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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149742
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/06 20060101AFI20241010BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H05K5/06 E
E05B47/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024133973
(22)【出願日】2024-08-09
(62)【分割の表示】P 2020075274の分割
【原出願日】2020-04-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示会名 インバウンドマーケットEXPO2020 開催日 令和2年2月18日から21日
(71)【出願人】
【識別番号】000131511
【氏名又は名称】株式会社シブタニ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100127340
【弁理士】
【氏名又は名称】飛永 充啓
(72)【発明者】
【氏名】中 利友
(72)【発明者】
【氏名】南都 正英
(57)【要約】
【課題】屋外と屋内を区切る仕切りに対して屋内側に配置される筐体の内側に収容された屋内回路基板における塵埃堆積や塩害を防止することが可能な電子装置を提供する。
【解決手段】屋外と屋内を区切る仕切り1に対して屋内側に配置される筐体2と、筐体2の内側に収容された屋内回路基板3とを備える。筐体2の内側と屋外との間には、仕切り1を介して屋外の空気が筐体2の内側まで侵入可能な外気侵入経路が形成される。筐体2が、屋内に開放した排気口15を有する。筐体2の内側に通気路35を設ける。通気路35は、外気侵入経路から筐体2の内側に侵入した空気を排気口15まで導き、かつ屋内回路基板3に対して、その空気中のエアロゾル粒子を遮断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外と屋内を区切る仕切りに対して、屋内側に配置される筐体と、前記筐体の内側に収容された屋内回路基板とを備え、
前記仕切りを介して前記筐体の内側と屋外との間に屋外の空気が前記筐体の内側まで侵入可能な外気侵入経路が形成される電子装置において、
前記筐体が、屋内で下向きに開放した排気口を有し、前記外気侵入経路から侵入した空気を前記排気口まで導く通気路が前記筐体の内側に設けられており、前記通気路の次式1で表される等価直径が5mm以上で、前記通気路の流路長が100mm以下であり、前記通気路の前記排気口側が、前記筐体内部において前記屋内回路基板から離間する方向に向けて設けられていることを特徴とする電子装置。
等価直径=4×通気路の流路断面積/通気路の流路断面の濡れ縁長さ・・・式1
【請求項2】
前記仕切りが、シリンダ錠によって屋外側から施解錠可能な扉からなり、
前記筐体の内側に施解錠切替用の電動アクチュエータが収容されており、
前記電動アクチュエータの出力を伝達する軸が、前記仕切りの内部に挿入されており、
前記外気侵入経路が、前記筐体と前記軸との間の隙間から前記筐体の内側に連通しており、
前記通気路が、前記筐体と前記軸との間の隙間から前記排気口まで連通している請求項1に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋外と屋内を区切る仕切りに対して屋内側に配置される筐体の内側に屋内回路基板が収容された電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅やオフィスの玄関等の扉では、通常時、電子キーを用いて施解錠し、電子キー等の電池切れ等の緊急時、機械式キーを用いてシリンダ錠を操作して施解錠する電気錠が普及してきている(例えば、特許文献1)。
【0003】
