(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149540
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20241010BHJP
H10K 65/00 20230101ALI20241010BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20241010BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20241010BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20241010BHJP
H10K 50/86 20230101ALI20241010BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20241010BHJP
H10K 59/95 20230101ALI20241010BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20241010BHJP
H10K 39/34 20230101ALI20241010BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20241010BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20241010BHJP
H04N 5/70 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
G09F9/30 349C
H10K65/00
H10K59/12
H05B33/14 Z
H05B33/02
H10K50/86 865
H10K50/844
H10K59/95
H10K59/40
H10K39/34
G06F3/042 472
H04N5/66 D
H04N5/66 103
H04N5/70 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024122325
(22)【出願日】2024-07-29
(62)【分割の表示】P 2021532549の分割
【原出願日】2020-07-10
(31)【優先権主張番号】P 2019131601
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】初見 亮
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 太介
(72)【発明者】
【氏名】久保田 大介
(57)【要約】
【課題】可視光及び赤外光を発する機能と、撮像機能と、を有する表示装置を提供することを課題の一とする。また、表示装置の画像表示を高い精細度を保ったまま、撮像素子密度をかえずに高解像度化を図ることを課題の一とする。
【解決手段】同一基板上に、複数の発光素子の発光領域の間に撮像素子の受光領域を有するレイアウトとした表示装置とする。この表示装置の有する撮像機能において、さらに高解像度化する撮像手段として、撮像を時分割撮像とすることで撮像素子密度をかえずに高解像度化する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上方に位置する領域を有する第1のトランジスタと、
前記基板の上方に位置する領域を有する第2のトランジスタと、
前記第1のトランジスタの上方に位置する領域を有しかつ前記第1のトランジスタと電気的に接続された発光素子と、
前記第2のトランジスタの上方に位置する領域を有しかつ前記第2のトランジスタと電気的に接続された撮像素子と、
前記発光素子の上方に位置する領域と、前記撮像素子の上方に位置する領域と、を有する樹脂層と、
前記樹脂層の上方に位置する領域を有しかつ第1の開口部と、第2の開口部と、を有する第1の遮光層と、
前記樹脂層の上方に位置する領域を有する第2の遮光層と、を有し、
前記第1の開口部は、前記発光素子と重なる領域を有し、
前記第2の開口部は、前記撮像素子と重なる領域を有し、
前記第2の遮光層は、前記第2の開口部において、前記第1の遮光層と間隔を空けて配置されかつ前記撮像素子と重なる領域を有する表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記発光素子は、緑色発光と、青色発光と、赤色発光と、赤外発光のいずれか一である表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は表示装置に関する。または、本発明の一態様は撮像装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様は、物、方法、又は、製造方法に関する。本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、又は、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。そのため、より具体的に本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又は、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。トランジスタなどの半導体素子をはじめ、半導体回路、演算装置、記憶装置は、半導体装置の一態様である。撮像装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、入力装置、入出力装置、電気光学装置、発電装置(薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池等を含む)、及び電子機器は、半導体装置を有している場合がある。
【背景技術】
【0004】
基板の絶縁表面に複数の撮像画素を有する撮像パネルが知られている(特許文献1)。そして、撮像画素は、マトリクス状に配置された可視光を透過する複数の窓、複数の窓の間に延在し信号を供給する格子状の光電変換素子、および信号が供給される検知回路を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一態様は、可視光及び赤外光を発する機能を有する表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、利便性の高い表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、多機能の表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、新規な表示装置を提供することを課題の一とする。
