(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149796
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】情報表示装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/0969 20060101AFI20241010BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20241010BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20241010BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20241010BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
G08G1/0969
G01C21/26 C
G08G1/16 C
G09B29/00 C
G09B29/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024135613
(22)【出願日】2024-08-15
(62)【分割の表示】P 2020058825の分割
【原出願日】2020-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】三ツ井 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 喬浩
(57)【要約】
【課題】ユーザの現在位置又はその近傍における事故リスクを当該ユーザに伝える。
【解決手段】地図データ記憶装置10は、地図データ記憶部及び送信部を備えている。地図データ記憶部は、地図データ及び事故リスク情報を記憶している。送信部は、情報表示装置から対象位置情報を取得すると、その対象位置情報に対応する地図データ及び事故リスク情報を地図データ記憶部から読み出して、情報表示装置20に送信する。情報表示装置20は、位置情報取得部、表示処理部、及びディスプレイを有している。位置情報取得部は、上記した対象位置情報を取得する。表示処理部は、地図データ記憶装置10から、対象位置情報に応じた地図情報及び事故リスク情報を取得し、当該地図情報が示す地図をディスプレイに表示させるとともに、当該事故リスク情報をディスプレイに表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図を表示する情報表示装置であって、
対象地点の位置を示す対象位置情報を取得する位置情報取得部と、
地図情報を記憶している地図データ記憶部から、前記対象位置情報に応じた前記地図情報を取得し、当該地図情報が示す地図をディスプレイに表示させる表示処理部と、
を備え、
前記地図データ記憶部は、さらに、位置情報に対応付けて、当該位置情報が示す位置において発生しうる事故に関する事故数に関する情報である事故リスク情報を記憶しており、
前記表示処理部は、前記対象位置情報を用いて、表示すべき前記事故リスク情報を前記地図データ記憶部から取得し、当該事故リスク情報を前記ディスプレイに表示させる情報表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データ構造、情報表示装置、情報表示方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、ルート案内などにおいて、ユーザの現在位置の周囲の地図をディスプレイの表示させることが行われている。例えば特許文献1には、事故リスクに基づいて迂回推奨地点を特定し、この迂回推奨地点を迂回するように迂回経路情報を生成することが記載されている。特許文献1には、迂回推奨地点はハザードマップを用いて設定されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、ユーザの現在位置又はその近傍における事故リスクを当該ユーザに伝えることは重要であると考えた。本発明が解決しようとする課題としては、ユーザの現在位置又はその近傍における事故リスクを当該ユーザに伝えることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、位置を特定する位置情報と、
前記位置情報が示す位置に対応する地図データと、
前記位置情報が示す位置において発生しうる事故に関する情報である事故リスク情報と、を互いに対応付けている地図データ構造である。
【0006】
第2の発明は、地図を表示する情報表示装置であって、
対象地点の位置を示す対象位置情報を取得する位置情報取得部と、
地図情報を記憶している地図データ記憶部から、前記対象位置情報に応じた前記地図情報を取得し、当該地図情報が示す地図をディスプレイに表示させる表示処理部と、
を備え、
前記地図データ記憶部は、さらに、位置情報に対応付けて、当該位置情報が示す位置において発生しうる事故に関する情報である事故リスク情報を記憶しており、
前記表示処理部は、前記対象位置情報を用いて、表示すべき前記事故リスク情報を前記地図データ記憶部から取得し、当該事故リスク情報を前記ディスプレイに表示させる情報表示装置である。
【0007】
第3の発明は、コンピュータが、
