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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149591
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】物理量センサーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/02 20060101AFI20241010BHJP
   G01C 19/5747 20120101ALI20241010BHJP
   G01C 19/5769 20120101ALI20241010BHJP
   G01P 15/08 20060101ALI20241010BHJP
   G01P 15/125 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H01L23/02 G
H01L23/02 J
G01C19/5747
G01C19/5769
G01P15/08 102Z
G01P15/125 Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024124455
(22)【出願日】2024-07-31
(62)【分割の表示】P 2020154423の分割
【原出願日】2020-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 照夫
(57)【要約】
【課題】封止用の貫通穴の溶融部にクラックが入り難い物理量センサーを提供する。
【解決手段】角速度センサー1は角速度検出素子3と、基体2と、蓋体4と、を備え、角速度検出素子3は、基体2と蓋体4との間の空間6に収納され、蓋体4に設けられた貫通穴4bを溶融した溶融部4cにより空間6を密封し、蓋体4及び溶融部4cはシリコンを含み、溶融部4cは凹凸を含む連続する曲面4dを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動体と、基体と、蓋体と、を備え、
前記可動体は、前記基体と前記蓋体との間の空間に収納され、
前記蓋体に設けられた貫通穴を溶融した溶融部により前記空間を密封し、
前記蓋体及び前記溶融部はシリコンを含み、
前記溶融部は凹凸を含む連続する曲面を備えることを特徴とする物理量センサー。
【請求項2】
請求項1に記載の物理量センサーであって、
前記蓋体は単結晶であり、
前記溶融部は多結晶であることを特徴とする物理量センサー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の物理量センサーを備えることを特徴とする慣性計測ユニット。
【請求項4】
シリコンを含む蓋体に貫通穴及び凹部を形成し、
前記蓋体と基体との間の空間に可動体を収納するように構成し、
前記貫通穴及び前記凹部にレーザー光を照射して、前記貫通穴及び前記凹部を溶融し前記空間を封止することを特徴とする物理量センサーの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の物理量センサーの製造方法であって、
前記レーザー光を照射するとき、前記物理量センサーは透明な窓部を含むチャンバー内で減圧雰囲気下にあり、前記蓋体は前記基体を介して加熱されていることを特徴とする物理量センサーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量センサー、慣性計測ユニット及び物理量センサーの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加速度センサー、角速度センサー等がMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)にて実現されている。MEMSでは可動体がパッケージ内の密閉空間に収納される。密閉空間の気圧は可動体が機能し易い圧力になっている。
【0003】
パッケージの封止方法が特許文献1に開示されている。それによると、パッケージはシリコンの蓋体としてのキャップウエハーを備える。蓋体には貫通穴が設けられており、封止工程では貫通穴にレーザー光が照射され、貫通穴周辺が溶融されて、貫通穴を塞ぐとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0074596号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の封止方法では、蓋部に設けられた貫通穴にクラックが入る虞があった。詳しくは、レーザー光が照射されると、封止材と貫通穴周辺では温度が急激に上昇して封止材が溶融し、照射が止まると封止材が固化するが、封止材と蓋部の熱膨張係数が異なるため、封止材に近接する貫通穴付近において熱応力が残留する。この残留応力による歪が生じ、クラックを誘発する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
物理量センサーは、可動体と、基体と、蓋体と、を備え、前記可動体は、前記基体と前記蓋体との間の空間に収納され、前記蓋体に設けられた貫通穴を溶融した溶融部により前記空間を密封し、前記蓋体及び前記溶融部はシリコンを含み、前記溶融部は凹凸を含む連続する曲面を備える。
【0007】
慣性計測ユニットは上記に記載の物理量センサーを備える。
【0008】
物理量センサーの製造方法は、シリコンを含む蓋体に貫通穴及び凹部を形成し、前記蓋体と基体との間の空間に可動体を収納するように構成し、前記貫通穴及び前記凹部にレーザー光を照射して、前記貫通穴及び前記凹部を溶融し前記空間を封止する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態にかかわる角速度センサーの構成を示す模式側断面図。
図2】角速度検出素子を示す模式平面図。
図3】角速度検出素子の動作を説明するための模式図。
図4】角速度検出素子の動作を説明するための模式図。
図5】角速度検出素子の動作を説明するための模式図。
図6】角速度検出素子の動作を説明するための模式図。
図7】溶融部の要部模式平面図。
図8】溶融部の要部模式側断面図。
図9】角速度センサーの製造方法を説明するための模式図。
図10】角速度センサーの製造方法を説明するための模式図。
図11】第2凹部の形状を示す模式平面図。
図12】第2凹部の形状を示す模式側断面図。
図13】角速度センサーの製造方法を説明するための模式図。
図14】角速度センサーの製造方法を説明するための模式図。
図15】角速度センサーの製造方法を説明するための模式図。
図16】角速度センサーの製造方法を説明するための模式図。
図17】第2実施形態にかかわる加速度センサーの構成を示す模式側断面図。
図18】加速度検出素子を示す模式平面図。
図19】溶融部の要部模式側断面図。
図20】第3実施形態にかかわる慣性センサーの構成を示す模式側断面図。
図21】慣性センサーの製造方法を説明するための模式図。
図22】慣性センサーの製造方法を説明するための模式図。
図23】慣性センサーの製造方法を説明するための模式図。
図24】慣性センサーの製造方法を説明するための模式図。
図25】レーザー封止装置の構成を示すブロック図。
図26】慣性センサーの製造方法を説明するための模式図。
図27】慣性センサーの製造方法を説明するための模式図。
図28】慣性センサーの製造方法を説明するための模式図。
図29】慣性センサーの製造方法を説明するための模式図。
図30】第4実施形態にかかわる慣性計測ユニットの構成を示す概略斜視図。