【0007】
本発明の一態様は、可視光及び赤外光を発する機能と、撮像機能と、を有する表示装置を提供することを課題の一とする。
【0008】
撮像機能の解像度は、使用する撮像素子の密度によって主に決定される。面積あたりの撮像素子の数を多くすると、表示装置としての精細度が低下する恐れや、プロセスの複雑化を招く恐れがある。
【0009】
フルカラーの表示装置とする場合、少なくともR、G、Bの3種類の発光素子を配置する。表示装置の表示面は限られており、発光素子の発光領域と、撮像素子の受光領域とをそれぞれ画素内に配置することとなる。従って、撮像素子の数を多くするのにも占有面積の制限、プロセス加工精度などにより限界がある。
【0010】
そこで、表示装置の画像表示を高い精細度を保ったまま、撮像素子密度を変えずに高解像度化を図ることを課題の一とする。
【0011】
また、表示面に触れる指紋などを高精細、且つ、正確に撮像できる手段を有する表示装置を有する新たなデバイスを提供することも課題の一とする。
【0012】
また、受光領域を表示面に具備させても表示装置の製造コストの増加を抑える構成とすることも課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
同一基板上に、複数の発光素子の発光領域の間に撮像素子の受光領域を有するレイアウトとした表示装置とする。この表示装置の有する撮像機能において、さらに高解像度化する撮像手段として、撮像を時分割撮像とすることで撮像素子密度を変えずに高解像度化する。
【0014】
時分割撮像とは、所定の露光時間で連続して複数回の撮像を行うことを指している。時分割的に連続して撮像を行うことで間欠的に露光して読みだした複数の画像を用いて合成することができる。本明細書では撮像素子に隣接して配置された一方側の発光領域からの第1の露光(第1の時分割露光時間での露光)と、もう一方側の発光領域からの第2の露光(第2の時分割露光時間での露光)とを順番に連続的に行う。
【0015】
本明細書で開示する発明の構成は、透光性を有する基板と、基板と向かい合って固定された絶縁表面を有する基板と、絶縁表面を有する基板上に複数の受光領域及び複数の発光領域と、透光性を有する基板に開口部を有する第1の遮光層と、第1の遮光層と間隔を有する第2の遮光層と、を有し、第1の遮光層の開口部は、複数の受光領域のうち一つと重なるように配置され、第2の遮光層は、一つの受光領域の一部に重なるように配置される表示装置である。
【0016】
上記構成において、複数の発光領域は、緑色発光領域と、青色発光領域と、赤色発光領域と、赤外発光領域のいずれか一である。
【0017】
また、他の発明の構成は、透光性を有する基板と、基板と向かい合って固定された絶縁表面を有する基板と、絶縁表面を有する基板上に2つの発光領域と、2つの発光領域の間に位置する一つの受光領域と、透光性を有する基板に開口部を有する第1の遮光層と、第1の遮光層と間隔を有する第2の遮光層と、を有し、第1の遮光層の開口部は、発光領域または受光領域と重なるように配置され、第2の遮光層は、一つの受光領域の一部に重なるように配置される表示装置である。
【0018】
上記構成において、発光領域は、単色発光領域を用いればよく、例えば緑色発光領域である。
【0019】
また、上記各構成において、表示装置が有する発光領域の数は、受光領域の数よりも多い構成とすることができる。画像表示を高い精細度を保ったまま、撮像素子密度をかえずに高解像度化を図ることができる。
【0020】
また、上記各構成において、第2の遮光層の幅は、5μm以上10μm以下である。この数値範囲であると、時分割的に撮像を行っても十分なS/N比を得ることができる。
【0021】
また、上記各構成において、第1の遮光層と、第2の遮光層は、同じ材料である。第1の遮光層と、第2の遮光層を同一の材料及び同一の工程で形成することができると、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子を内蔵することができる。
【0022】
また、上記各構成において、透光性を有する基板と、絶縁表面を有する基板との間には透光性を有する有機樹脂を有する。
【0023】
また、上記各構成において、発光領域は、画素電極と、画素電極上に重なる有機化合物層と、を含む。
【0024】
また、上記各構成において、受光領域は、画素電極上に重なる有機化合物層と同じ材料を含む。画素電極上に重なる有機化合物層を同一の材料及び同一の工程で形成することができると、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子を内蔵することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様により、多機能の表示装置を提供できる。本発明の一態様により、新規な表示装置を提供できる。本発明の一態様により、可視光及び赤外光を発する機能と、撮像機能を有する表示装置を提供できる。
【0026】
また、本発明の一態様により、撮像素子の密度を増加させることなく解像度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】
図2Aは2つの発光を同時に行う例を示しており、
図2Bは本発明の一態様を示す断面模式図である。
【
図5】
図5は配置モデル1の計算結果を示す図である。
【
図6】
図6は配置モデル6の計算結果を示す図である。
【
図7】
図7は配置モデル1、2、3、4、5、6の計算結果のまとめを示すグラフである。
【
図8】
図8は配置モデル1、2、3、4、5、6の受光光線数を比較した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0029】
(実施の形態1)
図1A、及び
図1Bに、本発明の一態様の表示装置の断面模式図を示す。
【0030】
図1A、及び
図1Bにおいて、第1の基板51、第2の基板59、樹脂層58、第1の発光素子OLED1、第2の発光素子OLED2、撮像素子OPD、素子層55がそれぞれ示されている。
【0031】
第1の基板上51には素子層が設けられている。素子層55は、トランジスタや容量などを含む。
【0032】
また、樹脂層58、第2の基板59はいずれも可視光または赤外光に対して透光性を有する材料を用いる。第2の基板59はガラス基板を用いてもよく、また、フィルム状のプラスチック基板、例えば、ポリイミド(PI)、アラミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、シリコーン樹脂などのプラスチック基板を用いることができる。
