IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

2024-149500自然頭蓋内血管形成プロセスを促進するための膨張可能ステントおよび方法、ならびに自然頭蓋内血管形成プロセスを促進するための方法における膨張可能ステントの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149500
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】自然頭蓋内血管形成プロセスを促進するための膨張可能ステントおよび方法、ならびに自然頭蓋内血管形成プロセスを促進するための方法における膨張可能ステントの使用
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/90 20130101AFI20241010BHJP
【FI】
A61F2/90
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024111934
(22)【出願日】2024-07-11
(62)【分割の表示】P 2020544117の分割
【原出願日】2018-11-05
(31)【優先権主張番号】1718299.9
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】520154793
【氏名又は名称】セロフロ・リミテッド
【住所又は居所原語表記】Galway Business Park,Dangan,Galway,Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン・トミー・アンデション
(72)【発明者】
【氏名】イーモン・オリヴァー・ブラディ
(57)【要約】
【課題】狭窄を有する罹患頭蓋内動脈の下流組織への血液の供給を高めるための膨張可能ステントを提供する。
【解決手段】膨張可能ステント(1)は、中心部(5)によって連結された第1の端部(3)と第2の端部(4)とを備える。中心部(5)は、ステント(1)の膨張状態において、狭窄(102)の穴(103)内に配置される(10)ように構成され、第1の端部(3)および第2の端部(4)は狭窄(102)の近位端(105)および遠位端(107)に隣接する動脈(100)の非罹患部分(104、106)に当接し、ステント(1)を動脈(100)内に固定する。ステント(1)が膨張状態にある中心部(5)は、狭窄(102)の穴(103)の直径が現在の直径に維持されるか、または動脈(100)の非罹患部分(104、106)の約50%まで増大される(15)ように狭窄(102)に径方向外向き圧力を印加するように構成される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭蓋内血管内の狭窄にステント留置を行うように構成されている膨張可能ステントであって、膨張状態における前記ステントは、第1の穴が貫通する第1の端部と、前記第1の端部から離間し、第2の穴が貫通する第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、中心穴が貫通しており、前記第1の端部および前記第2の端部の前記第1の穴および前記第2の穴を互いに連通させる、中心部とを備えるように構成され、前記中心部は前記第1の端部および前記第2の端部の外部横断面より小さい外部横断面を有し、前記第1の端部および前記第2の端部は、前記ステントの膨張状態において前記狭窄のそれぞれの対向端上で前記血管の動脈壁と係合し前記ステントを前記血管内に固定するように構成され、前記中心部は、前記ステントの前記膨張状態において前記狭窄を貫通する穴を貫通し、径方向外向き圧力で前記狭窄を形成する物質を圧迫して前記狭窄を通る前記穴のさらなる狭小化を少なくとも防ぐように構成される、膨張可能ステント。
【請求項2】
前記中心部は、前記ステントの前記膨張状態において、前記狭窄の前記物質だけを圧迫し、前記血管の前記壁を圧迫しないように構成される請求項1に記載の膨張可能ステント。
【請求項3】
前記第1の端部および前記第2の端部は、前記ステントの前記膨張状態において、前記狭窄の前記それぞれの対向端に隣接する前記血管の前記壁と係合するように構成される請求項1または2に記載の膨張可能ステント。
【請求項4】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部は、実質的に円形の横断面を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項5】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部は、実質的に円筒形の形状である請求項1から4のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項6】
前記第1の端部および前記第2の端部は、前記ステントの前記膨張状態において、前記血管の隣接する部分の形状に適応するように構成される請求項1から5のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項7】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、実質的に円形の横断面を有する請求項1から6のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項8】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、実質的に円筒形の形状である請求項1から7のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項9】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、実質的に砂時計の形状である請求項1から7のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項10】
前記中心部は、前記ステントの前記膨張状態において、前記狭窄の少なくとも一部の形状に適応するように構成される請求項1から9のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項11】
前記中心部は、前記ステントの前記膨張状態における事前定義された最大横断面積まで膨張するように構成される請求項1から10のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項12】
前記中心部の前記事前定義された最大横断面積は、前記中心部と前記血管の前記壁との接触を回避するために、前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の横断面積より小さい請求項11に記載の膨張可能ステント。
【請求項13】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部の外径は、5mm以下である請求項1から12のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項14】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部の外径は、2mmから5mmの範囲内にある請求項1から13のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項15】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部の外径は、2.5mmから4.5mmの範囲内にある請求項1から14のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項16】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部は、前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の内径の100%から125%の範囲内の直径まで膨張するように構成される請求項1から15のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項17】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部は、前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の内径の100%から110%の範囲内の直径まで膨張するように構成される請求項1から16のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項18】
前記非膨張状態の前記ステントの最大外径は、0.6mm以下であり、好ましくは0.5mm以下であり、有利には0.4mm以下である請求項1から17のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項19】
前記非膨張状態の前記ステントの最大外径は、0.3mm以下である請求項1から18のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項20】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の外径は、前記第1の端部および前記第2の端部の外径の25%から70%の範囲内にある請求項1から19のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項21】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の外径は、前記第1の端部および前記第2の端部の外径の40%から75%の範囲内にある請求項1から20のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項22】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の外径は、前記第1の端部および前記第2の端部の外径の約50%の範囲内にある請求項1から21のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項23】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部の外径は、実質的に互いに等しい請求項1から22のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項24】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の内径は、前記第1の端部および前記第2の端部の内径の25%から70%の範囲内にある請求項1から23のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項25】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の内径は、前記第1の端部および前記第2の端部の内径の40%から75%の範囲内にある請求項1から24のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項26】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の内径は、前記第1の端部および前記第2の端部の内径の約50%の範囲内にある請求項1から25のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項27】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部の内径は、実質的に互いに等しい請求項1から26のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項28】
前記ステントの壁厚さは、0.02mmから0.15mmの範囲内にある請求項1から27のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項29】
前記ステントの前記壁厚さは、0.05mmから0.1mmの範囲内にある請求項1から28のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項30】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記第1の端部および前記第2の端部によって前記血管の前記壁に印加される前記径方向外向き圧力より大きい径方向外向き圧力を、前記狭窄を形成する物質に印加するように構成される請求項1から29のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項31】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部によって印加される前記径方向外向き圧力は、前記狭窄を形成する前記物質の押しつぶしを最小限度に抑え、それにより前記狭窄を形成する前記物質を前記血管の前記壁に沿って縦方向に付勢するのを最小限度に抑えるような圧力である請求項30に記載の膨張可能ステント。
【請求項32】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部は、前記狭窄を形成する前記物質が前記第1の端部および前記第2の端部のうちの対応する1つと前記血管の前記壁との間で付勢されるのを防ぐのに十分な圧力で前記血管の前記壁を圧迫するように構成される請求項1から31のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項33】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄を形成する前記物質を前記径方向外向き圧力で圧迫し、前記狭窄を貫通する前記穴の直径を前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の少なくとも25%の直径まで増大させるように構成される請求項1から32のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項34】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄を形成する前記物質を前記径方向外向き圧力で圧迫し、前記狭窄を貫通する前記穴の直径を前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の少なくとも30%の直径まで増大させるように構成される請求項1から33のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項35】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄を形成する前記物質を前記径方向外向き圧力で圧迫し、前記狭窄を貫通する前記穴の直径を前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の少なくとも40%の直径まで増大させるように構成される請求項1から34のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項36】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄を形成する前記物質を前記径方向外向き圧力で圧迫し、前記狭窄を貫通する前記穴の直径を前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の少なくとも50%の直径まで増大させるように構成され、前記狭窄を貫通する前記穴の前記直径を前記狭窄に隣接する前記血管の前記非罹患部分の少なくとも70%およびさらには80%まで増大させ得る請求項1から35のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項37】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄を形成する前記物質を前記径方向外向き圧力で圧迫し、前記狭窄を貫通する前記穴の直径を前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の60%のオーダーの直径まで増大させるように構成される請求項1から36のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項38】
前記中心部は、それぞれの遷移部内の対向端で終端し、前記中心部は、前記遷移部を通して前記第1の端部および前記第2の端部に接続され、連通する請求項1から37のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項39】
前記ステントの前記膨張状態の前記遷移部のうちの少なくとも1つは、前記中心部、ならびに前記第1の端部および前記第2の端部のうちの対応する1つに実質的に垂直に延在する請求項38に記載の膨張可能ステント。
【請求項40】
前記ステントの前記膨張状態の前記2つの遷移部は、前記中心部、ならびに前記第1の端部および前記第2の端部のうちの前記対応する1つに実質的に垂直に延在する請求項38または39に記載の膨張可能ステント。
【請求項41】
前記ステントの前記膨張状態の前記遷移部のうちの少なくとも1つは、円錐台形の形状である請求項38に記載の膨張可能ステント。
【請求項42】
前記ステントの前記膨張状態の前記2つの遷移部は、円錐台形の形状である請求項41に記載の膨張可能ステント。
【請求項43】
前記ステントの前記膨張状態の各遷移部の前記円錐台部は、30°から160°の範囲内の円錐角を画成する請求項41または42に記載の膨張可能ステント。
【請求項44】
前記ステントの前記膨張状態の各遷移部の前記円錐台部は、30°から110°の範囲内の円錐角を画成する請求項41から43のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項45】
前記ステントの前記膨張状態の各遷移部の前記円錐台部は、60°から110°の範囲内の円錐角を画成する請求項41から44のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項46】
前記ステントの前記膨張状態の前記遷移部は、前記それぞれの対向端に隣接する前記狭窄を形成する前記物質と係合するように構成される請求項38から45のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項47】
前記第1の端部および前記第2の端部ならびに前記中心部は、中に隙間を画成するかごに似た構造物、編組構造物、および穿孔構造物のうちの1つである請求項1から46のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項48】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部内の前記隙間は、前記第1の端部および前記第2の端部内の前記隙間より面積が小さい請求項47に記載の膨張可能ステント。
【請求項49】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部内の前記隙間は、前記狭窄を形成する前記物質が中を通過するのを最小限度に抑えること、および防ぐことのうちの一方を行う上で十分に小さい面積を有する請求項47または48に記載の膨張可能ステント。
【請求項50】
前記ステントの前記膨張状態の前記遷移部内の前記隙間は、前記第1の端部および前記第2の端部内の前記隙間の面積より小さい面積を有する請求項47から49のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項51】
前記ステントの前記膨張状態の前記遷移部内の前記隙間は、前記狭窄を形成する前記物質が中を通過するのを最小限度に抑えること、および防ぐことのうちの一方を行う上で十分に小さい面積を有する請求項47から50のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項52】
前記ステントの前記中心部は縦方向に延在する主中心軸を画成し、前記第1の端部は縦方向に延在する第1の中心軸を画成し、前記第2の端部は縦方向に延在する第2の中心軸を画成する請求項1から51のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項53】
前記主中心軸、前記第1の中心軸、および前記第2の中心軸は互いに一致する請求項52に記載の膨張可能ステント。
【請求項54】
前記主中心軸は、前記第1の中心軸および前記第2の中心軸からオフセットされる請求項52に記載の膨張可能ステント。
【請求項55】
前記第1の中心軸および前記第2の中心軸は、互いに一致する請求項54に記載の膨張可能ステント。
【請求項56】
前記主中心軸は、前記第1の中心軸および前記第2の中心軸に平行に延在する請求項54または55に記載の膨張可能ステント。
【請求項57】
前記主中心軸は、前記第1の中心軸および前記第2の中心軸に対して0°より大きい角度で延在する請求項54または55に記載の膨張可能ステント。
【請求項58】
前記ステントは、人間または動物の被検体の血液温度で膨張するように構成される請求項1から57のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項59】
生体適合性フィルムが前記ステントの前記表面上に設けられる請求項1から58のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項60】
前記生体適合性フィルムは、アテローム性プラークのさらなる増殖を防ぐために医薬品とともに埋め込まれる請求項1から59のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項61】
前記ステントは、前記ステントの血栓形成の可能性を低減する医薬品および血管形成を促進する物質を分子レベルで埋め込まれるか、またはコーティングされる請求項1から60のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項62】
前記ステントは、治療活性物質をコーティングされる請求項1から61のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項63】
前記治療活性物質は、血管形成促進物質を含む請求項62に記載の膨張可能ステント。
【請求項64】
前記血管形成促進物質は、メタクリル酸-エコイソデシルアクリレート(MAA-co-IDA、40% MAA)を含む請求項63に記載の膨張可能ステント。
【請求項65】
前記ステントは、前記ステントの結果として生じる内皮剪断応力を最小にするように構成される請求項1から64のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項66】
前記ステントは、前記ステントの結果として生じる内皮剪断応力が250Pa以下となるように構成される請求項65に記載の膨張可能ステント。
【請求項67】
前記ステントは、生体適合性物質を含む請求項1から66のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項68】
前記ステントは、生体適合性生体分解性物質を含む請求項1から67のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項69】
前記ステントは、ポリマー物質を含む請求項1から68のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項70】
前記ステントは、自己膨張物質を含む請求項1から69のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項71】
前記ステントは、形状記憶物質を含む請求項1から70のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項72】
前記ステントは、
ニッケル、チタン、コバルト、ステンレス鋼
のうちの1つまたは複数から選択された合金を含む請求項1から71のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項73】
前記ステントは、非自己膨張物質を含む請求項1から58のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項74】
狭窄と、請求項1から73のいずれか一項に記載の膨張可能ステントとを含む頭蓋内血管であって、膨張状態にある前記膨張可能ステントは、前記血管内に配置され、前記ステントの前記中心部は前記狭窄を貫通する穴内に配置され、前記狭窄を形成する前記物質を圧迫し、前記ステントの前記第1の端部および前記第2の端部は前記狭窄のそれぞれの対向端上で前記血管の壁と係合する、頭蓋内血管。
【請求項75】
前記膨張状態にある前記ステントの前記第1の端部および前記第2の端部は、前記狭窄の前記それぞれの対向端に隣接する前記血管の前記壁と係合する請求項74に記載の頭蓋内血管。
【請求項76】
狭窄を中に有する血管を通して供給を受けている頭蓋内部位に血液を供給する自然頭蓋内血管形成プロセスを促進するための方法であって、
膨張可能ステントを提供するステップであって、前記膨張可能ステントは第1の穴が貫通する第1の端部と、前記第1の端部から離間し、第2の穴が貫通する第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、中心穴が貫通しており、前記第1の端部および前記第2の端部の前記第1の穴および前記第2の穴を互いに連通させる、中心部とを備え、前記中心部は前記第1の端部および前記第2の端部の外部横断面より小さい外部横断面を有する、ステップと、
非膨張状態にある前記膨張可能ステントを前記狭窄内に留置するステップであって、前記ステントの前記中心部は前記狭窄を貫通する前記穴を貫通し、前記第1の端部および前記第2の端部は前記狭窄の対向端上にある、ステップと、
