(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149640
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】インテリジェント回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H02H 3/08 20060101AFI20241010BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H02H3/08 D
H02J13/00 311A
H02J13/00 301A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024126082
(22)【出願日】2024-08-01
(62)【分割の表示】P 2021569078の分割
【原出願日】2020-05-18
(31)【優先権主張番号】16/720,583
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/720,533
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/720,446
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/849,847
(32)【優先日】2019-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/720,485
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/720,506
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521506869
【氏名又は名称】アンバー セミコンダクター,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】テレフス,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ガーバー,スティーブン,シー.
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー,ダモン,エム.
(72)【発明者】
【氏名】アルトン,ケニス,デー.
(72)【発明者】
【氏名】マクスウェル,グラム,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ブルクハート,ティモシィ,デー.
(72)【発明者】
【氏名】トステンソン,デイヴィッド,ジェイ.
(57)【要約】
【課題】信頼性の高い回路遮断器を提供する。
【解決手段】
回路遮断器は、電気機械スイッチ、電流センサ、電圧センサ、およびプロセッサを含む。電気機械スイッチは、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間に直列に接続されており、スイッチ閉鎖状態またはスイッチ開放状態にされるように構成されている。電流センサは、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流の大きさを検知し、かつ電流検知信号を生成するように構成されている。電圧センサは、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路上の点における電圧の大きさを検知し、かつ電圧検知信号を生成するように構成されている。プロセッサは、電流検知信号および電圧検知信号を受信し、処理して、回路遮断器の動作ステータス情報を判定し、かつ負荷出力端子に接続された負荷の電力使用情報を判定するように構成されている。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路遮断器であって、
前記回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間に直列に接続されており、(i)スイッチ閉鎖状態および(ii)スイッチ開放状態のうちの1つにされるように構成された、電気機械スイッチと、
前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の電路に流れる電流の大きさを検知し、かつ電流検知信号を生成するように構成された、電流センサと、
前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電路上の点における電圧の大きさを検知し、かつ電圧検知信号を生成するように構成された、電圧センサと、
前記電流検知信号および前記電圧検知信号を受信し、処理して、前記回路遮断器の動作ステータス情報を判定し、かつ前記負荷出力端子に接続された負荷の電力使用情報を判定するように構成された、プロセッサと、を備える、回路遮断器。
【請求項2】
前記プロセッサに結合された無線周波数送受信機をさらに備え、無線周波数送受信機が、前記動作ステータス情報および電力使用情報をリモートコンピューティングノードに伝送するように、かつ前記プロセッサによって処理するために前記リモートコンピューティングノードから伝送されたリモート制御コマンドを受信するように構成されている、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記電圧センサが、
前記電気機械スイッチの上流の前記電路に結合されており、電源入力端子に印加されたAC供給電圧の大きさを検知するように構成された、第1の電圧センサと、
前記電気機械スイッチの下流の前記電路に結合されており、前記負荷出力端子に接続された負荷の負荷電圧の大きさを検知するように構成された、第2の電圧センサと、を備える、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記電流センサが、過電流状態を検出し、前記検出された過電流状態を示す制御信号を生成し、前記制御信号を前記プロセッサに出力して、前記プロセッサに前記過電流状態を通知するように構成されている回路機構を備える、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項5】
前記電流センサが、プログラム可能な過電流閾値に基づいて前記過電流状態を検出する、請求項4に記載の回路遮断器。
【請求項6】
前記過電流閾値が、電流デジタルアナログ変換器によって生成され、かつ前記電流センサの比較器の入力に印加される基準閾値電流を含む、請求項5に記載の回路遮断器。
【請求項7】
前記電気機械スイッチが、エアギャップ電磁スイッチを含む、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項8】
前記プロセッサが、差し迫った障害事象を示すセンサデータに応答して前記エアギャップ電磁スイッチを開放させるためのスイッチ制御信号を生成する、請求項7に記載の回路遮断器。
【請求項9】
前記プロセッサから出力されたスイッチ制御信号に応答して前記回路遮断器内に内部短絡を生成するように構成されている内部短絡スイッチをさらに備え、前記内部短絡が、(i)前記電気機械スイッチをトリップさせること、および(ii)前記回路遮断器のヒューズを溶断させることのうちの1つのために生成される、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項10】
前記電流センサが、エネルギーメータリング回路機構を備え、前記エネルギーメータリング回路機構が、前記回路遮断器を流れる検知された電流に基づいてエネルギー使用データを生成し、かつ前記エネルギー使用データを分析のために前記プロセッサに出力するように構成されている、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項11】
前記プロセッサが、電流センサデータおよび電圧センサデータを利用して、前記回路遮断器に接続された負荷のタイプを識別し、かつ前記識別された負荷のタイプに基づいて、前記負荷に印加される電力を制御するように、構成されている、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項12】
電源入力端子に印加された交流(AC)供給電圧から直流(DC)供給電圧を生成するように構成された電力変換器回路をさらに備え、前記DC供給電圧が、前記プロセッサ、前記電流センサ、および前記電圧センサにDC電力を供給するために利用される、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項13】
方法であって、
外部電源と負荷を含む分岐回路との間に回路遮断器を接続することであって、前記回路遮断器が、(i)前記外部電源を前記分岐回路に接続するためのスイッチ閉鎖状態、および(ii)前記外部電源を前記分岐回路から切断するためのスイッチ開放状態、のうちの1つにされるように構成されている電気機械スイッチを備える、接続することと、
前記回路遮断器を通る電流の流れを検知し、前記回路遮断器を通る前記検知された電流の流れの大きさを示す電流検知信号を生成することと、
前記回路遮断器を通る電路上の点における電圧を検知し、前記検知された電圧の大きさを示す電圧検知信号を生成することと、
前記電流検知信号および前記電圧検知信号を処理して、前記回路遮断器の動作ステータス情報を判定し、前記負荷の電力使用情報を判定することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記回路遮断器によって、前記動作ステータス情報および電力使用情報をリモートコンピューティングノードに伝送することと、
前記回路遮断器によって、前記リモートコンピューティングノードから伝送されたリモート制御コマンドを受信することと、をさらに含み、
前記動作ステータス情報が、無線通信チャネルおよび有線通信チャネルのうちの少なくとも1つで伝送され、
前記リモートコンピューティングノードが、マスタコントローラを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記回路遮断器を通る前記電流の流れを検知することが、過電流状態を検出することと、前記検出された過電流状態を示す制御信号を生成することと、前記制御信号を前記回路遮断器のプロセッサに出力して、前記プロセッサに前記過電流状態を通知することと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記過電流状態が、プログラム可能な過電流閾値に基づいて検出される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
電流デジタルアナログ変換器を使用して基準閾値電流を生成することをさらに含み、前記基準閾値電流が、前記プログラム可能な過電流閾値として機能する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記電気機械スイッチが、エアギャップ電磁スイッチを含み、前記方法が、前記エアギャップ電磁スイッチを、差し迫った障害事象を示す前記検知された電圧および検知された電流のうちの少なくとも1つに応答して開放させるためのスイッチ制御信号を生成することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
システムであって、
外部電源に結合されたバスバーを備える回路遮断器分電盤と、
前記回路遮断器分電盤内に配設された回路遮断器と、を備え、前記回路遮断器が、前記バスバーに結合された線路入力端子と、分岐回路に接続された負荷出力端子と、を備え、前記回路遮断器が、
(i)前記外部電源を前記分岐回路に接続するためのスイッチ閉鎖状態、および(ii)前記外部電源を前記分岐回路から切断するためのスイッチ開放状態、のうちの1つにされるように構成されている電気機械スイッチと、
前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の電路に流れる電流の大きさを検知し、かつ電流検知信号を生成するように構成された、電流センサと、
前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電路上の点における電圧の大きさを検知し、かつ電圧検知信号を生成するように構成された、電圧センサと、
前記電流検知信号および前記電圧検知信号を受信し、処理して、前記回路遮断器の動作ステータス情報を判定し、かつ前記負荷出力端子に接続された負荷の電力使用情報を判定するように構成された、プロセッサと、を備える、システム。
【請求項20】
ディスプレイおよびマスタプロセッサを備えるステータス表示システムをさらに備え、
前記マスタプロセッサが、前記回路遮断器の前記プロセッサと通信して、前記回路遮断器の前記プロセッサから受信された前記動作ステータス情報および電力使用情報を取得し、処理し、かつ表示するように構成されており、前記マスタプロセッサが、前記動作ステータス情報および電力使用情報をリモートコンピューティングノードに伝送するように構成されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
回路遮断器であって、
前記回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間に直列に接続されており、かつ(i)スイッチオン状態および(ii)スイッチオフ状態のうちの1つにされるように構成された、固体双方向スイッチと、
前記固体双方向スイッチの動作を制御するための制御信号を生成するように構成された、第1のスイッチ制御回路と、
前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の電路に流れる電流の大きさを検知し、かつ電流検知信号を生成するように構成された、電流センサと、
前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電路上の点における電圧の大きさを検知し、かつ電圧検知信号を生成するように構成された、電圧センサと、
前記電流検知信号および電圧検知信号を受信し、処理して、前記回路遮断器の動作ステータス情報を判定するように、かつ障害事象を判定するように、かつ前記負荷出力端子に接続された負荷の電力使用情報を判定するように構成された、プロセッサと、を備える、回路遮断器。
【請求項22】
前記プロセッサに結合された無線周波数送受信機をさらに備え、無線周波数送受信機が、前記動作ステータス情報および電力使用情報をリモートコンピューティングノードに伝送するように、かつ前記リモート制御コマンドによって指示されたアクションを実行するように前記プロセッサによって処理するために前記リモートコンピューティングノードから伝送されたリモート制御コマンドを受信するように構成されている、請求項21に記載の回路遮断器。
【請求項23】
前記電圧センサが、
前記電気機械スイッチの上流の前記電路に結合されており、前記電力入力端子に印加された前記AC供給電圧の大きさを検知するように構成された、第1の電圧センサと、
前記電気機械スイッチの下流の前記電路に結合されており、前記負荷出力端子に接続された負荷の負荷電圧の大きさを検知するように構成された、第2の電圧センサと、を備える、請求項21に記載の回路遮断器。
【請求項24】
前記電流センサが、過電流状態を検出し、前記検出された過電流状態を示す制御信号を生成し、かつ前記制御信号を前記プロセッサに出力して、前記プロセッサに前記過電流状態を通知するように構成されている回路機構を備える、請求項21に記載の回路遮断器。
【請求項25】
前記電流センサが、プログラム可能な過電流閾値に基づいて前記過電流状態を検出し、前記過電流閾値が、電流デジタルアナログ変換器によって生成され、かつ前記電流センサの比較器の入力に印加される基準閾値電流を含む、請求項24に記載の回路遮断器。
【請求項26】
前記固体双方向スイッチと直列に接続された、エアギャップ電磁スイッチと、
前記エアギャップ電磁スイッチの動作を制御するための制御信号を生成するように構成された、第2のスイッチ制御回路と、をさらに備え、
前記プロセッサが、前記エアギャップ電磁スイッチが、(i)前記固体双方向スイッチをスイッチオン状態にする前にスイッチ閉鎖状態にされ、かつ(ii)前記固体双方向スイッチをスイッチオフ状態にすることに応答してスイッチ開放状態にされるように、前記第1および第2のスイッチ制御回路にスイッチ制御信号を生成する、請求項21に記載の回路遮断器。
【請求項27】
手動スイッチであって、個人による前記手動スイッチの作動に応答して、前記エアギャップ電磁スイッチの開放をトリガするように構成されている手動スイッチをさらに備え、
前記プロセッサが、前記手動スイッチの作動を監視し、検出し、かつ、前記プロセッサが前記手動スイッチの作動を検出することに応答して、前記第1のスイッチ制御回路に、前記固体双方向スイッチをスイッチオフ状態にするための制御信号を生成し、出力するように、構成されている、請求項26に記載の回路遮断器。
【請求項28】
前記第1および第2のスイッチ制御回路が、前記回路遮断器を待機状態で動作させるように構成されており、前記固体双方向スイッチが、スイッチオフ状態にあり、前記エアギャップ電磁スイッチが、スイッチ閉鎖状態にある、請求項26に記載の回路遮断器。
【請求項29】
前記プロセッサが、前記電圧および電流センサから取得されたセンサデータをリアルタイムで分析し、前記固体双方向スイッチの障害を検出し、かつ前記固体双方向スイッチの障害を検出することに応答して、前記第2のスイッチ制御回路に、前記エアギャップ電磁スイッチをスイッチ閉鎖状態にするための制御信号を生成し、出力するように、構成されている、請求項26に記載の回路遮断器。
【請求項30】
前記電流センサが、エネルギーメータリング回路機構を備え、前記エネルギーメータリング回路機構が、前記回路遮断器を流れる検知された電流に基づいてエネルギー使用データを生成し、かつ前記エネルギー使用データを分析のために前記プロセッサに出力するように構成されている、請求項21に記載の回路遮断器。
【請求項31】
前記プロセッサが、電流および電圧センサデータを利用して、前記回路遮断器に接続された負荷のタイプを識別し、かつ前記識別された負荷のタイプに基づいて、前記負荷に印加される電力を制御するように、構成されている、請求項21に記載の回路遮断器。
【請求項32】
前記電流センサ、前記電圧センサ、および前記プロセッサが、(i)アーク障害回路遮断および地絡障害回路遮断のうちの少なくとも1つをサポートするように構成されている、請求項21に記載の回路遮断器。
【請求項33】
前記第1のスイッチ制御回路が、前記固体双方向スイッチに結合された短絡検出回路を備え、前記短絡検出回路が、前記固体双方向スイッチを通る電流の流れを検出し、かつ前記検出された電流の流れが、前記回路遮断器の前記負荷出力端子に接続された負荷の短絡障害事象を示すことに応答して、前記固体双方向スイッチをスイッチオフ状態にするためのゲーティング制御信号を生成するように構成されており、前記短絡検出回路が、前記固体双方向スイッチの第1の固体スイッチと第2の固体スイッチとの間に配設された検知抵抗器の電圧を検知し、かつ前記検知された電圧を利用して、短絡障害事象を示す電流の流れのレベルを検出するように構成されている、請求項21に記載の回路遮断器。
【請求項34】
電源入力端子に印加された交流(AC)供給電圧から直流(DC)供給電圧を生成するように構成された、電力変換器回路をさらに備え、前記DC供給電圧を利用して、前記プロセッサ、前記第1のスイッチ制御回路、前記電流センサ、および前記電圧センサにDC電力を供給する、請求項21に記載の回路遮断器。
【請求項35】
方法であって、
外部電源と負荷を含む分岐回路との間に回路遮断器を接続することであって、前記回路遮断器が、(i)前記外部電源を前記分岐回路に接続するためのスイッチオン状態、および(ii)前記外部電源を前記分岐回路から切断するためのスイッチオフ状態、のうちの1つにされるように構成されている固体双方向スイッチを備える、接続することと、
前記回路遮断器を通る電流の流れを検知し、前記回路遮断器を通る前記検知された電流の流れの大きさを示す電流検知信号を生成することと、
前記回路遮断器を通る電路上の点における電圧を検知し、前記検知された電圧の大きさを示す電圧検知信号を生成することと、
前記電流検知信号および前記電圧検知信号のうちの少なくとも1つに基づいて、障害事象の検出に応答して、前記固体双方向スイッチをスイッチオフ状態にするための制御信号を生成することと、
前記電流検知信号および前記電圧検知信号を処理して、前記回路遮断器の動作ステータス情報を判定し、前記負荷の電力使用情報を判定することと、を含む、方法。
【請求項36】
前記回路遮断器が、前記固体双方向スイッチと直列に接続されたエアギャップ電磁スイッチを備え、前記方法が、
前記エアギャップ電磁スイッチが、(i)前記固体双方向スイッチをスイッチオン状態にする前に、スイッチ閉鎖状態にされ、かつ(ii)前記固体双方向スイッチがスイッチオフ状態にされることに応答して、スイッチ開放状態にされるように、前記エアギャップ電磁スイッチおよび前記固体双方向スイッチのスイッチング動作を同期させるための制御信号を生成することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記エアギャップ電磁スイッチの開放をトリガするように構成されている手動スイッチの作動を検知することと、
前記手動スイッチの前記作動を検知することに応答して、前記固体双方向スイッチをスイッチオフ状態にするための制御信号を生成することと、をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記電圧および電流センサから取得されたセンサデータを分析して、前記固体双方向スイッチの障害を検出することと、
前記固体双方向スイッチの障害を検出することに応答して、前記エアギャップ電磁スイッチをスイッチ閉鎖状態にするための制御信号を生成することと、をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
システムであって、
外部電源に結合されたバスバーを備える回路遮断器分電盤と、
前記回路遮断器分電盤内に配設された回路遮断器と、を備え、前記回路遮断器が、前記バスバーに結合された線路入力端子と、分岐回路に接続された負荷出力端子と、を備え、前記回路遮断器が、
前記回路遮断器の前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間に直列に接続されており、かつ(i)スイッチオン状態および(ii)スイッチオフ状態のうちの1つにされるように構成された、固体双方向スイッチと、
前記固体双方向スイッチの動作を制御するための制御信号を生成するように構成された、第1のスイッチ制御回路と、
前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の電路に流れる電流の大きさを検知し、かつ電流検知信号を生成するように構成された、電流センサと、
前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電路上の点における電圧の大きさを検知し、かつ電圧検知信号を生成するように構成された、電圧センサと、
前記電流検知信号および電圧検知信号を受信し、処理して、前記回路遮断器の動作ステータス情報を判定するように、かつ障害事象を判定するように、かつ前記負荷出力端子に接続された負荷の電力使用情報を判定するように構成された、プロセッサと、を備える、システム。
【請求項40】
ディスプレイおよびマスタプロセッサを備えるステータス表示システムをさらに備え、
前記マスタプロセッサが、前記回路遮断器の前記プロセッサと通信して、前記回路遮断器の前記プロセッサから受信された前記動作ステータス情報および電力使用情報を取得し、処理し、かつ表示するように構成されており、前記マスタプロセッサが、前記動作ステータス情報および電力使用情報をリモートコンピューティングノードに伝送するように構成されている、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
回路遮断器であって、
前記回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続された、固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチと、
前記固体スイッチおよび前記エアギャップ電磁スイッチの動作を制御するように構成された、スイッチ制御回路機構と、
前記回路遮断器の前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電路上の交流(AC)電源波形のゼロ交差を検出するように構成された、ゼロ交差検出回路と、
前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電路に流れる電流を検知し、かつ前記検知された電流の流れに基づいて、障害状態を検出するように構成された、電流センサと、を備え、
前記スイッチ制御回路機構が、前記電流センサによって障害状態を検出することに応答して、(i)前記固体スイッチをスイッチオフ状態にし、かつ(ii)前記固体スイッチが前記スイッチオフ状態にされた後に前記エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするためのスイッチ制御信号を生成するように構成されており、
前記スイッチ制御回路機構が、前記ゼロ交差検出回路から出力されたゼロ交差検出信号を利用して、前記エアギャップ電磁スイッチをいつ前記スイッチ開放状態にするかを判定する、回路遮断器。
【請求項42】
前記固体スイッチが、P型エンハンスメント金属酸化物半導体電界効果トランジスタデバイスを備える、請求項41に記載の回路遮断器。
【請求項43】
前記固体スイッチが、N型エンハンスメント金属酸化物半導体電界効果トランジスタデバイスを備える、請求項41に記載の回路遮断器。
【請求項44】
前記ゼロ交差検出回路が、前記回路遮断器の前記線路入力端子に印加されたAC供給電圧波形のゼロ交差を検出するように構成されている、請求項41に記載の回路遮断器。
【請求項45】
前記ゼロ交差検出回路が、前記AC供給電圧波形の相反する半サイクル間で極性遷移の関連付けられた方向を検出するように構成されており、前記スイッチ制御回路機構が、前記極性遷移により前記固体スイッチのボディダイオードが逆バイアスされる時点で、前記エアギャップ電磁スイッチを前記スイッチ開放状態にする、請求項44に記載の回路遮断器。
【請求項46】
前記ゼロ交差検出回路が、AC電流波形のゼロ交差を検出するように構成されている、請求項41に記載の回路遮断器。
【請求項47】
前記ゼロ交差検出回路が、前記AC電流波形の相反する半サイクル間で極性遷移の関連付けられた方向を検出するように構成されており、前記スイッチ制御回路機構が、前記極性遷移により前記固体スイッチのボディダイオードが逆バイアスされる時点で、前記エアギャップ電磁スイッチを前記スイッチ開放状態にする、請求項46に記載の回路遮断器。
【請求項48】
前記ゼロ交差検出回路が、(i)前記電路で直列に接続されている検知抵抗器の検知電圧の大きさおよび極性をサンプリングし、(ii)前記検知電圧の前記大きさがゼロであると判定することに応答して、前記AC電流波形のゼロ交差事象を検出し、かつ(iii)前記検知電圧の前記極性に基づいて、前記AC電流波形の極性を判定するように構成されている、請求項46に記載の回路遮断器。
【請求項49】
前記電流センサが、短絡障害状態、過電流障害状態、アーク障害状態、および地絡障害状態のうちの少なくとも1つを検出するように構成されている、請求項41に記載の回路遮断器。
【請求項50】
環境状態を検知し、かつ前記検知された環境状態が有害であるかどうかを検出するように構成された、環境センサ回路をさらに備え、前記スイッチ制御回路機構が、有害な環境状態を検出することに応答して、(i)前記固体スイッチをスイッチオフ状態にし、(ii)前記固体スイッチが前記スイッチオフ状態にされた後、前記エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするためのスイッチ制御信号を生成するように構成されている、請求項41に記載の回路遮断器。
【請求項51】
前記環境センサ回路が、(i)有害化学物質の存在を検出するように構成されている化学物質感受性検出器、(ii)有害ガスの存在を検出するように構成されているガス感受性検出器、(iii)温度を検出するように構成されている温度センサ、(iv)振動を検出するように構成されている圧電検出器、および(v)湿潤環境を検出するように構成されている湿度センサのうちの1つ以上を備える、請求項50に記載の回路遮断器。
【請求項52】
方法であって、
回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流を検知することであって、前記回路遮断器が、前記回路遮断器の前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電路で直列に接続された固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチを備える、検知することと、
前記検知された電流の流れに基づいて障害状態を検出することであって、前記障害状態を検出することに応答して、
前記固体スイッチをスイッチオフ状態にするための第1のスイッチ制御信号を生成し、
前記電路上の点における交流(AC)波形のゼロ交差事象、および前記ゼロ交差事象に続く前記AC波形の極性を検出し、ならびに
前記ゼロ交差事象に続く前記AC波形の前記極性が、前記固体スイッチのボディダイオードを逆バイアスすることを検出することに応答して、前記エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするための第2の制御信号を生成する、検出することと、含む、方法。
【請求項53】
前記AC波形の前記ゼロ交差事象、および前記ゼロ交差事象に続く前記AC波形の前記極性を検出することが、
前記固体スイッチがスイッチオフ状態にされた後の時点で発生する、前記AC波形の次のゼロ交差事象を検出することと、
前記次のゼロ交差事象に続く前記AC波形の極性が前記固体スイッチの前記ボディダイオードを順バイアスすることを検出することに応答して、前記AC波形の次の後続のゼロ交差事象を検出し終わるまで、前記エアギャップ電磁スイッチを前記スイッチ開放状態にするための前記第2の制御信号の前記生成を遅延させることであって、前記次の後続のゼロ交差事象に続く前記AC波形の極性が、前記固体スイッチの前記ボディダイオードを逆バイアスする、遅延させることと、を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記固体スイッチが、P型エンハンスメント金属酸化物半導体電界効果トランジスタデバイスおよびN型エンハンスメント金属酸化物半導体電界効果トランジスタデバイスのうちの1つを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記AC波形の前記ゼロ交差事象を検出することが、前記回路遮断器の前記線路入力端子に印加されたAC供給電圧波形のゼロ交差を検出することを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記AC波形の前記ゼロ交差事象を検出することが、前記電路上の点におけるAC電流波形のゼロ交差を検出することを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記AC電流波形の前記ゼロ交差を検出することが、
前記電路で直列に接続されている検知抵抗器の検知電圧の大きさおよび極性をサンプリングすることと、
前記検知電圧の前記大きさがゼロであると判定することに応答して、ゼロ交差事象を検出することと、
前記検知電圧の前記極性に基づいて前記AC電流波形の極性を判定することと、を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記障害状態を検出することが、短絡障害状態、過電流障害状態、アーク障害状態、および地絡障害状態のうちの少なくとも1つを検出することを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
環境状態を検出することと、前記環境状態が有害であると判定することに応答して、前記固体スイッチをスイッチオフ状態にするための第1の制御信号を生成し、前記固体スイッチが前記スイッチオフ状態にされた後に前記エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするための第2の制御信号を生成することと、をさらに含み、前記環境状態を検出することが、(i)存在化学物質、(ii)ガスの存在、(iii)温度、(iv)振動、および(v)湿度のうちの1つを検出することを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項60】
システムであって、
外部電源に結合されたバスバーを備える回路遮断器分電盤と、
前記回路遮断器分電盤内に配設された回路遮断器と、を備え、前記回路遮断器が、前記バスバーに結合された線路入力端子と、分岐回路に接続された負荷出力端子と、を備え、前記回路遮断器が、
前記回路遮断器の前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の電路で直列に接続された、固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチと、
前記固体スイッチおよび前記エアギャップ電磁スイッチの動作を制御するように構成された、スイッチ制御回路機構と、
前記回路遮断器の前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電路上の交流(AC)電源波形のゼロ交差を検出するように構成された、ゼロ交差検出回路と、
前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電路に流れる電流を検知し、かつ前記検知された電流の流れに基づいて障害状態を検出するように構成された、電流センサと、を備え、
前記スイッチ制御回路機構が、前記電流センサによって障害状態を検出することに応答して、(i)前記固体スイッチをスイッチオフ状態にし、かつ(ii)前記固体スイッチが前記スイッチオフ状態にされた後に、前記エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするためのスイッチ制御信号を生成するように構成されており、
前記スイッチ制御回路機構が、前記ゼロ交差検出回路から出力されたゼロ交差検出信号を利用して、前記エアギャップ電磁スイッチをいつ前記スイッチ開放状態にするかを判定する、システム。
【請求項61】
回路遮断器であって、
前記回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続されている、固体スイッチおよび検知抵抗器と、
(i)前記検知抵抗器を流れる負荷電流に応答して前記検知抵抗器に生成される検知電圧をサンプリングし、(ii)前記サンプリングされた検知電圧に基づいて過電流障害状態を検出し、かつ(iii)前記過電流障害状態を検出することに応答して障害検出信号を出力するように構成された、電流検出回路と、
前記固体スイッチを制御するように構成されたスイッチ制御回路であって、前記スイッチ制御回路が、前記電流検出回路から出力された前記障害検出信号に応答して、前記固体スイッチをスイッチオフするように構成されている、スイッチ制御回路と、を備える、回路遮断器。
【請求項62】
前記検知抵抗器が、約1ミリオーム程度の抵抗値を有する電力抵抗器を備える、請求項61に記載の回路遮断器。
【請求項63】
前記電流検出回路が、
第1の比較器および第2の比較器を備える入力段であって、
前記第1の比較器が、(i)第1の基準電圧を、前記負荷電流の正の半サイクル中に前記検知抵抗器に生成される検知電圧と比較し、かつ(ii)前記負荷電流の前記正の半サイクル中に生成される前記検知電圧が前記第1の基準電圧を超えると、第1の過電流検出信号を生成するように構成されており、
前記第2の比較器が、(i)第2の基準電圧を、前記負荷電流の負の半サイクル中に前記検知抵抗器に生成される検知電圧と比較し、かつ(ii)前記負荷電流の前記負の半サイクル中に生成される前記検知電圧が前記第2の基準電圧を超えると、第2の過電流検出信号を生成するように構成されている、入力段と、
前記第1および第2の比較器から出力された前記第1および第2の過電流検出信号に基づいて前記障害検出信号を生成し、かつ出力するように構成されている、出力段と、を備える、請求項61に記載の回路遮断器。
【請求項64】
前記電流検出回路の前記出力段が、前記第1および第2の比較器からの前記第1および第2の過電流検出信号のうちの1つの出力に応答して、前記障害検出信号を論理ローパルスとして出力するように構成されている、論理NORゲートを備える、請求項63に記載の回路遮断器。
【請求項65】
前記検知抵抗器が、前記電路の線路側ノードに接続された第1の端子と、前記電路の負荷側ノードに接続された第2の端子とを有し、
前記第1の比較器が、前記検知抵抗器の前記第1の端子に接続された非反転入力と、前記第1の基準電圧を受信する反転入力と、を備え、
前記第2の比較器が、前記検知抵抗器の前記第2の端子に接続された非反転入力と、前記第2の基準電圧を受信する反転入力と、を備える、請求項63に記載の回路遮断器。
【請求項66】
前記電流検出回路が、前記第1の基準電圧を生成するように構成された第1の分圧器回路と、前記第2の基準電圧を生成するように構成された第2の分圧器回路と、を備え、
前記第1の分圧器回路が、前記電路のDC供給電圧レールと前記負荷側ノードとの間に接続されており、
前記第2の分圧器回路が、前記電路の前記DC供給電圧レールと前記線路側との間に接続されている、請求項65に記載の回路遮断器。
【請求項67】
前記DC供給電圧レールが、DC電圧オフセットを有する活性線レールを備える、請求項66に記載の回路遮断器。
【請求項68】
前記固体スイッチが、電力金属酸化物半導体電界効果トランジスタデバイスを備える固体双方向スイッチを含む、請求項61に記載の回路遮断器。
【請求項69】
(i)前記検知抵抗器を流れる前記負荷電流に応答して前記検知抵抗器に生成される検知電圧をサンプリングし、(ii)前記サンプリングされた検知電圧に基づいて前記負荷電流のゼロ交差を検出し、かつ(iii)前記負荷電流の前記ゼロ交差を検出することに応答してゼロ交差検出信号を出力するように構成された、ゼロ交差検出回路をさらに備える、請求項61に記載の回路遮断器。
【請求項70】
前記ゼロ交差検出回路が、
前記負荷電流の正および負の半サイクル間の極性の変化を検出するように構成された、極性変化検出段と、
前記極性変化検出段の出力に結合されたエッジ検出段であって、前記エッジ検出段が、前記極性変化検出段による前記負荷電流の検出された極性の変化に応答して制御パルスを生成するように構成されている、エッジ検出段と、
前記エッジ検出段によって生成された前記制御パルスに基づいて前記ゼロ交差検出信号を出力するように構成された、出力段と、を備える、請求項69に記載の回路遮断器。
【請求項71】
前記検知抵抗器が、前記電路の線路側ノードに接続された第1の端子と、前記電路の負荷側ノードに接続された第2の端子と、を有し、
前記極性変化検出段が、第1の比較器および第2の比較器を備え、前記第1の比較器が、前記検知抵抗器の前記第1の端子に接続された非反転入力と、前記検知抵抗器の前記第2の端子に接続された反転入力と、を備え、前記第2の比較器が、前記検知抵抗器の前記第2の端子に接続された非反転入力と、前記検知抵抗器の前記第1の端子に接続された反転入力と、を備える、請求項70に記載の回路遮断器。
【請求項72】
前記エッジ検出段が、
前記第1の比較器から出力される第1の比較信号出力の遷移に応答して第1のエッジ検出パルスを生成するように構成された、第1のエッジ検出回路と、
前記第2の比較器から出力される第2の比較信号出力の遷移に応答して第2のエッジ検出パルスを生成するように構成された、第2のエッジ検出回路と、を備える、請求項71に記載の回路遮断器。
【請求項73】
前記出力段が、前記エッジ検出段によって生成された前記第1および第2のエッジ検出パルスに基づいて前記ゼロ交差検出信号を出力する論理ANDゲートを備える、請求項72に記載の回路遮断器。
【請求項74】
プロセッサをさらに備え、前記プロセッサが、前記ゼロ交差検出回路から出力されたゼロ交差検出信号を処理し、かつ前記ゼロ交差検出信号に基づいて前記回路遮断器の1つ以上の動作を制御するように構成されている、請求項69に記載の回路遮断器。
【請求項75】
前記プロセッサが、前記ゼロ交差検出回路の出力に基づいて、前記回路遮断器の電源投入時に直流(DC)保護モードおよび交流(AC)保護モードのうちの1つで動作するように、前記回路遮断器を構成する、請求項74に記載の回路遮断器。
【請求項76】
回路遮断器であって、
前記回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続されている、固体スイッチおよび検知抵抗器と、
ゼロ交差検出回路であって、(i)前記検知抵抗器を流れる負荷電流に応答して前記検知抵抗器に生成される検知電圧をサンプリングし、(ii)前記サンプリングされた検知電圧に基づいて前記負荷電流のゼロ交差を検出し、かつ(iii)前記負荷電流の前記ゼロ交差を検出することに応答してゼロ交差検出信号を出力するように構成された、ゼロ交差検出回路と、
前記ゼロ交差検出回路の前記出力に基づいて、前記スイッチの動作を制御するように構成された、スイッチ制御回路と、を備える、回路遮断器。
【請求項77】
前記ゼロ交差検出回路が、
前記負荷電流の正および負の半サイクルの間の極性の変化を検出するように構成された、極性変化検出段と、
前記極性変化検出段の出力に結合されたエッジ検出段であって、前記エッジ検出段が、前記極性変化検出段による前記負荷電流の検出された極性の変化に応答して制御パルスを生成するように構成されている、エッジ検出段と、
前記エッジ検出段によって生成された前記制御パルスに基づいて、前記ゼロ交差検出信号を出力するように構成された、出力段と、を備える、請求項76に記載の回路遮断器。
【請求項78】
前記検知抵抗器が、前記電路の線路側ノードに接続された第1の端子と、前記電路の負荷側ノードに接続された第2の端子と、を有し、
前記極性変化検出段が、第1の比較器および第2の比較器を備え、前記第1の比較器が、前記検知抵抗器の前記第1の端子に接続された非反転入力と、前記検知抵抗器の前記第2の端子に接続された反転入力と、を備え、前記第2の比較器が、前記検知抵抗器の前記第2の端子に接続された非反転入力と、前記検知抵抗器の前記第1の端子に接続された反転入力と、を備え、
前記エッジ検出段が、(i)前記第1の比較器から出力された第1の比較信号出力の遷移に応答して第1のエッジ検出パルスを生成するように構成された、第1のエッジ検出回路と、(ii)前記第2の比較器から出力された第2の比較信号出力の遷移に応答して第2のエッジ検出パルスを生成するように構成された、第2のエッジ検出回路と、を備え、
前記出力段が、前記エッジ検出段によって生成された前記第1および第2のエッジ検出パルスに基づいて前記ゼロ交差検出信号を出力する論理ANDゲートを備える、請求項77に記載の回路遮断器。
【請求項79】
前記スイッチ制御回路が、プロセッサを備え、前記プロセッサが、前記ゼロ交差検出回路から出力されたゼロ交差検出信号を処理し、かつ前記ゼロ交差検出信号に基づいて前記回路遮断器の1つ以上の動作を制御するように構成されている、請求項76に記載の回路遮断器。
【請求項80】
前記プロセッサが、前記ゼロ交差検出回路の出力に基づいて、前記回路遮断器の電源投入時にDC保護モードおよびAC保護モードのうちの1つで動作するように、前記回路遮断器を構成する、請求項79に記載の回路遮断器。
【請求項81】
回路遮断器であって、
回路遮断器ハウジングと、
前記回路遮断器ハウジング内に配設されたエアギャップスイッチであって、前記エアギャップスイッチが、前記回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に配設された第1の接点および第2の接点を備える、エアギャップスイッチと、
前記回路遮断器ハウジング内に配設されたアクチュエータ機構であって、前記エアギャップスイッチが、前記アクチュエータ機構に結合されており、前記アクチュエータ機構が、(i)前記第1および第2の接点を機械的に離間させて、前記エアギャップスイッチを開放状態にして前記電路にエアギャップを作成し、かつ(ii)前記第1および第2の接点を機械的に合わせて、前記エアギャップスイッチを閉鎖状態にするように動作可能に構成されている、アクチュエータ機構と、
前記エアギャップスイッチの状態の表示を提供するように構成された第1の視覚的インジケータであって、前記第1の視覚的インジケータが、(i)前記回路遮断器ハウジングの一部として形成されている第1の窓、(ii)前記アクチュエータ機構に結合された第1のインジケータ要素、および(iii)前記アクチュエータ機構に結合された第2のインジケータ要素を備える、第1の視覚的インジケータと、を備え、
前記第1のインジケータ要素が、前記エアギャップスイッチの前記開放状態の表示を提供するように前記第1の窓を通して観視可能であるように、前記アクチュエータ機構が、前記エアギャップスイッチを前記開放状態にする際に前記第1のインジケータ要素を前記第1の窓の後方の位置に移動させるように構成されており、
前記第2のインジケータ要素が、前記エアギャップスイッチの前記閉鎖状態の表示を提供するように前記第1の窓を通して観視可能であるように、前記アクチュエータ機構が、前記エアギャップスイッチを前記閉鎖状態にする際に前記第2のインジケータ要素を前記第1の窓の後方の位置に移動させるように構成されている、回路遮断器。
【請求項82】
前記第1のインジケータ要素が、第1の色を有する着色要素を含み、前記第2のインジケータ要素が、前記第1の色とは異なる第2の色を有する着色要素を含む、請求項81に記載の回路遮断器。
【請求項83】
前記回路遮断器の動作状態の表示を提供するように構成された、第2の視覚的インジケータをさらに備え、前記第2の視覚的インジケータが、(i)前記回路遮断器ハウジングの一部として形成されている第2の窓、および(ii)前記第2の窓の後方の前記回路遮断器ハウジング内に配設された少なくとも1つの発光素子を備える、請求項81に記載の回路遮断器。
【請求項84】
前記少なくとも1つの発光素子が、発光ダイオードを含む、請求項83に記載の回路遮断器。
【請求項85】
前記少なくとも1つの発光素子が、前記第2の窓を通して観視可能である第1の色の光を放出して、前記回路遮断器の非トリップ動作状態の表示を提供するように構成されている、請求項83に記載の回路遮断器。
【請求項86】
前記少なくとも1つの発光素子が、前記第2の窓を通して観視可能である第2の色の光を放出して、前記回路遮断器のトリップ状態の表示を提供するように構成されている、請求項85に記載の回路遮断器。
【請求項87】
前記少なくとも1つの発光素子が、非アクティブ化され、前記回路遮断器のオフ状態の表示を提供するために光を放出しない、請求項83に記載の回路遮断器。
【請求項88】
前記アクチュエータ機構に機械的に結合された手動制御スイッチをさらに備え、前記手動制御スイッチが、第1の位置と第2の位置との間で切り替わるように構成されており、前記手動制御スイッチを前記第1の位置に切り替えることにより、前記アクチュエータ機構が前記エアギャップスイッチを前記開放状態にする、請求項81に記載の回路遮断器。
【請求項89】
前記アクチュエータ機構に結合された電気機械アクチュエータをさらに備え、前記電気機械アクチュエータの作動により、前記アクチュエータ機構が前記エアギャップスイッチを前記開放状態にし、前記回路遮断器をトリップさせる、請求項81に記載の回路遮断器。
【請求項90】
前記電気機械アクチュエータが、ソレノイドを備える、請求項89に記載の回路遮断器。
【請求項91】
回路遮断器であって、
前記回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続された固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチであって、前記エアギャップスイッチが、第1の接点および第2の接点を備える、固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチと、
アクチュエータ機構であって、(i)前記第1および第2の接点を機械的に離間させて、前記エアギャップスイッチを開放状態にして前記電路にエアギャップを作成し、かつ(ii)前記第1および第2の接点を機械的に合わせて、前記エアギャップスイッチを閉鎖状態にするように動作可能に構成された、アクチュエータ機構と、
前記アクチュエータ機構に動作可能に結合された手動制御スイッチであって、前記手動制御スイッチが、第1の位置と第2の位置との間で切り替わるように構成されており、前記手動制御スイッチを前記第1の位置に切り替えることにより、前記アクチュエータ機構が前記エアギャップスイッチを前記開放状態にする、手動制御スイッチと、
前記アクチュエータ機構に動作可能に結合された電気機械アクチュエータであって、前記電気機械アクチュエータの作動により、前記アクチュエータ機構が前記エアギャップスイッチを前記開放状態にする、電気機械アクチュエータと、
前記固体スイッチおよび前記電気機械アクチュエータの動作を制御するように構成された制御回路機構であって、前記制御回路機構が、(i)前記固体スイッチをスイッチオン状態およびスイッチオフ状態のうちの1つにするように構成されている第1の制御信号、および(ii)前記電気機械アクチュエータの作動を制御するように構成されている第2の制御信号を生成するように構成されている、制御回路機構と、
前記手動制御スイッチに動作可能に結合され、かつ前記制御回路機構に電気的に接続されたセンサスイッチであって、前記センサスイッチが、(i)前記アクチュエータ機構に前記エアギャップスイッチを前記開放状態にさせる、前記第2の位置から前記第1の位置への前記手動制御スイッチの切り替わりを検出し、かつ(ii)前記第2の位置から前記第1の位置への前記手動制御スイッチの前記切り替わりを検出することに応答して、前記制御回路機構に第3の制御信号を出力するように構成されている、センサスイッチと、を備え、
前記制御回路機構が、前記第3の制御信号に応答して、前記エアギャップスイッチが前記開放状態にされて前記電路に前記エアギャップを作成する前に、前記第1の制御信号を生成して、前記固体スイッチを前記スイッチオフ状態にするように、構成されている、回路遮断器。
【請求項92】
前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電路に流れる電流を検知し、かつ前記検知された電流の流れに基づいて障害状態を検出するように構成された、電流センサをさらに備え、
前記制御回路機構が、前記電流センサによって障害状態を検出することに応答して、前記第1および第2の制御信号を生成して、(i)前記固体スイッチをスイッチオフ状態にし、かつ(ii)前記固体スイッチが前記スイッチオフ状態にされた後に、前記電気機械アクチュエータを作動させて、作動機構に前記エアギャップ電磁スイッチを前記開放状態にさせるように、構成されている、請求項91に記載の回路遮断器。