図31】基板の構成を示す概略斜視図。
図32】第5実施形態にかかわる貫通穴及び凹部の配置を示す要部模式平面図。
図33】貫通穴及び凹部の配置を示す要部模式平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1実施形態
本実施形態では、物理量センサーと特徴的な物理量センサーの製造方法の例について説明する。図1に示すように、物理量センサーとしての角速度センサー1は基体2を備える。基体2には可動体としての角速度検出素子3が設けられる。基体2の材質は、シリコン、ガラス、石英、等であって良い。
【0011】
基体2上には蓋体4が設置される。蓋体4の材質はシリコンである。接合層5により蓋体4は基体2に接合される。但し、蓋体4は基体2へ直接接合しても良い。基体2から蓋体4に向く方向をZ方向とする。Z方向から見て基体2及び蓋体4の平面形状は四角形である。基体2の平面形状の一辺が延在する方向をX方向とし、X方向及びZ方向と直交する方向をY方向とする。
【0012】
蓋体4は基体2側に第1凹部4aを備える。角速度検出素子3は第1凹部4aに配置される。このように、角速度センサー1は基体2とともに角速度検出素子3を収納する蓋体4を備える。角速度検出素子3は、基体2と蓋体4との間の空間6に収納される。角速度検出素子3は空間6に収納されればよく、後述するように蓋体の基体2側に第1凹部4aを備えなくても良い。蓋体4には貫通穴4bが設けられる。蓋体4は貫通穴4bを溶融した溶融部4cを備える。溶融部4cが貫通穴4bを塞ぐことにより溶融部4cは空間6を密封する。溶融部4cは蓋体4の一部であり、シリコンを含む。基体2上には角速度検出素子3と電気的に接続する電極パッド19が配置される。
【0013】
角速度センサー1の製造工程中では貫通穴4bは貫通しているが、溶融部4cにより塞がれた後では袋穴の形態になっている。貫通穴4bの呼称は製造の途中まで貫通している意味を有している。
【0014】
次に、角速度検出素子3について説明する。
図2に示すように、角速度検出素子3は、振動系構造体104と、駆動用固定電極130と、検出用固定電極140と、固定部150と、を有する。
【0015】
振動系構造体104は、例えば、基体2に接合されたシリコン基板を加工することにより、一体的に形成されている。これにより、シリコン半導体デバイスの製造に用いられる微細な加工技術の適用が可能となり、振動系構造体104の小型化を図ることができる。
【0016】
振動系構造体104は、基体2に固定された固定部150によって、支持されており、基体2と離間して配置されている。振動系構造体104は、第1振動体106と、第2振動体108と、を有する。第1振動体106及び第2振動体108は、X軸に沿って互いに連結されている。
【0017】
第1振動体106及び第2振動体108は、両者の境界線Bに対して、対称となる形状を有する。境界線BはY軸に沿った直線である。第1振動体106の構成について説明し、第2振動体108の構成の説明を省略する。
【0018】
第1振動体106は、駆動部110と、検出部120と、を有する。駆動部110は、駆動用支持部112と、駆動用バネ部114と、駆動用可動電極116と、を有する。
【0019】
駆動用支持部112は、例えば、フレーム状の形状を有し、駆動用支持部112の内側には、検出部120が配置されている。駆動用支持部112は、X軸に沿って延在する第1延在部112aと、Y軸に沿って延在する第2延在部112bと、により構成される。
【0020】
駆動用バネ部114は、駆動用支持部112の外側に配置される。駆動用バネ部114の一端は、駆動用支持部112の角部の近傍に接続される。駆動用支持部112の角部は第1延在部112aと第2延在部112bとの接続部である。駆動用バネ部114の他端は固定部150に接続される。
【0021】
第1振動体106において、駆動用バネ部114は4つ設けられている。第1振動体106は4つの固定部150によって支持されている。尚、第1振動体106と第2振動体108との境界線B上の固定部150は、設けられていなくてもよい。また、第1振動体106と第2振動体108は弾性変形可能な連結部を用いて直接連結されていても良い。
【0022】
駆動用バネ部114は、Y軸に沿って往復しながらX軸に沿って延在する形状を有している。複数の駆動用バネ部114は、駆動用支持部112の中心を通るX軸に沿った図示しない仮想線、及び駆動用支持部112の中心を通るY軸に沿った図示しない仮想線に対して、対称に設けられている。駆動用バネ部114を上記のような形状とすることにより、駆動用バネ部114が、Y軸方向及びZ軸方向に変形することを抑制し、駆動用バネ部114を、駆動部110の振動方向であるX軸方向にスムーズに伸縮させることができる。そして、駆動用バネ部114の伸縮に伴い、駆動用支持部112をX軸に沿って振動させることができる。
【0023】
駆動用支持部112の外側では駆動用可動電極116は駆動用支持部112に接続されて配置される。駆動用可動電極116は駆動用支持部112の第1延在部112aに接続されている。
【0024】
駆動用固定電極130は駆動用支持部112の外側に配置される。駆動用固定電極130は基体2上に固定される。駆動用固定電極130は複数設けられ、駆動用可動電極116と対向配置される。駆動用固定電極130は、櫛歯状の形状を有している。駆動用可動電極116は駆動用固定電極130の櫛歯の間に挿入可能な突出部116aを有している。駆動用固定電極130と突出部116aとの距離を小さくすることにより、駆動用固定電極130と駆動用可動電極116との間に作用する静電力を大きくすることができる。
【0025】
駆動用固定電極130及び駆動用可動電極116に電圧を印加すると、駆動用固定電極130と駆動用可動電極116との間に静電力を発生させることができる。これにより、駆動用バネ部114がX軸に沿って伸縮し、駆動部110の駆動用支持部112をX軸に沿って振動させることができる。
【0026】
検出部120は、駆動部110に連結されている。図示の例では、検出部120は、駆動用支持部112の内側に配置されている。検出部120は、検出用支持部122と、検出用バネ部124と、検出用可動電極126と、を有することができる。尚、図示はしないが、検出部120は、駆動部110に連結されていれば、駆動用支持部112の外側に配置されていてもよい。
【0027】
検出用支持部122は、例えば、フレーム状の形状を有している。図示の例では、検出用支持部122は、X軸に沿って延在する第3延在部122aと、Y軸に沿って延在する第4延在部122bと、によって構成されている。
【0028】
検出用バネ部124は、検出用支持部122の外側に配置されている。検出用バネ部124は、検出用支持部122と駆動用支持部112とを接続している。より具体的には、検出用バネ部124の一端は、検出用支持部122の角部の近傍に接続されている。検出用支持部122の角部は第3延在部122aと第4延在部122bとの接続部である。検出用バネ部124の他端は、駆動用支持部112の第1延在部112aに接続されている。
【0029】
検出用バネ部124は、X軸に沿って往復しながらY軸に沿って延在する形状を有している。図示の例では、検出用バネ部124は、第1振動体106において、4つ設けられている。複数の検出用バネ部124は、検出用支持部122の中心を通るX軸に沿った図示しない仮想線、及び検出用支持部122の中心を通るY軸に沿った図示しない仮想線に対して、対称に設けられている。検出用バネ部124を上記のような形状とすることにより、検出用バネ部124が、X軸方向及びZ軸方向に変形することを抑制し、検出用バネ部124を、検出部120の振動方向であるY軸方向にスムーズに伸縮させることができる。そして、検出用バネ部124の伸縮に伴い、検出部120の検出用支持部122をY軸に沿って振動させることができる。尚、検出用バネ部124は検出用支持部122をY軸に沿って振動させることができれば、検出用バネ部124の数は特に限定されない。