一方、建物の気密性は、省エネルギで屋内の温度を快適に保ち、断熱性能の低下を防ぐために高くする傾向にある。高気密性の屋内の場合、屋内の水蒸気、二酸化炭素、匂い成分等を排出するため、二十四時間、換気扇を回す必要性が高くなっている。このような状況では、換気専用の吸気口を複数箇所設置した上で、換気扇から屋内の空気を排出し、吸気口から外気を吸引することになる。ここで吸気口と換気扇の組み合わせが適切でない場合、玄関のシリンダ錠等の僅かな隙間からも屋外の空気が屋内に吸引されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-231022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、道路沿いや工場地域、黄砂や花粉の多い地域、海岸近くの地域では、空気中に硫黄酸化物、窒素化合物、塵埃、黄砂、花粉、海塩微粒子等のエアロゾル粒子が含まれている。このようなエアロゾル粒子もシリンダ錠等の隙間から屋内に侵入してしまう。
【0006】
特許文献1の電気錠は、屋外のシリンダ錠の頭部を覆うカバーを設けることにより、鍵穴への水、塵埃の侵入を防止しているが、換気が必要な状況において、シリンダ錠の鍵穴をカバーで密閉することは電池切れや停電時などの非常時において、密閉されたカバーを開いた上での解錠操作が複雑になり、さらに解錠後に再び密閉措置を施す必要があるため、採用することはできない。非密閉形のカバーで単に覆うだけだと、比較的大きな粉塵を遮断することはできても、吸引の流速が大きいので、PM2.5等の微粒子を遮断することができない。このため、屋内まで吸引された微粒子が電気錠の屋内回路基板や部品上に付着し、塩害等を招いて動作不良や故障を引き起こしてしまう問題がある。なお塵埃堆積や塩害による故障等を回避するために、屋内回路基板やコネクタ部などに特別なコーティングなどを行うことも考えられるが、コスト面や管理面の問題が残る。
【0007】
上述の背景に鑑み、この発明が解決しようとする課題は、屋外と屋内を区切る仕切りに対して屋内側に配置される筐体の内側に収容された屋内回路基板における塵埃堆積や塩害を防止することが可能な電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するため、この発明は、屋外と屋内を区切る仕切りに対して、屋内側に配置される筐体と、前記筐体の内側に収容された屋内回路基板とを備え、前記仕切りを介して前記筐体の内側と屋外との間に屋外の空気が前記筐体の内側まで侵入可能な外気侵入経路が形成される電子装置において、前記筐体が、屋内に開放した排気口を有し、前記
外気侵入経路から侵入した空気を前記排気口まで導く通気路が前記筐体の内側に設けられており、前記通気路が、前記屋内回路基板に対して空気中のエアロゾル粒子を遮断するように設けられている構成を採用した。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、外気侵入経路から筐体の内側に侵入した空気を通気路で排気口まで導いて屋内に流出させられ、その空気中に含まれたエアロゾル粒子が屋内回路基板に付着しない。したがって、この発明は、屋外と屋内を区切る仕切りに対して屋内側に配置される筐体の内側に収容された屋内回路基板における塵埃堆積や塩害を防止することが可能になり、その結果屋内回路基板やコネクタ部などに特別なコーティングなどを行う必要も無く、低コストな電子装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施形態に係る電子装置を仕切りに取り付けた状態の概要を示す断面図
図2図1の筐体の分解状態を屋外側から示す斜視図
図3図2の筐体の分解状態を屋内側から示す斜視図
図4図1の押さえ部周辺の概要を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の一例としての実施形態に係る電子装置を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に示す電子装置は、屋外と屋内を区切る仕切り1に対して屋内側に配置される筐体2と、筐体2の内側に収容された屋内回路基板3と、筐体2の内側に収容された電動アクチュエータとしての電動モータ4とを備える。なお、電動アクチュエータとしては、電動モータに限定されず、ソレノイド、プランジャなど適宜選択することができる。
【0013】
また、屋外側には、屋外からの操作を受け付ける屋外ユニット26をさらに備える。屋外ユニット26は、仕切り1の屋外側に固定される屋外ケース27を有する。屋外ケース27の内側には、電子キーと交信し、認証に成功した電子キーからの施解錠切替要求を屋内回路基板3との間で通信する屋外回路基板28が収容されている。
【0014】
仕切り1は、建物の出入口を開閉する扉になっている。仕切り1の屋外側ドアパネル5と、これに対面する屋内側ドアパネル6との間の内部空間に彫込み錠7が配置されている。