【請求項93】
前記電気機械アクチュエータが、ソレノイドを備える、請求項91に記載の回路遮断器。
【請求項94】
前記エアギャップスイッチの前記状態の表示を提供するように構成された第1の視覚的インジケータであって、前記第1の視覚的インジケータが、(i)前記回路遮断器の回路遮断器ハウジングの一部として形成されている第1の窓、(ii)前記アクチュエータ機構に結合された第1のインジケータ要素、および(iii)前記アクチュエータ機構に結合された第2のインジケータ要素を備える、第1の視覚的インジケータをさらに備え、
前記第1のインジケータ要素が、前記エアギャップスイッチの前記開放状態の表示を提供するように前記第1の窓を通して観視可能であるように、前記アクチュエータ機構が、前記エアギャップスイッチを前記開放状態にする際に前記第1のインジケータ要素を前記第1の窓の後方の位置に移動させるように構成されており、
前記第2のインジケータ要素が、前記エアギャップスイッチの前記閉鎖状態の表示を提供するように前記第1の窓を通して観視可能であるように、前記アクチュエータ機構が、前記エアギャップスイッチを前記閉鎖状態にする際に前記第2のインジケータ要素を前記第1の窓の後方の位置に移動させるように構成されている、請求項91に記載の回路遮断器。
【請求項95】
前記第1のインジケータ要素が、第1の色を有する着色要素を含み、前記第2のインジケータ要素が、前記第1の色とは異なる第2の色を有する着色要素を含む、請求項94に記載の回路遮断器。
【請求項96】
前記回路遮断器の動作状態の表示を提供するように構成された、第2の視覚的インジケータをさらに備え、前記第2の視覚的インジケータが、(i)前記回路遮断器ハウジングの一部として形成されている第2の窓、および(ii)前記第2の窓の後方の前記回路遮断器ハウジング内に配設された少なくとも1つの発光素子を備える、請求項91に記載の回路遮断器。
【請求項97】
前記少なくとも1つの発光素子が、発光ダイオードを含む、請求項96に記載の回路遮断器。
【請求項98】
前記少なくとも1つの発光素子が、
前記第2の窓を通して観視可能である第1の色の光を放出して、前記回路遮断器の非トリップ動作状態の表示を提供し、
前記第2の窓を通して観視可能である第2の色の光を放出して、前記回路遮断器のトリップ状態の表示を提供し、かつ
前記回路遮断器のオフ状態の表示を提供するために光を放出しないように、構成されている、請求項96に記載の回路遮断器。
【請求項99】
回路遮断器であって、
回路遮断器ハウジングと、
前記回路遮断器ハウジング内に配設されたエアギャップスイッチと、
前記エアギャップスイッチの開放状態および閉鎖状態の表示を提供するように構成された第1の視覚的インジケータであって、前記第1の視覚的インジケータが、(i)前記回路遮断器ハウジングの一部として形成されている第1の窓、(ii)前記回路遮断器ハウジング内に配設された第1のインジケータ要素、および(iii)前記回路遮断器ハウジング内に配設された第2のインジケータ要素を備える、第1の視覚的インジケータと、を備え、
前記第1のインジケータ要素が、前記エアギャップスイッチの前記開放状態の表示を提供するように前記第1の窓を通して観視可能であるように、前記第1のインジケータ要素が、前記エアギャップスイッチが前記開放状態にされる際に前記第1の窓の後方の位置に移動するように構成されており、
前記第2のインジケータ要素が、前記エアギャップスイッチの前記閉鎖状態の表示を提供するように前記第1の窓を通して観視可能であるように、前記第2のインジケータ要素が、前記エアギャップスイッチが前記閉鎖状態にされる際に前記第1の窓の後方の位置に移動するように構成されている、回路遮断器。
【請求項100】
前記回路遮断器の動作状態の表示を提供するように構成された、第2の視覚的インジケータをさらに備え、前記第2の視覚的インジケータが、(i)前記回路遮断器ハウジングの一部として形成されている第2の窓、および(ii)前記第2の窓の後方の前記回路遮断器ハウジング内に配設された少なくとも1つの発光素子を備え、
前記少なくとも1つの発光素子が、前記第2の窓を通して少なくとも1つの色の光を放出して、前記少なくとも1つの色に対応する前記回路遮断器の動作状態の表示を提供するように構成されている、請求項99に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、以下の出願、(i)2019年5月18日に出願された米国特許仮出願第62/849,847号、(ii)2019年12月19日に出願された、Intelligent Circuit Breakersという名称の米国特許出願第16/720,446号、(iii)2019年12月19日に出願された、Intelligent Circuit Breakers with Solid-State Bidirectional Switchesという名称の米国特許出願第16/720,506号、(iv)2019年12月19日に出願された、Intelligent Circuit Breakers with Air-Gap and Solid-State Switchesという名称の米国特許出願第16/720,485号、(v)2019年12月19日に出願された、Intelligent Circuit Breakers with Detection Circuitry Configured to Detect Fault Conditionsという名称の米国特許出願第16/720,533号、および(vi)2019年12月19日に出願された、Intelligent Circuit Breakers with Visual Indicators to Provide Operational Statusという名称の米国特許出願第16/720,583の各々に対する優先権を主張し、これらの開示はすべて参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、電力制御システムおよびデバイスに関し、特に、障害状態に起因する損傷から分岐回路を保護するための回路遮断器デバイスおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
電気回路遮断器は、配電システムにおいて本質的な構成要素である。一般に、回路遮断器は、所与の建物または住宅構造内の複数の下流分岐回路に外部電源システムの高電流電源供給線を分割する配電パネル(例えば、回路遮断器パネル)に配設される。各回路遮断器は、入ってくる高電流電源供給線と分岐回路の対応する1つとの間に接続されて、分岐回路導体および分岐回路に対する電気負荷を過電流状態にさらされることから保護する。過負荷状態および障害状態を含む、いくつかのタイプの過電流状態がある。過負荷状態は、通常の全負荷定格を超える機器、または電流容量を超える分岐回路として定義され、過負荷が十分な期間続くと、損傷または危険な過熱を引き起こす。障害状態は、障害のインピーダンスに応じて、通常、過負荷よりもはるかに高い過電流状態を生じる、意図しないまたは偶発的な負荷状態を含む。最大過電流状態を生じる障害は、短絡または「ボルテッド障害(bolted fault)」と称される。
【0004】
従来の回路遮断器は、本来、電気機械なものであり、オペレータレバーの手動介入によって物理的に分離された、または障害状態または長時間の過電流状態の発生時に自動的に分離された電気接点を有しており、自動的に分離される場合、回路遮断器は、「トリップした」と見なされる。回路遮断器の電気接点の分離は、電磁的もしくは電気機械に、または両方の組み合わせによって行われ得る。
【0005】
従来の回路遮断器の重要な問題は、回路遮断器の電気機械構造に起因して、回路遮断器が障害状態に反応するのが遅いことである。従来の回路遮断器は、典型的には、障害状態を分離するために少なくとも数ミリ秒を必要とする。反応時間が遅いと、ボルテッド障害が十分に迅速に分離されない場合に短絡箇所で発生する可能性がある、有害な火災、電気機器の損傷、およびアークフラッシュの危険性が高まるため、望ましくない。アークフラッシュは、短絡状態を生じる導体の電気的爆発である。アークフラッシュでのエネルギー放出は、端子で35,000°Fを超える温度を生成し、これにより、金属導体を急速に気化させ、溶融金属をブラストするとともに、プラズマを膨張させて極端な力で外側に排出し得る。したがって、アークフラッシュは、生命、財産、および電気機器にとって、特に、ガス漏れのリスクが著しい産業環境および住宅環境で、極めて有害である。
【0006】
従来の回路遮断器は、障害の分離が遅いことに加えて、障害または長時間の過電流状態に応答して、トリップまでの時間と電流トリップ限界との両方において大きな変動を呈する。この変動は、主に、回路遮断器デバイスの電気機械設計の制限、および、取り付け応力および温度変動などの物理的要因の影響に起因する。トリップまでの時間および電流トリップ限界の変動自体は、デバイスが、同じタイプであり、同じ定格を有し、かつ同じ製造者製であっても、デバイスによって相違し得る。
【0007】
従来の回路遮断器は、回路遮断器がトリップされると高い分離能力を提供する。しかしながら、これらの回路遮断器の遅い反応時間、精度の欠如、および高次の変動性は、いずれも、非常に望ましくない特徴である。反応時間の遅さが、アークフラッシュの可能性に対する不十分な保護をもたらすだけでなく、高次の変動性および精度の欠如が、複雑なシステム内の複数の回路遮断器間の協調をほとんど不可能にする。
【0008】
保護デバイスとして、回路遮断器は、障害電流が回路遮断器トリップ電流定格を大きく超える場合でも、外部供給回路から障害を分離することができ、それによって内部の単一の障害点から保護しなければならない。回路遮断器のアンペア遮断容量(AIC)定格は、回路遮断器デバイスの負荷側に障害が適用されたときに回路遮断器デバイスが安全にクリアする最大障害電流(アンペア単位)を示す。回路遮断器デバイスのAIC定格は、回路遮断器デバイスの障害なしで回路遮断器デバイスによって遮断され得る最大障害電流を表す。AIC定格は、極めて高いレベルの短絡保護を要求し、国内の回路遮断器は、10,000アンペア以上を定格とすることが多い。
【0009】
従来の回路遮断器は、外部電源を負荷から遮断するかもしくは分離するためのスマート意思決定に基づく機能性を実装しないか、またはそれ以外に電圧および/もしくは電流などの電力の成分を監視もしくは測定し、電圧および/もしくは電流の測定および計算に基づいてインテリジェントな意思決定を行う。対照的に、従来の回路遮断器は、磁力、または別異の熱膨張パラメータを有する金属を有するバイメタル素子の膨張によって生成される機械的な力によって回路遮断器をトリップさせる電気機械構成要素に基づいて、過剰な負荷電力需要(例えば、電流過負荷、短絡)から保護するように動作する。インテリジェントなトリップ動作の欠如、および配電環境で作り出される粗野な力への依存は、過度のアーキング、遅いトリップ応答時間、および危険なほど高い内部動作温度などの過度の電力状態をもたらし得る。従来の回路遮断器が、フック、ばねなどのトリップを起こす機械部品に依存することは、火災の危険、デバイスの非信頼性、ならびに人命および財産の潜在的な損失に関して、災害の潜在性を増加させる。住宅または建物内の電気火災の一般的な原因は、信頼できない、障害のある電気機械保護デバイスおよび回路遮断器の結果であることが知られている。よって、従来の電気機械/熱磁気回路遮断器/保護デバイスの使用を排除し、かつ保護デバイスのより信頼性が高く効率的なソリューションを実装することが、回路遮断器および保護デバイス業界において望まれ、必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
本開示の実施形態は、インテリジェント回路遮断器、ならびにインテリジェント回路遮断器を実装するためのシステムおよび方法を含む。例えば、一実施形態は、回路遮断器を含む。回路遮断器は、電気機械スイッチ、電流センサ、電圧センサ、およびプロセッサを備える。電気機械スイッチは、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間に直列に接続されており、(i)スイッチ閉鎖状態および(ii)スイッチ開放状態のうちの1つにされるように構成されている。電流センサは、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流の大きさを検知し、かつ電流検知信号を生成するように構成されている。電圧センサは、線路入力端子と負荷出力端子との間の経路上の点における電圧の大きさを検知し、かつ電圧検知信号を生成するように構成されている。プロセッサは、電流検知信号および電圧検知信号を受信し、処理して、回路遮断器の動作ステータス情報を判定し、かつ負荷出力端子に接続された負荷の電力使用情報を判定するように構成されている。
【0011】
別の実施形態は、方法であって、外部電源と負荷を含む分岐回路との間に回路遮断器を接続することであって、回路遮断器は、(i)外部電源を分岐回路に接続するためのスイッチ閉鎖状態、および(ii)外部電源を分岐回路から切断するためのスイッチ開放状態のうちの1つにされるように構成されている電気機械スイッチを含む、接続することと、回路遮断器を通る電流の流れを検知し、回路遮断器を通る検知された電流の流れの大きさを示す電流検知信号を生成することと、回路遮断器を通る電路上の点における電圧を検知し、検知された電圧の大きさを示す電圧検知信号を生成することと、電流検知信号および電圧検知信号を処理して、回路遮断器の動作ステータス情報を判定し、負荷の電力使用情報を判定することと、を含む、方法を含む。
【0012】
別の実施形態は、システムであって、回路遮断器分電盤と、回路遮断器分電盤内に配設された回路遮断器と、を備える、システムを含む。回路遮断器分電盤は、外部電源に結合されたバスバーを備える。回路遮断器は、バスバーに結合された線路入力端子、分岐回路に接続された負荷出力端子、電気機械スイッチ、電流センサ、電圧センサ、およびプロセッサを備える。電気機械スイッチは、(i)外部電源を分岐回路に接続するためのスイッチ閉鎖状態、および(ii)外部電源を分岐回路から切断するためのスイッチ開放状態、のうちの1つにされるように構成されている。電流センサは、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流の大きさを検知し、かつ電流検知信号を生成するように構成されている。電圧センサは、線路入力端子と負荷出力端子との間の経路上の点における電圧の大きさを検知し、かつ電圧検知信号を生成するように構成されている。プロセッサは、電流検知信号および電圧検知信号を受信し、処理して、回路遮断器の動作ステータス情報を判定し、かつ負荷出力端子に接続された負荷の電力使用情報を判定するように構成されている。
【0013】
別の実施形態は、回路遮断器であって、固体双方向スイッチ、第1のスイッチ制御回路、電流センサ、電圧センサ、およびプロセッサを備える、回路遮断器を含む。固体双方向スイッチは、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間に直列に接続されており、かつ(i)スイッチオン状態および(ii)スイッチオフ状態のうちの1つにされるように構成されている。第1のスイッチ制御回路は、固体双方向スイッチの動作を制御するための制御信号を生成するように構成されている。電流センサは、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流の大きさを検知し、かつ電流検知信号を生成するように構成されている。電圧センサは、線路入力端子と負荷出力端子との間の経路上の点における電圧の大きさを検知し、かつ電圧検知信号を生成するように構成されている。プロセッサは、電流検知信号および電圧検知信号を受信し、処理して、回路遮断器の動作ステータス情報を判定するように、かつ障害事象を判定するように、かつ負荷出力端子に接続された負荷の電力使用情報を判定するように構成されている。
【0014】
別の実施形態は、方法であって、外部電源と負荷を含む分岐回路との間に回路遮断器を接続することであって、回路遮断器は、(i)外部電源を分岐回路に接続するためのスイッチオン状態、および(ii)外部電源を分岐回路から切断するためのスイッチオフ状態のうちの1つにされるように構成されている固体双方向スイッチを備える、接続することと、回路遮断器を通る電流を検知し、回路遮断器を通る検知された電流の流れの大きさを示す電流検知信号を生成することと、回路遮断器を通る電路上の点における電圧を検知し、検知された電圧の大きさを示す電圧検知信号を生成することと、電流検知信号および電圧検知信号のうちの少なくとも1つに基づく障害事象の検出に応答して固体双方向スイッチをスイッチオフ状態にするための制御信号を生成することと、電流検知信号および電圧検知信号を処理して、回路遮断器の動作ステータスを判定し、負荷の電力使用を判定することと、を含む、方法を含む。
【0015】
別の実施形態は、システムであって、回路遮断器分電盤と、回路遮断器分電盤内に配設された回路遮断器と、を備える、システムを含む。回路遮断器分電盤は、外部電源に結合されたバスバーを備える。回路遮断器は、バスバーに結合された線路入力端子、分岐回路に接続された負荷出力端子、固体双方向スイッチ、第1のスイッチ制御回路、電流センサ、電圧センサ、およびプロセッサを備える。固体双方向スイッチは、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間に直列に接続されており、かつ(i)スイッチオン状態および(ii)スイッチオフ状態のうちの1つにされるように構成されている。第1のスイッチ制御回路は、固体双方向スイッチの動作を制御するための制御信号を生成するように構成されている。電流センサは、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流の大きさを検知し、かつ電流検知信号を生成するように構成されている。電圧センサは、線路入力端子と負荷出力端子との間の経路上の点における電圧の大きさを検知し、かつ電圧検知信号を生成するように構成されている。プロセッサは、電流検知信号および電圧検知信号を受信し、処理して、回路遮断器の動作ステータス情報を判定するように、かつ障害事象を判定するように、かつ負荷出力端子に接続された負荷の電力使用情報を判定するように構成されている。
【0016】
別の実施形態は、回路遮断器であって、固体スイッチ、エアギャップ電磁スイッチ、スイッチ制御回路機構、ゼロ交差検出回路、および電流センサを備える、回路遮断器を含む。固体スイッチとエアギャップ電磁スイッチは、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続されている。スイッチ制御回路は、固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチの動作を制御するように構成されている。ゼロ交差検出回路は、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路上のAC電源波形のゼロ交差を検出するように構成されている。電流センサは、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流を検知し、かつ検知された電流の流れに基づいて障害状態を検出するように構成されている。スイッチ制御回路機構は、電流センサによって障害状態を検出することに応答して、(i)固体スイッチをスイッチオフ状態にし、かつ(ii)固体スイッチがスイッチオフ状態にされた後に、エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするためのスイッチ制御信号を生成するように、構成されている。スイッチ制御回路機構は、ゼロ交差検出回路から出力されたゼロ交差検出信号を利用して、エアギャップ電磁スイッチをいつスイッチ開放状態にするかを判定する。
【0017】
別の実施形態は、方法であって、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路で流れる電流を検知することであって、回路遮断器は、固体スイッチと、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続されたエアギャップ電磁スイッチと、を備える、検知することと、検知された電流の流れに基づいて障害状態を検出することと、障害状態を検出することに応答して、固体スイッチをスイッチオフ状態にするための第1のスイッチ制御信号を生成することと、電路上の点におけるAC波形のゼロ交差事象、およびゼロ交差事象に続くAC波形の極性を検出することと、ゼロ交差事象に続くAC波形の極性が固体スイッチのボディダイオードを逆バイアスすることを検出することに応答して、エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするための第2の制御信号を生成することと、を含む、方法を含む。
【0018】
別の実施形態は、システムであって、回路遮断器分電盤と、回路遮断器分電盤内に配設された回路遮断器と、を備える、システムを含む。回路遮断器分電盤は、外部電源に結合されたバスバーを備える。回路遮断器は、バスバーに結合された線路入力端子、分岐回路に接続された負荷出力端子、固体スイッチ、エアギャップ電磁スイッチ、スイッチ制御回路機構、ゼロ交差検出回路、および電流センサを備える。固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチは、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続されている。スイッチ制御回路機構は、固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチの動作を制御するように構成されている。ゼロ交差検出回路は、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路上のAC電源波形のゼロ交差を検出するように構成されている。線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流を検知し、かつ検知された電流の流れに基づいて障害状態を検出するように構成された、電流センサ。スイッチ制御回路機構は、電流センサによって障害状態を検出することに応答して、(i)固体スイッチをスイッチオフ状態にし、かつ(ii)固体スイッチがスイッチオフ状態にされた後に、エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするためのスイッチ制御信号を生成するように、構成されている。スイッチ制御回路機構は、ゼロ交差検出回路から出力されたゼロ交差検出信号を利用して、エアギャップ電磁スイッチをいつスイッチ開放状態にするかを判定する。
【0019】
別の実施形態は、回路遮断器であって、固体スイッチ、検知抵抗器、電流検出回路、およびスイッチ制御回路を備える、回路遮断器を含む。固体スイッチおよび検知抵抗器は、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続されている。電流検出回路は、(i)検知抵抗器を流れる負荷電流に応答して検知抵抗器に生成される検知電圧をサンプリングし、(ii)サンプリングされた検知電圧に基づいて過電流障害状態を検出し、かつ(iii)過電流障害状態を検出することに応答して障害検出信号を出力するように構成されている。スイッチ制御回路は、固体スイッチを制御するように構成されており、スイッチ制御回路は、電流検出回路から出力された障害検出信号に応答して、固体スイッチをスイッチオフするように構成されている。
【0020】
別の実施形態は、回路遮断器であって、スイッチ、検知抵抗器、ゼロ交差検出回路、およびスイッチ制御回路を備える、回路遮断器を含む。スイッチおよび検知抵抗器は、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続されている。ゼロ交差検出回路は、(i)検知抵抗器を流れる負荷電流に応答して検知抵抗器に生成される検知電圧をサンプリングし、(ii)サンプリングされた検知電圧に基づいて負荷電流のゼロ交差を検出し、かつ(iii)負荷電流のゼロ交差を検出することに応答してゼロ交差検出信号を出力するように構成されている。スイッチ制御回路は、ゼロ交差検出回路の出力に基づいて、スイッチの動作を制御するように構成されている。
【0021】
別の実施形態は、回路遮断器であって、回路遮断器ハウジングと、回路遮断器ハウジング内に配設されたエアギャップスイッチと、エアギャップスイッチの開放状態および閉鎖状態の表示を提供するように構成された第1の視覚的インジケータと、を備える、回路遮断器を含む。第1の視覚的インジケータは、(i)回路遮断器ハウジングの一部として形成されている第1の窓、(ii)回路遮断器ハウジング内に配設された第1のインジケータ要素、および(iii)回路遮断器ハウジング内に配設された第2のインジケータ要素を備える。第1のインジケータ要素が、エアギャップスイッチの開放状態の表示を提供するように第1の窓を通して観視可能であるように、第1のインジケータ要素は、エアギャップスイッチが開放状態にされる際に第1の窓の後方の位置に移動するように構成されている。第2のインジケータ要素が、エアギャップスイッチの閉鎖状態の表示を提供するように第1の窓を通して観視可能であるように、第2のインジケータ要素は、エアギャップスイッチが閉鎖状態にされる際に第1の窓の後方の位置に移動するように構成されている。
【0022】
別の実施形態は、回路遮断器であって、回路遮断器ハウジングと、回路遮断器ハウジング内に配設されたエアギャップスイッチと、回路遮断器ハウジング内に配設されたアクチュエータ機構と、エアギャップスイッチの状態の表示を提供するように構成された第1の視覚的インジケータと、を備える、回路遮断器を含む。エアギャップスイッチは、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に配設された第1の接点および第2の接点を備える。エアギャップスイッチは、アクチュエータ機構に結合されており、アクチュエータ機構は、(i)第1および第2の接点を機械的に離間させて、エアギャップスイッチを開放状態にして電路にエアギャップを作成し、かつ(ii)第1および第2の接点を機械的に合わせて、エアギャップスイッチを閉鎖状態にするように動作可能に構成されている。第1の視覚的インジケータは、(i)回路遮断器ハウジングの一部として形成された第1の窓、(ii)アクチュエータ機構に結合された第1のインジケータ要素、および(iii)アクチュエータ機構に結合された第2のインジケータ要素を備える。第1のインジケータ要素が、エアギャップスイッチの開放状態の表示を提供するように第1の窓を通して観視可能であるように、アクチュエータ機構は、エアギャップスイッチを開放状態にする際に第1のインジケータ要素を第1の窓の後方の位置に移動させるように構成されている。第2のインジケータ要素が、エアギャップスイッチの閉鎖状態の表示を提供するように第1の窓を通して観視可能であるように、アクチュエータ機構は、エアギャップスイッチを閉鎖状態にする際に第2のインジケータ要素を第1の窓の後方の位置に移動させるように構成されている。
【0023】
別の実施形態は、回路遮断器であって、固体スイッチ、エアギャップスイッチ、アクチュエータ機構、手動制御スイッチ、電気機械アクチュエータ、制御回路、およびセンサスイッチを備える、回路遮断器を含む。固体スイッチおよびエアギャップスイッチは、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続されている。エアギャップスイッチは、第1の接点および第2の接点を備える。アクチュエータ機構は、(i)第1および第2の接点を機械的に離間させて、エアギャップスイッチを開放状態にして電路にエアギャップを作成し、かつ(ii)第1および第2の接点を機械的に合わせて、エアギャップスイッチを閉鎖状態にするように動作可能に構成されている。手動制御スイッチは、アクチュエータ機構に動作可能に結合されており、第1の位置と第2の位置との間で切り替わるように構成されており、手動制御スイッチを第1の位置に切り替えることにより、アクチュエータ機構は、エアギャップスイッチを開放状態にする。電気機械アクチュエータは、アクチュエータ機構に動作可能に結合されており、電気機械アクチュエータの作動により、アクチュエータ機構は、エアギャップスイッチを開放状態にする。制御回路機構は、固体スイッチおよび電気機械アクチュエータの動作を制御するように構成されており、(i)制御回路機構は、固体スイッチをスイッチオン状態およびスイッチオフ状態のうちの1つにするように構成されている第1の制御信号、および(ii)電気機械アクチュエータの作動を制御するように構成されている第2の制御信号を生成するように構成されている。センサスイッチは、手動制御スイッチに動作可能に結合され、制御回路機構に電気的に接続されており、センサスイッチは、(i)アクチュエータ機構にエアギャップスイッチを開放状態にさせる、第2の位置から第1の位置への手動制御スイッチの切り替わりを検出し、かつ(ii)第2の位置から第1の位置への手動制御スイッチの切り替わりを検出することに応答して、制御回路機構に第3の制御信号を出力するように構成されている。制御回路機構は、第3の制御信号に応答して、エアギャップスイッチが開放状態にされて電路にエアギャップを作成する前に、第1の制御信号を生成して、固体スイッチをスイッチオフ状態にするように、構成されている。
【0024】
別の実施形態は、回路遮断器デバイスであって、線路活性端子、線路中性端子、負荷活性端子、および負荷中性端子、固体スイッチ、エアギャップ電磁スイッチ、内部スイッチおよび分流抵抗器、スイッチ制御回路機構、ならびに障害検出回路機構を備える、回路遮断器デバイスを含む。固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチは、線路活性端子と負荷活性端子との間に直列に接続されている。内部スイッチおよび分流抵抗器は、第1のノードと第2のノードとの間に直列に接続されており、第1のノードは、線路活性端子と負荷活性端子との間の電路に沿った点を含み、第2のノードは、線路中性端子と負荷中性端子との間の電路に沿った点を含む。スイッチ制御回路は、固体スイッチおよび内部スイッチの動作を制御するように構成されている。障害検出回路機構は、障害状態を検出し、かつ障害状態の検出に応答して障害検出制御信号を生成するように構成されている。スイッチ制御回路機構は、障害検出制御信号に応答して、固体スイッチをスイッチオフ状態にするように構成されている。スイッチ制御回路は、障害検出制御信号に応答して内部スイッチをアクティブ化し、それによって第1および第2のノード間に接続された分流抵抗器を有する内部短絡経路を生成し、内部短絡電流を、エアギャップ電磁スイッチを通して流すようにさらに構成されている。内部短絡電流は、エアギャップ電磁スイッチをトリップし、かつそれによって線路活性端子と負荷活性端子との間の電路にエアギャップを作成するのに十分である。
【0025】
別の実施形態は、方法であって、回路遮断器デバイスの線路活性端子と負荷活性端子との間の電路で流れる電流を検知することであって、回路遮断器デバイスは、線路活性端子と負荷活性端子との間の電路で直列に接続された固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチを備える、検知することと、検知された電流の流れに基づいて障害状態を検出することと、障害状態を検出することに応答して、(i)固体スイッチに第1のスイッチ制御信号を印加して、固体スイッチをスイッチオフ状態にすること、および(ii)内部スイッチに第2のスイッチ制御信号を印加して、内部スイッチをアクティブ化し、それによって回路遮断器デバイス内に内部短絡経路を生成し、エアギャップ電磁スイッチを流れる内部短絡電流を生成することと、を含む、方法を含む。内部短絡電流の流れは、エアギャップ電磁スイッチをトリップさせ、それによって回路遮断器デバイスの線路活性端子と負荷活性端子との間の電路にエアギャップを作成する。
【0026】
別の実施形態は、システムであって、外部電源に結合された線路活性バスバーおよび線路中性バスバーを備える回路遮断器分電盤と、回路遮断器分電盤内に配設された回路遮断器デバイスと、を備える、システムを含む。回路遮断器デバイスは、線路活性バスバーに結合された線路活性端子、線路中性バスバーに結合された線路中性端子、ならびに分岐回路に接続された負荷活性端子および負荷中性端子を備える。回路遮断器デバイスは、線路活性端子と負荷活性端子との間に直列に接続された固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチと、第1のノードと第2のノードとの間に直列に接続された内部スイッチおよび分流抵抗器であって、第1のノードは、線路活性端子と負荷活性端子との間の電路に沿った点を含み、第2のノードは、線路中性端子と負荷中性端子との間の電路に沿った点を含む、内部スイッチおよび分流抵抗器と、(i)固体スイッチおよび(ii)内部スイッチの動作を制御するように構成されているスイッチ制御回路機構と、障害状態を検出し、かつ障害状態の検出に応答して障害検出制御信号を生成するように構成されている障害検出回路機構と、をさらに備える。スイッチ制御回路機構は、障害検出制御信号に応答して、固体スイッチをスイッチオフ状態にするように構成されている。スイッチ制御回路機構は、障害検出制御信号に応答して内部スイッチをアクティブ化し、それによって第1および第2のノード間に接続された分流抵抗器を有する内部短絡経路を生成し、かつ内部短絡電流を、エアギャップ電磁スイッチを通して流すようにさらに構成されている。内部短絡電流は、エアギャップ電磁スイッチをトリップし、かつそれによって、線路活性端子と負荷活性端子との間の電路にエアギャップを作成するのに十分である。
【0027】
他の実施形態については、添付の図と併せて読まれる、以下の実施形態の詳細な説明に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】従来の熱磁気回路遮断器の概略回路図である。
【
図1B】
図1Aの従来の回路遮断器のハウジングの斜視図である。
【
図2A】本開示の一実施形態による、電気機械スイッチを備えるインテリジェント回路遮断器の概略ブロック図である。
【
図2B】本開示の別の実施形態による、電気機械スイッチを備えるインテリジェント回路遮断器の概略ブロック図である。
【
図3A】本開示の一実施形態による、固体双方向スイッチを備えるインテリジェント回路遮断器の概略ブロック図である。
【
図3B】本開示の別の実施形態による、固体双方向スイッチを備えるインテリジェント回路遮断器の概略ブロック図である。
【
図4A】本開示の一実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る交流直流(AC-DC)変換器回路の概略ブロック図である。
【
図4B】本開示の一実施形態による、
図4AのAC-DC変換器回路の概略回路図である。
【
図5】本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得るAC-DC回路の概略回路図である。
【
図6A】本開示の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る固体双方向スイッチの概略回路図である。
【
図6B】固体双方向スイッチに印加されるAC主供給電圧の正の半サイクル中の、
図6Aの固体双方向スイッチのアクティブ素子を例示している。
【
図6C】本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る固体双方向スイッチの概略回路図である。
【
図6D】本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る固体双方向スイッチの概略回路図である。
【
図6E】本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る固体双方向スイッチの概略回路図である。
【
図6F】本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る固体双方向スイッチの概略回路図である。
【
図6G】本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る固体双方向スイッチの概略回路図である。
【
図6H】本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る固体双方向スイッチの概略回路図である。
【
図7A】本開示の一実施形態による、固体双方向スイッチを制御するためのインテリジェント回路遮断器に実装され得る制御回路機構の概略ブロック図である。
【
図7B】本開示の一実施形態による、
図7Aの制御回路機構の概略回路図である。
【
図8A】本開示の別の実施形態によるインテリジェント回路遮断器の高レベルの概略説明図である。
【
図8B】本開示の一実施形態による、インテリジェント回路遮断器を負荷からガルバニックに分離するように構成されている分離回路を備えるインテリジェント回路遮断器の高レベル概略説明図である。
【
図9A】本開示の一実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る、電源ブロックと、電流センサおよびエネルギーメータリング回路の電流センサブロックと、の概略図である。
【
図9B】本開示の一実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る、電流センサおよびエネルギーメータリング回路の過電流検出ブロックの概略図である。
【
図9C】本開示の一実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る、電流センサおよびエネルギーメータリング回路のエネルギーメータリングブロックの概略図である。
【
図10】本開示の一実施形態による、障害状態の検出に応答してインテリジェント回路遮断器のスイッチを制御するための方法の流れ図である。
【
図11】本開示の一実施形態による、障害状態を検出し、かつ障害状態から保護するためにインテリジェント回路遮断器によって実装される制御プロセスを例示する状態図である。
【
図12】本開示の一実施形態によるインテリジェント回路遮断器を利用するインテリジェント配電および監視システムを概略的に例示している。
【
図13】本開示の一実施形態による、インテリジェント回路遮断器のスイッチおよびインテリジェント回路機構を収容するために利用され得るハウジング構造の分解図である。
【
図14】本開示の一実施形態による、分岐回路上のエネルギー使用を監視し、かつ分岐回路上の障害状態から保護するためにインテリジェント回路遮断器によって実装されるプロセスの流れ図である。
【
図15】本開示の一実施形態による、分岐回路上のエネルギー使用を監視し、かつ分岐回路上の障害状態から保護するためにインテリジェント回路遮断器によって実装されるプロセスの流れ図である。
【
図16】本開示の一実施形態による、回路遮断器に接続された負荷のタイプを識別するように、かつ識別された負荷タイプに基づいて負荷を制御するように構成されているインテリジェント回路遮断器の概略ブロック図である。
【
図17】本開示の一実施形態による、インテリジェント回路遮断器によって実装される負荷識別および制御プロセスの方法の流れ図である。
【
図18A】本開示の一実施形態による、地絡障害状態およびアーク障害状態を監視し、かつ検出された障害状態に応答して回路遮断を提供するように構成されているインテリジェント回路遮断器の概略ブロック図である。
【
図18B】本開示の一実施形態による、
図18Aのインテリジェント回路遮断器の概略回路図である。
【
図19】本開示の一実施形態による、
図18Bのインテリジェント回路遮断器に実装され得る障害検出プロセッサの概略ブロック図である。
【
図20】本開示の一実施形態による電流ゼロ交差検出器回路を概略的に例示している。
【
図21A】本開示の一実施形態による、
図20の電流ゼロ交差検出回路の動作モードを例示する様々な波形を描示するものであって、
図20のエッジ検出段の動作のモードを例示する波形を描示している。
【
図21B】本開示の一実施形態による、
図20の電流ゼロ交差検出回路の動作モードを例示する様々な波形を描示するものであって、
図20の電流ゼロ交差検出回路の動作モードを例示するシミュレートされた信号波形を例示している。
【
図22】本開示の一実施形態による短絡検出回路を概略的に例示している。
【
図23】本開示の一実施形態による、
図22の短絡検出回路の動作のモードを例示するシミュレートされた信号波形を例示している。
【
図24】本開示の別の実施形態によるインテリジェント回路遮断器を概略的に例示している。
【
図25A】
図24のインテリジェント回路遮断器の線路側に入力される電源電圧波形を例示している。
【
図25B】インテリジェント回路遮断器の固体スイッチがスイッチオフ状態にあり、かつインテリジェント回路遮断器のエアギャップ電磁スイッチがスイッチ閉鎖状態にあるときの、
図24のインテリジェント回路遮断器の負荷側の出力電圧波形を例示している。
【
図26】本開示の実施形態による、
図24のインテリジェント回路遮断器のスイッチコントローラによって実装されるスイッチ制御プロセスの流れ図である。
【
図27】本開示の別の実施形態によるインテリジェント回路遮断器を概略的に例示している。
【
図28A】本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器の動作ステータスを示すように構成されている複数の視覚的インジケータを備えるインテリジェント回路遮断器の斜視図である。
【
図28B】本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器の動作ステータスを示すように構成されている複数の視覚的インジケータを備えるインテリジェント回路遮断器の斜視図である。
【
図28C】本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器の動作ステータスを示すように構成されている複数の視覚的インジケータを備えるインテリジェント回路遮断器の概略図である。
【
図28D】本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器の動作ステータスを示すように構成されている複数の視覚的インジケータを備えるインテリジェント回路遮断器の概略図である。
【
図28E】本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器の動作ステータスを示すように構成されている複数の視覚的インジケータを備えるインテリジェント回路遮断器の概略図である。
【
図29】本開示の別の実施形態によるインテリジェント回路遮断器を概略的に例示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ここで、インテリジェント回路遮断器ならびにインテリジェント回路遮断器を実装するためのシステムおよび方法に関して、本開示の実施形態についてさらに詳細に記載する。同一または類似の特徴、要素、または構造を表すために、図面全体を通して同一または類似の参照番号が使用され、したがって、同一または類似の特徴、要素、または構造の詳細な説明を、図面の各々について繰り返さないことを理解されたい。加えて、割合、範囲などに関して本明細書で使用される場合、「約」または「実質的に」という用語は、近いか、または近接するが、丁度ではないことを表すことを意味する。例えば、本明細書で使用される場合、「約」または「実質的に」という用語は、述べられる量の1%以下などの小さな許容範囲の誤差が存在することを含意している。本明細書で使用される場合、「例示的な」という用語は、「例、事例、または例示として役立つ」を意味する。「例示的な」として本明細書に記載される任意の実施形態または設計は、他の実施形態または設計よりも好ましい、または有利であると解釈されるべきではない。
【0030】
図1Aおよび
図1Bは、従来の熱磁気回路遮断器100を概略的に例示しており、
図1Aは、熱磁気回路遮断器100の概略回路図であり、
図1Bは、熱磁気回路遮断器100のハウジング101の斜視図である。特に、
図1Aは、外部電源110(本明細書ではAC幹線110と称される)と、回路遮断器100によって保護される分岐回路に接続されている負荷120と、の間に接続された熱磁気回路遮断器100を例示している。
図1Aにさらに例示されるように、回路遮断器100は、典型的には、AC幹線110の活性相111(「線路活性」と称される)と負荷120の負荷活性線121との間に接続されている一方、AC幹線110の中性相112(「線路中性」と称される)は、負荷120の負荷中性線122に直接接続されている。
【0031】
回路遮断器100は、手動スイッチ機構(図示せず)によって手動で開閉される電気機械スイッチ102を備える。電気機械スイッチ102は、スイッチ102と直列に接続されたソレノイド106と、同様にスイッチ102と直列に接続されたバイメタル素子108(抵抗素子によって加熱される)と、を備える熱磁気アクチュエータに機械的に結合(104)されている。機械的結合104は、第1の閾値を超える(例えば、回路遮断器100の電流定格を超える)活性相111から流れる瞬時電流が、ソレノイド106にスイッチ102の接点を分離させ、それによって回路を開き、回路遮断器100を「トリップ」させるように構成されている。ソレノイド106(例えば、電磁石)は、電流とともに増加する引っ張り力を発動する。回路遮断器接点は、ラッチによって閉じるように保持される。ソレノイド106の電流が、回路遮断器の定格を超えて増加すると、ソレノイドの引っ張りは、ラッチを解放し、これにより、接点がばね作用によって開放する。
【0032】
加えて、機械的結合104は、第2のより低い閾値での長時間の過剰電流が、バイメタル素子108にスイッチ102の接点を分離させ、それによって回路遮断器100をトリップさせるように構成されている。バイメタル素子108は、それほど極端ではないがより長期の過電流状態に応答する。回路遮断器100の熱機構は、過電流が大きいほど回路遮断器100をそれだけ早くトリップさせるが、小さい過負荷ほどそれだけ長い時間持続することを可能にする、時間応答特徴を提供する。このことは、モータまたは他の非抵抗性負荷がスイッチオンされるときに生じるような短時間電流スパイクを可能にする。これに関して、ソレノイド106(電磁石機構)は、電流の大きなサージ(短絡)に瞬時に応答し、バイメタル素子108は、それほど極端ではないが長期の過電流状態に応答する。トリップすると、回路遮断器100は、手動スイッチ機構を使用して手動でリセットされなければならない。
【0033】
図1Aにさらに例示されるように、線路中性112は、典型的には、回路遮断器分電盤内のアース接地114(GND)に接合されており、アース接地接続部116が、回路遮断器分電盤内の接地バーから負荷120の接地接続まで作製されている。アース接地接続部116は、負荷120での地絡障害事象の発生時に、地絡帰線電流が流れるための代替の低抵抗経路を提供する。アース接地接続部116は、アーク障害検知およびアーク障害回路遮断(AFCI)、ならびに地絡障害検知および地絡障害回路遮断(GFCI)などの保護を提供する他の回路遮断器またはレセプタクル設計に有用である。さらに、AFCIおよびGFCI保護を提供するように設計されている回路遮断器100には、線路中性ワイヤ(
図1Aまたは
図1Bに図示せず)が含まれるであろう。
【0034】
図1Bは、通常、成形プラスチック部品を使用して製造される住宅用回路遮断器のための従来のハウジング101を例示している。いくつかの実施形態では、インテリジェント回路遮断器は、インテリジェント回路遮断器を既存のハウジングと後方互換性を有し、かつ既存の分電盤に改造することを可能にするために、住宅および/または商業用途のための標準ハウジングを使用して実装される。当業者は、開示される技術の回路、アルゴリズム、熱交換器、および他の態様が、他の場所または国において必要とされる様々な形態要素に調整され得ることを認識するであろう。本アプローチは、伝統的な様式の遮断器要素を使用する必要がない、例えば特に伝統的な遮断器ハウジングを使用しないことが、本明細書で企図される。
【0035】
本開示の実施形態によれば、インテリジェント回路遮断器は、従来の回路遮断器よりも迅速に、短絡状態、過電流状態、および他のタイプの障害を分離するための比較的高速の応動時間を有しながら、高い分離能力を提供するように設計されている。インテリジェント回路遮断器は、リアルタイムでプログラム可能であり得る時間電流特性を有して設計されており、従来の回路遮断器と比較してより正確であり、変動性が低い。例えば、いくつかの実施形態では、インテリジェント回路遮断器は、高エネルギー分岐回路上の障害を分離するための高速の応動時間を可能にする低電力の固体双方向スイッチを実装する。インテリジェント遮断器は、回路遮断器の設置場所とは独立し、それによって短絡導体のインピーダンスを低減させる複数の障害点のサポートを提供するために接続されたスマートデバイスと通信するように設計されている。
【0036】
本開示の実施形態によるインテリジェント回路遮断器は、従来の回路遮断器と比較して、追加の安全性、拡張された利便性、追加のエネルギー認識、制御、省エネルギー、および改善された状況認識を提供する。以降でさらに詳細に説明されるように、インテリジェント回路遮断器は、AC幹線開閉技術、AC-DC変換技術、内部短絡トリップ技術、多様な斬新なユースケースを可能にするために無線でステータスおよびセンサデータを伝達するための技術、障害を検出するためのアルゴリズム、内部デバイス障害の検出およびそれからの保護のための技術、無線アップデートを通じた新しいタイプの負荷を処理するための技術、熱エネルギーを交換するための技術、崩壊設備事象中にもおけるリモート通知、制御、監視、およびビッグデータ収集のクラウドサービスサポートのための技術、分流抵抗電流検知、エネルギーメータリング、および過電流検出のための回路技術、障害状態を回避するための技術を含む、インテリジェント処理を実装するための様々な機能性および制御回路を実装する。これらは、それら自体が、かつそれらのみで新規の技術であるが、安全性の改善、利便性の拡大、追加の制御、エネルギー認識、省エネルギー、および状況認識の改善という課題に対処する観点でのそれらの真の影響である。
【0037】
図2Aは、本開示の実施形態によるインテリジェント回路遮断器の概略ブロック図である。特に、
図2Aは、AC幹線110と負荷120との間に接続されたインテリジェント回路遮断器200を概略的に例示する。インテリジェント回路遮断器200は、電気機械ACスイッチ202、電流センサ204、第1の電圧センサ206、第2の電圧センサ208、AC-DC変換器回路機構210、プロセッサ220、プロセッサリセットスイッチ222、および関連付けられたアンテナ232を有する無線周波数(RF)送受信機230を備える。電気機械ACスイッチ202は、回路遮断器200の線路入力端子と負荷出力端子との間に直列に接続されており、AC幹線110の線路活性111は、線路入力端子に接続されており、負荷120の負荷活性121は、負荷出力端子に接続されている。AC幹線110の線路活性111は、電気機械ACスイッチ202がスイッチ閉鎖状態にあるとき、負荷活性121に接続されている。この実施形態では、線路中性112(例えば、遮断器分電盤内のアース接地114に接合される)は、インテリジェント回路遮断器200の電子回路機構のローサイド電圧基準(例えば、接地)として機能する。
