(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149509
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】サーバ及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0208 20230101AFI20241010BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241010BHJP
H04N 21/258 20110101ALI20241010BHJP
【FI】
G06Q30/0208
G06Q50/10
H04N21/258
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024117759
(22)【出願日】2024-07-23
(62)【分割の表示】P 2022124394の分割
【原出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】517287224
【氏名又は名称】17LIVE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100199277
【弁理士】
【氏名又は名称】西守 有人
(72)【発明者】
【氏名】田代 渚
(57)【要約】
【課題】人と人のつながりをより豊かにすることのできるライブ配信技術を提供する。
【解決手段】サーバは、ネットワークを介して端末から、当該端末において指定された第1ギフトの情報と対象の配信者の情報とを含む開始要求を受信する手段と、開始要求の受信に応じて、対象の配信者のライブ配信において第1ギフトとは異なる第2ギフトの使用が可能となる期間を開始する手段と、第2ギフトが使用される度に更新されるパラメータを保持する手段と、対象の配信者のライブ配信が視聴者に視聴された被視聴時間に係る被視聴時間条件と、パラメータに係るパラメータ条件と、を含む分配条件が充たされると、第1ギフトに関連付けられた電子的価値の視聴者への分配を可能とする手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して端末から、当該端末において指定された第1ギフトの情報と対象の配信者の情報とを含む開始要求を受信する手段と、
開始要求の受信に応じて、対象の配信者のライブ配信において第1ギフトとは異なる第2ギフトの使用が可能となる期間を開始する手段と、
第2ギフトが使用される度に更新されるパラメータを保持する手段と、
対象の配信者のライブ配信が視聴者に視聴された被視聴時間に係る被視聴時間条件と、パラメータに係るパラメータ条件と、を含む分配条件が充たされると、第1ギフトに関連付けられた電子的価値の視聴者への分配を可能とする手段と、を備えるサーバ。
【請求項2】
パラメータは、第2ギフトが使用される度に大きくなる追加的電子的価値であり、
第1ギフトに関連付けられた電子的価値は追加的電子的価値を含む請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記分配条件は、対象の配信者のライブ配信において第2ギフトを使用した視聴者の数に係る視聴者数条件を含む請求項1または2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記可能とする手段は、対象の配信者のライブ配信の視聴者のうち、視聴者が対象の配信者のライブ配信を視聴した視聴時間に係る視聴時間条件を含む受取条件を充たす視聴者を、第1ギフトに関連付けられた電子的価値の分配先の視聴者として特定する請求項1から3のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項5】
前記可能とする手段は、特定された視聴者に、当該視聴者の視聴時間が長いほど大きな電子的価値を分配する請求項4に記載のサーバ。
【請求項6】
前記可能とする手段は、特定された視聴者に、当該視聴者が以下の3つの条件のうちの少なくともひとつを充たした場合に、以下の3つの条件のいずれをも充たさない場合よりも大きな電子的価値を分配する請求項4または5に記載のサーバ。
(1)前記期間内に初めて対象の配信者のライブ配信を視聴した
(2)前記期間内に対象の配信者をフォローした
(3)前記期間内に対象の配信者のサブスクリプションに加入した。
【請求項7】
前記受取条件は、前記期間内に視聴者が対象の配信者のライブ配信において第2ギフトを使用した場合に充たされる使用条件を含む請求項4から6のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項8】
前記受信する手段は、ネットワークを介して対象の配信者の端末から開始要求を受信し、
前記サーバはさらに、開始要求の受信に応じて、対象の配信者による第1ギフトの対価の支払いを処理する手段を備え、
第1ギフトに関連付けられた電子的価値は、第1ギフトの対価による寄与分を有する請求項1から7のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項9】
前記受信する手段は、対象の配信者のライブ配信中に、当該ライブ配信の視聴者の端末からネットワークを介して開始要求を受信し、
前記サーバはさらに、開始要求の受信に応じて、視聴者による第1ギフトの対価の支払いを処理する手段を備え、
第1ギフトに関連付けられた電子的価値は、第1ギフトの対価による寄与分を有する請求項1から7のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項10】
被視聴時間条件は、前記期間において対象の配信者のライブ配信を視聴した全ての視聴者について通算した総被視聴時間が閾値を上回ると充たされる請求項1から9のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項11】
前記可能とする手段は、分配条件が充たされると、分配開始の指示の待ち受けを開始する請求項1から10のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項12】
ネットワークを介して端末から、当該端末において指定された第1ギフトの情報と対象の配信者の情報とを含む開始要求を受信することと、
開始要求の受信に応じて、対象の配信者のライブ配信において第1ギフトとは異なる第2ギフトの使用が可能となる期間を開始することと、
第2ギフトが使用される度に更新されるパラメータを保持することと、
対象の配信者のライブ配信が視聴者に視聴された被視聴時間に係る被視聴時間条件と、パラメータに係るパラメータ条件と、を含む分配条件が充たされると、第1ギフトに関連付けられた電子的価値の視聴者への分配を可能とすることと、を含む方法。
【請求項13】
ネットワークを介して端末から、当該端末において指定された第1ギフトの情報と対象の配信者の情報とを含む開始要求を受信する手段と、
開始要求の受信に応じて、期間を開始する手段と、
前記期間において対象の配信者のライブ配信が視聴者に視聴された被視聴時間に係る被視聴時間条件を含む分配条件が充たされると、第1ギフトに関連付けられた電子的価値の視聴者への分配を可能とする手段と、を備えるサーバ。
【請求項14】
ネットワークを介して端末から、当該端末において指定された第1ギフトの情報と対象の配信者の情報とを含む開始要求を受信する手段と、
開始要求の受信に応じて、対象の配信者のライブ配信において第1ギフトとは異なる第2ギフトの使用が可能となる期間を開始する手段と、
前記期間内に対象の配信者のライブ配信において視聴者が第2ギフトを使用した場合、当該視聴者が対象の配信者のライブ配信を視聴した視聴時間が長いほど高くなる当選確率を用いて抽選を行う手段と、
抽選に当選した場合、第1ギフトに関連付けられた電子的価値の視聴者への分配を可能とする手段と、を備えるサーバ。
【請求項15】
対象の配信者のライブ配信を視聴する視聴者の端末に、
請求項1に記載のサーバと通信する機能と、
対象の配信者のライブ配信中に視聴者による第1ギフトの指定を受け付ける機能と、
を実現させるためのコンピュータプログラム。
【請求項16】
対象の配信者のライブ配信の視聴者の端末に、
請求項1に記載のサーバと通信する機能と、
前記期間中、対象の配信者のライブ配信において、視聴者による第2ギフトの指定を受け付ける機能と、を実現させるためのコンピュータプログラム。
【請求項17】
対象の配信者の端末に、
請求項1に記載のサーバと通信する機能と、
対象の配信者による第1ギフトの指定を受け付ける機能と、を実現させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーバ及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IT技術の発展と共に情報のやりとりの様も移り変わってきた。昭和の時代には新聞やテレビなどの一方通行の情報伝達が主であった。平成になると、ケータイやパソコンが普及し、インターネットの通信速度も大きく改善されたので、チャットサービスなどの即時双方向通信サービスが台頭し、また記憶コストの低減に伴ってオンデマンド型の動画配信サービスが受け入れられていった。そして、現在、令和の時代となり、スマートフォンの高機能化や5Gに代表されるネットワークの速度のさらなる向上を受けて、動画によるリアルタイムのコミュニケーションを実現するサービス、特にライブ配信(Live Streaming)サービスが急速に認知度を高めている。ライブ配信サービスは、離れた場所にいても皆が同じ楽しい時間を共有できるサービスとして、若者を中心に利用者が拡大している。
【0003】
ライブ配信を盛り上げる仕組みの一つとして、所定の条件を充たした視聴者に報酬を付与することがある。例えば、非特許文献2には、ライブ配信において視聴者がラッキーギフトを投げる程バーのゲージが増加し、一定量を超えると視聴者に報酬が付与されることが開示されている。また非特許文献2には、投げる事で抽選券を獲得し、その中から1時間ごとに抽選で誰かにダイヤが当たるギャンブルギフトも開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「ライバーアーミー」、17LIVE、URL:https://helpfeel.com/17media-jp/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%BC-5d1b19ed60a44d0017857bf6
【非特許文献2】「アイテムについて」、ひまり、URL:https://note.com/himarin25/n/n2633e9600205
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献2に記載されるような仕組みによると、視聴者はギフトを投げるよう動機付けられ、したがってギフトの使用量の増大を期待することができる。しかしながら、そのような仕組みからは、配信者のライブ配信をより楽しんで長く観ようという動機付けを得ることはできない。単に射幸心を煽るだけでは配信者と視聴者との健全なつながりを豊かにすることは困難である。人と人のつながりをより豊かにするためのライブ配信の新たな仕組みが求められている。
【0006】
本開示はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、人と人のつながりをより豊かにすることのできるライブ配信技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある態様は、サーバに関する。このサーバは、ネットワークを介して端末から、当該端末において指定された第1ギフトの情報と対象の配信者の情報とを含む開始要求を受信する手段と、開始要求の受信に応じて、対象の配信者のライブ配信において第1ギフトとは異なる第2ギフトの使用が可能となる期間を開始する手段と、第2ギフトが使用される度に更新されるパラメータを保持する手段と、対象の配信者のライブ配信が視聴者に視聴された被視聴時間に係る被視聴時間条件と、パラメータに係るパラメータ条件と、を含む分配条件が充たされると、第1ギフトに関連付けられた電子的価値の視聴者への分配を可能とする手段と、を備える。
【0008】
本発明の別の態様もまた、サーバである。このサーバは、ネットワークを介して端末から、当該端末において指定された第1ギフトの情報と対象の配信者の情報とを含む開始要求を受信する手段と、開始要求の受信に応じて、期間を開始する手段と、期間において対象の配信者のライブ配信が視聴者に視聴された被視聴時間に係る被視聴時間条件を含む分配条件が充たされると、第1ギフトに関連付けられた電子的価値の視聴者への分配を可能とする手段と、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、人と人のつながりをより豊かにすることのできるライブ配信技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施の形態に係るライブ配信システムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図1のユーザ端末の機能および構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1のサーバの機能および構成を示すブロック図である。
【
図4】
図3のストリームDBの一例を示すデータ構造図である。
【
図5】
図3のアーミーDBの一例を示すデータ構造図である。
【
図6】
図3のユーザDBの一例を示すデータ構造図である。
【
図7】
図3のギフトDBの一例を示すデータ構造図である。
【
図8】
図3の還元ギフトDBの一例を示すデータ構造図である。
【
図9】
図3の分配条件DBの一例を示すデータ構造図である。
【
図10】
図3の受取条件DBの一例を示すデータ構造図である。
【
図11】
図1のライブ配信システムにおける一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図1のライブ配信システムにおいてライブ配信を開始する際の一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面の代表画面図である。
【
図14】別の視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面の代表画面図である。
【
図15】別の視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示される投入ギフト選択画面の代表画面図である。
【