【0015】
屋外側ドアパネル5と屋内側ドアパネル6には、それぞれ貫通孔8,9が形成されている。屋外側ドアパネル5の貫通孔8は、シリンダ錠10の回転を屋外側から彫込み錠7に伝達するためのものである。屋内側ドアパネル6の貫通孔9は、電動モータ4の回転を屋内側から彫込み錠7に伝達するためのものである。
【0016】
筐体2は、屋内側ドアパネル5の貫通孔9を覆い隠すように仕切り1に据え付けられている。筐体2は、図2図3に示すように、屋内側ドアパネル6に接触するブラケット板11と、ブラケット板11に被さるように結合されたカバー12と、ブラケット板11とカバー12との間に位置するようにカバー12の内側に配置された中仕切り13と、カバー12に着脱される蓋14とを有する。
【0017】
ブラケット板11は、図1に示す彫込み錠7の錠ケースと結合されて、仕切り1に対して屋内側の所定位置に据え付けられる。またブラケット板11には、屋外回路基板28と
屋内回路基板3とを電気的に接続するケーブル43を通すための第1配線口41が設けられている。
【0018】
カバー12は、図1図2に示すように、上下左右の側壁と、これら各側壁の屋内側を繋ぐ正面壁とを有する。カバー12の下方の側壁には、下方に向けて屋内に開放した排気口15が設けられている。
【0019】
屋内回路基板3は、電子キー(図示省略)を用いた施解錠切替要求に応じて電動モータ4を制御する。電動モータ4の正逆回転を出力する駆動軸16は、モータケース17から突出している。駆動軸16は、カバー12の外側に配置されたサムターン18の正逆回転も出力するようになっている。
【0020】
ケーブル43は、図1において一点鎖線P1で示されるように、仕切り1の貫通孔8,9を通過して、屋外回路基板28と屋内回路基板3とを接続している。ここで図4に示すように、ケーブル43は、開口部46から屋内側に通される。ここで開口部46とは、仕切り1の筐体取付面である屋内側ドアパネル6のパネル面を正面視した状態で、ブラケット板11に設けた第1配線口41と、屋内側ドアパネル6の貫通孔9とを重ね合わせてできる開口領域である。さらにケーブル43は、屋内側ドアパネル6のパネル平面に沿って這わせて、屋内回路基板3のコネクタ21に接続されている。開口部46から筐体取付面に沿って這わせたケーブル43の一部までを連続して覆うように、第一のシール材36を配設している。第一のシール材36は、弾性を有しシート状をなす多孔質材料製のものである(第一のシール材36の詳細形状については後述する)。ケーブル43と第一のシール材36の上側のシール部39とを屋内側ドアパネル6のパネル面側に向かって押さえつけるように、中仕切13上に3.45を配設してある。こうすることで、屋外側から屋内側へケーブル43を通すための開口部46において、空気中のエアロゾル粒子の侵入を遮断している。
【0021】
一方、屋内回路基板3と電動モータ4は、中仕切り13とカバー12との間に上下に並んで配置され、図1において一点鎖線P2で示されるようにケーブル44で接続されている(図4も参照)。中仕切り13は、カバー12の内側にねじ止めされている。このねじ止め後、カバー12は、屋内側ドアパネル6に据え付けられたブラケット板11に被せられ、さらにブラケット板11にねじ止めされる。これにより、筐体2が仕切り1に対して屋内側の所定位置に配置される。なお、中仕切り13には、中仕切り13を貫通する第2配線口42が形成されている。第2配線口42は、図4に示すように、屋内回路基板3のコネクタ20,21に接続するケーブル43,44を通すために使用される。
【0022】
カバー12の正面壁と蓋14との間には、屋内回路基板3、屋外回路基板28及び電動モータ4の電源となる電池22が収容されている。
【0023】
駆動軸16は、中仕切り13に形成された貫通孔23に挿通され、軸24と連結されている。ブラケット板11には、軸24を挿通するための軸孔25が形成されている。軸24は、駆動軸16の回転を彫込み錠7に伝達する。
【0024】
屋外ケース27は、屋外側ドアパネル5の貫通孔8に挿入された筒部29を有する。シリンダ錠10は、筒部29に嵌め込まれている。シリンダ錠10のロータ30は、軸24と連結されている。
【0025】
電子キー又はサムターン18を用いて施解錠する場合、電動モータ4又はサムターン18による駆動軸16の正逆回転を軸24経由で彫込み錠7に伝達し、その伝達力で彫込み錠7が作動して施解錠が切り替わる。電子キー等の電池切れ等の緊急時、機械式キーを用
