IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 山本 雄士の特許一覧

特開2024-149614情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149614
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20240101AFI20241010BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024125478
(22)【出願日】2024-07-31
(62)【分割の表示】P 2021169064の分割
【原出願日】2020-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】520317620
【氏名又は名称】山本 雄士
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄士
(57)【要約】
【課題】保健事業を必要とする対象者の決定やその対象者への保健事業の選定を自動的に実行して、効率的な保健事業の管理運営をすること。
【解決手段】保険者に含まれる複数の加入者の中から保健事業の提供が必要として選定された対象者に、保健事業提案者から提案された複数の保健事業の中から選定された保健事業への参加を推奨あるいは勧誘する情報を提示する提示部と、選定された対象者の前記保健事業への参加および前記対象者の健康状態を含む履歴情報に基づいて、保健事業の成果を評価する評価部と、評価部による評価結果に基づいて、対象者の選定に用いられる対象者選定条件および保健事業の選定に用いられる保健事業参加条件の少なくともいずれかを更新する更新部と、を備える。
【選択図】 図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保険者に含まれる複数の加入者の中から保健事業の提供が必要として選定された対象者に、保健事業提案者から提案された複数の保健事業の中から選定された保健事業への参加を推奨あるいは勧誘する情報を提示する提示手段と、
前記選定された対象者の前記保健事業への参加および前記対象者の健康状態を含む履歴情報に基づいて、前記保健事業の成果を評価する評価手段と、
前記評価手段による評価結果に基づいて、前記対象者の選定に用いられる対象者選定条件および前記保健事業の選定に用いられる保健事業参加条件の少なくともいずれかを更新する更新手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記加入者の健康情報に基づいて、前記保健事業の提供が必要と判断される対象者を選定する第1加入者選定手段と、
前記選定された対象者に対する適切な保健事業を選定する第1保健事業選定手段と、
を備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1加入者選定手段は、保健事業の提供が必要と判断される対象者を選定するための前記対象者選定条件を問い合わせ、問い合わせへの回答から前記対象者選定条件を取得し、
前記第1保健事業選定手段は、前記対象者選定条件に対応して適切な保健事業を選定する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記対象者に提供すべき保健事業を選定する第2保健事業選定手段と、
前記加入者の健康情報に基づいて、前記選定された保健事業の提供が必要と判断される対象者を選定する第2加入者選定手段と、
を備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2保健事業選定手段は、前記対象者に参加を推奨あるいは勧誘する保健事業を選定し、
前記第2加入者選定手段は、前記選定された保健事業への参加を推奨あるいは勧誘する対象を選定するための前記保健事業参加条件を用いて、前記選定された保健事業の提供が必要と判断される対象者を選定する請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記健康情報は、前記加入者の健康におけるリスクレベルと、前記加入者の治療状況と、前記加入者の治療への意識レベルと、前記加入者の保健事業への参加履歴との少なくとも1つを含む請求項2または4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提示手段は、前記選定された加入者へのメール配信またはファクシミリ送信を含む処理を実行することにより前記情報を提示する請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記提示手段は、前記情報を前記選定された対象者へ提示する提示方法を問い合わせ、問い合わせへの回答に従って前記情報を提示する請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記評価手段は、前記履歴情報に基づいて算出された、前記選定された対象者に前記選定された保健事業を実施した費用と、前記選定された対象者に前記選定された保健事業を施して得られた効果とから、前記保健事業の成果を評価する請求項1から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記更新手段は、前記評価手段による評価結果に基づいて、さらに、前記保健事業の内容を更新する請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記更新手段は、前記評価手段による評価結果に基づいて、さらに、前記保健事業を実施する実施手順を更新する請求項1から10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記更新手段は、前記評価手段による評価結果に基づいて、前記対象者に提示する参加を推奨あるいは勧誘するための前記情報を更新する請求項1から11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記更新手段は、前記評価手段による評価結果に基づいて、前記対象者のリスクレベルを更新する請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記提示手段は、
前記選定された対象者に前記選定された保健事業を実施するための費用と、前記選定された対象者に前記選定された保健事業を施して得られる効果とを考慮して、前記選定された対象者への前記情報を提示するか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記情報を提示すると判定した場合に、前記情報を前記選定された対象者に提示する請求項1から13のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記判定手段は、前記効果として、医療費の低減、労働時間の確保、および、成果の増大の少なくとも1つを考慮する請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記対象者の選定では、保健事業の提供が必要と判断される複数の対象者グループを選定し、
前記保健事業の選定では、前記複数の対象者グループのそれぞれに提供する保健事業を選定し、
前記判定手段は、前記複数の対象者グループのそれぞれに前記選定された保健事業を実施するための費用と、前記複数の対象者グループのそれぞれに前記選定された保健事業を施して得られる効果とを考慮して、前記複数の対象者グループへのいずれに前記情報を提示するかを判定し、
前記提示手段は、前記判定手段が判定した対象者グループに前記情報を提示する請求項14または15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記対象者の選定では、保健事業の提供が必要と判断される複数の対象者を検索し、
前記保健事業の選定では、前記複数の対象者のそれぞれに提供する保健事業を選定し、
前記判定手段は、前記複数の対象者のそれぞれに前記選定された保健事業を実施するための費用と、前記複数の加入者のそれぞれに前記選定された保健事業を施して得られる効果とを考慮して、前記複数の対象者へのいずれに前記情報を提示するかを判定し、
前記提示手段は、前記判定手段が提示すると判定した対象者に前記情報を提示する請求項14または15に記載の情報処理装置。
【請求項18】
保険者に含まれる複数の加入者の中から保健事業の提供が必要として選定された対象者に、保健事業提案者から提案された複数の保健事業の中から選定された保健事業への参加を推奨あるいは勧誘する情報を提示する提示ステップと、
前記選定された対象者の前記保健事業への参加および前記対象者の健康状態を含む履歴情報に基づいて、前記保健事業の成果を評価する評価ステップと、
前記評価ステップにおける評価結果に基づいて、前記対象者の選定に用いられる対象者選定条件および前記保健事業の選定に用いられる保健事業参加条件の少なくともいずれかを更新する更新ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項19】
保険者に含まれる複数の加入者の中から保健事業の提供が必要として選定された対象者に、保健事業提案者から提案された複数の保健事業の中から選定された保健事業への参加を推奨あるいは勧誘する情報を提示する提示ステップと、
前記選定された対象者の前記保健事業への参加および前記対象者の健康状態を含む履歴情報に基づいて、前記保健事業の成果を評価する評価ステップと、
前記評価ステップにおける評価結果に基づいて、前記対象者の選定に用いられる対象者選定条件および前記保健事業の選定に用いられる保健事業参加条件の少なくともいずれかを更新する更新ステップと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険者への加入者と保健事業と結び付ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、被保険者の対象者に対して保健事業を実施して、対象者のレセプトデータや検診結果データにより保健事業を評価してその実施を支援する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-177644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、保健事業を必要とする対象者の決定やその対象者への保健事業の選定は保険者に委ねられており、効率的な保健事業の管理運営ができていなかった。そして、対象者の選定と保健事業の選定とを対応付けることにより、保健事業の効率的な実施を考慮していなかった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置は、
保険者に含まれる複数の加入者の中から保健事業の提供が必要として選定された対象者に、保健事業提案者から提案された複数の保健事業の中から選定された保健事業への参加を推奨あるいは勧誘する情報を提示する提示手段と、
前記選定された対象者の前記保健事業への参加および前記対象者の健康状態を含む履歴情報に基づいて、前記保健事業の成果を評価する評価手段と、
前記評価手段による評価結果に基づいて、前記対象者の選定に用いられる対象者選定条件および前記保健事業の選定に用いられる保健事業参加条件の少なくともいずれかを更新する更新手段と、
を備える。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理方法は、
保険者に含まれる複数の加入者の中から保健事業の提供が必要として選定された対象者に、保健事業提案者から提案された複数の保健事業の中から選定された保健事業への参加を推奨あるいは勧誘する情報を提示する提示ステップと、
前記選定された対象者の前記保健事業への参加および前記対象者の健康状態を含む履歴情報に基づいて、前記保健事業の成果を評価する評価ステップと、
前記評価ステップにおける評価結果に基づいて、前記対象者の選定に用いられる対象者選定条件および前記保健事業の選定に用いられる保健事業参加条件の少なくともいずれかを更新する更新ステップと、
を含む。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理プログラムは、
保険者に含まれる複数の加入者の中から保健事業の提供が必要として選定された対象者に、保健事業提案者から提案された複数の保健事業の中から選定された保健事業への参加を推奨あるいは勧誘する情報を提示する提示ステップと、
前記選定された対象者の前記保健事業への参加および前記対象者の健康状態を含む履歴情報に基づいて、前記保健事業の成果を評価する評価ステップと、
前記評価ステップにおける評価結果に基づいて、前記対象者の選定に用いられる対象者選定条件および前記保健事業の選定に用いられる保健事業参加条件の少なくともいずれかを更新する更新ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、効率的な保健事業の管理運営をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2A】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバを含む情報処理システムの構成を示す図である。
図2B】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバを含む情報処理システムの動作概要を示す図である。
図2C】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバが有するデータベースの構成を示す図である。
図2D】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバにおける選定テーブルの構成を示す図である。
図3A】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバを含む情報処理システムの動作手順を示すシーケンス図である。
図3B】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバを含む情報処理システムの動作手順を示すシーケンス図である。
図3C】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバを含む情報処理システムの処理手順を示すフローチャートである。
図3D】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバを含む情報処理システムにおける、保健事業の提供が必要な加入者選定の詳細な動作手順を示すシーケンス図である。
図3E】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバを含む情報処理システムにおける、選定された保健事業に対応付けた加入者選定の動作手順を示すシーケンス図である。
図3F】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバを含む情報処理システムにおける、選定された保健事業に対応付けた加入者選定の処理手順を示すフローチャートである。
図3G】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバを含む情報処理システムにおける、保健事業に対応付けた加入者選定の詳細な動作手順を示すシーケンス図である。
図4A】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバを含む情報処理システムの動作概要を示す図である。
