(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149655
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】協同的結合に関与する化合物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C07D 498/18 20060101AFI20241010BHJP
C07D 498/22 20060101ALI20241010BHJP
A61K 38/13 20060101ALI20241010BHJP
A61K 31/453 20060101ALI20241010BHJP
A61K 31/4523 20060101ALI20241010BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241010BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20241010BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241010BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20241010BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20241010BHJP
C12N 9/90 20060101ALN20241010BHJP
【FI】
C07D498/18 CSP
C07D498/22
A61K38/13
A61K31/453
A61K31/4523
A61P35/00
A61P31/00
A61P29/00
A61K47/64
C07K14/47
C12N9/90
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024127925
(22)【出願日】2024-08-02
(62)【分割の表示】P 2022076767の分割
【原出願日】2016-01-08
(31)【優先権主張番号】62/101,925
(32)【優先日】2015-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517241101
【氏名又は名称】ワープ ドライブ バイオ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WARP DRIVE BIO,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】バーダイン、グレゴリー、ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ニコルス、マシュー、ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】スタイルズ、ディラン、タルボット
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー、ネビル、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ボウマン、ブライアン、ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ゾーバ、マシュー、エドワード
(72)【発明者】
【氏名】タウンソン、シャロン、アン
(57)【要約】
【課題】アンドラッガブル標的の機能をモジュレート可能な新しい分子モダリティーを提供する。
【解決手段】プレゼンタータンパク質(たとえば、FKBPファミリーのメンバー、シクロフィリンファミリーのメンバー、又はPIN1)及び標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)への結合により、生物学的プロセスをモジュレート可能な化合物(たとえば下記式で示す14~40個の環原子を含むマクロ環式化合物)。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造
【化1】
を有する化合物であって、
式中、
Aは式IX
【化2】
の構造を有し、
uは1~20の整数であり、
各Yは、独立して任意のアミノ酸、O、NR
20、S、S(O)、SO
2であるか、又は式X-XIII
【化3】
のうちのいずれか1つの構造を有し、
各R
21及びR
22は、独立して、水素、ハロゲン、任意選択的に置換されたヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノ、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキル、又はR
21とR
22とが結合して=Oを形成し、
各R
27、R
28、R
29、及びR
30は、独立して、水素、ハロゲン、任意選択的に置換されたヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノ、又は任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキルであり、
各R
20は、独立して、水素、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~C
6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2~C
6アルキニル、任意選択的に置換されたアリール、C
3~C
7カルボシクリル、任意選択的に置換されたC
6~C
10アリールC
1~C
6アルキル、及び任意選択的に置換されたC
3~C
7カルボシクリルC
1~C
6アルキルであり、又はR
20は、任意のR
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、もしくはR
30と組み合わせて、任意選択的に置換されたC
3~C
10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC
6~C
10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC
2~C
9ヘテロアリールを形成し、
L
1及びL
2の各々は、独立して、結合であり、
Bは、以下の構造
【化4】
を有し、
X
6及びX
7は、それぞれ独立に、O、S、SO、SO
2、又はNR
19であり、
R
6及びR
7の各々は、独立して、水素、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキル、又はR
6及びR
7が、それらが結合している炭素原子と結合してC=Oを形成しているものであり、
R
14は、任意選択的に置換された-(C
1~C
6アルキレン)-C
6~C
10アリールであり、
R
15及びR
17は、各々、独立して、水素、ヒドロキシル、又は任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキルであり、
R
16及びR
18は、各々、独立して、ヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノ、ハロゲン、チオール、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~C
6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2~C
6アルキニル、任意選択的に置換されたC
1~C
6へテロアルキル、任意選択的に置換されたC
2~C
6へテロアルケニル、任意選択的に置換されたC
2~C
6へテロアルキニル、任意選択的に置換されたC
3~C
10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC
6~C
10アリール、任意選択的に置換されたC
6~C
10アリールC
1~C
6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~C
9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC
2~C
9ヘテロアリールC
1~C
6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~C
9ヘテロシクリル又は任意選択的に置換されたC
2~C
9ヘテロシクリルC
1~C
6アルキルであり、
R
19は、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~C
6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2~C
6アルキニル、任意選択的に置換されたアリール、C
3~C
7カルボシクリル、任意選択的に置換されたC
6~C
10アリールC
1~C
6アルキル及び任意選択的に置換されたC
3~C
7カルボシクリルC
1~C
6アルキルであり、
s及びtは、各々独立に、0~7の整数であり、
oは、1又は2であり、
Aは下記の構造
【化5】
を有さない、化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
R15及びR17が各々ヒドロキシルである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
X6及びX7が各々Oである、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R14が任意選択的に置換された-(C1~C2アルキレン)-C6アリールである請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R14が任意選択的に置換されたフェネチルである、請求項4に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
Bが下記構造
【化6】
を含む、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、プレゼンタータンパク質とを含むプレゼンタータンパク質-化合物複合体。
【請求項9】
前記プレゼンタータンパク質がプロリルイソメラーゼである、請求項8に記載の複合体。
【請求項10】
前記プレゼンタータンパク質が、FKBP12、FKBP12.6、FKBP25、又はFKBP4である、請求項8又は9に記載の複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は協同的結合に関与する化合物及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
低分子薬剤の大多数は、標的タンパク質上の機能的重要ポケットに結合することにより作用し、それにより、そのタンパク質の活性をモジュレートする。たとえば、コレステロール低下薬剤のスタチンは、HMG-CoAレダクターゼの酵素活性部位に結合し、それにより、酵素がその基質にエンゲージするのを防止する。多くのかかる薬剤/標的相互作用ペアが知られているという事実から、適正量の時間、労力、及び資源をかければすべてではないにしてもほとんどのタンパク質に対する低分子モジュレータを発見可能であるという誤った考えに導かれる者が現れうる。このことは真実からはほど遠い。現在の推定値によれば、全ヒトタンパク質の約10%が低分子の標的となりうるにすぎない。残りの90%は、低分子薬剤の発見が面倒又は困難であると現在考えられている。かかる標的は、通常「アンドラッガブル」として参照される。こうしたアンドラッガブル標的には、医学的に重要なヒトタンパク質の莫大なかつほとんど未開発の宝庫が含まれる。それゆえ、かかるアンドラッガブル標的の機能をモジュレート可能な新しい分子モダリティーを発見することに大きな関心が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、たとえば、プレゼンタータンパク質(たとえば、FKBPファミリーのメンバー、シクロフィリンファミリーのメンバー、又はPIN1)及び標的タンパク質に結合することにより、生物学的プロセスをモジュレート可能な化合物(たとえばマクロ環式化合物)を特徴とする。いくつかの実施形態では、標的タンパク質及び/又はプレゼンタータンパク質は細胞内タンパク質である。いくつかの実施形態では、標的タンパク質及び/又はプレゼンタータンパク質は哺乳動物タンパク質である。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、細胞内たとえば哺乳動物細胞内のトリパータイトプレゼンタータンパク質/化合物/標的タンパク質複合体に関与する。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、癌、炎症、感染症などの疾患及び障害の治療で有用でありうる。
【0004】
一態様では、本発明は、化合物(たとえば、14~40個の環原子を含むマクロ環式化合物)を特徴とする。化合物は、(a)標的タンパク質相互作用部分(たとえば、哺乳動物標的タンパク質相互作用部分や菌類標的タンパク質相互作用部分などの真核生物標的タンパク質相互作用部分又は細菌標的タンパク質相互作用部分などの原核生物標的タンパク質相互作用部分)と、(b)プレゼンタータンパク質結合部分と、を含み、化合物及びプレゼンタータンパク質が、標的タンパク質に特異的に結合する複合体を形成し、かつ化合物及びプレゼンタータンパク質のそれぞれが、複合体の形成の不在下で標的タンパク質に実質的に結合しないか、もしくは化合物及びプレゼンタータンパク質が、前記複合体の形成の不在下での標的タンパク質への化合物及びプレゼンタータンパク質のそれぞれの親和性の少なくとも5倍の親和性で標的タンパク質に結合する複合体を形成するものとし、又はそれらの薬学的に許容可能な塩を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、化合物はマクロ環式化合物である。ある特定の実施形態では、化合物は非環式化合物である。
いくつかの実施形態では、提供される化合物は1つ以上のリンカー部分を含む。いくつかの実施形態では、リンカー部分は、プレゼンタータンパク質結合部分(又はその一部)と標的タンパク質相互作用部分(又はその一部)とを接続する。
【0006】
いくつかの実施形態では、化合物は、構造:
【0007】
【0008】
(式中、Aは、哺乳動物標的タンパク質相互作用部分を含み、
Bは、プレゼンタータンパク質結合部分を含み、かつ
L1及びL2は、結合及び炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、又はリン原子から独立して選択される10個までの原子の直鎖から独立して選択され、鎖中の各原子は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、及びスルホニルから独立して選択される1個以上の置換基で任意選択的に置換され、かつ鎖中の任意の2個の原子は、それらに結合された置換基と一緒になって環を形成してもよく、環は、1つ以上の任意選択的に置換された炭素環、ヘテロ環、アリール環、又はヘテロアリール環にさらに置換及び/又は融合してもよい)を有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、化合物は、構造:
【0010】
【0011】
(式中、Z1及びZ2のそれぞれは、独立して、水素又はヒドロキシルである)を有する。
他の実施形態では、L1、L2、Z1、及び/又はZ2の少なくとも1個の原子は、プレゼンタータンパク質及び標的タンパク質への結合に関与する。ある特定の実施形態では、L1、L2、Z1、及び/又はZ2の少なくとも1個の原子は、プレゼンタータンパク質や標的タンパク質への結合に関与しない。
【0012】
いくつかの実施形態では、L1、L2、Z1、及び/又はZ2は、プレゼンタータンパク質及び/又は標的タンパク質への結合に関与する1個以上の原子を含む。いくつかの実施形態では、L1、L2、Z1、及び/又はZ2の1つ以上の少なくとも1個の原子は、プレゼンタータンパク質及び/又は標的タンパク質への結合に関与する。ある特定の実施形態では、L1、L2、Z1、及び/又はZ2の1つ以上の少なくとも1個の原子は、プレゼンタータンパク質及び/又は標的タンパク質への結合に関与しない。
【0013】
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、5~20個の環原子(たとえば、5~10、7~12、10~15、12~17、又は15~20個の環原子)を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、化合物は、14~20個の環原子(たとえば、14~16、14~17、15~18、16~19、もしくは17~20個の環原子、又は14、15、16、17、18、19、もしくは20個の環原子)からなる。ある特定の実施形態では、化合物は、21~26個の環原子(たとえば、21~23、22~24、23~25、もしくは24~26個の環原子、又は21、22、23、24、25、26個の環原子)からなる。いくつかの実施形態では、化合物は、27~40個の環原子(たとえば、27~30、29~34、33~38、37~40個の環原子、又は27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、もしくは40個の環原子)からなる。
【0015】
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、式I:
【0016】
【0017】
(式中、nは、0又は1であり、
X1及びX3は、それぞれ独立して、O、S、CR3R4、又はNR5であり、
X2は、O、S、又はNR5であり、
R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノ、ハロゲン、チオール、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC1~C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、又はR1、R2、R3、もしくはR4の任意の2つは、それらが結合された1個もしくは複数個の原子と一緒になって、任意選択的に置換されたカルボシクリル、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたアリール、もしくは任意選択的に置換されたヘテロアリールを形成し、かつ
各R5は、独立して、水素、ヒドロキシル、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC1~C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、又はR5及びR1、R2、R3、もしくはR4の1つは、それらが結合された1個もしくは複数個の原子と一緒になって、任意選択的に置換されたヘテロシクリルもしくは任意選択的に置換されたヘテロアリールを形成する)で示される構造を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、X1はL1に接続され、かつX3はL2に接続される。いくつかの実施形態では、X1はL2に接続され、かつX3はL1に接続される。
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、式Ia:
【0019】
【0020】
で示される構造を含む。
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、式II~IV:
【0021】
【0022】
(式中、o及びpは、独立して、0、1、又は2であり、
qは、0~7の整数であり、
rは、0~4の整数であり、
X4及びX5は、それぞれ独立して、不在、CH2、O、S、SO、SO2、又はNR13であり、
各R6及びR7は、独立して、水素、ヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノ、ハロゲン、チオール、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC1~C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、又はR6及びR7は、それらが結合された炭素原子と組み合わせて、C=Oを形成し、又はR6及びR7は、組み合わせて、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリルもしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルを形成し、
各R8は、独立して、ヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノ、ハロゲン、チオール、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC1~C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、又は2つのR8は、組み合わせて、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールを形成し、
R9は、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC1~C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、又は任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、
R10は、任意選択的に置換されたC1~C6アルキルであり、
各R11は、独立して、ヒドロキシル、シアノ、任意選択的に置換されたアミノ、ハロゲン、チオール、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC1~C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、又は2つのR11は、組み合わせて、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールを形成し、かつ
R12及びR13は、それぞれ独立して、水素、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたアリール、C3~C7カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、及び任意選択的に置換されたC3~C7カルボシクリルC1~C6アルキルである)のいずれか1つで示される構造であるか又はその構造を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、L1はプレゼンタータンパク質結合部分の左側に接続され、かつL2はプレゼンタータンパク質結合部分の右側に接続される。いくつかの実施形態では、L1はプレゼンタータンパク質結合部分の右側に接続され、かつL2はプレゼンタータンパク質結合部分の左側に接続される。
【0024】
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、式IIa~IVa:
【0025】
【0026】
のいずれか1つで示される構造であるか又はその構造を含む。
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、式V:
【0027】
【0028】
(式中、R14は、水素、ヒドロキシル、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC1~C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルである)で示される構造であるか又はその構造を含む。
【0029】
ある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、式VI、VII、もしくはVIII:
【0030】
【0031】
(式中、s及びtは、それぞれ独立して、0~7の整数であり、
X6及びX7、それぞれ独立して、O、S、SO、SO2、又はNR19であり、
R15及びR17は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、又は任意選択的に置換されたC1~C6アルキルであり、
R16及びR18は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノ、ハロゲン、チオール、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC1~C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、
R19は、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたアリール、C3~C7カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、及び任意選択的に置換されたC3~C7カルボシクリルC1~C6アルキルであり、かつ
Arは、任意選択的に置換されたC6~C10アリール又は任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールである)で示される構造であるか又はその構造を含む。
【0032】
ある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、構造:
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
であるか又はその構造を含む。
ある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、構造:
【0037】
【0038】
であるか又はその構造を含む。
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、構造:
【0039】
【0040】
【0041】
であるか又はその構造を含む。
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、構造:
【0042】
【0043】
であるか又はその構造を含む。
ある特定の実施形態では、標的相互作用部分は、式IX:
【0044】
【0045】
(式中、uは、1~20の整数であり、かつ
各Yは、独立して、任意のアミノ酸、O、NR20、S、S(O)、SO2であるか、又は式X~XIII:
【0046】
【0047】
(ここで、各R20は、独立して、水素、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたアリール、C3~C7カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、及び任意選択的に置換されたC3~C7カルボシクリルC1~C6アルキルであり、又はR20は、任意のR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、もしくはR30と組み合わせて、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールを形成し、
各R21及びR22は、独立して、水素、ハロゲン、任意選択的に置換されたヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノであり、又はR21及びR22は、組み合わせて、=O、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルを形成し、又はR21もしくはR22は、任意のR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、もしくはR30と組み合わせて、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールを形成し、
各R23、R24、R25、もしくはR26は、独立して、水素、ヒドロキシルであり、又はR23及びR24は、組み合わせて、=Oを形成し、又はR23、R24、R25、もしくはR26は、任意のR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、もしくはR30と組み合わせて、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールを形成し、かつ
各R27、R28、R29、及びR30は、独立して、水素、ハロゲン、任意選択的に置換されたヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノ、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、又はR26、R27、R28、R29、もしくはR30は、任意のR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、もしくはR30と組み合わせて、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールを形成する)のいずれか1つで示される構造を有する)で示される構造であるか又はその構造を含む。
【0048】
ある特定の実施形態では、標的相互作用部分は、式IX:
【0049】
【0050】
で示される構造であるか又はその構造を含む。
いくつかの実施形態では、化合物は、式XIV~XVIII:
【0051】
【0052】
のいずれか1つで示される構造を有する。
いくつかの実施形態では、化合物は、構造:
【0053】
【0054】
を含まない。
いくつかの実施形態では、標的相互作用部分は、構造:
【0055】
【0056】
【0057】
であるか又はその構造を含む。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのYはN-アルキル化アミノ酸(たとえばN-メチルアミノ酸)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのYはD-アミノ酸である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのYは非天然アミノ酸である。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのYはデプシ結合を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、化合物は、構造:
【0059】
【0060】
を含まない。
いくつかの実施形態では、標的タンパク質への結合に関与する各環原子を含む分子の部分は、2超(たとえば、3超、4超、5超、6超)のcLogPを有する。ある特定の実施形態では、標的タンパク質への結合に関与する各環原子を含む分子の部分は、350Å2未満(たとえば、300Å2未満、250Å2未満、200Å2未満、150Å2未満、125Å2未満)の極性表面積を有する。いくつかの実施形態では、標的タンパク質への結合に関与する各環原子を含む分子の部分は、リンカーの少なくとも1個の原子を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、化合物は、400~2000ダルトン(たとえば、400~600、500~700、600~800、700~900、800~1000、900~1100、1000~1200、1100~1300、1200~1400、1300~1500、1400~1600、1500~1700、1600~1800、1700~1900、又は1800~2000ダルトン)の分子量を有する。ある特定の実施形態では、化合物は、偶数個の環原子(たとえば、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、又は40個の環原子)を有する。いくつかの実施形態では、化合物は細胞透過性である。いくつかの実施形態では、化合物は実質的に純粋である(たとえば、化合物は、他の化合物及び/又は細胞溶解物の成分などの汚染物質を実質的に含まない調製物で提供される)。ある特定の実施形態では、化合物は単離されている。いくつかの実施形態では、化合物は工学操作された化合物である。いくつかの実施形態では、化合物は天然に存在しない。
【0062】
ある特定の実施形態では、複合体は、複合体がmTOR及び/又はカルシニューリンに結合するときの少なくとも5倍(たとえば、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍)の親和性で標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)に結合する。いくつかの実施形態では、複合体は、化合物がプレゼンタータンパク質との複合体の状態で結合されないときの標的タンパク質への化合物の親和性の少なくとも5倍(たとえば、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍)の親和性で標的タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、複合体は、プレゼンタータンパク質が化合物との複合体の状態で結合されないときの標的タンパク質へのプレゼンタータンパク質の親和性の少なくとも5倍(たとえば、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍)の親和性で標的タンパク質に結合する。ある特定の実施形態では、複合体は、標的タンパク質と標的タンパク質に特異的に結合するリガンドとの間の天然に存在する相互作用を阻害する。
【0063】
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質は、プロリルイソメラーゼ(たとえば、FKBP12、FKBP12.6、FKBP25、FKBP52などのFKBPファミリーのメンバー、PP1A、CYPB、CYPC、CYP40、CYPE、CYPD、NKTR、SRCyp、CYPH、CWC27、CYPL1、CYP60、CYPJ、PPIL4、PPIL6、RANBP2、PPWD1、PIN1などのシクロフィリンファミリーのメンバー)である。
【0064】
ある特定の実施形態では、標的タンパク質は真核生物標的タンパク質である。いくつかの実施形態では、真核生物標的タンパク質は、GTPアーゼ、GTPアーゼ活性化タンパク質、グアニンヌクレオチド交換因子、熱ショックタンパク質、イオンチャネル、コイルドコイルタンパク質、キナーゼ、ホスファターゼ、ユビキチンリガーゼ、転写因子、クロマチンモディファイヤー/リモデラー、古典的タンパク質-タンパク質相互作用ドメイン及びモチーフを有するタンパク質、又は疾患、障害、もしくは病態に関連する生物学的経路に関与する任意の他のタンパク質などの哺乳動物標的タンパク質である。いくつかの実施形態では、真核生物標的タンパク質は菌類標的タンパク質である。ある特定の実施形態では、標的タンパク質は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質である。
【0065】
いくつかの実施形態では、化合物は、
図1の化合物のいずれか1つ又はそのステレオアイソマー又はそれらの薬学的に許容可能な塩である。
ある特定の実施形態では、化合物は、
図2の化合物のいずれか1つ又はそのステレオアイソマー又はそれらの薬学的に許容可能な塩である。
【0066】
いくつかの態様では、本発明は、本発明の化合物のいずれかとプレゼンタータンパク質とを含むプレゼンタータンパク質/化合物複合体を特徴とする。
プレゼンタータンパク質/化合物複合体のいくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質は、表1の遺伝子のいずれか1つによりコードされるタンパク質又はそのホモログである。プレゼンタータンパク質/化合物複合体のいくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質は、プロリルイソメラーゼ(たとえば、FKBP12、FKBP12.6、FKBP25、FKBP52などのFKBPファミリーのメンバー、PP1A、CYPB、CYPC、CYP40、CYPE、CYPD、NKTR、SRCyp、CYPH、CWC27、CYPL1、CYP60、CYPJ、PPIL4、PPIL6、RANBP2、PPWD1、PIN1などのシクロフィリンファミリーのメンバー)である。
【0067】
いくつかの態様では、本発明は、本発明の化合物又は複合体のいずれかと薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を特徴とする。いくつかの実施形態では、医薬組成物はユニット製剤である。
【0068】
いくつかの態様では、本発明は、標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)をモジュレートする方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、かかる方法は、標的タンパク質と、モジュレーション(たとえば、正又は負のモジュレーション)量の本発明の化合物(たとえば、プレゼンタータンパク質の存在下)、プレゼンタータンパク質/化合物複合体、又は組成物のいずれかと、を接触させる工程を含む。
【0069】
いくつかの態様では、本発明は、標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)をモジュレート(たとえば、正又は負にモジュレート)する方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、かかる方法は、化合物がプレゼンタータンパク質との複合体を形成可能でありかつ得られる複合体が標的タンパク質に結合可能である条件下で、標的タンパク質とプレゼンタータンパク質とを発現する細胞と、有効量の本発明の化合物又は組成物と、を接触させることにより、標的タンパク質をモジュレート(たとえば、正又は負にモジュレート)する工程を含む。
【0070】
いくつかの態様では、本発明は、標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)をモジュレート(たとえば、正又は負にモジュレート)する方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、かかる方法は、標的タンパク質と本発明のプレゼンタータンパク質/化合物複合体とを接触させることにより、標的タンパク質をモジュレートする工程を含む。
【0071】
いくつかの態様では、本発明は、プロリルイソメラーゼ活性を阻害する方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、かかる方法は、化合物とプロリルイソメラーゼとの間の複合体の形成を可能にする条件下で本発明の化合物又は組成物とプロリルイソメラーゼを発現する細胞とを接触させることにより、プロリルイソメラーゼ活性を阻害する工程を含む。
【0072】
いくつかの態様では、本発明は、細胞内でプレゼンタータンパク質/化合物複合体を形成する方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、かかる方法は、化合物とプレゼンタータンパク質との間の複合体の形成を可能にする条件下で、プレゼンタータンパク質を発現する細胞と本発明の化合物又は組成物とを接触させる工程を含む。
【0073】
いくつかの態様では、本発明は、本発明の化合物を調製する方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、かかる方法は、ストレプトマイセス(Streptomyces)属の細菌株を培養する工程と、発酵ブロスから化合物を単離する工程と、を含む。いくつかの実施形態では、細菌株は工学操作された株である。いくつかの実施形態では、細菌株は、化合物を産生するように及び/又は化合物をブロス中に分泌するように改変されたという点で工学操作されている。
【0074】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の化合物を調製する方法を提供し、本方法は、株が化合物を産生しかつそれを発酵ブロス中に放出する条件下でストレプトマイセス(Streptomyces)属の細菌株を培養する工程と、化合物を発酵ブロスから単離する工程と、を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、本明細書に記載の化合物を発酵ブロスから単離する工程を含む。
いくつかの態様では、本発明は、(i)標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)と、(ii)プレゼンタータンパク質/化合物複合体と、を含むトリパータイト複合体を特徴とし、プレゼンタータンパク質/化合物複合体は、プレゼンタータンパク質と本発明の化合物のいずれかとを含む。
【0076】
トリパータイト複合体のいくつかの実施形態では、標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)は、従来型の結合ポケットを有していない。トリパータイト複合体のいくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質/化合物複合体は、標的タンパク質上のフラット表面部位に結合する。トリパータイト複合体のある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質/化合物複合体中の化合物(たとえばマクロ環式化合物)は、標的タンパク質上の疎水性表面部位(たとえば、少なくとも30%、たとえば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の疎水性残基を含む標的タンパク質上の疎水性表面部位)に結合する。トリパータイト複合体のいくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質/化合物複合体は、標的タンパク質と前記標的タンパク質に特異的に結合するタンパク質との間の天然に存在するタンパク質-タンパク質相互作用部位で標的タンパク質に結合する。トリパータイト複合体のいくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質/化合物複合体は、標的タンパク質の活性部位に結合しない。トリパータイト複合体のある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質/化合物複合体は、標的タンパク質の活性部位に結合する。トリパータイト複合体のいくつかの実施形態では、標的タンパク質はアンドラッガブル標的である。
【0077】
トリパータイト複合体のいくつかの実施形態では、化合物(たとえばマクロ環式化合物)の構造組織は、トリパータイト複合体中ではなくプレゼンタータンパク質/化合物複合体中の化合物(たとえばマクロ環式化合物)と比較してトリパータイト複合体中で実質的に不変である。
【0078】
トリパータイト複合体のある特定の実施形態では、トリパータイト複合体中の標的タンパク質の全埋没表面積の少なくとも10%(たとえば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%)は、化合物(たとえばマクロ環式化合物)への結合に関与する1個以上の原子を含む。トリパータイト複合体のいくつかの実施形態では、トリパータイト複合体中の標的タンパク質の全埋没表面積の少なくとも10%(たとえば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%)は、プレゼンタータンパク質への結合に関与する1個以上の原子を含む。
【0079】
トリパータイト複合体のいくつかの実施形態では、化合物(たとえばマクロ環式化合物)は、トリパータイト複合体の全結合自由エネルギーの少なくとも10%(たとえば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%)に寄与する。トリパータイト複合体のある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質は、トリパータイト複合体の全結合自由エネルギーの少なくとも10%(たとえば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%)に寄与する。
【0080】
