(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149606
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】家庭用電気器具用の密閉蠕動ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 5/00 20060101AFI20241010BHJP
F04B 43/12 20060101ALI20241010BHJP
A45D 19/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
F04C5/00 311C
F04B43/12 A
A45D19/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024124848
(22)【出願日】2024-07-31
(62)【分割の表示】P 2021546465の分割
【原出願日】2019-10-17
(31)【優先権主張番号】1859755
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マチアス ゲイネム
(72)【発明者】
【氏名】レジス フェレイレ
(72)【発明者】
【氏名】ジョアン サバティエ
(57)【要約】
【課題】蠕動ポンプホースの破裂の場合にも安全な蠕動ポンプを提供する。
【解決手段】本発明は、移動させられる液体を収容することを意図される、変形可能なホース(63)が配置される、チャンバ(68)を画定するポンプ本体(60)を含む、家庭用電気器具用の蠕動ポンプ(6)に関し、蠕動ポンプ(6)は、変形可能なホース(63)の破裂の場合に、チャンバ(68)内に液体を収容するように設計された、密封装置(661、662、663)を含むことを特徴とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ(68)を画定するポンプ本体(60)を備えた、家庭用電気器具(1)用の蠕動ポンプ(6)であって、前記チャンバ(68)内に、移動させられる液体を収容することを意図された変形可能なホース(63)が存在し、前記蠕動ポンプ(6)は、前記変形可能なホース(63)が破裂した場合に、前記チャンバ(68)内に、前記液体を収容するように設計された密閉システム(661、662、663)を含み、
前記蠕動ポンプは、前記変形可能なホース(63)に接続された、液体吸引ダクト(32)を受容することを意図された入口コネクタ(61)と、液体排出ダクト(33)を受容することを意図された出口コネクタ(62)とを含み、前記密閉システムは、前記ポンプ本体(60)と、前記入口コネクタ(61)または前記出口コネクタ(6)の少なくとも1つとの間に配置された、第1の密閉要素(663)を含み、
前記第1の密閉要素(663)は、プレートを含み、前記入口コネクタ(61)および前記出口コネクタ(62)の両方が、そこを通ることを特徴とする蠕動ポンプ(6)。
【請求項2】
請求項1の蠕動ポンプ(6)であって、前記チャンバ(68)は、前記変形可能なホース(63)と接触するロータ(65)を含み、前記ロータ(65)は、前記ポンプ本体(60)を通る駆動シャフト(51)に接続され、前記密閉システムが、前記駆動シャフト(51)と前記ポンプ本体(60)との間に配置された第2の密閉要素(661)を含むことを特徴とする蠕動ポンプ(6)。
【請求項3】
請求項2の蠕動ポンプ(6)であって、前記第2の密閉要素(661)が、リップシールを含むことを特徴とする蠕動ポンプ(6)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項の蠕動ポンプ(6)であって、前記蠕動ポンプは、前記ポンプ本体(60)と協働するカバー(64)を備え、前記密閉システムは、前記ポンプ本体(60)と前記カバー(64)の間に配置された、第3の密閉要素(662)を含むことを特徴とする蠕動ポンプ(6)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項の蠕動ポンプ(6)であって、前記第1の密閉要素(663)は、前記ポンプ本体(60)と、前記入口コネクタ(61)および前記出口コネクタ(62)の両方との間に配置され、前記第1の密閉要素(663)は、2つのOリングを含むことを特徴とする蠕動ポンプ(6)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項の蠕動ポンプ(6)であって、前記入口コネクタ(61)および前記出口コネクタ(62)は、前記蠕動ポンプ(6)の同一の外側側面に配置されることを特徴とする蠕動ポンプ(6)。
【請求項7】
請求項6の蠕動ポンプ(6)であって、前記入口コネクタ(61)および前記出口コネクタ(62)は、それぞれ、実質的に90°の屈曲部を含むことを特徴とする蠕動ポンプ(6)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項の蠕動ポンプ(6)であって、前記蠕動ポンプ(6)は、前記蠕動ポンプ(6)の前記変形可能なホース(63)の破裂の場合に、制御された軌道に従って、前記チャンバ(68)から前記蠕動ポンプ(6)の外側に向かって、前記液体を流出させるように設計された、液体流出システム(67)を含むことを特徴とする蠕動ポンプ(6)。
【請求項9】
請求項8の蠕動ポンプ(6)であって、前記液体流出システム(67)は、少なくとも1つの孔(671)を含むことを特徴とする蠕動ポンプ(6)。
【請求項10】
請求項8または9の蠕動ポンプ(6)であって、前記液体流出システム(67)は、ポンプ本体(60)を貫通するように配置されることを特徴とする蠕動ポンプ(6)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項の蠕動ポンプ(6)であって、前記第1の密閉要素(663)の前記プレートは、シリコーン製であることを特徴とする蠕動ポンプ(6)。
【請求項12】
蠕動ポンプ(6)を含む家庭用器具(1)であって、前記蠕動ポンプ(6)は、請求項1から11のいずれか1つと一致することを特徴とする家庭用器具(1)。
【請求項13】