図16】別の視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面の代表画面図である。
【
図17】別の視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面の代表画面図である。
【
図18】配信者のユーザ端末のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面の代表画面図である。
【
図19】別の視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面の代表画面図である。
【
図20】視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示されるライブ配信選択画面の代表画面図である。
【
図21】視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示されるジャンル別ライブ配信選択画面の代表画面図である。
【
図22】第2の実施の形態に係るサーバの機能および構成を示すブロック図である。
【
図23】
図22のギフトDBの一例を示すデータ構造図である。
【
図24】
図22の還元ギフトDBの一例を示すデータ構造図である。
【
図25】
図22の当選確率DBの一例を示すデータ構造図である。
【
図26】
図22の抽選履歴DBの一例を示すデータ構造図である。
【
図27】第2の実施の形態に係るライブ配信システムにおける一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図28】視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面の代表画面図である。
【
図29】視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示される抽選ギフト選択画面の代表画面図である。
【
図30】視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示される落選お知らせ画面の代表画面図である。
【
図31】視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示される当選お知らせ画面の代表画面図である。
【
図32】実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理、信号には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面において説明上重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0013】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係るライブ配信システムは、新たなタイプのギフトとして還元ギフトを導入する。ライブ配信において還元ギフトを配信者または視聴者が使用すると、還元ギフト期間が開始され、当該ライブ配信のルーム画面に投入対象オブジェクトが設置される。視聴者は、専用の投入ギフトを使用することで、投入対象オブジェクトにポイントを投入する(またはポイントを「貯める」)。投入対象オブジェクトが設置された配信者のライブ配信が視聴者に視聴された時間である被視聴時間が基準値を上回り、かつ、貯まったポイントが基準値に到達すると、所定の受取条件を充たす視聴者に貯まったポイントが分配または還元される。
【0014】
貯まったポイントは還元ギフトの対価に対応するポイントを含むので、通常、視聴者に還元されるポイントはその視聴者が投入したポイントよりも多くなる。したがって、投入対象オブジェクトが設置されているライブ配信にはより多くの視聴者が誘引される。また、配信者の被視聴時間が投入対象オブジェクト開封の条件となっているので、視聴者はより長く当該配信者のライブ配信を視聴するよう動機付けられる。これにより、配信者が自分自身を、もしくは視聴者が配信者をプロモートする機会が創出され、新たな配信者の発見が促進される。その結果、例えば新人配信者や中堅の配信者がより注目される配信者となるきっかけを提供することができる。
【0015】
また、視聴者は自分の「推し」の配信者のライブ配信においてこの還元ギフトを使用することで、自分が対価を支払うことと引き替えに当該配信者のライブ配信により多くの視聴者を誘引することができ、「推し」の応援活動の達成感を得ることができる。
【0016】
図1は、第1の実施の形態に係るライブ配信システム1の構成を示す模式図である。ライブ配信システム1は、配信者(ライバー、ストリーマ(Streamer)ともいう)LVと視聴者(オーディエンスともいう)AU(AU1、AU2、…)とがリアルタイムでやりとりできる双方向型のライブ配信サービスを提供する。
図1に示すように、ライブ配信システム1は、サーバ10と、配信者側のユーザ端末20と、視聴者側のユーザ端末30(30a、30b、…)と、を備える。配信者および視聴者をユーザと総称することがある。サーバ10は、ネットワークNWに接続された一または複数の情報処理装置によって構成されてもよい。ユーザ端末20、30は例えばスマートフォンやタブレット型端末やラップトップPCやレコーダや携帯型ゲーム機やウェアラブル装置などの携帯端末であってもよいし、デスクトップPCなどの据え置き型の装置であってもよい。サーバ10、ユーザ端末20およびユーザ端末30は、有線または無線の各種ネットワークNWにより互いに通信可能に接続される。
【0017】
ライブ配信システム1には、配信者LVと、視聴者AUと、サーバ10を管理する管理者(不図示)と、が関与する。配信者LVは、自分の歌や、トーク、パフォーマンス、占い、ゲーム実況などのコンテンツを自身のユーザ端末20で録音・録画してそのままサーバ10にアップロードすることで、リアルタイムにコンテンツを発信する者である。管理者は、サーバ10においてコンテンツのライブ配信のためのプラットフォームを提供し、また、配信者LVと視聴者AUとのリアルタイムのやりとりを仲介または管理する。視聴者AUは、ユーザ端末30でプラットフォームにアクセスして所望のコンテンツを選択し、視聴する。このコンテンツのライブ配信中に視聴者AUがユーザ端末30を介してコメントをしたり応援するための操作を行い、当該コンテンツを提供する配信者LVがそのようなコメントや応援に反応し、当該反応が映像および/または音声で視聴者AUに伝わることで、双方向のコミュニケーションが成立する。
【0018】
本明細書において「ライブ配信」は、配信者LVのユーザ端末20で録音・録画されたコンテンツが実質的にリアルタイムで視聴者AUのユーザ端末30で再生され視聴可能となる状態を実現するデータの伝送態様を意味するものであってもよく、またはそのような伝送態様により実現される配信そのものを意味してもよい。ライブ配信は、HTTP Live StreamingやCommon Media Application FormatやWeb Real-Time CommunicationsやReal-Time Messaging ProtocolやMPEG DASHなどの既存のライブ配信技術を用いて実現されてもよい。ライブ配信は、配信者LVがコンテンツを録音・録画しているときに、視聴者AUが所定の遅延をもって当該コンテンツを視聴可能な伝送態様を含む。遅延の大きさについて、少なくとも、配信者LVと視聴者AUとのやりとりが成立する程度の大きさの遅延は許される。ただし、ライブ配信は、コンテンツを録音・録画したデータ全体をいったんサーバに保存し、その後の任意のタイミングでユーザからの求めに応じて当該データをサーバからユーザに提供するいわゆるオンデマンド型の配信とは区別される。
【0019】
本明細書において「動画データ」は、ユーザ端末20、30の撮像機能により生成される画像データ(ビデオデータともいう)と、ユーザ端末20、30の音声入力機能により生成される音声データ(オーディオデータともいう)と、を含むデータである。動画データは、ユーザ端末20、30で再生されることで、ユーザによるコンテンツの視聴を可能とする。本実施の形態では、動画データが配信者のユーザ端末で生成されてから視聴者のユーザ端末で再生されるまでの間に、圧縮や伸張や符号化や復号やトランスコーディングなどの、データの形式やサイズや仕様を変更する処理が行われることが想定されている。このような処理の前後で動画データが表す内容(例えば、動画像や音声)は実質的に変わらないので、本実施の形態ではそのような処理が行われた後の動画データはそのような処理が行われる前の動画データと同じであるとして説明する。すなわち、動画データが配信者のユーザ端末で生成されてからサーバ10を経由して視聴者のユーザ端末で再生される場合、配信者のユーザ端末で生成された動画データと、サーバ10を通過する動画データと、視聴者のユーザ端末で受信されて再生される動画データと、は全て同じ動画データである。
【0020】
図1の例では、配信者LVがトークをライブ配信している。配信者LVのユーザ端末20はトークを行っている配信者LVの像および音声を録画・録音することで動画データを生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。併せてユーザ端末20は、録画された配信者LVの動画像VDをユーザ端末20のディスプレイに表示させることで、配信者LVによる配信内容の確認を可能とする。
【0021】
配信者LVのライブ配信の視聴をプラットフォームに要求した視聴者AU1、AU2のユーザ端末30a、30bはそれぞれ、ネットワークNWを介してライブ配信に係る動画データを受信し、受信した動画データを再生することでディスプレイに動画像VD1、VD2を表示させると共にスピーカーから音声を出力する。各ユーザ端末30a、30bで表示される動画像VD1、VD2は配信者LVのユーザ端末20が撮像した動画像VDと実質的に同一であり、各ユーザ端末30a、30bで出力される音声も配信者LVのユーザ端末20が録音した音声と実質的に同一である。
【0022】
配信者LVのユーザ端末20における録音・録画と、視聴者AU1、AU2のユーザ端末30a、30bにおける動画データの再生と、は実質的に同時に行われる。配信者LVのトークの内容についてひとりの視聴者AU1がコメントをユーザ端末30aに入力すると、サーバ10は当該コメントをリアルタイムで配信者LVのユーザ端末20に表示させると共に各視聴者AU1、AU2のユーザ端末30a、30bにも表示させる。当該コメントを読んだ配信者LVがその内容に被せたトークを展開すると、そのトークの動画像と音声が各視聴者AU1、AU2のユーザ端末30a、30bで出力され、これにより配信者LVと視聴者AU1との会話が成立したと認識される。このように、ライブ配信システム1では、一方通行でない双方向のコミュニケーションを可能とするライブ配信が実現される。
【0023】
図2は、
図1のユーザ端末20の機能および構成を示すブロック図である。ユーザ端末30はユーザ端末20と同様の機能および構成を有する。
図3および以後のブロック図に示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0024】
配信者LVおよび視聴者AUは、ダウンロードサイトからネットワークNWを介して、本実施の形態に係るライブ配信アプリケーションプログラム(以下、ライブ配信アプリという)をユーザ端末20、30にダウンロードし、インストールする。あるいはまた、ライブ配信アプリはユーザ端末20、30にプリインストールされていてもよい。ライブ配信アプリがユーザ端末20、30により実行されることにより、ユーザ端末20、30はネットワークNWを介してサーバ10と通信し、各種機能を実現する。以下、ユーザ端末20、30(のCPUなどのプロセッサ)がライブ配信アプリを実行することにより実現する機能をユーザ端末20、30の機能として説明する。それらの機能は実際はライブ配信アプリがユーザ端末20、30に実現させる機能である。なお、他の実施の形態では、これらの機能は、サーバ10からユーザ端末20、30のウェブブラウザにネットワークNWを介して送信され、そのウェブブラウザによって実行される、HTML(HyperText Markup Language)などのプログラミング言語により記述されたコンピュータプログラムにより実現されてもよい。
【0025】
ユーザ端末20は、ユーザの像および音声を記録した動画データを生成してサーバ10に提供する配信部100と、サーバ10から動画データを取得して再生する視聴部200と、を備える。ユーザは、配信を行う場合は配信部100を、視聴を行う場合は視聴部200を、それぞれ起動する。配信部100がアクティブとなっているユーザ端末は配信者側、つまり動画データの生成側のユーザ端末であり、視聴部200がアクティブとなっているユーザ端末は視聴者側、つまり動画データの再生側のユーザ端末である。
【0026】
配信部100は、撮像制御部102と、音声制御部104と、動画送信部106と、配信側UI制御部108と、を含む。撮像制御部102は
図2では不図示のカメラと接続され、カメラによる撮像を制御する。撮像制御部102はカメラから画像データを取得する。音声制御部104は
図2では不図示のマイクロフォンと接続され、マイクロフォンによる音声入力を制御する。音声制御部104は、マイクロフォンから音声データを取得する。動画送信部106は、撮像制御部102により取得された画像データおよび音声制御部104により取得された音声データを含む動画データを、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。動画送信部106による動画データの送信はリアルタイムで行われる。すなわち、撮像制御部102および音声制御部104による動画データの生成と、生成された動画データの動画送信部106による送信と、は実質的に同時に行われる。配信側UI制御部108は、配信者向けのUIを制御する。配信側UI制御部108は、
図2では不図示のディスプレイと接続され、動画送信部106による送信対象となっている動画データを再生することにより動画像をディスプレイに表示させる。配信側UI制御部108は、ディスプレイに操作用オブジェクトや指示受け付け用のオブジェクトを表示させ、配信者によるタップ入力を受け付ける。
【0027】
視聴部200は、視聴側UI制御部202と、重畳情報生成部204と、入力情報送信部206と、を含む。視聴部200は、ネットワークNWを介してサーバ10から、ライブ配信に係る動画データを受信する。視聴側UI制御部202は、視聴者向けのUIを制御する。視聴側UI制御部202は、
図2では不図示のディスプレイおよびスピーカと接続され、受信した動画データを再生することにより動画像をディスプレイに表示させると共に音声をスピーカから出力させる。ディスプレイに画像が出力されると共にスピーカから音声が出力されることを、合わせて「動画データが再生」されていると言うことができる。視聴側UI制御部202は、
