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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149656
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 5/02 20060101AFI20241010BHJP
   G11C 11/405 20060101ALI20241010BHJP
   G06F 11/10 20060101ALI20241010BHJP
   H10B 12/00 20230101ALI20241010BHJP
【FI】
G11C5/02 100
G11C11/405
G06F11/10 648
H10B12/00 671Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024128057
(22)【出願日】2024-08-02
(62)【分割の表示】P 2021501130の分割
【原出願日】2020-02-11
(31)【優先権主張番号】P 2019030525
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】國武 寛司
(72)【発明者】
【氏名】大貫 達也
(72)【発明者】
【氏名】熱海 知昭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 清
(57)【要約】
【課題】エラー検出機能を有し、単位面積あたりに記憶できるデータ量が多い記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体基板に形成されたトランジスタを用いて記憶装置の駆動回路を構成し、薄膜トランジスタを用いて記憶装置のメモリセルを構成する。薄膜トランジスタを用いてメモリセルが構成された層は、半導体基板の上方に複数積層して設けることでき、単位面積あたりに記憶できるデータ量を増やすことができる。また、薄膜トランジスタを用いて記憶装置が有する周辺回路の一部を構成することができるため、薄膜トランジスタを用いてエラー検出回路を構成し、半導体基板の上方に積層して設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、前記半導体基板の上方に設けられる第1乃至第Nの第1素子層(Nは2以上の自然数)と、前記半導体基板と前記第1乃至第Nの第1素子層の間に設けられる第2素子層と、を有し、
前記第1乃至第Nの第1素子層のそれぞれは、複数のメモリセルを有し、
前記第K(Kは1以上N以下の整数の一つ)の第1素子層には、検査ビットが保持され、
前記第Kの第1素子層以外の第1素子層には、データが保持され、
前記第2素子層は、エラー検出回路を有し、
前記半導体基板は、駆動回路を有し、
前記複数のメモリセルのそれぞれが有する第1のトランジスタのチャネル形成領域と、前記エラー検出回路が有する第2のトランジスタのチャネル形成領域とは、金属酸化物を有し、
前記金属酸化物は、酸化インジウムである、記憶装置。
【請求項2】
半導体基板と、前記半導体基板の上方に設けられる第1乃至第Nの第1素子層(Nは2以上の自然数)と、前記半導体基板と前記第1乃至第Nの第1素子層の間に設けられる第2素子層と、を有し、
前記第1乃至第Nの第1素子層のそれぞれは、複数のメモリセルを有し、
前記第K(Kは1以上N以下の整数の一つ)の第1素子層には、検査ビットが保持され、
前記第Kの第1素子層以外の第1素子層には、データが保持され、
前記第2素子層は、エラー検出回路と、検査ビット生成回路と、を有し、
前記半導体基板は、駆動回路を有し、
前記複数のメモリセルのそれぞれが有する第1のトランジスタのチャネル形成領域と、前記エラー検出回路が有する第2のトランジスタのチャネル形成領域と、前記検査ビット生成回路が有する第3のトランジスタのチャネル形成領域とは、金属酸化物を有し、
前記金属酸化物は、酸化インジウムである、記憶装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記検査ビット生成回路は、前記メモリセルに前記データを書き込む際に、前記検査ビットを生成する機能を有する、記憶装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記エラー検出回路は、前記メモリセルから前記データを読み出す際に、前記検査ビットを用いて、前記データのエラーを検出する機能を有する、記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一形態は、記憶装置に関する。特に、半導体特性を利用することで機能しうる記憶装置に関する。
【0002】
また、本発明の一形態は、半導体装置に関する。本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用した装置のことであり、例えば、半導体素子(トランジスタ、ダイオード、フォトダイオード等)を含む回路、同回路を有する装置等を指す。また、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般のことであり、例えば、集積回路、集積回路を備えたチップや、パッケージにチップを収納した電子部品、集積回路を備えた電子機器は、半導体装置の一例である。
【0003】
なお、本発明の一形態は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一形態は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。
【背景技術】
【0004】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)は、各種電子機器に用いられる記憶装置(メモリ、ともいう)として広く知られている。DRAMのメモリセルは、1つのトランジスタと1つの容量素子で構成され、DRAMは容量素子に電荷を蓄積することでデータを記憶するメモリである。
【0005】
DRAM等の記憶装置は、動作に異常がなくても、宇宙線などの影響でメモリセルに記憶したデータにエラー(誤り)が起きる場合がある。そのため、ECC(Error Check and Correct)メモリと呼ばれる、エラー検出および訂正機能を有する記憶装置が存在する。ECCメモリは、例えば、科学技術計算や金融機関で使われるコンピュータなど、データの誤りが許されない電子機器に用いられる。
【0006】
一方、トランジスタのチャネルが形成される領域(チャネル形成領域、ともいう)に、金属酸化物を有するトランジスタ(酸化物半導体トランジスタ、OSトランジスタ、ともいう)が注目されている。例えば、トランジスタに適用可能な金属酸化物として、In-Ga-Zn酸化物(IGZO、イグゾー、などと呼ばれる)が知られている。
【0007】
OSトランジスタは、トランジスタがオフ状態にあるときのドレイン電流(オフ電流、ともいう)が非常に小さい(例えば、非特許文献1、2、参照)ため、OSトランジスタをDRAMのメモリセルに用いることで、容量素子に蓄積した電荷を長時間保持することができる。
【0008】
また、OSトランジスタは薄膜トランジスタであるため、積層して設けることができる。例えば、特許文献1は、半導体基板に形成されたトランジスタを用いてDRAMの周辺回路を構成し、その上方に、OSトランジスタを用いて構成されたDRAMのメモリセルを有する層を、複数積層した構成について開示している。DRAMのメモリセルを有する層を複数積層することで、DRAMのチップ面積を削減することができる。
【0009】
なお、本明細書等では、OSトランジスタがメモリセルに用いられたDRAMを、酸化物半導体DRAM、または、DOSRAM(登録商標、Dynamic Oxide Semiconductor Random Access Memoryを指す、ドスラムと読む)と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0063208号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】S.Yamazaki et al.,“Properties of crystalline In-Ga-Zn-oxide semiconductor and its transistor characteristics,” Jpn.J.Appl.Phys.,vol.53,04ED18(2014).
【非特許文献2】K.Kato et al.,“Evaluation of Off-State Current Characteristics of Transistor Using Oxide Semiconductor Material, Indium-Gallium-Zinc Oxide,”Jpn.J.Appl.Phys.,vol.51,021201(2012).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一般に、ECCメモリは、データを記憶するための記憶領域と、誤り検出符号または誤り訂正符号(冗長ビット、検査ビット、ともいう)を記憶するための記憶領域と、前記2つの記憶領域を制御するメモリコントローラとを有する。そして、ECCメモリは、データを記憶する(書き込む、ともいう)際に、記憶するデータに対応した検査ビットを計算し、記憶するデータとともに検査ビットを記憶する。
【0013】
検査ビットは、記憶したデータを読み出す際に、データとともに読み出される。ECCメモリは、読み出したデータを、検査ビットを用いて検証することで、記憶したデータにエラーが起きていないかを知ることができる。または、記憶したデータにエラーが起きていた場合、ECCメモリは、検査ビットを用いて訂正することができる。
【0014】
すなわち、少なくともECCメモリには、検査ビットを記憶するための記憶領域と、同記憶領域を制御するメモリコントローラが、ECCメモリではないメモリに追加して必要である。
【0015】
本発明の一形態は、エラー検出機能(検査ビットを記憶するための記憶領域を有し、検査ビットを用いて記憶したデータにエラーが起きていないかを知る機能)を有する記憶装置を提供することを課題の一つとする。または、本発明の一形態は、エラー検出機能を有し、単位面積あたりに記憶できるデータ量が多い記憶装置を提供することを課題の一つとする。
【0016】
なお、本発明の一形態は、必ずしも上記の課題の全てを解決する必要はなく、少なくとも一つの課題を解決できるものであればよい。また、上記の課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。これら以外の課題は、明細書、特許請求の範囲、図面などの記載から自ずと明らかになるものであり、明細書、特許請求の範囲、図面などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一形態は、メモリセルを有する第1素子層と、エラー検出回路を有する第2素子層と、駆動回路を有する半導体基板とを有する記憶装置である。第2素子層は、半導体基板と第1素子層との間に設けられる。
【0018】
また、本発明の一形態は、複数の第1素子層と、エラー検出回路を有する第2素子層と、駆動回路を有する半導体基板とを有する記憶装置である。第2素子層は、半導体基板と第1素子層との間に設けられ、複数の第1素子層は、それぞれ、メモリセルを有し、複数の第1素子層は、積層して設けられる。
【0019】
また、上記形態において、メモリセルを構成するトランジスタ、および、エラー検出回路を構成するトランジスタは、それぞれ、チャネル形成領域に金属酸化物を有する。
【0020】
また、上記形態において、メモリセルを構成するトランジスタ、および、エラー検出回路を構成するトランジスタは、それぞれ、フロントゲートとバックゲートとを有する。
【0021】
また、上記形態において、メモリセルを構成するトランジスタ、および、エラー検出回路を構成するトランジスタは、それぞれ、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、メモリセルを構成するトランジスタ、および、エラー検出回路を構成するトランジスタは、それぞれ、フロントゲートとバックゲートとを有する。
【0022】
また、本発明の一形態は、第1乃至第Nの第1素子層(Nは2以上の自然数)と、第2素子層と、半導体基板とを有する記憶装置である。第K(Kは1以上N以下の整数)の第1素子層には、第Kの第1素子層に形成されたトランジスタを用いて、メモリセルが構成され、第2素子層には、第2素子層に形成されたトランジスタを用いて、エラー検出回路が構成され、半導体基板には、半導体基板に形成されたトランジスタを用いて、駆動回路が構成される。第2素子層は、半導体基板の上方に積層して設けられ、第1の第1素子層は、第2素子層の上方に積層して設けられ、第L(Lは2以上N以下の整数)の第1素子層は、第L-1の第1素子層の上方に積層して設けられる。
【0023】
また、上記形態において、第Kの第1素子層に形成されたトランジスタ、および、第2素子層に形成されたトランジスタは、それぞれ、チャネル形成領域に金属酸化物を有する。
【0024】
また、上記形態において、第Kの第1素子層に形成されたトランジスタ、および、第2素子層に形成されたトランジスタは、それぞれ、フロントゲートとバックゲートとを有する。
【0025】
また、上記形態において、第Kの第1素子層に形成されたトランジスタ、および、第2素子層に形成されたトランジスタは、それぞれ、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、第Kの第1素子層に形成されたトランジスタ、および、第2素子層に形成されたトランジスタは、それぞれ、フロントゲートとバックゲートとを有する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一形態により、エラー検出機能を有する記憶装置を提供することができる。または、本発明の一形態により、エラー検出機能を有し、単位面積あたりに記憶できるデータ量が多い記憶装置を提供することができる。
【0027】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。また、本発明の一形態は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。これら以外の効果は、明細書、特許請求の範囲、図面などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、特許請求の範囲、図面などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1Aは、記憶装置の構成例を示すブロック図である。図1Bは、記憶装置の構成例を示す模式図である。
図2図2は、記憶装置の構成例を示す模式図である。
図3図3は、記憶装置の構成例を示す回路図である。
図4図4は、記憶装置の構成例を示す模式図である。
図5図5A図5Bは、記憶装置の構成例を示す模式図である。
図6図6Aは、検査ビット生成回路の構成例を示す回路図である。図6Bは、タイミングチャートである。図6Cは、真理値表である。
図7図7Aは、エラー検出回路の構成例を示す回路図である。図7Bは、タイミングチャートである。
図8図8は、真理値表である。
図9図9Aは、XOR回路を表すシンボルである。図9Bは、XOR回路の構成例を示す回路図である。図9Cは、タイミングチャートである。図9Dは、真理値表である。
図10図10Aは、NAND回路を表すシンボルである。図10Bは、NAND回路の構成例を示す回路図である。図10Cは、タイミングチャートである。図10Dは、真理値表である。
図11図11Aは、ディレイ回路を表すシンボルである。図11Bは、ディレイ回路の構成例を示す回路図である。図11Cは、タイミングチャートである。図11Dは、真理値表である。
図12図12は、記憶装置の構成例を示す模式図である。
図13図13は、記憶装置の構成例を示す断面模式図である。
図14図14A図14Bは、トランジスタの構成例を示す断面模式図である。
図15図15A乃至図15Cは、記憶装置の構成例を示す断面模式図である。
図16図16は、記憶装置の構成例を示す断面模式図である。
図17図17は、記憶装置の構成例を示す断面模式図である。
図18図18Aは、記憶装置の構成例を示す上面図である。図18B図18Cは、記憶装置の構成例を示す断面模式図である。
図19図19Aは、IGZOの結晶構造の分類を説明する図である。図19Bは、石英ガラスのXRDスペクトルを説明する図である。図19Cは、結晶性IGZOのXRDスペクトルを説明する図である。
図20図20A図20Bは、電子部品の一例を説明する模式図である。
図21図21は、電子機器の例を示す図である。
図22図22は、各種の記憶装置を階層ごとに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる形態で実施することが可能であり、趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0030】
また、以下に示される複数の実施の形態は、適宜組み合わせることが可能である。また、1つの実施の形態の中に複数の構成例が示される場合は、互いに構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0031】
なお、本明細書に添付した図面では、構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとしてブロック図を示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの構成要素が複数の機能に係わることもあり得る。
【0032】
また、図面等において、大きさ、層の厚さ、領域等は、明瞭化のため誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。
【0033】
また、図面等において、同一の要素または同様な機能を有する要素、同一の材質の要素、あるいは同時に形成される要素等には同一の符号を付す場合があり、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0034】
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0035】
また、本明細書等において、「上」や「下」などの配置を示す用語は、構成要素の位置関係が、「直上」または「直下」であることを限定するものではない。例えば、「ゲート絶縁層上のゲート電極」の表現であれば、ゲート絶縁層とゲート電極との間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0036】
また、本明細書等において、「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではない。
【0037】
また、本明細書等において、複数の要素に同じ符号を用いる場合、特にそれらを区別する必要があるときは、符号に、「_1」、「_2」、「[n]」、「[m,n]」等、識別用の符号を付して記載する場合がある。例えば、2番目の配線GLを、配線GL[2]と記載する。