前記ステントを膨張させるステップであって、前記膨張したステントの前記第1の端部および前記第2の端部は前記狭窄の前記それぞれの対向端上で前記血管の壁と係合して前記ステントを前記血管内に固定し、前記膨張したステントの前記中心部は前記狭窄を形成する前記物質を径方向外向き圧力で圧迫し、少なくとも前記狭窄を貫通する前記穴のさらなる狭小化を防いで、前記自然頭蓋内血管形成プロセスを促進する、ステップとを含む方法。
【請求項77】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄の前記物質だけを圧迫し、前記血管の前記壁を圧迫しない請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部は、前記狭窄の前記それぞれの対向端に隣接する前記血管の前記壁と係合する請求項76または77に記載の方法。
【請求項79】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部は、実質的に円形の横断面を有する請求項76から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部は、実質的に円筒形の形状である請求項76から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部は、前記血管の隣接する部分の形状に適応する請求項76から80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、実質的に円形の横断面を有する請求項76から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、実質的に円筒形の形状である請求項76から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、実質的に砂時計の形状である請求項76から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄の少なくとも一部の形状に適応する請求項76から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記中心部は、前記ステントの前記膨張状態における事前定義された最大横断面積まで膨張するように構成される請求項76から85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記中心部の前記事前定義された最大横断面積は、前記中心部と前記血管の前記壁との接触を回避するために、前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の横断面積より小さい請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部の外径は、5mm以下である請求項76から87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部の外径は、2mmから5mmの範囲内にある請求項76から88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部の外径は、2.5mmから4.5mmの範囲内にある請求項76から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記第1の端部および前記第2の端部は、前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の内径の100%から125%の範囲内の外径まで膨張させられる請求項76から90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記第1の端部および前記第2の端部は、前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の内径の100%から110%の範囲内の外径まで膨張させられる請求項76から91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記非膨張状態の前記ステントの最大外径は、0.6mm以下であり、好ましくは0.5mm以下であり、有利には0.4mm以下である請求項76から92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記非膨張状態の前記ステントの最大外径は、0.3mm以下である請求項76から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の外径は、前記第1の端部および前記第2の端部の外径の25%から70%の範囲内にある請求項76から94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の外径は、前記第1の端部および前記第2の端部の外径の40%から75%の範囲内にある請求項76から95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の外径は、前記第1の端部および前記第2の端部の外径の約50%の範囲内にある請求項76から96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部の外径は、実質的に互いに等しい請求項76から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の内径は、前記第1の端部および前記第2の端部の内径の25%から70%の範囲内にある請求項76から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の内径は、前記第1の端部および前記第2の端部の内径の40%から75%の範囲内にある請求項76から99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の内径は、前記第1の端部および前記第2の端部の内径の約50%の範囲内にある請求項76から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部の内径は、実質的に互いに等しい請求項76から101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記ステントの前記壁厚さは、0.02mmから0.15mmの範囲内にある請求項76から102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記ステントの前記壁厚さは、0.05mmから0.1mmの範囲内にある請求項76から103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記第1の端部および前記第2の端部によって前記血管の前記壁に印加される前記径方向外向き圧力より大きい径方向外向き圧力を、前記狭窄を形成する物質に印加するように構成される請求項76から104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部によって印加される前記径方向外向き圧力は、前記狭窄を形成する前記物質の押しつぶしを最小限度に抑え、それにより前記狭窄を形成する前記物質を前記血管の前記壁に沿って縦方向に付勢するのを最小限度に抑えるような圧力である請求項76から105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部は、前記狭窄を形成する前記物質が前記第1の端部および前記第2の端部のうちの対応する1つと前記血管の前記壁との間で付勢されるのを防ぐのに十分な圧力で前記血管の前記壁を圧迫するように構成される請求項76から106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄を形成する前記物質を前記径方向外向き圧力で圧迫し、前記狭窄を貫通する前記穴の直径を前記狭窄に隣接する前記非罹患血管の少なくとも25%の直径まで増大させるように構成される請求項76から107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄を形成する前記物質を前記径方向外向き圧力で圧迫し、前記狭窄を貫通する前記穴の直径を前記狭窄に隣接する前記非罹患血管の少なくとも30%の直径まで増大させるように構成される請求項76から108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄を形成する前記物質を前記径方向外向き圧力で圧迫し、前記狭窄を貫通する前記穴の直径を前記狭窄に隣接する前記非罹患血管の少なくとも40%の直径まで増大させるように構成される請求項76から109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄を形成する前記物質を前記径方向外向き圧力で圧迫し、前記狭窄を貫通する前記穴の直径を前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の少なくとも50%の直径まで増大させるように構成され、前記狭窄を貫通する前記穴の前記直径を前記狭窄に隣接する前記血管の前記非罹患部分の少なくとも70%およびさらには80%まで増大させ得る請求項76から110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄を形成する前記物質を前記径方向外向き圧力で圧迫し、前記狭窄を貫通する前記穴の直径を前記狭窄に隣接する前記非罹患血管の60%のオーダーの直径まで増大させるように構成される請求項76から111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記ステントは、前記狭窄を貫通する前記穴の前記直径を、前記狭窄を通って流れる血流の流量を前記狭窄がない場合の前記血管を通る正常な血流量の25%から80%の範囲内に収まるように前記中心部が増大させる程度まで膨張させられる請求項76から112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記ステントは、前記狭窄を貫通する前記穴の前記直径を、前記狭窄を通って流れる血流の流量を前記狭窄がない場合の前記血管を通る正常な血流量の30%から70%の範囲内に収まるように前記中心部が増大させる程度まで膨張させられる請求項76から113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記ステントは、前記狭窄を貫通する前記穴の前記直径を、前記狭窄を通って流れる血流の流量を前記狭窄がない場合の前記血管を通る正常な血流量の40%から60%の範囲内に収まるように前記中心部が増大させる程度まで膨張させられる請求項76から114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記ステントは、前記狭窄を貫通する前記穴の前記直径を、前記狭窄を通って流れる血流の流量を前記狭窄がない場合の前記血管を通る正常な血流量の約50%の範囲内に収まるように前記中心部が増大させる程度まで膨張させられる請求項76から115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記中心部は、それぞれの遷移部内の対向端で終端し、前記中心部は、前記遷移部を通して前記第1の端部および前記第2の端部に接続され、連通する請求項76から116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記ステントの前記膨張状態の前記遷移部のうちの少なくとも1つは、前記中心部、ならびに前記第1の端部および前記第2の端部のうちの対応する1つに実質的に垂直に延在する請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記ステントの前記膨張状態の前記2つの遷移部は、前記中心部、ならびに前記第1の端部および前記第2の端部のうちの前記対応する1つに実質的に垂直に延在する請求項117または118に記載の方法。
【請求項120】
前記ステントの前記膨張状態の前記遷移部のうちの少なくとも1つは、円錐台形の形状である請求項117に記載の方法。
【請求項121】
前記ステントの前記膨張状態の前記2つの遷移部は、円錐台形の形状である請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記ステントの前記膨張状態の各遷移部の前記円錐台部は、30°から160°の範囲内の円錐角を画成する請求項120または121に記載の方法。
【請求項123】
前記ステントの前記膨張状態の各遷移部の前記円錐台部は、30°から110°の範囲内の円錐角を画成する請求項120から122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記ステントの前記膨張状態の各遷移部の前記円錐台部は、60°から110°の範囲内の円錐角を画成する請求項120から123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記ステントの前記膨張状態の前記遷移部は、前記それぞれの対向端に隣接する前記狭窄を形成する前記物質と係合するように構成される請求項120から124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記第1の端部および前記第2の端部ならびに前記中心部は、中に隙間を画成するかごに似た構造物、編組構造物、および穿孔構造物のうちの1つである請求項76から125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部内の前記隙間は、前記第1の端部および前記第2の端部内の前記隙間より面積が小さい請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部内の前記隙間は、前記狭窄を形成する前記物質が中を通過するのを最小限度に抑えること、および防ぐことのうちの一方を行う上で十分に小さい面積を有する請求項126または127に記載の方法。
【請求項129】
前記ステントの前記膨張状態の前記遷移部内の前記隙間は、前記第1の端部および前記第2の端部内の前記隙間の面積より小さい面積を有する請求項126から128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記ステントの前記膨張状態の前記遷移部内の前記隙間は、前記狭窄を形成する前記物質が中を通過するのを最小限度に抑えること、および防ぐことのうちの一方を行う上で十分に小さい面積を有する請求項126から129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記ステントの前記中心部は縦方向に延在する主中心軸を画成し、前記第1の端部は縦方向に延在する第1の中心軸を画成し、前記第2の端部は縦方向に延在する第2の中心軸を画成する請求項76から130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記主中心軸、前記第1の中心軸、および前記第2の中心軸は互いに一致する請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記主中心軸は、前記第1の中心軸および前記第2の中心軸からオフセットされる請求項131に記載の方法。
【請求項134】
前記第1の中心軸および前記第2の中心軸は、互いに一致する請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記主中心軸は、前記第1の中心軸および前記第2の中心軸に平行に延在する請求項133または134に記載の方法。
【請求項136】
前記主中心軸は、前記第1の中心軸および前記第2の中心軸に対して0°より大きい角度で延在する請求項133または134に記載の方法。
【請求項137】
前記ステントは、人間または動物の被検体の血液温度で膨張するように構成される請求項76から136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
生体適合性フィルムが前記ステントの前記表面上に設けられる請求項76から137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
前記生体適合性フィルムは、アテローム性プラークのさらなる増殖を防ぐために医薬品とともに埋め込まれる請求項138に記載の方法。
【請求項140】
前記ステントは、前記ステントの血栓形成の可能性を低減する医薬品および血管形成を促進する物質を分子レベルで埋め込まれるか、またはコーティングされる請求項76から139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
前記ステントは、治療活性物質をコーティングされる請求項76から140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
前記治療活性物質は、血管形成促進物質を含む請求項141に記載の方法。
【請求項143】
前記血管形成促進物質は、メタクリル酸-エコイソデシルアクリレート(MAA-co-IDA、40% MAA)を含む請求項142に記載の方法。
【請求項144】
前記ステントは、前記ステントの使用の結果として生じる内皮剪断応力を最小にするように構成される請求項76から143のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
前記ステントは、前記ステントの前記使用の結果として生じる内皮剪断応力が250Pa以下となるように構成される請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記ステントは、生体適合性物質を含む請求項76から145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
前記ステントは、生体適合性生体分解性物質を含む請求項76から146のいずれか一項に記載の方法。
【請求項148】
前記ステントは、ポリマー物質を含む請求項76から147のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
前記ステントは、自己膨張物質を含む請求項76から148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項150】
前記ステントは、形状記憶物質を含む請求項76から149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
前記ステントは、
ニッケル、チタン、コバルト、ステンレス鋼
のうちの1つまたは複数から選択された合金を含む請求項76から150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
前記ステントは、非自己膨張物質を含む請求項76から151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
前記ステントは、細長送達カテーテルで前記血管内の前記狭窄に送達され、前記送達カテーテルは近位端と遠位端との間に延在し、中を貫通し前記近位端から前記遠位端に延在する細長穴を有し、前記ステントは前記送達カテーテルの前記穴内に配置される請求項76から152のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
前記送達カテーテルは、前記送達カテーテルの前記遠位端が前記狭窄の前記遠位端上の狭窄から延在するまで頭蓋内血管系を通して、また狭窄を通して付勢される請求項153に記載の方法。
【請求項155】
前記送達カテーテルの前記遠位端が前記狭窄の遠位に配置され、前記ステントが前記送達カテーテルの前記穴内に配置され、前記ステントの前記第2の端部が前記遠位端に隣接するときに、前記送達カテーテルは近位に付勢されて、前記ステントの第2の端部を露出させ、前記狭窄の遠位で前記血管内の前記第2の端部を膨張させる請求項153または154に記載の方法。
【請求項156】
前記ステントの前記第2の端部が前記狭窄の前記遠位端上で前記血管の前記壁と係合しているときに、前記送達カテーテルおよび前記ステントは近位に付勢されて、前記ステントの前記第2の端部を前記狭窄の前記遠位端に隣接する前記血管の非罹患部分内に配置する請求項153から155のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
前記ステントの前記第2の端部が前記狭窄の前記遠位端に隣接する前記血管の非罹患部分内に正しく配置されたときに、前記送達カテーテルはさらに近位に付勢されて前記ステントを露出させる請求項156に記載の方法。
【請求項158】
近位端と遠位端との間に延在する細長位置決め部材は、前記送達カテーテルが近位に付勢されているときに前記狭窄内で前記ステントを位置決めするために前記送達カテーテルの前記穴内に配置される請求項153から157のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
前記ステントの前記位置は、必要ならば、前記位置決め部材によってさらに調整され、前記狭窄内の前記ステントの位置決めが完了した後、前記位置決め部材は、前記ステントから係合を外され、前記位置決め部材および前記送達カテーテルは、前記頭蓋内血管系から引き出される請求項158に記載の方法。
【請求項160】
前記ステントは、前記位置決め部材により前記送達カテーテルの前記穴を通して前記近位端から前記遠位端に付勢され、前記第2の端部は前記第1の端部に先行する請求項158または159に記載の方法。
【請求項161】
前記位置決め部材の前記遠位端は、前記ステントを前記位置決め部材に解放可能に結合するための解放可能結合手段内で終端する請求項158から160のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
前記ステントは、前記送達カテーテルの前記穴を通して付勢される前に前記結合手段によって前記位置決め部材に解放可能に結合される請求項161に記載の方法。
【請求項163】
前記送達カテーテルは、ガイドワイヤ上で前記頭蓋内血管系内に付勢される請求項153から162のいずれか一項に記載の方法。
【請求項164】
前記送達カテーテルは、前記大腿動脈、橈骨動脈、上腕動脈、および頸動脈のうちの1つを通して前記頭蓋内血管系内に付勢される請求項153から163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項165】
狭窄を中に有する血管を通して供給を受けている部位に血液を供給する自然頭蓋内血管形成プロセスを促進するための方法における膨張可能ステントの使用であって、前記膨張可能ステントは、第1の穴が貫通する第1の端部と、前記第1の端部から離間し、第2の穴が貫通する第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、中心穴が貫通しており、前記第1の端部および前記第2の端部を互いに連通させる、中心部とを備え、前記中心部は前記第1の端部および前記第2の端部の外部横断面より小さい外部横断面を有し、非膨張状態にある前記膨張可能ステントは、前記狭窄内に留置され、前記ステントの前記中心部は前記狭窄を貫通する前記穴を貫通し、前記第1の端部および前記第2の端部は前記狭窄の対向端上にあり、前記ステントは膨張状態に膨張させられ、前記膨張したステントの前記第1の端部および前記第2の端部は前記狭窄のそれぞれの対向端上で前記血管の壁と係合して前記ステントを前記血管内に固定し、前記膨張したステントの前記中心部は前記狭窄を形成する前記物質を径方向外向き圧力で圧迫し、少なくとも前記狭窄を貫通する前記穴のさらなる狭小化を防いで、前記自然頭蓋内血管形成プロセスを促進する、膨張可能ステントの使用。
【請求項166】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄の前記物質だけを圧迫し、前記血管の前記壁を圧迫しない請求項165に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項167】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部は、前記狭窄の前記それぞれの対向端に隣接する前記血管の前記動脈壁と係合する請求項165または166に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項168】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部は、実質的に円形の横断面を有する請求項165から167のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項169】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部は、実質的に円筒形の形状である請求項165から168のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項170】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部は、前記血管の隣接する部分の形状に適応する請求項165から169のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項171】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、実質的に円形の横断面を有する請求項165から170のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項172】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、実質的に円筒形の形状である請求項165から171のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項173】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、実質的に砂時計の形状である請求項165から171のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項174】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄の少なくとも一部の形状に適応する請求項165から173のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項175】
