(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149612
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】車両制御装置、および、車両
(51)【国際特許分類】
B60R 25/24 20130101AFI20241010BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20241010BHJP
E05B 47/00 20060101ALI20241010BHJP
G01S 11/06 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B60R25/24
E05B49/00 K
E05B47/00 U
G01S11/06
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024125235
(22)【出願日】2024-07-31
(62)【分割の表示】P 2023095807の分割
【原出願日】2019-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2018246032
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018246033
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】藤山 淳
(72)【発明者】
【氏名】小池 直也
(72)【発明者】
【氏名】小川 淳
(72)【発明者】
【氏名】太田 慎也
(57)【要約】
【課題】車両のスイッチを操作してから該車両が制御可能状態になるまでの時間の短縮化が図れる車両制御システムを提供する。
【解決手段】車両(20)を含む第1領域と、車両(20)を含み第1領域より小さい第2領域とを有し、電子キー(50)が第1領域に入った場合、電子キー(50)と車両ECU(30)が無線接続して接続認証を実施し、接続認証が実施された後、電子キー(50)が第2領域に入った場合、車両ECU(30)が、車両操作部(40)の操作を受け付け可能である操作待ち状態になり、車両ECU(30)が操作待ち状態である場合に、車両操作部(40)が所定の操作を受けた場合、車両(20)が制御可能状態になる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイブレータを備えた通信機と無線通信が可能であり、操作部を備えた車両に搭載されるように設定された車両制御装置であって、
前記車両を含む第1領域、前記車両を含み前記第1領域より小さい第2領域を有し、
前記通信機が前記第1領域に入った場合、前記通信機との無線接続で接続認証を行い、
前記通信機が前記第2領域に入った場合、前記車両において前記操作部の操作を受け付け可能である操作待ち状態にし、
その後に、前記通信機が前記第2領域を含まない第1領域に入った場合、前記車両において前記操作待ち状態ではなくし、
前記車両が前記操作待ち状態である場合に、前記操作部が所定の操作を受けた場合、前記車両を制御可能状態にし、
前記車両が前記操作待ち状態でない場合に、前記操作部が前記所定の操作を受けた場合、前記車両は前記制御可能状態にせず、
前記車両が前記操作待ち状態である場合に、前記無線通信を介して前記通信機に対して、前記バイブレータの振動を指示する、
車両制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御装置であって、
前記通信機の前記バイブレータの振動は、前記車両が前記操作待ち状態であること示す、
車両制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両制御装置であって、
前記所定の操作を、第1の操作とし、
前記車両が制御可能状態である場合に、前記操作部が第2の操作を受けた場合、前記車両を前進させる、
車両制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両制御装置であって、
前記操作部は、スイッチとスロットルを備え、
前記第1の操作は、前記スイッチが受け、
前記第2の操作は、前記スロットルが受ける、
車両制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両制御装置であって、
前記通信機は、表示器を備え、
前記車両が前記操作待ち状態である場合に、前記無線通信を介して前記通信機に対して、前記表示器に、前記車両が前記操作待ち状態であることを表示するように指示する、
車両制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両制御装置であって、
前記表示器は、LEDである、
車両制御装置。
【請求項7】
請求項5に記載の車両制御装置であって、
前記表示器は、画像を表示可能であって、
前記表示器は、前記車両が前記操作待ち状態であることを所定の画像として表示する、
車両制御装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両制御装置であって、
前記通信機は、スピーカを備え、
前記車両が前記操作待ち状態である場合に、前記無線通信を介して前記通信機に対して、前記スピーカが、前記車両が前記操作待ち状態であることを音声で報知するように指示する、
車両制御装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の車両制御装置であって、
前記通信機は、ブザーを備え、
前記車両が前記操作待ち状態である場合に、前記無線通信を介して前記通信機に対して、前記ブザーが、前記車両が前記操作待ち状態であることをビープ音で報知するように指示する、
車両制御装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の車両制御装置であって、
前記無線通信は、Bluetooth(登録商標)に準拠する、
車両制御装置。
【請求項11】
バイブレータを備えた通信機と無線通信が可能であり、操作部を備えた車両であって、
前記車両を含む第1領域、前記車両を含み前記第1領域より小さい第2領域を有し、
前記通信機が前記第1領域に入った場合、前記通信機との無線接続で接続認証を行い、
前記通信機が前記第2領域に入った場合、前記操作部の操作を受け付け可能である操作待ち状態にし、
その後に、前記通信機が前記第2領域を含まない第1領域に入った場合、前記操作待ち状態ではなくし、
前記操作待ち状態である場合に、前記操作部が所定の操作を受けた場合、制御可能状態にし、
前記操作待ち状態でない場合に、前記操作部が前記所定の操作を受けた場合、前記車両は前記制御可能状態にせず、
前記操作待ち状態である場合に、前記無線通信を介して前記通信機に対して、前記バイブレータの振動を指示する、
車両。
【請求項12】
請求項11に記載の車両であって、
前記通信機の前記バイブレータの振動は、前記車両が前記操作待ち状態であること示す、
車両。
【請求項13】
請求項11又は請求項12に記載の車両であって、
前記所定の操作を、第1の操作とし、
前記車両が制御可能状態である場合に、前記操作部が第2の操作を受けた場合、前記車両を前進させる、
車両。
【請求項14】
請求項13に記載の車両であって、
前記操作部は、スイッチとスロットルを備え、
前記第1の操作は、前記スイッチが受け、
前記第2の操作は、前記スロットルが受ける、
車両。
【請求項15】
請求項11から請求項14のいずれか1項に記載の車両であって、
前記通信機は、表示器を備え、
前記車両が前記操作待ち状態である場合に、前記無線通信を介して前記通信機に対して、前記表示器に、前記車両が前記操作待ち状態であることを表示するように指示する、
車両。
【請求項16】
請求項15に記載の車両であって、
前記表示器は、LEDである、
車両。
【請求項17】
請求項15に記載の車両であって、
前記表示器は、画像を表示可能であって、
前記表示器は、前記車両が前記操作待ち状態であることを所定の画像として表示する、
車両。
【請求項18】
請求項11から請求項17のいずれか1項に記載の車両であって、
前記通信機は、スピーカを備え、
前記車両が前記操作待ち状態である場合に、前記無線通信を介して前記通信機に対して、前記スピーカが、前記車両が前記操作待ち状態であることを音声で報知するように指示する、
車両。
【請求項19】
請求項11から請求項18のいずれか1項に記載の車両であって、
前記通信機は、ブザーを備え、
前記車両が前記操作待ち状態である場合に、前記無線通信を介して前記通信機に対して、前記ブザーが、前記車両が前記操作待ち状態であることをビープ音で報知するように指示する、
車両。
【請求項20】
請求項11から請求項19のいずれか1項に記載の車両であって、
前記無線通信は、Bluetooth(登録商標)に準拠する、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動二輪車や自動車等の車両に用いて好適な車両制御装置、および、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
図32は、従来の車両制御システムの概略構成を示す図である。同図に示す車両制御システム100は、二輪の車両110に適用されたものであり、車両110に備えられるスイッチ120と、車両110に搭載される車両ECU(Electronic Control Unit)130と、車両110のユーザ150が所持する電子キー140とから構成される。車両ECU130と電子キー140との間の通信には、例えば、125kHzのLF(Low Frequency)と、315MHz又は433MHzのRF(Radio Frequency)が使用される。LFは、車両ECU130から電子キー140への通信に使用され、RFは、電子キー140から車両ECU130への通信に使用される。
【0003】
図33は、
図32の車両110におけるLF/RF通信と認証タイミングを示す図である。同図において、車両110のユーザ150が電子キー140を所持して車両110に近づき到着した後、スイッチ120を押下することで、電子キー140と車両ECU130間でLF/RF通信が開始されて電子キー140の認証が行われる。認証が行われた後、車両110が制御可能状態になる。このように、ユーザ150が電子キー140を所持した状態で車両110のスイッチ120を押下することで、電子キー140とECU130との間でLF/RF通信が開始されて電子キー140の認証が行われ、認証が行われた後、車両110が制御可能状態になる。