【0038】
また、本明細書等において、「電気的に接続」とは、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、容量素子、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。また、「電気的に接続」と表現される場合であっても、実際の回路において、物理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。
【0039】
また、本明細書等において、「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆も同様である。
【0040】
また、本明細書等において、電気回路における「端子」とは、電流または電位の入力(または、出力)や、信号の受信(または、送信)が行なわれる部位を言う。よって、配線または電極の一部が端子として機能する場合がある。
【0041】
また、一般に、「容量」は、2つの電極が絶縁体(誘電体)を介して向かい合う構成を有する。本明細書等において、「容量素子」とは、前述の「容量」である場合が含まれる。すなわち、本明細書等において、「容量素子」とは、2つの電極が絶縁体を介して向かい合う構成を有したもの、2本の配線が絶縁体を介して向かい合う構成を有したもの、または、2本の配線が絶縁体を介して配置されたもの、である場合が含まれる。
【0042】
また、本明細書等において、「電圧」とは、ある電位と基準の電位(例えば、グラウンド電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧と電位差とは言い換えることができる。
【0043】
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む、少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域、またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域、またはソース電極)の間にチャネル形成領域を有しており、チャネル形成領域を介して、ソースとドレインとの間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル形成領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
【0044】
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等において、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0045】
また、本明細書等において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型のトランジスタでは、ソースに対するゲートの電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型のトランジスタでは、ソースに対するゲートの電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。つまり、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、ソースに対するゲートの電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低いときのドレイン電流、という場合がある。
【0046】
上記オフ電流の説明において、ドレインをソースと読み替えてもよい。つまり、オフ電流は、トランジスタがオフ状態にあるときのソース電流をいう場合がある。また、オフ電流と同じ意味で、リーク電流という場合がある。また、本明細書等において、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソースとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
【0047】
また、本明細書等において、オン電流とは、トランジスタがオン状態(導通状態、ともいう)にあるときに、ソースとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
【0048】
また、本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体などに分類される。
【0049】
例えば、トランジスタのチャネル形成領域に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、金属酸化物が増幅作用、整流作用、およびスイッチング作用の少なくとも1つを有する場合、当該金属酸化物を、金属酸化物半導体(metal oxide semiconductor)と呼ぶことができる。すなわち、チャネル形成領域に金属酸化物を有するトランジスタを、「酸化物半導体トランジスタ」、「OSトランジスタ」と呼ぶことができる。
【0050】
また、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と呼称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。金属酸化物の詳細については後述する。
【0051】
(実施の形態1)
本発明の一形態の記憶装置の構成例について、図1乃至図11を用いて説明する。本発明の一形態の記憶装置は、半導体特性を利用することで機能しうる記憶装置であり、メモリとも呼ばれている。
【0052】
また、本発明の一形態の記憶装置は、半導体基板に形成されたトランジスタを有する層の上方に、OSトランジスタを有する層が複数積層して設けられた構造を有する。OSトランジスタは、オフ電流が非常に小さいという性質を有する。
【0053】
<記憶装置のブロック図>
図1Aは、本発明の一形態である、記憶装置10Aの構成例を示すブロック図である。なお、本明細書等で説明する図面においては、主な信号の流れを矢印または線で示しており、電源線等は省略する場合がある。
【0054】
記憶装置10Aは、周辺回路20およびメモリセルアレイ30を有する。周辺回路20は、ロウドライバ21、カラムドライバ22に加えて、プリチャージ回路24、センスアンプ25、検査ビット生成回路54、エラー検出回路55、スイッチ回路23が設けられる素子層26を有する(図3参照)。
【0055】
ロウドライバ21は、ワード線WLに、メモリセルアレイ30を駆動するための信号を出力する機能を有する。具体的にロウドライバ21は、ワード線WL(図1AではWL_1およびWL_Nを図示、Nは2以上の自然数)にワード信号を出力する機能を有する。ロウドライバ21は、ワード線駆動回路と呼ぶ場合がある。なお、ロウドライバ21は、指定されたアドレスに応じたワード線WLを選択するためのデコーダ回路、およびバッファ回路等を含む。ワード線WLは、単に配線と呼ぶ場合がある。
【0056】
カラムドライバ22は、ビット線BLに、メモリセルアレイ30を駆動するための信号を出力する機能を有する。具体的にカラムドライバ22は、ビット線BL(図1AではBL_1およびBL_2を図示)にデータ信号を出力する機能を有する。カラムドライバ22は、ビット線駆動回路と呼ぶ場合がある。なお、カラムドライバ22は、指定されたアドレスに応じたビット線を選択するためのデコーダ回路等を含む。ビット線BLは、単に配線と呼ぶ場合がある。また、図面において、ビット線BLは、視認性を高めるため、太線あるいは太い点線で図示する場合がある。
【0057】
ビット線BLに与えられるデータ信号は、メモリセルに書きまれる信号、またはメモリセルから読み出される信号に相当する。データ信号は、データ1またはデータ0(データHighまたはデータLow、データHまたはデータL、ともいう)に対応する、ハイレベルまたはローレベルの電位を有する二値の信号として説明する。ハイレベルの電位は電位VDD、ローレベルの電位は電位VSS、またはグラウンド電位(GND)である。なお、データ信号は、3値以上の多値でもよい。
【0058】
その他、ビット線BLに与えられる信号としては、データを読み出すためのプリチャージ電位等がある。プリチャージ電位は、例えば、VDD/2とすることができる。
【0059】
メモリセルアレイ30は、例えば、N層(Nは2以上の自然数)の素子層34_1乃至34_Nを有する。素子層34_1は、1つ以上のメモリセル31_1を有する。メモリセル31_1は、トランジスタ32_1およびキャパシタ33_1を有する。素子層34_Nは、1つ以上のメモリセル31_Nを有する。メモリセル31_Nは、トランジスタ32_Nおよびキャパシタ33_Nを有する。
【0060】
なお、キャパシタは、容量または容量素子と呼ぶ場合がある。素子層とは、キャパシタやトランジスタなどの素子が設けられる層のことであり、導電体、半導体、絶縁体等の部材を有する層である。
【0061】
トランジスタ32_1乃至32_Nは、ワード線WL_1乃至WL_Nに与えられるワード信号に応じて、導通状態(オンまたはオン状態、ともいう)、非導通状態(オフまたはオフ状態、ともいう)が制御されるスイッチとして機能する。また、トランジスタ32_1乃至32_Nは、それぞれ、ソースまたはドレインの一方が、ビット線BLのいずれか一つに接続される。
【0062】
トランジスタ32_1乃至32_Nは、チャネル形成領域に金属酸化物を有するトランジスタ(以下、OSトランジスタという)であることが好ましい。本発明の一形態の構成では、メモリセルにOSトランジスタを用いることで、トランジスタがオフ状態の時に、ソースとドレインとの間に流れるリーク電流(以下、オフ電流という)が非常に小さい性質を利用し、所望の電位に応じた電荷を、トランジスタ32_1乃至32_Nのソースまたはドレインの他方と電気的に接続されたキャパシタ33_1乃至33_Nに保持させることができる。
【0063】
つまり、メモリセル31_1乃至31_Nにおいて、一旦書き込んだデータを長時間保持することができる。そのため、記憶装置10Aは、データリフレッシュの頻度を下げ、低消費電力化を図ることができる。
【0064】
加えて、OSトランジスタを用いたメモリセル31_1乃至31_Nは、電荷を充電または放電することによって、データの書き換えおよび読み出しが可能となるため、実質的に無制限回のデータ書き込みおよび読み出しが可能である。
【0065】
OSトランジスタを用いたメモリセル31_1乃至31_Nは、磁気メモリあるいは抵抗変化型メモリなどのように、原子レベルでの構造変化を伴わないため、書き換え耐性に優れている。また、OSトランジスタを用いたメモリセル31_1乃至31_Nは、フラッシュメモリにみられるような、繰り返しの書き換え動作による電子捕獲中心の増加による不安定性が、認められない。
【0066】
また、OSトランジスタを用いたメモリセル31_1乃至31_Nは、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(以下、Siトランジスタという)が形成された、シリコン基板上などに設けることができる。そのため、集積化を容易に行うことができる。また、OSトランジスタは、Siトランジスタと同様の製造装置を用いて作製することができるため、低コストで作製可能である。
【0067】
OSトランジスタは、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極に加えて、バックゲート電極を含む、4端子の半導体素子とすることができる。ゲート電極またはバックゲート電極に与える電位に応じて、ソースとドレインとの間を流れる信号の入出力が独立に制御可能な電気回路網で構成することができる。そのため、LSI(Large Scale Integration)と同一思考で回路設計を行うことができる。
【0068】
加えて、OSトランジスタは、高温環境下において、Siトランジスタよりも優れた電気特性を有する。具体的には、125℃以上150℃以下といった高温下においてもオン電流とオフ電流の比が大きく、良好なスイッチング動作を行うことができる。
【0069】
なお、図1Aに示す記憶装置10Aは、OSトランジスタをメモリセルに用いたDOSRAM(Dynamic Oxide Semiconductor Random Access Memory)と呼ぶことができる。メモリセルを、一つのトランジスタおよび一つのキャパシタで構成することができるため、記憶できるデータ量が多い、高密度なメモリを実現できる。また、OSトランジスタを用いることで、データの保持時間を長くすることができる。
【0070】
キャパシタ33_1乃至33_Nは、電極となる導電体の間に、絶縁体を挟んだ構成である。なお、電極を構成する導電体としては、金属の他、導電性を付与した半導体などを用いることができる。また、キャパシタ33_1乃至33_Nの配置について、詳細は後述するが、トランジスタ32_1乃至32_Nの上方または下方の重なる位置に配置する構成の他、トランジスタ32_1乃至32_Nを構成する半導体層あるいは電極等の一部を、キャパシタ33_1乃至33_Nの一方の電極として用いることができる。
【0071】
プリチャージ回路24、センスアンプ25、検査ビット生成回路54、エラー検出回路55、スイッチ回路23が設けられる素子層26は、メモリセルにデータを書き込む際、検査ビットを生成する機能、および、メモリセルからデータを読み出す際、ビット線BLをプリチャージする機能、ビット線BLの電位を増幅する機能、検査ビットを用いてメモリセルから読み出したデータにエラーがないかを検出する機能を有する。
【0072】
素子層26が有する各回路(プリチャージ回路24、センスアンプ25、検査ビット生成回路54、エラー検出回路55、スイッチ回路23)は、OSトランジスタを用いて構成されることが好ましい。素子層26が有する各回路がOSトランジスタを用いて構成されることで、素子層26は、Siトランジスタが形成されたシリコン基板上などに設けることができる。そのため、集積化を容易に行うことができる。また、OSトランジスタは、Siトランジスタと同様の製造装置を用いて作製することができるため、低コストで作製可能である。
【0073】
<記憶装置の模式図>
図1Aで説明した各構成において、素子層34_1乃至34_N、および素子層26について説明するため、記憶装置10Aの構成例を示す模式図を、図1Bに示す。図1Bに示す模式図は、図1Aで説明した各構成の配置を説明するため、x軸、y軸、z軸方向を規定した斜視図である。
【0074】
図1Bに図示するように、記憶装置10Aは、素子層26と、素子層34_1乃至素子層34_Nの、合計(1+N)層のOSトランジスタを有する層が、半導体基板11上に積層して設けられる。また、素子層26、および、素子層34_1乃至素子層34_Nが有するメモリセル31_1乃至31_Nは、それぞれ、半導体基板11に設けられたカラムドライバ22と重なる領域を有する。そして、素子層26は、半導体基板11と、素子層34_1との間に設けられている。
【0075】
半導体基板11は、トランジスタのチャネル領域を形成することが可能であれば、特に限定されない。例えば、単結晶シリコン基板、単結晶ゲルマニウム基板、化合物半導体基板(SiC基板、GaN基板など)、SOI(Silicon on Insulator)基板などを用いることができる。
【0076】
そして、素子層34_1が有するメモリセル31_1のトランジスタと、素子層34_Nが有するメモリセル31_Nのトランジスタとは、垂直方向に設けられたビット線BLを介して電気的に接続される。また、ビット線BLは素子層26と電気的に接続され、素子層26は、半導体基板11に設けられたカラムドライバ22と電気的に接続される。
【0077】
例えば、ビット線BL_1は、メモリセル31_1が有するトランジスタの半導体層に接して設けられる。あるいは、ビット線BL_1は、メモリセル31_1が有するトランジスタの半導体層のソースまたはドレインとして機能する領域に接して設けられる。あるいは、ビット線BL_1は、メモリセル31_1が有するトランジスタの半導体層のソースまたはドレインとして機能する領域と接して設けられる導電体に接して設けられる。
【0078】
すなわち、ビット線BLは、メモリセル31_1が有するトランジスタのソースまたはドレインの一方と、メモリセル31_Nが有するトランジスタのソースまたはドレインの一方と、素子層26とを、電気的に接続する配線であるといえる。
【0079】
また、ビット線BLは、カラムドライバ22が設けられる半導体基板11の面に、垂直方向または概略垂直方向に延びて設けられるということができる。すなわち、図1Bに図示するように、ビット線BLは、メモリセル31_1が有するトランジスタ、およびメモリセル31_Nが有するトランジスタに接続され、且つ前記半導体基板の表面(xy平面)に対して垂直方向(z方向)または概略垂直方向に設けられる。なお、「概略垂直」とは、85度以上95度以下の角度で配置されている状態をいう。
【0080】
本発明の一形態である記憶装置10Aでは、各素子層に設けられるトランジスタとして、オフ電流が非常に小さいOSトランジスタが用いられる。そのため、メモリセルに保持するデータのリフレッシュ頻度を低減することができ、低消費電力化が図られた記憶装置とすることができる。
【0081】
OSトランジスタは、積層して設けることができ、垂直方向に繰り返し同じ製造工程を用いて作製することができるため、製造コストの低減を図ることができる。また、記憶装置10Aは、メモリセルを構成するトランジスタを平面方向ではなく、垂直方向に配置してメモリ密度の向上を図ることができる。そのため、記憶装置10Aの小型化を図ることができる。
【0082】
また、OSトランジスタは、高温環境下においてもSiトランジスタと比べて電気特性の変動が小さいため、積層且つ集積化した際のトランジスタの電気特性の変動が小さく、信頼性に優れた記憶装置として機能することができる。
【0083】
記憶装置10Aは、カラムドライバ等の上方にメモリセルを配置することが可能であるため、記憶装置10Aを、小型で記憶できるデータ量が多い、高密度な記憶装置とすることができる。また、メモリセルが有するキャパシタの容量を小さくしても動作させることが可能である。
【0084】
また、記憶装置10Aは、メモリセルアレイから延びて設けられるビット線を、半導体基板11の表面と概略垂直方向に設けることで、メモリセルアレイと素子層26との、ビット線の長さを短くできる。そのため、ビット線の寄生容量を削減できるため、メモリセルに保持するデータ信号を多値化しても電位を読み出すことができる。
【0085】
<記憶装置の断面図>
図2では、図1Aおよび図1Bを用いて説明した、記憶装置10Aの垂直方向(z軸方向)に平行な一断面の模式図について示す。
【0086】
図2に示すように、記憶装置10Aは、各層の素子層に設けられたメモリセル31_1乃至31_Nと、素子層26と、半導体基板11に設けられたカラムドライバ22とを、垂直方向に設けられたビット線BLを介して接続することができる。ビット線BLを垂直方向に設けることで、ビット線BLの長さを短くすることができるため、ビット線BLの負荷を低減することができる。