対象地点の位置を示す対象位置情報を取得し、
地図情報を記憶している地図データ記憶部から、前記対象位置情報に応じた前記地図情報を取得し、当該地図情報が示す地図をディスプレイに表示させ、
前記地図データ記憶部は、さらに、位置情報に対応付けて、当該位置情報が示す位置において発生しうる事故に関する情報である事故リスク情報を記憶しており、
前記コンピュータは、前記対象位置情報を用いて、表示すべき前記事故リスク情報を前記地図データ記憶部から取得し、当該事故リスク情報を前記ディスプレイに表示させる情報表示方法。
【0008】
第4の発明は、コンピュータに、
対象地点の位置を示す対象位置情報を取得する位置情報取得機能と、
地図情報を記憶している地図データ記憶部から、前記対象位置情報に応じた前記地図情報を取得し、当該地図情報が示す地図をディスプレイに表示させる表示機能と、
を持たせ、
前記地図データ記憶部は、さらに、位置情報に対応付けて、当該位置情報が示す位置において発生しうる事故に関する情報である事故リスク情報を記憶しており、
前記表示機能は、前記対象位置情報を用いて、表示すべき前記事故リスク情報を前記地図データ記憶部から取得し、当該事故リスク情報を前記ディスプレイに表示させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る地図データ記憶装置及び情報表示装置の関係を示す図である。
【
図2】地図データ記憶装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】地図データ記憶部が記憶しているデータの構造の一例を示す図である。
【
図4】事故リスク情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】情報表示装置の機能構成の一例を示を示す図である。
【
図6】地図データ記憶装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図7】情報表示装置が行う処理の第1例を示すフローチャートである。
【
図8】ディスプレイが表示する画像の第1例を示す図である。
【
図9】ディスプレイが表示する画像の第2例を示す図である。
【
図10】ディスプレイが表示する画像の第3例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る地図データ記憶装置10及び情報表示装置20の関係を示す図である。地図データ記憶装置10は、地図データを記憶している。情報表示装置20は、対象地点の位置を示す情報(以下、対象位置情報と記載)を取得する。対象地点は、例えば情報表示装置20の位置又は情報表示装置20のユーザの位置であるが、これに限定されない。情報表示装置20が車両に搭載されている場合、対象位置情報は、例えばユーザが搭乗している車両の位置を示している。情報表示装置20は、対象位置情報を取得すると、当該対象位置情報に対応する地図データを情報表示装置20から取得して表示する。本実施形態において、地図データ記憶装置10は、さらに、事故リスク情報を位置情報に対応付けて記憶している。事故リスク情報は、その位置において発生しうる事故に関する情報である。例えば事故リスク情報は、事故に関する統計データを用いて生成されている。情報表示装置20は、対象位置情報に対応する事故リスク情報を情報表示装置20から取得して表示する。なお、情報表示装置20は、事故リスク情報のみを表示してもよい。
【0012】
地図データ記憶装置10は例えばサーバであり、情報表示装置20は、ナビゲーション機能を有する車載装置又は携帯端末である。この場合、地図データ記憶装置10と情報表示装置20の間の通信は、例えばインターネットなどの公衆通信網を介して行われる。ただし、地図データ記憶装置10及び情報表示装置20は一つの装置であってもよい。
【0013】
図2は、地図データ記憶装置10の機能構成の一例を示す図である。本図に示す例において、地図データ記憶装置10は、地図データ記憶部110及び送信部120を備えている。地図データ記憶部110は、地図データ及び事故リスク情報を記憶している。送信部120は、情報表示装置20から対象位置情報を取得すると、その対象位置情報に対応する地図データ及び事故リスク情報を地図データ記憶部110から読み出して、情報表示装置20に送信する。一例として送信部120は、対象位置情報が示す位置及びその周囲の地図データ及び事故リスク情報を情報表示装置20に送信する。
【0014】
図3は、地図データ記憶部110が記憶しているデータの構造(以下、地図データ構造と記載)の一例を示す図である。本図に示す地図データ構造は、位置情報と、位置情報が示す位置に対応する地図データと、位置情報が示す位置における事故リスク情報と、を互いに対応付けたものである。ここで位置情報は、例えば緯度経度情報であるが、これに限定されない。ここで事故リスク情報が紐づけられる位置としては、横断歩道、特定の施設(例えば店舗)の前、交差点、有料道路のインターチェンジ、及び合流地点がある。また、渋滞に関連する事故に関しては、渋滞の末尾となり得る場所や渋滞中となり得る場所も、事故リスク情報が紐づけられる位置になり得る。
【0015】
図4は、事故リスク情報のデータ構造の一例を示す図である。本図に示す事故リスク情報は、事故の種類を示す情報(以下、種類情報と記載)、事故の発生頻度に関する情報、事故の発生条件、及び情報表示装置20に表示すべき情報(以下、表示情報と記載)を有している。