家庭用器具(1)であって、請求項1の蠕動ポンプ(6)を含み、前記家庭用器具(1)は、電気モータ(5)、液体消費システム(4)に移動させられる液体を収容することを意図されたリザーバ(3)を含み、入口コネクタ(61)が、前記リザーバ(3)に接続され、出口コネクタ(62)が、前記液体消費システム(4)に接続され、駆動シャフト(51)が、前記電気モータ(5)のモータシャフトに接続され、前記蠕動ポンプ(6)は、前記リザーバと前記液体消費システムの間に配置されることを特徴とする家庭用器具(1)。
【請求項14】
家庭用器具(1)であって、請求項8から10のいずれか一項の蠕動ポンプ(6)を含み、前記家庭用器具(1)は、蠕動ポンプ(6)と少なくとも1つの電気的または電子的構成部品を含む、ハウジング(111)を含み、前記ハウジング(111)は、前記ハウジング(111)の外側に前記液体を排出するように設計された液体排出システム(114)を含み、前記液体排出システム(114)は、前記液体が、前記電気的または電子的構成部品と接触し得ないように配置され、液体流出システム(67)は、前記液体排出システム(114)と連通することを特徴とする家庭用器具(1)。
【請求項15】
請求項14の家庭用器具(1)であって、密閉要素(664)が、前記液体流出システム(67)と前記液体排出システム(114)との間に配置されることを特徴とする家庭用器具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用器具、好ましくは、整髪器具に使用される、蠕動ポンプの分野に関する。
【0002】
本発明は、また、蠕動ポンプを含む、家庭用器具、特に、整髪器具に関する。
【0003】
より具体的には、本発明は、移動させられる液体を収容することを意図された変形可能なホースが存在する、チャンバを画定するポンプ本体を含む、家庭用器具用の蠕動ポンプに関する。
【0004】
本発明は、また、上記で定義された蠕動ポンプを含む、家庭用器具、好ましくは、整髪器具に関する。
【背景技術】
【0005】
蠕動ポンプは、産業分野において、例えば、特許文献1または特許文献2で、知られている。
【0006】
特許文献3は、また、整髪器具における蠕動ポンプの使用を開示する。特に、この文献は、液体を気化する手段に、液体を供給するために、液体の流れを調整する蠕動ポンプの使用を教示する。したがって、この文献に記載される器具によれば、蠕動ポンプは、蒸気を生成するために、液体、特に、水を、移動させることを可能にする。このタイプのポンプの使用は、漏れのない流体回路を提供することの利点を含む、多くの利点を備えた整髪器具を入手することを可能にする。実際、蠕動ポンプでは、輸送される流体は、蠕動ポンプの変形可能なホースであって、流体が移動することをもたらす、蠕動ポンプのロータに取り付けられた1つまたは複数のローラによって、規則的に圧縮されるホース内に含まれたままであるため、どの可動部分とも接触しない。したがって、流体輸送回路は、単純化されるか、または、いっそう単純に、蠕動ポンプのホースである、単一のホースに縮小される。
【0007】
蠕動ポンプの使用に関連する利点の多くは、ポンプの変形可能なホースによるものである。しかし、これは、また、このタイプのポンプの主な欠点であり、ホースは摩耗部品であり、ホースは、通常、蠕動ポンプにおいて定期的に交換される必要がある部品である。これは、一般的な交換であり、蠕動ポンプが頻繁に見られる、産業または医療分野では、特別の問題を提出しない。他方、そのような交換は、特に構成要素のサイズ、これらの器具の比較的低い全体的なコスト、および、特に、そのような交換をするために技術的な資格を与えられない使用者を考えると、家庭用器具、特に整髪器具での応用に対して実質的に思いも及ばない。
【0008】
したがって、整髪器具の場合、特に、上記のホースの摩耗を考えると、ホースが漏れる(スリット、孔など)というところ、さらには、破裂するというところまで、劣化するであろうことが、無視され得ない。非常に単純であるが、流体輸送回路は、もはや耐漏ではなく、液体は、器具内にこぼれるであろう。
【0009】
しかし、このタイプの器具の内部の、液体、特に、水の存在は望ましくない。実際、これらの器具は、少なくとも、整髪表面を電気的に加熱するための加熱要素、または、様々な電気および電子部品でも含む限り、通常は、電気器具である。その結果、これらの器具の内部における液体の存在は、それらの電気および/または電子部品を破壊するリスクがあり、したがって、誤動作、または、整髪器具の完全な故障にもつながる。さらに、整髪器具の場合、特に、彼/彼女が、通常、彼/彼女の器具を、彼/彼女の手に保持するか、または、彼/彼女の頭のすぐ近くでも、それらを扱うため、使用者の感電のリスクが、完全に排除されない。
【0010】
例えば、器具内の水垢による過圧に引き続いて、ポンプホースがコネクタから外れたり、コネクタから切り離されたりした場合に、同じ問題と同じリスクが発生し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】中国実用新案第203614372号明細書
【特許文献2】米国特許第3421447号明細書
【特許文献3】欧州特許第2449910号明細書
【特許文献4】欧州特許第2499909号明細書
【特許文献5】欧州特許第2499912号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、特に蠕動ポンプホースの破裂の場合に、器具自体の構成要素にとってであれ、使用者にとってであれ、このタイプの器具をより安全にする必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前述の欠点を克服することを目的とする。
【0014】
本発明の目的の1つは、特にそのホースが破裂した場合に、特に安全である、蠕動ポンプを提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、特にコンパクトな蠕動ポンプを提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、信頼性が高く堅牢な蠕動ポンプを提供することである。
【0017】
本発明の目的の1つは、特に蠕動ポンプのホースが破裂した場合に、特に安全な整髪器具を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、特にコンパクトで人間工学的である、整髪器具を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、特に信頼性が高く、堅牢な、整髪器具を提供することである。
【0020】