【0030】
検出用可動電極126は、検出用支持部122の内側に、検出用支持部122に接続されて配置されている。図示の例では、検出用可動電極126は、X軸に沿って延在しており、検出用支持部122の2つの第4延在部122bに、接続されている。
【0031】
検出用固定電極140は、検出用支持部122の内側に配置されている。検出用固定電極140は、基体2上に固定されている。図示の例では、検出用固定電極140は、複数設けられ、検出用可動電極126を介して、対向配置されている。
【0032】
検出用可動電極126及び検出用固定電極140の数及び形状は、検出用可動電極126と検出用固定電極140との間の静電容量の変化を検出することができれば、特に限定されない。
【0033】
次に、角速度検出素子3の動作について説明する。図3図6は、本実施形態にかかる角速度センサー1の角速度検出素子3の動作を説明するための模式図である。尚、便宜上、図3図6では、角速度検出素子3の各部分を、簡略化して図示している。
【0034】
駆動用固定電極130及び駆動用可動電極116に、電圧を印加すると、駆動用固定電極130と駆動用可動電極116との間に静電力を発生させることができる。これにより、図3及び図4に示すように、駆動用バネ部114をX軸に沿って伸縮させることができ、駆動部110をX軸に沿って振動させることができる。
【0035】
より具体的には、第1振動体106の駆動用可動電極116と駆動用固定電極130との間に第1交番電圧を印加し、第2振動体108の駆動用可動電極116と駆動用固定電極130との間に第1交番電圧と位相が180度ずれた第2交番電圧を印加する。これにより、第1振動体106の第1駆動部110a、及び第2振動体108の第2駆動部110bを、互いに逆位相でかつ所定の周波数で、X軸に沿って振動させることができる。すなわち、X軸に沿って互いに連結された第1駆動部110a及び第2駆動部110bは、X軸に沿って、互いに逆位相で振動する。この振動を第1振動という。例えば、まず、図3に示すように、第1駆動部110aはα1方向に変位し、第2駆動部110bはα1方向と反対方向のα2方向に変位する。次に、図4に示すように、第1駆動部110aはα2方向に変位し、第2駆動部110bはα1方向に変位する。第1駆動部110a及び第2駆動部110bは、この動作を繰り返す。このようにして、第1駆動部110a及び第2駆動部110bは、互いに逆位相で振動する。
【0036】
尚、検出部120は、駆動部110に連結されているため、検出部120も駆動部110の振動に伴い、X軸に沿って振動する。すなわち、第1振動体106及び第2振動体108は、X軸に沿って、互いに逆位相で振動する。この振動を第1振動とする。
【0037】
図5及び図6に示すように、第1駆動部110a,第2駆動部110bが第1振動を行っている状態で、角速度検出素子3にZ軸回りの角速度ωが加わると、コリオリの力が働き、検出部120は、Y軸に沿って変位する。すなわち、第1駆動部110aに連結された第1検出部120a、及び第2駆動部110bに連結された第2検出部120bは、第1振動及びコリオリ力によって、Y軸に沿って、互いに反対方向に変位する。例えば、まず、図5に示すように、第1検出部120aはβ1方向に変位し、第2検出部120bはβ1方向と反対方向のβ2方向に変位する。次に、図6に示すように、第1検出部120aはβ2方向に変位し、第2検出部120bはβ1方向に変位する。第1検出部120a及び第2検出部120bは、コリオリ力を受けている間、この動作を繰り返す。
【0038】
第1検出部120a,第2検出部120bがY軸に沿って変位することにより、検出用可動電極126と検出用固定電極140との間の距離Lは、変化する。そのため、検出用可動電極126と検出用固定電極140との間の静電容量は、変化する。角速度検出素子3では、検出用可動電極126及び検出用固定電極140に電圧を印加することにより、検出用可動電極126と検出用固定電極140との間の静電容量の変化量を検出し、Z軸回りの角速度ωを求めることができる。
【0039】
次に、蓋体4の溶融部4cについて説明する。図7及び図8に示すように、Z方向から見たとき、溶融部4cは略円形であり、貫通穴4bと重なる。溶融部4cは凹凸を含む連続する曲面4dを備える。
【0040】
この構成によれば、貫通穴4bが封止されているので、蓋体4により空間6が密封される。レーザー光を照射されて溶融部4cが形成される。溶融部4cは多結晶であり、溶融部4cの周辺は単結晶である。溶融部4cと溶融部4cの周辺とでは結晶構造が異なる。
結晶構造の変化が急激に変化する場所では残留応力の変化が大きく、クラックが発生し易い。溶融部4cが凹凸を有する連続な曲面4dを備えるとき、結晶構造の変化が緩やかに変化している。従って、残留応力の変化が緩やかな為、クラックの発生を抑制できる。
【0041】
蓋体4は単結晶であり、溶融部4cは多結晶である。詳しくは、蓋体4は溶融部4c以外が単結晶である。この構成によれば、単結晶である蓋体4にレーザー光を照射して加熱することにより、容易に多結晶の溶融部4cを形成することができる。
【0042】
蓋体4の寸法は特に限定されないが、本実施形態では、例えば、蓋体4の厚みは180μmである。第1凹部4aの深さは50μmである。従って、第1凹部4aにおける蓋体4の厚みは130μmである。
【0043】
貫通穴4bの直径は10μm~30μmである。溶融部4cの深さである溶融部凹凸深さ7は10μm以上50μm以下であることが好ましい。溶融部凹凸深さ7は溶融部4cのへこんだ部分の底から突出する部分までの長さを示す。レーザー光のビーム集光径を200μmとした場合、溶融部4cの直径である溶融部直径8は140μm~220μmである。即ち、ビーム集光径の70~110%の大きさである。第2面4fから貫通穴4bの端面までの長さを溶融部深さ17とする。溶融部深さ17をDとし、溶融部直径8をLとする。溶融部深さ17を溶融部直径8で除算した深さ直径比であるD/L比は0.5以上3.0以下であることが好ましい。
【0044】
角速度検出素子3は常時一定の周波数で振動しており、振動時の抵抗を減らすために空間6の気圧は減圧されている。振動のQ値が高い状態にて安定して振動するために、空間6の気圧は0.1Pa~10Paになっている。
【0045】
蓋体4にクラックができると、空間6と外気との間にリークパスができる。空間6の気圧が大気圧になる。このとき、角速度検出素子3の振動が減衰状態となり、角速度検出素子3の検出感度が低下する。
【0046】
次に、角速度センサー1の製造方法について説明する。図9において、絶縁性基体である基体2に凹部2aが形成され、図示しない金属配線が形成される。基体2はガラス、石英、等であっても良い。本実施形態では、例えば、テンパックス(登録商標)ガラスを用いた。基体2にガラスを用いた場合、凹部2aはHFによるウェットエッチで形成される。HFはフッ化水素を示す。角速度検出素子3はシリコン基板を陽極接合した後、Boschプロセスで垂直加工を施して形成される。図示しない金属配線上のバンプとシリコンを熱処理により合金化させることにより、良好な電気接続が得られる。金属配線の最表面を白金とすると良好なシリサイド合金が形成されて良い。角速度検出素子3の形成方法は公知であり詳細な説明を省略する。
【0047】