【0016】
種類情報が示す事故の種類は、例えば渋滞での追突事故、交差点での衝突事故、交差点での歩行者等との事故、交差点での右左折時の事故、及び正面衝突事故であるが、これらに限定されない。
【0017】
事故の発生頻度に関する情報は、例えばその場所においてその事故の発生しやすさを示している。この情報は、正規化されていてもよいし、過去の事故の発生数そのものであってもよいし、過去の事故の発生に基づいて設定された数値、例えば過去の事故の発生を正規化した値であってもよい。
【0018】
なお、事故の発生頻度に関する情報は、例えば以下のようにして設定される。まず、対象となる地点が含まれる道路リンク別に、渋滞度別の事故発生回数を集計する。そして、この渋滞度と渋滞度別の事故発生回数に対してアソシエーション分析を行い、このアソシエーション分析の結果としての確信度及び支持度を互いに乗ずる。そしてこの乗算の結果が、事故の発生頻度に関する情報として用いられる。また、リフト値を用いてルールの有効性を検証し、ルールの足切りをしてもよい。
【0019】
事故の発生条件は、その事故がその場所で発生しやすくなる時の交通情報、例えば混雑度を示している。この情報は、当該事故リスク情報を表示するための条件であり、例えば、渋滞であること、順調であること、混雑していること、又は渋滞していること、などである。
【0020】
表示情報は、種類情報が示す事故の種類に応じて表示すべき事項を示している。この事項は、例えば事故の種類、発生条件、及び注意事項の少なくとも一つを含んでいる。注意事項は、その事故の種類に応じて注意すべき事項を示す注意情報を含んでいる。注意情報は、例えばその事故を防ぐための行動指針を含んでいる。行動指針は、例えば、減速、左側安全確認、及び右側安全確認などである。
【0021】
なお、表示情報は事故リスク情報とは別に記憶されていてもよい。この場合、地図データ記憶装置10は、事故の種類別の表示情報を、当該事故の種類に紐づけて記憶している。
【0022】
図5は、情報表示装置20の機能構成の一例を示を示す図である。本図に示す例において、情報表示装置20は、位置情報取得部210、表示処理部220、及びディスプレイ230を有している。位置情報取得部210は、上記した対象位置情報を取得する。表示処理部220は、地図データ記憶装置10から、対象位置情報に応じた地図情報及び事故リスク情報を取得し、当該地図情報が示す地図をディスプレイ230に表示させるとともに、当該事故リスク情報をディスプレイ230に表示させる
【0023】
本実施形態において、表示処理部220は、さらに渋滞情報などの交通情報を、例えば無線通信を介して取得する。交通情報は、道路の混雑度に関する情報を含んでいる。例えば交通情報は、道路のうち渋滞が発生している場所や混雑している場所を示している。一例として交通情報は、渋滞に関する交通情報は、渋滞の起点及びその渋滞の長さを示している。そして位置情報取得部210は、この交通情報を用いて、当該交通情報に対応する位置の事故リスク情報を表示するか否かを決定する。
【0024】
なお、地図データ記憶装置10の送信部120は、交通情報に含める形で事故リスク情報を情報表示装置20送信するのが好ましい。一般的なナビゲーション機能は、交通情報(例えば渋滞が発生している道路や事故が発生している地点)を地図の中に表示させる機能を有している。このため、情報表示装置20がナビゲーション機能を有している場合において、事故リスク情報を交通情報に含める形にすると、表示処理部220の処理負荷が小さくなる。
【0025】
図6は、地図データ記憶装置10のハードウェア構成例を示す図である。地図データ記憶装置10は、バス1010、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、及びネットワークインタフェース1060を有する。
【0026】
バス1010は、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、及びネットワークインタフェース1060が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1020などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0027】
プロセッサ1020は、CPU(Central Processing Unit) やGPU(Graphics Processing Unit)などで実現されるプロセッサである。
【0028】
メモリ1030は、RAM(Random Access Memory)などで実現される主記憶装置である。
【0029】
ストレージデバイス1040は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又はROM(Read Only Memory)などで実現される補助記憶装置である。ストレージデバイス1040は地図データ記憶装置10の送信部120を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1020がこれら各プログラムモジュールをメモリ1030上に読み込んで実行することで、そのプログラムモジュールに対応する各機能が実現される。また、ストレージデバイス1040は地図データ記憶部110としても機能する。ただし、地図データ記憶部110は、外部ストレージであってもよい。