【0033】
図1A、及び
図1Bは、指の指紋を時分割的に撮像する様子を示している。第1の露光と第2の露光を順次行う場合、
図1Aは第1の露光時の様子を示す模式図であり、
図1Bは第2の露光時の様子を示す模式図である。
【0034】
図1Aでは、第1の発光素子OLED1からの発光が指で反射した反射光を、撮像素子OPDで検出している。主に撮像される領域は、
図1A中の指などの被写体52と重なる位置に示した両矢印に示す範囲となる。
【0035】
また、
図1Bでは、第2の発光素子OLED2からの発光が指で反射した反射光を、撮像素子OPDで検出している。主に撮像される領域は、指などの被写体52と重なる位置に示した両矢印に示す範囲となる。
【0036】
第1の発光素子OLED1と、第2の発光素子OLED2をほぼ同時に発光させた場合、
図2Aに示すように、撮像素子OPDは撮像素子OPD直上の広範囲(指などの被写体52と重なる位置に示した両矢印に示す範囲)からの反射光を検出する。
【0037】
一方、検出している反射光の主成分が正反射成分であれば、
図2Bの様に、第1の発光素子OLED1から射出した光と、第2の発光素子OLED2から射出した光が、検出している位置はずれている。光の反射は正反射と拡散反射に大きく2つに分けることができ、正反射成分は、入射角と反射角が等しく、反射光線が平行光線である成分をいう。
図2Bの場合、第1の発光素子OLED1の発光タイミングと第2の発光素子OLED2の発光タイミングをずらして(時分割して)その反射光を検出すれば、一つの撮像素子OPDで複数の場所の反射情報が検出できることになる。従って撮像素子OPDの数を増やさずに撮像画像の高精細化が図れるといえる。
【0038】
以下に、光学シミュレーション(光線追跡)を行い、光学系の検討を行う。
【0039】
図3Aに光学シミュレーションの光学系の断面図を示す。
【0040】
表示パネルの画素密度である212ppi(画素サイズ120μm平方)を想定した光学シミュレーションを行う。撮像素子OPDを中央(X=0)に配置し、その両側に、第1の発光素子OLED1と、第2の発光素子OLED2とをそれぞれ60μm離して配置する。縦軸方向の構成(積層構成)も、表示パネルを想定した膜厚、光学定数で設定している(詳細条件は
図3A中にも記載する)。樹脂層58の厚さは10μmとし、その屈折率nは1.6とする。また、基板(第2の基板59)の厚さは200μmとし、屈折率nは1.5とする。遮光層45の開口部の幅は20μmとする。撮像素子OPDの幅、即ちここでは受光領域の幅も20μmとする。第1の発光素子OLED1の発光領域の幅も20μmとする。また、散乱体は60μm幅(424ppi相当)となる。
【0041】
また、
図3Bに比較例となる遮光層の配置モデル1を示す。なお、遮光層の配置モデル1は
図3Aに対応している。
【0042】
また、
図3Cに他の比較例となる遮光層の配置モデル2を示す。配置モデル2は、遮光層の開口部の幅を30μmとしている。
【0043】
また、
図3Dに他の比較例となる遮光層の配置モデル3を示す。配置モデル3は、遮光層の開口部の幅を10μmとしている。
【0044】
また、上記シミュレーションでは完全散乱の散乱体(被写体)を第2の基板59上に配置し、その位置をX軸方向にずらしながら撮像素子OPDが検出する光量の変化をシミュレートしている。これによりどの位置に散乱体がいるときに最も強く反射光を受光しているか、即ちどの位置からの反射光を最も強く受光しているかが確認できる。この特性に対して第1の発光素子OLED1と、第2の発光素子OLED2の点灯状態がどのように影響するかを確認する。
【0045】
【0046】
図2Bのように、両方の発光素子をともに点灯させている場合、X=0の位置を中心に散乱体が配置されている時(OPDの直上にいる時)が、受光光線数が最も大きくなっていることが確認できる。一方で、第1の発光素子OLED1のみ、第2の発光素子OLED2のみをそれぞれ点灯させている場合は、受光光線数が最大値を取る散乱体の中心位置がX=0から、それぞれ第1の発光素子OLED1側、第2の発光素子OLED2側に約40μm程度、大きい場合には、約50μm程度ずれている事が確認できる。
【0047】
従って、第1の発光素子OLED1と第2の発光素子OLED2を交互に点灯・撮像する事で、異なる位置を主とした反射成分が検出できる事になるため、
図2Bで示した原理による、撮像画像の高精細化が可能となる。しかしながら、
図5中に60μm付近に、第1の発光素子OLED1のみ点灯している場合でも、OLED2側(散乱体中心位置が0より大きい領域)で反射成分を検出している。なお、
図5中に-30μm付近にも第2の発光素子OLED2のみ点灯している場合でも、OLED1側(散乱体中心位置が0より小さい領域)で反射成分を検出している。このように、比較例(配置モデル1)では、S/N比は十分とは言えない。
【0048】
S/N比は、撮像素子OPDが受光した全体の信号の白レベルと黒レベルの比を表す。白レベルは一定の量の光を照射した状態、黒レベルは光を遮断した場合であり、平均値で測定される。
【0049】
また、2つの比較例(配置モデル2、3)は、いずれもS/N比が低い結果となった。
【0050】
そこで、S/N比を向上させるため、島状の遮光層(第2の遮光層44)を一つの撮像素子OPDの受光領域の一部に重なる位置に設ける。なお、島状の遮光層(第2の遮光層44)は他の遮光層(第1の遮光層45)と離れて配置され、接していない。第1の遮光層45同士は、平面において格子状につながっている構成としてもよい。
【0051】
図4Aは、第2の遮光層44の幅を5μmとする配置モデル4である。なお、実際に加工する場合、遮光層の加工精度の最少幅が5μm程度であるため、5μm未満の幅の遮光層(第2の遮光層44)を形成することは困難である。また、第1の遮光層45の開口部の幅は20μmである。
【0052】
図4Bは、第2の遮光層44の幅を10μmとする配置モデル5である。また、第1の遮光層45の開口部の幅は20μmであり、配置モデル1と同じである。
【0053】
図4Cは、第2の遮光層44の幅を10μmとする配置モデル6である。また、第1の遮光層45の開口部の幅は30μmである。
【0054】
図4Cのモデル6を用いた計算結果を
図6に示す。
図5と比較してS/N比が向上し、
図6中に60μm付近に、OLED1のみ点灯している場合でも、OLED2側(散乱体中心位置が0より大きい領域)で反射成分をほとんど検出していない。
【0055】
また、配置モデル1、2、3、4、5、6の計算結果のまとめを
図7に示す。