図4B】本発明の第2実施形態に係るリスクレベルの概要を示す図である。
図4C】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバを含む情報処理システムの技術概念を示す図である。
図4D】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバからのメール送信の動作概要を示す図である。
図4E】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバからのメール内容の一例を示す図である。
図4F】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバからのメール内容の他例を示す図である。
図4G】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバによる加入者データの収集の動作概要を示す図である。
図4H】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバによる加入者への状況提示の動作概要を示す図である。
図5A】本発明の第2実施形態に係るクラウドサーバの機能構成を示すブロック図である。
図5B】本発明の第2実施形態に係るクラウドサーバ内に生成された情報処理装置としての保健事業管理支援サーバの機能構成を示すブロック図である。
図5C】本発明の第2実施形態に係るリスクレベル等導出部の機能構成を示すブロック図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る取得データベースの構成を示す図である。
図7A】本発明の第2実施形態に係る分析結果データベースの構成を示す図である。
図7B】本発明の第2実施形態に係る意識レベル導出テーブルの構成を示す図である。
図7C】本発明の第2実施形態に係る必要レベル導出テーブルの構成を示す図である。
図7D】本発明の第2実施形態に係る保健事業データベースの構成を示す図である。
図7E】本発明の第2実施形態に係るメールデータベースの構成を示す図である。
図7F】本発明の第2実施形態に係る評価結果データベースの構成を示す図である。
図8A】本発明の第2実施形態に係る保健事業対象者選定テーブルの構成を示す図である。
図8B】本発明の第2実施形態に係る費用対効果導出テーブルの構成を示す図である。
図8C】本発明の第2実施形態に係る保健事業選定テーブルの構成を示す図である。
図8D】本発明の第2実施形態に係る保健事業評価テーブルの構成を示す図である。
図8E】本発明の第2実施形態に係る情報更新テーブルの構成を示す図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図10A】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバの処理手順を示すフローチャートである。
図10B】本発明の第2実施形態に係る健保管理データ取得処理の手順を示すフローチャートである。
図10C】本発明の第2実施形態に係る保健事業対象者選定処理の手順を示すフローチャートである。
図10D】本発明の第2実施形態に係る保健事業提示処理の手順を示すフローチャートである。
図10E】本発明の第2実施形態に係る保健事業評価処理の手順を示すフローチャートである。
図10F】本発明の第2実施形態に係る健保管理更新処理の手順を示すフローチャートである。
図11】本発明の第2実施形態に係る通信端末(オペレータ用)の機能構成を示すブロック図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る通信端末(オペレータ用)の処理手順を示すフローチャートである。
図13】本発明の第2実施形態に係る通信端末(加入者用)の機能構成を示すブロック図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る通信端末(加入者用)の処理手順を示すフローチャートである。
図15】本発明の第3実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバを含む情報処理システムの動作概要を示す図である。
図16】本発明の第3実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバを含む情報処理システムの動作手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素は単なる例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
本明細書で用いられる以下の文言は、次のように定義される。「保険者」は、「公的保険者」と「民間保険者」とを含む。例えば、「公的保険者」としては「健康保険組合」が含まれる。また、「対象者」は、保険者に加入する加入者の中で保健事業の提供が必要とされる加入者のことを示す。また、「健康づくり業者」は「保健事業業者」とも称される。「個人の属性情報」は、性別や年齢、職種や役職、勤務状況などの加入者に関連する情報を示す。「健康状態関連情報」は、健診情報やストレスチェックに代表される健康状態を示す情報を含む。「健康管理関連情報」は、レセプト情報や保健事業参加状況に代表される健康管理の状況や健康管理行動への参加の意思を示す情報を含む。「健康管理状況」は、レセプト情報に基づく「治療状況」や、保健事業参加状況、生活様式に基づく「参加内容」などの健康管理に取り組んでいる状況を含む。「保健事業関連情報」は、実施者を問わず、保健事業の実施内容を示す情報である。
【0013】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての情報処理システム100について、図1を用いて説明する。情報処理システム100は、保険者への加入者と保健事業と結び付けるシステムである。
【0014】
図1に示すように、情報処理システム100は、加入者選定部101と、保健事業選定部102と、制御部103と、を備える。加入者選定部101は、保険者に加入している複数の加入者それぞれの健康情報を含む健康状態関連情報と、医療機関から発行されたレセプト情報を含む健康管理関連情報とから導出された対象者選定条件111に基づいて、複数の加入者の中から保健事業の提供が必要と判断される加入者を選定する。保健事業選定部102は、保健事業提案者から提案された複数の保健事業それぞれの、参加が必要な加入者の条件である保健事業参加条件122を含む保健事業計画から導出された保健事業選定条件121に基づいて、複数の保健事業の中から加入者に提供すべきと判断される保健事業を選定する。制御部103は、選定された加入者における対象者選定条件111と、選定された保健事業における保健事業参加条件122とを比較することによって、選定された加入者と選定された保健事業とがマッチングするよう制御する。ここで、制御部103は、提示部131と、評価部132と、更新部134と、を備える。提示部131は、選定された保健事業への参加を推奨あるいは勧誘する情報を、選定された加入者に提示する。評価部132は、選定された加入者の保健事業への参加を含む履歴情報133に基づいて、保健事業の成果を評価する。更新部134は、評価部132による評価結果に基づいて、対象者選定条件111および保健事業選定条件121の少なくともいずれかを更新する。
【0015】
本実施形態によれば、保険者に加入する加入者から保健事業の提供が必要であるとして選定された加入者と、保険者に加入する加入者に提供すべきとして選定された保健事業とを結び付けるよう制御し、保健事業への参加を含む履歴情報から保健事業を評価し、加入者および保健事業に関連する情報を更新して改善するので、効率的な保健事業の管理運営をすることができる。
【0016】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバについて説明する。本実施形態に係る保健事業管理支援サーバは、保健事業の提供が必要とされる加入者の選定と、提供する保健事業の選定とを対応付ける制御を行う。そして、保健事業管理支援サーバは、特に加入者の選定と保健事業の選定とを対応付ける制御において、選定された保健事業への参加を推奨あるいは勧誘する情報を選定された加入者に提示し、選定された加入者の保健事業への参加を含む履歴情報に基づいて、保健事業の成果を評価し、評価結果に基づいて、加入者選定および保健事業選定の少なくともいずれかを更新する。
【0017】
ここで、加入者の選定と保健事業の選定とを対応付けにおいて、選定された加入者に対して適切な保健事業を選定する。その場合に、健事業の提供が必要とされる加入者を選定は、加入者の健康情報に基づいて行われる。その健康情報は、加入者の健康におけるリスクレベルと、加入者の治療状況と、加入者の治療への意識レベルと、加入者の保健事業への参加履歴との少なくとも1つを含む。そして、保健事業の選定は、保健事業の提供が必要とされる加入者を選定するための対象者選定条件の問い合わせへの回答にある対象者選定条件に対応して適切な保健事業を選定する。一方、加入者の選定と保健事業の選定とを対応付けにおいて、選定された保健事業に対して保健事業の提供が必要な加入者を選定する。その場合に、加入者の選定は、選定された保健事業への参加を推奨あるいは勧誘する対象を選定するための対象者選定条件を用いて、選定された保健事業の提供が必要とされる加入者を選定する。
【0018】
また、選定された保健事業への参加を推奨あるいは勧誘する情報の、選定された加入者への提示は、選定された加入者へのメール配信またはファクシミリ送信を含む処理を実行することにより行われる。なお、提示方法は、加入者への問い合わせへの回答に従って選択されてもよい。また、加入者への情報を提示するか否かを、保健事業を実施するための費用と保健事業を施して得られる効果とを考慮して判定してもよい。かかる効果としては、医療費の低減、労働時間の確保、および、成果の増大の少なくとも1つが考慮される。また、保健事業の成果は、履歴情報に基づいて算出された保健事業を実施した費用と、保健事業を施して得られた効果とから評価される。また、加入者選定および保健事業選定の少なくともいずれかは、評価結果に基づいて保健事業の内容または保健事業の実施に関連する情報を更新する。また、評価結果に基づいて加入者に提示する参加を推奨あるいは勧誘するための情報、または加入者の健康情報を更新する。
【0019】
また、保健事業の提供が必要とされる複数の加入者グループを選定し、複数の加入者グループのそれぞれに提供する保健事業を選定する。そして、複数の加入者グループのそれぞれに選定された保健事業を実施するための費用と、複数の加入者グループのそれぞれに選定された保健事業を施して得られる効果とを考慮して、複数の加入者グループへのいずれに情報を提示するかを判定し、判定した加入者グループに情報を提示する。あるいは、保健事業の提供が必要とされる複数の加入者を検索し、複数の加入者のそれぞれに提供する保健事業を選定する。そして、複数の加入者のそれぞれに選定された保健事業を実施するための費用と、複数の加入者のそれぞれに選定された保健事業を施して得られる効果とを考慮して、複数の加入者へのいずれに情報を提示するかを判定し、判定した加入者に情報を提示する。
【0020】
なお、保健事業の提供が必要とされた加入者には、提供が必須な加入者や提供が望ましい加入者などの種々の必要レベルが含まれており、その旨が提示されてもよい。また、提供される保健事業についても、参加すべき保健事業や参加が望ましい保健事業などの種々の参加レベルが含まれており、その旨が提示されてもよい。
【0021】
《情報処理システム》
以下、図2A図4Hを参照して、情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210を含む情報処理システム200の構成および動作を説明する。なお、図3A図3Gのシーケンスやフローチャートは、情報処理システム200におけるデータの流れや処理手順を示しており、オンラインの処理とオフラインの処理とを含んでいる。
【0022】
(システム構成)
図2Aは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210を含む情報処理システム200の構成を示す図である。
【0023】
情報処理システム200は、情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210と、複数の保険者221~22mを含む保険者220と、複数の健康づくり業者231~23nを含む保健事業業者230と、オペレータの通信端末241と加入者の通信端末242とを含む保健事業管理支援サーバ210の支援を受ける通信端末240と、を備える。
【0024】
保健事業管理支援サーバ210は、各保険者221~22mから提出された加入者に係わる健康情報(個人の属性情報、健診情報などの健康状態関連情報およびレセプト情報などの健康管理関連情報を含む)を機密に格納する保険者データベース211と、各健康づくり業者231~23nから提案された保健事業を格納する保健事業データベース212と、を含む。なお、保健事業は、保険者220から提案されて保健事業データベース212に格納される場合もある。保健事業管理支援サーバ210は、保険者データベース211に格納された健康情報を参照して保健事業を必要とする加入者である対象者を選定する処理と、保健事業データベース212に格納された保健事業を選定して保険者や対象者に推奨する処理とのマッチングを図る。そして、保健事業の実施履歴、保健事業への加入者の参加履歴、保健事業に参加した加入者のリスクレベルの変化、などを収集して、保健事業の評価を行って、健康づくり業者231~23nにおける保健事業計画作成の改善を図る。また、保健事業の選定方法の評価、保健事業を必要とする加入者である対象者の選定方法の評価を行って、より適切な保健事業の実施を行い加入者の健康維持による生産性の向上を図る。
【0025】
通信端末241、242は、保健事業管理アプリケーションを実行して、保健事業管理支援サーバ210と接続し、保健事業管理支援サーバ210による健康情報の履歴、保健事業を必要とする加入者である対象者の選定、推奨する保健事業の選定、などの支援を受ける。
【0026】
(動作概要)
図2Bは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210を含む情報処理システム200の動作概要を示す図である。なお、図2Bの動作概要には、通信端末241、242の表示画面が示されているが、これらは連続する画面遷移を示してなく、本実施形態に特徴的な場面が選択されて示されている。
【0027】
図2Bには、通信端末241から設定された選定条件に基づいて、保健事業管理支援サーバ210において保険者の加入者から保健事業が必要となる対象者を選定して、選定された対象者に適切な保健事業が推奨される動作概要が示されている。また、図2Bには、推奨するために選定された保健事業に対して、選定された保健事業が必要となる対象者を選定してその保健事業を推奨する動作概要も示されている。
【0028】
表示画面251は、保健事業管理アプリケーションのログオン画面である。表示画面252では、保健事業が必要となる対象者を選定するために選定条件が設定される。表示画面253では、選定条件に基づいて保健事業が必要となる対象者として選定された加入者と、選定された加入者に適切な「おすすめ保健事業」が選定されて紹介される。表示画面群254では、実施予定の保健事業が各加入者のファクシミリ通知250や加入者の通信端末242に通知される。また、保健事業業者(健康づくり業者)230の端末には、提案した保健事業の評価結果が通知される。なお、保健事業の提案が通信端末241や通信端末242からされた場合には、保健事業の評価結果が通信端末241や通信端末242に通知される。