図2では不図示のタッチパネルやキーボードやディスプレイなどの入力手段と接続され、それら入力手段を介してユーザ入力を取得する。重畳情報生成部204は、サーバ10から取得された動画データの画像に所定のフレーム画像を重畳させる。フレーム画像は、ユーザから入力を受け付けるための様々なユーザインタフェースオブジェクト(本明細書では単にオブジェクトという)と、視聴者により入力されたコメントと、サーバ10から取得した情報と、を含む。入力情報送信部206は、視聴側UI制御部202が取得したユーザ入力を、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。
【0028】
図3は、
図1のサーバ10の機能および構成を示すブロック図である。サーバ10は、配信情報提供部302と、中継部304と、アーミー管理部306と、通常ギフト処理部308と、支払い処理部310と、還元ギフト処理部312と、ストリームDB314と、ユーザDB316と、ギフトDB318と、還元ギフトDB320と、アーミーDB322と、分配条件DB324と、受取条件DB326と、を備える。
【0029】
図4は、
図3のストリームDB314の一例を示すデータ構造図である。ストリームDB314は現在行われているライブ配信の情報を保持する。ストリームDB314は、ライブ配信システム1が提供するライブ配信プラットフォームにおいてライブ配信を特定するストリームIDと、当該ライブ配信の配信者を特定するユーザIDである配信者IDと、当該ライブ配信の視聴者を特定するユーザIDである視聴者IDと、を対応付けて保持する。本実施の形態に係るライブ配信システム1が提供するライブ配信プラットフォームでは、ユーザがライブ配信を行う場合そのユーザは配信者となり、また同じユーザが他のユーザが配信するライブ配信を視聴する場合は視聴者となる。したがって、配信者・視聴者の別は固定的なものではなく、あるとき配信者IDとして登録されていたユーザIDが別のタイミングでは視聴者IDとして登録されることもある。
【0030】
図5は、
図3のアーミーDB322の一例を示すデータ構造図である。アーミーDB322は各配信者のアーミーの情報を保持する。アーミーDB322は、ユーザのユーザIDと、当該ユーザのアーミーとなっているユーザのユーザIDであるアーミーIDと、を対応付けて保持する。あるユーザ(以下、元帥ユーザという)のアーミー(Army)とは、元帥ユーザについてのサブスクリプションサービスに加入しているユーザのことであり、当該元帥ユーザのファンクラブの一員と言うこともできる。アーミーに加入している場合、毎月や3ヶ月ごとなど定期的に所定の登録料を管理者に支払う必要がある。管理者はその登録料の少なくとも一部を元帥ユーザに付与する。視聴者は、元帥ユーザのアーミーになっている場合、その元帥ユーザが配信者となっているライブ配信の視聴中に特殊なギフトや特別な入場アニメーションなどの特典を受けることができる。アーミーについては非特許文献1に記載の技術を用いて実現されてもよい。
【0031】
図6は、
図3のユーザDB316の一例を示すデータ構造図である。ユーザDB316は、ユーザに関する情報を保持する。ユーザDB316は、ユーザを特定するユーザIDと、当該ユーザが有しているポイントと、当該ユーザをフォローしている他のユーザのユーザIDであるフォロワーIDと、当該ユーザがフォローしている他のユーザのユーザIDであるフォロー先IDと、を対応付けて保持する。ポイントは、ライブ配信プラットフォーム内で流通する電子的価値である。配信者がライブ配信において視聴者からギフトを贈られると、配信者のポイントが当該ギフトに対応する値だけ増加する。ポイントは例えば配信者がライブ配信プラットフォームの管理者から受け取る報酬または金銭の額を決めるために用いられてもよい。
【0032】
図7は、
図3のギフトDB318の一例を示すデータ構造図である。ギフトDB318は、ライブ配信において視聴者が使用可能なギフトに関する情報を保持する。ギフトは、以下の特徴を有する電子データである。
・ポイントや金銭を対価として購入可能、または無料で付与可能。
・視聴者が配信者に贈ることができるもの。配信者にギフトを贈ることを、ギフトを使用する、またはギフトを投げるともいう。
・ギフトの購入と使用とがセットで同時に発生するタイプのものもあれば、購入した後、視聴者が任意のタイミングで使用可能なタイプのものもある。
・通常は、視聴者が配信者にギフトを贈ると、その配信者に相応のポイントが付与される。本実施の形態の還元ギフトや投入ギフトのように配信者にではなく視聴者にポイントが付与されるタイプのギフトもある。
・ギフトが使用された場合、ギフトに関連付けられた効果が生じることがある。例えば、ギフトに対応するエフェクトがライブ配信画面に表れる。
【0033】
ギフトDB318は、ギフトを特定するギフトIDと、当該ギフトを配信者に贈った場合に当該配信者に付与されるポイントである付与ポイントと、当該ギフトを使用する際に支払うべき対価である対価ポイントと、ギフトの種別と、を対応付けて保持する。視聴者は、ライブ配信視聴中に、所望のギフトの対価ポイントを支払うことで配信者に当該ギフトを贈ることができる。この対価ポイントの支払いは適宜の電子的決済手段により行われてもよく、例えば対価ポイントを視聴者が管理者に支払うことで行われてもよい。あるいはまた、銀行振込やクレジットカードによる支払いが用いられてもよい。付与ポイントと対価ポイントとの関係は管理者が任意に設定可能である。例えば、付与ポイント=対価ポイントに設定してもよい。または付与ポイントに1.2などの所定の係数を乗じて得られるポイントを対価ポイントに設定してもよいし、付与ポイントに所定の手数料ポイントを加算して得られるポイントを対価ポイントに設定してもよい。
【0034】
ギフトの種別には、通常と、還元と、投入と、がある。通常ギフトは、使用された場合、贈り主の視聴者のポイントから対価ポイントを減算し、贈り先の配信者のポイントに付与ポイントを加算するギフトである。還元ギフトは、使用された場合、使用したユーザ(視聴者または配信者)のポイントから対価ポイントを減算し、対象の配信者について還元ギフト期間を開始させるギフトである。投入ギフトは、対応する還元ギフトの還元ギフト期間中のみ使用可能なギフトであって、使用された場合、贈り主の視聴者のポイントから対価ポイントを減算し、対応する還元ギフト期間のポイント累計に対価ポイントを加算するギフトである。
図7の例では、還元ギフト「SPA」は、3つの投入ギフト「QQ1」、「QQ2」、「QQ3」に対応付けられている。還元ギフト「SPB」は、3つの投入ギフト「QQ1」、「QQ2」、「QQ3」に対応付けられている。還元ギフト「SPC」は、は、3つの投入ギフト「QQ1」、「QQ2」、「QQ3」に対応付けられている。
【0035】
図8は、
図3の還元ギフトDB320の一例を示すデータ構造図である。還元ギフトDB320は、使用された還元ギフトに関する情報を保持する。配信者が還元ギフトDB320に登録されている間、その配信者は還元ギフト期間内にいる配信者となる。したがって、ある配信者に対して使用された還元ギフトの還元ギフトDB320への登録により、その配信者についての還元ギフト期間が開始される。還元ギフトDB320は、対象の配信者のユーザIDである対象配信者IDと、使用された還元ギフトの還元ギフトIDと、還元ギフト期間の開始時刻と、還元ギフト期間において対象の配信者のライブ配信を視聴した全ての視聴者について通算した総被視聴時間と、還元ギフト期間における各視聴者の視聴時間と、対象の配信者のライブ配信において投入ギフトが使用される度に更新されるかまたは大きくなるポイント累計と、対象の配信者のライブ配信において投入ギフトを使用した視聴者のユーザIDである投入者IDと、対象の配信者のライブ配信において投入ギフトを使用した視聴者の数である投入者数と、還元ギフト期間において対象の配信者がライブ配信を行った数である配信回数と、を対応付けて保持する。還元ギフトDB320はさらに、還元ギフト期間における各視聴者の連続視聴回数や、還元ギフト期間における各視聴者のコメント数を保持してもよい。
【0036】
本明細書において「視聴時間」は、視聴者と配信者とのペアに関連付けられたパラメータであって、当該視聴者が当該配信者のライブ配信を視聴した時間(view duration)を指す。
本明細書において「被視聴時間」は、配信者に関連付けられたパラメータであって、当該配信者のライブ配信が視聴者に視聴された時間(viewed duration)を指す。この場合の視聴者はランダムに選択された一名であってもよいし、ランダムに選択された視聴者の部分集合であってもよいし、全ての視聴者であってもよい。あるいはまた、被視聴時間は視聴者に亘って算出された平均値であってもよい。被視聴時間は、配信者のライブ配信が視聴者側でどの程度視聴されているかを示す指標である。
本明細書において「総被視聴時間」は、被視聴時間の一態様であって、還元ギフト期間において対象の配信者のライブ配信を視聴した全ての視聴者について、その視聴時間を通算することで得られる時間である。
【0037】
例えば、配信者Aのライブ配信において還元ギフトが贈られて配信者Aが還元ギフト期間に入り、当該還元ギフト期間において配信者Aのライブ配信を視聴者Bが2時間、視聴者Cが3時間、視聴者Dが4時間、視聴した場合、以下のようになる。
視聴者Bの視聴時間=2時間
視聴者Cの視聴時間=3時間
視聴者Dの視聴時間=4時間
配信者Aのライブ配信の総被視聴時間=2+3+4=9時間
配信者Aのライブ配信の平均被視聴時間=9/3=3時間
配信者Aのライブ配信の被視聴時間:総被視聴時間でもよいし、平均被視聴時間でもよい。
【0038】
図9は、
図3の分配条件DB324の一例を示すデータ構造図である。分配条件DB324は、還元ギフト期間に蓄積されたポイント累計で示されるポイントの視聴者への還元または分配を可能とするために充たされるべき分配条件を保持する。分配条件は、被視聴時間に係る条件、ポイント累計に係る条件、投入者数に係る条件、配信回数に係る条件、のうちの少なくともひとつを含む。分配条件DB324は、分配条件が適用される還元ギフトの還元ギフトIDと、総被視聴時間の基準値と、ポイント累計の基準値と、投入者数の基準値と、配信回数の基準値と、を対応付けて保持する。各基準値は、分配条件が充たされるために、対応するパラメータが到達または上回るべき下限値または閾値である。分配条件DB324は管理者が適宜内容を設定可能なように構成される。
【0039】
図9の例では、還元ギフトID「SPA」で特定される還元ギフトについて視聴者への分配を可能とするためには、(1)総被視聴時間が10時間を超えること、および(2)ポイント累計が200ポイントに到達すること、の全てが充たされる必要があることが示される。還元ギフトID「SPC」で特定される還元ギフトについて視聴者への分配を可能とするためには、(1)総被視聴時間が100時間を超えること、(2)ポイント累計が5000ポイントに到達すること、(3)投入者数が30人を超えること、および(4)還元ギフト期間中の配信回数が3回以上となること、の全てが充たされる必要があることが示される。還元ギフトID「SPC」について、対応する対価ポイントが大きい分、要求される総被視聴時間やポイント累計も大きいので、1回の配信でそれらの条件が充たされることは想定されておらず、還元ギフト期間中に配信者が複数回の配信を行うことが想定されている。すなわち、この還元ギフトの視聴者誘引効果は複数の配信をまたいで持続する。
【0040】
図10は、
図3の受取条件DB326の一例を示すデータ構造図である。受取条件DB326は、視聴者が還元ギフト期間に蓄積されたポイント累計で示されるポイントの還元または分配を受けるために充たすべき受取条件を保持する。受取条件は、視聴時間に係る条件、投入ギフトの使用の有無に係る条件、連続視聴回数に係る条件、コメント数に係る条件、のうちの少なくともひとつを含む。受取条件DB326は、受取条件が適用される還元ギフトの還元ギフトIDと、視聴時間の基準値と、投入アイテム使用の要否と、連続視聴回数の基準値と、コメント数の基準値と、を対応付けて保持する。各基準値は、受取条件が充たされるために、対応するパラメータが到達または上回るべき下限値または閾値である。受取条件DB326は管理者が適宜内容を設定可能なように構成される。連続視聴回数は、対象の配信者が還元ギフト期間中に複数回のライブ配信を行う場合に、視聴者がそれらのライブ配信を連続で視聴した回数である。コメント数は、還元ギフト期間中の対象の配信者のライブ配信において視聴者が入力したコメントの数である。例えば、対象の配信者が還元ギフト期間中に3回のライブ配信を行い、視聴者Aが1回目と2回目のライブ配信を視聴し、それぞれ3回、5回コメントを入力した場合、当該視聴者の連続視聴回数は2回、コメント数は8回となる。また、例えば、対象の配信者が還元ギフト期間中に3回のライブ配信を行い、視聴者Aが1回目と3回目のライブ配信を視聴した場合、当該視聴者の連続視聴回数は1回となる。なお、本例ではコメント数はライブ配信を通じて合算した値を採用したが、他の実施の形態では平均値や代表値が用いられてもよい。
【0041】
図10の例では、還元ギフトID「SPA」で特定される還元ギフトについて分配を受け取るためには、(1)視聴時間が15分を超えること、および(2)投入ギフトを使用すること、の全てが充たされる必要があることが示される。還元ギフトID「SPC」で特定される還元ギフトについて分配を受け取るためには、(1)視聴時間が1時間を超えること、(2)投入ギフトを使用すること、(3)投入ギフト期間中の連続視聴回数が3回以上となること、および(4)コメント数が10以上となること、の全てが充たされる必要があることが示される。
【0042】
図3に戻り、アーミー管理部306は、アーミーへの登録と登録解除、アーミーの対価としての定期的なポイントの支払い、アーミーへの特別エフェクトの付与などアーミーの管理に関連する処理を行う。例えば、アーミー管理部306は、視聴者のユーザ端末30から、特定の配信者のアーミーになるための申請を受け付けると、当該視聴者のユーザIDが当該特定の配信者のユーザIDに対応するアーミーIDに追加されるようアーミーDB322を更新する。
【0043】