前記中心部は、前記ステントの前記膨張状態における事前定義された最大横断面積まで膨張するように構成される請求項165から174のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項176】
前記中心部の前記事前定義された最大横断面積は、前記中心部と前記血管の前記壁との接触を回避するために、前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の横断面積より小さい請求項175に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項177】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部の外径は、5mm以下である請求項165から176のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項178】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部の外径は、2mmから5mmの範囲内にある請求項165から177のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項179】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部の外径は、2.5mmから4.5mmの範囲内にある請求項165から178のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項180】
前記第1の端部および前記第2の端部は、前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の内径の100%から125%の範囲内の外径まで膨張させられる請求項165から179のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項181】
前記第1の端部および前記第2の端部は、前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の内径の100%から110%の範囲内の外径まで膨張させられる請求項165から180のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項182】
前記非膨張状態の前記ステントの最大外径は、0.6mm以下であり、好ましくは0.5mm以下であり、有利には0.4mm以下である請求項165から181のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項183】
前記非膨張状態の前記ステントの最大外径は、0.3mm以下である請求項165から182のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項184】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の外径は、前記第1の端部および前記第2の端部の外径の25%から70%の範囲内にある請求項165から183のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項185】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の外径は、前記第1の端部および前記第2の端部の外径の40%から75%の範囲内にある請求項165から184のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項186】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の外径は、前記第1の端部および前記第2の端部の外径の約50%の範囲内にある請求項165から185のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項187】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部の外径は、実質的に互いに等しい請求項165から186のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項188】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の内径は、前記第1の端部および前記第2の端部の内径の25%から70%の範囲内にある請求項165から187のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項189】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の内径は、前記第1の端部および前記第2の端部の内径の40%から75%の範囲内にある請求項165から188のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項190】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部の内径は、前記第1の端部および前記第2の端部の内径の約50%の範囲内にある請求項165から189のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項191】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部の内径は、実質的に互いに等しい請求項165から190のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項192】
前記ステントの前記壁厚さは、0.02mmから0.15mmの範囲内にある請求項165から191のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項193】
前記ステントの前記壁厚さは、0.05mmから0.1mmの範囲内にある請求項165から192のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項194】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記第1の端部および前記第2の端部によって前記血管の前記壁に印加される前記径方向外向き圧力より大きい径方向外向き圧力を、前記狭窄を形成する物質に印加するように構成される請求項165から193のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項195】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部によって印加される前記径方向外向き圧力は、前記狭窄を形成する前記物質の押しつぶしを最小限度に抑え、それにより前記狭窄を形成する前記物質を前記血管の前記壁に沿って縦方向に付勢するのを最小限度に抑えるような圧力である請求項165から194のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項196】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部および前記第2の端部は、前記狭窄を形成する前記物質が前記第1の端部および前記第2の端部のうちの対応する1つと前記血管の前記壁との間で付勢されるのを防ぐのに十分な圧力で前記血管の前記壁を圧迫するように構成される請求項165から195のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項197】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄を形成する前記物質を前記径方向外向き圧力で圧迫し、前記狭窄を貫通する前記穴の直径を前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の少なくとも25%の直径まで増大させるように構成される請求項165から196のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項198】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄を形成する前記物質を前記径方向外向き圧力で圧迫し、前記狭窄を貫通する前記穴の直径を前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の少なくとも30%の直径まで増大させるように構成される請求項165から197のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項199】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄を形成する前記物質を前記径方向外向き圧力で圧迫し、前記狭窄を貫通する前記穴の直径を前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の少なくとも40%の直径まで増大させるように構成される請求項165から198のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項200】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄を形成する前記物質を前記径方向外向き圧力で圧迫し、前記狭窄を貫通する前記穴の直径を前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の少なくとも50%の直径まで増大させるように構成され、前記狭窄を貫通する前記穴の前記直径を前記狭窄に隣接する前記血管の前記非罹患部分の少なくとも70%およびさらには80%まで増大させ得る請求項165から199のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項201】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部は、前記狭窄を形成する前記物質を前記径方向外向き圧力で圧迫し、前記狭窄を貫通する前記穴の直径を前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の60%のオーダーの直径まで増大させるように構成される請求項165から200のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項202】
前記ステントは、前記狭窄を貫通する前記穴の前記直径を、前記狭窄を通って流れる血流の流量を前記狭窄がない場合の前記血管を通る正常な血流量の25%から80%の範囲内に収まるように前記中心部が増大させる程度まで膨張させられる請求項165から201のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項203】
前記ステントは、前記狭窄を貫通する前記穴の前記直径を、前記狭窄を通って流れる血流の流量を前記狭窄がない場合の前記血管を通る正常な血流量の30%から70%の範囲内に収まるように前記中心部が増大させる程度まで膨張させられる請求項165から202のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項204】
前記ステントは、前記狭窄を貫通する前記穴の前記直径を、前記狭窄を通って流れる血流の流量を前記狭窄がない場合の前記血管を通る正常な血流量の40%から60%の範囲内に収まるように前記中心部が増大させる程度まで膨張させられる請求項165から203のいずれか項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項205】
前記ステントは、前記狭窄を貫通する前記穴の前記直径を、前記狭窄を通って流れる血流の流量を前記狭窄がない場合の前記血管を通る正常な血流量の約50%の範囲内に収まるように前記中心部が増大させる程度まで膨張させられる請求項165から204のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項206】
前記中心部は、それぞれの遷移部内の対向端で終端し、前記中心部は、前記遷移部を通して前記第1の端部および前記第2の端部に接続され、連通する請求項165から205のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項207】
前記ステントの前記膨張状態の前記遷移部のうちの少なくとも1つは、前記中心部、ならびに前記第1の端部および前記第2の端部のうちの対応する1つに実質的に垂直に延在する請求項206に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項208】
前記ステントの前記膨張状態の前記2つの遷移部は、前記中心部、ならびに前記第1の端部および前記第2の端部のうちの前記対応する1つに実質的に垂直に延在する請求項206または207に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項209】
前記ステントの前記膨張状態の前記遷移部のうちの少なくとも1つは、円錐台形の形状である請求項206に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項210】
前記ステントの前記膨張状態の前記2つの遷移部は、円錐台形の形状である請求項209に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項211】
前記ステントの前記膨張状態の各遷移部の前記円錐台部は、30°から160°の範囲内の円錐角を画成する請求項209または210に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項212】
前記ステントの前記膨張状態の各遷移部の前記円錐台部は、30°から110°の範囲内の円錐角を画成する請求項209から211のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項213】
前記ステントの前記膨張状態の各遷移部の前記円錐台部は、60°から110°の範囲内の円錐角を画成する請求項209から212のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項214】
前記ステントの前記膨張状態の前記遷移部は、前記それぞれの対向端に隣接する前記狭窄を形成する前記物質と係合するように構成される請求項209から213のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項215】
前記第1の端部および前記第2の端部ならびに前記中心部は、中に隙間を画成するかごに似た構造物、編組構造物、および穿孔構造物のうちの1つである請求項165から214のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項216】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部内の前記隙間は、前記第1の端部および前記第2の端部内の前記隙間より面積が小さい請求項215に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項217】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部内の前記隙間は、前記狭窄を形成する前記物質が中を通過するのを最小限度に抑えること、および防ぐことのうちの一方を行う上で十分に小さい面積を有する請求項215または216に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項218】
前記ステントの前記膨張状態の前記遷移部内の前記隙間は、前記第1の端部および前記第2の端部内の前記隙間の面積より小さい面積を有する請求項215から217のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項219】
前記ステントの前記膨張状態の前記遷移部内の前記隙間は、前記狭窄を形成する前記物質が中を通過するのを最小限度に抑えること、および防ぐことのうちの一方を行う上で十分に小さい面積を有する請求項215から218のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項220】
前記ステントの前記中心部は縦方向に延在する主中心軸を画成し、前記第1の端部は縦方向に延在する第1の中心軸を画成し、前記第2の端部は縦方向に延在する第2の中心軸を画成する請求項165から219のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項221】
前記主中心軸、前記第1の中心軸、および前記第2の中心軸は互いに一致する請求項220に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項222】
前記主中心軸は、前記第1の中心軸および前記第2の中心軸からオフセットされる請求項220に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項223】
前記第1の中心軸および前記第2の中心軸は、互いに一致する請求項222に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項224】
前記主中心軸は、前記第1の中心軸および前記第2の中心軸に平行に延在する請求項222または223に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項225】
前記主中心軸は、前記第1の中心軸および前記第2の中心軸に対して0°より大きい角度で延在する請求項222または223に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項226】
前記ステントは、人間または動物の被検体の血液温度で膨張するように構成される請求項165から225のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項227】
生体適合性フィルムが前記ステントの前記表面上に設けられる請求項165から226のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項228】
前記生体適合性フィルムは、アテローム性プラークのさらなる増殖を防ぐために医薬品とともに埋め込まれる請求項165から227のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項229】
前記ステントは、前記ステントの血栓形成の可能性を低減する医薬品および血管形成を促進する物質を分子レベルで埋め込まれるか、またはコーティングされる請求項165から228のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項230】
前記ステントは、治療活性物質をコーティングされる請求項165から229のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項231】
前記治療活性物質は、血管形成促進物質を含む請求項230に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項232】
前記血管形成促進物質は、メタクリル酸-エコイソデシルアクリレート(MAA-co-IDA、40% MAA)を含む請求項231に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項233】
前記ステントは、前記ステントの使用の結果として生じる内皮剪断応力を最小にするように構成される請求項165から232のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項234】
前記ステントは、前記ステントの前記使用の結果として生じる内皮剪断応力が250Pa以下となるように構成される請求項233に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項235】
前記ステントは、生体適合性物質を含む請求項165から234のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項236】
前記ステントは、生体適合性生体分解性物質を含む請求項165から235のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項237】
前記ステントは、ポリマー物質を含む請求項165から236のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項238】
前記ステントは、自己膨張物質を含む請求項165から237のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項239】
前記ステントは、形状記憶物質を含む請求項165から238のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項240】
前記ステントは、
ニッケル、チタン、コバルト、ステンレス鋼
のうちの1つまたは複数から選択された合金を含む請求項165から239のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項241】
前記ステントは、非自己膨張物質を含む請求項165から237のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項242】
前記ステントは、細長送達カテーテルで前記血管内の前記狭窄に送達され、前記送達カテーテルは近位端と遠位端との間に延在し、中を貫通し前記近位端から前記遠位端に延在する細長穴を有し、前記ステントは前記送達カテーテルの前記穴内に配置される請求項165から241のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項243】
前記送達カテーテルは、前記送達カテーテルの前記遠位端が前記狭窄の前記遠位端上の狭窄から延在するまで頭蓋内血管系を通して、また前記狭窄を通して付勢される請求項242に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項244】
前記送達カテーテルの前記遠位端が前記狭窄の遠位に配置され、前記ステントが前記送達カテーテルの前記穴内に配置され、前記ステントの前記第2の端部が前記遠位端に隣接するときに、前記送達カテーテルは近位に付勢されて、前記ステントの前記第2の端部を露出させ、前記狭窄の遠位で前記血管内の前記第2の端部を膨張させる請求項242または243に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項245】
前記ステントの前記第2の端部が前記狭窄の前記遠位端上で前記血管の前記壁と係合しているときに、前記送達カテーテルおよび前記ステントは近位に付勢されて、前記ステントの前記第2の端部を前記狭窄の前記遠位端に隣接する前記血管の非罹患部分内に配置する請求項242から244のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項246】
前記ステントの前記第2の端部が前記狭窄の前記遠位端に隣接する前記血管の非罹患部分内に正しく配置されたときに、前記送達カテーテルはさらに近位に付勢されて前記ステントを露出させる請求項245に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項247】
近位端と遠位端との間に延在する細長位置決め部材は、前記送達カテーテルが近位に付勢されているときに前記狭窄内で前記ステントを位置決めするために前記送達カテーテルの前記穴内に配置される請求項242から246のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項248】
前記ステントの前記位置は、必要ならば、前記位置決め部材によってさらに調整され、前記狭窄内の前記ステントの位置決めが完了した後、前記位置決め部材は、前記ステントから係合を外され、前記位置決め部材および前記送達カテーテルは、前記頭蓋内血管系から引き出される請求項247に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項249】
前記ステントは、前記位置決め部材により前記送達カテーテルの前記穴を通して前記近位端から前記遠位端に付勢され、前記第2の端部は前記第1の端部に先行する請求項247または248に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項250】
前記位置決め部材の前記遠位端は、前記ステントを前記位置決め部材に解放可能に結合するための解放可能結合手段内で終端する請求項247から249のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項251】
前記ステントは、前記送達カテーテルの前記穴を通して付勢される前に前記結合手段によって前記位置決め部材に解放可能に結合される請求項250に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項252】
前記送達カテーテルは、ガイドワイヤ上で前記頭蓋内血管系内に付勢される請求項242から251のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項253】
前記送達カテーテルは、前記大腿動脈、橈骨動脈、上腕動脈、および前記頸動脈のうちの1つを通して前記頭蓋内血管系内に付勢される請求項242から252のいずれか一項に記載の膨張可能ステントの使用。
【請求項254】
人間または動物の被検体における頭蓋内アテローム性動脈硬化症を治療するための方法であって、
膨張可能ステントを提供するステップであって、前記ステントは、第1の端部、第2の端部、中心部、および前記中心部を前記第1の端部および前記第2の端部のうちのそれぞれ1つに接続する一対の遷移部とを備える、ステップと、