【0029】
一方、表示画面255では、「おすすめ保健事業」が表示されてオペレータにより選定される。表示画面256では、選定された保健事業を必要とする加入者が参加者候補として表示される。そして、表示画面群254に繋がり、同様に表示画面群254では、実施予定の保健事業が各加入者のファクシミリ通知250や加入者の通信端末242に通知される。また、保健事業業者(健康づくり業者)230の端末には、提案した保健事業の評価結果が通知される。なお、保健事業の提案が通信端末241や242からされた場合には、保健事業の評価結果が通信端末241や242に通知される。
【0030】
(データベース)
図2Cは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210が有するデータベースの構成を示す図である。
【0031】
図2Cの上図は、保健事業管理支援サーバ210が有する保険者データベース211の構成である。保険者データベース211を用いて、通信端末241から設定された選定条件に基づいて、保健事業管理支援サーバ210において保険者への加入者から保健事業が必要となる対象者が選定される。保険者データベース211は、各保険者A~Nのそれぞれに、保険者とその選定条件を識別するための組合条件ID261に対応付けて、対象者選定条件262と、選定された対象者人数263と、を記憶する。対象者選定条件262には、保健事業を必要とする加入者のリスク条件であるリスク状況、健康管理状況に含まれる加入者が受けている治療状況や加入者による保健事業への参加状況、保健事業の必要レベル、などが含まれる。対象者選定条件262はかかる記載の条件に限定されるものではない。例えば、後述の意識レベルなどを含んでもよい。
【0032】
図2Cの下図は、保健事業管理支援サーバ210が有する保健事業データベース212の構成である。保健事業データベース212を用いて、健康づくり業者230または保険者220から提案された保健事業と、各保険者の保健事業が必要となる対象者とが対応付けられる。保健事業データベース212は、健康づくり業者230から提案された保健事業を識別するための保健事業ID271に対応付けて、健康づくり業者(または保険者)ID272と、保健事業関連情報273と、保健事業参加条件274と、を記憶する。保健事業関連情報273は、保健事業への参加人数(定員)、実施期間や実施間隔など、保健事業を実施する経費、保健事業の詳細内容、などを含む。また、保健事業参加条件274は、この保健事業に参加する必要があると判断される加入者の条件を記憶する。保健事業参加条件274は、健康づくり業者231~23nなどが作成する保健事業計画に含まれているのが望ましい。なお、保健事業参加条件274は対象者選定条件262に対応するのが望ましいが、互いの関連が付けば異なってもよい。そして、対象者選定条件262と保健事業参加条件274とを比較することによって、選定された加入者と選定された保健事業とのマッチングが図られる。すなわち、対象者選定条件262の傾向と保健事業参加条件274の傾向とが近ければよりマッチングしていると判定する。例えば、対象者選定条件262や保健事業参加条件274のそれぞれの項目を数値化して、それらの比較を重み付けして加算し、所定の閾値以内であればマッチングしていると判定してもよい。さらに、対象者選定条件262と保健事業参加条件274とは、保健事業の実施履歴の評価に基づいて、選定された加入者と選定された保健事業とがよりマッチングするように変更される。
【0033】
(選定テーブル)
図2Dは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210における選定テーブルの構成を示す図である。
【0034】
図2Dの上図は、各保険者で選定条件に基づいて選定された加入者に対して、参加を推奨する保健事業を選定し、実施させるための保健事業選定テーブル280である。保健事業選定テーブル280は、図2Cに示した保険者条件ID281、および対象者選定条件262に基づき選定された対象者数282に対応付けて、この対象者数282の加入者に推奨する保健事業283と、選定して実施された保健事業の実施結果284と、を記憶する。推奨する保健事業283は、保健事業ID、その優先度などを含む。なお、実施結果284には、複数の保健事業が実施された場合にはそれぞれの実施結果が記憶される。さらに、実施結果284には、各保健事業参加者の経過を含む実施履歴が記憶されてもよい。
【0035】
図2Dの中図は、提案されたあるいは推奨される保健事業に参加することが望まれる、保険者とその加入者を選定するための対象者選定テーブル285である。対象者選定テーブル285は、図2Cに示した保健事業ID286に対応付けて、好適に適用される参加保険者287と、その保健事業の実施結果288と、を記憶する。参加保険者287としては、保険者IDと保健事業参加条件274に基づいて選定された対象者とを含む。
【0036】
図2Dの下図は、各保健事業の実施評価をして改善を提案するための保健事業評価テーブル290である。保健事業評価テーブル290は、保健事業ID291に対応付けて、実施履歴292と、各実施評価293と、トータル評価294と、改善提案295と、を記憶する。
【0037】
(動作シーケンス)
図3Aは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210を含む情報処理システム200における、医療情報収集の動作手順を示すシーケンス図である。
【0038】
保健事業管理支援サーバ210は、ステップS301において、通信端末241、242にそれぞれの保健事業管理アプリケーションを提供する。そして、通信端末241、242は、ステップS302において、保健事業管理支援サーバ210と協働して保健事業管理アプリケーションを起動する。
【0039】
保険者220は、ステップS303において、登録されている個人(加入者)の属性情報と、取得した健診情報を含む健康状態関連情報とを、保健事業管理支援サーバ210に提出する。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS304において、保険者220により提出された個人の属性情報、健康状態関連情報を、データベースに格納保持する。
【0040】
保険者220は、ステップS305において、レセプト情報などを含む健康管理関連情報を、保健事業管理支援サーバ210に提出する。保健事業管理支援サーバ210は、保険者220により提出された健康管理関連情報を、データベースに格納保持する。なお、ストレスチェックやアンケート情報などから抽出された、健康状態関連情報または健康管理関連情報は、ステップS307において、随時に通信端末241、242から保健事業管理支援サーバ210に送信されてもよい。
【0041】
図3Bは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210を含む情報処理システム200における、選定された加入者である対象者に対応付けた保健事業選定の動作手順を示すシーケンス図である。図3Bには、オペレータの通信端末241から保健事業が必要な加入者を選定する条件を設定すると、保健事業が必要な加入者である対象者に、健康づくり業者230から提案された適切な保健事業が選定されて、加入者の通信端末242に保健事業の情報を報知して参加を促す。そして、保健事業の成果あるいは効果を以降の加入者検索や保健事業選定に反映させる動作手順が示されている。
【0042】
通信端末241は、ステップS311において、保健事業が必要な加入者を選定するための基準となる判定条件、例えばリスクレベルの閾値などを入力する。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS312において、受信した判定条件を設定する。健康づくり業者230は、ステップS313において、生成した保健事業計画を提案する。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS314において、保健事業計画として、保健事業関連情報とその保健事業を選定する保健事業選定条件を設定する。
【0043】
通信端末241は、ステップS315において、保健事業を必要とする加入者を選定するためのリスク種類や受診内容などの対象者選定条件を入力する。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS316において、種々の対象者選定条件に従って、保健事業を必要とする対象者とそのグループを選定する。そして、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS317において、選定した対象者グループに対する適切な保健事業を選定する。
【0044】
通信端末241は、ステップS318において、選定した対象者グループに対するメールの一斉送信を保健事業管理支援サーバ210に指示する。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS319において、保健事業や対象者に基づいて費用対効果を予測して、利益率の高い順に保健事業への勧奨あるいは勧誘する情報を一斉メールで通信端末242に提示する。通信端末242は、ステップS320において、メールで受信した保健事業の勧奨/勧誘の情報を表示する。なお、電子メールには、保健事業の写真や動画が含まれてもよい。また、本実施形態においては、電子メールによる一斉送信を示すが、ファクシミリ送信や電話通知などであってもよい。
【0045】
通信端末241、242は、ステップS321において、例えば毎月周期であるいは不定期で、保健事業の実施履歴と加入者の参加履歴を入力する。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS322において、保健事業の実施履歴と加入者の参加履歴とを蓄積する。
【0046】
また、保健事業管理支援サーバ210は、所定周期で、ステップS323において、保健事業の実施履歴や加入者の参加履歴、加入者のリスクレベルの変化に基づいて、保健事業の成果を評価する。そして、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS324において、保健事業による評価結果を、保健事業の選定やリスクレベルの導出などに反映させる。
【0047】
図3Cは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210を含む情報処理システム200における、選定された加入者である対象者に対応付けた保健事業選定の処理手順を示すフローチャートである。
【0048】
情報処理システム200は、ステップS330において、保険者へ加入者を登録する。情報処理システム200は、ステップS331において、保健事業管理支援のためのデータを収集する。ステップS331の保健事業管理支援のためのデータ収集において、情報処理システム200は、図3AのステップS304に相当する処理により、加入者個人の属性情報あるいは既往歴などを含む情報の取得、加入者の健康診断などからの健診情報を含む健康状態関連情報の取得、病院や診療施設から加入者のレセプト情報を含む健康管理関連情報の取得を行う。そして、情報処理システム200は、図3AのステップS306に相当する処理により、その他の健康関連情報、例えば保健事業への参加履歴などの取得を行う。
【0049】
情報処理システム200は、ステップS332において、ステップS332で収集された健康状態関連情報から、加入者の各チェック対象リスクにおけるリスクレベルを導出する。また、情報処理システム200は、ステップS333において、ステップS332で収集された健康管理関連情報から、加入者の受診状況を含む健康管理状況を評価する。そして、情報処理システム200は、ステップS334において、加入者のリスクレベルと健康管理状況とに基づいて、保健事業が必要な加入者である対象者の選定をする。情報処理システム200は、ステップS335において、選定された加入者である対象者に対する適切な保健事業を選定する、あるいは、自ら適切な保健事業を計画する。そして、情報処理システム200は、ステップS336において、保健事業の参加を推奨あるいは勧誘する情報の加入者への提示、例えばメールやファクシミリなどによる提示を行う。情報処理システム200は、ステップS337において、加入者の保健事業への参加履歴、保健事業の実施履歴、リスクレベルの変化を分析して、保健事業の成果の評価を行い、以降の保健事業が必要な加入者(対象者)への保健事業の提示に反映させる。すなわち、情報処理システム200は、ステップS338において、評価結果に基づいて、保健事業内容、保健事業実施、加入者案内、健康情報などを更新する。
【0050】
図3Dは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210を含む情報処理システム200における、保健事業の提供が必要な加入者選定の詳細な動作手順を示すシーケンス図である。図3Dには、オペレータの通信端末241からの問い合わせあるいは選定指示に応答して、保健事業管理支援サーバ210がレセプト情報を含む健康管理関連情報や健診情報を含む健康状態関連情報に基づいて、保健事業への参加が必要とされる保健事業が必要とされる対象者を報知する動作手順が示されている。なお、図3Dにおいて、ステップS341~S348は図3BのS315~S317に相当し、ステップS351~S353は図3BのS318~S320に相当する。
【0051】
通信端末241は、ステップS341において、保健事業管理支援サーバ210に対して、保健事業の提供が現在必要とされる全対象者の選定を要求する。健保管理支援のサーバ210は、選定要求を受けて、ステップS342において、既存の厚労省の指針(法定階層化)および図7B図7Cで後述する本実施形態の階層化に基づいて、保健事業の提供が必要とされる全対象者の情報、例えば、全対象者数やその情報一覧、を生成する。そして、通信端末240は、ステップS343において、保健事業管理支援サーバ210から取得した保健事業の提供が必要とされる全対象者の情報を表示や情報一覧として出力する。出力には、表示と印刷が含まれるが、さらに、送信や記憶媒体への出力が含まれてもよい。なお、通信端末241においては、図4Aの表示画面442のような全対象者の内訳における選択指示によって、その対象者一覧を表示し、さらに、対象者一覧から特定の対象者を選択指示することによって、選択された対象者の詳細情報を出力する構成とするのが望ましい。また、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS344において、データベースに格納された保健事業の提供が必要とされる全対象者、さらに対象リスクにフラグを設定して選定結果を保持してもよい。
【0052】
保健事業管理支援サーバ210は、ステップS345において、対象者選定条件を生成して通信端末241に送信し、通信端末241は、ステップS346において、受信した対象者選定条件を含む、図4Aの表示画面443のような設定画面を表示する。本実施形態においては、対象者選定条件として、例えばリスク条件と受診条件とを含んでいる。
【0053】