図10に示すように、蓋体4の材料となる基板を用意する。蓋体4の基板はシリコンの(100)面を有する。第1面4eにBoschプロセスで30μm~50μm程度の第1凹部4aが形成される。蓋体4において、第1面4eと反対側の面を第2面4fとする。蓋体4の第2面4fに、更に、Boschプロセスで貫通穴4bと凹部としての第2凹部4gが形成される。第2凹部4gはダミーパターンともいう。貫通穴4bと第2凹部4gのエッチング深さはマイクロローディング効果を利用しても良いし、マスクの厚みを調整して制御しても良い。次に、接合層5が蓋体4に形成される。接合層5は蓋体4側にスクリーン印刷技術を用いてウエハー全体に印刷する。接合層5は基体2に配置しても良い。このように、シリコンを含む蓋体4に第2面4fから貫通穴4b及び第2凹部4gが形成される。
【0048】
図11に示すように、Z方向から見た平面視で第2凹部4gは貫通穴4bと同心円の第1溝9及び第2溝10により構成される。第1溝9及び第2溝10の溝幅11は10μm以上20μm以下であることが好ましい。第1溝9と第2溝10との溝間距離12は10μm以上20μm以下であることが好ましい。
【0049】
図12に示すように、第1溝9及び第2溝10の溝深さ13は20μm以上40μm以下である。貫通穴4b及び第2凹部4gは公知のBoschプロセス法を用いて形成される。Boschプロセス法はアスペクト比の高いエッチングが可能である。
【0050】
貫通穴4bと第2凹部4gとのエッチング回数を変えて溝深さ13を制御しても良い。
例えば、貫通穴4bの長さが130μmであり、溝深さ13が30μmとする。1回のエッチングサイクルで掘られる深さを1μmとする。まず、エッチング100サイクルを施すことにより貫通穴4bが100μm掘さられる。次に、エッチング30サイクルを追加することにより貫通穴4b及び第2凹部4gが並行して30μm掘られる。この方法により、貫通穴4bが貫通し、溝深さ13が30μmになる。
【0051】
図13に示すように、蓋体4と基体2とが接合される。接合は加圧及び加熱して行われる。加圧は10~1000kPa、加熱は250~500℃の範囲で行われる。雰囲気は窒素やアルゴン等の不活性ガスで良く、気圧は真空、大気圧、陽圧でも良い。蓋体4は接合層5となるガラスフリット材を用いて、基体2へ接合される。本実施形態ではガラスフリットによるフリット接合を用いたが、陽極接合、直接接合、金属共晶接合、プラズマ活性化接合であっても良い。尚、貫通穴4b及び第2凹部4gは接合層5を接合した後に形成しても良い。角速度検出素子3が設けられた基体2と蓋体4との間の空間6に角速度検出素子3を収納するように構成される。
【0052】
図14に示すように、真空加熱処理により脱ガス処理が行われる。具体的には300℃以上、100Pa以下で数時間加熱する。空間6のガスが貫通穴4bから外部へ取り出される。本実施形態では、例えば、1Paまで減圧チャンバー内が減圧される。チャンバー内は減圧雰囲気になる。次に、空間6に水分が付着しないように疎水処理を行う。疎水処理はシランカップリング材であるHMDSを用いた。HMDSはヘキサメチルジシラザンを示す。このような疎水処理により空間6の水分含有率を100ppm以下にすることが出来る。水分の侵入を防ぐことで、空間6を高真空の状態に保つことが可能となる。従って、角速度検出素子3を、振動のQ値が高い状態にて安定して振動させることが出来る。
【0053】
次に、図15に示すように、第2凹部4g及び貫通穴4bにレーザー光14が照射される。基体2及び蓋体4を加熱し、蓋体4の温度を上昇させた状態で、貫通穴4bと第2凹部4gとにレーザー光14が同時に照射される。レーザー光14はレーザー光源15から発光され集光光学系16により集光される。レーザー光14が集光された集光部14aの直径は100μm~200μmである。第2凹部4gではレーザー光14の回折を促し、より低いエネルギーで溶融させることが出来る。従ってドロス、デブリ等が少なく、クラックも発生し難い。蓋体4の温度を上昇させたので、更に低エネルギーで溶融させ得ることが出来る。レーザー光14のパワーは平坦な第2面4fが溶け出すパワーの0.5~1.0倍で良い。第2凹部4g及び貫通穴4bにレーザー光14が照射され第2凹部4g及び貫通穴4bが溶融し空間6が封止される。レーザー光14の照射はレーザー光14に対して透明な窓部を含むチャンバー内で減圧雰囲気下で行われる。レーザー光14が照射されるとき蓋体4は基体2を介して加熱されている。
【0054】
レーザー光14の波長はシリコンバンドギャップに近い1070nm~1100nmである。蓋体4の材質をシリコンとしたためレーザー照射過程でアブレーション現象が起きないように光吸収係数が小さい波長のレーザーを選択した。光吸収係数が小さい波長とはシリコンのバンドギャップ波長近傍、もしくはそれよりも長波長のレーザーである。波長800nm以上であれば光吸収係数を300cm-1以下とすることが出来る。この様な波長のレーザーを選択すれば、熱加工によりシリコンを溶融させることができる。本実施形態では、例えば、YAGレーザー(Yttrium Aluminum Garnet)を用いてレーザー光14の波長は約1064nmとした。
【0055】
図12に示すように、第2凹部4gにてレーザー光14が回折し、より効率的にレーザー溶融を行うことができる。例えば、フラットな面を溶融させることができるレーザー照射エネルギーをE0とするとき、0.1~0.5×E0のエネルギー量で良好な溶融が行える。従ってデブリやドロスを抑制した孔封止が実施できる。
【0056】
この方法によれば、蓋体4には貫通穴4b及び第2凹部4gが形成される。貫通穴4bはレーザー光14の照射を受ける。蓋体4が溶融して貫通穴4bが塞がれる。第2凹部4gではレーザー光14の一部が回折するので貫通穴4bの周辺ではレーザー光14が多方向に向かって進行する。レーザー光14は蓋体4の表面に近い浅い場所でシリコンに吸収される。貫通穴4bでは蓋体4の表面近くの温度が高く、表面から離れるにつれて緩やかに温度が低下する。また、貫通穴4bから離れるにつれて緩やかに温度が低下する。
【0057】
溶融部4cは多結晶であり、溶融部4cの周辺は単結晶である。溶融部4cと溶融部4cの周辺とでは結晶構造が異なるが、熱膨張係数はほぼ等しい。貫通穴4bでは蓋体4の表面から離れるにつれて、結晶構造が緩やかに変化する。また、貫通穴4bから離れるにつれて、結晶構造が緩やかに変化する。従って、残留応力の変化が緩やかな為、クラックの発生を抑制できる。
【0058】
レーザー光14を照射するとき、角速度センサー1はレーザー光14に対して透明な窓部を含むチャンバー内で減圧雰囲気下にあり、蓋体4は基体2を介して加熱されている。
この方法によれば、減圧雰囲気にて貫通穴4bが封止されるので、角速度検出素子3を収納する空間6は減圧状態で密閉される。減圧雰囲気では雰囲気ガスの熱伝導率が低いため、蓋体4の温度が低下する。一般に、ガス気体は100~1,000Paを境界に熱伝導率が大きく変化する。従って、角速度検出素子3が動作し易い空間6の圧力は0.1~10Paであるから、基体2を介して蓋体4を加熱すると効率が大幅に低下する。蓋体4の温度が低下すると、蓋体4が溶融し難くなり、より強いレーザー照射エネルギーが必要となる。これはデブリやドロスを発生させる要因となる。本方法では蓋体4を300℃以上と、十分に加熱されるので確実に蓋体4は溶融して貫通穴4bを封止できる。
【0059】