【0030】
入出力インタフェース1050は、地図データ記憶装置10と各種入出力機器とを接続するためのインタフェースである。例えば地図データ記憶装置10は、入出力インタフェース1050を介して外部ストレージとしての地図データ記憶部110と通信する。
【0031】
ネットワークインタフェース1060は、地図データ記憶装置10をネットワークに接続するためのインタフェースである。このネットワークは、例えばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)である。ネットワークインタフェース1060がネットワークに接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。地図データ記憶装置10は、ネットワークインタフェース1060を介して情報表示装置20と通信してもよい。
【0032】
なお、情報表示装置20のハードウェア構成の一例も、
図6に示した例と同様である。そしてストレージデバイス1040は情報表示装置20の各機能(例えば位置情報取得部210及び表示処理部220)を実現するプログラムモジュールを記憶している。
【0033】
図7は、情報表示装置20が行う処理の第1例を示すフローチャートである。本図に示す処理において、情報表示装置20の表示処理部220は、繰り返し交通情報を取得している。また情報表示装置20は、繰り返し本図に示す処理を行っている。
【0034】
まず、情報表示装置20の位置情報取得部210は、対象位置情報を取得する(ステップS10)。例えば位置情報取得部210は、GPSを用いて、当該情報表示装置20の位置を示す除法を、対象位置情報として取得する。
【0035】
次いで表示処理部220は、位置情報取得部210が取得した対象位置情報を地図データ記憶装置10に送信する。地図データ記憶装置10の送信部120は、この対象位置情報に対応する地図データ及び事故リスク情報を地図データ記憶部110から読み出し、これら地図データ及び事故リスク情報を情報表示装置20に送信する。
【0036】
情報表示装置20の表示処理部220は、これら地図データ及び事故リスク情報を取得する(ステップS20)と、ディスプレイ230に表示させる画像を生成する(ステップS30)。この画像は、地図及び事故リスク情報を含んでいる。そして表示処理部220は、この画像をディスプレイ230に表示させる(ステップS40)。
【0037】
図8は、ディスプレイ230が表示する画像の第1例を示している。上記したように、この画像は、地図及び事故リスク情報を含んでいる。本図に示す例において、表示処理部220は、ディスプレイ230に表示されている地域に対応するすべての事故リスク情報をディスプレイ230に表示させてもよいし、特定の場所の事故リスク情報のみを表示させてもよい。
【0038】
例えば表示処理部220は、ユーザの予想経路を示す経路情報を用いて、ユーザ又は情報表示装置の経路を推定し、当該経路に含まれる位置に対応する事故リスク情報を選択してディスプレイ230に表示させてもよい。ここで経路情報は、例えばユーザの位置情報の履歴を用いて生成されてもよいし、ユーザが移動すべきルートを示すルート情報であってもよい。前者の場合、表示処理部220は、ユーザの位置情報の履歴を用いて、ユーザが進んでいる道路を推定し、当該道路をユーザの予想経路にする。後者の場合、ルート情報は、例えば目的地までの移動ルートを示している。
【0039】
本図に示す例において、事故リスク情報としてディスプレイ230に表示される情報は、事故リスクの対象地点の名称、事故の種類、および行動指針を含んでいる。
【0040】
また、本図に示す例において、事故リスク情報は、その事故リスク情報に対応する位置情報が示す位置、すなわち事故リスク情報が示す事故が発生しうる場所を指しながら表示されている。そしてディスプレイ230に表示される事故リスク情報は、事故が発生しうる場所の名称、事故の種類、及び表示情報の一例である行動指針を含んでいる。
【0041】
また、事故リスク情報は、相対位置情報と共に表示されている。相対位置情報は、その事故リスク情報に対応する位置情報が示す位置と、対象位置情報が示す位置(例えば車両の現在位置)と、の相対位置を示している。例えばユーザの位置と、事故リスク情報に対応する位置とが一本の道で結ばれている場合、相対位置情報は、この道に沿って移動した場合における、これらの間の距離を示している。
【0042】
図9は、ディスプレイ230が表示する画像の第2例を示している。上記したように、地図データ記憶部110において、事故リスク情報は、交通情報に紐づけられている。この交通情報は、その事故リスク情報を表示するための条件(以下、表示条件と記載)である。そして表示処理部220は、その事故リスク情報に対応する位置情報に関する現在の交通情報を取得する。そして表示処理部220は、この交通情報を用いて事故リスク情報を表示するか否かを決定する。具体的には、表示処理部220は、現在の交通情報が、表示条件を満たしていた時に、当該事故リスク情報をディスプレイ230に表示させる。言い換えると、表示処理部220は、現在の交通情報が表示条件を満たしていない時には、当該事故リスク情報をディスプレイ230に表示させない。