【0087】
図3では、メモリセルアレイ30として素子層34_1乃至34_N、プリチャージ回路24、センスアンプ25、検査ビット生成回路54、エラー検出回路55、スイッチ回路23を有する素子層26、および、カラムドライバ22が有する書き込み読み出し回路29を図示している。
【0088】
また、図3では、ビット線BL_AまたはBL_Bと、プリチャージ回路24およびセンスアンプ25との導通を制御するトランジスタ28_aおよび28_b、および、スイッチ回路23が有するスイッチ23_A乃至スイッチ23_Cが図示されている。ビット線BL_Aは、トランジスタ28_aのソースまたはドレインの一方と接続され、ビット線BL_Bは、トランジスタ28_bのソースまたはドレインの一方と接続される。
【0089】
図3に図示する素子層26の上方には、素子層34_1乃至34_Nが設けられ、ビット線BL_Aおよびビット線BL_Bが垂直方向に設けられる。すなわち、周辺回路の一部を構成する素子層26は、素子層34_1乃至34_Nと同様に積層して設けることができる。また、ビット線BL_Aおよびビット線BL_Bは、トランジスタ28_aおよびトランジスタ28_bを介して、プリチャージ回路24およびセンスアンプ25を構成するトランジスタに接続される。
【0090】
プリチャージ回路24は、nチャネル型のトランジスタ24_1乃至24_3で構成される。プリチャージ回路24は、プリチャージ線PCLに与えられるプリチャージ信号に応じて、ビット線BL_Aおよびビット線BL_Bを、例えば、電位VDDと電位VSSの間の電位VDD/2に相当する中間電位VPCにプリチャージするための回路である。
【0091】
センスアンプ25は、nチャネル型のトランジスタ25_1乃至25_4を有し、トランジスタ25_1およびトランジスタ25_2は配線VHHに接続され、トランジスタ25_3およびトランジスタ25_4は配線VLLに接続される。配線VHHは電位VDDを供給する機能、配線VLLは電位VSSを供給する機能を有する。また、トランジスタ25_1乃至25_4は、インバータループを構成するトランジスタである。
【0092】
メモリセルからデータを読み出す場合、プリチャージ回路24はビット線をプリチャージし、ロウドライバ21は選択されたメモリセルのワード線をハイレベルとすることで、プリチャージされたビット線の電位が変化する。センスアンプ25は、当該変化に応じて、センスアンプ25に接続された一対の配線の電位を電位VDDまたは電位VSSとし、該電位をスイッチ回路23を介して書き込み読み出し回路29に出力する。
【0093】
検査ビット生成回路54は、メモリセルにデータを書き込む際、書き込み読み出し回路29から出力されたデータ信号をもとに、検査ビットを生成する機能を有し、エラー検出回路55は、メモリセルからデータを読み出す際、検査ビットを用いてメモリセルから読み出したデータにエラーがないかを検出し、その結果を書き込み読み出し回路29に出力する機能を有する。検査ビット生成回路54およびエラー検出回路55の詳細は、後述する。
【0094】
なお、図2で示した、記憶装置10Aにおける、素子層34_1乃至34_Nおよび素子層26をユニット39と呼称した場合、ユニット39を垂直方向に積層して設けてもよい。図4には、図2で説明したユニット39をM段(ユニット39_1乃至ユニット39_M、Mは2以上の自然数)積層した構成の記憶装置10Bを示す。図4は、記憶装置10Bの垂直方向(z軸方向)に平行な一断面の模式図である。
【0095】
図4に示すように、記憶装置10Bは、ユニット39_1乃至ユニット39_Mにおいて、それぞれ、素子層34_1乃至34_Nおよび素子層26を有する。選択信号MUXによりユニット39_1乃至ユニット39_Mの1つが選択され、選択されたユニット39は配線BL_Uおよび素子層26を介して、信号入力または信号出力を行う。配線BL_Uは、選択信号SELで切り替え可能なスイッチ回路41で選択され、配線GBLを介してカラムドライバ22に接続される。なお、スイッチ回路41は、素子層26を構成するOSトランジスタを用いて、構成してもよい。
【0096】
記憶装置10Bの構成とすることで、ユニット39_1乃至ユニット39_Mのそれぞれにおける、素子層34_1乃至34_Nの積層数を削減することができる。素子層34_1乃至34_Nの積層数を削減することで、ビット線BLの長さを短くすることができ、ビット線BLの負荷を低減することができる。なお、図面において、配線GBLは、視認性を高めるため、太線あるいは太い点線で図示する場合がある。配線GBLは、グローバルビット線と呼ぶ場合がある。
【0097】
なお、図4に示す配線GBLは、OSトランジスタを有する素子層を作製した後に、設けることが可能である。例えば、図5Aに示す断面模式図のように、OSトランジスタを有する素子層を作製し、各素子層を取り囲む封止層40Aの外周に開口を設けて、当該開口に配線GBLを設けることができる。あるいは、図5Bに示す断面模式図のように、OSトランジスタを有する素子層を作製し、各素子層を一括して取り囲む封止層40Bの外周に開口を設けて、当該開口に配線GBLを設けることができる。なお、図5Aおよび図5Bでは、スイッチ回路41等は省略し、また、配線GBLを備えた各素子層の詳細については、実施の形態3で詳述する。
【0098】
<検査ビット生成回路、エラー検出回路>
図6Aは、検査ビット生成回路54の構成例を示す回路図である。検査ビット生成回路54は、XOR回路53_1乃至XOR回路53_3を有する。なお、XOR回路53の構成例は後述する。
【0099】
なお、説明をわかりやすくするため、記憶装置10Aにおいて、メモリセルアレイ30が有する素子層34_1乃至34_Nは、Nが5であるとして説明する。また、素子層34_1乃至34_5のうち、1層は検査ビットを保持するために使用され、残りの4層にデータが保持される。すなわち、本実施の形態において説明する検査ビット生成回路54は、4bitのデータと、1bitの検査ビットを扱う回路である。
【0100】
検査ビット生成回路54は、入力端子T_A0乃至入力端子T_A3を有し、それぞれ、ビットA0乃至ビットA3で表される4bitのデータが入力され、また、検査ビット生成回路54は、入力端子T_CK1乃至入力端子T_CK4を有し、それぞれ、制御信号であるクロック信号CK1乃至クロック信号CK4が入力される。そして、検査ビット生成回路54は、出力端子OUTから検査ビットを出力する。
【0101】
図6Bは、検査ビット生成回路54に入力されるクロック信号CK1乃至クロック信号CK4と、4bitデータの入力期間PDI、および、検査ビットの出力期間PDOとの関係を示すタイミングチャートである。クロック信号CK1乃至クロック信号CK4および4bitデータの、ハイレベルは電位VDDを用いて表され、ローレベルは電位VSSを用いて表されるため、図6Bでは、それぞれ、Vdd(H)、Vss(L)と表記する。
【0102】
また、図6Cは、検査ビット生成回路54に入力される4bitデータに対する出力を、ハイレベル(H)またはローレベル(L)で表した真理値表である。図6Cに示す真理値表は、ビットA0乃至ビットA3のうち、ハイレベル(H)の数が奇数の場合、検査ビット生成回路54はハイレベル(H)を出力し、ハイレベル(H)の数が偶数または0個の場合、検査ビット生成回路54はローレベル(L)を出力することを示している。
【0103】
次に、図7Aは、エラー検出回路55の構成例を示す回路図である。エラー検出回路55は、XOR回路53_4乃至XOR回路53_7と、ディレイ回路52_1乃至ディレイ回路52_4とを有する。なお、ディレイ回路52の構成例は後述する。
【0104】
また、検査ビット生成回路54と同様に、本実施の形態において説明するエラー検出回路55は、4bitのデータと、1bitの検査ビットを扱う回路である。
【0105】
エラー検出回路55は、入力端子T_A0乃至入力端子T_A3を有し、それぞれ、ビットA0乃至ビットA3で表される4bitのデータが入力され、エラー検出回路55は、入力端子T_CK1乃至入力端子T_CK4を有し、それぞれ、制御信号であるクロック信号CK1乃至クロック信号CK4が入力され、また、エラー検出回路55は、入力端子T_B0を有し、検査ビットB0が入力される。そして、エラー検出回路55は、検査ビットB0と、ビットA0乃至ビットA3との関係に誤りが見つからなければ、出力端子OUTからローレベル(L)を出力し、誤りが見つかればハイレベル(H)を出力する。
【0106】
図7Bは、エラー検出回路55に入力されるクロック信号CK1乃至クロック信号CK4と、4bitデータ、検査ビットの入力期間PDI、および、エラー検出回路55の出力期間PDOとの関係を示すタイミングチャートである。クロック信号CK1乃至クロック信号CK4、4bitデータ、および検査ビットの、ハイレベルは電位VDDを用いて表され、ローレベルは電位VSSを用いて表されるため、図7Bでは、それぞれ、Vdd(H)、Vss(L)と表記する。
【0107】
また、図8は、エラー検出回路55に入力される4bitデータおよび検査ビットに対する出力を、ハイレベル(H)またはローレベル(L)で表した真理値表である。図8に示す真理値表は、検査ビットB0がローレベル(L)であり、ビットA0乃至ビットA3のうち、ハイレベル(H)の数が奇数の場合、エラー検出回路55はハイレベル(H)を出力することを示している。このことは、ビットA0乃至ビットA3のうち、ハイレベル(H)の数が奇数の場合、検査ビット生成回路54は、検査ビットとしてハイレベル(H)を出力することから、検査ビットB0と、ビットA0乃至ビットA3との関係に誤りが見つかったことを示している。
【0108】
また、図8に示す真理値表は、検査ビットB0がハイレベル(H)であり、ビットA0乃至ビットA3のうち、ハイレベル(H)の数が偶数または0個の場合、エラー検出回路55はハイレベル(H)を出力することを示している。このことは、ビットA0乃至ビットA3のうち、ハイレベル(H)の数が偶数または0個の場合、検査ビット生成回路54は、検査ビットとしてローレベル(L)を出力することから、検査ビットB0と、ビットA0乃至ビットA3との関係に誤りが見つかったことを示している。
【0109】
すなわち、検査ビット生成回路54、検査ビットB0、および、エラー検出回路55を有することで、記憶装置10Aは、記憶装置の内部で、データの書き込みおよび読み出しとともに、パリティチェックを行うことができる。また、エラー検出回路55の出力信号は、スイッチ23_Cを介して、カラムドライバ22に出力される。
【0110】
<XOR回路、NAND回路、ディレイ回路>
図9Aは、XOR回路53を表すシンボルであり、図9Bは、XOR回路53の構成例を示す回路図である。図9Bに示すように、XOR回路53は、NAND回路51_1乃至NAND回路51_4、ディレイ回路52_1、および、ディレイ回路52_2を有する。また、XOR回路53は、入力端子D、入力端子E、および、制御信号S_C5乃至制御信号S_C8が入力される入力端子C5乃至入力端子C8を有し、出力端子Zから信号を出力する。
【0111】
図9Cは、XOR回路53に入力される制御信号S_C5乃至制御信号S_C8と、入力端子Dおよび入力端子Eに入力される信号の入力期間PDI、および、XOR回路53の出力期間PDOとの関係を示すタイミングチャートである。制御信号S_C5乃至制御信号S_C8および入力される信号の、ハイレベルは電位VDDを用いて表され、ローレベルは電位VSSを用いて表されるため、図9Cでは、それぞれ、Vdd(H)、Vss(L)と表記している。
【0112】
また、図9Dは、XOR回路53に入力される信号に対する出力を、ハイレベル(H)またはローレベル(L)で表した真理値表である。図9Dに示す真理値表は、入力端子D、入力端子Eに入力される信号と、出力端子Zから出力される信号との関係を示している。
【0113】
図10Aは、NAND回路51を表すシンボルであり、図10Bは、NAND回路51の構成例を示す回路図である。図10Bに示すように、NAND回路51は、トランジスタ61乃至トランジスタ64、および、キャパシタC61を有する。トランジスタ61乃至トランジスタ64は、nチャネル型のトランジスタである。また、NAND回路51は、入力端子A、入力端子B、および、制御信号S_C1および制御信号S_C2が入力される入力端子C1および入力端子C2を有し、出力端子Xから信号を出力する。
【0114】
図10Cは、NAND回路51に入力される制御信号S_C1および制御信号S_C2と、入力端子Aおよび入力端子Bに入力される信号の入力期間PDI、および、NAND回路51の出力期間PDOとの関係を示すタイミングチャートである。制御信号S_C1、制御信号S_C2および入力される信号の、ハイレベルは電位VDDを用いて表され、ローレベルは電位VSSを用いて表されるため、図10Cでは、それぞれ、Vdd(H)、Vss(L)と表記している。
【0115】
また、図10Dは、NAND回路51に入力される信号に対する出力を、ハイレベル(H)またはローレベル(L)で表した真理値表である。図10Dに示す真理値表は、入力端子A、入力端子Bに入力される信号と、出力端子Xから出力される信号との関係を示している。
【0116】
図11Aは、ディレイ回路52を表すシンボルであり、図11Bは、ディレイ回路52の構成例を示す回路図である。図11Bに示すように、ディレイ回路52は、トランジスタ71、トランジスタ72、および、キャパシタC71を有する。トランジスタ71およびトランジスタ72は、nチャネル型のトランジスタである。また、ディレイ回路52は、入力端子C、制御信号S_C3および制御信号S_C4が入力される入力端子C3および入力端子C4を有し、出力端子Yから信号を出力する。
【0117】
図11Cは、ディレイ回路52に入力される制御信号S_C3および制御信号S_C4と、入力端子Cに入力される信号の入力期間PDI、および、ディレイ回路52の出力期間PDOとの関係を示すタイミングチャートである。制御信号S_C3、制御信号S_C4および入力される信号の、ハイレベルは電位VDDを用いて表され、ローレベルは電位VSSを用いて表されるため、図11Cでは、それぞれ、Vdd(H)、Vss(L)と表記している。
【0118】
また、図11Dは、ディレイ回路52に入力される信号に対する出力を、ハイレベル(H)またはローレベル(L)で表した真理値表である。図11Dに示す真理値表は、入力端子Cに入力される信号と、出力端子Yから出力される信号との関係を示している。
【0119】
<記憶装置>
本発明の一形態の記憶装置は、各素子層に設けられるトランジスタとして、オフ電流が非常に小さいOSトランジスタを用いる。OSトランジスタは、例えば、Siトランジスタが設けられるシリコン基板上に積層して設けることができるため、垂直方向に繰り返し同じ製造工程を用いて作製することができ、製造コストの低減を図ることができる。また、本発明の一形態の記憶装置は、メモリセルを構成するトランジスタを平面方向ではなく、垂直方向に配置してメモリ密度の向上を図ることができ、記憶装置の小型化を図ることができる。
【0120】
加えて、本発明の一形態の記憶装置は、検査ビット生成回路、検査ビット、および、エラー検出回路を備えている。そのため、本発明の一形態の記憶装置は、記憶装置の内部で、データの書き込みおよび読み出しとともに、パリティチェックを行うことができる。また、検査ビット生成回路およびエラー検出回路もOSトランジスタを用いて構成できるため、当該回路を垂直方向に配置して、記憶装置の小型化を図ることができる。
【0121】
なお、本実施の形態は、本明細書に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0122】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態1で説明した記憶装置10Aに適用可能な回路の変形例について、図12を用いて説明する。
【0123】
図2等では、メモリセル31_1乃至メモリセル31_Nおよび素子層26を構成するトランジスタとして、バックゲート電極がないトップゲート構造またはボトムゲート構造のトランジスタを示したが、トランジスタの構造はこれに限らない。例えば、図12に示す記憶装置10Cのように、バックゲート電極線BGLに接続されたバックゲート電極を有するトランジスタを用いてもよい。図12の構成とすることで、トランジスタのしきい値電圧を外部より制御することができる。
【0124】
なお、本実施の形態は、本明細書に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0125】
(実施の形態3)
以下では、本発明の一態様に係る記憶装置の一例について説明する。
【0126】
図13は、半導体基板311に設けられた回路を有する素子層411上に、メモリユニット470(メモリユニット470_1乃至メモリユニット470_m:mは1以上の自然数)が積層して設けられた記憶装置の例を示す図である。図13では、素子層411と、素子層411上にメモリユニット470が複数積層されており、複数のメモリユニット470には、一つのトランジスタ層413(トランジスタ層413_1乃至トランジスタ層413_mのいずれか)と、各トランジスタ層413上の、複数のメモリデバイス層415(メモリデバイス層415_1乃至メモリデバイス層415_n:nは2以上の自然数)が設けられる例を示している。なお、各メモリユニット470では、トランジスタ層413上にメモリデバイス層415が設けられる例を示しているが、本実施の形態ではこれに限定されない。複数のメモリデバイス層415上にトランジスタ層413を設けてもよいし、トランジスタ層413の上下にメモリデバイス層415が設けられてもよい。
【0127】
素子層411は、半導体基板311に設けられたトランジスタ300を有し、記憶装置の周辺回路として機能することができる。周辺回路の例としては、カラムドライバ、ロウドライバ、カラムデコーダ、ロウデコーダ、増幅回路、入出力回路、コントロールロジック回路などが挙げられる。
【0128】
トランジスタ層413は、トランジスタ200Tを有し、各メモリユニット470を制御する回路として機能することができる。メモリデバイス層415は、メモリデバイス420を有する。本実施の形態に示すメモリデバイス420は、トランジスタ200Mと容量292を有する。
【0129】
なお、上記mの値については、特に制限は無いが1以上100以下、好ましくは1以上50以下、さらに好ましくは、1以上10以下である。また、上記nの値については、特に制限は無いが2以上100以下、好ましくは2以上50以下、さらに好ましくは、2以上100以下である。また、上記mとnの積は、2以上256以下、好ましくは2以上128以下、さらに好ましくは2以上64以下である。
【0130】
また、図13は、メモリユニット470に含まれるトランジスタ200T、およびトランジスタ200Mのチャネル長方向の断面図を示す。
【0131】