【0038】
いくつかの実施形態では、電気機械ACスイッチ202は、
図1Aと併せて上記で論じた熱磁気回路遮断器100と同じまたは類似の熱磁気トリップおよびスイッチ機構を備え、電気機械ACスイッチ202は、熱スイッチング機構(例えば、バイメタルスイッチ)および電磁スイッチング機構(例えば、ソレノイド)を含む。電気機械ACスイッチ202は、オペレータが、手動スイッチ(またはアクチュエータレバー)を使用して活性経路を手動で無効にするか、または障害状態(例えば、短絡状態、過電流状態など)が電気機械ACスイッチ202によって検出されると自動的に無効にするかのいずれかのときに、「開放された」回路を提供するように構成されている。
【0039】
プロセッサ220は、電流センサ204および第1および第2の電圧センサ206および208と連動して、エネルギー利用の監視および障害状態の検出などの機能を実行する。例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサ220は、(ソフトウェアおよび/またはハードウェアを介して)負荷120での障害状態(例えば、短絡状態、過電流状態、過電圧状態など)、またはインテリジェント回路遮断器200内の内部障害状態の存在を検出し、かつ制御線202-1上に制御信号を生成して、電磁気構成要素(例えば、ソレノイド)の電気接点を開放させ、それによって線路活性111を負荷活性121から切断するように構成されている。他の実施形態では、インテリジェント回路遮断器200は、例えば本明細書で論じられるような技術を使用して、アーク障害回路遮断および/または地絡障害回路遮断機能をサポートするための追加のセンサ回路機構および/または処理機能性を備える。
【0040】
プロセッサ220は、1つ以上の処理アーキテクチャを使用して実装され得る。例えば、プロセッサ220は、中央処理装置、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SOC)、および他のタイプのプロセッサ、ならびに、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアなどに基づく処理機能を実行することができる、そのようなプロセッサの部分または組み合わせを備えてもよい。いくつかの実施形態では、インテリジェント回路遮断器200の様々な構成要素(例えば、204、206、208、210、220、および/または230)の固体回路機構は、システムオンチップとして単一のダイ上に実装され得る。いくつかの実施形態では、インテリジェント回路遮断器200の様々な構成要素(例えば、204、206、208、210、220、および/または230)の固体回路機構は、高密度の異種統合ソリューションを提供するマルチチップモジュール(例えば、システムインパッケージ)として一体的にパッケージ化されている1つ以上の別個のダイに実装され得る。
【0041】
プロセッサ220は、RF送受信機230を利用して、リモートノード、デバイス、システムなどと無線通信し、エネルギー利用のリモート監視および障害状態の検出をサポートする。プロセッサリセットスイッチ222は、例えばプロセッサ220へのDC電源の喪失などがあるとき、特定の状態下でプロセッサ220のステータスをリセットするために利用される。いくつかの実施形態では、プロセッサリセットスイッチ222は、トリップ事象に続くスイッチレバーの手動リセットがプロセッサリセットスイッチ222の機械的な作動も引き起こすように、電気機械ACスイッチ202の手動スイッチレバー機構(例えば、アクチュエータレバー)に機械的に結合されている手動結果スイッチを含む。
【0042】
電流センサ204ならびに電圧センサ206および208は、インテリジェント回路遮断器200の開回路または損傷もしくは故障した内部構成要素を示す状態を検知し、かつ検出するように、かつ回路の安全な開閉のためのタイミングを提供するように構成されている。特に、電流センサ204は、インテリジェント回路遮断器200を通る活性線経路の負荷120によって引き出される電流の大きさを検出するように構成されている。電流センサ204は、電流検知抵抗器、電流増幅器、ホール効果電流センサなどを含むが、これらに限定されない、任意の好適なタイプの電流検知回路を使用して実装され得る。電流センサ204は、1つ以上のデータ入手および制御線204-1によってプロセッサ220に結合されている。
【0043】
第1および第2の電圧センサ206および208は、回路遮断器200を通る活性線経路に沿った異なる点における電圧を監視するように構成されている。例えば、
図2Aに示されるように、第1の電圧センサ206は、電気機械ACスイッチ202の上流の活性線経路に結合されて、AC幹線110のAC供給電圧を監視し、第2の電圧センサ208は、電気機械ACスイッチ202の下流の活性線経路に結合されて、インテリジェント回路遮断器200に接続され、かつインテリジェント回路遮断器200によって保護される分岐回路上の負荷電圧を監視する。電圧センサ206および208は、それぞれ1つ以上のデータ入手および制御線206-1および208-1によってプロセッサ220に結合されている。
【0044】
電圧センサ206および208は、ゼロ交差検出器回路を含むが、これらに限定されない、任意の好適なタイプの電圧検知回路機構を使用して実装され得る。ゼロ交差検出器は、AC波形を入力として受信し、入力AC波形をゼロ基準電圧(例えば、線路中性電圧)と比較し、かつAC波形がゼロ基準電圧と交差するときに一致する正からおよび負からのAC波形遷移を検出するように構成されている。いくつかの実施形態では、ゼロ交差検出器回路機構は、AC電圧波形の各ゼロ交差検出時に論理「1」と論理「0」との間で遷移する方形波出力を生成するように構成されている。他の実施形態では、ゼロ交差検出器回路機構は、RC調整可能な持続時間を有する時短パルス(約3us)を生成するように構成されている。
【0045】
AC-DC変換器回路機構210は、電流センサ204、電圧センサ206および208、プロセッサ220、ならびにRF送受信機230を含む、インテリジェント回路遮断器200の様々な回路機構および要素にDC供給電力を提供するように構成されている。電気機械ACスイッチ202が開放状態にある障害の間、AC-DC変換器回路機構210は、給電されたままである。いくつかの実施形態では、AC-DC変換器回路機構210は、外部停電の直後にDCサブシステムに電力供給するための十分な蓄電容量を備え、これにより、外部電源が崩壊する際に、関連する停電または短絡の情報がプロセッサ220によって取得され、記憶され、次いで、RF送受信機230を使用して、リモートノード、デバイス、またはシステムに無線で伝送され得る。負荷を意図的に切断して、範囲外の電圧事象中の損傷を防止することができるように、AC-DC変換器回路機構210はまた、負荷短絡事象中に、活性線および負荷の崩壊電圧によってプルダウンすることなくDCサブシステムに給電するのに十分な静電容量を含んでもよい。
【0046】
図2Bは、本開示の別の実施形態によるインテリジェント回路遮断器の概略ブロック図である。特に、
図2Bは、AC幹線110と負荷120との間に接続されたインテリジェント回路遮断器201を概略的に例示している。インテリジェント回路遮断器201は、インテリジェント回路遮断器201が電流センサおよびエネルギーメータリング回路機構240、ヒューズ250、および内部短絡スイッチ260を備えることを除いて、
図2Aのインテリジェント回路遮断器200と同様である。電流センサおよびエネルギーメータリング回路機構240は、回路遮断器201を通る活性線経路の負荷120によって引き出されている電流の大きさを検出するとともに、プログラム可能な過電流検出システムおよびインテリジェントエネルギーメータリング回路機構を実装するように構成されている。電流センサおよびエネルギーメータリング回路240の例示的な実施形態については、
図9A、
図9B、および
図9Cと併せて以降で論じる。
【0047】
ヒューズ250は、内部障害から回路遮断器201を保護するために、またはデバイス障害の発生時などに、単純な寿命終了無効化機構を提供するために実装される。いくつかの実施形態では、
図2Bに示されるように、内部短絡スイッチ260は、回路遮断器201のAC活性線経路と線路中性112との間に接続されており、内部短絡スイッチ260は、ヒューズ250と電気機械ACスイッチ202との間のある点でAC活性線経路に接続されている。内部短絡スイッチ260は、プロセッサ220によって生成され、かつスイッチ制御線220-1を介して短絡スイッチ260に印加される制御信号に応答する。この構成では、プロセッサ220は、デバイス障害の発生時などに寿命終了無効化機構を実装することができ、プロセッサ220は、制御線220-1上に制御信号を出力して、内部短絡スイッチ260をアクティブ化し、ヒューズ250を溶断させて、インテリジェント回路遮断器201を無効化する。他の実施形態では、例えば、デバイス障害が検出された後の任意の時点で電気機械ACスイッチ202をスイッチ閉鎖状態にされないようにするか、または、デバイス障害が検出された後に遮断器を投入する(手動スイッチのアクティブ化を介して)個々の試みを任意の回数、直ちに電気機械ACスイッチ202をトリップさせる(かつスイッチ開放状態にする)制御信号を生成するように、プロセッサ220を構成することによって、寿命終了無効化機構を実装することができる。
【0048】
他の実施形態では、電気機械ACスイッチ202をトリップさせる障害を内部的にトリガするための機構として、内部短絡スイッチをインテリジェント回路遮断器に実装することができる。例えば、
図2Aおよび2Bの例示的な実施形態では、電気機械ACスイッチ202の負荷側のAC活性線経路と線路中性112との間に、内部短絡スイッチを接続することができる。プロセッサ220は、内部短絡スイッチをアクティブ化し、かつ電気機械ACスイッチ202の負荷側で短絡障害状態を生成し、それによって電気機械ACスイッチ202をトリップさせるためのスイッチ制御信号を生成するように構成され得る。この構成では、プロセッサ220は、電流ならびに/または電圧センサ240、206、および208によって生成されたセンサデータに基づいて、安全でない状態または内部回路遮断器障害の存在を検出し、次いで、内部短絡スイッチ260をアクティブ化し、それによって電気機械ACスイッチ202をトリップさせるため制御信号を生成することができる。加えて、プロセッサ220が切断するためのリモートコマンドを受信したことに応答して、または過熱、過剰な水分、またはデバイス障害などの安全でない局所的な状態の検出に応答して、内部短絡トリガ事象をトリガすることができる。
【0049】
図3Aは、本開示の別の実施形態によるインテリジェント回路遮断器の概略ブロック図である。特に、
図3Aは、AC幹線110と負荷120との間に接続されたインテリジェント回路遮断器300を概略的に例示している。インテリジェント回路遮断器300は、エアギャップ電磁スイッチ302、固体双方向スイッチ304、エアギャップ電磁スイッチ302の動作を制御するように構成されているスイッチ制御回路機構306、ユーザがエアギャップ電磁スイッチ302を手動で開閉することを可能にする手動スイッチ307、および固体双方向スイッチ304の動作を制御するように構成されているスイッチ制御回路機構308を備える。加えて、
図2Aの例示的な実施形態と同様に、
図3Aのインテリジェント回路遮断器300は、電流センサ204、第1の電圧センサ206、第2の電圧センサ208、AC-DC変換器回路機構210、プロセッサ220、プロセッサリセットスイッチ222、およびRF送受信機230および関連付けられたアンテナ232を備え、これらは、上記で論じたような機能と同じまたは類似の機能を実行するように構成されている。他の実施形態では、上述したように、固体回路機構およびインテリジェント回路遮断器300の構成要素にDC電力を提供するために、外部DC電源を実装することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、エアギャップ電磁スイッチ302は、電気接点のセットを物理的に開閉するように構成されている任意の好適なタイプの電磁トリップおよび機械スイッチ機構を備え、エアギャップ電磁スイッチ302がスイッチ開放状態にあるときに、電気接点の間にエアギャップが作成される。例えば、エアギャップ電磁スイッチ302は、スイッチ制御回路機構306からの制御信号に応答して、エアギャップ電磁スイッチ302の電気接点を自動的に開閉するラッチングソレノイドまたはリレー素子を備えてもよい。いくつかの実施形態では、スイッチ制御回路機構306およびエアギャップ電磁スイッチ302は、エアギャップ電磁スイッチ302の電気接点を、スイッチ制御回路機構306によって自動的に開放するが、スイッチ制御回路機構306の動作によって自動的に閉鎖しないことができるように構成されている。この事例では、エアギャップ電磁スイッチ302の電気接点は、手動スイッチ307の操作によって手動で閉鎖される。
【0051】
いくつかの実施形態では、スイッチ制御回路機構308は、センサ(例えば、電流センサ204、電圧センサ206および208など)のうちの1つ以上からの制御信号に応答して、センサによって検出された障害状態に応答して、エアギャップ電磁スイッチ302をいつ開放すべきかを判定する。いくつかの実施形態では、スイッチ制御回路機構306は、プロセッサ220から(制御線306-1を介して)受信された制御信号に応答して、電流センサ204ならびに電圧センサ206および208から取得されたセンサデータをプロセッサ220が分析した結果としてプロセッサ220によって検出される短絡障害、過電流障害、および他の障害などの障害状態に応答して、エアギャップ電磁スイッチ302の開放を制御する。
【0052】
加えて、エアギャップ電磁スイッチ302は、人がエアギャップ電磁スイッチ302の電気接点を手動で開閉し、それによってエアギャップ電磁スイッチ302を手動でスイッチ開閉することを可能にする手動スイッチ307を備える。手動スイッチ307の状態(アクティブ化されているか、または非アクティブ化されている)は、手動スイッチ307とプロセッサ220との間に接続された検知線307-1上に存在する電気信号に基づいて、プロセッサ220によって検出され得る。線路活性111と負荷活性121との間の線路経路におけるエアギャップの作成は、負荷120からのAC幹線110の完全な分離を提供し、線路活性111から負荷120への電流の流れを防止する(また、固体双方向スイッチ304がスイッチオフ状態にあるときに、固体双方向スイッチ304によって生成され得る漏れ電流の流れを防止する)。
【0053】
図3Aに示されるように、エアギャップ電磁スイッチ302は、インテリジェント回路遮断器300の線路入力端子と負荷出力端子との間の固体双方向スイッチ304と直列に接続されている。エアギャップ電磁スイッチ302は、(
図3Aに示されるように)固体双方向スイッチ304の線路側、または固体双方向スイッチ304の負荷側のいずれかに配設され得る。固体双方向スイッチ304は、電力MOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)デバイスおよび関連付けられたバイアス回路機構などの電気的に制御された固体スイッチングデバイスを含む。固体双方向スイッチ304の例示的な実施形態については、
図6A~6Hと併せて以降でさらに詳細に論じる。半導体MOSFETデバイスは、シリコンベースの固体デバイス、または炭化ケイ素(SiC)もしくはヒ化ガリウム(GaN)ベースの固体デバイスであり得る。
【0054】
固体双方向スイッチ304は、スイッチ制御回路機構308によって生成されるゲート制御信号に応答して、固体双方向スイッチ304をスイッチオン状態またはスイッチオフ状態にするように、スイッチ制御回路機構308によって制御される。いくつかの実施形態では、スイッチ制御回路機構308機構は、プロセッサ220から(制御線308-1を介して)受信された制御信号に応答して、電流センサ204ならびに電圧センサ206および208から取得されたセンサデータをプロセッサ220が分析した結果としてプロセッサ220によって検出される短絡障害、過電流障害、および他の障害などの障害状態に応答して、固体双方向スイッチ304をスイッチオフする。
【0055】
他の実施形態では、スイッチ制御回路機構308は、障害状態の検出に応答して電流センサ204(および他のセンサ、例えば電圧センサ206および208)によって生成され、かつ制御線204-1上でスイッチ制御回路機構308に伝送された制御信号に応答する制御回路機構を備える。スイッチ制御回路機構308は、そのような制御信号に応答して、固体双方向スイッチ304のアクティブ化および非アクティブ化を制御するためのゲーティング制御信号を生成する。他の実施形態では、スイッチ制御回路機構308は、負荷側短絡障害を検出し、かつ検出された短絡障害に応答して固体双方向スイッチ304を自動的に非アクティブ化するように構成されている短絡検出回路機構を備える。短絡検出回路機構を備えるスイッチ制御回路機構308の例示的な実施形態については、
図7Aおよび7Bと併せて以降でさらに詳細に論じる。加えて、スイッチ制御回路機構308は、スイッチ304がスイッチオフ状態にあるときに、固体双方向スイッチ304の漏れを制御し、かつ最小限に抑える目的で、固体双方向スイッチ304の駆動電圧を制御するように構成されている。
【0056】
固体双方向スイッチ304の実装は、インテリジェント回路遮断器300が、固体双方向スイッチ304の急速な非アクティブ化によって、過電流障害状態、負荷側短絡障害状態、内部障害状態、過電圧状態などの差し迫った障害状態に迅速に応答することを可能にすることを理解されたい。実際、障害状態を分離するために固体双方向スイッチ304を非アクティブ化するための応答時間は、固体双方向スイッチ304がマイクロ秒またはナノ秒程度でスイッチオン状態からスイッチオフ状態に遷移することができるため、障害状態を分離するための電気機械ACスイッチの自動トリップと関連付けられた応答時間よりも約1000倍高速になり得る(例えば、数ミリ秒程度で)。さらなる利点として、固体双方向スイッチ304は、従来の電気機械回路遮断器と比較して、より正確で繰り返し可能である時間電流特性プロファイルを有する。このことにより、固体双方向スイッチ304によって伝導される電流を、それらの存続時間にわたって変動する時間電流特性を有する従来の電気機械回路遮断器と比較して、より正確に制御することが可能になる。
【0057】
いくつかの実施形態では、固体双方向スイッチ304がスイッチオフ状態にされることに応答してエアギャップ電磁スイッチ302がスイッチ開放状態にされるように、インテリジェント回路遮断器300のプロセッサ220によって実装される制御ロジックは、スイッチ制御回路機構306にスイッチ制御信号を発行するように構成されている。いくつかの実施形態では、固体双方向スイッチ304をスイッチオン状態にする前にエアギャップ電磁スイッチ302がスイッチ閉鎖状態にされるように、プロセッサ220によって実装される制御ロジックは、スイッチ制御回路機構306にスイッチ制御信号を発行するように構成されている。加えて、プロセッサ220は、エアギャップ電磁スイッチ302の手動スイッチ307が、エアギャップ電磁スイッチ302の電気接点を手動で開放するように作動される手動スイッチ開放事象を監視し、かつ検出するように構成されている。手動スイッチ開放事象に応答して、プロセッサ220は、スイッチ制御回路機構308に、固体双方向スイッチ304をスイッチオフ状態にするための制御信号を生成し、出力する。
【0058】
上記に概説したようなスイッチタイミング制御スキームは、(i)固体双方向スイッチ304をスイッチオン状態にする前に、エアギャップ電磁スイッチ302がスイッチ閉鎖状態にされること、および(ii)エアギャップ電磁スイッチ302の手動オペレータ切断の検出に応答して、固体双方向スイッチ304が自動的にスイッチオフ状態にされ、それによってエアギャップ電磁スイッチ302の電気接点の開放前に固体双方向スイッチ304を非アクティブ化することを保証することによって、エアギャップ電磁スイッチ302の電気接点間の電気アークの生成を防止するか、または最小限に抑える。別の実施形態では、スイッチ制御スキームは、インテリジェント回路遮断器300を「待機」状態で動作させるように構成されており、固体双方向スイッチ304は、スイッチオフ状態にあり、エアギャップ電磁スイッチ304は、スイッチ閉鎖状態にある。
【0059】
そのようなスイッチ制御構成では、エアギャップ電磁スイッチ302の電気接点は、スイッチ閉鎖状態で高エネルギー流をサポートするように構成されているが、電気接点間のアーキングを防止するか、または最小限に抑えるために、低電流の流れの状態の間のみ移動するように設計されてもよい。例えば、活性線経路上の電流の大きさが事前選択された値未満である場合に、エアギャップ電磁スイッチ302が作動されるスイッチ制御スキームを実装することができる。エアギャップ電磁スイッチ302内のアーキングの防止は、エアギャップ電磁スイッチ302の小型化を可能にする。
【0060】
エアギャップ電磁スイッチ302の実装は、インテリジェント回路遮断器301のための追加の安全特徴を提供する。例えば、エアギャップ電磁スイッチ302は、固体双方向スイッチ304が障害を起こした場合に障害分離のためのフェイルセーフ機構を提供する。様々なセンサ204、206、および208から取得されたリアルタイムセンサデータを分析することによって、プロセッサ220は、固体双方向スイッチ304の障害状態を検出するか、または潜在的な過電流または短絡の障害状態を別様に検出するように構成され得る。そのような事例では、プロセッサ220は、スイッチ制御回路機構306に、エアギャップ電磁スイッチ302をスイッチ開放状態にするための制御信号を生成し、出力することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、電流センサ204は、活性線経路で直列に接続されている検知抵抗器を備える。以降でさらに詳細に説明されるように、検知抵抗器は、検知抵抗器を流れる負荷電流の結果として負担電圧または検知電圧を生成するように構成されており、負担電圧または検知電圧は、1つ以上の検知回路(例えば、電流センサ回路、短絡検知回路、エネルギーメータリング回路など)によって測定され、かつ処理されて、障害状態を検出し、プロセッサの支援なしに固体スイッチを直接制御する。このことにより、プロセッサまたはCPU応答の不確定時間を回避することによって、応動時間を高速化することができる。
【0062】
加えて、エアギャップスイッチ302は、エアギャップスイッチ302がスイッチ開放状態にされているとき、AC幹線110と負荷120との間にガルバニック分離を提供する。エアギャップが形成されていると、電流は、AC幹線110から負荷120に流れることができない。そのようなガルバニック分離は、固体双方向スイッチ304がスイッチオフ状態にあるときに、固体双方向スイッチ304の漏れ電流に起因する不要な電流の流れを防ぐ。
【0063】
本明細書で論じられる他の実施形態と同様に、プロセッサ220は、1つ以上の処理アーキテクチャ(例えば、CPU、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ASICなど)を使用して実装され得る。いくつかの実施形態では、インテリジェント回路遮断器300の様々な構成要素(例えば、204、206、208、210、220、230、306、および/または308)の固体回路機構は、システムオンチップとして単一のダイに実装され得る。いくつかの実施形態では、インテリジェント回路遮断器230の様々な構成要素(例えば、204、206、208、210、220、230、306、および/または308)の固体回路機構は、高密度の異種統合ソリューションを提供するマルチチップモジュール(例えば、システムインパッケージ)として統合的にパッケージ化されている1つ以上の別個のダイ上に実装され得る。
【0064】
図3Bは、本開示の別の実施形態によるインテリジェント回路遮断器の概略ブロック図である。特に、
図3Bは、AC幹線110と負荷120との間に接続されたインテリジェント回路遮断器301を概略的に例示している。インテリジェント回路遮断器301は、インテリジェント回路遮断器201および300(
図2Bおよび
図3A)の構成要素の組み合わせから構成されており、したがって、様々な構成要素および関連付けられた機能性の詳細な説明を繰り返さない。インテリジェント回路遮断器301は、内部構成要素を誘導負荷からのエネルギーキックバックに起因する損傷から保護するために、活性線経路と中性線経路との間に接続されているスナバ310を備える。スナバ310は、スイッチ302および304の線路側ならびに/または負荷側に配置され得る。スイッチ302および304の線路側に位置するスナバは、スイッチ302および304がそれぞれスイッチ開放状態およびスイッチオン状態にあるときにのみ、内部回路を保護することが可能になる。しかしながら、
図3Bに示されるように、スイッチ302および304の負荷側に位置するスナバ310は、誘導負荷キックバック事象中にエアギャップ電磁スイッチ302内でアークが発生する可能性を排除するのに役立つ。スナバが、
図2A、2B、および3Aのインテリジェント回路遮断器の実施形態に実装され得ることを理解されたい。
【0065】
他の実施形態では、外部DC電源は、
図2A、2B、3A、および3Bのインテリジェント回路遮断器200、201、300、ならびに301の固体回路機構および構成要素(ならびに以降で論じられる回路遮断器の他の実施形態)にDC電力を提供するように実装され得る。例えば、インテリジェント回路遮断器が搭載された分電盤は、分電盤内のインテリジェント回路遮断器にDC電力を配電するように構成されているDC電池とDC電源バスとを有することができる。この事例では、DC電池は、AC幹線110のAC電力を、DC電池を充電するDC電力に変換するように構成されているAC-DC変換器に結合され得る。
【0066】
図2A、2B、3A、および3Bの例示的な実施形態は、プロセッサ220をリセットするためのプロセッサリセットスイッチ222を例示しているが、プロセッサリセットスイッチ222が任意選択の特徴であり、プロセッサリセットをもたらすために他の機構が実装され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、プロセッサ220は、プロセッサ220へのDC電源の喪失があるとき、またはプロセッサ200の内部障害状態があるときなどの特定の状況下でプロセッサ220をリセットするように構成されている内部リセット回路を備える。いくつかの実施形態では、プロセッサは、スイッチ制御回路機構306および308に制御線306-1および308-1上で出力される「CPU_OK」信号を生成するように構成されている。CPU_OK信号は、プロセッサ220および関連付けられたソフトウェアが正常に動作しているか否かの表示を提供する。CPU_OK信号が、プロセッサ200および/または関連付けられたソフトウェアが正常に動作していないことを示すとき、スイッチ制御回路機構306および308は、固体双方向スイッチ304を自動的にスイッチオフ状態にし、次いでエアギャップ電磁スイッチ302をスイッチ開放状態にする(ガルバニック分離のためのエアギャップを作成する)。このことは、プロセッサ220またはプロセッサ220のサブシステムが正しく動作していない状態下で、インテリジェント回路遮断器が負荷にサービス提供し続けないことを保証するハードウェアフェイルセーフ機構を提供する。
【0067】
例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサ220の内部リセット回路は、プロセッサ220のファームウェア内のすべてのサブシステムが正しく動作していると判定されたときに、ウォッチドッグタイマにサービス提供する(例えば、ウォッチドッグタイマをリセットする)ように構成されているウォッチドッグタイマおよび好適なアーキテクチャソフトウェアを備える。いくつかの実施形態では、ウォッチドッグタイマは、固有のクロックを実装する抵抗器/キャパシタネットワークを備える。ウォッチドッグタイマが有効である場合、タイマは、初期値から最終カウント値までカウントする。ウォッチドッグタイマが最終カウント値に達する前に初期カウント値に初期化されない場合、プロセッサ220は、リセットされる。プロセッサ220は、AC(したがってDC)電力の喪失、またはウォッチドッグタイマを最終カウント値に到達させる内部障害状態のためにリセットされ、その場合、プロセッサ220をリセットさせる制御信号が生成される。
【0068】
より具体的には、いくつかの実施形態では、プロセッサ220の内部リセット回路は、以下のように動作する。DC電力が最初にプロセッサ220に印加されると、プロセッサは、セルフチェックおよび初期化ルーチンを実行する。セルフチェックおよび初期化ルーチンが正常に完了した場合、プロセッサ220は、プロセッサ220および組み込みソフトウェアが正しく動作していることを示す論理「1」のCPU_OK制御信号を出力する。論理「1」のCPU_OK制御信号は、負荷120にサービス提供するのにスイッチ302および304を安全にアクティブ化することができることを示すために、スイッチ制御回路機構306および308に入力される。一方、論理「0」のCPU_OK制御信号は、スイッチ制御回路機構306および306に対して、スイッチ320および304を非アクティブ化すべきであるか、またはアクティブ化すべきではないことを示す(CPU_OKが論理「0」レベルにアサートされた時点で非アクティブ化される場合)。プロセッサ220のリセット(例えば、起動リセット、または判定された内部プロセッサの障害による強制リセット)が行われると、制御信号CPU_OKは、プロセッサ220がリセットされて、完全に機能し、かつ想定どおりに動作すると判定されるまで、論理「0」レベルに保持される。
【0069】
プロセッサ220の通常の動作の一部としての、プロセッサ220のソフトウェアは、ファームウェア内のいくつかの点を継続的に監視して、プロセッサ220のすべてのサブシステムが想定どおりに適切に動作していることを確かめる。すべての監視された点が正しく動作していると判定された場合には、ウォッチドッグタイマは、サービス提供される(例えば、カウンタが初期値にリセットされる)。監視された点のうちのいずれか1つが、機能していないか、または正しく動作していないと判定された場合、ウォッチドッグタイマは、サービス提供されず、ウォッチドッグタイマは、最終的に最大カウント値に到達する。いくつかの実施形態では、ウォッチドッグタイマは、およそ1秒の時間を定義するカウントシーケンスを有する。ウォッチドッグタイマが、プロセッサ220のリセット制御ソフトウェアによってサービス提供されない場合、ウォッチドッグタイマは、約1秒後に「発火」し、プロセッサ220をリセットし、これにより、CPU_OK制御信号が、論理「0」レベルに遷移する。CPU_OK信号の論理「1」から論理「0」への遷移は、スイッチ制御回路機構306および308をトリガして、固体双方向スイッチ304をスイッチオフ状態にし、エアギャップ電磁スイッチ302をスイッチ開放状態にする。
【0070】
さらに、プロセッサ220のリセットシーケンスの一部としての、いくつかの実施形態では、(プロセッサ220に設計された)ハードウェア表示があり、これは、プロセッサリセットがウォッチドッグタイマリセットまたは電源投入リセットによって引き起こされたかどうかを示す。プロセッサリセットが電源投入リセットによって引き起こされる場合、プロセッサ220のファームウェアは、通常の起動初期化処理を進める。一方、プロセッサリセットがウォッチドッグタイマによってトリガされる場合、プロセッサ220のファームウェアは、通常の起動初期化の代わりに、「ウォッチドッグタイマリセットからの回復」初期化パスを進める。ユーザにとって、ウォッチドッグのタイマリセットは、通常の過電流「トリップ」状態のように見える(プロセッサのリセットが内部ウォッチドッグのタイマリセットによって引き起こされたという、クラウドまたはリモートコンピューティングデバイスへの通信を伴う)。
【0071】
このリセットシーケンスにより、ファームウェアは、連続したウォッチドッグタイマリセットの回数が事前定義された閾値数(例えば、5)を超えたかどうかを判定する。連続したウォッチドッグタイマリセットの回数が事前定義された閾値数を超えると判定された場合、内部障害または内部障害状態が宣言され、インテリジェント回路遮断器にサービス提供され、かつカウンタがリセットされるまで、インテリジェント回路遮断器は、無効にされる。この場合、プロセッサファームウェアは、内部障害を宣言し、クラウド通知、ステータスLED、および他の利用可能なユーザインターフェースを介してエラーを報告し、インテリジェント回路遮断器にサービス提供されるまでインテリジェント回路遮断器を手動で投入することを許可しない。一方、連続したウォッチドッグタイマのリセットの回数が所定の閾値数を超えていない場合、ウォッチドッグタイマのリセット後に、インテリジェント回路遮断器を手動でリセットすることができる。
【0072】
つまり、ウォッチドッグタイマリセット事象は、設計上「通常の過電流トリップ」のように見え、リセットの直後に実行されるプロセッサファームウェアの結果である。プロセッサファームウェアは、プロセッサリセットがウォッチドッグタイマによって引き起こされたかどうかを判定し、そうである場合、回復は、ウォッチドッグタイマリセット事象を示すクラウドへの通信を伴って、「トリップ」事象をエミュレートすることによって行われ、そのようにプロビジョニングされる場合、エアギャップスイッチ302が手動または制御信号を介して自動的にスイッチ閉鎖状態にされると、通常の動作が継続することが可能になる。ウォッチドッグタイマが発火すると(または電力が(再)印加されると)プロセッサ220がもはや機能しなくなる場合、ユニットは、完全に機能せず、負荷に対するACは、設計によってオフであることが保証される。ウォッチドッグタイマリセット直後にプロセッサ220が機能しなくなる稀なケースでは、クラウドへの通信は、初期化中の「回復」パスの一部であるため、クラウドへの事象の通信は行われない。
【0073】
図2A、2B、3A、および3Bのインテリジェント回路遮断器の例示的な実施形態は、従来の回路遮断器設計に勝る様々な利点を提供する。例えば、電圧および電流センサ、プロセッサ、ならびに無線通信サブシステムの実装は、インテリジェント回路遮断器が回路遮断器の動作状態および負荷を検知し、どの遮断器がトリップしたかについて無線通信を行う能力を提供し、回路遮断器パネル内で識別することをはるかに容易にする。このことは、プロセッサによって制御されるフロントパネルにLED信号を追加することで拡張され得る。この特徴は、障害事象中、電源供給されたままであるAC-DC変換器回路を追加することで有効になる。
【0074】
さらに、インテリジェント回路遮断器は、病院内の回路が過負荷であるか、またはほぼ過負荷である場合などの生命安全用途、および軍の指揮統制施設などの同様の用途で、時間を節約することができる。そのような環境のメンテナンス技師または電気技術者には、現地の影響を受ける人員がメンテナンスサポートに連絡する必要を伴わずに、問題を起こしている負荷にその者らを誘導するための情報を用いて、差し迫ったまたは既存の障害を無線で通知することができる。負荷が分析され、解明され、かつ遮断器が再通電されるかまたは開放を防止される速さは、患者の正常な治療、または重大なジョブ機能の継続にとって重大であり得る。いくつかの実施形態では、インテリジェント回路遮断器との無線通信により、技師または電気技術者は、インテリジェント回路遮断器をリモート制御するための所定のコマンドを使用して、負荷をリモートで再通電することが可能になる。
【0075】
第3の例として、例えば、
図3Aおよび3Bのインテリジェント回路遮断器に実装されている固体スイッチ技術は、
図1Aの電気機械均等物の大体1000倍高速で、かつ固体電子機器のアークフリーな非移動性に起因する追加の信頼性を有して、障害を切断することができる。追加の速さは、回路、電気デバイス、負荷、火災、および個人的な損傷の可能性をさらに低減する。いくつかの実施形態では、固体スイッチは、負荷での短絡電流中に発生するAC電源の崩壊中に1サイクル未満で開放される。
【0076】
図4Aは、本開示の一実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得るAC-DC変換器回路400の概略ブロック図である。AC-DC変換器回路400は、DC電圧を生成するための整流器を必要としないアーキテクチャを備える。AC-DC変換器回路400は、突入保護回路410、サンプリング回路420、スイッチドライバ回路430、制御スイッチおよびクランプ回路440、蓄電回路450、電圧レギュレータ回路460、およびガルバニック分離回路470を備える。AC-DC変換器回路400は、負荷回路機構402に印加されるDC供給電圧を生成する。
【0077】
突入保護回路410は、AC-DC変換器回路400への入力電流の大きさを制限するように構成されている。サンプリング回路420は、AC幹線110のAC供給電圧波形をサンプリングするように構成されている。サンプリング回路420は、スイッチドライバ回路430にサンプリング電圧を出力する。スイッチドライバ回路430は、制御スイッチおよびクランプ回路440の制御スイッチに制御電圧を印加するように構成されている。制御スイッチおよびクランプ回路440は、スイッチドライバ回路430によって印加される制御電圧に応答して、蓄電回路450に電力を供給するように構成されている。蓄電回路450は、電圧レギュレータ回路460に印加されるDC電圧を蓄電するように構成されている電圧蓄電素子(例えば、コンデンサ)を含む。電圧レギュレータ回路460は、負荷回路機構402への安定化DC供給電圧を生成するように構成されている。
【0078】
いくつかの実施形態では、スイッチドライバ回路430は、蓄電回路450からフィードバック電圧480を受信し、少なくとも部分的にフィードバック電圧480に基づいて、制御スイッチおよびクランプ回路440に印加される制御電圧を生成する。いくつかの実施形態では、フィードバック電圧480を排除することができ、AC-DC変換器回路400は、蓄電回路450の蓄電素子が前方側素子420、430、および440から制御されるフィードフォワード変換器として動作する。
【0079】
いくつかの実施形態では、AC-DC変換器回路機構400は、フィードフォワード制御とフィードバック制御との両方をサポートするために、負荷回路機構402からスイッチドライバ回路430へのフィードバック制御回路490を実装する。いくつかの実施形態では、フィードフォワード制御とフィードバック制御とのバランスは、フィードバック電圧480とサンプリング回路機構420内の構成要素の選択とによって決定される。いくつかの実施形態では、フィードフォワード制御とフィードバック制御との間のバランスは、サンプリング回路機構420内の抵抗器素子とフィードバック電圧480とに従って構成されている。他の実施形態では、可変素子を利用して、フィードフォワード制御およびフィードバック制御の調整を可能にする。そのような実施形態では、フィードバック回路機構490は、スイッチドライバ回路430と負荷回路機構402との間のガルバニック分離を備えるであろう。
【0080】
図4Bは、本開示の一実施形態による、
図4AのAC-DC変換器回路の概略回路図である。
図4Bの例示的な実施形態では、突入保護回路機構410は、AC幹線110の線路活性111に接続された第1の入力抵抗器411と、AC幹線110の線路中性112に接続された第2の入力抵抗器412と、を備える。他の実施形態では、高電力および高効率の用途のために、突入保護回路機構410は、起動時に電流が抵抗器411および412を流れ、次いで、定常状態動作に達すると抵抗器411および412を迂回することを可能にするように構成されているスイッチ素子を備える。他の実施形態では、突入保護回路機構410は、第1および第2の抵抗器411および412の代わりに第1および第2のインダクタ素子を備える。
【0081】
サンプリング回路機構420は、示されるように様々なノードN1、N2、N3、およびN4に接続されている複数の抵抗器421、422、423、および424を備える。抵抗器421、422、および423は、入力AC波形をサンプリングするための分圧器ネットワークを形成し、分圧器ネットワークは、フィードバックノードN2および出力ノードN3を備える。抵抗器424は、フィードバックノードN2と蓄電回路機構450の出力ノードN4との間に接続されて、蓄電コンデンサ452からのフィードバック電圧を提供する。スイッチドライバ回路機構430は、ノードN1およびN5間に接続された抵抗器431、およびスイッチ素子432を備える。制御スイッチおよびクランプ回路機構440は、制御スイッチ素子441、抵抗器442、およびツェナーダイオード443を備える。蓄電回路機構450は、ダイオード451および蓄電コンデンサ452を備える。電圧レギュレータ回路機構460は、スイッチ素子461、抵抗器462、ツェナーダイオード463、およびコンデンサ464を備える。
【0082】
いくつかの実施形態では、スイッチ素子432、441、および461は、
図4Bに示されるように、ゲート端子G、ドレイン端子D、およびソース端子Sを有するn型エンハンスメントMOSFETデバイスを備える。他の実施形態では、スイッチ素子432、441、および461は、バイポーラトランジスタまたは微小電気機械スイッチを使用して実装され得る。
図4Bに示されるように、スイッチ素子443は、サンプリング回路機構420の分圧器ネットワークの出力ノードN3に接続されたゲート端子Gと、スイッチドライバ回路機構430の出力ノードN5に接続されたドレイン端子Dと、突入保護回路機構410の出力ノードN3に接続されたソース端子Sと、を備える。スイッチ素子432のドレイン端子Dは、抵抗器431を介して突入保護回路機構410の出力ノードN1に結合されている。
【0083】
制御スイッチ441は、突入回路機構410の出力ノードN1に接続されたドレイン端子Dと、スイッチドライバ回路機構の出力ノードN5に接続されたゲート端子Gと、蓄電回路450の入力(すなわち、ダイオード451のアノード)に接続されたソース端子Sと、を備える。ツェナーダイオード443は、制御スイッチ441のゲート端子Gとソース端子Sとの間に接続されており、ツェナーダイオード443のカソードは、制御スイッチ441のゲート端子Gに接続されており、ツェナーダイオード443のアノードは、制御スイッチ441のソース端子Sに接続されている。
【0084】
電圧レギュレータ回路機構460のスイッチ素子461は、蓄電回路機構450の出力ノードN4に接続されたドレイン端子Dと、抵抗器462とツェナーダイオード463との間のノードN7に接続されたゲート端子Gと、電圧レギュレータ回路機構460の出力ノードN8に接続されたソース端子Sと、を備える。コンデンサ464は、電圧レギュレータ回路機構460の出力ノードN8と、突入保護回路機構410の出力ノードN6と、の間に接続されている。
【0085】
抵抗器424(または検知抵抗器)は、蓄電回路450の出力ノードN4の間に接続されて、抵抗器424を介してサンプリング回路機構420のフィードバックノードN2に印加されるフィードバック電圧を提供する。ノードN4およびN2間の抵抗器424の接続によって提供されるフィードバック経路は、
図4Aに示されるようなフィードバック電圧480の例示的な実施形態を提供し、蓄電コンデンサ452の電荷を部分的に利用して、スイッチドライバ回路機構430のスイッチ素子432のゲート端子Gに接続されたサンプリング回路機構420の出力ノードN3で制御電圧を生成する。
【0086】
スイッチ素子432は、サンプリング回路機構420の分圧器ネットワークの出力ノードN3で生成されたゲート制御電圧によって駆動される。スイッチ素子432のゲーティングは、スイッチドライバ回路機構430の制御スイッチ441の動作を制御する。抵抗器421、422、423、および424の抵抗値は、スイッチドライバ回路機構430のスイッチ素子432のゲート端子Gに印加される分圧器ネットワークのノードN3上の電圧が、スイッチ素子432をターンオンおよびターンオフさせ、それによって制御スイッチ素子441を同期してターンオンおよびターンオフさせるように選択されている。それによって制御スイッチ素子441は、蓄電コンデンサ452を充電するために事前選択された時限出力パルスを出力するように駆動される。
【0087】
制御スイッチ441のピーク出力電流は、ツェナーダイオード443のツェナー電圧(すなわち、逆降伏電圧)の事前選択値に基づいて事前選択値にクランプされ、最大ゲートソース間電圧(VGS)は、ツェナーダイオード443のツェナー電圧によって制限される。制御スイッチ441からのパルス出力は、ダイオード451をターンオンさせ、ノードN4に電荷を供給して蓄電コンデンサ452を充電するように動作する。蓄電回路機構450の出力ノードN4とサンプリング回路機構420のフィードバックノードN2との間に接続された抵抗器424によって提供されるフィードバックは、スイッチドライバ回路430を駆動して、蓄電コンデンサ452を一定の電荷に維持するように機能する。
【0088】
スイッチ素子432および制御スイッチ441は、AC電圧入力と同期して、開放または閉鎖のいずれかにアクティブ化される。AC-DC変換器回路400は、入線するAC源の周波数でパルス変調された低電圧出力を提供する。スイッチ432および441は、AC源のゼロ交差のスイッチ432および441の閾値電圧内の近傍の電圧で、開放または閉鎖のいずれかにアクティブ化される。蓄電回路機構450の出力ノードN4は、電圧レギュレータ回路機構460の入力に印加され、次いで負荷回路402に印加される。コンデンサ464は、バッファするための蓄電静電容量を提供し、それによってAC-DC変換器400から負荷回路機構402への出力を平滑化する。
【0089】
まとめると、
図4Aおよび
図4Bに示される例示的なAC-DC変換器回路400は、突入保護回路410、電圧サンプリング回路420、スイッチドライバ回路430、制御スイッチおよびクランプ回路440、蓄電回路450、ならびに電圧レギュレータ回路460を備える。電圧サンプリング回路420の構成要素の選択は、スイッチドライバ430のタイミングを決定する。制御スイッチおよびクランピング回路440の構成要素の選択は、出力パルスのピーク電圧および電流を決定する。電力出力は、ピーク電流とパルスタイミングとの両方の選択によって制御される。電圧サンプリング回路420を介した蓄電素子452からのフィードバックを利用して、パルスタイミングを選択する。AC-DC変換器回路400は、AC幹線110のAC電圧波形と同期して動作する。
【0090】
他の実施形態では、
図2A、2B、3A、および3Bに示されるAC-DC変換器回路機構(および以降で説明されるようなインテリジェント回路遮断器の他の実施形態)は、以下の同時係属出願に開示されるのと同じまたは類似のDC電力変換技術を使用して実装され得る。(1)2018年10月9日に出願された、High-Efficiency AC to DC Converter and Methodsという名称の米国特許出願第16/092,263号(公開第US2019/0165691号)、および(2)2019年4月9日に出願された、High-Efficiency AC Direct to DC Extraction Converter and Methodsという名称の米国特許出願第16/340,672号(公開第US2019/0238060号)であり、これらの開示はすべて参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0091】
図5は、本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得るAC-DC変換器回路500の概略回路図である。特に、
図5は、サンプルホールドAC-DC変換器回路500の例示的な実施形態を概略的に例示しており、これは、2018年7月7日に出願された、Method and Apparatus for Signal Extraction with Sample and Hold and Releaseという名称の米国特許出願第16/029,546号開示されているような技術を使用して実装でき、その開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる。AC-DC変換器回路500は、AC幹線110のAC電圧波形からDC供給電圧を生成するように構成されている。AC-DC変換器回路500は、第1および第2の抵抗器501および502、第1のスイッチ510、第2のスイッチ512、コントローラ520、ダイオード530、蓄電コンデンサ540、電圧レギュレータ550、ならびに出力コンデンサ560を備える。
図5の例示的な実施形態では、第1および第2のスイッチ510および512は、図示されるようにゲート端子G、ドレイン端子D、およびソース端子Sを有するN型エンハンスメントMOSFETを備える。
【0092】
抵抗器501および502は、第1のスイッチ510のゲート端子Gを駆動する出力ノードN1を有する分圧器回路を形成する。第1のスイッチ510のソース端子Sは、中性/接地114に接続されており、第1のスイッチ510のドレイン端子Dは、第2のスイッチ512のゲート端子Gに、およびコントローラ520に接続されている。第2のスイッチ512のドレイン端子Dは、線路活性111に接続されており、第2のスイッチ512のソース端子Sは、コントローラ520の入力に接続されている。コントローラ520は、ダイオード530のアノードに接続されている出力を有する。ダイオード530および蓄電コンデンサ540は、
図4Bに示されるものと同様の蓄電回路を形成する。加えて、電圧レギュレータ550および出力コンデンサ560は、
図4Bに示されるものと同様の電圧レギュレータ回路を形成する。
【0093】
ここで、
図3Aおよび3Bに示されるような(および以降で論じられる他の例示的な実施形態で実装されるような)固体双方向スイッチ304の例示的な実施形態を、
図6A~6Hと併せてさらに詳細に論じる。例えば、
図6Aは、本開示の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る固体双方向スイッチ600-1の概略回路図である。特に、
図6Aは、AC幹線110から負荷120に給送されるAC電力を制御するための、
図3Aおよび3Bに示される固体双方向スイッチ304の例示的な実施形態を例示している。固体双方向スイッチ600-1は、固体双方向スイッチ600-1がスイッチオン状態にあるときに、AC幹線110と負荷120との間の電流の双方向の流れを可能にし(すなわち、正電流または負電流を伝導し)、固体双方向スイッチ600-1がスイッチオフ状態にあるときに、AC幹線110と負荷120との間の正または負の電流の流れを阻止するように構成されている。
【0094】
