位置を検出して前記中間状態を確認するように構成されたセンサを備え、前記電気手術ユニットは、前記中間状態にある前記第1ジョーと前記第2ジョーによって組織を切断するため、前記第1電極と前記第2電極の間にRFエネルギを供給するように構成される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記システムはさらに、メモリー回路を備え、該メモリー回路は該メモリー回路から前記電気手術ユニットへ伝達されるように構成されたツールデータを含み、前記電気手術ユニットは、前記ツールデータを分析し、前記電気手術ユニットに接続された前記電気手術器具を確認するように構成される、請求項1または12に記載のシステム。
【請求項23】
前記ツールデータは、エネルギレベル範囲、様々な電気手術手順の持続時間、前記電気手術器具の電極形態、様々な電気手術手順を行うための電極間の切り換えに関するデータを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記ツールデータは、前記電気手術器具の電極の総数と、電極の一つ又はそれ以上が使用されている状態と、制御データであってユーザがスイッチを入れたときに該制御データに示されているように対応する電極にRFエネルギが差し向けられるよう、RFエネルギの供給を指示するように構成された制御データと、を含むスクリプト情報を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記電気手術ユニットはさらに、前記第1ジョーと前記第2ジョーの開位置又は閉位置に基づく電極の選択と電気手術ユニットの電圧及び電流の設定、組織フィードバック賦勢終了点、又は切り換え点、を含む前記スクリプト情報を読み取って演算処理するように構成されたスクリプトパーサーを備える、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記電気手術器具を前記電気手術ユニットに接続するときに、前記電気手術器具と前記電気手術ユニットとの間を最初に接続した後、前記スクリプト情報が前記電気手術ユニットに伝達される、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記電気手術ユニットは、手順に特定のデータを前記メモリー回路に記憶するように構成された中央演算処理装置を備え、前記手順に特定のデータは、各使用中に使用された電力設定、器具の各使用前、使用中、及び使用後の組織フィードバックデータ、前記器具の使用のタイプ、前記器具の使用の持続時間、停止点のタイプ、並びに故障イベント及び性質、を含む、請求項26に記載のシステム。
【外国語明細書】