トリパータイト複合体のいくつかの実施形態では、化合物(たとえばマクロ環式化合物)の1個以上の原子と標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)の1個以上の原子との間の結合相互作用の少なくとも70%(たとえば、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%)は、ファンデルワールス相互作用及び/又はπ効果相互作用である。
【0081】
他の態様では、本発明は、複数の化合物(たとえば、本明細書に記載のマクロ環式化合物の)を含む化合物コレクションを特徴とする。いくつかの実施形態では、化合物コレクションは、互いに変異体である複数の化合物を含む。
化学用語
本明細書に記載されるある特定の化合物が1種以上の異なる異性体(たとえば、立体異性体、幾何異性体、互変異性体)及び/又は同位体(1個以上の原子をその原子の異なる同位体で置き換えたもの、たとえば、水素をジュウテリウムで置き換えたもの)の形態で存在可能であることは、当業者であれば分かるであろう。とくに指定がない限り又は文脈から明らかでない限り、表される構造は、任意のかかる異性体又は同位体の形態を単独又は組合せで表すものと理解可能である。
【0082】
本明細書に記載の化合物は非対称でありうる(たとえば、1つ以上のステレオ中心を有する)。とくに指定がない限り、エナンチオマーやジアステレオマーなどの立体異性体はすべて意図される。非対称置換炭素原子を含有する本開示の化合物は、光学活性形又はラセミ形で単離可能である。光学活性出発材料から光学活性形をいかに調製するかに関する方法は当技術分野で公知であり、たとえば、ラセミ混合物の分割によるもの又は立体選択的合成によるものがある。オレフィン、C=N二重結合などの多くの幾何異性体もまた、本明細書に記載の化合物中に存在可能であり、かかる安定な異性体はすべて本開示で企図される。本開示の化合物のシス及びトランス幾何異性体は記載されており、異性体の混合物として又は分離された異性形として単離しうる。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書に表される1種以上の化合物はさまざまな互変異性形で存在しうる。文脈から明らかであろうが、明示的に除外されない限り、かかる化合物への参照はかかる互変異性形をすべて包含する。いくつかの実施形態では、互変異性形は、単結合と隣接二重結合との交換及びそれに付随するプロトンの移動から生じる。ある特定の実施形態では、互変異性形は、参照形と同一の実験式及び全電荷を有する異性プロトン化状態のプロトトロピー互変異性体でありうる。プロトトロピー互変異性形部分の例は、ケトン-エノールペア、アミド-イミド酸ペア、ラクタム-ラクチムペア、アミド-イミド酸ペア、エナミン-イミンペア、及びプロトンがヘテロ環系の2つ以上の位置を占有可能である環状形、たとえば、1H-及び3H-イミダゾール、1H-、2H-、及び4H-1,2,4-トリアゾール、1H-及び2H-イソインドール、ならびに1H-及び2H-ピラゾールである。いくつかの実施形態では、互変異性形は、平衡状態でありうるか又は適切な置換により1つの形に立体的にロックしうる。ある特定の実施形態では、互変異性形は、アセタール相互変換、たとえば、以下のスキーム:
【0084】
【0085】
に例示される相互変換から生じる。
いくつかの実施形態では、本発明に従って本明細書に記載の化合物の同位体を調製及び/又は利用しうるとは、当業者であれば分かるであろう。「同位体」とは、同一の原子番号を有するが原子核中の異なる中性子数から生じる異なる質量数を有する原子を意味する。たとえば、水素の同位体としては、トリチウム及びジュウテリウムが挙げられる。いくつかの実施形態では、同位体置換(たとえば、ジュウテリウムによる水素の置換)は、代謝及び/又はキラル中心のラセミ化速度などの分子の物理化学的性質を変化させうる。
【0086】
当技術分野で公知のように、多くの化学エンティティー(とくに、多くの有機分子及び/又は多くの低分子)は、たとえばアモルファス形及び/又は結晶形などの多種多様な固体形(たとえば、多形体、水和物、溶媒和物など)をとりうる。いくつかの実施形態では、かかるエンティティーは、任意の固体形を含めて任意の形で利用しうる。いくつかの実施形態では、かかるエンティティーは、特定の形たとえば特定の固体形で利用される。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載及び/又は表される化合物は、塩形で提供及び/又は利用しうる。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載及び/又は表される化合物は、水和物形又は溶媒和物形で提供及び/又は利用しうる。
【0088】
本明細書の種々の箇所に、本開示の化合物の置換基がグループ又は範囲で開示される。本開示は、かかるグループ及び範囲のメンバーのあらゆる個別の部分的組合せを含むことがとくに意図される。たとえば、「C1~6アルキル」という用語は、メチル、エチル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、及びC6アルキルを個別に開示することがとくに意図される。さらに、化合物がグループ又は範囲で置換が開示される複数の位置を含む場合、とくに指定がない限り、本開示は、各位置にメンバーのあらゆる個別の部分的組合せを含有する個別の化合物及び化合物のグループ(たとえば、族及び亜族)を対象とすることが意図される。
【0089】
本明細書では、「任意選択的に置換されたX」(たとえば、任意選択的に置換されたアルキル)という形の語句は、「Xが任意選択的に置換されたときのX」(たとえば、「アルキルが任意選択的に置換されたときのアルキル」)と等価であることが意図される。それは、特徴「X」(たとえばアルキル)自体が任意選択的であることを意味することを意図するものではない。
【0090】
本明細書で用いられる「アルキル」という用語は、1~20(たとえば1~10又は1~6)個の炭素を含有する飽和炭化水素基を意味する。いくつかの実施形態では、アルキル基は非分岐状(すなわち線状)である。いくつかの実施形態では、アルキル基は分岐状である。アルキル基は、メチル、エチル、n-及びiso-プロピル、n-、sec-、iso-、及びtert-ブチル、ネオペンチルなどにより例示され、かつ(1)アルコキシ、(2)アルキルスルフィニル、(3)本明細書に定義されるアミノ(たとえば、非置換アミノ(すなわち-NH2)又は置換アミノ(すなわち-N(RN1)2(式中、RN1はアミノに対して定義した通りである))、(4)C6~10アリールC1~6アルコキシ、(5)アジド、(6)ハロ、(7)(C2~9ヘテロシクリル)オキシ、(8)O-保護基により任意選択的に置換されたヒドロキシル、(9)ニトロ、(10)オキソ(たとえば、カルボキシアルデヒド又はアシル)、(11)C1~7スピロシクリル、(12)チオアルコキシ、(13)チオール、(14)O-保護基により任意選択的に置換された-CO2RA’(式中、RA’は、(a)C1~20アルキル(たとえばC1~6アルキル)、(b)C2~20アルケニル(たとえばC2~6アルケニル)、(c)C6~10アリール、(d)水素、(e)C1~6アルク-C6~10アリール、(f)アミノ-C1~20アルキル、(g)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’(式中、s1は1~10(たとえば1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3のそれぞれは、独立して、0~10(たとえば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、かつR’はH又はC1~20アルキルである)で示されるポリエチレングリコール、及び(h)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(たとえば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3のそれぞれは、独立して、0~10(たとえば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、かつ各RN1は、独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1~6アルキルである)で示されるアミノ-ポリエチレングリコールからなる群から選択される)、(15)-C(O)NRB’RC’(式中、RB’及びRC’のそれぞれは、独立して、(a)水素、(b)C1~6アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される)、(16)-SO2RD’(式中、RD’は、(a)C1~6アルキル、(b)C6~10アリール、(c)C1~6アルク-C6~10アリール、及び(d)ヒドロキシルからなる群から選択される)、(17)-SO2NRE’RF’(式中、RE’及びRF’のそれぞれは、独立して、(a)水素、(b)C1~6アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される)、(18)-C(O)RG’(式中、RG’は、(a)C1~20アルキル(たとえばC1~6アルキル)、(b)C2~20アルケニル(たとえばC2~6アルケニル)、(c)C6~10アリール、(d)水素、(e)C1~6アルク-C6~10アリール、(f)アミノ-C1~20アルキル、(g)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’(式中、s1は1~10(たとえば1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3のそれぞれは、独立して、0~10(たとえば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、かつR’はH又はC1~20アルキルである)で示されるポリエチレングリコール、及び(h)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(たとえば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3のそれぞれは、独立して、0~10(たとえば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、かつ各RN1は、独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1~6アルキルである)で示されるアミノ-ポリエチレングリコールからなる群から選択される)、(19)-NRH’C(O)RI’(式中、RH’は、(a1)水素及び(b1)C1~6アルキルからなる群から選択され、かつRI’は、(a2)C1~20アルキル(たとえばC1~6アルキル)、(b2)C2~20アルケニル(たとえばC2~6アルケニル)、(c2)C6~10アリール、(d2)水素、(e2)C1~6アルク-C6~10アリール、(f2)アミノ-C1~20アルキル、(g2)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’(式中、s1は1~10(たとえば1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3のそれぞれは、独立して、0~10(たとえば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、かつR’はH又はC1~20アルキルである)で示されるポリエチレングリコール、及び(h2)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(たとえば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3のそれぞれは、独立して、0~10(たとえば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、かつ各RN1は、独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1~6アルキルである)で示されるアミノ-ポリエチレングリコールからなる群から選択される)、(20)-NRJ’C(O)ORK’(式中、RJ’は、(a1)水素及び(b1)C1~6アルキルからなる群より選択され、かつRK’は、(a2)C1~20アルキル(たとえばC1~6アルキル)、(b2)C2~20アルケニル(たとえばC2~6アルケニル)、(c2)C6~10アリール、(d2)水素、(e2)C1~6アルク-C6~10アリール、(f2)アミノ-C1~20アルキル、(g2)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’(式中、s1は1~10(たとえば1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3のそれぞれは、独立して、0~10(たとえば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、かつR’はH又はC1~20アルキルである)で示されるポリエチレングリコール、及び(h2)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(たとえば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3のそれぞれは、独立して、0~10(たとえば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、かつ各RN1は、独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1~6アルキルである)で示されるアミノ-ポリエチレングリコールからなる群より選択される)、(21)アミジン、ならびに(22)トリメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、トリイソプロピルシリルなどのシリル基、からなる群から独立して選択される1、2、3個の置換基、又は2個以上の炭素のアルキル基の場合は4個の置換基により任意選択的に置換しうる。いくつかの実施形態では、これらのグループのそれぞれは、本明細書に記載されるようにさらに置換可能である。たとえば、C1-アルカリールのアルキレン基は、オキソ基によりさらに置換してそれぞれのアリーロイル置換基を与えうる。
【0091】
本明細書で用いられる「アルキレン」という用語及び「アルク-」という接頭辞は、2個の水素原子を除去することにより直鎖状又は分岐鎖状飽和炭化水素から誘導される飽和2価炭化水素基を表し、メチレン、エチレン、イソプロピレンなどにより例示される。「Cx~yアルキレン」という用語及び「Cx~yアルク-」という接頭辞は、x~y個の炭素を有するアルキレン基を表す。xの例示的な値は、1、2、3、4、5、及び6であり、かつyの例示的な値は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、又は20である(たとえば、C1~6、C1~10、C2~20、C2~6、C2~10、又はC2~20アルキレン)。いくつかの実施形態では、アルキレンは、アルキル基に対して本明細書に定義される1、2、3、又は4個の置換基によりさらに置換可能である。
【0092】
本明細書で用いられる「アルケニル」という用語は、とくに明記されていない限り、1個以上の炭素-炭素二重結合を含有する2~20個の炭素(たとえば、2~6又は2~10個の炭素)の1価の直鎖状又は分岐鎖状の基を表し、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニルなどにより例示される。アルケニルは、シス及びトランスの両方の異性体を含む。アルケニル基は、本明細書に定義されるアミノ、アリール、シクロアルキル、もしくはヘテロシクリル(たとえばヘテロアリール)又は本明細書に記載される例示的なアルキル置換基のいずれかから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基により任意選択的に置換しうる。
【0093】
本明細書で用いられる「アルキニル」という用語は、炭素-炭素三重結合を含有する2~20個の炭素原子(たとえば、2~4、2~6、又は2~10個の炭素)の1価の直鎖状又は分岐鎖状の基を表し、エチニル、1-プロピニルなどにより例示される。アルキニル基は、本明細書に定義されるアリール、シクロアルキル、もしくはヘテロシクリル(たとえばヘテロアリール)又は本明細書に記載される例示的なアルキル置換基のいずれかから独立して選択される1、2、3、又は4個の置換基により任意選択的に置換しうる。
【0094】
本明細書で用いられる「アミノ」という用語は、-N(RN1)2(式中、各RN1は、独立して、H、OH、NO2、N(RN2)2、SO2ORN2、SO2RN2、SORN2、N-保護基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アルカリール、シクロアルキル、アルクシクロアルキル、カルボキシアルキル(たとえば、任意選択的に置換されたアリールアルコキシカルボニル基や本明細書に記載されるいずれかなどのO-保護基により任意選択的に置換されたもの)、スルホアルキル、アシル(たとえば、アセチル、トリフルオロアセチル、又は本明細書に記載される他のもの)、アルコキシカルボニルアルキル(たとえば、任意選択的に置換されたアリールアルコキシカルボニル基や本明細書に記載されるいずれかなどのO-保護基により任意選択的に置換されたもの)、ヘテロシクリル(たとえばヘテロアリール)、又はアルクヘテロシクリル(たとえばアルクヘテロアリール)であり、これらの列挙されたRN1基のそれぞれは、各基に対して本明細書に定義されるように任意選択的に置換可能であり、又は2つのRN1は、組み合わせて、ヘテロシクリルもしくはN-保護基を形成し、かつ各RN2は、独立して、H、アルキル、又はアリールである)を表す。本発明のアミノ基は、非置換アミノ(すなわち-NH2)又は置換アミノ(すなわち-N(RN1)2)でありうる。好適な実施形態では、アミノは、-NH2又は-NHRN1(式中、RN1は、独立して、OH、NO2、NH2、NRN2
2、SO2ORN2、SO2RN2、SORN2、アルキル、カルボキシアルキル、スルホアルキル、アシル(たとえば、アセチル、トリフルオロアセチル、又は本明細書に記載される他のもの)、アルコキシカルボニルアルキル(たとえばt-ブトキシカルボニルアルキル)、又はアリールであり、かつ各RN2は、H、C1~20アルキル(たとえばC1~6アルキル)、又はC6~10アリールでありうる)である。
【0095】
本明細書に記載される「アミノ酸」という用語は、側鎖とアミノ基と酸基(たとえば、-CO2Hのカルボキシ基又は-SO3Hのスルホ基)とを有する分子を意味し、アミノ酸は、側鎖、アミノ基、又は酸基(たとえば側鎖)により親分子基に結合される。本明細書で用いられる場合、最広義の「アミノ酸」という用語は、たとえば、1つ以上のペプチド結合の形成によりポリペプチド鎖中に組込み可能な任意の化合物及び/又は物質を意味する。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、一般構造H2N-C(H)(R)-COOHを有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸は天然に存在するアミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸は合成アミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸はD-アミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸はL-アミノ酸である。「標準アミノ酸」とは、天然に存在するペプチドに共通して見いだされる20種の標準L-アミノ酸のいずれかを意味する。「非標準アミノ酸」とは、合成により調製されるか又は天然源から取得されるかにかかわらず、標準アミノ酸以外の任意のアミノ酸を意味する。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、ポリペプチド中のカルボキシ末端及び/又はアミノ末端のアミノ酸を含めて、以上の一般構造に対して構造修飾を含有しうる。たとえば、いくつかの実施形態では、アミノ酸は、一般構造に対してメチル化、アミド化、アセチル化、及び/又は置換により修飾しうる。いくつかの実施形態では、かかる修飾は、たとえば、それ以外は同じである未修飾アミノ酸を含有するものと比較して修飾アミノ酸を含有するポリペプチドの循環半減期を変化させうる。いくつかの実施形態では、かかる修飾は、それ以外は同じである未修飾アミノ酸を含有するものと比較して修飾アミノ酸を含有するポリペプチドの関連活性を有意に変化させない。文脈から明らかであろうが、いくつかの実施形態では、「アミノ酸」という用語は、遊離アミノ酸を意味するように用いられる。いくつかの実施形態では、それはポリペプチドのアミノ酸残基を意味するように用いられる。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、側鎖又はアミノ基がカルボニル基に結合された状態でカルボニル基により親分子基に結合される。いくつかの実施形態では、アミノ酸はα-アミノ酸である。ある特定の実施形態では、アミノ酸はβ-アミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸はγ-アミノ酸である。例示的な側鎖としては、任意選択的に置換されたアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルカリール、アルクヘテロシクリル、アミノアルキル、カルバモイルアルキル、及びカルボキシアルキルが挙げられる。例示的なアミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシノルバリン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、ノルバリン、オルニチン、フェニルアラニン、プロリン、ピロリシン、セレノシスチン、セリン、タウリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンが挙げられる。アミノ酸基は、(1)C1~6アルコキシ、(2)C1~6アルキルスルフィニル、(3)本明細書に定義されるアミノ(たとえば、非置換アミノ(すなわち-NH2)又は置換アミノ(すなわち-N(RN1)2(式中、RN1はアミノに対して定義した通りである))、(4)C6~10アリールC1~6アルコキシ、(5)アジド、(6)ハロ、(7)(C2~9ヘテロシクリル)オキシ、(8)ヒドロキシル、(9)ニトロ、(10)オキソ(たとえば、カルボキシアルデヒド又はアシル)、(11)C1~7スピロシクリル、(12)チオアルコキシ、(13)チオール、(14)-CO2RA’(式中、RA’は、(a)C1~20アルキル(たとえばC1~6アルキル)、(b)C2~20アルケニル(たとえばC2~6アルケニル)、(c)C6~10アリール、(d)水素、(e)C1~6アルク-C6~10アリール、(f)アミノ-C1~20アルキル、(g)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’(式中、s1は1~10(たとえば1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3のそれぞれは、独立して、0~10(たとえば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、かつR’はH又はC1~20アルキルである)で示されるポリエチレングリコール、及び(h)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(たとえば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3のそれぞれは、独立して、0~10(たとえば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、かつ各RN1は、独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1~6アルキルである)で示されるアミノ-ポリエチレングリコールからなる群から選択される)、(15)-C(O)NRB’RC’(式中、RB’及びRC’のそれぞれは、独立して、(a)水素、(b)C1~6アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される)、(16)-SO2RD’(式中、RD’は、(a)C1~6アルキル、(b)C6~10アリール、(c)C1~6アルク-C6~10アリール、及び(d)ヒドロキシルからなる群から選択される)、(17)-SO2NRE’RF’(式中、RE’及びRF’のそれぞれは、独立して、(a)水素、(b)C1~6アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される)、(18)-C(O)RG’(式中、RG’は、(a)C1~20アルキル(たとえばC1~6アルキル)、(b)C2~20アルケニル(たとえばC2~6アルケニル)、(c)C6~10アリール、(d)水素、(e)C1~6アルク-C6~10アリール、(f)アミノ-C1~20アルキル、(g)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’(式中、s1は1~10(たとえば1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3のそれぞれは、独立して、0~10(たとえば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、かつR’はH又はC1~20アルキルである)で示されるポリエチレングリコール、及び(h)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(たとえば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3のそれぞれは、独立して、0~10(たとえば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、かつ各RN1は、独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1~6アルキルである)で示されるアミノ-ポリエチレングリコールからなる群から選択される)、(19)-NRH’C(O)RI’(式中、RH’は、(a1)水素及び(b1)C1~6アルキルからなる群から選択され、かつRI’は、(a2)C1~20アルキル(たとえばC1~6アルキル)、(b2)C2~20アルケニル(たとえばC2~6アルケニル)、(c2)C6~10アリール、(d2)水素、(e2)C1~6アルク-C6~10アリール、(f2)アミノ-C1~20アルキル、(g2)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’(式中、s1は1~10(たとえば1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3のそれぞれは、独立して、0~10(たとえば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、かつR’はH又はC1~20アルキルである)で示されるポリエチレングリコール、及び(h2)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(たとえば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3のそれぞれは、独立して、0~10(たとえば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、かつ各RN1は、独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1~6アルキルである)で示されるアミノ-ポリエチレングリコールからなる群から選択される)、(20)-NRJ’C(O)ORK’(式中、RJ’は、(a1)水素及び(b1)C1~6アルキルからなる群より選択され、かつRK’は、(a2)C1~20アルキル(たとえばC1~6アルキル)、(b2)C2~20アルケニル(たとえばC2~6アルケニル)、(c2)C6~10アリール、(d2)水素、(e2)C1~6アルク-C6~10アリール、(f2)アミノ-C1~20アルキル、(g2)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’(式中、s1は1~10(たとえば1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3のそれぞれは、独立して、0~10(たとえば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、かつR’はH又はC1~20アルキルである)で示されるポリエチレングリコール、及び(h2)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(たとえば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3のそれぞれは、独立して、0~10(たとえば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、かつ各RN1は、独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1~6アルキルである)で示されるアミノ-ポリエチレングリコールからなる群より選択される)、ならびに(21)アミジンからなる群から独立して選択される1、2、3個の置換基又は2個以上の炭素のアミノ酸基の場合は4個の置換基により任意選択的に置換しうる。いくつかの実施形態では、これらのグループのそれぞれは、本明細書に記載されるようにさらに置換可能である。
【0096】
本明細書で用いられる「N-アルキル化アミノ酸」という用語は、ペプチド結合を形成するアミノ酸の窒素上に任意選択的に置換されたC1~C6アルキルを含有するアミノ酸を意味する。N-アルキル化アミノ酸としては、限定されるものではないが、N-メチル-アラニン、N-メチル-トレオニン、N-メチル-フェニルアラニン、N-メチル-アスパラギン酸、N-メチル-バリン、N-メチル-ロイシン、N-メチル-グリシン、N-メチル-イソロイシン、N(α)-メチル-リシン、N(α)-メチル-アスパラギン、N(α)-メチル-グルタミンなどのN-メチルアミノ酸が挙げられる。
【0097】
本明細書で用いられる場合「アリール」という用語は、1又は2個の芳香環を有する単環式、二環式、又は多環式炭素環系を表し、フェニル、ナフチル、1,2-ジヒドロナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、インダニル、インデニルなどにより例示され、かつ(1)C1~7アシル(たとえばカルボキシアルデヒド)、(2)C1~20アルキル(たとえば、C1~6アルキル、アルコキシ-C1~6アルキル、C1~6アルキルスルフィニル-C1~6アルキル、アミノ-C1~6アルキル、アジド-C1~6アルキル、(カルボキシアルデヒド)-C1~6アルキル、ハロ-C1~6アルキル(たとえばペルフルオロアルキル)、ヒドロキシ-C1~6アルキル、ニトロ-C1~6アルキル、又はC1~6チオアルコキシ-C1~6アルキル)、(3)C1~20アルコキシ(たとえばC1~6アルコキシ、たとえばペルフルオロアルコキシ)、(4)C1~6アルキルスルフィニル、(5)C6~10アリール、(6)アミノ、(7)C1~6アルク-C6~10アリール、(8)アジド、(9)C3~8シクロアルキル、(10)C1~6アルク-C3~8シクロアルキル、(11)ハロ、(12)C1~12ヘテロシクリル(たとえばC1~12ヘテロアリール)、(13)(C1~12ヘテロシクリル)オキシ、(14)ヒドロキシル、(15)ニトロ、(16)C1~20チオアルコキシ(たとえば、チオアルコキシ)、(17)-(CH2)qCO2RA’(式中、qは0~4の整数であり、かつRA’は、(a)アルキル、(b)C6~10アリール、(c)水素、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される)、(18)-(CH2)qCONRB’RC’(式中、qは0~4の整数であり、かつRB’及びRC’は、(a)水素、(b)C1~6アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から独立して選択される)、(19)-(CH2)qSO2RD’(式中、qは0~4の整数であり、かつRD’は、(a)アルキル、(b)C6~10アリール、及び(c)アルク-C6~10アリールからなる群から選択される)、(20)-(CH2)qSO2NRE’RF’(式中、qは0~4の整数であり、かつRE’及びRF’のそれぞれは、(a)水素、(b)C1~6アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から独立して選択される)、(21)チオール、(22)C6~10アリールオキシ、(23)C3~8シクロアルコキシ、(24)C6~10アリールC1~6アルコキシ、(25)C1~6アルク-C1~12ヘテロシクリル(たとえばC1~6アルク-C1~12ヘテロアリール)、(26)C2~20アルケニル、ならびに(27)C2~20アルキニルからなる群から独立して選択される1、2、3、4、又は5個の置換基により任意選択的に置換しうる。いくつかの実施形態では、これらのグループのそれぞれは、本明細書に記載されるようにさらに置換可能である。たとえば、C1-アルカリール又はC1-アルクヘテロシクリルのアルキレン基は、オキソ基によりさらに置換してそれぞれのアリーロイル置換基及び(ヘテロシクリル)オイル置換基を与えうる。
【0098】
本明細書で用いられる「アリールアルキル」基は、本明細書に定義されるアルキレン基により親分子基に結合された本明細書に定義されるアリール基を表す。例示的な非置換アリールアルキル基は、7~30個の炭素(たとえば、7~16又は7~20個の炭素、たとえば、C1~6アルク-C6~10アリール、C1~10アルク-C6~10アリール、又はC1~20アルク-C6~10アリール)である。いくつかの実施形態では、アルキレン及びアリールはそれぞれ、それぞれの基に対して本明細書に定義される1、2、3、又は4個の置換基によりさらに置換可能である。「アルク-」という接頭辞が前に付いた他の基も同様に定義され、この場合、「アルク-」は、とくに断りのない限り、C1~6アルキレンを意味し、結合される化学構造は、本明細書に定義される通りである。
【0099】
「アジド」という用語は-N3基を表し、-N=N=Nとして表すことも可能である。
本明細書で用いられる「炭素環式」及び「カルボシクリル」という用語は、環が炭素原子により形成される任意選択的に置換されたC3~12単環式、二環式、又は三環式非芳香環構造を意味する。炭素環式構造としては、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及びシクロアルキニル基が挙げられる。
【0100】
本明細書で用いられる「カルボシクリルアルキル」基は、本明細書に定義されるアルキレン基により親分子基に結合された本明細書に定義される炭素環式基を表す。例示的な非置換カルボシクリルアルキル基は、7~30個の炭素(たとえば、7~16又は7~20個の炭素、たとえば、C1~6アルク-C6~10カルボシクリル、C1~10アルク-C6~10カルボシクリル、又はC1~20アルク-C6~10カルボシクリル)である。いくつかの実施形態では、アルキレン及びカルボシクリルはそれぞれ、それぞれの基に対して本明細書に定義される1、2、3、又は4個の置換基によりさらに置換可能である。「アルク-」という接頭辞が前に付いた他の基も同様に定義され、この場合、「アルク-」は、とくに断りのない限り、C1~6アルキレンを意味し、結合される化学構造は、本明細書に定義される通りである。
【0101】
本明細書で用いられる「カルボニル」という用語は、C(O)基を表し、C=Oとして表すことも可能である。
本明細書で用いられる「カルボキシ」という用語は、-CO2Hを意味する。
【0102】
本明細書で用いられる「シアノ」という用語は、-CN基を表す。
本明細書で用いられる「シクロアルキル」という用語は、とくに明記されていない限り、3~8個の炭素の1価の飽和又は不飽和の非芳香環式炭化水素基を表し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、二環ヘプチルなどにより例示される。シクロアルキル基が1つの炭素-炭素二重結合を含む場合、シクロアルキル基は「シクロアルケニル」基として参照可能である。例示的なシクロアルケニル基としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどが挙げられる。本発明のシクロアルキル基は、(1)C1~7アシル(たとえばカルボキシアルデヒド)、(2)C1~20アルキル(たとえば、アルキル、アルコキシ-C1~6アルキル、アルキルスルフィニル-C1~6アルキル、アミノ-C1~6アルキル、アジド-C1~6アルキル、(カルボキシアルデヒド)-C1~6アルキル、ハロ-C1~6アルキル(たとえばペルフルオロアルキル)、ヒドロキシ-C1~6アルキル、ニトロ-C1~6アルキル、又はC1~6チオアルコキシ-C1~6アルキル)、(3)C1~20アルコキシ(たとえばC1~6アルコキシ、たとえばペルフルオロアルコキシ)、(4)C1~6アルキルスルフィニル、(5)C6~10アリール、(6)アミノ、(7)C1~6アルク-C6~10アリール、(8)アジド、(9)C3~8シクロアルキル、(10)C1~6アルク-C3~8シクロアルキル、(11)ハロ、(12)C1~12ヘテロシクリル(たとえばC1~12ヘテロアリール)、(13)(C1~12ヘテロシクリル)オキシ、(14)ヒドロキシル、(15)ニトロ、(16)C1~20チオアルコキシ(たとえばC1~6チオアルコキシ)、(17)-(CH2)qCO2RA’(式中、qは0~4の整数であり、かつRA’は、(a)C1~6アルキル、(b)C6~10アリール、(c)水素、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される)、(18)-(CH2)qCONRB’RC’(式中、qは0~4の整数であり、かつRB’及びRC’は、(a)水素、(b)C6~10アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から独立して選択される)、(19)-(CH2)qSO2RD’(式中、qは0~4の整数であり、かつRD’は、(a)C6~10アルキル、(b)C6~10アリール、及び(c)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される)、(20)-(CH2)qSO2NRE’RF’(式中、qは0~4の整数であり、かつRE’及びRF’のそれぞれは、(a)水素、(b)C6~10アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から独立して選択される)(21)チオール、(22)C6~10アリールオキシ、(23)C3~8シクロアルコキシ、(24)C6~10アリールC1~6アルコキシ、(25)C1~6アルク-C1~12ヘテロシクリル(たとえばC1~6アルク-C1~12ヘテロアリール)、(26)オキソ、(27)C2~20アルケニル、ならびに(28)C2~20アルキニルにより任意選択的に置換可能である。いくつかの実施形態では、これらのグループのそれぞれは、本明細書に記載されるようにさらに置換可能である。たとえば、C1-アルカリール又はC1-アルクヘテロシクリルのアルキレン基は、オキソ基によりさらに置換してそれぞれのアリーロイル置換基及び(ヘテロシクリル)オイル置換基を与えうる。
【0103】
本明細書で用いられる「シクロアルキルアルキル」基は、本明細書に定義されるアルキレン基(たとえば、1~4、1~6、1~10、又は1~20個の炭素のアルキレン基)により親分子基に結合された本明細書に定義されるシクロアルキル基を表す。いくつかの実施形態では、アルキレン及びシクロアルキルはそれぞれ、それぞれの基に対して本明細書に定義される1、2、3、又は4個の置換基によりさらに置換可能である。
【0104】
本明細書で用いられる「ジアステレオマー」という用語は、互いに鏡像でなくかつ互いに重ね合わせることができない立体異性体を意味する。
本明細書で用いられる「エナンチオマー」という用語は、少なくとも80%(すなわち、一方のエナンチオマーが少なくとも90%かつ他方のエナンチオマーが多くとも10%)、好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも98%の光学純度又はエナンチオマー過剰率(当技術分野の標準的方法により決定される)を有する本発明の化合物の各個別の光学活性形を意味する。
【0105】
本明細書で用いられる「ハロ」という用語は、臭素、塩素、ヨウ素、又はフッ素から選択されるハロゲンを表す。
本明細書で用いられる「ヘテロアルキル」という用語は、成分炭素原子の1又は2個がそれぞれ窒素、酸素、又は硫黄により置き換えられた本明細書に定義されるアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル基は、アルキル基に対して本明細書に記載される1、2、3、又は4個の置換基によりさらに置換可能である。本明細書で用いられる「ヘテロアルケニル」及び「ヘテロアルキニル」という用語は、それぞれ、成分炭素原子の1又は2個がそれぞれ窒素、酸素、又は硫黄により置き換えられた本明細書に定義されるアルケニル基及びアルキニル基を意味する。いくつかの実施形態では、ヘテロアルケニル基及びヘテロアルキニル基は、アルキル基に対して本明細書に記載される1、2、3、又は4個の置換基によりさらに置換可能である。
【0106】
本明細書で用いられる「ヘテロアリール」という用語は、芳香族である本明細書に定義されるヘテロシクリルのサブセットを表す。すなわち、それらは単環内又は多環系内に4n+2個のπ電子を含有する。例示的な非置換ヘテロアリール基は、1~12(たとえば、1~11、1~10、1~9、2~12、2~11、2~10、又は2~9)個の炭素である。ある実施形態では、ヘテロアリールは、ヘテロシクリル基に対して定義される1、2、3、又は4個の置換基により置換される。
【0107】
「ヘテロアリールアルキル」という用語は、本明細書に定義されるアルキレン基により親分子基に結合された本明細書に定義されるヘテロアリール基を意味する。例示的な非置換ヘテロアリールアルキル基は、2~32個の炭素(たとえば、2~22、2~18、2~17、2~16、3~15、2~14、2~13、又は2~12個の炭素、たとえば、C1~6アルク-C1~12ヘテロアリール、C1~10アルク-C1~12ヘテロアリール、又はC1~20アルク-C1~12ヘテロアリール)である。いくつかの実施形態では、アルキレン及びヘテロアリールはそれぞれ、それぞれの基に対して本明細書に定義される1、2、3、又は4個の置換基によりさらに置換可能である。ヘテロアリールアルキル基はヘテロシクリルアルキル基のサブセットである。
【0108】