固体双方向スイッチ600-1は、線路活性111と負荷活性121との間の活性線経路に沿ってバックトゥーバックで直列に接続されている第1のMOSFETスイッチ601および第2のMOSFETスイッチ602を備える。いくつかの実施形態では、第1および第2のMOSFETスイッチ601および602は、図示されるようにゲート端子(G)、ドレイン端子(D)、およびソース端子(S)を有する電力MOSFETデバイス、および特にN型エンハンスメントMOSFETデバイスを備える。
図6Aの例示的な実施形態(および本明細書で論じられる他の実施形態)では、固体双方向スイッチ600-1は、共通接続されたソース端子を有する2つのNチャネルMOSFETスイッチ601および602を使用して実装されている。
【0095】
第1および第2のMOSFETスイッチ601および602は、それぞれ、P型基板ボディとMOSFETデバイスのNドープドレイン領域との間のP-N接合を表す内部ボディダイオード601-1および602-1を備える。ボディダイオード601-1および602-1は、MOSFETスイッチ601および602の内部素子であり(すなわち、ディスクリート素子ではない)、したがって、破線の接続で示されている。MOSFETスイッチ601および602の内部ボディソース間ダイオードは、ソース領域と基板ボディとの間の接続によって短絡される(例えば、N+ソースとPボディとの接合は、ソースメタライゼーションを介して短絡される)ため、図示されていないことに留意されたい。
【0096】
固体双方向スイッチ600-1は、第1および第2の抵抗器603および604、第1および第2の整流器ダイオード605および606、ツェナーダイオード608、ならびに単極単投(SPST)スイッチ素子607をさらに備える。第1の抵抗器603および第1の整流器ダイオード605は、第1のMOSFETスイッチ601のドレイン端子(D)とゲート端子(G)との間に直列に接続されている。第2の抵抗器604および第2の整流器ダイオード606は、第2のMOSFETスイッチ602のドレイン端子(D)とゲート端子(G)との間に直列に接続されている。スイッチ607およびツェナーダイオード608は、第1および第2のMOSFETスイッチ601および602の共通接続されたソース端子(S)と共通接続されたゲート端子(G)との間に並列に接続されており、ツェナーダイオード608のアノードは、ソース端子に接続されており、ツェナーダイオード608のカソードは、ゲート端子に接続されている。
【0097】
ツェナーダイオード608は、電力MOSFETスイッチ601および602の閾値電圧VTよりも大きい逆降伏電圧(「ツェナー電圧」VZと称される)を備える。固体双方向スイッチ600-1のスイッチオン状態中、ツェナーダイオード608は、直列接続された第1の抵抗器603および第1の整流器ダイオード605を備える第1のバイアス分岐回路を通して、または直列接続された第2の抵抗器604および第2の整流器ダイオード606を備える第2のバイアス分岐回路を通して「逆方向」となる。第1および第2の整流器ダイオード605および606は、電力MOSFETスイッチ601および602のドレイン端子Dにそれぞれ結合されており、それぞれ第1および第2の整流器ダイオード605および606を流れる電流の量を制限するように機能する第1および第2の抵抗器603および604によって保護される。
【0098】
固体双方向スイッチ600-1は、概して、以下のように動作する。
図6Aに示されるように、スイッチ607が「開放」状態にあるとき、第1のバイアス分岐(603~605)および第2のバイアス分岐(604~606)は、いずれかのドレイン端子Dがツェナー電圧を超えると、ツェナーダイオード608に「逆バイアス」を提供し、それによって電力MOSFETスイッチ601および602を「オン」状態にする。スイッチ607が「閉鎖」状態にあるとき、スイッチ607は、第1および第2のバイアス分岐(603~605)および604~608からのバイアス電流を電力MOSFETスイッチ601および602のソースS端子に分流し、MOSFETスイッチ601および602を「オフ」状態にする。この回路構成では、電流制限抵抗器603および604の値および電力MOSFETスイッチ601および602のゲートソース間静電容量によって「ターンオン」時定数が決まり、MOSFETスイッチ601および602の内部静電容量およびスイッチ607のオン抵抗によって「ターンオフ」時定数が決まる。「ターンオン」時定数および「ターンオフ」時定数は、AC幹線110の周期よりもはるかに短く設計され得、これにより、固体双方向スイッチ600-1がオンオフモードと位相制御モードとの両方で動作することが可能になる。しかしながら、実際には、ツェナーダイオード608は、そのツェナー電圧に達することはない可能性があり、MOSFETスイッチ601および602のゲートソース間電圧が閾値電圧V
Tを超えることはほとんどない。したがって、MOSFETスイッチ601および602はいずれも完全に「オン」にならない可能性があり、ユニット内の過剰な電力散逸、および負荷120に供給される電流の低減をもたらす。
【0099】
図6Bは、固体双方向スイッチ600-1に印加されるAC幹線110の供給電圧波形の正の半サイクル中における、
図6Aの固体双方向スイッチ600-1のアクティブ素子を例示している。スイッチ607が、第1のMOSFETスイッチ601がターンオンすることを可能にする開放状態にあるとき、供給電圧がゼロボルトから増加すると、第1のMOSFETスイッチ601のゲート電圧は、AC幹線110の供給電圧波形の正の偏移に追従し始める。ゲート電圧が第1のMOSFETスイッチ601の閾値電圧に達すると、負荷120に電流が流れ始め、第2のMOSFETスイッチ602のボディダイオード602-1は、順バイアスされる。第1のMOSFETスイッチ601のソース電圧は、増加するゲート電圧に「追従する」が、負荷120に供給される電流を考慮するための追加のバイアスを閾値電圧の値に加えた分だけ遅れる。この状態は、AC幹線110の電圧波形が負になるまで維持される。したがって、第1のMOSFETスイッチ601のドレインソース間電圧は、第1のMOSFETスイッチ601のドレインソース間抵抗にかかわらず、閾値電圧を下回ることはなく、第1のMOSFETスイッチ601で散逸する電力は(I
D×V
T)となり、ここで、I
Dは、ドレイン電流である。ゲート電圧が閾値電圧を十分に超えてブーストされる場合、散逸電力は、(I
D
2×r
ds)によって与えられ、ここで、r
dsは、第1のMOSFETスイッチ601の「オン」抵抗であり、(I
D
2×r
ds)の値は、(I
D×V
T)の値よりも有意に小さくなり得る。
【0100】
一方、固体双方向スイッチ600-1に印加されるAC幹線110の供給電圧波形の負の半サイクル中、固体双方向スイッチ600-1のアクティブな構成要素は、第1のMOSFETスイッチ601のボディダイオード601-1、ツェナーダイオード608、第2のMOSFETスイッチ602、ならびに第2の分岐素子604および606を含む。第2のMOSFETスイッチ602のゲート電圧は、0Vで開始し、ソース電圧が負の閾値電圧(-VT)まで低下すると、負のソース電圧に追従し始め、電流は、負荷120を流れ始め、第1のMOSFETスイッチ601のボディダイオード601-1は、順バイアスされる。第2のMOSFETスイッチ602のドレイン電圧は、ゲート電圧に効果的にクランプされ、AC幹線110の供給電圧波形が正になるまで、ドレインソース間電圧VDSは、-VTのままである。この結果、第2のMOSFETスイッチ602のVDSは、第2のMOSFETスイッチ602のドレインソース間抵抗に関わらず、AC幹線110の電源電圧波形のゼロ交差周辺を除いて閾値電圧を下回ることはなく、散逸電力は、負の半サイクルで(ID×VT)である。
【0101】
図6Cは、本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る固体双方向スイッチ600-2の概略回路図である。固体双方向スイッチ600-2は、固体双方向スイッチ600-2がSPSTスイッチ607の代わりに単極双投(SPDT)スイッチ素子612を実装し、ツェナーダイオード608と並列に接続されているコンデンサ613をさらに備えることを除いて、
図6Aの固体双方向スイッチ600-1と回路構成が同様である。双極スイッチ612は、制御線610-1によって双極スイッチ612に結合されているスイッチ制御回路610によって制御される。いくつかの実施形態では、スイッチ制御回路610は、
図3Aおよび3Bに示されるスイッチ制御回路機構308の実施形態を備える。スイッチ制御回路610は、双極スイッチ612を動作させて、第1および第2のMOSFETスイッチ601および602のゲートG端子を、(i)第1および第2のMOSFETスイッチ601および602のソースS端子(「位置1」)または(ii)第1および第2の抵抗器603および604、第1および第2の整流器ダイオード605および606、ならびにコンデンサ613(「位置2」)を備えるバイアス回路機構に選択的に接続する。
【0102】
スイッチ612が位置1に設定されると、第1および第2のMOSFETスイッチ601および602は、「オフ」状態に維持される。スイッチ制御回路610は、AC幹線110の供給電圧波形が事前確立されたトリガレベルVTRIGを超えるまで、スイッチ612を位置1に維持し、超えるとすぐに、スイッチ612を位置2に設定するように構成されている。この事例では、AC幹線110の正の半サイクル中、スイッチ制御回路610は、スイッチ612を動作させて、AC供給電圧波形がVTRIGに達するまで、第1および第2のMOSFETスイッチ601および602を「オフ」状態に維持し、第1のMOSFETスイッチ601のソースS端子が0ボルトのままである間、バイアス回路機構603、605、613がVTRIGに充電されることを可能にする。
【0103】
スイッチ612が位置2にされると、第1のMOSFETスイッチ601のゲート端子にバイアス電圧VTRIGが印加され、それによってバイアス電圧値が、閾値電圧VTよりもはるかに大きくなり得る。第1のMOSFETスイッチ601のソース端子は、VTRIG-VTへの充電を開始し、この電圧ステップの一部は、コンデンサ613を介して第1のMOSFETスイッチ601のゲート端子に結合される。このことにより、ゲートバイアスがVTRIGを十分に超えて増大し、これにより、ゲートバイアスは、ACソース601の電圧値を超える。したがって、第1のMOSFETスイッチ601は、ドレインソース間電圧がほぼゼロである一方、ゲートソース間電圧は、VTRIGよりも大きい状態に達する。この状態では、第1のMOSFETスイッチ601は、その最小チャネル抵抗RDSを呈し、負荷120に最大電圧が現れる。
【0104】
図6Dは、本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る固体双方向スイッチ600-3の概略回路図である。固体双方向スイッチ600-3は、
図6Cの固体双方向スイッチ600-2と回路構成が同様であり、双極スイッチ612は、スイッチ制御回路620によって制御される第1および第2の制御スイッチ621および622を使用して実装されている。スイッチ制御回路620は、第1の制御スイッチ621に結合されている第1の制御線620-1と、第2の制御スイッチ622に結合されている第2の制御線620-2と、を備える。いくつかの実施形態では、第1および第2の制御スイッチ621および622は、フォトトランジスタ(例えば、光バイポーラ接合トランジスタ)を備える。
【0105】
スイッチ制御回路620は、線路活性経路111上の供給電圧波形の電圧レベルを監視する。電圧レベルが所定のトリガレベルであるトリガレベルVTRIG未満のままである間、スイッチ制御回路620は、制御線620-1上に光制御信号を出力して、第1の制御スイッチ621を駆動する(すなわち、スイッチ621を「オン」状態に維持する)一方、第2の制御スイッチ622は、オフ状態に維持される。一方、電圧レベルが所定のトリガレベルであるトリガレベルVTRIGを超えると、スイッチ制御回路620は、制御線620-2上に光制御信号を出力して、第2の制御スイッチ622を駆動する(すなわち、第2の制御スイッチ622を「オン」状態に維持する)一方、第1の制御スイッチ621は、オフ状態に維持される。いくつかの実施形態では、スイッチ制御回路620は、光駆動制御信号出力620-1および620-2が重複せず、それによってコンデンサ613を早期に放電することを回避する、「ブレークビフォーメイク」スイッチ特性を提供するように構成されている。
【0106】
図6Eは、本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る固体双方向スイッチ600-4の概略回路図である。固体双方向スイッチ600-4は、固体双方向スイッチ600-4が、ツェナーダイオード608と並列に接続されているコンデンサ613を備え、第2の抵抗器604および第2の整流器ダイオード606を備える第2のバイアス分岐が、第2のMOSFETスイッチ602のドレイン端子Dに接続されているのとは対照的に、AC幹線110の線路神経112に接続されていることを除いて、
図6Aの固体双方向スイッチ600-1と回路構成が同様である。
【0107】
固体双方向スイッチ600-4の構成は、
図6Aの構成のために発生するクランプ動作を回避し、第2のMOSFETスイッチ602のソース端子Sが-V
Zに降下すると、ツェナーダイオード608がそのツェナー電圧V
Zに達することを可能にする。このことにより、第2のMOSFETスイッチ602のゲートソース間電圧は、比較的小さい結果となるV
Tよりも著しく大きくなり得るV
Zとなり、それにより、比較的小さなドレインソース間抵抗値(R
DS)を呈し、電力散逸を減少させる。さらに、ブーストされたゲートソース間バイアスは、MOSFETスイッチ601および602ならびにコンデンサ613の内部ゲートソース間静電容量に記憶され、AC幹線110の供給電圧波形のその後の正半サイクル中に維持される。したがって、MOSFETスイッチ601および602は、スイッチ607が閉鎖されるまで、最小R
DS構成のままである。
【0108】
第1の抵抗器603および第1の整流器ダイオード605(バイアス分岐素子)は、正の半サイクル中に初期のターンオン特性を改善するように維持され、MOSFETスイッチ601および602の内部ゲートソース間静電容量と並列の追加のコンデンサ613は、ブーストされたゲートソース間バイアス電圧の記憶をより堅牢にすることを可能にする。固体双方向スイッチ600-4が位相制御モードで利用されるとき、スイッチ607は、AC幹線110の供給電圧波形の各サイクル中に所定の期間閉鎖される。コンデンサ613は、スイッチ607が閉鎖されている間にスイッチ607を介して放電されることから、MOSFETスイッチ601および602をターンオンさせるために必要とされるゲートソース間バイアスは、各サイクル中に再確立されなければならない。この結果として、スイッチ607が閉鎖されると負の半サイクル中に提供されたブーストがリセットされることから、AC幹線110の電圧波形の正の半サイクル中にスイッチ607が開放された場合、第1のMOSFETスイッチ601は、準最適モードで動作する。
【0109】
図6Fは、本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る固体双方向スイッチ600-5の概略回路図である。固体双方向スイッチ600-5は、固体双方向スイッチ600-5がSPSTスイッチ607の代わりにSPDTスイッチ632を実装し、第1および第2のMOSFETスイッチ601および602のゲート端子がSPDTスイッチ632の入力に直接接続されていることを除いて、
図6Eの固体双方向スイッチ600-4と回路構成が同様である。SPDTスイッチ632は、制御線630-1によってSPDTスイッチ632に結合されているスイッチ制御回路630によって制御される。いくつかの実施形態では、スイッチ制御回路630は、
図3Aおよび3Bに示されるスイッチ制御回路機構308の実施形態を備える。スイッチ制御回路630は、MOSFETスイッチ601および602のゲート端子を、(i)MOSFETスイッチ601および602の共通接続されたソース端子S(「位置1」)、または(ii)抵抗器603および604、整流器ダイオード605および606、ならびにコンデンサ613(「位置2」)のいずれかに選択的に接続するように、SPDTスイッチ632を動作させる。
【0110】
より具体的には、この回路構成では、スイッチ632を位置1にアクティブ化することは、MOSFETスイッチ601および602のゲート端子をツェナーダイオードバイアス回路から切断し、かつ第1および第2のMOSFETスイッチ601および602のVGSを短絡させることによって、MOSFETスイッチ601および602をターン「オフ」させる。このことにより、コンデンサ613は、コンデンサ613が外部回路機構を通して放電されるか、またはスイッチ632が位置2にされるまで、ツェナーダイオード608のツェナー電圧に充電されることが可能になり、結果として、記憶されたツェナー電圧がゲート端子に再印加され、続いて、負の半サイクル中に、ゲートソース間バイアス電圧がリフレッシュされる。いくつかの実施形態では、一旦充電されると、コンデンサ613は、AC電力が除去されるまで、抵抗器603および604ならびにコンデンサ613の値が適切に選択されている限り、スイッチ632の位相または位置に関係なく、完全に放電されることはない。
【0111】
図6Gは、本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る固体双方向スイッチ600-6の概略回路図である。固体双方向スイッチ600-6は、
図6Fの固体双方向スイッチ600-5と回路構成が同様であり、(
図6Fの)SPDTスイッチ632は、スイッチ制御回路640によって制御される第1および第2の制御スイッチ641および642を使用して実装されている。スイッチ制御回路640は、第1の制御スイッチ641に結合されている第1の制御線640-1と、第2の制御スイッチ642に結合されている第2の制御線640-2と、を備える。いくつかの実施形態では、第1および第2の制御スイッチ641および642は、フォトトランジスタ(例えば、光バイポーラ接合トランジスタ)を備える。
【0112】
スイッチ制御回路640は、光制御信号出力640-1および640-2をAC幹線110の供給電圧波形に同期させるように構成されている。スイッチ制御回路640は、線路活性経路111上の供給電圧波形の電圧レベルを監視する。電圧レベルが所定のトリガレベルであるトリガレベルVTRIG未満のままである間、スイッチ制御回路640は、制御線640-1上に光制御信号を出力して、第1の制御スイッチ641を駆動する(すなわち、スイッチ641を「オン」状態に維持する)一方、第2の制御スイッチ642は、オフ状態に維持される。一方、電圧レベルが所定のトリガレベルであるトリガレベルVTRIGを超えると、スイッチ制御回路640は、制御線640-2上に光制御信号を出力して、第2の制御スイッチ642を駆動する(すなわち、第2の制御スイッチ642を「オン」状態に維持する)一方、第1の制御スイッチ641は、オフ状態に維持される。いくつかの実施形態では、スイッチ制御回路640は、光駆動制御信号出力640-1および640-2が重複せず、それによってコンデンサ613を早期に放電することを回避する、「ブレークビフォーメイク」スイッチ特性を提供するように構成されている。スイッチ制御の時定数は、調光器アプリケーションで使用されるように、印加されるAC波形の位相制御を提供するための外部制御回路機構(図示せず)を介してAC幹線110の供給電圧波形と同期して光駆動信号出力640-1および640-2を急速に切り替えることを可能にする。
【0113】
図6Hは、本開示の別の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る固体双方向スイッチ600-7の概略回路図である。固体双方向スイッチ600-7は、固体双方向スイッチ600-7が電流センサ回路650および電流検知素子652を備えることを除いて、
図6Gの固体双方向スイッチ600-6と回路構成が同様である。電流センサ回路650は、電流検知素子652を使用して、AC幹線110によって負荷120に給送されるAC電流を検知する。
図6Hの例示的な実施形態では、電流検知素子652は、直列接続された第1および第2のMOSFETスイッチ601および602間のノードに結合されている(例えば、MOSFETスイッチ601および602の共通接続されたソース端子Sのノードに結合されている)。いくつかの実施形態では、電流検知素子652は、変流器またはホール効果検知素子を含む。
【0114】
電流センサ回路650は、スイッチ制御回路640に、制御スイッチ641および642のアクティブ化および非アクティブ化を選択的に制御するための制御信号を生成し、出力するように構成されている。例えば、電流センサ回路650が、線路活性111と負荷活性121との間の活性線経路に電流の流れがないか、または過剰な電流があると判定すると、電流センサ回路650は、スイッチ制御回路640に制御信号を出力し、この制御信号により、スイッチ制御回路640は、(i)制御スイッチ642をターンオフさせ、それによって第1および第2のMOSFETスイッチ601および602をバイアス回路機構から切断し、(ii)制御スイッチ641をターンオンさせ、それによって第1および第2のMOSFETスイッチ601および602を非アクティブ化し、固体双方向スイッチ600-7をスイッチオフ状態にする。
【0115】
他の例示的な実施形態では、インテリジェント回路遮断器は、以下の同時係属出願および発行済み特許のうちのいずれか1つに開示されているのと同じまたは類似の固体ACスイッチング回路機構および技術を実装することができる。(1)2018年10月11日に出願された、Solid-State Line Disturbance Circuit Interrupterという名称の米国特許出願第16/093,044号(公開第US2019/0207375号)、(2)2019年11月5日に発行された、Electronic Switch and Dimmerという名称の米国特許第10,469,077号、(3)2018年11月7日に出願された、Electronic Switch and Dimmerという名称の国際特許出願第 PCT/US2018/059564号(国際特許出願第2019/133110号)、(4)2018年7月7日に出願された、Solid-State Power Interrupterという名称の米国特許出願第16/029,549号、(5)2018年10月1日に出願された、Circuit Interrupter with Optical Connectionという名称の米国特許出願第16/149,094号、および(6)2019年10月1日に出願された、Solid-State Circuit Interruptersという名称の米国特許出願第16/589,999号であり、これらの開示はすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0116】
図7Aおよび
図7Bは、本開示の一実施形態による、固体双方向スイッチを制御するためのスイッチ制御回路を概略的に例示している。特に、
図7Aは、本開示の実施形態による、固体双方向スイッチを制御するためのインテリジェント回路遮断器に実装され得るスイッチ制御回路の概略ブロック図であり、
図7Bは、本開示の実施形態による、
図7Aのスイッチ制御回路の概略回路図である。
図7Aおよび7Bは、
図3Aおよび3Bの例示的な実施形態における固体双方向スイッチ304を制御するためのスイッチ制御回路機構308の例示的な実施形態を例示している。
【0117】
図7Aは、第1および第2のMOSFETスイッチ601および602ならびにそれぞれのボディダイオード601-1および602-1を備える固体双方向スイッチ700を例示している。固体双方向スイッチは、検知抵抗器716、短絡検出および保護回路712、ならびにスイッチVGSコントローラ714を備える制御回路710に結合されている。検知抵抗器716は、第1および第2のMOSFETスイッチ601および602のソース端子S(例えば、ノードN1およびN2)間に接続されている。短絡検出および保護回路712は、負荷側短絡障害状態を検出するように構成されており、短絡障害状態の検出に応答して固体双方向スイッチの高速切断を提供するように、スイッチVGSコントローラ714と連動する。
【0118】
特に、短絡検出および保護回路712は、ノードN1およびN2に連結されており、センサ抵抗器716の負担電圧を測定し、かつ負担電圧が短絡障害状態を示す事前設定された値を超えるときを判定するように構成されている。短絡検出および保護回路712は、スイッチVGSコントローラ714と協働して、検知抵抗器716の負担電圧が事前設定された値を超えたときに、第1および第2のMOSFETスイッチ601および602を迅速に遮断する。いくつかの実施形態では、短絡検出および保護回路712は、プロセッサ(例えば、プロセッサ220、
図3Aおよび3B)に障害の通知を提供するように構成されている。
【0119】
図7Aに概略的に例示されるように、スイッチVGSコントローラ714は、第1および第2のMOSFETスイッチ601および602のゲート端子(例えば、ノードN3)に結合されている。スイッチVGSコントローラ714は、双方向スイッチ(例えば、オン状態)の通常動作中に、第1および第2のMOSFETスイッチ601および602のアクティブ化および非アクティブ化を制御するように、かつ障害状態に応答して、MOSFETスイッチ601および602の両方を非アクティブ化するように構成されている。加えて、スイッチVGSコントローラ714は、固体双方向スイッチのオンオフ状態中の第1および第2のMOSFETデバイス601および602の漏れを最小限に抑えるように構成されている。いくつかの実施形態では、スイッチVGSコントローラ714は、スイッチVGS制御機能性を実装するために、制御プロセッサ(例えば、プロセッサ220、
図3Aおよび3B)から制御信号(例えば、スイッチ制御信号、漏れ制御信号)を受信するように構成されている。
【0120】
図7Aは、検知抵抗器716が第1および第2のMOSFETスイッチ601および602のソース端子S間に接続されている例示的な実施形態を例示しているが、検知抵抗器716が線路活性111と負荷活性121との間の活性線経路に沿った他の位置に接続され得ることを理解されたい。加えて、検知抵抗器716の負担電圧が、それぞれの機能を実装するために異なる検知および制御回路機構によって利用されるように、検知抵抗器716はまた、
図3Bの電流センサおよびエネルギーメータリング回路機構240のエネルギー検知要素として利用され得る。
【0121】
図7Bは、本開示の実施形態による短絡検出および保護回路712の回路図を概略的に例示している。検知抵抗器716は、ノードN1およびN2間に接続されており、ノードN1は、
図7Aに示されるように、第1のMOSFETスイッチ601のソース端子(ハイサイドスイッチとして表されている)に結合され、ノードN2は、第2のMOSFETスイッチ602のソース端子(ローサイドスイッチとして表されている)に結合されている。スイッチVGSコントローラ714は、短絡検出保護回路712のノードN4に接続されている。
【0122】
短絡検出および保護回路712は、複数のバイポーラ接合トランジスタ720、721、および722、N型MOSFET724、複数の抵抗器730、731、732、733、734、735、および736、ならびにコンデンサ740を備え、すべてが
図7Bに示されるように配置および接続されている。トランジスタ720、721、および722は、AC電流の基本的に双方向のサポートを特徴とする位相判別器を備えるように配置される。短絡検出回路712は、検知抵抗器716の(すなわち、ノードN1およびN2の)負担電圧を監視し、負担電圧が0.7ボルトを超えると、スイッチ601および602にVGS制御をトリップさせる。より具体的には、この実施形態では、検知抵抗器716を通る電流が所定の最大電流値(例えば、トリップ電流閾値)を満たすかまたは超えると、バイポーラ接合トランジスタ720および722をターンオンさせるのに十分であるベースエミッタ間(V
BE)を生成するように、検知抵抗器716の抵抗値が選択されている。より高いトリップ電流については、検知抵抗器716の抵抗値が減少するのに対して、より低いトリップ電流については、検知抵抗器716の抵抗値が増加する。例えば、約200アンペアのトリップ電流について、検知抵抗器716は、約30ミリオームの抵抗値を有するであろう。
【0123】
当業者は、接地基準検知回路が利用され得るが、そのような回路が、アイソレータを含む追加の構成要素を必要とする、劣った、高価で複雑なソリューションを提供することを理解するであろう。また、短絡トリップ電流は、センサ抵抗器716の抵抗値を変化させるか、または分圧器で0.7ボルトのバイアス点に影響を与えるセンサ抵抗器716の能力を調整することによって、調整可能である。他の実施形態では、デジタルアナログ変換器(DAC)などの追加の機構を利用して、リアルタイムで短絡電流閾値に影響を与え、短絡電流閾値を調整し、それによってシステムを短絡電流レベルに関してプログラム可能にすることを可能にしてもよい。このプログラム可能性は、応動時間を改善し、かつ不要トリップを低減するためにシステムの性能を拡張するのに特に有用である。一例として、重負荷下で動作する回路遮断器は、無負荷遮断器よりも、両方が短絡負荷に遭遇するに至るときに、短絡トリップ閾値にはるかに近い場合がある。
【0124】
図8Aは、本開示の別の実施形態によるインテリジェント回路遮断器の高レベルの概略説明図である。特に、
図8Aは、固体双方向スイッチ801および負荷分離スイッチ802を備えるインテリジェント回路遮断器800を例示している。固体双方向スイッチ801は、インテリジェント回路遮断器800の線路入力端子(線路活性111に接続されている)とラウド出力端子(負荷活性121に接続されている)との間の電路で直列に接続されている。負荷分離スイッチ802は、負荷活性121と負荷中性122との間に接続されている。例示および議論を容易にするために、インテリジェント回路遮断器800の様々な構成要素(例えば、プロセッサ、スイッチコントローラ、電流センサ、電圧センサ、AC-DC変換器回路機構など)が、
図8Aに例示されていないことを理解されたい。
【0125】
インテリジェント回路遮断器800は、負荷分離スイッチ802をアクティブ化して負荷120をバイパスし、それによって固体双方向スイッチ801がスイッチオフ状態にあるときに、負荷120をインテリジェント回路遮断器800から分離する(例えば、電気的に分離する)制御スキームを実装する。このことにより、非アクティブ化された固体双方向スイッチ801からの任意の漏れ電流は、分離スイッチ802を通って接地に流れることが可能になり、そのような漏れ電流が負荷120に流れることが防止される。負荷分離スイッチ802は、固体双方向スイッチ801がスイッチオン状態にあり、インテリジェント回路遮断器800が負荷120に電力を供給しているときに、無効化される。
【0126】
図8Bは、本開示の一実施形態による、インテリジェント回路遮断器を負荷から分離するように構成されている分離回路を備えるインテリジェント回路遮断器の高レベル概略説明図である。より具体的には、
図8Bは、
図8Aのインテリジェント回路遮断器800の例示的な実施形態を例示しており、分離スイッチ802は、固体双方向スイッチ801がスイッチオフ状態にあるときに、インテリジェント回路遮断器800を負荷120から分離(例えば、誘電体分離)するように構成されている分離回路810の一部として実装されている。上述したように、固体双方向スイッチ801がスイッチオフ状態にあるとき、固体双方向スイッチは、少量の漏れ電流を生成し得る。例えば、固体双方向スイッチ801が完全にスイッチオフ状態になるようにバイアスされている場合でも、少量の漏れ電流(例えば、200uA)が固体スイッチ801を流れ、負荷120が高インピーダンス負荷を含むときに負荷120にかなりの電圧降下を生成し得る。分離回路810は、固体双方向スイッチ801が非アクティブ化されると、負荷120からの不要な漏れ電流を分流するように機能する。
【0127】
分離回路810は、コントローラ820、MOSFETデバイス830および840、ならびに関連付けられたボディダイオード830-1および840-1を備える。この例示的な実施形態では、
図8Aの分離スイッチ802は、MOSFETデバイス830および840を備える固体双方向スイッチとして実装されている。固体双方向スイッチ801がスイッチオフ状態にされると、コントローラ820は、MOSFETスイッチ830および840にターンオンするように命令し、これにより、非アクティブ化された固体双方向スイッチ801からのリーク電流が負荷120に流れるのを防止する。漏れ電流を負荷120から離してバイパスするか、または分流する効果は、AC幹線110と負荷120との間にエアギャップスイッチが実装され得るガルバニック分離技術と同等のものとして機能する。この構成では、分離回路810は、誘電体分離を提供し、擬似エアギャップとして機能する。分離回路810は、本明細書で論じられるように、インテリジェント回路遮断器の他の例示的な実施形態に実装され得ることを理解されたい。
【0128】
図9A、9B、および9Cは、本開示の実施形態による、インテリジェント回路遮断器に実装され得る集積電流センサおよびエネルギーメータリング回路900を概略的に例示している。いくつかの実施形態では、
図9A、9B、および9Cは、
図2Bおよび3Bに示される電流センサおよびエネルギーメータリング回路240の例示的な実施形態を例示している。
図9A、9B、および9Cは、電流センサおよびエネルギーメータリング回路900の異なる回路ブロックを例示しており、
図9Aは、電源ブロック910および電流センサブロック920の概略図であり、
図9Bは、過電流検出ブロック930の概略図であり、
図9Cは、エネルギーメータリングブロック980の概略図である。
【0129】
図9Aを参照すると、電源ブロック910は、分離DC-DC変換器911、フェライトビーズ912、コンデンサ914および916、ならびに仮想接地(HGND)918を備え、すべてが、示されるように配置され、接続されている。分離DC-DC変換器911は、第1のDC供給電圧VDC-Aを第2のDC供給電圧VDC-on-Hotに変換し、第1および第2のDC供給電圧間の分離を提供するように構成されている。フェライトビーズ912は、線路活性111と仮想接地(HGND)918との間に接続されている。コンデンサ914は、分離DC-DC変換器911の入力端子間に接続されており、したがって、VDC-A電圧レールと中性接地(GND)114との間に接続されている、バイパスコンデンサとして機能する。同様に、コンデンサ916は、分離DC-DC変換器911の出力端子間に接続されており、したがって、VDC-on-Hot電圧レールと仮想接地HGND918との間に接続されている、バイパスコンデンサとして機能する。フェライトビーズ912ならびにコンデンサ914および916は、供給電圧レールからの高周波ノイズをフィルタリングするように機能する。
【0130】
いくつかの実施形態では、VDC-A電圧レール上の第1のDC供給電圧VDC-Aは、AC-DC変換器回路機構210によって生成されたDC供給電圧(例えば、5V)を含み(
図2Bおよび3Bを参照)、分離DC-DC変換器911は、線路活性111に接続されているVDC-on-Hot電圧レールに印加される第2のVDC-on-Hot供給電圧(例えば、5V)を生成するための1:1の変換を提供する。この点で、分離DC-DC変換器911は、活性線経路に印加される第2のVDC-on-Hot電圧(例えば、5V)を生成して、仮想接地HGND918に対して測定される活性線経路上に5VのDCオフセットを提供する一方、第1のDC供給電圧VDC-Aは、中性接地GND114に対して測定される。
【0131】
電流センサブロック920は、第1のブロック921-1および第2のブロック921-2を含む分離増幅器921を備え、これらは、例えば、光結合技術、静電結合技術などを使用して互いにガルバニックに分離される。第1のブロック921-1は、電源ブロック910によって生成されたVDC-on-Hot供給電圧によって電力供給され、第2のブロック921-2は、VDC-A供給電圧によって電力供給される。電流センサブロック920は、電流検知抵抗器922と、分離増幅器921の入力で抵抗器923および924ならびにコンデンサ925によって形成されたローパスフィルタと、をさらに備える。バイパスコンデンサ926は、電源レールVDC-Aと接地114との間に接続されている。
【0132】
図9Aに示されるように、いくつかの実施形態では、検知抵抗器922は、線路活性111とACスイッチとの間の電路で直列に接続されている。検知抵抗器922は、活性線経路内の検知抵抗器922を流れるAC負荷電流に基づいて、第1のノードN1(線路側ノードと称される)と第2のノードN2(負荷側ノードと称される)との間にAC電圧(本明細書では負担電圧(V
B)または検知電圧(V
Sense)と称される)を生成する。いくつかの実施形態では、検知抵抗器922は、測定の目的で検知抵抗器922に十分な検知電圧を生成することができる比較的低い抵抗値を有する高電力抵抗器を備え、大量のエネルギーを消費しない。例えば、いくつかの実施形態では、検知抵抗器922は、約1ミリオームの抵抗値を含む。
【0133】
動作中、電流検知抵抗器922は、活性線経路上に流れる負荷電流に比例して負担電圧VBを生成する。負担電圧VBは、VB=IL×RSのように判定され、式中で、ILは、負荷電流を表し、RSは、検知抵抗器922の抵抗値を表す。分離増幅器921の第1のブロック921-1は、検知抵抗器922の負担電圧VBの電圧レベルを増幅し、サンプリングし、分離バリアを通して、サンプリングされた電圧情報を第2のブロック921-2に伝送する(例えば、光学的に、静電容量的になど)。この回路構成では、VDC-on-Hotおよび仮想HGND918を使用した分離増幅器921の第1のブロック921-1のバイアスにより、分離増幅器921の第1のブロック921-1は、仮想接地HGND918に対して検知抵抗器922(活性線経路で直列に接続されている)の電圧を測定することが可能になる。分離増幅器921の第1および第2のブロック921-1および921-2間の分離により、第2のブロック921-2および下流回路構成要素を、VDC-Aおよび中性接地GND114を使用してバイアスすることが可能になる。
【0134】
分離増幅器921の第2のブロック921-2は、第1のブロック921-1から提供されるサンプリングされた電圧情報を利用して、中性接地GND114に関して第1および第2の電流検知制御信号(Current_Sense(+)およびCurrent_Sense(-)と表される)を含む差動信号を生成し、出力する。いくつかの実施形態では、分離増幅器921の差動出力は、DCオフセット(例えば、1.3Vのオフセット)および所望の利得(例えば、8の利得)を有する差動信号として実装されている。過電流検出ブロック930(
図9B)およびエネルギーメータリングブロック980(
図9C)には、第1および第2の電流検知制御信号(Current_Sense(+)およびCurrent_Sense(-))が入力される。
【0135】
いくつかの実施形態では、
図9Aに示されるように、分離増幅器921は、インテリジェント回路遮断器のプロセッサまたはコントローラによって制御され得る調整可能な利得を有するように構成されている。特に、
図9Aに示されるように、分離増幅器921の第2のブロック921-2は、プロセッサまたはコントローラが、分離増幅器921の利得を調整し、それによってインテリジェント回路遮断器がトリップする過電流状態のレベルを調整することを可能にする、Gain_Adjust制御入力を備える。この構成では、分離増幅器921は、線路活性111と負荷活性121との間の活性線経路上の電流の流れの結果として、検知抵抗器922に(すなわち、ノードN1およびN2間に)生成される比較的小さい検知電圧を増幅するための利得の要素を提供する。したがって、検知抵抗器922は、比較的小さい検知電圧を生成し、かつ通常の回路動作のための電力消散を最小限に抑えるが、小さい検知電圧を使用して過電流検出を可能にするように、分離増幅器921によって増幅される、比較的小さい抵抗値(例えば、1ミリオーム)を有することができる。さらに、分離増幅器921の利得を所望に応じて調整して過電流検出のレベルを調整する間、検知抵抗器922の抵抗値を固定されたまま(例えば、1ミリオーム)とすることができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、プロセッサまたはコントローラは、インテリジェント回路遮断器と統合されるか、またはインテリジェント回路遮断器に別用に結合される温度センサによって判定されるような、インテリジェント回路遮断器の温度に基づいて、増幅器912の利得を調整するように構成され得る。例えば、インテリジェント回路遮断器の温度が比較的高いレベル(例えば、摂氏115度以上)に上昇する場合、分離増幅器921の利得は、インテリジェント回路遮断器がトリップする過電流のレベルを低減するように調整され得る(例えば、増加され得る)。
【0137】
図9Bを参照すると、過電流検出ブロック930は、単位利得増幅器931と、RMS段935-1および比較器段935-2を備える2段検出回路935と、を備える。単位利得増幅器931は、抵抗器932および933間のノードN3に接続された非反転入力を有する。抵抗器932および933は、電流センサブロック920(
図9A)の分離増幅器921の差動出力間に直列に接続されている。単位利得増幅器931および抵抗器932および933は、過電流検出ブロック930のレベルシフト入力段として機能し、抵抗器932および933は、分離増幅器921の差動出力のDCオフセット(例えば、1.3Vのオフセット)に対処するために同じ抵抗値を有するように選択されている。この点において、過電流検出ブロック930は、分離増幅器921の電流検出差動出力の一方の側のみを利用するため、過電流検出ブロック930への入力は、Vin_OCD=1.3V+Aa/2×I
L×R
Sによって与えられ、式中で、Aは、8であり、「a」は、電流センサブロック920の分離増幅器921によって増幅されるAC波形のピーク振幅を表す。
【0138】
単位利得増幅器931の出力は、RMS段935-1に入力される。RMS段935-1は、Vin_OCDのRMS(二乗平均平方根)値を表す出力信号を生成するように構成されている能動ピーク検出回路を備える。RMS段935-1は、第1の増幅器940および第2の増幅器950を備える。第1および第2の増幅器940および950は、それぞれ抵抗器941および951を介して単位利得増幅器931の出力に結合されているそれぞれの非反転入力を備える。第1および第2の増幅器940および950は、それぞれ抵抗器942および943を介して電流センサブロック920のCurrent_Sense(-)出力に結合されているそれぞれの反転入力を備える。第1の増幅器940の出力は、整流器ダイオード946および抵抗器952を介して第2の増幅器950の反転入力に結合されている。第1の増幅器940は、整流器ダイオード945を備える第1のネガティブフィードバックループと、抵抗器944を備える第2のネガティブフィードバックループと、を備える。第2の増幅器950は、並列接続された抵抗器953およびコンデンサ954を備えるネガティブフィードバックルックを備える。
【0139】
RMS段935-1は、正弦波を仮定して、V
RMS=1.3V-RMS(Aa/2×I
L×R
S)または1.3V-(.707)×Aa/2×I
L×R
Sによって与えられるRMS電圧を生成するように構成されている。RMS電圧は、第2の(比較器)段935-2の入力に結合されている第2の増幅器950の出力で生成される。比較器段935-2は、RMS電圧V
RMSを受信するために増幅器950の出力に結合された反転入力を有する比較器960と、Current_Threshold制御信号を入力として受信する非反転入力と、を備える。いくつかの実施形態では、Current_Threshold制御信号は、制御プロセッサ(例えば、プロセッサ220、
図2Bおよび3B)内の電流DAC(デジタルアナログ変換器)によって生成される電流を含む。Current_Threshold制御信号は、比較器960の非反転入力に接続されている抵抗器961に電流閾値電圧V
CTを生成する。いくつかの実施形態では、DACの分解能は、2.4μA/ビットであり、抵抗器961は、4320Ωの抵抗値を有する。このことは、電流閾値電圧V
CTが比較器960の非反転入力において10.368mV/ビットの分解能を有することをもたらす。DACコードとCurrent_Threshold(CT)との間の関係は、D=(1.3V-(Aa/2×CT×R
S)/(10.368mV/ビット)またはD=(1.3V-16mΩ×Ct)/(10.368mV/ビット)によって与えられ、式中で、CTは、アンペアRMS単位である。
【0140】
RMS段935-1によって生成されたRMS電圧VRMSがいくつかの電圧リップルを有し得ることから、比較器段935-2は、第1の比較器960および第2の比較器970を備える2段比較器として実装されている。比較器960は、VCTをVRMSと比較する。VRMS信号に対するVCT信号が互いに近接している場合、第1の比較器960の出力は、現在のVRMSがどのくらいの量超えているか、または下回っていることを表すかに関して、デューティサイクルを有してディザリングする。第1の比較器960は、抵抗器962およびコンデンサ963によって形成されたローパスフィルタを介して第2の比較器960の非反転入力に結合されている出力を有する。第2の比較器970は、供給電圧VDC-Aと接地GND114との間に直列接続された第1の抵抗器971および第2の抵抗器972を備える分圧器ネットワークに接続されている反転入力を備える。分圧器ネットワークは、第2の比較器970の反転入力に印加される基準電圧VREFを生成する。第2の比較器970は、第1の比較器960のデューティサイクルが50%を超えるとOver_Current_Detection信号を生成する。
【0141】
Over_Current_Detection信号は、回路遮断器のACスイッチを非アクティブ化して過電流障害状態から保護するために、制御回路機構に入力される。過電流障害状態を監視し、かつ検出するために、
図9Aおよび9Bの電流センサ回路機構900と併せて、インテリジェント回路遮断器のプロセッサによって実装され得る例示的な制御プロセスを、
図11を参照して以下でさらに詳細に説明する。
【0142】
ここで
図9Cを参照すると、エネルギーメータリングブロック980は、エネルギーメータリング回路981と、抵抗器982、983、および984ならびにコンデンサ985、986、および987を備える受動バンドパスフィルタと、を備える。エネルギーメータリング回路981は、受動バンドパスフィルタを介して電流センサブロック920(
図9A)の分離増幅器921の差動出力Current_Sense(+)およびCurrent_Sense(-)に結合されている差動入力を備える。実効的に、バンドパスフィルタがDCオフセット(例えば、1.3Vのオフセット)を除去し、Current_Sense(+)およびCurrent_Sense(-)信号を減衰させ、不要な高周波を大きく減衰させることから、エネルギーメータリング回路機構981への入力電圧V
CMは、V
CM=(Aa×I
L×R
S)/A
N(A
Nは、バンドパスフィルタの減衰を表す)によって提供される。エネルギーメータリングソフトウェアの観点から、有用な定数は、電流対電圧比、Ks=Aa×R
S=0.032Ω(Aa=8、Rs=0.004Ωと仮定する)であり、1/Ks=A
N/(Aa*R
S)=656.25アンペア/ボルトである。
【0143】
図9A、9B、および9Cの回路構成要素の様々な抵抗および静電容量値は、用途に応じて変化し得ることを理解されたい。いくつかのコンテキストを提供するために、抵抗値および静電容量値の以下の非限定的な例を、
図9A、9B、および9Cの回路機構に実装することができる。例えば、
図9Aでは、抵抗器922、923、および924ならびにコンデンサ925の値は、所望の入力信号フィルタリングを提供するように選択される。
【0144】
さらに、いくつかの実施形態では、
図9Bの抵抗値およびコンデンサ値は、以下のとおりである。抵抗器932および933は、5.9Kの抵抗値を有する。抵抗器941は、4.7Kの抵抗値を有する。抵抗器942、943、および944は、10Kの抵抗値を有する。抵抗器951は、2.7Kの抵抗値を有する。抵抗器952は、4.99Kの抵抗値を有する。抵抗器953は、11Kの抵抗値を有する。コンデンサ954は、2.2uFの静電容量値を有する。抵抗器961は、4.3Kの抵抗値を有する。抵抗器962は、22Kの抵抗値を有する。コンデンサ963は、0.47uFの静電容量値を有する。抵抗器971および972は、22Kの抵抗値を有する。
【0145】
さらに、いくつかの実施形態では、
図9Cの抵抗値およびコンデンサ値は、以下のとおりである。抵抗器982および983は、4.7Kの抵抗値を有する。抵抗器984は、470オームの抵抗値を有する。コンデンサ985および986は、10uFの静電容量値を有する。コンデンサ987は、10nFの静電容量値を有する。いくつかの実施形態では、エネルギーメータリング回路981は、電力線路システムの電力およびエネルギーを測定し、かつ瞬時電圧および電流波形を処理して、電圧および電流、能動、無効および見かけの電力およびエネルギーのRMS値を計算するように、専用に設計された特定用途向け集積回路(ASIC)を備える。他の実施形態では、エネルギーメータリング回路981は、所望のエネルギーメータリング機能性を実装する「オフザシェルフ」特定用途向け標準製品(ASSP)チップを備える。
【0146】
エネルギーメータリング回路981は、エネルギーメータリングデータを生成し、インテリジェント回路遮断器のプロセッサ220に出力し(例えば、
図2Bおよび3B)、プロセッサ220は、エネルギーメータリングデータを記憶し、分析して、インテリジェント回路遮断器によって保護される分岐回路上の負荷のエネルギー使用を判定する。プロセッサ220は、無線または有線ネットワーク接続を介して、リモートコンピューティングノードまたはデバイスにエネルギー使用情報を提供することができる。この構成は、エネルギー使用のリモートエネルギー監視および通知を可能にし、それによって様々なアプリケーションのエネルギー認識を向上させる。
【0147】
例として、複数のエネルギー認識インテリジェント回路遮断器は、所与の住居または建物内の複数の分岐回路からのリアルタイムのおよび蓄積されたエネルギー使用を報告するように構成され得る。所与の住居または建物内のエネルギー認識インテリジェント回路遮断器は、所与の住居または建物のエネルギー使用を外部会社による報告対象として検証するか、または別用に相関付けるために物件所有者が利用することができる蓄積されたエネルギー使用情報を提供することができる。加えて、ストリップモールなどの集合住宅またはマルチユニット物件では、エネルギー認識インテリジェント回路遮断器を使用したインテリジェントエネルギーメータリングにより、物件所有者は、複数の外部計器を必要とせずにテナントに個別に請求することが可能になる。別の例として、インテリジェント回路遮断器によるインテリジェントエネルギーメータリングは、賃借人またはAirbnbレンタルについて、賃借人が寒い夜に窓を開けたまま電気ヒータを全出力で継続的に稼働させて寝る、またはACユニットを最大冷房に設定しながら賃借人が暖かい夜に重いカバーの下で寝るなどの、不必要なエネルギーの無駄を防止するか、または報告するのにも、有用である。
