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特開2024-149609睡眠又は睡眠後パフォーマンスの改善
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149609
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】睡眠又は睡眠後パフォーマンスの改善
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/343 20060101AFI20241010BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A61K31/343
A61P25/20
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024125062
(22)【出願日】2024-07-31
(62)【分割の表示】P 2021513968の分割
【原出願日】2019-09-12
(31)【優先権主張番号】62/730,467
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】313006588
【氏名又は名称】バンダ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VANDA PHARMACEUTICALS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポリメロポロス、ミハエル、エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ポリメロポロス、クリストス
(72)【発明者】
【氏名】シアオ、チャンフー
(57)【要約】
【課題】睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方を改善すること、具体的には、機械を操作又はモータービークルを運転する個人の能力を低下させ得る睡眠後効果の誘導を伴わずにそのように改善すること。
【解決手段】睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方の改善を達成するのに有効な医薬による処置について検討(assess)される、又は前記医薬により処置される個人における、睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方を改善する方法であって、最初に、処置後の睡眠後期間に前記個人がモータービークルを運転若しくは機械を操作する意図があるかどうかを決定することを含む方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】
概日リズム障害又は睡眠障害を患っている個人における、睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方を改善する方法において使用されるタシメルテオン含有医薬であって、
前記方法が、
処置後の睡眠後期間に前記個人がモータービークルを運転若しくは機械を操作する意図があるかどうか、又はモータービークルを運転若しくは機械を操作する可能性があるかどうかを決定すること、及び
前記処置後の睡眠後期間に前記個人がモータービークルを運転若しくは機械を操作する意図がある、又はモータービークルを運転若しくは機械を操作する可能性があると決定された場合に、前記概日リズム障害又は睡眠障害を処置して、睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方を改善するのに有効な量の前記タシメルテオン含有医薬を経口投与することによりタシメルテオン含有医薬で前記個人を処置すること
を含む、前記タシメルテオン含有医薬。
【請求項2】
前記処置後の睡眠後期間に前記個人がモータービークルを運転若しくは機械を操作する意図がある、又はモータービークルを運転若しくは機械を操作する可能性があると決定された場合に、前記処置が、就寝前にタシメルテオン含有医薬によって20mgのタシメルテオンを投与することを含む、請求項1に記載のタシメルテオン含有医薬。
【請求項3】
睡眠の改善が、睡眠の質、睡眠の持続時間、又はこれらの両方の改善を含む、請求項1に記載のタシメルテオン含有医薬。
【請求項4】
前記処置後の睡眠後期間が、前記タシメルテオン含有医薬の投与のおよそ9時間後に始まる期間を含む、請求項1に記載のタシメルテオン含有医薬。
【請求項5】
前記個人が、時差障害を患っている、請求項1に記載のタシメルテオン含有医薬。
【請求項6】