折りたたまれた状態の前記ステントを送達システムの送達マイクロカテーテルの内腔の近位端に装填するステップであって、前記送達マイクロカテーテルの遠位端は狭窄上に位置決めされる、ステップと、
折りたたまれた状態にある前記ステントを前記送達マイクロカテーテルの前記内腔に通して前進させるステップと、
折りたたまれた状態の前記ステントを前記マイクロカテーテル内に位置決めするステップであって、それにより前記ステントの前記中心部が前記狭窄の前記穴内に配置される、ステップとを含む方法。
【請求項255】
前記マイクロカテーテルは、前記狭窄の遠位で前記ステントの前記第2の端部および前記隣接する遷移部を露出させるために、前記狭窄を貫通する前記中心部で前記ステントを保持しながら部分的に引き出される請求項254に記載の方法。
【請求項256】
前記ステントの軸方向位置は、前記ステントの前記第1の端部および前記第2の端部のうちの1つに隣接する前記遷移部が前記狭窄の前記遠位端と係合するように前記マイクロカテーテルを軸方向に調整することによって調整される請求項254または255に記載の方法。
【請求項257】
前記マイクロカテーテルは、前記ステント全体を露出するようにさらに部分的に引き出される請求項254から256のいずれか一項に記載の方法。
【請求項258】
前記ステントは、前記狭窄に足場を形成するために前記血管内で膨張させられる請求項254から257のいずれか一項に記載の方法。
【請求項259】
前記血管内の前記ステントの前記位置は、X線透視法によって確認される請求項254から258のいずれか一項に記載の方法。
【請求項260】
前記ステントは、前記送達システムから分離され、前記ステントは前記血管内に配置され、前記中心部は前記狭窄の前記穴を貫通し、前記第1の端部および前記第2の端部は前記狭窄の前記近位端および前記遠位端のうちのそれぞれ1つに隣接する前記血管と係合する請求項254から259のいずれか一項に記載の方法。
【請求項261】
前記血管内の前記ステントの血管造影画像は、中の前記ステントの前記位置を確認するために撮像される請求項254から260のいずれか一項に記載の方法。
【請求項262】
前記送達マイクロカテーテルは、前記被検体から取り出される請求項254から261のいずれか一項に記載の方法。
【請求項263】
前記ステントの前記中心部は、砂時計の形状である請求項254から262のいずれか一項に記載の方法。
【請求項264】
放射線不透過性マーカーが前記ステント内または前記ステント上に配置される請求項254から263のいずれか一項に記載の方法。
【請求項265】
放射線不透過性マーカーは、前記第1の端部、前記第2の端部、および前記中心部のうちの1つまたは複数に隣接する前記ステント内に、または前記ステント上に配置される請求項264に記載の方法。
【請求項266】
前記狭窄は、X線透視法を使用して視覚化され、前記狭窄の重要な特徴は、前記ステントを前記狭窄に送達する前に決定される請求項254から265のいずれか一項に記載の方法。
【請求項267】
好適なステントの寸法は、前記狭窄の寸法から計算される請求項266に記載の方法。
【請求項268】
砂時計の形状の前記中心部は、前記ステントが前記狭窄に送達されるときにその先行する部分である前記ステントの前記第1の端部および前記第2の端部のうちの一方に付けられる前記放射線不透過性マーカーが前記狭窄の遠位に、ただしそれに隣接して配置されるようにX線透視法ガイダンスに従って前記折りたたまれた状態で位置決めされる請求項263から267のいずれか一項に記載の方法。
【請求項269】
前記ステントの砂時計の形状の前記中心部は、前記ステントの前記軸方向位置を維持しながら膨張する請求項263から268のいずれか一項に記載の方法。
【請求項270】
前記狭窄を貫通する前記穴は、遠位組織を乏血状態に灌流するために拡張される請求項263から269のいずれか一項に記載の方法。
【請求項271】
人間または動物の被検体における頭蓋内アテローム性動脈硬化症を治療する方法であって、
アテローム性動脈硬化症罹患血管内の狭窄に足場を留置してアテローム性物質の移動を制御するステップと、
下流組織が乏血状態に維持されるように前記狭窄を貫通する前記穴を拡張するステップとを含む方法。
【請求項272】
患者は、側副血管の発達を促進して前記乏血組織を支持する投薬を受ける請求項271に記載の方法。
【請求項273】
頭蓋内狭窄を有する人間または動物の被検体を治療する方法であって、
前記狭窄の長さ、前記狭窄の穴の直径、および前記狭窄の遠位端および近位端に隣接する血管の直径を測定するステップと、
前記狭窄の前記近位端および前記遠位端のうちの一方に隣接する前記血管の前記直径の少なくとも50%である直径を有する中心部を有するステントを選択するステップと、
前記ステントを前記血管内に留置するステップであって、前記中心部は前記狭窄を貫通する前記穴内に配置される、ステップと、
前記ステントを膨張させるステップとを含む方法。
【請求項274】
前記ステントは、約30日の期間内に前記狭窄の穴をリモデリングするように構成される請求項273に記載の方法。
【請求項275】
狭窄を含む血管から延在する隣接血管枝を有する前記狭窄を治療するときに二次梗塞を予防するための方法であって、
前記狭窄の下流の組織を過小灌流するように構成されているステントを提供するステップと、
前記ステントを前記狭窄に関して位置決めし、前記ステントを膨張させて前記狭窄を拡張するステップとを含む二次梗塞を予防するための方法。
【請求項276】
前記ステントは、前記狭窄の形状に形状適合するように構成される請求項275に記載の方法。
【請求項277】
前記狭窄に関する前記血管内の前記ステントの前記位置は、前記ステントを膨張させる前に確認される請求項275または276に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張可能ステントに関し、特に、限定はしないが、頭蓋内アテローム性動脈硬化症(ICAD)を治療する際に使用するための膨張可能ステントに関する。ステントは、病変雪かき(lesion snow-ploughing)を防ぐために機械的に制御されている間に、低酸素症、虚血、および梗塞のリスクを緩和するのに十分な血流を回復させる方法を提供する。さらに、本発明のステントは、自然頭蓋内血管形成(natural intracranial angiogenesis)を促進するため下流組織を乏血状態(oligemic state)に灌流するように構成される。
【0002】
本発明は、自然頭蓋内血管形成プロセスを促進するための方法にも関し、さらに、本発明は、自然頭蓋内血管形成プロセスを促進するための方法における膨張可能ステントの使用に関する。本発明は、頭蓋内アテローム性動脈硬化症(ICAD)を治療するための方法にも関する。本発明は、頭蓋内アテローム性動脈硬化症の治療における膨張可能ステントの使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
頭蓋内アテローム性動脈硬化狭窄(ICAS)は、動脈内壁上のプラーク(アテローム)の蓄積によって引き起こされる脳内の、これ以降血管と称される、動脈、静脈、内腔、または他の血管の狭小化(狭窄)であり、これにより、脳への血流が減少する。これは、身体障害の世界的な主要原因である、血栓塞栓または血行動態虚血性脳卒中をもたらし得る。
【0004】
頭蓋内アテローム性動脈硬化狭窄は、特定の民族間に高い有病率を有しており、この病気はアジア人の間に特に広まっている(Lancet Neurol. 2013年11月、12(11):1106~1114頁)。中国人患者集団内では、ICASを原因とする虚血性脳卒中の割合は、50%と高くなり得る。
【0005】
アテローム性動脈硬化症の初期段階では、脂肪様物質が血管の壁に沿って集まる。次いで、脂肪様物質は厚くなり、カルシウム沈着で硬化し、その結果、最初に血管が狭小化し、最終的に、血管の閉塞が生じ、それによって、血管を通る血流が妨げられる。
【0006】
図1は、罹患頭蓋内動脈100の初期狭小化を例示している。動脈100は壁101を備える。狭窄102は、壁101上のプラークによって形成される。図1の狭窄102は、動脈100を完全には塞いでいないが、むしろそれを貫通する穴103を有する。図1において、狭窄102は、約90%である、すなわち、動脈の健全な口径の約90%が塞がれる。これは、ほぼ100倍の動脈の開放断面領域の低減を表す。しかしながら、症状はより低いレベルの狭窄で生じる。プラークは、血管もしくは動脈を最終的に塞ぐか、または完全に閉塞し得るか、または遠位部塞栓を繰り返し発生し得る粗面もしくは血栓を発症し得る。プラーク内出血/血腫、脂質に富んだコア、薄い線維性被膜などの他のプラーク特性も、結果として、破裂して凝血塊を生じ血管を塞いだり、または遠位部塞栓を繰り返し発生したりする傾向のあるプラークを生じ得る。
【0007】
ICASの管理のための現在推奨されているアプローチは、血液をサラサラにする薬剤、コレステロール低下薬、および/または血圧調節薬などの薬物療法を使用することである。しかしながら、薬物療法で治療されるICAS患者に対する虚血性脳卒中の割合は、2年で20%と高くなり得る(Chimowitz Ml、Lynn MJ、Howlett-Smith Hら「Comparison of warfarin and aspirin for symptomatic intracranial arterial stenosis.」N Engl J Med 2005年、31:1305-16)(Nahab F、Cotsonis G、Lynnet Mら「Prevalence and prognosis of coexistent asymptomatic intracranial stenosis.」Stroke 2008年、39:1039-41)。ICAS患者が最適な薬物療法で治療されたにもかかわらず、2回目の脳卒中を発症した場合、ガイドラインでは、さらなるインターベンションを許している。現在、推奨されているインターベンションは、サルベージ療法として、狭窄にステントを留置すること、バルーン血管形成を行って狭窄を開くこと、またはより一般的であるが両方の組合せである。ステント留置は狭窄を広げる働きをし、それによって血管を通る血流を増大させる。ステントは、また、より滑らかなプラーク表面を形成するための足場を提供し、遠位部塞栓の再発を防ぐこともできる。しかしながら、金属製のステントを使用すると、「雪かき」と呼ばれるプロセスによって、以前には影響を受けていなかった隣接する血管内にプラークを押し込んでしまうリスクがあることを示している研究もある。脳内の動脈構造は、高度に枝分かれしており、既存のステントで認識されている問題点は、狭窄から動脈側枝、またはいわゆる「穿通枝」動脈内への物質の雪かきであり、それによって、それらを塞ぎ、これらの側枝によって形成される領域内に卒中を引き起こすことである。このような理由から、ステントおよび/またはバルーン血管形成の使用は、現在ではもっぱら、薬物療法が失敗した後のフォローアップまたはサルベージ治療のためにとってあるのである。
【0008】
したがって、ICASの管理のための代替的アプローチを提供する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Lancet Neurol. 2013年11月、12(11):1106~1114頁
【非特許文献2】Chimowitz Ml、Lynn MJ、Howlett-Smith Hら「Comparison of warfarin and aspirin for symptomatic intracranial arterial stenosis.」N Engl J Med 2005年、31:1305-16
【非特許文献3】Nahab F、Cotsonis G、Lynnet Mら「Prevalence and prognosis of coexistent asymptomatic intracranial stenosis.」Stroke 2008年、39:1039-41
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、膨張可能ステントを提供することを対象とし、本発明は、自然頭蓋内血管形成プロセスを促進するための方法も対象とし、さらに本発明は、自然頭蓋内血管形成プロセスを促進するための方法で膨張可能ステントを使用することも対象とする。本発明は、膨張可能ステントを収容する頭蓋内血管も対象とする。本発明は、頭蓋内アテローム性動脈硬化症を治療するための方法、および頭蓋内アテローム性動脈硬化症の治療に膨張可能ステントを使用することも対象とする。さらに、本発明は、頭蓋内アテローム性動脈硬化症を治療する際に使用する膨張可能ステント、および同時に、病変雪かきを防ぐために機械的に制御されている間に、低酸素症、虚血、および梗塞を発症するリスクを緩和するのに十分な血流を回復する方法においてステントを使用することも対象とする。本発明は、ステント、乏血状態に下流組織を灌流し自然頭蓋内血管形成を促進するためのステントの方法および使用も対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、頭蓋内血管内の狭窄にステント留置を行うための膨張可能ステントが提供され、膨張状態におけるステントは、第1の穴が貫通する第1の端部と、第1の端部から離間し、第2の穴が貫通する第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延在し、中心穴が貫通しており、第1の端部および第2の端部の第1の穴および第2の穴を互いに連通させる、中心部とを備えるように構成され、中心部は第1の端部および第2の端部の外部横断面より小さい外部横断面を有し、第1の端部および第2の端部は、ステントの膨張状態において狭窄のそれぞれの対向端上で血管の動脈壁と係合しステントを血管内に固定するように構成され、中心部は、ステントの膨張状態において狭窄を貫通する穴を貫通し、径方向外向き圧力で狭窄を形成する物質を圧迫して狭窄を通る穴のさらなる狭小化を少なくとも防ぐように構成される。
【0012】
本発明は、また、狭窄を含む頭蓋内血管と、本発明による膨張可能ステントとを提供し、膨張状態にある膨張可能ステントは、血管内に配置され、ステントの中心部は狭窄を貫通する穴内に配置され、狭窄を形成する物質を圧迫し、ステントの第1の端部および第2の端部は狭窄のそれぞれの対向端上で血管の壁と係合する。
【0013】
好ましくは、膨張状態にあるステントの第1の端部および第2の端部は、狭窄のそれぞれの対向端に隣接する血管の壁と係合する。
【0014】
それに加えて、本発明は、狭窄を中に有する血管を通して供給を受けている頭蓋内部位に血液を供給する自然頭蓋内血管形成プロセスを促進するための方法を提供し、この方法は、
膨張可能ステントを提供することであって、膨張可能ステントは第1の穴が貫通する第1の端部と、第1の端部から離間し、第2の穴が貫通する第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延在し、中心穴が貫通しており、第1の端部および第2の端部の第1の穴および第2の穴を互いに連通させる、中心部とを備え、中心部は第1の端部および第2の端部の外部横断面より小さい外部横断面を有する、提供することと、
非膨張状態にある膨張可能ステントを狭窄内に留置することであって、ステントの中心部は狭窄を貫通する穴を貫通し、第1の端部および第2の端部は狭窄の対向端上にある、留置することと、
ステントを膨張させることであって、膨張したステントの第1の端部および第2の端部は狭窄のそれぞれの対向端上で血管の壁と係合してステントを血管内に固定し、膨張したステントの中心部は狭窄を形成する物質を径方向外向き圧力で圧迫し、少なくとも狭窄を貫通する穴のさらなる狭小化を防いで、自然頭蓋内血管形成プロセスを促進する、膨張させることとを含む。
【0015】
さらに、本発明は、狭窄を中に有する血管を通して供給を受けている部位に血液を供給する自然頭蓋内血管形成プロセスを促進するための方法における膨張可能ステントの使用を提供し、膨張可能ステントは、第1の穴が貫通する第1の端部と、第1の端部から離間し、第2の穴が貫通する第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延在し、中心穴が貫通しており、第1の端部および第2の端部を互いに連通させる、中心部とを備え、中心部は第1の端部および第2の端部の外部横断面より小さい外部横断面を有し、非膨張状態にある膨張可能ステントは、狭窄内に留置され、ステントの中心部は狭窄を貫通する穴を貫通し、第1の端部および第2の端部は狭窄の対向端上にあり、ステントは膨張状態に膨張させられ、膨張したステントの第1の端部および第2の端部は狭窄のそれぞれの対向端上で血管の壁と係合してステントを血管内に固定し、膨張したステントの中心部は狭窄を形成する物質を径方向外向き圧力で圧迫し、少なくとも狭窄を貫通する穴のさらなる狭小化を防いで、自然頭蓋内血管形成プロセスを促進する。
【0016】
本発明の一態様において、中心部は、ステントの膨張状態において、狭窄の物質だけを圧迫し、血管の壁を圧迫しないように構成される。
【0017】
本発明の別の態様において、第1の端部および第2の端部は、ステントの膨張状態において、狭窄のそれぞれの対向端に隣接する血管の壁と係合するように構成される。
【0018】
本発明の別の態様において、ステントの膨張状態の第1の端部および第2の端部は、実質的に円形の横断面を有する。
【0019】
本発明のさらなる態様において、ステントの膨張状態の第1の端部および第2の端部は、実質的に円筒形の形状である。
【0020】
本発明の別の態様において、第1の端部および第2の端部は、ステントの膨張状態において、血管の隣接する部分の形状に適応するように構成される。
【0021】
本発明の別の態様において、ステントの膨張状態の中心部は、実質的に円形の横断面を有する。
【0022】
本発明のさらなる態様において、ステントの膨張状態の中心部は、実質的に円筒形の形状である。
【0023】
本発明の別の態様において、ステントの膨張状態の中心部は、実質的に砂時計の形状である。
【0024】
好ましくは、中心部は、ステントの膨張状態において、狭窄の少なくとも一部の形状に適応するように構成される。
【0025】
本発明の一態様において、中心部は、ステントの膨張状態における事前定義された最大横断面積まで膨張するように構成される。
【0026】
好ましくは、中心部の事前定義された最大横断面積は、中心部と血管の壁との接触を回避するために、狭窄に隣接する血管の非罹患部分の横断面積より小さい。
【0027】
本発明の一態様において、ステントの膨張状態の第1の端部および第2の端部の外径は、5mm以下である。
【0028】
好ましくは、ステントの膨張状態の第1の端部および第2の端部の外径は、2mmから5mmの範囲内にある。
【0029】
有利には、ステントの膨張状態の第1の端部および第2の端部の外径は、2.5mmから4.5mmの範囲内にある。
【0030】
本発明の一態様において、ステントの膨張状態の第1の端部および第2の端部は、狭窄に隣接する血管の非罹患部分の内径の100%から125%の範囲内の直径まで膨張するように構成される。
【0031】
好ましくは、ステントの膨張状態の第1の端部および第2の端部は、狭窄に隣接する血管の非罹患部分の内径の100%から110%の範囲内の直径まで膨張するように構成される。
【0032】
本発明の別の態様において、非膨張状態のステントの最大外径は、0.6mm以下であり、好ましくは0.5mm以下であり、有利には0.4mm以下である。
【0033】
好ましくは、非膨張状態のステントの最大外径は、0.3mm以下である。
【0034】
本発明の一態様において、ステントの膨張状態の中心部の外径は、第1の端部および第2の端部の外径の25%から70%の範囲内にある。
【0035】
好ましくは、ステントの膨張状態の中心部の外径は、第1の端部および第2の端部の外径の40%から75%の範囲内にある。
【0036】
有利には、ステントの膨張状態の中心部の外径は、第1の端部および第2の端部の外径の約50%の範囲内にある。
【0037】
本発明の一態様において、ステントの膨張状態の第1の端部および第2の端部の外径は、実質的に互いに等しい。
【0038】
本発明の別の態様において、ステントの膨張状態の中心部の内径は、第1の端部および第2の端部の内径の25%から70%の範囲内にある。
【0039】
好ましくは、ステントの膨張状態の中心部の内径は、第1の端部および第2の端部の内径の40%から75%の範囲内にある。
【0040】
有利には、ステントの膨張状態の中心部の内径は、第1の端部および第2の端部の内径の約50%の範囲内にある。
【0041】
本発明の一態様において、ステントの膨張状態の第1の端部および第2の端部の内径は、実質的に互いに等しい。
【0042】
本発明の別の態様において、ステントの壁厚さは、0.02mmから0.15mmの範囲内にある。
【0043】
好ましくは、ステントの壁厚さは、0.05mmから0.1mmの範囲内にある。
【0044】
本発明の一態様において、ステントの膨張状態の中心部は、第1の端部および第2の端部によって血管の壁に印加される径方向外向き圧力より大きい径方向外向き圧力を、狭窄を形成する物質に印加するように構成される。
【0045】
本発明の別の態様において、ステントの膨張状態の中心部によって印加される径方向外向き圧力は、狭窄を形成する物質の押しつぶしを最小限度に抑え、それにより狭窄を形成する物質を血管の壁に沿って縦方向に付勢するのを最小限度に抑えるような圧力である。
【0046】
本発明のさらなる態様において、ステントの膨張状態の第1の端部および第2の端部は、狭窄を形成する物質が第1の端部および第2の端部のうちの対応する1つと血管の壁との間で付勢されるのを防ぐのに十分な圧力で血管の壁を圧迫するように構成される。
【0047】
本発明の別の態様において、ステントの膨張状態の中心部は、狭窄を形成する物質を径方向外向き圧力で圧迫し、狭窄を貫通する穴の直径を狭窄に隣接する血管の非罹患部分の少なくとも25%の直径まで増大させるように構成される。
【0048】
好ましくは、ステントの膨張状態の中心部は、狭窄を形成する物質を径方向外向き圧力で圧迫し、狭窄を貫通する穴の直径を狭窄に隣接する血管の非罹患部分の少なくとも30%の直径まで増大させるように構成される。
【0049】
有利には、ステントの膨張状態の中心部は、狭窄を形成する物質を径方向外向き圧力で圧迫し、狭窄を貫通する穴の直径を狭窄に隣接する血管の非罹患部分の少なくとも40%の直径まで増大させるように構成される。
【0050】
好ましくは、ステントの膨張状態の中心部は、狭窄を形成する物質を径方向外向き圧力で圧迫し、狭窄を貫通する穴の直径を狭窄に隣接する血管の非罹患部分の少なくとも50%の直径まで増大させるように構成され、狭窄を貫通する穴の直径を狭窄に隣接する血管の非罹患部分の少なくとも70%およびさらには80%まで増大させ得る。
【0051】
有利には、ステントの膨張状態の中心部は、狭窄を形成する物質を径方向外向き圧力で圧迫し、狭窄を貫通する穴の直径を狭窄に隣接する血管の非罹患部分の60%のオーダーの直径まで増大させるように構成される。
【0052】
本発明の一態様において、中心部は、それぞれの遷移部内の対向端で終端し、中心部は、遷移部を通して第1の端部および第2の端部に接続され、連通する。
【0053】
本発明の別の態様において、ステントの膨張状態の遷移部のうちの少なくとも1つは、中心部、ならびに第1の端部および第2の端部のうちの対応する1つに実質的に垂直に延在する。
【0054】
本発明の別の態様において、ステントの膨張状態の2つの遷移部は、中心部、ならびに第1の端部および第2の端部のうちの対応する1つに実質的に垂直に延在する。
【0055】
本発明のさらなる態様において、ステントの膨張状態の遷移部のうちの少なくとも1つは、円錐台形の形状である。
【0056】
好ましくは、ステントの膨張状態の2つの遷移部は、円錐台形の形状である。
【0057】
本発明の一態様において、ステントの膨張状態の各遷移部の円錐台部は、30°から160°の範囲内の円錐角を画成する。
【0058】
好ましくは、ステントの膨張状態の各遷移部の円錐台部は、30°から110°の範囲内の円錐角を画成する。
【0059】
有利には、ステントの膨張状態の各遷移部の円錐台部は、60°から110°の範囲内の円錐角を画成する。
【0060】
本発明の一態様において、ステントの膨張状態の遷移部は、それぞれの対向端に隣接する狭窄を形成する物質と係合するように構成される。
【0061】
好ましくは、第1の端部および第2の端部ならびに中心部は、中に隙間を画成するかごに似た構造物、編組構造物、および穿孔構造物のうちの1つである。
【0062】
本発明の別の態様において、ステントの膨張状態の中心部内の隙間は、第1の端部および第2の端部内の隙間より面積が小さい。
【0063】
好ましくは、ステントの膨張状態の中心部内の隙間は、狭窄を形成する物質が中を通過するのを最小限度に抑えること、および防ぐことのうちの一方を行う上で十分に小さい面積を有する。有利には、ステントの膨張状態の遷移部内の隙間は、第1の端部および第2の端部内の隙間の面積より小さい面積を有する。
【0064】
本発明の別の態様において、ステントの膨張状態の遷移部内の隙間は、狭窄を形成する物質が中を通過するのを最小限度に抑えること、および防ぐことのうちの一方を行う上で十分に小さい面積を有する。
【0065】
本発明の一実施形態において、ステントの中心部は縦方向に延在する主中心軸を画成し、第1の端部は縦方向に延在する第1の中心軸を画成し、第2の端部は縦方向に延在する第2の中心軸を画成する。
【0066】
本発明の別の実施形態において、主中心軸、第1の中心軸、および第2の中心軸は互いに一致する。
【0067】
本発明の別の態様において、主中心軸は、第1および第2の中心軸からオフセットされる。
【0068】
本発明のさらなる態様において、第1および第2の中心軸は、互いに一致する。
【0069】
本発明の別の態様において、主中心軸は、第1および第2の中心軸に平行に延在する。
【0070】
本発明のさらなる態様において、主中心軸は、第1および第2の中心軸に対して0°より大きい角度で延在する。
【0071】
本発明の一態様において、ステントは、人間または動物の被検体の血液温度で膨張するように構成される。
【0072】
本発明の別の態様において、生体適合性フィルムがステントの表面上に設けられる。
【0073】
本発明のさらなる態様において、生体適合性フィルムは、アテローム性プラークのさらなる増殖を防ぐために医薬品とともに埋め込まれる。