【0056】
図7では、OLED1点灯時条件は、
図3Aで図示している様に、直上には散乱体が配置されていないため黒(=低受光光線数)となる。また、OLED2点灯時条件は、直上に散乱体が配置されているため白(=高受光光線数)となる。したがってOLED2点灯時光線数/OLED1点灯時光線数が、散乱体の境界付近でのS/N比に相当する事になる。
【0057】
遮光層の開口部の大きさが異なるのみである遮光層の配置モデル1、2、3の場合は、受光光線数自体は、開口部にあわせて増減するものの、S/N比自体に変化がない傾向が確認できる。一方でOPD上に第2の遮光層44を配置した配置モデル4、5、6においては、S/N比が向上する事が確認できる。
【0058】
ここでOLED2点灯時の受光光線数と、OLED1及びOLED2の両方を同時に点灯した時の受光光線数を比較した結果を
図8に示す。
【0059】
図8の結果より、OPD直上に第2の遮光層44を配置している配置モデル4、5、6はOLED2点灯時の光線数とOLED1及びOLED2の両方点灯している際の受光光線数に大きな差がない傾向が確認できる。これらの結果より2つのOLEDのどちらを点灯している場合でもOPDへ反射光を届けてしまう、即ちS/N比低下を引き起こしている領域がOPD直上、即ち露光領域直上付近にあった事を示している。このOPD直上付近からの光を第2の遮光層44により遮光することが、時分割して2つの撮像範囲を切り分ける上で重要であり、
図7において配置モデル4、5、6でS/N比が向上している。
【0060】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1に示したOPDの上面及び断面構造について以下に説明する。
【0061】
以下で例示する表示装置は、画像を表示する機能と、画面に重なる被写体を撮像する機能と、を有する装置である。
【0062】
本実施の形態の表示装置は、表示部に、受光素子と発光素子とを有する。具体的には、表示部に、発光素子がマトリクス状に配置されており、当該表示部で画像を表示することができる。
【0063】
また、当該表示部には、受光素子がマトリクス状に配置されており、表示部は、受光部としての機能も有する。受光部は、イメージセンサやタッチセンサに用いることができる。つまり、受光部で光を検出することで、画像データを取得する、いわゆる撮像することや、対象物(指やペンなど)の近接もしくは接触を検出することができる。
【0064】
本実施の形態の表示装置では、表示部が有する発光素子の発光を対象物が反射した際、受光素子がその反射光を検出できるため、暗い場所でも、撮像やタッチ(ニアタッチを含む)検出が可能である。
【0065】
本実施の形態の表示装置は、発光素子を用いて、画像を表示する機能を有する。つまり、発光素子は、表示素子として機能する。
【0066】
発光素子としては、OLED(Organic Light Emitting Diode)やQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などのEL素子を用いることが好ましい。EL素子が有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、無機化合物(量子ドット材料など)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)などが挙げられる。また、発光素子として、マイクロLED(Light Emitting Diode)などのLEDを用いることもできる。
【0067】
本実施の形態の表示装置は、受光素子を用いて、光を検出する機能を有する。
【0068】
受光素子をイメージセンサに用いる場合、本実施の形態の表示装置は、受光素子を用いて、画像を撮像することができる。
【0069】
例えば、イメージセンサを用いて、指紋、掌紋、または虹彩などのデータを取得することができる。つまり、本実施の形態の表示装置に、生体認証用センサを内蔵させることができる。表示装置が生体認証用センサを内蔵することで、表示装置とは別に生体認証用センサを設ける場合に比べて、電子機器の部品点数を少なくでき、電子機器の小型化及び軽量化が可能である。
【0070】
また、イメージセンサを用いて、ユーザーの表情、目の動き、または瞳孔径の変化などのデータを取得することができる。当該データを解析することで、ユーザーの心身の情報を取得することができる。当該情報をもとに表示及び音声の一方又は双方の出力内容を変化させることで、例えば、VR(Virtual Reality)向け機器、AR(Augmented Reality)向け機器、またはMR(Mixed Reality)向け機器において、ユーザーが機器を安全に使用できるよう図ることができる。
【0071】
また、受光素子をタッチセンサに用いる場合、本実施の形態の表示装置は、受光素子を用いて、対象物の近接または接触を検出することができる。
【0072】
受光素子としては、例えば、pn型またはpin型のフォトダイオードを用いることができる。受光素子は、受光素子に入射する光を検出し電荷を発生させる光電変換素子として機能する。入射する光量に基づき、発生する電荷量が決まる。
【0073】
特に、受光素子として、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードを用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、及び大面積化が容易であり、また、形状及びデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。
【0074】
本発明の一態様では、発光素子として有機EL素子を用い、受光素子として有機フォトダイオードを用いる。有機フォトダイオードは、有機EL素子と共通の構成にできる層が多い。そのため、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子を内蔵することができる。例えば、受光素子の活性層と発光素子の発光層とを作り分け、それ以外の層は、発光素子と受光素子とで同一の構成にすることができる。
【0075】
【0076】
図9Aに示す表示装置50Aは、第1の基板51と第2の基板59との間に、受光素子を有する層53と、発光素子を有する層57と、を有する。
【0077】
表示装置50A及び表示装置50Bは、発光素子を有する層57から、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の光が射出される構成である。
【0078】
