(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014984
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】有機顔料コアと薄金属酸化物層およびシラン層を伴うシェルとを有する電気泳動コアシェル粒子
(51)【国際特許分類】
G02F 1/167 20190101AFI20240125BHJP
C09C 3/06 20060101ALI20240125BHJP
C09C 3/08 20060101ALI20240125BHJP
C09C 3/10 20060101ALI20240125BHJP
G02F 1/1675 20190101ALN20240125BHJP
【FI】
G02F1/167
C09C3/06
C09C3/08
C09C3/10
G02F1/1675
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023196660
(22)【出願日】2023-11-20
(62)【分割の表示】P 2022546629の分割
【原出願日】2021-01-25
(31)【優先権主張番号】62/970,901
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ ウィリアム アンセス
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン マクドナルド
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ アラン ブリーン
(57)【要約】
【課題】電気泳動ディスプレイ媒体において使用される有機顔料を提供すること
【解決手段】電気泳動媒体が、複数のコアシェル粒子と、非極性流体とを備えている。コアシェル粒子は、有機顔料粒子コアと、金属酸化物層およびシラン層を備えているシェルとを備えている。金属酸化物層は、0.4~2nmの厚さを有し得る。それは、有機顔料を粉体層として、反応器の中に挿入し、粉体層を金属酸化物前駆体および不活性ガスを備えている気体流と接触させ、粉体層を試薬および不活性ガスの気体流と接触させることによって、流動層反応器を使用して、形成され得る。シラン層は、第1の官能基を備えているシラン化合物から形成され、第1の官能基は、金属酸化物と反応する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その内容物が、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2020年2月6日に出願された米国仮特許出願第62/970,901号の優先順位および利益を主張する。
(発明の分野)
【0002】
本発明は、電気泳動ディスプレイ媒体において使用される有機顔料に関する。より具体的に、一側面では、本発明は、薄金属酸化物層およびシラン層を備えているシェルを有するコアシェル有機顔料粒子を含む電気泳動システムに関する。
【背景技術】
【0003】
本発明は、電気泳動ディスプレイにおける使用のための粒子と、そのような粒子を組み込む電気泳動媒体およびディスプレイとに関する。より具体的に、本発明は、複数のコアシェル粒子と、非極性液体とを備えている電気泳動媒体に関する。一側面では、コアシェル粒子は、(a)有機顔料を備えているコアと、(b)金属酸化物層およびシラン層を備えているシェルとを備え、金属酸化物層は、流動層反応器を使用した有機顔料表面上への金属酸化物の堆積によって、形成される。
【0004】
用語「電気光学」は、材料またはディスプレイに適用される場合、画像化技術分野におけるその従来的な意味で使用され、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する材料であり、材料への電場の印加によって、その第1からその第2の表示状態に変化させられる材料を指すために、本明細書で使用される。光学特性は、典型的に、ヒトの眼に知覚可能な色であるが、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または機械読み取りのために意図されるディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射の変化の意味における擬似色等の別の光学特性であり得る。
【0005】
いくつかの電気光学材料は、材料が固体外部表面を有するという意味において固体であるが、材料は、多くの場合、内部液体または気体充填空間を有し得る。固体電気光学材料を使用するそのようなディスプレイは、以降、便宜上、「固体電気光学ディスプレイ」と称され得る。したがって、用語「固体電気光学ディスプレイ」は、回転二色部材ディスプレイ、カプセル化された電気泳動ディスプレイ、マイクロセル電気泳動ディスプレイ、およびカプセル化された液晶ディスプレイを含む。
【0006】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で、少なくとも1つの光学特性において異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備えているディスプレイであって、第1または第2の表示状態のうちのいずれか一方を示すように有限連続時間のアドレスパルスを用いて所与の要素が駆動されてから、アドレスパルスが終了した後、表示要素の状態を変化させるために必要とされるアドレスパルスの最小連続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が続くようなディスプレイを指すために、本明細書で使用される。米国特許第7,170,670号では、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極端な黒および白状態においてだけではなく、その中間グレー状態においても、安定しており、同じことは、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。このタイプのディスプレイは、適切に、双安定性ではなく、「多安定性」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定性」が、本明細書では、双安定性および多安定性ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0007】
長年にわたり研究および開発の関心の対象である、あるタイプの電気光学ディスプレイは、粒子ベースの電気泳動ディスプレイであって、複数の荷電粒子が、電場の影響下で流体を通って移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したとき、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定、および低電力消費の属性を有することができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期の画像品質に伴う問題は、その広範な利用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈殿する傾向があり、これらのディスプレイの不十分な使用可能寿命をもたらす。
【0008】
上述のように、電気泳動媒体は、流体の存在を必要とする。殆どの従来技術の電気泳動媒体では、この流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、気体流体を使用して生成され得る(例えば、Kitamura,T.,et al. “Electrical toner movement for electronic paper-like display”,IDW Japan,2001,Paper HCS1-1、およびYamaguchi,Y.,et al.,“Toner display using insulative particles charged triboelectricaily”,IDW Japan,2001,Paper AMD4-4参照)。同様に、米国特許第7,321,459号(特許文献1)および第7,236,291号も参照されたい。そのようなガスベース電気泳動媒体は、例えば、媒体が垂直面に配置された看板等、媒体がそのような沈殿を可能にする向きで使用されたとき、粒子沈殿のために液体ベース電気泳動媒体と同じ種類の問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈殿は、電気泳動粒子のより高速の沈殿を可能にする流体の粘度と比較して、ガス状懸濁流体のより低い粘度により、液体ベース電気泳動媒体よりガスベース電気泳動媒体において深刻な問題であると考えられる。
【0009】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)、E Ink Corporation、E Ink California,LLC、および関連会社に譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化されたマイクロセル電気泳動および他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。カプセル化された電気泳動媒体は、多数の小型カプセルを含み、それらの各々は、それ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを含む。典型的に、カプセルは、それら自体、ポリマー接着剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられる密着した層を形成する。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、キャリア媒体(典型的に、高分子フィルム)内に形成される複数の空洞内に保持される。これらの特許および出願に説明される技術としては、以下が挙げられる。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第6,822,782号、第7,002,728号、第7,679,814号、第8,018,640号、第8,199,395号、および第9,372,380号、および米国特許出願公開第US2018/0210312号参照)