【0074】
本発明の別の態様において、ステントは、ステントの血栓形成の可能性を低減する医薬品および血管形成を促進する物質を分子レベルで埋め込まれるか、またはコーティングされる。
【0075】
本発明の一態様において、ステントは、治療活性物質をコーティングされる。好ましくは、治療活性物質は、血管形成促進物質を含む。
【0076】
有利には、血管形成促進物質は、メタクリル酸-エコイソデシルアクリレート(ecoisodecyl acrylate)(MAA-co-IDA、40% MAA)を含む。
【0077】
本発明の別の態様において、ステントは、ステントの結果として生じる内皮剪断応力を最小にするように構成される。
【0078】
好ましくは、ステントは、ステントの結果として生じる内皮剪断応力が250Pa以下となるように構成される。
【0079】
本発明の一態様において、ステントは、生体適合性物質を含む。
【0080】
本発明の別の態様において、ステントは、生体適合性生体分解性物質を含む。
【0081】
本発明のさらなる態様において、ステントは、ポリマー物質を含む。
【0082】
本発明の別の態様において、ステントは、自己膨張物質を含む。
【0083】
本発明のさらなる態様において、ステントは、形状記憶物質を含む。
【0084】
本発明の別の態様において、ステントは、ニッケル、チタン、コバルト、ステンレス鋼のうちの1つまたは複数から選択された合金を含む。
【0085】
本発明のさらなる態様において、ステントは、非自己膨張物質を含む。
【0086】
本発明の一態様において、ステントの膨張状態の第1の端部および第2の端部は、狭窄のそれぞれの対向端に隣接する血管の壁と係合する。
【0087】
本発明の別の態様において、ステントの膨張状態の第1の端部および第2の端部は、実質的に円形の横断面を有する。
【0088】
本発明のさらなる態様において、ステントの膨張状態の第1の端部および第2の端部は、実質的に円筒形の形状である。
【0089】
本発明の別の態様において、ステントの膨張状態の第1の端部および第2の端部は、血管の隣接する部分の形状に適応する。
【0090】
本発明の一態様において、ステントは、狭窄を貫通する穴の直径を、狭窄を通って流れる血流の流量を狭窄がない場合の血管を通る正常な血流量の25%から80%の範囲内に収まるように中心部が増大させる程度まで膨張させられる。
【0091】
本発明の別の態様において、ステントは、狭窄を貫通する穴の直径を、狭窄を通って流れる血流の流量を狭窄がない場合の血管を通る正常な血流量の30%から70%の範囲内に収まるように中心部が増大させる程度まで膨張させられる。
【0092】
本発明のさらなる態様において、ステントは、狭窄を貫通する穴の直径を、狭窄を通って流れる血流の流量を狭窄がない場合の血管を通る正常な血流量の40%から60%の範囲内に収まるように中心部が増大させる程度まで膨張させられる。
【0093】
好ましくは、ステントは、狭窄を貫通する穴の直径を、狭窄を通って流れる血流の流量を狭窄がない場合の血管を通る正常な血流量の約50%の範囲内に収まるように中心部が増大させる程度まで膨張させられる。
【0094】
さらに、本発明は、被検体の頭蓋内アテローム性動脈硬化症を治療する方法を提供し、この方法はアテローム性動脈硬化物質の移動を制御するために病変に足場を形成するステップと、下流組織が乏血状態に維持されるように病変の穴を拡張するステップとを含み、好ましくは、この方法は、側副血管の発達を促進して前記乏血組織を支持するために患者に投薬することを含む。
【0095】
さらに、本発明は、頭蓋内狭窄を有する患者を治療するための方法を提供し、この方法は狭窄の長さを測定し、狭窄を貫通する穴の直径を測定し、狭窄の遠位端および近位端に隣接する血管の直径を測定するステップと、狭窄の近位端および遠位端のうちの一方に隣接する血管の直径の少なくとも50%である直径を有する中心部を備えるステントを選択し、血管内にステントを留置するステップであって、ステントの中心部が狭窄の穴を貫通する、ステップと、狭窄をリモデリングして、狭窄を貫通する穴の直径を、好ましくは狭窄の近位端に隣接する血管の直径の少なくとも50%まで増大させるようにステントを構成するステップとを含む。好ましくは、ステントは、ステントを血管内に留置してから30日以内に狭窄をリモデリングするように構成される。
【0096】
本発明は、血管枝が狭窄に隣接している被検体の血管内の狭窄を治療するときに二次梗塞を防止するための方法も提供し、この方法は下流組織を過小灌流するように構成されているステントを設け、狭窄に関してステントを位置決めし、狭窄に形状適合するようにステントを砂時計の形に膨張させることと、ステントを埋め込む前に前記血管枝の保存を確認することとを含む。
【0097】
さらに、本発明は、人間または動物被検体を治療して、頭蓋内血管系の血管を通る十分な血流を回復して低酸素症、虚血、および梗塞のうちの1つまたは複数のリスクを緩和するための方法を提供し、この方法は、本発明による膨張可能ステントが提供された場合に、折りたたまれた状態(collapsed state)の膨張可能ステントを送達マイクロカテーテルを貫通する内腔の近位端内に装填することであって、送達マイクロカテーテルの遠位端は狭窄上に位置決めされる(positioned across)、装填することと、折りたたまれた状態にあるステントを送達マイクロカテーテルの内腔に通して前進させることと、折りたたまれた状態にあるステントをその遠位端に隣接する送達マイクロカテーテルの内腔内に位置決めし、それにより、折りたたまれた状態にあるステントの中心部が狭窄の穴内に配置されるようにすることとを、含む。好ましくは、この方法は、ステントの第2の端部を露出させるために狭窄の穴内に配置されている中心部とともにステントを保持しながら送達マイクロカテーテルを引き抜くことをさらに含む。好ましくは、送達マイクロカテーテルの軸方向位置は、ステントの第1の端部および第2の端部のうちの一方が狭窄の遠位端に隣接する血管内に配置されるようにステントの軸方向位置に沿って調整される。
【0098】
好ましくは、この方法は、送達マイクロカテーテルをさらに引き出してステント全体を露出させることをさらに含む。
【0099】
好ましくは、この方法は、ステントを膨張させて狭窄に足場を形成することをさらに含む。
【0100】
本発明の一態様において、この方法は、ステントの位置をX線透視法によって確認することを含む。
【0101】
好ましくは、この方法は、ステントを送達システムの送達マイクロカテーテルまたは他の要素から分離することを含む。
【0102】
本発明の別の実施形態において、この方法は、狭窄内のステントの血管造影画像を取り込んでステントの位置を確認することを含む。
【0103】
本発明の別の態様において、この方法は、送達カテーテルを被検体から取り出すことをさらに含む。
【0104】
本発明の別の態様において、この方法は、膨張可能ステントに砂時計の形状の中心部を付けることを含む。
【0105】
本発明のさらなる態様において、膨張可能ステントは放射線不透過性マーカーを備え、好ましくは、放射線不透過性マーカーは、ステントの第1の端部および第2の端部のうちの一方または両方に配置される。
【0106】
本発明の別の態様において、放射線不透過性マーカーは、最小直径の砂時計の形状の中心部の部分に隣接して配置される。
【0107】
本発明の別の態様において、この方法は、治療前に、X線透視法を使用して狭窄を視覚化し、狭窄の鍵となる特徴部の寸法を決めることを含む。
【0108】
好ましくは、この方法は、狭窄に対する砂時計の形状のステントの中心部の最も適している形状の寸法を計算することを含む。
【0109】
本発明の別の態様において、この方法は、折りたたまれた状態のステントをX線透視法ガイダンスに従って位置決めし、砂時計の形状のステントの中心部が狭窄内に配置されるようにすることを含む。
【0110】
好ましくは、ステントは、狭窄を貫通する穴を拡張し遠位組織を灌流して乏血状態にするために砂時計の形状の中心部が狭窄内に配置されている状態で膨張させられる。
【0111】
好ましくは、遷移部は、起伏のあるチューブ状本体部内に構成される。
【0112】
有利には、第1の端部および第2の端部、遷移部、および中心部は、モノリス構造に構成される。
【0113】
本発明の一実施形態において、狭窄を通る穴の横断面積は3080%増大するが、狭窄に隣接する血管の拡張は18%未満である。
【0114】
本発明の別の実施形態において、狭窄を通る穴の横断面積は2000%増大するが、狭窄に隣接する血管の拡張は14%未満である。
【0115】
本発明の別の実施形態において、狭窄を通る穴の横断面積は1000%増大するが、狭窄に隣接する血管の拡張は16%未満である。
【0116】
本発明の別の実施形態において、狭窄を通る穴の横断面積は3000%増大するが、狭窄に隣接する血管の拡張は12%未満である。
【0117】
好ましくは、狭窄を通る穴の横断面積は1000%から3000%の範囲内で増大するが、狭窄に隣接する血管の拡張は10%から18%の範囲内である。
【0118】
本発明の利点は多数ある。本質的に、頭蓋内血管枝系内の血管内の狭窄に配置されたときの本発明による膨張可能ステントは、部分的に閉塞している血管を完全に正常な状態に完全に回復することも、元の内径に戻すことも意図されず、むしろ、血管を通る血流を部分的に制限されているレベルに維持するか、または血管を通る血流の流量を狭窄の形成前のその血管を通る正常な流量の25%から80%の範囲内のどれかの流量まで増大させ、好ましくは血流の流量を狭窄の形成前の血管を通る正常な流量の約50%に増大させることを意図されている。これは、頭蓋内血管系内の自然頭蓋内血管形成を進行させることができる十分な時間的余裕を与え、これにより、側副血管が成長し、罹患血管を通して血液を供給される1つまたは複数の部位が罹患血管による供給を受ける部位に供給するか、またはまだ供給し得ない1つまたは複数の代替的血管を通して供給を受けることを可能にする。したがって、自然頭蓋内血管形成プロセスの完了後に、罹患血管による供給を受けている部位は、自然頭蓋内血管形成プロセスの結果として新しく成長する側副血管からの血液供給を完全に供給される。
【0119】
本発明によるステントは、また、患者に対して著しいリスクを抱えている脳動脈病変を治療するように構成される。これらの病変は、高いレベルの制限(狭窄)を有し、これらの病変を流れる高速度の血液の剪断力は、患者を脳卒中の高いリスクに曝す。それと同時に、人間被検体の頭蓋内血管は、身体の他の部分と比べて細く、したがって、心臓または腎臓または別の臓器における類似のサイズの血管より脆い。これらの血管内における強引なステント留置は、薬物療法より劣っていることが示されている。一実施形態において、本発明は、これらの患者を治療するための全く新しい戦略を提供する。これらの頭蓋内狭窄を本発明のデバイスにより部分的に拡張する方法は、下流組織を低酸素状態にしないこと、またそれと同時に血管床内の乏血状態を温存することを確実にする十分な血流を回復する効果を有する。頭蓋内血管床における乏血状態は、血管形成プロセスにおいて脳内の側副血管(新血管)の発達を促進し、この治療戦略は、時間の経過とともに脳がそれ自体の血液循環冗長性を発展させることを可能にする。これは、狭窄が患者にもたらすリスクを低減する効果を有する。元の病変の部位における急性閉塞であっても、側副血管が発達した状況においては患者に著しい害を及ぼし得ない。
【0120】
本発明の膨張可能ステントの別の態様は、制限(狭窄)の本体を構成するアテローム性動脈硬化物質を管理する仕方である。従来のステント留置術では、この物質は強引に移動され、これは天然動脈が膨張して順応することを引き起こす。本発明の膨張可能ステントは、このような強引な処置を回避し、アテローム性動脈硬化物質を非常に小さなレベルで移動する。
【0121】
したがって、本発明による膨張可能ステントは、一般的には、罹患血管を通る血流を増大させるために使用され、罹患血管を通る正常な血流を回復するために使用されないが、それは狭窄を貫通する穴の直径を大きくして罹患血管を通る正常な血流を回復する結果、一般に、狭窄を形成する物質が押しつぶされ、血管壁に沿って縦方向に広がることになるからである。頭蓋内血管系内に多数の血管枝があり、主血管または動脈から延在する血管枝が近いので、この結果、狭窄を形成する物質が狭窄に隣接する1つまたは複数の血管枝を通り過ぎて広がり、それによって血管枝を塞ぐことになる。ステントを超える狭窄を形成する物質が押しつぶされ拡散することを「雪かき」と一般的に称される。本発明による膨張可能ステントおよびその使用により、同時に自然頭蓋内血管形成プロセスを、それが完了し、新しいまたは側副血管が成長して罹患血管による供給を受ける1つまたは複数の部位に代替的血液供給を行うまで、促進し、支持するのに十分な状態に罹患血管または動脈を通る血流を維持しながら雪かき、したがって、狭窄に隣接する血管枝または動脈を塞ぐ危険性を回避する。
【0122】
本発明のさらなる利点は、狭窄を通る穴を部分的にだけ開くことによって頭蓋内過灌流損傷のリスクが低減され、一般的には、回避されることである。頭蓋内過灌流損傷は、正常な灌流圧力の急速な回復の結果として生じる可能性があり、潜在的に、頭蓋内出血を引き起こし得る。頭蓋内血流の増大の設定において、頭蓋内過灌流は頭蓋内血管系の調節不全および高血圧症も伴うことがある。
【0123】
したがって、本発明の利点は多数ある。最初に、膨張可能ステントは、そうしなければ隣接血管枝または狭窄に隣接する血管枝を塞ぐことになるであろう狭窄を形成する物質の雪かきを回避する。神経血管循環では、これらの血管枝のうちのいくつかは、これらが脳の襞内に収まっている血管から(中頭蓋内動脈から)出て、脳の頭蓋内組織を穿孔して貫くので穿通枝と呼ばれる。これは、これらの穿通枝血管のうちのいくつかが発話などの非常に高レベルの機能に関連付けられており、したがって、これらの小血管のうちの1つが閉塞しても患者に破滅的な結果をもたらし得る場合がある。本発明の膨張可能ステントは、血流を乏血レベルに戻している間にこれらの穿通枝血管を雪かきによって閉塞されないように保護する構成を取る。膨張可能ステントは、同時に狭窄を形成する物質の雪かきを回避しながら、狭窄を貫通する穴の直径を維持するか、または罹患血管を通る血流が正常の30%を超える、好ましくは正常の約50%の値に維持される程度まで増大させ、それによって、自然頭蓋内血管形成プロセスを進行させることができる。本発明による膨張可能ステントは、少なくとも自然頭蓋内血管形成プロセスが完了し、新しい血管または側副血管が成長して元々罹患血管または動脈による供給を受けていた部位に供給するまで血液の流れを十分な流量に維持する。血流は正常な血流量の50%の値に維持されるという事実があるため、頭蓋内過灌流は回避され、脳卒中のリスクも低くなる。いくつかの場合において、膨張可能ステントは、血液の流量を正常の70%まで、いくつかの限定された場合において、正常の80%まで増大させるように構成され得る。
【0124】
本発明およびその多くの利点は、添付図面のみを参照して例としてのみ与えられるいくつかの好ましい実施形態の次の説明からより明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0125】
図1】罹患頭蓋内動脈の断面側面図である。
図2図1の罹患動脈内の狭窄を通る血流を維持する際に使用するための本発明による膨張可能ステントの側面図である。
図3図2のステントの端面図である。
図4図2のステントの断面側面図である。
図5】非膨張状態の図2のステントの断面側面図である。
図6図1の動脈において使用している図2のステントの断面側面図である。
図7図2のステントを罹患動脈の狭窄内に送達するための送達システムの断面側面図である。
図8図2のステントが罹患動脈の狭窄内に位置決めされていることを例示している図7の動脈の一部分の断面側面図である。
図9図2のステントを罹患動脈内に留置することをさらに例示する図8に類似する図である。
図10】本発明の別の実施形態による膨張可能ステントの側面図である。
図11】本発明の別の実施形態によるステントの断面側面図である。
図12】罹患動脈内の狭窄において例示されている本発明のさらなる実施形態によるステントの断面側面図である。
図13】動脈内の狭窄内に留置されることを例示されている本発明のさらなる実施形態によるステントの断面側面図である。
図14a】本発明の別の実施形態によるステントの側面図である。
図14b】本発明の別の実施形態によるステントの断面側面図である。
図14c】本発明の別の実施形態によるステントの端面図である。
図15a】本発明の別の実施形態によるステントの側面図である。
図15b】本発明の別の実施形態によるステントの断面側面図である。
図15c】本発明の別の実施形態によるステントの端面図である。
図16a】本発明の別の実施形態によるステントの側面図である。
図16b】本発明の別の実施形態によるステントの断面側面図である。
図16c】本発明の別の実施形態によるステントの端面図である。
図17a】本発明の別の実施形態によるステントの側面図である。
図17b】本発明の別の実施形態によるステントの断面側面図である。
図17c】本発明の別の実施形態によるステントの端面図である。
図18】本発明の別の実施形態によるステントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0126】
図面を参照するが、最初に図2から図6を参照すると、一般的に参照番号1によって示される本発明による膨張可能ステントが例示されている。ステント1は、図5に例示している非膨張状態から図2図3図4、および図6に例示されている膨張状態まで膨張可能である。ステント1は、ステントを付勢して、以下で説明されるような、送達マイクロカテーテル内の頭蓋内血管系(図示せず)に通して、狭窄、たとえば、頭蓋内動脈内の、たとえば、頭蓋内血管系(図示せず)の罹患頭蓋内動脈100内の、狭窄102に送るのに適している非膨張状態の寸法のものである。膨張状態では、ステント1の寸法は、ステント1が狭窄102内で膨張し、狭窄102を通る穴103の開いた状態を維持し、および/または狭窄102を通る穴103の横断面積を増大させ、狭窄102を通る血流の量を維持し、および/または増大させるような寸法である。狭窄102を通る血流の量を維持するか、または増大させることで、下流組織、すなわち、動脈100を通じて血液を供給される組織を、下流組織を乏血状態に維持しながら、低酸素症、虚血、および/または梗塞から保護する、したがって、これは、自然頭蓋内血管形成プロセスを促進し、自然頭蓋内血管形成プロセスが完了することを可能にし、それによって、新側副血管が成長して、罹患動脈100を通して供給を受けている下流組織に供給を行う。膨張状態および非膨張状態におけるステント1の寸法は、以下でより詳しく説明される。
【0127】
膨張状態のステント1は、第1の端部3および第2の端部4を備え、これらは両方とも円形横断面を有し、また同じ外径および内径を有する。これもまた円形の横断面を有する中心部は第1の端部3と第2の端部4との間に延在し、中心部5を第1の端部3および第2の端部4のうちの対応する端部に接続するそれぞれの遷移部7における対向端で終端する。本発明のこの実施形態において、ステント1が膨張状態にあるときに、遷移部7は中心部5から実質的に垂直に、また第1の端部3および第2の端部4のうちの対応する端部から垂直に延在する。しかしながら、図11から図13を参照しつつ以下で説明されているように、遷移部7は、たとえば、中心部5から第1の端部3および第2の端部4へ横断面積を徐々に増大させる円錐台であってよく、実際、本発明の他の実施形態では、図11から図13を参照しつつ説明されているステントなどのステントは、ステント1より好ましい場合がある。
【0128】
第1の端部3および第2の端部4は、それぞれ、貫通する第1の穴12および第2の穴13を有する、膨張可能な第1の壁10および第2の壁11によって形成される。中心部5は、貫通している穴16を有し、第1の端部3および第2の端部4をそれぞれ連通する第1の穴12および第2の穴13を有する膨張可能な中心壁15を備える。本発明のこの実施形態において、ステント1の膨張状態において、第1の壁10、第2の壁、11、および中心壁15は、それぞれ、円筒形である。本発明のこの実施形態では、遷移部7はそれぞれの遷移壁17によって形成され、これらは膨張可能であり、ステント1の膨張状態において、遷移壁17が中心壁15から、また第1の壁10および第2の壁11から垂直に延在するように外向きに膨張する。中心部5の中心壁15は、縦方向に延在する主中心軸18を画成し、第1の端部3および第2の端部4の第1の壁10および第2の壁11はそれぞれの縦方向に延在する第1の中心軸21および第2の中心軸22をそれぞれ画成する。本発明のこの実施形態において、第1の端部3および第2の端部4は互いに軸方向に整列され、中心部5は第1の端部3および第2の端部4と軸方向に整列される。したがって、本発明のこの実施形態において、第1の中心軸21および第2の中心軸22ならびに主中心軸18は互いに一致する。
【0129】
第1の壁10および第2の壁11ならびに中心壁15は必ずしも円筒形である必要はないことが企図されており、実際、当業者によってそう理解されるであろう。たとえば、ステント1の膨張状態において、中心壁15は、遷移壁17の中間にある中心点から外向きに遷移壁17の方へ逸れる、言い換えると、中心壁15は、「砂時計」の形状であるものとしてよくて、それによって、遷移壁17に隣接する中心壁15の直径は、遷移壁17の間の中間にある中心点のところで中心壁15の直径より大きくなり、この場合、円筒形の壁15の逸れる部分の直径は、中心壁15の中心点から遷移壁17の方へ徐々に増大することになる。実際、ステント1が原位置で膨張したときに、狭窄102を貫通する穴103の形状に応じて、中心壁15は狭窄102を貫通する穴103の外形に対応する形状を取り得ることが企図される。
【0130】
第1の端部3および第2の端部4の第1の壁10および第2の壁11は円筒形以外の形状であってもよいことも企図され、本発明のいくつかの実施形態において、ステント1の膨張状態の第1の壁10および第2の壁11は、第1の壁10および第2の壁11が遷移壁17から縦方向に合流する形状を取り得るか、対応する遷移壁17と端壁10および11の対応する自由端19との間の中間にある中点から対応する遷移壁17および対応する自由端19の方へ合流し得ることが企図される。実際、原位置にあるときに、第1の端部3および第2の端部4の第1の壁10および第2の壁11は、それぞれ、狭窄102の、それぞれ近位端105および遠位端107に隣接する動脈の、それぞれの近位非罹患部分104および遠位非罹患部分106の縦方向外形に対応する形状を取るものとしてよいことが企図される。
【0131】
言うまでもないが、中心部5の中心壁15ならびに第1の端部3および第2の端部4の第1の壁10および第2の壁11は、ステント1の膨張状態の任意の好適な形状を取るものとしてよく、またステント1が動脈100内の原位置に配置されたときに、たとえば、第1の端壁10および第2の端壁11ならびに中心壁15の外表面は凹状もしくは凸状であり得る。
【0132】
本発明のいくつかの実施形態において、第1の端部および第2の端部は互いに軸方向に整列され得ず、さらに、中心部5は第1の端部3および第2の端部4と軸方向に整列され得ないことも理解されるであろう。この場合、中心部5ならびに第1の端部3および第2の端部4のそれらの部分の中心軸18、21、および22のみが一致する。たとえば、第1の端部3および第2の端部4が軸方向に整列されている場合、第1の中心軸21および第2の中心軸22は互いに一致し、中心部5が第1の端部3および第2の端部4と軸方向に整列されていない場合、中心部5の主中心軸18は、第1の端部3および第2の端部4の第1の中心軸21および第2の中心軸22からオフセットされる。一般に、そのような場合、主中心軸18は、第1の端部3および第2の端部4の第1の中心軸21および第2の中心軸22に平行に延在することになる。しかし、いくつかの場合において、中心部5の主中心軸18は、第1の端部3および第2の端部4の第1の中心軸21および第2の中心軸22に対してある角度で延在し得ることが企図される。実際、使用時に、狭窄102を貫通する穴103の形状および角度に応じて、中心部5は、第1の端部3および第2の端部4に対してある角度で延在する配向を取り得る。この場合、第1の端部3および第2の端部4の第1の中心軸および第2の中心軸が軸方向に整列され得ないが、互いからオフセットされ、中心部5の主中心軸18は第1の端部3および第2の端部4の第1の中心軸21および第2の中心軸22に対してある角度で延在することが企図される。それに加えて、狭窄102が湾曲したまたは角度を付けられた動脈内に位置している場合、第1の端部3および第2の端部4の第1の中心軸21および第2の中心軸22は互いにある角度で延在し、また中心部5の主中心軸18に対してそれぞれの異なる角度で延在し得る。
【0133】
膨張状態のステント1の寸法は、一般に、狭窄102の直径、および狭窄102の長さに基づき、また狭窄102に隣接する動脈200の非罹患部分の直径にも基づき、選択される。一般に、ステント1は、第1の端部3、第2の端部4、および中心部5、さらには異なる直径の動脈もしくは血管および異なる長さの狭窄を受け入れるための異なる直径および長さの範囲内の、異なる直径の中を貫通する穴を有する、遷移部7を備える。特定の動脈または血管内の特定の狭窄のためのステントの選択は、一般に、2ステッププロセスとなる。最初に、外科医、インターベンショニスト、または他の外科もしくは医療要員が、狭窄の長さ、および狭窄を貫通する穴の直径、さらには狭窄のそれぞれの対向端に隣接する動脈の非罹患部分104および106の直径を測定する。次いで、好適な寸法の本発明によるステント1が選択される。好適な寸法のステント1がない場合、好適な寸法の本発明によるステント1は製造されることになる。
【0134】
本発明のこの実施形態において、狭窄102は、動脈100の動脈壁101上のプラークによって形成される。狭窄102を貫通する穴103の直径は約0.6mmである。狭窄102の長さLは約5mmである。狭窄102の、それぞれ、それぞれの近位端105および遠位端107に隣接する動脈100の、それぞれ、近位非罹患部分104および遠位非罹患部分106の直径Dは、約3mmである。
【0135】