本明細書で用いられる「ヘテロシクリル」という用語は、とくに明記されていない限り、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から独立して選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する5員、6員、又は7員の環を表す。5員環は、2個の二重結合へのゼロを有する。また、6-及び7員環は、3個の二重結合へのゼロを有する。例示的な無置換ヘテロシクリル基は、1~12(たとえば、1~11、1~10、1~9、2~12、2~11、2~10、又は2~9)個の炭素である。「ヘテロシクリル」という用語はまた、1個以上の炭素及び/又はヘテロ原子が単環の2つの非隣接メンバーを架橋する架橋多環構造を有するヘテロ環式化合物たとえばキヌクリジニル基を表す。「ヘテロシクリル」という用語は、以上のヘテロ環のいずれかが1、2、又は3個の炭素環、たとえば、アリール環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環、又は他の単環式ヘテロ環、たとえば、インドリル、キノリル、イソキノリル、テトラヒドロキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニルなどに縮合した二環式、三環式、及び四環式の基を含む。縮合ヘテロシクリルの例としては、1個以上の二重結合が還元されて水素により置き換えられたジヒドロ形及びテトラヒドロ形を含めて、トロパン及び1,2,3,5,8,8a-ヘキサヒドロインドリジンが挙げられる。ヘテロ環式化合物としては、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピラジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、インドリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、ジヒドロキノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアジアゾリル、フリル、チエニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル(たとえば、1,2,3-オキサジアゾリル)、プリニル、チアジアゾリル(たとえば、1,2,3-チアジアゾリル)、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロインドリル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ジヒドロイソキノリル、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジチアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニルなどが挙げられる。さらに他の例示的なヘテロシクリルとしては、2,3,4,5-テトラヒドロ-2-オキソオキサゾリル、2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-イミダゾリル、2,3,4,5-テトラヒドロ-5-オキソ-1H-ピラゾリル(たとえば、2,3,4,5-テトラヒドロ-2-フェニル-5-オキソ-1H-ピラゾリル)、2,3,4,5-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-1H-イミダゾリル(たとえば、2,3,4,5-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-5-メチル-5-フェニル-1H-イミダゾリル)、2,3-ジヒドロ-2-チオキソ-1,3,4-オキサジアゾリル(たとえば、2,3-ジヒドロ-2-チオキソ-5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾリル)、4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1H-トリアゾリル(たとえば,4,5-ジヒドロ-3-メチル4-アミノ-5-オキソ-1H-トリアゾリル)、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソピリジニル(たとえば、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-3,3-ジエチルピリジニル)、2,6-ジオキソ-ピペリジニル(たとえば、2,6-ジオキソ-3-エチル-3-フェニルピペリジニル)、1,6-ジヒドロ-6-オキソピリミジニル、1,6-ジヒドロ-4-オキソピリミジニル(たとえば、2-(メチルチオ)-1,6-ジヒドロ-4-オキソ-5-メチルピリミジン-1-イル)、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソピリミジニル(たとえば、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-3-エチルピリミジニル)、1,6-ジヒドロ-6-オキソ-ピリダジニル(たとえば、1,6-ジヒドロ-6-オキソ-3-エチルピリダジニル)、1,6-ジヒドロ-6-オキソ-1,2,4-トリアジニル(たとえば、1,6-ジヒドロ-5-イソプロピル-6-オキソ-1,2,4-トリアジニル)、2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1Hインドリル(たとえば、3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-インドリル及び2,3-ジヒドロ-2-オキソ-3,3’-スピロプロパン-1H-インドール-1-イル)、1,3-ジヒドロ-1-オキソ-2H-イソ-インドリル、1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-2H-イソ-インドリル、1H-ベンゾピラゾリル(たとえば、1-(エトキシカルボニル)-1H-ベンゾピラゾリル)、2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾリル(たとえば、3-エチル-2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾリル)、2,3-ジヒドロ-2-オキソ-ベンゾオキサゾリル(たとえば、5-クロロ-2,3-ジヒドロ-2-オキソベンゾオキサゾリル)、2,3-ジヒドロ-2-オキソ-ベンゾオキサゾリル、2-オキソ-2H-ベンゾピラニル、1,4-ベンゾジオキサニル、1,3-ベンゾジオキサニル、2,3-ジヒドロ-3-オキソ-4H-1,3-ベンゾチアジニル、3,4-ジヒドロ-4-オキソ-3H-キナゾリニル(たとえば、2-メチル-3,4-ジヒドロ-4-オキソ-3H-キナゾリニル)、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-3H-キナゾリル(たとえば、1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-3H-キナゾリル)、1,2,3,6-テトラヒドロ-2,6-ジオキソ-7H-プリニル(たとえば、1,2,3,6-テトラヒドロ-1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-7H-プリニル)、1,2,3,6-テトラヒドロ-2,6-ジオキソ-1H-プリニル(たとえば、1,2,3,6-テトラヒドロ-3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-1H-プリニル)、2-オキソベンズ[c,d]インドリル、1,1-ジオキソ-2H-ナフト[1,8-c,d]イソチアゾリル、及び1、8-ナフチレンジカルボキサミドが挙げられる。追加のヘテロ環式化合物としては、3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロ-ピロロ[3,4-b]ピロール-(2H)-イル、及び2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル、ホモピペラジニル(又はジアゼパニル)、テトラヒドロピラニル、ジチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、オキセパニル、チエパニル、アゾカニル、オキセカニル、及びチオカニルが挙げられる。ヘテロ環式基としてはまた、式
【0109】
【0110】
(式中、
E’は、-N-及び-CH-からなる群から選択され、F’は、-N=CH-、-NH-CH2-、-NH-C(O)-、-NH-、-CH=N-、-CH2-NH-、-C(O)-NH-、-CH=CH-、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-O-、及び-S-からなる群から選択され、かつG’は、-CH-及び-N-からなる群から選択される)で示される基も挙げられる。本明細書に挙げられたヘテロシクリル基はいずれも、(1)C1~7アシル(たとえばカルボキシアルデヒド)、(2)C1~20アルキル(たとえば、アルキル、アルコキシ-C1~6アルキル、アルキルスルフィニル-C1~6アルキル、アミノ-C1~6アルキル、アジド-C1~6アルキル、(カルボキシアルデヒド)-C1~6アルキル、ハロ-C1~6アルキル(たとえばペルフルオロアルキル)、ヒドロキシ-C1~6アルキル、ニトロ-C1~6アルキル、又はC1~6チオアルコキシ-C1~6アルキル)、(3)C1~20アルコキシ(たとえばC1~6アルコキシ、たとえばペルフルオロアルコキシ)、(4)C1~6アルキルスルフィニル、(5)C6~10アリール、(6)アミノ、(7)C1~6アルク-C6~10アリール、(8)アジド、(9)C3~8シクロアルキル、(10)C1~6アルク-C3~8シクロアルキル、(11)ハロ、(12)C1~12ヘテロシクリル(たとえばC2~12ヘテロアリール)、(13)(C1~12ヘテロシクリル)オキシ、(14)ヒドロキシル、(15)ニトロ、(16)C1~20チオアルコキシ(たとえばC1~6チオアルコキシ)、(17)-(CH2)qCO2RA’(式中、qは0~4の整数であり、かつRA’は、(a)アルキル、(b)C6~10アリール、(c)水素、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される)、(18)-(CH2)qCONRB’RC’(式中、qは0~4の整数であり、かつRB’及びRC’は、(a)水素、(b)アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から独立して選択される)、(19)-(CH2)qSO2RD’(式中、qは0~4の整数であり、かつRD’は、(a)C1~6アルキル、(b)C6~10アリール、及び(c)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される)、(20)-(CH2)qSO2NRE’RF’(式中、qは0~4の整数であり、かつRE’及びRF’のそれぞれは、(a)水素、(b)C1~6アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から独立して選択される)、(21)チオール、(22)C6~10アリールオキシ、(23)C3~8シクロアルコキシ、(24)アリールアルコキシ、(25)C1~6アルク-C1~12ヘテロシクリル(たとえばC1~6アルク-C1~12ヘテロアリール)、(26)オキソ、(27)(C1~12ヘテロシクリル)イミノ、(28)C2~20アルケニル、ならびに(29)C2~20アルキニルからなる群から独立して選択される1、2、3、4、又は5個の置換基により任意選択的に置換しうる。いくつかの実施形態では、これらのグループのそれぞれは、本明細書に記載されるようにさらに置換可能である。たとえば、C1-アルカリール又はC1-アルクヘテロシクリルのアルキレン基は、オキソ基によりさらに置換してそれぞれのアリーロイル置換基及び(ヘテロシクリル)オイル置換基を与えうる。
【0111】
本明細書で用いられる「ヘテロシクリルアルキル」基は、本明細書に定義されるアルキレン基により親分子基に結合された本明細書に定義されるヘテロシクリル基を表す。例示的な非置換ヘテロシクリルアルキル基は、2~32個の炭素(たとえば、2~22、2~18、2~17、2~16、3~15、2~14、2~13、又は2~12個の炭素、たとえば、C1~6アルク-C1~12ヘテロシクリル、C1~10アルク-C1~12ヘテロシクリル、又はC1~20アルク-C1~12ヘテロシクリル)である。いくつかの実施形態では、アルキレン及びヘテロシクリルはそれぞれ、それぞれの基に対して本明細書に定義される1、2、3、又は4個の置換基によりさらに置換可能である。
【0112】
本明細書で用いられる「炭化水素」という用語は、炭素原子と水素原子とのみからなる基を表す。
「本明細書で用いられるヒドロキシル」という用語は、-OH基を表す。いくつかの実施形態では、ヒドロキシル基は、アルキルに対して本明細書に定義される1、2、3、又は4個の置換基(たとえばO-保護基)により置換可能である。
【0113】
本明細書で用いられる「異性体」という用語は、本発明の任意の化合物の任意の互変異性体、立体異性体、エナンチオマー、又はジアステレオマーを意味する。本発明の化合物は、1つ以上のキラル中心及び/又は二重結合を有しうるとともに、それにより、二重結合異性体(すなわちE/Z幾何異性体)やジアステレオマー(たとえばエナンチオマー(すなわち(+)もしくは(-))又はシス/トランス異性体)などの立体異性体として存在しうると認識される。本発明によれば、本明細書に表される化学構造つまり本発明の化合物は、すべての対応する立体異性体、すなわち、ステレオマー的純粋形(たとえば、幾何学的純粋形、エナンチオマー的純粋形、又はジアステレオマー的純粋形)もエナンチオマー混合物や立体異性体混合物(たとえばラセミ体)も包含する。本発明の化合物のエナンチオマー混合物及び立体異性体混合物は、典型的には、キラル相ガスクロマトグラフィー、キラル相高性能液体クロマトグラフィー、キラル塩複合体としての化合物の結晶化、キラル溶媒中での化合物の結晶化などの周知の方法により、それらの成分のエナンチオマー又は立体異性体に分割可能である。エナンチオマー及び立体異性体はまた、周知の不斉合成法によりステレオマー的又はエナンチオマー的に純粋な中間体、試薬、及び触媒から取得可能である。
【0114】
本明細書で用いられる「N-保護アミノ」という用語は、本明細書に定義される1又は2個のN-保護基に結合された本明細書に定義されるアミノ基を意味する。
本明細書で用いられる「N-保護基」という用語は、合成手順時に望ましくない反応からアミノ基を保護するように意図された基を表す。一般に使用されるN-保護基は、グリーン(Greene)著、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、第3版(ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク、1999年)(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。N-保護基としては、アシル基、アリーロイル基、又はカルバミル基、たとえば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、2-クロロアセチル、2-ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o-ニトロフェノキシアセチル、α-クロロブチリル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル、4-ブロモベンゾイル、4-ニトロベンゾイル、及びキラル補助剤、たとえば、保護又は脱保護D、L、又はD,L-アミノ酸、たとえば、アラニン、ロイシン、フェニルアラニンなど、スルホニル含有基、たとえば、ベンゼンスルホニル、p-トルエンスルホニルなど、カルバメート形成基、たとえば、ベンジルオキシカルボニル、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、2-ニトロ-4,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5-トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1-(p-ビフェニリル)-1-メチルエトキシカルボニル、α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t-ブチルオキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4-ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル-9-メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなど、アルカリール基、たとえば、ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチルなど、ならびにシリル基、たとえば、トリメチルシリルなどが挙げられる。好適なN-保護基は、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、アラニル、フェニルスルホニル、ベンジル、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、及びベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。
【0115】
本明細書で用いられる「ニトロ」という用語は、-NO2基を表す。
本明細書で用いられる「O-保護基」という用語は、合成手順時に望ましくない反応から酸素含有(たとえば、フェノール、ヒドロキシル、又はカルボニル)基を保護するように意図された基を表す。一般に使用されるO-保護基は、グリーン(Greene)著、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、第3版(ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク、1999年)(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。例示的なO-保護基としては、アシル基、アリーロイル基、又はカルバミル基、たとえば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、2-クロロアセチル、2-ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o-ニトロフェノキシアセチル、クロロブチリル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル、4-ブロモベンゾイル、t-ブチルジメチルシリル、トリ-iso-プロピルシリルオキシメチル、4,4’-ジメトキシトリチル、イソブチリル、フェノキシアセチル、4-イソプロピルフェノキシアセチル、ジメチルホルムアミジノ、及び4-ニトロベンゾイル、アルキルカルボニル基、たとえば、アシル、アセチル、プロピオニル、ピバロイルなど、任意選択的に置換されたアリールカルボニル基、たとえば、ベンゾイル、シリル基、たとえば、トリメチルシリル(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリ-iso-プロピルシリルオキシメチル(TOM)、トリイソプロピルシリル(TIPS)など、ヒドロキシルとのエーテル形成基、たとえば、メチル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、ベンジル、p-メトキシベンジル、トリチルなど、アルコキシカルボニル、たとえば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n-イソプロポキシカルボニル、n-ブチルオキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、sec-ブチルオキシカルボニル、t-ブチルオキシカルボニル、2-エチルヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、メチルオキシカルボニルなど、アルコキシアルコキシカルボニル基、たとえば、メトキシメトキシカルボニル、エトキシメトキシカルボニル、2-メトキシエトキシカルボニル、2-エトキシエトキシカルボニル、2-ブトキシエトキシカルボニル、2-メトキシエトキシメトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、プロパルギルオキシカルボニル、2-ブテノキシカルボニル、3-メチル-2-ブテノキシカルボニルなど、ハロアルコキシカルボニル、たとえば、2-クロロエトキシカルボニル、2-クロロエトキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルなど、任意選択的に置換されたアリールアルコキシカルボニル基、たとえば、ベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2,4-ジニトロベンジルオキシカルボニル、3,5-ジメチルベンジルオキシカルボニル、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシ-カルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニルなど、及び任意選択的に置換されたアリールオキシカルボニル基、たとえば、フェノキシカルボニル、p-ニトロフェノキシカルボニル、o-ニトロフェノキシカルボニル、2,4-ジニトロフェノキシカルボニル、p-メチルフェノキシカルボニル、m-メチルフェノキシカルボニル、o-ブロモフェノキシカルボニル、3,5-ジメチルフェノキシカルボニル、p-クロロフェノキシカルボニル、2-クロロ-4-ニトロフェノキシ-カルボニルなど)、置換アルキル、アリール、及びアルカリールエーテル(たとえば、トリチル、メチルチオメチル、メトキシメチル、ベンジルオキシメチル、シロキシメチル、2,2,2-トリクロロエトキシメチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、エトキシエチル、1-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]エチル、2-トリメチルシリルエチル、t-ブチルエーテル、p-クロロフェニル、p-メトキシフェニル、p-ニトロフェニル、ベンジル、p-メトキシベンジル、及びニトロベンジル)、シリルエーテル(たとえば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリベンジルシリル、トリフェニルシリル、及びジフェニルメチルシリル)、カーボネート(たとえば、メチル、メトキシメチル、9-フルオレニルメチル、エチル、2、2、2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、ビニル、アリル、ニトロフェニル、ベンジル、メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、及びニトロベンジル)、カルボニル保護基(たとえば、アセタール基及びケタール基、たとえば、ジメチルアセタール、1,3-ジオキソランなど、アシラール基、及びジチアン基、たとえば、1,3-ジチアン、1,3-ジチオランなど)、カルボン酸保護基(たとえば、エステル基、たとえば、メチルエステル、ベンジルエステル、t-ブチルエステル、オルトエステルなど)、ならびにオキサゾリン基が挙げられる。
【0116】
本明細書で用いられる「オキソ」という用語は=Oを表す。
本明細書で用いられる「ペルフルオロ」という接頭辞は、アルキル基に結合された各水素基がフッ化物基により置き換えられた本明細書に定義される任意の基を表す。たとえば、ペルフルオロアルキル基は、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどによって例示される。
【0117】
本明細書で用いられる「保護ヒドロキシル」という用語は、O-保護基に結合された酸素原子を意味する。
本明細書で用いられる「スピロシクリル」という用語は、両方の末端が親基の同一の炭素原子に結合されてスピロ環式基を形成するC2~7アルキレン2価基を表すとともに、両方の末端が同一の原子に結合されたヘテロアルキレン2価基も表す。スピロシクリル基を形成するヘテロアルキレン基は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から独立して選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有可能である。いくつかの実施形態では、スピロシクリル基は、2価基が結合された炭素原子を除いて1~7個の炭素を含む。本発明のスピロシクリル基は、シクロアルキル基及び/又はヘテロシクリル基に対して任意選択的な置換基として本明細書に提供される1、2、3、又は4個の置換基により任意選択的に置換しうる。
【0118】
本明細書で用いられる「立体異性体」という用語は、化合物(たとえば、本明細書に記載される任意の式の化合物)がとりうるすべての可能な異なる異性形さらにはコンフォメーション形、とくに、基本分子構造のすべての可能な立体化学異性形及びコンフォメーション異性形、すべてのジアステレオマー、エナンチオマー、及び/又はコンフォーマを意味する。本発明のいくつかの化合物は、異なる互変異性形で存在しうるとともに、これらの互変異性形はすべて本発明の範囲内に含まれる。
【0119】
本明細書で用いられる「スルホニル」という用語は-S(O)2-基を表す。
本明細書で用いられる「チオール」という用語は-SH基を表す。定義
本出願では、とくに文脈から明らかでない限り、(i)「a」という用語は、「少なくとも1つ」を意味するものと理解しうるし、(ii)「or(又は)」という用語は、「and/or(及び/又は)」を意味するものと理解しうるし、(iii)「comprising(~を含む)」及び「including(~を含む)」という用語は、アイテム化された成分又は工程を包含しうるとともに、それ自体で提示されるか又は1つ以上の追加の成分もしくは工程と一緒に提示されるかを問わないものと理解しうるし、(iv)「about(約)」及び「approximately(約)」という用語は、当業者により理解される標準偏差を許容にするものと理解しうるし、かつ(v)範囲が提供される場合、端点が含まれている。
【0120】
本明細書で用いられる場合、「π効果相互作用」という用語は、芳香環間の求引的非共有結合相互作用を意味する。
本明細書で用いられる場合、「活性部位」という用語は、基質分子が結合して化学反応を起こすタンパク質(たとえば酵素)上の位置を意味する。「活性部位に結合しない」とは、化合物又は複合体の原子が活性部位内の残基(たとえば、天然基質分子への結合に関与する残基)との結合に実質的に関与しないことを意味する。
【0121】
本明細書で用いられる場合、「投与」という用語は、被験体又は系への組成物(たとえば、化合物、複合体、又は本明細書に記載されるように化合物もしくは複合体を含む調製物)の投与を意味する。動物被験体(たとえばヒト)への投与は、任意の適切な経路によるものでありうる。たとえば、いくつかの実施形態では、投与は、経気管支(気管支点滴注入によるものを含む)、経頬、経腸、皮膚層間、動脈内、真皮内、胃内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、髄腔内、静脈内、脳室内、経粘膜、経鼻、経口、経直腸、皮下、舌下、局所、経気管(気管内点滴注入によるものを含む)、経真皮、経腟、及び経硝子体でありうる。
【0122】
当技術分野で公知のように、「親和性」とは、特定のリガンドがそのパートナーに結合する緊密性の尺度である。親和性はさまざまな方法で測定可能である。いくつかの実施形態では、親和性は定量アッセイにより測定される。いくつかのかかる実施形態では、結合パートナー濃度は、生理学的条件を模倣するようにリガンド濃度よりも過剰に固定しうる。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、結合パートナー濃度及び/又はリガンド濃度は変化させうる。いくつかのかかる実施形態では、親和性は、同等な条件(たとえば濃度)下で参照と比較しうる。
【0123】
本明細書で用いられる場合、「アナログ」という用語は、1つ以上の特定の構造の特徴、要素、成分、又は部分を参照物質と共有する物質を意味する。典型的には、「アナログ」は、参照物質との有意な構造類似性を示すが、たとえば、コア構造又はコンセンサス構造を共有するが、ある特定の個別の点で異なる。いくつかの実施形態では、アナログは、参照物質の化学的操作により参照物質から生成可能な物質である。いくつかの実施形態では、アナログは、参照物質を生成するプロセスに実質的に類似した(たとえば、複数の工程を共有する)合成プロセスを実施することにより生成可能な物質である。いくつかの実施形態では、アナログは、参照物質を生成するために使用されるプロセスと異なる合成プロセスを実施することにより生成されるか又はそれにより生成可能である。
【0124】
本明細書で用いられる場合、「動物」という用語は、動物界の任意のメンバーを意味する。いくつかの実施形態では、「動物」とは、任意の発生段階のヒトを意味する。いくつかの実施形態では、「動物」とは、任意の発生段階の非ヒト動物を意味する。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、哺乳動物(たとえば、齧歯動物、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長動物、及び/又はブタ)である。いくつかの実施形態では、動物は、限定されるものではないが、哺乳動物、トリ、爬虫動物、両生動物、サカナ、及び/又は蠕虫を含む。いくつかの実施形態では、動物は、トランスジェニック動物(遺伝子工学操作動物)及び/又はクローンでありうる。
【0125】
本明細書で用いられる場合、「アンタゴニスト」という用語は、i)標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質もしくは細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)の作用を阻害、減少、もしくは低減する化合物、及び/又はii)1つ以上の生物学的イベントを阻害、減少、低減、もしくは遅延する化合物を意味する。アンタゴニストは、直接的なものでありうるか(その場合、その標的に直接影響を及ぼす)、又は間接なものでありうる(その場合、たとえば、標的タンパク質のレベル又は活性を変化させるように、その標的への結合以外により、たとえば、標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)のレギュレータと相互作用することにより、影響を及ぼす)。
【0126】
本明細書で用いられる場合、「approximately(約)」及び「about(約)」という用語は、関連する文脈上適切であれば、当業者により理解される通常の統計的変動を包含することが意図される。ある特定の実施形態では、「approximately(約)」又は「about(約)」という用語は、それぞれ、とくに明記されていない限り又はとくに文脈から自明でない限り(たとえば、かかる数が可能な値の100%を超える場合)、明記された値のいずれの方向にも(それよりも大きい方向にも小さい方向にも)、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又はそれ以下の範囲内に入る値の範囲を意味する。
【0127】
2つのイベント又はエンティティーは、その用語が本明細書で用いられる場合、一方の存在、レベル、及び/又は形態が他方のものに相関するのであれば、互いに「関連がある」。たとえば、特定のエンティティー(たとえばポリペプチド)は、その存在、レベル、及び/又は形態が疾患、障害、又は病態の発生率及び/又は感受性と相関するのであれば(たとえば、関連集団全体にわたり)、特定の疾患、障害、又は病態に関連するとみなされる。いくつかの実施形態では、2つ以上のエンティティーは、それらが互いに物理的接近状態にありかつその状態を維持するように直接的又は間接的に相互作用するのであれば、互いに物理的に「関連がある」。いくつかの実施形態では、互いに物理的に関連がある2つ以上のエンティティーは、互いに共有結合され、いくつかの実施形態では、互いに物理的に関連がある2つ以上のエンティティーは、互いに共有結合されないが、たとえば、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁気、及びそれらの組合せにより、非共有結合で関連付けられる。
【0128】
本明細書で用いられる「結合」という用語が、典型的には、2つ以上のエンティティー間の関連(たとえば、非共有結合又は共有結合)を意味することは、理解されよう。「直接」結合は、エンティティー間又は部分間の物理的接触を含み、間接結合は、1つ以上の中間エンティティーとの物理的接触による物理的相互作用を含む。2つ以上のエンティティー間の結合は、典型的には、相互作用するエンティティー又は部分を単離状態又はより複雑な系で研究する場合を含めてさまざまな状況のいずれかで評価可能である(たとえば、担体エンティティー及び/又は生体系又は細胞に共有結合又は他の形で関連した状態で)。
【0129】
分子XとそのパートナーYとの親和性は、一般的には、解離定数(KD)により表現可能である。親和性は、本明細書に記載のものを含めて当技術分野で公知の通常の方法により測定可能である。結合親和性を測定するための特定の例示的かつ典型的な実施形態を以下に記載する。本明細書で用いられる「KD」という用語は、特定の化合物-タンパク質又は複合-タンパク質の相互作用の解離平衡定数を意味することが意図される。典型的には、本発明の化合物は、たとえば、プレゼンタータンパク質をアナライトとしてかつ化合物をリガンドとして用いて表面プラズモン共鳴(SPR)技術により決定したとき、約10-6M未満、たとえば、約10-7M、10-8M、10-9M、もしくは10-10M、又はさらにはそれ以下の解離平衡定数(KD)でプレゼンタータンパク質に結合する。本発明のプレゼンタータンパク質/化合物複合体は、たとえば、標的タンパク質をアナライトとしてかつ複合体をリガンドとして用いて表面プラズモン共鳴(SPR)技術により決定したとき、約10-6M未満、たとえば、約10-7M、10-8M、10-9M、もしくは10-10M、又はさらにはそれ以下の解離平衡定数(KD)で標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)に結合する。
【0130】
本明細書で用いられる場合、「結合自由エネルギー」という用語は、複合体の結合状態と未結合状態との間のエネルギー差を意味する。結合自由エネルギーは、実験的に導出された解離定数Kdを用いた式ΔG=-RTlnKを用いることを含めて当技術分野で公知の方法により決定しうる。結合自由エネルギーは、アンバー(AMBER)(コーネル(Cornell)ら著、米国化学会誌(J.Am.Chem.Soc.)、1995年、第117巻、p.5179)チャーム(CHARMM)(ブックス(Brooks)ら著、ジャーナル・オブ・コンピューテイショナル・ケミストリー(J.Comp.Chem.)、1983年、第4巻、p.187)、又はデスモンド(Desmond) (ブーワー(Boowers)ら著、スーパーコンピューティングに関するACM/IEEE会議録(Proc.ACM/IEEE Conf.Supercomputing)、2006年、SCO6)などの市販のソフトウェアで実現されるように、当技術分野で公知の計算アルゴリズム、たとえば、分子動力学シミュレーション、自由エネルギー摂動、又はモンテカルロプロトコルを用いて計算可能である。
【0131】
本明細書で用いられる場合、「埋没表面積」という用語は、溶媒に露出されないタンパク質又は複合体の表面積を意味する。埋没表面積は、溶媒への非アクセス性を計算することを含めて当技術分野で公知の方法により決定しうる。溶媒への非アクセス性は、PDBePISAリリースバージョン1.48(http://www.ebi.ac.uk/pdbe/pisa/)などのプログラムを用いて1.4Aのローリングプローブでにより計算しうる。
【0132】
本明細書で用いられる場合、「細胞透過性」という用語は、細胞の環境に添加したときに細胞を死滅させることなく細胞内ドメインに入ることが可能な化合物を意味する。化合物が細胞透過性であるかは、当技術分野で公知の任意の方法、たとえば、本明細書に記載のバイオセンサー法を用いて決定しうる。
【0133】
本明細書で用いられる場合、「特徴的部分」という用語は、存在(又は不在)が物質の特定の特徴、属性、又は活性の存在(又は不在)と相関する物質の部分を意味するように最広義で用いられる。いくつかの実施形態では、物質の特徴的部分は、特定の特徴、属性、又は活性を共有する物質及び関連物質に見いだされるが、特定の特徴、属性、活性を共有しない物質には見いだされない部分である。ある特定の実施形態では、特徴的部分は少なくとも1つの機能特性をインタクト物質と共有する。たとえば、いくつかの実施形態では、タンパク質又はポリペプチドの「特徴的部分」は、タンパク質又はポリペプチドに共に特異的なアミノ酸の連続ストレッチ又はアミノ酸の連続ストレッチのコレクションを含有する部分である。いくつかの実施形態では、各かかる連続ストレッチは、一般に、少なくとも2、5、10、15、20、50個、又はそれ以上のアミノ酸を含有する。一般的には、物質(たとえば、タンパク質、抗体など)の特徴的部分は、以上に明記された配列及び/又は構造の同一性に加えて、少なくとも1つの機能特性を関連するインタクト物質と共有する部分である。いくつかの実施形態では、特徴的部分は生物学的に活性でありうる。
【0134】
本明細書で用いられる場合、「特徴的配列エレメント」という語句は、ポリマー(たとえば、ポリペプチド又は核酸)に見いだされるそのポリマーの特徴的部分を表す配列エレメントを意味する。いくつかの実施形態では、特徴的配列エレメントの存在は、ポリマーの特定の活性又は特性の存在又はレベルと相関する。いくつかの実施形態では、特徴的配列エレメントの存在(又は不在)は、かかるポリマーの特定のファミリー又はグループのメンバーとして(又はメンバーでないとして)特定のポリマーを定義する。特徴的配列エレメントは、典型的には、少なくとも2個のモノマー(たとえば、アミノ酸又はヌクレオチド)を含む。いくつかの実施形態では、特徴的配列エレメントは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50個、又はそれ以上のモノマー(たとえば、隣接して結合されたモノマー)を含む。いくつかの実施形態では、特徴的配列エレメントは、配列エレメントを共有するポリマーを横切って長さが可変であってもなくてもよい1つ以上のスペーサ領域により離間した隣接モノマーの少なくとも第1及び第2ストレッチを含む。ある特定の実施形態では、特定の特徴的配列エレメントは「モチーフ」として参照しうる。
【0135】
本明細書で用いられる場合、「clogP」という用語は、分子又は分子の一部の計算された分配係数を意味する。分配係数は、平衡時の2つの非混和性相(たとえば、オクタノール及び水)の混合物中の化合物の濃度の比であり、化合物の疎水性又は親水性の尺度となる。clogPを決定するために当技術分野でさまざまな方法を利用可能である。たとえば、いくつかの実施形態では、clogPは、当技術分野で公知の定量的構造-物性相関アルゴリズムを用いて(たとえば、非オーバーラップ分子フラグメントの合計を決定することにより化合物のlogPを予測するフラグメントにベースの予測方法を用いて)、決定可能である。ケムドロー・プロ(CHEMDRAW(登録商標)Pro)、バージョン12.0.2.1092(ケンブリッジソフト(Camrbridgesoft)、マサチューセッツ州ケンブリッジ)やマービンスケッチ(MARVINSKETCH(登録商標))(ケムアキソン(ChemAxon)、ハンガリー国ブダペスト)などの分子編集ソフトウェアにより使用されるものを含めて、clogPを計算するためのいくつかのアルゴリズムが当技術分野で公知である。化合物は、以上の方法の少なくとも1つでその閾値を満たせば、閾値cLogPを満たしているとみなされる。
【0136】
本明細書で用いられる場合、「コレクション」という用語は、2、5、10,102、103、104、105、106、107、108、109個、又はそれ以上の異なる分子のグループを意味する。いくつかの実施形態では、コレクション中の化合物の少なくとも10%(たとえば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)は、本明細書に記載される化合物(たとえばマクロ環式化合物)である。
【0137】
本明細書で用いられる場合、「組合せ療法」という用語は、被験体が2つ以上の治療レジメン(たとえば、2つ以上の化合物たとえばマクロ環式化合物)に同時に暴露される状況を意味する。いくつかの実施形態では、2つ以上の化合物は同時に投与しうるし、いくつかの実施形態では、かかる化合物は逐次的に投与しうるし、いくつかの実施形態では、かかる化合物はオーバーラップ投与レジメンで投与される。
【0138】
本明細書で用いられる「同等」という用語は、互いに同一でなくてもよいが、比較を行って観測される差異又は類似性に基づいて結論を合理的に引き出せるように十分に類似した2つ以上の化合物、エンティティー、状況、条件セットなどを意味する。いくつかの実施形態では、同等の条件セット、状況、個体、又は集団は、複数の実質的に同一の特徴及び1つ又は少数の異なる特徴により特徴付けられる。2つ以上のかかる化合物、エンティティー、状況、条件セットなどを同等であるとみなすために任意の所与の状況でどの程度の同一性が必要とされるかは、当業者であれば文脈から理解されよう。状況、個体、又は集団の異なるセット下で又はそのセットにより取得された結果又は観測された現象の差がさまざまな特徴の変動により引き起こされるか又は変動の指標となるという合理的な結論の根拠となる十分な数及びタイプの実質的に同一の特徴により特徴付けられる場合、状況、個体、又は集団のセットが互いに同等であることは、当業者であれば分かるであろう。
【0139】
本明細書で用いられる場合、「複合体」という用語は、結合相互作用(たとえば、疎水効果相互作用、静電相互作用、ファンデルワールス相互作用、π効果相互作用などの非共有結合相互作用)により結合一体化された2つ以上の化合物及び/又はタンパク質のグループを意味する。複合体の例は、プレゼンタータンパク質に結合された本発明の化合物を含む「プレゼンタータンパク質/化合物複合体」である。
【0140】
本明細書で用いられる場合、「に対応する」という用語は、適切な参照化合物中に存在する位置と(たとえば、三次元空間内で又は他のエレメント又は部分に対して)位置を共有する対象化合物中の構造エレメント又は部分を表すために用いられることが多い。たとえば、いくつかの実施形態では、この用語は、ポリペプチド中のアミノ酸残基や核酸中のヌクレオチド残基などのポリマー中の残基の位置/同一性を意味するように用いられる。簡単にするために、たとえば、参照ポリマー中の190位の残基「に対応する」第1のポリマー中の残基が、実際に第1のポリマーの190番目の残基である必要はないが、参照ポリマー中の190番目の位置に見いだされる残基に対応するように、かかるポリマー中の残基が、多くの場合、参照関連ポリマーに基づいてカノニカル番号付け系を用いて表されることは、当業者であれば分かるであろう。ポリマー配列比較用として特別に設計された1つ以上の市販のアルゴリズムを用いることを含めて「対応する」アミノ酸をいかに同定するかは、当業者であれば容易に分かる。
【0141】
本明細書で用いられる場合、「設計」という用語は、(i)構造が人の手を経て選択されるか又は選択された化合物、(ii)人手を必要とするプロセスにより生成された化合物、及び/又は(iii)天然の物質及び他の公知の化合物とは異なる化合物を意味する。
【0142】
本明細書に記載される多くの方法は、「決定」工程を含む。かかる「決定」工程では、たとえば、本明細書で明示的に参照される特定の技術を含めて、当業者が利用可能なさまざまな技術のいずれかを利用可能であるか又はいずれかを用いて達成可能であることは、当業者であれば本明細書を読んで分かるであろう。いくつかの実施形態では、決定工程は、物理的サンプルの操作を含む。いくつかの実施形態では、決定工程は、たとえば、関連分析を行うように適合化させたコンピュータ又は他の処理ユニットを利用した、データ又は情報の検討及び/又は操作を含む。いくつかの実施形態では、決定工程は、供給源からの関連情報及び/又は材料の受取りを含む。いくつかの実施形態では、決定工程は、サンプル又はエンティティーの1つ以上の特徴と同等の参照との比較を含む。
【0143】
本明細書で用いられる場合、「デプシ結合」という用語は、エステル結合とアミド結合との置換えを意味する。
本明細書で用いられる場合、「製剤」という用語は、被験体に投与するための活性化合物(たとえば、治療剤又は診断剤)の物理的に個別のユニットを意味する。各ユニットは所定量の活性剤を含有する。いくつかの実施形態では、かかる量は、関連集団に投与したときに所望の又は有益なアウトカムと相関するように決定された投与レジメンに従う(すなわち、治療投与レジメンを用いる)投与に適したユニット投与量(又はその整数分の1)である。特定の被験体に投与される治療用の組成物又は化合物の全量が1名以上の担当医により決定されかつマルチプル製剤の投与を必要としうることは、当業者であれば分かる。
【0144】