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
(d)マイクロセルを充填およびシールする方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
(e)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
(f)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、およびディスプレイに使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号、第7,535,624号参照)
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照)
(h)ディスプレイを駆動する方法(例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号参照)
(i)ディスプレイの用途(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
(j)非電気泳動ディスプレイ(例えば、米国特許第6,241,921号および第2015/0277160号参照)、およびディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の適用(例えば、米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016/0012710号参照)
【0010】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体中の別々のマイクロカプセルを包囲する壁が、連続相と置換され得、したがって、いわゆる高分子分散電気泳動ディスプレイを生成し、ディスプレイにおいて、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の別々の液滴と高分子材料の連続相とを備え、そのような高分子分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別々の液滴が別々のカプセル膜が各個々の液滴に関連付けられていない場合でも、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、前述の米国特許第6,866,760号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのような高分子分散電気泳動媒体は、カプセル化された電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0011】
多くの場合、電気泳動媒体は不透明であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通る可視光の透過を実質的に遮断するので)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、1つのディスプレイ状態が実質的に不透明であり、1つは、光透過性である、いわゆる「シャッタ」モードで動作するように作製され得る。例えば、米国特許第5,872,552号、第6,130,774号、第6,144,361号、第6,172,798号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。誘電泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイと類似するが、電場強度の変動に依存し、類似のモードで動作し得る。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他の種類の電気光学ディスプレイも、シャッタモードで動作することが可能なことがある。シャッタモードで動作する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイ用の多層構造で使用され得、そのような構造では、ディスプレイの視認表面に隣接する少なくとも1つの層は、シャッタモードで動作して、視認表面からより遠くにある第2の層を露出させるか、または隠す。
【0012】
カプセル化された電気泳動ディスプレイは、典型的に、従来的な電気泳動機器のクラスタ化および沈殿故障モードに悩まされることがなく、多様な柔軟および剛体基材上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する。(「印刷」という語の使用は、全ての形態の印刷およびコーティングを含むことが意図され、限定ではないが、前計量コーティング、例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等、ロールコーティング、例えば、ナイフオーバーロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング等、グラビアコーティング、浸漬コーティング、吹き付けコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動析出(米国特許第7,339,715号を参照)、および他の同様の技術が挙げられる。)したがって、得られるディスプレイは、柔軟であり得る。さらに、ディスプレイ媒体は(種々の方法を使用して)印刷され得るので、ディスプレイ自体は、安価に作製され得る。
【0013】
しかしながら、カプセル化電気泳動ディスプレイの耐用年数が、依然として、完全に望ましいものより短い。この耐用年数は、粒子がクラスタの中に集合する傾向等の要因によって制限されているように思われ、それは、粒子がその光学状態の間で表示を切り替えるために必要な移動の完了を妨害する。電気泳動粒子の物理的特性および表面特性は、種々の材料を粒子の表面上に吸着させること、または種々の材料をこれらの表面を化学的に結合することによって、修正されることができる。例えば、有機顔料を含む電気泳動ディスプレイにおいて、異なる化学基を有するモノマーが、分散重合によって顔料上にポリマーコーティングを形成し得、コーティングは、可変荷電強度の着色粒子を提供するために、電荷制御剤と相互作用し得る。改良された電気光学系性能を達成するための類似のアプローチが、シリカ等の金属酸化物を用いてコーティングされた有機顔料粒子の使用である。シリカコーティングは、顔料粒子表面上への他の材料の共有結合を可能にし、媒体中の異なるタイプの電気泳動粒子間に安定し分化した表面を作成する。有機顔料粒子上へのシリカ沈殿の典型的方法が、有機溶媒中の水を用いて、有機顔料粒子の存在下において、トリエトキシアルミニウムシラン等の加水分解性シリコーン材料の反応を伴う。プロセスの条件の非常に厳重な制御がなければ、コーティングは、被覆されていないエリアとより厚いシリカコーティングのエリアとに関して均一ではない。これは、あまり効率的ではない粒子分離と、有機顔料の色特性の低下とにつながり得る。したがって、改良された電気泳動粒子およびその作製のプロセスの必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第7,321,459号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一側面によると、電気泳動媒体が、複数の第1のタイプのコアシェル粒子と、非極性流体とを備えている。複数の第1のタイプのコアシェル粒子の各々は、有機顔料を備えているコアと、シェルとを備えている。シェルは、金属酸化物層と、シラン層とを備えている。金属酸化物層の厚さは、約0.4nm~約2nmである。シラン層は、第1の官能基を備えているシラン化合物から形成され、第1の官能基は、金属酸化物と反応する。電気泳動媒体は、複数の第2のタイプのコアシェル粒子または別のタイプの荷電電気泳動粒子をさらに備え得る。電気泳動媒体は、3つ以上のタイプのコアシェル粒子または他のタイプの荷電電気泳動粒子も備え得る。この電気泳動媒体は、第1の光透過性電極層、電気光学系材料層、および第2の電極層を備えている電気泳動デバイスにおいて使用されることができる。電気泳動デバイスの電気光学系材料層は、カプセル化電気泳動媒体、すなわち、流体中に粒子を含むマイクロカプセルまたはマイクロセルを備えている。電気泳動媒体は、フロントプレーン積層、反転フロントプレーン積層、および二重剥離シート等の電気泳動アセンブリにおいて使用されることもできる。
【0016】
本発明の別の側面によると、電気泳動媒体が、複数の第1のタイプのコアシェル粒子と、非極性流体とを備えている。複数の第1のタイプのコアシェル粒子の各々は、有機顔料を備えているコアと、シェルとを備えている。シェルは、金属酸化物層と、シラン層とを備えている。金属酸化物層は、有機顔料を粉体層として、反応器の中に挿入し、粉体層を不活性ガスおよび金属酸化物前駆体を備えている気体流と接触させ、金属酸化物を形成するために、粉体層を金属酸化物前駆体と反応する不活性ガスおよび試薬の気体流と接触させることによって、流動層反応器を使用して、有機顔料の表面上に形成される。電気泳動媒体は、複数の第2のタイプのコアシェル粒子または別のタイプの荷電電気泳動粒子をさらに備え得る。電気泳動媒体は、3つ以上のタイプのコアシェル粒子または他のタイプの荷電電気泳動粒子も備え得る。この電気泳動媒体は、第1の光透過性電極層、電気光学系材料層、および第2の電極層を備えている電気泳動デバイスにおいて使用されることができる。電気泳動デバイスの電気光学系材料層は、カプセル化電気泳動媒体、すなわち、流体中に粒子を含むマイクロカプセルまたはマイクロセルを備えている。電気泳動媒体は、フロントプレーン積層、反転フロントプレーン積層、および二重剥離シート等の電気泳動アセンブリにおいて使用されることもできる。
【0017】
本発明の別の側面によると、コアシェル粒子のシェルは、ポリマー安定化層をさらに備えている。ポリマー安定化層は、シラン層とモノマーまたはマクロモノマーとの反応から形成され得、シラン層の形成のために使用されるシラン化合物は、第3の官能基を備え、モノマーまたはマクロモノマーは、第4の官能基を備えている。ポリマー安定化層は、第3と第4の官能基との間の反応によって形成される。
【0018】