したがって、本発明のこの実施形態では、ステント1は、狭窄102内の原位置に留置されたときに膨張し、中心部5の外径d1が約1.5mmであり、第1の端部3および第2の端部4の外径D1が互いに等しく約3.5mmであるように構成される。ステント1の膨張状態の中心部5の軸方向長さL1は約5mmであるが、本発明のこの実施形態におけるステント1の膨張状態の第1の端部3および第2の端部4の軸方向長さL2は互いに等しく、本発明のこの実施形態では、約2mmである。ステント1の第1の端部3および第2の端部4の軸方向長さは同じであっても異なっていてもよいことは理解されるであろう。
【0136】
上で述べたように、膨張状態のステント1の寸法は、動脈およびその狭窄の寸法に大きく依存し、特定の狭窄に対して適するように選択される。しかしながら、典型的には、膨張状態では、ステント1の中心部5の外径d1は1mmから3mmの範囲内となり、より典型的には、1.2mmから2.5mmの範囲内にある。膨張状態のステント1の第1の端部3および第2の端部4の外径D1は、一般に、2mmから5mmの範囲内にあり、より典型的には、2.5mmから4.5mmの範囲内にある。それに加えて、ステントの膨張状態におけるステント1の中心部5の長さL1は、典型的には、5mmから20mmの範囲内にあり、より典型的には、5mmから15mmの範囲内にある。膨張状態のステント1の第1の端部3および第2の端部4の各々の軸方向長さL2は、一般に、2mmから4mmの範囲内にあり、より典型的には、2mmから3mmの範囲内にあり、これは同じ軸方向長さであっても異なる軸方向長さであってもよい。
【0137】
非膨張状態のステント1が、頭蓋内血管系を通して操縦され、一般に非膨張状態にある、動脈100内の狭窄102に送られることができるために、ステント1は、0.6mm以下の軸方向長さL3全体に沿った実質的に一定の外径d3であり、非膨張状態のステント1の軸方向長さL3は、一般に、30mm以下となる。図5を参照。しかし、動脈または血管および頭蓋内血管系内のその狭窄の配置に応じて、非膨張状態のステント1の最大外径d3は0.5mm以下となる。理想的には、非膨張状態のステント1は、0.4mm以下の最大外径d3および25mm以下の長さL3を有する。
【0138】
中心部5の外径d1とステント1の膨張状態の第1の端部3および第2の端部4の外径D1との関係は、狭窄102に中心部5によって加えられる径方向外向き圧力が、狭窄102を貫通する穴103の直径を狭窄102の近位端105および遠位端107に隣接する動脈100の近位非罹患部分104および遠位非罹患部分106の直径の少なくとも25%に維持するために十分であり、狭窄102のそれぞれの近位端105および遠位端107に隣接する動脈100の壁101の近位非罹患部分104および遠位非罹患部分106に第1の端部3および第2の端部4によって加えられる径方向外向き圧力が、動脈100内のステント1をその動脈壁101に当てて固定するのに十分であるように選択される。動脈壁101に第1の端部3および第2の端部4によって加えられる圧力は、また、狭窄を形成している物質が狭窄102から第1の端部3および第2の端部4と動脈100の壁101との間の動脈100の壁101に沿って縦方向に押しつぶされるのを防ぐために多くの場合において十分であり得る。
【0139】
膨張状態のステント1の中心部5の外径d1は、径方向外向き圧力を狭窄に印加して狭窄102を通る穴103の直径を狭窄102の、それぞれ、近位端105および遠位端107に隣接する動脈100の近位非罹患部分104および遠位非罹患部分106の直径の、25%から60%の範囲内、およびいくつかの場合において、最大75%、さらには80%の直径まで増大させるように選択される。しかし、理想的には、膨張状態の中心部5の外径は、十分な径方向外向き圧力を狭窄102に印加して中を通る穴103の直径を狭窄102の、それぞれ、近位端105および遠位端107に隣接する動脈100の近位非罹患部分104および遠位非罹患部分106の直径の約50%に増大させるような外径である。
【0140】
それに加えて、また一般に、ステント1に膨張状態の中心部5の外径d1は、膨張状態においてステント1の中心部5によって印加される径方向外向き圧力が狭窄102を貫通する穴103の直径を増大させ、それにより動脈100を通る血流量が狭窄の形成の前の動脈を通る正常な血流量の50%より大きい値まで増大させられるのに十分であるように選択される。流れに対する抵抗は導管の内径の4乗に反比例するので、ステント1の膨張状態の中心部5の外径は、狭窄102の穴103を通る血流量を正常な血流量の50%以上まで戻すためにこの関係に基づき選択される。これは、すでにわかっていることだが、下流組織を乏血状態に維持しながら罹患動脈100による供給を受ける下流組織への血流を維持し、下流組織を低酸素症、虚血、および/または梗塞から保護するのに十分であり、また、自然頭蓋内血管形成プロセスを、それが完了し、新側副血管が成長して罹患動脈による供給を受ける部位に供給するようになるまで促進するのにも十分である。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態において、膨張したステント1の中心部5の外径は、下流組織を乏血状態に維持しながら低酸素症、虚血、および/または梗塞から下流組織を保護するのに十分であり得る、現在の流量に応じて、現在の流量で、または現在の流量よりわずかに高く、動脈を通る血流を維持するために狭窄102を軽く圧迫するような外径であり得ることが企図されている。
【0141】
一般に、中心部5によって狭窄102に印加される径方向外向き圧力は、ステント1の膨張状態において動脈100の近位非罹患部分104および遠位非罹患部分106に隣接する壁101に第1の端部3および第2の端部4によって印加される径方向外向き圧力より大きい。しかしながら、中心部5は、中心壁15が膨張することができる最大の横断面積は事前定義された最大横断面積に制限され、これは狭窄102に隣接する、動脈100の近位非罹患部分104および遠位非罹患部分106の横断面積より小さくなるように選択される。これは、ステント1の膨張状態の中心部5の中心壁15が動脈100の動脈壁101から離間し、狭窄102に隣接する動脈100の非罹患部分の動脈壁101と接触しないことを確実にするためである。
【0142】
本発明のこの実施形態におけるステント1は穿孔物質から形成され、この物質は適切に接続されているストラット23を形成しその間に物質を貫通する隙間20を形成するように穿孔される。本発明のこの実施形態において、ステント1の物質は形状記憶金属を含み、したがってステント1は自己膨張し、好ましくは、人間または動物の身体内の正常な血液温度で膨張する。多くの金属および他の物質がそのような自己膨張ステントを提供するために使用され得るが、本発明のこの実施形態では、ステントの物質はニチノールとして知られているニッケルチタン合金である。ステント1の非膨張状態では、ステント1は、ストラット23が互いに隣接するように径方向に圧縮され、ステント1を形成する穿孔のパターンに応じて、ステント1の圧縮された非膨張状態のストラット23は軸方向に延在し得る。
【0143】
ステント1の膨張状態の中心部5の中心壁15を貫通する隙間20aは、第1の端部3および第2の端部4の第1の壁10および第2の壁11を貫通する隙間20bの面積より小さい面積を有する。遷移部7の遷移壁17を貫通する隙間20cは、中心部5の中心壁15を貫通する隙間20aの面積に実質的に類似する面積を有する。本発明のこの実施形態において、ステント1の膨張状態の中心部5の中心壁15および遷移部7の遷移壁17を貫通する隙間20aおよび20cは、中心部5および遷移部7内の隙間20aおよび20cを貫通する狭窄102を形成する物質を少なくとも最小にし、好ましくは防ぐ十分に小さい面積を有する。それに加えて、中心部5および遷移部7の隙間20aおよび20cを、第1の端部3および第2の端部4の隙間20bより小さい面積を有するようにすることによって、結果として、中心部5によって狭窄102に加えられる径方向外向き圧力は第1の端部3および第2の端部4によって動脈100の近位部分104および遠位部分106に加えられる径方向外向き圧力より大きくなる。
【0144】
第1の端部3および第2の端部4の第1の壁10および第2の壁11の壁厚さは、中心部5の中心壁15の壁厚さに類似している。したがって、中心部5の中心壁15の内径d2と第1の端部3および第2の端部4の第1の壁10および第2の壁11の内径D2との間の関係は、中心部5の中心壁15の外径d1と第1の端部3および第2の端部4の第1の壁10および第2の壁11の外径D1との間の関係に実質的に類似している。本発明のこの実施形態において、第1の端壁10および第2の端壁11、中心壁15、ならびに遷移壁17の壁厚さは約0.1mmである。しかしながら、第1の端壁および第2の端壁、中心壁、ならびに遷移壁の厚さは、0.02mmから0.15mmの間の範囲にあるものとしてよいが、好ましくは、第1の端壁および第2の端壁、中心壁、ならびに遷移壁の厚さは理想的には0.05mmから0.1mmの範囲内であることが企図される。第1の端壁および第2の端壁、中心壁、および遷移壁の厚さの選択は、一方ではステントの強度と機能との間で最適化し、他方ではステントを使用した結果の内皮剪断応力を最小にするように選択される。一般に、ステントの壁厚さは、内皮剪断応力が250Pa以下となるように選択される。
【0145】
本発明のこの実施形態において、ステントは、ステントの膨張状態において、ステントの第1の端部3および第2の端部4の外径が狭窄102の、それぞれ、近位端105および遠位端107に隣接する動脈の近位非罹患部分104および遠位非罹患部分106の直径の約110%となるように構成される。しかしながら、ステント1の第1の端部3および第2の端部4の外径は、ステントの膨張状態において、狭窄102の、それぞれ、近位端105および遠位端107に隣接する動脈の近位非罹患部分104および遠位非罹患部分106の直径の100%から125%の範囲内にある、好ましくは、動脈の近位非罹患部分104および遠位非罹患部分106における動脈の直径の100%から110%の範囲内にある直径まで膨張するように構成され得ることが企図されている。
【0146】
ステント1は、治療活性物質によりコーティングされ、本発明のこの実施形態では、2種類の治療活性物質によりコーティングされ、そのうちの1つは血管形成促進物質を含み、もう1つはプラークのさらなる成長を防ぐ。典型的には、血管形成促進物質は、メタクリル酸-エコイソデシルアクリレート(MAA-co-IDA、40% MAA)を含む。プラークのさらなる成長を防ぐための治療活性物質は、シロリムスおよびパクリタキセルのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0147】
次に図7から図9を参照すると、動脈100内の狭窄102にステント1を送達するための送達システム30が例示されている。送達システム30は、近位端32と遠位端33との間に延在する送達マイクロカテーテル31を備える。細長穴34は、送達マイクロカテーテル31の遠位端33が狭窄102内に配置され、狭窄から遠位に突出するときに中を通るステント1の狭窄102への送達を受け入れるように近位端32から遠位端33まで送達マイクロカテーテル31を貫通する。図7を参照。穴34は、非膨張状態のステント1が穴34を通して自由に摺動可能であるような直径を有し、非膨張状態のステントの直径に応じて変化し、典型的には0.68mmから0.84mmの範囲内である。送達マイクロカテーテル31の外径は、送達マイクロカテーテル31が頭蓋内血管系を通して、典型的には大腿動脈、橈骨動脈、上腕動脈、または頸動脈であってよい、好適な進入点に、また狭窄102の穴103を通して、そのような好適な進入点から付勢可能であるような外径である。それに加えて、送達マイクロカテーテル31は、動脈100内の狭窄102への頭蓋内血管系を通る送達マイクロカテーテル31の操作を円滑にする十分な柔軟性を有する。
【0148】
送達マイクロカテーテル31の穴34の直径より小さい直径の細長位置決め部材40は、動脈100内でステント1を送達マイクロカテーテル31の送達穴34に通して狭窄102に送達するために用意される。位置決め部材40は、近位端41と遠位端42との間に延在し、第1の端部3の第1の壁10の自由端19に隣接するステント1に位置決め部材40を解放可能に結合するための解放可能結合機構44内の遠位端42で終端する。ステント1の第1の端部3は、狭窄102の近位端105に隣接する動脈100の近位非罹患部分104内に配置するように構成され、第2の端部4は、狭窄102の遠位端107に隣接する動脈100の遠位非罹患部分106内に配置するように構成される。本発明のこの実施形態において、第1の端部3の第1の壁10の自由端19を位置決め部材40に結合するための結合機構44は、当業者に知られている、従来の結合機構であり、ステント1が狭窄102内に正しく位置決めされたときに位置決め部材40からステント1を解放するための位置部材40の近位端41から動作可能である。代替的に、結合機構は、第2の端部4の第2の端壁11の自由端19に解放可能に結合され得る。
【0149】
使用時に、典型的には、ステント1を動脈100内の狭窄102に送達するための手順は、ガイドワイヤ(図示せず)を典型的には大腿動脈、橈骨動脈、上腕動脈、または頸動脈を通して頭蓋内血管系内に入れることから始まる。ガイドワイヤは、進入点から頭蓋内血管系内に付勢され、頭蓋内血管系を通して動脈100内の狭窄102に付勢される。ガイドワイヤは、穴103を通して狭窄102内に付勢され、ガイドワイヤの遠位端が狭窄102の遠位端107の遠位で動脈100内に貫入する。次いで、送達マイクロカテーテル31は、ガイドワイヤ上で、送達マイクロカテーテル31の遠位端33が狭窄102を貫通する穴103を貫通し狭窄102の遠位端107に隣接する動脈100の遠位非罹患部分106に届くまで、頭蓋内血管系に通されて付勢される。次いで、ガイドワイヤは送達マイクロカテーテル31の穴34を通して引き抜かれる。
【0150】
非膨張状態のステント1は、結合機構44によって遠位端42に隣接する位置決め部材40に結合される。非膨張状態のステント1が位置決め部材40の遠位端42に結合されると、位置決め部材40は、ステント1を、ステント1を先導する第2の端部4とともに近位端32に隣接する送達マイクロカテーテル31の穴34内に付勢する。次いで、ステント1は、位置決め部材40によって送達マイクロカテーテル31の穴34を通して遠位端33に付勢される。ステント1が遠位端33に隣接する送達マイクロカテーテル31の穴34内にあるときに、ステント1の先端部、すなわち、第2の端部4の第2の端壁10は、送達マイクロカテーテル31を近位にわずかに引き出すことによって露出される。ステント1の第2の端部4の第2の端壁11は露出され、被検体の正常な体温で血液と接触した後狭窄102の遠位端107に隣接する動脈の遠位非罹患部分106内に膨張し始める。図8を参照。
【0151】
ステント1の位置は、送達マイクロカテーテル31と位置決め部材40とを同時に適切に操縦して調整され、これにより、第2の端部4の第2の壁11を狭窄102の遠位端107に隣接する動脈100の遠位非罹患部分106内の正しい位置に正しく位置決めする。第2の端部4の第2の壁11が狭窄102の遠位端107に隣接する動脈100の遠位非罹患部分106内に正しく位置決めされた後、送達マイクロカテーテル31はさらに近位に引き出されてステント1を完全に露出させる。
【0152】
ステント1の残り部分は、体温で動脈100内の血液と接触した後に膨張し、狭窄102の穴103内に配置されている中心部5の中心壁15は狭窄102を圧迫し、第1の端部3の第1の壁10は狭窄102の近位端105に隣接する動脈100の近位非罹患部分104を圧迫する。狭窄102を形成する物質は、中心部5の中心壁15、遷移部7の遠位壁17、および狭窄102に隣接する動脈100の壁101の部分によって画成される円環108内に完全に収容される。
【0153】
位置決め部材40は、結合機構44をステント1から分離することによってステント1から分離される。位置決め部材40および送達マイクロカテーテル31は、頭蓋内血管系を通り、次いで、場合によっては大腿動脈、橈骨動脈、上腕動脈、または頸動脈を通って引き出される。
【0154】
ステント1が狭窄102内で膨張状態にある場合に、狭窄102を形成する物質は、中心部5の中心壁15および遷移部7の遷移壁17によって、また狭窄102の近位端105および遠位端107に隣接する動脈100の近位非罹患部位分104および遠位非罹患部分106を圧迫する第1の端部3および第2の端部4の第1壁10および第2の壁11の作用によって円環108内に保持される。近位非罹患部分104および遠位非罹患部分106に対する第1の端部3および第2の端部4の第1の壁10および第1の壁11の作用は、ステント1を動脈100内にしっかり固定されたままとなるように保持し、また狭窄102を形成する物質が動脈100の壁101と第1の端部3および第2の端部4の第1の壁10および第2の壁11との間に付勢されるのを防ぐ。中心部5の中心壁15は狭窄102を圧迫して、狭窄102を貫通する穴103の直径を狭窄102内にステント1を留置する前の直径に維持するか、または狭窄102を貫通する穴103の直径を動脈100を通る血液の流量を狭窄102が中に形成される前の中を通る血液の正常な流量の50%以上に維持するのに十分な直径に増大するかのいずれかを行う。動脈100を通る血液の流量を正常な流量の50%以上に維持することによって、下流組織は、下流組織を乏血状態に維持しながら低酸素症、虚血、および梗塞から保護される。したがって、自然頭蓋内血管形成プロセスが促進され、それによって、新および側副血管が成長し、罹患動脈100による供給を受ける下流組織に血液供給を行う。
【0155】
ステント上にコーティングされた治療活性頭蓋内血管形成物質を用意することで、自然頭蓋内血管形成プロセスをさらに増強し、プラークのさらなる増殖を防ぐためのステント上にコーティングされた治療活性物質は、プラークのさらなる増殖を防ぐか、または少なくとも最小にする。
【0156】
次に、図10を参照すると、一般的に参照番号50によって示される本発明の別の実施形態によるステントが例示されている。ステント50は、ステント1に実質的に類似し、類似の構成要素は同じ参照番号によって識別される。本発明のこの実施形態におけるステント50は、中に狭窄102を有する動脈100などの、頭蓋内動脈にステント留置するのにも特に適しており、狭窄102を通る血流の流量を維持するか、または増大させて、下流組織を乏血状態に維持しながら下流組織を低酸素症、虚血、および/または梗塞から保護し、次いで、自然頭蓋内血管形成を促進する。ステント50の寸法は、ステント1を参照しつつ説明されている寸法範囲内にある。ステント50とステント1との間の主な違いは、遷移部7にある。本発明のこの実施形態において、遷移部7が中心部5の中心壁15から垂直に延在し、第1の端部3および第2の端部4の第1の壁10および第2の壁11から垂直に延在する遷移壁17によって形成される代わりに、ステント50の遷移部7は円錐台形壁部分52によって形成され、次いで、これらは中心部5の中心壁15から、それぞれ、第1の端部3および第2の端部4の第1の壁10および第2の壁11に外向きに逸れる遷移壁53によって形成される。
【0157】
遷移壁53の壁厚さは、第1壁10および第2の壁11ならびに第1の端部3および第2の端部4および中心部5の中心壁15の壁厚さに、それぞれ、実質的に類似している。中心部5の中心壁15に隣接する遷移壁53の外径は、中心壁15の外径d1に類似している。中心部5の中心壁15に隣接する遷移壁53の内径は、中心部5の中心壁15の内径d2に類似している。第1の端部3および第2の端部4の第1の壁10および第2の壁11に隣接する遷移壁53の外径は、第1の端部3および第2の端部4の第1の壁10および第2の壁11の外径D1に類似しており、第1の端部3および第2の端部4の第1の壁10および第2の壁11に隣接する遷移壁53の内径は、第1の端部3および第2の端部4の第1壁10および第2の壁11の内径D2に類似している。
【0158】
本発明のこの実施形態において、円錐台形遷移壁53によって画成される円錐角は約60°である。したがって、この結果、各遷移壁53の外径は、中心壁15から第1の壁10および第2の壁11のうちの対応する1つまで、中心壁15からの長さ1mm当たり約1.72mmの割合で増大する。
【0159】
本発明のこの実施形態において、ステント50はニチノールとして知られている形状記憶合金を含み、隙間20を有する穿孔構造で形成される。中心壁15および遷移壁53を貫通する隙間20aおよび20cは、ステント50の第1の壁10および第2の壁11を貫通する隙間20bの面積より小さい面積を有する。本発明のこの実施形態において、中心壁15および遷移壁53を貫通する隙間20aおよび20cの面積は、狭窄102を形成する物質が中心壁15および遷移壁53を貫通するのを最小限度に抑え、一般には、防ぐような面積である。
【0160】
本発明のこの実施形態において、ステント50は、また、治療活性頭蓋内血管形成促進物質、およびプラークの増殖を防ぐための治療活性物質でコーティングされる。
【0161】
ステント50の使用および動脈100の狭窄102へのステント50の送達は、動脈100の狭窄102へのステント1の使用および送達を参照しつつすでに説明されているものに類似している。しかしながら、本発明のこの実施形態において、ステント50が位置決め部材40によって送達マイクロカテーテル31の穴34を通して付勢されたときに、送達マイクロカテーテル31は近位に付勢されて第2の端壁11および隣接する遷移壁53の両方を露出させ、それによって、第2の壁11および隣接する遷移壁53が被検体の動脈100内の血液と接触した後に膨張し、ステント50の第2の壁11が狭窄102の遠位で動脈100の遠位非罹患部分106と係合し圧迫することを可能にする。しかしながら、その後、送達マイクロカテーテル31および位置決め部材40を操縦してステント50を狭窄102内に正確に位置決めすることは、ステント1の送達および位置決めを参照しつつ説明されている操作に類似している。
【0162】
次に、図11を参照すると、一般的に参照番号60によって示される本発明の別の実施形態によるステントが例示されている。ステント60は、ステント1に実質的に類似し、類似の構成要素は同じ参照番号によって識別される。本発明のこの実施形態におけるステント60は、中に狭窄102を有する頭蓋内動脈100などの、頭蓋内動脈にステント留置するのにも特に適しており、狭窄102を通る血流の流量を維持するか、または増大させて、下流組織を乏血状態に維持しながら下流組織を低酸素症、虚血、および/または梗塞から保護し、次いで、自然頭蓋内血管形成を促進する。ステント60の寸法は、ステント1を参照しつつ説明されている寸法範囲内にある。ステント60とステント1との唯一の違いは、ステント60では、中心部5が最小の外径d1を有する「砂時計」形状である点である。中心部3から延在する遷移部7は、ステント50の遷移部7に類似している、円錐台形である。本発明のこの実施形態において、中心部5および遷移部7の隙間20aおよび20cの面積は、第1の端部3および第2の端部4の隙間20bの面積より小さい面積を有する。それに加えて、本発明のこの実施形態において、中心部5および遷移部7の隙間20aおよび20cの面積は、狭窄102を形成する物質が中心部5および遷移部7内の隙間20aおよび20cを貫通するのを少なくとも最小限度に抑え、好ましくは防ぐような面積である。
【0163】
そうでない場合、ステント60およびその使用は、ステント1を参照しつつ説明されているものに実質的に類似しており、ステント1との接続で説明されている範囲内の寸法を有する。
【0164】
次に、図12を参照すると、一般的に参照番号70によって示される本発明のさらなる実施形態によるステントが例示されている。ステント70は、ステント1に実質的に類似し、類似の構成要素は同じ参照番号によって識別される。本発明のこの実施形態におけるステント70は、罹患動脈、たとえば、中に狭窄102を有する動脈100にステント留置するのにも特に適しており、狭窄102を通る血流の流量を維持するか、または増大させて、下流組織を乏血状態に維持しながら下流組織を低酸素症、虚血、および/または梗塞から保護し、次いで、自然血管形成を促進する。ステント70の直径寸法は、ステント1を参照しつつ説明されている直径寸法範囲内にある。しかしながら、この場合、穿通枝動脈109は、狭窄102に隣接する場所で動脈100から枝分かれする。本発明のこの実施形態において、中心部5および遷移部7を含む、第1の端部3と第2の端部4との間のステント70の長さL1は、第1の端部3および第2の端部4が、穿通枝動脈109の狭窄102および接続が両方とも中心部5、遷移部7、および狭窄102に隣接する動脈100の壁101の間に画成される円環108内に収容されるように動脈の近位非罹患部分104および遠位非罹患部分106と係合する十分な長さを有する。
【0165】
本発明のこの実施形態において、中心部5によって狭窄102に加えられる径方向外向き圧力は、動脈100を通る血流の流量を狭窄102の形成前の動脈100を通る正常な血流量の約50%に維持するような圧力である。しかしながら、中心部5によって狭窄102に加えられる径方向外向き圧力は、狭窄102を形成する物質が中心部5と動脈壁101との間で過剰に押しつぶされるのを防ぐような圧力であり、押しつぶされれば狭窄の物質が動脈壁101に沿って縦方向に延在し、結果として穿通枝動脈109を塞ぐことになったであろう。本発明のこの実施形態において、中心部5の隙間20aおよび遷移部7の隙間20cの面積は狭窄102を形成する物質が中を貫通するのを防ぐような面積であるが、中心部5および遷移部7を貫通する隙間20aおよび20cの面積は中心部5および遷移部7を通り穿通枝動脈109に流れる血流を可能にするような面積である。
【0166】