【0004】
なお、上述した車両制御システム100に関連する技術として、例えば特許文献1~3に記載されたものがある。
特許文献1に記載された無線式キーシステムは、起動スイッチと、呼出信号発生手段と、携帯無線機と、照合手段と、施解錠手段とからなり、呼出信号発生手段は、起動スイッチの操作に応答して順次時間的にずれて複数種類の呼出信号を送信し、携帯無線機は、呼出信号発生手段から送信された呼出信号を受信し、予め定められた信号と同一の呼出信号が受信されたときに固有コード信号を送信し、照合手段は、携帯無線機からの固有コード信号を受信し予め記憶した固有コードと照合し、施解錠手段は、照合手段の照合結果に基づいてドアロック機構を施錠又は解錠する。
【0005】
特許文献2に記載された電子キーシステムの携帯機は、運動判定手段と、報知手段とを備え、運動判定手段は、携帯機が静止状態から動いたか否かを判定し、報知手段は、運動判定手段により携帯機が動いたと肯定判定されると、携帯機が動いたことを使用者に報知するための動作を行う。
【0006】
特許文献3に記載された物品忘れ防止装置は、無線通信端末装置と、検知部と、読取部と、記憶部と、報知部と、制御部と、を備え、無線通信端末装置は、物品情報を記憶するメモリ部を備え、検知部は、人の接近又は移動を検知し、読取部は、無線通信端末装置のメモリ部の情報を読み取り、記憶部は、携行品データを記憶し、報知部は、無線通信端末装置のメモリデータと携行品データを比較してその結果を報知し、制御部は、各部を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61-137976号公報
【特許文献2】特開2006-63676号公報
【特許文献3】特開2007-48248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した車両制御システム100においては、車両110のスイッチ120を操作することで電子キー140と車両ECU130との間でLF/RF通信が開始され、電子キー140の認証が行われた後、車両110が起動状態になるようにしているが、
スイッチ120を操作してからでないと電子キー140の認証が行われないことから、周期的に通信を行うシステムなどにおいては車両110が制御可能状態になるまでに時間がかかるという課題がある。
【0009】
図34は、電子キー140と車両ECU130との間の通信にBLE(Bluetooth Low Energy、省電力化を図ったBluetooth(登録商標))を使用した場合のスイッチ120の押下による認証のタイミングを示す図である。同図に示すように、電子キー140と車両ECU130が、例えば1000msecの間隔でBLE通信を行っているときに、BLE通信が行われるタイミング以外のタイミングでスイッチ120が押下されると、そのときのタイミングから次のBLE通信を行うタイミングまでの時間(例えば600msec)認証が行われず、当該時間に達すると、認証が行われて車両110が制御可能状態になる。
【0010】
本開示は、車両のスイッチを操作してから該車両が制御可能状態になるまでの時間の短縮化が図れる車両制御装置および車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一態様は、バイブレータを備えた通信機と無線通信が可能であり、操作部を備えた車両に搭載されるように設定された車両制御装置であって、前記車両を含む第1領域、前記車両を含み前記第1領域より小さい第2領域を有し、前記通信機が前記第1領域に入った場合、前記通信機との無線接続で接続認証を行い、前記通信機が前記第2領域に入った場合、前記車両において前記操作部の操作を受け付け可能である操作待ち状態にし、その後に、前記通信機が前記第2領域を含まない第1領域に入った場合、前記車両において前記操作待ち状態ではなくし、前記車両が前記操作待ち状態である場合に、前記操作部が所定の操作を受けた場合、前記車両を制御可能状態にし、前記車両が前記操作待ち状態でない場合に、前記操作部が前記所定の操作を受けた場合、前記車両は前記制御可能状態にせず、前記車両が前記操作待ち状態である場合に、前記無線通信を介して前記通信機に対して、前記バイブレータの振動を指示する、車両制御装置を提供する。
【0012】
本開示の一態様は、バイブレータを備えた通信機と無線通信が可能であり、操作部を備えた車両であって、前記車両を含む第1領域、前記車両を含み前記第1領域より小さい第2領域を有し、前記通信機が前記第1領域に入った場合、前記通信機との無線接続で接続認証を行い、前記通信機が前記第2領域に入った場合、前記操作部の操作を受け付け可能である操作待ち状態にし、その後に、前記通信機が前記第2領域を含まない第1領域に入った場合、前記操作待ち状態ではなくし、前記操作待ち状態である場合に、前記操作部が所定の操作を受けた場合、制御可能状態にし、前記操作待ち状態でない場合に、前記操作部が前記所定の操作を受けた場合、前記車両は前記制御可能状態にせず、前記操作待ち状態である場合に、前記無線通信を介して前記通信機に対して、前記バイブレータの振動を指示する、車両を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、車両のスイッチを操作してから該車両が制御可能状態になるまでの時間の短縮化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態の車両制御システムの概略構成を示すブロック図
【
図2】第1実施形態の車両制御システムが適用された車両の車体前部を上方より見た図
【
図3】第1実施形態の車両制御システムを構成する電子キーの外観を示す平面図
【
図4】第1実施形態の車両制御システムが有する車両制御可能領域を示す図
【
図5】(a),(b)第1実施形態の車両制御システムで、操作待ち状態が継続するヒステリシスの概念を示す図
【
図6】第1実施形態の車両制御システムにおけるBLE通信タイミングと認証タイミングを示す図
【
図7】第1実施形態の車両制御システムにおいて車両操作待ち状態への遷移の通知を止めない場合の車両ECUと電子キーとの間の処理を示すシーケンス図
【
図8】第1実施形態の車両制御システムにおいて車両操作待ち状態への遷移の通知を止めない場合の車両ECUと電子キーとの間の処理を示すシーケンス図
【
図9】第1実施形態の車両制御システムの車両ECUの動作を説明するためのフローチャート
【
図10】第1実施形態の車両制御システムの電子キーの動作を説明するためのフローチャート
【
図11】第1実施形態の車両制御システムにおいて車両操作待ち状態への遷移の通知を止める場合の車両ECUと電子キーとの間の処理を示すシーケンス図
【
図12】第1実施形態の車両制御システムにおいて車両操作待ち状態への遷移の通知を止める場合の車両ECUと電子キーとの間の処理を示すシーケンス図
【
図13】第1実施形態の車両制御システムの車両ECUの動作を説明するためのフローチャート
【
図14】第1実施形態の車両制御システムの電子キーの動作を説明するためのフローチャート
【
図15】第1実施形態の車両制御システムに適用可能なスマホの外観を示す平面図
【
図17】第1実施形態の車両制御システムに適用可能な距離検出機能を有しない車両ECUの概略構成と、それぞれ距離検出機能を有する電子キー及びスマホの概略構成を示すブロック図
【
図18】第1実施形態の車両制御システムに適用可能で、それぞれ距離検出機能を有する車両ECU、電子キー及びスマホの概略構成を示すブロック図
【
図19】第2実施形態の車両制御システムの概略構成を示すブロック図
【
図20】第2実施形態の車両制御システムが有する車両制御可能領域を示す図
【
図21】(a)~(c)第2実施形態の車両制御システムにおいて、車両制御が可能な場合と不可能な場合を示す図
【
図22】第2実施形態の車両制御システムにおいて、電子キーとスマホがペアリングされた場合とそうでない場合を示す図
【
図23】第2実施形態の車両制御システムにおいて、車両ECUと電子キーとスマホの間の処理を示すシーケンス図
【
図24】第2実施形態の車両制御システムの車両ECUの動作を説明するためのフローチャート
【
図25】第2実施形態の車両制御システムの電子キーの動作を説明するためのフローチャート
【
図26】第2実施形態の車両制御システムのスマホの動作を説明するためのフローチャート
【
図27】第2実施形態の車両制御システムにおいて、車両ECUと電子キーとスマホの間の処理を示すシーケンス図
【
図28】第2実施形態の車両制御システムの車両ECUの動作を説明するためのフローチャート
【
図29】第2実施形態の車両制御システムの電子キーの動作を説明するためのフローチャート
【
図30】第2実施形態の車両制御システムのスマホの動作を説明するためのフローチャート
【
図31】第2実施形態の車両制御システムにおける電子キーとスマホのペアリング処理を示すシーケンス図
【
図32】従来の車両制御システムの概略構成を示す図
【
図33】
図32の車両におけるLF/RF通信と認証タイミングを示す図
【
図34】電子キーと車両ECUとの間の通信にBLEを使用した場合のスイッチの押下による認証のタイミングを示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る車両制御システムを具体的に開示した実施形態(以下、「本実施形態」という)を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0016】
以下、本開示を実施するための好適な本実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、第1実施形態の車両制御システムについて説明する。
図1は、第1実施形態の車両制御システム10の概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施形態の車両制御システム10は、二輪の車両20に適用したものであり、車両20に搭載される車両ECU30(車両制御装置)と、車両20に備えられる車両操作部(操作部)40と、車両20のユーザが所持する電子キー(通信機)50と、を備える。車両操作部40には、スイッチ41及びスロットル42が含まれる。スイッチ41は、車両20を制御可能状態にする操作(第1の操作)を受けるものである。スロットル42は、車両20を前進させる操作(第2の操作)を受けるものであり、車両20が制御可能状態のときにスロットル操作を受けることで車両が前進する。