通信端末241は、ステップS347において、保健事業の提供が必要とされる対象者を絞り込むための対象者選定条件を設定して、保健事業管理支援サーバ210に対して、設定した対象者選定条件による選定を要求する。保健事業管理支援サーバ210は、対象者選定要求を受けて、ステップS348において、既存の厚労省の指針(法定階層化)および図7B図7Cで後述する本実施形態の階層化に基づいて、対象者選定条件により絞り込んだ保健事業の提供が必要とされる対象者の情報、例えば、対象者数やその情報一覧、を生成する。そして、通信端末241は、ステップS349において、保健事業管理支援サーバ210から取得した保健事業の提供が必要とされる対象者の情報を表示や情報一覧として出力する。出力には、表示と印刷が含まれるが、さらに、送信や記憶媒体への出力が含まれてもよい。なお、通信端末241においては、図4Aの表示画面442のような対象者一覧を表示し、さらに、対象者一覧から特定の対象者を選択指示することによって、選択された対象者の詳細情報を出力する構成とするのが望ましい。また、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS351において、データベースに格納された保健事業の提供が必要とされる対象者、さらに対象リスクにフラグを設定して選定結果を保持してもよい。
【0054】
通信端末241は、ステップS352において、選定された保健事業の提供が必要とされる対象者に対する保健事業を推奨するまたは勧誘する内容を含む電子メールの一斉送信を指示する。保健事業管理支援サーバ210は、送信指示を受けて、ステップS353において、対象者の送信先へ電子メールの一斉送信を実行する。なお、電子メールには、保健事業の写真や動画が含まれてもよい。また、本実施形態においては、電子メールによる一斉送信を示すが、ファクシミリ送信や電話通知、あるいは書面発送などであってもよい。
【0055】
図3Eは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210を含む情報処理システム200における、選定された保健事業に対応付けた対象者選定の動作手順を示すシーケンス図である。なお、図3Eにおいて、図3Bと同様のステップには同じステップ番号を付して、重複する説明を省略する。
【0056】
オペレータの通信端末241は、ステップS361において、保健事業管理支援サーバ210の保健事業データベース212に蓄積された保健事業計画の案内を受けて、推奨する保健事業を選定する。また、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS362において、保健事業データベース212に蓄積された保健事業計画から推奨する保健事業を選定する。なお、保健事業の選定は、保健事業の目標や参加人数、費用などを考慮して選定される。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS363において、選定された保健事業への参加を必要とする加入者である対象者やそのグループを選定して、通信端末241に通知する。なお、推奨する保健事業の選定を保健事業管理支援サーバ210が行った場合は、選定された保健事業も通知する。通信端末241は、ステップS364において、選定された保健事業と、対応してその保健事業を必要とする加入者である対象者やそのグループとを通知する。
【0057】
図3Fは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210を含む情報処理システム200における、選定された保健事業に対応付けた対象者選定の処理手順を示すフローチャートである。なお、図3Fにおいて、図3Cのステップと同様のステップには同じステップ番号を付して、重複する説明を省略する。
【0058】
情報処理システム200は、ステップS371において、蓄積された保健事業計画から保険者および加入者に推奨する保健事業を選定する。そして、情報処理システム200は、ステップS372において、選定された保健事業への参加を必要とする加入者である対象者とそのグループを選定する。
【0059】
図3Gは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210を含む情報処理システム200における、保健事業に対応付けた対象者選定の詳細な動作手順を示すシーケンス図である。図3Gには、オペレータの通信端末241や保健事業管理支援サーバ210の推奨する保健事業の選定に応答して、保健事業管理支援サーバ210がレセプト情報を含む健康管理関連情報や健診情報を含む健康状態関連情報に基づいて、選定された保健事業への参加が必要とされる保健事業対象者を報知する動作手順が示されている。なお、図3Gにおいて、ステップS381~S383、S348、S349は図3BのS361~S364に相当する。また、図3Gにおいて、図3Dと同様のステップには同じステップ番号を付して、重複する説明を省略する。
【0060】
通信端末241は、ステップS381において、保健事業データベース212に蓄積された保健事業計画から推奨する保健事業を選定する。また、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS382において、保健事業データベース212に蓄積された保健事業計画から推奨する保健事業を選定する。そして、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS383において、選定された保健事業への参加を必要とする加入者である対象者を選定するための対象者選定条件を生成する。なお、健康づくり業者230が対象者選定条件を設定する場合は、その対象者選定条件を取得する。
【0061】
(動作概要)
図4Aは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210を含む情報処理システム400の動作概要を示す図である。なお、図4Aの動作概要には、3つのオペレータ用の通信端末241の表示画面441、442、445と、2つの加入者用の通信端末242の表示画面443および444とが示されているが、これらは連続する画面遷移を示してなく、本実施形態に特徴的な場面が選択されて示されている。
【0062】
図4Aは通信端末(オペレータ用)241からの操作によって、保健事業管理支援サーバ210において保険者の加入者から保健事業が必要となる対象者を検索して、検索された対象者の通信端末242(加入者用)に適切な保健事業を提示する。そして、その後の対象者の保健事業への参加履歴や健康状態や診察経緯などから保健事業の成果を総合的に評価し、評価結果を検索方法や保健事業とその提示方法に反映させる動作概要を示している。
【0063】
通信端末241の表示画面441は、保健事業管理アプリケーションのログオン画面である。その後、通信端末241の表示画面442では、保健事業が必要な対象者を検索するための条件、例えばリスクレベルであればその基準レベルなどの条件と、対象者への適切な保健事業を選定する条件、例えばリスクレベルや診察履歴や今までの保健事業への参加履歴などの条件とがオペレータにより入力される。
【0064】
通信端末242の表示画面443は、保健事業管理支援サーバ210から検索された保健事業が必要な対象者に提示された健康状態の通知情報と推奨/勧誘する保健事業の通知情報とである。通信端末242の表示画面444は、対象者による保健事業の推奨/勧誘に対する回答であり、保健事業への参加/不参加、アンケートおよび他の健康関連情報を含む。
【0065】
通信端末241の表示画面445は、保健事業の実施履歴や、加入者の健康状態の履歴(例えば、全加入者あるいは対象者や対象者グループのリスクレベルの変化など)に基づいて、保健事業の成果を評価した評価結果である。評価結果には、保健事業の実施費用と対象者個人あるいは対象者グループへの効果との費用対効果が考慮される。そして、評価結果は、対象者の検索条件の修正や更新、保健事業とその提示方法の修正や更新、に反映されたり、新規な追加のために使用されたりする。
【0066】
(リスクレベル)
図4Bは、本実施形態に係るリスクレベルの概要の一例を示す図である。図4Bには、血圧リスクのリスクレベルへの階層化の例を説明するが、他のリスク種類にはそのリスクに対応する適切な階層化が行われる。例えば、健診情報のない喫煙リスクなどのリスクレベルの階層化は、アンケート情報などを参照して行われる。なお、図4Bのリスクレベルへの階層化は一例であって、これに限定されず、保健事業における加入者の適切な分類が可能な種々の階層化が可能である。
【0067】
図4Bの血圧リスクは、5階層のリスクレベルに階層化されている。高レベルから順に、高危険431→危険432→受診勧誘433→保健指導434→リスクなし435となる。また、高危険431や危険432のレベルでは、受診済みか未受診か、受診済みの場合に投薬有りであるか投薬無しであるかなどを、レセプト情報に基づいて分類する(436)。
【0068】
簡単な保健事業が必要となる対象者の検索においては、リスクなし435以外は保健事業が必要な人数に加えられる。しかしながら、受診勧誘433や保健指導434などの危険レベルの予備軍に保健事業が必要な人数を絞っても、あるいは、高危険431および危険432の未受診を保健事業が必要な人数として絞ってもよい。どのように保健事業を実施するかは、リスクを抑えつつ、コストも抑えられるように計画されるのが望ましい。
【0069】
図4B中の「未受診」や「受診済み・投薬なし」などは健康管理状況を表し、「リスク継続」などはリスクレベルを表している。そして、各囲み内の数字(対象となる加入者数)の対象者のそれぞれに対して保健事業が設定、マッチングされることになる。なお、レセプトデータからは健康管理状況・治療状況のほかに、疾病の重症度を推測できる情報も含まれており、この情報をリスクレベルの評価に使うこともできる。
【0070】
(技術概念)
図4Cは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210を含む情報処理システム400の技術概念を示す図である。
【0071】
情報処理システム400は、ステップS401において、加入者の健診情報やレセプト情報に基づいて保健事業の対象者を検索する。情報処理システム400は、ステップS403において、検索された対象者に対して適切な保健事業を見つけ出して、保健事業への勧誘とその実施などのアクションを取る。保健事業への勧誘とその実施などには、健保管理アプリにより検索された対象者に健康状態の報知および保健事業への参加の勧誘を含むメールを送る処理、対象者が複数の場合に宛先リストを健保管理アプリからダウンロードする処理、健保管理アプリにより健保内、事業種向けの報告書を作る処理などが含まれる。そして、情報処理システム400は、ステップS405において、保健事業の実施結果および加入者状態を記録する。なお、記録には、メールのやりとり、メモ、タグなども含まれる。
【0072】
情報処理システム400は、ステップS407において、検索された保健事業の対象者や記録された保健事業の実施結果および加入者状態の閲覧が要求されているか否かを判定する。閲覧が要求されていないと判定された場合は、情報処理システム400は、ステップS401に戻って、ステップS405における記録結果を参照して処理を繰り返す。このようにして、健保管理のPDCAサイクルが実現する。閲覧が要求されていると判定された場合は、情報処理システム200は、ステップS409において、保健事業の効果および加入者の変化などを閲覧処理する。例えば、閲覧処理により、加入者との面談時などに、過去の健診結果や通院状況、メールやメモを参照することができる。
【0073】
本実施形態における情報処理システム400の処理により、健診データからリスク者抽出すると共に、レセプトデータから未受信者を抽出することができる。また、事業所別、本人別/家族別、年代別などでまとめた健康管理の状況を把握することができる。さらに、保健事業の参加状況、タグ(健保独自の目印)による情報管理、メール返信の有無による健保管理の制御などができる。
【0074】
(メール送信とその内容例)
図4Dは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210からのメール送信の動作概要を示す図である。
【0075】
保健事業管理支援サーバ210においては、保健事業が必要となる対象者が検索されると、表示画面451に一覧表示される。そして、対象者に対して、そのリスク対象とリスクレベルに対応したメールのテンプレート452に必要な情報を設定して、オペレータの指示に従ってあるいは自動的にメールを対象者に送信する。
【0076】
図4Eは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210からのメール内容の一例を示す図である。
【0077】
図4Eは、血糖値が基準値を超えているとして、保健事業が必要となる対象者に選別された場合の、メール内容460の一例である。メール内容460には、対象者の関連する生体情報、本例では血糖値の情報と、血糖値が高い場合の病気や注意などの関連情報、保健事業としての情報源の通知や保健事業の照会情報などが含まれる。
【0078】
図4Fは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210からのメール内容の他例を示す図である。
【0079】
図4Fは、喫煙習慣が継続しているとして、保健事業が必要となる対象者に選別された場合の、メール内容470の一例である。メール内容470には、喫煙による自身や家族などへの影響情報、禁煙の呼び掛け情報、保健事業の照会情報などが含まれる。
【0080】
(加入者データの収集)
図4Gは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210による加入者データの収集の動作概要を示す図である。
【0081】
図4Gにおいては、保健事業管理支援サーバ210から対象者への送信メール481に、対象者の生体情報の計測値を返信するフォーマット482を添付する。返信メールによる生体情報の計測値の返信を収集して、保健事業への参加情報を加味して対象者単位の保健事業の効果や影響度合を画面483のように表示する。そして、対象者単位の保健事業の効果や影響度合を集計して、保健事業の実績や目標達成率などを画面484のように表示する。
【0082】
(加入者への状況提示)
図4Hは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210による加入者への状況提示の動作概要を示す図である。
【0083】
図4Hには、加入者情報画面491と加入者の状況画面492とが図示されている。加入者情報画面491は、例えば、図4Dの保健事業が必要となる対象者一覧の表示画面451から1人の対象者が選択された場合に表示される。また、加入者の状況画面492は、加入者情報画面491から最新状況(図示なし)を選択した場合に表示される。
【0084】
《クラウドサーバの機能構成》
図5Aは、本実施形態に係るクラウドサーバ510の機能構成を示すブロック図である。
【0085】
クラウドサーバ510は、通信制御部501と、保健事業取得部502と、データベース503と、情報入力部540と、クラウドサーバ510内に生成された本実施形態の情報処理装置としての仮想保健事業管理支援サーバ210-1~210-nと、を備える。通信制御部501は、オペレータの通信端末241,加入者の通信端末242および健康づくり業者230の端末との通信を制御する。保健事業取得部502は、情報入力部540から入力された、あるいは、通信制御部501で健康づくり業者230の端末から受信された保健事業を取得する。保健事業取得部502で取得された保健事業は、データベース内の保健事業保持領域530に保持される。