図13に示すように、半導体基板311にトランジスタ300が設けられ、トランジスタ300上には、メモリユニット470が有するトランジスタ層413とメモリデバイス層415が設けられ、一つのメモリユニット470内でトランジスタ層413が有するトランジスタ200Tと、メモリデバイス層415が有するメモリデバイス420は、複数の導電体424により電気的に接続され、トランジスタ300と、各メモリユニット470におけるトランジスタ層413が有するトランジスタ200Tは、導電体426により電気的に接続される。また、導電体426は、トランジスタ200Tのソース、ドレイン、ゲートのいずれか一と電気的に接続する導電体428を介して、トランジスタ200Tと電気的に接続することが好ましい。導電体424は、メモリデバイス層415の各層に設けられることが好ましい。また、導電体426は、トランジスタ層413、およびメモリデバイス層415の各層に設けられることが好ましい。
【0132】
また、詳細は後述するが、導電体424の側面、および導電体426の側面には、水または水素などの不純物や、酸素の透過を抑制する絶縁体を設けることが好ましい。このような絶縁体として、例えば、窒化シリコン、酸化アルミニウム、または窒化酸化シリコンなどを用いればよい。
【0133】
メモリデバイス420は、トランジスタ200Mと容量292を有し、トランジスタ200Mは、トランジスタ層413が有するトランジスタ200Tと同様の構造とすることができる。また、トランジスタ200Tとトランジスタ200Mをまとめて、トランジスタ200と称する場合がある。
【0134】
ここで、トランジスタ200は、チャネルが形成される領域を含む半導体に、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。
【0135】
酸化物半導体として、例えば、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。また、酸化物半導体として、酸化インジウム、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物を用いてもよい。なお、インジウムの比率が高い組成の酸化物半導体とすることで、トランジスタのオン電流、または電界効果移動度などを高めることができる。
【0136】
チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたトランジスタ200は、非導通状態において極めてリーク電流が小さいため、低消費電力の記憶装置を提供できる。また、酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の記憶装置を構成するトランジスタ200に用いることができる。
【0137】
一方、酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体中の不純物及び酸素欠損によって、その電気特性が変動し、ノーマリーオン特性(ゲート電極に電圧を印加しなくてもチャネルが存在し、トランジスタに電流が流れる特性)となりやすい。
【0138】
そこで、不純物濃度、および欠陥準位密度が低減された酸化物半導体を用いるとよい。なお、本明細書等において、不純物濃度および欠陥準位密度が低いことを高純度真性または実質的に高純度真性という。
【0139】
従って、酸化物半導体中の不純物濃度はできる限り低減されていることが好ましい。なお、酸化物半導体中の不純物としては、例えば、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0140】
特に、酸化物半導体に含まれる不純物としての水素は、酸化物半導体中に酸素欠損(V:oxygen vacancyともいう)を形成する場合がある。また、酸素欠損に水素が入った欠陥(以下、VHと呼ぶ場合がある)は、キャリアとなる電子を生成する場合がある。さらに、水素の一部が金属原子と結合する酸素と反応し、キャリアとなる電子を生成する場合がある。
【0141】
従って、水素が多く含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。また、酸化物半導体中の水素は、熱、電界などのストレスによって動きやすいため、酸化物半導体に多くの水素が含まれると、トランジスタの信頼性が悪化する恐れもある。
【0142】
従って、トランジスタ200に用いる酸化物半導体は、水素などの不純物、および酸素欠損が低減された高純度真性な酸化物半導体を用いることが好ましい。
【0143】
<封止構造>
そこで、外部からの不純物混入を抑制するために、不純物の拡散を抑制する材料(以下、不純物に対するバリア性材料ともいう)を用いて、トランジスタ200を封止するとよい。
【0144】
なお、本明細書等において、バリア性とは、対応する物質の拡散を抑制する機能(透過性が低いともいう)とする。または、対応する物質を、捕獲、および固着する(ゲッタリングともいう)機能とする。
【0145】
例えば、水素、および酸素に対する拡散を抑制する機能を有する材料として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、インジウムガリウム亜鉛酸化物、窒化シリコン、または窒化酸化シリコンなどがある。特に、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンは、水素に対するバリア性が高いため、封止する材質として用いることが好ましい。
【0146】
また、例えば、水素を捕獲、および固着する機能を有する材料として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、インジウムガリウム亜鉛酸化物、などの金属酸化物がある。
【0147】
トランジスタ300とトランジスタ200の間には、バリア性を有する層として、絶縁体211、絶縁体212、および絶縁体214が設けられることが好ましい。絶縁体211、絶縁体212、および絶縁体214の少なくとも一つに水素などの不純物の拡散や透過を抑制する材料を用いることで、半導体基板311、トランジスタ300などに含まれる水素や水等の不純物がトランジスタ200に拡散することを抑制できる。また、絶縁体211、絶縁体212、および絶縁体214の少なくとも一つに酸素の透過を抑制する材料を用いることで、トランジスタ200のチャネル、またはトランジスタ層413に含まれる酸素が素子層411に拡散することを抑制できる。例えば、絶縁体211、および絶縁体212として水素や水などの不純物の透過を抑制する材料を用い、絶縁体214として酸素の透過を抑制する材料を用いることが好ましい。また、絶縁体214として水素を吸い取り、吸蔵する特性を有する材料を用いることがさらに好ましい。絶縁体211、および絶縁体212として、例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどの窒化物を用いることができる。絶縁体214として、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、インジウムガリウム亜鉛酸化物、などの金属酸化物を用いることができる。特に、絶縁体214として、酸化アルミニウムを用いることが好ましい。
【0148】
また、トランジスタ層413およびメモリデバイス層415の側面、すなわちメモリユニット470の側面には絶縁体287が設けられることが好ましく、メモリユニット470の上面には絶縁体282が設けられることが好ましい。このとき絶縁体282は、絶縁体287と接することが好ましく、絶縁体287は、絶縁体211、絶縁体212、および絶縁体214の少なくとも一つと接することが好ましい。絶縁体287、および絶縁体282として、絶縁体214に用いることができる材料を用いることが好ましい。
【0149】
また、絶縁体282、および絶縁体287を覆うように絶縁体283、および絶縁体284が設けられることが好ましく、絶縁体283は、絶縁体211、絶縁体212、および絶縁体214の少なくとも一つと接することが好ましい。図13では、絶縁体287が絶縁体214の側面、絶縁体212の側面、および絶縁体211の上面および側面と接し、絶縁体283が絶縁体287の側面、および絶縁体211の上面と接する例を示しているが、本実施の形態はこれに限らない。絶縁体287が絶縁体214の側面、および絶縁体212の上面および側面と接し、絶縁体283が絶縁体287の側面、および絶縁体212の上面と接していてもよい。絶縁体282、および絶縁体287として、絶縁体211、および絶縁体212に用いることができる材料を用いることが好ましい。
【0150】
上記構造において、絶縁体287、および絶縁体282として酸素の透過を抑制する材料を用いることが好ましい。また、絶縁体287、および絶縁体282として水素を捕獲、および固着する特性を有する材料を用いることがさらに好ましい。トランジスタ200に近接する側に、水素を捕獲、および固着する機能を有する材料を用いることで、トランジスタ200中、またはメモリユニット470中の水素は、絶縁体214、絶縁体287、および絶縁体282に、捕獲、および固着されるため、トランジスタ200中の水素濃度を低減することができる。また、絶縁体283、および絶縁体284として水素や水などの不純物の透過を抑制する材料を用いることが好ましい。
【0151】
以上のような構造とすることで、メモリユニット470は、絶縁体211、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体287、絶縁体282、絶縁体283、および絶縁体284により囲われる。より具体的には、メモリユニット470は、絶縁体214、絶縁体287、および絶縁体282(第1の構造体と表記する場合がある)により囲われ、メモリユニット470、および第1の構造体は、絶縁体211、絶縁体212、絶縁体283、および絶縁体284(第2の構造体と表記する場合がある)により囲われる。また、このようにメモリユニット470を2層以上の複数の構造体により囲う構造を入れ子構造と呼ぶ場合がある。ここで、メモリユニット470が複数の構造体により囲われることを、メモリユニット470が複数の絶縁体により封止されると表記する場合がある。
【0152】
また、第2の構造体は、第1の構造体を介して、トランジスタ200を封止する。従って、第2の構造体の外方に存在する水素は、第2の構造体により、第2の構造体の内部(トランジスタ200側)への拡散が、抑制される。つまり、第1の構造体は、第2の構造体の内部構造に存在する水素を、効率よく捕獲し、固着することができる。
【0153】
上記構造として、具体的には、第1の構造体には酸化アルミニウムなどの金属酸化物を用い、第2の構造体には窒化シリコンなどの窒化物を用いることができる。より、具体的には、トランジスタ200と、窒化シリコン膜との間に、酸化アルミニウム膜を配置するとよい。
【0154】
さらに、構造体に用いる材料は、成膜条件を適宜設定することにより、膜中の水素濃度を低減することができる。
【0155】
一般的に、CVD法を用いて成膜した膜は、スパッタリング法を用いて成膜した膜よりも、被覆性が高い。一方で、CVD法に用いる化合物ガスは、水素を含む場合が多く、CVD法を用いて成膜した膜は、スパッタリング法を用いて成膜した膜よりも、水素の含有量が多い。
【0156】
従って、例えば、トランジスタ200と近接する膜に、膜中の水素濃度が低減された膜(具体的にはスパッタリング法を用いて成膜した膜)を用いるとよい。一方で、不純物の拡散を抑制する膜として、被膜性が高い一方で膜中の水素濃度が比較的高い膜(具体的にはCVD法を用いて成膜した膜)を用いる場合、トランジスタ200と、水素濃度が比較的高い一方で被膜性が高い膜との間に、水素を捕獲、および固着する機能を有し、かつ水素濃度が低減された膜を配置するとよい。
【0157】
つまり、トランジスタ200に近接して配置する膜は、膜中の水素濃度が比較的低い膜を用いるとよい。一方で、膜中の水素濃度が比較的高い膜は、トランジスタ200から遠隔して配置するとよい。
【0158】
上記構造として、具体的には、トランジスタ200を、CVD法を用いて成膜した窒化シリコンを用いて封止する場合、トランジスタ200と、CVD法を用いて成膜した窒化シリコン膜との間に、スパッタリング法を用いて成膜した酸化アルミニウム膜を配置するとよい。さらに好ましくは、CVD法を用いて成膜した窒化シリコン膜と、スパッタリング法を用いて成膜した酸化アルミニウム膜との間に、スパッタリング法を用いて成膜した窒化シリコン膜を配置するとよい。
【0159】
なお、CVD法を用いて成膜する場合、水素原子を含まない、または水素原子の含有量が少ない、化合物ガスを用いて成膜することで、成膜した膜に含まれる水素濃度を低減してもよい。
【0160】
また、各トランジスタ層413とメモリデバイス層415の間、または各メモリデバイス層415の間にも、絶縁体282、および絶縁体214が設けられることが好ましい。また、絶縁体282、および絶縁体214の間に絶縁体296が設けられることが好ましい。絶縁体296は、絶縁体283、および絶縁体284と同様の材料を用いることができる。または、酸化シリコン、酸化窒化シリコンを用いることができる。または、公知の絶縁性材料を用いてもよい。ここで、絶縁体282、絶縁体296、および絶縁体214は、トランジスタ200を構成する要素であってもよい。絶縁体282、絶縁体296、および絶縁体214がトランジスタ200の構成要素を兼ねることで、記憶装置の作製にかかる工程数を削減できるため好ましい。
【0161】
また、各トランジスタ層413とメモリデバイス層415の間、または各メモリデバイス層415の間に設けられる絶縁体282、絶縁体296、および絶縁体214それぞれの側面は、絶縁体287と接することが好ましい。このような構造とすることで、トランジスタ層413およびメモリデバイス層415は、それぞれ絶縁体282、絶縁体296、絶縁体214、絶縁体287、絶縁体283、および絶縁体284により囲われ、封止される。
【0162】
また、絶縁体284の周囲には、絶縁体274を設けてもよい。また、絶縁体274、絶縁体284、絶縁体283、および絶縁体211に埋め込むように導電体430を設けてもよい。導電体430は、トランジスタ300、すなわち素子層411に含まれる回路と電気的に接続する。
【0163】
また、メモリデバイス層415では、容量292がトランジスタ200Mと同じ層に形成されているため、メモリデバイス420の高さをトランジスタ200Mと同程度にすることができ、各メモリデバイス層415の高さが過剰に大きくなるのを抑制することができる。これにより、比較的容易に、メモリデバイス層415の数を増やすことができる。例えば、トランジスタ層413、およびメモリデバイス層415からなる積層を100層程度にしてもよい。
【0164】
<トランジスタ200>
図14Aを用いて、トランジスタ層413が有するトランジスタ200T、およびメモリデバイス420が有するトランジスタ200Mに用いることができるトランジスタ200について説明する。
【0165】
図14Aに示すように、トランジスタ200は、絶縁体216と、導電体205(導電体205a、および導電体205b)と、絶縁体222と、絶縁体224と、酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230c)と、導電体242(導電体242a、および導電体242b)と、酸化物243(酸化物243a、および酸化物243b)と、絶縁体272と、絶縁体273と、絶縁体250と、導電体260(導電体260a、および導電体260b)とを有する。
【0166】
また、絶縁体216、および導電体205は、絶縁体214上に設けられ、絶縁体273上には絶縁体280、および絶縁体282が設けられる。絶縁体214、絶縁体280、および絶縁体282は、トランジスタ200の一部を構成しているとみなすことができる。
【0167】
また、本発明の一態様の記憶装置は、トランジスタ200と電気的に接続し、プラグとして機能する導電体240(導電体240a、および導電体240b)とを有する。なお、プラグとして機能する導電体240の側面に接して絶縁体241(絶縁体241a、および絶縁体241b)を設けてもよい。また、絶縁体282上、および導電体240上には、導電体240と電気的に接続し、配線として機能する導電体246(導電体246a、および導電体246b)が設けられる。
【0168】
また、導電体240aおよび導電体240bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体240aおよび導電体240bは積層構造としてもよい。
【0169】
また、導電体240を積層構造とする場合、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウム、または酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する導電性材料は、単層または積層で用いてもよい。当該導電性材料を用いることで、絶縁体280などから拡散する水または水素などの不純物が、導電体240aおよび導電体240bを通じて酸化物230に混入するのをさらに低減することができる。また、絶縁体280に添加された酸素が導電体240aおよび導電体240bに吸収されるのを防ぐことができる。
【0170】
また、導電体240の側面に接して設けられる絶縁体241としては、例えば、窒化シリコン、酸化アルミニウム、または窒化酸化シリコンなどを用いればよい。絶縁体241は、絶縁体272、絶縁体273、絶縁体280、および絶縁体282に接して設けられるので、絶縁体280などから水または水素などの不純物が、導電体240aおよび導電体240bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。特に、窒化シリコンは水素に対するブロッキング性が高いので好適である。また、絶縁体280に含まれる酸素が導電体240aおよび導電体240bに吸収されるのを防ぐことができる。
【0171】
導電体246は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、当該導電体は、積層構造としてもよく、例えば、チタンまたは窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。なお、当該導電体は、絶縁体に設けられた開口に埋め込むように形成してもよい。
【0172】
トランジスタ200において、導電体260は、トランジスタの第1のゲートとして機能し、導電体205は、トランジスタの第2のゲートとして機能する。また、導電体242a、および導電体242bは、ソース電極またはドレイン電極として機能する。
【0173】
酸化物230は、チャネル形成領域を有する半導体として機能する。
【0174】
絶縁体250は、第1のゲート絶縁体として機能し、絶縁体222、および絶縁体224は、第2のゲート絶縁体として機能する。
【0175】
ここで、図14Aに示すトランジスタ200は、絶縁体280、絶縁体273、絶縁体272、導電体242などに設けた開口部内に、導電体260が、酸化物230cおよび絶縁体250を介して、自己整合的に形成される。
【0176】
つまり、導電体260は、酸化物230cおよび絶縁体250を介して、絶縁体280などに設けた開口を埋めるように形成されるため、導電体242aと導電体242bの間の領域において、導電体260の位置合わせが不要となる。
【0177】