次に図13を参照すると、直径を維持するか、または狭窄102を通る穴103の直径を大きくし、狭窄102を通る血流の量を維持するか、または増大させて下流組織を乏血状態に維持しながら下流組織を低酸素症、虚血、および/または梗塞から保護し、次いで自然頭蓋内血管形成プロセスを促進し、支持するために頭蓋内血管系を通して頭蓋内動脈100内の狭窄102に付勢するのにも適している、参照番号80によって一般的に示される本発明の別の実施形態によるステントが例示されている。本発明のこの実施形態では、ステント80は自己膨張物質ではなく、したがって、バルーンマイクロカテーテル82によって狭窄102に送達するように構成される。バルーンマイクロカテーテル82は、バルーン85内の遠位端84で終端する細長マイクロカテーテル83を備える。バルーン85は、膨らまされたときに膨らんで狭窄102ならびに動脈100の近位非罹患部分104および遠位非罹患部分106の近似的形状を取るように適切な形状を有する。ステント80は、狭窄102内でバルーン85によって膨張させられたときに、ステント50の形状と実質的に類似している形状を取るように構成され、それによって、ステント80は、バルーン85によって膨張させられたときに、第1の端部3、第2の端部4、第1の端部3および第2の端部4の直径より小さい直径の中心部5、ならびに中心部5から第1の端部3および第2の端部4まで延在するそれぞれの円錐台形の遷移部7を備える。ステント80の材料は、狭窄102内でバルーン85によって膨張させられた後、ステント80はその膨張した形状を保持し、それによって狭窄102を貫通する穴103を狭窄102の形成前の動脈100を通る正常な流量の約50%の狭窄102を通る血流量をもたらす直径に維持するような材料である。ステントの材料は、第1の端部3、第2の端部4、中心部5、および遷移部7を貫通する隙間20を有する穿孔構造のものである。中心部5および遷移部7を貫通する隙間20aおよび20cは、ステント1を参照しつつすでに説明されているように、第1の端部3および第2の端部4を貫通する隙間より小さい。
【0167】
狭窄102へのステント80の送達は、図7から図9を参照しつつすでに説明されているような狭窄102へのステント1の送達に実質的に類似しているが、ただし、位置決め部材40により送達マイクロカテーテル31に通してステント80を送達する代わりに、非膨張状態のステント1はバルーンマイクロカテーテル82上で送達マイクロカテーテル31を通して送達される。非膨張状態のステント80は、萎んだ状態のバルーン85に配置され、送達マイクロカテーテル31を通して狭窄102に送達される。非膨張状態のステント80を付けたバルーン85が狭窄102内に配置された後、バルーン85は膨らみ、次いで、狭窄102内でステント80を膨張させ、ステント80の中心部5は狭窄102を圧迫し、ステント80の第1の端部3および第2の端部4は動脈100の近位非罹患部分104および遠位非罹患部分106を圧迫し、係合する。狭窄102内のステント80の位置決めが完了した後、図7から図9を参照しつつすでに説明されているように、バルーン85は萎んで、送達マイクロカテーテルと一緒に引き出される。
【0168】
次に、図14a図14b、および図14cから図17a図17b、および図17cを参照すると、参照番号90から93によって一般的に示されている本発明のさらなる実施形態による4つの膨張可能ステントが例示されており、これらは、それぞれ、人間または動物の被検体に使用され、頭蓋内血管系内の罹患動脈内で狭窄を開くか、または少なくとも開いたまま維持し、狭窄102を通る血流の量を維持するか、または増大させて下流組織を乏血状態に維持しながら下流組織を低酸素症、虚血、および/または梗塞から保護し、次いで、自然血管形成プロセスを促進する。膨張可能ステント90から93は、図2から図6を参照しつつ説明されている膨張可能ステント1に実質的に類似しており、類似する構成要素は、同じ参照番号によって識別される。ステント90から93とステント1との主な違いは、ステント90から93の各々の膨張状態において、ステント90から93の各々の中心部5は第1の端部3および第2の端部4に関して偏心的に配置される点である。言い換えると、各ステント90から93の中心部5によって画成される主中心軸95は、ステント90から93のうちの対応する1つの第1の端部3および第2の端部4によって画成される第1の中心軸96および第2の中心軸97からオフセットされる。本発明のこの実施形態において、ステント90から93の第1の端部3および第2の端部4は、互いに軸方向に整列され、したがって、第1の中心軸96および第2の中心軸97は互いに一致する。しかしながら、各ステント90から93の中心部5の主中心軸95は、ステント90から93のうちの対応する1つの第1の端部3および第2の端部4の第1の中心軸96および第2の中心軸97に平行に延在し、第1の端部3および第2の端部4の第1の中心軸96および第2の中心軸97から横方向にオフセットされる。しかし、いくつかの場合において、中心部5の主中心軸95は、対応するステント90から93の第1の端部3および第2の端部4の第1の中心軸96および第2の中心軸97に関してある角度で延在し得ることが企図される。ステント90から93は、狭窄が罹患動脈内に非対称に配置されている罹患頭蓋内動脈において使用するのに特に適している。
【0169】
ステント90および91において、遷移部7は、中心部5から垂直に延在し、また第1端部3および第2の端部4からも垂直に延在する。ステント92および93では、遷移部7は、非対称円錐台形である、遷移壁17によって形成される。それに加えて、図14a図14b、および図14c、ならびに図16a図16b、および図16cのステント90および92において、ステント90および92の各々の中心部5の中心壁15ならびに第1の端壁10および第2の端壁11は、ステントの片側に沿って互いに対して接線方向に伸びている。
【0170】
ステント90から93の寸法は、図2から図6を参照しつつ説明されているステント1を参照しつつ説明されている寸法範囲に類似している範囲内にある。それに加えて、ステント90から93は、ステント1を参照しつつ説明されているように治療活性物質でコーティングされてもされなくてもよい。
【0171】
頭蓋内血管系内でのステント90から93の使用および狭窄への送達は、図2から図9を参照しつつステント1を参照してすでに説明されているのと類似している。そうでない場合、ステント90から93、その使用および送達は、ステント1に類似している。
【0172】
次に図18を参照すると、低酸素症、梗塞の虚血の防止、ならびに自然頭蓋内血管形成プロセスを促進および支持のため、狭窄102を通る血流を維持するように狭窄102を通る穴103への拡張の閾値レベルを達成するために、頭蓋内動脈100に類似している頭蓋内動脈内の狭窄102に類似する狭窄へ、頭蓋内血管系内に留置された送達マイクロカテーテルを通して進むのにも適している参照番号200によって一般的に示される本発明の別の実施形態によるステントが例示されている。ステント200はステント1に実質的に類似しているが、ただし、遷移部7は円錐台形部分によって形成され、便宜上、ステント1の構成要素のものと類似する構成要素は同じ参照番号によって識別される。図18において、ステント200は、ステント200を貫通する支持要素とともに例示されている。支持要素は、ステント200の一部を形成しない。
【0173】
本発明のこの実施形態において、ステント200は、その間に隙間20を画成する王冠部201のところで接続されているストラット23を含むニチノール材料から作られた自己膨張ステントであり、ステント200は高度に研磨された表面仕上げを備える。図18を参照すると、ステントは、第1の部分3、第2の部分4、および中心部5を備え、1、50、60、70、および80のステントを参照しつつ説明されている実施形態に類似していることに留意されたい。この実施形態において、ステント200は、約110°の円錐角を画成する円錐台形である遷移部を備える。王冠部201は、ステントパターンでVまたはU字形の要素を備え、ストラット23は王冠部201を相互接続する。
【0174】
ステント200は、複数のリング構造、本発明のこの実施形態においては7個のリング構造をさらに備える。各リング構造は、本発明のこの実施形態では一致する、主中心軸18、第1の中心軸21、および第2の中心軸22の周りにチューブ状リングを形成するように編成されている複数の相互接続されたストラット23および王冠部201を備える。隣接するリングは、コネクタと一緒に接続される。一実施形態において、コネクタは、隣接するリングが互いから離間するように構成される。別の実施形態では、第1のリングの王冠部201は、隣接するリングの王冠部201と互いに貫通し合う。
【0175】
ステント200は、膨張状態と折りたたまれた状態とを有する。完全に膨張した状態では、ステント200は応力がない。ステント200は圧縮され、したがって応力を加えられ、送達のために折りたたまれた状態を取る。膨張状態では、王冠部201のV角度θは大きく、折りたたまれた状態では、王冠部201のV角度θは小さい。実際、王冠部201のV角度θは折りたたまれた状態において5°未満である。対照的に、王冠部201のV角度θは膨張状態において比較的大きい。好ましくは、V角度θは膨張状態では40°より大きい。より好ましくは、V角度θは60°より大きく、なおいっそう好ましくは、V角度θは80°より大きい。
【0176】
この実施形態のステント200は、形状適合性を有し、図12の穿通枝動脈109などの、穿通枝および血管枝への流れを保護するように設計される。膨張構成においてより大きいV角度は、ストラット23の間の隙間20によって形成される流れオリフィスをもたらす大きさとなるように構成される。ストラット23は、短く狭いものとなるように構成される。短く狭いストラットは、操縦するのが難しいが、ステント200の形状適合性を高め、狭いストラット23は隙間20によって形成される流れオリフィスを通る流れを維持する。一実施形態において、ストラット23は、ステント内の少なくとも1つのリングの長さが2mm未満であるように構成される。別の実施形態において、ストラット23は、ステント内の少なくとも1つのリングの長さが1.5mm未満であるように構成される。さらに別の実施形態において、ストラット23は、ステント内の少なくとも1つのリングの長さが1.0mm未満であるように構成される。一実施形態において、ストラット23は、幅80マイクロメートル未満となるように構成される。別の実施形態において、ストラット23は、幅60マイクロメートル未満となるように構成される。さらに別の実施形態において、ストラット23は、幅40マイクロメートル未満となるように構成される。
【0177】
一実施形態において、ステント構造の少なくとも1つのリングは3対の対向する王冠部201を有する6個のストラット23を備える。別の実施形態では、ステント構造の少なくとも1つのリングは4対の対向する王冠部201を有する8個のストラット23を備える。別の実施形態では、ステント構造の少なくとも1つのリングは5対の対向する王冠部201を有する10個のストラット23を備える。別の実施形態では、ステント構造の少なくとも1つのリングは6対の対向する王冠部201を有する12個のストラット23を備える。別の実施形態では、ステント構造の少なくとも1つのリングは7対の対向する王冠部201を有する14個のストラット23を備える。別の実施形態では、ステント構造の少なくとも1つのリングは8対の対向する王冠部201を有する16個のストラット23を備える。図18に例示されているステント200の実施形態において、ステント構造の少なくとも1つのリングは、9対の対向する王冠部201を有する18個のストラット23を備える。一実施形態において、第1のリング内のストラットの数は、隣接するリング内のストラットの数より多い。一実施形態において、第1のリング内のストラットの数は、隣接するリング内のストラットの数に等しい。一実施形態において、第1のリングの長さは第2の隣接するリングの長さより大きい。
【0178】
図18のステント200は、腰部がくびれたセクション、すなわち、中心部5を有する起伏のあるチューブ状構造を形成するように形状設定される。一実施形態において、ステントは、レーザープロセスを使用してニチノールチューブから切り出され、バリ除去され、グリッドブラストをかけられる。ステント200の形状設定は、ステントを、所望の形状がステント200内にプログラムされるまで数分間400℃を超える温度に加熱することを含む。ステントは冷却され、ステントは高度に研磨された仕上げを有する表面を形成するように電解研磨される。
【0179】
一実施形態において、ステントは完全に接続された構造を備える。そのような一実施形態では、ステントのすべての王冠部が隣接する王冠部に直接的にまたは間接的に接続される。この相互接続の例外は、ステントの非常に遠位にある端部および非常に近位にある端部を画成する王冠部である。これらの王冠部は、隣接する王冠部に接続されない。
【0180】
別の実施形態では、ステント200はX線透視法での視覚化を行えるように構成される。この実施形態では、高放射線不透過性金属がこの構造に組み込まれる。放射線不透過性金属の組み込みは、インターベンショナリストが第1の端部3または第2の端部4であってよいステントの遠位端、第1の端部3および第2の端部4のうちの他方である、ステントの近位端、中心部5、および中心部5と第1の端部3および第2の端部4との間の遷移部7を視覚化することを可能にする。
【0181】
一実施形態において、放射線不透過性要素は金、白金、タンタル、またはタングステンを含む。別の実施形態では、放射線不透過性要素の組み込みは、ニチノールの合金と放射線不透過性要素とを含む。別の実施形態において、放射線不透過性要素の組み込みは、放射線不透過性マーカーをステントの構造に入れることを含む。一実施形態において、放射線不透過性マーカーは、ステントの構造内の複数のレーザードリル加工穴内に圧入された放射線不透過性金属の円筒形スラグを含む。前記円筒形スラグで使用するための好適な放射線不透過性金属は、金、白金、タンタル、タングステン、またはこれらの要素のうちの1つまたは複数の実質的部分を含有する合金を含む。
【0182】
一実施形態において、ステント200の中心部5は、狭窄102の領域内で血管壁100内の対応する拡張を誘発することなく狭窄102の穴103を著しく拡張するように構成される。ステント200に類似するステントの実施形態の、ただし、様々な寸法の狭窄102内に留置される次の実施例において、本発明のこの利点を明らかにする。
【実施例0183】
入力
血管100の内径D 3mm
ステント200の中心部5の外径d1 1.4mm
狭窄102に隣接する血管100の外部横断面積 7.07mm2
ステント200の中心部5の外部横断面積 1.54mm2
狭窄102を貫通する穴103の直径d 0.25mm
狭窄102を貫通する穴103の横断面積 0.046mm2
狭窄による閉塞の% 92%
計算
狭窄102を貫通する穴103の横断面積の増大 3036%
狭窄の変位物質によって形成された狭窄円環の横断面積 1.490mm2
狭窄に隣接する拡張した血管の直径 3.30mm
狭窄に隣接する血管直径の増大 10%
結論
狭窄が92%の場合、この実施例のステント200は狭窄の穴の断面積を3000%超増大させ得るが、血管直径は10%拡張するにすぎない。
【実施例0184】
入力
血管100の内径D 2.5mm
ステント200の中心部5の外径d1 1.2mm
狭窄102に隣接する血管100の外部横断面積 4.91mm2
ステント200の中心部5の外部横断面積 1.13mm2
狭窄102を貫通する穴103の直径d 0.3mm
狭窄102を貫通する穴103の横断面積 0.071mm2
狭窄102による閉塞の% 88%
計算
狭窄102を貫通する穴103の横断面積の増大 1500%
狭窄の変位物質によって形成された狭窄円環の横断面積 1.060mm2
狭窄に隣接する拡張した血管の直径 2.76mm
狭窄に隣接する血管直径の増大 10.3%
結論
狭窄が88%の場合、この実施例のステント200は狭窄の穴の断面積を1500%超増大させ得るが、血管直径は10.3%拡張するにすぎない。
【実施例0185】
入力
血管100の内径D 2mm
ステント200の中心部5の外径d1 1.1mm
狭窄102に隣接する血管100の外部横断面積 3.14mm2
ステント200の中心部5の外部横断面積 0.95mm2
狭窄102を貫通する穴103の直径d 0.5mm
狭窄102を貫通する穴102の横断面積 0.196mm2
狭窄による閉塞の% 75%
計算
狭窄102を貫通する穴103の横断面積の増大 384%
狭窄の変位物質によって形成された狭窄円環の横断面積 0.754mm2
狭窄に隣接する拡張した血管の直径 2.23mm
狭窄に隣接する血管直径の増大 11.4%
結論
狭窄が75%の場合、この実施例のステント200は狭窄の穴の断面積を384%超増大させ得るが、血管直径は11.4%拡張するにすぎない。
【0186】
したがって、上記の3つの例から、異なる穴直径の狭窄において使用されたときに異なる寸法の本発明によるステント200は、狭窄を形成する物質に対するステント200の中心部5の径方向外向きの作用の結果として生じる血管の直径の比較的小さな増大に対して狭窄の穴の横断面積の著しい増大を引き起こし得ることがわかる。典型的には、狭窄を貫通する穴の横断面積の増大は、10%から12%の範囲内の狭窄に隣接する血管の直径の増大に対して300%から3000%超の範囲内であり得る。
【0187】
ステントが治療活性物質でコーティングされていると説明されていない本発明の実施形態において、一般に、ただし必ずというわけではないが、好ましくは、本発明によるステントは治療活性物質でコーティングされる。本発明のこれらの実施形態によるステントをコーティングする好ましい治療活性物質は、血管形成促進物質である。本発明によるステントは、任意の好適な血管形成促進物質、たとえば、メタクリル酸-エコイソデシルアクリレート(MAA-co-IDA、40% MAA)でコーティングされてよい。
【0188】
本発明によるステントは、ニチノールを含むものとして説明されているが、ステントは、ステンレス鋼またはコバルト合金などの、任意の好適な生体適合性物質を含むものとしてよいことが企図されている。ステントに穿孔構造を持たせることによって、ステント内の金属の量が最小にされ、ステントの血栓を引き起こす可能性を減じる利点を有し、特に、狭窄に隣接する動脈から枝分かれする穿通枝動脈の場合に、図13のステント80と関連して説明されているように、ステント留置された動脈から穿通枝動脈に、ステントの中心部、遷移部、第1の端部、および第2の端部の、それぞれ、中心壁、遷移壁、第1の壁、および第2の壁を通って、血液が流れることを可能にする。ステントに使用される材料が少なければ少ないほど、動脈内に埋め込まれた後に、材料が血栓の形成を促す可能性が低くなる。
【0189】
本発明によるステントは、形状記憶金属を含むものとして説明されているが、ステントは非形状記憶金属であってもよく、さらに、非自己膨張物質であってもよい。たとえば、ステントは、ステント80の場合のように非自己膨張物質である材料から作られてもよいことが企図される。さらに、当業者にとって、ステント80が自己膨張形状記憶材料から作られ得ることも容易にわかることであろう。
【0190】
本発明によるステントは、頭蓋内動脈内の狭窄に対してステント留置を行うことについて説明されているが、本発明によるステントは、静脈、内腔、または他のそのような頭蓋内血管などの、任意の頭蓋内血管内の狭窄に対してステント留置を行うために使用されるものとしてよい。
【0191】
ステントの他の実施形態では、生体適合性フィルムまたは膜は、ステントの少なくとも1つの表面に設けられるものとしてよい。フィルムまたは膜は、穿孔されていても穿孔されていなくてもよい。
【0192】
フィルムまたは膜は、プラスチック繊維から作られた不織布であってもよい。これは、ステントの壁に接着されるか、またはその壁との接着を形成する。フィルムまたは膜も、ステント上に層状に重ねられる格子内に織り込まれ得る細いひもに作られてもよい。膜および/または格子は、ステントのストラットと整列される仕方で、または代替的に整列されない仕方でステント上に配設され得る。本発明のいくつかの実施形態において、膜は、生理学的条件の下で、製薬材料を収容し、これらの材料を周囲血管およびプラーク内に放出することができる多孔質構造を有するものとしてよい。
【0193】
膜は、任意選択で、ステントの特性に対して望ましい効果を有する1つまたは複数の製薬組成物または他の組成物とともに埋め込まれるか、またはコーティングされ得る。これにより、ステントの表面を製薬材料でコーティングするという難題に対処する。これらの組成物は、時間の経過とともに薬剤を周囲組織、血管表面、またはプラーク内に放出することができる。たとえばパクリタキセルおよびラパマイシンなどの増殖阻害物質が有利であり得る。他の例は、血栓症を防止するか、または液体塞栓剤もしくは接着剤が膜および/またはステントに付着するのを防ぐ物質である。
【0194】
フィルムまたは膜は、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリアミド、またはポリオレフィンなどの、ポリマー材料から適宜作られてよい。これらのポリマー膜は、ステントに容易に被着しない。従来、ステント膜は、膨張ステントの径方向の力によって血管壁またはプラークに機械的に当てられている。しかしながら、本発明では、ステントの中心部は動脈壁に接触しない。ステントの壁に容易に被着しないポリマー材料から作られた膜を有する本発明によるステントは、ステントへの膜の好適な接続、典型的には機械的接続を用いる。このタイプの接続は、また、ステントが別の領域へのステントの調整または再配置のためにマイクロカテーテルに入れ直すことを必要とする場合にも有用である。
【0195】
ステントの膜は、ステント壁が好適な接着の形成に関してポリマーとの親和性を有していれば、ステント壁上への噴霧によって、またはステントのストラットの周りへの不織布のエレクトロスピニングによって都合よく作られるものとしてよく、電流を印加することによって、膜の繊維がポリマー溶液から分離され、基材上に堆積される。エレクトロスピニングの技術は、当技術分野でよく知られており、ここではさらに詳しく説明しない。堆積は、繊維を不織布に凝集させる。これは、そう選択された場合に、織ることができるひもに形成され得る。繊維は、一般的に、100から1000nmの直径を有する。エレクトロスピニングによって作製される膜は、非常に薄く、厚さが均一で、ステント壁との接着を容易に形成することができる。そのような膜は、送達可能状態へのステントの圧縮時の、およびステントを操縦して曲がりくねった血管に沿って、その血管内に入れるときの機械的応力に耐える十分な強さを有する。そのような膜は、破裂またはひびを生じさせる開口部を形成することなく、必要に応じて、容易に、機械的に、穴をあけることができる。繊維の太さおよび長さは、エレクトロスピニングプロセスによって制御することができる。そのような膜の例は、6~18ヶ月の劣化時間を有し得るポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)(PLCL)、2~3年の劣化時間を有し得るポリ(カプロラクトン)(PCL)、またはポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-co-グリコシド)(PLGA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、もしくはポリウレタン(PU)などのより剛性の高い材料を含む。
【0196】
膜は、単一の層または複数の層から構成され得る。複数の層は、異なる方法で作製するものとしてよく、たとえば、第1の層がエレクトロスピニングによって、第2の層がスプレーコーティングによって、第3の層がエレクトロスピニングによって作製されてよい。活性製薬剤または他の薬剤が、これらの層のうちの1つまたは複数に埋め込まれるものとしてよい。薬剤は、拡散によって、または膜の層の劣化もしくは腐食によって放出することができる。放射線不透過性物質も、ステント埋め込み時に使用される技術からより容易に見えるように膜内に埋め込まれ得る。特に、血管形成をさらに促進し、支持するために、ステントは、メタクリル酸-エコイソデシルアクリレート(MAA-co-IDA、40% MAA)または血管形成を促進することが知られている類似の物質でコーティングされ得る。
【0197】
膜は、その強度および柔軟性を改善するためにグラフェンを織り交ぜられてよい。それに加えて、または代替的に、膜はニチノールの薄いフィルムを含み得る。
【0198】
ステントは、限られた寿命を有するような生体分解性材料から作られ得る。ポリマーベースのステントは、従来から、身体が代謝のために使用することができる自然に分泌される分子である、乳酸に時間の経過とともに分解する径方向に強い足場を維持することができるという理由から選択される、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)に基づく。開発中の他のポリマーはチロシンポリカーボネートおよびサリチル酸を含む。
【0199】
特定の送達システムが、ステント1を頭蓋内動脈の中の狭窄に送達することについて説明されているが、他の好適な送達手段も、たとえば、バルーンカテーテルを介して使用され得る。本発明によるステントは、血管の事前拡張を必要とすることなく挿入されるように作製される。しかしながら、いくつかの条件において、ICASの事前拡張は、送達マイクロカテーテルまたはバルーンマイクロカテーテルをナビゲートして狭窄集中点を超えさせるために指示され得る。同様に、ステントは、事後拡張(挿入後のバルーンによるステントの拡張)が必要ないように作製され得る。しかしながら、ひどく石灰化したアテローム性プラークがある場合などのいくつかの場合において、事後拡張が有利なことがある。したがって、ステントは、それ自体で事前拡張または事後拡張を必要としないが、事前拡張および事後拡張と親和性がある。ステントが自己膨張しない場合、本発明のさらなる態様は、整形拡張バルーンを用意することであり、これはステントの外側端部を内側セクションに比べて大きく拡張し、図2から図12および図14から図18を参照しつつ説明されているように、自己膨張ステントについてすでに説明されているような寸法を有する拡張されたステント形状をもたらす。
【0200】
本発明によるステントは、穿孔された膨張可能壁を備えるものとして説明されており、これらは非膨張状態に折り畳まれ、動脈系内に送達できる低プロフィルを形成するものとしてよい。低プロフィル構成では、より小さなマイクロカテーテルを介してより小さな頭蓋内血管および動脈内に送達することができる。ステントの構成は、開放、閉鎖、または織ったステント設計とすることができる。ステントの構造は、クローズドセルタイプとして例示されている。ステントのセル構造は、動脈内に挿入された後にステントを自動膨張可能なものにする。本発明によるステントは、膨張後にダンベルの形状を取る。
【0201】