投与後の睡眠後期間に運転能力低下(driving impairment)を回避する必要があるか、又は機械を操作する必要がある個人における概日リズム障害又は睡眠障害を処置して、睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方を改善することからなる方法において使用されるタシメルテオン含有医薬であって、
前記タシメルテオン含有医薬が、就寝前に投与される20mgのタシメルテオンを含む、
前記タシメルテオン含有医薬。
【請求項7】
睡眠の改善が、睡眠の質、睡眠の持続時間、又はこれらの両方の改善を含む、請求項6に記載のタシメルテオン含有医薬。
【請求項8】
前記投与後の睡眠後期間が、前記タシメルテオン含有医薬の投与のおよそ9時間後に始まる期間を含む、請求項6に記載のタシメルテオン含有医薬。
【請求項9】
前記個人が、時差障害を患っている、請求項6に記載のタシメルテオン含有医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、完全に記載されているかのように本明細書に取り込まれる、2018年9月12日に出願された同時係属中の米国仮特許出願番号第62/730,467号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
睡眠の質及び持続時間のうちの一方又は両方を改善することは、そのような改善について安全かつ効果的であるとして確立されている医薬の使用により達成され得る。多くのそのような医薬は、覚醒状態を低減させることにより、すなわち催眠作用を誘発することにより、直接的に作用する。この催眠作用は、全体又は一部において、そのような医薬の有効性の主要因であり得る。
【0003】
催眠作用は、正常な睡眠期間を超えて持続し、処置を受けている個人の翌日の活動において明白である限り、潜在的な不利益をもたらすものである。このような状況では、処置後の日中のこれらの作用により、安全に、すなわち、注意力低下及び残存眠気の結果として自身又は他人に潜在的危害を加えることなく、実行されるために覚醒状態を必要とする種々の作業を実行する個人の能力に悪影響を与えるという潜在的な危険性が生じる。とりわけ、多くそのような医薬は、睡眠の質又は持続時間の改善に有効ではあるが、安全に機械を操作又はモータービークルを運転する個人の能力に影響を与えることが知られている。特に、多くのそのような医薬のマーケティングは、個人がそのような活動に携わらなければならない可能性がある場合、すなわち、運転能力低下(driving impairment)又は機械操作の可能性を回避しなければならない場合のそれらの使用に関する明示的な警告にもかかわらず限定的である。
【0004】
例えば、AMBIEN(登録商標)の処方情報には、「10mg用量の使用後の朝の高血中濃度により、翌日の運転能力低下及び十分な注意力が必要とされるその他の活動の能力低下の可能性が増大する」との警告が含まれている。これらの作用は、ZOLPIDEM(登録商標)又はその他の中枢神経系抑制薬と同時投与することにより悪化するため、処方情報には、そのような併用により「眠気、及び運転能力の低下を含む精神運動能力低下が増大する可能性がある」との警告が含まれている。
【0005】
同様に、BELSOMRA(登録商標)の処方情報には「運転能力の低下を含む、注意力及び運動協調性の低下の危険性」と警告されており、そのような危険性は用量の増加と共に増大する。20mg用量のBELSOMRA(登録商標)を服用している患者は、「翌日の運転及び十分な精神的注意力が必要とされるその他の活動」に対して明示的に警告される。臨床研究により、「ある程度の対象において臨床的に有意な運転能力の低下」が示されているので、低用量のBELSOMRA(登録商標)を服用している患者でさえも、感受性の個人差に起因して、運転能力低下の可能性について警告されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、睡眠補助薬による処置後の睡眠後(例えば、翌日)期間にモータービークルを運転若しくは機械を操作する意図があるか、又はモータービークルを運転若しくは機械を操作する可能性がある患者における、睡眠障害の処置に有用であることが知られているその他の医薬、特に翌日の催眠作用を誘発し得る医薬に対する、タシメルテオンの選択的使用に関する。