ここで、絶縁体280などに設けた開口内に、酸化物230cを設けることが好ましい。従って、絶縁体250、および導電体260は、酸化物230cを介して、酸化物230b、および酸化物230aの積層構造と重畳する領域を有する。当該構造とすることで、酸化物230cと絶縁体250とを連続成膜により形成することが可能となるため、酸化物230と絶縁体250との界面を清浄に保つことができる。従って、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ200は高いオン電流、および高い周波数特性を得ることができる。
【0178】
また、図14Aに示すトランジスタ200は、導電体260の底面、および側面が絶縁体250に接する。また、絶縁体250の底面、および側面は、酸化物230cと接する。
【0179】
また、トランジスタ200は、図14Aに示すように、絶縁体282と、酸化物230cとが、直接接する構造となっている。当該構造とすることで、絶縁体280に含まれる酸素の導電体260への拡散を抑制することができる。
【0180】
従って、絶縁体280に含まれる酸素は、酸化物230cを介して、酸化物230aおよび酸化物230bへ効率よく供給することができるので、酸化物230a中および酸化物230b中の酸素欠損を低減し、トランジスタ200の電気特性および信頼性を向上させることができる。
【0181】
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する記憶装置の詳細な構成について説明する。
【0182】
トランジスタ200は、チャネル形成領域を含む酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230c)に、酸化物半導体を用いることが好ましい。
【0183】
例えば、酸化物半導体として機能する金属酸化物は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。エネルギーギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタ200の非導通状態におけるリーク電流(オフ電流)を非常に小さくすることができる。このようなトランジスタを用いることで、低消費電力の記憶装置を提供できる。
【0184】
具体的には、酸化物230として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。特に、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、または錫を用いるとよい。また、酸化物230として、In-M酸化物、In-Zn酸化物、またはM-Zn酸化物を用いてもよい。
【0185】
図14Aに示すように、酸化物230は、絶縁体224上の酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物230b上に配置され、少なくとも一部が酸化物230bの上面に接する酸化物230cと、を有することが好ましい。ここで、酸化物230cの側面は、酸化物243a、酸化物243b、導電体242a、導電体242b、絶縁体272、絶縁体273、および絶縁体280に接して設けられていることが好ましい。
【0186】
つまり、酸化物230は、酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物230b上の酸化物230cと、を有する。酸化物230b下に酸化物230aを有することで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。また、酸化物230b上に酸化物230cを有することで、酸化物230cよりも上方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0187】
なお、トランジスタ200では、チャネル形成領域と、その近傍において、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの3層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、酸化物230bの単層、酸化物230bと酸化物230aの2層構造、酸化物230bと酸化物230cの2層構造、または4層以上の積層構造を設ける構成にしてもよい。例えば、酸化物230cを2層構造にして、4層の積層構造を設ける構成にしてもよい。
【0188】
また、酸化物230は、各金属原子の原子数比が異なる複数の酸化物層の積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物230aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物230aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230cは、酸化物230aまたは酸化物230bに用いることができる金属酸化物を、用いることができる。
【0189】
具体的には、酸化物230aとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、またはその近傍の組成、あるいは1:1:0.5[原子数比]、またはその近傍の組成の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物230bとして、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、またはその近傍の組成、あるいは1:1:1[原子数比]、またはその近傍の組成の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物230cとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、またはその近傍の組成、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、またはその近傍の組成、In:Ga:Zn=5:1:3[原子数比]、またはその近傍の組成、In:Ga:Zn=10:1:3[原子数比]、またはその近傍の組成、Ga:Zn=2:1[原子数比]、またはその近傍の組成、あるいはGa:Zn=2:5[原子数比]、またはその近傍の組成の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物230cを積層構造とする場合の具体例としては、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、またはその近傍の組成と、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、またはその近傍の組成との積層構造、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、またはその近傍の組成、とIn:Ga:Zn=5:1:3[原子数比]、またはその近傍の組成との積層構造、Ga:Zn=2:1[原子数比]、またはその近傍の組成と、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、またはその近傍の組成との積層構造、Ga:Zn=2:5[原子数比]、またはその近傍の組成と、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、またはその近傍の組成との積層構造、あるいは酸化ガリウムと、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、またはその近傍の組成との積層構造などが挙げられる。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。
【0190】
また、酸化物230bは、結晶性を有していてもよい。例えば、後述するCAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)を用いることが好ましい。CAAC-OSなどの結晶性を有する酸化物は、不純物や欠陥(酸素欠損など)が少なく、結晶性の高い、緻密な構造を有している。よって、ソース電極またはドレイン電極による、酸化物230bからの酸素の引き抜きを抑制することができる。また、加熱処理を行っても、酸化物230bから酸素が、引き抜かれることを低減できるので、トランジスタ200は、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対して安定である。
【0191】
導電体205は、酸化物230、および導電体260と、重なるように配置する。また、導電体205は、絶縁体216に埋め込まれて設けることが好ましい。
【0192】
導電体205がゲート電極として機能する場合、導電体205に印加する電位を、導電体260に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ200のしきい値電圧(Vth)を制御することができる。特に、導電体205に負の電位を印加することにより、トランジスタ200のVthをより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体205に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体260に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0193】
なお、導電体205は、図14Aに示すように、酸化物230の導電体242aおよび導電体242bと重ならない領域の大きさよりも、大きく設けるとよい。ここで図示しないが、導電体205は、酸化物230のチャネル幅方向において酸化物230a、および酸化物230bよりも外側の領域まで延伸していることが好ましい。つまり、酸化物230のチャネル幅方向における側面の外側において、導電体205と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。導電体205を大きく設けることによって、導電体205形成以降の作製工程のプラズマを用いた処理において、局所的なチャージング(チャージアップと言う)の緩和ができる場合がある。ただし、本発明の一形態はこれに限定されない。導電体205は、少なくとも導電体242aと、導電体242bとの間に位置する酸化物230と重畳すればよい。
【0194】
また、絶縁体224の底面を基準として、酸化物230aおよび酸化物230bと、導電体260とが、重ならない領域における導電体260の底面の高さは、酸化物230bの底面の高さより低い位置に配置されていることが好ましい。
【0195】
図示しないが、チャネル幅方向において、ゲートとして機能する導電体260は、チャネル形成領域の酸化物230bの側面および上面を酸化物230cおよび絶縁体250を介して覆う構造とすることにより、導電体260から生じる電界を、酸化物230bに生じるチャネル形成領域全体に作用させやすくなる。従って、トランジスタ200のオン電流を増大させ、周波数特性を向上させることができる。本明細書において、導電体260、および導電体205の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
【0196】
また、導電体205aは、水または水素などの不純物および酸素の透過を抑制する導電体が好ましい。例えば、チタン、窒化チタン、タンタル、または窒化タンタルを用いることができる。また、導電体205bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。なお、導電体205を2層で図示したが、3層以上の多層構造としてもよい。
【0197】
ここで、酸化物半導体と、酸化物半導体の下層に位置する絶縁体、または導電体と、酸化物半導体の上層に位置する絶縁体、または導電体とを、大気開放を行わずに、異なる膜種を連続成膜することで、不純物(特に、水素、水)の濃度が低減された、実質的に高純度真性である酸化物半導体膜を成膜することができるので好ましい。
【0198】
絶縁体222、および絶縁体272および絶縁体273の少なくとも一つは、水または水素などの不純物が、基板側から、または、上方からトランジスタ200に混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体222、絶縁体272、および絶縁体273の少なくとも一つは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(NO、NO、NOなど)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一つ)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。
【0199】
例えば、絶縁体273として、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンなどを用い、絶縁体222および絶縁体272として、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。
【0200】
これにより、水または水素などの不純物が絶縁体222を介して、トランジスタ200側に拡散するのを抑制することができる。または、絶縁体224などに含まれる酸素が、絶縁体222を介して基板側に、拡散するのを抑制することができる。
【0201】
また、水または水素などの不純物が、絶縁体272および絶縁体273を介して配置されている絶縁体280などからトランジスタ200側に拡散するのを抑制することができる。このように、トランジスタ200を、水または水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁体272、および絶縁体273で取り囲む構造とすることが好ましい。
【0202】
ここで、酸化物230と接する絶縁体224は、加熱により酸素を脱離することが好ましい。本明細書等では、加熱により離脱する酸素を過剰酸素と呼ぶことがある。例えば、絶縁体224は、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンなどを適宜用いればよい。酸素を含む絶縁体を酸化物230に接して設けることにより、酸化物230中の酸素欠損を低減し、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。
【0203】
絶縁体224として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、昇温脱離ガス分析(TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析)にて、酸素分子の脱離量が1.0×1018molecules/cm以上、好ましくは1.0×1019molecules/cm以上、さらに好ましくは2.0×1019molecules/cm以上、または3.0×1020molecules/cm以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0204】
絶縁体222は、水または水素などの不純物が、基板側からトランジスタ200に混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。例えば、絶縁体222は、絶縁体224より水素透過性が低いことが好ましい。絶縁体222、および絶縁体273によって、絶縁体224および酸化物230などを囲むことにより、外方から水または水素などの不純物がトランジスタ200に侵入することを抑制することができる。
【0205】
さらに、絶縁体222は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一つ)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。例えば、絶縁体222は、絶縁体224より酸素透過性が低いことが好ましい。絶縁体222が、酸素や不純物の拡散を抑制する機能を有することで、酸化物230が有する酸素が、絶縁体222より下側へ拡散することを低減できるので、好ましい。また、導電体205が、絶縁体224や、酸化物230が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0206】
絶縁体222は、絶縁性材料であるアルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体222を形成した場合、絶縁体222は、酸化物230からの酸素の放出や、トランジスタ200の周辺部から酸化物230への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0207】
または、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0208】
また、絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)または(Ba,Sr)TiO(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いてもよい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0209】
なお、絶縁体222、および絶縁体224が、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。
【0210】
また、酸化物230bと、ソース電極またはドレイン電極として機能する導電体242(導電体242aおよび導電体242b)と、の間に酸化物243(酸化物243aおよび酸化物243b)を配置してもよい。導電体242と、酸化物230bとが接しない構成となるので、導電体242が、酸化物230bの酸素を吸収することを抑制できる。つまり、導電体242の酸化を防止することで、導電体242の導電率の低下を抑制することができる。従って、酸化物243は、導電体242の酸化を抑制する機能を有することが好ましい。
【0211】
ソース電極やドレイン電極として機能する導電体242と酸化物230bとの間に酸素の透過を抑制する機能を有する酸化物243を配置することで、導電体242と、酸化物230bとの間の電気抵抗が低減されるので好ましい。このような構成とすることで、トランジスタ200の電気特性およびトランジスタ200の信頼性を向上させることができる。
【0212】
酸化物243として、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種からなる元素Mを有する金属酸化物を用いてもよい。特に、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、または錫を用いるとよい。酸化物243は、酸化物230bよりも元素Mの濃度が高いことが好ましい。また、酸化物243として、酸化ガリウムを用いてもよい。また、酸化物243として、In-M-Zn酸化物等の金属酸化物を用いてもよい。具体的には、酸化物243に用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物243の膜厚は、0.5nm以上5nm以下が好ましく、より好ましくは、1nm以上3nm以下である。また、酸化物243は、結晶性を有すると好ましい。酸化物243が結晶性を有する場合、酸化物230中の酸素の放出を好適に抑制することが出来る。例えば、酸化物243としては、六方晶などの結晶構造であれば、酸化物230中の酸素の放出を抑制できる場合がある。