【0018】
なお、本実施形態の車両制御システム10の全体構成は、前述した
図32と同様であるので、全体構成においては
図32を援用する。但し、本実施形態の車両制御システム10と従来の車両制御システム100を区別できるように、本実施形態の車両制御システム10を構成する各要素に付す符号には括弧を付けている。
【0019】
図2は、車両20の車体前部を上方より見た図である。同図において、車両20は二輪の車両であるので、ハンドル21の右端部分にはスロットル42が配置されており、スロットル42の内側にはスイッチ41が配置されている。なお、車両20は、前輪22と燃料タンク23を有する。
【0020】
図1において、車両ECU30は、電子キー50との間でBluetooth(登録商標)に準拠する無線通信を行う無線送受信部31と、電子キー50との間の距離を検出する距離検出部32と、車両操作部40のスイッチ41,スロットル42それぞれが操作されたときのスイッチ信号の取り込み、並びに無線送受信部31及び距離検出部32それぞれの制御を行う制御部33とを備える。無線送受信部31で採用されたBluetoothは定期通信を行う通信方式を採用したものであり、周波数は2.4GHz帯である。また、通信距離は100m程度である。なお、電子キー50の電池のもちを良くするため、Bluetoothでも省電力化を図ったBluetooth Low Energyを用いることもできる。
【0021】
距離検出部32は、RSSI(Received Signal Strength Indication、受信信号強度)やTOF(Time Of Flight)や電波の位相情報を用いた手法などによって電子キー50との間の距離を測定する。RSSIは、無線LANやBluetoothなどの無線通信において、送信範囲の制御などの目的で利用されている。TOFは、対象物に電波を送信し、対象物からの応答に要する時間から対象物との間の距離を計測する。電波の位相情報を用いた手法は、周波数毎の波長と位相情報により距離を推定する。なお、電子キー50の距離測定を車両ECU30側で行う以外に電子キー50側で行っても良いし、車両ECU30と電子キー50の双方で行っても良い。本実施形態の車両制御システム10では、車両ECU30側で行うものとする。なお、電子キー50の距離測定を電子キー50側で行う例や、車両ECU30側と電子キー50側の双方で行う例については、後述する。
【0022】
制御部33は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)と、CPUを制御するためのプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)と、CPUの動作に用いられるRAM(Random Access Memory)を有している。制御部33は、車両操作部40のスイッチ41,スロットル42それぞれから出力されるスイッチ信号を取り込む。
【0023】
電子キー50は、車両ECU30との間でBluetoothに準拠する無線通信を行う無線送受信部51と、車両20が操作待ち状態であることを表示するLED(表示器)52と、キースイッチ53と、キースイッチ53が操作されたときのスイッチ信号の取り込み、並びに無線送受信部51及びLED52それぞれの制御を行う制御部54と、電子キー50の各部に電源を供給するための1次電池55とを備える。なお、上述したように、電子キー50の電池のもちを良くするため、省電力化を図ったBluetooth Low Energyが好適である。制御部54は、図示せぬCPUと、CPUを制御するためのプログラムを記憶したROMと、CPUの動作に用いられるRAMを有している。
【0024】
図3は、電子キー50の外観を示す平面図である。同図において、電子キー50は、方形状の筐体(第1の筐体)51Aを有し、筐体51Aの前面側の上部右側にはLED52が配置され、LED52の下方にはキースイッチ53が配置されている。なお、電子キー50は、車両ECU30との間の距離を測定する手段は有しないが、当該手段を有していても構わない。
【0025】
ここで、Bluetoothのような定期通信を行う通信方式では、車両操作部40のスイッチ41を押下してから車両20が制御可能状態になるまでに時間を要することがある。前述した
図34に示す例では、スイッチを押下したときから例えば600msec後にBLE通信が行われて認証が行われ、その後に車両が制御可能状態になる。つまり、スイッチを押下しても、そのときのタイミングがBLE通信を行うタイミングでなければ、次のBLE通信を行うまで認証が行われず、車両が制御可能状態になるまで時間がかかる。このように、スイッチを押下したときに認証を行う方式では、スイッチを押下してから車両が起動状態になるまでの時間が長くなる。スイッチを押下してから車両が起動状態になるまでの時間を短くするには、電子キーと車両との間の定期通信の間隔を短くすれば良いが、そのようにすると、電子キーと車両の双方において消費電流が大きくなり、電池のもちが悪くなる。
【0026】
一方、電子キー50の位置を検出する方式によっては、人体などの周囲の影響により位置検出に誤差が発生する可能性があり、電子キー50の持ち方によって車両制御可能領域が変化することがある。即ち、電子キー50の位置により通信領域が大きく変化することがある。このため、スイッチの押下などのドライバーの操作後に電子キーの位置を検出する方式は不向きであり、車両の近くに存在していた場合でも人体影響にて通信領域外の可能性もある。人体影響に対して、車両と電子キーとの間の通信にLF/RF方式を用いることで受け難くでき、通信領域の安定化が図れる。しかしながら、従来の課題でも述べたように、スイッチ操作後に電子キーの位置を検出する方式では、車両が制御可能状態になるまで時間がかかってしまう。
【0027】
本実施形態の車両制御システム10では、車両20のスイッチ41が操作されてから車両20が制御可能状態になるまでの時間の短縮化が図れるようにした。本実施形態の車両制御システム10では、車両20に対する車両制御可能領域を設けて、車両操作部40のスイッチ41の操作による車両制御を可能としている。ここで、車両制御とは、例えば“ハンドルのロック/アンロック”、“トランクのアンロック”、“エンジン始動”、“車両電源操作”などである。
【0028】
図4は、本実施形態の車両制御システム10が有する車両制御可能領域を示す図である。同図に示すように、本実施形態の車両制御システム10は、車両制御可能領域として、車両20を含む第1領域60と、車両20を含み第1領域60より小さい第2領域61と、車両20を含み第2領域61より小さい第3領域62を有する。
【0029】
第1領域60に電子キー50が入った場合、電子キー50と車両20(実際は電子キー50と車両ECU30であり、以下同様)との間で接続認証が行われる。接続認証後、電子キー50が第3領域62に入った場合、車両20が操作部40の操作を受け付け可能である操作待ち状態になる。この操作待ち状態は、電子キー50が第3領域62を含まない第2領域61に入った場合でも継続される。即ち、電子キー50が第3領域62に入った後、第3領域62を含まない第2領域61に入っても、車両20の操作待ち状態が継続されるようにヒステリシスを設けている。車両20が操作待ち状態である場合、操作部40が所定の操作を受けると、車両20が制御可能状態になる。
【0030】
電子キー50が第2領域61に入った後、第2領域61を含まない第1領域60に入った場合、車両20は操作待ち状態ではなくなる。車両20が操作待ち状態でない場合、操作部40が所定の操作を受けても、車両20は制御可能状態にはならない。また、電子キー50が、第3領域62の外部から第3領域62に入ると、その時点から経過時間を測定し、第3領域62又は第3領域62を含まない第2領域61に入っている間に、所定時間を経過した場合、車両20は操作待ち状態でなくなる。
【0031】
このように、電子キー50が第1領域60に入ると車両20との間で接続認証が行われ、その後、電子キー50が第3領域62に入ると車両20が操作待ち状態になる。車両20が操作待ち状態のときに、操作部40にて所定の操作(即ちスイッチ41の操作)が行われると、車両20が制御可能状態になる。そして、電子キー50が第3領域62を出て第2領域61に入っても車両20が制御可能状態を継続し、第2領域61を出た時点で車両20が制御可能状態でなくなる。車両20が操作待ち状態でないときは、操作部40が所定の操作を受け付けても、車両20が制御可能状態にはならない。また、電子キー50が、第3領域62又は第3領域62を含まない第2領域61に入っている間に、第3領域62の外部から第3領域62に入った時点からの経過時間が所定時間を経過した場合、車両20は操作待ち状態でなくなる。
【0032】
ここで、電子キー50が第3領域62を出て第2領域61に入っても車両20が制御可能状態を継続するようにヒステリシスを設けた理由は、Bluetooth通信(BLE通信を含む)特有の課題を解決するためである。つまり、Bluetoothの周波数帯は2.4GHz帯であり、人体の影響を大きく受けるから、電子キー50の持ち方を変えても制御可能状態を維持できようにするため(制御不可能になるのを防止するため)である。このように、電子キー50が第3領域62に入った後に第3領域62を含まない第2領域61に入っても、車両20の操作待ち状態を継続するようにヒステリシスを持たせている。
図5は、操作待ち状態を継続させるヒステリシスの概念を示す図である。同図の(a)に示すように、電子キー50を所持したユーザ150が第3領域62に入った後、同図の(b)に示すように、第3領域62を含まない第2領域61に入ろうとした際に、第3領域62が広がったようになり、車両20の操作待ち状態が継続する。
【0033】
図6は、本実施形態の車両制御システム10におけるBLE通信タイミングと認証タイミングを示す図である。電子キー50が第1領域60に入ると電子キー50と車両ECU30との間でBLE通信が開始されて電子キー50の認証が行われる。その後、電子キー50が第3領域62に入って、ユーザ150にてスイッチ41が押下されると、そのときから次のBLE通信のタイミングで車両20が制御可能状態になる。このように、電子キー50が第1領域60に入ることで電子キー50の認証が行われ、電子キー50の認証後、電子キー50が第3領域62に入って、スイッチ41が押下されることで、車両20が制御可能状態になる。
【0034】
次に、第1実施形態の車両制御システム10の動作について詳細に説明する。
(車両操作待ち状態への遷移の通知を止めない例(1))