いてシリンダ錠10を仕切り1に対して屋外側から操作することで施解錠する場合、ロータ30の回転を軸24経由で彫込み錠7に伝達し、その伝達力で彫込み錠7が作動して施解錠が切り替わる。
【0026】
通常、使用されないシリンダ錠10は、屋外ケース27に着脱可能な錠カバー31によって覆い隠される。錠カバー31と屋外ケース27との間には、微小な嵌め合い隙間32が生じている。また、シリンダ錠10と筒部29との間にも微小な嵌め合い隙間33が生じている。また、軸24とブラケット板11との間にも隙間34が生じている。なお、図1では、これら隙間32~34を誇張して描いている。
【0027】
筐体2の内側と屋外との間には、屋外の空気を嵌め合い隙間32、嵌め合い隙間33、仕切り1の内部空間、隙間34の順に通過して筐体2の内側まで導く外気侵入経路が形成される。
【0028】
筐体2の内側には、その外気侵入経路の終端である隙間34から筐体2の内側に侵入した空気を排気口15まで導く通気路35が設けられている。
【0029】
通気路35は、ブラケット板11と、中仕切り13と、ブラケット板11と中仕切り13との間を屋内回路基板3に対して密閉する第一のシール材36と、モータケース17と、中仕切り13とモータケース17との間を屋内回路基板3に対して密閉する第二のシール材37とで形成されている。
【0030】
第一のシール材36は、図1図2に示すように、上下方向に延びる左右両側のシール部38と、左右両側のシール部38の上部を繋ぐ上側のシール部39とを有する門型に形成されている。上側のシール部39は、軸24及び駆動軸16の周囲であって中仕切り13の第2配線口42よりも下方の位置を通っている。左右両側のシール部38,38は、カバー12の下壁から上側のシール部39まで連続している。
【0031】
第二のシール材37は、図1図3に示すように、駆動軸16の周囲を取り囲むシート状に形成されている。
【0032】
図1に示す第一のシール材36と第二のシール材37は、例えばウレタンゴム(U)、ニトリルゴム(NBR)、シリコンゴム(Si,Q)、フッ素ゴム(FKM)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などのゴム系材料等が混合され弾性を有するスポンジ状の多孔質材料によって形成されている。なお、これらシール材36,37は、それぞれ空気中のエアロゾル粒子を遮断することが可能な適宜の材料で形成すればよく、上記材料に限定されるものではない。
【0033】
通気路35の形状は、流路抵抗(圧力損失)ΔPを考慮して設定する必要がある。例えば、流路が直径d、管長Lの円管の場合、ΔPはL/dに比例する。実際の電子装置では必ずしも円管形状には限られず、矩形形状などになることが多いが、その場合は直径dに替えて、次式で表される等価直径Deを用いて形状を評価すれば良い。等価直径Deとは、流路が、流動の点から、直径いくらの円管の集合と等価であるかを示す代表長さであって、次式で表される。
De=4Af/Wp
ここで、Af:流路断面積、Wp:濡れ縁長さ(断面にある壁面の長さ)である。したがって、例え断面積Afが大きくとも、濡れ縁長さWpが大きい平たく潰れた形状だと、等価直径Deは小さくなり、流路抵抗ΔPが大きくなってしまうため、侵入したエアロゾル粒子混じりの外気を排気口から効率的に排出することができなくなる。一般的な住宅における電子装置においては、等価直径Deを5mm以上、流路長L(例えば本実施形態に
おいては駆動軸16から排気口15までの距離に相当)を100mm以下とすれば良い。より望ましくは、Deは7mm以上、流路長Lは70mm以下が良い。
【0034】
軸24とブラケット板11間の隙間34から筐体2の内側に侵入した空気の大部分は、通気路35のうち、第一のシール材36と中仕切り13とブラケット板11とで囲まれた空間を下方に流れ、排気口15から下方に向かって流出する。また、侵入した空気の一部は、通気路35のうち、中仕切り13の貫通孔23と駆動軸16間の隙間40の部分に流れ込むが、第二のシール材37(図3も参照)や電動モータ4のモータケース17(図2も参照)にぶつかるので、やがて第一のシール材36と中仕切り13とブラケット板11とで囲まれた空間に戻され、この空間を下方に流れて排気口15から下方に向かって流出する。通気路35を流れる空気中に含まれた海塩粒子、塵埃等のエアロゾル粒子は、中仕切り13とブラケット板11に密着する第一のシール材36と、中仕切り13とモータケース17に密着する第二のシール材37とによって中仕切り13とブラケット板11間、中仕切り13とモータケース17間のいずれの間からも漏洩することができず、また、第一のシール材36及び第二のシール材37を通り抜けることもできず、屋内回路基板3まで到達することができない。このように、通気路35は、屋内回路基板3に対して筐体2の内側に侵入した空気中のエアロゾル粒子を遮断するように設けられている。