配信情報提供部302は、ネットワークNWを介して、配信者のユーザ端末20からライブ配信を開始する旨の通知を受けると、当該ライブ配信を特定するストリームIDと、当該ライブ配信の配信者の配信者IDと、をストリームDB314に登録する。配信情報提供部302は、ネットワークNWを介して、視聴者のユーザ端末30の視聴部200からライブ配信に関する情報の提供要求を受けると、ストリームDB314を参照して現在視聴可能なライブ配信のリストを生成する。配信情報提供部302は、生成されたリストに含まれるライブ配信のそれぞれについて、還元ギフトDB320を参照し、当該ライブ配信が還元ギフト期間中の配信者によるライブ配信か否かを決定する。配信情報提供部302は、決定の結果、すなわち各ライブ配信が還元ギフト期間中の配信者によるライブ配信か否かを示すフラグをリストに追加する。配信情報提供部302は、ネットワークNWを介して、生成されたリストを要求元のユーザ端末30に送信する。要求元のユーザ端末30の視聴側UI制御部202は、受信したリストに基づいてライブ配信選択画面を生成し、ユーザ端末30のディスプレイに表示させる。
【0044】
ユーザ端末30の入力情報送信部206は、ライブ配信選択画面における視聴者によるライブ配信の選択を受け付けると、選択されたライブ配信のストリームIDを含む配信要求を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。配信情報提供部302は、受信した配信要求に含まれるストリームIDにより特定されるライブ配信の、要求元のユーザ端末30への提供を開始する。配信情報提供部302は、当該ストリームIDの視聴者IDに要求元のユーザ端末30の視聴者のユーザIDが含まれるようにストリームDB314を更新する。
【0045】
中継部304は、配信情報提供部302によって開始されたライブ配信において、配信者のユーザ端末20から視聴者のユーザ端末30への動画データの伝送を中継する。中継部304は、動画データの再生中における視聴者によるユーザ入力を示す信号を入力情報送信部206から受信する。ユーザ入力を示す信号は、ユーザ端末30のディスプレイに表示されたギフトオブジェクトの指定を示すギフト指定信号であってもよい。ギフト指定信号は、ギフトを贈った視聴者の視聴者IDと、贈り先の配信者の配信者ID(=ギフトを贈った視聴者が視聴しているライブ配信を行っている配信者の配信者ID)と、指定されたギフトオブジェクトに対応するギフトのギフトIDと、を含む。同様に、中継部304は、動画データの再生中における配信者によるユーザ入力を示す信号、例えばギフト指定信号をユーザ端末20の配信部100から受信する。この場合のギフト指定信号は、配信者の配信者IDと、指定されたギフトオブジェクトに対応するギフトのギフトIDと、を含む。
【0046】
中継部304は、ギフトDB318を参照し、受信したギフト指定信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトのギフト種別を特定する。中継部304は、視聴者のユーザ端末30から受信したギフト指定信号について特定されたギフト種別が還元ギフトである場合、そのギフト指定信号を、ユーザ端末30において指定された還元ギフトのギフトIDと対象の配信者の配信者IDとを含む還元ギフト期間開始要求として受信する。中継部304は、配信者のユーザ端末20から受信したギフト指定信号について特定されたギフト種別が還元ギフトである場合、そのギフト指定信号を、ユーザ端末20において指定された還元ギフトのギフトIDと対象の配信者の配信者IDとを含む還元ギフト期間開始要求として受信する。
【0047】
通常ギフト処理部308は、ギフト指定信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトが通常ギフトの場合、当該通常ギフトの付与ポイントに応じて配信者のポイントを増加させるようにユーザDB316を更新する。通常ギフト処理部308は、ギフトDB318を参照し、受信したギフト指定信号に含まれるギフトIDに対応する付与ポイントを特定する。通常ギフト処理部308は、ギフト指定信号に含まれるユーザIDに対応するポイントに、特定された付与ポイントを加えるようユーザDB316を更新する。
【0048】
支払い処理部310は、ギフト指定信号の受信に応じて、視聴者または配信者によるギフトの対価の支払いを処理する。支払い処理部310では、通常ギフト、還元ギフト、投入ギフトのいずれについても同じ支払い処理が行われる。支払い処理部310は、ギフトDB318を参照し、ギフト指定信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトの対価ポイントを特定する。支払い処理部310は、ギフト指定信号が視聴者のユーザ端末30から送信された場合、ギフト指定信号に含まれる視聴者IDで特定される視聴者のポイントから特定された対価ポイントを差し引くようユーザDB316を更新する。支払い処理部310は、ギフト指定信号が配信者のユーザ端末20から送信された場合、ギフト指定信号に含まれる配信者IDで特定される配信者のポイントから特定された対価ポイントを差し引くようユーザDB316を更新する。
【0049】
還元ギフト処理部312は、ギフト指定信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトが還元ギフトまたは投入ギフトの場合、還元ギフトDB320を更新する。還元ギフト処理部312は、還元ギフト期間開始要求の受信に応じて、対象の配信者のライブ配信において還元ギフトとは異なる投入ギフトの使用が可能となる還元ギフト期間を開始する。還元ギフト処理部312は、分配条件DB324に保持される分配条件が充たされると、還元ギフトに関連付けられたポイント累計の視聴者への分配を可能とする。還元ギフト処理部312は、期間開始部328と、DB更新部330と、条件判定部332と、分配指示受付部334と、分配先特定部336と、分配実行部338と、を含む。
【0050】
期間開始部328は、ギフト指定信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトが還元ギフトの場合、還元ギフトDB320に新たなエントリを登録することで還元ギフト期間を開始する。期間開始部328は、ギフト指定信号に含まれる配信者ID、還元ギフトのギフトID、ユーザ端末において還元ギフトが使用された時刻、ポイント累計の初期値、を、還元ギフトDB320の対象配信者ID、還元ギフトID、開始時刻、ポイント累計、にそれぞれ登録する。期間開始部328は、還元ギフトの対価ポイントに基づいてポイント累計の初期値を算出する。ポイント累計の初期値は管理者が任意に設定可能な計算式により導出されてもよい。例えば、還元ギフトの対価ポイントを1より小さい定数倍、例えば0.8倍して得られる値を初期値としてもよい。あるいはまた、還元ギフトの対価ポイントそのものを初期値としてもよい。
【0051】
DB更新部330は、ギフト指定信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトが投入ギフトの場合、還元ギフトDB320の対応するエントリを更新する。DB更新部330は、還元ギフトDB320において、ギフト指定信号に含まれる配信者IDを対象配信者IDとするエントリのポイント累計に、ギフト指定信号に含まれるギフトIDで特定される投入ギフトの対価ポイントを加算する。DB更新部330は、ギフト指定信号に含まれる視聴者IDが当該エントリの投入者IDに登録されていない場合は当該視聴者IDを投入者IDに登録し、併せて当該エントリの投入者数を1増やす。
【0052】
DB更新部330は、周期的にまたは所定の時間間隔で、還元ギフトDB320とストリームDB314とを参照することで、還元ギフトDB320に登録されている対象配信者IDで特定される配信者が配信しているライブ配信を特定する。DB更新部330は、特定されたライブ配信のそれぞれについて視聴者の視聴時間を測定し、還元ギフトDB320の対応するエントリの各視聴者の視聴時間を更新する。DB更新部330は、更新された各視聴者の視聴時間に基づいて、対応するエントリの総被視聴時間を更新する。DB更新部330は還元ギフトDB320の対応するエントリの配信回数を更新する。
【0053】
例えば、ある対象配信者について、当該対象配信者が還元ギフト期間中1回目のライブ配信を終了し、総被視聴時間が2時間、視聴者Aの視聴時間が1時間、視聴者Bの視聴時間が1時間であったとする。当該対象配信者が還元ギフト期間中2回目のライブ配信を開始し、視聴者Bが0.5時間、視聴者Cが0.3時間そのライブ配信を視聴したとする。この場合、DB更新部330は、2回目のライブ配信を監視し、視聴者B、Cの視聴時間を0.5時間、0.3時間と測定する。DB更新部330は、還元ギフトDB320の対応するエントリの各視聴者の視聴時間に「視聴者A:1時間、視聴者B:1時間」と記録してあったのを、「視聴者A:1時間、視聴者B:1.5時間、視聴者C:0.3時間」に更新し、当該エントリの総被視聴時間を「2時間」から「2.8時間」に更新し、当該エントリの配信回数を「1」から「2」に更新する。
【0054】
条件判定部332は、還元ギフトDB320の各エントリについて、分配条件DB324に登録されている対応する分配条件が充たされたか否かを判定する。条件判定部332は、分配条件DB324を参照し、還元ギフトDB320のエントリの還元ギフトIDに対応する総被視聴時間の基準値と、ポイント累計の基準値と、投入者数の基準値(もしあれば)と、配信回数の基準値(もしあれば)と、を取得する。条件判定部332は、還元ギフトDB320の当該エントリの総被視聴時間と取得された総被視聴時間の基準値とを比較することで被視聴時間条件が充たされるか否かを判定する。総被視聴時間が基準値を上回る場合、被視聴時間条件は充たされていると判定される。条件判定部332は、還元ギフトDB320の当該エントリのポイント累計と取得されたポイント累計の基準値とを比較することでポイント累計条件が充たされるか否かを判定する。ポイント累計が基準値に到達している場合、ポイント累計条件は充たされていると判定される。条件判定部332は、還元ギフトDB320の当該エントリの投入者数と取得された投入者数の基準値とを比較することで投入者数条件が充たされるか否かを判定する。投入者数が基準値を上回る場合、投入者数条件は充たされていると判定される。条件判定部332は、還元ギフトDB320の当該エントリの配信回数と取得された配信回数の基準値とを比較することで配信回数条件が充たされるか否かを判定する。配信回数が基準値以上である場合、配信回数条件は充たされていると判定される。条件判定部332は、還元ギフトDB320のエントリについて、被視聴時間条件およびポイント累計条件の両方が充たされ、かつ、投入者数の基準値が取得された場合には投入者数条件が充たされ、かつ、配信回数の基準値が取得された場合には配信回数条件が充たされた場合、当該エントリについて分配条件が充たされたと判定する。
【0055】
分配指示受付部334は、条件判定部332において分配条件が充たされたと判定された場合、分配開始の指示の待ち受けを開始する。分配指示受付部334は、ネットワークを介して対象の配信者のユーザ端末20に、分配開始の指示の要求を送信する。分配指示受付部334は、ネットワークを介してユーザ端末20から分配開始の指示を受信する。
【0056】
分配先特定部336は、分配条件を充たした還元ギフトについて分配指示受付部334が分配開始の指示を受信すると、対象の配信者のライブ配信の視聴者のうち、受取条件DB326に登録されている対応する受取条件を充たす視聴者を、還元ギフトに関連付けられたポイント累計の分配先の視聴者として特定する。分配先特定部336は、受取条件DB326を参照し、分配条件が充たされたと判定された還元ギフトDB320のエントリの還元ギフトIDに対応する視聴時間の基準値と、投入ギフトの使用の要否と、連続視聴回数の基準値(もしあれば)と、コメント数の基準値(もしあれば)と、を取得する。分配先特定部336は、還元ギフトDB320の当該エントリの「各視聴者の視聴時間」に登録されている各視聴者について以下の判定を行う。
(1)分配先特定部336は、還元ギフトDB320の当該エントリに記録されている視聴者の視聴時間と、取得された視聴時間の基準値と、を比較することで視聴時間条件が充たされるか否かを判定する。視聴時間が基準値を上回る場合、視聴時間条件は充たされていると判定される。
(2)分配先特定部336は、投入ギフトの使用の要否が要となっている場合、視聴者の視聴者IDが投入者IDに登録されているか否かを判定することで使用条件が充たされているか否かを判定する。登録されている場合、投入ギフトの使用条件は充たされていると判定される。この使用条件は、還元ギフト期間内に視聴者が対象の配信者のライブ配信において投入ギフトを使用した場合に充たされる。
(3)分配先特定部336は、還元ギフトDB320の当該エントリに記録されている視聴者の連続視聴回数と、取得された連続視聴回数の基準値と、を比較することで連続視聴回数条件が充たされるか否かを判定する。連続視聴回数が基準値以上の場合、連続視聴回数条件は充たされていると判定される。
(4)分配先特定部336は、還元ギフトDB320の当該エントリに記録されている視聴者のコメント数と、取得されたコメント数の基準値と、を比較することでコメント数条件が充たされるか否かを判定する。コメント数が基準値以上の場合、コメント数条件は充たされていると判定される。
分配先特定部336は、各視聴者について、視聴時間条件が充たされ、かつ、投入ギフトの使用の要否が要となっている場合には使用条件が充たされ、かつ、連続視聴回数の基準値が取得された場合には連続視聴回数条件が充たされ、かつ、コメント数の基準値が取得された場合にはコメント数条件が充たされた場合、その視聴者を分配先の視聴者として特定する。
【0057】
分配実行部338は、分配条件を充たした還元ギフトについて分配指示受付部334が分配開始の指示を受信し、分配先特定部336が分配先の視聴者を特定すると、当該還元ギフトに関連付けられたポイント累計を特定された視聴者に分配するための処理を行う。分配実行部338は、分配対象のポイントを確定する。例えば分配実行部338は、分配条件が充たされた時点のポイント累計を分配対象のポイントとして決定する。このように決定された分配対象のポイントは、還元ギフトの対価による寄与分である初期値と、投入ギフトの使用により追加されたポイントと、を含む。例えば、対価ポイントが10000ポイントの還元ギフトが使用され、この還元ギフトに対応するポイント累計の初期値が8000ポイントであったとする。ポイント累計の基準値が10000ポイントである場合、分配条件が充たされた段階でポイント累計は初期値の8000ポイントから投入ギフトの使用により2000ポイント増えて10000ポイントとなる。この例では、分配対象のポイントは10000ポイントとなり、そのうち還元ギフトの対価による寄与分は8000ポイント、投入ギフトの使用による寄与分は2000ポイントとなる。
【0058】