目的は、移動させられる液体を収容することを意図された変形可能なホースが存在する、チャンバを画定するポンプ本体を含む、家庭用電気器具用の蠕動ポンプによって達成され、蠕動ポンプは、変形可能なホースの破裂の場合に、液体をチャンバ内に収容するように設計された密閉システムを含む。
【0021】
「変形可能なホースの破裂」は、ホースの水密性の喪失、すなわち、変形可能なホースに含まれる液体の漏れにつながる可能性のある、いかなる劣化をも意味する。例えば、これは、張り裂けたホース、割れたホース、孔の開いたホース、ホースの過度の多孔性、または、例えば、器具の水垢による過圧の後の、ホースの偶発的な切り離しまたは取り外しの結果であり得る。「チャンバ」は、少なくとも1つの要素、この場合には、ポンプの変形可能なホースを収容することを意図された、任意の3次元空間を指す。
【0022】
したがって、本発明は、変形可能なホースが破裂した場合に、液体が、ポンプチャンバ内に収容されること、維持され、保持されること、および、ポンプからこぼれないことを可能にする。その結果、液体は、ポンプ内に含まれたままであり、従来技術で知られているポンプの場合に通常であるように、ポンプから漏れないので、蠕動ポンプホースの破裂は、限定的な結果を有する。したがって、本発明によって定義されるポンプを、いかなる液体の存在も通常回避されるべき空間、例えば、以下に詳述されるように、電気または電子部品のすぐ近くに、設置することが可能である。
【0023】
当業者にとって、簡単な試験によって本発明の結果を検証することは容易であろう。実際、彼/彼女は、チャンバ内の液体の漏れをシミュレートするために、例えば、変形可能なホースを突き刺すか、またはプラグを引き離す(すなわち、切り離す)ことができるであろう。当業者は、その後、彼/彼女が、通常の使用中にするように、蠕動ポンプ(または家電製品)を様々な位置で取り扱えばよいであろう。その後、当業者は、液体が流れているかどうかをチェックし得るであろう。当業者は、また、例えば、ポンプを含む家庭用器具のハウジングを分解することによって、液体が、器具の電気的または電子的構成要素に接触したかどうか、すなわち、器具が取り扱われたとき、液体が、構成要素と接触したかどうかを確認し得るであろう。問題の構成要素は、液体と接触した場合に、重大な損傷(焼け焦げ、腐食、爆発など)を示すであろう限り、そのような検証は、簡単である。
【0024】
好ましい実施形態によれば、チャンバは、変形可能なホースと接触するロータを含み、ロータは、ポンプ本体を通る駆動シャフトに接続され、密閉システムは、駆動シャフトとポンプ本体との間に配置される第1の密閉要素を含む。そのため、変形可能なホースが破裂しても、回転可動部である駆動シャフトと、固定部であるポンプ本体との隙間から、液体が漏れ得ない。この有利な実施形態によれば、第1の密閉要素は、リップシール、および、有利には、ダブルリップシールを含む。このタイプのシール、特にダブルリップシールは、シールリップまたは複数のリップが押し付けられる、回転シャフト、この場合には駆動シャフトと、シールが保持される、固定部品、この場合には、ポンプ本体との間の非常に良好な密閉を保証する。
【0025】
別の好ましい実施形態によれば、蠕動ポンプは、ポンプ本体と協働する蓋を含み、密閉システムは、ポンプ本体と蓋との間に配置された第2の密閉要素を含む。この構造は、変形可能なホースが破裂した場合に、ポンプ本体と蓋の間の密閉を確保しながら、蓋の存在により、その組み立て、および/または、任意のメンテナンスが容易になる、蠕動ポンプを提案することを可能にする。有利には、第2の密閉要素は、ポンプ本体および蓋の縁の周りに、少なくとも部分的に配置された円形断面シールを含む。
【0026】
また、上記のようにポンプ本体を通る代わりに、駆動軸が蓋を通ること、第1の密閉要素が駆動軸と蓋との間に配置されることが、また、予見され得るであろう。
【0027】
別の好ましい実施形態によれば、蠕動ポンプは、変形可能なホースに接続された、液体吸引ダクトを受け入れることを意図された入口コネクタ、および、液体排出ダクトを受け入れることを意図された出口コネクタを含む。密閉システムは、好ましくは、ポンプ本体と、入口または出口コネクタの少なくとも1つとの間に配置された第3の密閉要素を含む。あるいは、第3の密閉要素は、蓋と、入口または出口コネクタの少なくとも1つとの間に配置される。あるいは、第3の密閉要素は、ポンプ本体、蓋、および、入口または出口コネクタの少なくとも1つの間に配置される。そのような構造は、ポンプの空間的な向きに関係なく、ポンプコネクタでの、チャンバとポンプの外側との間の密閉を保証する。例えば、ポンプは、両方ではないにしても少なくとも1つのコネクタが下部に配列されて配置され得、変形可能なホースが破損した場合でも、コネクタでの、つまり、例えば、コネクタとポンプ本体または蓋の間での液体の漏れは存在しないであろう。
【0028】
前述の有利な実施形態の第1の変形形態によれば、第3の密閉要素は、有利にはシリコーンで作られたプレートを含み、前記入口および出口コネクタのそれぞれは、プレートを通る。そして、プレートは、ポンプ本体および/またはポンプ蓋と、入口または出口コネクタの少なくとも1つの周りとの間に配置される。有利には、プレートは2つの開口部、有利には、2つの孔を含み、各開口部はコネクタの1つを収容する。この構造は、これらの部品がポンプに取り付けられる(例えば、ポンプの場合によくあるように、それらが、ポンプ本体または蓋と一体成形されない)場合、コネクタを含むチャンバの密閉を確実にする。さらに、この解決策は、コネクタやポンプ自体に損傷を与えることなくコネクタを分解することを可能にする。以下に詳述されるように、2つのコネクタが互いに近接し、ポンプの表面を形成する同じ平面上に配置される場合、シリコーンプレートの使用は、特に有利で安価である。
【0029】
前述の有利な実施形態の第2の変形例によれば、第3の密閉要素は、ポンプ本体および/または任意選択で蓋と、入口および出口コネクタのそれぞれとの間に配置され、第3の密閉要素は、2つのOリングを含む。言い換えれば、この変形例によれば、各コネクタは、コネクタとポンプ本体および/または蓋との間に、それ自身のOリングを有し、チャンバが、コネクタにおいて密閉されることを確実にする。この解決策は、コネクタがポンプに取り付けられ(例えば、コネクタが、ポンプ本体または蓋と一体成形されない)、互いに離れており、および/または、同じ平面にない場合に、特に有利である。
【0030】