【0213】
なお、酸化物243は必ずしも設けなくてもよい。その場合、導電体242(導電体242a、および導電体242b)と酸化物230とが接することで、酸化物230中の酸素が導電体242へ拡散し、導電体242が酸化する場合がある。導電体242が酸化することで、導電体242の導電率が低下する蓋然性が高い。なお、酸化物230中の酸素が導電体242へ拡散することを、導電体242が酸化物230中の酸素を吸収する、と言い換えることができる。
【0214】
また、酸化物230中の酸素が導電体242(導電体242a、および導電体242b)へ拡散することで、導電体242aと酸化物230bとの間、および、導電体242bと酸化物230bとの間に異層が形成される場合がある。当該異層は、導電体242よりも酸素を多く含むため、当該異層は絶縁性を有すると推定される。このとき、導電体242と、当該異層と、酸化物230bとの3層構造は、金属-絶縁体-半導体からなる3層構造とみなすことができ、MIS(Metal-Insulator-Semiconductor)構造と呼ぶ、またはMIS構造を主としたダイオード接合構造と呼ぶ場合がある。
【0215】
なお、上記異層は、導電体242と酸化物230bとの間に形成されることに限られず、例えば、異層が、導電体242と酸化物230cとの間に形成される場合や、導電体242と酸化物230bとの間、および導電体242と酸化物230cとの間に形成される場合がある。
【0216】
酸化物243上には、ソース電極、およびドレイン電極として機能する導電体242(導電体242a、および導電体242b)が設けられる。導電体242の膜厚は、例えば、1nm以上50nm以下、好ましくは2nm以上25nm以下、とすればよい。
【0217】
導電体242としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。
【0218】
絶縁体272は、導電体242上面に接して設けられており、バリア層として機能することが好ましい。当該構成にすることで、導電体242による、絶縁体280が有する過剰酸素の吸収を抑制することができる。また、導電体242の酸化を抑制することで、トランジスタ200と配線とのコンタクト抵抗の増加を抑制することができる。よって、トランジスタ200に良好な電気特性および信頼性を与えることができる。
【0219】
従って、絶縁体272は、酸素の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体272は、絶縁体280よりも酸素の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。絶縁体272としては、例えば、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。また、絶縁体272としては、例えば、窒化アルミニウムを含む絶縁体を用いればよい。
【0220】
図14Aに示すように、絶縁体272は、導電体242bの上面の一部、および導電体242bの側面と接する。また、絶縁体272は、導電体242aの上面の一部、および導電体242aの側面と接する。また、絶縁体272上に絶縁体273が配置されている。このようにすることで、例えば絶縁体280に添加された酸素が、導電体242吸収されることを抑制することができる。
【0221】
絶縁体250は、ゲート絶縁体として機能する。絶縁体250は、酸化物230cの上面に接して配置することが好ましい。絶縁体250は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
【0222】
絶縁体224と同様に、絶縁体250は、加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。加熱により酸素が放出される絶縁体を、絶縁体250として、酸化物230cの上面に接して設けることにより、酸化物230bのチャネル形成領域に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体224と同様に、絶縁体250中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体250の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
【0223】
また、絶縁体250と導電体260との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体250から導電体260への酸素拡散を抑制することが好ましい。酸素の拡散を抑制する金属酸化物を設けることで、絶縁体250から導電体260への酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物230へ供給する酸素量の減少を抑制することができる。また、絶縁体250の酸素による導電体260の酸化を抑制することができる。
【0224】
また、当該金属酸化物は、ゲート絶縁体の一部としての機能を有する場合がある。したがって、絶縁体250に酸化シリコンや酸化窒化シリコンなどを用いる場合、当該金属酸化物は、比誘電率が高いhigh-k材料である金属酸化物を用いることが好ましい。ゲート絶縁体を、絶縁体250と当該金属酸化物との積層構造とすることで、熱に対して安定、かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。したがって、ゲート絶縁体の物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減が可能となる。また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)の薄膜化が可能となる。
【0225】
具体的には、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。特に、アルミニウム、またはハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。
【0226】
または、当該金属酸化物は、ゲートの一部としての機能を有する場合がある。この場合は、酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けることで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
【0227】
特に、ゲートとして機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる金属元素および酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。または、外方の絶縁体などから混入する水素を捕獲することができる場合がある。
【0228】
導電体260は、図14Aでは2層構造として示しているが、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。
【0229】
導電体260aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(NO、NO、NOなど)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一つ)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0230】
また、導電体260aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体250に含まれる酸素により、導電体260bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、または酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。
【0231】
また、導電体260bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体260は配線としても機能するため、導電性が高い導電体を、導電体260bに用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体260bは積層構造としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層構造としてもよい。
【0232】
<金属酸化物>
酸化物230として、酸化物半導体として機能する金属酸化物を用いることが好ましい。以下では、本発明に係る酸化物230に適用可能な金属酸化物について説明する。
【0233】
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特に、インジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、ガリウム、イットリウム、錫などが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0234】
ここでは、金属酸化物が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)である場合を考える。特に、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、または錫を用いるとよい。
【0235】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
【0236】
<トランジスタ300>
図14Bを用いてトランジスタ300を説明する。トランジスタ300は、半導体基板311上に設けられ、ゲートとして機能する導電体316、ゲート絶縁体として機能する絶縁体315、半導体基板311の一部からなる半導体領域313、およびソース領域またはドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bを有する。トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
【0237】
ここで、図14Bに示すトランジスタ300は、チャネルが形成される半導体領域313(半導体基板311の一部)が凸形状を有する。また、半導体領域313の側面および上面を、絶縁体315を介して、導電体316が覆うように設けられている(図示しない)。なお、導電体316は仕事関数を調整する材料を用いてもよい。このようなトランジスタ300は半導体基板311の凸部を利用していることからFIN型トランジスタとも呼ばれる。なお、凸部の上部に接して、凸部を形成するためのマスクとして機能する絶縁体を有していてもよい。また、ここでは半導体基板311の一部を加工して凸部を形成する場合を示したが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体膜を形成してもよい。
【0238】
なお、図14Bに示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0239】
<メモリデバイス420>
次に、図13に示すメモリデバイス420について、図15Aを用いて説明する。なお、メモリデバイス420が有するトランジスタ200Mについて、トランジスタ200と重複する説明は省略する。
【0240】
メモリデバイス420において、トランジスタ200Mの導電体242aは、容量292の電極の一方として機能し、絶縁体272、および絶縁体273は、誘電体として機能する。絶縁体272、および絶縁体273を間に挟み、導電体242aと重畳するように導電体290が設けられ、容量292の電極の他方として機能する。導電体290は、隣接するメモリデバイス420が有する容量292の電極の他方として用いてもよい。または、導電体290は、隣接するメモリデバイス420が有する導電体290と電気的に接続してもよい。
【0241】
導電体290は、絶縁体272および絶縁体273を間に挟み、導電体242aの上面だけでなく、導電体242aの側面にも配置される。このとき容量292は、導電体242aと導電体290が重畳する面積により得られる容量より大きい容量が得られるため、好ましい。
【0242】
導電体424は、導電体242bと電気的に接続し、かつ導電体205を介して下層に位置する導電体424と電気的に接続する。
【0243】
容量292の誘電体として、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、および酸化ハフニウムなどを用いることができる。また、これらの材料を積層して用いることができる。容量292の誘電体を積層構造とする場合、酸化アルミニウムと窒化シリコンの積層、酸化ハフニウムと酸化シリコンの積層を用いることができる。ここで、積層の上下は限定されない。例えば、酸化アルミニウムの上に窒化シリコンが積層されてもよいし、窒化シリコンの上に酸化アルミニウムが積層されてもよい。
【0244】
また、容量292の誘電体として、上記材料よりも高い誘電率を有する酸化ジルコニウムを用いてもよい。容量292の誘電体として、酸化ジルコニウムを単層で用いてもよいし、積層の一部として用いてもよい。例えば、酸化ジルコニウムと酸化アルミニウムの積層を用いることができる。また、容量292の誘電体を3層の積層としてもよく、第1の層、および第3の層に酸化ジルコニウムを用い、第1の層および第3の層の間の第2の層に酸化アルミニウムを用いてもよい。
【0245】
容量292の誘電体として高い誘電率を有する酸化ジルコニウムを用いることで、容量292がメモリデバイス420に占める面積を削減できる。そのため、メモリデバイス420に必要な面積を削減でき、ビットコストを向上させることができ好ましい。
【0246】
また、導電体290として、導電体205、導電体242、導電体260、導電体424などに用いることができる材料を用いることができる。
【0247】
本実施の形態では、導電体424を間に挟み、トランジスタ200Mおよび容量292が対称に配置される例を示している。このように一対のトランジスタ200Mおよび容量292を配置することにより、トランジスタ200Mと電気的に接続する導電体424の数を減らすことができる。そのため、メモリデバイス420に必要な面積を削減でき、ビットコストを向上させることができ好ましい。
【0248】
導電体424の側面に絶縁体241が設けられている場合、導電体424は、導電体242bの上面の少なくとも一部と接続する。
【0249】
導電体424および導電体205を用いることで、メモリユニット470内のトランジスタ200Tとメモリデバイス420を電気的に接続することができる。
【0250】
<メモリデバイス420の変形例1>
次に、図15Bを用いて、メモリデバイス420の変形例として、メモリデバイス420Aを説明する。メモリデバイス420Aは、トランジスタ200Mと、トランジスタ200Mと電気的に接続する容量292Aを有する。容量292Aは、トランジスタ200Mの下方に設けられる。
【0251】
メモリデバイス420Aでは、導電体242aは、酸化物243a、酸化物230b、酸化物230a、絶縁体224、および絶縁体222に設けられた開口内に配置され、該開口底部で導電体205と電気的に接続する。導電体205は、容量292Aと電気的に接続する。
【0252】
容量292Aは、電極の一方として機能する導電体294と、誘電体として機能する絶縁体295と、電極の他方として機能する導電体297を有する。導電体297は、絶縁体295を間に挟み、導電体294と重畳する。また、導電体297は、導電体205と電気的に接続する。
【0253】
導電体294は、絶縁体296上に設けられた絶縁体298に形成された開口の底部および側面に設けられ、絶縁体295は、絶縁体298、および導電体294を覆うように設けられる。また、導電体297は、絶縁体295が有する凹部に埋め込まれるように設けられる。
【0254】
また、絶縁体296に埋め込まれるように導電体299が設けられており、導電体299は、導電体294と電気的に接続する。導電体299は、隣接するメモリデバイス420Aの導電体294と電気的に接続してもよい。
【0255】
導電体297は、絶縁体295を間に挟み、導電体294の上面だけでなく、導電体294の側面にも配置される。このとき容量292Aは、導電体294と導電体297が重畳する面積により得られる容量より大きい容量が得られるため、好ましい。
【0256】
容量292Aの誘電体として機能する絶縁体295として、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、および酸化ハフニウムなどを用いることができる。また、これらの材料を積層して用いることができる。絶縁体295を積層構造とする場合、酸化アルミニウムと窒化シリコンの積層、酸化ハフニウムと酸化シリコンの積層を用いることができる。ここで、積層の上下は限定されない。例えば、酸化アルミニウムの上に窒化シリコンが積層されてもよいし、窒化シリコンの上に酸化アルミニウムが積層されてもよい。
【0257】
また、絶縁体295として、上記材料よりも高い誘電率を有する酸化ジルコニウムを用いてもよい。絶縁体295として、酸化ジルコニウムを単層で用いてもよいし、積層の一部として用いてもよい。例えば、酸化ジルコニウムと酸化アルミニウムの積層を用いることができる。また、絶縁体295を3層の積層としてもよく、第1の層、および第3の層に酸化ジルコニウムを用い、第1の層および第3の層の間の第2の層に酸化アルミニウムを用いてもよい。
【0258】
絶縁体295として高い誘電率を有する酸化ジルコニウムを用いることで、容量292Aがメモリデバイス420Aに占める面積を削減できる。そのため、メモリデバイス420Aに必要な面積を削減でき、ビットコストを向上させることができ好ましい。
【0259】
また、導電体297、導電体294、および導電体299として、導電体205、導電体242、導電体260、導電体424などに用いることができる材料を用いることができる。
【0260】
また、絶縁体298として、絶縁体214、絶縁体216、絶縁体224、および絶縁体280などに用いることができる材料を用いることができる。
【0261】
<メモリデバイス420の変形例2>
次に、図15Cを用いて、メモリデバイス420の変形例として、メモリデバイス420Bを説明する。メモリデバイス420Bは、トランジスタ200Mと、トランジスタ200Mと電気的に接続する容量292Bを有する。容量292Bは、トランジスタ200Mの上方に設けられる。
【0262】
容量292Bは、電極の一方として機能する導電体276と、誘電体として機能する絶縁体277と、電極の他方として機能する導電体278を有する。導電体278は、絶縁体277を間に挟み、導電体276と重畳する。