図7は、第1実施形態の車両制御システム10において車両操作待ち状態への遷移の通知を止めない場合の車両ECU30と電子キー50との間の処理を示すシーケンス図である。
【0035】
同図において、第1領域60内に電子キー50が入ると(SS1)、車両ECU30と電子キー50で接続認証が実施され、さらに領域検出が行われる(SS2)。領域検出は、その後も継続して行われる(SS3)。第3領域62に電子キー50が入った場合、車両ECU30は、電子キー50が第3領域62に入ったと検出する(SS4)。そして、車両操作待ち状態へ遷移する(SS5)。また、電子キー50に車両操作待ち状態への遷移を通知する(SS6)。電子キー50は、車両操作待ち状態への遷移の通知を受けるとLED52を点滅させる(SS7)。車両ECU30が、車両操作待ち状態へ遷移した後、車両20のスイッチ41の操作(SS8)によって、車両20の制御が可能(制御可能状態)になる。
【0036】
(車両操作待ち状態への遷移の通知を止めない例(2))
図8は、第1実施形態の車両制御システム10において車両操作待ち状態への遷移の通知を止めない場合の車両ECU30と電子キー50との間の処理を示すシーケンス図である。なお、
図7における各処理と共通する処理には同一の符号を付けている。
【0037】
同図において、第1領域60内に電子キー50が入ると(SS1)、車両ECU30と電子キー50で接続認証が実施され、さらに領域検出が行われる(SS2)。領域検出は、その後も継続して行われる(SS3)。第3領域62に電子キー50が入った場合、車両ECU30は、電子キー50が第3領域62に入ったと検出する(SS4)。そして、車両操作待ち状態へ遷移する(SS5)。また、電子キー50に車両操作待ち状態への遷移を通知する(SS6)。電子キー50は、車両操作待ち状態への遷移の通知を受けるとLED52を点滅させる(SS7)。その後、電子キー50が第3領域62に入った時点から所定時間経過したことを検出するか、または電子キー50が第2領域61を含まない第1領域60に入ったと検出すると(SS9)、車両ECU30は車両操作待ち状態ではなくなる(SS10)。これにより、車両20のスイッチ41が操作されても(SS8)車両制御は行われない(車両制御不可能状態になる)。
【0038】
図9は、第1実施形態の車両制御システム10の車両ECU30の動作を説明するためのフローチャートである。なお、
図9は、
図8の車両操作待ち状態への遷移の通知を止めない例(2)のフローチャートである。同図において、車両ECU30は、電子キー50と非接続状態にあることを確認し(ステップS10)、その後、第1領域60内に電子キー50が存在するかどうか判定する(ステップS11)。第1領域60内に電子キー50が存在しないと判定した場合(ステップS11で「NO」と判定した場合)、第1領域60内に存在すると判定するまで、ステップS10,S11の処理を繰り返す。これに対し、第1領域60内に電子キー50が存在すると判定した場合(ステップS11で「YES」と判定した場合)、電子キー50と車両ECU30で接続認証を実施する(ステップS12)。車両ECU30は、電子キー50と接続認証を実施した後、車両ECU30が制御不可状態にあることを確認し(ステップS13)、その後、電子キー50の距離を検出する(ステップS14)。電子キー50の距離は、RSSIやTOFや電波の位相情報を用いた手法などにて測定される。
【0039】
車両ECU30は、電子キー50の距離を検出した後、電子キー50が第3領域62内に存在するかどうか判定する(ステップS15)。第3領域62内に電子キー50が存在しないと判定した場合(ステップS15で「NO」と判定した場合)、第3領域62内に存在すると判定するまで、ステップS13~S15の処理を繰り返す。これに対し、第3領域62内に電子キー50が存在すると判定した場合(ステップS15で「YES」と判定した場合)、電子キー50へ車両操作待ち状態への遷移を通知し(ステップS16)、その後、車両制御可能状態にする(ステップS17)。
【0040】
次いで、車両ECU30は、電子キー50が第3領域62内に入ったときからの経過時間が所定時間内であるかどうか判定する(ステップS18)。所定時間内でないと判定した場合(ステップS18で「NO」と判定した場合)、ステップS13に戻り、車両制御不可状態にする。これに対し、電子キー50が第3領域62内に入ったときからの経過時間が所定時間内であると判定した場合(ステップS18で「YES」と判定した場合)、第3領域62内に電子キー50が存在するかどうか判定し(ステップS19)、第3領域62内に存在しないと判定した場合(ステップS19で「NO」と判定した場合)、ステップS13に戻り、車両制御不可状態にする。これに対し、第3領域62内に電子キー50が存在すると判定した場合(ステップS19で「YES」と判定した場合)、ステップS17に戻り、車両制御可能状態を継続する。
【0041】
図10は、第1実施形態の車両制御システム10の電子キー50の動作を説明するためのフローチャートである。なお、
図10は、
図8の車両操作待ち状態への遷移の通知を止めない例(2)のフローチャートである。同図において、電子キー50は、車両ECU30と非接続状態にあることを確認し(ステップS30)、その後、第1領域60内に電子キー50が存在するかどうか判定する(ステップS31)。第1領域60内に電子キー50が存在しないと判定した場合(ステップS31で「NO」と判定した場合)、電子キー50が第1領域60内に存在すると判定するまで、ステップS30,S31の処理を繰り返す。これに対し、第1領域60内に電子キー50が存在すると判定した場合(ステップS31で「YES」と判定した場合)、電子キー50と車両ECU30で接続認証を実施する(ステップS32)。電子キー50は、車両ECU30と接続認証を実施した後、車両ECU30と接続状態にあることを確認する(ステップS33)。次いで、電子キー50は、車両ECU30から車両操作待ち状態への遷移通知を受信したかどうか判定し(ステップS34)、車両操作待ち状態への遷移通知を受信していないと判定した場合(ステップS34で「NO」と判定した場合)、ステップS33に戻る。これに対し、車両操作待ち状態への遷移通知を受信したと判定した場合(ステップS34で「YES」と判定した場合)、LED52を点滅させる(ステップS35)。
【0042】
次に、第1実施形態の車両制御システム10において通知を止める例の動作について詳細に説明する。
(車両操作待ち状態への遷移の通知を止める例(1))
図11は、第1実施形態の車両制御システム10において車両操作待ち状態への遷移の通知を止める場合の車両ECU30と電子キー50との間の処理を示すシーケンス図である。なお、
図7における各処理と共通する処理には同一の符号を付けている。
【0043】
同図において、第1領域60内に電子キー50が入ると(SS1)、車両ECU30と電子キー50で接続認証が実施され、さらに領域検出が行われる(SS2)。領域検出は、その後も継続して行われる(SS3)。その後、車両ECU30は、第3領域62に電子キー50が入ったと検出すると(SS4)、車両操作待ち状態へ遷移する(SS5)。車両ECU30は、車両操作待ち状態へ遷移すると、電子キー50に車両操作待ち状態への遷移を通知する(SS6)。電子キー50は、車両ECU30から車両操作待ち状態への遷移の通知を受けると、LED52を点滅させる(SS7)。その後、車両20のスイッチ41の操作によって(SS8)、車両20の制御を行う(制御可能状態になる)。
【0044】
(車両操作待ち状態への遷移の通知を止める例(2))
図12は、第1実施形態の車両制御システム10において車両操作待ち状態への遷移の通知を止める場合の車両ECU30と電子キー50との間の処理を示すシーケンス図である。なお、
図7における各処理と共通する処理には同一の符号を付けている。
【0045】
同図において、第1領域60内に電子キー50が入ると(SS1)、車両ECU30と電子キー50で接続認証が実施され、さらに領域検出が行われる(SS2)。領域検出は、その後も継続して行われる(SS3)。その後、車両ECU30は、第3領域62に電子キー50が入ったと検出すると(SS4)、車両操作待ち状態へ遷移する(SS5)。車両ECU30は、車両操作待ち状態へ遷移すると、電子キー50に車両操作待ち状態への遷移を通知する(SS6)。電子キー50は、車両操作待ち状態への遷移の通知を受けるとLED52を点滅させる(SS7)。その後、車両ECU30は、電子キー50が第3領域62に入った時点から所定時間経過したことを検出又は電子キー50が第2領域61を含まない第1領域60に入ったと検出すると(SS9)、車両操作待ちでなくなったと判断する(SS10)。また、車両ECU30は、電子キー50に、車両操作待ち状態でなくなった旨を通知する(SS11)。電子キー50は、車両ECU30から車両操作待ち状態でなくなった旨の通知を受けると、LED52の点滅を停止させる(SS12)。車両ECU30は、車両20のスイッチ41が操作されても(SS8)、車両制御は行わない(制御不可能状態になる)。
【0046】
図13は、第1実施形態の車両制御システム10の車両ECU30の動作を説明するためのフローチャートである。なお、
図13は、
図12の車両操作待ち状態への遷移の通知を止める例(2)のフローチャートである。同図において、車両ECU30は、電子キー50と非接続状態にあることを確認し(ステップS40)、その後、第1領域60内に電子キー50が存在するかどうか判定する(ステップS41)。第1領域60内に電子キー50が存在しないと判定した場合(ステップS41で「NO」と判定した場合)、第1領域60内に存在すると判定するまで、ステップS40,S41の処理を繰り返す。車両ECU30は、第1領域60内に電子キー50が存在すると判定した場合(ステップS41で「YES」と判定した場合)、電子キー50と車両ECU30で接続認証を実施する(ステップS42)。車両ECU30は、接続認証後、車両制御不可状態にあることを確認し(ステップS43)、その後、電子キー50の距離を検出する(ステップS44)。電子キー50の距離は、RSSIやTOFや電波の位相情報を用いた手法などにて測定される。
【0047】
車両ECU30は、電子キー50の距離を検出した後、第3領域62内に電子キー50が存在するかどうか判定する(ステップS45)。第3領域62内に電子キー50が存在しないと判定した場合(ステップS45で「NO」と判定した場合)、第3領域62内に存在すると判定するまで、ステップS43~S45の処理を繰り返す。車両ECU30は、第3領域62内に電子キー50が存在すると判定した場合(ステップS45で「YES」と判定した場合)、電子キー50へ車両操作待ち状態への遷移を通知し(ステップS46)、その後、車両制御可能状態にする(ステップS47)。