本明細書で詳しく述べるように、このような状況におけるタシメルテオンの選択的使用の発見は、タシメルテオンの使用に由来する翌日の不利益を検討することを目的とした臨床研究からの予期せぬ効果に起因する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本願発明は、睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方の改善を達成するのに有効な医薬による処置について検討(assess)される、又は前記医薬により処置される個人における、睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方を改善する方法であって、最初に、処置後の睡眠後期間に前記個人がモータービークルを運転若しくは機械を操作する意図があるかどうかを決定することを含む方法を含む。この決定がなされ、処置後の睡眠後期間に前記個人がモータービークルを運転若しくは機械を操作する意図があると決定された場合は、睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方を改善するのに有効な量のタシメルテオンを経口投与することによりタシメルテオンで前記個人が処置される。睡眠の改善には、睡眠の質及び睡眠の持続時間のうちの一方またはこれらの両方が含まれ得る。
【0008】
一方、そのような決定がされない場合は、睡眠(例えば、睡眠の質又は睡眠の持続時間)及び/又は睡眠後パフォーマンスを改善することが知られている任意の医薬をそれら結果のうちの1つまたは両方を達成するのに有効な量で投与することにより、前記任意の医薬で前記個人が処置される。したがって、発明の本態様には、処置後の睡眠後期間に前記個人がモータービークルを運転若しくは機械を操作する意図があるかどうか、又はモータービークルを運転若しくは機械を操作する可能性があるかどうかを決定し、それに応じて、就寝前に20mgのタシメルテオンを投与することにより前記個人を処置することが含まれ得る。
【0009】
結果として、本願発明は、睡眠及び/又は睡眠後パフォーマンスを改善するための医薬の投与の翌日に運転能力低下を回避する必要があるか又は機械を操作する必要がある個人を処置することからなる方法において、前記改善が、前記医薬として、就寝前に投与される20mgのタシメルテオンを使用することを含む方法を包含し得る。
【0010】
睡眠(例えば、睡眠の質及び睡眠の持続時間の一方又はこれらの両方)を改善することが知られている医薬としては、例えば、ベンゾジアゼピン(例えば、ジアゼパム、エスタゾラム、エチゾラム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、ニトラゾラム、クアゼパム、テマゼパム、及びトリアゾラム)、バルビツール酸(例えば、アモバルビタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、及びチオペンタールナトリウム)、メラトニン、メラトニンアゴニスト(例えば、アゴメラチン、ピロメラチン、ラメルテオン、及びタシメルテオン)、及び非ベンゾジアゼピン系「z薬」(例えば、ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン、及びザレプロン)が挙げられる。同様に、睡眠を改善するためのこれらの薬剤の量及びこれらの薬剤の投与レジメンは、例えばこれらの医薬の販売者により公表された処方情報を通じて、周知である。
【0011】
同様に、睡眠の質及び睡眠の持続時間に影響を与える医薬を含む睡眠助剤による処置のための患者を選択する診断基準は周知である。上述のとおり、多くの睡眠助剤の処方情報に添付される安全警告の特徴は、患者を診断し、処置に用いる医薬を選択する医療従事者が、前夜の使用後の翌日の催眠作用を有し得る医薬を処方される患者が影響を受け得る患者の活動の特徴を理解していることを必要とする。
【0012】
よって、医療従事者(例えば、担当医)が患者に任意の睡眠後不利益を適切に知らせるためには、処方される医薬が運転又は機械操作の能力を低下させ得るので、医療従事者に対して担当医療従事者は患者はモータービークルを運転することになるかどうかを決定する必要が有り得る。本明細書で使用する場合、機械は、機械装置若しくは電気機械装置又は仕掛けの種類を指し、個人によるそれらの操作における精神的注意力は、操作する個人又は他人に対する危害のリスクの増大を伴わずにその機械の使用が行われ得るかどうかを決定し得る。
【0013】
睡眠障害に対処するための医薬での処置が考慮されている個人の安全性を確保するため、翌日の運転若しくは機械の操作に対して個人に警告するか、又は翌日の効果に基づく安全性の懸念に起因する潜在的により効果的な医薬を入手する機会を限定する必要があり得る。したがって、本願発明は、モータービークルを運転又は機械を操作する可能性がある処置対象の個人に対して代替的処置法が睡眠後(例えば、翌日)の不利益を与え得るという決定がなさた時点で、タシメルテオンが投与のために選択され得るという、現在の処置手法の代替法を提供する。