有利なことには、入口コネクタと出口コネクタは、蠕動ポンプの単一の外側に属する、同じ平面に配置される。これは、同じ側に組み立てられた接続要素を備えた、特に小型のポンプを有することを可能にし、したがって、ポンプの入口と出口に必要なチューブの長さを制限する。
【0031】
好ましくは、入口コネクタおよび出口コネクタは、有利には、それぞれ、実質的に90°の角度を有する屈曲部を含む。この種のコネクタは、ポンプを、それぞれ、ポンプの入口と出口の、吸込ダクトと吐出ダクトに横方向に配置することにより、ポンプの設置を容易にする。このようにして、ポンプアセンブリと液体チューブのサイズは、より小さくされ得る。
【0032】
もちろん、上記の実施形態は、互いに完全に互換性があり、他の有利な実施形態は、それらの様々な組み合わせから生じ得る。特に、上記の3つの実施形態の組み合わせから生じるであろう、蠕動ポンプが予見され得る。これは、変形可能なホースのいかなる破裂の場合にも、空間的な向きに関係なく、安価で完全に水密の蓋が装備されているため、製造し、保守することが容易である、特にコンパクトな蠕動ポンプをもたらすであろう。そして、密閉システムは、前述の第1、第2、および、第3の密閉要素を含むであろう。
【0033】
それ自体、また、発明を構成し得る別の実施形態によれば、家庭用器具用の蠕動ポンプは、移動させられる液体を収容することを意図された変形可能なホースが存在する、チャンバを画定するポンプ本体、および、蠕動ポンプの変形可能なホースの破裂の場合に、制御された軌道に従って、チャンバから蠕動ポンプの外側に、液体を流出させるように設計された、液体流出システムを含む。有利なことに、液体流出システムは、非常に経済的かつ安全な方法で、液体の流れ軌道を制御することを可能にする、少なくとも1つの孔を含む。「制御された軌道」は、液体が、そこを通って流出、つまり、流れ出るであろう場所が、設計者によって事前に画定されることを意味する。言い換えれば、液体が、どこで、どのように流出するかが、正確に知られる。有利には、孔の直径は、0.5mmから4mmの間、好ましくは1mmから1.5mmの間で構成される。好ましくは、液体流出システムは、2つの孔を含み、有利には、互いに近接して配置され、例えば、1mmから5mmの間で構成される距離によって分離され、このことは、流量、したがって、流出速度を増加させることを可能にする。複数の孔の存在は、また、孔の1つが詰まった場合でも、ポンプが空になることを保証することを可能にする。したがって、十分な流出流量を確保するために、全排出セクションは、2mm2から2.5mm2で構成される。好ましくは、流出システムは、ポンプ本体、または、ポンプカバーを通るように、または、ポンプ本体およびカバーを通るように構成される。言い換えれば、流出システムは、ポンプ本体、または、ポンプカバー、または、本体とカバーを通る任意のシステム、すなわち、予め設計によって画定された、すなわち、設計者によって画定された場所で、チャンバをポンプの外側に接続することができる、任意のシステムから構成し得る。
【0034】
したがって、この後者の実施形態によれば、変形可能なホースが破裂した場合、目的は、必ずしも、液体をチャンバ内に保持することではなく、むしろ、液体が流れ出なければならないであろう場所を、設計によって、正確に、事前に選択および画定した、その軌道を制御すること、すなわち、その排出を制御することである。したがって、この重要な実施形態は、ポンプをその環境に組み込むときに、例えば、液体を収集および貯蔵するための(例えば、リザーバによって)、または、液体を流出および排出させるための(例えば、以下で詳しく説明されるように、ホースまたは孔を使用して)、流出システムと連通する、追加のシステムを提供することを可能にする。
【0035】
もちろん、この実施形態は、上記の実施形態と互換性があり、有利には補完的でさえある。さらに、この流出システムと密閉システムの組み合わせは、非常に重要な方法で、蠕動ポンプの動作を完全に確保し、最も厳しい基準を満たすことを可能にする。実際、ポンプの変形可能なホースが破裂した場合、2つのシステムが連合し、一方では、ポンプからの制御されない漏れを防ぎ、他方では、液体の流れと軌道を制御する。したがって、ポンプの空間的な向きに関係なく、液体は常に排出システムを通って流れ、つまり、液体は、設計段階で、予め画定された、特定の場所に安全に排出されるであろう。実際、流出装置が、ポンプの向きに対して、高い端部に配置される場合であっても、チャンバが完全に満たされた後、液体は、なお、この排出システムを通って流れる。密閉システムが存在するため、ポンプの望まれない場所(駆動シャフトとポンプ本体の間、ポンプ本体とコネクタの間、または、ポンプ本体とカバーの間など)から、液体が漏れ得ない。言い換えると、ポンプの向きに関係なく、チャンバ内に偶発的に存在する液体は、流出システムを通って、画定された場所に、そして、制御された軌道に従ってのみ流れるであろうし、これらの要素は、設計によって、予め画定され、選択されている。
【0036】
さらに、そのような構造は、ポンプが、少なくともポンプの変形可能なホースが包含し得る液体の量と比較して、比較的大きなリザーバに接続される場合、特別な利点を有する。実際、流出システムは、水がポンプチャンバ内に蓄積するのを防ぎ、したがって、チャンバ内の圧力が上昇するのを抑制する。液体の制御された排出は、また、制御された軌道に従って、流体回路からすべての液体を流出させることを可能にし、したがって、システムを、可能な限りの最も安全な状態、すなわち、液体のない状態に、可能な限り早くもたらすことを可能にする。
【0037】
さらに、密閉システムと流出システムの組み合わせを備える、そのような構造は、システムの1つが故障する場合でも、ポンプの安全性を確実にする。例えば、過度の摩耗などのために、密閉システムが故障した場合、チャンバ内に偶発的に存在する液体は、流出システムによって制御される軌道に従って、すなわち、予め画定され、既知である場所に流れるであろう。逆に、流出システムが故障した場合、例えば、詰まった場合、その後、チャンバ内に偶発的に存在する液体は、チャンバ内にしっかりと密閉されたままであろう。言い換えれば、この構造は、二重の安全システム、密閉システムと流出システム、を提供する。
【0038】
本発明はまた、上述の実施形態のいずれか1つによる蠕動ポンプを含む、家庭用器具に関する。好ましくは、器具は、整髪器具、特に、縮毛矯正器具または髪巻き器具などの、毛髪を形作るための器具である。
【0039】