ステントは、完全に送達されたときでも入れ直せるように再付着システムで形成されてよく、操作者は、狭窄に関して、ステントの位置決めに完全に満足するまで配備を再調整し得る。血管内ステントインプラントの従来の電解切断は、送達ワイヤと血管内ステントインプラントとの間の接続点の送達ワイヤの端部に電解腐食性構造を使用することを伴う。そのようなデバイスは、電気血栓に対する陽極として働く血管内インプラントに印加される電圧を使用することができる。代替的に、機械的再付着システムが使用されてもよい。
【0202】
ステントの正確な配備は、当技術分野で知られているように、X線透視法の下で見える適切に位置決めされた放射線不透過性マーカーを介して得られるものとしてよい。任意選択で、マーカーは、ステントの中心部の近位端および遠位端のところに設けられるものとしてよい。代替的に、またそれに加えて、ステントの中心部は、金コーティングをステントのストラットに施すことによって放射線不透過性を高められ得る。同様に、ステントの全体は、金などの放射線不透過性マーカーを実質的にコーティングされ得る。言うまでもなく、他の任意の放射線不透過性マーカーがステント上に設けられ得る。
【0203】
ステントが生体分解性材料から作られ、寿命が限られている場合、ステントは、溶解するまで適所にとどまる。抗血小板療法は、ステントを受け入れた患者に対して推奨されることがよくある。ステントが生体分解性である場合、抗血小板薬は、ステントの溶解後に中断され得る。
【0204】
ステントが生体分解性でない場合、これらは適所に残され、内皮細胞が時間の経過とともに成長する際に載る足場を提供する。
【0205】
ステントは、狭窄領域の上に配備される(上で説明されているように)。より狭い中心部が狭窄の穴の中に配置され、狭窄の穴の直径を維持するか、または遠位に血流を元に戻す程度まで増大させる。中心部の直径は、狭窄を開いて血流を元に戻すのに十分であるが、狭窄を完全には開かず、むしろ、健全な動脈の直径の50%程度を達成する。
【0206】
本発明によるステントの中心部の比較的小さな直径は、動脈の隣接未占有領域内に押し込まれる狭窄からの物質の量を最小にする働きをする。さらに、ステントによって達成される次善の血管形成は、狭窄のプラークを破砕する可能性を最小限度に抑え、したがって遠位血管狭窄の可能性を最小限度に抑える。
【0207】
従来の自己膨張ステントは、ステントの全長に沿って血管壁上のステントの外向きの力によって適所に固定される。この外向きの力は、著しい量のアテローム性破片を血管の壁に押し付ける。血管壁に押し付けられるアテローム性破片は、隣接する側枝または小血管内に押し込まれ得る(雪かき)。脳内の動脈構造は高度に枝分かれしており、多数の側枝の存在は、著しい量のアテローム性破片が動脈壁に押し付けられる場合に雪かきを容易に引き起こし得る。
【0208】
本発明によるステントの使用時に、2つのより大きい直径の第1の端部および第2の端部は動脈の動脈壁に圧接し、より狭い中心部を安定化し、支持し、この機能は狭窄を開くことである。この構造は、ステントによって動脈壁に沿って押されるプラークの量を最小にするが、それは動脈壁に接触するのが第1の端部および第2の端部だけだからである。
【0209】
ステントの中心部は、第1の端部および第2の端部によって加えられる力より大きい径方向外向きの力を加えるように作製される。
【0210】
上で説明されているように、比較的小さい隙間で形成される本発明によるステントの中心部および遷移部を備えることで、狭窄からの物質が本発明によるステントの中心部および遷移部内の隙間に通されることを最小限度に抑え、一般には、防ぐ。狭窄からの物質がステントの隙間に押し通される場合、プラークの小さな粒子がステントから解放されて血管内に戻り得るが、これはいわゆる「チーズ削り(cheese-grating)」効果である。これらの小さなプラーク粒子は浮遊して末端循環に入り込み、脳血管系内により深く移動し、潜在的に遠位部塞栓を引き起こし得る。本発明によるステントの中心部および遷移部内の隙間の面積を最小にすることによって、「チーズ削り」効果が最小限度に抑えられる。
【0211】
同様に、本発明によるステントに対する二重層構造は、アテローム性プラークの「チーズ削り」効果をさらに減少させるために使用できる。
【0212】
生体適合性フィルムまたは膜をステントの表面に設けることで、「チーズ削り」効果の発生をさらに低減し、それによって遠位部塞栓が頭蓋内循環内に放出されるのを最小限度に抑えることができる。
【0213】
本発明のステントは、ICASに対する初期段階の非医療治療を提供し、たとえば、ステントの隙間内に押し込まれるプラーク(「チーズ削り」)を最小限度に抑え、ステントによって動脈側枝内に押し込まれるプラーク(雪かき)を低減し、頭蓋内過灌流障害のリスクを低減し、再狭窄の発生を低減するために低剪断応力を与え、ステントを閉塞するプラークを最小限度に抑え、最終的に疾病率および死亡率を下げることによってICASの従来のステント治療に付随する合併症を低減する。
【0214】
また、本発明によるステントは、複合構造、たとえば、Drawn Filled Tube Nitinol(DFT)を備え得ることも企図される。
【0215】
また、本発明によるステントは、グラフェンをコーティングされ得ることも企図される。
【0216】
本発明によるステントは、第1の端部および第2の端部の第1の壁および第2の壁の軸方向長さが等長である場合について説明され例示されているが、本発明のいくつかの実施形態において、ステントの第1の端部および第2の端部の第1の壁および第2の壁の軸方向長さは異なっていてもよいことが企図されている。たとえば、狭窄の近位端に配置されるであろう、第1の端部の第1の壁は、軸方向長さが第2の端部の第2の壁の軸方向長さより短くてもよいことが企図されている。代替的に、ステントの第2の端部の第2の壁の軸方向長さは、ステントの第1の端部の第1の壁の軸方向長さより短い軸方向長さであってよい。一般に、穿通枝血管が狭窄の近位端または遠位端のいずれかに比較的近い位置に配置される場合、第1または第2の端部の第1または第2の壁の軸方向長さは、ステントにもよるが、ステントの第1の端部および第2の端部の第1の壁および第2の壁のうちの他方の軸方向長さより短くてもよく、それにより、穿通枝血管を塞いだり覆ったりすることなく狭窄と穿通枝血管との間で狭窄に隣接する動脈の非罹患部分を係合させる。たとえば、穿通枝血管が狭窄の遠位端上で狭窄に比較的近い場合、ステントの第2の端部の第2の壁は、軸方向長さがステントの第1の端部の第1の壁の軸方向長さより短く、第2の端部の第2の壁の軸方向長さは、ステントの第2の端部が狭窄に隣接し、狭窄と隣接する穿通枝血管との間にある動脈の非罹患部分と係合するような長さになる。
【0217】
したがって、本発明によるステントの第1の端部および第2の端部の第1の壁および第2の壁の軸方向長さは同じであるか、または異なるものとしてよいことが企図される。
【0218】
それに加えて、第1の端部および第2の端部の外径および内径は異なり得ることは理解されるであろう。たとえば、狭窄のそれぞれの対向端における血管の直径が異なる場合、第1の端部および第2の端部の直径は適宜選択されるであろう。
【0219】
また、図12を参照しつつ説明されているステント70は、狭窄に位置決めされるときに、ステントの第2の端部4が穿通枝109の遠位に配置される代わりに、ステントは近位に付勢され、ステントの第2の端部4を狭窄と穿通枝109との間に配置するものとしてよいことが企図される。さらに、穿通枝109が狭窄の近位または遠位端のいずれかで、狭窄に隣接する動脈または血管から枝分かれし、狭窄と枝分かれした穿通枝血管との間に空間がない場合に、ステントの第1の端部および第2の端部のうちの隣接する端部が穿通枝血管19を超えて延在するように配置されてよく、血液供給は、ステントの第1の端部3および第2の端部4のうちの関連する端部の第1の壁および第2の壁のうちの対応する壁を通る隙間20bを通して穿通枝血管103内に収容されることが企図される。
【符号の説明】
【0220】
1 ステント
3 第1の端部
4 第2の端部
5 中心部
7 遷移部
10 第1の壁
11 第2の壁
12 第1の穴
13 第2の穴
15 中心壁
16 穴
17 遷移壁
18 主中心軸
19 自由端、穿通枝血管
20 隙間
20a、20b、20c 隙間
21 第1の中心軸
22 第2の中心軸
23 ストラット
30 送達システム
31 送達マイクロカテーテル
32 近位端
33 遠位端
34 細長穴
40 細長位置決め部材
41 近位端
42 遠位端
44 解放可能結合機構
50 ステント
52 円錐台形壁部分
53 遷移壁
60 ステント
70 ステント
80 ステント
82 バルーンマイクロカテーテル
83 細長マイクロカテーテル
84 遠位端
85 バルーン
90から93 ステント
95 主中心軸
96 第1の中心軸
97 第2の中心軸
100 罹患頭蓋内動脈
101 壁
102 狭窄
103 穴
104 近位非罹患部分
105 近位端
106 遠位非罹患部分
107 遠位端
108 円環
109 穿通枝動脈
200 動脈、ステント
201 王冠部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14a
図14b
図14c
図15a
図15b
図15c
図16a
図16b
図16c
図17a
図17b
図17c
図18
【手続補正書】
【提出日】2024-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭蓋内血管内の狭窄にステント留置を行うように構成されている膨張可能ステントであって、膨張状態における前記ステントは、第1の穴(12)が貫通する第1の端部(3)と、前記第1の端部(3)から離間し、第2の穴(13)が貫通する第2の端部(4)と、前記第1の端部(3)と前記第2の端部(4)との間に延在し、中心穴(16)が貫通しており、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の前記第1の穴(12)および前記第2の穴(13)を互いに連通させる、中心部(5)とを備えるように構成され、前記中心部(5)は前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の外部横断面より小さい外部横断面を有し、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)は、前記ステントの膨張状態において前記狭窄のそれぞれの対向端上で血管の動脈壁と係合し前記ステントを血管内に固定するように構成され、前記中心部(5)は、前記ステントの前記膨張状態において前記狭窄を貫通する穴を貫通し、径方向外向き圧力で前記狭窄を形成する物質を圧迫して前記狭窄を通る前記穴のさらなる狭小化を少なくとも防ぐように構成されている、膨張可能ステント。
【請求項2】
前記中心部(5)は、前記ステントの前記膨張状態における事前定義された最大横断面積まで膨張するように構成され、前記中心部(5)の前記事前定義された最大横断面積は、前記中心部と前記ステントが膨張した状態の前記血管の壁との接触を回避するために、前記狭窄に隣接する前記血管の非罹患部分の横断面積より小さい、請求項1に記載の膨張可能ステント。
【請求項3】
前記ステントの前記中心部(5)は縦方向に延在する主中心軸(95)を画成し、前記第1の端部(3)は縦方向に延在する第1の中心軸(96)を画成し、前記第2の端部(4)は縦方向に延在する第2の中心軸(96)を画成し、
前記中心部(5)、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)は、前記ステントの膨張状態において、前記主中心軸(95)が前記第1の中心軸(96)および前記第2の中心軸(96)からオフセットされるか、或いは、前記第1の中心軸(96)および前記第2の中心軸(96)に対して0°より大きい角度で延在するように構成されている、請求項1に記載の膨張可能ステント。
【請求項4】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)は、前記狭窄の対応する端部に隣接する血管の壁に当接して前記中央部(50)を安定させて支持し、前記狭窄の対応する端部に隣接する血管の壁の形状に適合するように構成されている、請求項1に記載の膨張可能ステント。
【請求項5】
前記ステントの前記膨張状態の前記中心部(5)の外径は、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の一つの外径の25%から70%の範囲内にあり、好ましくは、前記ステントの前記膨張状態の前記中心部(5)の外径は、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の外径の約50%の範囲内にある、請求項1に記載の膨張可能ステント。
【請求項6】
前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の外径は、同一または異なり、前記ステントの前記膨張状態の前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の軸長さは、同一または異なっている、請求項1に記載の膨張可能ステント。
【請求項7】
前記ステントの前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の第1の端壁(10)および第2の端壁(11)の外面、並びに、前記ステントの前記中心部(5)の中心壁(15)の外面は、前記膨張状態において、非円筒形、例えば、その軸方向の長さに沿って凹状または凸状であってよく、好ましくは、前記ステントの前記膨張状態の前記中心部(5)は、実質的に砂時計の形状である、請求項1に記載の膨張可能ステント。
【請求項8】
前記前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)ならびに前記中心部(5)は、中に隙間(20)を画成するかごに似た構造物、編組構造物、および穿孔構造物のうちの1つであり、前記ステントの前記膨張状態における前記中心部(5)および遷移部(7)の前記隙間(20)は、前記狭窄を形成する物質がそこを通過するのを最小限に抑える、または防止するのに十分な大きさの面積であるが、血液が前記中心部(5)および前記遷移部(7)を通って前記狭窄がある動脈から分岐する穿通動脈まで流れるのに十分な大きさである、請求項1に記載の膨張可能ステント。
【請求項9】
前記隙間(20)は、前記ステントの前記中心部(5)によって規定される主中心軸(18)、前記ステントの前記第1の端部(3)によって規定される第1の中心軸(21)、または前記ステントの前記第2の端部(4)によって規定される第2の中心軸(22)のうちの対応する1つの周囲に延在するリングを形成するストラット(23)によって規定され、それぞれの前記リングが複数の王冠部(201)を規定し、隣接する前記リングは、隣接する前記王冠部(201)によって接続されて、前記中心部(5)、前記第1の端部(3)または前記第2の端部(4)のうちの対応する1つを形成し、それぞれの前記王冠部(201)は、隣接する一対のストラット(23)によって規定され、前記ステントの前記膨張状態における少なくとも1つのリングの各ストラット(23)の長さは、2mm未満、好ましくは1mm未満であり、好ましくは、前記リングを形成するストラット(23)の幅は、80マイクロメートル未満である、請求項8に記載の膨張可能ステント。
【請求項10】
それぞれのリングの王冠部(201)を規定するそれぞれの一対のストラット(23)は、対応する王冠部(201)のV角度を規定し、前記ステントの前記非膨張状態におけるそれぞれの王冠部(201)のV角度は5°未満であり、前記ステントの前記膨張状態におけるV角度は40°を超える、請求項9に記載の膨張可能ステント。
【請求項11】
前記ステントの前記中心部(5)の軸方向長さは、前記膨張状態において5mmから20mmの範囲内にあり、好ましくは、前記ステントの前記第1の端部(3)の軸方向長さは、前記膨張状態において2mmから4mmの範囲内にあり、有利には、前記ステントの前記膨張状態における前記第2の端部(4)の軸方向長さは、2mmから4mmの範囲内にある、請求項1に記載の膨張可能ステント。
【請求項12】
前記非膨張状態の前記ステントの外径は、前記ステントの全長にわたって実質的に一定である、請求項1に記載の膨張可能ステント。
【請求項13】
前記非膨張状態の前記ステントの最大外径は、0.6mm以下である、請求項1に記載の膨張可能ステント。
【請求項14】
前記ステントは、治療活性物質がコーティングされ、前記治療活性物質は、前記ステント上にコーティングされ、血管形成促進物質またはプラーク抑制物質の一方または両方を含む、請求項1に記載の膨張可能ステント。
【請求項15】
前記ステントは、自己膨張ステントを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項16】
前記ステントは拡張バルーンによって膨張されるように構成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項17】
頭蓋内血管内の狭窄にステント留置を行うように構成されている膨張可能ステントであって、膨張状態における前記ステントは、第1の穴(12)が貫通する第1の端部(3)と、前記第1の端部(3)から離間し、第2の穴(13)が貫通する第2の端部(4)と、前記第1の端部(3)と前記第2の端部(4)との間に延在し、中心穴(16)が貫通しており、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の前記第1の穴(12)および前記第2の穴(13)を互いに連通させる、中心部(5)とを備えるように構成され、前記中心部(5)は前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の外部横断面より小さい外部横断面を有し、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)は、前記ステントの膨張状態において前記狭窄のそれぞれの対向端上で前記血管の動脈壁と係合し前記ステントを前記血管内に固定するように構成され、前記中心部(5)は、前記ステントの前記膨張状態において前記狭窄を貫通する穴を貫通し、径方向外向き圧力で前記狭窄を形成する物質を圧迫して前記狭窄を通る前記穴のさらなる狭小化を少なくとも防ぐように構成され、前記ステントの前記膨張状態の前記中心部(5)は、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)によって前記血管の前記壁に印加される前記径方向外向き圧力より大きい径方向外向き圧力を、前記狭窄を形成する物質に印加するように構成されている、膨張可能ステント。
【請求項18】
頭蓋内血管内の狭窄にステント留置を行うように構成されている膨張可能ステントであって、膨張状態における前記ステントは、第1の穴(12)が貫通する第1の端部(3)と、前記第1の端部(3)から離間し、第2の穴(13)が貫通する第2の端部(4)と、前記第1の端部(3)と前記第2の端部(4)との間に延在し、中心穴(16)が貫通しており、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の前記第1の穴(12)および前記第2の穴(13)を互いに連通させる、中心部(5)とを備えるように構成され、前記中心部(5)は前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の外部横断面より小さい外部横断面を有し、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)は、前記ステントの膨張状態において前記狭窄のそれぞれの対向端上で前記血管の動脈壁と係合し前記ステントを前記血管内に固定するように構成され、前記中心部(5)は、前記ステントの前記膨張状態において前記狭窄を貫通する穴を貫通し、径方向外向き圧力で前記狭窄を形成する物質を圧迫して前記狭窄を通る前記穴のさらなる狭小化を少なくとも防ぐように構成され、前記中心部(5)は、前記ステントの前記膨張状態では、前記血管の前記壁ではなく前記狭窄の物質のみに接するように構成され、前記血管の前記壁から離間している、膨張可能ステント。
【請求項19】
頭蓋内血管内の狭窄にステント留置を行うように構成されている膨張可能ステントであって、膨張状態における前記ステントは、第1の穴(12)が貫通する第1の端部(3)と、前記第1の端部(3)から離間し、第2の穴(13)が貫通する第2の端部(4)と、前記第1の端部(3)と前記第2の端部(4)との間に延在し、中心穴(16)が貫通しており、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の前記第1の穴(12)および前記第2の穴(13)を互いに連通させる、中心部(5)とを備えるように構成され、前記中心部(5)は前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の外部横断面より小さい外部横断面を有し、前記中心部(5)は、それぞれの遷移部(7)内の対向端で終端し、前記中心部(5)は、前記遷移部(7)を通して前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)に接続されて連通し、前記ステントの前記膨張状態の前記遷移部(7)は、それぞれの対向端に隣接する前記狭窄を形成する前記物質と係合するように構成され、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)は、前記ステントの膨張状態において前記狭窄のそれぞれの対向端上で前記血管の動脈壁と係合し前記ステントを前記血管内に固定するように構成され、前記中心部(5)は、前記ステントの前記膨張状態において前記狭窄を貫通する穴を貫通し、径方向外向き圧力で前記狭窄を形成する物質を圧迫して前記狭窄を通る前記穴のさらなる狭小化を少なくとも防ぐように構成される、膨張可能ステント。
【請求項20】
前記ステントの前記膨張状態の前記2つの遷移部(7)は、円錐台形の形状である、請求項19に記載の膨張可能ステント。
【請求項21】
前記ステントの前記膨張状態における前記遷移部(7)は非対称形状である、請求項20に記載の膨張可能ステント。
【請求項22】
前記ステントは、動脈内に留置されたときに、前記中心部(5)および前記遷移部(7)が前記狭窄に隣接する動脈壁とともに、前記狭窄を形成する物質が含まれる環状部を画定するように構成されている、請求項19から21のいずれか一項に記載の膨張可能ステント。
【請求項23】
頭蓋内血管内の狭窄にステント留置を行うように構成されている膨張可能ステントであって、膨張状態における前記ステントは、第1の穴(12)が貫通する第1の端部(3)と、前記第1の端部(3)から離間し、第2の穴(13)が貫通する第2の端部(4)と、前記第1の端部(3)と前記第2の端部(4)との間に延在し、中心穴(16)が貫通しており、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の前記第1の穴(12)および前記第2の穴(13)を互いに連通させる、中心部(5)とを備えるように構成され、前記中心部(5)は前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の外部横断面より小さい外部横断面を有し、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)は、前記ステントの膨張状態において前記狭窄のそれぞれの対向端上で前記血管の動脈壁と係合し前記ステントを前記血管内に固定するように構成され、前記中心部(5)は、前記ステントの前記膨張状態において前記狭窄を貫通する穴を貫通し、径方向外向き圧力で前記狭窄を形成する物質を圧迫して前記狭窄を通る前記穴の直径を前記狭窄に隣接する血管の非罹患部分の25%から80%の範囲内まで増加させるように構成されている、膨張可能ステント。
【請求項24】
頭蓋内血管内の狭窄にステント留置を行うように構成されている膨張可能ステントであって、膨張状態における前記ステントは、第1の穴(12)が貫通する第1の端部(3)と、前記第1の端部(3)から離間し、第2の穴(13)が貫通する第2の端部(4)と、前記第1の端部(3)と前記第2の端部(4)との間に延在し、中心穴(16)が貫通しており、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の前記第1の穴(12)および前記第2の穴(13)を互いに連通させる、中心部(5)とを備えるように構成され、前記中心部(5)は前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の外部横断面より小さい外部横断面を有し、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)は、前記ステントの膨張状態において前記狭窄のそれぞれの対向端上で前記血管の動脈壁と係合し前記ステントを前記血管内に固定するように構成され、前記中心部(5)は、前記ステントの前記膨張状態において前記狭窄を貫通する穴を貫通し、前記狭窄を通る前記穴の直径を拡大する力で前記狭窄を形成する物質を圧迫して、前記狭窄を通過する血流速度を、前記狭窄のない血管を通過する通常の血流速度の25%~80%の範囲に増加させるように構成されている、膨張可能ステント。
【請求項25】
頭蓋内血管内の狭窄にステント留置を行うように構成されている膨張可能ステントであって、膨張状態における前記ステントは、第1の穴(12)が貫通する第1の端部(3)と、前記第1の端部(3)から離間し、第2の穴(13)が貫通する第2の端部(4)と、前記第1の端部(3)と前記第2の端部(4)との間に延在し、中心穴(16)が貫通しており、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の前記第1の穴(12)および前記第2の穴(13)を互いに連通させる、中心部(5)とを備えるように構成され、前記中心部(5)は前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)の外部横断面より小さい外部横断面を有し、前記第1の端部(3)および前記第2の端部(4)は、前記ステントの膨張状態において前記狭窄のそれぞれの対向端上で前記血管の動脈壁と係合し前記ステントを前記血管内に固定するように構成され、前記中心部(5)は、前記ステントの前記膨張状態において前記狭窄を貫通する穴を貫通し、前記狭窄を事前に拡張する必要なく、前記狭窄を拡張するのに十分な力で前記狭窄を形成する物質を圧迫するように構成されている、膨張可能ステント。
【外国語明細書】