本発明の一態様の表示装置は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。1つの画素は、1つ以上の副画素を有する。1つの副画素は、1つの発光素子を有する。例えば、画素には、副画素を3つ有する構成(R、G、Bの3色、または、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色など)、または、副画素を4つ有する構成(R、G、B、白色(W)の4色、または、R、G、B、Yの4色など)を適用できる。さらに、画素は、受光素子を有する。受光素子は、全ての画素に設けられていてもよく、一部の画素に設けられていてもよい。また、1つの画素が複数の受光素子を有していてもよい。
【0079】
トランジスタを有する素子層55は、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを有することが好ましい。第1のトランジスタは、受光素子と電気的に接続される。第2のトランジスタは、発光素子と電気的に接続される。
【0080】
本発明の一態様の表示装置は、表示装置に接触している指などの対象物を検出する機能を有していてもよい。例えば、
図9Cに示すように、発光素子を有する層57において発光素子が発した光を、表示装置50Bに接触した指などの被写体52が反射することで、受光素子を有する層53における受光素子がその反射光を検出する。これにより、表示装置50Bに指などの被写体52が接触したことを検出することができる。
【0081】
本発明の一態様の表示装置は、
図9Dに示すように、表示装置50Bに近接している(接触していない)対象物を検出または撮像する機能を有していてもよい。
【0082】
【0083】
図9E、
図9Fに示す画素は、R、G、Bの3つの副画素(3つの発光素子)と、受光素子OPDと、を有する。
図9Eは、2×2のマトリクス状に、3つの副画素と受光素子OPDとが配置されている例であり、
図9Fは、横1列に、3つの副画素と受光素子OPDとが配置されている例である。
【0084】
図9Gに示す画素は、R、G、B、Wの4つの副画素(4つの発光素子)と、受光素子OPDと、を有する。
【0085】
図9Hに示す画素は、R、G、Bの3つの副画素と、赤外光を発する発光素子IRと、受光素子OPDとを有する。このとき、受光素子OPDは、赤外光を検出する機能を有することが好ましい。受光素子OPDは、可視光及び赤外光の双方を検出する機能を有していてもよい。センサの用途に応じて、受光素子OPDが検出する光の波長を決定することができる。
【0086】
図9Iに示す画素は、2画素分を示しており、R、G、Bの3つの副画素とを有する1画素を2つと、一つの受光素子OPDとを有する。本実施の形態1を用いる場合、受光素子OPDは、時分割的に駆動させる。例えば、時分割的に駆動させる場合、一方の副画素Rの発光後、もう一方の副画素Rを発光させて発光のタイミングをずらすことで一つの受光素子OPDで撮像を行う。また、時分割的に駆動させる撮像においては、副画素Bと副画素Gは点灯させなくてもよい。
図9E、
図9F、
図9G、
図9Hは1画素に1つのOPDを設ける配置例を示している。1画素に1つのOPDを設けることでOPDの解像度を、発光素子の画素の精細度に比べ約2倍の解像度とすることができる。また、
図9Iは2画素に1つのOPDを設ける設置例であり、トータルの発光領域を広くとることができる。また、2画素に1つのOPDを設けても時分割駆動とすることで、2つのOPDを設置した場合と同程度の解像度とすることができる。
【0087】
以下では、
図10を用いて、本発明の一態様の表示装置の、詳細な構成について説明する。
【0088】
図10には、被写体52を表示面に接して撮像している表示装置50Bの一部の断面図を示す。
【0089】
表示装置50Bは、受光素子OPD及び第1の発光素子OLED1、第2の発光素子OLED2を有する。
【0090】
受光素子OPDは、画素電極111、共通層112、活性層113、共通層114、及び共通電極115を有する。
【0091】
第1の発光素子OLED1は、画素電極192、共通層112、発光層193a、共通層114、及び共通電極115を有する。
【0092】
第2の発光素子OLED2は、画素電極191、共通層112、発光層193b、共通層114、及び共通電極115を有する。
【0093】
画素電極111、画素電極191、192、共通層112、活性層113、発光層193a、193b、共通層114、及び共通電極115は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0094】
画素電極111及び画素電極191、192は、絶縁層214上に位置する。画素電極111と画素電極191と画素電極192は、同一の材料及び同一の工程で形成することができる。
【0095】
共通層112は、画素電極111上及び画素電極191上及び画素電極192上に位置する。共通層112は、受光素子OPDと発光素子OLED1と発光素子OLED2に共通で用いられる層である。
【0096】
活性層113は、共通層112を介して、画素電極111と重なる。発光層193bは、共通層112を介して、画素電極191と重なる。活性層113は、第1の有機化合物を有し、発光層193a、193bは、第1の有機化合物とは異なる第2の有機化合物を有する。
【0097】
共通層114は、共通層112上、活性層113上、及び発光層193a、193b上に位置する。共通層114は、受光素子OPDと発光素子OLED1と発光素子OLED2に共通で用いられる層である。
【0098】
共通電極115は、共通層112、活性層113、及び共通層114を介して、画素電極111と重なる部分を有する。また、共通電極115は、共通層112、発光層193a、193b、及び共通層114を介して、画素電極191と重なる部分を有する。共通電極115は、受光素子OPDと発光素子OLED1と発光素子OLED2に共通で用いられる層である。
【0099】
本実施の形態の表示装置では、受光素子OPDの活性層113に有機化合物を用いる。受光素子OPDは、活性層113以外の層を、発光素子OLED1(第1のEL素子)と発光素子OLED2(第2のEL素子)と共通の構成にすることができる。そのため、発光素子OLED1と発光素子OLED2の作製工程に、活性層113を成膜する工程を追加するのみで、発光素子OLED1と発光素子OLED2の形成と並行して受光素子OPDを形成することができる。また、発光素子OLED1と発光素子OLED2と受光素子OPDとを同一基板上に形成することができる。したがって、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子OPDを内蔵することができる。