有利な実施形態によれば、器具は、整髪用アイアンを形成するために、ヒンジによって互いの間で関節結合された、第1の分岐部、および、第2の分岐部を含む。したがって、器具は、優れた使い易さと最適な整髪結果を可能にする、縮毛矯正アイロンを形成する。
【0040】
有利には、第1の分岐部は、リザーバ、および、接触によって毛髪を処理するための第1の表面を含み、液体排出システムが、リザーバと第1の処理表面との間に配置される。そのような配置は、特に小型の整髪器具を有することを可能にする。また、リザーバと第1の処理表面との間の排出システムの配置は、第1の処理表面が、分岐部の内側に偶発的に存在する可能性のある液体と接触するのを防ぎ、このことは、液体が、毛髪と接触するのを防止する。これは、また、第1の処理表面が、電気加熱要素(例えば、PTC)によって加熱される表面である場合に、特に、有用であり、かつ安全である。有利には、液体排出システムは、第1の処理表面の端部から10mmから50mmの間、有利には、20mmから30mmの間からなる距離に配置される。これは、特に、第1の処理表面から、特に、その電気加熱要素から、安全な距離を維持することを可能にする。
【0041】
上記で使用される「処理表面」という用語は、少なくとも1つの場所で毛髪と接触する時から、その形状、寸法に関係なく、あらゆるタイプの表面を指す。処理表面は、例えば、単一の部分によって形成され、連続的であるか、または、逆に、例えば、複数の部分によって形成され、不連続的であり得る。
非限定的な例として、処理表面は、
-例えば、縮毛矯正プレートによって形成される、滑らかで平坦、
-例えば、マンドレル、ローラ、または、板状のアイロンで形成される、滑らかで湾曲、
-例えば、一連のくぼみと隆起を含む、波状、
-例えば、剛毛や歯を含む、粗面、
-など、
であり得る。
【0042】
好ましくは、器具は、電気モータ、液体消費器具に移動させられる液体を収容することを意図されたリザーバを含み、入口コネクタが、リザーバに接続され、出口コネクタが、液体消費器具に接続され、駆動シャフトが接続され、駆動シャフトが、電気モータのモータシャフトに接続され、蠕動ポンプが、リザーバと液体消費システムの間に配置される。
【0043】
蠕動ポンプが液体流出システムを含む、上記の実施形態によれば、器具は、蠕動ポンプおよび少なくとも1つの電気または電子部品を含む、ハウジングを有利に含み、ハウジングは、液体をハウジングから排出するように設計された液体流出システムを含む。そして、排出システムは、液体が、電気または電子部品と接触し得ないように配置され、流出システムは、排出システムと連通する。
【0044】
したがって、本発明のこの実施形態により、ポンプ内の液体の予期せぬ、または、偶発的な存在の場合、液体は、設計者によって予め制御された軌道に従って、特定の場所に、迅速に排出され、したがって、液体と、いかなる電気または電子部品との間の、いかなる偶発的な接触をも回避する。より具体的には、液体流出システムによって、液体は、最初に、ポンプから、予め画定された特定の空間に排出され、次に、ポンプ流出システムと連通する排出システムによって、器具から排出される。したがって、流出システムと排出システムは、任意の水密手段によって、相互に連通する。例えば、ポンプ流出システムは、パイプによって、機器の排出システムに接続され得、または、流出システムと排出システムは、例えば、上下に、互いに接続され得る。
【0045】
有利には、液体排出システムは、ハウジングを通る少なくとも1つの開口部、好ましくは2つの開口部を含む。これは、特に信頼性が高く安価な方法で、液体排出流量を制御すること、および、有利には、増加させることを可能にする。開口部は、任意の形状であり得る。しかしながら、孔は、好ましくは、0.5mmから4mmの間、有利には、1mmから1.5mmの間からなる直径を有する、孔である。複数の開口部が与えられると、排出セクションは、有利には1mm2から4mm2の間、優先的には2mm2から2.5mm2の間で構成される。
【0046】
有利なことに、液体排出システムは、周囲、この場合では大気、に対して、恒久的に開放される。言い換えれば、液体排出システムは、プラグ、または、他の妨害要素または密閉要素を有しない。
【0047】
有利には、液体流出システムはポンプ本体を通る。
【0048】
有利なことに、蠕動ポンプは、ポンプ本体に取り付けられたカバーを含み、液体流出システムは、カバーを通るように配置され得る。
【0049】
言い換えれば、流出システムは、ポンプ本体、ポンプ蓋、または、ポンプ本体と蓋を通る任意の器具、すなわち、設計により予め画定された場所で、チャンバとポンプの外側を接続することができる、任意の器具からなり得る。
【0050】
有利には、液体流出システムは、少なくとも1つの孔を含み、少なくとも1つの開口部および少なくとも1つの孔は、互いに面して、すなわち、互いに向かい合って配置される。
【0051】
この配置は、流出システムと排出システムの間の距離が最小限に抑えられるという点で、特に小型で安価な器具を有することを可能にする。
【0052】
有利なことに、密閉要素、好ましくはOリングが、流出システムと排出システムとの間に配置され、このことは、器具でのポンプとハウジングとの間の密閉を保証することを可能にし、したがって、液体と器具の1つまたは複数の電気的構成要素との間の偶発的な接触のいかなる危険をも回避する。言い換えれば、この配置によれば、変形可能なホースが破裂した場合に、ポンプチャンバ内に入る可能性のあるどの液体も、よく考慮され、制御された方法で、特に、設計段階で、どこに液体が排出されるべきかを正確に画定していることによって、ポンプを含むハウジングの外に、直接排出される。安全性の向上に加えて、器具から液体を排出することは、使用者が、彼/彼女の整髪器具の内部で故障が発生したこと(この場合では、例えば、変形可能なホースが破裂したこと)を少なくとも視覚的に、警告されることを可能にする。
【0053】
整髪器具の、有利な、かつ、非限定的な実施形態の以下の説明は、本発明の主題である特徴を強調する。この説明は、以下の図に基づいている。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本発明によって説明される整髪器具の透視図である。
【
図5】
図4と同じ詳細Aを示すが、分岐部の内部構成要素を確認するために、特定の部分が消された図である。
【