本発明の別の側面によると、複数のコアシェル粒子と非極性流体とを備えている電気泳動媒体を製造する方法が、(a)有機顔料粒子を提供するステップと、(b)有機顔料粒子を粉体層として、流動層反応器に導入するステップと、(c)粉体層を不活性ガスおよび金属酸化物の前駆体を備えている気体流と接触させるステップと、(d)その表面上に金属酸化物層を有する有機顔料粒子を形成するように、粉体層を試薬を備えている気体流を接触させるステップであって、試薬は、水、酸素、オゾン、およびそれらの混合物から成る群から選択される、ステップと、(e)シラン層を形成するために、金属酸化物層を有する有機顔料粒子と有機溶媒中のシラン化合物を反応させるステップであって、シラン化合物は、第1の官能基と、第3の官能基とを備え、第1の官能基は、金属酸化物層とシラン層とを備えている有機顔料粒子を形成するために、金属酸化物と反応する、ステップと、(f)複数のコアシェル粒子と非極性流体とを組み合わせるステップとを含む。試薬を備えている気体流はさらに、不活性ガスを備え得る。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
複数の第1のタイプのコアシェル粒子と、非極性流体とを備えている電気泳動媒体であって、前記複数の第1のタイプのコアシェル粒子の各々は、
有機顔料を備えているコアと、
金属酸化物層およびシラン層を備えているシェルと
を備え、
前記金属酸化物層の厚さは、約0.4nm~約2nmであり、
前記シラン層は、第1の官能基を備えているシラン化合物から形成され、前記第1の官能基は、前記金属酸化物と反応する、電気泳動媒体。
(項目2)
複数の第1のタイプのコアシェル粒子と、非極性流体とを備えている電気泳動媒体であって、前記複数の第1のタイプのコアシェル粒子の各々は、
有機顔料を備えているコアと、
金属酸化物層およびシラン層を備えているシェルと
を備え、
前記金属酸化物層は、前記有機顔料を粉体層として反応器の中に挿入し、前記粉体層を不活性ガスおよび金属酸化物前駆体を備えている気体流と接触させ、金属酸化物を形成するために、前記粉体層を前記金属酸化物前駆体と反応する不活性ガスおよび試薬の気体流と接触させることによって、前記流動層反応器を使用して、前記有機顔料の表面上に形成され、
前記シラン層は、第1の官能基を備えているシラン化合物から形成され、前記第1の官能基は、前記金属酸化物と反応する、電気泳動媒体。
(項目3)
前記シラン化合物は、第2の官能基をさらに備え、前記第2の官能基は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミン基、第4級アンモニウム基、ジメチルシロキサン基、エステル基、アミド基、およびエチレンイミン基から成る群から選択される、項目2に記載の電気泳動媒体。
(項目4)
前記シェルは、ポリマー安定化層をさらに備え、前記ポリマー安定化層は、前記シラン層とモノマーまたはマクロモノマーとの反応から形成され、前記シラン化合物は、第3の官能基を備え、前記モノマーまたはマクロモノマーは、第4の官能基を備え、前記シラン化合物の前記第3の官能基は、前記モノマーまたはマクロモノマーの前記第4の官能基と反応する、項目2に記載の電気泳動媒体。
(項目5)
前記金属酸化物層は、酸化アルミニウム、シリカ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、またはそれらの混合物を備えている、項目2に記載の電気泳動媒体。
(項目6)
前記第1の官能基は、アルコキシ、アルキルアミノ、ハロゲン化物、水素、およびヒドロキシから成る群から選択される、項目2に記載の電気泳動媒体。
(項目7)
前記金属酸化物前駆体は、トリメトキシアルミニウム、トリエチルアルミニウム、塩化ジメチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、ジメチルアルミニウムプロポキサイド、アルミニウムトリイソプロポキシド、トリブトキシアルミニウム、トリス(ジメチルアミノ)アルミニウム、トリス(ジエチルアミノ)アルミニウム、トリス(プロピルアミノ)アルミニウム、三塩化アルミニウム、トリクロロシラン、ヘキサクロロジシラン、四塩化ケイ素、テトラエトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリス(tert-ペントキシ)シラノール、テトライソシアネートシラン、四塩化ケイ素、トリス(メチルアミノ)シラン、トリス(エチルアミノ)シラン、四塩化チタン、ヨウ化チタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、オルトチタン酸テトライソプロピル、テトラキス(メチルアミノ)チタン、テトラキス(エチルアミノ)チタン、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、メチル亜鉛イソプロポキシド、四塩化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラキス(メチルアミノ)ジルコニウム、テトラキス(エチルアミノ)ジルコニウム、およびそれらの混合物から成る群から選択される、項目2に記載の電気泳動媒体。
(項目8)
試薬が、水、酸素、オゾン、およびそれらの混合物から成る群から選択される、項目2に記載の電気泳動媒体。
(項目9)
前記金属酸化物層は、約0.5nm~約2nmの厚さを有する、項目2に記載の電気泳動媒体。
(項目10)
前記シラン化合物の前記第3の官能基は、エポキシ、ビニル、スチレン、アクリロイル、メタクリロイル、メタクリルオキシアルキル、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、および塩化物から成る群から選択される、項目4に記載の電気泳動媒体。
(項目11)
前記モノマーまたはマクロモノマーの前記第4の官能基は、ビニル、スチレン、アクリロイル、メタクリロイル、メタクリルオキシアルキル、エポキシ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、および塩化物から成る群から選択される、項目4に記載の電気泳動媒体。
(項目12)
前記有機顔料は、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料、アントロン顔料、インダントロン顔料、カーボンブラック顔料、ローダミン顔料、ベンゼンアミン顔料、カーボンブラック顔料、およびそれらの混合物から成る群から選択される、項目2に記載の電気泳動媒体。
(項目13)
前記有機顔料は、C.I.顔料青色15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、60、および79、顔料赤色2、4、5、9、12、14、38、48:2、48:3、48:4、52:2、53:1、57:1、81、112、122、144、146、147、149、168、170、176、177、179、184、185、187、188、208、209、210、214、242、254、255、257、262、264、282、および285、C.I.顔料藍色1、19、23、および32、C.I.顔料黄色1、3、12、13、14、15、16、17、73、74、81、83、97、109、110、111、120、126、127、137、138、139、150、151、154、155、174、175、176、180、181、184、191、194、213、および214、C.I.顔料緑色7、および36、C.I.顔料黒色1、および7、C.I.顔料茶色25、32、41、顔料橙色5、13、34、36、38、43、61、62、64、68,67、72、73、および74、およびそれらの混合物から成る群から選択される、項目2に記載の電気泳動媒体。
(項目14)
電気泳動デバイスであって、前記電気泳動デバイスは、
第1の光透過性電極層と、
カプセル化電気泳動媒体を備えている電気光学系材料層と、
第2の電極層と
を備え、
前記電気泳動媒体は、項目1または項目2に記載の前記電気泳動媒体である、電気泳動デバイス。
(項目15)
電気泳動アセンブリであって、前記電気泳動アセンブリは、
第1の光透過性電極層と、
カプセル化電気泳動媒体を備えている電気光学系材料層と、
接着剤層と、
剥離シートと
を順に備え、
前記電気泳動媒体は、項目1または2に記載の電気泳動媒体である、電気泳動アセンブリ。
(項目16)
電気泳動アセンブリであって、前記電気泳動アセンブリは、
第1の剥離シートと、
第1の接着剤層と、
カプセル化電気泳動媒体を備えている電気光学系材料層と、
接着剤層と、
第2の接着剤層と、
第2の剥離シートと
を順に備え、
前記電気泳動媒体は、項目1または2に記載の電気泳動媒体である、電気泳動アセンブリ。
(項目17)
複数のコアシェル粒子と非極性流体とを備えている電気泳動媒体を製造する方法であって、前記方法は、
有機顔料粒子を提供するステップと、
前記有機顔料粒子を粉体層として、流動層反応器に導入するステップと、
前記粉体層を不活性ガスおよび金属酸化物の前駆体を備えている気体流と接触させるステップと、
前記粉体層を試薬を備えている気体流と接触させ、その表面上に金属酸化物層を有する有機顔料粒子を形成するステップであって、前記試薬は、水、酸素、オゾン、およびそれらの混合物から成る群から選択される、ステップと、
シラン層を形成するために、金属酸化物層を有する前記有機顔料粒子を有機溶媒中のシラン化合物と反応させるステップであって、前記シラン化合物は、第1の官能基と、第3の官能基とを備え、前記第1の官能基は、金属酸化物層とシラン層とを備えている有機顔料粒子を形成するために、前記金属酸化物と反応する、ステップと、
前記複数のコアシェル粒子と前記非極性流体とを組み合わせるステップと
を含む、方法。
(項目18)
前記複数のコアシェル粒子と非極性流体とを組み合わせる前記ステップの前、金属酸化物層およびシラン層を有する前記有機顔料粒子を第4の官能基を備えているモノマーまたはマクロモノマーと反応させ、複数のコアシェル粒子を形成するステップをさらに含み、前記シランの第3の官能基は、前記モノマーまたはマクロモノマーの前記第4の官能基と反応する、項目17に記載の電気泳動媒体を製造する方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本願の種々の側面および実施形態は、以下の図を参照して説明されるであろう。図は、必ずしも、正確な縮尺で描かれていないことを理解されたい。
【0020】
【
図1A】
図1Aは、有機顔料コアと、金属酸化物層を備えているシェルとを備えているコアシェル粒子の形成のための反応スキームを示す。