次に、図16に示すように、少なくとも蓋体4の1辺がダイシングブレード18で切り落とされる。こうすることで基体2上に配置される電極パッド19を晒すことが可能となる。つまり、ワイヤーボンディングが可能となる。また、この時には基体2や接合層5は切断しない。従って、空間6は良好な気密性を維持できる。最終的に基体2の4辺が分割され、角速度センサー1が取り出される。以上のステップにて角速度センサー1が完成する。
【0060】
第2実施形態
本実施形態が第1実施形態と異なるところは、角速度検出素子3の代わりに加速度検出素子が設置されている点にある。尚、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0061】
図17に示すように、物理量センサーとしての加速度センサー21は基体2を備える。
基体2には可動体としての加速度検出素子22が設けられる。
【0062】
基体2上には蓋体23が設置される。接合層5により蓋体23は基体2に接合される。
蓋体23は基体2側に第1凹部23aを備える。加速度検出素子22は第1凹部23aに配置される。このように、加速度センサー21は基体2とともに加速度検出素子22を収納する蓋体23を備える。加速度検出素子22は、基体2と蓋体23との間の空間6に収納される。蓋体23には貫通穴23bが設けられる。蓋体23は貫通穴23bを溶融した溶融部23cを備える。溶融部23cが貫通穴23bを塞ぐことにより溶融部23cは空間6を密封する。溶融部23cは凹凸を含む連続する曲面23dを備える。
【0063】
次に、加速度検出素子22について説明する。
図18に示す加速度検出素子22は、X方向の加速度Axを検出する加速度センサー素子である。基体2には第1マウント部76、第2マウント部77が設けられており、加速度検出素子22を支持している。加速度検出素子22は、可動部71と、バネ部72と、固定部73と、第1固定検出電極74と、第2固定検出電極75と、を備える。
【0064】
可動部71は、X方向に延在する基部71aと、基部71aからY方向両側に突出した複数の可動電極である可動検出電極71bと、を有する。可動部71は、基部71aの両端部においてバネ部72を介して固定部73に接続されている。また、固定部73は、基体2から突出した第1マウント部76に固定されている。これにより、可動部71は、固定部73に対してX方向に変位可能となる。また、固定電極である第1固定検出電極74,第2固定検出電極75は、基体2から突出した第2マウント部77に固定されており、可動検出電極71bを間に挟んで設けられている。
【0065】
2つの可動検出電極71bの間に第1固定検出電極74及び第2固定検出電極75が配置される。可動部71がX正方向に変位するとき、可動検出電極71bは第1固定検出電極74と接近し、第2固定検出電極75から離れる。可動部71がX負方向に変位するとき、可動検出電極71bは第2固定検出電極75と接近し、第1固定検出電極74から離れる。
【0066】
基体2に設けられた配線と接点68とを介して可動部71の可動検出電極71bと第1端子とが電気的に接続される。配線を介して第1固定検出電極74と第2端子とが電気的に接続される。配線を介して第2固定検出電極75と第3端子とが電気的に接続されている。また、可動部7の可動検出電極71b、第1固定検出電極74、及び第2固定検出電極75には、第1端子,第2端子,第3端子を介して所定の電圧が印加されており、可動検出電極71bと第1固定検出電極74、第2固定検出電極75との間に、それぞれ、静電容量が形成されている。第1端子,第2端子及び第3端子はそれぞれ電極パッド19の1つである。
【0067】
このような加速度検出素子22は、次のようにして加速度Axを検出することができる。加速度検出素子22に加速度Axが加わると、加速度Axの大きさに基づいて、可動部71が、バネ部72を弾性変形させながら、X方向に変位する。可動部71が変位することで、可動検出電極71bと第1固定検出電極74とのギャップ及び可動検出電極71bと第2固定検出電極75とのギャップが変化し、それに伴ってこれらの間の静電容量が変化する。そのため、この静電容量の変化量に基づいて加速度Axを検出することができる。
【0068】
図17において、蓋体23には貫通穴23bが設けられており、加速度検出素子22を収容する空間6の雰囲気圧力が調整できる。空間6の雰囲気圧力を調整することにより加速度検出素子22の不要な振動の振幅を収束させるダンピング効果が得られる。ダンピング効果は製品寿命に渡って十分確保しなければならない。具体的には封止圧力は窒素やアルゴン等の不活性ガスを用いて10,000~150,000Paにするのが好ましい。
このように空間6の圧力を加速度検出素子22が動作し易い圧力に調整した後に、レーザー光14を用いて貫通穴23bが密封される。フラットな面を溶融させることができるレーザー照射エネルギーをE0とするとき、0.1~0.5×E0のエネルギー量で良好な溶融が行える。
【0069】
加速度検出素子22を封止する封止工程でもヒーターにより基体2及び蓋体23が加熱される。蓋体23の加熱温度は角速度検出素子3のときより低い温度にするのが好ましい。この温度は第1実施形態より低い200℃~300℃が好ましい。加速度検出素子22の封止工程では、前述した通り10,000~150,000Paと、角速度検出素子3を封止したときより空間6の圧力を高い圧力にして封止するため、雰囲気ガスの熱伝導率は比較的良好である。従って、角速度検出素子3より低い温度設定でも貫通穴23bの溶融を良好に行うことが出来る。更に、レーザー溶融で蓋体23がより高温になっているため、少し低めの設定にした方が良い。すべてのレーザー溶融の工程が終了した後に加速度センサー21を室温に戻してから加速度センサー21をチャンバーから取り出す。
【0070】
加速度センサー21のときも角速度センサー1と同様に貫通穴23bにクラックが発生することを抑制できる。従って、信頼性の高い加速度センサー21を製造することができる。
【0071】
次に、蓋体23の溶融部23cについて説明する。図19に示すように、Z方向から見たとき、溶融部23cは略円形であり、貫通穴23bと重なる。溶融部23cは凹凸を含む連続する曲面23dを備える。
【0072】
蓋体23の寸法は特に限定されないが、本実施形態では、例えば、蓋体23の厚みは180μmである。第1凹部23aの深さは50μmである。従って、第1凹部23aにおける蓋体23の厚みは130μmである。
【0073】
貫通穴23bの直径は10μm~30μmであることが好ましい。溶融部23cの深さである溶融部凹凸深さ7は10μm以上50μm以下である。溶融部凹凸深さ7は溶融部23cのへこんだ部分の底から突出する部分までの長さを示す。レーザー光のビーム集光径を200μmとした場合、溶融部23cの直径である溶融部直径8は140μm~220μmである。即ち、ビーム集光径の70~110%の大きさである。第2面23fから貫通穴23bの端面までの長さを溶融部深さ17とする。溶融部深さ17をDとし、溶融部直径8をLとする。溶融部深さ17を溶融部直径8で除算した深さ直径比であるD/L比は0.01以上0.5以下であることが好ましい。
【0074】
第3実施形態
本実施形態が第1実施形態及び第2実施形態と異なるところは、物理量センサーに角速度検出素子3及び加速度検出素子22が設置されている点にある。尚、第1実施形態及び第2実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0075】
図20に示すように、物理量センサーとしての慣性センサー81は基体82を備える。
基体82はシリコン基板82a、酸化シリコン層82b及び多結晶シリコン層82cを備える。シリコン基板82a上に酸化シリコン層82bが積層される。酸化シリコン層82b上に多結晶シリコン層82cが積層される。酸化シリコン層82b上には角速度検出素子3及び加速度検出素子22が設けられる。