【0048】
次いで、車両ECU30は、電子キー50が第3領域62内に入ったときからの経過時間が所定時間内であるかどうか判定し(ステップS48)、所定時間内でないと判定した場合(ステップS48で「NO」と判定した場合)、電子キー50へ通知停止を要求する(ステップS49)。車両ECU30は、電子キー50が第3領域62内に入ったときからの経過時間が所定時間内であると判定した場合(ステップS48で「YES」と判定した場合)又は電子キー50へ通知停止を要求した場合、再度所定時間内であるかどうか判定する(ステップS50)。車両ECU30は、所定時間内でないと判定した場合(ステップS50で「NO」と判定した場合)、ステップS43に戻り、車両制御不可状態にする。これに対し、所定時間内であると判定した場合(ステップS50で「YES」と判定した場合)、第3領域62内に電子キー50が存在するかどうか判定し(ステップS51)、第3領域62内に存在しないと判定した場合(ステップS51で「NO」と判定した場合)、即ち電子キー50が第3領域62から出て行った場合、電子キー50へ車両操作待ち状態でなくなった旨を通知し(ステップS52)、ステップS43に戻る。
【0049】
車両ECU30は、第3領域62内に電子キー50が存在すると判定した場合(ステップS51で「YES」と判定した場合)、車両制御が行われたかどうか判定し(ステップS53)、車両制御が行われていないと判定した場合(ステップS53で「NO」と判定した場合)、ステップS47に戻る。これに対し、車両制御が行われたと判定した場合(ステップS53で「YES」と判定した場合)、電子キー50へ車両制御実施を通知する(ステップS54)。即ち、車両制御を実施したことを電子キー50に通知する。その後、ステップS47に戻る。
【0050】
図14は、第1実施形態の車両制御システム10の電子キー50の動作を説明するためのフローチャートである。なお、
図14は、
図12の車両操作待ち状態への遷移の通知を止める例(2)のフローチャートである。同図において、電子キー50は、車両ECU30と非接続状態にあることを確認し(ステップS60)、その後、第1領域60内に電子キー50が存在するかどうか判定する(ステップS61)。第1領域60内に電子キー50が存在しないと判定した場合(ステップS61で「NO」と判定した場合)、電子キー50が、第1領域60内に存在すると判定するまで、ステップS60,S61の処理を繰り返す。これに対し、第1領域60内に電子キー50が存在すると判定した場合(ステップS61で「YES」と判定した場合)、電子キー50と車両ECU30で接続認証を実施する(ステップS62)。電子キー50は、車両ECU30と接続認証を実施した後、車両ECU30と接続状態にあることを確認する(ステップS63)。そして、電子キー50は、車両ECU30から車両操作待ち状態への遷移通知を受信したかどうか判定し(ステップS64)、車両操作待ち状態への遷移通知を受信していないと判定した場合(ステップS64で「NO」と判定した場合)、ステップS63に戻る。これに対し、車両操作待ち状態への遷移通知を受信したと判定した場合(ステップS64で「YES」と判定した場合)、LED52を点滅させる(ステップS65)。
【0051】
電子キー50は、車両操作待ち状態への遷移通知を受信したと判定してLED52を点滅させた後、車両ECU30から通知停止要求を受信したかどうか判定する(ステップS66)。電子キー50は、車両ECU30から通知停止要求を受信したと判定した場合(ステップS66で「YES」と判定した場合)、LED52の点滅を停止させる(ステップS67)。これに対し、車両ECU30から通知停止要求を受信していないと判定して場合(ステップS66で「NO」と判定した場合)、車両ECU30から車両操作待ち状態でなくなった旨の通知を受信したかどうか判定する(ステップS68)。電子キー50は、車両ECU30から車両操作待ち状態でなくなった旨の通知を受信したと判定した場合(ステップS68で「YES」と判定した場合)、LED52の点滅を停止させる(ステップS67)。これに対し、車両ECU30から車両操作待ち状態でなくなった旨の通知を受信していないと判定した場合(ステップS68で「NO」と判定した場合)、車両ECU30から車両制御不実施を受信したかどうか判定する(ステップS69)。電子キー50は、車両ECU30から車両制御不実施を受信していないと判定した場合(ステップS69で「NO」と判定した場合)、LED52の点滅を停止することなくステップS63に戻る。
【0052】
以上のように、第1実施形態の車両制御システム10は、車両20を含む第1領域60と、車両20を含み第1領域60より小さい第2領域61と、車両20を含み第2領域61より小さい第3領域62とを有し、電子キー50が第1領域60に入った場合、電子キー50と車両ECU30が無線接続して接続認証を実施し、接続認証が実施された後、電子キー50が第1領域60から第3領域62に入った場合、車両ECU30が、車両操作部40の操作を受け付け可能である操作待ち状態になり、車両ECU30が操作待ち状態である場合に、車両操作部40が所定の操作を受けた場合、車両20が制御可能状態になるので、車両操作部40が所定の操作を受けてから車両20が制御可能状態になるまでの時間の短縮化が図れる。即ち、車両操作部40が所定の操作を受ける前に電子キー50と車両ECU30との間で接続認証を行うので、車両操作部40が所定の操作を受けてから車両20が制御可能状態になるまでの時間の短縮化が図れる。
【0053】
また、電子キー50が第3領域62に入った後、第3領域62を含まない第2領域61に入っても、車両ECU30が操作待ち状態を継続するようにヒステリシスを持たせたので、電子キー50の持ち方が変わっても制御可能状態を維持することができる。
【0054】
また、電子キー50が、第3領域62又は第3領域62を含まない第2領域61に入っている間に、第3領域62の外部から第3領域62に入った時点からの経過時間が所定時間を経過した場合、車両20は操作待ち状態でなくなるので、セキュリティ性の確保が可能となる。
【0055】
また、電子キー50が第2領域61を含まない第1領域60に入った場合、車両ECU30が操作待ち状態ではなくなるため、制御可能領域を狭くでき、セキュリティ性の確保が可能となる。
【0056】
なお、第1実施形態の車両制御システム10では、電子キー50にLED52を持たせて、車両20が操作待ち状態であることを表示可能としたが、画像を表示可能な表示器を用いて、車両20が操作待ち状態であることを所定の画像として表示するようにしてもよい。車両20が操作待ち状態であることを所定の画像として表示する以外に、以下に列記する方法もある。
・電子キー50にバイブレータ(図示略)を持たせて、車両20が操作待ち状態であることを振動で報知する。
・電子キー50にスピーカ(図示略)を持たせて、車両20が操作待ち状態であることを音声で報知する。
・電子キー50にブザー(図示略)を持たせて、車両20が操作待ち状態であることをビープ音で報知する。
【0057】
また、第1実施形態の車両制御システム10では、車両ECU30と電子キー50を組み合わせた構成としたが、電子キー50に代わってスマートフォン(以下、“スマホ”と呼ぶ)と組み合わせた構成としてもよい。スマホは、LEDの他に、所定の画像を表示させることが可能な表示器や、バイブレータ、スピーカ、ブザー等の一部又は全部を備えているため、車両20が操作待ち状態であることを容易にユーザに報知することができる。
【0058】
図15は、スマホ70の外観を示す平面図である。また、
図16は、
図15のスマホ70の概略構成を示すブロック図である。
図15及び
図16において、スマホ70は、方形状の筐体(第2の筐体)70Aを有し、筐体70Aの前面側の上部左側にはLED72が配置され、LED72の下方には表示器73が配置されている。また、筐体70Aの下部には、バイブレータ74、スピーカ75及びブザー76が内蔵されている。また、筐体70Aには無線送受信部71、制御部77及び2次電池78が内蔵されている。無線送受信部71は、車両ECU30との間又は電子キー50との間でBluetooth(登録商標)に準拠する無線通信を行う。表示器73は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Organic Electro Luminescence)等のディスプレイであり、動画や静止画を表示する。バイブレータ74は、振動を発生する。スピーカ75は、音声を出力する。ブザー76は、ビープ音を発生する。2次電池78は、ニカド電池やリチウム電池等の充電可能な電池である。制御部77は、CPU、ROM、RAM及びインタフェース等を備え、装置各部(上述した無線送受信部71、LED72、表示器73、バイブレータ74、スピーカ75、ブザー76)を制御する。制御部77は、車両20が操作待ち状態である場合、LED72を点滅させるか、その旨を所定の画像として表示器73に表示するか、バイブレータ74を振動させるか、スピーカ75からその旨を知らせる音声を出力させるか、又はブザー76からビープ音を発生させる。あるいは、これらを組み合わせて報知するようにしてもよい。
【0059】
また、第1実施形態の車両制御システム10では、車両ECU30と電子キー50との間の距離の測定を車両ECU30側で行うようにしたが、電子キー50側で行っても良いし、車両ECU30と電子キー50の双方で行っても良い。
【0060】
図17は、距離検出機能を有しない車両ECU30Bの概略構成と、それぞれ距離検出機能を有する電子キー50B及びスマホ70Bの概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、車両ECU30Bは距離検出機能を有していないのに対し、電子キー50B及びスマホ70Bはそれぞれ距離検出機能を有している。即ち、電子キー50は距離検出部56を有し、スマホ70Bは距離検出部79を有している。なお、電子キー50Bは、距離検出部56を有している分、距離検出部56を有していない電子キー50と制御内容に一部違いがあるので、制御部には54Bの符号を付けている。これはスマホ70Bにおいても同様で、制御部77Bの符号を付けている。
【0061】