【0043】
本図に示す例において、表示条件は、渋滞が発生していることである。そして現在の交通情報は、対象となる位置において渋滞が発生していることを示している。そこで表示処理部220は、ディスプレイ230に、事故リスク情報を表示させる。また本図に示す例において、相対位置情報は、ユーザの現在位置と、渋滞の末尾との相対位置を示している。
【0044】
また、事故リスク情報が示す事故は、渋滞末尾の追突事故である。そこで、表示処理部220は、事故リスク情報を表示させる地点を、渋滞の末尾にしている。
【0045】
図10は、ディスプレイ230が表示する画像の第3例を示している。本図に示す例において、表示処理部220は、対象位置情報が示す位置と事故リスク情報が示す位置との相対位置が基準を満たしたときに、当該事故リスク情報に関する音声出力をさらに行う。ここで用いられる基準の一例は、相対位置が示す距離が基準以下になることである。例えば本図に示す例では、表示処理部220は、出会い頭の交通事故が多い交差点にユーザが近づいたときに、この音声出力を行う。これにより、ユーザは、事故リスクが高い地点に近づいたことを認識しやすくなる。
【0046】
なお、
図8~
図10に示した例のほかに、事故リスク情報としては以下があり得る。
・道路が渋滞又は混雑している時の追突事故リスク(渋滞末尾や渋滞列中)
・道路が渋滞又は混雑している時の人身事故リスク(無理な横断や飛び出し)
・交差点につながる道路の渋滞度が順調又は混雑している時の出合い頭の事故リスク
・交差点への進入道路の渋滞度が順調又は混雑している時の右左折時の事故リスク
・道路の渋滞度が順調又は混雑している時の正面衝突事故リスク
【0047】
また、追突事故リスクに関しては、ユーザの現在位置から渋滞末尾までの距離と、ユーザの速度と加減速状態を考慮し、十分減速可能な距離において事故リスク情報の表示を行うのが好ましい。また、既に十分な減速行動に移っている場合、表示処理部220は、事故リスク情報の表示を行わなくてもよい。
【0048】
一例として、事故リスク情報が渋滞の末尾における追突事故リスクに関しており、かつ、対象地点に渋滞が生じていた場合、表示処理部220は、この渋滞の末尾から車両までの距離、この車両の速度、及びこの車両の加減速度を用いて、事故リスク情報をディスプレイ230に表示させるか否かを判断してもよい。例えば表示処理部220は、渋滞の末尾から車両までの距離、この車両の速度、及びこの車両の加減速度から、当該車両が渋滞の末尾に衝突する可能性の大きさを判断する。そして表示処理部220は、この可能性が高いと判断した場合、事故リスク情報をディスプレイに表示させる。一方、表示処理部220は、この可能性が低いと判断した場合、事故リスク情報をディスプレイ230に表示させない。
【0049】
さらに、事故リスク情報が渋滞の末尾における追突事故リスクに関しており、かつ、対象地点に渋滞が生じていた場合、表示処理部220は、以下のように機能してもよい。まず表示処理部220は、渋滞の末尾から当該車両までの距離が基準値以下になったタイミングで事故リスク情報をディスプレイ230に表示させる。その後、表示処理部220は、渋滞の末尾から車両までの距離、車両の速度、及び車両の加減速度を用いて、事故リスク情報の再表示及び当該事故リスク情報に関する別の出力の少なくとも一方を行うか否かを判断する。例えば表示処理部220は、渋滞の末尾から車両までの距離、この車両の速度、及びこの車両の加減速度から、当該車両が渋滞の末尾に衝突する可能性の大きさを判断する。そして表示処理部220は、この可能性が高いと判断した場合、事故リスク情報の再表示及び当該事故リスク情報に関する別の出力の少なくとも一方を行う。ここで別の出力は、例えば上記した音声出力であってもよいし、ディスプレイ230に、事故リスク情報の表示に加えてアラートを表示させることであってもよい。一方、表示処理部220は、この可能性が低いと判断した場合、追加の処理を何も行わない。
【0050】
また、
図9及び
図10に示した例では、表示処理部220は、ディスプレイ230に交通情報も表示させている。ただし、表示処理部220は、渋滞度と相関がない又は低い事故リスク情報を表示させるときには、交通情報を表示させなくてもよい。
【0051】
また、表示処理部220は、必要に応じて繰り返し事故リスク情報をディスプレイ230に表示させる。例えば、表示処理部220は、事故リスク情報の表示や音声出力を行った後、行動指針に示した行動(例えば減速)が行われなかった場合、事故リスクが高まっていることになるため、事故リスク情報の表示や音声出力を再度行う
【0052】
以上、本実施形態によれば、地図データ記憶装置10が記憶している地図データの構造は、位置情報と、位置情報が示す位置における事故リスク情報とを対応付けたものになっている。このため、情報表示装置20を用いることにより、ユーザの現在位置又はその近傍における事故リスクを当該ユーザに伝えることができる。
【0053】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0054】
10 地図データ記憶装置
20 情報表示装置
110 地図データ記憶部
120 送信部
210 位置情報取得部
220 表示処理部
230 ディスプレイ