【0076】
慣性センサー81は基体82とともに角速度検出素子3及び加速度検出素子22を収納する蓋体83を備える。蓋体83は接合層86を介して基体82に接合されている。角速度検出素子3は基体82と蓋体83との間の空間としての第1空間84に収納される。加速度検出素子22は、基体82と蓋体83との間の空間としての第2空間85に収納される。この時、蓋体83の角速度検出素子3及び加速度検出素子22に対向する面には凹部が設けられていない。
【0077】
蓋体83には貫通穴としての第1貫通穴83a及び貫通穴としての第2貫通穴83bが設けられる。蓋体83は第1貫通穴83aを溶融した溶融部としての第1溶融部83cを備える。第1溶融部83cが第1貫通穴83aを塞ぐことにより第1溶融部83cは第1空間84を密封する。蓋体83は第2貫通穴83bを溶融した溶融部としての第2溶融部83dを備える。第2溶融部83dが第2貫通穴83bを塞ぐことにより第2貫通穴83bは第2空間85を密封する。第1空間84と第2空間85との間には隔壁87が配置される。
【0078】
第1貫通穴83a及び第1溶融部83cはそれぞれ第1実施形態の貫通穴4b及び溶融部4cに相当する。第1溶融部83cの形状は溶融部4cと略同じである。第1空間84及び角速度検出素子3はそれぞれ第1実施形態の空間6及び角速度検出素子3と略同じである。第1空間84内の気圧は第1実施形態における空間6の気圧と略同じである。
【0079】
第2貫通穴83b及び第2溶融部83dはそれぞれ第2実施形態の貫通穴23b及び溶融部23cに相当する。第2溶融部83dの形状は溶融部23cと略同じである。第2空間85及び加速度検出素子22はそれぞれ第2実施形態の空間6及び加速度検出素子22と略同じである。第2空間85の気圧は第2実施形態における空間6の気圧と略同じである。尚、第1溶融部83c及び第2溶融部83dの深さが異なっているのは、レーザー照射エネルギーが異なっているからである。
【0080】
次に、慣性センサー81の製造方法について説明する。
図21において、シリコン基板82aが用意される。犠牲層となる酸化シリコン層82bと素子層となる多結晶シリコン層82cがシリコン基板82a上に形成される。酸化シリコン層82bの下には図示しない下部電極層を作成しても良い。その際にはエッチングストップ層となる窒化シリコンを下面に形成しておく。酸化シリコン層82bの厚みは2μm以下であり、多結晶シリコン層82cの厚みは15μm~30μm程度である。各層の成膜にはスパッタ法、蒸着法、CVD法が用いられる。フォトリソグラフィー法によりパターニングが施され、Bosch法を用いて角速度検出素子3及び加速度検出素子22が形成される。この時、素子間に隔壁の一部となるシリコン基板82aに固定された多結晶シリコン層82cを残し、第1空間84と第2空間85とが連通しないようにする。そして、HFベーパーにより酸化シリコン層82bがリリースされる。基体82には、角速度検出素子3及び加速度検出素子22などの物理量センサーが複数設けられている。
【0081】
図22において、蓋体83の材料となる基板83mが用意される。基板83mはシリコン(100)面を有する。基板83mにおいて基体82と反対側の面を第2面83fとする。第2面83fにBoschプロセスで第1貫通穴83a、第2貫通穴83b、第3凹部83g、第4凹部83hが形成される。第3凹部83g及び第4凹部83hは第1実施形態の第2凹部4gに相当する。
【0082】
第1貫通穴83a、第2貫通穴83b、第3凹部83g、第4凹部83hのエッチング深さはマイクロローディング効果を利用しても良いし、マスクの厚みを調整して制御しても良い。次に、接合層86が基板83mに形成される。接合層86は基板83m側にスクリーン印刷技術を用いてウエハー全体に印刷するが、基体82の多結晶シリコン層82c側に形成しても良い。また、接合層86はAlGe等の低融点合金であっても良い。第1空間84と第2空間85との間の封止雰囲気を分離するために、隔壁87部分にも接合層86が形成される。
【0083】
基体82と基板83mとの間には、複数の第1空間84及び複数の第2空間85が設けられる。第1空間84は、少なくとも1つの角速度検出素子3に対応して設けられる。第1貫通穴83a及び第3凹部83gは、1つの第1空間84に対応してそれぞれ設けられる。第2空間85は、少なくとも1つの加速度検出素子22に対応して設けられる。第2貫通穴83b及び第4凹部83hは、1つの第2空間85に対応してそれぞれ設けられる。したがって、基板83mには、図28に示すように、複数の第1貫通穴83aが設けられる。また、基板83mには、図28に示すように、複数の第2貫通穴83bが設けられる。
【0084】
図23において、基板83mと基体82とが加圧・加熱されて接合される。接合時の加圧は10kPa~1000kPaである。接合時の加熱は250~500℃の範囲で行う。接合時の雰囲気は窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で良く、真空、大気圧、陽圧でも良い。基板83mは接合層86となるAlGe材を用いて、多結晶シリコン層82cへ接合される。本実施形態ではAlGe材による金属共晶接合を用いたが、陽極接合、直接接合、ガラスフリット接合、プラズマ活性化接合であっても良い。尚、第1貫通穴83a、第2貫通穴83b、第3凹部83g、第4凹部83hは基板83mと基体82とを接合した後に形成されても良い。基体82及び基板83mが接合された基板を接合基板98とする。
【0085】
図24において、真空加熱処理により脱ガス処理が行われる。具体的には250~300℃の温度で、100Pa以下の気圧で数時間加熱する。第1空間84のガスが第1貫通穴83aから外部へ取り出される。第2空間85のガスが第2貫通穴83bから外部へ取り出される。
【0086】
次に第1空間84と第2空間85の疎水処理を行う。疎水処理はシランカップリング材であるHMDSを用いた。このような疎水処理により第1空間84及び第2空間85の水分含有率を100ppm以下にすることが出来る。従って、角速度検出素子3及び加速度検出素子22を、水分による雰囲気ガス圧力の変動を受けずに良好に動作させることが出来る。
【0087】
図25に示すようなレーザー封止装置88を用意する。レーザー封止装置88はチャンバー89を備える。レーザー封止装置88はチャンバー89内を減圧するロータリーポンプ90及びターボ分子ポンプ91を備える。チャンバー89の内部には被加工物92を移動するXYステージ93が配置される。XYステージ93は被加工物92を移動させ、レーザー光源15から照射されるレーザー光14の照射位置を適正な位置に合致させる役割を持つ。XYステージ93の替わりにレーザー光源15を移動させても良い。さらに、チャンバー89の内部には被加工物92を加熱するシースヒーター94が配置される。被加工物92は接合基板98に相当する。シースヒーター94は接合基板98に於ける基体82を介して基板83mを加熱している。この時シースヒーターは接合基板98を加熱できればよく、シースヒーターの替わりにハロゲンヒーターであっても良い。更に基板83mが加熱されれば良いため、接合基板98に於ける基板83m側から加熱しても良い。
【0088】
チャンバー89の1つの面に窓部95が設置される。窓部95はサファイアガラスを備える。サファイアガラスの表面にはAR(anti-reflective coating)コートが施されている。チャンバー89の外側にはレーザー光源15が設置され、レーザー光源15は集光されたレーザー光14を被加工物92に照射する。尚、窓部95は、レーザー光源15に対して透明である材料が好適であるため、サファイアガラスを選択してある。