図18は、それぞれ距離検出機能を有する車両ECU30、電子キー50B及びスマホ70Bの概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、車両ECU30、電子キー50B及びスマホ70Bの全てが距離検出機能を有している。
上述した車両ECU30,30B、電子キー50,50B、スマホ70,70Bは、それぞれ他の2つとの間でBluetoothに準拠する無線通信を行う。
【0062】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の車両制御システムについて説明する。本実施形態の車両制御システムは、前述した第1実施形態の車両制御システム10と同様に、車両20が制御可能状態になるまでの時間の短縮化が図れ、さらに、車両20が操作待ち状態になったことを確実にユーザに通知することができるものである。LEDしか持たない電子キー50では、車両20が操作待ち状態になったことを主にその点滅でしかユーザに通知することができず、確実に通知できるものとは言えない。本実施形態の車両制御システムでは、スマホを利用して、車両20が操作待ち状態になったことを通知するようにした。スマホは、表示器、バイブレータ、スピーカ、ブザー、LEDなどの多様な報知手段を有しており、ユーザに提供できる情報は圧倒的に多い。これらの報知手段を利用することで、車両20が操作待ち状態になったことを確実にユーザに通知することが可能となる。なお、勿論、電子キー50による通知も行われることは言うまでもない。
【0063】
図19は、第2実施形態の車両制御システム11の概略構成を示すブロック図である。なお、同図において、
図1に示した第1実施形態の車両制御システム10と共通する部分には同一の符号を付けている。同図において、本実施形態の車両制御システム11は、第1実施形態の車両制御システム10と同様に、二輪の車両20に適用したものであり、車両20に搭載される車両ECU30Cと、車両20に備えられる車両操作部40と、車両20のユーザが所持する電子キー(第1通信機)50Cと、車両20のユーザが所持するスマホ(第2通信機)70Cと、を備える。
【0064】
車両ECU30Cは、電子キー50C及びスマホ70Cのそれぞれとの間でBluetooth(登録商標)に準拠する無線通信を行う無線送受信部31と、電子キー50Cとの間の距離を検出する距離検出部32と、車両操作部40のスイッチ41,スロットル42それぞれが操作されたときのスイッチ信号の取り込み、並びに無線送受信部31及び距離検出部32それぞれの制御を行う制御部33Cとを備える。距離検出部32は、RSSIやTOFや電波の位相情報を用いた手法などによって電子キー50Cとの間の距離を測定する。なお、車両ECU30Cと電子キー50Cとの間の距離の測定を車両ECU30C側で行う以外に電子キー50C側で行っても良いし、車両ECU30Cと電子キー50Cの双方で行っても良い。本実施形態の車両制御システム11では、車両ECU30C側でのみ行うものとする。
【0065】
制御部33Cは、図示せぬCPUと、CPUを制御するためのプログラムを記憶したROMと、CPUの動作に用いられるRAMを有している。制御部33Cは、車両操作部40のスイッチ41,スロットル42それぞれから出力されるスイッチ信号を取り込む。
【0066】
電子キー50Cは、車両ECU30Cとの間でBluetoothに準拠する無線通信を行う無線送受信部51と、車両20が操作待ち状態であることを表示するLED(第1表示器)52と、キースイッチ53と、キースイッチ53が操作されたときのスイッチ信号の取り込み、並びに無線送受信部51及びLED52それぞれの制御を行う制御部54Cと、電子キー50Cの各部に電源を供給するための1次電池55とを備える。制御部54Cは、図示せぬCPUと、CPUを制御するためのプログラムを記憶したROMと、CPUの動作に用いられるRAMを有している。
【0067】
スマホ70Cは、車両ECU30Cとの間でBluetoothに準拠する無線通信を行う無線送受信部71と、車両20が操作待ち状態であることを表示するLED72、表示器(第2表示器)73、バイブレータ74、スピーカ75及びブザー76と、無線送受信部71及びLED72等の各部品をそれぞれ制御をする制御部77Cと、スマホ70Cの各部に電源を供給するための2次電池78とを備える。制御部77Cは、図示せぬCPUと、CPUを制御するためのプログラムを記憶したROMと、CPUの動作に用いられるRAMを有している。
【0068】
本実施形態の車両制御システム11では、第1実施形態の車両制御システム10と同様に、車両20のスイッチ41が操作されてから車両20が制御可能状態になるまでの時間の短縮化が図れるようになっている。本実施形態の車両制御システム11では、車両20に対する車両制御可能領域を設けて、車両操作部40のスイッチ41の操作による車両制御を可能としている。
【0069】
図20は、本実施形態の車両制御システム11が有する車両制御可能領域を示す図である。同図に示すように、本実施形態の車両制御システム11は、車両制御可能領域として、車両20を含む第1領域80と、第1領域80に含まれ第1領域80より小さい第2領域81と、第1領域80を含み第1領域80より大きい第3領域82と、第1領域80を含み第1領域80より大きい第4領域83とを有する。なお、本実施形態の車両制御システム11では、第3領域82と第4領域83を同じ大きさにしている。
【0070】
電子キー50Cが第3領域82に入っている場合、電子キー50Cと車両ECU30Cとの無線接続は、接続認証を行う。電子キー50Cが第3領域82に入っていない場合、電子キー50Cと車両ECU30Cとの無線接続は、接続認証を行わない。一方、スマホ70Cが第4領域83に入っている場合、スマホ70Cと車両ECU30Cとの無線接続は、接続認証を行う。スマホ70Cが第4領域83に入っていない場合、スマホ70Cと車両ECU30Cとの無線接続は、接続認証を行わない。
【0071】
図21は、本実施形態の車両制御システム11において、車両制御が可能な場合と不可能な場合を示す図である。同図の(a)に示すように、電子キー50Cが、車両20を含む第1領域80に入っている場合、車両20(実際は車両ECU30Cで、以下同様)は、車両操作部40の操作を受け付け可能である操作待ち状態になり、車両制御が可能になる。同図の(b)に示すように、スマホ70Cが、第2領域81に入っていない場合(電子キー50Cは図示していない)、車両20は、操作待ち状態にならず、車両制御が不可になる。同図の(c)に示すように、スマホ70Cが、第1領域80に含まれ、第1領域80より小さい第2領域81に入っている場合、車両20は、操作待ち状態になり、車両制御が可能になる。なお、
図20の矢印90で示す場合、即ち電子キー50Cが第1領域80に入っている場合に、スマホ70Cが第2領域81に入っていない場合、スマホ70Cは車両20が操作待ち状態であることを報知する(図ではスマホ70Cが振動している)。
【0072】
車両ECU30Cが操作待ち状態である場合に、車両操作部40がスイッチ41の操作(所定の操作、第1の操作)を受けた場合、車両ECU30Cは、制御可能状態になる。また、車両ECU30Cが、操作待ち状態でない場合に、車両操作部40がスイッチ41の操作(所定の操作、第1の操作)を受けた場合、車両ECU30Cは、制御可能状態にならない。また、車両ECU30Cが、制御可能状態である場合に、車両操作部40のスロットルの操作(第2の操作)を受けた場合、車両20は前進する。このように、車両ECU30Cが操作待ち状態である場合に、スイッチ41が操作されると、車両ECU30Cは制御可能状態になり、制御可能状態のときにスロットル42が操作されると、車両20は前進する。
【0073】
電子キー50Cとスマホ70Cをペアリングすることで、電子キー50Cが、第1領域80に入っている場合、スマホ70Cに車両20が起動可能であることを通知する。電子キー50Cとスマホ70Cをペアリングすることで、ペアリングしていないスマホには通知されない。
図22は、本実施形態の車両制御システム11において、電子キー50Cとスマホ70Cがペアリングされた場合とそうでない場合を示す図である。電子キー50Cが第1領域80に入っている場合、ペアリングされた電子キー50Cとスマホ70Cを有するユーザ150aのスマホ70Cには報知されるが、電子キー50Cが第1領域80に入っていない場合、ペアリングされた電子キー50Dとスマホ70Dを有するユーザ150bのスマホ70Dには報知されない。電子キー50Cとスマホ70Cは、車両ECU30Cを経由して通信が行われるが、電子キー50Cとスマホ70Cが直接通信を行うようにしてもよい。
【0074】
電子キー50Cは、上述したLED52を備え、このLED52は、車両20が操作待ち状態であることを表示する。この場合、車両20が操作待ち状態のときにLED52を点滅させることで、ユーザ150の気を引くことができ、車両20が操作待ち状態であることを伝えることができる。一方、スマホ70Cは、上述した表示器73を備え、この表示器73は、車両20が操作待ち状態であることを所定の画像として表示する。また、スマホ70Cは、上述したバイブレータ74を備え、このバイブレータ74は、車両20が操作待ち状態であることを振動で報知する。
【0075】
また、スマホ70Cは、上述したスピーカ75を備え、このスピーカ75は、車両20が操作待ち状態であることを音声で報知する。また、スマホ70Cは、上述したブザー76を備え、このブザー76は、車両20が操作待ち状態であることをビープ音で報知する。車両20が操作待ち状態であることの報知は、表示器73、バイブレータ74、スピーカ75及びブザー76の全てで行う必要はなく、ユーザ150が任意に選択できるようにするとよい。例えば、表示器73とバイブレータ74を選択した場合、車両20が操作待ち状態になると、表示器73には車両20が操作待ち状態である旨の表示がされ、バイブレータ74は振動する。
【0076】
なお、前述したように、電子キー50Cは、第1の筐体51Aを備え、スマホ70Cは、第2の筐体70Aを備えているが、第1の筐体51Aの第1体積は、第2の筐体70Aの第2体積より小さくなっている。電子キー50Cの体積を小さくすることで、電子キー50C単独での持ち運びが容易になる。
【0077】
次に、第2実施形態の車両制御システム11の動作について詳細に説明する。