分配実行部338は、分配先の各視聴者に分配するポイントの量を決定する。分配実行部338は、分配対象のポイントを山分け、すなわち分配先の視聴者の総数で等分することにより各視聴者に分配するポイントの量を決定してもよい。あるいはまた、分配実行部338は、視聴時間に応じて分配するポイントの量に傾斜を設けてもよい。すなわち、分配実行部338は、分配先の視聴者に、当該視聴者の視聴時間が長いほど多くのポイントを分配してもよい。分配実行部338は、分配先の視聴者が使用した投入ギフトの対価の総額よりも多い量のポイントが当該視聴者に分配されるようにポイントの量を決定してもよい。
【0059】
上記の分配基準に加えて、分配実行部338は、分配先の視聴者に、当該視聴者が以下の3つの条件のうちの少なくともひとつを充たした場合に、以下の3つの条件のいずれをも充たさない場合よりも多くのポイントを分配してもよい。
(条件1)還元ギフト期間内に初めて対象の配信者のライブ配信を視聴した。
(条件2)還元ギフト期間内に対象の配信者をフォローした。
(条件3)還元ギフト期間内に対象の配信者のアーミーに加入した。
例えば、条件1、条件2、条件3のうち1つを充たせば分配率を1%アップさせ、2つを充たせば2%アップさせ、3つを充たせば5%アップさせてもよい。別の例では、分配先の視聴者を、充たしている条件の数でグループに分け、充たしている条件の数が多いグループほど多くのポイントが分配されるように設定してもよい。
【0060】
分配実行部338は、分配先特定部336により特定された分配先の視聴者のポイントに、上述のとおりに決定された分配するポイントの量が加算されるように、ユーザDB316を更新する。分配実行部338は分配が完了した還元ギフトのエントリを還元ギフトDB320から削除する。これにより、削除されたエントリに対応する還元ギフト期間が終了する。
【0061】
以上の構成によるライブ配信システム1の動作を説明する。
図11は、ライブ配信システム1における一連の処理の流れを示すフローチャートである。サーバ10は、視聴者のユーザ端末30または配信者のユーザ端末30から還元ギフト期間開始要求を受信する(S202)。サーバ10は、還元ギフト期間開始要求で指定される還元ギフトの支払い処理を行う(S204)。サーバ10は、還元ギフト期間開始要求で指定される還元ギフトを還元ギフトDB320に登録する(S206)。具体的には還元ギフトに対応する新たなエントリが還元ギフトDB320に追加される。これにより還元ギフト期間が開始される。サーバ10は、対象の配信者のライブ配信に参加しているユーザ端末20、30に、還元ギフト期間の開始を通知する(S208)。期間開始部328は、還元ギフトが還元ギフトDB320に登録されると、対象の配信者のユーザ端末20および当該配信者のライブ配信の視聴者のユーザ端末30にネットワークを介して、還元ギフトのギフトIDとポイント累計の初期値とを含む開始通知を送信する。
【0062】
サーバ10は、ステップS206で還元ギフトDB320に追加されたエントリの総被視聴時間および各視聴者の視聴時間を更新する(S210)。サーバ10は、ステップS206で還元ギフトDB320に追加されたエントリについて、分配条件DB324を参照することで分配条件が充たされたか否かを判定する(S212)。充たされていないと判定された場合(S212のN)、サーバ10は、対象の配信者のライブ配信において投入ギフトが使用されたか否かを判定する(S214)。使用されていない場合(S214のN)、処理はステップS210に戻る。使用された場合(S214のY)、サーバ10は投入ギフトの支払い処理を行い(S216)、ステップS206で還元ギフトDB320に追加されたエントリのポイント累計、投入者IDおよび投入者数を更新する(S218)。その後処理はステップS210に戻る。
【0063】
ステップS212において分配条件が充たされたと判定された場合(S212のY)、サーバ10は、対象の配信者のユーザ端末20からの分配開始の指示の待ち受けを開始する(S220)。分配開始の指示を受信した場合(S222のY)、サーバ10は、受取条件DB326に保持される受取条件を参照し、分配先となる視聴者を特定する(S224)。サーバ10は、各分配先へ分配されるポイントの量を算出する(S226)。サーバ10は、ステップS224で特定された分配先の視聴者に、ステップS226で算出された量のポイントが分配されるようにユーザDB316を更新する(S228)。サーバ10は、各分配先のユーザ端末30に、分配されたポイントを通知する(S230)。分配実行部338は、分配が完了すると、分配先の各視聴者のユーザ端末30にネットワークを介して、分配されたポイントの量を含む分配完了通知を送信する。
【0064】
図12は、ライブ配信システム1においてライブ配信を開始する際の一連の処理の流れを示すフローチャートである。上述のとおり還元ギフトの種類によっては対象の配信者が還元ギフト期間中に複数回のライブ配信を行うことが想定されている。
図12の処理フローは、配信者がライブ配信を開始する際に、還元ギフト期間中の配信者か否か、および開始の際に併せて還元ギフト期間の開始が要求されたか否か、に応じて、還元ギフト期間内のライブ配信とするか、そうではない通常のライブ配信とするかを判定するものである。
【0065】
配信情報提供部302は、ネットワークNWを介して、配信者のユーザ端末20からライブ配信を開始する旨の通知を受けると、当該配信者が還元ギフト期間中の配信者であるか否かを判定する(S240)。配信情報提供部302は、還元ギフトDB320を参照し、受けた通知に含まれるユーザIDが還元ギフトDB320の対象配信者IDとして登録されている場合、還元ギフト期間中の配信者であると判定し、登録されていなければ還元ギフト期間中の配信者ではないと判定する。還元ギフト期間中の配信者であると判定された場合(S240のY)、配信情報提供部302は、還元ギフト期間内のライブ配信としてライブ配信を開始する(S250)。配信情報提供部302は、受けた通知に含まれるユーザIDを対象配信者IDとするエントリの還元ギフトIDと総被視聴時間とポイント累計と投入者数とを還元ギフトDB320から取得する。配信情報提供部302は、ライブ配信の開始に併せて、ネットワークNWを介して配信者のユーザ端末20および視聴者のユーザ端末30に、取得した還元ギフトIDと総被視聴時間とポイント累計と投入者数とを含む還元ギフト期間継続中通知を送信する。還元ギフト期間継続中通知を受信したユーザ端末20、30は、後述の
図14に示されるライブ配信ルーム画面をライブ配信の最初からディスプレイに表示させる。したがって、このライブ配信では最初から投入ギフトの指定または使用が可能となる。
【0066】
ステップS240において還元ギフト期間中の配信者ではないと判定された場合(S240のN)、配信情報提供部302は、開始する旨の通知に併せて配信者のユーザ端末20から還元ギフト期間開始要求を受信したか否かを判定する(S242)。配信者がライブ配信を開始する際にユーザ端末20のディスプレイに表示されるライブ配信開始設定画面には、還元ギフトを設置するか否かを選択させる領域が含まれる。配信者がこの領域で設置することを選択してライブ配信開始の指示を入力した場合、ステップS240でユーザ端末20からサーバ10に送信される通知は還元ギフト期間開始要求を伴う。この還元ギフト期間開始要求を受信していない場合(S242のN)、配信情報提供部302は通常の、すなわち還元ギフト期間外のライブ配信を開始する(S244)。この場合、ユーザ端末20、30は、後述の
図13に示されるようなライブ配信ルーム画面をディスプレイに表示させる。この状態では、視聴者は投入ギフトを指定することができない。
【0067】
ステップS242において還元ギフト期間開始要求を受信した場合(S242のY)、支払い処理部310は還元ギフトの支払い処理を行い(S246)、還元ギフト処理部312は還元ギフトを還元ギフトDB320に登録し(S248)、配信情報提供部302は還元ギフト期間内のライブ配信を開始する(S250)。このように、本実施の形態では、(1)ライブ配信の視聴中に視聴者が還元ギフトを使用する、(2)ライブ配信の配信中に配信者が還元ギフトを使用する、(3)還元ギフト期間中の配信者がライブ配信を開始する、(4)配信者が還元ギフトの使用を選択してライブ配信を開始する、の4通りの方法によって還元ギフト期間が開始されうる。
【0068】
図13は、
図1の視聴者AU1のユーザ端末30aのディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面602の代表画面図である。
図13のライブ配信ルーム画面602は通常の、すなわち還元ギフト期間外のライブ配信に対応し、したがって投入ギフトの指定を受け付けないよう構成されている。ライブ配信ルーム画面602は、サーバ10から受信した動画データを再生することにより得られる配信者LVの画像604と、通常ギフトに対応する通常ギフトオブジェクト606と、還元ギフトに対応する還元ギフトオブジェクト608と、を有する。
図13の例では、還元ギフトオブジェクトは、
図7のギフトID「SPA」、「SPB」、「SPC」で特定される3つの還元ギフトに対応する3つの還元ギフトオブジェクト608を含む。
【0069】
動画データの再生が開始される際、すなわちライブ配信の視聴が開始される際、サーバ10の配信情報提供部302は、ギフトDB318を参照して使用可能なギフトIDを特定する。配信情報提供部302は、通常のライブ配信を開始する際にはギフト種別が「投入」となっているギフトIDを使用可能なギフトIDから除く。配信情報提供部302は、特定されたギフトIDを含むギフト情報を生成し、ユーザ端末30aに送信する。ユーザ端末30aの重畳情報生成部204は、ギフト情報に含まれるギフトIDで特定される通常ギフトの通常ギフトオブジェクト606および還元ギフトの還元ギフトオブジェクト608をフレーム画像に含める。視聴側UI制御部202は、そのフレーム画像が重畳された動画像をディスプレイに表示させる。
【0070】
なお、
図13の例ではライブ配信ルーム画面602に通常ギフトオブジェクト606と一緒に還元ギフトオブジェクト608を表示したが、他の例では、還元ギフトオブジェクト608を表示させるためのアイコンをライブ配信ルーム画面602に設けてもよい。この場合、視聴者AU1が当該アイコンをタップすると、視聴側UI制御部202はタップされたアイコンに関連付けて還元ギフトオブジェクト608の表示を開始する。
【0071】
視聴者AU1は配信者LVを応援するまたは「推す」ために、所望の還元ギフトの還元ギフトオブジェクトをタップする。視聴側UI制御部202が視聴者AU1による還元ギフトの指定、すなわち還元ギフトオブジェクトの指定を受け付けると、入力情報送信部206は指定された還元ギフトの還元ギフトIDと、視聴者AU1の視聴者IDと、配信者LVの配信者IDと、を含む還元ギフト期間開始要求を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。還元ギフト期間開始要求を受信した後のサーバ10における処理は上述したとおりである。ユーザ端末20、30a、30bは、送信された還元ギフト期間開始要求に対応する開始通知をサーバ10から受信する。ユーザ端末20、30a、30bは開始通知に基づいて、還元ギフト期間内のライブ配信ルーム画面610をディスプレイに表示させる。
【0072】
図14は、
図1の別の視聴者AU2のユーザ端末30bのディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面610の代表画面図である。
図14のライブ配信ルーム画面610は還元ギフト期間内のライブ配信に対応し、したがって投入ギフトの指定を受け付け可能なように構成されている。ライブ配信ルーム画面610は、配信者LVの画像604と、開始通知に含まれる還元ギフトIDで特定される還元ギフトに対応する投入対象オブジェクト612と、開始通知に含まれるポイント累計の初期値を示すポイント累計表示領域614と、投入者数を示す投入者数表示領域616と、総被視聴時間を示す総被視聴時間ゲージ618と、を有する。開始通知は視聴者AU1のユーザ端末30aおよび配信者LVのユーザ端末20にも送信されるので、それらの端末のディスプレイにもライブ配信ルーム画面610と同様の画面が表示される。
図14の例では投入対象オブジェクト612が投入ギフト指定のための動線として機能する。他の例では、投入対象オブジェクト612に加えてまたは代えて後述の投入ギフトオブジェクトをライブ配信ルーム画面610に表示してもよい。
【0073】
重畳情報生成部204は、開始通知の受信に応じて、投入対象オブジェクト612とポイント累計表示領域614と投入者数表示領域616と総被視聴時間ゲージ618とをフレーム画像に含める。視聴側UI制御部202は、そのフレーム画像が重畳された動画像をディスプレイに表示させる。視聴部200は、ライブ配信に係る動画データを受信して再生している間(例えば、別の視聴者AU2がライブ配信を視聴している間)、周期的にまたは所定の時間間隔で還元ギフト期間に係るパラメータの更新値を取得するための更新要求を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。更新要求はライブ配信の配信者LVの配信者IDを含む。還元ギフト処理部312は、更新要求を受信すると、還元ギフトDB320を参照し、更新要求に含まれる配信者IDを対象配信者IDとするエントリの総被視聴時間とポイント累計と投入者数とを取得する。還元ギフト処理部312は、取得された情報を含む更新応答を生成し、ネットワークNWを介してユーザ端末30bに送信する。重畳情報生成部204は、受信した更新応答に含まれる情報に従ってフレーム画像のポイント累計表示領域614、投入者数表示領域616および総被視聴時間ゲージ618の表示内容を更新する。
【0074】
図14のライブ配信ルーム画面610において別の視聴者AU2が投入対象オブジェクト612をタップすると、視聴側UI制御部202は投入ギフト選択画面620をディスプレイに表示させる。
【0075】
図15は、別の視聴者AU2のユーザ端末30bのディスプレイに表示される投入ギフト選択画面620の代表画面図である。投入ギフト選択画面620は、
図14のライブ配信ルーム画面610に投入ギフト選択ポップアップ622が重畳表示された画面である。投入ギフト選択ポップアップ622は、
図7のギフトID「QQ1」、「QQ2」、「QQ3」で特定される3つの投入ギフトに対応する3つの投入ギフトオブジェクト624を含む。
【0076】