【0089】
図26において、接合基板98がチャンバー89に内に設置され、真空引きが行われ、シースヒーター94で所定の温度T1まで接合基板98が加熱される。真空度が100Pa以下になり、10min以上待機し基板83mまで温度がT1に達したら、角速度検出素子3側の第1貫通穴83a及び第3凹部83gにレーザー光14が照射されて溶融される。真空状態では温度が伝わり難い為、温度T1は比較的高い300℃~400℃が良好であった。第1貫通穴83a及び第3凹部83gは第1溶融部83cになる。
【0090】
図27に示すように、次に、接合基板98をチャンバー89に入れたまま、チャンバー89に窒素ガス等の不活性ガスが導入され、接合基板98の温度をT2に制御する。窒素ガスの熱伝導率はチャンバー89内の気圧が100Pa以上で良好になるため、加熱温度は300℃以下で良い。
【0091】
加速度検出素子22側の第2貫通穴83b及び第4凹部83hにレーザー光14が照射されて溶融される。角速度検出素子3側の第1貫通穴83aのときに比べて、照射エネルギーも低くて良い。従って、ドロスやデブリ、クラック等も発生し難くなる。第2貫通穴83b及び第4凹部83hは第2溶融部83dになる。
【0092】
ウエハー上のすべての第2貫通穴83bについて溶融完了後、チャンバー89内の温度が室温に戻される。接合基板98がチャンバー89から取り出される。
【0093】
図28はレーザー光14が通過する軌跡を示す。基板83mには第1貫通穴83a及び第3凹部83gが複数の平行な線上に並んでいる。第1軌跡96は第1貫通穴83a及び第3凹部83gが並ぶ複数の配列に沿っている。図26に示す第1溶融部83cが形成される工程では、接合基板98の温度がT1に保たれ、レーザー光14が第1軌跡96に沿って移動する。レーザー光14は第1軌跡96に於いて、連続的に照射しても良いし、第1貫通穴83a及び第3凹部83gの領域を通過する時のみに照射しても良い。すななち、レーザー光14は第1軌跡96に於いてパルス状に不連続で照射してもよい。
【0094】
同様に、基板83mには第2貫通穴83b及び第4凹部83hが複数の平行な線上に並んでいる。第2軌跡97は第2貫通穴83b及び第4凹部83hが並ぶ複数の配列に沿っている。図27に示す第2溶融部83dが形成される工程では、接合基板98の温度がT2に保たれ、レーザー光14が第2軌跡97に沿って移動する。レーザー光14は第2軌跡97に於いて、連続的に照射しても良いし、第2貫通穴83b及び第4凹部83hの領域を通過する時のみに照射しても良い。すななち、レーザー光14は第2軌跡97に於いてパルス状に不連続で照射してもよい。
【0095】
第1溶融部83cが形成される工程及び第2溶融部83dが形成される工程ではともに基体82が同一のチャンバー89内に設置されている。そして、気圧、温度、ガスの種類が変更されている。チャンバー89内を大気圧、常温、空気から所定の気圧、温度、ガスの種類に変更するには時間がかかる。従って、第1溶融部83cが形成された後に、接合基板98をチャンバー89から取り出して、別のチャンバー89に入れて第2溶融部83dを形成する方法に比べて、生産性良く、第1溶融部83c及び第2溶融部83dを形成できる。
【0096】
図29に示すように、チャンバー89から接合基板98が取り出され、ダイシングブレード18を用いたハーフダイシングによりの接合基板98の少なくとも1辺が切り出される。こうすることで電極パッド19を露出させ、ワイヤーボンディングが可能となる。その後、接合基板98の4辺を切断し、角速度検出素子3と加速度検出素子22とが混載する慣性センサー81が完成する。尚、第1溶融部83c及び第2溶融部83dの深さが異なっているのは、レーザー照射エネルギーが異なっているからである。
【0097】
第4実施形態
本実施形態では上記の角速度センサー1、加速度センサー21または慣性センサー81が搭載された慣性計測ユニット2000の例を説明する。
【0098】
図30に示す慣性計測ユニット2000は、自動車や、ロボット等の運動体の姿勢や、挙動等の慣性運動量を検出する装置である。慣性計測ユニット2000はIMU(Inertial Measurement Unit)ともいう。慣性計測ユニット2000は、3軸に沿った方向の加速度Ax,Ay,Azを検出する加速度センサー21と、3軸周りの角速度ωx,ωy,ωzを検出する角速度センサー1と、を備えた、いわゆる6軸モーションセンサーとして機能する。
【0099】
慣性計測ユニット2000は、平面形状が略正方形の直方体である。また、正方形の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に、ネジ穴2110が形成されている。この2ヶ所のネジ穴2110に2本のネジを通して、自動車等の被装着体の被装着面に慣性計測ユニット2000を固定することができる。尚、部品の選定や設計変更により、例えば、スマートフォンやデジタルカメラに搭載可能なサイズに小型化することも可能である。
【0100】
慣性計測ユニット2000は、アウターケース2100と、接合部材2200と、センサーモジュール2300と、を有し、アウターケース2100の内部に、接合部材2200を介在させて、センサーモジュール2300を挿入した構成となっている。また、センサーモジュール2300は、インナーケース2310と、基板2320と、を有している。
【0101】
アウターケース2100の外形は、慣性計測ユニット2000の全体形状と同様に、平面形状が略正方形の直方体であり、正方形の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に、それぞれネジ穴2110が形成されている。また、アウターケース2100は箱状であり、その内部にセンサーモジュール2300が収納されている。
【0102】
インナーケース2310は、基板2320を支持する部材であり、アウターケース2100の内部に収まる形状となっている。また、インナーケース2310には、基板2320との接触を防止するための凹部2311やコネクター2330を露出させるための開口2312が形成されている。このようなインナーケース2310は、接合部材2200を介してアウターケース2100に接合されている。また、インナーケース2310の下面には接着剤を介して基板2320が接合されている。
【0103】
図31に示すように、基板2320の上面には、コネクター2330、Z軸周りの角速度を検出す角速度センサー2340z、X軸、Y軸及びZ軸の各軸方向の加速度を検出する加速度センサーユニット2350等が実装されている。また、基板2320の側面には、X軸周りの角速度を検出する角速度センサー2340x及びY軸周りの角速度を検出する角速度センサー2340yが実装されている。
【0104】
加速度センサーユニット2350は、必要に応じて、一軸方向の加速度を検出したり、二軸方向や三軸方向の加速度を検出したりすることができる。
【0105】
また、基板2320の下面には、制御IC2360が実装されている。各センサーから出力された検出信号に基づいて制御を行う制御IC2360は、MCU(Micro Controller Unit)であり、不揮発性メモリーを含む記憶部や、A/Dコンバーター等を内蔵しており、慣性計測ユニット2000の各部を制御する。記憶部には、加速度、及び角速度を検出するための順序と内容を規定したプログラムや、検出データをデジタル化してパケットデータに組込むプログラム、付随するデータ等が記憶されている。尚、基板2320には、その他にも複数の電子部品が実装されている。