【0086】
クラウドサーバ510内に生成された仮想保健事業管理支援サーバ210-1~210-nには、情報入力部540から加入者情報、健診情報およびレセプト情報が入力される。また、仮想保健事業管理支援サーバ210-1~210-nには、通信制御部501が通信端末241,242から受信したアンケート情報などの健康関連情報が入力される。仮想保健事業管理支援サーバ210-1~210-nは、取得した情報をそれぞれ機密に分離されたデータベース503のサーバ用領域503-1~503-nに格納する。そして、取得した情報に基づいて、保健事業の提供が必要と選定された加入者と、健康づくり業者から提供されて選定された保健事業とを対応付けて、通信端末242に対して保健事業の勧誘情報を送信する。なお、ファクシミリ送信などであってもよい。また、図5Aにおいては、各仮想保健事業管理支援サーバ210-1~210-nのそれぞれを独立したサーバのように示しているが、複数の仮想保健事業管理支援サーバが1つの保険者に対する処理を分担して協働で行ってもよい。また、1つの仮想保健事業管理支援サーバが複数の保険者に対する処理を割り振り分担して行ってもよい。
【0087】
《仮想保健事業管理支援サーバの機能構成》
図5Bは、本実施形態に係る情報処理装置としての仮想保健事業管理支援サーバ210の機能構成を示すブロック図である。以下、仮想保健事業管理支援サーバ210の機能構成としては、本実施形態の特徴である、健康管理状況を考慮した保健事業が必要とされる対象者(加入者)の選定と、実施するために選定された保健事業の選定とを対応付け、保健事業の実施結果を評価して対象者の選定や保健事業の選定に反映させる構成を中心に説明する。なお、図5Bにおいては、情報処理装置として1つの仮想保健事業管理支援サーバ210の構成について説明する。そして、主に、保健事業が必要とされる対象者の選定をした後に、選定した対象者に適切な保健事業を選定する構成について説明するが、実施可能な保健事業の選定をした後に、選定した保健事業に適切な対象者を選定する構成についても同様の構成で実現できる。図5Bでは、本実施形態の処理と関連が少ない機能構成部は省略している。また、図5Bにおいて、図5Aと同様の機能構成部については同じ参照番号を付して、重複する説明は省略する。
【0088】
保健事業管理支援サーバ210は、データベース503を備える。データベース503は、図5Aの各サーバ用領域として、取得データベース531と、処理データベース532と、保健事業データベース533と、メールデータベース534と、保健事業履歴データベース535と、を有する。
【0089】
取得データベース531には、個人の属性情報とレセプト情報と健診情報と他の健康状態関連情報とが含まれる。個人の属性情報は、通信端末241/242などから登録あるいは入力された加入者を識別する情報および加入者に関連する情報であり、加入者の性、年齢、社会環境である所属場所情報や加入者の所属場所での環境情報情なども含まれる。レセプト情報は、加入者の治療に関する情報である。健診情報は、加入者の健康診断に関連する情報である。他の健康状態関連情報は、加入者の健康に関連する情報、例えば、加入者の病歴や治療歴、アンケート情報などが含まれる。なお、他の健康状態関連情報には、可能であれば加入者のカルテ情報などが含まれてもよい。
【0090】
処理データベース532には、各加入者に対応付けて、リスクレベル等導出部545により導出された、各々のチェック対象におけるリスクレベルと、抽出された治療内容と、導出された健康に対する意識レベルとが格納される。処理データベース532には、さらに、保健事業を必要とする度合いを示す必要レベルも格納されてよい。保健事業データベース533には、健康づくり業者や保険者において計画された保健事業の内容が格納される。メールデータベース534には、各メールのテンプレートや送受信メールの履歴が蓄積される。保健事業履歴データベース535には、保健事業の実施結果やその効果および評価、さらに保健事業改善の提言などが蓄積される。
【0091】
仮想保健事業管理支援サーバ210は、加入者管理用情報取得部541と、保健事業情報取得部542と、条件取得部543と、情報格納処理部544と、を備える。また、仮想保健事業管理支援サーバ210は、リスクレベル等導出部545と、保健事業必要者選定部546と、費用対効果導出部547と、保健事業選定部548と、保健事業提示部550と、を備える。さらに、仮想保健事業管理支援サーバ210は、保健事業実施情報取得部551と、メール履歴蓄積部552と、保健事業評価部549と、を備える。
【0092】
加入者管理用情報取得部541は、通信端末241/242などから登録あるいは入力された加入者を識別する情報や加入者に関連する情報である健診情報以外の健康関連情報、例えばアンケート情報などを取得し、情報入力部540からレセプト情報および健診情報を取得する。保健事業情報取得部542は、通信端末241/242などから入力された保健事業計画や保健事業情報を取得する。条件取得部543は、通信端末241/242などから設定された保健事業が必要な加入者の検索条件(閾値)や必要者に推奨する保健事業の選定条件などを取得する。情報格納処理部544は、加入者管理用情報取得部541、および、条件取得部543が取得した情報から、加入者情報により名寄せして取得データベース531として、保健事業情報取得部542が取得した情報から保健事業を保健事業データベース533として、データベース503に格納する。なお、条件取得部543が取得した情報は、図示しないがデータベース503に保持され、保健事業必要者選定部546や保健事業選定部548などで用いられる。
【0093】
リスクレベル等導出部545は、名寄せされた健診情報から各加入者の各リスクについてのリスクレベルを導出する。リスクレベル等導出部545におけるリスクレベルの導出には、既存の厚労省の指針(法定階層化)に加えて、図4で前述した本実施形態の階層化も行われる。また、リスクレベル等導出部545は、名寄せされたレセプト情報から各加入者の治療内容を抽出する。また、リスクレベル等導出部545は、名寄せされたレセプト情報から各加入者の健康に対する意識レベルを導出する。さらに、リスクレベル等導出部545は、リスクレベル、治療内容、意識レベルなどを考慮して保健事業へ参加する必要レベルを導出する。
【0094】
保健事業必要者選定部546は、保健事業必要者選定テーブル561を有し、リスクレベルと、治療状況である治療内容や意識レベル、必要レベルとに基づいて、保健事業の提供が必要とされる加入者である必要者を選定する。なお、保健事業必要者選定部546は、条件取得部543が取得した選定条件が有る場合は、取得した選定条件に従って必要者を検索する。一方、保健事業必要者選定部546は、条件取得部543が取得した選定条件が無い場合は、デフォルトの条件に従って必要者を選定する。なお、図示しないが、通信端末241/242に選定条件式の設定画面を送って、オペレータが選択した選定条件式を取得して選定を実行する。
【0095】
また、保健事業必要者選定部546は、保健事業選定部548により実施予定の保健事業が選定された場合に、その保健事業に参加するための条件を満たす加入者を選定する。その場合には、保健事業への参加条件に合致するリスクレベル、治療内容、意識レベル、必要レベルを有する加入者が参加枠に収まるように選定されることになる。
【0096】
費用対効果導出部547は、費用対効果導出テーブル571を有し、保健事業を実施するための費用と、保健事業を実施することによる効果とを比較して、各保健事業の効率を導出する。なお、効果については、企業であればその生産性の向上に資するか、あるいは損失なども考慮する。保健事業選定部548は、保健事業選定テーブル581を有し、保健事業必要者選定部546からの保健事業の対象者の状況と、費用対効果導出部547からの保健事業の効率などとを考慮して、より効果的で適切な保健事業を選定する。なお、保健事業の選定は、同じ保健事業の必要者グループに対する選定や、個々の必要者に対する選定を含む。また、保健事業選定部548は、通信端末241/242からの指示や、健康づくり業者230からの指示により、保健事業の実施を選定し、保健事業必要者選定部546に対して、選定された保健事業への参加が望ましい加入者の選定を依頼してもよい。すなわち、保健事業に参加するための条件を満たす加入者を選定した後に、選定された加入者に適切な保健事業を選定する場合、保健事業必要者選定部546が第1加入者選定部として機能し、保健事業選定部548が第1保健事業選定部として機能する。また、実施可能な保健事業を選定した後に、選定された保健事業に参加する適切な加入者を選定する場合、保健事業選定部548が第2保健事業選定部として機能し、保健事業必要者選定部546が第2加入者選定部として機能する。なお、保健事業に参加するための条件を満たす加入者を選定した後に選定された加入者に適切な保健事業を選定する仮想保健事業管理支援サーバ210と、実施可能な保健事業を選定した後に選定された保健事業に参加する適切な加入者を選定する仮想保健事業管理支援サーバ210と、を別々に設けてもよい。さらに、複数の仮想保健事業管理支援サーバ210-1~10-nのそれぞれに一部の機能を割り当てて協働する構成であってもよい。
【0097】
保健事業提示部550は、メール送信機能を含み、保健事業選定部548が選定した保健事業の推奨や勧誘を各必要者の通信端末241/242に提示する。なお、同じ保健事業の推奨や勧誘は、一斉メールにより送信されてよい。なお、保健事業提示部550による加入者へのリスクレベルなどの情報開示や保健事業への勧誘は、メール送信に限定されず、ファクシミリ送信や封書配達によって行われてもよい。また、保健事業提示部550によるメール送信やファクシミリ送信は、通信端末242からの指示を待って行っても、保健事業提示部550が自動的に行ってもよい。
【0098】
保健事業実施情報取得部551は、保健事業の実施結果や、加入者および指導者などの通信端末241/242からの入力を取得する。メール履歴蓄積部552は、保健事業提示部550からのメール送信やそれに応答するメール応答をメールデータベース534に蓄積する。なお、メールと保健事業実施情報取得部551が取得した保健事業の実施情報とを関連付けて蓄積してもよい。保健事業評価部549は、保健事業評価テーブル591を有し、保健事業実施情報取得部551が取得した保健事業の実施結果や、加入者および指導者などの通信端末241/242からの入力を保健事業履歴データベース535に蓄積する。保健事業評価部549は、さらに、保健事業に参加した加入者の状態履歴(例えば、リスクレベルの変化など)を考慮して、実施された保健事業を評価して評価結果も保健事業履歴データベース535に蓄積する。更新部553は、情報更新テーブル592を有し、保健事業評価部549の評価結果に基づいて、保健事業計画の内容、あるいは、保健事業必要者の選定条件や保健事業の選定条件、加入者のリスクレベル等あるいはその導出方法を更新する。
【0099】
(リスクレベル等導出部)
図5Cは、本実施形態に係るリスクレベル等導出部545の機能構成を示すブロック図である。
【0100】
リスクレベル等導出部545は、リスクレベル導出部562と、治療内容抽出部563と、意識レベル導出部564と、必要レベル導出部565と、を有する。リスクレベル導出部562は、データベース503に格納され名寄せされた健診情報から各加入者の各リスクについてのリスクレベルを導出する。治療内容抽出部563は、データベース503に格納され名寄せされたレセプト情報から各加入者の治療内容を抽出する。意識レベル導出部564は、データベース503に格納され名寄せされたレセプト情報から各加入者の健康に対する意識レベルを導出する。必要レベル導出部565は、各加入者について、リスク状況、治療状況/対処状況、保健事業参加状況などを考慮して、加入者が保健事業の参加する必要レベルの度合いを導出する。
【0101】
(取得データベース)
図6は、本実施形態に係る取得データベース531の構成を示す図である。取得データベース531は、健保管理に用いるために保健事業管理支援サーバ210が収集した取得データを格納する。取得データベース531は、通信端末241/242から取得した個人の属性情報を含む加入者情報610と、加入者管理用情報取得部541が取得したレセプト情報620と、加入者管理用情報取得部541が取得した健診情報あるいは通信端末241/242から取得したアンケート情報などを含む健診情報等関連情報630とを、加入者で名寄せして格納する。
【0102】
個人の加入者情報610としては、加入者ID611に対応付けて、氏名612と、住所613と、電話番号やメールアドレスなどの連絡先614と、属性615と、労働条件なども含む生活環境616と、を記憶する。なお、属性615には、生年月日、性別、年齢、加入者との続柄、健保への参加位置を示す加入者区分、などを含む。レセプト情報620としては、レセプトID621に対応付けて、受診した医療機関622と、受診日時623と、受診内容624と、報酬点で表した費用625と、加入者ID626と、を記憶する。なお、受診内容624には、病名や治療内容などを含む。
【0103】
健診情報等関連情報630としては、加入者ID631に対応付けて、加入者管理用情報取得部541が取得した健診情報632や病歴633と、と、通信端末241/242から取得したアンケート情報634と、保健事業情報635と、を記憶する。なお、図6では加入者情報610とレセプト情報620と健診情報等関連情報630とを分けて示したが、異なる分類をしても加入者IDに対応して1つのテーブルとして格納してもよい。例えば、健診情報やストレスチェックに代表される健康状態を示す情報を健康状態関連情報として記憶し、レセプト情報や保健事業参加状況に代表される健康管理の状況や健康管理行動への参加の意思を示す情報を健康管理関連情報として記憶してもよい。
【0104】
(処理データベース)
図7Aは、本実施形態に係る処理データベース532の構成を示す図である。処理データベース532は、保健事業管理支援サーバ210が保健事業の管理のため取得データベース531に格納されたデータを処理して生成した処理データを格納する。
【0105】
処理データベース532は、加入者ID711に対応付けて、加入者情報712と、健診情報やアンケート情報などから導出されたリスクレベル情報713と、レセプト情報などから抽出された治療状況および保健事業参加状況714および費用情報715と、を記憶する。そして、処理データベース532は、リスクレベル情報713、治療状況および保健事業参加状況714、費用情報715などを参照して保健事業管理支援サーバ210が分析した結果である、保健事業が必要か不必要かのフラグ716を記憶する。さらに、処理データベース532は、保健事業が必要とされる必要レベル717(緊急か緊急でないか、必須か必須でないかなどの指標)を記憶する。
【0106】
リスクレベル情報713は、各リスクについての情報、例えば、肥満リスクレベル731、BMI(Body Mass Index)レベルの状況732、喫煙レベル733、血圧リスクレベルの状況734、などを記憶する。各リスクには、測定値がある場合の測定値、リスクの有無、リスクレベル、状況(例えば、リスク上昇、下降、維持など)などを含む。
【0107】
治療状況および保健事業参加状況714には、事業参加内容と、治療内容と事業参加内容から導出された意識レベルが記憶されている。事業参加内容は、保健事業を識別する事業IDに対応付けて、保健事業への参加日時と、保健事業の事業内容と、参加感想などを含む参加結果とを記憶する。ここで、意識レベルは、加入者が受診した治療内容から導出された意識レベル、加入者が参加した保健事業内容から導出された意識レベル、さらに、治療内容および保健事業内容から導出された意識レベルを含んでよい。