【0014】
上述のとおり、本発明の一態様は、HETLIOZ(登録商標)とも呼ばれるタシメルテオンの使用を含み得る。タシメルテオンを含む医薬組成物及びタシメルテオンの使用は当該技術において説明されている。タシメルテオンは、非24時間睡眠覚醒症候群(非24)の処置のためのヒト用医薬として認可されており、20mg単位の医薬剤形(カプセル)で入手可能であり、毎晩同じ時間に就寝前に使用するよう示されている。薬理学的に、タシメルテオンは、体内時計に関与する脳領域である視交叉上核(SCN)のMT1Rメラトニン受容体及びMT2Rメラトニン受容体のアゴニストである。メラトニンによるこれらの受容体の会合(engagement)は、睡眠/覚醒サイクルを含む概日リズムを制御すると考えられている。この受容体結合プロファイルと一致して、タシメルテオンは、急性の位相変化及び慢性の再同調の前臨床モデルにおいて、潜在的な時間生物学的活性が実証されている。
【0015】
タシメルテオン自体は、米国特許第5,856,529号の請求項7に権利請求されている。米国特許第5,856,529号はさらに、タシメルテオンが構成要素である化合物の属(genus)に対する請求項、並びに有効量のタシメルテオンを投与することによる睡眠障害及び概日リズム障害の処置におけるこの属の使用に対する請求項を含む請求項をさらに含む。前記特許には、タシメルテオンがメラトニンアゴニストとして記載され、メラトニンアゴニストがメラトニン受容体の相互作用のさらなる研究及びメラトニン活性に影響される病気の処置において有用であり得ることが推測されている。前記特許には、数ある治療上の潜在的用途のなかでも、鬱病、時差障害、交代勤務症候群、及び睡眠障害が列挙されている。他に、前記特許は、タシメルテオンが構成要素である化合物の属の範囲内の化合物が、睡眠障害、季節性鬱、概日リズムのシフト、抑鬱、ストレス、食欲抑制、良性前立腺肥大、及び関連する病気の処置におけるメラトニン作動性薬剤として有用であることを開示する。
【0016】
毎晩同じ時間に就寝前に1日当たり20mgのタシメルテオンの認可された投薬に加えて、米国特許出願公開第2009/0105333号には、睡眠障害及び概日リズム障害における意図される使用について、タシメルテオンの効果的なヒト投与量は、1日当たり10mg~100mgの範囲であり得るという発見が報告されており、さらに、正確な用量はタシメルテオンの粒径及び処置される患者の体の大きさに依存し得ると記載されている。前記特許にはまた、タシメルテオンの20mg経口投与単位剤形、及び睡眠覚醒サイクルが5時間前進した、すなわち、ニューヨークからロンドンへ大西洋をジェット機で横断して旅行する対象が経験し得る睡眠覚醒サイクル前進型の対象のタシメルテオン試験から、10mg、20mg、50mg、及び100mgの1日用量のタシメルテオンを使用する臨床試験が記載されている。この試験の結果は、プラセボと比較して、処置によりメラトニン分泌開始時刻(dim light melatonin onset)のシフト及び睡眠効率について陽性の結果がもたらされることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
睡眠助剤として処方される他の薬剤の使用の間に見いだされる睡眠後(例えば、翌日)の効果への対処におけるタシメルテオンの有効性が、臨床的に実証され得る。具体的には、タシメルテオンの運転に対する効果を研究するための臨床試験により、20mg用量のタシメルテオンは翌日の運転に影響を与えず、陰性プラセボ対象と顕著に異なる結果はもたらさないことが見いだされる。同様の研究により、ゾピクロンが陽性対象として使用された場合、陰性プラセボ対象と比較して、運転能力を顕著に低下させることが見いだされる。
【0018】
本研究では、48人の健康なボランティアが、20mgのタシメルテオン、7.5mgのゾピクロン、又はプラセボを就寝時に投与された翌朝に、自動車運転シミュレーターを操作する。ボランティアは、車線の位置を維持しながら、毎時55マイルの速度で約1時間、運転シミュレーターを操作するよう指示される。
【0019】
以下の表1は、タシメルテオン、ゾピクロン、又はプラセボの投与に対する、時刻に関する研究設計における関連ステップのタイミングを示す。
【0020】
【表1】

【0021】
運転能力は、ふらつき走行(lane weaving)の尺度である横位置の標準偏差(Standard deviation from lateral position)(SDLP)を含むいくつかの有効な測定法により検討される。結果は以下の表2に示される。
【0022】
【表2】

【0023】