【0263】
絶縁体282上に絶縁体275が設けられ、導電体276は、絶縁体275、絶縁体282、絶縁体280、絶縁体273、および絶縁体272に形成された開口の底部および側面に設けられる。絶縁体277は、絶縁体282および導電体276を覆うように設けられる。また、導電体278は、絶縁体277が有する凹部内で導電体276と重畳するように設けられ、少なくともその一部は、絶縁体277を介して絶縁体275上に設けられる。導電体278は、隣接するメモリデバイス420Bが有する容量292Bの電極の他方として用いてもよい。または、導電体278は、隣接するメモリデバイス420Bが有する導電体278と電気的に接続してもよい。
【0264】
導電体278は、絶縁体277を間に挟み、導電体276の上面だけでなく、導電体276の側面にも配置される。このとき容量292Bは、導電体276と導電体278が重畳する面積により得られる容量より大きい容量が得られるため、好ましい。
【0265】
また、導電体278が有する凹部を埋め込むように絶縁体279を設けてもよい。
【0266】
容量292Bの誘電体として機能する絶縁体277として、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、および酸化ハフニウムなどを用いることができる。また、これらの材料を積層して用いることができる。絶縁体277を積層構造とする場合、酸化アルミニウムと窒化シリコンの積層、酸化ハフニウムと酸化シリコンの積層を用いることができる。ここで、積層の上下は限定されない。例えば、酸化アルミニウムの上に窒化シリコンが積層されてもよいし、窒化シリコンの上に酸化アルミニウムが積層されてもよい。
【0267】
また、絶縁体277として、上記材料よりも高い誘電率を有する酸化ジルコニウムを用いてもよい。絶縁体277として、酸化ジルコニウムを単層で用いてもよいし、積層の一部として用いてもよい。例えば、酸化ジルコニウムと酸化アルミニウムの積層を用いることができる。また、絶縁体277を3層の積層としてもよく、第1の層、および第3の層に酸化ジルコニウムを用い、第1の層および第3の層の間の第2の層に酸化アルミニウムを用いてもよい。
【0268】
絶縁体277として高い誘電率を有する酸化ジルコニウムを用いることで、容量292Bがメモリデバイス420Bに占める面積を削減できる。そのため、メモリデバイス420Bに必要な面積を削減でき、ビットコストを向上させることができ好ましい。
【0269】
また、導電体276、および導電体278として、導電体205、導電体242、導電体260、導電体424などに用いることができる材料を用いることができる。
【0270】
また、絶縁体275、および絶縁体279として、絶縁体214、絶縁体216、絶縁体224、および絶縁体280などに用いることができる材料を用いることができる。
【0271】
<メモリデバイス420とトランジスタ200Tとの接続>
図13において一点鎖線で囲んだ領域422にて、メモリデバイス420は、導電体424および導電体205を介してトランジスタ200Tのゲートと電気的に接続されているが、本実施の形態はこれに限らない。
【0272】
図16は、メモリデバイス420が、導電体424、導電体205、導電体246b、および導電体240bを介してトランジスタ200Tのソースおよびドレインの一方として機能する導電体242bと電気的に接続する例を示している。
【0273】
このように、トランジスタ層413が有する回路の機能に応じてメモリデバイス420とトランジスタ200Tの接続方法を決定することができる。
【0274】
図17は、メモリユニット470がトランジスタ200Tを有するトランジスタ層413と、4層のメモリデバイス層415(メモリデバイス層415_1乃至メモリデバイス層415_4)を有する例を示す。
【0275】
メモリデバイス層415_1乃至メモリデバイス層415_4は、それぞれ複数のメモリデバイス420を有する。
【0276】
メモリデバイス420は、導電体424、および導電体205を介して異なるメモリデバイス層415が有するメモリデバイス420、およびトランジスタ層413が有するトランジスタ200Tと電気的に接続する。
【0277】
メモリユニット470は、絶縁体211、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体287、絶縁体282、絶縁体283、および絶縁体284により封止される。絶縁体284の周囲には絶縁体274が設けられる。また、絶縁体274、絶縁体284、絶縁体283、および絶縁体211には導電体430が設けられ、素子層411と電気的に接続する。
【0278】
また、封止構造の内部には、絶縁体280が設けられる。絶縁体280は、加熱により酸素を放出する機能を有する。または、絶縁体280は、過剰酸素領域を有する。
【0279】
なお、絶縁体211、絶縁体283、及び絶縁体284は、水素に対するブロッキング性が高い機能を有する材料であると好適である。また、絶縁体214、絶縁体282、及び絶縁体287は、水素を捕獲、または水素を固着する機能を有する材料であると好適である。
【0280】
例えば、上記水素に対するブロッキング性が高い機能を有する材料は、窒化シリコン、または窒化酸化シリコンなどが挙げられる。また、上記水素を捕獲、または水素を固着する機能を有する材料は、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、並びにアルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などが挙げられる。
【0281】
なお、本明細書等において、バリア性とは、対応する物質の拡散を抑制する機能(透過性が低いともいう)とする。または、対応する物質を、捕獲、および固着する(ゲッタリングともいう)機能とする。
【0282】
なお、絶縁体211、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体287、絶縁体282、絶縁体283、および絶縁体284に用いる材料の結晶構造については、特に限定は無いが、非晶質または結晶性を有する構造とすればよい。例えば、水素を捕獲、または水素を固着する機能を有する材料として、非晶質の酸化アルミニウム膜を用いると好適である。非晶質の酸化アルミニウムは、結晶性の高い酸化アルミニウムよりも、水素の捕獲、および固着する量が大きい場合がある。
【0283】
ここで、絶縁体280中の過剰酸素は、絶縁体280と接する酸化物半導体中の水素の拡散に対し、下記のようなモデルが考えられる。
【0284】
酸化物半導体中に存在する水素は、酸化物半導体に接する絶縁体280を介して、他の構造体へと拡散する。当該水素の拡散は、絶縁体280中の過剰酸素が酸化物半導体中の水素と反応しOH結合となり、絶縁体280中を拡散する。OH結合を有した水素原子は、水素を捕獲、または水素を固着する機能を有する材料(代表的には、絶縁体282)に到達した際に、絶縁体282中の原子(例えば、金属原子など)と結合した酸素原子と反応し、絶縁体282中に捕獲、または固着される。一方、OH結合を有していた過剰酸素の酸素原子は、過剰酸素として絶縁体280中に残ると推測される。つまり、当該水素の拡散において、絶縁体280中の過剰酸素が、橋渡し的な役割を担う蓋然性が高い。
【0285】
上記のモデルを満たすためには、記憶装置の作製プロセスが重要な要素の一つとなる。
【0286】
一例として、酸化物半導体の上方に、過剰酸素を有する絶縁体280を形成し、その後、絶縁体282を形成する。そのあとに、加熱処理を行うことが好ましい。当該加熱処理は、具体的には、酸素を含む雰囲気、窒素を含む雰囲気、または酸素と窒素の混合雰囲気にて、350℃以上、好ましくは400℃以上の温度で行う。加熱処理の時間は、1時間以上、好ましくは4時間以上、さらに好ましくは8時間以上とする。
【0287】
上記の加熱処理によって、酸化物半導体中の水素が、絶縁体280、絶縁体282、および絶縁体287を介して、外方に拡散することができる。つまり、酸化物半導体、及び当該酸化物半導体近傍に存在する水素の絶対量を低減することができる。
【0288】
上記加熱処理のあと、絶縁体283、及び絶縁体284を形成する。絶縁体283、及び絶縁体284は、水素に対するブロッキング性が高い機能を有する材料であるため、外方に拡散させた水素、または外部に存在する水素を、内部、具体的には、酸化物半導体、または絶縁体280側に入り込むのを抑制することができる。
【0289】
なお、上記の加熱処理については、絶縁体282を形成したあとに行う構成について、例示したが、これに限定されない。例えば、トランジスタ層413の形成後、またはメモリデバイス層415_1乃至メモリデバイス層415_4の形成後に、それぞれ上記加熱処理を行っても良い。また、上記加熱処理によって、水素を外方に拡散させる際には、トランジスタ層413の上方または横方向に水素が拡散される。同様に、メモリデバイス層415_1乃至メモリデバイス層415_4形成後に加熱処理をする場合においては、水素は上方または横方向に拡散される。
【0290】
なお、上記の作製プロセスとすることで、絶縁体211と、絶縁体283と、が接着することで、上述した封止構造が形成される。
【0291】
以上のように、上記の構造、及び上記の作製プロセスとすることで、水素濃度が低減された酸化物半導体を用いた記憶装置を提供することができる。従って、信頼性が良好な記憶装置を提供することができる。また、本発明の一形態により、良好な電気特性を有する記憶装置を提供することができる。
【0292】
図18A乃至図18Cは、導電体424の配置の異なる例を示す図である。図18Aは、メモリデバイス420を上面から見たときのレイアウト図を示し、図18Bは、図18AにA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、図18Cは、図18AにB1-B2の一点鎖線で示す部位の断面図である。なお、図18Aでは、図の理解を容易にするため、導電体205の図示を省略する。導電体205を設ける場合、導電体205は、導電体424と重畳する領域を有する。
【0293】
図18Aに示すように、導電体424は、酸化物230a、および酸化物230bと重畳する領域だけでなく、酸化物230a、および酸化物230bの外側にも設けられている。図18Aでは、導電体424が酸化物230a、および酸化物230bのB2側にはみ出すように設けられる例を示しているが、本実施の形態はこれに限定されない。導電体424は酸化物230a、および酸化物230bのB1側にはみ出すように設けられてもよいし、B1側およびB2側の両方にはみ出すように設けられてもよい。
【0294】
図18B、および図18Cは、メモリデバイス層415_p-1の上にメモリデバイス層415_pが積層される例を示す(pは、2以上n以下の自然数)。メモリデバイス層415_p-1が有するメモリデバイス420は、導電体424、および導電体205を介して、メモリデバイス層415_pが有するメモリデバイス420と電気的に接続する。
【0295】
図18Bでは、メモリデバイス層415_p-1において、導電体424は、メモリデバイス層415_p-1の導電体242、およびメモリデバイス層415_pの導電体205と接続する様子を示している。ここで、導電体424は、導電体242、酸化物243、酸化物230b、および酸化物230aのB2側の外側でメモリデバイス層415_p-1の導電体205とも接続している。
【0296】
図18Cでは、導電体424が導電体242、酸化物243、酸化物230b、および酸化物230aのB2側の側面に沿って形成され、絶縁体280、絶縁体273、絶縁体272、絶縁体224、および絶縁体222に形成された開口を介して導電体205と電気的に接続されていることがわかる。ここで、導電体424が導電体242、酸化物243、酸化物230b、および酸化物230aのB2側の側面に沿って設けられる様子を図18Bでは点線で示している。また、導電体242、酸化物243、酸化物230b、酸化物230a、絶縁体224、および絶縁体222のB2側の側面と導電体424の間には、絶縁体241が形成される場合がある。
【0297】
導電体424を導電体242などと重ならない領域にも設けることで、メモリデバイス420は、異なるメモリデバイス層415に設けられたメモリデバイス420と電気的に接続することができる。また、メモリデバイス420は、トランジスタ層413に設けられたトランジスタ200Tとも電気的に接続することができる。
【0298】
また、導電体424をビット線としたとき、導電体424を導電体242などと重ならない領域にも設けることで、B1-B2方向で隣り合うメモリデバイス420のビット線の距離を拡げることができる。図18に示すように、導電体242上における導電体424同士の間隔は、d1であるが、酸化物230aより下層、すなわち絶縁体224、および絶縁体222に形成された開口内に位置する導電体424同士の間隔はd2となり、d2はd1よりも大きくなる。B1-B2方向で隣り合う導電体424同士の間隔がd1である場合に比べ、一部の間隔をd2とすることで、導電体424の寄生容量を低減することができる。導電体424の寄生容量を低減することで、容量292に必要な容量を低減できるため好ましい。
【0299】
なお、本実施の形態は、本明細書に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0300】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明したOSトランジスタに用いることができる金属酸化物である、CAC-OS(Cloud-Aligned Composite oxide semiconductor)、およびCAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)の構成について説明する。
【0301】
<金属酸化物の構成>
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0302】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、および絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0303】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0304】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、および高い電界効果移動度を得ることができる。
【0305】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0306】
<金属酸化物の構造>
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
【0307】
また、酸化物半導体は、結晶構造に着目した場合、上記とは異なる分類となる場合がある。ここで、酸化物半導体における、結晶構造の分類について、図19Aを用いて説明を行う。図19Aは、酸化物半導体、代表的にはIGZO(Inと、Gaと、Znと、を含む金属酸化物)の結晶構造の分類を説明する図である。
【0308】
図19Aに示すように、IGZOは、大きく分けてAmorphousと、Crystallineと、Crystalと、に分類される。また、Amorphousの中には、completely amorphousが含まれる。また、Crystallineの中には、CAAC(c-axis aligned crystalline)、nc(nanocrystalline)、およびCAC(Cloud-Aligned Composite)が含まれる。また、Crystalの中には、single crystal、およびpoly crystalが含まれる。
【0309】
なお、図19Aに示す太枠内の構造は、New crystalline phaseに属する構造である。当該構造は、Amorphousと、Crystalとの間の境界領域にある。すなわち、エネルギー的に不安定なAmorphousと、Crystallineとは全く異なる構造と言い換えることができる。
【0310】
なお、膜または基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)像を用いて評価することができる。ここで、石英ガラス、およびCrystallineに分類される結晶構造を有するIGZO(結晶性IGZOともいう)のXRDスペクトルを、図19B図19Cに示す。また、図19Bが石英ガラス、図19Cが結晶性IGZOのXRDスペクトルである。なお、図19Cに示す結晶性IGZOとしては、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]の組成である。また、図19Cに示す結晶性IGZOとしては、厚さ500nmである。
【0311】
図19Bの矢印に示すように、石英ガラスは、XRDスペクトルのピークがほぼ対称である。一方で、図19Cの矢印に示すように、結晶性IGZOは、XRDスペクトルのピークが非対称である。XRDスペクトルのピークが非対称であることは、結晶の存在を明示している。別言すると、XRDスペクトルのピークで左右対称でないと、Amorphousであるとは言えない。
【0312】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0313】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。なお、明確な結晶粒界(グレインバウンダリ―)が確認される結晶構造は、いわゆる多結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、または電界効果移動度の低下を引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するには、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn-Ga-Zn酸化物は、In酸化物よりも結晶粒界の発生を抑制できるため好適である。
【0314】
また、CAAC-OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0315】
CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することはできないため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。また、CAAC-OSは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対しても安定である。したがって、OSトランジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の自由度を広げることが可能となる。