【0108】
(意識レベル導出テーブル)
図7Bは、本実施形態に係る加入者の意識レベルを導出する意識レベル導出テーブル720の構成を示す図である。意識レベル導出テーブル720は、各リスクについて、リスクレベル、治療状況/対処状況、保健事業への参加状況を考慮して、加入者のリスクを軽減したい意識の度合いを導出するために、意識レベル導出部564で使用される。なお、意識レベル導出テーブル720は一例であって、これに限定されない。保健事業管理支援サーバ210が収集可能な情報を用いて、加入者のリスクを軽減したい意識の度合いを導出する種々の情報とその組み合わせが可能である。
【0109】
意識レベル導出テーブル720は、対象リスク725のそれぞれに対して、リスクレベル726と治療状況/対処状況727と保健事業への参加状況728との組み合わせを記憶する。そして、リスクレベル726と治療状況/対処状況727と保健事業への参加状況728との組み合わせに対応付けて、意識レベル729を記憶する。
【0110】
(必要レベル導出テーブル)
図7Cは、本実施形態に係る必要レベル導出テーブル740の構成を示す図である。必要レベル導出テーブル740は、各加入者について、リスク状況、治療状況/対処状況、保健事業参加状況などを考慮して、加入者が保健事業の参加する必要レベルの度合いを導出するために、必要レベル導出部565で使用される。なお、必要レベルとして、各リスクレベルをそのまま使用することも可能であるが、図7Cでは、治療状況や保健事業参加状況なども考慮した必要レベルの導出について示す。図7Cの必要レベル導出テーブル740は一例であって、これに限定されない。保健事業管理支援サーバ210が収集可能な情報を用いて、が保健事業の参加する必要レベルの度合いを導出する種々の情報とその組み合わせが可能である。
【0111】
必要レベル導出テーブル740は、加入者ID741に対応付けて、リスク状況742と、治療状況および保健事業参加状況714と、を記憶する。そして、必要レベル導出テーブル740は、リスク状況742と、治療状況および保健事業参加状況714とに基づいて導出された必要レベル717を記憶する。リスク状況742は、重複リスクと各リスクのリスクレベルとを含む。治療状況および保健事業参加状況714は、治療内容と事業参加内容および導出された意識レベルを含む。必要レベル717は、各リスクに対する必要レベルと、加入者に対して総合した必要レベルと、を含む。
【0112】
(保健事業データベース)
図7Dは、本実施形態に係る保健事業データベース533の構成を示す図である。保健事業データベース533は、健康づくり業者が提案した保健事業、および、健保管理者あるいは加入者が計画した保健事業を格納する。
【0113】
保健事業データベース533は、保健事業ID751に対応付けて、保健事業内容752と、保健事業の実施費用753と、保健事業を実施した場合の期待効果754と、を格納する。保健事業データベース533は、さらに、保健事業に参加が望ましい加入者の選定条件を格納してよい。
【0114】
(メールデータベース)
図7Eは、本実施形態に係るメールデータベース534の構成を示す図である。メールデータベース534は、保健事業管理支援サーバ210が各加入者に送信するメールのテンプレート格納部760と、送受信メールの履歴を格納するメール履歴格納部770と、を有する。
【0115】
テンプレート格納部760は、保健事業ID761に対応付けて、少なくとも1つのメールID762と、各メールID762に対応するメールのテンプレート763と、を記憶する。メール履歴格納部770は、加入者ID771に対応付けて、加入者への提示メール722の履歴と、加入者からの回答メール773の履歴と、その他の通信情報774の履歴と、を記憶する。提示メール722および回答メールの履歴は、メール送受信のタイムスタンプとメール内容とが含まれる。
【0116】
(保健事業履歴データベース)
図7Fは、本実施形態に係る保健事業履歴データベース535の構成を示す図である。保健事業履歴データベース535は、実施された保健事業の実施結果の履歴とその評価と改善策などを格納する。
【0117】
保健事業履歴データベース535は、保健事業ID781に対応付けて、保健事業の実施日時782と、事業内容783と、勧誘メール784と、各保健事業への参加者785と、各参加者の効果履歴786と、を格納する。そして、保健事業履歴データベース535は、各参加者の効果履歴786から集計した効果787と、その改善策788と、を格納する。なお、改善策788には、保健事業の改善策に限定されず、加入者のリスクレベルなどの導出に関連する情報の修正や、リスクレベルなどからの保健事業を必要とする加入者の選定方法の改善なども含まれる。
【0118】
(保健事業必要者選定テーブル)
図8Aは、本実施形態に係る保健事業必要者選定テーブル561の構成を示す図である。保健事業必要者選定テーブル561は、保健事業必要者選定部546が、デフォルトの条件、または、通信端末241/242から設定された選定条件式に基づいて、保健事業が必要となる加入者を選定するために用いられる。また、選定された実施予定の保健事業に参加することが望まれる加入者を選定するためにも用いられる。
【0119】
保健事業必要者選定テーブル561は、対象者選定条件801に対応付けて選定結果802を記憶する。対象者選定条件としては、リスク種類、リスクレベル閾値、既受診/未受診、意識レベル、必要レベルなどが含まれる。そして、選定結果802としては、各リスク種類における保健事業が必要となる加入者情報である各選定結果と、各選定結果をどのように結合するかの結合論理式と、設定されたリスク種類における保健事業が必要となる加入者情報であるトータル結果821と、を記憶する。
【0120】
なお、本実施形態においては、選定結果として、保健事業が必要となる加入者数や加入者情報であるトータル結果821が編集されて、保健事業管理支援サーバ210から通信端末241/242に通知される。
【0121】
(費用対効果導出テーブル)
図8Bは、本実施形態に係る費用対効果導出テーブル571の構成を示す図である。費用対効果導出テーブル571は、費用対効果導出部547が、保健事業の実施についてその費用対効果を導出するために用いられる。
【0122】
費用対効果導出テーブル571は、保健事業ID811に対応付けて、実施費用812を記憶する。また、保健事業ID811に対応付けて、参加予定の加入者ID813を記憶する。そして、各加入者について、その期待効果814を記憶する。期待効果814には、各加入者の対象となっている対象リスク841と、そのリスクレベル842と、保健事業によるリスク回避効果843と、リスクレベルがアップすることによるリスクレベルアップ損失844と、リスクが他の波及することによるリスク波及損失845と、を記憶する。費用対効果導出テーブル571は、参加予定の各加入者の期待効果814を集計することにより、トータル期待効果815を記憶する。
【0123】
さらに、費用対効果導出テーブル571は、実施費用812とトータル期待効果815とから算出された費用対効果816を記憶する。そして、費用対効果816を比較することにより、保健事業の実施優先度817を記憶する。
【0124】
期待効果814には、対象者の基準となる対象リスク841、参加者のリスクレベル842、病気などのリスクが回避されるリスク回避効果843、リスクレベルがアップするリスクレベルアップ損失844、ある対象のリスクが他のリスクに波及するリスク波及損失845、などが含まれる。
【0125】
(保健事業選定テーブル)
図8Cは、本実施形態に係る保健事業選定テーブル581の構成を示す図である。保健事業選定テーブル581は、保健事業選定部548が、どの保健事業を優先的に実施するかを選定するために用いられる。
【0126】
保健事業選定テーブル581は、保健事業のための予算851と、実施予定の保健事業852と、予定された保健事業のトータルの実施費用853と、を記憶する。実施予定の保健事業852の情報としては、各保健事業IDと、各保健事業のトータル期待効果と、実施優先度と、各保健事業の実施費用と、が含まれる。
【0127】
(保健事業評価テーブル)
図8Dは、本実施形態に係る保健事業評価テーブル591の構成を示す図である。保健事業評価テーブル591は、保健事業評価部549が、実施された保健事業について評価するために用いられる。
【0128】
保健事業評価テーブル591は、保健事業ID861に対応付けて、実施費用862と、複数の指標の各指標に基づく効果863と、トータル効果864と、を記憶する。そして、保健事業評価テーブル591は、実施費用862と各指標に基づく効果863とトータル効果864とを考慮して、最終の評価結果865を記憶する。
【0129】
(情報更新テーブル)
図8Eは、本実施形態に係る情報更新テーブル592の構成を示す図である。情報更新テーブル592は、更新部553が保健事業の実施に関する改善をするために使用するために用いられる。
【0130】
情報更新テーブル592は、各保健事業について、更新前評価871と、更新対象872と、更新後評価873と、を記憶する。更新対象872には、保健事業の内容そのもの、保健事業の実施方法、保健事業の加入者への案内方法、健康関連情報などがある。ここで、健康関連情報は、健康状態関連情報や健康管理関連情報を含む情報へのフィードバックによる更新や、保健事業が必要な加入者の選定方法などへのフィードバックによる更新を含んでいる。
【0131】
《保健事業管理支援サーバのハードウェア構成》
図9は、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0132】
図9で、CPU(Central Processing Unit)910は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで図5Aおよび図5Bの機能構成部を実現する。CPU910は1つであっても複数であってもよい。ROM(Read Only Memory)920は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびプログラムを記憶する。ネットワークインタフェース930は、ネットワークを介して、通信端末241/242や健康づくり業者230との通信を制御する。
【0133】
RAM(Random Access Memory)940は、CPU910が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM940には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。健康関連取得情報941は、個人の属性情報、健診情報、レセプト情報などを含む健康状態関連情報と健康管理関連情報とを含む取得情報である。分析条件情報942は、加入者が保健事業を必要とするか否かを判定するための閾値などを含む情報である。事業選定条件情報943は、実施する保健事業を選定するための閾値などを含む情報である。データベース格納情報944は、データベース503に格納するための情報である。分析結果情報945は、分析条件情報942を用いて分析した結果であるリスクレベル情報や治療情報(治療内容や意識レベルなど)を含む情報である。保健事業必要者選定テーブル561は、図8Aに示した、保健事業が必要な加入者を検索するためのテーブルである。費用対効果導出テーブル571は、図8Bに示した、各保健事業について実施した場合の費用対効果を導出するためのテーブルである。保健事業選定テーブル581は、図8Cに示した、費用対効果導出テーブル571を用いて導出された費用対効果を参照して、実施する保健事業を、優先順位を付けて選定するためのテーブルである。保健事業評価テーブル591は、図8Dに示した、実施された保健事業を評価するためのテーブルである。情報更新テーブル592は、図8Eに示した、保健事業の評価に基づいて保健事業の改善、または、健康関連取得情報941や分析条件情報942や事業選定条件情報943などを更新するためのテーブルである。保健事業必要者の情報946は、保健事業が必要でありメールなどで結果を通知するための情報である。送信メール情報947は、メールデータベース534に格納されたメールのテンプレートに、リスクレベルや保健事業などの提示情報を付加した送信メールの情報である。送受信データ948は、ネットワークインタフェース930を介して、外部装置と送受信されるデータである。
【0134】
ストレージ950は、CPU910が使用する、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。データベース503は、取得データベース531と、処理データベース532と、保健事業データベース533と、メールデータベース534と、保健事業履歴データベース535と、を有する。取得データベース531は、図6に示したように、保健事業管理支援サーバ210が収集したデータを格納する。処理データベース532は、図7Aに示したように、取得データベース531から保健事業管理支援サーバ210が処理して生成したデータを格納する。保健事業データベース533は、図7Dに示したように、計画された保健事業の内容を格納する。メールデータベース534は、図7Eに示したように、メールのテンプレートや送受信メールの履歴を格納する。保健事業履歴データベース535は、図7Fに示したように、実施された各保健事業について、評価結果と今後の改善点を格納する。
【0135】
ストレージ950には、以下のプログラムが格納される。保健事業管理支援サーバ制御プログラム951は、情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210の全体を制御するプログラムである。データベース生成モジュール953は、保健事業管理支援サーバ210が収集したデータからデータベース503の各データベースに格納するデータを生成するモジュールである。データ分析モジュール954は、データベース503の各データベースに格納するデータを用いて、各加入者の状態を分析するモジュールである。図示しないが、データ分析モジュール954には、各加入者のリスクレベルを導出するリスクレベル導出モジュール、各加入者の治療状況を認識する治療状況認識モジュール、各加入者の意識レベルを導出する意識レベル導出モジュール、各加入者の必要レベルを導出する必要レベル導出モジュール、などが含まれる。保健事業必要者検索モジュール955は、リスクレベルや治療状況を考慮して、検索条件に従って、保健事業が必要となる加入者を検索するモジュールである。保健事業提示モジュール956は、保健事業が必要となる加入者に保健事業の勧奨通知を送信するモジュールである。保健事業評価モジュール957は、実施された保健事業の結果の履歴を蓄積し、各保健事業について評価し、その結果を今後の保健事業の内容あるいは実施手順などに反映させるためのモジュールである。情報更新モジュール958は、保健事業の評価結果を保健事業の改善や、保健事業が必要な加入者の選定などに反映させるモジュールである。
【0136】
なお、図9のRAM940やストレージ950には、情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関連するプログラムやデータは図示されていない。
【0137】
《保健事業管理支援サーバの処理手順》