別の視聴者AU2は所望の対価の投入ギフトの投入ギフトオブジェクトをタップする。視聴側UI制御部202が別の視聴者AU2による投入ギフトの指定、すなわち投入ギフトオブジェクトの指定を受け付けると、入力情報送信部206は指定された投入ギフトの投入ギフトIDと、別の視聴者AU2の視聴者IDと、配信者LVの配信者IDと、を含むギフト指定信号を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。ギフト指定信号を受信した後のサーバ10における処理は上述したとおりである。還元ギフト処理部312はギフト指定信号の受信に応じた支払い処理および還元ギフトDB320の更新が完了すると、ギフト指定信号に含まれる配信者IDを対象配信者IDとするエントリの総被視聴時間とポイント累計と投入者数とを取得する。還元ギフト処理部312は、取得された情報を含む投入完了通知を生成し、ネットワークNWを介してユーザ端末30bに送信する。重畳情報生成部204は、受信した投入完了通知に含まれる情報に従ってフレーム画像のポイント累計表示領域614、投入者数表示領域616および総被視聴時間ゲージ618の表示内容を更新する。
【0077】
図16は、別の視聴者AU2のユーザ端末30bのディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面630の代表画面図である。
図15の投入ギフト選択画面620において別の視聴者AU2が対価「100」の投入ギフトの投入ギフトオブジェクトをタップすると、
図16のライブ配信ルーム画面630がディスプレイに表示される。ポイント累計表示領域614、投入者数表示領域616、総被視聴時間ゲージ618の各表示領域の表示内容は投入完了通知に含まれる情報に従って更新されている。投入対象オブジェクト612には、投入ギフトの使用によりポイントが追加されたことを示す視覚的効果が付与される。
【0078】
このように、投入ギフトは、還元ギフト期間内の配信者のライブ配信において使用可能となり、還元ギフト期間外の配信者のライブ配信においては使用不可となる。
【0079】
図17は、別の視聴者AU2のユーザ端末30のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面640の代表画面図である。
図16のライブ配信ルーム画面630において1秒、5秒等の所定期間が経過すると、
図17のライブ配信ルーム画面640がディスプレイに表示される。ライブ配信ルーム画面640は、投入対象オブジェクト612の代わりに、投入ギフトが既に使用されたことを示す投入済みオブジェクト642を有する。本実施の形態では、対象の配信者の還元ギフト期間中、視聴者は一度だけ投入ギフトを使用できるという投入条件を採用する。投入済みオブジェクト642は投入対象オブジェクト612と異なり、タップまたは指定しても投入ギフト選択ポップアップ622を表示させない。これにより視聴者は自分が既に投入ギフトを使用したことを認識することができる。また、投入ギフト使用のための動線を取り除くことで、過誤による重複投入を防止することができる。
【0080】
投入条件による投入ギフト使用の制御は、例えばユーザ端末20、30またはサーバ10に投入履歴登録部と投入履歴DBと投入条件判定部とを設けることにより実現されてもよい。投入履歴登録部は、投入ギフトが使用された場合、その投入ギフトのギフトIDと、その投入ギフトが使用された時刻と、その投入ギフトを使用した視聴者の視聴者IDと、その投入ギフトが使用されたライブ配信の配信者の配信者IDと、その投入ギフトが使用されたライブ配信のストリームIDと、を対応付けて投入履歴DBに登録する。投入条件判定部は、設定されている投入条件と、投入履歴DBに登録されている投入ギフトの使用履歴と、から投入ギフトの使用を許可するか否かを判定する。投入履歴登録部は、ある配信者の還元ギフト期間が終了すると、当該配信者の配信者IDを有するエントリを投入履歴DBから削除する。
【0081】
投入条件としては、以下のうちのいずれかが採用されてもよい。
(1)還元ギフト期間を通じて一度のみ
対象の配信者の還元ギフト期間中、視聴者は一度だけ投入ギフトを使用できる。なお、他の実施の形態では、投入ギフトの使用回数に、2回や3回など別の制限値を設けてもよい。
(2)時間回復
視聴者が投入ギフトを使用すると、次に投入ギフトを使用可能となるまで所定期間ライブ配信を視聴しなければならない。この所定期間は一定でもよいし、例えば投入ギフトの使用回数が多いほど長くなるよう設定されてもよい。
(3)ライブ配信を通じて一度のみ
対象の配信者の還元ギフト期間中のライブ配信において、視聴者は一度だけ投入ギフトを使用できる。当該ライブ配信が終わるとリセットされ、還元ギフト期間中の次のライブ配信では再び一度のみ投入ギフトの使用が可能となる。
(4)総額に上限
対象の配信者の還元ギフト期間中に使用できる投入ギフトの総額に上限を設ける。
【0082】
図18は、
図1の配信者LVのユーザ端末20のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面646の代表画面図である。
図18のライブ配信ルーム画面646は、
図11のステップS220で分配開始の指示の要求を受信したユーザ端末20がディスプレイに表示させる画面である。ライブ配信ルーム画面646は、サーバ10に送信する動画データを再生することにより得られる配信者LVの画像648と、投入対象オブジェクト612と、ポイント累計表示領域614と、投入者数表示領域616と、総被視聴時間ゲージ618と、分配開始指示入力領域650と、を有する。配信側UI制御部108は、分配開始の指示の要求の受信に応じて、ライブ配信ルーム画面に分配開始指示入力領域650を重畳表示させる。配信者LVは任意のタイミングで分配開始指示入力領域650の「はい」ボタンをタップすることができる。配信側UI制御部108は、「はい」ボタンへのタップを検出すると、分配開始の指示を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。分配開始指示入力領域650の「後で」ボタンがタップされた場合、配信側UI制御部108はいったん分配開始指示入力領域650を非表示とし、所定期間経過後に再度、分配開始指示入力領域650を表示させる。
【0083】
このように、分配条件が充たされた後、配信者LVは任意のタイミングで分配を開始することができるので、たまたまその場にいない重要な視聴者を招待してから分配を開始するなど、配信者LVによる視聴者への配慮を支援することができる。
【0084】
図19は、別の視聴者AU2のユーザ端末30bのディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面652の代表画面図である。
図19のライブ配信ルーム画面652は、
図11のステップS230で分配完了通知を受信したユーザ端末30bがディスプレイに表示させる画面である。
図18のライブ配信ルーム画面646において配信者LVが「はい」ボタンをタップすると、別の視聴者AU2のユーザ端末30bのディスプレイに
図19のライブ配信ルーム画面652が表示される。ライブ配信ルーム画面652は、配信者LVの画像604と、別の視聴者AU2に分配されたポイントの量を示すテキストを含むメッセージ654と、を有する。重畳情報生成部204は、受信した分配完了通知に含まれる分配されたポイントの量に従ってメッセージ654を生成し、フレーム画像に含める。
【0085】
図20は、視聴者のユーザ端末30のディスプレイに表示されるライブ配信選択画面656の代表画面図である。ライブ配信選択画面656は、サーバ10から受信した現在視聴可能なライブ配信のリストにある各ライブ配信を示すサムネイル658、660を含む。視聴側UI制御部202は、サーバ10から取得したライブ配信のリストに基づいてライブ配信選択画面656を生成し、ディスプレイに表示させる。視聴側UI制御部202は、リストに含まれるフラグを参照し、還元ギフト期間中の配信者のライブ配信のサムネイル658と、そうではない配信者のライブ配信のサムネイル660と、を異なる態様で表示させる。還元ギフト期間中の配信者のライブ配信のサムネイル658には、当該配信者のライブ配信に投入対象オブジェクトが設置されていることを示すオブジェクト662が付加される。
【0086】
ライブ配信選択画面656では、還元ギフト期間中の配信者のライブ配信のサムネイル658は、そうではない配信者のライブ配信のサムネイル660よりも目立つ位置、例えば画面の上部、に配置される。これにより、ライブ配信プラットフォームにおいて、還元ギフト期間中の配信者のライブ配信をプロモートすることができる。
【0087】
図21は、視聴者のユーザ端末30のディスプレイに表示されるジャンル別ライブ配信選択画面664の代表画面図である。ジャンル別ライブ配信選択画面664は、ジャンル別に視聴可能なライブ配信のサムネイルを並べて表示する。
図21の例では、一番上の列に「貯金箱設置中」すなわち還元ギフト期間中の配信者のライブ配信のサムネイル658を表示し、真ん中の列に「占い」ジャンルのライブ配信のサムネイル660を表示し、一番下の列に「雑談」ジャンルのライブ配信のサムネイル660を表示する。ジャンル別ライブ配信選択画面664では、還元ギフト期間中の配信者のライブ配信というジャンルが、他のジャンルよりも目立つ位置、例えば画面の上部、に配置される。これにより、ライブ配信プラットフォームにおいて、還元ギフト期間中の配信者のライブ配信をプロモートすることができる。
【0088】
上述の実施の形態において、保持部の例は、ハードディスクや半導体メモリである。また、本明細書の記載に基づき、各部を、図示しないCPUや、インストールされたアプリケーションプログラムのモジュールや、システムプログラムのモジュールや、ハードディスクから読み出したデータの内容を一時的に記憶する半導体メモリなどにより実現できることは本明細書に触れた当業者には理解される。
【0089】
本実施の形態に係るライブ配信システム1によると、配信者自身が、または配信者を応援する視聴者が還元ギフトを使用することで、対象の配信者のライブ配信により多くの視聴者を誘引することができる。さらに、還元ギフトの分配条件に被視聴時間条件を含めることで、対象の配信者のライブ配信をより多くの視聴者により長く視てもらえるようになる。これにより、対象の配信者をプロモートする機会が創出される。また、視聴者には新たな質の高いライブ配信発見の機会が提供される。還元ギフトは、特にライブ配信を始めたばかりの配信者や中堅の配信者がよりハイレベルの配信者(より注目される配信者)になるきっかけを与えることができる。
【0090】
また、本実施の形態に係るライブ配信システム1では、ポイント累計に、還元ギフトの対価に応じた初期値が付与される。したがって、多くの場合、投入ギフトを使用した視聴者に、その視聴者が投入ギフトの使用で費やしたポイント以上のポイントを還元することができる。その結果、還元ギフト期間中の配信者のライブ配信には利益を求めてより多くの視聴者が集まり、また分配条件や受取条件を充たすためにより長くそのライブ配信を視るようになる。これは、配信者にとっては自分のライブ配信の良さを多くの視聴者に売り込むチャンスとなる。また、還元ギフトを贈った視聴者はトータルでポイントを失うこととなるが、その代わりに贈り先の配信者を推す、という目的を達成できる。
【0091】
また、本実施の形態に係るライブ配信システム1では、分配条件に総被視聴条件が含まれ、受取条件に視聴時間条件が含まれる。したがって、視聴者がポイント還元を受けるためには、単に投入ギフトを使用するだけでは足りず、対象の配信者のライブ配信を長く視聴し続ける必要がある。このように視聴時間、被視聴時間が伸びることにより配信者の良さが伝わりやすくなり、視聴者のライブ配信に対するエンゲージメントを高めることができる。
【0092】
また、本実施の形態に係るライブ配信システム1では、投入条件により投入ギフトの使用が制限される。特に同じ視聴者が繰り返し投入ギフトを使用すること、または高額の投入ギフトを使用することが制限される。したがって、視聴者は、早く還元を受けるためにより多くの視聴者を集めるべく、対象の配信者のライブ配信をSNS(Social Networking Service)などの拡散手段で積極的に推すようになる。これにより、視聴者によるライブ配信発見が促進される。
【0093】
また、本実施の形態に係るライブ配信システム1では、ライブ配信選択画面において、還元ギフト期間中の配信者のライブ配信はそうでないライブ配信よりも目立つ位置に配置される。これにより、新しいファンを欲する配信者と、新たな配信者を欲するユーザのニーズをいち早く充たすことができる。
【0094】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、視聴者が投入ギフトを使用することによりポイント累計が増加し、視聴時間条件を含む分配条件が充たされると、ポイント累計が示すポイントを視聴者に分配することが可能になる。第2の実施の形態では、分配条件の充足の代わりに抽選が行われる。視聴者が投入ギフトを使用すると、当該視聴者が対象の配信者のライブ配信を視聴した視聴時間が長いほど高くなる当選確率を用いた抽選が行われる。この抽選に当選した場合、ポイント累計が示すポイントが視聴者に分配される。
【0095】
図22は、第2の実施の形態に係るサーバ50の機能および構成を示すブロック図である。サーバ50は、配信情報提供部302と、中継部304と、アーミー管理部306と、通常ギフト処理部308と、支払い処理部310と、還元ギフト処理部350と、ストリームDB314と、ユーザDB316と、ギフトDB364と、還元ギフトDB366と、アーミーDB322と、当選確率DB368と、抽選履歴DB370と、を備える。
【0096】
図23は、
図22のギフトDB364の一例を示すデータ構造図である。ギフトDB364は、ギフトIDと、付与ポイントと、対価ポイントと、ギフトの種別と、を対応付けて保持する。ギフトの種別には、通常と、還元と、抽選と、がある。抽選ギフトは、対応する還元ギフトの還元ギフト期間中のみ使用可能なギフトであって、使用された場合、贈り主の視聴者のポイントから対価ポイントを減算し、対応する還元ギフト期間のポイント累計に対価ポイントを加算し、抽選を開始させるギフトである。
図23の例では、還元ギフト「JKPA」、「JKPB」、「JKPC」はそれぞれ抽選ギフト「TICKETA」、「TICKETB」、「TICKETC」に対応する。
【0097】
図24は、
図22の還元ギフトDB366の一例を示すデータ構造図である。還元ギフトDB366は、対象配信者IDと、還元ギフトIDと、還元ギフト期間の開始時刻と、還元ギフト期間における各視聴者の視聴時間と、対象の配信者のライブ配信において抽選ギフトが使用される度に更新されるかまたは大きくなるポイント累計と、対象の配信者のライブ配信において抽選ギフトを使用した各視聴者の抽選回数と、を対応付けて保持する。還元ギフトDB366は、還元ギフト期間中の対象の配信者のライブ配信における各視聴者のコメント数など他のパラメータを保持してもよい。