本明細書で用いられる場合、「投与レジメン」という用語は、典型的には期間を分けて被験体に個別に投与されるユニット用量のセット(典型的には1回を超える)を意味する。いくつかの実施形態では、所与の治療用化合物は、1回分以上の用量を含みうる推奨投与レジメンを有する。いくつかの実施形態では、投与レジメンは、同一長さの期間によりそれぞれ互いに分けられた複数回用量を含む。いくつかの実施形態では、投与レジメンは、個別の用量に分けて複数回用量及び少なくとも2つの異なる期間を含む。いくつかの実施形態では、投与レジメン内の用量はすべて、同一のユニット投与量である。いくつかの実施形態では、投与レジメン内のさまざまな用量は異なる量である。いくつかの実施形態では、投与レジメンは、第1の用量を第1の投与量で含み、続いて1回以上の追加の用量を第1の投与量とは異なる第2の投与量で含む。いくつかの実施形態では、投与レジメンは、第1の用量を第1の投与量で含み、続いて、1回以上の追加の用量を第1の投与量と同一の第2の投与量で含む。いくつかの実施形態では、投与レジメンは、関連集団全体にわたり投与したときに所望の又は有益なアウトカムと相関する(すなわち、治療投与レジメンである)。
【0145】
本明細書で用いられる場合、「工学操作」という用語は、設計及び/又は生成が人の手の作用を含む化合物を記述するために用いられる。たとえば、いくつかの実施形態では、「工学操作」された化合物はin vitro化学合成により調製される。いくつかの実施形態では、「工学操作」された化合物は、参照野生型細胞に対して遺伝子操作された細胞により生成される。いくつかの実施形態では、「工学操作」された化合物は培養下で細胞により生成される。いくつかの実施形態では、「工学操作」された化合物は、化合物の生成を増強するように特異的に改変された培養条件で細胞により生成される。いくつかの実施形態では、「工学操作」された化合物は、in silicoモデリングにより設計又は選択された構造を有する。
【0146】
本明細書で用いられる場合、当技術分野で理解されている「フラット表面部位」という用語は、比較的フラットな特性を有するタンパク質構造の表面上の部位(たとえば、500Å2超の面積、400Å3超の体積、及び13Å超の深さを有する明確に規定されたポケッやキャビティを含まない部位)を意味する。いくつかの実施形態では、部位は、当技術分野で公知の市販のアルゴリズムを利用することによりフラットであると決定しうる。たとえば、部位は、キャスト(CAST)(リアング(Liang)ら著、プロテイン・サイエンス(Prot.Sci.)、1998年、第7巻、p.1884)又はサイトマップ(Sitemap)(ハルグレン(Halgren)著、ジャーナル・オブ・ケミカル・インフォメーション・アンド・モデリング(J.Chem.Inf.Model.)、2009年、第49巻、p.377)により決定したときに500Å2超の面積、400Å3超の体積、及び13Å超の深さを有する明確に規定されたポケットやキャビティを含まなければ、フラットであると決定しうる。当業者であれば、フラットネスの概念を熟知しており、さらにそれと「ドラッガビリティー」との関係に気づいている。いくつかの実施形態では、タンパク質は、本明細書に定義されるようにアンドラッガブルであれば、フラット表面部位を有するとみなされ、たとえば、ドッグサイトスコアラー(DOGSITESCORER)(登録商標)というプログラムを用いてアンドラッガブルであると決定される。
【0147】
本明細書で用いられる場合、「疎水性残基」という用語は、プロリン以上のハイドロパシー指数値を有するアミノ酸を意味する。疎水性残基の例は、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン、グリシン、及びシステインである。
【0148】
本明細書で用いられる場合、「疎水性表面部位」という用語は、少なくとも30%の疎水性残基を含むタンパク質構造の表面上の部位を意味する。
本明細書で用いられる場合、「同一性」という用語は、高分子間、たとえば、核酸分子(たとえば、DNA分子及び/又はRNA分子)間及び/又はポリペプチド分子間の全体的な関連性を意味する。たとえば、2つの核酸配列の同一性パーセントの計算は、最適比較目的で2つの配列をアライメントすることにより、行うことが可能である(たとえば、最適アライメントになるように第1及び第2の核酸配列の一方又は両方にギャップを導入することが可能であり、比較目的では異なる配列を無視することが可能である)。特定の実施形態では、比較目的でアライメントされる配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は実質的に100%である。次いで、対応するヌクレオチド位置のヌクレオチドを比較する。第1の配列の位置が第2の配列の対応する位置と同一のヌクレオチドにより占有される場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列が最適アライメントになるように導入する必要のあるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮して、配列により共有される同一位置の数の関数である。配列の比較及び2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成可能である。たとえば、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、PAM120重み残基表、12のギャップ長ペナルティー、及び4のギャップペナルティーを用いて、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているマイヤー(Meyers)及びミラー(Miller)のアルゴリズム(生物科学におけるコンピュータ利用(CABIOS)、1989年、第4巻、p.11~17)により、決定可能である。2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、他の選択肢として、NWSgapdna.CMPマトリックスを用いて、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムにより、決定可能である。
【0149】
本明細書で用いられる場合、「単離」という用語は、(1)(天然及び/又は実験環境にかかわらず)最初に生成したときに関連していた成分の少なくともいくつかから分離された、及び/又は(2)人の手により設計、生成、調製、及び/又は製造された、物質及び/又はエンティティーを意味する。単離された物質及び/又はエンティティーは、それらが最初に関連していた他の成分の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超から分離しうる。いくつかの実施形態では、単離された化合物は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超の純度である。本明細書で用いられる場合、物質は、それが他の成分を実質的に含まないのであれば、「純粋」である。いくつかの実施形態では、当業者であればわかるであろうが、物質は、ある特定の他の成分、たとえば、1つ以上の担体又は賦形剤(たとえば、緩衝剤、溶媒、水など)などと組み合わせた後、依然として「単離」されているかさらには「純粋」であるとみなしうるし、かかる実施形態では、物質の単離又は純度のパーセントは、かかる担体や賦形剤を含めずに計算される。いくつかの実施形態では、単離は、共有結合(たとえば、より長いポリペプチドからポリペプチドドメインを単離するために、及び/又はより長いオリゴヌクレオチドもしくは核酸からヌクレオチド配列エレメントを単離するために)の破壊を含むか又は必要とする。
【0150】
本明細書で用いられる「マクロ環式化合物」という用語は、9個以上の環原子を有する環を含有する低分子化合物を意味する。マクロ環式化合物としては、マクロ環式ラクトンを含有する低分子のグループであるマクロライド、たとえば、エリスロマイシン、ラパマイシン、及びFK506が挙げられる。いくつかの実施形態では、マクロ環式化合物は、低分子中の非水素原子の25%超(たとえば、30%超、35%超、40%超、45%超)が単環構造又は縮合環構造に含まれる低分子である。いくつかの実施形態では、マクロ環式化合物は、ベンジャミン(Benjamin)ら著、ネイチャー・レビュー・ドラック・ディスカバリー(Nat.Rev.Drug.Discov.)、2011年、第10巻、第11号、p.868~880、又はスウィーニー,Z.K.(Sweeney,Z.K.)ら著、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、2014年、epub ahead of printに記載の化合物(その構造は参照により組み込まれる)ではない。
【0151】
本明細書で用いられる「標的タンパク質相互作用部分」という用語は、化合物がプレゼンタータンパク質との複合体のときに標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)に特異的に結合する環原子及びそれらに結合された部分のグループ(たとえば、環原子の20個の原子に含まれる原子、たとえば、環原子の15個の原子に含まれる原子、環原子の10個の原子に含まれる原子、環原子の5個の原子に含まれる原子)を意味する。
【0152】
「モジュレータ」という用語は、対象活性が観測される系内の存在又はレベルが、モジュレータが不在のときにそれ以外は同等な条件下で観測されるものと比較して、その活性のレベル及び/又は性質の変化と相関するエンティティーを意味するように用いられる。いくつかの実施形態では、モジュレータは、モジュレータが不在のときに他の点では同等な条件下で観測されるものと比較して、その存在下で活性が増加するという意味ではアクチベータである。いくつかの実施形態では、モジュレータは、モジュレータが不在のときに他の点では同等な条件と比較して、その存在下で活性が低減するという意味ではアンタゴニスト又は阻害剤である。いくつかの実施形態では、モジュレータは、活性が対象となる標的エンティティーと直接相互作用する。いくつかの実施形態では、モジュレータは、活性が対象となる標的エンティティーと間接的に相互作用する(すなわち、標的エンティティーと相互作用する中間化合物と直接相互作用する)。いくつかの実施形態では、モジュレータは、対象標的エンティティーのレベルに影響を及ぼし、代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、モジュレータは、標的エンティティーのレベルに影響を及ぼすことなく対象標的エンティティーの活性に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、モジュレータは、対象標的エンティティーのレベル及び活性の両方に影響を及ぼすが、その結果、観測される活性の差は、観測されるレベルの差によりすべて説明されるとは限らないしその差に対応するとも限らない。いくつかの実施形態では、モジュレータは、アロステリックアゴニストなどのアロステリックモジュレータである。
【0153】
本明細書で用いられる場合、「結合に関与する」原子は、結合するエンティティーから4Å以内にあるか、又は結合するエンティティーの4Åにある原子に接続する。
本明細書で用いられる場合、「医薬組成物」という用語は、1つ以上の薬学的に許容可能な担体と一緒に製剤化された活性化合物を意味する。いくつかの実施形態では、活性化合物は、関連集団に投与したときに所定の治療効果を達成する統計的に有意な確率を示す治療レジメンの投与に適したユニット投与量で存在する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、次の投与に適合化したもの、すなわち、経口投与に適合化したもの、たとえば、ドレンチ剤(水性もしくは非水性の溶液剤もしくはサスペンジョン剤)、錠剤、たとえば、経頬、舌下、及び全身的吸収を目的としたもの、ボーラス剤、粉末剤、顆粒剤、舌に適用するためのペースト剤、非経口投与、たとえば、皮下、筋肉内、静脈内、もしくは硬膜外注射に適合化したもの、たとえば、無菌溶液剤もしくはサスペンジョン剤、又は持続放出製剤、局所適用に適合化したもの、たとえば、クリーム剤、軟膏剤、又は皮膚、肺、もしくは口腔に適用される制御放出性のパッチ剤もしくはスプレー剤、膣内又は直腸内に適合化したもの、たとえば、ペッサリー、クリーム剤、又はフォーム剤、舌下に適合化したもの、経眼に適合化したもの、経真皮的に適合化したもの、あるいは経肺、経鼻、及び他の粘膜表面に適合化したものを含めて、固体又は液体の形態で投与に供すべく特別に製剤化しうる。
【0154】
本明細書で用いられる「薬学的に許容可能な賦形剤」とは、被験体において非毒性かつ非炎症性の性質を有する任意の不活性成分(たとえば、活性化合物を懸濁可能又は溶解可能な媒体)を意味する。典型的な賦形剤としては、たとえば、抗接着剤、抗酸化剤、結合剤、コーティング剤、圧縮助剤、崩壊剤、色素(着色剤)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、膜形成剤もしくはコーティング剤、風味剤、香気剤、滑剤(流動促進剤)、滑沢剤、保存剤、印刷インク、収着剤、懸濁化もしくは分散剤、甘味剤、又は水和水が挙げられる。賦形剤としては、限定されるものではないが、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(第2)、カルシウムステアレート、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、マグネシウムステアレート、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、α化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、シェラック、二酸化ケイ素、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、クエン酸ナトリウム、ナトリウムデンプングリコレート、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、及びキシリトールが挙げられる。当業者であれば、賦形剤として有用なさまざまな作用剤及び材料を熟知している。
【0155】
本明細書で用いられる「薬学的に許容可能な塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴うことなくヒト及び動物の組織に接触させて使用するのに好適でありかつ妥当な便益/リスク比に見合う本明細書に記載の化合物の塩を意味する。薬学的に許容可能な塩は、当技術分野で周知である。たとえば、薬学的に許容可能な塩は、バージ(Berge)ら著、ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンシズ(J.Pharmaceutical Sciences)、第66巻、p.1~19、1977年、及び医薬塩:性質、選択、及び使用(Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use)、P.H.スタール(P.H.Stahl)及びC.G.ウェルムス(C.G.Wermuth)、ワイリー-VCH(Wiley-VCH)、2008年に記載されている。塩は、本明細書に記載される化合物の最終的な単離時及び精製時にin situで調製可能であるか、又は遊離塩基基と好適な有機酸との反応により個別に調製可能である。
【0156】
本発明の化合物は、薬学的に許容可能な塩として調製できるようにイオン化性基を有しうる。こうした塩は無機酸又は有機酸を含む酸付加塩でありうるか、又は塩は、本発明の化合物の酸形の場合、無機塩基又は有機塩基から調製しうる。多くの場合、化合物は、薬学的に許容可能な酸又は塩基の付加生成物として調製された薬学的に許容可能な塩として調製又は使用される。好適な薬学的に許容可能な酸及び塩基、たとえば、酸付加塩を形成するための塩酸、硫酸、臭化水素酸、酢酸、乳酸、クエン酸、又は酒石酸、及び塩基塩を形成するための水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、カフェイン、種々のアミンなどは、当技術分野で周知である。適切な塩の調製方法は当技術分野で十分に確立されている。
【0157】
代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、さらには非毒性のアンモニウム、第4級アンモニウム、及びアミンカチオン、たとえば、限定されるものではないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含む。
【0158】
「極性表面積」という用語は、結合水素を含めて分子又は分子の一部のすべての極性原子を覆う表面の合計を意味する。極性表面積は、ケムドロー・プロ(CHEMDRAW(登録商標)Pro)、バージョン12.0.2.1092(ケンブリッジソフト(Cambridgesoft)、マサチューセッツ州ケンブリッジ)などのプログラムを用いてコンピュータにより決定される。
【0159】
「プレゼンタータンパク質」という用語は、標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)に結合してその活性をモジュレートする複合体を形成するように低分子に結合するタンパク質を意味する。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質は、比較的豊富なタンパク質である(たとえば、プレゼンタータンパク質は、トリパータイト複合体への関与が細胞内でのプレゼンタータンパク質の生物的役割及び/又は細胞の生存能もしくは他の属性に実質的に影響を及ぼさない程度に十分に豊富である)。ある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質は、細胞内でシャペロン活性を有するタンパク質である。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質は、細胞内で複数の天然の相互作用パートナーを有するタンパク質である。ある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質は、標的タンパク質に結合してその生物学的活性モジュレートことが知られているか又はそのように推定される二元複合体を形成するように低分子に結合することが知られているものである。
【0160】
「プレゼンタータンパク質結合部分」という用語は、化合物が、たとえば、10μM未満(たとえば、5μM未満、1μM未満、500nM未満、200nM未満、100nM未満、75nM未満、50nM未満、25nM未満、10nM未満)のKDで、前記プレゼンタータンパク質に特異的に結合するように、又はたとえば、1μM未満(たとえば、0.5μM未満、0.1μM未満、0.05μM未満、0.01μM未満)のIC50で、プレゼンタータンパク質のペプチジル-プロリルイソメラーゼ活性を阻害するように、プレゼンタータンパク質への結合に関与する環原子及びそれらに結合された部分のグループ(たとえば、環原子の20個の原子に含まれる原子、たとえば、環原子の15個の原子に含まれる原子、環原子の10個の原子に含まれる原子、環原子の5個の原子に含まれる原子)を意味する。プレゼンタータンパク質結合部分が、プレゼンタータンパク質と相互作用する化合物中の原子の全体を包含するとは限らないことは、理解されよう。プレゼンタータンパク質結合部分の1個以上の原子が、標的タンパク質相互作用部分(たとえば、哺乳動物標的タンパク質相互作用部分や菌類標的タンパク質相互作用部分などの真核生物標的タンパク質相互作用部分又は細菌標的タンパク質相互作用部分など原核生物標的タンパク質相互作用部分)内にありうることもまた、理解されよう。
【0161】
「純粋」という用語は、実質的に純粋であること又は望ましくない成分(たとえば、他の化合物及び/もしくは細胞溶解物の他の成分)、材料汚染、混合物、欠陥を含まないことを意味する。
【0162】
「参照」という用語は、多くの場合、対象の化合物、個体、集団、サンプル、配列、又は値と比較される標準又は対照の化合物、個体、集団、サンプル、配列、又は値を記述するために本明細書で用いられる。いくつかの実施形態では、参照の化合物、個体、集団、サンプル、配列、又は値は、対象の化合物、個体、集団、サンプル、配列、又は値の検査又は決定と実質的に同時に検査及び/又は決定される。いくつかの実施形態では、参照の化合物、個体、集団、サンプル、配列、又は値は、タンジブルメディアで任意選択的に具現化された履歴参照である。典型的には、当業者により理解されるように、参照の化合物、個体、集団、サンプル、配列、又は値は、対象の化合物、個体、集団、サンプル、配列、又は値の決定又は特徴付けに利用されるものと同等の条件下で決定又は特徴付けされる。
【0163】
「環原子」という用語は、環の最も内側の部分を含む環式化合物の原子を意味する。たとえば、この方法を用いると、FK506は21個の環原子を有し、かつラパマイシンは29個の環原子を有する。
【0164】
「天然に存在するタンパク質-タンパク質相互作用の部位」という用語は、タンパク質の天然環境でタンパク質と他のタンパク質との間の結合に関与する原子を含むタンパク質の構造の表面上の位置を意味する。
【0165】
「低分子」という用語は、低分子量の有機化合物及び/又は無機化合物を意味する。一般的には、「低分子」は、サイズが約5キロダルトン(kD)未満の分子である。いくつかの実施形態では、低分子は、約4kD、3kD、約2kD、又は約1kD未満である。いくつかの実施形態では、低分子は、約800ダルトン(D)、約600D、約500D、約400D、約300D、約200D、又は約100D未満である。いくつかの実施形態では、低分子は、約2000g/mol未満、約1500g/mol未満、約1000g/mol未満、約800g/mol未満、又は約500g/mol未満である。いくつかの実施形態では、低分子はポリマーではない。いくつかの実施形態では、低分子はポリマー部分を含まない。いくつかの実施形態では、低分子はタンパク質やポリペプチドではない(たとえば、オリゴペプチドやペプチドではない)。いくつかの実施形態では、低分子はポリヌクレオチドではない(たとえば、オリゴヌクレオチドではない)。いくつかの実施形態では、低分子は多糖ではない。いくつかの実施形態では、低分子は多糖を含まない(たとえば、糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコ脂質などではない)。いくつかの実施形態では、低分子は脂質ではない。いくつかの実施形態では、低分子はモジュレート化合物である。いくつかの実施形態では、低分子は生物学的に活性である。いくつかの実施形態では、低分子は検出可能である(たとえば、少なくとも1つの検出可能部分を含む)。いくつかの実施形態では、低分子は治療剤である。
【0166】
本明細書に記載されるある特定の低分子化合物を、たとえば、塩形、保護形、プロドラッグ形、エステル形、異性形(たとえば、光学異性体及び/又は構造異性体)、同位体形などのさまざまな形のいずれかで提供及び/又は利用しうることは、当業者であれば本開示を読んで分かるであろう。いくつかの実施形態では、特定の化合物への参照は、その化合物の特定形に関連しうる。いくつかの実施形態では、特定の化合物への参照は、その化合物に任意形で関連しうる。いくつかの実施形態では、化合物が天然に存在するか又は見いだされる場合、その化合物は、天然に存在するか又は見いだされるものと異なる形で本発明に従って提供及び/又は利用しうる。化合物の参照の調製物又は供給源(たとえば天然源)と異なるレベル、量、又は比で1つ以上の個別形を含む化合物の調製物を本明細書に記載される化合物の異なる形とみなしうることは、当業者であれば分かるであろう。それゆえ、たとえば、いくつかの実施形態では、化合物の単一の立体異性体の調製物は、化合物のラセミ混合物と異なる形の化合物であるとみなしうる。化合物の特定の塩は、化合物の他の塩形と異なる形であるとみなしうる。二重結合の一方のコンフォメーション異性体((Z)又は(E))を含有する調製物は、二重結合の他方のコンフォメーション異性体((E)又は(Z))を含有するものと異なる形であるとみなしうるし、1個以上の原子が参照調製物中に存在するものと異なる同位体である調製物は、異なる形であるとみなしうるし、他の場合も同様である。
【0167】
本明細書で用いられる場合、「特異的結合」又は「特異的」という用語は、結合剤と標的エンティティーとの間の相互作用を意味する。当業者により理解されるように、代替相互作用の存在下で、たとえば、10μM未満(たとえば、5μM未満、1μM未満、500nM未満、200nM未満、100nM未満、75nM未満、50nM未満、25nM未満、10nM未満)のKDによる結合が有利であれば、相互作用は「特異的」であるとみなされる。多くの実施形態では、特異的相互作用は、標的エンティティーの特定の構造の特徴(たとえば、エピトープ、クレフト、結合部位)の存在に依存する。特異性が絶対的である必要はないことを理解すべきである。いくつかの実施形態では、特異性は、1つ以上の他の可能な標的エンティティー(たとえばコンペティター)に対する結合剤の特異性と対比して評価しうる。いくつかの実施形態では、特異性は、参照特異的結合剤の特異性と対比して評価される。いくつかの実施形態では、特異性は、参照非特異的結合作用剤の特異性と対比して評価される。
【0168】
「特異的」という用語は、活性を有する化合物に関連して用いられる場合、化合物が可能性のある標的のエンティティー又は状態を識別することを意味するものと当業者により理解される。たとえば、いくつかの実施形態では、化合物は、1つ以上の競合する代替標的の存在下でその標的に優先的に結合するのであれば、その標的に「特異的」に結合すると言われる。多くの実施形態では、特異的相互作用は、標的エンティティーの特定の構造の特徴(たとえば、エピトープ、クレフト、結合部位)の存在に依存する。特異性が絶対的である必要はないことを理解すべきである。いくつかの実施形態では、特異性は、1つ以上の他の可能な標的エンティティー(たとえばコンペティター)に対する結合剤の特異性と対比して評価しうる。いくつかの実施形態では、特異性は、参照特異的結合剤の特異性と対比して評価される。いくつかの実施形態では、特異性は、参照非特異的結合作用剤の特異性と対比して評価される。いくつかの実施形態では、作用剤又はエンティティーは、その標的エンティティーへの結合の条件下で競合する代替標的に検出可能に結合しない。いくつかの実施形態では、結合剤は、競合する代替標的と比較して、より高いオン速度、より低いオフ速度、増加した親和性、減少した解離、及び/又は増加した安定性で、その標的エンティティーに結合する。
【0169】
「構造組織」という用語は、分子の原子及び結合の平均三次元配置を意味する。「実質的に不変の構造組織」とは、2つのアライメント構造の根平均二乗偏差(RMSD)が1未満であることを意味する。RMSDは、たとえば、ピモル(PyMOL)バージョン1.7rc1(シュレーディンガLLC(Schroedinger LLC))のalignコマンドを用いて計算可能である。代替的に、RMSDは、リグアセイン(LigAlign)(ジャーナル・オブ・モレキュラー・グラフィックス・アンド・モデリング(J.Mol.Graphics and Modelling)、2010年、第29巻、p.93~101)というアルゴリズムのエグゼクティブRMS(ExecutiveRMS)パラメータを用いて計算可能である。
【0170】
「実質的」という用語は、対象の特性又は性質の全体又はほぼ全体の範囲又は度合いを呈する定性的条件を意味する。生物学技術分野の当業者であれば、生物学的及び化学的な現象が、最終状態に達すること及び/又は完全に進行すること又は絶対的結果を達成もしくは回避することは、あってもまれであるものと理解されよう。したがって、「実質的」という用語は、多くの生物学的及び化学的な現象に固有の完全性の欠如の可能性を取り込むように本明細書で用いられる。
【0171】
本明細書で用いられる特定のタンパク質に「実質的に結合しない」という用語は、たとえば、標的に対して10-4M以上、代替的に10-5M以上、代替的に10-6M以上、代替的に10-7M以上、代替的に10-8M以上、代替的に10-9M以上、代替的に10-10M以上、代替的に10-11M以上、代替的に10-12M以上のKD又は10-4M~10-12Mもしくは10-6M~10-10Mもしくは10-7M~10-9Mの範囲内のKDを有する分子又は分子の部分により表すことが可能である。
【0172】
「実質的な構造類似性」という用語は、特定の位置の特定のアミノ酸の存在及び/又は同一性などの共有構造の特徴の存在を意味する(「共有配列相同性」及び「共有配列同一性」の定義を参照されたい)。いくつかの実施形態では、「実質的な構造類似性」という用語は、構造エレメント(たとえば、ループ、シート、ヘリックス、H結合ドナー、H結合アクセプター、グリコシル化パターン、塩橋、及びジスルフィド結合)の存在及び/又は同一性を意味する。いくつかのいくつかの実施形態では、「実質的な構造類似性」という用語は、原子又は部分の互いの三次元構成及び/又は配向(たとえば、対象作用剤と参照作用剤との間の距離及び/又は角度)を意味する。
【0173】
「標的タンパク質」という用語は、本明細書に記載される低分子/プレゼンタータンパク質/化合物複合体には結合するが単独の低分子やプレゼンタータンパク質には実質的に結合しないmTORやカルシニューリンでないタンパク質を意味する。いくつかの実施形態では、低分子/プレゼンタータンパク質/化合物複合体は、mTORやカルシニューリンに実質的に結合しない。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、疾患、障害、又は病態に関連する生物学的経路に関与する。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は天然に存在するタンパク質である。いくつかのかかる実施形態では、標的タンパク質は、ある特定の哺乳動物細胞(たとえば、哺乳動物標的タンパク質)、菌類細胞(たとえば、菌類標的タンパク質)、細菌細胞(たとえば、細菌標的タンパク質)、又は植物細胞(たとえば、植物標的タンパク質)に天然に見いだされる。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、1つ以上の天然プレゼンタータンパク質/天然低分子複合体との天然相互作用により特徴付けられる。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、複数の異なる天然プレゼンタータンパク質/天然低分子複合体との天然相互作用により特徴付けられ、いくつかのかかる実施形態では、複合体の一部又は全部は、同一のプレゼンタータンパク質(及び異なる低分子)を利用する。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、シクロスポリン、ラパマイシン、又はFK506と、プレゼンタータンパク質(たとえば、FKBP)と、の複合体に実質的に結合しない。標的タンパク質は、天然に存在可能であり、たとえば、野生型でありうる。代替的に、標的タンパク質は、野生型タンパク質と異なりうるが、生物学的機能、たとえば、対立遺伝子変異体、スプライス突然変異体、又は生物学的活性断片を依然として維持する。例示的な哺乳動物標的タンパク質は、GTPアーゼ、GTPアーゼ活性化タンパク質、グアニンヌクレオチド交換因子、熱ショックタンパク質、イオンチャネル、コイルドコイルタンパク質、キナーゼ、ホスファターゼ、ユビキチンリガーゼ、転写因子、クロマチンモディファイヤー/リモデラー、古典的タンパク質-タンパク質相互作用ドメイン及びモチーフを有するタンパク質、又は疾患、障害、もしくは病態に関連する生物学的経路に関与する任意の他のタンパク質である。
【0174】
「標的タンパク質相互作用部分」という用語は、化合物がプレゼンタータンパク質との複合体のときに標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)への結合に関与する環原子及びそれらに結合された部分のグループ(たとえば、環原子の20個の原子に含まれる原子、たとえば、環原子の15個の原子に含まれる原子、環原子の10個の原子に含まれる原子、環原子の5個の原子に含まれる原子)を意味する。標的タンパク質相互作用部分が、標的タンパク質と相互作用する化合物中の原子の全体を包含するとは限らないことは、理解されよう。プレゼンタータンパク質結合部分の1個以上の原子が、標的タンパク質相互作用部分にも存在しうることもまた、理解されよう。
【0175】
「治療レジメン」とは、関連集団全体にわたる投与が所望の又は有益な治療アウトカムと相関する投与レジメンを意味する。
「治療上有効量」という用語は、疾患、障害、及び/又は病態に罹患している又は罹患しやすい疾患集団に治療投与レジメンに従って投与したときに、疾患、障害、及び/又は病態を治療するのに十分な量を意味する。いくつかの実施形態では、治療有効量は、疾患、障害、及び/又は病態の発生率及び/又は重症度の低減、及び/又はそれらの1つ以上の症状の開始の遅延を行う量である。「治療上有効量」という用語が特定の個体では実際上奏効的治療の達成を必要としないことは、当業者であれば分かるであろう。より正確には、治療有効量は、かかる治療が必要とされる患者に投与したときに有意数の被験体で特定の所望の薬理学的反応を提供する量でありうる。特定の被験体は「治療有効量」に実際上「不応性」でありうることが、とくに理解されている。一例であるが例を挙げると、不応性の被験体は低い生物学的利用率を有しうるので、臨床的有効性が得られない。いくつかの実施形態では、治療有効量への参照は、1つ以上の特定の組織(たとえば、疾患、障害、もしくは病態に罹患した組織)又は流体(たとえば、血液、唾液、血清、汗、涙液、尿など)で測定される量への参照でありうる。いくつかの実施形態では、治療有効量を単回用量で製剤化及び/又は投与しうることは、当業者であれば分かるであろう。いくつかの実施形態では、治療有効量は、たとえば投与レジメンの一部として、複数回用量で製剤化及び/又は投与しうる。
【0176】
「従来型の結合ポケット」という用語は、活性が1つ以上の低分子によりモジュレートされたタンパク質に匹敵する生理化学的及び/又は幾何学的な性質を有するタンパク質構造上のキャビティ又はポケットを意味する。いくつかの実施形態では、従来型の結合ポケットは、1000A3超の体積を有する明確に規定されたポケットである。当業者であれば、従来型の結合ポケットの概念を熟知しており、さらにそれと「ドラッガビリティー」との関係に気づいている。ある特定の実施形態では、タンパク質は、本明細書に定義されるように、アンドラッガブルであれば、従来型の結合ポケットを有していないとみなされる。
【0177】
「治療」という用語は、その最広義では、特定の疾患、障害、及び/又は病態の部分的又は完全な軽減、改善、緩和、阻害、開始遅延、重症度低減、及び/又は1つ以上の症状、特徴、及び/又は原因の発生率低減を行う物質(たとえば、提供される組成物)の任意の投与を意味する。いくつかの実施形態では、かかる治療は、関連する疾患、障害、及び/又は病態の徴候を呈しない被験体、及び/又は疾患、障害、及び/又は病態の初期徴候のみを呈する被験体に施しうる。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/又は病態の1つ以上の確立された徴候を呈する被験体に施しうる。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/又は病態に罹患していると診断された被験体に施しうる。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/又は病態の発生のリスク増加に統計的に相関する1つ以上の感受性因子を有することが知られている被験体に行いうる。
【0178】
「アンドラッガブル標的」という用語は、薬剤の標的となることが知られているタンパク質ファミリーのメンバーでない及び/又は低分子への高親和性結合に好適な結合部位を有していないタンパク質を意味する。標的タンパク質がアンドラッガブルかを決定する方法は、当技術分野で公知である。たとえば、標的タンパク質がアンドラッガブルであるかは、体積、表面積、親油性表面積、深さ、及び/又は疎水性比をはじめとするタンパク質上の結合ポケットに対して計算されたパラメータに基づいてドラッガビリティーを評価するドッグサイトスコアラー(DOGSITESCORER)(登録商標)(ハンブルク大学(Universitat Hamburg)、独国ハンブルグ)というプログラムにより用いられるような構造ベースのアルゴリズムを用いて決定しうる。
【0179】
本明細書で用いられる場合、「ファンデルワールス相互作用」という用語は、共有結合、静電相互作用、水素結合によらない原子間の引力又は斥力を意味する。
「変異体」という用語は、参照エンティティーとの有意な構造同一性を示すが参照エンティティーと比較して1つ以上の化学部分の存在又はレベルが参照エンティティーと構造的に異なるエンティティーを意味する。多くの実施形態では、変異体はまた、その参照エンティティーと機能的に異なる。一般的には、特定エンティティーが参照エンティティーの「変異体」であると適正にみなされるかは、参照エンティティーとの構造同一性の度合いに基づく。当業者であればわかるであろうが、任意の生物学的又は化学的な参照エンティティーは、ある特定の特徴的構造エレメントを有する。変異体は、定義によれば、1つ以上のかかる特徴的構造エレメントを共有する識別可能な化学エンティティーである。少しであるが例を挙げると、低分子は、特徴的コア構造エレメント(たとえばマクロ環コア)及び/又は1つ以上の特徴的ペンダント部分を有しうるので、低分子の変異体は、コア構造エレメントと特徴的ペンダント部分を共有するものであるが、他のペンダント部分及び/又はコア内に存在する結合のタイプ(単結合対二重結合、E対Zなど)が異なるものであり、ポリペプチドは、線形空間内又は三次元空間内に相対的指定位置を有する複数のアミノ酸を含む及び/又は特定の生物学的機能に寄与する特徴的配列エレメントを有しうるし、核酸は、線形空間内又は三次元空間内に相対的指定位置を有する複数のヌクレオチド残基を含む特徴的配列エレメントを有しうる。たとえば、変異体ポリペプチドは、アミノ酸配列の1つ以上の差及び/又はポリペプチド骨格に共有結合された化学部分(たとえば、炭水化物、脂質など)の1つ以上の差の結果として参照ポリペプチドと異なりうる。いくつかの実施形態では、変異体ポリペプチドは、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、又は99%の参照ポリペプチドとの全配列同一性を示す。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、変異体ポリペプチドは、少なくとも1つの特徴的配列エレメントを参照ポリペプチドと共有しない。いくつかの実施形態では、参照ポリペプチドは1つ以上の生物学的活性を有する。いくつかの実施形態では、変異体ポリペプチドは、生物学的活性の1つ以上を参照ポリペプチドを共有する。いくつかの実施形態では、変異体ポリペプチドは、参照ポリペプチドの生物学的活性の1つ以上を欠如している。いくつかの実施形態では、変異体ポリペプチドは、参照ポリペプチドと比較して低レベルで生物学的活性の1つ以上を示す。多くの実施形態では、対象ポリペプチドは、対象ポリペプチドが特定の位置で少数の配列変化を有する以外は親のものと同一のアミノ酸配列を有するのであれば、親又は参照のポリペプチドの「変異体」であるとみなされる。典型的には、親と比較して変異体の残基の20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満が置換される。いくつかの実施形態では、変異体は、親と比較して10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個の置換残基を有する。多くの場合、変異体は、ごく少数(たとえば、5、4、3、2又は1未満)の置換官能性残基(すなわち、特定の生物学的活性に関与する残基)有する。さらに、変異体は、典型的には、親と比較して、5、4、3、2、又は1以下の付加又は欠失を有しており、多くの場合、付加や欠失を有していない。さらに、付加又は欠失はいずれも、典型的には、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約10、約9、約8、約7、約6未満であり、通常は、約5、約4、約3、又は約2未満の残基である。いくつかの実施形態では、親又は参照のポリペプチドは天然に見いだされるものである。当業者により理解されるように、通常、特定の対象ポリペプチドの複数の変異体を天然に見いだしうる。
【0180】
「野生型」という用語は、「通常」(突然変異体、疾患、改変などとは対照的である)の状態又は状況で天然に見いだされる構造及び/又は活性を有するエンティティーを意味する。野生型の遺伝子及びポリペプチドが、多くの場合、複数の異なる形(たとえば対立遺伝子)で存在することは、当業者であれば分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【発明を実施するための形態】
【0182】
低分子は標的との相互作用が接着力により駆動され、その強さは接触表面積にほぼ比例するので、その標的化能力は限られている。その小サイズが小さいので、低分子が標的タンパク質と効果的に相互作用するのに十分な分子間接触表面積を構築する唯一の方法は、そのタンパク質にそのまま包み込むことである。実際には、多くの一連の実験及び計算の両方のデータから、表面上に疎水性「ポケット」を有するタンパク質のみが低分子に結合できるという見解が支持される。その場合、結合は包込みにより可能になる。
【0183】
自然は、低分子と標的タンパク質とを疎水性ポケット以外の部位で相互作用させるストラテジーを進化させてきた。このストラテジーは、天然に存在する免疫抑制剤のシクロスポリンA、ラパマイシン、及びFK506により例示される。これらの薬剤の生物学的活性は、低分子と小さい提示タンパク質との高親和性複合体の形成を必要とする。低分子と提示タンパク質との複合表面は、標的にエンゲージする。したがって、たとえば、シクロスポリンAとシクロフィリンAとの間で形成される二元複合体は、高い親和性及び特異性でカルシニューリンを標的とするが、シクロスポリンAもシクロフィリンAも単独ではカルシニューリンに測定可能な親和性で結合しない。
【0184】
多くの重要な治療標的は、他のタンパク質との複合体化によりそれらの機能を発揮する。タンパク質/タンパク質相互作用表面は、これらの系の多くで、極性残基の広い環に取り囲まれた疎水性側鎖の内側コアを含有する。疎水性残基は、エネルギー的に有利な接触のほぼすべてに寄与するので、このクラスターは、タンパク質-タンパク質相互作用のエンゲージメント用の「ホットスポット」として表されてきた。重要なこととして、天然に存在する低分子と小さい提示タンパク質との以上に挙げた複合体では、低分子は、ホットスポットと類似の疎水性機能のクラスターを提供し、タンパク質は、主に極性の残基の環を提供する。言い換えれば、提示された低分子系は、天然タンパク質/タンパク質相互作用系で広く利用される表面アーキテクチャーを模倣する。
【0185】
自然は、提示された低分子-ポータブルホットスポットの標的特異性を進化の多様化により再プログラムする能力を実証してきた。最も良好に特徴付けられた例では、FK506結合タンパク質(FKBP)とFK506との間で形成された複合体は、カルシニューリンを標的とする。しかしながら、FKBPはまた、関連分子のラパマイシンとの複合体を形成可能であり、しかも複合体は、まったく異なる標的TorC1と相互作用する。これまでアンドラッガブルであるとみなされた他の標的タンパク質と相互作用してそれをモジュレートできるように、プレゼンタータンパク質/リガンドインターフェースの結合及びモジュレート能力を再プログラムする方法は、これまでのところ、開発されていない。
【0186】
そのほかに、いくつかの薬剤候補物質は、意図された標的及び他の意図されていないタンパク質の両方の活性を同じようにモジュレートすることから、うまく機能しないことが広く認められている。この問題は、標的タンパク質の薬剤結合部位が非標的タンパク質の結合部位に類似している場合にとくに困難なものとなる。ATP結合ポケットが非標的インスリンレセプター(IR)の結合ポケットに構造的に類似しているインスリン様成長因子レセプター(IGF-1R)は、そのような一例である。IGF-1Rを標的とするように設計された低分子開発候補物質もまた、典型的には、同様にインスリンレセプターもモジュレートする許容できない副作用を有する。しかしながら、ATP結合ポケットの周囲の領域には、これらの2つのタンパク質間の構造の非類似性が存在する。かかる知見にもかかわらず、そうした差の利点を生かしてIRよりもIGF-1Rに特異的な薬剤を開発する方法は、これまでのところ存在しない。
【0187】