【0100】
表示装置50Bでは、受光素子OPDの活性層113と、発光素子OLED1の発光層193aと、発光素子OLED2の発光層193bと、を作り分ける以外は、受光素子OPDと発光素子OLED1と発光素子OLED2が共通の構成である例を示す。ただし、受光素子OPDと発光素子OLED1と発光素子OLED2の構成はこれに限定されない。受光素子OPDと発光素子OLED1と発光素子OLED2は、活性層113と発光層193a、193bのほかにも、互いに作り分ける層を有していてもよい。受光素子OPDと発光素子OLED1と発光素子OLED2は、共通で用いられる層(共通層)を1層以上有することが好ましい。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子OPDを内蔵することができる。
【0101】
表示装置50Bは、一対の基板(第1の基板51及び第2の基板59)間に、受光素子OPD、発光素子OLED1、発光素子OLED2、トランジスタ41、トランジスタ42、及びトランジスタ43等を有する。
【0102】
受光素子OPDにおいて、それぞれ画素電極111及び共通電極115の間に位置する共通層112、活性層113、及び共通層114は、有機層(有機化合物を含む層)ということもできる。画素電極111は可視光を反射する機能を有することが好ましい。画素電極111の端部は隔壁216によって覆われている。共通電極115は可視光を透過する機能を有する。
【0103】
受光素子OPDは、光を検知する機能を有する。具体的には、受光素子OPDは、表示装置50Bの外部から入射される光を受光し、電気信号に変換する、光電変換素子である。受光素子OPDが受光する光は、発光素子190の発光を対象物が反射した光ということもできる。
【0104】
第2の基板59の第1の基板51側の面には、第1の遮光層45及び第2の遮光層44が設けられている。第1の遮光層45は、受光素子OPDと重なる位置及び発光素子190と重なる位置に開口を有する。第1の遮光層45を設けることで、受光素子OPDが光を検出する範囲を制御することができる。
【0105】
第1の遮光層45及び第2の遮光層44としては、発光素子からの発光を遮る材料を用いることができる。第1の遮光層45及び第2の遮光層44は、可視光を吸収することが好ましい。第1の遮光層45及び第2の遮光層44として、例えば、金属材料、又は、顔料(カーボンブラックなど)もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。第1の遮光層45及び第2の遮光層44は、赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、及び青色のカラーフィルタの積層構造であってもよい。
【0106】
ここで、発光素子OLED1及び発光素子OLED2の発光が対象物となる被写体52によって反射された光を受光素子OPDは検出する。しかし、発光素子OLED1と発光素子OLED2の発光が、表示装置50B内で反射され、対象物を介さずに、受光素子OPDに入射されてしまう場合がある。第1の遮光層45は、このような迷光の影響を抑制することができる。例えば、第1の遮光層45が設けられていない場合、発光素子OLED2が発した光は、第2の基板59で反射され、反射光が受光素子OPDに入射することがある。第1の遮光層45を設けることで、反射光が受光素子OPDに入射することを抑制できる。これにより、ノイズを低減し、受光素子OPDを用いたセンサの感度を高めることができる。
【0107】
また、第2の遮光層44が、受光素子OPDと一部重なる位置に設けられる。第2の遮光層44を設けることによって、2つの発光素子の発光タイミングをずらし、時分割的に撮像を行う場合でも十分なS/N比を得ることができる。
【0108】
発光素子OLED1において、それぞれ画素電極192及び共通電極115の間に位置する共通層112、発光層193a、及び共通層114は、EL層ということもできる。また、発光素子OLED2において、それぞれ画素電極191及び共通電極115の間に位置する共通層112、発光層193b、及び共通層114は、EL層ということもできる。
【0109】
画素電極191,192は可視光を反射する機能を有することが好ましい。画素電極191、192の端部は隔壁216によって覆われている。画素電極111と画素電極191とは隔壁216によって互いに電気的に絶縁されている。また、画素電極111と画素電極192とは隔壁216によって互いに電気的に絶縁されている。共通電極115は可視光を透過する機能を有する。
【0110】
発光素子OLED1及び発光素子OLED2は、可視光を発する機能を有する。具体的には、発光素子OLED1及び発光素子OLED2は、画素電極191と共通電極115との間、または画素電極192と共通電極115に電圧を印加することで、第2の基板59側に光を射出する電界発光素子である(発光21参照)。
【0111】
画素電極111は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ41が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。画素電極111の端部は、隔壁216によって覆われている。
【0112】
画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ42が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。トランジスタ42は、発光素子OLED2の駆動を制御する機能を有する。
【0113】
画素電極192は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ43が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。画素電極192の端部は、隔壁216によって覆われている。トランジスタ43は、発光素子OLED1の駆動を制御する機能を有する。
【0114】
トランジスタ41とトランジスタ42とトランジスタ43とは、同一の層(
図10では第1の基板51上の層)に設けられている。
【0115】
受光素子OPDと電気的に接続される回路の少なくとも一部は、発光素子190と電気的に接続される回路と同一の材料及び同一の工程で形成されることが好ましい。これにより、2つの回路を別々に形成する場合に比べて、表示装置の厚さを薄くすることができ、また、作製工程を簡略化できる。
【0116】
受光素子OPD及び発光素子OLED1及び発光素子OLED2は、それぞれ、保護層195に覆われていることが好ましい。