図23は、第2実施形態の車両制御システム11において車両ECUと電子キーとスマホの間の処理を示すシーケンス図である。同図に示す処理では、電子キー50Cとペアになっているスマホ70C(1)への車両操作待ち状態への遷移の通知を、車両ECU30Cが行っている。同図において、電子キー50Cが第3領域82に入っていて接続認証済みとなっており、また電子キー50Cとペアになったスマホ70C(1)と、電子キー50Cとペアになっていないスマホ70C(2)のそれぞれが第4領域83に入っていて接続認証済みとなっている状況で、車両ECU30Cが電子キー50C及びスマホ70C(1),70C(2)それぞれに対する領域を検出する(SS50)。車両ECU30Cは、電子キー50Cが第1領域80内にあると検出すると(SS51)、電子キー50Cに車両操作待ち状態への遷移を通知し、電子キー50CのLED52を点滅させる(SS52)。車両ECU30Cは、さらに電子キー50Cとペアになっているスマホ70C(1)に車両操作待ち状態への遷移を通知し、スマホ70C(1)にて、バイブレーション、音、画面表示、ノーティフィケーション、LED点滅させる(SS53)。車両ECU30Cが車両操作待ち状態になることで、操作部40のスイッチ41の操作(SS54)によって、車両20の制御が可能(制御可能状態)になる。
【0078】
図24~
図26は、第2実施形態の車両制御システム11の動作を説明するためのフローチャートである。同図のフローチャートは、
図23のシーケンス図に示す処理を詳細に示したものである。
図24において、車両ECU30は、電子キー50C及びスマホ70Cと非接続状態にあることを確認し(ステップS70)、その後、第3領域82内に電子キー50Cが存在するかどうか判定する(ステップS71)。第3領域82内に電子キー50Cが存在しないと判定した場合(ステップS71で「NO」と判定した場合)、第3領域82内に存在すると判定するまで、ステップS70,S71の処理を繰り返す。これに対し、第3領域82内に電子キー50Cが存在すると判定した場合(ステップS71で「YES」と判定した場合)、電子キー50Cと車両ECU30Cで接続認証を実施する(ステップS72)。車両ECU30Cは、電子キー50Cと接続認証を実施した後、車両制御不可状態にあることを確認する(ステップS73)。その後、第4領域83内にスマホ70Cが存在するかどうか判定する(ステップS74)。
【0079】
第4領域83内に電子キー50Cが存在しないと判定した場合(ステップS74で「NO」と判定した場合)、第4領域83内に存在すると判定するまで、ステップS73,S74の処理を繰り返す。これに対し、第4領域83内に電子キー50Cが存在すると判定した場合(ステップS74で「YES」と判定した場合)、スマホ70Cと車両ECU30Cで接続認証を実施する(ステップS75)。車両ECU30Cは、スマホ70Cと接続認証を実施した後、車両制御不可状態にあることを確認する(ステップS76)。その後、電子キー50Cの距離を検出する(ステップS77)。電子キー50Cの距離は、RSSIやTOFや電波の位相情報を用いた手法などにて測定される。
【0080】
車両ECU30は、電子キー50Cの距離を検出した後、第1領域80内に電子キー50Cが存在するかどうか判定する(ステップS78)。第1領域80内に電子キー50Cが存在しないと判定した場合(ステップS78で「NO」と判定した場合)、第1領域80内に存在すると判定するまで、ステップS76~S78の処理を繰り返す。これに対し、第1領域80内に電子キー50Cが存在すると判定した場合(ステップS78で「YES」と判定した場合)、電子キー50Cに車両操作待ち状態への遷移を通知する(ステップS79)。次いで、ペアとなっているスマホ70Cに車両操作待ち状態への遷移を通知する(ステップS80)。
【0081】
次いで、車両ECU30Cは、車両制御可能状態にあることを確認する(ステップS81)。そして、電子キー50Cが第1領域80内に入ったときからの経過時間が所定時間内であるかどうか判定する(ステップS82)。所定時間内でないと判定した場合(ステップS82で「NO」と判定した場合)、ステップS76に戻り、車両制御不可状態にする。これに対し、電子キー50Cが第1領域80内に入ったときからの経過時間が所定時間内であると判定した場合(ステップS82で「YES」と判定した場合)、第1領域80内に電子キー50Cが存在するかどうか判定し(ステップS83)、第1領域80内に存在しないと判定した場合(ステップS83で「NO」と判定した場合)、ステップS76に戻り、車両制御不可状態にする。これに対し、第1領域80内に電子キー50Cが存在すると判定した場合(ステップS83で「YES」と判定した場合)、ステップS81に戻り、車両制御可能状態にする。
【0082】
図25において、電子キー50Cは、車両ECU30Cと非接続状態にあることを確認し(ステップS90)、その後、第3領域82内に電子キー50Cが存在するかどうか判定する(ステップS91)。第3領域82内に電子キー50Cが存在しないと判定した場合(ステップS91で「NO」と判定した場合)、電子キー50Cが第3領域82内に存在すると判定するまで、ステップS90,S91の処理を繰り返す。これに対し、第3領域82内に電子キー50Cが存在すると判定した場合(ステップS91で「YES」と判定した場合)、電子キー50Cと車両ECU30Cで接続認証を実施する(ステップS92)。電子キー50Cは、車両ECU30Cと接続認証を実施した後、車両ECU30Cと接続状態にあることを確認する(ステップS93)。次いで、電子キー50Cは、車両ECU30Cから車両操作待ち状態への遷移通知を受信したかどうか判定し(ステップS94)、車両操作待ち状態への遷移通知を受信していないと判定した場合(ステップS94で「NO」と判定した場合)、ステップS93に戻る。これに対し、車両操作待ち状態への遷移通知を受信したと判定した場合(ステップS94で「YES」と判定した場合)、LED52を点滅させる(ステップS95)。
【0083】
図26において、スマホ70Cは、車両ECU30Cと非接続状態にあることを確認し(ステップS100)、その後、第4領域83内にスマホ70Cが存在するかどうか判定する(ステップS101)。第4領域83内にスマホ70Cが存在しないと判定した場合(ステップS101で「NO」と判定した場合)、第4領域83内にスマホ70Cが存在すると判定するまで、ステップS100,S101の処理を繰り返す。これに対し、第4領域83内にスマホ70Cが存在すると判定した場合(ステップS101で「YES」と判定した場合)、スマホ70Cと車両ECU30Cで接続認証を実施する(ステップS102)。スマホ70Cは、車両ECU30Cと接続認証を実施した後、車両ECU30Cと接続状態にあることを確認する(ステップS103)。次いで、スマホ70Cは、車両ECU30Cから車両操作待ち状態への遷移通知を受信したかどうか判定し(ステップS104)、車両操作待ち状態への遷移通知を受信していないと判定した場合(ステップS104で「NO」と判定した場合)、ステップS103に戻る。これに対し、車両操作待ち状態への遷移通知を受信したと判定した場合(ステップS104で「YES」と判定した場合)、バイブレーション、音、画面表示、ノーティフィケーション、LED点滅させる(ステップS105)。
【0084】
図27は、第2実施形態の車両制御システム11において車両ECUと電子キーとスマホの間の処理を示すシーケンス図である。同図に示す処理では、電子キー50Cとペアになっているスマホ70C(1)への車両操作待ち状態への遷移の通知を、電子キー50Cが行っている。同図において、電子キー50Cが第3領域82に入っていて接続認証済みとなっており、また電子キー50Cとペアになったスマホ70C(1)と、電子キー50Cとペアになっていないスマホ70C(2)のそれぞれが第4領域83に入っていて接続認証済みとなっている状況で、車両ECU30Cが電子キー50C及びスマホ70C(1),70C(2)それぞれに対する領域を検出する(SS50)。車両ECU30Cは、電子キー50Cが第1領域80内にあると検出すると(SS51)、電子キー50Cに車両操作待ち状態への遷移を通知し、電子キー50CのLED52を点滅させる(SS52)。電子キー50Cは、電子キー50Cとペアになっているスマホ70C(1)に車両操作待ち状態への遷移を通知し、スマホ70C(1)にて、バイブレーション、音、画面表示、ノーティフィケーション、LED点滅させる(SS55)。車両ECU30Cが車両操作待ち状態になることで、操作部40のスイッチ41の操作(SS54)によって、車両20の制御が可能(制御可能状態)になる。
【0085】
図28~
図30は、第2実施形態の車両制御システム11の動作を説明するためのフローチャートである。同図のフローチャートは、
図27のシーケンス図に示す処理を詳細に示したものである。
図28において、車両ECU30は、電子キー50C及びスマホ70Cと非接続状態にあることを確認し(ステップS110)、その後、第3領域82内に電子キー50Cが存在するかどうか判定する(ステップS111)。第3領域82内に電子キー50Cが存在しないと判定した場合(ステップS111で「NO」と判定した場合)、第3領域82内に存在すると判定するまで、ステップS110,S111の処理を繰り返す。これに対し、第3領域82内に電子キー50Cが存在すると判定した場合(ステップS111で「YES」と判定した場合)、電子キー50Cと車両ECU30Cで接続認証を実施する(ステップS112)。車両ECU30Cは、電子キー50Cと接続認証を実施した後、車両制御不可状態にあることを確認する(ステップS113)。その後、第4領域83内にスマホ70Cが存在するかどうか判定する(ステップS114)。
【0086】
第4領域83内にスマホ70Cが存在しないと判定した場合(ステップS114で「NO」と判定した場合)、第4領域83内に存在すると判定するまで、ステップS113,S114の処理を繰り返す。これに対し、第4領域83内にスマホ70Cが存在すると判定した場合(ステップS114で「YES」と判定した場合)、スマホ70Cと車両ECU30Cで接続認証を実施する(ステップS115)。車両ECU30Cは、スマホ70Cと接続認証を実施した後、車両制御不可状態にあることを確認する(ステップS116)。その後、電子キー50Cの距離を検出する(ステップS117)。電子キー50Cの距離は、RSSIやTOFや電波の位相情報を用いた手法などにて測定される。
【0087】
車両ECU30は、電子キー50Cの距離を検出した後、第1領域80内に電子キー50Cが存在するかどうか判定する(ステップS118)。第1領域80内に電子キー50Cが存在しないと判定した場合(ステップS118で「NO」と判定した場合)、第1領域80内に存在すると判定するまで、ステップS116~S118の処理を繰り返す。これに対し、第1領域80内に電子キー50Cが存在すると判定した場合(ステップS118で「YES」と判定した場合)、電子キー50Cに車両操作待ち状態への遷移を通知する(ステップS119)。