以上のように、20mgのタシメルテオンは、投与9時間後に評価する場合、プラセボと比較して睡眠後(翌日)の運転能力低下がないが、7.5mgのゾピクロンは、プラセボと比較してふらつき走行への有意義かつ有意な影響と関連していることが実証される。
【0024】
対象と比較した4.4cmのSDLPは、多くの国で飲酒運転の基準値である0.05%の血中アルコール濃度(BAC)と関連付けられる運転能力低下に相当すると考えられる。
【0025】
タシメルテオンが時差障害(JLD)の処置において有用であり得るという期待を考慮すると、20mgのタシメルテオンが翌日の運転に影響を及ぼさないことは重要である。タシメルテオンJLD臨床プログラムは、5~8時間の概日性の前進を患う個人において有意な利益を実証する。
【0026】
その他の症状は、モータービークルの運転又は機械の操作におけるパフォーマンスを含む翌日のパフォーマンスを低下させる睡眠後/投与後/翌日の残存効果を誘導することなく、又はこれらの危険を冒すことなく、同様の処置に同様に適している。そのような症状としては、例えば、非24時間睡眠覚醒症候群、一過性不眠症、慢性不眠症、交代勤務障害、睡眠相後退症候群などの概日リズム障害及び睡眠障害が挙げられる。その他の障害は、当該技術分野の当業者に明らかであるだろう。
【0027】
本明細書で使用される専門用語は、特定の態様を記載することのみを目的としており、開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、他で文脈が明確に示さない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、用語「含む(comprise)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、成分、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、他の特徴、成分、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群のうちの1又は複数の存在又は付加を排除するものではないことが理解されるであろう。「任意の(optional)」又は「任意に(optionally)」は、続いて記載される事象又は状況が起こっても起こらなくてもよく、前記記載が前記事象が起こった場合の例及び前記事象が起こらなかった場合の例を含むことを意味する。
【0028】
以下の特許請求の範囲における全てのミーンズ・プラス・ファンクション要素又はミーンズ・プラス・ステップ要素の対応する構造、材料、作用、及び等価物は、具体的に権利請求されるように他の権利請求される要素と組み合わせて前記機能を実施するための任意の構造、材料、又は作用を含むことを意図する。本願開示は、例示及び記載の目的で提示されているが、前記開示を記載される形式を包括する、又はこの形式に限定されることを意図していない。多くの改変及び変形は、本開示の範囲及び精神から逸脱することなく当該技術分野の当業者に明らかになるであろう。本明細書で選択され記載されるいずれの実施形態も、本開示の原理及び実際の適用を最もよく説明すること、及び該技術分野の他の当業者が予期される特定の使用に適するような種々の改変を有する種々の実施形態についての開示を理解できるようにすることを目的としているようだ。
【0029】
本開示に係る態様は以下の態様も含む。
<1>
睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方の改善を達成するのに有効な医薬による処置について検討(assess)される、又は前記な医薬により処置される個人における、睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方を改善する方法であって、
処置後の睡眠後期間に前記個人がモータービークルを運転若しくは機械を操作する意図があるかどうか、又はモータービークルを運転若しくは機械を操作する可能性があるかどうかを決定すること、及び
前記処置後の睡眠後期間に前記個人がモータービークルを運転若しくは機械を操作する意図がある、又はモータービークルを運転若しくは機械を操作する可能性があると決定された場合は、睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方を改善するのに有効な量のタシメルテオンを経口投与することによりタシメルテオンで前記個人を処置すること、又は
そのような決定がされない場合は、睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方を改善することが知られている任意の医薬をそれら結果のうちの1つまたは両方を達成するのに有効な量で投与することにより前記任意の医薬で前記個人を処置すること