【0035】
図1~4に示す電子装置は、上述のように、筐体2が屋内に開放した排気口15を有し、外気侵入経路から侵入した空気を排気口15まで導く通気路35が筐体2の内側に設けられており、通気路35が屋内回路基板3に対して空気中のエアロゾル粒子を遮断するように設けられているので、外気侵入経路から筐体2の内側に侵入した空気を通気路35で排気口15まで導いて屋内に流出させられ、その空気中に含まれたエアロゾル粒子が屋内回路基板3に付着しない。したがって、図示の電子装置は、屋外と屋内を区切る仕切り1に対して屋内側に配置される筐体2の内側に収容された屋内回路基板3における塵埃堆積や塩害を防止することができる。
【0036】
また、図示の電子装置は、筐体2の排気口15が筐体において屋内回路基板3から離間する方向に向けて開放されているので、排気口15から流出する空気中のエアロゾル粒子がカバー12の隙間から筐体2の内部に再侵入する確率を抑制でき、特に、下方に向けて開放されているので、屋内で空中に舞い上がることを抑制することができる。
【0037】
また、図示の電子装置は、仕切り1がシリンダ錠10によって屋外側から施解錠可能な扉からなり、筐体2の内側に施解錠切替用の電動モータ4が収容されており、電動モータ4の出力を伝達する軸24が仕切り1の内部に挿入されており、外気侵入経路が筐体2と軸24との間の隙間34から筐体2の内側に連通しており、通気路35が筐体2と軸24との間の隙間34から排気口15まで連通しているので、密閉性の高い住宅、マンション、ホテル等の建物で二十四時間換気扇を回す環境であっても、シリンダ錠10、電動モータ4の設置に伴う外気侵入経路から空気が通気路35、排気口15を通じて屋内に吸引されることを許容しつつ、電動モータ4の設置に伴う筐体2内の屋内回路基板3、コネクタ20,21に接続される配線等の電気回路において塵埃や塩分の堆積を無くし、電子装置の故障を防止することができる。
【0038】
図示の電子装置は、扉に設置する電気錠を例示したが、この発明は電気錠に限定されず、屋外から仕切りを通じて筐体の内側に連通する外気侵入経路が生じる電子装置に採用することができ、例えば、インターホン、ドアホン、監視カメラ等が挙げられる。
【0039】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0040】
1 仕切り
2 筐体
3 屋内回路基板
4 電動モータ(電動アクチュエータ)
5 屋外側ドアパネル
6 屋内側ドアパネル
8,9 貫通孔
10 シリンダ錠
11 ブラケット板
13 中仕切り
15 排気口
24 軸
32,33 嵌め合い隙間
34 隙間
35 通気路
36 第一のシール材
37 第二のシール材
41 第1配線口
42 第2配線口
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
ケーブル43は、図1において一点鎖線P1で示されるように、仕切り1の貫通孔8,9を通過して、屋外回路基板28と屋内回路基板3とを接続している。ここで図4に示すように、ケーブル43は、開口部46から屋内側に通される。ここで開口部46とは、仕切り1の筐体取付面である屋内側ドアパネル6のパネル面を正面視した状態で、ブラケット板11に設けた第1配線口41と、屋内側ドアパネル6の貫通孔9とを重ね合わせてできる開口領域である。さらにケーブル43は、屋内側ドアパネル6のパネル平面に沿って這わせて、屋内回路基板3のコネクタ21に接続されている。開口部46から筐体取付面に沿って這わせたケーブル43の一部までを連続して覆うように、第一のシール材36を配設している。第一のシール材36は、弾性を有しシート状をなす多孔質材料製のものである(第一のシール材36の詳細形状については後述する)。ケーブル43と第一のシール材36の上側のシール部39とを屋内側ドアパネル6のパネル面側に向かって押さえつけるように、中仕切13上に押さえ部45を配設してある。こうすることで、屋外側から屋内側へケーブル43を通すための開口部46において、空気中のエアロゾル粒子の侵入を遮断している。