図10Aは、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ210の処理手順を示すフローチャートである。図10Aのフローチャートは、図9のCPU910がRAM940を使用して実行し、図5Aおよび図5Bの機能構成部を実現する。
【0138】
保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1011において、保健事業管理支援サーバ210が健保管理に使用するデータの取得であるか否かを判定する。健保管理に使用するデータの取得であると判定された場合、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1013において、健保管理データ取得処理を実行する。
【0139】
健保管理に使用するデータの取得でないと判定された場合、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1021において、保健事業提示の処理であるか否かを判定する。保健事業提示の処理であると判定された場合、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1023において、保健事業必要者選定処理を実行する。そして、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1025において、加入者に対して必要な保健事業の通知処理を実行する。
【0140】
健保管理に使用するデータの取得でなく、保健事業提示の処理でないと判定された場合、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1031において、保健事業評価の処理であるか否かを判定する。保健事業評価の処理であると判定された場合、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1033において、保健事業に関する実施結果の情報および加入者の参加結果の情報を収集する。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1035において、保健事業評価処理を実行する。そして、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1037において、健保管理更新処理を実行する。
【0141】
(健保管理データ取得処理)
図10Bは、本実施形態に係る健保管理データ取得処理(S1013)の手順を示すフローチャートである。
【0142】
保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1041において、情報入力部540からの個人の属性情報の入力、あるいは、通信端末241/242からの個人の属性情報の受信を待って、個人の属性情報の取得があれば、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1043において、取得した個人の属性情報をデータベース503に登録する。
【0143】
保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1045において、健診情報または通信端末241/242からのアンケート情報などを含む健康状態関連情報の取得を待つ。健康状態関連情報の受信があれば、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1047において、取得した健康状態関連情報をデータベース503に登録する。
【0144】
保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1049において、レセプト情報を含む健康管理関連情報の取得を待って、健康管理関連情報の取得があれば、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1051において、取得した健康管理関連情報をデータベース503に登録する。
【0145】
(保健事業必要者検索処理)
図10Cは、本実施形態に係る保健事業必要者選定処理(S1023)の手順を示すフローチャートである。
【0146】
保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1061において、各加入者の健診情報などを含む健康状態関連情報をデータベース503の取得データベース531から取得する。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1063において、各加入者の健診情報などを含む健康状態関連情報から各リスクについてリスクレベルを導出してデータベース503の処理データベース532に設定する。
【0147】
保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1065において、各加入者のレセプト情報を含む健康管理関連情報をデータベース503の取得データベース531から取得する。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1067において、各加入者のレセプト情報などから治療内容を抽出してデータベース503の処理データベース532に設定する。また、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1069において、各加入者のレセプト情報などを含む健康管理関連情報から意識レベルを導出してデータベース503の処理データベース532に設定する。
【0148】
保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1071において、登録された全加入者に対して処理済みであるか否かを判定する。全加入者に対して処理済みでないと判定された場合、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1061に戻って、次の加入者に対してステップS1061~S1069までの処理を繰り返す。
【0149】
全加入者に対して処理済みであると判定された場合、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1073において、保健事業必要者を選定するための各選定条件を取得する。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1075において、各選定条件に合致するリスクレベルを有し、治療内容および意識レベルに対応する保健事業必要者を選定する。そして、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1077において、必要者の通信端末241/242に各選定結果を出力(表示、印刷)する。
【0150】
(保健事業提示処理)
図10Dは、本実施形態に係る保健事業通知処理(S1025)の手順を示すフローチャートである。
【0151】
保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1081において、各選定された保健事業の必要グループに適切な保健事業を選定する。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1083において、選定された各保健事業の費用対効果を評価して優先順位を決定する。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1085において、予算枠内における保健事業の最良の組み合わせを選定する。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1087において、各保健事業を提示するメール・テンプレートに基づいて、勧誘対象の必要者グループに同報メールを発信する。なお、同報メールの発信は、通信端末242への問い合わせに対する指示に基づいて実行してもよい。
【0152】
保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1089において、メールへの回答を待つ。メールへの返信メールを受信すると、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1091において、回答内容をデータベースに蓄積する。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1093において、メール発信からの回答期間を経過したか否かを判定する。回答期限が経過してない場合は、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1089に戻って、回答を待つ。回答期間を経過した場合は、保健事業通知処理を終了する。
【0153】
(保健事業評価処理)
図10Eは、本実施形態に係る保健事業評価処理(S1035)の手順を示すフローチャートである。
【0154】
保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1101において、各加入者について、実施した保健事業履歴などの影響を評価する。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1103において、実施した各保健事業について、参加者の検診履歴などから加入者への影響を評価する。そして、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1105において、保健事業の評価結果をデータベースに蓄積する。
【0155】
(健保管理更新処理)
図10Fは、本実施形態に係る健保管理更新処理(S1037)の手順を示すフローチャートである。
【0156】
保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1111において、保健事業の評価結果を健保管理に反映させるか否かを判定する。保健事業の評価結果を健保管理に反映させない場合は、処理を終了する。保健事業の評価結果を健保管理に反映させる場合、保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1113において、評価結果を保健事業の内容への反映をさせる。なお、評価結果に基づく保健事業の新設を含む。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1115において、評価結果を保健事業の推奨あるいは勧誘方法へ反映させる。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1117において、評価結果を保健事業の選定条件へ反映させる。保健事業管理支援サーバ210は、ステップS1119において、評価結果をリスクレベルおよび保健事業必要者選定条件などへ反映させる。
【0157】
《通信端末の機能構成》
図11は、本実施形態に係る通信端末(オペレータ用)241の機能構成を示すブロック図である。なお、図11では、本実施形態の処理と関連が少ない機能構成部は省略している。
【0158】
通信端末241は、通信制御部1101と、アプリ取得部1102と、アプリ実行部1103と、入出力インタフェース1104と、を備える。入出力インタフェース1104には、出力情報や通信端末241の状態を表示する表示部1141と、通信端末241の動作を指示する操作部1142と、オプションとして印刷部1143や記憶媒体1144と、が接続される。通信制御部1101は、ネットワークを介した、アプリ提供サーバ370、保健事業管理支援サーバ210、通信端末242との通信を制御する。アプリ取得部1102は、クラウドサーバ510などから提供される加入者用の保健事業管理アプリケーションを取得する。
【0159】
アプリ実行部1103は、表示/操作制御部1131と、個人の属性情報取得部1132と、個人の属性情報登録部1133と、健康関連情報取得部1134と、健康関連情報送信部1135と、を備える。また、アプリ実行部1103は、判定条件/選定条件取得部1136と、判定条件/選定条件送信部1137と、保健事業評価結果取得部1138と、保健事業評価結果出力部1139と、を備える。なお、図11には図示しないが、保健事業計画の提案部を有してもよい。
【0160】
表示/操作制御部1131は、表示部1141への出力および操作部1142からの入力を制御する。個人の属性情報取得部1132は、表示部1141に表示されたフォーマットへの操作部1142からの入力により加入者個人の属性情報を取得する。なお、個人の属性情報を記憶媒体1144から一括入力してもよい。個人の属性情報登録部1133は、個人の属性情報取得部1132が取得した属性情報を保健事業管理支援サーバ210に送信して登録する。健康関連情報取得部1134は、表示部1141に表示されたフォーマットへの操作部1142からの入力により、アンケート情報を含む健康状態関連情報や健康事業への参加情報などの健康管理関連情報を含む健康関連情報を取得する。なお、健康関連情報を記憶媒体1144から一括入力してもよい。健康関連情報送信部1135は、健康関連情報取得部1134が取得した健康状態関連情報や健康管理関連情報を保健事業管理支援サーバ210に送信する。判定条件/選定条件取得部1136は、表示部1141に表示された判定条件/選定条件設定の表示画面442から操作部1142により設定された判定条件および選定条件を取得する。判定条件/選定条件送信部1137は、判定条件/選定条件取得部1136が取得した判定条件および選定条件を保健事業管理支援サーバ210に送信する。保健事業評価結果取得部1138は、保健事業管理支援サーバ210で評価された保健事業の評価結果を取得する。保健事業評価結果出力部1139は、保健事業評価結果取得部1138が保健事業管理支援サーバ210から取得した保健事業の評価結果の情報を表示部1141、印刷部1143または記憶媒体1144に出力する。
【0161】
なお、図11では、保健事業についての電子メールの加入者への一斉送信を指示する構成については省略している。
【0162】
《通信端末の処理手順》
図12は、本実施形態に係る通信端末(オペレータ用)241の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、通信端末241を構成するストレージに格納されたプログラムをCPUがRAMを使用して実行し、図11の機能構成部を実現する。
【0163】
通信端末241は、ステップS1211において、個人の属性情報の登録指示であるか否かを判定する。個人の属性情報の登録指示であると判定される場合、通信端末241は、ステップS1213において、入力された加入者情報を取得して保健事業管理支援サーバ210に送信する。
【0164】
加入者情報の登録指示でないと判定される場合、通信端末241は、ステップS1221において、健康関連情報の入力指示であるか否かを判定する。健康関連情報の入力指示であると判定された場合、通信端末241は、ステップS1223において、入力されたアンケート情報を含む健康状態関連情報や健康事業への参加情報を含む健康管理関連情報を取得して保健事業管理支援サーバ210に送信する。
【0165】
個人の属性情報の登録指示でなく、健康関連情報の入力指示でないと判定される場合、通信端末241は、ステップS1231において、判定条件および/または選定条件の入力であるか否かを判定する。判定条件および/または選定条件の入力であると判定された場合、通信端末241は、ステップS1233において、判定条件および/または選定条件を取得して記憶し、保健事業管理支援サーバ210に送信する。
【0166】