【0316】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0317】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0318】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一形態の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0319】
<酸化物半導体を有するトランジスタ>
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0320】
上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0321】
トランジスタには、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。酸化物半導体膜のキャリア密度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。
【0322】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0323】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0324】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0325】
<不純物>
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0326】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1017atoms/cm以下とする。
【0327】
また、酸化物半導体にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016atoms/cm以下にする。
【0328】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい。例えば、酸化物半導体中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm以下とする。
【0329】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm未満、好ましくは1×1019atoms/cm未満、より好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満とする。
【0330】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0331】
なお、本実施の形態は、本明細書に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0332】
(実施の形態5)
本実施の形態は、上記実施の形態に示す記憶装置などが組み込まれた電子部品および電子機器の一例を示す。
【0333】
<電子部品>
まず、記憶装置10A等が組み込まれた電子部品の例を、図20Aおよび図20Bを用いて説明を行う。
【0334】
図20Aに電子部品700および電子部品700が実装された基板(実装基板704)の斜視図を示す。図20Aに示す電子部品700は、モールド711内に半導体基板11上に素子層34が積層された記憶装置10Aを有している。図20Aは、電子部品700の内部を示すために、電子部品700の一部を省略して示している。電子部品700は、モールド711の外側にランド712を有する。ランド712は電極パッド713と電気的に接続され、電極パッド713は記憶装置10Aとワイヤ714によって電気的に接続されている。電子部品700は、例えばプリント基板702に実装される。このような電子部品が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板702上で電気的に接続されることで実装基板704が完成する。
【0335】
図20Bに電子部品730の斜視図を示す。電子部品730は、SiP(System in Package)またはMCM(Multi Chip Module)の一例である。電子部品730は、パッケージ基板732(プリント基板)上にインターポーザ731が設けられ、インターポーザ731上に半導体装置735、および複数の記憶装置10Aが設けられている。
【0336】
電子部品730では、記憶装置10Aを広帯域メモリ(HBM:High Bandwidth Memory)として用いる例を示している。また、半導体装置735は、CPU、GPU、FPGAなどの集積回路(半導体装置)を用いることができる。
【0337】
パッケージ基板732は、セラミック基板、プラスチック基板、またはガラスエポキシ基板などを用いることができる。インターポーザ731は、シリコンインターポーザ、樹脂インターポーザなどを用いることができる。
【0338】
インターポーザ731は、複数の配線を有し、端子ピッチの異なる複数の集積回路を電気的に接続する機能を有する。複数の配線は、単層または多層で設けられる。また、インターポーザ731は、インターポーザ731上に設けられた集積回路をパッケージ基板732に設けられた電極と電気的に接続する機能を有する。これらのことから、インターポーザを「再配線基板」または「中間基板」と呼ぶ場合がある。また、インターポーザ731に貫通電極を設けて、当該貫通電極を用いて集積回路とパッケージ基板732を電気的に接続する場合もある。また、シリコンインターポーザでは、貫通電極として、TSV(Through Silicon Via)を用いることも出来る。
【0339】
インターポーザ731としてシリコンインターポーザを用いることが好ましい。シリコンインターポーザでは能動素子を設ける必要が無いため、集積回路よりも低コストで作製することができる。一方で、シリコンインターポーザの配線形成は半導体プロセスで行なうことができるため、樹脂インターポーザでは難しい微細配線の形成が容易である。
【0340】
HBMでは、広いメモリバンド幅を実現するために多くの配線を接続する必要がある。このため、HBMを実装するインターポーザには、微細かつ高密度の配線形成が求められる。よって、HBMを実装するインターポーザには、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
【0341】
また、シリコンインターポーザを用いたSiPやMCMなどでは、集積回路とインターポーザ間の膨張係数の違いによる信頼性の低下が生じにくい。また、シリコンインターポーザは表面の平坦性が高いため、シリコンインターポーザ上に設ける集積回路とシリコンインターポーザ間の接続不良が生じにくい。特に、インターポーザ上に複数の集積回路を横に並べて配置する2.5Dパッケージ(2.5次元実装)では、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
【0342】
また、電子部品730と重ねてヒートシンク(放熱板)を設けてもよい。ヒートシンクを設ける場合は、インターポーザ731上に設ける集積回路の高さを揃えることが好ましい。例えば、本実施の形態に示す電子部品730では、記憶装置10Aと半導体装置735の高さを揃えることが好ましい。
【0343】
電子部品730を他の基板に実装するため、パッケージ基板732の底部に電極733を設けてもよい。図20Bでは、電極733を半田ボールで形成する例を示している。パッケージ基板732の底部に半田ボールをマトリクス状に設けることで、BGA(Ball Grid Array)実装を実現できる。また、電極733を導電性のピンで形成してもよい。パッケージ基板732の底部に導電性のピンをマトリクス状に設けることで、PGA(Pin Grid Array)実装を実現できる。
【0344】
電子部品730は、BGAおよびPGAに限らず様々な実装方法を用いて他の基板に実装することができる。例えば、SPGA(Staggered Pin Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、QFP(Quad Flat Package)、QFJ(Quad Flat J-leaded package)、またはQFN(Quad Flat Non-leaded package)などの実装方法を用いることができる。
【0345】
<電子機器>
次に、上記電子部品を備えた電子機器の例について図21を用いて説明を行う。
【0346】
ロボット7100は、照度センサ、マイクロフォン、カメラ、スピーカ、ディスプレイ、各種センサ(赤外線センサ、超音波センサ、加速度センサ、ピエゾセンサ、光センサ、ジャイロセンサなど)、および移動機構などを備える。電子部品730はプロセッサなどを有し、これら周辺機器を制御する機能を有する。例えば、電子部品700はセンサで取得されたデータを記憶する機能を有する。
【0347】
マイクロフォンは、使用者の音声および環境音などの音響信号を検知する機能を有する。また、スピーカは、音声および警告音などのオーディオ信号を発する機能を有する。ロボット7100は、マイクロフォンを介して入力されたオーディオ信号を解析し、必要なオーディオ信号をスピーカから発することができる。ロボット7100においては、マイクロフォン、およびスピーカを用いて、使用者とコミュニケーションをとることが可能である。
【0348】
カメラは、ロボット7100の周囲を撮像する機能を有する。また、ロボット7100は、移動機構を用いて移動する機能を有する。ロボット7100は、カメラを用いて周囲の画像を撮像し、画像を解析して移動する際の障害物の有無などを察知することができる。
【0349】
飛行体7120は、プロペラ、カメラ、およびバッテリなどを有し、自律して飛行する機能を有する。電子部品730はこれら周辺機器を制御する機能を有する。
【0350】
例えば、カメラで撮影した画像データは、電子部品700に記憶される。電子部品730は、画像データを解析し、移動する際の障害物の有無などを察知することができる。また、電子部品730によってバッテリの蓄電容量の変化から、バッテリ残量を推定することができる。
【0351】
掃除ロボット7140は、上面に配置されたディスプレイ、側面に配置された複数のカメラ、ブラシ、操作ボタン、各種センサなどを有する。図示されていないが、掃除ロボット7140には、タイヤ、吸い込み口等が備えられている。掃除ロボット7140は自走し、ゴミを検知し、下面に設けられた吸い込み口からゴミを吸引することができる。
【0352】
例えば、電子部品730は、カメラが撮影した画像を解析し、壁、家具または段差などの障害物の有無を判断することができる。また、画像解析により、配線などブラシに絡まりそうな物体を検知した場合は、ブラシの回転を止めることができる。
【0353】
自動車7160は、エンジン、タイヤ、ブレーキ、操舵装置、カメラなどを有する。例えば、電子部品730は、ナビゲーション情報、速度、エンジンの状態、ギアの選択状態、ブレーキの使用頻度などのデータに基づいて、自動車7160の走行状態を最適化するための制御を行う。例えば、カメラで撮影した画像データは電子部品700に記憶される。
【0354】
電子部品700および/または電子部品730は、TV装置7200(テレビジョン受像装置)、スマートフォン7210、PC(パーソナルコンピュータ)7220、7230、ゲーム機7240、ゲーム機7260等に組み込むことができる。
【0355】
例えば、TV装置7200に内蔵された電子部品730は画像エンジンとして機能させることができる。例えば、電子部品730は、ノイズ除去、解像度アップコンバージョンなどの画像処理を行う。
【0356】
スマートフォン7210は、携帯情報端末の一例である。スマートフォン7210は、マイクロフォン、カメラ、スピーカ、各種センサ、および表示部を有する。電子部品730によってこれら周辺機器が制御される。
【0357】
PC7220、PC7230はそれぞれノート型PC、据え置き型PCの例である。PC7230には、キーボード7232、およびモニタ装置7233が無線または有線により接続可能である。ゲーム機7240は携帯型ゲーム機の例である。ゲーム機7260は据え置き型ゲーム機の例である。ゲーム機7260には、無線または有線でコントローラ7262が接続されている。コントローラ7262に、電子部品700および/または電子部品730を組み込むこともできる。
【0358】
<各種の記憶装置>
一般に、コンピュータなどの半導体装置では、用途に応じて様々な記憶装置(メモリ)が用いられる。図22に、各種の記憶装置を階層ごとに示す。上層に位置する記憶装置ほど速いアクセス速度が求められ、下層に位置する記憶装置ほど大きな記憶容量と高い記録密度が求められる。図22では、最上層から順に、CPUなどの演算処理装置にレジスタとして混載されるメモリ、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM、3D NANDメモリを示している。
【0359】
CPUなどの演算処理装置にレジスタとして混載されるメモリは、演算結果の一時保存などに用いられるため、演算処理装置からのアクセス頻度が高い。よって、記憶容量よりも速い動作速度が求められる。また、レジスタは演算処理装置の設定情報などを保持する機能も有する。
【0360】
SRAMは、例えばキャッシュに用いられる。キャッシュは、メインメモリに保持されている情報の一部を複製して保持する機能を有する。使用頻繁が高いデータをキャッシュに複製しておくことで、データへのアクセス速度を高めることができる。
【0361】
DRAMは、例えばメインメモリに用いられる。メインメモリは、ストレージから読み出されたプログラムやデータを保持する機能を有する。DRAMの記録密度は、おおよそ0.1乃至0.3Gbit/mmである。
【0362】
3D NANDメモリは、例えばストレージに用いられる。ストレージは、長期保存が必要なデータや、演算処理装置で使用する各種のプログラムなどを保持する機能を有する。よって、ストレージには動作速度よりも大きな記憶容量と高い記録密度が求められる。ストレージに用いられる記憶装置の記録密度は、おおよそ0.6乃至6.0Gbit/mmである。
【0363】
本発明の一形態に係わる記憶装置は、動作速度が速く、長期間のデータ保持が可能である。本発明の一形態に係わる記憶装置は、キャッシュが位置する階層とメインメモリが位置する階層の双方を含む境界領域901に位置する記憶装置として好適に用いることができる。また、本発明の一形態に係わる記憶装置は、メインメモリが位置する階層とストレージが位置する階層の双方を含む境界領域902に位置する記憶装置として好適に用いることができる。
【0364】
なお、本実施の形態は、本明細書に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0365】
A0:ビット、A3:ビット、B0:検査ビット、BL_1:ビット線、C1:入力端子、C2:入力端子、C3:入力端子、C4:入力端子、C5:入力端子、C8:入力端子、C61:キャパシタ、C71:キャパシタ、CK1:クロック信号、CK4:クロック信号、S_C1:制御信号、S_C2:制御信号、S_C3:制御信号、S_C4:制御信号、S_C5:制御信号、S_C8:制御信号、T_A0:入力端子、T_A3:入力端子、T_B0:入力端子、T_CK1:入力端子、T_CK4:入力端子、WL_N:ワード線、WL_1:ワード線、10A:記憶装置、10B:記憶装置、10C:記憶装置、11:半導体基板、20:周辺回路、21:ロウドライバ、22:カラムドライバ、23:スイッチ回路、23_A:スイッチ、23_C:スイッチ、24:プリチャージ回路、24_1:トランジスタ、24_3:トランジスタ、25:センスアンプ、25_1:トランジスタ、25_2:トランジスタ、25_3:トランジスタ、25_4:トランジスタ、26:素子層、28_a:トランジスタ、28_b:トランジスタ、29:回路、30:メモリセルアレイ、31_N:メモリセル、31_1:メモリセル、32_N:トランジスタ、32_1:トランジスタ、33_N:キャパシタ、33_1:キャパシタ、34:素子層、34_N:素子層、34_1:素子層、34_5:素子層、39:ユニット、39_M:ユニット、39_1:ユニット、40A:封止層、40B:封止層、41:スイッチ回路、51:NAND回路、51_1:NAND回路、51_4:NAND回路、52:ディレイ回路、52_1:ディレイ回路、52_2:ディレイ回路、52_4:ディレイ回路、53:XOR回路、53_1:XOR回路、53_3:XOR回路、53_4:XOR回路、53_7:XOR回路、54:検査ビット生成回路、55:エラー検出回路、61:トランジスタ、64:トランジスタ、71:トランジスタ、72:トランジスタ、200:トランジスタ、200M:トランジスタ、200T:トランジスタ、205:導電体、205a:導電体、205b:導電体、211:絶縁体、212:絶縁体、214:絶縁体、216:絶縁体、222:絶縁体、224:絶縁体、230:酸化物、230a:酸化物、230b:酸化物、230c:酸化物、240:導電体、240a:導電体、240b:導電体、241:絶縁体、241a:絶縁体、241b:絶縁体、242:導電体、242a:導電体、242b:導電体、243:酸化物、243a:酸化物、243b:酸化物、246:導電体、246a:導電体、246b:導電体、250:絶縁体、260:導電体、260a:導電体、260b:導電体、272:絶縁体、273:絶縁体、274:絶縁体、275:絶縁体、276:導電体、277:絶縁体、278:導電体、279:絶縁体、280:絶縁体、282:絶縁体、283:絶縁体、284:絶縁体、287:絶縁体、290:導電体、292:容量、292A:容量、292B:容量、294:導電体、295:絶縁体、296:絶縁体、297:導電体、298:絶縁体、299:導電体、300:トランジスタ、311:半導体基板、313:半導体領域、314a:低抵抗領域、314b:低抵抗領域、315:絶縁体、316:導電体、411:素子層、413:トランジスタ層、413_m:トランジスタ層、413_1:トランジスタ層、415:メモリデバイス層、415_n:メモリデバイス層、415_p:メモリデバイス層、415_p-1:メモリデバイス層、415_1:メモリデバイス層、415_4:メモリデバイス層、420:メモリデバイス、420A:メモリデバイス、420B:メモリデバイス、422:領域、424:導電体、426:導電体、428:導電体、430:導電体、470:メモリユニット、470_m:メモリユニット、470_1:メモリユニット、700:電子部品、702:プリント基板、704:実装基板、711:モールド、712:ランド、713:電極パッド、714:ワイヤ、730:電子部品、731:インターポーザ、732:パッケージ基板、733:電極、735:半導体装置、901:境界領域、902:境界領域、7100:ロボット、7120:飛行体、7140:掃除ロボット、7160:自動車、7200:TV装置、7210:スマートフォン、7220:PC、7230:PC、7232:キーボード、7233:モニタ装置、7240:ゲーム機、7260:ゲーム機、7262:コントローラ
図1
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図22