【0148】
別の例として、インテリジェント回路遮断器によるインテリジェントエネルギーメータリングは、起こり得るエネルギー盗難、または異常な予期しないエネルギー消費を判定する方法を提供し、また、欠陥のあるまたは機能不全の外部計器を明らかにすることができる。他の用途では、インテリジェントエネルギー認識回路遮断器はまた、電気使用量が、分岐上のデバイスのための、またはデバイスおよび分岐の集約のための設定可能な「通常のレベル」を超えると、警告/通知を送信することが可能である。さらに、インテリジェントエネルギー認識回路遮断器はまた、ピーク負荷期間中に無効化または電力削減され得る負荷を探す外部企業にとって有用である。例えば、いくつかの実施形態では、インテリジェント回路遮断器は、2019年11月13日に出願された、Managing Power for Residential and Commercial Networksという名称の米国特許出願第16/682,627号に開示されているような負荷プロファイリング技術を実装することができ、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。開示されるように、これらの同じスマートデバイスは、外部電源の崩壊中および回路の復旧中の瞬間に、貴重な停電情報を提供することができる。停電のタイミングは、停電または損傷した電力線の位置を特定し、損傷の数を推定することを支援し、より正確な設備の復旧時間を生成するのに役立つ。他の用途では、インテリジェントエネルギー認識回路遮断器はまた、建物のインフラストラクチャおよび外部エネルギー供給に接続された再生可能エネルギー源および電気自動車で一般的に経験されるますます不適切に同期される双方向エネルギーを測定し、診断し、および制御することができる。
【0149】
図10は、本開示の一実施形態による、障害状態の検出に応答してインテリジェント回路遮断器のスイッチを制御するための方法の流れ図である。例示の目的で、
図10の例示的なプロセスの流れを、インテリジェント回路遮断器の固体双方向スイッチを制御するコンテキストで論じるが、インテリジェント回路遮断器の電磁スイッチ(例えば、スイッチ302、
図3Aおよび3B)を制御するために、同じまたは類似のプロセスの流れが実装されてもよい。外部電源の印加に際して、インテリジェント回路遮断器の制御ロジックは、固体双方向スイッチの制御を前提とする(ブロック1000)。最初に、制御ロジックは、固体双方向スイッチを開放状態(またはスイッチオフ状態)にし(ブロック1001)、固体双方向スイッチをいつ閉鎖状態(またはスイッチオン状態)にするのが適切であるかを判定するように進行する(ブロック1002)。
【0150】
例えば、制御ロジックは、(i)手動回路遮断器スイッチ位置(例えば、手動スイッチが閉鎖されている)、(ii)外部電源喪失時のスイッチ状態(例えば、電源喪失時にスイッチが閉鎖されていた)、(iii)ローカルプロセッサから受信されたコマンド、またはリモートノードから無線で受信されたコマンド、(iv)寿命終了無効化状態などに基づいて、固体双方向スイッチを閉鎖するのに適切であると判定し得る。固体双方向スイッチが閉鎖状態になると(ブロック1003)、制御ロジックは、固体双方向スイッチを開放状態、すなわちスイッチオフ状態にする必要があると見なされる事象の発生を監視するように進行する(ブロック1004)。
【0151】
例えば、電流過負荷事象(ブロック1005)または短絡事象(ブロック1006)などの障害事象の発生は、固体双方向スイッチの非アクティブ化(すなわち、スイッチオフ状態)をトリガする。例えば、上述したように、いくつかの実施形態では、電流過負荷事象は、線路電流を検出するように構成された電流センサを使用して取得された電流センサデータをリアルタイムで分析するプロセッサによって判定され得る。他の実施形態では、インテリジェント回路遮断器は、電流過負荷検出回路機構(例えば、
図9Aおよび9B)を備える電流センサであって、電流過負荷事象を検出するように、かつ固体双方向スイッチの開放をトリガする電流過負荷検出信号を生成するように構成されている電流センサを備える。
【0152】
他の実施形態では、手動回路遮断器スイッチの開放を検出することは、固体双方向スイッチの開放をトリガするであろう事象と見なされる(ブロック1007)。上述したように、この事例では、手動スイッチ開放事象の前または手動スイッチ開放事象と同時の固体双方向スイッチの開放は、インテリジェント回路遮断器の電気機械または電磁スイッチの接点間の電気アーキングの発生を排除するか、または最小限に抑えるように機能するであろう。アーキングの発生は、回路遮断器の金属接点の劣化を引き起こし、可燃性ガスが存在し得る状況での安全上の危険である。これに関して、障害事象または手動レバー動作中にアークを排除する能力は、本明細書に開示されるインテリジェント回路遮断器が、単に下流の回路配線を熱損傷から保護することを超えて、回路遮断器の安全性を拡張する方法の例である。さらに、上述したように、高速切断応答時間の固体双方向スイッチの実装は、下流の配線および負荷にアーキングを引き起こす可能性のある危険な電流レベルの流れを防止する。
【0153】
他の実施形態では、リモートスイッチ開放コマンド事象が、固体双方向スイッチの開放をトリガするであろう(ブロック1008)。上述したように、インテリジェント回路遮断器内の無線送受信機の実装は、無線通信がインテリジェント回路遮断器によって保護される分岐回路および負荷をリモートに切断することを可能にする。例えば、リモートスイッチ開放コマンド能力により、緊急サービス人員は、報告されたガス漏れまたは洪水事象中に構造の一部またはすべてを電源遮断することが可能になる。セキュアなインターネットプロトコル(IP)アドレスおよびIPネットワークを介した無線送受信機の実装により、リモートコマンドをインテリジェント回路遮断器の制御ロジックに発行して、固体双方向スイッチをオフに切り替え、インテリジェント回路遮断器を実際にトリップさせることが可能になる。
【0154】
他の実施形態では、センサデータトリップ事象が、固体双方向スイッチの開放をトリガするであろう(ブロック1009)。上述したように、様々なセンサおよび制御ロジックを有するプロセッサの実装は、様々な検知された状態に応答して、インテリジェント回路遮断器のトリップを可能にする。例えば、電流および電圧センサに加えて、インテリジェント回路遮断器は、温度センサ、湿度センサなどの他のタイプのセンサを含むことができる。センサデータを入手する能力は、入手されたセンサデータを処理し、危険で問題のある事象を予測し、無線警告/通知を発行することができる制御アルゴリズムの実装と組み合わせて、本明細書に開示されるようなインテリジェント回路遮断器の安全性能力を拡張する。
【0155】
例えば、センサデータを入手し、処理することによって、インテリジェント回路遮断器は、スパポンプ、ヒータ、または中央空調システムのコンプレッサなどの負荷の差し迫った障害を予測することによって、負荷の潜在的な障害状態の直前に固体スイッチの開放を開始するように構成され得る。いくつかの実施形態では、インテリジェント回路遮断器は、2018年5月15日に出願された、Predictive Analytics Systemという名称の米国特許出願第15/980,311号に開示されているような予測分析技術を実装することができ、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。さらに、インテリジェント回路遮断器が負荷タイプ(例えば、スパポンプ)を識別する能力は、潜在的に安全でない状態を分析するのに非常に有用であり得る。いくつかの実施形態では、インテリジェント回路遮断器は、2019年4月9日に出願された、Load Identifying AC Power Supply with Controls and Methodsという名称の米国特許出願第16/340,474号(公開US2019/0245457号)に開示されているような回路負荷特性技術を実装することができ、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。さらに、インテリジェント回路遮断器の無線通信能力は、新しいタイプの冷凍モータなどの新しいタイプの負荷プロファイル、ならびにリモートサイトからの自動ソフトウェア、ファームウェア、およびアルゴリズムの更新を介した非通常の代替エネルギー供給に対する、拡張されたサポートを可能にする。
【0156】
別の例として、センサは、下流の電気デバイスにインテリジェントに接続されると、特定のレセプタクルまたは負荷で安全でない状態を検出することができる。20アンペアの回路遮断器は、典型的には、多数の下流のレセプタクルに給電する。これらのレセプタクルの各々は、20アンペアの負荷が複数のレセプタクル間で共有されることを前提とした15アンペア定格のデバイスであり得る。回路遮断器のセンサは、特定のスマートレセプタクル、スマート負荷、または物件所有者に、過負荷になった、およびデイジーチェーン化された電源ストリップ、または単一のレセプタクル上のホリデーライトの多すぎるストリングなどの安全でない状態を警告し得る。
図15とともに以降でさらに詳細に論じられるように、インテリジェント回路遮断器は、無線警告/通知を発行、またはレセプタクルに切断するように指示、または状況が修正されてリセットされるまで遮断器自体を単にトリップすることができる。
【0157】
別の実施形態では、インテリジェント回路遮断器が負荷タイプを特徴付ける能力は、アルゴリズムを通じてか、または物件所有者によって提供されたデータを用いるかにかかわらず、インテリジェント回路遮断器が、所与の負荷タイプの性能における潜在的な劣化を検出するか、または別様に監視することを可能にする。このことは、例えば、障害および任意の結果として生じる損傷の前の冷凍ユニット、および多数の他のタイプの装置または負荷に対する予防保守のための情報を提供することにおいて特に有用である。これに関して、インテリジェント回路遮断器は、多くのタイプの負荷を識別し、プロファイルし、所与の負荷のリアルタイム動作プロファイルを所与の負荷の公称の動作プロファイルと比較するように構成され得る。装置製造者は、エネルギー使用のプロファイリング、通信、分析と関連付けられたビッグデータの収集から大きな利益を得る。
【0158】
他の実施形態では、インテリジェント回路遮断器をスマートレセプタクルと組み合わせて、スマートレセプタクルの負荷に電力を再供給する前に無線通信する能力を用いてスマートレセプタクルの過負荷状態を検出することができ、危険な障害状態を被る分岐回路をトリップさせ、インテリジェント回路遮断器によって分岐回路に電力が再印加された後に、問題を起こしているスマートレセプタクルに、負荷切断状態に留まるように無線で指示することによって、自動的に電力を再印加することができる。このことにより、インテリジェント回路遮断器は、所与の分岐上の他のすべての負荷に対して再度通電し、電力の融通を継続することが可能になり、その詳細については、
図15の流れ図と併せて以降で論じる。さらに、インテリジェント回路遮断器は、2つ以上の個々の分岐フィードまたは相を有するスマートレセプタクル、およびそれらを切り替える機構と組み合わされると、負荷を平衡させるためにスマートレセプタクルに、分岐回路を切り替えるように指示することができ、相平衡をより経済的に利用することができる。
【0159】
他の実施形態では、インテリジェント回路遮断器は、温度、湿度、ガス、煙/火災、および水センサなどのリモートセンサを備えるか、またはリモートセンサに別様に接続され得る。インテリジェント回路遮断器は、そのようなセンサを使用して環境状態を監視し、安全でない水位が感電または火災につながる可能性があるか、または安全でない温度が回路遮断器パネル内のデバイス障害につながる可能性がある状態の分岐回路から電源を切断することによって、安全でない状態に応動することができる。具体的な例として、湿度センサを、インテリジェント回路遮断器内、または遮断器分電盤内、または壁内に配設し、湿度センサを使用して、電気システム全体の安全性に悪影響を及ぼす可能性のある屋根または配管漏れを検出することができる。インテリジェント回路遮断器はまた、障害事象の前または直後に無線警告/通知を発行することができる。これらの例の各々はまた、現地の緊急サービスおよび現地の外部企業への無線通知を含むことができる。
【0160】
他の実施形態では、アーク障害および/または地絡障害センサを備えるインテリジェント回路遮断器はまた、安全でない状態の分岐回路を安全にシャットダウンすることができる。インテリジェント回路遮断器は、そのようなアーク障害または地絡障害事象の前または直後に、無線警告/通知を発行することができる。これらの例の各々はまた、現地の緊急サービスおよび現地の外部企業への無線通知を含むことができる。
【0161】
他の実施形態では、外部センサまたは無線通信を通じて利用可能なデータから導出された追加情報もまた、通知/警告またはトリップ事象を引き起こすために利用され得る。
【0162】
図11は、本開示の一実施形態による、障害状態を検出し、かつ障害状態から保護するためにインテリジェント回路遮断器によって実装される制御プロセスを例示する状態図である。特に、
図11は、過電流障害状態を検出するために、インテリジェント回路遮断器のプロセッサ(例えば、インテリジェント回路遮断器2Bおよび3Bのプロセッサ220)によって実装される状態機械を例示する障害検出状態グラフを例示している。いくつかの実施形態では、プロセッサ220は、プログラム可能な基準電流(例えば、Current Threshold、
図9B)を生成するための電流デジタルアナログ変換器(電流DAC)と、電流センサによって生成された過電流検出信号(例えば、電流センサ900の過電流検出ブロック930の過電圧比較器935-2によって生成されたOver_Current_Detection信号、
図9B)を受信するための汎用入力/出力(GPIO)デジタル信号ピンと、を備える。
【0163】
いくつかの実施形態では、プロセッサ220は、過電流障害状態を検出するための1KHz状態機械を実装し、状態機械は、以下の状態を含む。(i)停止、(ii)リセット、(iii)過電流検出(S0)、(iv)スローブローランプ(S1)、(v)テール検出(S2)、および(vi)トリップ。加えて、いくつかの実施形態では、状態機械は、以下のプログラム可能なパラメータを実装する。(i)過電流閾値(S0およびS2中に出力される)を表すOCT、(ii)瞬時トリップ閾値(S1ランプの開始)を表すITT、(iii)スローブローランプ時間(S2の持続時間)を表すSBRT、および(iv)テール時間(S2持続時間)を表すTT。
【0164】
状態は、以下のように定義される。停止状態は、トリップまたは障害状態が検出されたときに使用されて、コマンドによってリセット状態に設定されるまで電流検出を停止する。リセット状態は、状態機械を始動するために使用される初期状態であり、リセット状態は、過電流閾値検出回路機構へのDAC出力を初期化し、状態機械をS0状態に設定する。S0状態では、電流DACは、
図9Bの電流センサ900の過電流検出ブロック930の比較器段に入力される所望の過電流閾値(OCT)を表す電圧を出力するようにプログラムされる。これは、比較器回路で測定されるような出力閾値よりも電流が上昇するまでの定常状態であり、この時点で、比較器は、過電流状態機械によって検出されるOver_Current_Detection信号として論理レベル「1」を出力する。そのとき、DACは、瞬時トリップ閾値にプログラムされ、ランプ持続時間、および状態S1に必要な各ステップの長さおよび持続時間をセットアップし、状態機械はS1状態に遷移する。
【0165】
S1状態の間、比較器出力が論理「1」に遷移するときはいつでも、トリップ状態と見なされ、状態機械は、直ちにトリップ状態に移行する。S1状態の間、スローブローランプが実行され、DACは、瞬時トリップ閾値から過電流閾値に戻るまでの時間が経過するにつれて段階的に調整される。比較器がトリップ状態を示すことなくランプが完了する場合には、状態機械は、S2状態に移行する。ランプは、
図11に示されるように線形である必要はないが、ランプは、所望の効果、例えば保護されている配線の加熱特性、を達成するために、任意の所望の方法で重み付けされ得るか、または非線形であり得る。いくつかの実施形態では、S1ランプは、インテリジェント回路遮断器の上昇した温度を補償するために(ソフトウェア制御を介して)撹乱され得る。
【0166】
S2状態の間、比較器出力が論理「1」に遷移するときはいつでも、トリップ状態と見なされ、状態機械は、直ちにトリップ状態に移行する。S2状態の間、DACは、プログラムされた期間にわたって過電流閾値(状態S0と同じ)を出力し、実際にトリップ状態を宣言することなく過電流状態を継続的に循環させる代わりに、状態機械に、電流が定常的で丁度過電流閾値基準レベルにある状態を検出する機会を与える。S2期間の終了時に、状態機械は、リセット状態(DAC出力を過電流閾値に設定し、状態をS0に設定する)に設定される。
【0167】
S1状態またはS2状態のいずれかでの過電流検出の結果として、トリップ状態に入ると、ACスイッチオフ動作が開始され、次のゼロ交差機能実行時またはその前に、ACスイッチ制御線がオフ状態に切り替えられる。
【0168】
別の実施形態では、「ワイヤ加熱」プロセスは、過電流検出を超えることなく高電流トリップが何回発生したかに基づいて、S0出力電流を変動させることによって実装される。プロセスは、S0レベル、瞬時トリップレベル、およびそれに応じて低速ブローランプの傾きを変動させる(秒または分の持続時間で)ように構成されている二次状態機械を実装することができる。
【0169】
図12は、本開示の一実施形態による、インテリジェント回路遮断器を利用するインテリジェント配電および監視システム1200を概略的に例示している。システム1200は、回路遮断器分電盤1210、有線および/または無線通信ネットワーク1220、1つ以上のインテリジェント負荷デバイス1230、1つ以上のユーザコンピューティングデバイス1240、ならびにモノのインターネット(IoT)コンピューティングプラットフォーム1250を備える。回路遮断器分電盤1210は、主幹回路遮断器1213にアクセスするために開放されるフロントパネル1211およびカバー1212と、所与の住宅または建物における分岐回路を保護する複数の分岐回路遮断器1214と、遮断器および負荷ステータス表示モジュール1215と、を備える。
【0170】
回路遮断器分電盤1210の構成は、提供される電気サービスのタイプに応じて変わる。例えば、米国の住居用電気サービス(120/240VAC)は、2つの活性電圧線路および1つの中性線を備える単相サービスを含み、両方の線路電圧は、センタータップ付き中性を有する単相の配電変圧器から導出され、互いに180°相がずれている。このタイプの電気サービスでは、回路遮断器パネル1210に給電する2本の活性線サービス配線が、主幹回路遮断器1213に接続されており、主幹回路遮断器1213は、回路遮断器パネル1210内の2本の活性バスバーに接続されている。加えて、入線する中性線サービス配線は、回路遮断器パネル1210の中性バスバーに接続されており、中性バスバーは、回路遮断器パネル1210の別個の接地バスバーに結合されている。
【0171】
主幹回路遮断器1213に給電する2本の活性線サービスワイヤは各々、例えば電気計器から120Vを提供し、(主幹回路遮断器1213がオンに切り替えられているときに)主幹回路遮断器1213を通して、回路遮断器パネル1210の2本の活性バスバーに給電する。分岐回路遮断器1214は、回路に電力供給するために活性バスバーの一方または両方に接続する線路入力端子を有する(例えば、単極回路遮断器は、分岐回路に120Vを提供するために1つの活性バスバーに接続する1つの入力線路端子を有する一方、二極回路遮断器は、分岐回路に240Vを提供するために両方の活性バスバーに接続する2つの入力線路端子を備える)。本開示の実施形態によれば、主幹回路遮断器1213および分岐回路遮断器1214の一部またはすべては、本明細書で論じられるようなインテリジェント回路機構および機能性を使用して実装されているインテリジェント回路遮断器を備える。この事例では、インテリジェント回路遮断器1213および1214は、中性線、例えば固体回路機構用の接地面を回路遮断器パネル1210の中性バスバーに接続する配線、への接続を有するであろう。
【0172】
インテリジェント負荷デバイス1230は、スイッチ、電源コンセント、電球、装置、暖房システム、換気システム、空調システム、装置、通信システム、娯楽システム、ホームセキュリティデバイスなどを含むがこれらに限定されない、インテリジェント電気レセプタクルまたはインテリジェントエネルギー消費負荷デバイスなどの様々なタイプのインテリジェントデバイス、ならびに住居用、商業用、または工業用の建物で利用される他のタイプのスマート電気および電子デバイスおよびシステムを含み得る。
【0173】
IoTコンピューティングのコンテキストでは、インテリジェント回路遮断器1213および1214ならびにインテリジェント負荷デバイス1230は、IoTデバイスネットワーク内で動作し、通信し、所与のアプリケーションドメインのIoTアプリケーションをサポートするように構成されているスマートIoTデバイスを備える。IoTデバイス(例えば、1213、1214、および1230)は、クラウドコンピューティングプラットフォーム1220によるデータ処理、データ記憶、およびデータ管理のために、通信ネットワーク1220を介してIoTクラウドコンピューティングプラットフォーム1250にアップロードされるデータを生成する。加えて、IoTデバイスは、通信ネットワーク1220を介してIoTクラウドコンピューティングプラットフォーム1250からデータにアクセスし、データをダウンロードすることができる。さらに、デバイスおよびネットワーク構成のタイプに応じて、IoTデバイスのうちのいくつかまたはすべて(例えば、1213、1214、および1230)は、IoTデバイスネットワーク内のピアツーピア通信用に構成されている。IoTデバイスは、知られている方法を使用して自己組織化を通じてネットワーク(例えば、メッシュネットワーク)を形成するように構成されている。
【0174】
ユーザコンピューティングデバイス1240は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、サーバ、スマートフォン、電子タブレットなどの様々なタイプのコンピューティングデバイスの1つを備え、これにより、ユーザまたは管理者は、通信ネットワーク1220を介してIoTクラウドコンピューティングプラットフォーム1250およびインテリジェントデバイス1213、1214、および1230にアクセスすることを可能になる。ユーザコンピューティングデバイス1240は、直接またはIoTクラウドコンピューティングプラットフォーム1250を介してのいずれかで、ネットワークインテリジェントデバイス1213、1214、および1230を構成し、管理するために利用されるクライアントサイドIoTアプリケーションをホストすることができる。
【0175】
通信ネットワーク1220は、
図1に一般的に描示されているが、通信ネットワーク1220は、グローバルコンピュータネットワーク(例えば、インターネット)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、衛星ネットワーク、電話もしくはケーブルネットワーク、セルラネットワーク、Wi-FiもしくはWiMAX、Bluetoothなどの知られている有線および/もしくは無線ネットワークの任意の組み合わせ、またはこれらならびに他のタイプのネットワークの様々な部分もしくは組み合わせを含んでもよいことを理解されたい。「通信ネットワーク」という用語は、異なるタイプの可能性がある複数のネットワークの組み合わせを含む、多種多様な異なるネットワーク配置を包含するように広く解釈される。これに関して、いくつかの実施形態では、通信ネットワーク1220は、インターネットプロトコル(IP)または他の関連する通信プロトコルを使用して通信するように構成されたネットワークデバイスを各々が備える、複数の異なるタイプの通信ネットワークの組み合わせを含む。通信ネットワーク1120は、通信経路を確立し、かつネットワークエンドポイント間の通信を可能にするために、ネットワークバックボーンを形成する中間ポイント(ルータ、スイッチなど)および他の要素(例えば、ゲートウェイ)を備える。
【0176】
IoTコンピューティングのコンテキストでは、通信ネットワーク1220は、IoTデバイスネットワークを含み、インテリジェント回路遮断器1213および1214、ならびにインテリジェント負荷デバイス1230(および湿度センサ、温度センサなどの他の無線/有線センサ)は、IoTデバイスネットワーク内で動作し、通信し、かつ所与のアプリケーションドメイン(例えば、所与の住宅または建物内のインテリジェント回路遮断器およびスマート電気デバイスを制御および管理し、所与の住宅または建物のためのエネルギー使用情報を収集し、分析するなど)のIoTアプリケーションをサポートするように構成されているスマートIoTデバイスを含む。
【0177】
IoTデバイス(例えば、1213、1214、および1230)は、クラウドコンピューティングプラットフォーム1220によるデータ処理、データ記憶、およびデータ管理のために、通信ネットワーク1220を介してIoTクラウドコンピューティングプラットフォーム1250にアップロードされるデータを生成する。加えて、IoTデバイスは、通信ネットワーク1220を介してIoTクラウドコンピューティングプラットフォーム1250からデータにアクセスし、データをダウンロードすることができる。IoTクラウドコンピューティングプラットフォーム1250は、様々なIoTデバイス1213、1214、および1230から受信されたIoTデータを管理し、処理する。いくつかの実施形態では、IoTクラウドコンピューティングプラットフォーム1250は、データ処理、データ記憶、およびデータ管理機能を実行し、1つ以上のIoTネットワークアプリケーションおよび/もしくは深層学習アプリケーション、機械学習、ビッグデータアナリティクスなどの他のタイプの高性能コンピューティングアプリケーション、または本明細書に開示されるような技術を使用して監視し、制御され得るスマート電気デバイスのネットワークを含むホームまたはビルディングオートメーションシステムをサポートするのに有用である他のタイプの高性能コンピューティングアプリケーションをサポートする。
【0178】
さらに、デバイスおよびネットワーク構成のタイプに応じて、IoTデバイスのうちのいくつかまたはすべて(例えば、1213、1214、および1230)は、IoTデバイスネットワーク内のピアツーピア通信用に構成されている。IoTデバイスは、知られている方法を使用して自己組織化を通じてネットワーク(例えば、メッシュネットワーク)を形成するように構成されている。いくつかの実施形態では、IoTデバイス(例えば、1213、1214、および1230)間の無線通信、およびユーザコンピューティングデバイス1240とIoTデバイス(例えば、1213、1214、および1230)との間の無線通信は、Bluetooth(登録商標)、近距離通信、Wi-Fiデバイス、Zigbee(登録商標)、および他の独自および非独自のプロトコルなどの無線周波数通信プロトコルおよびシステムを介して実装され得る。加えて、悪い環境状態から結果として生じ得る潜在的な電気的危険から保護するためにインテリジェント回路遮断器1213および1214によって使用される環境情報を提供するために、温度、湿度、動き、および音のセンサなどの様々なセンサが、IoTデバイスネットワークの一部として含まれてもよい。
【0179】
いくつかの実施形態では、遮断器および負荷ステータス表示モジュール1215は、インテリジェント回路遮断器1213および1214のプロセッサならびにインテリジェント負荷デバイス1230と通信して、そのようなデバイスの動作ステータスデータを取得し、処理し、表示するマスタプロセッサを備える。マスタプロセッサは、様々なインテリジェントデバイスおよびセンサから受信されたアナログまたはデジタルデータを表示し、かつ遮断器のステータス(例えば、トリップ、オーバーロードなど)を提供し、かつセンサ読み値が事前に選択された制限外の場合にアラーム/通知をアクティブ化するように構成されている。アラームは、フェースプレートのユーザインターフェース上の視覚的ディスプレイ、音声出力デバイスからの可聴音、電子通信モジュールを通して送信される通信信号、および光または音声アラームに送信される信号を含む。いくつかの実施形態では、ユーザコンピューティングデバイス1240は、遮断器/負荷ステータス表示モジュール1215にアクセスして、IoTデバイスに関するステータス情報を取得し、特定の機能(例えば、インテリジェント遮断器をトリップさせ、インテリジェント遮断器をリセットするなど)を実行するためのコマンドを発行することができる。いくつかの実施形態では、
図12のシステム1200は、2017年10月19日に出願された、Building Automation Systemという名称の国際出願第PCT/US2017/057309号(WO2018/075726号として公開済み)に開示されているようなホーム/ビルオートメーションおよび制御システムならびに方法を実装し、その開示は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。本出願は、安全性およびセキュリティ、電力計測、電力制御、および家庭診断の向上のために本明細書で論じられるようなインテリジェント回路遮断器を使用して拡張され得る、インテリジェント電気レセプタクルを実装するための技術を開示する。
【0180】
いくつかの実施形態では、マスタプロセッサは、分電盤内のすべてのインテリジェント回路遮断器および構成要素のためにIoT通信を制御し、管理し、分電盤内の個々のインテリジェント回路遮断器に、有線通信(例えば、コントローラエリアネットワーク(CAN)バス)またはバス)を使用して、または分電盤内の個々のインテリジェント遮断器に、ローカルBluetooth Low-Energy(BLE)メッシュネットワークを使用して無線通信を使用して通信し、マスタプロセッサは、リモートIoTデバイス、システムなどへの通信を行うために、任意の好適なブロードバンド通信技術を実装するか、または別様に利用するように構成されている。
【0181】
図13は、本開示の実施形態による、インテリジェント回路遮断器のスイッチ、回路機構、センサ、および他の構成要素を収容するために利用され得る回路遮断器ハウジング構造1300の分解図である。ハウジング構造1300は、第1のハウジング部材1301、ヒートシンク要素1302、および第2のハウジング部材1303を備える。ヒートシンク要素1302は、第1および第2のハウジング部材1301および1303の結合によって形成されたハウジング構造1300内に配設されている。第1および第2のハウジング部材1301および1303は、ヒートシンク要素1302および回路遮断器の他の構成要素のための成形プラスチック筐体を備える。ヒートシンク要素1302は、アルミニウムなどの金属材料、または所与の用途には十分な熱伝導性を有する他の好適な材料もしくは合金から形成されている。
【0182】
第1のハウジング部材1301は、複数の開口スロット1301-1を備え、ヒートシンク要素1302は、複数の冷却フィン1302-1を備える。ハウジング構造1300が組み立てられると、ヒートシンク要素1302の冷却フィン1302-1は、空冷ヒートシンク機構を可能にするために、第1のハウジング部材1301の対応するスロット1301-1と位置合わせされる。様々な集積回路チップ構成要素(例えば、プロセッサ、固体双方向スイッチなど)は、ヒートシンク要素1302に熱的に結合されて、集積回路チップの冷却プレートとして機能する。統合されたヒートシンク冷却は、重い回路遮断器負荷状態中の固体双方向スイッチの総オン抵抗の熱交換および緩和の向上を可能にする。AFCIおよびGFCI製品に、ならびにインテリジェント回路遮断器に使用される伝統的な業界標準のアプローチでは、線路中性配線(図示せず)が追加される。当業者は、インテリジェント回路遮断器の開示された構成の様々な回路、アルゴリズム、熱交換器、および他の態様が、他の場所または国において必要とされる様々な形態要素に対して調整され得ることを認識するであろう。
【0183】
図14は、本開示の一実施形態による、分岐回路上のエネルギー使用を監視し、かつ分岐回路上の障害状態から保護するためにインテリジェント回路遮断器によって実装されるプロセスの流れ図である。いくつかの実施形態では、
図14は、外部供給電力が通常状態(例えば、停電なし)にあるときに、
図12のインテリジェント配電および監視システム1200によって実装される自動化されたプロセスを例示している(ブロック1400)。インテリジェント回路遮断器は、本明細書で論じられるようなインテリジェントエネルギーメータリング方法を利用して、回路遮断器およびインテリジェントレセプタクルまたは電気デバイスのエネルギー使用プロファイルを監視する(ブロック1401)。監視されたエネルギー使用に基づいて、インテリジェント回路遮断器が所与の負荷が差し迫った障害状態を有すると判定した場合(ブロック1402における肯定の判定)、インテリジェント回路遮断器は、インテリジェントレセプタクルまたはデバイスと通信して、所与の負荷への電力供給を自動的に無効にする(ブロック1403)。いくつかの実施形態では、「差し迫った障害」は、ユーザ/機械プログラム可能閾値(例えば、履歴情報に基づいて人工知能技術を使用して判定される)を含む。この事例では、インテリジェント回路遮断器は、監視対象のエネルギー使用を、監視対象であるデバイスに保持されているプログラムされた閾値設定(または「差し迫った障害閾値」)と比較するであろう。インテリジェント回路遮断器(またはマスタプロセッサ)は、自動化されたアクションの警告信号または通知を1つ以上のユーザコンピューティングデバイスに送信して、実行されるアクションをユーザに通知する(ブロック1404)。
【0184】
例えば、下流の電気デバイスにインテリジェントに接続されているインテリジェント回路遮断器またはセンサが、特定のレセプタクルまたは負荷において安全でない状態を検出すると仮定する。具体的な例として、20アンペアの回路遮断器は、典型的には、多数の下流のレセプタクルに給電する。これらのレセプタクルの各々は、20アンペアの負荷が複数のレセプタクル間で共有されることを前提とした15アンペア定格のデバイスであり得る。インテリジェント回路遮断器のセンサは、特定のスマートレセプタクル、スマート負荷、または物件所有者に、過負荷になった、およびデイジーチェーン化された電源ストリップ、または単一のレセプタクル上のホリデーライトの多すぎるストリングなどの安全でない状態を警告し得る。この事例では、インテリジェント回路遮断器は、無線警告/通知を発行、またはレセプタクルに切断するように指示、または状況が修正されてリセットされるまで遮断器自体を単にトリップすることができる。
【0185】
図15は、本開示の一実施形態による、分岐回路上のエネルギー使用を監視し、かつ分岐回路上の障害状態から保護するためにインテリジェント回路遮断器によって実装されるプロセスの流れ図である。
図15は、外部供給電力が通常状態(例えば、停電なし)にあるときに、
図12のインテリジェント配電および監視システム1200によって実装される自動化されたプロセスを例示している(ブロック1500)。インテリジェント回路遮断器は、本明細書で論じられるようなインテリジェントエネルギーメータリング方法を利用して、回路遮断器およびインテリジェントレセプタクルまたは電気デバイスのエネルギー使用プロファイルを監視する(ブロック1501)。所与の分岐回路上で、分岐回路上に電力の喪失を引き起こす遮断器トリップまたは障害事象が発生すると、所与の分岐回路を保護するインテリジェント回路遮断器は、所与の分岐回路上のインテリジェントデバイス(例えば、インテリジェントレセプタクルおよび負荷デバイス)と通信し、そのようなインテリジェントデバイスに、負荷デバイスへの電力を無効にするように命令する(ブロック1502)。
【0186】
インテリジェント回路遮断器は、障害事象の後に所定の時間待機し(ブロック1503)、次いで、分岐回路に自動的に再通電する(ブロック1504)。分岐回路の電源投入後、インテリジェント回路遮断器は、どのレセプタクルまたは負荷が障害事象の発生源であったかを判定するか、または別様に識別する(ブロック1505)。インテリジェント回路遮断器は、問題を起こしていない他のレセプタクルまたは負荷と通信して電力を再印加する(ブロック1506)。
【0187】
この制御プロセスでは、インテリジェント回路遮断器は、インテリジェント回路遮断器の負荷に電力を再供給する前に無線で通信する能力を有する過負荷のインテリジェントレセプタクルと組み合わされると、危険な障害状態を被る分岐回路をトリップさせ、問題を起こしているスマートレセプタクルに、電源投入後に負荷が切断された状態に留まるように無線で指示することによって自動的に電力を再印加し得る。これにより、インテリジェント回路遮断器は、障害を分離したまま、分岐上の他のすべての負荷への電力の融通を継続するために再通電することが可能になる。さらなる例として、インテリジェント回路遮断器が、2つ以上の個々の分岐フィードまたは相を有するインテリジェントレセプタクル、およびこれらのインテリジェントレセプタクルを切り替えるための機構と組み合わされている場合、インテリジェント回路遮断器は、インテリジェントレセプタクルに、負荷を平衡させ、かつ相平衡をより経済的に利用しようと分岐回路を切り替えるように指示することができる。
【0188】
他の実施形態では、2019年4月9日に出願された、「Load Identifying AC Power Supply With Control and Methods」という名称の米国特許出願第16/340,474号に開示されているような制御回路機構および制御プロセスを使用して、回路遮断器に接続されている負荷のタイプを識別子、かつ識別された負荷を制御するように、インテリジェント回路遮断器を構成することができ、その開示は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。例えば、
図16は、本開示の一実施形態による、回路遮断器に接続された負荷のタイプを識別するように、かつ識別された負荷タイプに基づいて負荷を制御するように構成されているインテリジェント回路遮断器1600の概略ブロック図である。特に、
図16は、AC幹線110と負荷120との間に接続されたインテリジェント回路遮断器1600を概略的に例示している。インテリジェント回路遮断器1600は、プロセッサ1602、第1のスイッチ1604、第2のスイッチ1606、スイッチ制御回路機構1608、AC-DC変換器回路機構1610、第1の電圧センサ1620、第2の電圧センサ1622、第1の電流センサ1630、第2の電流センサ1632、第3の電流センサ1634、および第4の電流センサ1636を備える。
【0189】
第1のスイッチ1604は、回路遮断器1600の線路入力端子と負荷出力端子との間の活性線経路で直列に接続されており、AC幹線110の線路活性111は、線路入力端子に接続されており、負荷120の負荷活性121は、負荷出力端子に接続されている。第2のスイッチ1606は、線路中性112と負荷中性122との間の中性線経路で直列に接続されている。AC幹線110の線路活性111は、第1のスイッチ1604がスイッチオン状態にあるときに負荷活性121に接続され、線路中性112は、第2のスイッチ1606がスイッチオン状態にあるときに負荷中性122に接続される。上記で論じたインテリジェントの他の実施形態でのように、線路中性112(例えば、遮断器分電盤のアース接地114に接合されている)は、インテリジェント回路遮断器1600の電子回路機構のローサイド電圧基準(例えば、接地)として機能する。
【0190】
いくつかの実施形態では、第1および第2のスイッチ1604および1606は、
図6A~6Hと併せて上記で論じたような例示的なスイッチング回路の1つを使用して構成され得る固体双方向スイッチを備える。スイッチ制御回路機構1608は、本明細書で論じられるようなスイッチ制御回路機構および技術を使用して、第1および第2のスイッチ1604および1606の動作を制御するように構成されている。AC電源を識別する負荷は、電流センサ1630、1632、1634、および1636に、ならびに、AC幹線データおよび負荷データを入手する電圧センサ1620および1622に電力を供給するAC-DC変換器1610を含む。AC-DC変換器回路機構1610は、プロセッサ1602、電圧センサ1620および1622、電流センサ1630、1632、1634、および1636、ならびにスイッチ制御回路機構1608を含む、インテリジェント回路遮断器1600の様々な回路機構および要素にDC電源を提供するように構成されている。AC-DC変換器回路機構1610は、
図4A、4B、および5と併せて上記で論じた例示的なフレームワークを使用して実装され得る。
【0191】
第1および第2の電圧センサ1620および1622は、回路遮断器1600を通る活性線経路に沿った異なる点における電圧を監視するように構成されている。例えば、
図16に示されるように、第1の電圧センサ1620は、第1のスイッチ1604の上流の活性線経路に結合されて、AC幹線110のAC供給電圧を監視し、第2の電圧センサ1622は、第1のスイッチ1604の下流の活性線経路に結合されて、インテリジェント回路遮断器1600に接続され、かつインテリジェント回路遮断器1600によって保護される分岐回路上の負荷電圧を監視する。電圧センサ1620および1622は各々、それぞれ1つ以上のデータ入手および制御線1620-1および1622-1によって、プロセッサ1602に結合されている。電圧センサ1620および1622は、ゼロ交差検出器回路、抵抗分圧器などを含むが、これらに限定されない、任意の好適なタイプの電圧検知回路機構を使用して実装され得る。
【0192】
電流センサ1630、1632、1634、および1636は、回路遮断器1600を通る活性線経路および中性線経路に沿った異なる点で電流を監視するように構成されている。例えば、
図16に示されるように、第1の電流センサ1630は、第1のスイッチ1604の上流の活性線経路に結合されて、線路側供給電流を監視し、第2の電流センサ1632は、第1のスイッチ1604の下流の活性線経路に結合されて、負荷側供給電流を監視する。第3の電流センサ1634は、第2のスイッチ1606の上流の中性線経路に結合されて、線路側供給電流を監視し、第4の電流センサ1636は、第2のスイッチ1606の下流の中性線経路に結合されて、負荷側帰線電流を監視する。電流センサ1630、1632、1634、および1636は各々、それぞれ1つ以上のデータ入手および制御線1630-1、1632-1、1634-1、および1636-1によって、プロセッサ1602に結合されている。電流センサ1630、1632、1634、および1636は、電流検知抵抗器、電流増幅器、ホール効果電流センサなどを含むが、これらに限定されない、任意の好適なタイプの電流検知回路を使用して実装され得る。
【0193】
プロセッサ1602は、電圧センサ1620および1622、ならびに電流センサ1630、1632、1634、および1636と連携して動作して、AC幹線110のアナログ供給電圧および電流波形、ならびに負荷120の電圧波形および負荷120を通る電流波形をサンプリングする。プロセッサ1602は、AC幹線110の電源電圧の単一の周期のサイクル時間よりも著しく大きいサンプリング周波数で、検知された電流波形および電圧波形をサンプリングするように構成されている。電圧波形および電流波形のサンプリング周波数は、負荷のタイプを区別するために必要に応じて選択される。いくつかの実施形態では、サンプリング周波数は、キロヘルツ範囲である。他の実施形態では、サンプリング周波数は、メガヘルツ範囲である。いくつかの実施形態では、予想される負荷タイプ間の入手された波形の弁別を最適化するために、電力のプログラムされた変形(または電力変調)が、負荷120に適用される。
【0194】
いくつかの実施形態では、プロセッサ1602は、電流サンプルおよび電圧サンプルを捕捉し、処理し、かつ記録するための回路機構を備え、回路機構は、比較器、アナログデジタル変換器など、ならびに、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、および当技術分野で知られている他のタイプの固体メモリデバイスおよび非固体メモリデバイスなどのデータ記憶要素を含む。いくつかの実施形態では、プロセッサ1602は、記録された電流サンプルおよび電圧サンプル(例えば、ニューラルネットワークの分析、および負荷データの分類)を分析して、負荷120の負荷タイプを識別するための制御ロジックおよび関連付けられたコンピューティングリソースを備える。
【0195】
例えば、サンプリングされた電流波形および電圧波形の分析は、負荷120からの電圧波形および電流波形の高周波成分におけるマッチングパターンを含む。他の実施形態では、波形の分析は、電力が最初に負荷に印加された後の、負荷が電力を引き出すタイミングの遅延を判定することを含む。他の実施形態では、分析は、入手された波形を、その高周波数成分を含めて、異なる負荷タイプを示すグループに分類することを含む。グループの非限定的な例としては、主として抵抗性の負荷、容量性の負荷、誘導性の負荷、力率補正を含む負荷、および、電源を形成する電力の負荷への初期印加における電力の遅延があるような電力制御を含む負荷を示す波形が挙げられる。
【0196】
他の実施形態では、プロセッサ1602は、記録された電流波形および電圧波形サンプルを分析するためのリモートサーバにアクセスし、リモートサーバを利用することができる。この事例では、プロセッサ1602は、(IP(インターネットプロトコル)ネットワークを介して有線または無線通信リンクを介して)記録されたサンプルを処理のためにリモートサーバに伝送し、次いで、プロセス結果をリモートサーバから受信する。いくつかの実施形態では、プロセッサ1602は、
図17に例示されるようなプロセの流れを実行するように構成されている。
【0197】
特に、
図17は、本開示の一実施形態による、インテリジェント回路遮断器によって実装される負荷識別および制御プロセスの方法の流れ図である。負荷タイプ別識別および負荷制御能力を有するインテリジェント回路遮断器が、AC幹線と負荷との間の目標の場所に設置される(ブロック1700)。例示の目的で、
図17を、
図16のインテリジェント回路遮断器1600のコンテキストで説明する。いくつかの実施形態では、インテリジェント回路遮断器1600は、回路遮断器分電盤に設置されている。いくつかの実施形態では、インテリジェント回路遮断器1600は、AC幹線と負荷との間の別個の接続箱に設置されているデバイスを備える。他の実施形態では、インテリジェント回路遮断器1600は、電気レセプタクルの構成要素である。いくつかの実施形態では、インテリジェント回路遮断器1600は、電子供給ストリップまたはスマート延長コードの構成要素である。
【0198】
設置され、供給電力が印加されると、インテリジェント回路遮断器1600は、負荷の接続を監視するように進行する(ブロック1701)。負荷の検出(ブロック1701における肯定の判定)に応答して、インテリジェント回路遮断器1600は、スイッチ1604および1606をアクティブ化して、AC幹線の電源電圧を負荷に接続する(ブロック1702)。次いで、インテリジェント回路遮断器1600は、後続の分析のために様々なタイプのデータを入手し、記憶する(ブロック1703)。入手されたデータは、データ記憶デバイス1710に記憶される。
【0199】
例えば、データ入手は、負荷がAC幹線電源に接続されている時間、負荷に電力が印加されている時間、および負荷が電力を使用している時間に関するタイミング情報を記録することを含む。加えて、データ入手は、波形データを入手することを含む。負荷が検出される際に入手される、負荷に固有である任意のデータを、「負荷データ」と呼ぶ。負荷データは、負荷のターンオン時間ならびに波形データを含む。波形データは、時間の関数としての、AC主電圧、負荷電圧負荷電流、および負荷によって消費される電力の値を入手することを含む。
【0200】
データは、負荷のタイプを検出するために最適化された周波数で入手される。いくつかの実施形態では、データは、AC幹線源の周波数の何倍も高い周波数で入手される。例えば、一実施形態では、50~60サイクルAC源データのデータは、キロヘルツレートで入手される。電圧波形および電流波形の高周波成分が、所与のタイプの負荷を適切に識別するために必要とされる他の実施形態では、データは、メガヘルツレートで入手される。
【0201】
いくつかの実施形態では、入手されたデータは、リアルタイムの処理またはほぼリアルタイムの処理のためにプロセッサ1602のRAMに記憶される。他の実施形態では、入手されたデータは、後続のアクセスおよび分析、例えば、負荷の最初の接続(ブロック1701)で取得された波形パターンと、後の時間での同じまたは異なる負荷の接続と、のマッチングに基づいて同一または類似の負荷を識別するためのパターンマッチング、のための永続的メモリまたはストレージに記憶される。いくつかの実施形態では、データストレージ1710は、負荷識別および負荷制御能力を有する複数のインテリジェント回路遮断器デバイスによってアクセス可能である。そのようなストレージは、インテリジェント回路遮断器1600に有線または無線接続されているデバイスによって、またはインテリジェント回路遮断器1600からインテリジェント回路遮断器デバイスなどの別のデバイスに、記憶された負荷データを転送することによって、アクセス可能である。
【0202】
初期データ入手後(ブロック1703)、インテリジェント回路遮断器1600は、負荷に供給される電力を変調することができる(ブロック1704)。特に、いくつかの実施形態では、電力変調は、スイッチ1604および1606のうちの1つ以上を制御して、負荷に給送される電力を変動させることを含む。追加の負荷データは、電力変調の間および後の両方で入手され、記憶される(ブロック1705)。インテリジェント回路遮断器1600は、負荷識別プロセスを実行して、電力変調の前、間、および後に捕捉される入手された負荷データに基づいて、接続された負荷の負荷タイプを識別する(ブロック1706)。
【0203】
いくつかの実施形態では、負荷識別プロセスは、負荷データの波形を、既知の負荷デバイスの負荷データの以前の入手された波形と比較することによって、実行される。他の実施形態では、負荷識別プロセスは、既に議論したように、負荷への電力のターンオンに関するタイミングと、波形データのマッチングと、の両方に基づく。他の実施形態では、ニューラルネットワーク分析を使用して、以前の負荷データのライブラリとの比較によって負荷データを負荷タイプのカテゴリに分類する。他の実施形態では、負荷識別プロセスは、スイッチ1604および/または1606を使用して接続された負荷への電力の変調の前、間、および後の負荷電圧波形および電流波形とAC幹線電圧波形との間の位相関係に基づいて、接続された負荷を特定の負荷カテゴリに分類するための訓練されたモデルを使用して、任意の好適な分類プロセスを実装することができる。