を含む、前記方法。
<2>
前記決定が、前記処置後の睡眠後期間に前記個人がモータービークルを運転若しくは機械を操作する意図がある、又はモータービークルを運転若しくは機械を操作する可能性があると決定され、前記処置が、就寝前に20mgのタシメルテオンを投与することを含む、請求項1に記載の方法。
<3>
睡眠の改善が、睡眠の質、睡眠の持続時間、又はこれらの両方の改善を含む、請求項1に記載の方法。
<4>
前記処置後の睡眠後期間が、前記医薬の投与のおよそ9時間後に始まる期間を含む、請求項1に記載の方法。
<5>
前記個人が、概日リズム障害又は睡眠障害を患っている、請求項1に記載の方法。
<6>
前記個人が、時差障害を患っている、請求項1に記載の方法。
<7>
睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方を改善するための医薬の投与後の睡眠後期間に運転能力低下(driving impairment)を回避する必要があるか、又は機械を操作する必要がある個人を処置することからなる方法における、
前記医薬として、就寝前に投与される20mgのタシメルテオンを使用することを含む改善。
<8>
睡眠の改善が、睡眠の質、睡眠の持続時間、又はこれらの両方の改善を含む、請求項7に記載の改善。
<9>
前記処置後の睡眠後期間が、前記医薬の投与のおよそ9時間後に始まる期間を含む、請求項7に記載の改善。
<10>
前記個人が、概日リズム障害又は睡眠障害を患っている、請求項7に記載の改善。
<11>
前記個人が、時差障害を患っている、請求項7に記載の改善。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
概日リズム障害又は睡眠障害を患っていて、タシメルテオン以外の前記障害の改善を達成するのに有効な医薬による処置を受けている又は受けた個人における、睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方を改善する方法において使用されるタシメルテオン含有医薬であって、
前記方法が、
処置後の睡眠後期間に前記個人がモータービークルを運転若しくは機械を操作する意図があるかどうか、又はモータービークルを運転若しくは機械を操作する可能性があるかどうかを決定すること、及び
前記処置後の睡眠後期間に前記個人がモータービークルを運転若しくは機械を操作する意図がある、又はモータービークルを運転若しくは機械を操作する可能性があると決定された場合に、前記概日リズム障害又は睡眠障害を処置して、睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方を改善するのに有効な量の前記タシメルテオン含有医薬を経口投与することによりタシメルテオン含有医薬で前記個人を処置すること、及び
前記処置後の睡眠後期間に前記個人がモータービークルを運転若しくは機械を操作する意図は無い、又はモータービークルを運転若しくは機械を操作する可能性は無いと決定された場合に、前記概日リズム障害又は睡眠障害を処置して、睡眠、睡眠後パフォーマンス、又はこれらの両方を改善するのに有効な量の、タシメルテオン以外の前記医薬を投与することにより、タシメルテオン以外の前記医薬で前記個人を処置すること
を含む、前記タシメルテオン含有医薬。
【請求項2】
前記処置後の睡眠後期間に前記個人がモータービークルを運転若しくは機械を操作する意図がある、又はモータービークルを運転若しくは機械を操作する可能性があると決定された場合に、前記処置が、就寝前にタシメルテオン含有医薬によって20mgのタシメルテオンを投与することを含む、請求項1に記載のタシメルテオン含有医薬。
【請求項3】
睡眠の改善が、睡眠の質、睡眠の持続時間、又はこれらの両方の改善を含む、請求項1に記載のタシメルテオン含有医薬。
【請求項4】
前記処置後の睡眠後期間が、前記タシメルテオン含有医薬の投与のおよそ9時間後に始まる期間を含む、請求項1に記載のタシメルテオン含有医薬。
【請求項5】
前記個人が、時差障害を患っている、請求項1に記載のタシメルテオン含有医薬。
【請求項6】
投与後の睡眠後期間に運転能力低下(driving impairment)を回避する必要があるか、又は機械を操作する必要がある個人における睡眠後パフォーマンスを改善するために使用されるタシメルテオン含有医薬であって、
前記タシメルテオン含有医薬が、就寝前に投与される20mgのタシメルテオンを含む、
前記タシメルテオン含有医薬。
【請求項7】
前記投与後の睡眠後期間が、前記タシメルテオン含有医薬の投与のおよそ9時間後に始まる期間を含む、請求項6に記載のタシメルテオン含有医薬。
【請求項8】
前記個人が、時差障害を患っている、請求項6に記載のタシメルテオン含有医薬。