【
図1B】
図1Bは、有機顔料粒子コアと、金属酸化物層およびシラン層を備えているシェルとを備えているコアシェル粒子の形成のための反応スキームを示す。
【
図1C】
図1Cは、粒子有機顔料コアと、金属酸化物層、シラン層、およびポリマー安定化層を備えているシェルとを備えているコアシェル粒子の形成のための反応スキームを示す。
【0021】
【
図2】
図2は、カプセル化電気泳動媒体を備えている電気光学系材料層を備えている電気泳動デバイスの概略図である。
【0022】
【
図3】
図3は、第1の光透過性層と、カプセル化電気泳動媒体を備えている電気光学系材料層と、接着剤層と、剥離シートとを層備えているフロントプレーン積層である、電気光学系アセンブリの概略図である。
【0023】
【
図4】
図4は、第1の剥離シートと、第1の接着剤層と、カプセル化電気泳動媒体を備えている電気光学系材料層と、第2の接着剤層と、第2の剥離シートとを備えている二重剥離シートである電気光学系アセンブリの概略図である。
【0024】
【
図5】
図5は、有機顔料粒子と、金属酸化物層、シラン層、ポリマー安定化層を備えているシェルとを備えているコアシェル粒子の形成のための反応スキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、複数のコアシェル粒子と非極性流体とを備えている電気泳動媒体を提供する。コアシェル粒子は、有機顔料コアと、金属酸化物層およびシラン層を備えているシェルとを備えている。シェルはまた、ポリマー安定化層を備え得る。本層は、存在する場合、コアシェル粒子の表面に位置し、電気泳動媒体中の粒子の分散安定性に寄与する。
【0026】
本発明の電気泳動媒体は、電気光学系ディスプレイに組み込まれ得る。電気泳動媒体を備えている典型的電気光学系ディスプレイは、第1の(正面)電極と、第2の(背面)電極とも備えている。第1の電極は、光透過性である。第2の電極も、光透過性であるか、または、それは、光透過性でないこともある。非極性流体中の複数の荷電粒子を備えている電気泳動媒体は、典型的に、正面と背面電極との間に位置する。
【0027】
電気泳動媒体は、1つ以上のタイプの粒子を含み得、それらは、異なる色および電荷を有し得る。例えば、反対に帯電した白色および黒色粒子を有する電気泳動媒体を備えている商業用電気光学系ディスプレイがある。しかしながら、1つ以上のタイプの荷電有機粒子を備えているディスプレイも、市場に存在する。有機顔料の使用は、それらが無機顔料と比較して、より明るい、より飽和色を提供するので、好ましい。電気光学系ディスプレイにおいて使用される典型的有機顔料は、シアン色、マゼンタ色、黄色、赤色、緑色、青色、および黒色を有し得る。有機顔料タイプの非限定的例は、アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、ベンズイミダゾロン、イソインドリン、アントロン、インダントロン、ローダミン、ベンゼンアミン、およびカーボンブラックタイプを含む。多くの実践者は、カーボンブラック顔料を無機顔料として考慮するが、このタイプの顔料は、有機顔料のものに似ている、疎水性、表面積等のその物理的特性のうちのいくつかのように、本特許出願の目的のための有機顔料であると見なされる。電気泳動媒体において使用され得る具体的有機顔料の非限定的例は、C.I.顔料青色15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、60、および79、顔料赤色2、4、5、9、12、14、38、48:2、48:3、48:4、52:2、53:1、57:1、81、112、122、144、146、147、149、168、170、176、177、179、184、185、187、188、208、209、210、214、242、254、255、257、262、264、282、および285、C.I.顔料藍色1、19、23、および32、C.I.顔料黄色1、3、12、13、14、15、16、17、73、74、81、83、97、109、110、111、120、126、127、137、138、139、150、151、154、155、174、175、176、180、181、184、191、194、213および214、C.I.顔料緑色7、および36、C.I.顔料黒色1、および7、C.I.顔料茶色25、32、41、顔料橙色5、13、34、36、38、43、61、62、64、68,67、72、73、および74を含む。
【0028】
本発明のコアシェル粒子のコアの有機顔料は、最大1nm~約100μm、または50nm~1μm、または60nm~800nmの平均直径を有し得る。
【0029】
有機顔料は、それらが可視光に対応する入射光の具体的波長を吸収するので、色を提供する。典型的に、それらの色飽和および強度は、粒子サイズを減少させることに伴って(すなわち、表面積を増加させることで)増加する。したがって、それらは、大部分は比較的に高表面積粒子として利用可能であり、それは、それらが液体キャリア中で分散し、安定化することを比較的に困難にする。
【0030】
本発明の一実施形態によると、電気泳動媒体が、複数の第1のタイプのコアシェル粒子と、非極性流体とを備えている。コアは、有機顔料を備え、シェルは、金属酸化物層と、シラン層とを備えている。
【0031】
金属酸化物層は、有機顔料を粉体層として反応器の中に挿入し、粉体層を不活性ガスおよび金属酸化物前駆体を備えている気体流と接触させ、粉体層を不活性ガスおよび試薬の気体流を接触させることによって、流動層反応器を使用して、有機顔料の表面上に形成される。試薬は、金属酸化物を形成するために、金属酸化物前駆体と反応する。
【0032】
連続またはバッチプロセスが、流動層反応器において使用され得る。典型的流動層反応器は、修正される粉末表面の反応率および均一性の両方を改良するために、粉末材料とガス状位相試薬の均質混合を可能にするチャンバを備えている。顔料粉末は、反応器の内側に粉体層として多孔性プレート上に設置され、垂直に位置することができる。金属酸化物前駆体/不活性ガスの気体流が、反応器のチャンバの上部または底部における入口から注入されることができる。例えば、窒素ガス中でトリメトキシアルミニウムの気体流が、使用され得る。層は、連続的に振動させられ得る。加えて、ガス圧力は、粉体層からの抵抗のために降下し得、それは、粉末の連続した移動およびガス流中の粉末の懸濁液を生じさせ、粉末の表面と試薬との間の接触を改良し得る。金属酸化物前駆体は、薄い層の粉末の表面上に錯体化(または吸着)され得る。気体流は、次いで、金属酸化物前駆体から試薬/不活性ガス流に、例えば、水/窒素に変化させられ得る。この気体流は、試薬と金属酸化物前駆体の薄フィルムの反応を生じさせ、粉末の表面上に薄い層を形成するであろう。水平流動層反応器を使用する連続プロセスでは、粉体層は、チャンバの片側から他側に連続して輸送され、別個のゾーンを通過し、粉末は、別個の気体流(金属酸化物前駆体/窒素流、次いで、試薬/窒素流)にさらされる。流体層反応器の出口から表面処理済みの粉末を送達する前、別個の流れを含むことが可能であり、それは、過剰試薬の除去、例えば、顔料粉末の乾燥を生じさせ得る。連続プロセスの例は、米国特許出願第US2018/0363136号(ALD Nanosolutions,Inc.)に提供される。
【0033】
図1Aは、それによって金属酸化物層が、有機顔料粒子101の表面上に形成される反応スキームを図示する。不活性ガス内の金属酸化物前駆体の気体流が、有機顔料粒子101の粉体層と接触させられる。前駆体は、不活性ガス内の試薬の後続ガス状蒸気と反応し、有機顔料粒子の表面上に錯体化または吸着され、L1の層厚を有する金属酸化物層102を形成する。粒子102(その表面上に金属酸化物層を有する有機顔料粒子)は、次いで、
図1Bに示されるように、シラン化合物103と反応する。このシランは、第1の官能基を備えている置換基F1を有し、それは、コアシェル粒子104を提供するために、金属酸化物表面と反応することができる。コアシェル粒子104は、厚さL1を伴う金属酸化物層と、L2の厚さを伴うシラン層とを有する。シラン化合物のシリコン原子は、置換基R1、R2、およびR3も有する。1つまたは2つのこれらの置換基は、第1の官能基を備えている置換基F1でもあり得、それも、金属酸化物表面と反応し得る。R1、R2、およびR2のうちの少なくとも1つは、粒子に電荷を提供し得るか、または、その表面エネルギー等のコアシェル粒子の表面特性を修正し得る第2の官能基を備え得る。
【0034】
金属酸化物層は、酸化アルミニウム、シリカ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、またはそれらの混合物を備え得る。
【0035】
金属酸化物前駆体の非限定的例は、トリメトキシアルミニウム、トリエチルアルミニウム、塩化ジメチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウムアルミニウム、ジメチルアルミニウムプロポキサイド、アルミニウムトリイソプロポキシド、トリブトキシアルミニウム、トリス(ジメチルアミノ)アルミニウム、トリス(ジエチルアミノ)アルミニウム、トリス(プロピルアミノ)アルミニウム、三塩化アルミニウム、トリクロロシラン、ヘキサクロロジシラン、四塩化ケイ素、テトラエトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリス(tert-ペントキシ)シラノール、テトライソシアネートシラン、四塩化ケイ素、トリス(メチルアミノ)シラン、トリス(エチルアミノ)シラン、四塩化チタン、ヨウ化チタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、オルトチタン酸テトライソプロピル、テトラキス(メチルアミノ)チタン、テトラキス(エチルアミノ)チタン、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、メチル亜鉛イソプロポキシド、四塩化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラキス(メチルアミノ)ジルコニウム、テトラキス(エチルアミノ)ジルコニウム、およびその混合物である。金属酸化物前駆体は、Sigma-Aldrichによって供給される。
【0036】
試薬の非限定的例は、水、酸素、オゾン、およびその混合物である。
【0037】