図6】本発明によって定義される、蠕動ポンプの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1に示されるように、本発明によって定義される家庭用器具1は、整髪器具であり、より具体的には、液体消費システム4を備えた縮毛矯正器である。より具体的には、液体消費システム4は、この場合には、気化チャンバである、気化手段41、および、そのようにして生成された蒸気の、髪の房に向かっての拡散手段42を含む。拡散手段42は、特に、図示されるように、一連の開口部によって、あるいはスロットまたは拡散溝によっても形成され得る。そのような要素は、当業者に周知であり、例えば、本出願人に係る特許文献4に詳述される。
【0056】
家庭用器具1は、第1の分岐部11および第2の分岐部12のそれぞれの端部に実質的に配置されたヒンジ13によって、互いに接続された、第1の分岐部11および第2の分岐部12を含む。分岐部は、従って、回転運動、より正確にはクランプ運動で、互いに対して、移動させられ得る。
【0057】
図3に見られるように、第1の分岐部11は、接触によって毛髪を処理するための第1の表面112、この場合には、加熱プレートを含む。第2の分岐部12は、
図2に見られるように、接触によって毛髪を処理するための第2の表面122を含み、それは、第1の処理表面112と相補的である。好ましくは、接触処理のための第2の表面122は、また、加熱される。
【0058】
そのようによく知られている方法で、ヒンジ13は、使用者が、処理表面112、122の間に髪の毛の束を配置するために、縮毛矯正アイロンを開き、次に、形作るために、一般的には真っ直ぐにするために、髪の毛の束上に、アイロンを閉じることを可能にする。
【0059】
図2に見られるように、家庭用器具1は、また、液体貯蔵システム、この場合には、リザーバ3を含む。好ましくは、リザーバは、水を貯蔵することを意図される。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、リザーバは、任意に水で希釈された、化粧品を貯蔵し得ることが想定され得るであろう。
【0060】
図示の発明によれば、リザーバは第1の分岐部11に組み込まれる。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、リザーバを、第1の分岐部11および第2の分岐部12から分離することが、完全に可能である。実際、リザーバは、第1の分岐部11、および、第2の分岐部12から離れて配置され得、例えば、液体を運搬し得るホースによって、分岐部の1つに接続された(すなわち、アイロンから離れて配置された)遠隔ベースに存在し得る。そのような配置は、例えば、出願人に係る特許文献5に記載される。
【0061】
図3および
図4に見られるように、家庭用器具1は、第1の分岐部11によって形成されたハウジング111を含む。しかし、これは図示されていないが、本発明の範囲から逸脱することなく、ハウジングが、前述の遠隔ベースによって形成されることが、完全に可能である。
【0062】
したがって、ハウジング111は、加熱要素(例えば、PTC)、電気モータ5、温度センサー、コンデンサー、電子カードなどの、少なくとも1つの電気的または電子的構成要素を含む、例えばプラスチック材料で作られた、外郭を形成する。これらの要素は通常、液体、特に水との接触に非常に敏感であり、そのような接触は、それらの損傷を、さらにはそれらの破壊さえも、もたらし得、感電死のリスクにさえつながり得る。
【0063】
液体を、好ましくは水を、液体消費システム4に供給するために、家庭用器具1は、液体輸送システム、この場合には、蠕動ポンプ6を含む。図示の発明によれば、蠕動ポンプ6は、
図5に見られるように、第一の分岐部に組み込まれるが、本発明の範囲から逸脱することなく、蠕動ポンプ6は上記の遠隔ベースに組み込まれることが、また、可能である。
【0064】
図5および6に見られるように、蠕動ポンプ6は、特にポンプ本体60を含む。蠕動ポンプ6を、それ自体がリザーバ3に接続された、吸引ダクト32に接続するために、入口コネクタ61が、ポンプ本体60に配置される。排出ダクト33によって、蠕動ポンプを液体消費システム4に接続するために、出口コネクタ62が、ポンプ本体60に配置される。より具体的には、入口コネクタ61および出口コネクタ62のそれぞれは、ポンプ本体60を通る。したがって、入口コネクタ61および出口コネクタ62の一部は、ポンプの外側に突出し、入口コネクタ61および出口コネクタ62の一部は、ポンプ内、すなわち、チャンバ68内に突出する。
図5に見られるように、ポンプの外側に突出する入口コネクタ61および出口コネクタ62の部分は、次いで、それぞれ、吸引ダクト32および排出ダクト33に接続される。チャンバ68内に突出する、入口コネクタ61および出口コネクタ62の部分は、次いで、変形可能なホース63に接続される。
【0065】
有利には、
図6および7に見られるように、入口コネクタ61および出口コネクタ62は、それぞれ、有利には、90°の角度を有する屈曲部を含む。好ましくは、屈曲部は、蠕動ポンプ6の外側で、ポンプ本体60と接触する。有利には、屈曲部は、コネクタがそうであるように、剛性であり、それは、良好な強度を保証し、不注意による折り畳みの現象を回避する。したがって、入口コネクタ61および出口コネクタ62は、たとえ、その側のサイズが制限される場合でも、ポンプ本体60の同じ側に配置され得る。実際、入口コネクタ61および出口コネクタ62は、示されるように、互いに隣接して配置され得、または、互いに、接触さえもされ得、これにより、蠕動ポンプ6のサイズを制限し、吸引パイプ32と排出パイプ33のルートを単純化することを可能にする。実際、入口コネクタ61と出口コネクタ62は、それらの90°の屈曲部のために、互いに隣接しながら、正反対の方向に曲げられ得、それは、特に、単純で、小型の、ポンプ外流体回路を有することを可能にする。実際に、吸引ダクト32と排出ダクト33は、実質的に互いに整列して、すなわち、同じ平面にあり、実質的に同じ線に沿っている。さらに、これらのダクトのそれぞれは、同じポンプ面を介して、すなわち片側のみを介して蠕動ポンプ6に出入りする。したがって、吸引パイプ32と排出パイプ33を接続するために、ポンプの片側のみがアクセス可能であることだけで十分であるため、蠕動ポンプ6を特に小さな、アクセスが困難な場所に配置することが可能である。
【0066】