【0204】
例えば、所与の負荷の負荷タイプは、以下のうちの1つに分類され得る。
(1)純抵抗性の負荷:電圧と電流とのゼロ交差およびピークは、供給電圧の変調の前、間、および後の両方で同期する。電圧が低下すると、電力が減少し、電源電圧の変調が停止し、かつ供給電圧が全電圧に戻ると、電力が変調前のレベルに戻る。
(2)電力補正を伴う定電力の抵抗性の負荷。変調前の電圧と電流とのピークは同期し、変調の前、間、および後に電力が一定である。
(3)純無効(容量性または誘導性の)負荷。変調の前、間、および後の電圧と電流とで位相が異なり、電源電圧の変調の間に電力が減少し、電源電圧の変調が終了し、かつ全電圧に戻ると、電力が変調前のレベルに戻る。
(4)定電力無効負荷。変調の前、間、および後に電圧および電流の位相がずれ、電源電圧の変調の前、間、および後の電力が、一定である。
【0205】
いくつかの実施形態では、供給電圧の変調は、RMS供給電圧の1~20%の量の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、負荷識別プロセス(ブロック1706)は、識別の信頼レベルを判定することをさらに含む。一実施形態では、信頼レベルは、データ入手ステップ1703および1705の間に取得された負荷データと、既知の負荷に関して以前に取得され、データストレージ1701に記憶されたデータと、の一致の適合の良さによって判定される。識別プロセスが完了すると(ブロック1706)、接続された負荷の負荷タイプが所与の信頼のレベルで適切に識別されているかどうか、および識別された負荷のタイプと関連付けられた制御ルールが存在するかどうかの判定が行われる(ブロック1707)。いくつかの実施形態では、そのような判定(ブロック1707)は、識別における信頼レベルを、肯定的識別として定義される事前選択された信頼レベルと比較することによって行われる。
【0206】
負荷が肯定的に識別され、かつ識別された負荷と関連付けられた事前選択された制御ルールがある場合(ブロック1707における肯定の判定)、インテリジェント回路遮断器1600は、関連付けられた制御ルールの1つ以上に従って接続された負荷への電力を制御することができる(ブロック1708)。例えば、接続された負荷への電力は、負荷と直列のスイッチ1604および/または1606を制御することによって制御される。事前選択された制御ルールの非限定的な例としては、以下が挙げられる。
(1)昼間には、電球などの純抵抗性の負荷が減光されて、特にピーク需要時の電力使用量が低減され、
(2)定電力負荷では、負荷需要が低下すると、入力電力はそれに応じて低下して、無負荷/最小負荷要件の消費電力が最小限に抑えられ、
(3)遠隔地(人がいない)では、純抵抗性の負荷および定電力の抵抗性の負荷が切断され、負荷の需要によって自動的に再接続され、
(4)正常動作中にアークを発生させるデバイス(例えば、回転子へのブラシ接続を有する電気モータ)は、厄介な切断を防止するためにアーク障害回路遮断装置によって無視される。
【0207】
他の実施形態では、負荷タイプが、純抵抗性の負荷、定電力の抵抗性の負荷、純無効負荷、および定電力の無効負荷のうちの1つであるかどうかに基づく、事前選択されたルールのセットがある。事前選択されたルールの1つの非限定的な例では、含まれる力率補正、すなわち定電力の負荷、を有すると識別された負荷は、コントローラによってターンオフされず、純抵抗性の負荷は、事前選択された期間中にターンオフされ、純無効負荷への電力は、事前選択された期間中に低減される。一方、負荷タイプが識別されないか、または識別された負荷タイプと関連付けられた事前定義された制御ルールがないかのいずれかの場合(ブロック1707における否定の判定)、インテリジェント回路遮断器は、単に電源と負荷との接続を維持し(ブロック1709)、本明細書で議論されるように障害状態に応答して切断する。
【0208】
他の実施形態では、2018年10月11日に出願された、「Solid-State Line Disturbance Circuit Interrupter」という名称の米国特許出願第16/093,044号に開示されているような制御回路機構および方法を使用して、アーク障害回路遮断(AFCI)および/または地絡障害回路遮断(GFCI)機能をサポートするための障害検出センサおよび回路機構を含むように、インテリジェント回路遮断器を構成することができ、その開示は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。本開示の実施形態によるインテリジェントAFCI回路遮断器は、並列アーキング(ライン-中性間)、直列アーキング(所与の線路での弛緩した、破壊された、または別様の高抵抗セグメント)、および地絡アーキング(ライン、または中性から接地への)に対する保護を提供するように構成されている。本開示の一実施形態によるインテリジェントGFCI回路遮断器は、所与のデバイスまたは装置の電流がラインから中性装置への正常な経路から漏れたときに生じる地絡障害からの保護を提供するように構成されている。GFCI回路遮断器は、活性線と中性線との間の電流の差を監視し、活性線上の所与の負荷に対する電流入力が、中性線上の負荷からの帰線電流よりも所定の量(例えば、5mA)大きいとき、GFCI回路遮断器は、トリップして電流の流れの停止に至る。
図18Aは、本開示の一実施形態による、地絡障害状態およびアーク障害状態を監視し、かつ検出された障害状態に応答して回路遮断を提供するように構成されているインテリジェント回路遮断器1800の概略ブロック図である。インテリジェント回路遮断器1800は、低電圧DC電源1804、電圧および電流検知回路機構1820、制御プロセッサ1830、ならびに電子スイッチおよびスイッチ制御回路機構1840を備える。低電圧DC電源1810は、電圧および電流検知回路機構1820、ならびに制御プロセッサ1830に、DC電力を効率的に提供する。制御プロセッサ1830への検知入力1820-1および1820-2は、電圧および電流検知回路機構1820から提供される。電圧および電流検知回路機構1820は、負荷回路に印加される電圧および電流の波形を検知し、比例アナログ波形を生じるセンサを備える。制御プロセッサ1830は、比例アナログ波形を処理し、地絡障害またはアーク障害のいずれかの検出時に、スイッチ制御回路機構1840に結合されている制御線1840-1上に障害出力を生成する。障害が検出されると、制御線1840-1に印加される障害出力信号がラッチされ、スイッチ制御回路機構の制御入力に供給され、リセット1850が障害検出制御プロセッサ1830に印加されるまで、電子スイッチに負荷120をAC幹線110から切り離させる。
【0209】
他の実施形態では、電子スイッチ1840の出力電圧を、スイッチ制御回路機構を介して変動させることができる。例えば、アーク障害を検出すると、出力電圧は、アーキングの閾値未満であるがゼロよりも大きい値に低減され得る。そのような実施形態により、負荷回路は、損傷を与えるアークの可能性を低減しながら、低減された電圧で動作を継続することが可能になる。低減された電圧での動作はまた、後の交換または修理のためにアーク障害の場所を判定するための、負荷および幹線供給回路の継続される特性を可能にする。
【0210】
図18Bは、本開示の一実施形態による、
図18Aのインテリジェント回路遮断器1800の概略回路図である。
図18Bの例示的な実施形態では、電圧および電流検知回路機構(1820、
図18A)は、第1の電流センサ1821、第2の電流センサ1822、全波整流器1823、ならびに検知抵抗器1824および1825を備える。電子スイッチおよび制御回路機構(1840、
図18A)は、AC幹線110を負荷120に接続するための固体スイッチ回路機構1842(例えば、固体双方向スイッチ)と、光信号インターフェース1844-1を介して固体スイッチ回路機構1842を制御するスイッチ制御回路1844と、を備える。低電圧AC-DC電源1810は、電流センサ1821および1822、障害検出プロセッサ1830、ならびにスイッチ制御回路機構1844のためのDC電源を提供する。障害検出プロセッサ1830は、電流センサ1821および1822の各々の電流検知入力と、検知抵抗器1824および1825の電圧を検知する電圧検知入力と、を備える。
【0211】
いくつかの実施形態では、
図18Bに示されるように、第1および第2の電流センサ1821および1822は、線路活性111および線路中性112経路で流れる電流に比例した出力電圧を生成する固体ホール効果センサを備える。ホール効果センサ出力によって生成された電圧は、障害検出プロセッサ1830の電流検知入力に供給される。さらに、いくつかの実施形態では、電圧センサは、AC幹線110のAC供給電圧波形の両方の半サイクルを脈動DC電圧に変換するように構成されている全波整流器ブリッジ1823を備える。全波整流波形は、抵抗器1824および1825を備える抵抗分割器ネットワークを使用して減衰され、障害検出プロセッサ1830の電圧検知入力に印加される。いくつかの実施形態では、全波整流器ブリッジ1823は、排除され得、全波整流波形は、AC-DC変換器回路1810の出力から直接取得される。
【0212】
障害検出プロセッサ1830によって障害が検出されると、障害検出プロセッサ1830の出力は、ラッチされ、スイッチ制御回路機構1844の制御入力に供給され、次いでスイッチ制御回路機構1844は、光制御信号1844-1を固体双方向スイッチ回路機構1842に対して生成し、リセットスイッチ1850がアクティブ化されて障害検出プロセッサ1830をリセットするまで、負荷120をAC幹線110から切断する。上述したように、他の実施形態では、固体スイッチ回路機構1842の出力電圧は、スイッチ制御回路機構1844を介して変動し、その結果、アーク障害の検出時に、出力電圧は、アーキングの閾値未満であるがゼロよりも大きい値に低減される。このことにより、負荷120は、損傷を与えるアークの可能性を低減しながら、低減された電圧で動作を継続することが可能になる。低減された電圧での動作はまた、後の交換または修理のためにアーク障害の場所を判定するための、負荷および幹線供給回路の継続される特性を可能にする。
【0213】
図19は、本開示の一実施形態による、
図18Bのインテリジェント回路遮断器に実装され得る障害検出プロセッサ1900の概略ブロック図である。障害検出プロセッサ1900は、入力抵抗器1902および1904、増幅器1910、1912、および1914、A/D変換器1920、1922、および1924、電圧異常検出モジュール1930、電流異常検出モジュール1932、および閾値検出モジュール1934、ANDゲート1940、およびORゲート1950、ならびにラッチ回路1960を備える。電圧検知信号は、増幅器1910の反転入力端子および非反転入力端子に印加される。増幅器1910は、A/D変換器1920に入力される差分信号ΔVを生成する差動増幅器として構成されている。電流検知入力は、抵抗器1902および1904を介して増幅器1912の非反転入力に印加される。検知入力は、入力回路(1902、1904)によって合計され、演算増幅器1912は、AC幹線110のラインレッグおよび中性レッグの電流ΣIの合計に比例する信号を出力する。ΣI信号はまた、A/D変換器1922の入力に印加される。デジタル化されたΔV信号は、アーク障害の存在を示すいくつかのサイクルにわたって電圧波形の異常を検出するために、障害検出プロセッサ1900によって実行される電圧異常検出モジュール1930(例えば、サブプログラム)によって処理される。そのような電圧異常の1つの非限定的な例は、通常低周波数のAC幹線電圧波形に加えられる過剰な高周波数エネルギーの存在である。
【0214】
デジタル化されたΣI信号は、アーク障害の存在を示すいくつかのサイクルにわたって電流波形の異常を検出するために、障害検出プロセッサ1900によって実行される電流異常検出モジュール1932(例えば、サブプログラム)によって処理される。そのような電流異常の1つの非限定的な例は、電流波形のゼロ交差付近で発生する電流波形における「肩」(平坦な点)の発生である。検出モジュール1930および1932の出力は、ANDゲート1940に入力され、電圧波形異常および電流波形異常の組み合わされた様相は、アーク障害の1つの指標である。
【0215】
電流検知信号はまた、ラインレッグと中性レッグとの電流の差に比例する差分信号ΔIを形成する増幅器1914の入力に印加される。ΔI信号は、A/D変換器1924によってデジタル化され、地絡障害を示す閾値検出信号を生成する閾値検出モジュール1934によって処理される。ANDゲート1940の出力におけるアーク障害信号、および閾値検出モジュール1934の出力における地絡障害信号は、ロジックによって、ORゲート1950を介してORを取られ、ORゲート1950の出力は、ラッチ回路1960に入力される。ラッチ回路1960は、障害検出信号を出力し、外部リセット信号によってクリアされるまで障害状態を記憶する。
【0216】
図20は、本開示の一実施形態による電流ゼロ交差検出器回路を概略的に例示している。特に、
図20は、極性変化検出段2010、エッジ検出段2020、出力段2030、および検知抵抗器2040を備える電流ゼロ交差検出器回路2000を概略的に例示している。いくつかの実施形態では、検知抵抗器2040は、線路活性111と負荷活性121との間の電路で直列に接続されている。極性変化検出段2010は、第1の比較器2011および第2の比較器2012を備える。エッジ検出段2020は、第1の比較器2011の出力に接続された第1のエッジ検出回路2020-1と、第2の比較器2012の出力に接続された第2のエッジ検出回路2020-2と、を備える。第1および第2のエッジ検出回路2020-1および2020-2は、それぞれのインバータ2021および2022、それぞれの抵抗器2023および2034、それぞれのキャパシタ2025および2026、ならびにそれぞれの排他的OR(XOR)ゲート2027および2028を備える。出力段2030は、エッジ検出段2020のXORゲート2027および2028の出力に接続された入力を有するANDゲート2032を備える。
【0217】
検知抵抗器2040は、線路活性111と負荷活性121との間の電路において検知抵抗器2040を流れるAC負荷電流に基づいて、第1のノードN1(線路側ノード)と第2のノードN2(負荷側ノード)との間にAC電圧(検知電圧、V
Senseと称される)を生成する。上述したように、いくつかの実施形態では、検知抵抗器2040は、測定の目的で検知抵抗器2040に十分な検知電圧を生成することができる比較的低い抵抗値を有する高電力抵抗器を備え、大量のエネルギーを消費しない。例えば、いくつかの実施形態では、検知抵抗器2040は、約1ミリオームの抵抗値を含む。いくつかの実施形態では、
図20に示される検知抵抗器2040は、
図9Aに示される同じ検知抵抗器922であり、インテリジェント回路遮断器の複数の検出回路は、様々な機能性を提供するために同じ検知抵抗器をタップオフされる。
【0218】
極性変化検出段2010は、検知抵抗器2040を通るAC電流の流れの結果として検知抵抗器2040に生成される検知電圧V
Senseの極性変化を検出するように構成されている。第1および第2の比較器2011および2012は各々、比較器の反転入力(-)に印加される基準電圧と、比較器の非反転入力(+)に印加される入力電圧と、を比較し、入力電圧が基準電圧よりも大きい場合に論理「1」出力を生成し、入力電圧が基準電圧よりも小さい場合に論理「0」出力を生成する電圧比較器として構成されている。より具体的には、
図20の例示的な実施形態では、第1の比較器2011は、検知抵抗器2040の負荷側(ノードN2)に接続された非反転入力(+)と、検知抵抗器2040の線路側(ノードN1)に接続された反転入力(-)と、を備える。第2の比較器2012は、検知抵抗器2040の線路側(ノードN1)に接続された非反転入力(+)と、検知抵抗器2040の負荷側(ノードN2)に接続された反転入力(-)と、を備える。
【0219】
AC幹線110の電圧波形の正の半サイクル中、正の電流が検知抵抗器2040をノードN1からノードN2に流れ、検知抵抗器2040に正の検知電圧(+VSense)降下をもたらす(すなわち、VN1-VN2>0)。正の検知電圧(+VSense)では、第1の比較器2011の出力比較信号C1は、論理「0」となり、第2の比較器2012の出力比較信号C2は、論理「1」となる。一方、AC幹線110の電圧波形の負の半サイクル中、負の電流が検知抵抗器2040をノードN2からノードN1に流れ、検知抵抗器2040に負の検知電圧(-VSense)降下をもたらす(すなわち、VN1-VN2<0)。負の検知電圧(-VSense)では、第1の比較器2011の出力比較信号C1は、論理「1」となり、第2の比較器2012の出力比較信号C2は、論理「0」となる。
【0220】
検知電圧VSenseが正(+VSense)から負(-VSense)に遷移すると、第1の比較器2011の出力比較信号C1は、論理0から論理1に遷移し、第2の比較器2012の出力比較信号C2は、論理1から論理0に遷移する。一方、検知電圧VSenseが負(-VSense)から正(+VSense)に遷移すると、第1の比較器2011の出力比較信号C1は、論理1から論理0に遷移し、第2の比較器2012の出力比較信号C2は、論理0から論理1に遷移する。
【0221】
比較信号C1およびC2の遷移(またはエッジ)は、エッジ検出段2020の各エッジ検出回路2020-1および2020-2によって検出される。より具体的には、第1のエッジ検出回路2020-1において、XORゲート2027は、比較信号C1を受信する第1の入力端子と、遅延相補比較信号
【数1】
を受信する第2の入力端子と、を有する。遅延相補比較信号
【数2】
は、インバータ2021と抵抗器2023およびキャパシタ2025によって実装される遅延回路とによって生成され、インバータ2021は、反転(相補)比較信号
【数3】
を生成し、出力するように構成されており、抵抗器2023およびキャパシタ2025は、相補比較信号
【数4】
にRC遅延を適用し、それによって遅延相補比較信号
【数5】
を生成するように構成されている。例示的な実施形態では、抵抗器2023は、1キロオームの抵抗を有し、キャパシタ2025は、3.3ナノファラッドの静電容量を有する。XORゲート2027は、入力信号C1および
【数6】
が同じ論理レベルを有する(例えば、両方とも論理0または両方ともまたは論理1)期間中に短い論理0エッジパルス信号E1を生成する。
【0222】
同様に、第2のエッジ検出回路2020-2では、XORゲート2028は、比較信号C2を受信する第1の入力端子と、遅延相補比較信号
【数7】
を受信する第2の入力端子と、を有する。遅延相補比較信号
【数8】
は、インバータ2022と抵抗器2024およびキャパシタ2026によって実装される遅延回路とによって生成され、インバータ2022は、反転(相補)比較信号
【数9】
を生成し、出力するように構成されており、抵抗器2024およびキャパシタ2026は、相補比較信号
【数10】
にRC遅延を適用し、それによって遅延相補比較信号
【数11】
を生成するように構成されている。例示的な実施形態では、抵抗器2024は、1キロオームの抵抗を有し、キャパシタ2026は、3.3ナノファラッドの静電容量を有する。XORゲート2028は、入力信号C2および
【数12】
が同じ論理レベルを有する(例えば、両方が論理0であるか、または両方が論理1である)期間中に短い論理0エッジパルス信号E2を生成する。
【0223】
動作中、XORゲート2027および2028は、電流ゼロ交差の直前およびゼロ電流交差の直後に、それぞれのエッジパルス信号E1およびE2を生成する。ANDゲート2032は、XORゲート2027および2028のそれぞれの出力に接続された第1および第2の入力端子を有する。ANDゲート2032は、出力信号E1およびE2の論理的なANDを取ることに基づいて、電流ゼロ交差検出信号Ziを生成し、出力する。電流ゼロ交差検出信号Ziは、インテリジェント回路遮断器の1つ以上のスイッチ(例えば、固体双方向スイッチおよび/または電気機械スイッチのソレノイド)を制御するスイッチ制御回路機構に印加される。
図20の例示的な回路構成では、ANDゲート2032は、電流ゼロ交差の前の1つと後の1つとの2つのゼロに向かうパルスを出力する。2つのパルスは、検知電流の増加とともに近付く。大電流(例えば、100アンペア)では、2つのパルスは、本質的に1つのパルスである。エッジ検出回路2020-1および2020-2の出力が「地絡真」であることを考えると、いつでも論理「0」がANDゲート2032の入力のうちの1つにあるため、この構成におけるANDゲート2032は、「地絡真」ORゲートとして機能し、ANDゲート2032の出力は、論理「0」となる。
【0224】
図21Aおよび
図21Bは、本開示の一実施形態による、
図20の電流ゼロ交差検出回路の動作モードを例示する様々な波形を描示している。例えば、
図21Aは、
図20のエッジ検出段2020の動作のモード、特に第1のエッジ検出回路2020-1の動作モードを例示する波形を描示している。特に、
図21Aは、複数の信号波形2100、2110、2120、および2130のタイミング図を例示しており、波形2100は、第1の比較器2011によって生成される例示的な比較信号C1を表し、波形2110は、インバータ2021から出力された例示的な相補比較信号
【数13】
を表し、波形2120は、インバータ2021の出力でRC遅延回路の結果として生成される例示的な遅延相補比較信号
【数14】
を表し、波形2130は、XORゲート2027の入力に印加された波形2100および2120に応答してXORゲート2027によって生成される例示的なエッジ検出信号E1を表す。
【0225】
図21Aに示されるように、エッジ検出信号E1の波形2130は、第1の比較器2011から出力された比較信号C1の波形2100の各論理遷移に応答してゼロに向かうパルスを生成する。エッジ検出回路2020-2は、
図21Aのタイミング図に描示されるように、エッジ検出回路2020-1と同様の様態で動作する。特に、波形2100、2110、2120、および2130は、それぞれ、第2の比較器2012によって生成された比較信号C2、インバータ2022によって生成された相補比較信号
【数15】
、RC遅延回路(抵抗器2024、およびキャパシタ2026)によって生成された遅延相補比較信号
【数16】
、およびXORゲート2028の入力に印加された波形C2および
【数17】
に応答してXORゲート2028から出力されたエッジ検出信号E2を表すことができる。波形2100、2110、2120、および2130は、
図21Aに一般的に描示されており、例えば、信号のスルーレート(エッジの立ち上がりおよび立ち下がり)、論理ゲート中の伝播遅延などを考慮に入れないことを理解されたい。
【0226】
図21Bは、本開示の一実施形態による、
図20の電流ゼロ交差検出回路2000の動作モードを例示するシミュレートされた信号波形を例示している。特に、
図21Bは、複数のシミュレートされた信号波形2140、2150、2160、2170、2180、および2190のタイミング図を例示している。波形2140は、検知抵抗器2040を流れる負荷電流の例示的な電流波形を表す。波形2150は、第1の比較器2011によって生成される例示的な比較信号C1を表す。波形2160は、第2の比較器2012によって生成される例示的な比較信号C2を表す。波形2170は、第1のエッジ検出回路2020-1によって生成された例示的なエッジ検出信号E1を表す。波形2180は、第2のエッジ検出回路2020-2によって生成された例示的なエッジ検出信号E2を表す。波形2190は、波形(D)および(E)に応答してANDゲート2032によって生成される電流ゼロ交差検出信号Ziを表す。加えて、
図21Bは、電流波形2140の電流ゼロ交差の時間を表すZ-REF破線を描示している。
【0227】
図21Bでは、負荷電流の波形2140が負から正に上昇することが示されており、このことは、検知抵抗器2040を通るAC電流波形が負の半サイクルから正の半サイクルに遷移することを示す。この事例では、検知電圧V
Senseは負(-V
Sense)から正(+V
Sense)に遷移する。実際には、検知抵抗器2040を通る負荷電流のゼロ交差は、電圧のゼロ交差と必ずしも一致せず、これは、例えば、誘導性の負荷(電流位相が電圧位相よりも遅れる)に起因する電圧と電流との間の位相差、または力率が1未満であることにより、負荷の電流波形と電圧波形との位相差をもたらす他の事例があり得るためである。
【0228】
図21Bに示されるように、波形2150は、検知電圧V
Senseの負から正への遷移に応答して論理「1」から論理「0」に遷移する第1の比較信号C1を例示しており、波形2160は、検知電圧V
Senseの負から正への遷移に応答して論理「0」から論理「1」に遷移する第2の比較信号C2を例示している。さらに、波形2170は、XORゲート2027から出力された第1のエッジ検出信号E1が、波形2150の第1の比較信号C1のエッジ遷移に対応する短いゼロに向かうエッジ検出パルス2171を含むことを例示している。同様に、波形2180は、XORゲート2028から出力された第2のエッジ検出信号E2が、波形2160の第2の比較信号C2のエッジ遷移に対応する短いゼロに向かうエッジ検出パルス2182を含むことを例示している。
【0229】
図21Bに示されるように、第1の比較信号C1波形2150の立ち下がりエッジがゼロ電流交差Z-REFに先行し、波形2160の第2の比較信号C2の立ち上がりエッジがゼロ電流交差Z-REFに続くことに留意されたい。負荷電流2140(具体的には図示せず)の負に向かうサイクルでは、役割は反転する。特に、第2の比較信号C2の立ち下がりエッジは、負荷電流のゼロ交差に先行し、第1の比較信号C1の立ち上がりエッジは、負荷電流のゼロ交差に続く。このことは、極性変化検出段2010における比較器回路機構の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの伝播遅延の非対称性に起因しており、二重回路構成の理由である。
【0230】
さらに、ゼロ交差検出信号Ziの波形2190は、負荷電流波形2140の実際のゼロ交差の直前および直後に生成される第1のゼロ交差検出パルス2191(ゼロに向かうパルス)、および第2のゼロ交差検出パルス2192(ゼロに向かうパルス)を含む。上述したように、ゼロ交差検出信号Ziの波形2190は、エッジ検出信号E1およびE2の波形2170および2180を論理的にANDを取ることによって生成され、第1のゼロ交差検出パルス2191は、E1波形2170の第1のエッジ検出パルス2171に対応し、第2のゼロ交差検出パルス2192は、E2波形2180の第2のエッジ検出パルス2182に対応する。これに関して、上述したように、
図20の例示的な回路構成では、ANDゲート2032は、電流ゼロ交差の前の1つと後の1つとの2つのゼロに向かうパルス2191および2192を出力する。
【0231】
さらなるシミュレーションは、ゼロ交差検出パルスが、検知抵抗器2040を通る負荷電流の増加とともにより近付くことを示す。大電流(例えば、100アンペア)では、2つのゼロ交差検出パルスは、本質的に1つのパルスであり、実際のゼロ交差電流と本質的に同時に生成され、検知抵抗器2040を通る負荷電流は、実質的にまたは実際にゼロである。特に、負荷電流が増加するにつれて、負荷電流の傾き(dv/dt)が増加する。
図20の電流ゼロ交差検出器回路2000の利益は、負荷電流が増加するにつれて、Ziの二重の負に向かうパルスが、互いに向かって、かつ電流ゼロ交差の時点に向かって、時間的に近付くことである。インテリジェント回路遮断器(電流ゼロ交差検出器回路2000が統合されている)の目標が、ゼロ交差に極力近い時間にACスイッチを開放することであることを考えると、(ゼロ電流交差に先行する)Ziの二重パルスのうちの第1のものを利用して動作を呼び出し、そのような動作を呼び出すスイッチ制御回路機構にやむを得ない遅延があることを考えると、「ヘッドスタート」を採用してACスイッチを開放することが有益である。加えて、上述したように、別の利益は、Ziのパルスが、高電流負荷で最も重要となる、電流ゼロ交差に最も近いことである。最高負荷(例えば、100A超)では、Ziの二重パルスは、電流ゼロ交差とほぼ一致する1つのパルスに本質的に融合するように、互いに近付く。
【0232】
図22は、本開示の一実施形態による短絡検出回路を概略的に例示している。特に、
図22は、第1の比較器2202、第2の比較器2204、NORゲート2210、複数の抵抗器2212、2213、2213、および2215、ならびに検知抵抗器2040を備える短絡検出回路2200を概略的に例示している。検知抵抗器2040は、線路活性111と負荷活性121との間の電路のノードN1およびN2間で直列に接続されている。いくつかの実施形態では、検知抵抗器2040は、
図20の電流ゼロ交差検出器回路2000に利用される同じ検知抵抗器2040である。
【0233】
第1の比較器2202は、検知抵抗器2040の負荷側(ノードN2)に接続された非反転入力(+)と、抵抗器2212および2213間のノードN3に接続された反転入力(-)と、を備える。第2の比較器2204は、検知抵抗器2040の線路側(ノードN1)に接続された非反転入力(+)と、抵抗器2214および2215間のノードN4に接続された反転入力(-)と、を備える。抵抗器2212および2213は、第1の比較器2202の反転入力(-)に印加される第1の基準電圧VREF1をノードN3で生成するように構成されている第1の分圧器回路(VDC on HotとノードN1との間に接続されている)を実装する。抵抗器2214および2215は、第2の比較器2204の反転入力(-)に印加される第2の基準電圧VREF2をノードN4で生成するように構成されている第2の分圧器ネットワーク(VDC on HotとノードN2との間に接続されている)を実装する。第1および第2の比較器2202および2204は、NORゲート2210の入力端子に接続された出力端子を有する。
【0234】
動作中、第1の比較器2202は、ノードN2における検知電圧VSenseを第1の基準電圧VREF1と比較し、第1の比較信号HC1を生成し、出力する。第2の比較器2204は、ノードN1における検知電圧VSenseを第2の基準電圧VREF2と比較し、第2の比較信号HC2を生成し、出力する。NORゲート2210は、論理的に第1および第2の比較信号HC1およびHC2のNORを取って、インテリジェント回路遮断器の1つ以上のスイッチ(例えば、固体双方向スイッチおよび/または電気機械スイッチのソレノイド)を制御するスイッチ制御回路機構に印加される高電流検出信号HCを生成し、出力する。
【0235】
より具体的には、第1の比較器2202は、ノードN2における検知電圧V
Senseが第1の基準電圧VREF1を超えると、論理「1」信号(HC1)を生成し、出力し、第2の比較器2204は、ノードN1における検知電圧V
Senseが第2の基準電圧VREF2を超えると、論理1信号(HC2)を生成し、出力する。つまり、
図22の例示的な実施形態では、第1の比較器2202は、AC供給電圧波形の負の半サイクル中に負荷の極端な過電流状態(すなわち、短絡)を検出するように構成されており、第2の比較器2204は、AC供給電圧波形の正の半サイクル中に負荷の極端な過電流状態(すなわち、短絡)を検出するように構成されている。NORゲート2210は、半サイクルのいずれかが極端な過電流状態を有することが検出されると(例えば、HC1またはHC2のいずれかが論理「1」であると)、論理「0」信号(HC)を出力する。
【0236】
抵抗器2212、2213、2214、および2215の抵抗値は、短絡検出回路2200が目標の過電流閾値レベルを超える過電流状態を検出することを可能にする基準電圧VREF1およびVREF2を生成するように選択されている。例えば、20A遮断器の場合、短絡検出回路2220を、負荷電流が200A以上である短絡状態を検出するように構成することができる。抵抗器2212および2213の抵抗値の比率は、第1の基準電圧VREF1の所望の値を達成するように選択されており、抵抗器2214、2215の抵抗値の比率は、第2の基準電圧VREF2の所望の値を達成するように選択されている。いくつかの実施形態では、抵抗器2215の抵抗値は、検知抵抗器2040の電圧降下を効果的に補償する、抵抗器2212および2213の抵抗値と実質的に等しいように選択されている。
【0237】
図23は、本開示の一実施形態による、
図22の短絡検出回路2200の動作のモードを例示するシミュレートされた信号波形を例示している。特に、
図23は、複数の信号波形2300、2310、2320、および2330のタイミング図を例示している。波形2300は、第1の比較器2202によって生成される例示的な第1の比較信号HC1を表す。波形2310は、第2の比較器2204によって生成される例示的な第2の比較信号HC2を表す。波形2320は、NORゲート2210によって生成される例示的な高電流検出信号HCを表す。波形2330は、検知抵抗器2040を流れる負荷電流のシミュレートされたAC電流波形を表す。
【0238】
図23の例示的な実施形態では、短絡検出回路2200は、負荷電流波形2330がいずれかの半サイクルで200Aに達するか、または200Aを超えると過電流状態を検出するように構成されていると仮定する。
図23に示されるように、波形2300は、第1の比較信号HC1が、負荷電流波形2330が200Aに達するか、または200Aを超える各負の半サイクルの期間中に論理「1」レベルに設定されることを例示している。波形2310は、第2の比較信号HC2が、負荷電流波形2330が200Aに達するか、または200Aを超える各正の半サイクルの期間中に論理「1」に設定されることを例示している。波形2320は、論理的に波形2300および2310のNORを取ることによって生成される高電流検出信号HCを例示している。この例示的な実施形態では、波形2320は、NORゲート2210が、負荷電流波形2330が負荷電流のいずれかの半サイクルで200Aに達し、かつ200Aを超える各期間にわたって論理「0」パルスを生成することを例示している。
【0239】
図20および22のハードウェア検出回路が、電流ゼロ交差事象の高速で効率的な検出、ならびに極端な過電流および短絡状態に対する高速で効率的な検出および応答を可能にすることを理解されたい。そのような検出を、プロセッサによって実行されるソフトウェアを使用して実装することができるが、ハードウェア検出の使用は、ソフトウェアを使用してセンサデータを分析することによってプロセッサが課す可能性のある不確定な処理時間の結果として発生し得る検出および応答の遅延と比較して、高速の検出および応答時間を可能にする。加えて、
図20の電流ゼロ交差検出回路2000は、負荷電流がほぼゼロである時点に、インテリジェント回路遮断器が固体スイッチをスイッチオフ状態にすることを可能にする。この事例では、負荷電流がほぼゼロであるときに固体スイッチをオフにして、誘導性の負荷からのキックバックを回避することができ、高電圧のキックバックスパイクは、固体スイッチのMOSFETまたは漏れクランプのMOSFET(例えば、分離回路機構810、
図8B)を損傷させ得る。
図20および22のハードウェア検出回路は、線路活性110から参照されるDC供給(例えば、VDC-on-Hot)によって電力供給される。これは、これらの回路が中性によって参照されるDC電源から電力供給されるとした場合に必要となるであろう光アイソレータまたは他の回路に伴う遅延を回避する利点を提供する。
【0240】
図24は、本開示の別の実施形態によるインテリジェント回路遮断器を概略的に例示している。特に、
図24は、AC幹線110と負荷120との間に接続されたインテリジェント回路遮断器2400を概略的に例示しており、インテリジェント回路遮断器2400は、単極ハイブリッド固体および機械回路遮断器アーキテクチャを含む。インテリジェント回路遮断器2400は、AC幹線110の線路活性111と負荷120の負荷活性121との間の電路で直列に接続された固体スイッチ2410およびエアギャップ電磁スイッチ2420を備える(例えば、エアギャップ電磁スイッチ2420および固体スイッチ2410は、インテリジェント回路遮断器2400の線路入力端子と負荷出力端子との間で直列に接続されている)。インテリジェント回路遮断器2400は、AC-DC変換器回路2430、ゼロ交差検出回路機構2440、検知抵抗器2442、電流センサ2450、他のタイプのセンサ2460(例えば、環境センサ、光センサなど)、およびスイッチコントローラ2470をさらに備える。
【0241】
図24に示されるようないくつかの実施形態では、固体スイッチ2410は、示されるような、ゲート端子(G)、ドレイン端子(D)、およびソース端子(S)を有する電力MOSFETスイッチ2410(例えば、N型エンハンスメントMOSFETデバイス)、および内部ボディダイオード2410-1を備える。エアギャップ電磁スイッチ2420は、電気接点のセットを物理的に開閉するように構成されている任意の好適なタイプの電磁機械スイッチ機構を備え、エアギャップ電磁スイッチ2420がスイッチ開放状態にあるときに、電気接点の間にエアギャップが作成される。例えば、エアギャップ電磁スイッチ2420は、スイッチコントローラ2470からの制御信号に応答して、エアギャップ電磁スイッチ2420の電気接点を自動的に開閉するラッチングソレノイドまたはリレー接点素子を備えてもよい。
【0242】
線路活性111と負荷活性121との間の線路経路にエアギャップを作成することにより、線路活性111から負荷活性121への電流の流れが防止されるため、AC幹線110を負荷120から完全に分離することが提供される。エアギャップ電磁スイッチ2420は、(
図24に示されるように)固体スイッチ2410の線路側、または固体スイッチ2410の負荷側のいずれかに配設され得る。インテリジェント回路遮断器2400は、電気工事規定が完全な分離のために回路遮断器へのエアギャップの実装を必要とする場合に、1つの固体スイッチを(上記に記載した例示的な実施形態におけるいくつかの固体スイッチと比較して)利用することを可能にする費用対効果の高いソリューションを提供する。
【0243】
AC-DC変換器回路機構2430は、(そのようなセンサ2450および2460の構成に応じて)ゼロ交差検出回路機構2440、スイッチコントローラ2470、および任意選択で電流センサ2450、および他のセンサ2460を含む、インテリジェント回路遮断器2400の様々な回路機構および要素に、DC供給電力を提供するように構成されている。AC-DC変換器回路機構2430は、固体スイッチ2410がスイッチオフ状態にあるとき、または電磁スイッチ2420がスイッチ開放状態にあるとき、障害中に電力供給されたままとなるように構成されている。いくつかの実施形態では、AC-DC変換器回路機構2430は、外部停電の直後にDCサブシステムに電力供給するのに十分な蓄電容量を備え、これにより、外部電源が崩壊する際に、関連する停電または短絡の情報が、コントローラ2470によって取得され、記憶され、次いで、スイッチコントローラ2470に結合されているか、またはスイッチコントローラ2470と統合された無線周波数送受信機(図示せず)を使用して、リモートノード、デバイス、またはシステムに無線で伝送され得る。
【0244】
いくつかの実施形態では、ゼロ交差検出回路機構2440は、インテリジェント回路遮断器2400の活性線電路に沿った目標の点における電圧および/または電流を監視し、かつ活性線電路上でのAC波形のゼロ電流交差および/またはゼロ電圧交差を検出するように構成されている。例えば、
図24に示されるように、ゼロ交差検出回路機構2440は、スイッチ2420および2410の上流の活性線電路に結合されて、インテリジェント回路遮断器2400の線路側でのAC電源波形のゼロ電流および/またはゼロ電圧交差のインスタンスを検出する。ゼロ交差検出回路機構2440は、1つ以上のデータ入手および制御線2440-1によってスイッチコントローラ2470に結合されている。
【0245】
ゼロ交差検出回路機構2440は、AC電源波形の電流および/または電圧のゼロ交差を検知し、かつ電流または電圧波形のゼロ交差事象およびゼロ交差事象の関連付けられた遷移方向(例えば、負から正に遷移するAC波形(「正の遷移方向」と称される)、または正から負に遷移するAC波形(「負の遷移方向」と称される))を示す検出信号を生成するように構成されている任意の好適なタイプの電圧ゼロ交差および/または電流ゼロ交差検出回路機構を使用して実装され得る。
【0246】
いくつかの実施形態では、ゼロ交差検出回路機構2440は、(スイッチ2420および2410の線路側の)活性線経路上でのAC波形のサンプリングを入力として受信し、AC波形サンプルをゼロ基準電圧(例えば、線路中性電圧)と比較して活性線経路上でのAC波形の極性を判定し、かつAC波形のゼロ交差事象およびゼロ交差の関連付けられた遷移方向を検出するように、構成されている。いくつかの実施形態では、比較は、活性線経路に接続された非反転入力、および基準電圧を受信する反転入力を有する電圧比較器を使用して実行される。電圧比較器の出力は、(i)入力電圧が正から負に遷移するときに論理1から論理0に切り替わり、(ii)入力電圧が負から正に遷移するときに論理0から論理1に切り替わる。この事例では、ゼロ交差検出回路機構2440の出力は、AC電圧波形の検出されるゼロ交差ごとに、論理「1」と論理「0」出力との間で遷移する。
【0247】
いくつかの実施形態では、ゼロ交差検出回路機構2420は、
図20の電流ゼロ交差検出回路2000を実装する。この事例では、
図24の検知抵抗器2442は、
図20に示される検知抵抗器2040と同様の様態で利用される。電圧ゼロ交差検出回路機構に代えて、または加えて、電流ゼロ交差検出回路機構を利用して、活性線上でのAC電流波形(すなわち、AC負荷電流)がゼロであるときとAC電流波形の遷移方向とを判定する。このことは、例えば、活性線経路上での電圧波形および電流波形の位相をずらす誘導性の負荷がある場合に所望される。
【0248】
いくつかの実施形態では、電流センサ2450は、インテリジェント回路遮断器2400を通る活性線経路の負荷120によって引き出される電流の大きさを検出するように構成されている。電流センサ2450は、電流検知抵抗器、電流増幅器、ホール効果電流センサなどを含むが、これらに限定されない、任意の好適なタイプの電流検知回路を使用して実装され得る。電流センサ2450は、1つ以上のデータ入手および制御線2450-1によってスイッチコントローラ2470に結合されている。いくつかの実施形態では、電流センサ2450は、
図22の短絡検出回路2200を実装し、電流センサ2450は、固体スイッチ2410の負荷側と負荷活性121との間に直列に接続されている検知抵抗器を備える。いくつかの実施形態では、電流センサ2450は、ゼロ交差検出回路機構2440と同じ検知抵抗器2442を利用し、この場合に電流センサ2450は、検知電圧V
SenseをサンプリングするためにノードN1およびN2に接続された入力を有するであろう。
【0249】
センサ2460は、環境状態(例えば、化学的、ガス、湿度、水、温度、光など)を検知し、かつ潜在的に有害な環境状態を示すセンサデータを生成するように構成されている1つ以上の任意選択のセンサを含む。センサ2460は、1つ以上のデータ入手および制御線2460-1によってスイッチコントローラ2470に結合されている。例として、センサ2460は、(i)有害化学物質の存在を検出するように構成されている化学物質感受性検出器、(ii)有害ガスの存在を検出するように構成されているガス感受性検出器、(iii)例えば火災を示す高温を検出するように構成されている温度センサ、(iv)例えば爆発、地震などと関連付けられた大きな振動を検出するように構成されている圧電検出器、(v)洪水もしくは湿潤状態を検出するように構成されている湿度センサまたは水センサ、および回路遮断を必要とするであろう有害環境状態の存在または発生を検出するように構成されている他のタイプのセンサ、のうちの1つ以上を含むことができる。
【0250】
スイッチコントローラ2470は、ゼロ交差検出回路機構2440、電流センサ2450、およびセンサ2460と連携して動作して、障害状態(例えば、短絡障害、過電流障害、アーク障害、地絡障害など)の検出、有害な環境状態(例えば、ガス漏れ、化学物質流出、火災、洪水など)の検出などの機能を実行し、検出された障害状態または有害な環境状態に応答してスイッチ2410および2420の開閉のためのタイミング制御を提供し、それによってエアギャップ電磁スイッチ2420に電気アークが生じることを回避する。スイッチコントローラ2470は、固体スイッチ2410をスイッチオン状態またはスイッチオフ状態にするために、固体スイッチ2410のゲート端子(G)に印加されるゲート制御信号を生成する。いくつかの実施形態では、スイッチコントローラ2470は、電流センサ2450および/または他のセンサ2460から取得されたセンサデータを分析した結果として、スイッチコントローラ2470によって検出される短絡障害、過電流障害、過電圧状態、および他の障害または危険などの障害状態に応答して、固体スイッチ2410をスイッチオフ状態にするためのゲート制御信号を生成する。
【0251】
スイッチコントローラ2470は、スイッチ2410および2420を制御するために本明細書で論じられるように、センサデータを処理し、かつスイッチ制御タイミングプロトコルを実装するように構成されているプロセッサを使用して実装され得る。加えて、スイッチコントローラ2470は、センサデータをプロセッサによる処理に好適である適切なフォーマットに変換するための回路機構を実装することができる。他の実施形態では、スイッチ制御2470は、(上記に論じた例示的な実施形態におけるような)ハードウェアベースのスイッチ制御回路機構を実装し、ソフトウェアベースの制御とは対照的に、ハードウェアベースの制御を可能にする。
【0252】
スイッチコントローラ2470は、リモートノード、デバイス、システムなどと無線通信して、障害状態のリモート監視および検出をサポートするための、かつインテリジェント回路遮断器2400を制御するためのリモートコマンドを受信するための、RF送受信機を含むことができる。プロセッサは、中央処理装置、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および他のタイプのプロセッサ、ならびに、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアなどに基づく処理機能を実行することができる、そのようなプロセッサの部分または組み合わせを備えてもよい。他の実施形態では、インテリジェント回路遮断器2400の様々な構成要素(例えば、2430、2440、および2470)の固体回路機構は、システムオンチップとして単一のダイ上に実装され得る。
【0253】
電磁スイッチ2420の電気接点間の電気アークの生成を防止するために、スイッチコントローラ2470は、エアギャップ電磁スイッチ2420をスイッチ開放状態またはスイッチ閉鎖状態にする前に、固体スイッチ2410をスイッチオフ状態にするように構成されている。しかしながら、
図24の構成では、固体スイッチ2410がスイッチオフ状態にあり、かつエアギャップ電磁スイッチ2420がスイッチ閉鎖状態にあると仮定する場合でも、固体スイッチ2410のボディダイオード2410-1は、AC幹線110のAC電源波形が負の半サイクルにあるときに、負の電流が負荷120からAC幹線110に伝導することを可能にする。
【0254】
この事例では、エアギャップ電磁スイッチ2420がAC電源波形の負の半サイクル中に開放される場合、負の電流の流れは、エアギャップ電磁スイッチ2420の電気接点の間に電気アークを生成するであろう。電気アークの生成に加えて、エアギャップ電磁スイッチ2420を開放することは、所与の時間における短絡電流状態および負の電流の流れに起因して生成されるであろう比較的強力な電磁力に起因して、困難であり得るか、または不可能であり得る。
【0255】
そのような電気アークが生じることを回避し、かつエアギャップ電磁スイッチ2420を開放しやすくするために、スイッチコントローラ2470は、障害または有害な状態を検出することに応答して固体スイッチ2410をスイッチオフ状態にし、かつゼロ交差検出回路機構2440から取得されたセンサデータを処理して、インテリジェント回路遮断器2400の線路側(例えば、線路活性111)でのAC電圧および/または電流のゼロ交差事象およびゼロ交差事象の関連付けられた遷移方向を判定し、次いで、線路側でのAC電圧および/または電流の極性が正の半サイクルに遷移していると判定される場合に、検出されたゼロ交差事象に応答してエアギャップ電磁スイッチ2420を開放するように、構成されている。
【0256】
一方、スイッチコントローラ2470は、所与の時間において、ゼロ交差事象の関連付けられた遷移方向が、線路側でのAC電圧および/または電流の極性が負の半サイクルに遷移している負の遷移であると判定すると、スイッチコントローラ2470は、エアギャップ電磁スイッチ2420を開放することはせずに、ゼロ交差検出回路機構2440によって検出されるような正の遷移を伴うゼロ交差事象の次のインスタンスまで、エアギャップ電磁スイッチ2420を開放することを遅延させる。この事例では、エアギャップ電磁スイッチ2420は、固体スイッチ2410がすべての電流の流れ(漏れを除く)を防止している半サイクル中に開放されるであろう。このスイッチ制御プロトコルは、エアギャップ電磁スイッチ2420を開放するための電気機械機構のサイズおよび強度要件の大幅なダウンサイジングを可能にする。
【0257】
ここで、スイッチコントローラ2470によって実装されるスイッチタイミング制御について、
図25A、25B、および26を参照してさらに詳細に論じる。例えば、
図25Aは、
図24のインテリジェント回路遮断器2400の線路側に入力される電源電圧波形を例示している。特に、
図25Aは、AC幹線110の電源電圧波形を表す入力電圧波形2500を例示している。入力電圧波形2500は、時間T0、T1、T2、T3、およびT4において、正の半サイクル2502、負の半サイクル2504、およびゼロ電圧交差2510を含む。固体スイッチ2410がスイッチオン状態にあり、かつエアギャップ電磁スイッチ2420がスイッチ閉鎖状態にあるとき、入力電圧波形2500は、負荷120の負荷活性線121に印加される。スイッチコントローラ2470が、電力が負荷120から切断されるべきであると判定すると、スイッチコントローラ2470は、固体スイッチ2410をスイッチオフ状態にするために、固体スイッチ2410のゲート端子Gに印加されるゲート制御信号を生成する。
【0258】
図25Bは、固体スイッチ2410がスイッチオフ状態にあり、エアギャップ電磁スイッチ2420がスイッチ閉鎖状態にあるときの、
図24のインテリジェント回路遮断器2400の負荷側の出力電圧波形2520を例示している。この状態では、固体スイッチ2410のボディダイオード2410-1は、入力電圧波形2500の負の半サイクル2504中に順バイアスされ、入力電圧波形2500を整流し、