金属酸化物層は、約0.4nm~約2nm、または約0.5nm~約1nm、または約0.5nm~約0.8nmの厚さを有し得る。
【0038】
コアシェル粒子に電荷を提供し得るか、または、コアシェル粒子の表面特徴を修正し得るシラン層の第2の官能基の非限定例は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミン基、第4級アンモニウム基、ジメチルシロキサン基、エステル基、アミド基、およびエチレンイミン基である。
【0039】
金属酸化物層と反応し得るシラン化合物の第1の官能基の非限定的例は、アルコキシ、アルキルアミノ、ハロゲン化物、水素、およびヒドロキシである。これは、シランのシリコン原子が、それぞれ、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ハロゲン化物基、水素基(Si-H)、およびヒドロキシ基に接続され得ることを意味する。
【0040】
金属酸化物層の金属酸化物に結合するためのシラン化合物のクラスの例が、Dow Chemical Company(Wilmington,Del.)(商標名Z6030)から商業的に利用可能であるメタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル等のトリアルコキシシラン結合基である。対応するアクリレートも、使用され得る。
【0041】
本発明の第2の実施形態によると、電気泳動媒体が、コアシェル粒子と、非極性流体とを備え、コアは、有機顔料を備え、シェルは、金属酸化物層、シラン層、およびポリマー安定化層を備えている。金属酸化物層は、流動層反応器を使用して、有機顔料の表面上に形成される。シラン層を形成するために使用されるシラン化合物は、第1および第3の官能基を備え得る。第1の官能基は、シラン層を形成するために、金属酸化物層と反応することができる。このシラン層は、次いで、ポリマー安定化層を形成するために、第4の官能基を備えているモノマーまたはマクロモノマーと、第3の官能基を介して反応させられ得る。
【0042】
図1Cは、コアシェル粒子116の形成に関するこの一連の反応を図示し、コアは、有機顔料を備え、シェルは、金属酸化物層、シラン層、およびポリマー安定化層を備えている。より具体的に、コア(有機顔料101)を構成する粒子102と、L1の厚さを伴う金属酸化物層とは、第1の官能基を有する置換基F1および第3の官能基を有する置換基F3を備えているシラン化合物113と反応し得る。第1の官能基は、コアシェル粒子114を形成するために、粒子102の金属酸化物層と反応し得る。コアシェル粒子のこのコアは、有機顔料を備え、シェルは、厚さL1を伴う金属酸化物層および厚さL2を伴うシラン層を備えている。粒子114は、厚さL1を伴う金属酸化物層と、厚さL2を伴うシラン層と、厚さL3を伴うポリマー安定化層とを有するシェルを備えているコアシェル粒子115を形成するために、置換基F2における第3の官能基を介して、モノマー(またはマクロモノマー)M1-F4と反応し得る。ポリマー安定化層は、シラン置換基F3における第3の官能基と、モノマーまたはマクロモノマーM1-F4の第4の官能基F4の反応によって、形成される。シラン化合物113は、置換基R4およびR5も備えている。置換基R4およびR5の一方または両方は、金属酸化物層と反応することが可能である第1の官能基も備え得る。加えて、置換基R4およびR5の一方または両方は、モノマーまたはマクロモノマーM1-F4の第4の官能基と反応することが可能である第3の官能基も備え得る。
【0043】
本発明の第2の実施形態によると、ポリマー安定化層は、第4の官能基を有する1つ以上のモノマーまたはマクロモノマーと、シランの重合性第3の官能基との反応から形成され得る。米国特許第6,822,782号(その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるように、ランダムグラフト重合(RGP)、イオンランダムグラフト重合(IRGP)、および原子移動ラジカル重合(ATRP)等の当業者によって公知の種々の重合技法が、適用され得る。本明細書および請求項全体を通して、本明細書で使用されるように、マクロモノマーは、それがモノマーとしての機能を果たすことを可能にする1つの末端基を伴うマクロ分子を意味する。
【0044】
ポリマー安定化層を形成するための好適なモノマーは、限定されないが、スチレン、α-メチルスチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸n-ブチル、アクリル酸t-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、ビニルピリジン、n-ビニルピロリドン、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、ヘキシルアクリレート、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸n-オクチル、メタクリル酸n-オクチル、アクリル酸n-オクタデシル、メタクリル酸n-オクタデシル、アクリル酸2-パーフルオロブチルエチル、メタクリル酸2,2,2トリフルオロエチル、メタクリル酸2,2,3,3テトラフルオロプロピル、アクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、メタクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、アクリル酸2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルアクリレート、メタクリル酸2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル、およびメタクリル酸2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルまたは同等物を含み得る。マクロモノマーは、アクリレート基、ビニル基、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される末端官能基を含み得る。
【0045】
本発明の一実施形態では、マクロモノマーまたは重合性モノマーは、シランの第3の官能基層との反応を介して、ポリマー安定化層を形成するために粒子の表面に付着させられる。第3の官能基は、エポキシ、ビニル、スチレン、アクリロイル、メタクリロイル、メタクリルオキシアルキル、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、および塩化物であり得る。コアシェル粒子のシラン層を形成し得るシラン化合物の例は、Dow Chemical Company(Wilmington,Del.)(商標名Z60 30)から商業的に利用可能であるメタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピルである。対応するアクリレートも、使用され得る。
【0046】
コアシェル粒子を形成するために使用され得る他のマクロモノマーおよびシラン化合物が、米国特許出願第2018/0210312号で説明され、その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0047】
ポリマー安定化層を形成するために使用され得る1つのタイプのマクロモノマーは、例えば、Gelest、MCR-M11、MCR-M17、またはMCR-M22等のアクリレート末端ポリシロキサンであり得る。プロセスのために好適である別のタイプのマクロモノマーは、下記に示されるようなPE-PEOマクロモノマーである:
RmO--[--CH2CH2O--]n--CH2-フェニル-CH=CH2、または、
RmO--[--CH2CH2O--]n--C(=O)--C(CH3)=CH2置換基Rは、ポリエチレン鎖であり得、nは、1-60であり、mは、1-500である。これらの化合物の合成は、Dongri Chao et al.,Polymer Journal,Vol. 23,no. 9,1045(1991)およびKoichi Ito et al,Macromolecules,1991,24,2348に見出され得る。さらなるタイプの好適なマクロモノマーは、下記に示されるようなPEマクロモノマーである:
CH3--[--CH2--]n--CH2O--C(=O)--C(CH3)=CH2
nは、この場合、30~100である。このタイプのマクロモノマーの合成が、Seigou Kawaguchi et al,Designed Monomers and
Polymers,2000,3,263に見出され得る。
【0048】
粒子に重合性を提供するために、または官能性を開始させるために、第1および第3の官能基を備えているシラン等の二官能性化合物を選定するとき、注意が、試薬内の2つの基の相対的位置に払わなければならない。ポリマー製造の当業者に明白であるように、重合性の反応の率または粒子に結合された基を開始させることは、基が粒子表面の近くに固く保持されるかどうか、または基が表面から(原子スケールで)間隔を置かれ、したがって、粒子を包囲する反応媒体の中に延びていることができるかどうかに応じて、大幅に変動し得、これは、基の化学反応のためによりはるかに好ましい環境である。一般に、2つの官能基間の直鎖内に少なくとも3個の原子があることが好ましい。例えば、前述のメタクリル酸3(トリメトキシシリル)プロピルは、シリルとエチレン不飽和基との間に4個の炭素および1個の酸素原子の鎖を提供する一方、前述の4-ビニルアニリンは、およそ3個の炭素鎖長と等しいベンゼン環の全幅によって、アミノ基(または、実際の反応型において、ジアゾニウム基)をビニル基から分離する。
【0049】
上で説明されるプロセスのいずれかでは、使用される試薬の数量(例えば、有機コア顔料粒子、金属酸化物層材料、およびポリマー安定化層を形成するための材料)は、結果として生じるコアシェル粒子内の所望の有機含有量を達成するために、調節および制御され得る。さらに、本発明のプロセスは、2つ以上の段階および/または2つ以上のタイプの重合を含み得る。
【0050】