図6に示されるように、ポンプは、また、ポンプ本体60と協働する蓋64を含む。より具体的には、蓋64は、ポンプ本体60に取り付けられ、これは、組み立てが容易なポンプを有することを可能にする。特に、様々な内部構成要素、例えば、ロータ65の構成要素の組み立てが容易になる。さらに、蠕動ポンプ6は、例えば内部構成要素を修理するために、劣化することなく、必要に応じていつでも分解および再組み立てされ得る。蠕動ポンプ6は、また、蠕動ポンプ6の様々な可動部分を動かし、したがって、液体をリザーバ3から液体消費システム4に移動させることを意図された、電気モータ5に接続される。
【0067】
図7は、蠕動ポンプ6の様々な構成要素を示す。したがって、ポンプ本体60は、チャンバ68、すなわち、様々な要素が見出される、空間、凹部、またはハウジングを形成する。この場合、チャンバ68は、ポンプ本体60によって画定され、蓋64によって閉じられる。したがって、チャンバは、変形可能なホース63、マウント653によってロータに接続された1つまたは複数の圧力要素651を含むロータ65、および、1つまたは複数のばね652を含む。変形可能なホース63は固定され、一方では入口コネクタ61に接続され、他方では出口コネクタ62に接続されて、ループを形成する。ロータ65は、ループの中心に配置され、ポンプ本体60を通過し、電気モータ5のモータシャフトに接続された、駆動シャフト51によって回転させられる。ロータは、蓋に収容されたベアリング645によって回転が案内される。駆動シャフトが回転すると、圧力要素651、例えばローラは、変形可能なホース63を定期的に押しつぶし、ロータ65の回転に続くそれらの変位の影響下で、これは、吸引現象を引き起こすが、また、変形可能なホース63内の液体の排出を引き起こす。したがって、液体はポンプの一方の側で吸い込まれ、他方の側で排出される。この操作は非常に古典的であり、当業者に知られている蠕動ポンプの特徴であるため、ここではこれ以上詳しく説明されない。蠕動ポンプ6および電気モータは両方とも、例えば、ねじ53によって、取り付けプレート52に接続される。
【0068】
図7に見られるように、蠕動ポンプ6は、密閉システム661、662、663を含む。後者は、以下で詳細に説明されるポンプの不可欠の部分である安全装置を構成する。
【0069】
より具体的には、蠕動ポンプ6における密閉システムは、駆動シャフト51とポンプ本体60(または、代替として、蓋64)との間に配置された第1の密閉要素661を含む。より具体的には、第1の密閉要素661は、リップシールであり、有利には、ダブルリップシールである。そのようなシールは、実際、回転部分(この場合には、駆動シャフト51)と固定部分(この場合には、ポンプ本体60(または任意選択で蓋64))との間の完全な水密性を確保するのに非常に効果的である。したがって、この第1の密閉要素661の存在のおかげで、例えば、変形可能なホース63の破裂(または入口および/または出口コネクタの偶発的な分離)の場合に、チャンバ68の内部に存在する可能性のある液体は、隙間、すなわち、駆動シャフト51(回転部分)とポンプ本体60(固定部分)との間の機能的クリアランスを通って、チャンバから、すなわち、蠕動ポンプ6の外側に、漏れ得ないであろう。第1の密閉要素661は、これらの2つの部分の間の密閉を保証しながら、ポンプ本体60(または場合によっては蓋)に対する、駆動シャフト51の有効な回転の両方を保証する。
【0070】
図示の実施形態によれば、蠕動ポンプ6は、また、
図7に見られるように、ポンプ本体60と蓋64との間に配置された、第2の密閉要素662を含む。この第2の密閉要素662は、有利には、円形断面シールによって形成される。そして、第2の密閉要素662は、チャンバ68の周りで、リムの近く、すなわち、ポンプ本体60および蓋の縁の近くに配置される。
図7に見られ得るように、第2の密閉要素662は、ポンプ本体60および蓋64の輪郭に追従し、したがって、その形状を呈する。第2の密閉要素662は、それ自体でほぼループを形成するが、ただし、この要素は、2つの端を有しており、すなわち、閉じたリングではない。したがって、ポンプ本体と蓋の間に設置されると、第2の密閉要素662は、馬蹄形、または、実際のところ、ギリシャ語の大文字のオメガの形をとる。したがって、この第2の密閉要素662の存在は、ポンプ本体60と蓋64との間の密閉を確実にすることを可能にし、一方で、蓋64の分解および再組み立てを可能にする。しかしながら、この第2の密閉要素662は、ポンプ本体60の周りに、完全に適合しないことが見られ得る。言い換えると、第2の密閉要素は、チャンバ68の全体の縁の周りではなく、チャンバ68の縁の少なくとも60%、有利には、80%に配置される。そして、縁の残りの部分は、以下でより具体的に説明されるように、第3の密閉要素663によって密閉され、それは、ポンプ本体60と蓋64との間の完全な密閉、したがって、チャンバ68の水密性を、確実にすることを可能にする。
【0071】
図7に見られ得るように、蠕動ポンプは、また、第3の密閉要素663を含む。後者は、入口コネクタ61および出口コネクタ62が通るプレートを含む。好ましくは、プレートは、シリコーン、または、密閉を確実にし得る他の任意の材料からなる。そして、プレートは、入口コネクタ61および出口コネクタ62が、それを通過することを可能にする、2つの開口部を含む。プレートは、入口コネクタ61および出口コネクタ62の周りの密閉を確実にするのに十分に柔軟な材料で形成される。したがって、プレートは、
図7に見られ得るように、入口コネクタ61および出口コネクタ62、ポンプ本体60、また、蓋64と接触する。このプレートは、上記の第2の密閉要素662との組み合わせで、チャンバの縁を閉じることにより、有意義な方法で、チャンバ68の水密性を完成させること、すなわち、蓋64およびポンプ本体60間のシールを完成させることを可能にする。
【0072】
したがって、上記の密閉要素、すなわち第1の密閉要素661、第2の密閉要素662、および、第3の密閉要素663の組み合わさった存在により、チャンバ68は完全に水密である。その結果、液体が、誤って変形可能ホース63から逸散して(変形可能ホース63の破裂または分離)、チャンバ68に入ると、液体(通常は水)は、逸散できずにチャンバ68に閉じ込められる。このことは、それが、完全に水密であるために、特に、安全な、すなわち、たとえ、その変形可能なホースが破裂しても、液体が逸散することを可能にしない、蠕動ポンプを得ることを可能にする。それで、液体の存在が禁止されている特定の場所、例えば電気または電子部品のすぐ近くで、本発明の蠕動ポンプを使用することが可能である。