【0098】
図25は、
図22の当選確率DB368の一例を示すデータ構造図である。当選確率DB368は、当選確率を算出するための計算式を保持する。当選確率DB368は、計算式が適用される還元ギフトの還元ギフトIDと、当選確率を算出するための計算式と、対応付けて保持する。計算式は、抽選ギフトを使用した視聴者の視聴時間が長いほど当選確率が高くなるよう設定される。パラメータとして抽選回数が採用される場合には、計算式は、抽選回数が多いほど当選確率が高くなるよう設定される。パラメータとしてコメント数が採用される場合には、計算式は、コメント数が多いほど当選確率が高くなるよう設定される。ライブ配信に係る他のパラメータが計算式に組み込まれてもよい。
【0099】
図26は、
図22の抽選履歴DB370の一例を示すデータ構造図である。抽選履歴DB370は、抽選ギフトの使用の履歴を保持する。抽選履歴DB370は、使用された抽選ギフトの抽選ギフトIDと、その抽選ギフトが使用された時刻と、その抽選ギフトを使用した視聴者の視聴者IDと、その抽選ギフトが使用されたライブ配信の配信者の配信者IDと、その抽選ギフトを使用した視聴者が抽選ギフトを使用してから現在までの間に対象の配信者のライブ配信を視聴した視聴時間の累計である視聴時間累計と、を対応付けて保持する。
【0100】
図22に戻り、還元ギフト処理部350は、ギフト指定信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトが還元ギフトまたは抽選ギフトの場合、還元ギフトDB366を更新する。還元ギフト処理部350は、還元ギフト期間開始要求の受信に応じて、対象の配信者のライブ配信において還元ギフトとは異なる抽選ギフトの使用が可能となる還元ギフト期間を開始する。還元ギフト処理部350は、還元ギフト期間内に対象の配信者のライブ配信において視聴者が抽選ギフトを使用した場合、当該視聴者が対象の配信者のライブ配信を視聴した視聴時間が長いほど高くなる当選確率を用いて抽選を行う。還元ギフト処理部350は、抽選に当選した場合、対応する還元ギフトに関連付けられたポイント累計の視聴者への分配を可能とする。還元ギフト処理部350は、期間開始部352と、DB更新部354と、当選確率算出部356と、抽選部358と、投入条件判定部360と、分配実行部362と、を含む。
【0101】
期間開始部352は、ギフト指定信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトが還元ギフトの場合、還元ギフトDB366に新たなエントリを登録することで還元ギフト期間を開始する。期間開始部352は、ギフト指定信号に含まれる配信者ID、還元ギフトのギフトID、ユーザ端末において還元ギフトが使用された時刻、ポイント累計の初期値、を、還元ギフトDB366の対象配信者ID、還元ギフトID、開始時刻、ポイント累計、にそれぞれ登録する。期間開始部352は、還元ギフトの対価ポイントに基づいてポイント累計の初期値を算出する。
【0102】
DB更新部354は、ギフト指定信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトが抽選ギフトの場合、還元ギフトDB366の対応するエントリを更新する。DB更新部354は、還元ギフトDB366において、ギフト指定信号に含まれる配信者IDを対象配信者IDとするエントリのポイント累計に、ギフト指定信号に含まれるギフトIDで特定される抽選ギフトの対価ポイントを加算する。DB更新部366は、ギフト指定信号に含まれる配信者IDを対象配信者IDとするエントリの各視聴者の抽選回数において、ギフト指定信号に含まれる視聴者IDに対応する抽選回数を1増やす(当該視聴者IDが存在しなければ、新規登録する)。
【0103】
DB更新部354は、ギフト指定信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトが抽選ギフトの場合、抽選履歴DB370に対応する新たなエントリを登録する。DB更新部354は、ギフト指定信号に含まれる抽選ギフトのギフトID、ユーザ端末において抽選ギフトが使用された時刻、視聴者ID、配信者ID、を、抽選履歴DB370の抽選ギフトID、使用時刻、視聴者ID、対象配信者ID、にそれぞれ登録する。
【0104】
DB更新部354は、周期的にまたは所定の時間間隔で、還元ギフトDB366とストリームDB314とを参照することで、還元ギフトDB366に登録されている対象配信者IDで特定される配信者が配信しているライブ配信を特定する。DB更新部354は、特定されたライブ配信のそれぞれについて視聴者の視聴時間を測定し、還元ギフトDB366の対応するエントリの各視聴者の視聴時間を更新する。併せてDB更新部354は、抽選履歴DB370の視聴時間累計を更新する。DB更新部354は、更新の結果、視聴時間累計が所定値、例えば10分、を上回った場合、そのエントリを抽選履歴DB370から削除する。
【0105】
当選確率算出部356は、ギフト指定信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトが抽選ギフトの場合、還元ギフトDB366と当選確率DB368とを参照することで当選確率を算出する。当選確率算出部356は、当選確率DB368を参照し、抽選ギフトに対応する還元ギフトについて、当選確率を算出するための計算式と算出に必要なパラメータ(視聴時間、抽選回数など)とを特定する。当選確率算出部356は、還元ギフトDB366のうちギフト指定信号に含まれる配信者IDを対象配信者IDとするエントリを参照し、特定されたパラメータの値を取得する。例えば、パラメータとして視聴時間が特定された場合、当選確率算出部356は、還元ギフトDB366のうちギフト指定信号に含まれる配信者IDを対象配信者IDとするエントリを参照し、ギフト指定信号に含まれる視聴者IDで特定される視聴者の視聴時間を取得する。この場合、還元ギフト期間中の配信者のライブ配信で抽選ギフトを使用した視聴者が、還元ギフト期間中に当該配信者のライブ配信を視聴した視聴時間が取得される。当選確率算出部356は、取得したパラメータの値と特定された計算式とを用いて当選確率を算出する。
【0106】
抽選部358は、当選確率算出部356によって算出された当選確率を用いて抽選処理を行う。所定の確率により抽選を行う技術は公知であるから本明細書では詳述しない。抽選部358は、抽選処理の結果が外れであった場合、ギフト指定信号の送信元のユーザ端末に落選通知を送信する。抽選部358は、ポイント累計の更新値を落選通知に含める。
【0107】
投入条件判定部360は、投入条件に従い視聴者による抽選ギフトの使用を制御する。投入条件判定部360は、視聴者のユーザ端末30から使用可否判定要求を受信すると、視聴時間に係る投入条件に従い抽選ギフトの使用を許可するか否かを判定する。本実施の形態では投入条件として視聴時間による回復を採用する。この投入条件では、視聴者が抽選ギフトを使用すると、次に抽選ギフトを使用可能となるまで所定期間、例えば10分間、対象の配信者のライブ配信を視聴しなければならない。
【0108】
投入条件判定部360は、抽選履歴DB370を参照し、使用可否判定要求に含まれる視聴者IDおよび配信者IDに対応するエントリの有無を検査する。投入条件判定部360は、該当するエントリがない場合、抽選ギフトの使用を許可する許可信号を生成する。投入条件判定部360は、ネットワークNWを介して使用可否判定要求の送信元のユーザ端末30に、生成された許可信号を送信する。投入条件判定部360は、該当するエントリを発見した場合、そのエントリの視聴時間累計と基準値、例えば10分、を比較する。投入条件判定部360は、視聴時間累計が基準値を上回る場合、ネットワークNWを介して使用可否判定要求の送信元のユーザ端末30に、許可信号を送信する。投入条件判定部360は併せて該当するエントリを抽選履歴DB370から削除する。投入条件判定部360は、視聴時間累計が基準値以下の場合、抽選ギフトの使用を認めない不許可信号を生成し、ユーザ端末30に送信する。
【0109】
投入条件判定部360は、ある配信者の還元ギフト期間が終了すると、当該配信者の配信者IDを有するエントリを抽選履歴DB370から削除する。
【0110】
投入条件としては、視聴時間による回復に代えてまたは加えて、以下のうちのいずれかが採用されてもよい。
(1)還元ギフト期間を通じて一度のみ
対象の配信者の還元ギフト期間中、視聴者は一度だけ抽選ギフトを使用できる。
(2)ライブ配信を通じて一度のみ
対象の配信者の還元ギフト期間中のライブ配信において、視聴者は一度だけ抽選ギフトを使用できる。当該ライブ配信が終わるとリセットされ、還元ギフト期間中の次のライブ配信では再び一度のみ抽選ギフトの使用が可能となる。
(3)抽選回数に上限
対象の配信者の還元ギフト期間中に使用できる抽選ギフトの数に上限を設ける。
【0111】
分配実行部362は、抽選部358における抽選処理の結果が当選であった場合、当選に係る還元ギフトに関連付けられたポイント累計を視聴者に分配するための処理を行う。分配実行部362は、分配対象のポイントを確定する。例えば分配実行部362は、当選時点のポイント累計を分配対象のポイントとして決定する。
【0112】
分配実行部362は、分配先の各視聴者に分配するポイントの量を決定する。分配実行部362は、当選に係る抽選ギフトを使用した視聴者に最も多くのポイントが分配されるように、当該視聴者に分配するポイントの量を決定する。分配実行部362は、還元ギフトDB366の当選に係る還元ギフトのエントリから、各視聴者の抽選回数を取得する。分配実行部362は、各視聴者が抽選ギフトを使用するために支払った対価ポイントの総額よりも、分配されるポイントのほうが大きくなるように、当該視聴者に分配するポイントの量を決定する。例えば、分配対象のポイントが7000であり、視聴者Aが対価1000ポイントの抽選ギフトを2回使用して2回目で当選し、視聴者Bが抽選ギフトを1回使用した場合、分配実行部362は、視聴者Aに分配するポイントを4000ポイント、視聴者Bに分配するポイントを1500ポイントに決定する。
【0113】
分配実行部362は、各視聴者のポイントに、上述のとおりに決定された分配するポイントの量が加算されるように、ユーザDB316を更新する。分配実行部362は分配が完了した還元ギフトのエントリを還元ギフトDB366から削除する。これにより、削除されたエントリに対応する還元ギフト期間が終了する。
【0114】
以上の構成による本実施の形態に係るライブ配信システムの動作を説明する。
図27は、第2の実施の形態に係るライブ配信システムにおける一連の処理の流れを示すフローチャートである。サーバ50は、ステップS206で還元ギフトDB366に追加されたエントリの各視聴者の視聴時間を更新する(S260)。サーバ50は、ステップS206で還元ギフトDB366に追加されたエントリに含まれる対象配信者IDで特定される配信者のライブ配信において、抽選ギフトが使用されたか否かを判定する(S262)。使用されていない場合(S262のN)、処理はステップS260に戻る。使用された場合(S262のY)、サーバ50は抽選ギフトの支払い処理を行い(S264)、ステップS206で還元ギフトDB366に追加されたエントリのポイント累計および各視聴者の抽選回数を更新する(S266)。サーバ50は、当選確率DB368を参照して当選確率を決定する(S268)。サーバ50は、ステップS268で決定された当選確率を用いて抽選処理を行う(S270)。当選しなかった場合(S272のN)、処理はステップS260に戻る。当選した場合(S272のY)、サーバ50は、各分配先へ分配されるポイントの量を算出する(S274)。サーバ50は、分配先の視聴者に、ステップS274で算出された量のポイントが分配されるようにユーザDB316を更新する(S276)。サーバ50は、各分配先のユーザ端末30に、分配されたポイントを含む当選通知を送信する(S278)。
【0115】
図28は、視聴者のユーザ端末30のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面702の代表画面図である。
図28のライブ配信ルーム画面702は還元ギフト期間内のライブ配信に対応し、したがって抽選ギフトの指定を受け付け可能なように構成されている。ライブ配信ルーム画面702は、サーバ50から受信した動画データを再生することにより得られる配信者の画像704と、使用された還元ギフトに対応する抽選対象オブジェクト706と、その時点でのポイント累計を示すポイント累計表示領域708と、を有する。
【0116】
視聴部200は、ライブ配信に係る動画データを受信して再生している間(例えば、視聴者がライブ配信を視聴している間)、周期的にまたは所定の時間間隔で抽選ギフトの使用の可否を判定するための使用可否判定要求を生成し、ネットワークNWを介してサーバ50に送信する。使用可否判定要求は、還元ギフト期間内の配信者の配信者IDと、当該配信者のライブ配信を視聴している視聴者の視聴者IDと、を含む。還元ギフト処理部350は、使用可否判定要求を受信すると、還元ギフトDB366を参照し、使用可否判定要求に含まれる配信者IDを対象配信者IDとするエントリのポイント累計を取得する。還元ギフト処理部350は、使用可否判定信号に応じて投入条件判定部360が送信する許可信号または不許可信号に、取得されたポイント累計を付加する。重畳情報生成部204は、許可信号を受信した場合は抽選対象オブジェクト706を選択可能な態様で表示させる。重畳情報生成部204は、不許可信号を受信した場合は抽選対象オブジェクト706を選択不可な態様、例えばグレーアウトなど、で表示させる。重畳情報生成部204は、受信した許可信号または不許可信号に含まれるポイント累計に従ってフレーム画像のポイント累計表示領域708の表示内容を更新する。
【0117】
図28のライブ配信ルーム画面702において視聴者が、選択可能な態様で表示されている抽選対象オブジェクト706をタップすると、視聴側UI制御部202は抽選ギフト選択画面710をディスプレイに表示させる。
【0118】
図29は、視聴者のユーザ端末30のディスプレイに表示される抽選ギフト選択画面710の代表画面図である。抽選ギフト選択画面710は、
図28のライブ配信ルーム画面702に抽選ギフト選択ポップアップ712が重畳表示された画面である。抽選ギフト選択ポップアップ712は、対象の配信者に対して使用された還元ギフトに対応する抽選ギフトの抽選ギフトオブジェクトを含む。
【0119】