図25Bに示される出力電圧波形2520をもたらし、入力波形2500の正の半サイクル2502に対応する出力電圧波形2520の部分2522は、0Vであり、出力電圧波形2520の部分2524は、入力波形2500の負の半サイクル2504の電圧を辿る。この事例では、負の電流は、エアギャップ電磁スイッチ2420が開放されるまで、各負の半サイクル2524中に負の電流が負の負荷120からAC幹線110に流れるであろう。
【0259】
上述したように、固体スイッチ2410がスイッチオフされた後、スイッチコントローラ2470は、ゼロ交差検出回路機構2440から取得されたセンサデータを処理して、インテリジェント回路遮断器2400の活性線経路上のAC電圧波形(および/またはAC電流波形)のゼロ交差事象およびゼロ交差事象の遷移方向を判定する。スイッチコントローラ2470は、AC電圧波形が正の半サイクルに遷移している場合、検出されたゼロ交差事象に応答してエアギャップ電磁スイッチ2420を開放するための制御信号を生成する。例えば、
図25Aは、時間T0、T1、T2、T3、およびT4でのAC波形2500のゼロ交差事象2510を示すが、時間T0、T2、およびT4でのゼロ交差事象2510のみが、AC波形2500が正の半サイクルに遷移する正の遷移方向を有する。
【0260】
この事例では、スイッチコントローラ2470は、時間T0、T2、またはT4でのゼロ交差事象に応答して、負荷120への電力を完全に切断するためにエアギャップ電磁スイッチ2420を開放するための制御信号を生成する。特に、
図25Aに示されるように、いくつかの実施形態では、正の遷移ゼロ交差事象(例えば、時間T0またはT2での)を検出することに応答して、スイッチコントローラ2470は、エアギャップ電磁スイッチ2420を開放するためのスイッチ制御信号を生成する前に、短い時間遅延T
S(例えば、約10μs)を待つ。この短い遅延時間T
Sは、AC波形がわずかに正であること、および活性線経路に電流が流れていないことを確保し、それによってエアギャップ電磁スイッチ2420での起こり得る電気アーク形成を防止し、小さな電流の流れに起因して、エアギャップ電磁スイッチ2420がジッタなしで容易に開放することを可能にする。
【0261】
一方、
図25Aおよび25BにおいてT0~T1の時間周期で障害状態が発生し、固体スイッチ2410がオフされると仮定する。この例では、スイッチコントローラ2470は、時間T1におけるAC波形2500の次のゼロ交差事象2510が負遷移のゼロ交差事象であると判定するであろう。この事例では、スイッチコントローラ2470は、エアギャップ電磁スイッチ2420を開放するための制御信号を(時間T2でゼロ交差事象を検出した後の遅延時間T
Sで)生成する前に、時間T2で次の正遷移のゼロ交差事象2510を待つ。ここでも、このことは、AC波形2500がわずかに正であること、および活性線経路に電流が流れていないことを確保し、それによってエアギャップ電磁スイッチ2420での起こり得る電気アーク形成を防止し、エアギャップ電磁スイッチ2420が小さな電流の流れに起因してジッタなしで容易に開放することを可能にする。
【0262】
例示的な電圧波形25Aおよび25Bが、AC電圧波形および負荷120によって引き出される電流の位相が揃っていると見なされる約1(1)の力率を有する負荷120を表すことを理解されたい。そのような事例では、ゼロ電圧交差を、ゼロ電流交差と見なす。しかしながら、負荷120が1未満の力率(例えば、容量性または誘導性の負荷)を有する事例では、電圧波形および負荷120によって引き出される電流の位相がずれる。これに関して、ゼロ交差検出回路機構2440は、スイッチ2420および2410の線路側での電流波形のゼロ電流交差または正遷移のゼロ電流交差を判定して、エアギャップ電磁スイッチ2420を開放する前に、正の電流が線路活性経路に流れていないことを確保するための電流ゼロ交差検出器を含むことができる。例えば、上述したように、いくつかの実施形態では、ゼロ交差検出回路機構2420は、
図20の電流ゼロ交差検出回路2000を実装する。
【0263】
図26は、本開示の一実施形態による、
図24のインテリジェント回路遮断器2400のスイッチコントローラ2470によって実装されるスイッチ制御プロセスの流れ図である。
図26のスイッチ制御プロセスは、外部電源の回復のための非限定的な例示的な実施形態、またはインテリジェント回路遮断器2400をアクティブ化するための手動、自動、またはリモートアクティブ化制御を表す(ブロック2600)。この例では、固体スイッチ2410がスイッチオフ状態にあり、エアギャップ電磁スイッチ2420がスイッチ閉鎖状態にあると仮定する。
【0264】
スイッチコントローラ2470は、エアギャップ電磁スイッチ2420を閉鎖する(ブロック2604)前に、適切なゼロ交差を検出するのを待つ(ブロック2602)。エアギャップ電磁スイッチ2420を閉鎖する前に電圧および/または電流ゼロの交差事象を待つことが理想的であるが、当業者は、このことが閉鎖のための必須条件ではないことを理解するであろう。ゼロ交差事象は、正遷移のゼロ交差事象または負遷移のゼロ交差事象であり得る。上述したように、いくつかの実施形態では、固体スイッチ(例えば、スイッチ2410)のボディダイオード(例えば、ダイオード2410-1)が順バイアスされず、導通しない、次回の半サイクルのゼロ交差でエアギャップ電磁スイッチ2420を閉鎖することが好ましい。例えば、
図24の例示的な実施形態では、固体スイッチ2410のボディダイオード2410-1は、AC幹線110の供給電圧波形の正の半サイクル中に逆バイアスされ、非導通である。そのような実施形態では、正遷移の(電流または電圧)ゼロ交差事象を検出すると、エアギャップ電磁スイッチをスイッチ閉鎖状態にする(ブロック2604)ことが理想的である。
【0265】
他の実施形態では、固体スイッチ2410を実装するために使用されるMOSFETのタイプに応じて、負遷移の(電流または電圧)ゼロ交差事象を検出すると、エアギャップ電磁スイッチ2420を閉鎖することが理想的であり得る。例えば、
図24の固体スイッチ2410が、エアギャップスイッチ2420に結合されたドレイン端子(線路側)および結合されたソース端子(負荷側)を有するP型エンハンスメントMOSFETとして実装される例示的な実施形態では、P型MOSFETのボディダイオードは、線路側が接続されたそのアノード、および負荷側に配設されたそのカソードを有する。そのような事例では、P型固体スイッチのボディダイオードは、AC幹線110の供給電圧波形の負の半サイクル中に、逆バイアスされ、非導通であろう。したがって、P型固体状態スイッチがスイッチオフ状態にあるとき、負遷移の(電流または電圧)ゼロ交差事象を検出すると、エアギャップ電磁スイッチ2420を閉鎖することが理想的であろう。同じことが、
図24に示されるN型固体スイッチ2410が反転されて、線路側が接続されたソース端子、および負荷側が接続されたドレイン端子を有する回路構成に当てはまろう。
【0266】
エアギャップ電磁スイッチ2420が閉鎖されると、スイッチコントローラ2470は、固体スイッチ2410をスイッチオン状態にするためのゲート制御信号を生成するように進行する(ブロック2606)。固体スイッチ2410は、エアギャップ電磁スイッチ2420が閉鎖された後の任意の時間にスイッチオンされ得る。例えば、インテリジェント回路遮断器2400は、エアギャップ電磁スイッチ2420がスイッチ閉鎖状態で維持される「待機」モードで動作してもよく、スイッチコントローラ2470は、固体スイッチ2410のアクティブ化を進行させるために、いくつかのトリガ事象(例えば、リモートコマンド)の発生を待つ。
【0267】
スイッチ2410および2420の両方がアクティブ化されると、スイッチコントローラ2470は、電源と負荷との間の回路接続を遮断するためのいくつかの事象またはコマンドの待機状態に入る(ブロック2608)。待機期間中、固体スイッチ2410およびエアギャップ電磁スイッチ2420は、アクティブ化された状態に維持される(ブロック2610)。事象は、スイッチコントローラ2470が様々なセンサ2450および2460から受信されたセンサデータを処理することによって判定される、所与の障害状態または有害な状態の検出であり得る。コマンドは、回路接続を遮断するための手動コマンドまたは自動コマンドであり得る。
【0268】
障害または有害な状態を検出すると(ブロック2608における肯定の判定)、または回路遮断器をトリップさせるための手動または自動コマンドに応答して、スイッチコントローラ2470は、固体スイッチ2410をスイッチオフ状態にするためのゲート制御信号を生成する(ブロック2612)。次いで、スイッチコントローラ2470は、ゼロ交差検出回路機構2440からのデータを処理して、線路活性経路上で目標のゼロ交差事象(例えば、正遷移のゼロ交差事象)を検出し(ブロック2614)、ターゲットゼロ交差事象を検出することに応答して(ブロック2614における肯定の判定)、スイッチコントローラ2470は、スイッチ制御信号を生成して、エアギャップ電磁スイッチ2420をスイッチ開放状態にする(ブロック2616)。
【0269】
スイッチコントローラ2470は、待機状態に入って(ブロック2618)、障害事象または有害な状態がクリアされるのを待ち、固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチを非アクティブ状態に維持する(ブロック2620)。障害事象または有害な状態がクリアされると(ブロック2618における肯定の判定)、またはスイッチコントローラ2470がそうでなければ負荷に電源を再接続することを示す手動またはリモートコマンドを受信すると、制御プロセスは、ブロック2600に戻り、スイッチコントローラ2470は、エアギャップおよび固体スイッチを再アクティブ化し、それによって負荷に電源を再接続する。
図26のプロセスの流れが、固体スイッチ2410を開閉する前にゼロ交差検出を実行するためのプロセスステップを明示的には含まないが、当業者は、特定の用途について、固体スイッチ2410のスイッチオンおよびスイッチオフが、所望に応じて、電圧ゼロ交差事象または電流ゼロ交差事象のいずれかでタイミング設定され得ることを認識および理解するであろうことを理解されたい。
【0270】
図27は、本開示の別の実施形態によるインテリジェント回路遮断器を概略的に例示している。特に、
図27は、AC幹線110と負荷120との間に接続されたインテリジェント回路遮断器2700を概略的に例示している。インテリジェント回路遮断器2700は、
図27のインテリジェント回路遮断器2700が、(
図24のエアギャップ電磁スイッチ2420の代わりに)熱電気機械回路遮断器スイッチ2710、内部スイッチ2720、および分流抵抗器2730を実装することを除いて、
図24のインテリジェント回路遮断器2400と同様である。いくつかの実施形態では、熱電気機械回路遮断器スイッチ2710は、
図1Aと併せて上記で論じたような従来の回路遮断器アーキテクチャを備える。
【0271】
内部スイッチ2720および分流抵抗器2730は、ノードN3と接地(中性)114との間で直列に接続されており、ノードN3は、熱電機械的回路遮断器スイッチ2710と固体スイッチ2410との間の接続点を含む。いくつかの実施形態では、
図27に示されるように、内部スイッチ2720は、共通接続されたソース端子および共通接続されたゲート端子とバックトゥーバックで直列に接続される第1のMOSFETスイッチ2721および第2のMOSFETスイッチ2722(例えば、NチャネルMOSFETスイッチ)を備える固体双方向スイッチを備える。第1および第2のMOSFETスイッチ2721および2722の共通接続されたゲート端子は、スイッチコントローラ2470の制御出力ポートに接続されている。第1および第2のMOSFETスイッチ2721および2722は、内部ボディダイオード(
図27に具体的に示さず)を有する。
【0272】
図24の例示的な実施形態におけるのと同様に、スイッチコントローラ2470は、ゼロ交差検出回路機構2440、電流センサ2450、および他のセンサ2460と連携して動作して、障害状態(例えば、短絡状態、過電流状態、過電圧状態、アーク障害、地絡障害など)を検出すること、および有害な環境状態(例えば、ガス漏れ、化学物質流出、火災、洪水など)を検出することなどの機能を実行する。スイッチコントローラ2470は、固体スイッチ2410のゲート端子(G)に制御信号を印加して、固体スイッチ2410のアクティブ化(スイッチオン)および非アクティブ化(スイッチオフ)を制御するように構成されている。加えて、スイッチコントローラ2470は、内部スイッチ2720のアクティブ化および非アクティブ化を制御するための制御信号を生成するように構成されている。スイッチコントローラ2470は、インテリジェント回路遮断器2700の異なる動作状態下で、固体スイッチ2410および内部スイッチ2720のアクティブ化/非アクティブ化のタイミングを制御するように構成されているタイミング制御プロトコルを実装する。
【0273】
例えば、スイッチコントローラ2470は、電流センサ2450および/または他のセンサ2460から取得されたセンサデータを分析した結果として、スイッチコントローラ2470によって検出される短絡障害、過電流障害、過電圧状態、および他の障害または危険などの障害状態に応答して、固体スイッチ2410をスイッチオフ状態にするためのゲート制御信号を生成する。加えて、固体スイッチ2410がスイッチオフされた後、スイッチコントローラ2470は、制御信号を生成して、内部スイッチ2720をアクティブ化し、それによってノードN3と接地114との間の内部短絡を生成する。ノードN3と接地114との間の内部短絡により、過電流が熱電気機械回路遮断器スイッチ2710を流れ、それによって熱電気機械回路遮断器スイッチ2710がトリップし、線路活性110と負荷活性121との間の電路にエアギャップが生じる。
【0274】
つまり、この実施形態では、スイッチコントローラ2470は、熱電気機械回路遮断器スイッチ2710に直接印加されて熱電気機械回路遮断器スイッチ2710をトリップさせる制御信号を生成しない。代わりに、スイッチコントローラ2470は、ゲート制御信号を第1および第2のMOSFETスイッチ2721および2722の共通接続されたゲート端子に印加して、第1および第2のMOSFETスイッチ2721および2722をターンオンさせる。このことにより、ノードN3と接地114との間に、電流が分流抵抗器2730を流れる内部短絡が生じ、これにより、熱電気機械回路遮断器スイッチ2710がトリップする。内部スイッチ2720は、熱電気機械回路遮断器スイッチ2710がトリップした後、かつインテリジェント回路遮断器2700が通常動作のためにリセットされる前の、ある時点で非アクティブ化される(例えば、第1および第2のMOSFETスイッチ2721および2722がスイッチオフされる)。
【0275】
いくつかの実施形態では、分流抵抗器2730の抵抗は、ノードN3から接地114への短絡電流の流れが熱電気機械回路遮断器スイッチ2710の電流定格の約2倍~3倍の範囲にあるように選択されている。例えば、熱電気機械回路遮断器スイッチ2710が20アンペアの電流定格を有する場合、およそ40~60アンペアの最大の電流が、熱電気機械回路遮断器スイッチ2710を、およびノードN3と接地114との間の短絡分岐を流れて、熱電気機械回路遮断器スイッチ2710をトリップさせ、線路活性110と負荷活性121との間の電路にエアギャップを生成するように、分流抵抗器2730の抵抗が選択されている。
【0276】
いくつかの実施形態では、スイッチコントローラ2470は、ゼロ交差検出回路2440から出力されたゼロ交差検出信号を利用して、内部スイッチ2720をいつアクティブ化しするかを判定し、それによってノードN3と接地114との間に短絡が生じ、これにより、熱電気機械回路遮断器スイッチ2710がトリップするように、構成されている。例えば、
図24~26に関連して上記に論じた例示的な実施形態と同様に、ゼロ交差検出回路2440が、熱電気機械回路遮断器スイッチ2710の線路側でのAC電圧波形またはAC電流波形の相反する半サイクル間で極性遷移すの方向を検出するように構成されている場合、スイッチコントローラ2470は、極性遷移により、非アクティブ化された固体スイッチ2410のボディダイオード2410-1が逆バイアスされる時点で内部スイッチ2720をアクティブ化するように、構成されている。
【0277】
図27の例示的な実施形態では、固体スイッチ2410のボディダイオード2410-1は、熱電気機械回路遮断器スイッチ2710の線路側でのAC電圧波形またはAC電流波形の正の半サイクル中に逆バイアスされる。しかしながら、固体スイッチ2410のボディダイオード2410-1は、例えば、AC幹線110のAC電源波形が負の半サイクルにあるときに、順バイアスされ、負の電流が負荷120から熱電気機械回路遮断器スイッチ2710を通ってAC幹線110に伝導することを可能にする。
【0278】
この事例では、内部スイッチ2720がAC電源波形の負の半サイクル中にアクティブ化される場合、熱電気機械回路遮断器スイッチ2710を通る電流の流れは、(i)負荷120からAC幹線110への負の電流の流れと、(ii)接地114からノードN3への短絡経路で生成され、それによって熱電気機械回路遮断器スイッチ2710を通る増加した電流の流れを提供して熱電気機械回路遮断器スイッチ2710をトリップさせる電流の流れと、の組み合わせであろう。これは、トリップしたときに熱電気機械回路遮断器スイッチ2710の電気接点間の高エネルギー電気アークの生成をもたらし得る。
【0279】
対照的に、極性遷移により固体スイッチ2410のボディダイオード2410-1が逆バイアスされるタイミングで内部スイッチ2720がアクティブ化されることを確保することによって、熱電気機械回路遮断器スイッチ2710を通る電流の流れの量は、少なくとも最初に、分流抵抗器2730の抵抗値に基づいてノードN3と接地114との間の短絡経路で生成される電流に制限される。この事例では、熱電気機械回路遮断器スイッチ2710をトリップさせるために生成される短絡電流の量を、分流抵抗器2730によって制御/制限することができ、したがって、トリップしたときに熱電気機械回路遮断器スイッチ2710の電気接点間に生成される電気アークの量を制限する。つまり、内部スイッチ2720のアクティブ化を、非アクティブ化された固体スイッチ2140のボディダイオード2410-1が逆バイアスされる時点にタイミング設定することによって、インテリジェント回路遮断器2700は、実際の短絡負荷電流を使用して従来の熱電気機械回路遮断器スイッチ2710をトリップさせることを回避し、代わりに、(内部スイッチ2720のアクティブ化によって生成される)制限/制御された内部短絡電流を利用して、回路遮断器スイッチ2710をトリップさせる。
【0280】
他の実施形態では、インテリジェント回路遮断器は、個人がインテリジェント回路遮断器の動作ステータスを判定することを可能にする1つ以上の視覚的インジケータを含むように設計されている。例えば、
図28A、28B、28C、28D、および28Eは、インテリジェント回路遮断器2800の動作ステータスを示すように構成されている複数の視覚的インジケータを備えるインテリジェント回路遮断器2800の斜視図および概略図である。特に、
図28Aおよび28Bは、回路遮断器ハウジング2810(または筐体)、手動ロッカースイッチ2820、第1の視覚的インジケータ2830、および第2の視覚的インジケータ2840を備えるインテリジェント回路遮断器2800の斜視図である。手動ロッカースイッチ2820は、個人がインテリジェント回路遮断器2800を手動でトリップさせ、リセットすることを可能にするオフ位置およびオン位置を含む。以下でさらに詳細に説明されるように、第1および第2の視覚的インジケータ2830および2840は、インテリジェント回路遮断器2800の動作ステータスの視覚ステータスを提供するように構成されている。
図28C、28D、および28Eは、インテリジェント回路遮断器2800の回路遮断器ハウジング2810内の様々な構成要素を概略的に例示している。例えば、
図28C~28Eに示されるように、構成要素は、アクチュエータ機構2850、ソレノイド2860、およびエアギャップスイッチ2870を含む。エアギャップスイッチ2870は、第1の固定接点2871、およびアクチュエータ機構2850に接続されている第2の可動接点2872を含む。手動ロッカースイッチ2820およびソレノイド2860は、アクチュエータ機構2850に接続されている。アクチュエータ機構2850は、(i)ロッカースイッチ2820の手動作動および(ii)ソレノイド2860の磁気作動に応答して、固定接点2871に対する可動接点2872の位置を制御するように構成されている。この構成では、ソレノイド2850は、高過電流に応答して磁気的に作動するように構成されており、ソレノイド2860の磁気作動は、エアギャップスイッチ2870の固定接点2871から可動接点2872を引き離すアクチュエータ機構2850の機械的作動をもたらす。例示および説明を簡単にするために、
図28C、28D、および28Eは、上記で論じたように、インテリジェント回路遮断器2800の様々なインテリジェント機能性を実装するために使用される回路基板および関連付けられた固体回路機構を例示していない。
【0281】
図28C、28D、および28Eは、インテリジェント回路遮断器2800の種々の動作ステータスを例示している。特に、
図28Cは、エアギャップスイッチ2870が、「開放」であり、第1および第2の接点2871および2872が引き離されてエアギャップ2873を形成する動作ステータスを例示している。
図28Cでは、手動ロッカースイッチ2820は、「OFF」位置にある。この事例では、エアギャップスイッチ2870は、ロッカースイッチ2820をオン位置からオフ位置に移動させることによって手動で開放され、この事例でのロッカースイッチ2820の作動により、アクチュエータ機構2850は、可動接点2872を固定接点2871から離れるように移動させる。
【0282】
次に、
図28Dは、エアギャップスイッチ2870が「閉鎖」状態である動作ステータスを例示しており、第1および第2の接点2871および2872は、エアギャップ2873が閉鎖されて、電気的に接触している。
図28Dでは、手動ロッカースイッチ2820は、「オン」位置にあり、ソレノイド2860は、閉鎖位置にある。この事例では、エアギャップスイッチ2870は、ロッカースイッチ2820をオフ位置からオン位置に移動させることによって手動で閉鎖され、この事例でのロッカースイッチ2820の作動により、アクチュエータ機構2850は、可動接点2872を固定接点2871に接するように移動させる。
図28Dは、インテリジェント回路遮断器2800の通常の動作ステータスを例示している。
【0283】
次に、
図28Eは、エアギャップスイッチ2870が、「開放」であり、第1および第2の接点2871および2872が引き離されてエアギャップ2873を形成する動作ステータスを例示している。
図28Eでは、手動ロッカースイッチ2820は、「オン」位置にあり、かつインテリジェント回路遮断器2800は、アクチュエータ機構2850が可動接点2872を固定接点2871から離れるように移動することによってエアギャップスイッチ2870を開放してエアギャップ2873を形成する、ソレノイド2860の磁気作動(例えば、開放位置にあるソレノイド2860)の結果として、「トリップ」状態にあると仮定する。この事例では、インテリジェント回路遮断器2800は、電気機械的にトリップし、インテリジェント回路遮断器2800は、手動ロッカースイッチ2820をオン位置からオフ位置に移動させ、次いでオン位置に戻すことによって、リセットされる。
【0284】
図28A~28Eにまとめて示されるように、第1の視覚的インジケータ2830は、回路遮断器ハウジング2810の一部として形成されている窓2832(例えば、ガラスまたはプラスチック窓)と、窓2832の後方の回路遮断器ハウジング2810内に配設されているステータスLED2834と、を備える。ステータスLED2834は、インテリジェント回路遮断器2800のステータス(例えば、オン、オフ、待機、無線ステータス、プロビジョニングなど)を示すように点灯する。ステータスLED2834は、異なる動作ステータスを表すために、異なる色(例えば、赤色、緑色など)を放出し、かつ/または異なる点灯パターン(例えば、連続、点滅など)を有することができる。いくつかの実施形態では、ステータスLED2834は、外部電源が存在する場合にのみ動作可能である。
【0285】
図28Aは、インテリジェント回路遮断器2800が、手動ロッカースイッチ2820がオン位置にあるがエアギャップスイッチが開放状態にある「トリップ」状態にあるときに、第1の視覚的インジケータ2830のステータスLED2834が第1の色(例えば、赤)で点灯する例示的な実施形態を例示している。他の実施形態では、第1の視覚的インジケータ2830のステータスLED2834は、インテリジェント回路遮断器2800が手動ロッカースイッチ2820をオン位置として通常動作している(例えば、非トリップ状態)ときに、別の色(例えば、緑色)で点灯し得る。
【0286】
図28Bは、インテリジェント回路遮断器2800がオフ状態にあるとき(例えば、外部電源に接続されていないか、または外部電源に接続されているが、手動ロッカースイッチ2820がオフ位置にあるとき)、第1の視覚的インジケータ2830のステータスLED2834が点灯しない例示的な実施形態を示す。この事例では、ステータスLED2834が点灯していないとき、観視窓2832は、回路遮断器ハウジング2810の色と同じまたは類似の色を有する半透明の着色コーティングを有することができる。
【0287】
さらに、
図28A~28Eにまとめて示されるように、第2の視覚的インジケータ2840は、回路遮断器ハウジング2810の一部として形成されている窓2842(例えば、ガラスまたはプラスチック窓)と、第1の着色要素2844(またはより一般的には、第1のインジケータ要素)と、回路遮断器ハウジング2810内に配設され、かつインテリジェント回路遮断器の異なる動作ステータスを示すために窓2832の後方に選択的に配置される第2の着色要素2846(またはより一般的には、第2のインジケータ要素)と、を備える。より具体的には、いくつかの実施形態では、第2の視覚的インジケータ2840は、エアギャップスイッチ2870(開放または閉鎖)のステータスを提供するように構成されている。
【0288】
例えば、第1および第2の着色要素2844および2846は、アクチュエータ機構2850の一部に接合された着色されたプラスチック片を含み、またはそうでなければ、アクチュエータ機構2850の一部分上の塗装された表面を含む。第1および第2の着色要素2844および2846は、観視窓2842の後方に選択的に配設されて、個人が色を観視し、それによって観視窓2842を通して見られる色に基づいてエアギャップスイッチ2870のステータスを判定することを可能にする。例えば、第2の着色要素2846は、エアギャップが「開放」状態にあることを示す赤色であり得る一方、第1の着色要素2844は、エアギャップが「閉鎖」状態にあることを示す非赤色(例えば、黒色)であり得る。他の実施形態では、第1および第2のインジケータ要素2844および2846は、異なる色に加えて、かつ/または代えて、単語、パターンなどのエアギャップスイッチ2870のステータスを示す他の手段を実装することができる。
【0289】
例えば、
図28Cおよび28Eは、ロッカースイッチ2820のオフ位置への手動作動(
図28C)によって、またはエアギャップスイッチ2870にインテリジェント回路遮断器2800を開放させ、トリップさせるソレノイド2860の磁気作動によって、エアギャップスイッチ2870が「開放」状態にある状態を概略的に例示している。この状態では、第2の着色要素2846は、エアギャップスイッチ2870を開放するためにアクチュエータ機構2850の移動によって観視窓2842の後方に配置される一方、第1の着色要素2844は、観視窓2842から離れて配置される。
【0290】
一方、
図28Dは、エアギャップスイッチ2870を閉じさせるロッカースイッチ2820の手動作動により、エアギャップスイッチ2870が「閉じた」状態にある状態を模式的に示す。この状態では、第1の着色要素2844は、エアギャップスイッチ2870を閉じるためにアクチュエータ機構2850の移動によって観視窓2842の後方に配置され、一方で、第2の着色要素2846は、観視窓2842から離れて配置される。これに関して、第2の第2の視覚的インジケータ2840は、外部電源がない場合でも完全に機能し、安全のための「エアギャップ開放」インジケータを提供する。
【0291】
図29は、本開示の別の実施形態によるインテリジェント回路遮断器2900を概略的に例示している。インテリジェント回路遮断器2900は、インテリジェント回路遮断器2900が、手動ロッカースイッチ2820に結合されている二次内部検知スイッチ2910(例えば、電気機械検出器)を備えることを除いて、
図28A~28Eのインテリジェント回路遮断器2800と同様である。検知スイッチ2910は、例えば、オン位置(エアギャップスイッチ2870は閉鎖)からオフ(エアギャップスイッチ2870は開放)へのロッカースイッチ2820の予想される手動状態変化を検出するように構成されている。検知スイッチ2910は、エアギャップスイッチ2870が、例えば固体スイッチを開放/閉鎖するのに要するものの1桁大きいまたは2倍超の時間という瞬間の時間を要する、その開放または閉鎖の動作を終了する前に、インテリジェント回路遮断器2900の電子装置(例えば、固体スイッチ制御回路機構)をトリガして、固体スイッチ(例えば、双方向固体スイッチ)をアクティブ化または非アクティブ化する。内部検知スイッチ2910は、例えば、エアギャップスイッチ2870が高負荷電流下で開放されないこと、または固体スイッチがアクティブ化される前にエアギャップスイッチ2870が閉鎖されることを確保する。
【0292】
例示的な実施形態が、AC供給電力とともに使用するためのインテリジェント回路遮断器のコンテキストにおいて上記に論じられてきたが、インテリジェント回路遮断器は、DC供給電力とともに使用するために構成され得ることを理解されたい。AC供給電力の代わりにDC供給電力で動作する様々なシステム(例えば、電気通信システム)がある。これらのシステムでは、外部会社によって給送/提供されるAC電力を、(AC-DC電力変換システムを使用して)オンサイトでDC供給電力に変換することができ、次いで、DC供給電力は、下流の分岐回路および負荷に給電するDC回路遮断器を有する1つ以上のDC分電盤に供給される。
【0293】
本明細書で論じられるようなインテリジェント回路遮断器の例示的な実施形態を、AC電力またはDC電力がインテリジェント回路遮断器の線路入力端子に印加されるかどうかに応じて、「AC保護モード」または「DC保護モード」のいずれかで動作するように構成することができる。インテリジェント回路遮断器の固体回路機構(例えば、センサ、プロセッサなど)を、例えばインテリジェント回路遮断器の起動時に、インテリジェント回路遮断器の線路入力端子にAC電力またはDC電力が印加されるかどうかを検出し、次いで、検出された入力電力に応じて、AC保護モードまたはDC保護モードのいずれかで動作するようにインテリジェント回路遮断器を自動的に構成することができるように、構成することができる。
【0294】
より具体的には、いくつかの実施形態では、電力が最初にインテリジェント回路遮断器の線路入力端子に印加されると、インテリジェント遮断器のスイッチの線路側に結合された電圧センサまたはゼロ交差検出器は、電圧波形を監視し、センサデータをプロセッサに送信することができる。インテリジェント回路遮断器のプロセッサは、センサデータを分析して、入力電力がACであるか、またはDCであるかを判定することができる。例えば、電圧センサデータが、入力電圧の大きさが所定の期間にわたって一定のレベルのままであることを示す場合、および/またはゼロ交差検出回路機構が所定の期間内にゼロ交差事象信号を出力しない場合、プロセッサは、線路入力端子にDC電力が印加されていると判定することができる。一方、電圧センサデータが入力電圧の大きさが変動していることを示す場合、および/またはゼロ交差検出回路機構が所定の期間内に複数のゼロ交差事象信号を出力する場合、プロセッサは、線路入力端子にAC電力が印加されていると判定することができる。
【0295】
いくつかの実施形態では、インテリジェント回路遮断器のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、コントローラなど)は、異なる保護モードのための異なる組み込みソフトウェアプログラム(例えば、異なる状態機械)を処理するように構成され得る。異なる保護モードのための組み込みソフトウェアプログラムは、異なるプログラム命令を含み、異なる事前定義されたパラメータまたはレジスタ値を利用して、プロセッサが、検出された供給電力(ACまたはDC電力)に応じて障害状態(例えば、短絡、過電流、過電圧など)を検出することおよび応答することに応答して、インテリジェントな制御決定を行うことを可能にする。例えば、過電流または過電圧状態を識別し、それから保護するための異なる閾値およびタイミングの考慮事項は、インテリジェント回路遮断器がAC保護モードのDC保護モードで動作しているかどうかに応じて変わる。
【0296】
加えて、インテリジェント回路遮断器のスイッチ(例えば、固体双方向スイッチ)のアクティブ化および非アクティブ化を制御するためのスイッチ制御プロトコルは、インテリジェント回路遮断器がDCまたはAC保護モードで動作しているかどうかに応じて変わる。例えば、DC保護モードでは、固体双方向スイッチの両方のMOSFETデバイスのゲートソース間電圧は、通常動作中に両方のMOSFETデバイスのスイッチがスイッチオンされ、かつ障害状態の検出に応じて両方のスイッチがスイッチオフされるように、制御される。さらに、電力を節約するために、インテリジェント回路遮断器のいくつかのハードウェア回路機構を、インテリジェント回路遮断器がDCまたはAC保護モードで動作しているかどうかに応じて無効にすることができる。例えば、インテリジェント回路遮断器がDC保護モードで動作しているときに、インテリジェント回路遮断器のゼロ交差検出回路を無効にすることができる。加えて、DC保護モードでは、インテリジェント回路遮断器のAC-DC変換器を無効にすることができ、インテリジェント回路遮断器のDC-DC変換器を選択的に有効にして、DC供給電圧(インテリジェント回路遮断器の線路入力端子に印加される)をより低いDC電圧に変換して、インテリジェント回路遮断器の固体回路機構に電力供給することができる。
【0297】
本明細書で論じられ、かつ図面を通じて例示されるインテリジェント回路遮断器の例示的な実施形態は、異なる用途のための様々な機能を有する異なるタイプのインテリジェント回路遮断器を実装するために利用され得る、様々な特徴、機能、構成要素などを含む。これに関して、1つの図に例示されるインテリジェント回路遮断器が、インテリジェント回路遮断器の別のアーキテクチャを実装するために、1つ以上の他の図に例示される1つ以上の追加の特徴を組み込むことができることを理解されたい。例えば、図全体を通して例示されるようなインテリジェント回路遮断器のすべての例示的な実施形態を、アーク障害および/または地絡障害検知および保護能力を含むように構成することができる。
【0298】
これに関して、本開示の例示的な実施形態は、以下のように、概説することができるか、またはそうでなければ拡張することができる、本明細書で論じられるような回路遮断器、および関連付けられたシステムおよび方法の様々な実施形態を含むことを理解されたい。
【0299】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間に直列に接続されており、かつ(i)スイッチ閉鎖状態および(ii)スイッチ開放状態のうちの1つにされるように構成された、電気機械スイッチと、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流の大きさを検知し、かつ電流検知信号を生成するように構成された、電流センサと、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路上の点における電圧の大きさを検知し、かつ電圧検知信号を生成するように構成された、電圧センサと、電流検知信号および電圧検知信号を受信し、処理して、回路遮断器の動作ステータス情報を判定し、かつ負荷出力端子に接続された負荷の電力使用情報を判定するように構成された、プロセッサと、を備える。
【0300】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、プロセッサに結合された無線周波数送受信機をさらに備え、無線周波数送受信機が、動作ステータス情報および電力使用情報をリモートコンピューティングノードに伝送するように、かつプロセッサによって処理するためにリモートコンピューティングノードから伝送されたリモート制御コマンドを受信するように構成されている。
【0301】
いくつかの実施形態では、電圧センサは、電気機械スイッチの上流の電路に結合されており、かつ電源入力端子に印加されたAC供給電圧の大きさを検知するように構成された、第1の電圧センサと、電気機械スイッチの下流の電路に結合されており、かつ負荷出力端子に接続された負荷の負荷電圧の大きさを検知するように構成された、第2の電圧センサと、を備える。
【0302】
いくつかの実施形態では、電流センサは、過電流状態を検出し、検出された過電流状態を示す制御信号を生成し、制御信号をプロセッサに出力して、プロセッサに過電流状態を通知するように構成されている回路機構を備える。いくつかの実施形態では、電流センサは、プログラム可能な過電流閾値に基づいて過電流状態を検出する。いくつかの実施形態では、過電流閾値は、電流デジタルアナログ変換器によって生成され、かつ電流センサの比較器の入力に印加される基準閾値電流を含む。
【0303】
いくつかの実施形態では、電気機械スイッチは、エアギャップ電磁スイッチを含み、いくつかの実施形態では、プロセッサは、差し迫った障害事象を示すセンサデータに応答してエアギャップ電磁スイッチを開放させるためのスイッチ制御信号を生成する。
【0304】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、プロセッサから出力されたスイッチ制御信号に応答して回路遮断器内に内部短絡を生成するように構成されている内部短絡スイッチをさらに備え、内部短絡は、電気機械スイッチをトリップさせるか、または回路遮断器のヒューズを溶断させるために生成される。
【0305】
いくつかの実施形態では、回路遮断器の電流センサは、エネルギーメータリング回路機構を備え、エネルギーメータリング回路機構は、回路遮断器を流れる検知された電流に基づいてエネルギー使用データを生成し、かつエネルギー使用データを分析のためにプロセッサに出力するように構成されている。
【0306】
いくつかの実施形態では、回路遮断器のプロセッサは、電流および電圧センサデータを利用して、回路遮断器に接続された負荷のタイプを識別し、かつ識別された負荷のタイプに基づいて、負荷に印加される電力を制御するように構成されている。
【0307】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、電源入力端子に印加されたAC供給電圧からDC供給電圧を生成するように構成された、電力変換器回路をさらに備え、DC供給電圧は、プロセッサ、電流センサ、および電圧センサにDC電力を供給するために利用される。
【0308】
別の実施形態では、方法は、外部電源と負荷を含む分岐回路との間に回路遮断器を接続することであって、回路遮断器は、(i)外部電源を分岐回路に接続するためのスイッチ閉鎖状態、および(ii)外部電源を分岐回路から切断するためのスイッチ開放状態のうちの1つにされるように構成されている電気機械スイッチを含む、接続することと、回路遮断器を通る電流の流れを検知し、回路遮断器を通る検知された電流の流れの大きさを示す電流検知信号を生成することと、回路遮断器を通る電路上の点における電圧を検知し、検知された電圧の大きさを示す電圧検知信号を生成することと、電流検知信号および電圧検知信号を処理して、回路遮断器の動作ステータス情報を判定し、負荷の電力使用情報を判定することと、を含む。
【0309】
いくつかの実施形態では、方法は、回路遮断器によって、動作ステータス情報および電力使用情報をリモートコンピューティングノードに伝送することと、回路遮断器によって、リモートコンピューティングノードから伝送されたリモートコントロールコマンドを受信することと、をさらに含み、動作ステータス情報は、無線通信チャネルおよび/または有線通信チャネル上で伝送され、リモートコンピューティングノードは、マスタコントローラを備える。
【0310】
いくつかの実施形態では、回路遮断器を通る電流の流れを検知するプロセスは、過電流状態を検出することと、検出された過電流状態を示す制御信号を生成することと、制御信号を回路遮断器のプロセッサに出力して、プロセッサに過電流状態を通知することと、を含む。いくつかの実施形態では、過電流状態は、プログラム可能な過電流閾値に基づいて検出される。いくつかの実施形態では、方法は、電流デジタルアナログ変換器を使用して基準閾値電流を生成することをさらに含み、基準閾値電流は、プログラム可能な過電流閾値として機能する。
【0311】
いくつかの実施形態では、電気機械スイッチは、エアギャップ電磁スイッチを含み、方法は、エアギャップ電磁スイッチを、差し迫った障害事象を示す検知された電圧および検知された電流のうちの少なくとも1つに応答して開放させるためのスイッチ制御信号を生成することをさらに含む。
【0312】
他の実施形態では、システムは、外部電源に結合されたバスバーを備える回路遮断器分電盤と、回路遮断器分電盤内に配設された回路遮断器と、を備える。回路遮断器は、バスバーに結合された線路入力端子と、分岐回路に接続された負荷出力端子と、を備える。回路遮断器は、(i)外部電源を分岐回路に接続するためのスイッチ閉鎖状態、および(ii)外部電源を分岐回路から切断するためのスイッチ開放状態のいずれかにされるように構成されている、電気機械スイッチと、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流の大きさを検知し、かつ電流検知信号を生成するように構成された、電流センサと、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路上の点における電圧の大きさを検知し、かつ電圧検知信号を生成するように構成された、電圧センサと、電流検知信号および電圧検知信号を受信し、かつ処理し、回路遮断器の動作ステータス情報を判定し、かつ負荷出力端子に接続された負荷の電力使用情報を判定するように構成された、プロセッサと、をさらに備える。
【0313】
いくつかの実施形態では、システムは、表示およびマスタプロセッサを備える状態表示システムをさらに備え、マスタプロセッサは、回路遮断器のプロセッサと通信して、回路遮断器のプロセッサから受信された動作ステータス情報および電力使用情報を取得し、処理し、かつ表示するように構成されており、マスタプロセッサは、動作ステータス情報および電力使用情報をリモートコンピューティングノードに伝送するように構成されている。
【0314】
他の実施形態では、回路遮断器は、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間に直列に接続された固体双方向スイッチであって、固体双方向スイッチは、(i)スイッチオン状態および(ii)スイッチオフ状態のうちの1つにされるように構成されている、固体双方向スイッチと、固体双方向スイッチの動作を制御するための制御信号を生成するように構成された、第1のスイッチ制御回路と、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流の大きさを検知し、かつ電流検知信号を生成するように構成された、電流センサと、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路上の点における電圧の大きさを検知し、かつ電圧検知信号を生成するように構成された、電圧センサと、電流検知信号および電圧検知信号を受信し、かつ処理して、回路遮断器の動作ステータス情報を判定するように、かつ障害事象を判定するように、かつ負荷出力端子に接続された負荷の電力使用情報を判定するように構成された、プロセッサと、を備える。
【0315】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、プロセッサに結合された無線周波数送受信機をさらに備え、無線周波数送受信機は、動作ステータス情報および電力使用情報をリモートコンピューティングノードに伝送するように、かつリモート制御コマンドによって指示されたアクションを実行するようにプロセッサによって処理するためにリモートコンピューティングノードから伝送されたリモート制御コマンドを受信するように構成されている。
【0316】
いくつかの実施形態では、電圧センサは、電気機械スイッチの上流の電路に結合されており、かつ電源入力端子に印加されたAC供給電圧の大きさを検知するように構成された、第1の電圧センサと、電気機械スイッチの下流の電路に結合されており、かつ負荷出力端子に接続された負荷の負荷電圧の大きさを検知するように構成された、第2の電圧センサと、を備える。
【0317】
いくつかの実施形態では、電流センサは、過電流状態を検出し、検出された過電流状態を示す制御信号を生成し、制御信号をプロセッサに出力して、プロセッサに過電流状態を通知するように構成されている回路機構を備える。さらに、いくつかの実施形態では、電流センサは、プログラム可能な過電流閾値に基づいて過電流状態を検出し、過電流閾値は、電流デジタルアナログ変換器によって生成され、かつ電流センサの比較器の入力に印加される基準閾値電流を含む。
【0318】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、固体双方向スイッチと直列に接続された、エアギャップ電磁スイッチと、エアギャップ電磁スイッチの動作を制御するための制御信号を生成するように構成された、第2のスイッチ制御回路と、をさらに備える。プロセッサは、エアギャップ電磁スイッチが、(i)固体双方向スイッチをスイッチオン状態にする前にスイッチ閉鎖状態にされ、(ii)固体双方向スイッチをスイッチオフ状態にすることに応答してスイッチ開放状態にされるように、第1および第2のスイッチ制御回路にスイッチ制御信号を生成するように構成されている。いくつかの実施形態では、回路遮断器は、個人による手動スイッチの作動に応答してエアギャップ電磁スイッチの開放をトリガするように構成されている手動スイッチをさらに備え、プロセッサは、手動スイッチの作動を監視し、検出し、かつ、プロセッサが手動スイッチの作動を検出することに応答して、第1のスイッチ制御回路に、固体双方向スイッチをスイッチオフ状態にするための制御信号を生成し、かつ出力するように、構成されている。
【0319】
いくつかの実施形態では、回路遮断器の第1および第2のスイッチ制御回路は、回路遮断器を待機状態で動作させるように構成されており、固体双方向スイッチは、スイッチオフ状態にあり、エアギャップ電磁スイッチは、スイッチ閉鎖状態にある。
【0320】
いくつかの実施形態では、回路遮断器のプロセッサは、電圧および電流センサから取得されたセンサデータをリアルタイムで分析し、固体双方向スイッチの障害を検出し、かつ固体双方向スイッチの障害を検出することに応答して、エアギャップ電磁スイッチをスイッチ閉鎖状態にするための制御信号を生成し、第2のスイッチ制御回路に出力するように、構成されている。
【0321】
いくつかの実施形態では、電流センサは、エネルギーメータリング回路機構を備え、エネルギーメータリング回路機構は、回路遮断器を流れる検知された電流に基づいてエネルギー使用データを生成し、かつエネルギー使用データを分析のためにプロセッサに出力するように構成されている。
【0322】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、電流センサデータおよび電圧センサデータを利用して、回路遮断器に接続された負荷のタイプを識別し、かつ識別された負荷のタイプに基づいて、負荷に印加される電力を制御するように構成されている。
【0323】
いくつかの実施形態では、電流センサ、電圧センサ、およびプロセッサは、(i)アーク障害回路遮断および地絡障害回路遮断のうちの少なくとも1つをサポートするように構成されている。
【0324】
いくつかの実施形態では、第1のスイッチ制御回路は、固体双方向スイッチに結合された短絡検出回路を備え、短絡検出回路は、固体双方向スイッチを通る電流の流れを検出し、かつ検出された電流の流れが回路遮断器の負荷出力端子に接続された負荷の短絡障害事象を示すことに応答して、固体双方向スイッチをスイッチオフ状態にするためのゲーティング制御信号を生成するように構成されている。短絡検出回路は、固体双方向スイッチの第1の固体スイッチと第2の固体スイッチとの間に配置された検知抵抗器の電圧を検知し、かつ検知された電圧を利用して、短絡障害事象を示す電流の流れのレベルを検出するように構成されている。
【0325】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、電源入力端子に印加されるAC供給電圧からDC供給電圧を生成するように構成された、電力変換回路を備え、DC供給電圧は、プロセッサ、第1のスイッチ制御回路、電流センサ、および電圧センサにDC電力を提供するために利用される。
【0326】
別の実施形態では、方法は、外部電源と負荷を含む分岐回路との間に回路遮断器を接続することであって、回路遮断器は、(i)外部電源を分岐回路に接続するためのスイッチオン状態、および(ii)外部電源を分岐回路から切断するためのスイッチオフ状態のうちの1つにされるように構成されている固体双方向スイッチを備える、接続することと、回路遮断器を通る電流を検知し、回路遮断器を通る検知された電流の流れの大きさを示す電流検知信号を生成することと、回路遮断器を通る電路上の点における電圧を検知し、検知された電圧の大きさを示す電圧検知信号を生成することと、電流検知信号および電圧検知信号のうちの少なくとも1つに基づく障害事象の検出に応答して固体双方向スイッチをスイッチオフ状態にするための制御信号を生成することと、電流検知信号および電圧検知信号を処理して、回路遮断器の動作ステータスを判定し、負荷の電力使用を判定することと、を含む。
【0327】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、固体双方向スイッチと直列に接続されたエアギャップ電磁スイッチを含み、方法は、エアギャップ電磁スイッチが、(i)固体双方向スイッチをスイッチオン状態にする前に、スイッチ閉鎖状態にされ、かつ(ii)固体双方向スイッチがスイッチオフ状態にされることに応答して、スイッチ開放状態にされるように、エアギャップ電磁スイッチおよび固体双方向スイッチのスイッチング動作を同期させるための制御信号を生成することをさらに含む。
【0328】