図10では、保護層195が、共通電極115上に接して設けられている。保護層195を設けることで、受光素子OPD及び発光素子OLED1及び発光素子OLED2に水などの不純物が入り込むことを抑制し、受光素子OPD及び発光素子190の信頼性を高めることができる。また、樹脂層58によって、保護層195と第2の基板59とが貼り合わされている。
【0117】
また、
図11Aに、受光素子を有する第1の画素回路の一例を示し、
図11Bに、発光素子を有する第2の画素回路の一例を示す。
【0118】
図11Aに示す画素回路PIX1は、受光素子OPD、トランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、トランジスタM4、及び容量素子C1を有する。ここでは、受光素子OPDとして、有機フォトダイオードを用いた例を示している。
【0119】
受光素子OPDは、カソードが配線V1と電気的に接続し、アノードがトランジスタM1のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM1は、ゲートが配線TXと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が容量素子C1の一方の電極、トランジスタM2のソースまたはドレインの一方、及びトランジスタM3のゲートと電気的に接続する。トランジスタM2は、ゲートが配線RESと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線V2と電気的に接続する。トランジスタM3は、ソースまたはドレインの一方が配線V3と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方がトランジスタM4のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM4は、ゲートが配線SEと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUT1と電気的に接続する。
【0120】
配線V1、配線V2、及び配線V3には、それぞれ定電位が供給される。受光素子OPDを逆バイアスで駆動させる場合には、配線V2に、配線V1の電位よりも低い電位を供給する。トランジスタM2は、配線RESに供給される信号により制御され、トランジスタM3のゲートに接続するノードの電位を、配線V2に供給される電位にリセットする機能を有する。トランジスタM1は、配線TXに供給される信号により制御され、受光素子OPDに流れる電流に応じて上記ノードの電位が変化するタイミングを制御する機能を有する。トランジスタM3は、上記ノードの電位に応じた出力を行う増幅トランジスタとして機能する。トランジスタM4は、配線SEに供給される信号により制御され、上記ノードの電位に応じた出力を配線OUT1に接続する外部回路で読み出すための選択トランジスタとして機能する。
【0121】
図11Bに示す画素回路PIX2は、発光素子EL、トランジスタM5、トランジスタM6、トランジスタM7、及び容量素子C2を有する。ここでは、発光素子ELとして、発光ダイオードを用いた例を示している。特に、発光素子ELとして、有機EL素子を用いることが好ましい。
【0122】
トランジスタM5は、ゲートが配線VGと電気的に接続し、ソースまたはドレインの一方が配線VSと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が、容量素子C2の一方の電極、及びトランジスタM6のゲートと電気的に接続する。トランジスタM6のソースまたはドレインの一方は配線V4と電気的に接続し、他方は、発光素子ELのアノード、及びトランジスタM7のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM7は、ゲートが配線MSと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUT2と電気的に接続する。発光素子ELのカソードは、配線V5と電気的に接続する。
【0123】
配線V4及び配線V5には、それぞれ定電位が供給される。発光素子ELのアノード側を高電位に、カソード側をアノード側よりも低電位にすることができる。トランジスタM5は、配線VGに供給される信号により制御され、画素回路PIX2の選択状態を制御するための選択トランジスタとして機能する。また、トランジスタM6は、ゲートに供給される電位に応じて発光素子ELに流れる電流を制御する駆動トランジスタとして機能する。トランジスタM5が導通状態のとき、配線VSに供給される電位がトランジスタM6のゲートに供給され、その電位に応じて発光素子ELの発光輝度を制御することができる。トランジスタM7は配線MSに供給される信号により制御され、トランジスタM6と発光素子ELとの間の電位を、配線OUT2を介して外部に出力する機能を有する。
【0124】
なお、本実施の形態の表示装置では、発光素子をパルス状に発光させることで、画像を表示してもよい。発光素子の駆動時間を短縮することで、表示装置の消費電力の低減、及び、発熱の抑制を図ることができる。特に、有機EL素子は周波数特性が優れているため、好適である。周波数は、例えば、1kHz以上100MHz以下とすることができる。
【0125】
ここで、画素回路PIX1が有するトランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、及びトランジスタM4、並びに、画素回路PIX2が有するトランジスタM5、トランジスタM6、及びトランジスタM7には、それぞれチャネルが形成される半導体層に金属酸化物(酸化物半導体)を用いたトランジスタを適用することが好ましい。
【0126】
シリコンよりもバンドギャップが広く、かつキャリア密度の小さい金属酸化物を用いたトランジスタは、極めて小さいオフ電流を実現することができる。そのため、その小さいオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。そのため、特に容量素子C1または容量素子C2に直列に接続されるトランジスタM1、トランジスタM2、及びトランジスタM5には、酸化物半導体が適用されたトランジスタを用いることが好ましい。また、これ以外のトランジスタも同様に酸化物半導体を適用したトランジスタを用いることで、作製コストを低減することができる。
【0127】
また、トランジスタM1乃至トランジスタM7に、チャネルが形成される半導体にシリコンを適用したトランジスタを用いることもできる。特に単結晶シリコンや多結晶シリコンなどの結晶性の高いシリコンを用いることで、高い電界効果移動度を実現することができ、より高速な動作が可能となるため好ましい。