本発明は、たとえば、プレゼンタータンパク質(たとえば、FKBPファミリーのメンバー、シクロフィリンファミリーのメンバー、又はPIN1)及び標的タンパク質に結合することにより、生物学的プロセスをモジュレート可能な化合物(たとえばマクロ環式化合物)を特徴とする。いくつかの実施形態では、標的タンパク質及び/又はプレゼンタータンパク質は細胞内タンパク質である。いくつかの実施形態では、標的タンパク質及び/又はプレゼンタータンパク質は哺乳動物タンパク質である。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、細胞内たとえば哺乳動物細胞内のトリパータイトプレゼンタータンパク質/化合物/標的タンパク質複合体に関与する。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、癌、炎症、感染症などの疾患及び障害の治療で有用でありうる。
【0188】
化合物
本発明は、たとえば、プレゼンタータンパク質(たとえば、FKBPファミリーのメンバー、シクロフィリンファミリーのメンバー、又はPIN1)及び標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)への結合により、生物学的プロセスをモジュレート可能な化合物(たとえばマクロ環式化合物)を特徴とする。簡潔に述べると、こうした化合物は、FKBPなどの内因性細胞内プレゼンタータンパク質に結合し、得られる二元複合体は、細胞内標的タンパク質に選択的に結合してその活性をモジュレートする。なんら特定の理論により拘束されることを望むものではないが、プレゼンタータンパク質と化合物と標的タンパク質とのトリパータイト複合体の形成が、タンパク質-化合物及びタンパク質-タンパク質の両方の相互作用により駆動され、かつ両方とも、標的タンパク質の活性のモジュレーション(たとえば、正又は負のモジュレーション)に必要とされるということを、我々は提案した。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、通常はプレゼンタータンパク質に結合しないうえに化合物の存在下で大幅に増強される結合を有していないタンパク質標的へのプレゼンタータンパク質の結合を「再プログラム」することにより、こうした新しい標的の活性をモジュレートする(たとえば、正又は負にモジュレートする)能力をもたらす。
【0189】
本明細書に記載されるように、本発明の化合物は、プレゼンタータンパク質結合部分と標的タンパク質相互作用部分とを含む。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分及び標的タンパク質相互作用部分は、環構造の個別部分であり、たとえば、それらはオーバーラップしない。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分及び標的タンパク質相互作用部分は、片側又は両側でリンカーにより互いに接続される。
【0190】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、本明細書に記載されるように、複合体の形成の不在下で標的タンパク質に実質的に結合しない。いくつかの実施形態では、本発明の化合物とプレゼンタータンパク質との複合体は、本明細書に記載されるように、複合体の形成の不在下での標的タンパク質への化合物の親和性の少なくとも5倍(少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍)の親和性で標的タンパク質に結合する。ある特定の実施形態では、本発明の化合物は、プレゼンタータンパク質との複合体の形成の不在下で標的タンパク質の活性を実質的にモジュレートしない。たとえば、いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、10μM超(たとえば、20μM超、50μM超、100μM超、500μM超)のIC50で標的タンパク質の活性を阻害する。代替的に、本発明の化合物は、10μM超(たとえば、20μM超、50μM超、100μM超、500μM超)のAC50で標的タンパク質の活性を増強する。ある特定の実施形態では、化合物とプレゼンタータンパク質との複合体は、化合物単独の少なくとも5倍の活性である(すなわち、1/5のIC50又はAC50を有する)。
【0191】
本発明の化合物(たとえばマクロ環式化合物)は、一般にプレゼンタータンパク質に強く結合する。たとえば、いくつかの実施形態では、本発明の化合物(たとえばマクロ環式化合物)は、10μM未満(たとえば、5μM未満、1μM未満、500nM未満、200nM未満、100nM未満、75nM未満、50nM未満、25nM未満、10nM未満)のKDでプレゼンタータンパク質に結合するか、又はたとえば、1μM未満(たとえば、0.5μM未満、0.1μM未満、0.05μM未満、0.01μM未満)のIC50でプレゼンタータンパク質のペプチジル-プロリルイソメラーゼ活性を阻害する。
【0192】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される式XIV~XVIII:
【0193】
【0194】
に示される構造を有する化合物を含む。
ある特定の実施形態では、化合物は、
図1又は
図2の化合物のいずれかの構造を有する。
【0195】
いくつかの実施形態では、化合物は、天然化合物である(たとえば、遺伝的に改変されていない細菌株により合成される)。いくつかの実施形態では、化合物は天然化合物の変異体(たとえば、半合成化合物)である。いくつかの実施形態では、変異体は環サイズを参照天然化合物と共有する。いくつかの実施形態では、変異体は、1個以上の置換基の同一性のみが参照天然化合物と異なる(たとえば、少なくとも1つの位置に対して、変異体は適切な参照化合物の対応する位置に見いだされるものと異なる置換基又は置換基のセットを有する)。
【0196】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物(たとえば、本発明のマクロ環式化合物)は、12~40個の環原子(たとえば、12~20個の環原子、14~20個の環原子、17~25個の環原子、21~26個の環原子、20~30個の環原子、25~35個の環原子、30~40個の環原子)を含む。いくつかの実施形態では、かかる化合物は19個の環原子を含む。いくつかの実施形態では、かかる化合物は偶数個の環原子を有する。ある特定の実施形態では、化合物中の原子の少なくとも25%(たとえば、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%)は、単環又は縮合環系に含まれる。
【0197】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、環原子が炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、及びそれらの組合せからなる群から選択される環(たとえば、マクロ環)を含み、いくつかの実施形態では、化合物中の環原子はすべてこの群から選択される。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、環原子が炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、及びそれらの組合せのみからなる群から選択される環(たとえば、マクロ環)を含み、いくつかの実施形態では、化合物中の環原子はすべて、炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、及びそれらの組合せのみからなる群から選択される。
【0198】
ある特定の実施形態では、本発明の提供される化合物(たとえばマクロ環式化合物)中の環結合は、ケトン、エステル、アミド、エーテル、チオエステル、尿素、アミジン、又は炭化水素を含む。
【0199】
いくつかの実施形態では、提供される化合物は非ペプチドである。ある特定の実施形態では、提供される化合物は1個以上のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、提供される化合物はアミノ酸残基のみを含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は400~2000のダルトン(たとえば、400~600ダルトン、500~700ダルトン、600~800ダルトン、700~900ダルトン、800~1000ダルトン、900~1100ダルトン、1000~1200ダルトン、1100~1300ダルトン、1200~1400ダルトン、1300~1500ダルトン、1400~1600ダルトン、1500~1700ダルトン、1600~1800ダルトン、1700~1900ダルトン、1800~2000ダルトン、400~1000ダルトン、1000~2000ダルトン)の分子量である。いくつかの実施形態では、本発明の化合物の分子量は、2000ダルトン未満(たとえば、500ダルトン未満、600ダルトン未満、700ダルトン未満、800ダルトン未満、900ダルトン未満、1000ダルトン未満、1100ダルトン未満、1200ダルトン未満、1300ダルトン未満、1400ダルトン未満、1500ダルトン未満、1600ダルトン未満、1700ダルトン未満、1800ダルトン未満、1900ダルトン未満)である。
【0201】
ある特定の実施形態では、提供される分子化合物は疎水性である。たとえば、いくつかの実施形態では、化合物は、2以上(たとえば、2.5以上、3.0以上、3.5以上、4以上、4.5以上、5以上、5.5以上、6以上、6.5以上、7以上)のcLogPを有する。代替的に、いくつかの実施形態では、化合物は、2~7(たとえば、2~4、3.5~4.5、4~5、4.5~5.5、5~6、5.5~6.5、6~7、4~7、4~6、4~5.5)のcLogPを有する。提供される化合物はまた、水への低い溶解度を有することにより疎水性として特徴付けられうる。たとえば、いくつかの実施形態では、化合物は、1μM超(たとえば、1μM超、2μM超、5μM超、10μM超、20μM超、30μM超、40μM超、50μM超、75μM超、100μM超)の水への溶解度を有する。代替的に、いくつかの実施形態では、化合物は、1~100μM(たとえば、1~10μM、5~10μM、5~20μM、10~50μM、5~50μM、20~100μM)の水への溶解度を有する。
【0202】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は細胞透過性である(たとえば、細胞を死滅させることなく細胞の細胞内ドメインに進入可能であり、及び/又は細胞外周囲との接触時に細胞間ドメインに進入可能である)。
【0203】
本発明の化合物は、天然に存在するものであっても天然に存在しないものであってもよい。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は天然に存在しない。ある特定の実施形態では、本発明の化合物は工学操作されている。工学操作された化合物とは、その設計及び/又は生成が人の手の作用を必要とする化合物(たとえば、化学合成により調製される化合物、参照野生型細胞に対して遺伝子操作された細胞により調製される化合物、化合物の生成を増強するように改変された培養条件で細胞により生成される化合物)のことである。
【0204】
ある特定の実施形態では、提供される化合物(たとえばマクロ環式化合物)は、ベンジャミン(Benjamin)ら著、ネイチャー・レビュー・ドラック・ディスカバリー(Nat.Rev.Drug.Discov.)、2011年、第10巻、第11号、p.868~880、又はスウィーニー,Z.K.(Sweeney,Z.K.)ら著、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、2014年、epub ahead of printに記載の化合物(その構造は参照により組み込まれる)及び/又は構造:を有する化合物ではない。
【0205】
プレゼンタータンパク質結合部分
本発明の化合物は、プレゼンタータンパク質結合部分を含む。この部分は、提供される化合物が、たとえば、10μM未満(たとえば、5μM未満、1μM未満、500nM未満、200nM未満、100nM未満、75nM未満、50nM未満、25nM未満、10nM未満)のKDで、前記プレゼンタータンパク質に特異的に結合するように、又はたとえば、1μM未満(たとえば、0.5μM未満、0.1μM未満、0.05μM未満、0.01μM未満)のIC50で、プレゼンタータンパク質のペプチジル-プロリルイソメラーゼ活性を阻害するように、プレゼンタータンパク質への結合に関与する環原子(たとえば、5~20個の環原子、5~10個の環原子、10~20個の環原子)及びそれらに結合された部分(たとえば、環原子の20個の原子に含まれる原子、たとえば、環原子の15個の原子に含まれる原子、環原子の10個の原子に含まれる原子、環原子の5個の原子に含まれる原子)のグループを含む。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、プレゼンタータンパク質と相互作用する提供される化合物中の原子の全体を包含しない。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分の1個以上の原子は、標的タンパク質相互作用部分(たとえば、哺乳動物標的タンパク質相互作用部分や菌類標的タンパク質相互作用部分などの真核生物標的タンパク質相互作用部分又は細菌標的タンパク質相互作用部分などの原核生物標的タンパク質相互作用部分)内にありうる。ある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分の1個以上の原子は、プレゼンタータンパク質と相互作用しない。
【0206】
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、N-アシルプロリン部分、N-アシル-ピペコリン酸部分、N-アシル3-モルホリノカルボン酸部分、及び/又はN-アシルピペラジン酸部分を含む(たとえば、いずれかの窒素原子がアシル化されている)。ある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分はN-アシル-ピペコリン酸部分を含む。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分はN-アシルプロリン部分を含む。ある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分はN-アシル-3-モルホリノカルボン酸部分を含む。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分はN-アシルピペラジン酸部分を含む。
【0207】
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分の少なくとも1個の原子は、FKBP12のTyr27、Phe37、Asp38、Arg41、Phe47、Gln54、Glu55、Val56、Ile57、Trp60、Ala82、Try83、His88、Ile92、及び/又はPhe100の1つ以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15)との結合に関与する。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分の少なくとも1つは、FKBP12のArg41、Gln54、Glu55、及び/又はAla82の少なくとも1つ(たとえば、2、3、又は4)との結合に関与する。
【0208】
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、式I~VIII:
【0209】
【0210】
で示される構造を有する。
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、式Ia~IVa:
【0211】
【0212】
で示される構造を有する。
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、構造:
【0213】
【0214】
【0215】
【0216】
又はその立体異性体を含むか又はその構造からなる。
ある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質結合部分は、構造:
【0217】
【0218】
であるか又はその構造を含む。
標的タンパク質相互作用部分
本発明の化合物は、標的タンパク質相互作用部分(たとえば、哺乳動物標的タンパク質相互作用部分や菌類標的タンパク質相互作用部分などの真核生物標的タンパク質相互作用部分又は細菌標的タンパク質相互作用部分などの原核生物標的タンパク質相互作用部分)を含む。この部分は、化合物がプレゼンタータンパク質との複合体のときに標的タンパク質に特異的に結合する環原子(たとえば、5~20個の環原子、5~10個の環原子、10~20個の環原子)及びそれらに結合された部分(たとえば、環原子の20個の原子に含まれる原子、たとえば、環原子の15個の原子に含まれる原子、環原子の10個の原子に含まれる原子、環原子の5個の原子に含まれる原子)のグループを含む。いくつかの実施形態では、標的タンパク質相互作用部分は、標的タンパク質と相互作用する化合物中の複数の原子含をむ。いくつかの実施形態では、標的タンパク質相互作用部分の1個以上の原子は、プレゼンタータンパク質結合部分内にありうる。ある特定の実施形態では、標的タンパク質相互作用部分の1個以上の原子は、標的タンパク質と相互作用しない。
【0219】
標的タンパク質は、標的タンパク質相互作用部分中の環原子に結合可能である。代替的に、標的タンパク質は、標的タンパク質相互作用部分中の2つ以上の環原子に結合可能である。他の選択肢として、標的タンパク質は、標的タンパク質相互作用部分中の1個以上の環原子に結合された置換基に結合可能である。他の選択肢として、標的タンパク質は、標的タンパク質相互作用部分中の環原子と、標的タンパク質相互作用部分中の1個以上の環原子に結合された置換基と、に結合可能である。他の選択肢として、標的タンパク質は、標的タンパク質の天然リガンドを模倣する基に結合し、かつ標的タンパク質の天然リガンドを模倣する基は、標的タンパク質相互作用部分に結合する。さらに他の選択肢として、標的タンパク質はプレゼンタータンパク質に結合し、二元複合体でのプレゼンタータンパク質に対する標的タンパク質の親和性は、複合体の不在下でのプレゼンタータンパク質に対する標的タンパク質の親和性と対比して増加する。これらの例における結合は、典型的には、限定されるものではないが、標的タンパク質相互作用部分への標的タンパク質の非共有結合相互作用を介する。
【0220】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質相互作用部分は疎水性である。たとえば、いくつかの実施形態では、標的タンパク質相互作用部分は、2以上(たとえば、2.5以上、3以上、3.5以上、4以上、4.5以上、5以上、5.5以上、6以上、6.5以上、7以上)のcLogPを有する。代替的に、いくつかの実施形態では、標的タンパク質相互作用部分は、2~7(たとえば、2~4、2.5~4.5、3~5、3.5~5.5、4~6、4.5~6.5、5~7、3~6、3~5、3~5.5)のcLogPを有する。極性表面積が少ないので、標的タンパク質相互作用部分はまた、疎水性としても特徴付けられうる。たとえば、いくつかの実施形態では、標的タンパク質相互作用部分は、350Å2未満(たとえば、300Å2未満、250Å2未満、200Å2未満、150Å2未満、125Å2未満)の極性表面積を有する。
【0221】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質相互作用部分は、1個以上の疎水性ペンダント基(たとえば、1個以上のメチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、ベンジル基、及び/又はフェネチル基)を含む。いくつかの実施形態では、ペンダント基は、30個未満の全原子(たとえば、25個未満の全原子、20個未満の全原子、15個未満の全原子、10個未満の全原子を含む。代替的に、いくつかの実施形態では、ペンダント基は、10~30個の全原子(たとえば、10~20個の全原子、15~25個の全原子、20~30個の全原子)を含む。ある特定の実施形態では、ペンダント基は、200ダルトン未満(たとえば、150ダルトン未満、100ダルトン未満、75ダルトン未満、50ダルトン未満)の分子量を有する。代替的に、いくつかの実施形態では、ペンダント基は、50~200ダルトン(たとえば、50~100ダルトン、75~150ダルトン、100~200ダルトン)の分子量を有する。
【0222】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質相互作用部分は、炭化水素系である(たとえば、この部分は主に炭素-炭素結合を含む)。いくつかの実施形態では、標的タンパク質相互作用部分は、炭化水素系であり、かつ任意選択的に1つ以上の二重結合を含む主に炭素と水素とからなる線状2価C4~C30(たとえば、C6~C20、C6~C15)脂肪族基を含む。いくつかの実施形態では、2価脂肪族基はまた、標的タンパク質に結合する天然リガンドを模倣する基により置換可能である。例としては、ホスホチロシンミミック及びATPミメティクスが挙げられる。
【0223】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質相互作用部分はペプチド系である(たとえば、この部分はペプチド結合を含む)。いくつかの実施形態では、標的タンパク質相互作用部分は、ペプチド系であり、かつ1個以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、又は8個)のアラニン残基、1個以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、又は8個)のバリン残基、1個以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、又は8個)のイソロイシン残基、1個以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、又は8個)のロイシン残基、1個以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、又は8個)のメチオニン残基、1個以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、又は8個)のフェニルアラニン残基、1個以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、又は8個)のチロシン残基、1個以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、又は8個)のトリプトファン残基、1個以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、又は8個)のグリシン残基、及び/又は1個以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、又は8個)のプロリン残基を含む。いくつかの実施形態では、標的タンパク質相互作用部分は、ペプチド系であり、かつ1個以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、もしくは8個)のアルギニン残基又は1個以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、もしくは8個)のリシン残基を含む。いくつかの実施形態では、標的タンパク質相互作用部分は、ペプチド系であり、かつ1個以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、もしくは8個)の非天然アミノ酸、1個以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、もしくは8個)のD-アミノ酸、及び/又は1個以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、もしくは8個)のN-アルキル化アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、標的タンパク質相互作用部分は、ペプチド系であり、かつ主にD-アミノ酸を含む(たとえば、アミノ酸の少なくとも50%はD-アミノ酸であり、アミノ酸の少なくとも75%はD-アミノ酸であり、アミノ酸の100%はD-アミノ酸である)。ある特定の実施形態では、標的タンパク質相互作用部分は、ペプチド系であり、かつ主にN-アルキル化アミノ酸を含む(たとえば、アミノ酸の少なくとも50%はN-アルキル化アミノ酸であり、アミノ酸の少なくとも75%はN-アルキル化アミノ酸であり、アミノ酸の100%ははN-アルキル化アミノ酸である)。ある特定の実施形態では、標的タンパク質相互作用部分は、ペプチド系であり、かつ1個以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、又は8個)のデプシ結合を含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質相互作用部分(たとえば、哺乳動物標的タンパク質相互作用部分や菌類標的タンパク質相互作用部分などの真核生物標的タンパク質相互作用部分又は細菌標的タンパク質相互作用部分などの原核生物標的タンパク質相互作用部分)は、式IX:
【0225】
【0226】
(式中、uは、1~20の整数であり、かつ
各Yは、独立して、任意のアミノ酸、O、NR20、S、S(O)、SO2であるか、又は式X~XIII:
【0227】
【0228】
(ここで、各R20は、独立して、水素、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたアリール、C3~C7カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、及び任意選択的に置換されたC3~C7カルボシクリルC1~C6アルキルであり、又はR19は、任意のR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、もしくはR30と組み合わせて、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールを形成し、
各R21及びR22は、独立して、水素、ハロゲン、任意選択的に置換されたヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノであり、又はR20及びR21は、組み合わせて、=O、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルを形成し、又はR21もしくはR22は、任意のR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、もしくはR30と組み合わせて、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールを形成し、
各R23、R24、R25、及びR26は、独立して、水素及びヒドロキシルであり、又はR23及びR24は、組み合わせて、=Oを形成し、又はR23、R24、R25、もしくはR26は、任意のR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、もしくはR30と組み合わせて、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールを形成し、かつ
各R27、R28、R29、及びR30は、独立して、水素、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、又はR27、R28、R29、もしくはR30は、任意のR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、もしくはR30と組み合わせて、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールを形成する)
のいずれか1つで示される構造を有する)
で示される構造を有する。
【0229】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質相互作用部分は、式IXa:
【0230】
【0231】
で示される構造を有する。
ある特定の実施形態では、標的タンパク質相互作用部分(たとえば、哺乳動物標的タンパク質相互作用部分や菌類標的タンパク質相互作用部分などの真核生物標的タンパク質相互作用部分又は細菌標的タンパク質相互作用部分などの原核生物標的タンパク質相互作用部分)は、構造:
【0232】
【0233】
を含まない。
リンカー
本発明の化合物は、リンカー(たとえば、プレゼンタータンパク質結合部分と標的タンパク質相互作用部分(たとえば、哺乳動物標的タンパク質相互作用部分や菌類標的タンパク質相互作用部分などの真核生物標的タンパク質相互作用部分又は細菌標的タンパク質相互作用部分などの原核生物標的タンパク質相互作用部分)とを接続する2つのリンカー)を含む。本発明のリンカー成分は、最も単純な場合、結合であるが、2つの部分を共有結合するペンダント基を有する線状、環状、又は分岐状の分子骨格を提供してもよい。
【0234】
いくつかの実施形態では、リンカーの少なくとも1個の原子は、プレゼンタータンパク質及び/又は標的タンパク質への結合に関与する。ある特定の実施形態では、リンカーの少なくとも1個の原子は、プレゼンタータンパク質及び/又は標的タンパク質への結合に関与しない。
【0235】
それゆえ、2つの部分の結合は、両方の部分上に位置する1個以上の官能基による結合形成を含む共有結合手段により達成される。この目的に利用しうる化学反応性官能基の例としては、限定されるものではないが、カルボニル、炭水化物基、ビシナルジオール、チオエーテル、2-アミノアルコール、2-アミノチオール、グアニジニル、イミダゾリル、及びフェノール基が挙げられる。
【0236】
2つの部分の共有結合は、両方の部分に存在するかかる官能基による反応が可能な反応性部分を含有するリンカーを用いて行いうる。たとえば、部分のアミン基は、リンカーのカルボキシル基又はその活性化誘導体と反応しうるので、2つを結合するアミドを形成する。
【0237】
スルフヒドリル基と反応可能な部分の例としては、XCH2CO-(式中、X=Br、Cl、又はI)タイプのα-ハロアセチル化合物が挙げられる。このタイプのものは、ガード(Gurd)著、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods Enzymol.)、第11巻、p.532、1967年)に記載されるように、スルフヒドリル基に対して特定の反応性を示すだけでなく、イミダゾリル基、チオエーテル基、フェノール基、及びアミノ基を修飾するためにも使用可能である。N-マレイミド誘導体もまた、スルフヒドリル基に対して選択性があるとみなされるが、そのほかに、ある特定の条件下でアミノ基とのカップリングに有用でありうる。アミノ基の変換によりチオール基を導入する2-イミノチオランなどの試薬(トラウト(Traut)ら著、バイオケミストリー(Biochemistry)、第12巻、p.3266、1973年)は、ジスルフィド架橋の形成により結合が行われる場合、スルフヒドリル試薬と見なしうる。
【0238】
アミノ基と反応可能な反応性部分の例としては、たとえば、アルキル化剤及びアシル化剤が挙げられる。代表的なアルキル化剤としては、
(i)α-ハロアセチル化合物、これは、たとえば、ウォング(Wong)著、バイオケミストリー(Biochemistry)、第24巻、p.5337、1979年に記載されるように、反応性チオール基の不在下でアミノ基に対して特異性を示し、かつXCH2CO-(式中、X=Br、Cl、又はI)タイプである)、
(ii)N-マレイミド誘導体、これは、たとえば、スミス(Smyth)ら著、米国化学会誌(J.Am.Chem.Soc.)、第82巻、p.4600、1960年、及びバイオケミカル・ジャーナル(Biochem.J.)、第91巻、p.589、1964年に記載されるように、マイケル型反応を介して又は環カルボニル基への付加によるアシル化を介してアミノ基と反応しうる、
(iii)ハロゲン化アリール、たとえば、反応性ニトハロ芳香族化合物、
(iv)ハロゲン化アルキル、たとえば、マケンジー(McKenzie)ら著、ジャーナル・オブ・プロテイン・ケミストリー(J.Protein Chem.)、第7巻、p.581、1988年、
(v)アミノ基とシッフ塩基を形成可能なアルデヒド及びケトン、形成される付加物は、通常、還元により安定なアミンを与える、
(vi)エピクロロヒドリンやビスオキシランなどのエポキシド誘導体、これはアミノ基、スルフヒドリル基、又はフェノール性ヒドロキシル基と反応しうる、
(vii)s-トリアジンの塩素含有誘導体類、これはアミノ基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基などの求核剤に対して非常に反応性である、
(viii)以上に詳述したs-トリアジン化合物に基づくアジリジン、たとえば、ロス(Ross)著、ジャーナル・オブ・アドバンスト・キャンサー・リサーチ(J.Adv.Cancer Res.)第2巻、p.1、1954年に記載されており、これは開環によりアミノ基などの求核剤と反応する、
(ix)スクアリン酸ジエチルエステル、ティーツェ(Tietze)著、ヘミッシェ・ベリヒテ(Chem.Ber.)、第124巻、p.1215、1991年に記載されている、及び
(x)α-ハロアルキルエーテル、これはベネッシェ(Benneche)ら著、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Eur.J.Med.Chem.)、第28巻、p.463、1993年に記載されるように、エーテル酸素原子により引き起こされる活性化に起因して通常のハロゲン化アルキルよりも高反応性のアルキル化剤である、
が挙げられる。
【0239】
代表的なアミノ反応性アシル化剤としては、
(i)イソシアネート及びイソチオシアネート、とくに芳香族誘導体、これはそれぞれ安定な尿素誘導体及びチオ尿素誘導体を形成する、
(ii)スルホニルクロリド、これはハージグ(Herzig)ら著、バイオポリマーズ(Biopolymers)、第2巻、p.349、1964年に記載されている、
(iii)酸ハロゲン化物、
(iv)活性エステル、たとえば、エステルニトロフェニルエステル又はN-ヒドロキシスクシンイミジルエステル、
(v)酸無水物、たとえば、混合型、対称型、又はΝ-カルボキシ無水物、
(vi)アミド結合形成用の他の有用な試薬、たとえば、M.ボダンスキー(M.Bodansky)著、ペプチド合成の原理(Principles of Peptide
Synthesis)、シュプリンガー・フェアラーク(Springer-Verlag)、1984年に記載されている、
(vii)アシルアジド、このアジド基は、ウェッツ(Wetz)ら著、アナリティカル・バイオケミストリー(Anal.Biochem.)、第58巻、p.347、1974年に記載されるように、亜硝酸ナトリウムを用いて事前に形成されたヒドラジド誘導体から生成される、
(viii)イミドエステル、これは、たとえば、ハンター(Hunter)及びルドウィッヒ(Ludwig)著、米国化学会誌(J.Am.Chem.Soc.)、第84巻、p.3491、1962年に記載されるように、アミノ基との反応により安定なアミジンを形成する、及び
(ix)ハロヘテロアリール基、たとえば、ハロピリジン又はハロピリミジン、
が挙げられる。
【0240】
アルデヒド及びケトンは、アミンと反応してシッフ塩基を形成しうるとともに、これは還元的アミノ化により有利に安定化しうる。アルコキシルアミノ部分は、たとえば、ウェブ(Webb)ら著、バイオコンジュゲート・ケミストリー(Bioconjugate
Chem.)、第1巻、p.96、1990年に記載されるように、ケトン及びアルデヒドと容易に反応して安定なアルコキサミンを生成する。
【0241】
カルボキシル基と反応可能な反応性部分の例としては、ジアゾアセテートエステルやジアゾアセトアミドなどのジアゾ化合物が挙げられる。これは、たとえば、ヘリオット(Herriot)著、アドバンス・イン・プロテイン・ケミストリー(Adv.Protein Chem.)、第3巻、p.169、1947年に記載されるように、高い特異性で反応してエステル基を生成する。O-アシルウレア形成及びそれに続くアミド結合形成により反応するカルボジイミドなどのカルボキシル修飾試薬も利用可能である。
【0242】
たとえば、追加の反応性又は選択性を付与するために、所望により、いずれかの部分の官能基を反応前に他の官能基に変換しうることは、分かるであろう。この目的に有用な方法の例としては、ジカルボン酸無水物などの試薬を用いたアミンかカルボキシルへの変換、N-アセチルホモシステインチオラクトン、S-アセチルメルカプトコハク酸無水物、2-イミノチオラン、チオール含有スクシンイミジル誘導体などの試薬を用いたアミンからチオールへの変換、α-ハロアセテートなどの試薬を用いたチオールからカルボキシルへの変換、エチレンイミンや2-ブロモエチルアミンなどの試薬を用いたチオールからアミンへの変換、カルボジイミド及び続いてジアミンなどの試薬を用いたカルボキシルからアミンへの変換、ならびに塩化トシルなどの試薬を用いたアルコールからチオールへの変換、及び続いてチオアセテートを用いたエステル交換、及び酢酸ナトリウムを用いたチオールへの加水分解が挙げられる。
【0243】
所望により、本発明に従って、追加の結合材料を導入することなく一方の部分の反応性化学基と他方の部分の反応性化学基とを直接共有結合することを含むいわゆるゼロレングスリンカーを使用しうる。
【0244】
しかしながら、より一般的には、リンカーは、以上に記載のようにスペーサエレメントにより接続された2つ以上の反応性部分を含むであろう。かかるスペーサの存在は、二官能性リンカーをいずれかの部分内の特定の官能基と反応させて2つの間に共有結合を生成する。リンカー中の反応性部分は、同一であっても(ホモ二官能性リンカー)異なっていてもよく(ヘテロ二官能性リンカー又はいくつかの類似していない反応性部分が存在する場合は多官能性リンカー)、2つの部分間に共有結合を生成しうるさまざまな可能性のある試薬を提供する。
【0245】
リンカー中のスペーサエレメントは、典型的には、直鎖又は分岐鎖からなり、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C2~6ヘテロシクリル、C6~12アリール、C7~14アルカリール、C3~10アルクヘテロシクリル、C2~C100ポリエチレングリコール、又はC1~10ヘテロアルキルを含みうる。
【0246】
いくつかの場合には、リンカーは式Vにより記述される。
本発明のコンジュゲートの調製に有用なホモ二官能性リンカーの例としては、限定されるものではないが、エチレンジアミン、プロピレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、及びポリカプロラクトンジオールから選択されるジアミン及びジオールが挙げられる。
【0247】
いくつかの実施形態では、リンカーは、結合であるか、又は炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、もしくはリン原子から独立して選択される10個までの原子の直鎖であり、鎖中の各原子は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、及びスルホニルから独立して選択される1個以上の置換基で任意選択的に置換され、かつ鎖中の任意の2個の原子は、それらに結合された置換基と一緒になって環を形成しうるとともに、環は、さらなる置換及び/又は1つ以上の任意選択的に置換された炭素環、ヘテロ環、アリール環、又はヘテロアリール環への融合を行いうる。
【0248】
いくつかの実施形態では、リンカーは、式XIX:
A1-(B1)a-(C1)b-(B2)c-(D)-(B3)d-(C2)e-(B4)f-A2
式XIX
(式中、A1は、リンカーとプレゼンタータンパク質結合部分との間の結合であり、A2は、哺乳動物標的相互作用部分とリンカーとの間の結合であり、B1、B2、B3、及びB4は、それぞれ独立して、任意選択的に置換されたC1~C2アルキル、任意選択的に置換されたC1~C3ヘテロアルキル、O、S、及びNRNから選択され、RNは、水素、任意選択的に置換されたC1~4アルキル、任意選択的に置換されたC3~4アルケニル、任意選択的に置換されたC2~4アルキニル、任意選択的に置換されたC2~6ヘテロシクリル、任意選択的に置換されたC6~12アリール、又は任意選択的に置換されたC1~7ヘテロアルキルであり、C1及びC2は、それぞれ独立して、カルボニル、チオカルボニル、スルホニル、又はホスホリルから選択され、a、b、c、d、e、及びfは、それぞれ独立して、0又は1であり、ならびにDは、任意選択的に置換されたC1~10アルキル、任意選択的に置換されたC2~10アルケニル、任意選択的に置換されたC2~10アルキニル、任意選択的に置換されたC2~6ヘテロシクリル、任意選択的に置換されたC6~12アリール、任意選択的に置換されたC2~C10ポリエチレングリコール、もしくは任意選択的に置換されたC1~10ヘテロアルキル、又はA1-(B1)a-(C1)b-(B2)c-と-(B3)d-(C2)e-(B4)f-A2とを結合する化学結合である)
の構造を有する。
【0249】
化合物特性
薬動学的パラメータ
生物学的利用率を示すために、たとえば、in vivoラット初期薬動学的(EPK)試験設計を用いて、化合物の予備暴露特性を評価可能である。たとえば、特定の製剤で経口(PO)胃管注入を介して雄スプラーグ・ドーリーラットに投与可能である。次いで、投与後4時間まで6つの時間点で血液サンプルを動物から採取可能である。次いで、各化合物の各時間点に対するLC-MS/MS測定濃度に基づいて薬動学的解析を行った。細胞透過性
いくつかの実施形態では、化合物は細胞透過性である。化合物の透過性を決定するために、明細書に記載されるバイオセンサーアッセイなどの当技術分野で公知の任意の方法を利用しうる。
【0250】
タンパク質
プレゼンタータンパク質
プレゼンタータンパク質は、低分子に結合して複合体を形成しうるとともに、この複合体は、標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)に結合してその活性をモジュレートしうる。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質は哺乳動物プレゼンタータンパク質(たとえば、ヒトプレゼンタータンパク質)である。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質は菌類プレゼンタータンパク質である。ある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質は細菌プレゼンタータンパク質である。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質は植物プレゼンタータンパク質である。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質は、比較的豊富なタンパク質である(たとえば、プレゼンタータンパク質は、トリパータイト複合体への関与が細胞内でのプレゼンタータンパク質の生物的役割及び/又は細胞の生存能もしくは他の属性に実質的に悪影響を及ぼさない程度に十分に豊富である)。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質はより豊富な標的タンパク質である。ある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質は、細胞内でシャペロン活性を有するタンパク質である。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質は、細胞内の複数の天然相互作用パートナーを有する。ある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質は、標的タンパク質に結合してその生物学的活性モジュレートことが知られているか又はそのように推定される二元複合体を形成するように低分子に結合することが知られているものである。イムノフィリンは、こうした機能を有することが知られるプレゼンタータンパク質のクラスであり、FKBP及びシクロフィリンを含む。いくつかの実施形態では、参照プレゼンタータンパク質は、ペプチジルプロリルイソメラーゼ活性を呈する。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質は、参照プレゼンタータンパク質に対して同等の活性を呈する。ある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質は、FKBPファミリーのメンバー(たとえば、FKBP12、FKBP12.6、FKBP13、FKBP19、FKBP22、FKBP23、FKBP25、FKBP36、FKBP38、FKBP51、FKBP52、FKBP60、FKBP65、及びFKBP133)、シクロフィリンファミリーのメンバー(たとえば、PP1A、CYPB、CYPC、CYP40、CYPE、CYPD、NKTR、SRCyp、CYPH、CWC27、CYPL1、CYP60、CYPJ、PPIL4、PPIL6、RANBP2、PPWD1、PPIAL4A、PPIAL4B、PPIAL4C、PPIAL4D、もしくはPPIAL4G)、又はPIN1である。「FKBPファミリー」は、プロリルイソメラーゼ活性を有するタンパク質のファミリーであり、プロリン残基を含有するタンパク質に対してタンパク質のフォールディングシャペロンとして機能する。このファミリーのタンパク質をコードする遺伝子としては、AIP、AIPL1、FKBP1A、FKBP1B、FKBP2、FKBP3、FKBP4、FKBP5、FKBP6、FKBP7、FKBP8、FKBP9、FKBP9L、FKBP10、FKBP11、FKBP14、FKBP15、及びLOC541473が挙げられる。