上で述べたように、本発明の種々の実施形態に従って作製される粒子は、カプセル化流体中で分散させられる。カプセル化流体と高度に相溶性があるポリマー安定化層が、望ましい。実践では、電気泳動媒体中の懸濁流体が、通常、炭化水素ベースであるが、流体は、ある割合のハロカーボンを含み得、それは、流体の密度を増加させるために使用され、したがって、流体の密度と粒子の密度との間の差異を減少させる。故に、本プロセスで形成されるポリマー安定化層は、カプセル化流体と高度に相溶性があることが重要であり、したがって、ポリマー安定化層自体が、下で議論されるように、帯電させる目的のために提供される基を除き、主要な割合の炭化水素鎖を備え、多くの強イオン基は、それらが炭化水素懸濁流体中のポリマー安定化層の材料の可溶性を低下させるので、望ましくなく、したがって、粒子分散の安定性に悪影響を及ぼす。すでに議論されたように、少なくとも粒子が使用されるべき媒体が脂肪族炭化水素懸濁流体を備えているとき(一般的な場合のように)、主鎖および主鎖から離れるように延びている複数の側鎖を伴う分岐または「コーム」構造を有することは、ポリマー安定化層の材料のために有利である。これらの側鎖の各々は、少なくとも約4個、好ましくは、少なくとも約6個の炭素原子を有するべきである。実質的により長い側鎖は、有利であり得、例えば、ポリマー安定化層の好ましい材料のうちのいくつかは、ラウリル(C12)側鎖を有し得る。側鎖は、それ自体が分岐させられ得、例えば、各側鎖は、2-エチルヘキシル基等の分岐アルキル基であり得る。炭化水素ベースの懸濁流体のための炭化水素鎖の高親和性により、ポリマー安定化層の材料の枝が、大量の液体を通して、ブラシまたは樹状構造で互いに広がり、したがって、(本発明は、いかようにもこの考えによって限定されないが、)懸濁流体のための粒子の親和性および粒子分散の安定性を増加させると考えられる。
【0051】
そのようなコームポリマーを形成するための2つの基本アプローチがある。第1のアプローチは、モノマーを使用することであり、それは、本質的に、必要な側鎖を提供する。典型的に、そのようなモノマーは、長鎖の一端に単一重合性基(少なくとも4個、好ましくは、少なくとも6個の炭素原子)を有する。本プロセスで良好な結果を与えることが見出されているこのタイプのモノマーは、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、およびラウリルメタクリル酸を含む。メタクリル酸イソブチルおよび2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルアクリル酸ブチルも、使用に成功している。ある場合、そのようなプロセスにおいて形成される側鎖の数を制限することが望ましく、それは、反復ユニットのうちのいくつかのみが長側鎖を持つランダムコポリマーを形成するために、モノマーの混合物(例えば、ラウリルメタクリル酸とメチルメタクリル酸との混合物)を使用することによって達成されることができる。RGP-ATRPプロセスによって代表される、第2のアプローチでは、第1の重合反応が、モノマーの混合物を使用して行われ、これらのモノマーのうちの少なくとも1つは、開始基を持ち、したがって、そのような開始基を含む第1のポリマーを生産する。この第1の重合反応の生産物は、次いで、典型的に、第1の重合と異なる条件下で第2の重合を受け、元のポリマー上に追加のモノマーの重合を生じさせるように、ポリマー内で開始基を生じさせ、それによって、所望の側鎖を形成する。上で議論される二官能性試薬と同様、我々は、開始基のいくつかの化学修正が、2つの重合間でもたらされ得る可能性を除外しない。そのようなプロセスでは、側鎖自体が、著しく分岐させられる必要はなく、小モノマー、例えば、メチルメタクリル酸から形成されることができる。
【0052】
粒子に付着させられたエチレンまたは類似ラジカル重合性基の自由ラジカル重合は、アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)等の従来の自由ラジカル開始剤を使用して、高い反応温度、好ましくは、60~70℃でもたらされ得る一方、ATRP重合は、Wang,J. S.,et al.,Macromolecules 1995,23,7901およびJ. Am. Chem. Soc.1995,117,5614、およびBeers,K. et al.,Macromolecules 1999,32,5772-5776で説明されるように、従来の金属錯体化を使用して、もたらされ得る。米国特許第5,763,548号、第5,789,487号、第5,807,937号、第5,945,491号、第4,986,015号、第6,069,205号、第6,071,980号、第6,111,022号、第6,121,371号、第6,124,411号、第6,137,012号、第6,153,705号、第6,162,882号、第6,191,225号、および第6,197,883号も参照されたい。これらの文書および特許の開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。ATRPを実行するための現在の好ましい触媒は、ビピリジル(Bpy)の存在下における塩化第一銅である。
【0053】
重合性基を持つ粒子が開始剤の存在下でモノマーと反応させられる本発明のRGPプロセスは、反応混合物内のモノマーが重合化されるので、粒子に付着させられていない「遊離」ポリマーのいくつかの形成を不可避的に生じさせる。付着させられていないポリマーは、その中で付着させられていないポリマーが可溶性である溶媒(典型的に、炭化水素)を用いた粒子の反復洗浄によって、または(溶媒または希釈剤の以前の添加の有無にかかわらず)反応混合物から(少なくとも金属酸化物または他の高密度粒子の場合)処理される粒子を遠心分離して離すことによって、除去され、新鮮な溶媒中に粒子を再分散させ、付着させられていないポリマーの割合が、容認可能レベルまで低減させられるまで、これらのステップを繰り返し得る。(付着させられていないポリマーの割合の減少の後、ポリマーのサンプルの熱重量分析が続き得る。)実験的に、約1パーセント/重量の少ない割合の付着させられていないポリマーの存在は、処理される粒子の電気泳動性質に任意の深刻な有害な効果を及ぼすように現れず、実際、ある場合、付着させられていないポリマーおよび懸濁流体の化学性質に応じて、電気泳動ディスプレイ内の粒子を使用する前、ポリマー安定化層に付着した粒子を付着させられていないポリマーから分離する必要はないであろう。
【0054】
電気泳動粒子上に形成されるべきポリマー安定化層の量に関する最適範囲があり、粒子上に過剰な量のポリマーを形成することは、その電気泳動特性を劣化させ得ることが、見出されている。最適範囲は、コーティングされている粒子の密度およびサイズと、粒子が使用されることが意図される懸濁化剤の性質と、粒子上に形成されるポリマーの性質とを含むいくつかの要因に伴って変動し、任意の具体的粒子、ポリマー、および懸濁化剤に関して、最適範囲は、実験的に最良に決定される。しかしながら、一般的指針として、粒子が高密度になるほど、粒子の重量比のポリマーの最適割合はより低くなり、粒子がより微細に分割されるほど、ポリマーの最適割合はより高くなることに留意されたい。一般に、粒子は、少なくとも約2、望ましくは、少なくとも約4パーセント重量比の粒子でコーティングされるべきである。ほとんどの場合、ポリマーの最適割合は、重量比約4~約15パーセントの粒子に及び、典型的に、重量比約6~約15パーセント、最も望ましくは、重量比約8~約12パーセントであろう。
【0055】
顔料粒子の荷電発生のための官能基を組み込むために、共モノマーが、重合反応媒体に添加され得る。共モノマーは、所望の電荷極性および電荷密度をコアシェル粒子にもたらすために、コアシェル粒子を直接荷電させるか、またはディスプレイ流体中の電荷制御剤と相互作用するかのいずれかであり得る。好適な共モノマーは、ビニルベンジルアミノエチルアミノ-プロピル-トリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルリン酸、スルホン酸2-アシルアミノ2-メチルプロパン、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミド等を含み得る。好適な共モノマーは、アクリル酸2-パーフルオロブチルエチル、メタクリル酸2,2,2トリフルオロエチル、メタクリル酸2,2,3,3テトラフルオロプロピル、アクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、メタクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、アクリル酸2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、アクリル酸2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、2,2,3,4,4,4-メタクリル酸ヘキサフルオロブチル、またはメタクリル酸2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル等のフッ素化アクリレート、またはメタクリル酸も含み得る。代替として、荷電または荷電可能基は、重合性または開始官能性を顔料に提供するために使用される二官能性安定剤を介して、ポリマーに組み込まれ得る。
【0056】
酸性または塩基性基等の官能基は、重合中、「閉塞」形態で提供され得、次いで、ポリマーの形成後、脱閉塞され得る。例えば、ATRPが酸の存在下で開始されることができないので、ポリマー内に酸性基を提供することが所望される場合、アクリル酸t-ブチルまたはメタクリル酸イソボルニル等のエステルが、使用され得、最終ポリマー内のこれらのモノマーの残留基が、アクリルまたはメタクリル酸残留基を提供するために、加水分解される。
【0057】