【0128】
また、トランジスタM1乃至トランジスタM7のうち、一以上に酸化物半導体を適用したトランジスタを用い、それ以外にシリコンを適用したトランジスタを用いる構成としてもよい。
【0129】
なお、
図11A、
図11Bにおいて、トランジスタをnチャネル型のトランジスタとして表記しているが、pチャネル型のトランジスタを用いることもできる。
【0130】
画素回路PIX1が有するトランジスタと画素回路PIX2が有するトランジスタは、同一基板上に並べて形成されることが好ましい。特に、画素回路PIX1が有するトランジスタと画素回路PIX2が有するトランジスタとを1つの領域内に混在させて周期的に配列する構成とすることが好ましい。
【0131】
また、受光素子OPDまたは発光素子ELと重なる位置に、トランジスタ及び容量素子の一方又は双方を有する層を1つまたは複数設けることが好ましい。これにより、各画素回路の実効的な占有面積を小さくでき、高精細な受光部または表示部を実現できる。
【0132】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0133】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0134】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、
図12、
図13を用いて説明する。
【0135】
本実施の形態の電子機器は、本発明の一態様の表示装置を有する。例えば、電子機器の表示部に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の表示装置は、光を検出する機能を有するため、表示部で生体認証を行うこと、または、タッチもしくはニアタッチを検出することができる。これにより、電子機器の機能性や利便性などを高めることができる。
【0136】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0137】
本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0138】
本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
【0139】
図12Aに示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
【0140】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0141】
表示部6502に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0142】
図12Bは、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0143】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
【0144】
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
【0145】
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
【0146】
表示パネル6511には本発明の一態様のディスプレイを適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0147】
図13Aに、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
【0148】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0149】
【0150】
図13Bに示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0151】
図13Bにおいて、表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0152】
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0153】
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、ユーザーが直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
【0154】
また、
図13Bに示すように、デジタルサイネージ7300は、ユーザーが所持するスマートフォン等の情報端末機7311と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
【0155】
また、デジタルサイネージ7300に、情報端末機7311の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザーが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0156】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0157】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0158】
21:発光、41:トランジスタ、42:トランジスタ、43:トランジスタ、44:第2の遮光層、45:第1の遮光層、50A:表示装置、50B:表示装置、51:第1の基板、52:被写体、53:層、55:素子層、57:層、58:樹脂層、59:第2の基板、111:画素電極、112:共通層、113:活性層、114:共通層、115:共通電極、190:発光素子、191:画素電極、192:画素電極、193a:発光層、193b:発光層、195:保護層、214:絶縁層、216:隔壁、6500:電子機器、6501:筐体、6502:表示部、6503:電源ボタン、6504:ボタン、6505:スピーカ、6506:マイク、6507:カメラ、6508:光源、6510:保護部材、6511:表示パネル、6512:光学部材、6513:タッチセンサパネル、6515:FPC、6516:IC、6517:プリント基板、6518:バッテリ、7000:表示部、7200:ノート型パーソナルコンピュータ、7211:筐体、7212:キーボード、7213:ポインティングデバイス、7214:外部接続ポート、7300:デジタルサイネージ、7301:筐体、7303:スピーカ、7311:情報端末機