【0251】
「シクロフィリンファミリー」は、シクロスポリンに結合するタンパク質のファミリーである。このファミリーのタンパク質をコードする遺伝子としては、PPIA、PPIB、PPIC、PPID、PPIE、PPIF、PPIG、PPIH、SDCCAG-10、PPIL1、PPIL2、PPIL3、PPIL4、P270、PPWD1、及びCOAS-2が挙げられる。例示的なシクロフィリンとしては、PP1A、CYPB、CYPC、CYP40、CYPE、CYPD、NKTR、SRCyp、CYPH、CWC27、CYPL1、CYP60、CYPJ、PPIL4、PPIL6、RANBP2、PPWD1、PPIAL4A、PPIAL4B、PPIAL4C、PPIAL4D、及びPPIAL4Gが挙げられる。
【0252】
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質は、GRP78/BiP、GRP94、GRP170、カルネキシン、カルレティキュリン、HSP47、ERp29、プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)、ERp57などのシャペロンタンパク質である。
【0253】
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質は、本明細書に開示されるFKBP又はシクロフィリンの対立遺伝子変異体又はスプライス変異体である。
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質は、アミノ酸配列が、i)参照プレゼンタータンパク質のものとの有意な同一性を示し、ii)参照プレゼンタータンパク質の対応する部分との有意な同一性を示す部分を含み、及び/又はiii)プレゼンタータンパク質に見いだされる少なくとも1つの特徴的配列を含む、ポリペプチドである。多くの実施形態では、同一性は、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上であれば、プレゼンタータンパク質を定義する目的では「有意」であるとみなされる。いくつかの実施形態では、有意な同一性を示す部分は、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、300、350、450、500、550、600個、又はそれ以上のアミノ酸の長さを有する。
【0254】
代表的なプレゼンタータンパク質は、表1に列挙された遺伝子又はそのホモログによりコードされる。いくつかの実施形態では、参照プレゼンタータンパク質は、表1に示される遺伝子セットによりコードされる。また、当業者であれば、表3を参照して、プレゼンタータンパク質全般及び/又はプレゼンタータンパク質の特定のサブセットに特徴的な配列を容易に同定可能である。
【0255】
【0256】
表1.選択されたプレゼンタータンパク質をコードする遺伝子
標的タンパク質
標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)は、疾患病態又は疾患病態の症状を媒介するタンパク質である。このため、その活性をモジュレート(阻害又は増加)することにより、望ましい治療効果は達成することが可能である。本発明の複合体及び方法に有用な標的タンパク質としては、天然ではプレゼンタータンパク質に関連しないもの、たとえば、本発明の化合物との二元複合体の不在下でプレゼンタータンパク質に対して1μM超、好適には5μM超、より好適には10μM超の親和性を有するものが挙げられる。代替的に、天然ではプレゼンタータンパク質に関連しない標的タンパク質は、二元複合体の不在下で本発明の化合物に対して1μM超、好適には5μM超、より好適には10μM超の親和性を有するものである。他の選択肢として、天然ではプレゼンタータンパク質に関連しない標的タンパク質は、シクロスポリン、ラパマイシン、又はFK506と、プレゼンタータンパク質と、の二元複合体に対して1μM超、好適には5μM超、より好適には10μM超の親和性を有するもの(たとえば、FKBP)である。さらに他の選択肢として、天然ではプレゼンタータンパク質に関連しない標的タンパク質は、カルシニューリンやmTOR以外のものである。本発明の複合体及び方法に好適な標的タンパク質の選択は、プレゼンタータンパク質に依存しうる。たとえば、シクロフィリンに対して低親和性を有する標的タンパク質は、FKBPに対して高親和性を有することもあり、その場合は後者と一緒には使用されないであろう。
【0257】
標的タンパク質は、天然に存在可能であり、たとえば、野生型でありうる。代替的に、標的タンパク質は、野生型タンパク質と異なりうるが、生物学的機能、たとえば、対立遺伝子変異体、スプライス突然変異体、又は生物学的活性断片を依然として維持する。
【0258】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質は膜貫通タンパク質である。いくつかの実施形態では、標的タンパク質はコイルドコイル構造を有する。ある特定の実施形態では、標的タンパク質はダイマー複合体の一方のタンパク質である。
【0259】
いくつかの実施形態では、本発明の標的タンパク質は、プレゼンタータンパク質/化合物複合体の形成の不在下で低分子が典型的にはその部位に対して低い又は検出不能な結合を示すことを特徴とする1つ以上の表面部位(たとえばフラット表面部位)を含む。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、プレゼンタータンパク質/化合物複合体の形成の不在下で特定の低分子(たとえば化合物)が低い又は検出不能な結合(たとえば、同一の化合物を含むプレゼンタータンパク質/化合物複合体で観測される結合の多くとも1/2、1/3、1/4、1/5、1/6、1/7、1/8、1/9、1/10、1/20、1/30、1/40、1/50、1/100、又はそれ以下の結合)を示す1つ以上の表面部位(たとえばフラット表面部位)を含む。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、いずれの従来型の結合ポケットも欠如した、たとえば、1つ以上の低分子により活性がモジュレートされたタンパク質に匹敵する生理化学的及び/又は幾何学的な性質を有するタンパク質構造上のキャビティやポケットが欠如した1つ以上の部位により特徴付けられる表面(いくつかの実施形態では全表面)を有する。ある特定の実施形態では、標的タンパク質は、タンパク質-タンパク質相互作用に適した従来型の結合ポケット及び部位を有する。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、アンドラッガブル標的であり、たとえば、標的タンパク質は、薬剤の標的となることが知られているタンパク質ファミリーのメンバーではなく、かつ/又は低分子への結合に好適であると期待される(たとえば、本明細書で考察されるように当技術分野で認められた理解に従って)結合部位を有していない。
【0260】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、GTPアーゼ、たとえば、DIRAS1、DIRAS2、DIRAS3、ERAS、GEM、HRAS、KRAS、MRAS、NKIRAS1、NKIRAS2、NRAS、RALA、RALB、RAP1A、RAP1B、RAP2A、RAP2B、RAP2C、RASD1、RASD2、RASL10A、RASL10B、RASL11A、RASL11B、RASL12、REM1、REM2、RERG、RERGL、RRAD、RRAS、RRAS2、RHOA、RHOB、RHOBTB1、RHOBTB2、RHOBTB3、RHOC、RHOD、RHOF、RHOG、RHOH、RHOJ、RHOQ、RHOU、RHOV、RND1、RND2、RND3、RAC1、RAC2、RAC3、CDC42、RAB1A、RAB1B、RAB2、RAB3A、RAB3B、RAB3C、RAB3D、RAB4A、RAB4B、RAB5A、RAB5B、RAB5C、RAB6A、RAB6B、RAB6C、RAB7A、RAB7B、RAB7L1、RAB8A、RAB8B、RAB9、RAB9B、RABL2A、RABL2B、RABL4、RAB10、RAB11A、RAB11B、RAB12、RAB13、RAB14、RAB15、RAB17、RAB18、RAB19、RAB20、RAB21、RAB22A、RAB23、RAB24、RAB25、RAB26、RAB27A、RAB27B、RAB28、RAB2B、RAB30、RAB31、RAB32、RAB33A、RAB33B、RAB34、RAB35、RAB36、RAB37、RAB38、RAB39、RAB39B、RAB40A、RAB40AL、RAB40B、RAB40C、RAB41、RAB42、RAB43、RAP1A、RAP1B、RAP2A、RAP2B、RAP2C、ARF1、ARF3、ARF4、ARF5、ARF6、ARL1、ARL2、ARL3、ARL4、ARL5、ARL5C、ARL6、ARL7、ARL8、ARL9、ARL10A、ARL10B、ARL10C、ARL11、ARL13A、ARL13B、ARL14、ARL15、ARL16、ARL17、TRIM23、ARL4D、ARFRP1、ARL13B、RAN、RHEB、RHEBL1、RRAD、GEM、REM、REM2、RIT1、RIT2、RHOT1、又はRHOT2である。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、GTPas活性化タンパク質、たとえば、NF1、IQGAP1、PLEXIN-B1、RASAL1、RASAL2、ARHGAP5、ARHGAP8、ARHGAP12、ARHGAP22、ARHGAP25、BCR、DLC1、DLC2、DLC3、GRAF、RALBP1、RAP1GAP、SIPA1、TSC2、AGAP2、ASAP1、又はASAP3である。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、グアニンヌクレオチド交換因子、たとえば、CNRASGEF、RASGEF1A、RASGRF2、RASGRP1、RASGRP4、SOS1、RALGDS、RGL1、RGL2、RGR、ARHGEF10、ASEF/ARHGEF4、ASEF2、DBS、ECT2、GEF-H1、LARG、NET1、OBSCURIN、P-REX1、P-REX2、PDZ-RHOGEF、TEM4、TIAM1、TRIO、VAV1、VAV2、VAV3、DOCK1、DOCK2、DOCK3、DOCK4、DOCK8、DOCK10、C3G、BIG2/ARFGEF2、EFA6、FBX8又はGEP100である。ある特定の実施形態では、標的タンパク質は、タンパク質-タンパク質相互作用ドメインを有するタンパク質、たとえば、ARM、BAR、BEACH、BH、BIR、BRCT、BROMO、BTB、C1、C2、CARD、CC、CALM、CH、CHROMO、CUE、DEATH、DED、DEP、DH、EF-hand、EH、ENTH、EVH1、F-box、FERM、FF、FH2、FHA、FYVE、GAT、GEL、GLUE、GRAM、GRIP、GYF、HEAT、HECT、IQ、LRR、MBT、MH1、MH2、MIU、NZF、PAS、PB1、PDZ、PH、POLO-Box、PTB、PUF、PWWP、PX、RGS、RING、SAM、SC、SH2、SH3、SOCS、SPRY、START、SWIRM、TIR、TPR、TRAF、SNARE、TUBBY、TUDOR、UBA、UEV、UIM、VHL、VHS、WD40、WW、SH2、SH3、TRAF、ブロモドメイン、又はTPRである。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、熱ショックタンパク質、たとえば、Hsp20、Hsp27、Hsp70、Hsp84、αBクリスタリン、TRAP-1、hsfl、又はHsp90である。ある特定の実施形態では、標的タンパク質は、イオンチャネル、たとえば、Cav2.2、Cav3.2、IKACh、Kv1.5、TRPA1、NAv1.7、Nav1.8、Nav1.9、P2X3、又はP2X4である。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、コイルドコイルタンパク質、たとえば、ジェミニン、SPAG4、VAV1、MAD1、ROCK1、RNF31、NEDP1、HCCM、EEA1、ビメンチン、ATF4、Nemo、SNAP25、シンタキシン1a、FYCO1、又はCEP250である。ある特定の実施形態では、標的タンパク質は、キナーゼで、たとえば、ABL、ALK、AXL、BTK、EGFR、FMS、FAK、FGFR1、2、3、4、FLT3、HER2/ErbB2、HER3/ErbB3、HER4/ErbB4、IGF1R、INSR、JAK1、JAK2、JAK3、KIT、MET、PDGFRA、PDGFRB、RETRON、ROR1、ROR2、ROS、SRC、SYK、TIE1、TIE2、TRKA、TRKB、KDR、AKT1、AKT2、AKT3、PDK1、PKC、RHO、ROCK1、RSK1、RKS2、RKS3、ATM、ATR、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8、CDK9、CDK10、ERK1、ERK2、ERK3、ERK4、GSK3A、GSK3B、JNK1、JNK2、JNK3、AurA、ARuB、PLK1、PLK2、PLK3、PLK4、IKK、KIN1、cRaf、PKN3、c-Src、Fak、PyK2、又はAMPKある。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、ホスファターゼ、たとえば、WIP1、SHP2、SHP1、PRL-3、PTP1B、又はSTEPである。ある特定の実施形態では、標的タンパク質は、ユビキチンリガーゼ、たとえば、BMI-1、MDM2、NEDD4-1、Beta-TRCP、SKP2、E6AP、又はAPC/Cである。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、クロマチンモディファイヤー/リモデラー、たとえば、遺伝子BRG1、BRM、ATRX、PRDM3、ASH1L、CBP、KAT6A、KAT6B、MLL、NSD1、SETD2、EP300、KAT2A又はCREBBPによってコードされるクロマチンモディファイヤー/リモデラーである。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、転写因子、たとえば、遺伝子EHF、ELF1、ELF3、ELF4、ELF5、ELK1、ELK3、ELK4、ERF、ERG、ETS1、ETV1、ETV2、ETV3、ETV4、ETV5、ETV6、FEV、FLI1、GAVPA、SPDEF、SPI1、SPIC、SPIB、E2F1、E2F2、E2F3、E2F4、E2F7、E2F8、ARNTL、BHLHA15、BHLHB2、BHLBHB3、BHLHE22、BHLHE23、BHLHE41、CLOCK、FIGLA、HAS5、HES7、HEY1、HEY2、ID4、MAX、MESP1、MLX、MLXIPL、MNT、MSC、MYF6、NEUROD2、NEUROG2、NHLH1、OLIG1、OLIG2、OLIG3、SREBF2、TCF3、TCF4、TFAP4、TFE3、TFEB、TFEC、USF1、ARF4、ATF7、BATF3、CEBPB、CEBPD、CEBPG、CREB3L1、DBP、HLF、JDP2、MAFF、MAFG、MAFK、NRL、NFE2、NFIL3、TEF、XBP1、PROX1、TEAD1、TEAD3、TEAD4、ONECUT3、ALX3、ALX4、ARX、BARHL2、BARX、BSX、CART1、CDX1、CDX2、DLX1、DLX2、DLX3、DLX4、DLX5、DLX6、DMBX1、DPRX、DRGX、DUXA、EMX1、EMX2、EN1、EN2、ESX1、EVX1、EVX2、GBX1、GBX2、GSC、GSC2、GSX1、GSX2、HESX1、HMX1、HMX2、HMX3、HNF1A、HNF1B、HOMEZ、HOXA1、HOXA1、HOXA13、HOXA2、HOXAB13、HOXB2、HOXB3、HOXB5、HOXC10、HOXC11、HOXC12、HOXC13、HOXD11、HOXD12、HOXD13、HOXD8、IRX2、IRX5、ISL2、ISX、LBX2、LHX2、LHX6、LHX9、LMX1A、LMX1B、MEIS1、MEIS2、MEIS3、MEOX1、MEOX2、MIXL1、MNX1、MSX1、MSX2、NKX2-3、NKX2-8、NKX3-1、NKX3-2、NKX6-1、NKX6-2、NOTO、ONECUT1、ONECUT2、OTX1、OTX2、PDX1、PHOX2A、PHOX2B、PITX1、PITX3、PKNOX1、PROP1、PRRX1、PRRX2、RAX、RAXL1、RHOXF1、SHOX、SHOX2、TGIF1、TGIF2、TGIF2LX、UNCX、VAX1、VAX2、VENTX、VSX1、VSX2、CUX1、CUX2、POU1F1、POU2F1、POU2F2、POU2F3、POU3F1、POU3F2、POU3F3、POU3F4、POU4F1、POU4F2、POU4F3、POU5F1P1、POU6F2、RFX2、RFX3、RFX4、RFX5、TFAP2A、TFAP2B、TFAP2C、GRHL1、TFCP2、NFIA、NFIB、NFIX、GCM1、GCM2、HSF1、HSF2、HSF4、HSFY2、EBF1、IRF3、IRF4、IRF5、IRF7、IRF8、IRF9、MEF2A、MEF2B、MEF2D、SRF、NRF1、CPEB1、GMEB2、MYBL1、MYBL2、SMAD3、CENPB、PAX1、PAX2、PAX9、PAX3、PAX4、PAX5、PAX6、PAX7、BCL6B、EGR1、EGR2、EGR3、EGR4、GLIS1、GLIS2、GLI2、GLIS3、HIC2、HINFP1、KLF13、KLF14、KLF16、MTF1、PRDM1、PRDM4、SCRT1、SCRT2、SNAI2、SP1、SP3、SP4、SP8、YY1、YY2、ZBED1、ZBTB7A、ZBTB7B、ZBTB7C、ZIC1、ZIC3、ZIC4、ZNF143、ZNF232、ZNF238、ZNF282、ZNF306、ZNF410、ZNF435、ZBTB49、ZNF524、ZNF713、ZNF740、ZNF75A、ZNF784、ZSCAN4、CTCF、LEF1、SOX10、SOX14、SOX15、SOX18、SOX2、SOX21、SOX4、SOX7、SOX8、SOX9、SRY、TCF7L1、FOX03、FOXB1、FOXC1、FOXC2、FOXD2、FOXD3、FOXG1、FOXI1、FOXJ2、FOXJ3、FOXK1、FOXL1、FOXO1、FOXO4、FOXO6、FOXP3、EOMES、MGA、NFAT5、NFATC1、NFKB1、NFKB2、TΡ63、RUNX2、RUNX3、T、TBR1、TΒΧ1、TΒΧ15、TΒΧ19、TΒΧ2、TΒΧ20、TΒΧ21、TΒΧ4、TΒΧ5、AR、ESR1、ESRRA、ESRRB、HNF4A、NR2C2、NR2E1、NR2F1、NR2F6、NR3C1、NR3C2、NR4A2、RARA、RARB、RARG、
RORA、RXRA、RXRB、RXRG、THRA、THRB、VDR、GATA3、GATA4又はGATA5、又はC-myc、Max、Stat3、アンドロゲンレセプター、C-Jun、C-Fox、N-Myc、L-Myc、MITF、Hif-1α、Hif-2α、Bcl6、E2F1、NF-κB、Stat5、又はER(coact)によりコードされる転写因子である。ある特定の実施形態では、標的タンパク質は、TrkA、P2Y14及びmPEGS、ASK1、ALK、Bcl-2、BCL-XL、mSIN1、RORγt、IL17RA、eIF4E、TLR7R、PCSK9、IgER、CD40、CD40L、Shn-3、TNFR1、TNFR2、IL31RA、OSMR、IL12beta1、2、Tau、FASN、KCTD6、KCTD9、Raptor、Rictor、RALGAPA、RALGAPB、アネキシンファミリーメンバー、BCOR、NCOR、βカテニン、AAC、PLD1、PLD2、Frizzled7、RaLP11、MLL-1、Myb、Ezh2、RhoGD12、EGFR、CTLA4R、GCGC(coact)、アディポネクチンR2、GPR81、IMPDH2、IL-4R、IL-13R、IL-1R、IL2-R、IL-6R、IL-22R、TNF-R、TLR4、Nrlp3、又はOTRである。
【0261】
複合体
プレゼンタータンパク質/化合物複合体
天然に存在するタンパク質-タンパク質相互作用では、結合イベントは、タンパク質上のキャビティ又はポケットで低分子間の相互作用により駆動される多くの低分子タンパク質相互作用とは対照的に、主に、2つのタンパク質のフラット表面部位上の疎水性残基により駆動される。フラット表面部位上の疎水性残基は、2つの相互作用タンパク質上に疎水性ホットスポットを形成し、2つのタンパク質間の結合相互作用のほとんどは、ファンデルワールス相互作用である。低分子は、1つ(たとえばプレゼンタータンパク質)が欠如したタンパク質用ポータブルホットスポットとして使用しうる。これは複合体(たとえば、プレゼンタータンパク質/化合物複合体)の形成により擬タンパク質-タンパク質相互作用に関与する(たとえば、標的タンパク質とのトリパータイト複合体を形成する)。
【0262】
多くの哺乳動物タンパク質は複数の異なるパートナーのいずれかに結合可能であり、いくつかの場合には、かかる代替結合相互作用はタンパク質の生物学的活性に寄与する。こうしたタンパク質の多くは、ホットスポットタンパク質領域の固有可変性に適合してさまざま構造状況で同一の残基を提示する。より具体的には、タンパク質-タンパク質相互作用は、菌類及び細菌の種の選択グループにより生成される天然物のクラスにより媒介可能である。こうした分子は、共通の構造組織を呈するとともに、タンパク質-タンパク質相互作用をモジュレートする能力を提供する機能も結果として呈する。こうした分子は、高度に保存されたプレゼンタータンパク質結合部分と、異なる天然物間で高度の可変性を呈する標的タンパク質相互作用部分と、を含有する。プレゼンタータンパク質結合部分は、プレゼンタータンパク質に対する特異性を付与し、分子をプレゼンタータンパク質に結合させて二元複合体を形成させる。哺乳動物標的タンパク質相互作用部分は、標的タンパク質に対する特異性を付与し、二元複合体を標的タンパク質に結合させて、典型的にはその活性をモジュレートする(たとえば、正又は負にモジュレートする)。
【0263】
こうした天然物は、FKBPやシクロフィリンなどのプレゼンタータンパク質により提示され、タンパク質-タンパク質相互作用に対する拡散性、細胞透過性、経口的生物学的利用性のアダプターとして作用する。例としては、ラパマイシン(シロリムス)、FK506(タクロリムス)、シクロスポリンなどの周知の臨床的に妥当な分子が挙げられる。簡潔に述べると、こうした分子は、内因性細胞内プレゼンタータンパク質FKBP、たとえば、ラパマイシン及びFK506、又はシクロフィリン、たとえば、希釈剤、に結合し、得られるプレゼンタータンパク質結合分子の二元複合体は、細胞内標的タンパク質に選択的に結合してその活性を阻害する。プレゼンタータンパク質と分子と標的タンパク質との間のトリパータイト複合体の形成は、タンパク質-分子相互作用及びタンパク質-タンパク質相互作用の両方により駆動され、両方とも、標的タンパク質の阻害に必要とされる。FKBP-ラパマイシン複合体の例では、細胞内標的はセリントレオニンキナーゼmTORであり、一方、FKBP-FK506複合体では、細胞内標的はホスファターゼカルシニューリンである。先行する2つの例でとくに興味深いのは、FKBP12がラパマイシン及びFK506提示リガンドの両方によりパートナー提示タンパク質として利用されることである。さらに、FKBP12への結合に関与するラパマイシン及びFK506の部分構造成分は、構造的に密接に関連しており、すなわち、いわゆる「保存領域」であるが、非FKBP12結合領域、すなわち「可変領域」では、ラパマイシンとFK506との間にかなりの構造差があり、それぞれ、2つの識別可能な細胞内タンパク質mTOR及びカルシニューリンの特異的標的化をもたらす。このようにして、ラパマイシン及びFK506の可変領域は、プレゼンタータンパク質-標的タンパク質相互作用を可能にするのに必要な結合エネルギーへの寄与因子として機能する。
【0264】
いくつかの実施形態では、本発明のプレゼンタータンパク質/化合物複合体は、複合体がmTOR及び/又はカルシニューリンのそれぞれに結合するときの少なくとも5倍(たとえば、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍)の親和性で標的タンパク質に結合する。
【0265】
いくつかの実施形態では、本発明のプレゼンタータンパク質/化合物複合体は、化合物がプレゼンタータンパク質との複合体で結合されないときの標的タンパク質に対する化合物の親和性の少なくとも5倍(たとえば、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍)の親和性で標的タンパク質に結合する。
【0266】
ある特定の実施形態では、本発明のプレゼンタータンパク質/化合物複合体は、プレゼンタータンパク質が化合物との複合体で結合されてないときの標的タンパク質に対するプレゼンタータンパク質の親和性の少なくとも5倍(たとえば、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍)の親和性で標的タンパク質に結合する。
【0267】
いくつかの実施形態では、本発明のプレゼンタータンパク質/化合物複合体は、標的タンパク質と、リガンド、たとえば、標的タンパク質に特異的に結合するタンパク質又は低分子と、の間の天然に存在する相互作用を阻害する。
【0268】
ある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質がプロリルイソメラーゼである場合、プロリルイソメラーゼ活性はプレゼンタータンパク質/化合物複合体の形成により阻害される。本発明のプレゼンタータンパク質/化合物複合体のいくつかの実施形態では、化合物は、10μM未満(たとえば、5μM未満、1μM未満、500nM未満、200nM未満、100nM未満、75nM未満、50nM未満、25nM未満、10nM未満)のKDで前記プレゼンタータンパク質に特異的に結合するか、又はたとえば、1μM未満(たとえば、0.5μM未満、0.1μM未満、0.05μM未満、0.01μM未満)のIC50でプレゼンタータンパク質に対するペプチジル-プロリルイソメラーゼ活性を阻害する。
トリパータイト複合体
低分子薬剤の大多数は、標的タンパク質上の機能的重要部位に結合することにより作用し、それにより、そのタンパク質の活性をモジュレートする(たとえば、正又は負にモジュレートすること)。たとえば、コレステロール低下薬剤のスタチンは、HMG-CoAレダクターゼの酵素活性部位に結合し、それにより、酵素がその基質にエンゲージするのを防止する。多くのかかる薬剤/標的相互作用ペアが知られているという事実から、適正量の時間、労力、及び資源をかければすべてではないにしてもほとんどのタンパク質に対する低分子モジュレータを発見可能であるという誤った考えに導かれる者が現れうる。このことは真実からはほど遠い。現在の推定値によれば、全ヒトタンパク質の約10%が低分子の標的となりうるにすぎない。残りの90%は、低分子薬剤の発見が面倒又は困難であると現在考えられている。かかる標的は、通常「アンドラッガブル」として参照される。こうしたアンドラッガブル標的には、医学的に重要なヒトタンパク質の莫大なかつほとんど未開発の宝庫が含まれる。それゆえ、かかるアンドラッガブル標的の機能をモジュレート可能な新しい分子モダリティーを発見することに大きな関心が存在する。
【0269】
本発明は、典型的には、低分子は標的との相互作用が接着力により駆動され、その強さは接触表面積にほぼ比例するので、その標的化能力は限られているという認識を包含する。その小サイズが小さいので、低分子が標的タンパク質と効果的に相互作用するのに十分な分子間接触表面積を構築する唯一の方法は、そのタンパク質にそのまま包み込むことである。実際には、多くの一連の実験及び計算の両方のデータから、表面上に疎水性「ポケット」を有するタンパク質のみが低分子に結合できるという見解が支持される。その場合、結合は包込みにより可能になる。疎水性ポケット外でタンパク質に高親和性で結合する低分子の例は1つも存在しない。
【0270】
自然は、低分子と標的タンパク質とを疎水性ポケット以外の部位で相互作用させるストラテジーを進化させてきた。このストラテジーは、天然に存在する免疫抑制剤のシクロスポリンA、ラパマイシン、及びFK506により例示される。これらの薬剤の活性は、低分子と小さい提示タンパク質との高親和性複合体の形成を必要とする。その際、低分子と提示タンパク質との複合表面は、標的にエンゲージする。したがって、たとえば、シクロスポリンAとシクロフィリンAとの間で形成される二元複合体は、高い親和性及び特異性でカルシニューリンを標的とするが、シクロスポリンAもシクロフィリンAも単独ではカルシニューリンに測定可能な親和性で結合しない。
【0271】
多くの重要な治療標的は、他のタンパク質との複合体化によりそれらの機能を発揮する。タンパク質/タンパク質相互作用表面は、これらの系の多くで、極性残基の広い環に取り囲まれた疎水性側鎖の内側コアを含有する。疎水性残基は、エネルギー的に有利な接触のほぼすべてに寄与するので、このクラスターは、タンパク質-タンパク質相互作用のエンゲージメント用の「ホットスポット」として表されてきた。重要なこととして、天然に存在する低分子と小さい提示タンパク質との以上に挙げた複合体では、低分子は、ホットスポットと類似の疎水性機能のクラスターを提供し、タンパク質は、主に極性の残基の環を提供する。言い換えれば、提示された低分子系は、天然タンパク質/タンパク質相互作用系で広く利用される表面アーキテクチャーを模倣する。
【0272】
本発明の化合物(たとえばマクロ環式化合物)は、たとえば、プレゼンタータンパク質(たとえば、FKBPファミリーのメンバー、シクロフィリンファミリーのメンバー、又はPIN1)への結合により以上に記載のプレゼンタータンパク質/化合物複合体を形成し、これを標的タンパク質に結合させてトリパータイト複合体を形成することにより、生物学的プロセスをモジュレート可能である。こうしたトリパータイト複合体の形成は、従来型の結合ポケットを有していない及び/又はアンドラッガブルであるとみなされるタンパク質のモジュレーションを可能にする。プレゼンタータンパク質/化合物複合体は、化合物とプレゼンタータンパク質との間の協同的結合により生物学的プロセスをモジュレート可能である。化合物及びプレゼンタータンパク質は両方とも、単独では標的タンパク質に対して低親和性を有するが、プレゼンタータンパク質/化合物複合体は、標的タンパク質に対して高親和性を有する。協同的結合は、化合物及び/もしくはプレゼンタータンパク質からの原子を含む標的タンパク質の埋没表面積を測定することにより、ならびに/又は化合物及び/もしくはプレゼンタータンパク質の自由結合エネルギー寄与を測定することによる、決定可能である。化合物及びプレゼンタータンパク質のそれぞれの少なくとも1つの原子が標的タンパク質との結合に関与する場合、結合は協同的であるとみなされる。
【0273】
プレゼンタータンパク質/化合物複合体と標的タンパク質との結合は、プレゼンタータンパク質及び化合物の両方の残基を含む組合せ結合部位の形成によりプレゼンタータンパク質又は化合物のいずれでも単独ではできなかった親和性の増加を可能にすることにより達成される。たとえば、トリパータイト複合体中の標的タンパク質の全埋没表面積の少なくとも20%(たとえば、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%)は、化合物への結合に関与する1個以上の原子を含み、及び/又はトリパータイト複合体中の標的タンパク質の全埋没表面積の少なくとも20%(たとえば、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%)は、プレゼンタータンパク質への結合に関与する1個以上の原子を含む。代替的に、化合物は、トリパータイト複合体の全結合自由エネルギーの少なくとも10%(たとえば、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%)に寄与し、及び/又はプレゼンタータンパク質は、トリパータイト複合体の全結合自由エネルギーの少なくとも10%(たとえば、の少なくとも20%の少なくとも25%の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%)に寄与する。
【0274】
いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質/化合物複合体は、標的タンパク質上のフラット表面部位に結合する。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質/化合物複合体中の化合物(たとえばマクロ環式化合物)は、標的タンパク質上の疎水性表面部位、たとえば、少なくとも50%の疎水性残基を含む部位に結合する。いくつかの実施形態では、化合物の原子の1個以上と標的タンパク質の原子の1個以上との間の結合相互作用の少なくとも70%は、ファンデルワールス相互作用及び/又はπ効果相互作用である。ある特定の実施形態では、プレゼンタータンパク質/化合物複合体は、標的タンパク質と標的タンパク質に特異的に結合するタンパク質との間の天然に存在するタンパク質-タンパク質相互作用の部位で標的タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質/化合物複合体は、標的タンパク質の活性部位に結合しない。いくつかの実施形態では、プレゼンタータンパク質/化合物複合体は、標的タンパク質の活性部位に結合する。
【0275】
プレゼンタータンパク質と標的タンパク質とのトリパータイト複合体を形成する本発明の化合物の特徴は、トリパータイト複合体と比較してプレゼンタータンパク質/化合物複合体で主要構造再組織化が欠如していることである。こうした主要構造再組織化の欠如は、プレゼンタータンパク質/化合物複合体が形成されてからトリパータイト複合体の形成に有利な構成に再組織化するエントロピーコストを低くする。たとえば、RMSDの閾値定量は、ピモル(PyMOL)バージョン1.7rc1(シュレーディンガLLC(Schroedinger LLC))中のalignコマンドを用いて測定可能である。代替的に、RMSDは、リグアセイン(LigAlign)(ジャーナル・オブ・モレキュラー・グラフィックス・アンド・モデリング(J.Mol.Graphics and Modelling)、2010年、第29巻、p.93~101)というアルゴリズムのエグゼクティブRMS(ExecutiveRMS)パラメータを用いて計算可能である。いくつかの実施形態では、化合物の構造組織(すなわち、分子の原子及び結合の平均三次元配置)は、標的タンパク質に結合する前のプレゼンタータンパク質/化合物複合体のときの化合物と比較してトリパータイト複合体で実質的に不変である。たとえば、2つのアライメント構造の根平均二乗偏差(RMSD)は1未満である。
【0276】
有用性及び投与
本明細書に記載される化合物及びプレゼンタータンパク質/化合物複合体は、本発明の方法に有用であり、理論により拘束されるものではないが、プレゼンタータンパク質と標的タンパク質との相互作用により、標的タンパク質(たとえば、哺乳動物標的タンパク質や菌類標的タンパク質などの真核生物標的タンパク質又は細菌標的タンパク質などの原核生物標的タンパク質)の活性をモジュレートする(たとえば、正又は負にモジュレートする)能力により望ましい効果を発揮すると考えられる。
【0277】
キット
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明に係る方法を便利かつ効果的に実施するためのキットに関する。一般的には、医薬パック又はキットは、本発明の医薬組成物の1つ以上の成分が充填された1つ以上の容器を含む。かかるキットは、錠剤やカプセル剤などの固体経口製剤の送達にとりわけ適している。かかるキットは、好適には、いくつかのユニット投与量を含み、意図されるその使用順序に合った投与量を記したカードを含みうる。所望により、たとえば、被験体がアルツハイマー病に罹患している場合、たとえば、数字、文字、もしくは他の表示の形式で、又は投与を行いうる期日を治療スケジュールに指定してカレンダーへの書込みを行って、記憶補助を提供可能である。代替的に、医薬組成物の投与量に類似した又はそれとは異なる形でプラセボ投与量又はカルシウム食事サプリメント)を含めて、投与量が毎日摂取されるキットを提供可能である。かかる容器に任意選択的に関連付けられるのは、医薬品の製造、使用、又は販売を規制する政府機関により指定された形態の注意書きでありうる。この注意書きは、ヒトに投与するための製造、使用、又は販売が監督官庁により認可されたことを反映したものである。
【0278】
医薬組成物
ヒト及び動物被験体の治療に使用するために、本発明の化合物は、医薬組成物又は獣医薬組成物として製剤化可能である。治療される被験体、投与モード、及び所望の治療タイプ(たとえば、防止、予防、又は治療)に依存して、化合物は、これらのパラメータに合致した方法で製剤化される。かかる技術の概要は、レミングトン:薬学の科学と実践(Remington:The Science and Practice of Pharmacy)、第21版、リッピンコット・ウイリアムズ・アンド・ウイルキンス(Lippincott Williams & Wilkins)、2005年;及びエンサイクロペディア・オブ・ファーマシューティカル・テクノロジー(Encyclopedia of Pharmaceutical Technology)、J.スワーブリクス(J.Swarbrick)及びJ.C.ボイラン(J.C.Boylan)編、1988-1999年、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)、ニューヨーク(それぞれ参照により本明細書に組み込まれる)に見いだされる。
【0279】
本明細書に記載される化合物は、組成物の全重量の1~95重量%の合計量で存在しうる。組成物は、関節内、経口、非経口(たとえば、静脈内、筋肉内)、経直腸、皮膚、皮下、局所、経真皮、舌下、経鼻、経腟、小胞内、尿道内、髄腔内、硬膜外、経耳、もしくは経眼の投与、又は注射、吸入、又は鼻、泌尿生殖器、生殖器、もしくは口腔粘膜との直接接触に好適な剤形で提供しうる。それゆえ、医薬組成物は、たとえば、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末剤、顆粒剤、サスペンジョン剤、エマルジョン剤、溶液剤、ヒドロゲル剤を含めてゲル剤、ペースト剤、軟膏剤、クリーム剤、硬膏剤、ドレンチ剤、浸透圧送達デバイス、坐剤、浣腸剤、注射剤、インプラント、スプレー剤、イオン泳動送達に好適な調製物、又はエアロゾル剤の形をとりうる。組成物は従来の薬務に従って製剤化しうる。
【0280】
一般的には、治療に使用するために、本明細書に記載される化合物は、単独で又は1つ以上の他の活性剤と組み合わせて使用しうる。本明細書に記載される化合物と組み合される他の医薬の例は、同一の適応症の治療のための医薬を含むであろう。本明細書に記載される化合物と組み合される可能性のある医薬の他の例は、異なるとはいえ関連のある症状又は適応症の治療のための医薬を含むであろう。投与モードに依存して、化合物は、容易な送達を可能にするのに好適な組成物として製剤化されよう。組合せ療法の各化合物は、当技術分野で公知のさまざまな方法に製剤化しうる。たとえば、組合せ療法の第1及び第2の作用剤は一緒に又は個別に製剤化しうる。望ましくは、第1及び第2の作用剤は、作用剤の同時投与又はほぼ同時投与のために一緒に製剤化される。
【0281】
本発明の化合物は、当技術分野で周知のように、本明細書に記載される有効量の化合物と薬学的に許容可能な担体又は賦形剤とを含む医薬組成物として調製及び使用しうる。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも2つの異なる薬学的に許容可能な賦形剤又は担体を含む。
【0282】
製剤は、全身投与又は局所投与に好適な方式で調製しうる。全身製剤は、注射(たとえば、筋肉内、静脈内、皮下の注射)に供すべく設計されたものを含むか、又は経真皮、経粘膜、もしくは経口の投与に供すべく調製しうる。製剤は、一般に、希釈剤さらにはいくつかの場合にはアジュバント、緩衝剤、保存剤などを含むであろう。化合物はまた、リポソーム組成物又はマイクロエマルジョン剤として投与可能である。
【0283】
注射に供する場合、製剤は、液体溶液剤として又はサスペンジョン剤として又は注射前に液体中に溶解もしくは懸濁させるのに好適な固体製剤として又はエマルジョン剤として従来形で調製可能である。好適な賦形剤としては、たとえば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロールなどが挙げられる。かかる組成物はまた、種々の量の非毒性補助物質、たとえば、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤など、たとえば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレートなども含有しうる。
【0284】
薬剤のさまざまな持続放出系も考案されてきた。たとえば、米国特許第5,624,677号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
全身投与としては、比較的非侵襲性の方法、たとえば、坐剤、経真皮パッチの使用、経粘膜送達、及び鼻腔内投与も挙げられうる。経口投与もまた本発明の化合物に好適である。好適な製剤としては、当技術分野で理解されているように、シロップ剤、カプセル剤、及び錠剤が挙げられる。
【0285】
本明細書に記載される組合せ療法の各化合物は、当技術分野で公知のさまざまな方法で製剤化しうる。たとえば、組合せ療法の第1及び第2の作用剤は一緒に又は分割して製剤化しうる。
【0286】
個別に又は分割して製剤化された作用剤は、キットとして一緒にパッケージング可能である。その例としては、限定されるものではないが、たとえば、2丸剤、丸剤+粉末剤、バイアル中の坐剤+液体剤、2局所クリーム剤などを含有するキットが挙げられる。キットは、ユニット用量を被験体に投与するのを支援する任意選択的なコンポーネント、たとえば、粉末形を再構成するためのバイアル、注入用のシリンジ、カスタマイズされたIV送達システム、インヘラーなどを含みうる。そのほかに、ユニット用量キットは、組成物の調製及び投与のための説明書を含有しうる。キットは、一被験体用の単回使用ユニット用量として、特定被験体用の複数回使用として(一定用量で又は治療の進行に合わせて個別の化合物の効力が変化するように)製造しうるか、又はキットは、複数被験体への投与に好適なマルチプル用量を含有しうる(「バルクパッケージング」)。キットのコンポーネントは、カートン、ブリスターパック、ボトル、チューブなどとしてアセンブルしうる。
【0287】