顔料粒子上に荷電または荷電可能基を生産し、ポリマー安定化層が粒子に別個に付着させられることも所望されるとき、2つの試薬の混合物を用いて粒子を処理する(金属酸化物コーティング後)ことが、非常に便宜的であり得、2つの試薬うちの一方が、荷電または荷電可能基(または、最終的に、所望の荷電または荷電可能基を生産するために処理されるであろう基)を伴い、もう一方が重合性または重合開始基を伴う。望ましくは、2つの試薬は、反応条件においてわずかな変動が、生じる場合、試薬が粒子と反応する相対的率が、同様に変化し得るように、粒子表面と反応する、同一または本質的に同一である官能基を有し、荷電または荷電可能基の数と、重合性または重合開始基の数との間の比率は、実質的に一定のままであろう。この比率は、混合物で使用される2つ(または、それを上回る)試薬の相対的モル量を変動させることによって、変動および制御されることができることを理解されたい。重合性または重合開始基ではないが、荷電可能場所を提供する試薬の例は、3-(トリメトキシシリル)プロピルアミン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル)ジエチレントリアミン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル)エチレン、および1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル)尿素を含む。全てのこれらのシラン試薬は、United Chemical Technologies,Inc.,Bristol,Pa.,19007から購入され得る。すでに述べられたように、荷電または荷電可能基ではないが、重合性基を提供する試薬の例は、メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピルである。
【0058】
本発明のコアシェル粒子は、電気泳動分野において有用である。まず、粒子のシェルは、表面性質と、有機顔料粒子荷電との修正および制御を可能にする。したがって、媒体中の異なるタイプの電気泳動粒子は、異なるシラン処理を使用して、表面修正され得、それは、効果的分離、結果として、改良された電気光学系性能に寄与し得る。金属酸化物層は、シラン層の粒子表面上への共有結合付着を可能にする。ヒドロキシル等の官能基を備え得る無機顔料(それらの表面上に付着させられるべき有機種のために反応性アンカを提供する)と対照的に、大部分の有機顔料は、典型的試薬の官能基と容易に反応し得る官能基を含まない。したがって、金属酸化物の層を有機顔料粒子表面上に沈殿させることによって、後続シラン層は、粒子の表面上に強く付着させられ、表面から脱着され得る可能性は低く、処理の有効性を増加させる。同一のことが、ポリマー安定化層を含む表面処理に関して当てはまる。この層は、それが粒子集合に対して保護するので、粒子分散の安定性に寄与する。顔料粒子表面上のポリマー付着によって生じた立体効果は、粒子が集合することを防止する。粒子表面からのポリマーのより少ない脱着が、より強い付着とともに観察されるので、付着が強くなればなるほど、安定化はより効果的になる。したがって、ポリマーの粒子表面への共有結合の場合、より効果的粒子安定化および改良された電気光学系性能が、典型的に、観察される。
【0059】
コアシェル粒子のシェルが形成されるプロセスは、改良された電気光学系性能にも寄与する。典型的に、金属酸化物層が、金属酸化物前駆体の有機溶媒中の試薬との反応によって作成された金属酸化物の沈殿によって形成される。発生させられた金属酸化物が、溶媒内に存在する顔料粒子の表面上に沈殿する。液相プロセスは、金属酸化物の非均一コーティングをもたらし、それは、より完全な表面被覆率のために、より大量の金属酸化物が要求されることを意味する。対照的に、本明細書に開示されるプロセスは、流動層反応器を使用して、金属酸化物前駆体の気体流、次いで、試薬の気体流が、より薄い厚さを有する均一金属酸化物層の潜在的形成を可能にする。これは、より厚い金属酸化物層が、有機顔料粒子およびより少ない飽和色の出現によって、最適光吸収を妨害するであろうシェル上のより高い光反射につながり得るので、コアシェル粒子のより良好な光学性能になる。不活性ガス中の金属酸化物前駆体の気体流は、有機顔料粒子の表面上の金属酸化物前駆体の錯体化(または吸着)を可能にする。本プロセスは、有機顔料粒子上の大幅な過剰の前駆体の存在に有利に働かず、それは、より均一および薄い金属酸化物層につながる。
【0060】
本発明の一側面によると、金属酸化物層を備えている有機顔料粒子が、上で説明されるように、流動層反応器を使用して製造され得る。有機顔料粒子は、粉体層として反応器の中に挿入され、有機顔料粒子および金属前駆体の混合物を形成するように、金属酸化物の前駆体および不活性ガスを備えている気体流と接触させられる。金属酸化物前駆体は、有機顔料粒子表面上に錯体化され、次いで、試薬と反応させられ得、金属酸化物コーティングを有機顔料粒子の表面上に提供する。方法は、連続またはバッチプロセスにおいて生じ得る。
【0061】
コアシェル粒子上のポリマー安定化層の量が、制御され得る。過剰量のポリマーを粒子上に形成することは、それらの電気泳動特性を劣化させ得る。最適範囲は、有機顔料の密度およびサイズ、金属酸化物層の密度および厚さ、電気泳動媒体の非極性流体の性質、およびポリマー安定化層の材料の性質を含む、いくつかの要因に伴って変動するであろう。粒子が高密度になるほど、コアシェルの粒子の重量比のポリマー安定化層の最適割合が低くなることが見出された。加えて、分割される有機顔料コアがより微細になるほど、ポリマー安定化層の最適割合は高くなるであろう。ポリマー安定化層は、コアシェル粒子の重量比1~50重量パーセント、または2~30重量パーセント、または4~20、または5~15重量パーセントであり得る。
【0062】
コアシェル粒子を備えている本発明の電気泳動媒体は、電気泳動デバイスを形成するために使用されることができる。電気泳動デバイスは、電気泳動媒体を備えている電気光学系材料層を備えている電気泳動ディスプレイであり得、電気泳動媒体は、マイクロカプセルまたはマイクロセル内でカプセル化され得る。そのような電気泳動デバイス200の例が、
図2に図示される。この例では、電気泳動デバイスは、電気泳動媒体220を備えている電気光学系材料層225を備え、電気泳動媒体220は、マイクロカプセル250内でカプセル化されている。電気泳動デバイスは、第1の光透過性電極層210と、第2の電極層240とも備えている。第2の電極層240は、接着剤層230によって、電気光学系材料層に接着させられる。電気泳動デバイスは、第1の光透過性層210を電気光学系材料層225に接着させるために使用される第2の接着剤層(
図2に示されない)を備え得る。電気光学系材料層225は、マイクロカプセル250に加え、結合剤222を備え得る。
図2の例では、電気泳動媒体220は、非極性流体中に2つのタイプの粒子を備えている。1つ以上のタイプの粒子は、有機顔料コアと、金属酸化物層およびシラン層を備えているシェルとを備えているコアシェルであり得る。粒子は、マイクロカプセル250を横断する電場の印加に伴って移動させられ得る。
【0063】
本発明の電気泳動媒体は、フロントプレーン積層および二重剥離シート等の電気泳動アセンブリを形成するために、使用されることができる。
図3に図示されるように、いくつかの実施形態では、フロントプレーン積層300が、光透過性電極層310と、電気光学系材料層325と、剥離シート360とを備えている。剥離シート360は、接着剤層330によって、電気光学系材料層325に接着させられる。電気光学系材料層325は、マイクロカプセル350に加え、結合剤322を備え得る。
図3の例では、電気泳動媒体320は、非極性流体中に2つのタイプの粒子を備えている。1つ以上のタイプの粒子は、有機顔料コアと、金属酸化物層およびシラン層を備えているシェルとを備えているコアシェルであり得る。剥離シート360の除去と、電極層を備えているバックプレーンを接着剤層330を介して、電気光学系材料層325の露出表面上に接続することとは、電気泳動デバイスの形成をもたらす。
【0064】
別の実施形態では、
図4に図示されるように、二重剥離シート400が、2つの接着剤層(475および485)と、2つの剥離シート(470および480)とを備えている。具体的に、この例では、第1の剥離シート470が、第1の接着剤層475を使用して、電気光学系材料層425に付着させられている。第2の剥離シート480が、第2の接着剤層485を使用して、電気光学系材料層425に付着させられている。
図4の例では、電気泳動媒体420は、非極性流体中に2つのタイプの粒子を備えている。1つ以上のタイプの粒子は、有機顔料コアと、金属酸化物層およびシラン層を備えているシェルとを備えているコアシェルであり得る。剥離シート470の除去と、第1の光透過性電極層を接着剤層475を介して、電気光学系材料層425の露出表面上に接続することと、剥離シート480の除去と、第2の電極を備えているバックプレーンを電気光学系材料層425の他側の露出表面上に接続することとは、電気泳動デバイスの形成をもたらす。
【0065】
別の実施形態では、本発明の電気泳動媒体は、電気光学系アセンブリを形成するために使用されることができ、電気光学系アセンブリは、反転フロントプレーン積層である。反転フロントプレーン積層は、順に、(i)第1の電極層と、(ii)第1の接着剤層と、(iii)電気光学系材料層を備えているカプセル化電気泳動媒体と、(iv)剥離シートとを備えている。反転フロントプレーン積層はまた、電気光学系材料層と電気光学系材料層との間に第2の接着剤層を備え得る。反転フロントプレーン積層は、剥離シートを除去することと、第2の電極層を露出電気光学系材料層上に(または第2の接着剤層上に)接続することとによって、電気光学系デバイスに変換されることができる。
【0066】
本発明の電気泳動デバイスの電気泳動媒体または電気泳動アセンブリは、複数の少なくとも1つのタイプの開示されるコアシェル粒子を備えている。電気泳動媒体は、複数の別のタイプのコアシェル粒子または異なるタイプの荷電電気泳動粒子をさらに備え得る。電気泳動媒体はまた、3つ以上のタイプのコアシェル粒子または他のタイプの荷電電気泳動粒子を備え得る。異なるタイプのコアシェル粒子は、異なる色を有し得る。
【0067】