【0106】
角速度センサー2340z、角速度センサー2340x、角速度センサー2340yには上記の角速度センサー1または慣性センサー81が用いられている。加速度センサーユニット2350には加速度センサー21または慣性センサー81が用いられている。
【0107】
従って、慣性計測ユニット2000は上記の角速度センサー1、加速度センサー21または慣性センサー81を備える。この構成によれば、慣性計測ユニット2000は上記の角速度センサー1、加速度センサー21または慣性センサー81を備える。上記の角速度センサー1、加速度センサー21または慣性センサー81は蓋体4、蓋体23または蓋体83にクラックが入り難い構造になっている。従って、慣性計測ユニット2000は蓋体4、蓋体23または蓋体83にクラックが入り難い物理量センサーを備える慣性計測ユニット2000とすることができる。
【0108】
第5実施形態
第1実施形態では、Z方向から見た平面視で第2凹部4gは貫通穴4bと同心円の第1溝9及び第2溝10により構成された。
【0109】
図32に示すように、Z方向から見た平面視において貫通穴4bに相当する貫通穴200は四角形でも良い。Z方向から見た平面視において第2凹部4gに相当する凹部201も四角形でも良い。凹部201は貫通穴200の周りに配置される。このときにも、凹部201ではレーザー光14の一部が回折するので貫通穴200の周辺ではレーザー光14が多方向に向かって進行する。従って、溶融部4cでは残留応力の変化が緩やかな為、クラックの発生を抑制できる。他にも、Z方向から見た平面視で貫通穴200及び凹部201の形状はひし形、三角形、市松模様でも良い。
【0110】
図33に示すように、Z方向から見た平面視において貫通穴4bに相当する貫通穴210は円形である。Z方向から見た平面視において第2凹部4gに相当する凹部211は貫通穴210から延びる放射状の長方形でも良い。凹部211は貫通穴210の周りに配置される。このときにも、凹部211ではレーザー光14の一部が回折するので貫通穴210の周辺ではレーザー光14が多方向に向かって進行する。従って、溶融部4cでは残留応力の変化が緩やかな為、クラックの発生を抑制できる。他にも、Z方向から見た平面視で第2凹部4gに相当する凹部は螺旋形状でも良い。
【符号の説明】
【0111】
1…物理量センサーとしての角速度センサー、2…基体、3…可動体としての角速度検出素子、4…蓋体、4b,23b,200,210…貫通穴、4c,23c…溶融部、4g…凹部としての第2凹部、6…空間、14…レーザー光、21…物理量センサーとしての加速度センサー、22…可動体としての加速度検出素子、81…物理量センサーとしての慣性センサー、83a…貫通穴としての第1貫通穴、83b…貫通穴としての第2貫通穴、83c…溶融部としての第1溶融部、83d…溶融部としての第2溶融部、84…空間としての第1空間、85…空間としての第2空間、2000…慣性計測ユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
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図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
【手続補正書】
【提出日】2024-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体に第1凹部を形成し、
前記第1凹部と対向するようにシリコン基板を前記基体に接合し、
フォトリソグラフィー技法とエッチング技法を用いて、前記シリコン基板を加工するこ
とにより機能素子を形成し、
フォトリソグラフィー技法とエッチング技法を用いて、互いに表裏の関係にある第1面
と第2面とを含む蓋体の前記第1面を加工することにより第2凹部を形成し、
フォトリソグラフィー技法とエッチング技法を用いて、前記蓋体の前記第2面を加工す
ることにより貫通穴と第3凹部を形成し、
前記蓋体の前記第2凹部と、前記基体の前記第1凹部と、が対向するように前記蓋体と
前記基体とを接合することにより、前記蓋体と前記基体との間の空間に前記機能素子を収

前記蓋体と基体とを加熱することにより前記空間を疎水処理し、
前記貫通穴及び前記第3凹部にレーザー光を照射し
前記蓋体の前記貫通穴及び前記第3凹部の周辺領域を溶融することにより溶融部を形成
し、
前記溶融部により前記貫通穴を塞ぐことにより、前記空間を封止することを特徴とする
物理量センサーの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記レーザー光
減圧雰囲気下にあるチャンバー内で照射され
前記チャンバー内で、前記蓋体は前記基体を介して加熱されていることを特徴とする
物理量センサーの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第3凹部は、平面視で、前記貫通穴と同心円の第1溝と第2溝とを含むことを特徴
とする物理量センサーの製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1溝及び前記第2溝の溝幅は10μm以上20μm以下であることを特徴とする
物理量センサーの製造方法。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記第1溝及び前記第2溝の溝深さは20μm以上40μm以下であることを特徴とす
る物理量センサーの製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記溶融部は、凹凸を含む連続している曲面を含むことを特徴とする物理量センサーの
製造方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記曲面の中央は、断面視で、凹状であることを特徴とする物理量センサーの製造方法
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、
前記溶融部は、平面視で、略円形であることを特徴とする物理量センサーの製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において、
前記蓋体は単結晶であり、
前記溶融部は多結晶であることを特徴とする物理量センサーの製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項において、
前記蓋体の材質はシリコンであることを特徴とする物理量センサーの製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項において、
前記第2面から前記溶融部の前記第1面の側の端までの長さをD、
平面視で、前記溶融部の前記第2面側の直径をLとしたとき、
0.50≦D/L≦3.00
を満たすことを特徴とする物理量センサーの製造方法。
【請求項12】
請求項11において、
0.01≦D/L≦0.50
を満たすことを特徴とする物理量センサーの製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項において、
前記疎水処理により前記空間の水分含有量が100ppm以下であることを特徴とする
物理量センサーの製造方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項において、
前記蓋体と前記基体との前記接合は、
ガラスフリットによるフリット接合、陽極接合、直接接合、金属共晶接合、及びプラズ
マ活性化接合のうちのいずれかであることを特徴とする物理量センサーの製造方法。