経口使用に供される製剤としては、非毒性の薬学的に許容可能な賦形剤との混合物として活性成分を含有する錠剤が挙げられる。こうした賦形剤は、たとえば、不活性希釈剤又は充填剤(たとえば、スクロース、ソルビトール、糖、マンニトール、微結晶セルロース、ジャガイモデンプンなどのデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム)、顆粒化剤及び崩壊剤(たとえば、微結晶セルロースなどのセルロース誘導体、ジャガイモデンプンなどのデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、又はアルギン酸)、結合剤(たとえば、スクロース、グルコース、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、ナトリウムアルギネート、ゼラチン、デンプン、α化デンプン、微結晶セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミウニム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はポリエチレングリコール)、ならびに滑沢剤、滑剤、及び接着防止剤(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、水素化植物性油、又はタルク)でありうる。他の薬学的に許容可能な賦形剤は、着色剤、風味剤、可塑剤、保湿剤、緩衝剤などでありうる。
【0288】
2つ以上の化合物は、錠剤、カプセル剤、もしくは他の媒体で一緒に混合しうるか、又は分割しうる。一例として、第2の化合物の実質的部分が第1の化合物の放出前に放出されるように、第1の化合物は錠剤の内側にかつ第2の化合物は外側に含有される。
【0289】
経口使用に供される製剤はまた、咀嚼錠剤として、又は活性成分が不活性固体希釈剤(たとえば、ジャガイモデンプン、ラクトース、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、もしくはカオリン)と混合されるハードゼラチンカプセル剤として、又は活性成分が水もしくは油性媒体、たとえば、ラッカセイ油、流動パラフィン、オリーブ油と混合されるソフトゼラチンカプセル剤としても提供しうる。粉末剤、顆粒剤、及びペレット剤は、従来方式で、たとえば、ミキサー、流動床装置、又はスプレードライ装置により錠剤及びカプセル剤の状態の以上に挙げた成分を用いて調製しうる。
【0290】
溶解又は拡散制御放出は、化合物の錠剤、カプセル剤、ペレット剤、又は顆粒剤に適切なコーティングを施すことにより又は適切なマトリックス中に化合物を組み込むことにより達成可能である。制御放出コーティング剤としては、以上に挙げたコーティング物質の1つ以上、及び/又は、たとえば、シェラック、ビーワックス、グリコワックス、カスターワックス、カルナウバワックス、ステアリルアルコール、グリセリルモノステアレート、グリセリルジステアレート、グリセロールパルミトステアレート、エチルセルロース、アクリル樹脂、dlポリ乳酸、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルクロライド、ポリビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メチルメタクリレート、2つのヒドロキシメタクリレート、メタクリレートヒドロゲル剤、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコールメタクリレート、及び/又はポリエチレングリコールが挙げられる。また、制御放出マトリックス製剤では、マトリックス材料として、たとえば、水和メチルセルロース、カルナウバワックス及びステアリルアルコール、カーボポール934、シリコーン、トリステアリン酸グリセリン、メチルアクリレート-メチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、及び/又はハロゲン化フルオロカーボンが挙げられうる。
【0291】
経口投与に供すべく本発明の化合物及び組成物を組み込うる液状製剤としては、メンジツ油、ゴマ油、ココヤシ油、ラッカセイ油などの食用油さらにはエリキシル剤及び類似の医薬媒体を有する、水性溶液剤、好適に風味付けされたシロップ剤、水性又は油性サスペンジョン剤、及び、風味付けされたエマルジョン剤が挙げられる。
【0292】
一般に、ヒトに投与する場合、本発明の組合せの化合物のいずれについてもその経口投与量は、化合物の性質に依存すべきであるが、当業者であれば容易に決定可能である。典型的には、かかる投与量は、通常は約0.001mg~2000mg/日、望ましくは約1mg~1000mg/日、より望ましくは約5mg~500mg/日である。200mg/日までの投与量が必要でありうる。
【0293】
本明細書に記載される組合せ療法の各薬剤の投与は、独立して、1日~1年間にわたり毎日4回でありうるが、さらには被験体の寿命にわたりうる。慢性長期投与が必要となりうる。
【0294】
以下の実施例は、代表的な数の化合物の合成ならびに走化性及び抗菌類活性を誘発するためのこれらの化合物の使用を例示することを意図したものである。したがって、実施例は本発明を限定するではなく例示することを意図したものである。具体的に例示されていない追加の化合物は、本明細書に記載の方法と組み合わせて従来の方法を用いて合成しうる。
【0295】
(実施例)
実施例1.一般的発酵・単離プロトコル
細菌株により合成した化合物は、以下の一般的プロトコルを用いて発酵及び単離しうる。
一般的発酵プロトコル
株:FKBPリガンド(例:F1、F2、F3、又はそれらの構造類似化合物及びアナログ)を生成する細菌株、たとえば、ストレプトマイセス・マレーシエンシス(Streptomyces malaysiensis)DSM41697、他の生成種、又は遺伝子修飾誘導体は、固体培地(例:ISP4)上で無菌的に増殖させた。
【0296】
ワーキングセルバンク:3~14日間にわたり30℃の固体培地プレート上で成長させた培養物に由来する胞子又は菌糸体を用いて液体培養物(例:250mlエルレンマイヤーフラスコ中の40ml ATCC172液体培地)に接種した。2~3日間にわたり30℃で振盪しながら培養物をインキュベートした。得られた細胞懸濁液を無菌50%グリセロールと混合して15~25%グリセロールの最終濃度を含有する混合物を与えた。さらなる使用までグリセロール-菌糸体混合物のアリコート(約1ml)を-80℃の無菌クライオバイアル中で貯蔵した。
【0297】
一次種培養物:一次種培養物(例:250mLエルレンマイヤーフラスコ中の40mL
ATCC172培地)に1mLワーキングセルバンクサスペンジョンを接種した。30℃で2~3日間にわたり200~220rpmで培養物を50.8mm(2インチ)スローの振盪機上でインキュベートした。
【0298】
二次種培養物:二次種培養物(例:500mLエルレンマイヤーフラスコ中の100~200mL ATCC172)に一次種培養物(5%v/v)を接種し、種々のインキュベーション時間(例:18~48h)で以上に記載のようにインキュベートした。
【0299】
フラスコ中の生成発酵:生成発酵は、これらの化合物の生合成を支持する0.5L生成培地(例:培地8430又はその派生物)を含有する1.8Lフェルンバッハ又はエルレンマイヤーフラスコ中で行った。培養物に以上に記載されたように調製された種培養物を2~5%(v/v)で接種し、以上に記載された条件で3~7日間にわたりインキュベートした。
【0300】
バイオリアクター中の生成発酵:生成発酵は、バイオフロ300(BioFlo 300)モジュールにより制御されたバイオリアクター(7.5L容量、ニュー・ブルンスウィック・サイエンティフィック(New Brunswick Scientific)、米国ニュージャージー州)中で行った。5L滅菌培地(例:8430及びその派生物)を含有するバイオリアクターに種培養物(2~5%、v/v)を接種し、溶存酸素量(例:10~50%)、プロペラスピード(例:200~500rpm)、pH(例:pH4.5~7.0)、温度(例:25~35℃)、適切であれば栄養供給などの制御パラメータを用いて又は用いずに3~7日間にわたりインキュベートした。
【0301】
ISP4(1リットル当たり)
可溶性デンプン 10.0g
リン酸二カリウム 1.0g
硫酸マグネシウムUSP 1.0g
塩化ナトリウム 1.0g
硫酸アンモニウム 2.0g
炭酸カルシウム 2.0g
硫酸第1鉄 1.0mg
塩化マンガン 1.0mg
硫酸亜鉛 1.0mg
寒天 20.0g
【0302】
【0303】
表2.ATCC#172媒体(1リットル当たり)
【0304】
【0305】
表3.8430培地
【0306】
【0307】
表4.*R2微量元素溶液
一般的単離プロトコル
特定の化合物を生成する株の発酵ブロスを上清から分離し、遠心分離により微生物ペレットにした。上清中の標的化合物は、ジクロロメタン(DCM)、エチルアセテート(EtOAc)などの水非混和性溶媒を用いた分配抽出により、又はHP20、HP20ssなどの非極性樹脂と混合して固相抽出により、抽出可能である。ペレット中の標的化合物は、エチルEtOAc-メタノール(9:1、v/v)を用いて繰返し(4×)抽出可能である。微生物抽出物は真空中で濃縮すべくプールする。この抽出物に、HP20ビーズ(メタノール(MeOH)、DCM、アセトニトリル、イソプロパノール(IPA)などの有機溶媒を用いた)及び/又は元の上清の液/液抽出の有機相から溶出させた物質を添加可能である。
【0308】
合わせた抽出物をセライト(Celite)に通して濾過し、真空中で乾燥させて一次粗製物を生成し、そしてこの物質を秤量する。一次粗製物を最小限の100%MeOH又はDCMとテトラヒドロフラン(THF)との混合物に溶解させる。これにシリカゲル粉末などの結合培地をフラスコ内で添加し、真空中で再乾燥させて順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーに供する。カラム床の粗製物とシリカゲルとの比は、好適には約1:5(wt/wt)である。ステップグラジエント、リニアグラジエント、又はアイソクラチック溶出条件を用いて、レディセップ(RediSep)(登録商標)順相シリカ・フラッシュカラムにより、粗物質を分画が可能である。溶出溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、エチルアセテート、エタノール、アセトン、イソプロパノール、毛髪も他の有機溶媒又は組合せを含みうる。富化標的化合物を有する画分をプールし、乾燥させて、LC/MS分析及び/又は薄層クロマトグラフィー(TLC)分析後、さらなる精製に供する。
【0309】
ウォーターズ・スフェリソーブCN(Waters Spherisorb CN)、ウォーターズ・プレプ・シリカ(Waters Prep Silica)、又はクロマシル60-5DIOL(Kromacil 60-5DIOL)などの順相調製又は特定分取HPLCカラムを介してさらなる精製を達成可能である。溶出溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、エチルアセテート、エタノール、アセトン、イソプロパノール、もしくは他の有機溶媒、又は組合せが挙げられうる。富化又は純粋標的化合物を有する画分をプールし、乾燥させて、LC/MS分析及び/又は薄層クロマトグラフィー(TLC)分析後、さらなる後処理に供する。
【0310】
追加の精製は、極性、溶解度などの濃縮物質及び標的化合物の性質の複雑性に依存して各種の逆相分取HPLCで達成可能である。分離使用した逆相分取HPLCカラムには、ウォーターズ・サンファイア調製C18 OBD(Waters Sunfire Prep C18 OBD)、ウォーターズ・エックスブリッジ調製C18 OBD(Waters Xbridge Prep C18 OBD)、クロマシルC4(Kromacil C4)、サーモ・アクレイム・ポーラ・アドバンテージ2(Thermo Acclaim Polar Advantage 2)、及びフェノメネックスC18(Phenomenex Luna C18)が含まれる。共通溶媒系は、0.1%ギ酸又は0.01%トリフルオロ酢酸調整剤又は25mMギ酸アンモニウム緩衝剤を用いた又は用いない水とアセトニトリル又はメタノールとの混合物である。溶出モードは、リニアグラジエント又はアイソクラチックのいずれかでありうる。純粋標的化合物を有する画分をプールし、乾燥させて、LC/MS分析及び/又は薄層クロマトグラフィー(TLC)分析後、さらなる後処理に供する。
【0311】
純粋化合物を含有する画分を後処理及び乾燥プロセスに付して純粋固体材料を得る。ある特定の標的化合物は、逆相カラムクロマトグラフィー精製後、エチルアセテート又はジクロロメタンを用いて水性マトリックスから可能である。溶媒除去及び乾燥の技術には、ロタバップ(rotavap)、スピードバック(speedvac)、及び凍結乾燥が含まれる。精製標的化合物の純度及び化学構造は、LC-MS(/MS)及びNMR技術により決定される。
【0312】
実施例2.F2及びF3の単離
F1(目標質量595)、F2(目標質量609)、及び化合物3(目標質量623)を生成するストレプトマイセス・マレーシエンシス(Streptomyces malaysiensis)の10L発酵ブロス(NRRL B-24313、ATCC BAA-13、DSM41697、JCM10672、KCTC9934、NBRC16446、CGMCC、4.1900、IFO16448)は、遠心分離により分離した。F1及びF2は、清澄ブロス及び微生物ペレットの両方に存在する。上清中の目標化合物は、体積比(1:1、v/v)でEtOAcを用いて1回抽出した。ペレットは、各抽出のために1時間~1.5時間にわたりオーバーヘッド撹拌機で撹拌しながら1.5LのEtOAc-MeOH(9:1、v/v)で3倍に抽出した。有機抽出物はセライト(Celite)に通して濾過した。合わせた濾液を乾燥するまで35℃で蒸発させて約30gの粗抽出物を与えた。次いで、残渣を90mLのDCM-THF(80:20、v/v)中に溶解させ、これに60gのシリカゲルを35℃で添加し、そして真空中で乾燥させた。乾燥残渣/シリカ混合物を120gレディセップ(RediSep)シリカゴールドカートリッジ上に負荷した。100%ヘプタン~ヘプタン-EtOAc(6:4、v/v)を用いてリニアグラジエントで化合物を85mL/minで30分間溶出させ、 テレダインISCOコンビフラッシュ Rf(Teledyne ISCO Combiflash
Rf)装置を用いて50mL/画分で捕集した。
【0313】
TLCによりF2富化画分をヘプタン中20%~30%EtOAcで溶出させた。次いで、プール画分を35℃で濃縮して900mg富化F2物質を提供し、これをシリカゲルカートリッジでさらに再精製した。約1mLのDCMを用いて画分を溶解させ、そして1.8gのシリカゲルを添加した。乾燥混合物を80gレディセップ(RediSep)シリカゴールドカートリッジ上に負荷した。100%ヘプタン~ヘプタン-EtOAc(6:4、v/v)を用いてリニアグラジエントで化合物を60mL/minで30分間溶出させ、50mL/画分で捕集した。TLCによる純粋画分25~28を合わせて35℃真空中で溶媒除去に供し、構造解明及び動物実験のために300mgの純粋F2(β形)を得た。
【0314】
F2:1H NMR(500MHz,ベンゼンd6)δ7.20-7.13(m,4H),7.0-7.05(m,1H),5.82(s,1H),5.79-5.69(m,2H),5.51(m,1H),5.46-5.35(m,3H),4.60(d,J=12Hz,1H),3.98-3.90(m,1H),3.63(dqd,J=13,6.5,3.0Hz,1H),3.22(d,J=3.6Hz,1H),3.07(td,J=12,2.8Hz,1H),3.00(t,J=9.9Hz,1H),2.93(dd,J=13,4.4Hz,1H),2.63-2.54(m,3H),2.20(d,J=13Hz,1H),2.11-2.03(m,1H),1.99-1.86(m,2H),1.79-1.71(m,1H),1.68-1.60(m,1H),1.51-1.47(m,1H),1.45(d,J=6.6Hz,3H),1.37(m,4H),1.31(m,1H),1.30(d,J=6.6Hz,3H),1.29-1.22(m,2H),1.16-1.08(m,1H),1.04-0.94(m,1H),0.82(t,J=7.4Hz,3H),0.69(d,J=6.7Hz,3H)。13C
NMR(125MHz,ベンゼンd6)δ209.9,169.7,167.5,141.3,132.2,129.6,129.4,128.7,128.0,127.7,126.4,98.2,79.7,75.5,71.1,51.9,46.9,44.2,44.0,40.4,36.2,35.3,35.3,35.2,34.0,33.3,25.4,25.3,22.5,21.1,17.4,17.1,11.6,9.7。HR-MS[M+Na]+:計算値[C36H51NO7+Na]+632.3563、観測値632.3569。
【0315】
TLC及びLC-MS分析により化合物3富化画分をヘプタン中30%~40%EtOAcで溶出させた。次いで、プール画分を35℃で濃縮して500mg富化化合物3物質を提供し、サーモ・ポーラ・アドバンテージII(Thermo Polar Advantage II)カラム(5μm、250×21.2mm)で逆相分取HPLCにより再精製した。分取HPLC条件には、水中70%アセトニトリル+0.1%ギ酸、アイソクラチック溶出モード、15mL/min、254nmが含まれていた。富化化合物3サンプルを10mLメタノールに溶解させ、繰返し10回の注射に供した。23.5分の時点で目標化合物3ピークを捕集した。分取HPLCプール画分からEtOAcで抽出した後、真空中で有機溶媒除去し、250mg純粋化合物3を得た。続いて、その化学構造を各種のLC-MS及びNMR技術により決定した。
【0316】
F3:1H NMR(500MHz,ベンゼンd6,回転異性体の1:1混合物)δ7.30(m,1H),7.20-7.10(m,6H),7.10-7.06(m,3H),7.00(m,2H),5.65-5.55(m,2H),5.45(m,1H),5.25-5.15(m,2H),4.98(dd,J=15,7.3Hz,1H),4.89(dd,J=8.9,5.0Hz,1H),4.67(dd,J=15,8.8Hz,1H),4.45(m,2H),4.20(m,1H),4.13(m,1H),3.87(m,1H),3.57(m,2H),3.35-3.05(m,3H),2.72(m,2H),2.65-2.50(m,2H),2.50-2.30(m,6H),2.08(m,1H),1.93(m,1H),1.80-0.90(m,50H)[1.71(d,J=6.8Hz,3H),1.54(d,J=6.8Hz,3H)],1.24(d,J=6.5Hz,3H),1.18(d,J=6.6Hz,3H),1.08(d,J=6.8Hz,3H),1.01(m,J=6.7Hz,3H)],0.73(t,J=7.5Hz,3H),0.69(t,J=7.5Hz,3H)。13CNMR(125MHz,ベンゼンd6)δ201.5,199.9,197.8,191.6,170.4,169.5,166.8,166.6,145.4,144.8,140.6,140.5,133.9,131.3,129.7,129.4,129.3,128.8,128.8,128.4,128.3,126.6,126.5,126.0,100.0,99.3,80.6,78.2,73.1,72.4,71.7,70.6,57.1,52.6,51.9,51.1,45.8,45.4,44.2,42.5,42.2,39.8,35.8,35.7,35.6,34.1,33.6,33.4,29.9,29.9,29.3,28.2,27.4,27.1,25.1,25.1,22.3,22.2,21.3,21.2,16.6,16.2,14.6,13.7,11.2,11.1,10.6,9.5。HR-MS[M+H]+:計算値[C36H49NO8+H]+624.3536、観測値624.3547。
【0317】
実施例3.F22の単離
組換え株S1806から生成された10L発酵ブロスを遠心分離してペレット及び上清を得た。ペレットを1.5LのEtOAcMeOH(9:1、v/v)で3回抽出した。有機溶媒と組み合わせて真空中で濃縮し、1.8g粗抽出物を得た。これに2mLヘプタン-THF(4:1、v/v)を添加して溶解させ、次いで2gセライト(Celite)を添加し、30℃でロータリーエバポレータにより溶媒を除去した後、乾燥混合物を得た。乾燥残渣/セライト混合物をカラムクロマトグラフィー用の40gレディセップ(RediSep)シリカゴールドカートリッジに負荷した。100%n-ヘプタン~ヘプタン(v/v)中40%EtOAcのリニアグラジエント溶出により20mL/minで25分にわたり50mL/画分で捕集して化合物を分画した。F22(目標質量607)は、LC-MS分析により同定された画分14で主に富化した。次いで、画分14を30℃の真空中で乾燥させて17.8mg固体材料を与え、これをサーモ・ポーラ・アドバンテージII(Thermo Polar Advantage II)カラム(5μm、250×21.2mm)の分取HPLCによりさらに精製した。分取HPLC条件には、水中90%アセトニトリル+0.1%ギ酸、アイソクラチック溶出モード、15mL/min、254nmが含まれていた。サンプルを1.78mLメタノールに溶解させ、繰返し5回の注射に供した。11.5分の時点で目標F22ピークを捕集した。真空中で溶媒除去後、3.64mgの純粋F22を得た。続いて、その化学構造を各種のLC-MS/MS及びNMR技術により決定した。
【0318】
実施例4.所定化合物の合成
装置:
アジレント(Agilent)SD-1システムを用いた分取HPLCにより精製を行った。エレクトロスプレーLC/MS分析は、アジレント(Agilent)1260シリーズLCポンプを備えたアジレント1260インフィニィティ(Agilent 1260 Infinity)システムを用いて行った。使用した方法は以下の通りであった。
【0319】
分析HPLC法1:
アジレント・ゾルバックス・エクステンド(Agilent Zorbax Extend)C-18逆相カラム(2.1×50mm)、1.8μm:
溶媒A:水+0.1%ギ酸
溶媒B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
流量:0.5mL/min
注入量:5μl
カラム温度:40℃
グラジエント:
【0320】
【0321】
分析HPLC法2:
サーモサイエンティフィック・アクレイム・ポーラ・アドバンテージII(ThermoScientific Acclaim,Polar Advantage II)、4.6×150mm、5μm
溶媒A:水+0.1%ギ酸
溶媒B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
流量:0.8mL/min
注入量:5μl
カラム温度:40℃:
アイソクラチック:
【0322】
【0323】
エレクトロスプレーUHPLC/MSは、アジレント(Agilent)1290シリーズLCポンプを備えたアジレント1290インフィニィティ(Agilent 1290 Infinity)システムを用いておなた。使用したカラムは同一であった。
【0324】
分析UHPLC法1:
アジレント・ゾルバックス・エクステンド(Agilent Zorbax Extend)C-18逆相カラム(2.1×50mm)、1.8μm:
溶媒A:水+0.1%ギ酸
溶媒B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
流量:0.5mL/min
注入量:5μl
カラム温度:40℃
グラジエント:
【0325】
【0326】
精製方法A:アクレイム・ポーラ・アドバンテージII(ACCLAIM Polar
Advantage II)(21.2x250mm)カラムを用いて行った。流量17mL/min、アイソクラチック70%B。溶媒Aは0.1%水性ギ酸であり、溶媒Bは0.1%ギ酸を含有する100%アセトニトリルであった。
【0327】
F11の合成
(2S)-1-((4R,7S)-7-((2R,3S,4R,11S,12R)-12-ベンジル-3,11-ジヒドロキシ-4-メチルテトラデカン-2-イル-2-ヒドロキシ-4-メチル-3-オキソオキセパン-2-カルボニル)ピペリジン-2-カルボン酸C-11ラクトン.F11の合成
【0328】
【0329】
窒素下の(2S)-1-((4R,7S)-7-((2R,3S,4R,6E,9E,11R,12R)-12-ベンジル-3,11-ジヒドロキシ4-メチルテトラデカ-6,9-ジエン2-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-3-オキソオキセパン-2-カルボニル)ピペリジン-2-カルボン酸C-11ラクトン(5mg、8.2μmol)と10%パラジウム担持カーボン(2mg)とスターラビーズとの混合物にエチルアセテート(1mL)を添加した。フラスコに水素を充填し、激しく1.5時間撹拌した。水素の雰囲気を窒素で置き換え、反応系をセライトに通して濾過した。より多くのエチルアセテートでセライトパッドを洗浄し、真空中で溶媒を蒸発された。グラジエント溶出エチルアセテート:ヘキサン40:60~100:0でシリカゲルクロマトグラフィーにより残渣を精製して標記化合物を与えた。
【0330】
1H NMR(CDCl3,500MHz):δ7.28(m,2H),7.19(m,1H),7.13(d,J=6.98Hz,2H),5.65(s,1H),5.26(d,J=4.92Hz,1H),5.11(m,1H),4.67(d,J=13.02Hz,1H),4.02(dd,J=10.67,1.13Hz,1H),3.35(m,1H),3.23-3.10(m,2H),2.72(dd,J=13.85,5.50Hz,1H),2.50(dd,J=13.93,9.25Hz,1H),2.39(m,1H),1.95-1.73(m,5H),1.71-1.15(m,25H),1.03(d,J=6.71Hz,3H),0.85(t,J=7.42Hz,3H),0.79(d,J=6.82Hz,3H)ppm。13C NMR(CDCl3,500MHz):δ210.5,170.3,167.4,140.5,129.0,128.3,126.0,97.8,79.1,76.9,71.1,52.0,45.9,43.9,43.5,39.9,36.3,35.1,33.1,32.3,31.9,29.1,27.9,27.1,25.8,25.1,23.4,22.1,21.1,20.0,17.0,16.6,11.5,8.9ppm。
MS(ESI):(C36H55NO7+H)+に対する計算値614.4057、実測値614.4066。
【0331】
F24の合成
(S)-1-(2-((2R,3R,6S)-6-((2R,3R,4S,6E,9E,11R,12R)-12-ベンジル-3,11-ジヒドロキシ-4-メチル-5-オキソテトラデカ-6,9-ジエン2-イル-2-ヒドロキシ-3-メチルテトラヒドロ-2-H-ピラン-2-イル-2-オキソアセチル)ピペリジン-2-カルボン酸C-11ラクトンの合成
【0332】
【0333】
窒素の下のエチルアセテート(1mL)中のF3(24.2mg、36.7μmol)の溶液に10%Pd/C(12mg、50%w/w)を添加した。フラスコに水素を充填し、サスペンジョンを室温で30分間撹拌した。水素を窒素で置き換え、次いで、反応混合物をセライトに通して濾過した。真空下で濾液を濃縮して24mgの粗生成物を与え、その一部を方法Aにより精製して白色固体(11mg、47.8%)としてテトラヒドロWDB-003を与えた。TLC:(50/50ヘプタン/エチルアセテート)Rf=0.45。
【0334】
1H NMR(400MHz,C6D6,回転異性体の1:0.3混合物,アステリスク(*)は副異性体に関連するピークを表す)δ7.25-7.0(m,5H),6.18*(s,1H),5.33-5.28(m,2H),5.11*(d,J=12Hz,1H),4.92*(m,1H),4.45*(d,J=12Hz,1H),4.24(m,1H),4.06*(td,J=8Hz,1H),3.40(dd,J=4Hz,1H),3.88(t,J=8Hz,1H),3.65(d,J=12Hz,1H),3.30(td,J=12Hz,1H),3.02*(td,J=12,4Hz,1H),2.84*(m,1H),2.74(dd,16,8Hz,1H),2.65(q,8Hz,1H),2.61-2.48(m,2H),2.38-2.09(m,5H),1.73-1.54(m,6H),1.47-1.02(m,28H),0.90(m,4H),0.80(t,J=8Hz,3H),0.73*(t,J=8Hz,3H)ppm。13C NMR(400MHz,C6D6)δ:212.59,197.51,170.64,166.70,140.93,129.39,128.77,128.17,127.94,126.43,99.30,76.54,72.64,71.61,52.46,51.24,46.46,45.30,41.62,40.82,36.20,35.31,32.09,29.96,29.47,27.67,26.17,25.71,24.92,22.57,21.78,21.59,16.59,13.68,11.49,10.37ppm。MS(ESI):(C36H53NO8+Na)+に対する計算値650.37、実測値650.3。
【0335】
F25の合成
(2S)-1-((4R,7S)-7-((2R,3R,4S,11S,12R)-12-ベンジル-3,11-ジヒドロキシ-4-メチル-5-オキソテトラデカン-2-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-3-オキソオキセパン-2-カルボニル)ピペリジン-2-カルボン酸C-11ラクトンの合成。
【0336】
【0337】
窒素下のジクロロメタン(2mL)中の(S)-1-(2-((2R,3R,6S)-6-((2R,3R,4S,6E,9E,11R,12R)-12-ベンジル-3,11-ジヒドロキシ-4-メチル-5-オキソテトラデカ-6,9-ジエン-2-イル)-2-ヒドロキシ-3-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル-2-オキソアセチル)ピペリジン-2-カルボン酸C-11ラクトン-F24(18.8mg、30.1μL)とトリエチルアミン(4.0μL、30.1μL)との氷冷溶液。得られた溶液を0℃で15分間撹拌し、次いで、室温で2時間加温した。反応系を0℃まで冷却させ、トリエチルアミン(4.0μL、30.1μL)及びtert-ブチルジメチルシリル・トリフルオロメタンスルホネート(6.9μL、30.1μmol))の第2の部分を添加した。反応系を再び室温に加温し、窒素下で16時間撹拌した。ジクロロメタン(10mL)及び0.5M水性重炭酸ナトリウム溶液(10mL)を添加し、有機層を分離し、5%ブライン溶液(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、そして濾液を真空中で濃縮した。方法Aを用いて粗生成物を精製することにより出発物質を白色固体(2.52mg)として、標記化合物(4.51mg)を白色固体として与えた。
【0338】
1H NMR(400MHz,C6D6)δ7.26-7.16(m,4H),7.07(tt,J=6.4,2Hz,1H),5.58(s,1H),5.39(d,J=4.8Hz,1H),5.17(m,1H),4.67(d,J=12.4Hz,1H),4.29(d,J=10.8Hz,1H),3.42(m,1H),3.06(td,J=11.2,2.8Hz,1H),2.92(t,J=10Hz,1H),2.85(m,1H),2.75(s,1H),2.66(dd,J=14,5.6Hz,1H),2.52(dd,J=14,9.2Hz,1H),2.35(m,1H),2.28(m,1H),1.84(m,2H),1.68-1.59(m,2H),1.46-1.06(m,23H),0.88(m,4H),0.82(t,3H,J=7.2Hz)ppm。
13C NMR(400MHz,C6D6)δ:226.15,210.53,209.8,179.03,167.59,140.84,129.40,128.77,128.18,127.9,126.45,98.16,79.21,76.85,70.48,52.20,46.07,44.46,43.88,42.76,36.67,35.30,35.14,32.88,30.53,27.94,25.49,25.32,24.57,22.39,21.36,20.72,16.98,15.16,11.68,9.08ppm。MS(ESI):(C36H53NO8+Na)+に対する計算値+650.37、実測値650.3。
【0339】
実施例5.シクロスポリンアナログの合成
一般的プロトコル
溶液相ペプチド合成を用いて、たとえば、リー(Li)ら著、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem)、2000年、第65巻、p.2951に従って、シクロスポリンの2,000種を超えるアナログが作製されている。シクロスポリンのアミノ酸配列:シクロ-(D-Ala8-MeLeu9-MeLeu10-MeVal11-MeLeu1-Nva2-Sar3-MeLeu4-Val5-MeLeu6-Ala7)において、D-Ala8~Sar3のポリペプチドストレッチは、シクロフィリンAへの結合の大部分を担う「定常」領域とみなしうる。したがって、シクロフィリン結合を保存するシクロスポリンアナログは、MeLeu4-Val5-MeLeu6-Ala7フラグメントのテトラペプチドサロゲートの合成、次いで伸長及び環化により作製可能である。
【0340】
シクロ-(D-Ala8-MeLeu9-MeLeu10-MeVal11-MeLeu1-Nva2-Sar3-Gly4-Gly5-Gly6-Gly7)の合成の特定例では、2,6-ルチジン及びBDMP(5-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)-3,4-ジヒドロ-1-メチル2H-ピロリウムヘキサクロロアンチモネート)の存在下でFmoc-Gly-OHとAla-OBzlとをカップリングさせてFmoc-Gly-Gly-OBzlを生成する。ジエチルアミンによるFmoc基の除去及び続くFmoc-Gly-OHとのカップリング(BDMPによって促進される)により、Fmoc-Gly-Gly-Gly-OBzlを生成する。Fmoc除去とFmoc-Gly-OHカップリングとの繰返しにより、Fmoc-Gly-Gly-Gly-Gly-OBzを生成する。この好適に保護されたテトラペプチドは、リー(Li)らにより提供された方法に従ってシクロスポリンアナログのシクロ-(D-Ala8-MeLeu9-MeLeu10-MeVal11-MeLeu1-Nva2-Sar3-Gly4-Gly5-Gly6-Gly7)に変化させることが可能である。
【0341】
実施例6.本発明の環式ペプチド化合物の合成
一般的プロトコル
イシザワ(Ishizawa)ら著、米国化学会誌(J.Am.Chem.Soc.)、2013年、第135巻、p.5433に記載の一般的方法を使用可能である。末端がカルボン酸及び(2-クロロアセトアミド)-アシル化アミン(両方向)である合成定常領域を調製する。続いて、Fmoc-Gly-Wang樹脂から出発して標準的Fmoc固層ペプチド合成(SPPS)を用いてペプチド可変領域を調製する。後でマクロ環化を行うようにシステイン残基を内側位置に組み込む。線状ポリペプチドと合成定常領域とをカップリングさせ、次いで、トリフルオロ酢酸を用いて樹脂から切り離す。マクロ環化を促進するために、ペプチド化DMSO中においてトリエチルアミンで処理する。
【0342】
実施例7.化合物とシクロフィリンAとの結合
以下のプロトコルを用いて本発明の化合物とシクロフィリンAとの結合を決定可能である。
【0343】
一般的プロトコル
このプロトコルでは、パーキン・エルマー・アルファLISA(Perkin Elmer AlphaLISA)技術プラットフォームを利用してビオチン化シクロスポリンAとFLAGタグ付きシクロフィリンAとの結合の阻害を測定することによりシクロスポリンアナログを検出する。
【0344】
試薬:10×TBST緩衝剤(ボストン・バイオプロダクツIBB-181(Boston BioProducts IBB-181))、ビオチン化シクロスポリンA(自社製)、FLAGタグ付きシクロフィリンA(自社製)、抗FLAGドナービーズ(パーキン・エルマーAS103(PerkinElmer AS103))及びストレプトアビジンアクセプタービーズ(パーキン・エルマー(PerkinElmer AL125))、DMSO(自社製)中の化合物、シクロスポリンA(LC Labs Cat# C-6000)。
【0345】
装置:バイオテック・シナジー2(Biotek Synergy2)、ジャヌスMTDヘッド・ピペッター(Janus MTD Head pipettor)、エッペンドルフ・リピート・ピペッター(Eppendorf Repeat Pipettor)。
【0346】
供給品:白色96ウェルコーニング(Corning)1/2エリア・プレート(Cat#3642)、96ウェルポリプロピレン・フル・スカート(180μl)PCRプレート、ジャヌスMTDヘッド・ピペッター(Janus MTD Head pipettor)用96ウェルビアフロー(Viaflow)P20チップ)。
【0347】
実験プロトコル/アッセイ内容:20μLの6nMビオチン化CsA使用ストックを96ウェルプレートの各ウェルに添加する。ジャヌスMTDヘッド(Janus MTD Head)及びP20チップ(対照ウェルを除く)を用いてプレートの各ウェルに1μLの試験化合物(100%のDMSO)を添加する。1μLのDMSOを陰性対照ウェルに及び1μLの500μMシクロスポリンA溶液を陽性対照ウェルに添加する。暗所で20μLの組合せドナー/アクセプタービーズを各ウェルに添加する。室温での30分間にわたり暗所でインキュベートする。暗所で、10μLの25nMFlagタグ付きCypA使用ストックを各ウェルに添加する。室温で60分間にわたり暗所でインキュベートする。バイオテック・シナジー2(Biotek Synergy2)プレートリーダ(アルファリサ(Alphalisa)96ウェルプロトコル(680励起/615発光))で読み取ることまでプレートを光から保護する。
【0348】
結果:104種のシクロスポリンアナログとシクロフィリンAとの結合親和性は、表5に示されるように決定された。
【0349】
【0350】
【0351】
表5.シクロスポリンアナログのシクロフィリンA結合
実施例8.化合物とFKBP12との結合
本発明の化合物とFKBP12との結合は、以下のプロトコルを用いて決定可能である。
【0352】
一般的プロトコル
このプロトコルでは、パーキン・エルマー・アルファLISA(Perkin Elmer AlphaLISA)技術プラットフォームを利用してビオチン化FK506とFLAGタグ付きFKBP12との結合の阻害を測定することによりFKBP結合剤を検出する。
【0353】
試薬:10×TBST緩衝剤(ボストン・バイオプロダクツIBB-181(Boston BioProducts IBB-181))、ビオチン化FK506(自社製)、FLAGタグ付きFKBP(自社製)、抗FLAGドナービーズ(パーキン・エルマーAS103(PerkinElmer AS103))及びストレプトアビジンアクセプタービーズ(パーキン・エルマー(PerkinElmer AL125))、DMSO(自社製)中の化合物、FK506。
【0354】
装置:バイオテック・シナジー2(Biotek Synergy2)、ジャヌスMTDヘッド・ピペッター(Janus MTD Head pipettor)、エッペンドルフ・リピート・ピペッター(Eppendorf Repeat Pipettor)。
【0355】
供給品:白色96ウェルコーニング(Corning)1/2エリア・プレート(Cat#3642)、96ウェルポリプロピレン・フル・スカート(180μl)PCRプレート、ジャヌスMTDヘッド・ピペッター(Janus MTD Head pipettor)用96ウェルビアフロー(Viaflow)P20チップ)。
【0356】
実験プロトコル/アッセイ内容:20μLの12.5nMFKBP-FLAG使用ストックを96ウェルプレートの各ウェルに添加する。ジャヌスMTDヘッド(Janus MTD Head)及びP20チップ(対照ウェルを除く)を用いてプレートの各ウェルに1μLの試験化合物(100%のDMSO)を添加する。1μLのDMSOを陰性対照ウェルに及び1μLの500μM FK506溶液を陽性対照ウェルに添加する。暗所で20μLの組合せドナー/アクセプタービーズを各ウェルに添加する。室温での30分間にわたり暗所でインキュベートする。暗所で、10μLの5nMビオチン化FK506使用ストックを各ウェル添加する。室温での60分間にわたり暗所でインキュベートする。バイオテック・シナジー2(Biotek Synergy2)プレートリーダ(アルファリサ(Alphalisa)96ウェルプロトコル(680励起/615発光))で読み取ることまでプレートを光から保護する。
【0357】
結果:選択された化合物のFKBP12結合は、表6に示されるように決定された。
【0358】
【0359】
表6.FKBP12結合
実施例9.化合物とFKBP12との結合を測定するSPRプロトコル
このプロトコルでは、方法として表面プラズモン共鳴(SPR)を利用して化合物(アナライト)と固定化FKBP12(リガンド)との結合の速度論(KD、Ka、Kd)を決定する。
【0360】
試薬:100%DMSO(自社製)中の化合物、10×HBS-P+緩衝剤(GEヘルスケア(GE Healthcare)BR-1006-71)、アッセイ緩衝剤(1×HBS-P+緩衝剤、1%DMSO)、12×HISタグ付きFKBP12(自社製)。
【0361】
装置:Biacore(商標)X100(GEヘルスケア(GE Healthcare))。
供給品:NTAセンサーチップ(GEヘルスケア(GE Healthcare)BR-1000~34)。
【0362】
実験プロトコル:実験は25℃で行う。12×HISタグ付きFKBP12のストック溶液をアッセイ緩衝剤で100nMに希釈する(最終1%DMSO)。約500~600RUのFKBP12を活性化NTAチップの2つのフローセルの1つ上に固定する。第2のフローセルは、アナライトとセンサーチップとの非特異的互作用の参照として活性化されない。同一のアッセイ緩衝剤で段階希釈(最終1%DMSO)した種々の濃度の化合物(1nM~1μMの範囲)を10μl/minの流量でFKBP12表面及び参照表面の上に注入する。アナライト注入間で表面を350mM EDTAで再生させる。
【0363】
データフィッティング:データフィッティングのためにバイオエバルエーション(BiaEvaluation)ソフトウェアプログラムを使用する。データはすべて、参照フローセル及び緩衝剤注入の両方に対して参照分を差し引く。速度論的解析のためにデータを1:1相互作用モデルにローカルフィッティングする。
【0364】
【0365】
表7.FKBP12結合データ
実施例10.SPRによるF2及びF11とFKBP12との結合の決定
このプロトコルでは、方法として表面プラズモン共鳴(SPR)を利用してF2及びF11(アナライト)と固定化FKBP12(リガンド)との結合の速度論(KD、Ka、Kd)を決定する。
【0366】
試薬:100%DMSO(自社製)中のF2及びF11、10×HBS-P+緩衝剤(GEヘルスケア(GE Healthcare)BR-1006-71)、アッセイ緩衝剤(1×HBS-P+緩衝剤、1% DMSO)、12×HISタグ付きFKBP12(自社製)。
【0367】
装置:Biacore(商標)X100(GEヘルスケア(GE Healthcare))。
供給品:NTAセンサーチップ(GEヘルスケア(GE Healthcare)BR-1000~34)。
【0368】
実験プロトコル:実験は25℃で行う。12×HISタグ付きFKBP12のストック溶液をアッセイ緩衝剤で100nMに希釈する(最終1%DMSO)。約500~600RUのFKBP12を活性化NTAチップの2つのフローセルの1つ上に固定する。第2のフローセルは、アナライトとセンサーチップとの非特異的互作用の参照として活性化されない。同一のアッセイ緩衝剤で段階希釈(最終1%DMSO)した種々の濃度のF2又はF11(1nM~1μMの範囲)を10μl/minの流量でFKBP12表面及び参照表面の上に注入する。アナライト注入間で表面を350mM EDTAで再生させる。
【0369】
データフィッティング:データフィッティングのためにバイオエバルエーション(BiaEvaluation)ソフトウェアプログラムを使用する。データはすべて、参照フローセル及び緩衝剤注入の両方に対して参照分を差し引く。速度論的解析のためにデータを1:1相互作用モデルにローカルフィッティングする。
【0370】
結果:F2とFKBP12との結合の値は、Ka(1/Ms):4.50×104、Kd(1/s):5.94×10-4、及びKD:13.2nMである。