いくつかの実施形態では、方法は、エアギャップ電磁スイッチの開放をトリガするように構成されている手動スイッチの作動を検知することと、手動スイッチの作動を検知することに応答して、固体双方向スイッチをスイッチオフ状態にするための制御信号を生成することと、をさらに含む。
【0329】
いくつかの実施形態では、方法は、電圧センサおよび電流センサから取得されたセンサデータを分析して、固体双方向スイッチの障害を検出することと、固体双方向スイッチの障害を検出することに応答して、エアギャップ電磁スイッチをスイッチ閉鎖状態にするための制御信号を生成することと、をさらに含む。
【0330】
別の実施形態では、システムは、外部電源に結合されたバスバーを備える回路遮断器分電盤と、回路遮断器分電盤内に配設された回路遮断器と、を備える。回路遮断器は、バスバーに結合された線路入力端子と、分岐回路に接続された負荷出力端子と、を備える。回路遮断器は、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間に直列に接続されており、かつ(i)スイッチオン状態および(ii)スイッチオフ状態のうちの1つにされるように構成されている、固体双方向スイッチと、固体双方向スイッチの動作を制御するための制御信号を生成するように構成された、第1のスイッチ制御回路と、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流の大きさを検知し、かつ電流検知信号を生成するように構成された、電流センサと、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路上の点における電圧の大きさを検知し、かつ電圧検知信号を生成するように構成された、電圧センサと、電流検知信号および電圧検知信号を受信し、かつ処理して、回路遮断器の動作ステータス情報を判定するように、かつ障害事象を判定するように、かつ負荷出力端子に接続された負荷の電力使用情報を判定するように構成された、プロセッサと、をさらに備える。
【0331】
いくつかの実施形態では、システムは、表示およびマスタプロセッサを含むステータス表示システムをさらに備える。マスタプロセッサは、回路遮断器のプロセッサと通信して、回路遮断器のプロセッサから受信された動作ステータス情報および電力使用情報を取得し、処理し、かつ表示するように構成されており、マスタプロセッサは、動作ステータス情報および電力使用情報をリモートコンピューティングノードに伝送するように構成されている。
【0332】
別の実施形態では、回路遮断器は、回路遮断器の線入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続された、固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチと、固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチとの動作を制御するように構成された、スイッチ制御回路機構と、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路上の交流(AC)電源波形のゼロ交差を検出するように構成された、ゼロ交差検出回路と、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流を検知するように、かつ検知された電流の流れに基づいて障害状態を検出するように構成された、電流センサと、を備える。スイッチ制御回路機構は、電流センサによって障害状態を検出することに応答して、(i)固体スイッチをスイッチオフ状態にし、かつ(ii)固体スイッチがスイッチオフ状態にされた後にエアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするためのスイッチ制御信号を生成するように構成されている。スイッチ制御回路機構は、ゼロ交差検出回路から出力されたゼロ交差検出信号を利用して、エアギャップ電磁スイッチをいつスイッチ開放状態にするかを判定する。
【0333】
いくつかの実施形態では、固体スイッチは、P型エンハンスメント金属酸化物半導体電界効果トランジスタデバイスを備える。いくつかの実施形態では、固体スイッチは、N型エンハンスメント金属酸化物半導体電界効果トランジスタデバイスを備える。
【0334】
いくつかの実施形態では、ゼロ交差検出回路は、回路遮断器の線路入力端子に印加されたAC供給電圧波形のゼロ交差を検出するように構成されている。さらに、いくつかの実施形態では、ゼロ交差検出回路は、AC供給電圧波形の相反する半サイクル間で極性遷移の関連付けられた方向を検出するように構成されており、スイッチ制御回路機構は、極性遷移により固体スイッチのボディダイオードが逆バイアスされる時点で、エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にする。
【0335】
いくつかの実施形態では、ゼロ交差検出回路は、AC電流波形のゼロ交差を検出するように構成されている。さらに、いくつかの実施形態では、ゼロ交差検出回路は、AC電流波形の相反する半サイクル間で極性遷移の関連付けられた方向を検出するように構成されており、スイッチ制御回路機構は、極性遷移により固体スイッチのボディダイオードが逆バイアスされる時点で、エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にする。
【0336】
いくつかの実施形態では、ゼロ交差検出回路は、(i)電路で直列に接続されている検知抵抗器の検知電圧の大きさおよび極性をサンプリングし、(ii)検知電圧の大きさがゼロであると判定することに応答して、AC電流波形のゼロ交差事象を検出し、かつ(iii)検知電圧の極性に基づいて、AC電流波形の極性を判定するように構成されている。
【0337】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、環境状態を検知し、かつ検知された環境状態が有害であるかどうかを検出するように構成された、環境センサ回路をさらに備え、スイッチ制御回路機構は、有害な環境状態を検出することに応答して、(i)固体スイッチをスイッチオフ状態にし、(ii)固体スイッチがスイッチオフ状態にされた後、エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするためのスイッチ制御信号を生成するように構成されている。
【0338】
いくつかの実施形態では、環境センサ回路は、(i)有害化学物質の存在を検出するように構成されている化学物質感受性検出器、(ii)有害ガスの存在を検出するように構成されているガス感受性検出器、(iii)温度を検出するように構成されている温度センサ、(iv)振動を検出するように構成されている圧電検出器、および(v)湿潤環境を検出するように構成されている湿度センサのうちの1つ以上を備える。
【0339】
別の実施形態では、方法は、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流を検知することであって、回路遮断器は、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続された固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチを備える、検知することと、検知された電流の流れに基づいて障害状態を検出することと、を含む。障害状態を検出することに応答して、方法は、固体スイッチをスイッチオフ状態にするための第1のスイッチ制御信号を生成することと、ゼロ交差事象に続く電路上の点における交流(AC)波形のゼロ交差事象、およびAC波形の極性を検出することと、ゼロ交差事象に続くAC波形の極性が固体スイッチのボディダイオードを逆バイアスすることを検出することに応答して、エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするための第2の制御信号を生成することと、をさらに含む。
【0340】
いくつかの実施形態では、ゼロ交差事象に続くAC波形のゼロ交差事象およびAC波形の極性を検出するプロセスは、固体スイッチがスイッチオフ状態にされた後の時点に発生するAC波形の次のゼロ交差事象を検出することと、次のゼロ交差事象に続くAC波形の極性が固体スイッチのボディダイオードを順バイアスすることを検出することに応答して、AC波形の次の後続のゼロ交差事象を検出し終わるまで、エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするための第2の制御信号の生成を遅延させることであって、次の後続のゼロ交差事象に続くAC波形の極性が、固体スイッチのボディダイオードを逆バイアスする、遅延させることと、を含む。
【0341】
いくつかの実施形態では、AC波形のゼロ交差事象を検出するプロセスは、回路遮断器の線路入力端子に印加されたAC供給電圧波形のゼロ交差を検出することを含み、いくつかの実施形態では、AC波形のゼロ交差事象を検出するプロセスは、電路上の点におけるAC電流波形のゼロ交差を検出することを含む。
【0342】
いくつかの実施形態では、AC電流波形のゼロ交差を検出するプロセスは、電路に直列に接続されている検知抵抗器の検知電圧の大きさおよび極性をサンプリングすることと、検知電圧の大きさがゼロであるとの判定に応答してゼロ交差事象を検出することと、検知電圧の極性に基づいてAC電流波形の極性を判定することと、を含む。
【0343】
いくつかの実施形態では、障害状態を検出するプロセスは、短絡障害状態、過電流障害状態、アーク障害状態、および地絡障害状態のうちの少なくとも1つを検出することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、環境状態を検出することと、環境状態が有害であると判定することに応答して、固体スイッチをスイッチオフ状態にするための第1の制御信号を生成し、固体スイッチがスイッチオフ状態にされた後にエアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするための第2の制御信号を生成することと、をさらに含み、環境状態を検出することは、(i)存在化学物質、(ii)ガスの存在、(iii)温度、(iv)振動、および(v)湿度のうちの1つを検出することを含む。
【0344】
別の実施形態では、システムは、外部電源に結合されたバスバーを備える回路遮断器分電盤と、回路遮断器分電盤内に配設された回路遮断器と、を備える。回路遮断器は、バスバーに結合された線路入力端子と、分岐回路に接続された負荷出力端子と、を備える。回路遮断器は、回路遮断器の線入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続された、固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチと、固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチとの動作を制御するように構成された、スイッチ制御回路機構と、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路上の交流(AC)電源波形のゼロ交差を検出するように構成された、ゼロ交差検出回路と、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流を検知するように、かつ検知された電流の流れに基づいて障害状態を検出するように構成された、電流センサと、を備える。スイッチ制御回路機構は、電流センサによって障害状態を検出することに応答して、(i)固体スイッチをスイッチオフ状態にし、かつ(ii)固体スイッチがスイッチオフ状態にされた後にエアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするためのスイッチ制御信号を生成するように構成されている。スイッチ制御回路機構は、ゼロ交差検出回路から出力されたゼロ交差検出信号を利用して、エアギャップ電磁スイッチをいつスイッチ開放状態にするかを判定する。
【0345】
別の実施形態では、回路遮断器は、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続されている固体スイッチおよび検知抵抗器と、(i)検知抵抗器を流れる負荷電流に応答して、検知抵抗器に生成される検知電圧をサンプリングし、(ii)サンプリングされた検知電圧に基づいて、過電流障害状態を検出し、かつ(iii)過電流障害状態を検出することに応答して、障害検出信号を出力するように構成された、電流検出回路と、固体スイッチを制御するように構成された、スイッチ制御回路と、を備え、スイッチ制御回路は、電流検出回路から出力された障害検出信号に応答して、固体スイッチをスイッチオフするように構成されている。
【0346】
いくつかの実施形態では、検知抵抗器は、約1ミリオーム程度の抵抗値を有する電力抵抗器を備える。
【0347】
いくつかの実施形態では、電流検出回路は、入力段および出力段を備える。入力段は、第1の比較器および第2の比較器を備える。第1の比較器は、(i)第1の基準電圧を、負荷電流の正の半サイクル中に検知抵抗器に生成される検知電圧と比較し、かつ(ii)負荷電流の正の半サイクル中に生成される検知電圧が第1の基準電圧を超えると、第1の過電流検出信号を生成するように構成されている。第2の比較器は、(i)第2の基準電圧を、負荷電流の負の半サイクル中に検知抵抗器に生成される検知電圧と比較し、かつ(ii)負荷電流の負の半サイクル中に生成される検知電圧が第2の基準電圧を超えると、第2の過電流検出信号を生成するように構成されている。出力段は、第1および第2の比較器から出力された第1および第2の過電流検出信号に基づいて障害検出信号を生成し、かつ出力するように構成されている。
【0348】
いくつかの実施形態では、電流検出回路の出力段は、第1および第2の比較器からの第1および第2の過電流検出信号のうちの1つの出力に応答して、障害検出信号を論理ローパルスとして出力するように構成されている、論理NORゲートを備える。
【0349】
いくつかの実施形態では、検知抵抗器は、電路の線路側ノードに接続された第1の端子と、電路の負荷側ノードに接続された第2の端子と、を有する。第1の比較器は、検知抵抗器の第1の端子に接続された非反転入力と、第1の基準電圧を受信する反転入力と、を備える。第2の比較器は、検知抵抗器の第2の端子に接続された非反転入力と、第2の基準電圧を受信する反転入力と、を備える。
【0350】
いくつかの実施形態では、電流検出回路は、第1の基準電圧を生成するように構成された、第1の分圧器回路と、第2の基準電圧を生成するように構成された、第2の分圧器回路と、を備える。第1の分圧器回路は、電路のDC供給電圧レールと負荷側ノードとの間に接続されている。第2の分圧器回路は、電路のDC供給電圧レールと線路側との間に接続されている。
【0351】
いくつかの実施形態では、DC供給電圧レールは、DC電圧オフセットを有する活性線レールを備える。
【0352】
いくつかの実施形態では、固体スイッチは、電力金属酸化物半導体電界効果トランジスタデバイスを備える固体双方向スイッチを含む。
【0353】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、(i)検知抵抗器を流れる負荷電流に応答して検知抵抗器に生成される検知電圧をサンプリングし、(ii)サンプリングされた検知電圧に基づいて負荷電流のゼロ交差を検出し、かつ(iii)負荷電流のゼロ交差を検出することに応答してゼロ交差検出信号を出力するように構成された、ゼロ交差検出回路をさらに備える。いくつかの実施形態では、ゼロ交差検出回路は、負荷電流の正の半周期と負の半周期との間の極性の変化を検出するように構成された、極性変化検出段と、極性変化検出段の出力に結合されたエッジ検出段であって、極性変化検出段によって検出された負荷電流の極性の変化に応答して制御パルスを生成するように構成されている、エッジ検出段と、エッジ検出段によって生成された制御パルスに基づいてゼロ交差検出信号を出力するように構成された、出力段と、を備える。
【0354】
いくつかの実施形態では、検知抵抗器は、電路の線路側ノードに接続された第1の端子と、電路の負荷側ノードに接続された第2の端子と、を有する。極性変化検出段は、第1の比較器および第2の比較器を備え、第1の比較器は、検知抵抗器の第1の端子に接続された非反転入力と、検知抵抗器の第2の端子に接続された反転入力と、を備え、第2の比較器は、検知抵抗器の第2の端子に接続された非反転入力と、検知抵抗器の第1の端子に接続された反転入力と、を備える。
【0355】
いくつかの実施形態では、エッジ検出段は、第1の比較器から出力された第1の比較信号出力の遷移に応答して第1のエッジ検出パルスを生成するように構成された、第1のエッジ検出回路と、第2の比較器から出力された第2の比較信号出力の遷移に応答して第2のエッジ検出パルスを生成するように構成された、第2のエッジ検出回路と、を備える。
【0356】
いくつかの実施形態では、出力段は、エッジ検出段によって生成された第1および第2のエッジ検出パルスに基づいてゼロ交差検出信号を出力する論理ANDゲートを備える。
【0357】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、プロセッサをさらに備え、プロセッサは、ゼロ交差検出回路から出力されたゼロ交差検出信号を処理し、かつゼロ交差検出信号に基づいて回路遮断器の1つ以上の動作を制御するように構成されている。
【0358】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、ゼロ交差検出回路の出力に基づいて、回路遮断器の電源投入時に直流(DC)保護モードおよび交流(AC)保護モードのうちの1つで動作するように、回路遮断器を構成する。
【0359】
別の実施形態では、回路遮断器は、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続されている、固体スイッチおよび検知抵抗器と、(i)検知抵抗器を流れる負荷電流に応答して、検知抵抗器に生成される検知電圧をサンプリングし、(ii)サンプリングされた検知電圧に基づいて、負荷電流のゼロ交差を検出し、かつ(iii)負荷電流のゼロ交差を検出することに応答して、ゼロ交差検出信号を出力するように構成された、ゼロ交差検出回路と、ゼロ交差検出回路の出力に基づいて、スイッチの動作を制御するように構成された、スイッチ制御回路と、を備える。
【0360】
いくつかの実施形態では、ゼロ交差検出回路は、負荷電流の正の半周期と負の半周期との間の極性の変化を検出するように構成された、極性変化検出段と、極性変化検出段の出力に結合されたエッジ検出段であって、極性変化検出段によって検出された負荷電流の極性の変化に応答して制御パルスを生成するように構成されている、エッジ検出段と、エッジ検出段によって生成された制御パルスに基づいてゼロ交差検出信号を出力するように構成された、出力段と、を備える。
【0361】
いくつかの実施形態では、検知抵抗器は、電路の線路側ノードに接続された第1の端子と、電路の負荷側ノードに接続された第2の端子と、を有する。極性変化検出段は、第1の比較器および第2の比較器を備え、第1の比較器は、検知抵抗器の第1の端子に接続された非反転入力と、検知抵抗器の第2の端子に接続された反転入力と、を備え、第2の比較器は、検知抵抗器の第2の端子に接続された非反転入力と、検知抵抗器の第1の端子に接続された反転入力と、を備える。エッジ検出段は、(i)第1の比較器から出力された第1の比較信号出力の遷移に応答して第1のエッジ検出パルスを生成するように構成された、第1のエッジ検出回路と、(ii)第2の比較器から出力された第2の比較信号出力の遷移に応答して第2のエッジ検出パルスを生成するように構成された、第2のエッジ検出回路と、を備える。出力段は、エッジ検出段によって生成された第1および第2のエッジ検出パルスに基づいてゼロ交差検出信号を出力する論理ANDゲートを備える。
【0362】
いくつかの実施形態では、スイッチ制御回路は、プロセッサを備え、プロセッサは、ゼロ交差検出回路から出力されたゼロ交差検出信号を処理し、かつゼロ交差検出信号に基づいて回路遮断器の1つ以上の動作を制御するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサは、ゼロ交差検出回路の出力に基づいて、回路遮断器の電源投入時にDC保護モードおよびAC保護モードのうちの1つで動作するように、回路遮断器を構成する。
【0363】
別の実施形態では、回路遮断器は、回路遮断器ハウジング内に配設されたエアギャップスイッチであって、エアギャップスイッチは、回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に配設された第1の接点および第2の接点を備える、エアギャップスイッチと、回路遮断器ハウジング内に配設されたアクチュエータ機構であって、エアギャップスイッチは、アクチュエータ機構に結合されており、(i)第1および第2の接点を機械的に離間させて、エアギャップスイッチを開放状態にし、電路にエアギャップスイッチを作成し、かつ(ii)第1および第2の接点を機械的に合わせて、エアギャップスイッチを閉鎖状態にするように動作可能に構成されている、アクチュエータ機構と、エアギャップスイッチの状態の表示を提供するように構成された第1の視覚的インジケータであって、第1の視覚的インジケータは、(i)遮断機構ハウジングの一部として形成されている第1の窓、(ii)アクチュエータ機構に結合された第1のインジケータ要素、および(iii)アクチュエータ機構に結合された第2のインジケータ要素を備える、第1の視覚的インジケータと、を備える。第1のインジケータ要素が、エアギャップスイッチの開放状態の表示を提供するように第1の窓を通して観視可能であるように、アクチュエータ機構は、エアギャップスイッチを開放状態にする際に第1のインジケータ要素を第1の窓の後方の位置に移動させるように構成されている。第2のインジケータ要素が、エアギャップスイッチの閉鎖状態の表示を提供するように第1の窓を通して観視可能であるように、アクチュエータ機構は、エアギャップスイッチを閉鎖状態にする際に第2のインジケータ要素を第1の窓の後方の位置に移動させるように構成されている。
【0364】
いくつかの実施形態では、第1のインジケータ要素は、第1の色を有する着色要素を含み、第2のインジケータ要素は、第1の色とは異なる第2の色を有する着色要素を含む。
【0365】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、回路遮断器の動作状態の表示を提供するように構成された、第2の視覚的インジケータをさらに備え、第2の視覚的インジケータは、(i)回路遮断器ハウジングの一部として形成されている第2の窓、および(ii)第2の窓の後方の回路遮断器ハウジング内に配設された少なくとも1つの発光素子を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの発光素子は、発光ダイオードを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの発光素子は、第2の窓を通して観視可能である第1の色の光を放出して、回路遮断器の非トリップ動作状態の表示を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの発光素子は、第2の窓を通して観視可能である第2の色の光を放出して、回路遮断器のトリップ状態の表示を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの発光素子は、非アクティブ化され、回路遮断器のオフ状態の表示を提供するために光を放出しない。
【0366】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、アクチュエータ機構に機械的に結合されている手動制御スイッチをさらに備え、手動制御スイッチは、第1の位置と第2の位置との間で切り替わるように構成されており、手動制御スイッチを第1の位置に切り替えることにより、アクチュエータ機構がエアギャップスイッチを開放状態にする。
【0367】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、アクチュエータ機構に結合された電気機械アクチュエータをさらに備え、電気機械アクチュエータの作動により、アクチュエータ機構がエアギャップスイッチを開放状態にし、回路遮断器をトリップさせる。いくつかの実施形態では、電気機械アクチュエータは、ソレノイドを備える。
【0368】
別の実施形態では、回路遮断器は、回路遮断器の線入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続された固体スイッチおよびエアギャップスイッチであって、エアギャップスイッチは、第1の接点および第2の接点を備える、固体スイッチおよびエアギャップスイッチと、(i)第1および第2の接点を機械的に離間させて、エアギャップスイッチを開放状態にし、電路にエアギャップスイッチを作成し、かつ(ii)第1および第2の接点を機械的に合わせて、エアギャップスイッチを閉鎖状態にするように動作可能に構成されている、アクチュエータ機構と、アクチュエータ機構に動作可能に結合された手動制御スイッチであって、手動制御スイッチは、第1の位置と第2の位置との間で切り替わるように構成されており、手動制御スイッチを第1の位置に切り替えることにより、アクチュエータ機構がエアギャップスイッチを開放状態にする、手動制御スイッチと、アクチュエータ機構に動作可能に結合された電磁機械アクチュエータであって、電磁機械アクチュエータの作動によりアクチュエータ機構がエアギャップスイッチを開放状態にする、電磁機械アクチュエータと、固体スイッチおよび電気機械アクチュエータの動作を制御するように構成された制御回路機構であって、制御回路機構は、(i)固体スイッチをスイッチオン状態およびスイッチオフ状態のうちの1つにするように構成されている第1の制御信号、および(ii)電磁機械アクチュエータの作動を制御するように構成されている第2の制御信号を生成するように構成されている、制御回路機構と、手動制御スイッチに動作可能に結合され、かつ制御回路機構に電気的に接続されたセンサスイッチであって、センサスイッチは、(i)第2の位置から第1の位置への手動制御スイッチの切り替えを検出し、これによりアクチュエータ機構は、エアギャップスイッチを開放状態にし、かつ(ii)第2の位置から第1の位置への手動制御スイッチの切り替えを検出することに応答して、制御回路機構に第3の制御信号を出力するように構成されている、センサスイッチと、を備える。制御回路機構は、第3の制御信号に応答して、エアギャップスイッチが開放状態にされて電路にエアギャップを作成する前に、第1の制御信号を生成して、固体スイッチをスイッチオフ状態にするように、構成されている。
【0369】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流を検知し、かつ検知された電流の流れに基づいて障害状態を検出するように構成された、電流センサを備える。制御回路機構は、電流センサによって障害状態を検出することに応答して、第1および第2の制御信号を生成して、(i)固体スイッチをスイッチオフ状態にし、かつ(ii)固体スイッチがスイッチオフ状態にされた後に、電気機械アクチュエータを作動させて、作動機構にエアギャップ電磁スイッチを開放状態にさせるように、構成されている。いくつかの実施形態では、電気機械アクチュエータは、ソレノイドを備える。
【0370】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、エアギャップスイッチの状態の表示を提供するように構成された、第1の視覚的インジケータをさらに備え、第1の視覚的インジケータは、(i)回路遮断器の回路遮断器ハウジングの一部として形成されている第1の窓、(ii)アクチュエータ機構に結合された第1のインジケータ要素、および(iii)アクチュエータ機構に結合された第2のインジケータ要素を備える。第1のインジケータ要素が、エアギャップスイッチの開放状態の表示を提供するように第1の窓を通して観視可能であるように、アクチュエータ機構は、エアギャップスイッチを開放状態にする際に第1のインジケータ要素を第1の窓の後方の位置に移動させるように構成されている。第2のインジケータ要素が、エアギャップスイッチの閉鎖状態の表示を提供するように第1の窓を通して観視可能であるように、アクチュエータ機構は、エアギャップスイッチを閉鎖状態にする際に第2のインジケータ要素を第1の窓の後方の位置に移動させるように構成されている。
【0371】
いくつかの実施形態では、第1のインジケータ要素は、第1の色を有する着色要素を含み、第2のインジケータ要素は、第1の色とは異なる第2の色を有する着色要素を含む。
【0372】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、回路遮断器の動作ステータスの表示を提供するように構成された、第2の視覚的インジケータをさらに備える。第2の視覚インジケータは、(i)回路遮断器ハウジングの一部として形成されている第2の窓、および(ii)第2の窓の後方の回路遮断器ハウジング内に配設された少なくとも1つの発光素子を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの発光素子は、発光ダイオードを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの発光素子は、第2の窓を通して観視可能である第1の色の光を放出して、回路遮断器の非トリップ動作状態の表示を提供し、第2の窓を通して観視可能である第2の色の光を放出して、回路遮断器のトリップ状態の表示を提供し、かつ回路遮断器のオフ状態の表示を提供するために光を放出しないように構成されている。
【0373】
別の実施形態では、回路遮断器は、回路遮断器ハウジングと、回路遮断器ハウジング内に配設されたエアギャップスイッチと、エアギャップスイッチの開放状態および閉鎖状態の表示を提供するように構成された、第1の視覚的インジケータと、を備え、第1の視覚的インジケータは、(i)回路遮断器ハウジングの一部として形成されている第1の窓、(ii)回路遮断器ハウジング内に配設された第1のインジケータ要素、および(iii)回路遮断器ハウジング内に配設された第2のインジケータ要素を備える。第1のインジケータ要素が、エアギャップスイッチの開放状態の表示を提供するように第1の窓を通して観視可能であるように、第1のインジケータ要素は、エアギャップスイッチが開放状態にされる際に第1の窓の後方の位置に移動するように構成されている。第2のインジケータ要素が、エアギャップスイッチの閉鎖状態の表示を提供するように第1の窓を通して観視可能であるように、第2のインジケータ要素は、エアギャップスイッチが閉鎖状態にされる際に第1の窓の後方の位置に移動するように構成されている。
【0374】
いくつかの実施形態では、回路遮断器は、回路遮断器の動作状態の表示を提供するように構成された、第2の視覚的インジケータをさらに備え、第2の視覚的インジケータは、(i)回路遮断器ハウジングの一部として形成されている第2の窓、および(ii)第2の窓の後方の回路遮断器ハウジング内に配設された少なくとも1つの発光素子を備える。少なくとも1つの発光素子は、第2の窓を通して少なくとも1つの色の光を放出して、少なくとも1つの色に対応する回路遮断器の動作状態の表示を提供するように構成されている。
【0375】
別の実施形態では、回路遮断器デバイスは、線路活性端子、線路中性端子、負荷活性端子、および負荷中性端子と、線路活性端子と負荷活性端子との間に直列に接続された固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチと、第1のノードと第2のノードとの間に直列に接続された内部スイッチおよび分流抵抗器であって、第1のノードは、線路活性端子と負荷活性端子との間の電路に沿った点を含み、第2のノードは、線路中性端子と負荷中性端子との間の電路に沿った点を含む、内部スイッチおよび分流抵抗器と、(i)固体スイッチおよび(ii)内部スイッチの動作を制御するように構成されているスイッチ制御回路機構と、障害状態を検出し、かつ障害状態の検出に応答して障害検出制御信号を生成するように構成されている障害検出回路機構と、を備える。スイッチ制御回路機構は、障害検出制御信号に応答して、固体スイッチをスイッチオフ状態にするように構成されている。スイッチ制御回路機構は、障害検出制御信号に応答して内部スイッチをアクティブ化し、それによって第1および第2のノード間に接続された分流抵抗器を有する内部短絡経路を生成し、かつ内部短絡電流をエアギャップ電磁スイッチに流すように構成されており、内部短絡電流は、エアギャップ電磁スイッチをトリップし、それによって線路活性端子と負荷活性端子との間の電路にエアギャップを作成するのに十分である。
【0376】
いくつかの実施形態では、分流抵抗器は、内部短絡電流の大きさをエアギャップ電磁スイッチの電流定格の約2倍~約3倍の範囲に制限するように構成されている抵抗値を有する。
【0377】
いくつかの実施形態では、固体スイッチは、P型エンハンスメントMOSFETデバイスおよびN型エンハンスメントMOSFETデバイスのうちの1つを含む。
【0378】
いくつかの実施形態では、障害検出回路機構は、線路活性端子と負荷活性端子との間の電路に流れる電流を検知し、かつ検知された電流の流れに基づいて過電流障害状態および短絡負荷電流障害状態のうちの1つを検出するように構成された、電流センサを備える。
【0379】
いくつかの実施形態では、内部スイッチは、直列に接続された第1のMOSFETデバイスおよび第2のMOSFETデバイスを備える固体双方向スイッチを含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のMOSFETデバイスは、共通に接続されたゲート端子を有し、共通に接続されたゲート端子は、スイッチ制御回路機構に結合され、スイッチ制御回路機構は、共通に接続されたゲート端子にゲート制御信号を印加することによって、内部スイッチのアクティブ化および非アクティブ化を制御する。
【0380】
いくつかの実施形態では、回路遮断器デバイスは、回路遮断器デバイスの線路活性端子と負荷活性端子との間の電路上の交流(AC)電源波形のゼロ交差を検出するように構成された、ゼロ交差検出回路をさらに備える。障害検出制御信号に応答して固体スイッチをスイッチオフ状態にした後に、短絡電流が生成されてエアギャップ電磁スイッチをトリップさせるように、スイッチ制御回路機構は、ゼロ交差検出回路から出力されたゼロ交差検出信号を利用して、障害検出制御信号に応答して内部スイッチをアクティブ化するタイミングを制御する。
【0381】
いくつかの実施形態では、ゼロ交差検出回路は、(i)線路活性端子と負荷活性端子回路遮断器との間の電路上のAC供給電圧波形のゼロ交差、および(ii)AC供給電圧波形の相反する半サイクル間のゼロ交差の極性遷移の関連付けられた方向を検出するように構成されている。スイッチ制御回路機構は、固体スイッチをスイッチオフ状態にした後に、AC供給電圧波形の検出されるゼロ交差の極性遷移により固体スイッチのボディダイオードが逆バイアス状態になる時点で、内部スイッチをアクティブ化する。
【0382】
いくつかの実施形態では、ゼロ交差検出回路は、(i)線路活性端子と負荷活性端子回路遮断器との間の電路上のAC電流波形のゼロ交差、および(ii)AC電流波形の相反する半サイクル間のゼロ交差の極性遷移の関連付けられた方向を検出するように構成されている。スイッチ制御回路機構は、固体スイッチをスイッチオフ状態にした後に、AC電流波形の検出されるゼロ交差の極性遷移により固体スイッチのボディダイオードが逆バイアス状態になる時点で、内部スイッチをアクティブ化する。
【0383】
別の実施形態では、方法は、回路遮断器デバイスの線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流を検知することであって、回路遮断器デバイスは、回路遮断器デバイスの線路入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続された固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチを備える、検知することと、検知された電流の流れに基づいて障害状態を検出することと、を含む。障害状態を検出することに応答して、方法は、固体スイッチに第1のスイッチ制御信号を印加して、固体スイッチをスイッチオフ状態にすることと、内部スイッチに第2のスイッチ制御信号を印加して、内部スイッチをアクティブ化し、それによって回路遮断器デバイス内に内部短絡経路を生成し、エアギャップ電磁スイッチを流れる内部短絡電流を生成することと、をさらに含む。内部短絡電流の流れは、エアギャップ電磁スイッチをトリップさせ、それによって回路遮断器デバイスの線路活性端子と負荷活性端子との間の電路にエアギャップを作成する。
【0384】
いくつかの実施形態では、内部スイッチに第2のスイッチ制御信号を印加するプロセスは、固体スイッチに第1のスイッチ制御信号を印加して固体スイッチをスイッチオフ状態にした後に、第2のスイッチ制御信号を印加して内部スイッチをアクティブ化し、内部短絡経路を生成することを含む。
【0385】
いくつかの実施形態では、方法は、遮断器デバイスの線路活性端子と回路負荷活性端子との間の電路上のAC電源波形のゼロ交差を検出することと、AC電源波形の検出されたゼロ交差のタイミングを利用して、第1のスイッチ制御信号を印加して固体スイッチをスイッチオフ状態にした後に、第2のスイッチ制御信号を印加して内部スイッチをアクティブ化するタイミングを制御することと、をさらに含む。
【0386】
いくつかの実施形態では、AC電源波形の検出されたゼロ交差のタイミングを利用して、第2のスイッチ制御信号を印加して内部スイッチをアクティブ化するタイミングを制御するプロセスは、AC電源波形の検出されたゼロ交差でのAC電源波形の相反する半サイクル間の極性遷移の方向を検出することと、内部スイッチに第2のスイッチ制御信号を印加して、AC供給電圧波形の検出されたゼロ交差の後のAC電源波形の極性遷移の検出された方向が、固体スイッチをスイッチオフ状態にした後に固体スイッチのボディダイオードを逆バイアスする時点で、内部スイッチをアクティブ化することと、を含む。
【0387】
別の実施形態では、システムは、外部電源に結合された線路活性バスバーおよび線路中性バスバーを備える回路遮断器分電盤と、回路遮断器分電盤内に配設された回路遮断器デバイスと、を備える。回路遮断器デバイスは、線路活性バスバーに結合された線路活性端子、線路中性バスバーに結合された線路中性端子、ならびに分岐回路に接続された負荷活性端子および負荷中性端子と、線路活性端子と負荷活性端子との間に直列に接続された固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチと、第1のノードと第2のノードとの間に直列に接続された内部スイッチおよび分流抵抗器であって、第1のノードは、線路活性端子と負荷活性端子との間の電路に沿った点を含み、第2のノードは、線路中性端子と負荷中性端子との間の電路に沿った点を含む、内部スイッチおよび分流抵抗器と、(i)固体スイッチおよび(ii)内部スイッチの動作を制御するように構成されているスイッチ制御回路機構と、障害状態を検出し、かつ障害状態の検出に応答して障害検出制御信号を生成するように構成されている障害検出回路機構と、を備える。スイッチ制御回路機構は、障害検出制御信号に応答して、固体スイッチをスイッチオフ状態にするように構成されている。スイッチ制御回路機構は、障害検出制御信号に応答して内部スイッチをアクティブ化し、それによって第1および第2のノード間に接続された分流抵抗器を有する内部短絡経路を生成し、かつ内部短絡電流をエアギャップ電磁スイッチに流すように構成されており、内部短絡電流は、エアギャップ電磁スイッチをトリップし、それによって線路活性端子と負荷活性端子との間の電路にエアギャップを作成するのに十分である。
【0388】
例示的な実施形態は、添付の図を参照して本明細書に記載されているが、本開示はそれらの正確な実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な他の変更および修正が当業者によって行われ得ることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路遮断器であって、
前記回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路で直列に接続された、固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチと、
前記固体スイッチおよび前記エアギャップ電磁スイッチの動作を制御するように構成された、スイッチ制御回路機構と、
前記回路遮断器の前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電路上の交流(AC)波形のゼロ交差を検出するように構成された、ゼロ交差検出回路と、
前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電路に流れる電流を検知し、かつ前記検知された電流の流れに基づいて、障害状態を検出するように構成された、電流センサと、を備え、
前記スイッチ制御回路機構が、前記電流センサによって障害状態を検出することに応答して、(i)前記固体スイッチをスイッチオフ状態にし、かつ(ii)前記固体スイッチが前記スイッチオフ状態にされた後に前記エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするためのスイッチ制御信号を生成するように構成されており、
前記スイッチ制御回路機構が、前記ゼロ交差検出回路から出力されたゼロ交差検出信号を利用して、前記エアギャップ電磁スイッチをいつ前記スイッチ開放状態にするかを判定する、回路遮断器。
【請求項2】
前記固体スイッチが、P型エンハンスメント金属酸化物半導体電界効果トランジスタデバイスを備える、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記固体スイッチが、N型エンハンスメント金属酸化物半導体電界効果トランジスタデバイスを備える、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記ゼロ交差検出回路が、前記回路遮断器の前記線路入力端子に印加されたAC供給電圧波形のゼロ交差を検出するように構成されている、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項5】
前記ゼロ交差検出回路が、前記AC供給電圧波形の相反する半サイクル間で極性遷移の関連付けられた方向を検出するように構成されており、前記スイッチ制御回路機構が、前記極性遷移により前記固体スイッチのボディダイオードが逆バイアスされる時点で、前記エアギャップ電磁スイッチを前記スイッチ開放状態にする、請求項4に記載の回路遮断器。
【請求項6】
前記ゼロ交差検出回路が、AC電流波形のゼロ交差を検出するように構成されている、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項7】
前記ゼロ交差検出回路が、前記AC電流波形の相反する半サイクル間で極性遷移の関連付けられた方向を検出するように構成されており、前記スイッチ制御回路機構が、前記極性遷移により前記固体スイッチのボディダイオードが逆バイアスされる時点で、前記エアギャップ電磁スイッチを前記スイッチ開放状態にする、請求項6に記載の回路遮断器。
【請求項8】
前記ゼロ交差検出回路が、(i)前記電路で直列に接続されている検知抵抗器の検知電圧の大きさおよび極性をサンプリングし、(ii)前記検知電圧の前記大きさがゼロであると判定することに応答して、前記AC電流波形のゼロ交差事象を検出し、かつ(iii)前記検知電圧の前記極性に基づいて、前記AC電流波形の極性を判定するように構成されている、請求項6に記載の回路遮断器。
【請求項9】
前記電流センサが、短絡障害状態、過電流障害状態、アーク障害状態、および地絡障害状態のうちの少なくとも1つを検出するように構成されている、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項10】
環境状態を検知し、かつ前記検知された環境状態が有害であるかどうかを検出するように構成された、環境センサ回路をさらに備え、前記スイッチ制御回路機構が、有害な環境状態を検出することに応答して、(i)前記固体スイッチをスイッチオフ状態にし、(ii)前記固体スイッチが前記スイッチオフ状態にされた後、前記エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするためのスイッチ制御信号を生成するように構成されている、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項11】
前記環境センサ回路が、(i)有害化学物質の存在を検出するように構成されている化学物質感受性検出器、(ii)有害ガスの存在を検出するように構成されているガス感受性検出器、(iii)温度を検出するように構成されている温度センサ、(iv)振動を検出するように構成されている圧電検出器、および(v)湿潤環境を検出するように構成されている湿度センサのうちの1つ以上を備える、請求項10に記載の回路遮断器。
【請求項12】
方法であって、
回路遮断器の線路入力端子と負荷出力端子との間の電路に流れる電流を検知することであって、前記回路遮断器が、前記回路遮断器の前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電路で直列に接続された固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチを備える、検知することと、
前記検知された電流の流れに基づいて障害状態を検出することであって、前記障害状態を検出することに応答して、
前記固体スイッチをスイッチオフ状態にするための第1のスイッチ制御信号を生成し、
前記電路上の点における交流(AC)波形のゼロ交差事象、および前記ゼロ交差事象に続く前記AC波形の極性を検出し、ならびに
前記ゼロ交差事象に続く前記AC波形の前記極性が、前記固体スイッチのボディダイオードを逆バイアスすることを検出することに応答して、前記エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするための第2の制御信号を生成する、検出することと、含む、方法。
【請求項13】
前記AC波形の前記ゼロ交差事象、および前記ゼロ交差事象に続く前記AC波形の前記極性を検出することが、
前記固体スイッチがスイッチオフ状態にされた後の時点で発生する、前記AC波形の次のゼロ交差事象を検出することと、
前記次のゼロ交差事象に続く前記AC波形の極性が前記固体スイッチの前記ボディダイオードを順バイアスすることを検出することに応答して、前記AC波形の次の後続のゼロ交差事象を検出し終わるまで、前記エアギャップ電磁スイッチを前記スイッチ開放状態にするための前記第2の制御信号の前記生成を遅延させることであって、前記次の後続のゼロ交差事象に続く前記AC波形の極性が、前記固体スイッチの前記ボディダイオードを逆バイアスする、遅延させることと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記固体スイッチが、P型エンハンスメント金属酸化物半導体電界効果トランジスタデバイスおよびN型エンハンスメント金属酸化物半導体電界効果トランジスタデバイスのうちの1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記AC波形の前記ゼロ交差事象を検出することが、前記回路遮断器の前記線路入力端子に印加されたAC供給電圧波形のゼロ交差を検出することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記AC波形の前記ゼロ交差事象を検出することが、前記電路上の点におけるAC電流波形のゼロ交差を検出することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記AC電流波形の前記ゼロ交差を検出することが、
前記電路で直列に接続されている検知抵抗器の検知電圧の大きさおよび極性をサンプリングすることと、
前記検知電圧の前記大きさがゼロであると判定することに応答して、ゼロ交差事象を検出することと、
前記検知電圧の前記極性に基づいて前記AC電流波形の極性を判定することと、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記障害状態を検出することが、短絡障害状態、過電流障害状態、アーク障害状態、および地絡障害状態のうちの少なくとも1つを検出することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
環境状態を検出することと、前記環境状態が有害であると判定することに応答して、前記固体スイッチをスイッチオフ状態にするための第1の制御信号を生成し、前記固体スイッチが前記スイッチオフ状態にされた後に前記エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするための第2の制御信号を生成することと、をさらに含み、前記環境状態を検出することが、(i)存在化学物質、(ii)ガスの存在、(iii)温度、(iv)振動、および(v)湿度のうちの1つを検出することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
システムであって、
外部電源に結合されたバスバーを備える回路遮断器分電盤と、
前記回路遮断器分電盤内に配設された回路遮断器と、を備え、前記回路遮断器が、前記バスバーに結合された線路入力端子と、分岐回路に接続された負荷出力端子と、を備え、前記回路遮断器が、
前記回路遮断器の前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の電路で直列に接続された、固体スイッチおよびエアギャップ電磁スイッチと、
前記固体スイッチおよび前記エアギャップ電磁スイッチの動作を制御するように構成された、スイッチ制御回路機構と、
前記回路遮断器の前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電路上の交流(AC)波形のゼロ交差を検出するように構成された、ゼロ交差検出回路と、
前記線路入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電路に流れる電流を検知し、かつ前記検知された電流の流れに基づいて障害状態を検出するように構成された、電流センサと、を備え、
前記スイッチ制御回路機構が、前記電流センサによって障害状態を検出することに応答して、(i)前記固体スイッチをスイッチオフ状態にし、かつ(ii)前記固体スイッチが前記スイッチオフ状態にされた後に、前記エアギャップ電磁スイッチをスイッチ開放状態にするためのスイッチ制御信号を生成するように構成されており、
前記スイッチ制御回路機構が、前記ゼロ交差検出回路から出力されたゼロ交差検出信号を利用して、前記エアギャップ電磁スイッチをいつ前記スイッチ開放状態にするかを判定する、システム。