個人の属性情報の登録指示でなく、健康関連情報の入力指示でなく、判定条件および/または選定条件の入力でないと判定された場合、通信端末241は、ステップS1241において、保健事業管理支援サーバ210のデータベース503の情報の閲覧指示であるか否かを判定する。閲覧指示であると判定された場合、通信端末241は、ステップS1243において、閲覧フォーマットに変換して保健事業の評価結果や加入者状態を表示する。通信端末241は、ステップS1245において、提示条件、例えば閲覧内容やフォーマットの変更指示があるか否かを判定する。提示条件の変更指示があると判定された場合、通信端末241は、ステップS1247において、提示条件を取得して変更する。
【0167】
《通信端末(加入者用)の機能構成》
図13は、本実施形態に係る通信端末(加入者用)242の機能構成を示すブロック図である。なお、図13では、本実施形態の処理と関連が少ない機能構成部は省略している。
【0168】
通信端末242は、通信制御部1301と、アプリ取得部1302と、アプリ実行部1303と、入出力インタフェース1304と、を備える。入出力インタフェース1304には、出力情報や通信端末242の状態を表示する表示部1341と、通信端末242の動作を指示する操作部1342と、オプションとして記憶媒体1344と、が接続される。通信制御部1301は、ネットワークを介した、アプリ提供サーバ370、保健事業管理支援サーバ210、通信端末241との通信を制御する。アプリ取得部1302は、クラウドサーバ510などから提供される加入者用の保健事業管理アプリケーションを取得する。
【0169】
アプリ実行部1303は、表示/操作制御部1331と、加入者履歴閲覧指示部1332と、加入者履歴閲覧要求部1333と、加入者履歴受信部1334と、加入者履歴提示部1335と、を備える。また、アプリ実行部1303は、リスク状態/保健事業情報受信部1336と、リスク状態/保健事業情報提示部1337と、保健事業参加/不参加取得部1338と、保健事業参加/不参加送信部1339と、を備える。
【0170】
表示/操作制御部1331は、表示部1341への出力および操作部1342からの入力を制御する。加入者履歴閲覧指示部1332は、操作部1342からの加入者履歴の閲覧指示を受ける。加入者履歴閲覧要求部1333は、加入者履歴の閲覧指示を保健事業管理支援サーバ210に要求する。加入者履歴受信部1334は、加入者履歴の閲覧要求に応じて保健事業管理支援サーバ210から送信された加入者履歴を受信する。加入者履歴提示部1335は、受信した加入者履歴を表示部1341に提示する。リスク状態/保健事業情報受信部1336は、保健事業管理支援サーバ210から送信された加入者のリスク状態や保健事業の情報を受信する。リスク状態/保健事業情報受信部1336の受信は、メール受信を含む。リスク状態/保健事業情報提示部1337は、受信した加入者のリスク状態や保健事業の情報を表示部1341に提示する。保健事業参加/不参加取得部1338は、保健事業の情報の提示に応答する操作部1342からの保健事業への参加/不参加の指示を取得する。保健事業参加/不参加送信部1339は、保健事業への参加/不参加の指示を保健事業管理支援サーバ210に送信する。
【0171】
《通信端末(加入者用)の処理手順》
図14は、本実施形態に係る通信端末(加入者用)242の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、通信端末242を構成するストレージに格納されたプログラムをCPUがRAMを使用して実行し、図13の機能構成部を実現する。
【0172】
通信端末242は、ステップS1411において、加入者履歴の要求であるか否かを判定する。加入者履歴の要求であると判定される場合、通信端末242は、ステップS1413において、加入者履歴を保健事業管理支援サーバ210から取得して表示部1341に提示する。
【0173】
加入者履歴の要求でないと判定される場合、通信端末242は、ステップS1421において、保健事業管理支援サーバ210からの報知情報の受信であるか否かを判定する。報知情報の受信であると判定された場合、通信端末242は、ステップS1423において、保健事業管理支援サーバ210から受信したリスク状態や保健事業の情報を表示部1341に提示する。
【0174】
加入者履歴の要求でなく、報知情報の受信でないと判定される場合、通信端末242は、ステップS1431において、保健事業への参加/不参加の入力であるか否かを判定する。参加/不参加の入力であると判定された場合、通信端末242は、ステップS1433において、参加/不参加の入力を取得して記憶し、保健事業管理支援サーバ210に送信する。なお、この時に各種計測値を共に保健事業管理支援サーバ210に送信してもよい。
【0175】
加入者履歴の要求でなく、報知情報の受信でなく、保健事業への参加/不参加の入力でないと判定される場合、通信端末242は、ステップS1441において、その他の処理であるか否かを判定する。その他の処理であると判定された場合、通信端末242は、ステップS1443において、その他の処理を実行する。
【0176】
本実施形態によれば、上記実施形態の効果に加えて、実施した保健事業の評価結果を以降の保健事業の実施や保健事業が必要な加入者の検索などに反映するので、より効率的な保健事業の管理運営をすることができる。
【0177】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバについて説明する。本実施形態に係る保健事業管理支援サーバは、上記第2実施形態と比べると、保健事業が必要な加入者の選定や保健事業の選定などを保健事業管理支援サーバにより自動的に行うのではなく、健保管理者や加入者が、保健事業が必要な加入者の選定や保健事業の選定などにも関与できる点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0178】
《情報処理システム》
図15および図16を参照して、本実施形態の情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ1510を含む情報処理システム1500の動作を説明する。
【0179】
(動作概要)
図15は、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ1510を含む情報処理システム1500の動作概要を示す図である。なお、図15において、図4Aと同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0180】
通信端末241の表示画面1533は、保健事業が必要となる全加入者数から、保健事業計画に則ってリスクとコストとを考慮して対象保健事業や対象人数を絞り込むための検索条件を入力する画面である。表示画面1533では、検索条件式を入力する形式ではなく、大きく2つの条件、リスク条件と受診条件と保健事業条件とレベル条件とからオペレータが選択できる形式である。リスク条件としては、加入者が有するリスクの種類、あるいは、その組み合わせを選択する。また、受診条件では、加入者が有するリスクの種類に対応する受診を行っているか否かを選択する。また、保健事業条件では、事業Aへの参加/不参加や事業Bへの参加/不参加の設定が示されている。さらに、レベル条件では、必要レベルの閾値(α)の設定やリスクレベルの閾値(β)の設定が示されている。なお、表示画面1533には、リスク条件と受診条件と保健事業条件とレベル条件との一部を示したが、これらに限定されず種々のリスクと受診との組み合わせが可能であり、保健事業が必要となる対象保健事業や対象人数を絞り込むことが可能になる。また、検索条件は、少なくとも1つの条件であってもよい。
【0181】
通信端末241の表示画面1534は、表示画面1533で入力されたリスク条件と受診条件と保健事業条件とレベル条件とに基づいて、保健事業管理支援サーバ1510のデータベースから検索された加入者情報の一覧が表示されている。なお、図示はしないが、オペレータは、対象保健事業や検索された対象人数が適切であると判定すると、検索された加入者に対して対象保健事業の推奨あるいは勧誘するための通知を、例えば電子メールで一斉送信するように指示してもよい。
【0182】
通信端末241の表示画面1535は、表示画面1534で指示された保健事業が必要な加入者に対して適切な保健事業の候補を表示したものである。表示された保健事業の候補からより適切な保健事業が選定される。あるいは、候補の中に有る保健事業を改善したり、候補に無い新たな保健事業を新設したりすることも可能である。
【0183】
通信端末241の表示画面1536は、実施された保健事業の評価結果の提示画面である。これらの保健事業の評価結果を健保管理に反映させること、あるいは、更新することを選択指示することが可能である。
【0184】
(動作シーケンス)
図16は、本実施形態に係る情報処理装置としての保健事業管理支援サーバ1510を含む情報処理システムの動作手順を示すシーケンス図である。なお、図16において、図3Bと同様のステップには同じステップ番号を付して、重複する説明を省略する。
【0185】
保健事業管理支援サーバ1510は、ステップS1611において、通信端末241に対して対象者選定条件を提示し、通信端末241は、ステップS1612において、提示された対象者選定条件から所望の選定条件を選択して、保健事業管理支援サーバ1510に通知する。保健事業管理支援サーバ1510は、ステップS1613において、取得した選定条件に従って、保健事業の必要者とそのグループを選定する。保健事業管理支援サーバ1510は、ステップS1614において、選定した必要者グループに対する適切な保健事業候補を選択する。そして、保健事業管理支援サーバ1510から通信端末241または242に、ステップS1615において、適切な保健事業の候補が提示され、通信端末241または242において、保健事業が選定され設定される。通信端末241は、ステップS1617において、選定設定された保健事業の推奨や加入を含む一斉メールの送信が指示される。
【0186】
本実施形態によれば、保健事業が必要は加入者の検索や適切な保健事業の選定の全てを自動的に行うのではなく、健保管理者や加入者が検索や選定に関与することができるので、健保管理者や加入者の要求を満たしたより効率的な保健事業の管理運営をすることができる。
【0187】
[他の実施形態]
なお、上記実施形態においては、保健事業必要者検索において、コストについて考慮されていないが、加入者が疾病により入院した場合や受診した場合の費用や、加入者の入院などによる会社などへの損失、そして、保健事業の実施コストとその効果、などを考慮して、保健事業必要者の検索結果を調整することも可能であり、かかる処理も本発明に含まれる。
【0188】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。すなわち、加入者のリスクレベル、治療状況、保健事業への参加情報、および保健事業の必要レベルに限定されない種々の組み合わせによって、より適切で効率的に保健事業を管理することができる。
【0189】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加入者に、保健事業への参加を促す情報を送信する送信部と、
前記加入者の前記保健事業への参加および前記加入者の健康に対する意識レベルの変化に基づいて、前記保健事業の成果を評価する評価部と、
を備え、前記送信部は、
高い成果を実現した前記保健事業に対して優先的に、前記加入者の参加を促す情報処理装置。
【請求項2】
前記評価部は、加入者及び指導者による入力に基づいて、前記意識レベルの変化を判定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記評価部は、前記加入者の健康に関するリスクレベルの変化に基づいて、前記保健事業の成果を評価する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記リスクレベルは、肥満リスクレベル、BMI(Body Mass Index)レベル、喫煙レベル、及び血圧リスクレベル、の少なくともいずれか1つを含む請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記意識レベルは、前記加入者が受診した治療内容から導出された意識レベル、加入者が参加した保健事業内容から導出された意識レベル、及び、治療内容および保健事業内容から導出された意識レベルの少なくともいずれか1つを含む請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記評価部による評価結果に基づいて、前記保健事業の内容を更新する更新部を更に備えた請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記評価部は、前記加入者が前記保健事業を実施するための費用と、前記加入者に前記保健事業を施して得られる効果とを考慮して、前記保健事業を評価する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
送信部が加入者に、保健事業への参加を促す情報を送信する送信ステップと、
評価部が前記加入者の前記保健事業への参加および前記加入者の健康に対する意識レベルの変化に基づいて、前記保健事業の成果を評価する評価ステップと、
を備え、
前記送信ステップは、
高い成果を実現した前記保健事業に対して優先的に、前記加入者の参加を促す情報処理方法。
【請求項9】
加入者に、保健事業への参加を促す情報を送信する送信ステップと、
前記加入者の前記保健事業への参加および前記加入者の健康に対する意識レベルの変化に基づいて、前記保健事業の成果を評価する評価ステップと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラムであって、
前記送信ステップは、
高い成果を実現した前記保健事業に対して優先的に、前記加入者の参加を促す情報処理プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置は、
加入者に、保健事業への参加を促す情報を送信する送信部と、
前記加入者の前記保健事業への参加および前記加入者の健康に対する意識レベルの変化に基づいて、前記保健事業の成果を評価する評価部と、
を備え、前記送信部は、
高い成果を実現した前記保健事業に対して優先的に、前記加入者の参加を促す情報処理装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理方法は、
送信部が加入者に、保健事業への参加を促す情報を送信する送信ステップと、
評価部が前記加入者の前記保健事業への参加および前記加入者の健康に対する意識レベルの変化に基づいて、前記保健事業の成果を評価する評価ステップと、
を備え、
前記送信ステップは、
高い成果を実現した前記保健事業に対して優先的に、前記加入者の参加を促す情報処理方法。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理プログラムは、
加入者に、保健事業への参加を促す情報を送信する送信ステップと、
前記加入者の前記保健事業への参加および前記加入者の健康に対する意識レベルの変化に基づいて、前記保健事業の成果を評価する評価ステップと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラムであって、
前記送信ステップは、
高い成果を実現した前記保健事業に対して優先的に、前記加入者の参加を促す情報処理プログラム。