F11とFKBP12との結合の値は、Ka(1/Ms):5.67×105、Kd(1/s):8.8×10-3、及びKD:15.6nMである。
【0371】
実施例11.化合物の細胞透過性の決定
化合物の細胞透過性は以下のプロトコルを用いて決定する。
一般的プロトコル
このプロトコルでは、修飾FKBP又はシクロフィリン不安定化突然変異体を利用して全細胞アッセイでFKBP結合性化合物又はシクロフィリン結合性化合物のバイオ活性を決定する。
【0372】
試薬:DMEM、フェノールレッドを含まないDMEM、10%FBS、1×ナトリウムピルベート、1×グルタマックス(Glutamax)。各ウェルに化合物と共に125μlの培地を添加する。
【0373】
装置:バイオテック・シナジー2(Biotek Synergy2)、ジャヌスMTDヘッド・ピペッター(Janus MTD Head pipettor)、エッペンドルフ・リピート・ピペッター(Eppendorf Repeat Pipettor)。
【0374】
供給品:白色96ウェルコーニング(Corning)1/2エリア・プレート(Cat#3642)、96ウェルポリプロピレン・フル・スカート(180μl)PCRプレート、ジャヌスMTDヘッド・ピペッター(Janus MTD Head pipettor)用96ウェルビアフロー(Viaflow)P20チップ)。
【0375】
実験プロトコル/アッセイ内容:Hela-FKBP12細胞(FKBP結合化合物に対して)又はHeLa-CyclophilinA細胞(シクロフィリン結合化合物に対して)をプレーティングし、5k/ウェルで一晩(約18時間)シードする。マルチチャネルピペットを用いて、古い培地を取り出して化合物と共に約125ulの新しい培地を添加する。フェノールレッドを含まないDMEM、10%FBS、1×ナトリウムピルベート、1×グルタマックス(Glutamax)を用いて化合物を希釈する。各ウェルに化合物と共に125μlの培地を添加する。30、10、3.33、1.11、0.37、0.12、0.04、及び0.013μMの濃度の化合物で細胞を処理する。時間点は72hrsとし、575/620の励起/発光でプレートリーダを用いてプレートを読み取る。
【0376】
計算:細胞結合/透過性は変化倍率で計算する(処理サンプルの全RFU/DMSO処理サンプルの全RFU又はバックグラウンドの上の全RFU(全RFUからDMSO処理サンプルの全RFUを減算する))。
【0377】
結果:選択化合物の細胞透過性データを表8に示されるように収集した。
【0378】
【0379】
表8.バイオセンサー透過性
実施例12.プレゼンタータンパク質/化合物複合体と標的タンパク質との結合
本発明のプレゼンタータンパク質/化合物複合体と標的タンパク質との結合は、以下のプロトコルを用いて決定可能である。
【0380】
シクロフィリンA複合体に対する一般的プロトコル
このプロトコルでは、パーキン・エルマー・アルファLISA(Perkin Elmer AlphaLISA)技術プラットフォームを利用して6xHISタグ付き標的タンパク質+FLAGタグ付きシクロフィリンAとシクロスポリン化合物の結合を測定することによりシクロスポリンアナログを検出する。
【0381】
試薬:10×TBST緩衝剤(ボストン・バイオプロダクツIBB-181(Boston BioProducts IBB-181))、MgCl2(シグマン(Sigman))、6xHISタグ付き標的タンパク質(自社製)、FLAGタグ付きシクロフィリンA(自社製)、抗FLAGドナービーズ(パーキン・エルマーAS103(PerkinElmer AS103))及びストレプトアビジンアクセプタービーズ(パーキン・エルマー(PerkinElmer AL125))、DMSO(自社製)中の化合物、シクロスポリンA(LC Labs Cat# C-6000)。
【0382】
装置:バイオテック・シナジー2(Biotek Synergy2)、ジャヌスMTDヘッド・ピペッター(Janus MTD Head pipettor)、エッペンドルフ・リピート・ピペッター(Eppendorf Repeat Pipettor)。
【0383】
供給品:白色96ウェルコーニング(Corning)1/2エリア・プレート(Cat#3642)、96ウェルポリプロピレン・フル・スカート(180μl)PCRプレート、ジャヌスMTDヘッド・ピペッター(Janus MTD Head pipettor)用96ウェルビアフロー(Viaflow)P20チップ)。
【0384】
実験プロトコル/アッセイ内容:20μLの250nM 6xHISタグ付き標的タンパク質使用ストックを96ウェルプレートの各ウェルに添加する。ジャヌスMTDヘッド(Janus MTD Head)及びP20チップ(対照ウェルを除く)を用いてプレートの各ウェルに1μLの試験化合物(100%のDMSO)を添加する。1μLのDMSOを参照ウェルに添加する。暗所で20μLの組合せドナー/アクセプタービーズを各ウェルに添加する。室温での30分間にわたり暗所でインキュベートする。暗所で、10μLの10nMFlagタグ付きCypA使用ストックを各ウェルに添加する。室温での60分間にわたり暗所でインキュベートする。バイオテック・シナジー2(Biotek
Synergy2)プレートリーダ(アルファリサ(Alphalisa)96ウェルプロトコル(680励起/615発光))で読み取ることまでプレートを光から保護する。
FKBP12複合体に対する一般的プロトコル
このプロトコルでは、パーキン・エルマー・アルファLISA(Perkin Elmer AlphaLISA)技術プラットフォームを利用して6xHISタグ付き標的タンパク質+FLAGタグ付きFKBP12とFKBP結合化合物との結合を測定することにより化合物を検出する。
【0385】
試薬:10×TBST緩衝剤(ボストン・バイオプロダクツIBB-181(Boston BioProducts IBB-181))、MgCl2(シグマン(Sigman))、6xHISタグ付き標的タンパク質(自社製)、FLAGタグ付きFKBP12(自社製)、抗FLAGドナービーズ(パーキン・エルマーAS103(PerkinElmer AS103))及びストレプトアビジンアクセプタービーズ(パーキン・エルマー(PerkinElmer AL125))、DMSO(自社製)中の化合物、FK506。
【0386】
装置:バイオテック・シナジー2(Biotek Synergy2)、ジャヌスMTDヘッド・ピペッター(Janus MTD Head pipettor)、エッペンドルフ・リピート・ピペッター(Eppendorf Repeat Pipettor)。
【0387】
供給品:白色96ウェルコーニング(Corning)1/2エリア・プレート(Cat#3642)、96ウェルポリプロピレン・フル・スカート(180μl)PCRプレート、ジャヌスMTDヘッド・ピペッター(Janus MTD Head pipettor)用96ウェルビアフロー(Viaflow)P20チップ)。
【0388】
実験プロトコル/アッセイ内容:20μLの250nM 6xHISタグ付き標的タンパク質使用ストックを96ウェルプレートの各ウェルに添加する。ジャヌスMTDヘッド(Janus MTD Head)及びP20チップ(対照ウェルを除く)を用いてプレートの各ウェルに1μLの試験化合物(100%のDMSO)を添加する。1μLのDMSOを参照ウェルに添加する。暗所で20μLの組合せドナー/アクセプタービーズを各ウェルに添加する。室温での30分間にわたり暗所でインキュベートする。暗所で、10μLの10nMFlagタグ付きFKBP12使用ストックを各ウェルに添加する。室温での60分間にわたり暗所でインキュベートする。バイオテック・シナジー2(Biotek Synergy2)プレートリーダ(アルファリサ(Alphalisa)96ウェルプロトコル(680励起/615発光))で読み取ることまでプレートを光から保護する。
【0389】
実施例13.SPRによるプレゼンタータンパク質/化合物複合体と標的タンパク質との結合の決定
このプロトコルでは、方法として表面プラズモン共鳴(SPR)を利用して哺乳動物標的タンパク質(アナライト)と固定化FKBP12-化合物二元複合体(リガンド)との結合の速度論(KD、Ka、Kd)を決定する。
【0390】
試薬:100%DMSO(自社製)中の化合物、10×HBS-P+緩衝剤(GEヘルスケア(GE Healthcare)BR-1006-71)、アッセイ緩衝剤(1×HBS-P+緩衝剤、1%DMSO、1μM F2)、12×HISタグ付きFKBP12(自社製)、哺乳動物標的タンパク質(自社製)。
【0391】
装置:Biacore(商標)X100(GEヘルスケア(GE Healthcare))。
供給品:NTAセンサーチップ(GEヘルスケア(GE Healthcare)BR-1000~34)。
【0392】
実験プロトコル:実験は25℃で行う。1μM化合物を含有するアッセイ緩衝剤により12×HISタグ付きFKBP12のストック溶液を100nMに希釈する(最終1%DMSO)。約200~400RUのFKBP12を活性化NTAチップの2つのフローセルの1つ上に固定する。第2のフローセルは、アナライトとセンサーチップとの非特異的互作用の参照として活性化されない。1μM化合物を含有する同一のアッセイ緩衝剤で段階希釈(最終1%DMSO)した種々の濃度の標的タンパク質(1nM~1μMの範囲)を10μl/minの流量でFKBP12表面及び参照表面の上に注入する。アナライト注入間で表面を350mM EDTAで再生させる。
【0393】
データフィッティング:データフィッティングのためにバイオエバルエーション(BiaEvaluation)ソフトウェアプログラムを使用する。データはすべて、参照フローセル及び緩衝剤注入の両方に対して参照分を差し引く。速度論的解析のためにデータを1:1相互作用モデルにローカルフィッティングする。
【0394】
実施例14.SPRによるFKBP12/F2複合体とCEP250の結合の決定
このプロトコルでは、方法として表面プラズモン共鳴(SPR)を利用してCEP250(アナライト)と固定化FKBP12-F2二元複合体(リガンド)との結合の速度論(KD、Ka、Kd)を決定する。
【0395】
試薬:100%DMSO(自社製)中のF2、10×HBS-P+緩衝剤(GEヘルスケア(GE Healthcare)BR-1006-71)、アッセイ緩衝剤(1×HBS-P+緩衝剤、1%DMSO、1μM F2)、12×HISタグ付きFKBP12(自社製)、CEP25029.2(残基1982~2231)、及びCEP25011.4(残基2134~2231)(自社製)。
【0396】
装置:Biacore(商標)X100(GEヘルスケア(GE Healthcare))。
供給品:NTAセンサーチップ(GEヘルスケア(GE Healthcare)BR-1000~34)。
【0397】
実験プロトコル:実験は25℃で行う。1μM F2を含有するアッセイ緩衝剤により12×HISタグ付きFKBP12のストック溶液を100nMに希釈する(最終1%DMSO)。約200~400RUのFKBP12を活性化NTAチップの2つのフローセルの1つ上に固定する。第2のフローセルは、アナライトとセンサーチップとの非特異的互作用の参照として活性化されない。1μM F2を含有する同一のアッセイ緩衝剤で段階希釈(最終1%DMSO)した種々の濃度のCEP250(1nM~1μMの範囲)を10μl/minの流量でFKBP12表面及び参照表面の上に注入する。アナライト注入間で表面を350mM EDTAで再生させる。
【0398】
データフィッティング:データフィッティングのためにバイオエバルエーション(BiaEvaluation)ソフトウェアプログラムを使用する。データはすべて、参照フローセル及び緩衝剤注入の両方に対して参照分を差し引く。速度論的解析のためにデータを1:1相互作用モデルにローカルフィッティングする。
【0399】
結果:FKBP12/F2複合体とCEP25011.4及びCEP25029.2との結合のk値は、それぞれ、Ka(1/Ms):5.71×105、Kd(1/s):3.09×10-3、及びKD:5.4nM、及びKa(1/Ms):3.11×105、Kd(1/s):9.25×10-5、及びKD:0.29nMである。
【0400】
実施例15.ITCによるプレゼンタータンパク質/化合物複合体と標的タンパク質との結合の決定
一般的プロトコル
このプロトコルでは、等温滴定熱量測定(ITC)を利用してプレゼンタータンパク質(たとえば、FKBP、シクロフィリン)-化合物二元複合体と標的タンパク質との結合に関連する熱変化を直接測定する。熱変化の測定は、会合定数(Ka)、反応化学量論比(N)、及び結合エンタルピーの変化(ΔΗ)の正確な決定を可能にする。
【0401】
試薬:100%のDMSO(自社製)中の化合物、タンパク質緩衝剤(10mM HEPES、pH7.5、75mM NaCl、0.5mM TCEP)、アッセイ緩衝剤(タンパク質緩衝剤+1% DMSO)、プレゼンタータンパク質(たとえば、FKBP、シクロフィリン)(自社製)、標的タンパク質(自社製)。
【0402】
装置:マイクロカル(商標)ITC200(MicroCalTM ITC200)(GEヘルスケア(GE Healthcare))。
実験プロトコル:プレゼンタータンパク質(たとえば、FKBP、シクロフィリン)ストック溶液をアッセイ緩衝剤(最終1%DMSO)で10μMに希釈する。化合物を20μMになるようにプレゼンタータンパク質に添加し(最終1%DMSO)、5~10分のプレインキュベーション時間の後、二元複合体をITC装置の反応セルに充填する。標的タンパク質ストックをアッセイ緩衝剤中50μMになるように希釈し、20μM化合物を追加し(最終1%DMSO)、その後、注入シリンジに充填する。シリンジから反応セルに注入する際、操作アーチファクト及び滴定剤の希釈に伴う熱を決定するために、化合物の不在下で対照実験も行う。データ収集及び解析は、FKBP12-F2及びFKBP12-F11二元複合体とCEP250との結合に対して記載した通りである。
【0403】
実施例16.ITCによるFKBP12/F2及びFKBP12/F2複合体とCEP250との結合の決定
このプロトコルでは、等温滴定熱量測定(ITC)を利用してFKBP12-F2及びFKBP12-F11二元複合体とCEP250との結合に伴う熱変化を直接測定する。熱変化の測定は、会合定数(Ka)、反応化学量論比(N)、及び結合エンタルピーの変化(ΔΗ)の正確な決定を可能にする。
【0404】
試薬:100%のDMSO(自社製)中のF2及びF11、タンパク質緩衝剤(10mM HEPES、pH7.5、75mM NaCl、0.5mM TCEP)、アッセイ緩衝剤(タンパク質緩衝剤+1%DMSO)、FKBP12(自社製)、CEP25029.4(残基1982~2231)、及びCEP25011.4(残基2134~2231)(自社製)。
【0405】
装置:マイクロカル(MicroCal)(商標)ITC200(GEヘルスケア(GE Healthcare))。
実験プロトコル:FKBP12ストック溶液をアッセイ緩衝剤で10μMに希釈する(最終1%DMSO)。化合物を20μMになるようにFKBP12に添加し(最終1%DMSO)、5~10分のプレインキュベーション時間の後、二元複合体をITC装置の反応セルに充填する。CEP250タンパク質ストックをアッセイ緩衝剤中50μMになるように希釈し、20μM化合物を追加し(最終1%DMSO)、その後、注入シリンジに充填する。シリンジから反応セルに注入する際、操作アーチファクト及び滴定剤の希釈に伴う熱を決定するために、化合物の不在下で対照実験も行う。より詳細な実験パラメータは、以下の表11及び12に示される。
表9.ITC実験パラメータ
試験装置:MicroCal TM iT200 (GE Healthcare)
【0406】
【0407】
実験パラメータ
【0408】
【0409】
注入パラメータ
【0410】
【0411】
表10.ITCに対するタンパク質及びリガンドの濃度
タンパク質及びリガンドの最終濃度
【0412】
【0413】
データフィッティング:以下の手順に従ってオリジン(Origin)ITC200ソフトウェアによりデータのフィッティングを行った。
1)生データの読込み。
【0414】
2)「mRawlTC」:積分ピーク及びベースラインを調整してすべてのピークを積分する。
3)「ΔH」-データ管理:不良データを除去し(注入#1及び他のアーチファクト)、直線を差し引く(バックグラウンド除去)。
【0415】
4)「ΔH」-モデルフィッティング:部位モデルの1セットを選択し、χ2がさらに減少しなくなるまでレーベンバーグ・マーカートアルゴリズムを用いてフィッティングを行い、「done」で終了する(パラメータN、Ka、及びΔΗはフィッティング基づいて計算する)。FKBP12-F2及びFKBP12-F11二元複合体とCEP250との結合のITC測定は、以下の表11にまとめる。
【0416】
【0417】
表11.ITC測定
結果:全体として、CEP25011.4及びCEP25029.4に結合するFKBP12-F2及びFKBP12-F11二元複合体のデータは、類似の相互作用パラメータを示す。Kd値はすべての組合せで類似していた。すべての相互作用は、ほとんど同一の熱力学的プロファイルを示し、結合は、純粋エンタルピー結合モードにより特徴付けられる(-T*AS項は正であり、ギブズ自由エネルギーに寄与しない)。すべての相互作用に対する結合化学量論比は、N=0.5~0.6であり、CEP25011.4/F2/FKBP12の結晶構造で実証されるように2種のFKBP12分子に結合する1種のCEP250ホモ二量体に対して1:2の結合比を支持する。
【0418】
実施例17.三元複合体の結晶構造決定
一般的プロトコル
このプロトコルでは、特異的FKBP12-化合物-標的タンパク質三元複合体の構造に対して結晶化及び構造決定方法を記述する。
【0419】
試薬:100%DMSO(自社製)中の化合物、FKBP12(自社製)、及び哺乳動物標的タンパク質(自社製)。
装置:スーパーデックス(Superdex)200(GEヘルスケア(GE Healthcare))。
【0420】
実験プロトコル:3:1モル過剰の化合物を12.5mM HEPES pH7.4、75mM NaCl緩衝剤中のFKBP12に添加して4℃で一晩インキュベートする。3:1モル過剰のFKBP12-化合物二元複合体を標的タンパク質に添加して4℃で一晩インキュベートすることにより三元複合体の形成を終了する。12.5mM HEPES pH7.4、75mM NaClでスーパーデックス(Superdex)200カラムを用いてゲル濾過精製により純粋三元複合体を単離する。種々の緩衝剤、界面活性剤、及び塩溶液を用いてシッティングドロップ蒸気拡散により精製複合体(10~20 mg/ml)を22℃で結晶化に付す。データ収集のために、20~25%グリセロールが追加された母液を含有する溶液に結晶を移し、液体窒素中で凍結させる。アドバンスト・フォトン・ソース(Advanced Photon Source)(APS)で回折データセットを捕集し、HKLプログラムで処理する。サーチモデルとしてFKBP12の発表された構造(PDB-ID 1FKD)を用いてCCP4スイートのプログラムPHASERにより分子交換溶液を得る。後続のモデル構築及び精密化は、ソフトウェアパッケージCCP4及びCOOTを用いて標準プロトコルに従って行う。
【0421】
実施例18.FKBP12/F2及びFKBP12/F11複合体とCEP250との三次複合体の結晶構造決定
このプロトコルでは、FKBP12-化合物2-CEP250及びFKBP12-F11-CEP250の三元複合体の構造に対して結晶化及び構造決定方法を記述する。
【0422】
試薬:100%DMSO(自社製)中のF2及びF11、FKBP12(自社製)、及びCEP25011.4(残基2134~2231)(自社製)。
装置:スーパーデックス(Superdex)200(GEヘルスケア(GE Healthcare))。
【0423】
実験プロトコル:3:1モル過剰のF2又はF11を12.5mM HEPES pH7.4、75mM NaCl緩衝剤中のFKBP12に添加して4℃で一晩インキュベートする。3:1モル過剰のFKBP12-F2又はFKBP12-F11二元複合体をCEP250.4に添加して4℃で一晩インキュベートすることにより三元複合体の形成を終了する。12.5mM HEPES pH7.4、75mM NaClでスーパーデックス(Superdex)200カラムを用いてゲル濾過精製により純粋三元複合体を単離する。シッティングドロップ蒸気拡散を用いて精製複合体(10~20mg/ml)を22℃で結晶化に付す。0.2Mマロン酸ナトリウム、0.1M HEPES 7.0、21% PEG3350を含有するウェル溶液中でFKBP12-F2-CEP250結晶を成長させる。0.1M Tris pH8.5、0.2MトリメチルアミンN-オキシド、22~24%PEG2000 MMEを含有するウェル溶液中でFKBP12-F11-CEP250結晶を成長させる。データ収集のために、20~25%グリセロールが追加された母液を含有する溶液に結晶を移し、液体窒素中で凍結させる。アドバンスト・フォトン・ソース(Advanced Photon Source)(APS)で回折データセットを捕集し、HKLプログラムで処理する。サーチモデルとしてFKBP12の発表された構造(PDB-ID 1FKD)を用いてCCP4スイートのプログラムPHASERにより分子交換溶液を得る。後続のモデル構築及び精密化は、ソフトウェアパッケージCCP4及びCOOTを用いて標準プロトコルに従って行う。
【0424】
結果:FKBP12-F2-CEP250の全体構造:F2との複合体の状態でCEP250を有するFKBP12の構造では、2つのFKBP12モノマーがCEP250のホモ二量体に結合される。2つのCEP250モノマーはコイルドコイル構造を形成する。基本的に同一の全体的コンフォメーションを有して非対称ユニットで4つのヘテロ二量体が存在する。モデルは、FKBP12の残基Met1~Glu108とCEP250のAsp2142~His2228とを含む。電子密度は、リガンドの配向及びコンフォメーションを含めてリガンドF2に対して明瞭な結合モードを示す。
【0425】
F2への結合に関与するCEP250残基は、L2190、Q2191、V2193、A2194、M2195、F2196、L2197、及びQ2198である。FKBP12への結合に関与するCEP250残基は、A2185、S2186、S2189、Q2191、M2195、Q2198、V2201、L2202、R2204、D2205、S2206、Q2208、Q2209、及びQ2212である。
【0426】
三元複合体の全埋没表面積は1759Å2である。CEP250の全埋没表面積は865Å2であり、そのうち663Å2はFKBP12による寄与であり、232Å2はF2による寄与である。
【0427】
F2とCEP250との間での三元複合体中の結合相互作用の100%が、ファンデルワールス(van der Waals)又はπ-π相互作用である。比較すると、ラパマイシンとmTORとの間での結合相互作用の100%がファンデルワールス相互作用又はπ-π相互作用であり、FK506とカルシニューリンとの間での結合相互作用の89%はファンデルワールス相互作用又はπ-π相互作用であるが、11%は水素結合である(C13及びC15のOMeからTrp352のN-Hへの2つのH結合)。
【0428】
FKBP12-F11-CEP250の全体構造:F11との複合体の状態でのCEP250を有するFKBP12の構造では、1つのFKBP12モノマーがCEP250のホモ二量体に結合される。2つのCEP250モノマーはコイルドコイル構造を形成する。結晶は非対称ユニットでヘテロ三量体(1つのFKBP12及び2つのCEP250)を含有する。モデルは、FKBP12の残基Met1~Glu108とCEP250のSer2143~His2228とを含む。FKBP12(18~19)の1つの短いループ領域は、電子密度により完全に規定されず、モデルに含まれていない。電子密度は、リガンドの配向及びコンフォメーションを含めてリガンドF11の明瞭な結合モードを示す。
【0429】
F2への結合に関与するCEP250残基は、L2190、Q2191、V2193、A2194、M2195、F2196、L2197、及びQ2198である。FKBP12への結合に関与するCEP250残基は、Q2182、A2185、S2186、S2189、Q2191、M2195、Q2198、V2201、L2202、R2204、D2205、S2206、Q2208、Q2209、及びQ2212である。
【0430】
三元複合体の全埋没表面積は1648Å2である。CEP250の全埋没表面積は831Å2であり、そのうち590Å2はFKBP12による寄与であり、241Å2はF2による寄与である。
【0431】
最終構造の統計は、以下の表12及び13に列挙されている。
【0432】
【0433】
表12.FKBP12-F2-CEP250
【0434】
【0435】
表13.FKBP12-F11-CEP250
本発明をその特定の実施形態と関連させて説明してきたが、当然のことながら、さらなる変更が可能であり、本出願は、一般に本発明の原理に従った本発明の変形、使用、又は調整を包含することが意図されており、また、本発明の関連する技術の範囲内の公知又は慣用の規範に含まれかつ以上に示された本質的特徴に適用可能である本開示からの逸脱を包含する。
【0436】
出版物、特許、及び特許出願はすべて、あたかもそれぞれ個々の出版物、特許、及び特許出願の全体が具体的かつ個別的に明示されて参照により組み込まれたのと同程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
[付記1] 14~40個の環原子を含むマクロ環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩であって、前記化合物が、(a)哺乳動物標的タンパク質相互作用部分と、(b)プレゼンタータンパク質結合部分と、を含み、前記化合物及びプレゼンタータンパク質が、標的タンパク質に特異的に結合する複合体を形成し、かつ前記化合物及び前記プレゼンタータンパク質のそれぞれが、前記複合体の形成の不在下で前記標的タンパク質に実質的に結合しないか、もしくは前記化合物及びプレゼンタータンパク質が、前記複合体の形成の不在下での前記標的タンパク質への前記化合物及び前記プレゼンタータンパク質のそれぞれの親和性の少なくとも5倍の親和性で標的タンパク質に結合する複合体を形成する、マクロ環式化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
[付記2] 前記プレゼンタータンパク質結合部分が、式I:
【化1】
(式中、nは、0又は1であり、X1及びX3は、それぞれ独立して、O、S、CR3R4、又はNR5であり、X2は、O、S、又はNR5であり、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノ、ハロゲン、チオール、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC1~C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、又はR1、R2、R3、もしくはR4の任意の2つは、それらが結合された1個もしくは複数個の原子と一緒になって、任意選択的に置換されたカルボシクリル、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたアリール、もしくは任意選択的に置換されたヘテロアリールを形成し、各R5は、独立して、水素、ヒドロキシル、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC1~C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、又はR5及びR1、R2、R3、もしくはR4の1つは、それらが結合された1個もしくは複数個の原子と一緒になって、任意選択的に置換されたヘテロシクリルもしくは任意選択的に置換されたヘテロアリールを形成する)で示される構造を含む、付記1に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
[付記3] 前記プレゼンタータンパク質結合部分が、式II~IV:
【化2】
(式中、o及びpは、独立して、0、1、又は2であり、qは、0~7の整数であり、rは、0~4の整数であり、X4及びX5は、それぞれ独立して、不在、CH2、O、S、SO、SO2、又はNR11であり、各R6及びR7は、独立して、水素、ヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノ、ハロゲン、チオール、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC1~C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、又はR6及びR7は、それらが結合された炭素原子と組み合わせてC=Oを形成し、各R8は、独立して、ヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノ、ハロゲン、チオール、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC1~C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、又は2つのR8は、組み合わせて、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールを形成し、R9は、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC1~C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、又は任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、R10は、任意選択的に置換されたC1~C6アルキルであり、各R11は、独立して、ヒドロキシル、シアノ、任意選択的に置換されたアミノ、ハロゲン、チオール、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC1~C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、かつR12及びR13は、それぞれ独立して、水素、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたアリール、C3~C7カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、及び任意選択的に置換されたC3~C7カルボシクリルC1~C6アルキルである)のいずれか1つで示される構造を含む、付記2に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
[付記4] 前記プレゼンタータンパク質結合部分が、式V:
【化3】
(式中、R14は、水素、ヒドロキシル、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC1~C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルである)で示される構造を含む、付記3に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
[付記5] 前記プレゼンタータンパク質結合部分が、式VI又はVII:
【化4】
(式中、s及びtは、それぞれ独立して、0~7の整数であり、X6及びX7、それぞれ独立して、O、S、SO、SO2、又はNR19であり、R15及びR17は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、又は任意選択的に置換されたC1~C6アルキルであり、R16及びR18は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノ、ハロゲン、チオール、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC1~C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、R19は、水素、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、C3~C7カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、及び任意選択的に置換されたC3~C7カルボシクリルC1~C6アルキルであり、かつArは、任意選択的に置換されたC6~C10アリール又は任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールである)で示される構造を含む、付記8に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
[付記6] 前記標的相互作用部分が、式IX:
【化5】
(式中、uは、1~20の整数であり、かつ各Yは、独立して、任意のアミノ酸、O、NR20、S、S(O)、SO2であるか、又は式X~XIII:
【化6】
(ここで、各R20は、独立して、水素、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたアリール、C3~C7カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、及び任意選択的に置換されたC3~C7カルボシクリルC1~C6アルキルであり、又はR19は、任意のR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、もしくはR30と組み合わせて、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールを形成し、各R21及びR22は、独立して、水素、ハロゲン、任意選択的に置換されたヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノであり、又はR20及びR21は、組み合わせて、=O、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルを形成し、又はR21もしくはR22は、任意のR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、もしくはR30と組み合わせて、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールを形成し、各R23、R24、R25、もしくはR26は、独立して、水素、ヒドロキシルであり、又はR22及びR23は、組み合わせて=Oを形成し、又はR23、R24、R25、もしくはR26は、任意のR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、もしくはR30と組み合わせて、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールを形成し、かつ各R27、R28、R29、及びR30は、独立して、水素、ハロゲン、任意選択的に置換されたヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノ、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、任意選択的に置換されたC6~C10アリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリル、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロシクリルC1~C6アルキルであり、又はR27、R28、R29、もしくはR30は、任意のR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、もしくはR30と組み合わせて、任意選択的に置換されたC3~C10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC6~C10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC2~C9ヘテロアリールを形成する)のいずれか1つで示される構造を有する)で示される構造を含む、付記1~5のいずれか一つに記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
[付記7] 前記化合物が、式XIV~XVIII:
【化7】
のいずれか1つで示される構造を有する、付記6に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
[付記8] 前記標的タンパク質への結合に関与する各環原子を含む前記分子の部分が、構造:
【化8】
を有していない、付記1~7のいずれか一つに記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
[付記9] 前記化合物が、構造:
【化9】
を含まない、付記1~8のいずれか一つに記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
[付記10] 前記プレゼンタータンパク質がプロリルイソメラーゼである、付記1~9のいずれか一つに記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
[付記11] 前記プレゼンタータンパク質が、FKBPファミリーのメンバー、シクロフィリンファミリーのメンバー、又はPIN1である、付記1~10のいずれか一つに記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
[付記12] 前記哺乳動物標的タンパク質が、GTPアーゼ、GTPアーゼ活性化タンパク質、グアニンヌクレオチド交換因子、熱ショックタンパク質、イオンチャネル、コイルドコイルタンパク質、キナーゼ、ホスファターゼ、ユビキチンリガーゼ、転写因子、クロマチンモディファイヤー/リモデラー、又は古典的タンパク質-タンパク質相互作用ドメイン及びモチーフを有するタンパク質である、付記1~11のいずれか一つに記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
[付記13] 付記1~12のいずれか一つに記載の化合物とプレゼンタータンパク質とを含むプレゼンタータンパク質/化合物複合体。
[付記14] 付記1~12のいずれか一つに記載の化合物と薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物、又はその薬学的に許容可能な塩。
[付記15] 付記1~12のいずれか一つに記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を調製する方法であって、前記化合物を生成するように改変されたストレプトマイセス(Streptomyces)属の細菌株を培養する工程と、その発酵ブロスから前記化合物を単離する工程と、を含む方法。
[付記16] 付記1~12のいずれか一つに記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を調製する方法であって、株が前記化合物を生成する条件下でストレプトマイセス(Streptomyces)属の細菌株を培養する工程と、その発酵ブロスから前記化合物を単離する工程と、を含む方法。
[付記17] (i)哺乳動物標的タンパク質と(ii)プレゼンタータンパク質/化合物複合体とを含むトリパータイト複合体であって、前記プレゼンタータンパク質/化合物複合体がプレゼンタータンパク質と1~12のいずれか一つに記載のマクロ環式化合物、又はその薬学的に許容可能な塩とを含む、トリパータイト複合体。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造
【化1】
を有する化合物であって、
式中、
Aは式IX
【化2】
の構造を有し、
uは1~20の整数であり、
各Yは、独立して任意のアミノ酸、O、NR
20、S、S(O)、SO
2であるか、又は式X-XIII
【化3】
のうちのいずれか1つの構造を有し、
各R
21及びR
22は、独立して、水素、ハロゲン、任意選択的に置換されたヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノ、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキル、又はR
21とR
22とが結合して=Oを形成し、
各R
27、R
28、R
29、及びR
30は、独立して、水素、ハロゲン、任意選択的に置換されたヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノ、又は任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキルであり、
各R
20は、独立して、水素、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~C
6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2~C
6アルキニル、任意選択的に置換されたアリール、C
3~C
7カルボシクリル、任意選択的に置換されたC
6~C
10アリールC
1~C
6アルキル、及び任意選択的に置換されたC
3~C
7カルボシクリルC
1~C
6アルキルであり、又はR
20は、任意のR
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、もしくはR
30と組み合わせて、任意選択的に置換されたC
3~C
10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC
6~C
10アリール、もしくは任意選択的に置換されたC
2~C
9ヘテロアリールを形成し、
L
1及びL
2の各々は、独立して、結合であり、
Bは、以下の構造
【化4】
を有し、
X
6及びX
7は、それぞれ独立に、O、S、SO、SO
2、又はNR
19であり、
R
6及びR
7の各々は、独立して、水素、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキル、又はR
6及びR
7が、それらが結合している炭素原子と結合してC=Oを形成しているものであり、
R
14は、任意選択的に置換された-(C
1~C
6アルキレン)-C
6~C
10アリールであり、
R
15及びR
17は、各々、独立して、水素、ヒドロキシル、又は任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキルであり、
R
16及びR
18は、各々、独立して、ヒドロキシル、任意選択的に置換されたアミノ、ハロゲン、チオール、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~C
6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2~C
6アルキニル、任意選択的に置換されたC
1~C
6へテロアルキル、任意選択的に置換されたC
2~C
6へテロアルケニル、任意選択的に置換されたC
2~C
6へテロアルキニル、任意選択的に置換されたC
3~C
10カルボシクリル、任意選択的に置換されたC
6~C
10アリール、任意選択的に置換されたC
6~C
10アリールC
1~C
6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~C
9ヘテロアリール、任意選択的に置換されたC
2~C
9ヘテロアリールC
1~C
6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~C
9ヘテロシクリル又は任意選択的に置換されたC
2~C
9ヘテロシクリルC
1~C
6アルキルであり、
R
19は、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~C
6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2~C
6アルキニル、任意選択的に置換されたアリール、C
3~C
7カルボシクリル、任意選択的に置換されたC
6~C
10アリールC
1~C
6アルキル及び任意選択的に置換されたC
3~C
7カルボシクリルC
1~C
6アルキルであり、
s及びtは、各々独立に、0~7の整数であり、
oは、1又は2であり、
Aは下記の構造
【化5】
を有さない、化合物又はその薬学的に許容可能な塩
。