その中で電気泳動粒子が分散させられる、非極性流体は、透明および無色であり得る。これは、好ましくは、高粒子移動度に関して、約2~約30、好ましくは、約2~約15の範囲内の誘電率を有する。好適な誘電溶媒の例は、炭化水素、例えば、アイソパー、デカヒドロナフタレン(DECALIN)、5-エチリデン-2-ノルボルネン、脂肪油、パラフィン油、シリコン流体、芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、フェニルキシリルエタン、ドデシルベンゼン、またはアルキルナフタレン、ハロゲン化溶媒、例えば、ペルフルオロデカリン、パーフルオロトルエン、パーフルオロキシレン、ジクロロベンゾトリフルオリド、3,4,5-トリクロロベンゾトリフルオリド、クロロペンタフルオロベンゼン、ジクロロノナン、またはペンタクロロベンゼン、および全フッ素置換された溶媒、例えば、FC-43、FC-70、またはFC-5060(3M Company,St. Paul MN)、低分子量ハロゲン化重合体、例えば、ポリ(酸化パーフルオロプロピレン)(TCI America,Portland,Oregon)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、例えば、ハロカーボン油(Halocarbon Product Corp.,River Edge,NJ)、パーフルオロポリアルキルエーテル、例えば、 Galden(Ausimont or Krytox Oils and Greases K-Fluid Series from DuPont,Delaware)、ポリジメチルシロキサンベースのシリコーン油(Dow-corning(DC-200))を含む。
【0068】
非極性流体中の電気泳動粒子の含有量は、変動し得る。例えば、あるタイプの粒子は、最大0.1%~50%、好ましくは、0.5%~15%の非極性流体の体積を占め得る。(実施例)
【0069】
本発明の実施例が、下記に説明される。本発明は、実施例に限定されない。
【0070】
(実施例1)
【0071】
(金属酸化物層を伴う顔料赤色122粒子):151.2gの量の顔料赤色122粉末(インクジェットマゼンタ色E 02としてClariant(Basel,Switzerland)によって供給されるキナクリドン顔料)が、流動層反応器の中に装填され、それは、窒素流中のトリメトキシアルミニウム、次いで、水/窒素流を給送された。結果として生じる粒子が、約1nmの厚さの酸化アルミニウム層を有する顔料赤色122粒子を提供するために乾燥させられた。
【0072】
(実施例2)
【0073】
(金属酸化物層およびシラン層を伴う顔料赤色122粒子):100mLのプラスチック瓶の中に、(a)実施例1からの金属酸化物層を伴う10.0gの顔料赤色122粒子、(b)40gのエタノール、(c)0.5gの脱イオン化水、および(d)100gのジルコニアビーズ(1.7~2.4mm)が、添加された。この混合物は、ロールミル上に設置され、約16時間にわたって、混合された。次いで、分散物が、200ミクロンメッシュを通して、丸底フラスコの中に濾過された。これは、サンプルAである。
【0074】
別個の100mLプラスチック瓶の中に、メタノール中の7.1gの40重量%溶液のビニルベンジルアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン(Dowによって、Xiameter OFS-6032 silaneとして供給される)と、1.6gの脱イオン化水と、0.6gの氷酢酸とが、添加された。この混合物は、1時間にわたってロールミル上に設置された。これが、サンプルBである。
【0075】
サンプルBは、次いで、サンプルAを含むフラスコの中に添加された。混合物のpHは、水酸化アンモニウムの0.1M溶液を使用して、9に調節された。結果として生じる分散物が、60分にわたって頭上式のミキサを使用して、室温で攪拌され、30gのエタノールが、フラスコの中に添加された。結果として生じる混合物が、30分にわたって5,000rpmで遠心分離された。上澄が、静かにデカンタに移され、残りの材料が、真空オーブンを使用して、70℃で一晩、乾燥させられた。これが、サンプルCである。
【0076】
(実施例3)
【0077】
(金属酸化物層、シラン層、およびポリマー安定化層を伴うコアシェル粒子):250mLプラスチック瓶の中に、(a)実施例2からの10gのサンプルC粒子と、(b)72.5gのトルエンと、(c)13.3gのメタクリル酸ラウリル(LMA)とが、添加された。分散物は、1時間にわたって、12,000rpmでIKA Ultra Turraxミキサを使用して、混合された。次いで、分散物は、丸底フラスコの中に輸送され、それは、窒素で浄化され、65℃まで加熱された。65℃までの1時間の加熱後、4.2gのトルエン中に0.2gの2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)を備えている開始剤溶液が、フラスコの中に急速に注入され、反応は、16時間にわたって継続することを可能にされた。結果として生じる分散物が、1-Lプラスチック瓶内に収集され、30分にわたって4,500rpmで遠心分離された。上澄は、処分された。残りの材料は、200mLのトルエンと混合され、上澄が、処分された。トルエンを用いたすすぎ、上澄の遠心分離、および除去は、再度実施された。次いで、残りの材料は、一晩、70℃真空オーブン内で収集および乾燥させられた。結果として生じる固体粒子が、サンプルDである。
【0078】
(実施例4)
【0079】
(電気泳動媒体):100mLコンテナの中に、(a)サンプルDからの8.65gの粒子と、(b)36.9gのイソパラフィン炭化水素溶媒(ExxonMobilによって供給される、Isopar E)と、(c)2.47gの70重量%溶液のCCA041とが、添加された。この混合物は、90分にわたって超音波で分解され、次いで、1時間にわたって、ロールミル内で混合された。超音波処理および混合が、10回、繰り返された。次いで、分散物は、200ミクロンメッシュを通して、濾過された。
【0080】
(実施例5)
【0081】
(金属酸化物層およびシラン層を伴う顔料赤色122粒子):100mLプラスチック瓶の中に、(a)実施例1からの金属酸化物層を伴う10.0gの顔料赤色122粒子と、(b)40gのエタノールと、(c)0.5gの脱イオン化水と、(d)100gのジルコニアビーズ(1.7~2.4mm)とが、添加された。この混合物は、ロールミル上に設置され、約16時間にわたって混合された。次いで、分散物は、200ミクロンメッシュを通して、丸底フラスコの中に濾過された。これが、サンプルEである。
【0082】
別個の100mLプラスチック瓶の中に、4.7gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(DowによってXiameter OFS-6030シランとして供給される)と、1.6gの脱イオン化水と、0.6gの氷酢酸とが、添加された。この混合物は、1時間にわたってロールミル上で掻き混ぜられた。これが、サンプルFである。
【0083】
サンプルFは、次いで、サンプルEを含むフラスコの中に添加された。混合物のpHは、0.1M溶液の水酸化アンモニウムを使用して、9に調節された。結果として生じる分散物が、60分にわたって頭上式のミキサを使用して、室温で攪拌され、30gのエタノールが、フラスコの中に添加された。結果として生じる混合物が、30分にわたって5,000rpmで遠心分離された。上澄が、静かにデカンタに移され、残りの材料が、真空オーブンを使用して、70℃で一晩、乾燥させられた。これが、サンプルGである。
【0084】
(実施例6)
【0085】
(電気泳動媒体):100mLコンテナの中に、(a)サンプルGからの8.65gの粒子と、(b)36.9gのイソパラフィン炭化水素溶媒(ExxonMobilによって供給される、Isopar E)と、(c)2.47gの70重量%溶液のCCA041とが、添加された。この混合物は、90分にわたって超音波で分解され、次いで、1時間にわたって、ロールミル内で混合された。超音波処理および混合は、10回、繰り返された。次いで、分散物は、200ミクロンメッシュを通して、濾過された。
【0086】
(実施例7)
【0087】
顔料赤色122の対照サンプル(インクジェットマゼンタ色E02としてClariant(Basel,Switzerland)によって供給される)が、米国特許出願2014/0340430号(実施例1)に説明されるように、塩化ビニルベンジルおよびメタクリル酸ラウリルポリマーを用いて修正された。
【0088】
(熱重量分析):シラン-ポリマー付着の範囲が、熱重量分析(TGA)を使用して、査定された。115~365℃の温度範囲にわたって、13.6%の相対的質量損失が、実施例3のサンプルDに関して観察され、実施例5のサンプルGに関して11.0%であった。対照的に、ちょうど3.6%の質量損失が、未修飾顔料赤色122インクジェットマゼンタ色E02のための同一温度範囲にわたって観察された。これらの結果は、シランおよびポリマーが、顔料表面の結合に成功することを示す。
【0089】
(ゼータ電位測定):顔料サンプルのゼータ電位値が、Isopar EおよびColloidal Dynamics ZetaProbにおける、電荷制御剤の標準的溶液を使用して、Isopar E内の対応する顔料分散の滴定によって測定された。
【0090】
実施例3(サンプルD)、実施例5(サンプルG)、および実施例7(制御)からの顔料粒子に関するゼータ電位測定の結果が、
図5のグラフ内に提供される。
図5のデータは、実施例3で調製される酸化アルミニウム-ビニルベンジルアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン-メタクリル酸ラウリルと官能化される顔料122が、105mVのゼータ電位プラトーを有することを示す。実施例6で調製される酸化アルミニウム-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン-メタクリル酸ラウリルと官能化される顔料122は、約8mVのゼータ電位プラトーを有する。これは、ゼータ電位が、官能性材料への体系的変化に伴って、金属酸化物層を備えている顔料に関して、広範囲にわたって調整され得ることを実証する。対照的に、塩化ビニルベンジル-メタクリル酸ラウリル(金属酸化物層を伴わない)と官能化される顔料赤色122のゼータ電位は、約50mVにおいてプラトーを有する。
【0091】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され、説明されたが、そのような実施形態は、実施例のみとして提供されることを理解されたい。多数の変形例、変化、および代用は、本発明の精神から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。故に、添付の請求項は、本発明の精神および範囲内にあるような全てのそのような変形例を網羅することが意図される。
【0092】
前述の特許および出願の内容物の全ては、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる。
【外国語明細書】