【0088】
次いで、車両ECU30Cは、車両制御可能状態にあることを確認する(ステップS120)。そして、電子キー50Cが第1領域80内に入ったときからの経過時間が所定時間内であるかどうか判定する(ステップS121)。所定時間内でないと判定した場合(ステップS121で「NO」と判定した場合)、ステップS116に戻り、車両制御不可状態にする。これに対し、電子キー50Cが第1領域80内に入ったときからの経過時間が所定時間内であると判定した場合(ステップS121で「YES」と判定した場合)、第1領域80内に電子キー50Cが存在するかどうか判定し(ステップS122)、第1領域80内に存在しないと判定した場合(ステップS122で「NO」と判定した場合)、ステップS116に戻り、車両制御不可状態にする。これに対し、第1領域80内に電子キー50Cが存在すると判定した場合(ステップS122で「YES」と判定した場合)、ステップS120に戻り、車両制御可能状態にする。
【0089】
図29において、電子キー50Cは、スマホ70Cと非接続状態にあることを確認し(ステップS130)、その後、第4領域83内にスマホ70Cが存在するかどうか判定する(ステップS131)。第4領域83内にスマホ70Cが存在しないと判定した場合(ステップS131で「NO」と判定した場合)、第4領域83内に存在すると判定するまで、ステップS130,S131の処理を繰り返す。これに対し、第4領域83内にスマホ70Cが存在すると判定した場合(ステップS131で「YES」と判定した場合)、電子キー50Cとスマホ70Cで接続認証を実施する(ステップS132)。電子キー50Cは、スマホ70Cと接続認証を実施した後、スマホ70Cと接続状態であることを確認する(ステップS133)。次いで、電子キー50Cは、車両ECU30Cと非接続状態であることを確認する(ステップS134)。その後、第3領域82内に電子キー50Cが存在するかどうか判定する(ステップS135)。
【0090】
第3領域82内に電子キー50Cが存在しないと判定した場合(ステップS135で「NO」と判定した場合)、第3領域82内に存在すると判定するまで、ステップS134,S135の処理を繰り返す。これに対し、第3領域82内に電子キー50Cが存在すると判定した場合(ステップS135で「YES」と判定した場合)、電子キー50Cと車両ECU30Cで接続認証を実施する(ステップS136)。電子キー50Cは、車両ECU30Cと接続認証を実施した後、車両ECU30Cと接続状態にあることを確認する(ステップS137)。
【0091】
電子キー50Cは、車両ECU30Cと接続状態にあることを確認した後、車両ECU30から車両操作待ち状態への遷移通知を受信したかどうか判定する(ステップS138)。電子キー50Cは、車両ECU30から車両操作待ち状態への遷移通知を受信していないと判定した場合(ステップS138で「NO」と判定した場合)、車両ECU30から車両操作待ち状態への遷移通知を受信したと判定するまで、ステップS137,S138の処理を繰り返す。これに対し、車両ECU30から車両操作待ち状態への遷移通知を受信したと判定した場合(ステップS138で「YES」と判定した場合)、LED52を点滅させる(ステップS139)。次いで、電子キー50Cは、スマホ70Cに車両操作待ち状態への遷移を通知する(ステップS140)。
【0092】
図30において、スマホ70Cは、電子キー50Cと非接続状態にあることを確認し(ステップS150)、その後、第3領域82内に電子キー50Cが存在するかどうか判定する(ステップS151)。第3領域82内に電子キー50Cが存在しないと判定した場合(ステップS151で「NO」と判定した場合)、第3領域82内に存在すると判定するまで、ステップS150,S151の処理を繰り返す。これに対し、第3領域82内に電子キー50Cが存在すると判定した場合(ステップS151で「YES」と判定した場合)、スマホ70Cと電子キー50Cで接続認証を実施する(ステップS152)。スマホ70Cは、電子キー50Cと接続認証を実施した後、電子キー50Cと接続状態であることを確認する(ステップS153)。次いで、車両ECU30Cと非接続状態であることを確認する(ステップS154)。
【0093】
次いで、スマホ70Cは、第3領域82内に電子キー50Cが存在するかどうか判定する(ステップS155)。第3領域82内に電子キー50Cが存在しないと判定した場合(ステップS155で「NO」と判定した場合)、第3領域82内に存在すると判定するまで、ステップS154,S155の処理を繰り返す。これに対し、第3領域82内に電子キー50Cが存在すると判定した場合(ステップS155で「YES」と判定した場合)、電子キー50Cと車両ECU30Cで接続認証を実施する(ステップS156)。スマホ70Cは、電子キー50Cと車両ECU30Cで接続認証を実施した後、車両ECU30Cと接続状態にあることを確認する(ステップS157)。
【0094】
スマホ70Cは、車両ECU30Cと接続状態にあることを確認した後、電子キー50Cから車両操作待ち状態への遷移通知を受信したかどうか判定する(ステップS158)。スマホ70Cは、電子キー50Cから車両操作待ち状態への遷移通知を受信していないと判定した場合(ステップS158で「NO」と判定した場合)、電子キー50Cから車両操作待ち状態への遷移通知を受信したと判定するまで、ステップS157,S158の処理を繰り返す。これに対し、電子キー50Cから車両操作待ち状態への遷移通知を受信したと判定した場合(ステップS158で「YES」と判定した場合)、バイブレーション、音、画面表示、ノーティフィケーション、LED点滅させる(ステップS159)。
【0095】
図31は、第2実施形態の車両制御システム11において電子キー50Cとスマホ70Cのペアリング処理を示すシーケンス図である。同図において、電子キー50Cが第3領域82に入っていて接続認証済みとなっている状況で、車両ECU30Cが、電子キー50Cが車両制御可能エリア(第1領域80)内にあると検出すると(SS56)、車両操作待ち状態へ遷移する(SS57)。その後、操作部40にてスマホ登録モードへの切り替えを行うスイッチ(図示略)が操作されることで(SS58)、車両ECU30Cがスマホ登録モードへ遷移する(SS59)。車両ECU30Cは、スマホ登録モードへ遷移することで、スマホ70Cとの間でスマートフォンペアリング接続認証を行う(SS60)。スマートフォンペアリング接続認証が行われた後、電子キー50Cとスマホ70Cをペアとして記憶する(SS61)。
【0096】
以上のように、第2実施形態の車両制御システム11は、LED72、表示器73、バイブレータ74、スピーカ75及びブザー76などの報知手段を有したスマホ70Cを利用し、電子キー50Cが第1領域80に入っている場合、スマホ70Cの報知手段にて、車両制御可能状態であることを通知するようにしたので、車両制御可能状態であるか否かを容易且つ確実に把握することができる。
【0097】
また、第2実施形態の車両制御システム11では、車両20と電子キー50Cとスマホ70Cの無線通信にBluetoothを用いたので、通信機の低消費電力化が図れる。
【0098】
また、第2実施形態の車両制御システム11では、電子キー50Cが第3領域82に入ると、車両20との間で接続認証を行うので、車両操作部40のスイッチ41を操作したときに接続認証を行う場合よりも車両制御可能状態になるまでの時間の短縮が図れる。
【0099】
また、第2実施形態の車両制御システム11では、スマホ70Cが第1領域80を含み第1領域80より大きい第4領域83に入ると、車両20との間で接続認証を行うので、車両操作部40のスイッチ41を操作したときに接続認証を行う場合よりも車両制御可能状態になるまでの時間の短縮が図れる。
【0100】
また、第2実施形態の車両制御システム11では、電子キー50Cとスマホ70Cをペアリングするので、ペアリングされていない他の全てのスマホでは車両制御可能状態を把握することができないので、セキュリティ性の向上が図れる。
【0101】
また、第2実施形態の車両制御システム11では、車両20が操作待ち状態である場合にのみ、操作部40がスイッチ41の操作を受けることで車両20が制御可能状態になるようにしたので、車両20を確実に制御可能状態できる。
【0102】
また、第2実施形態の車両制御システム11では、電子キー50Cとスマホ70Cとの通信を車両20(車両ECU30C)を経由するようにしたので、車両20にて電子キー50Cとスマホ70Cの通信を管理することができる。
【0103】
また、第2実施形態の車両制御システム11では、電子キー50Cの体積をスマホ70Cの体積より小さくしたので、電子キー50Cの持ち運びが容易になる。
【0104】
なお、第2実施形態の車両制御システム11では、電子キー50Cとスマホ70Cの通信を車両ECU30C経由で行うようにしたが、電子キー50Cとスマホ70Cが直接通信できるようにしてもよい。このようにすることで、特に、車両ECU30Cが介在する必要の無い処理即ち電子キー50Cとスマホ70Cのみに関係する処理の高速化が図れる。
【0105】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【0106】
本出願は、2018年12月27日出願の日本特許出願(特願2018-246032及び特願2018-246033)に基づくものであり、その内容はここに参照として援用される。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本開示の車両制御システムは、自動二輪車や自動車等の車両に有用である。
【符号の説明】
【0108】
10,11 車両制御システム
20 車両
30,30B,30C 車両ECU
31,51,71 無線送受信部
32,56,79 距離検出部
33,33C,54,54B,54C,77,77B,77C 制御部
40 車両操作部
41 スイッチ
42 スロットル
50,50B,50C 電子キー
51A 第1の筐体
52,72 LED
53 キースイッチ
55 1次電池
60,80 第1領域
61,81 第2領域
62,82 第3領域
70,70B,70C スマホ
70A 第2の筐体
73 表示器
74 バイブレータ
75 スピーカ
76 ブザー
78 2次電池
83 第4領域
150 ユーザ