視聴者は抽選ギフトオブジェクトをタップする。視聴側UI制御部202が視聴者による抽選ギフトの指定、すなわち抽選ギフトオブジェクトの指定を受け付けると、入力情報送信部206は指定された抽選ギフトの抽選ギフトIDと、視聴者の視聴者IDと、配信者の配信者IDと、を含むギフト指定信号を生成し、ネットワークNWを介してサーバ50に送信する。ギフト指定信号を受信した後のサーバ50における処理は上述したとおりである。視聴側UI制御部202は、落選通知を受信すると、落選お知らせ画面714をディスプレイに表示させる。視聴側UI制御部202は、当選通知を受信すると、当選お知らせ画面720をディスプレイに表示させる。
【0120】
図30は、視聴者のユーザ端末30のディスプレイに表示される落選お知らせ画面714の代表画面図である。落選お知らせ画面714は、
図28のライブ配信ルーム画面702に落選マーク716およびメッセージ718が重畳表示された画面である。ポイント累計表示領域708の表示内容は、落選通知に含まれるポイント累計の更新値により更新される。メッセージ718は、視聴時間に係る投入条件に関するメッセージであり、所定期間経過後に再度抽選ギフトを使用できることを示す。
【0121】
図31は、視聴者のユーザ端末30のディスプレイに表示される当選お知らせ画面720の代表画面図である。当選お知らせ画面720は、
図28のライブ配信ルーム画面702に当選マーク722およびメッセージ724が重畳表示された画面である。メッセージ724は、視聴者に分配されたポイントの量を示す。
【0122】
本実施の形態に係るライブ配信システムによると、第1の実施の形態に係るライブ配信システム1が奏する作用効果と同様の作用効果が奏される。
【0123】
なお、本実施の形態では当選した視聴者に加えて抽選ギフトを使用した他の視聴者にもポイントの分配を行う場合を説明したが、これに限られず、例えば当選した視聴者のみにポイント累計で示されるポイント全てを付与してもよい。
【0124】
(ハードウェア構成)
図32を参照して、第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について説明する。
図32は、それらの実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。図示された情報処理装置900は、例えば、第1の実施の形態におけるサーバ10、ユーザ端末20、30、および第2の実施の形態に係るサーバ50のそれぞれを実現しうる。
【0125】
情報処理装置900は、CPU901、ROM(Read Only Memory)903、およびRAM(Random Access Memory)905を含む。また、情報処理装置900は、ホストバス907、ブリッジ909、外部バス911、インタフェース913、入力装置915、出力装置917、ストレージ装置919、ドライブ921、接続ポート925、通信装置929を含んでもよい。さらに、情報処理装置900は、カメラなどの撮像装置(不図示)を含む。また、情報処理装置900は、CPU901に代えて、またはこれとともに、DSP(Digital Signal Processor)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)と呼ばれるような処理回路を有してもよい。
【0126】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919、またはリムーバブル記録媒体923に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置900内の動作全般またはその一部を制御する。例えば、CPU901は、本実施の形態におけるサーバ10およびユーザ端末20、30のそれぞれに含まれる各機能部の動作全般を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータなどを記憶する。RAM905は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータなどを一次記憶する。CPU901、ROM903、およびRAM905は、CPUバスなどの内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。さらに、ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
【0127】
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなど、ユーザによって操作される装置であってもよいし、マイクロフォンなどの音センサ、加速度センサ、傾きセンサ、赤外線センサ、深度センサ、温度センサ、湿度センサなど物理量を電気信号に変換する装置であってもよい。入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、情報処理装置900の操作に対応した携帯電話などの外部接続機器927であってもよい。入力装置915は、ユーザが入力した情報または感知した物理量に基づいて入力信号を生成してCPU901に出力する入力制御回路を含む。ユーザは、この入力装置915を操作することによって、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0128】
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。出力装置917は、例えば、LCD、PDP、OELDなどのディスプレイ、スピーカおよびヘッドホンなどの音響出力装置、ならびにプリンタ装置などでありうる。出力装置917は、情報処理装置900の処理により得られた結果を、テキストまたは画像などの映像として出力したり、音響などの音として出力したりする。
【0129】
ストレージ装置919は、情報処理装置900の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイスなどにより構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
【0130】
ドライブ921は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体923のためのリーダライタであり、情報処理装置900に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されているリムーバブル記録媒体923に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ921は、装着されているリムーバブル記録媒体923に記録を書き込む。
【0131】
接続ポート925は、機器を情報処理装置900に直接接続するためのポートである。接続ポート925は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポートなどでありうる。また、接続ポート925は、RS-232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)ポートなどであってもよい。接続ポート925に外部接続機器927を接続することで、情報処理装置900と外部接続機器927との間で各種のデータが交換されうる。
【0132】
通信装置929は、例えば、ネットワークNWに接続するための通信デバイスなどで構成された通信インタフェースである。通信装置929は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カードなどでありうる。また、通信装置929は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデムなどであってもよい。通信装置929は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、TCP/IPなどの所定のプロトコルを用いて信号などを送受信する。また、通信装置929に接続される通信ネットワークNWは、有線または無線によって接続されたネットワークであり、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信などである。なお、通信装置929は、通信部としての機能を実現する。
【0133】
カメラなどの撮像装置(不図示)は、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子、および撮像素子への被写体像の結像を制御するためのレンズなどの各種の部材を用いて実空間を撮像し、撮像画像を生成する装置である。当該撮像装置は、静止画を撮像するものであってもよいし、または動画を撮像するものであってもよい。
【0134】
以上、実施の形態に係るライブ配信システムの構成と動作について説明した。これらの実施の形態は例示であり、各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解される。
【0135】
第1および第2の実施の形態において、投入ギフトや抽選ギフトを使用した場合にポイント累計に加算されるポイントを、管理者が任意に設定可能としてもよい。例えば、それらのギフトを使用した視聴者の視聴時間が長いほど、および/または投入回数・抽選回数が多いほどより多くのポイントがポイント累計に加算されるよう設定してもよい。あるいはまた、加算されるポイントをランダムに変化させてもよい。
【0136】
第1の実施の形態では、対象の配信者から分配開始の指示を受け付ける場合を説明したが、これに限られない。例えば、還元ギフトの贈り主の視聴者から分配開始の指示を受け付けるよう構成されてもよいし、分配条件が充たされると自動的に分配を実行するよう構成されてもよい。
【0137】
第1の実施の形態において、分配条件はさらに、一定期間の経過、視聴者数が基準値を超える、視聴時間が基準値を超える、還元ギフト期間中の総配信時間が基準値を超える、のうちの少なくともひとつを含んでもよい。
【0138】
第1の実施の形態では、分配先特定部336は、還元ギフトDB320の当該エントリの「各視聴者の視聴時間」に登録されている各視聴者について受取条件を充足するか否かを判定する場合を説明したが、これに限られず、例えば分配条件が充たされたときまたは配信者が分配開始の指示を入力したときにライブ配信を視聴している視聴者について、受取条件を充足するか否かを判定してもよい。この場合、投入ギフトを贈ったが分配条件充足時にはライブ配信を視聴していないユーザは、分配先から除外される。したがって、視聴時間条件をクリアした視聴者も、還元を受けるために分配開始までライブ配信を視聴し続けるよう動機付けされるので、視聴時間が伸び、ライブ配信の良さが伝わりやすくなる。
【0139】
第1および第2の実施の形態では、還元ギフトの寄与分としてポイント累計に初期値を与える場合を説明したが、これに限られない。例えば、分配条件充足時に、還元ギフトの対価に応じたポイントをポイント累計に付加するよう構成してもよいし、当選時に還元ギフトの対価に応じた倍率でポイント累計を増やしてもよい。
【0140】
第1および第2の実施の形態では、分配先の視聴者を投入ギフトや抽選ギフトを使用したことのある視聴者とするか、それらのなかから選択する場合を説明したが、これに限られない。例えば、投入ギフトを使用していない視聴者にもポイントを分配するよう構成してもよい。この場合、そのような視聴者に分配されるポイントの量が、投入ギフトを使用したことのある視聴者に分配されるポイントの量よりも少なくなるよう設定されてもよい。この場合、還元ギフト設置による視聴者誘引効果がより高くなる。あるいはまた、配信者にもポイントを分配するよう構成してもよい。あるいはまた、対象の配信者のライブ配信において通常ギフトを使用したことのある視聴者にもポイントを分配するよう構成してもよい。
【0141】
第1および第2の実施の形態では、視聴時間として還元ギフト期間中の視聴時間を採用したが、これに限られず、例えば還元ギフトが使用された月の視聴時間が採用されてもよい。あるいはまた、還元ギフト期間とは異なる、より長い所定の期間(例えば、過去1年間など)を設定し、当該所定の期間中の視聴時間を採用してもよい。
【0142】
第1および第2の実施の形態におけるギフトの対価ポイントから付与ポイントへの換算率は一例であって、これらは例えばライブ配信システムの管理者により適宜設定されてもよい。
【0143】
第1の実施の形態では、対価の異なる3種類の投入ギフトのなかから所望の投入ギフトを選択する場合を説明したが、これに限られず、例えば、投入ギフトの対価を視聴者が任意に指定可能なように構成してもよい。
【0144】
第1の実施の形態では、ポイント累計の基準値を用いるポイント累計条件を分配条件に含める場合を説明したが、これに限られず、例えばポイント累計とは別のパラメータを設けてもよい。例えば、ポイント累計の基準値を初期値として有する体力ゲージを設けてもよい。この場合、投入ギフトが使用される度に体力ゲージが減少する。分配条件は、体力ゲージが0になると充たされる体力ゲージ条件を含む。あるいはまた、分配条件は被視聴時間条件のみを有してもよい。この場合、ポイント累計に関係なく、総被視聴時間が基準値に達すると分配条件が充たされる。
【0145】
第1および第2の実施の形態において、ポイントの還元率を対象の配信者のレベル(ライブ配信プラットフォームでの活動が増えるほど高くなるパラメータ)やフォロワー数に応じて調整してもよい。例えば、レベルが低いほど還元率を高めてもよいし、フォロワー数が少ないほど還元率を高めてもよい。この場合、新規の配信者への還元を強めることができる。フォロワー数が所定数以下の配信者を、還元ギフト期間中に新たにフォローした視聴者に分配するポイントの量を、通常よりも多く設定してもよい。この場合、新規の配信者の新規のファンへの還元を強めることができる。
【0146】
第1および第2の実施の形態に係る技術的思想を、配信者の画像の代わりに配信者の動きと同期した動きをするアバターを用いるバーチャルライブ配信や、ライブコマースに適用してもよい。
【0147】
本明細書において説明された処理手順、特にフロー図、フローチャートを用いて説明された処理手順においては、その処理手順を構成する工程(ステップ)の一部を省略すること、その処理手順を構成する工程として明示されていない工程を追加すること、及び/又は当該工程の順序を入れ替えることが可能であり、このような省略、追加、順序の変更がなされた処理手順も本開示の趣旨を逸脱しない限り本開示の範囲に含まれる。
【0148】
サーバにより実現される機能の少なくとも一部は、サーバ以外の装置、例えばユーザ端末により実現されてもよい。ユーザ端末により実現される機能の少なくとも一部は、ユーザ端末以外の装置、例えば、サーバにより実現されてもよい。例えば、再生側のユーザ端末で行われる動画データの画像への所定のフレーム画像の重畳は、サーバで行われてもよいし、生成側のユーザ端末で行われてもよい。