【0073】
しかしながら、図示された本発明は、別の安全装置を含み、それは、さらに、それ自体で発明を構成し得る。実際に、
図6および
図7に示されるポンプは、蠕動ポンプ6での変形可能なホース63の破裂の場合に、制御された軌道に従って、チャンバ68から蠕動ポンプ6の外側に液体を流出させるように設計された、流出システム67を含む。この安全装置は、以下に詳述されるように、液体排出システム114を含む家庭用器具1で使用される場合に特に効果的である。
【0074】
図5から
図7に見られ得るように、蠕動ポンプ6は2つの孔671を含み、それは、次いで、設計者によって慎重に選択された特定の場所で、チャンバ68をポンプの外側に接続する、流出システム67を形成する。各孔は、約1.2mmの直径を有し、これは、2.26mm
2の排出セクションに対応する。孔は、2.5mm離れている。したがって、液体が偶然に(上記の原因のために)チャンバ68に侵入した場合、設計者によって事前に考慮および選択された特定の場所への液体の流れ軌道を制御することが可能である。例えば、その時、排液システムの位置により、液体の流れを、電気または電子部品から遠ざけることが可能である。
【0075】
流出システム67を、上記において定義された密閉要素661、662、663と組み合わせることにより、図示されるように、流出システム67のみによって、変形可能なホース63の破裂後の、チャンバ68の制御された流出が、ポンプの空間的向きに関係なく保証される。実際、ポンプが、
図6に従って方向付けられている場合、液体は、その時、ポンプ本体のより低い点に位置づけられた、流出システム67を通って、重力によって、自然に流れるであろう。この場合、第1の密閉要素661および第3の密閉要素663は、これらの要素が、流出システム67の上方に配置されるので、流出システムのみによる適切な流れに対して必要とされない。他方で、ポンプが、異なって配向される場合、例えば、底部に、入口コネクタ61および出口コネクタ62を備える場合、流出システム67は、その時、ポンプの高い点に配置される。第3の密閉要素663がない場合、液体は、その時、ポンプ本体60と入口コネクタ61および出口コネクタ62との間の隙間を通って漏れる可能性がある。第2の密閉要素662がない場合、液体は、また、それが、流出システム67に到達する前でさえ、駆動シャフト51およびポンプ本体60間の隙間を通って逸散し得る。その場合、変形可能なホースが破損したときの従来技術のポンプの場合のように、液体の漏れは制御されないであろう。前述の密閉要素661、662、663により、水はこれらの隙間を通って漏れることができず、したがって、流出システム67を通って、および、流出システム67を通ってのみ、流れるように強制される。さらに、密閉要素661、662、663の存在は、排液システムが詰まったり、チャンバを十分に速く空にするのに十分な流量を確保できなかったりした場合に、不要な液体の流れ、すなわち、流出システムを通る以外のほかの場所、を回避することを可能にする。
【0076】
図4に見られるように、ハウジング111は、液体輸送システム32、6、33、この場合では、蠕動ポンプまたはホース32、33からの、および/または、液体貯蔵システム、この場合では、リザーバ3からの液体漏れの場合に、ハウジング111から液体を排出するように設計された液体排出システム114を含む。液体排出システム114は、液体が電気的または電子的構成要素と接触できないように配置される。より具体的には、液体排出システム114は、互いに隣接して配置された2つの孔1141を含む。孔1141のそれぞれは、ハウジング111の内側を外側に接続するために、ハウジング111を貫通する。2つの別個の開口部を使用することは、十分な排出流れを確保し、開口部1141の1つが詰まった場合に最小の流れを保証する。
図4に示されるように、各開口部1141は、実質的に1.2mmに等しい直径を有する孔である。したがって、可能な排気セクションは約2.26mm
2である。孔は、約2.5mm離される。
【0077】
液体排出システム114は、第1の処理表面112の端部から約25mmの距離に配置され、これは、水が排出システム114を通って流れるときの安全な距離を確保し、排出された液体が第1の処理表面112と接触するのを防ぐ。液体排出システム114は、第2の分岐部12と対向して配置され、これにより、縮毛矯正器が閉じられたときに、第2の分岐部12が、液体排出システム114を覆うことを可能にし、したがって全体的な美観を向上させる。
【0078】
本発明の例示された実施形態によれば、蠕動ポンプ6の流出システム67は、ハウジング111の排出システム114と連通する。この場合、
図4および
図5に見られ得るように、流出システム67は、排出システム114に面して配置される。言い換えれば、流出システム67は、排出システム114に対向して配置される。より具体的には、流出システム67は、2つの孔671を含み、排出システム114は、また、2つの開口部1141を含み、流出システム67に属する、それぞれの孔671は、排出システム114の開口部1141の1つに面して、すなわち、対向して、配置される。
【0079】
有利かつ有意に、流出システム67の流出セクションおよび排出システム114の排出セクションは、実質的に同一であり、サイズが約2.26mm2であり、これは、漏斗現象を伴わずに、チャンバ68内に存在する可能性のある任意の液体の完全な流出を保証する。
【0080】
したがって、流出システム67および排出システム114は、流出システムと排出システム114との間の密閉を確実にする密閉要素664、この場合には、Oリングによって分離される。密閉要素664は、流出システム67の周りのスロットに保持され、したがって、ハウジング111および蠕動ポンプ6、特に、ポンプ本体60と接触する。本発明のこの実施形態により、家庭用器具1の蠕動ポンプ6内の変形可能なホース63が破裂した場合に、液体は、その後、設計によって定義された制御された方法で、言い換えれば、単に排出システム114によって、および、蠕動ポンプ6の流出システム67を介して、よく考えられた方法で排出され、液体は、ハウジング111の内部にある電気的または電子的構成要素と接触できない。言い換えれば、ハウジング111の内部は、蠕動ポンプ6の故障の場合でさえ、いかなる液体からも保護され、それは、家庭用器具自体(その電気または電子部品)だろうが、使用者(感電死のリスク)だろうが、家庭用器具1の安全性を、大幅に改良する。