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特開2024-149844毛髪のつやを出す方法及び毛髪のつやを出す方法を実施する際に用いる手袋
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  • 特開-毛髪のつやを出す方法及び毛髪のつやを出す方法を実施する際に用いる手袋 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149844
(43)【公開日】2024-10-21
(54)【発明の名称】毛髪のつやを出す方法及び毛髪のつやを出す方法を実施する際に用いる手袋
(51)【国際特許分類】
   A45D 19/02 20060101AFI20241011BHJP
   A41D 19/015 20060101ALI20241011BHJP
   A41D 19/00 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
A45D19/02 A
A41D19/015 610Z
A41D19/00 Q
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058686
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】523121314
【氏名又は名称】今村 昌次
(74)【代理人】
【識別番号】110002114
【氏名又は名称】弁理士法人河野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100128624
【弁理士】
【氏名又は名称】穂坂 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138483
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 晃一
(72)【発明者】
【氏名】今村 昌次
【テーマコード(参考)】
3B033
3B040
【Fターム(参考)】
3B033AA27
3B033AB02
3B033AB15
3B033AB18
3B033AC06
3B040AA00
(57)【要約】
【課題】
毛髪の太さを計測する簡易な方法を提供し、毛髪のつやを得る方法であって毛髪の太さに応じた適切な方法を提供することを課題とする。また、毛髪のつやを得るために用いる用具を提供することを課題とする。
【解決手段】
一束の毛髪を研磨紙で挟むステップと、前記研磨紙で挟んだ毛髪を毛先に向けて研磨するステップと、を備えた毛髪のつやを出す方法によって課題を解決する。
手指に研磨紙を配備した手袋であって、また、手指に研磨紙を配備した手袋であって、一束の毛髪を前記研磨紙で挟むステップと、研磨紙で挟んだ毛髪を毛先に向けて研磨するステップと、を備えた毛髪のつやを出す方法で用いる手袋によって課題を解決する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一束の毛髪に研磨紙をあてがうステップと、
前記研磨紙を毛髪の毛先に向けて擦り動かして毛髪を研磨するステップと、
を備えた毛髪のつやを出す方法。
【請求項2】
一束の毛髪を研磨紙で挟むステップと、
前記研磨紙で挟んだ毛髪を毛先に向けて研磨するステップと、
を備えた毛髪のつやを出す方法。
【請求項3】
研磨紙で挟んだ毛髪を毛髪の根元から毛先に向けて一方向に研磨することを特徴とする請求項2に記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項4】
毛髪の根元付近おける直径に応じて選択された研磨紙を用いて行う請求項2に記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項5】
先に行った研磨に引き続いて行う後の研磨であって
先に行った研磨で用いた研磨紙よりも目の細かい研磨紙を用いて研磨するステップを備えた請求項2に記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項6】
研磨材がダイヤモンドで成る研磨紙を用いて行う請求項2に記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項7】
研磨する者の手指に研磨紙を配備して行う請求項1から請求項6のいずれかに記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項8】
手指が挿入される位置の手袋の指袋表面に研磨紙を配備した手袋を用いて行う請求項7に記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項9】
手指が挿入される位置の手袋の指袋表面に研磨紙が配備された手袋を装着した研磨者が一束の毛髪の根元付近を前記研磨紙で挟むステップと、
前記研磨者が前記一束の毛髪を毛髪の根元付近から毛先に向けて一方向に研磨するステップとを備えた毛髪のつやを出す方法であって、
前記研磨紙には被研磨者の毛髪の根元の直径に応じて選択された研磨紙が用いられ、
前記研磨紙にはダイヤモンドで成る研磨材が用いられる毛髪のつやを出す方法。
【請求項10】
手指が挿入される位置の手袋の指袋表面に研磨紙が配備された手袋であって、
一束の毛髪を研磨紙で挟むステップと、
前記研磨紙で挟んだ毛髪を毛先に向けて研磨するステップと、
を備えた毛髪のつやを出す方法を実施する際に用いる手袋。
【請求項11】
手指が挿入される位置の手袋の指袋表面であって、
装着した際に装着者の二本の手指の腹が合わさる位置のそれぞれに、2000番手~8000番手の研磨紙が取り付けられた手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
毛髪のつやを得るための方法、及び毛髪のつやを得るための方法を実施する際に用いる用具に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、毛髪のつやを得るための様々な手段が開発されてきた。特許文献1には、平均粒径0.2μm以上1μm未満の水不溶性ポリマー微粒子等を毛髪キューティクルのエッヂ部分に選択的に吸着させることを特徴とする毛髪の光沢付与方法が記載されている。特許文献1に記載の発明のように、キューティクルのエッヂ部分を吸着させて毛髪の光沢を得る発明は他にも多く見られる。
【0003】
また、特許文献2には、被施術者の毛髪のうち根元より上側部分の毛髪を施術容器に挿入し、施術容器に毛髪を挿入した状態で、容器の挿入口を封止して毛髪の挿入部分を密閉し、さらに、容器内の密閉室を真空状態に減圧して毛髪表面のキューティクルの隙間から老廃物を吸い出し、その後、密閉室の真空状態を開放して容器内に毛髪修復剤を供給し、毛髪表面のキューティクルの隙間から毛髪内部に毛髪修復剤を浸透させる発明が記載されている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の発明または特許文献2に記載の発明は、いずれも薬剤を用いるものであり、薬剤が身体に合わない者を対象とできない、あるいは作業が煩雑にならざるを得ないという問題等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-67622
【特許文献2】特開2014-181186
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
毛髪のつやを得るための方法を提供することを課題とする。毛髪の太さを計測する簡易な方法を提供し、毛髪のつやを得る方法であって毛髪の太さに応じた適切な方法を提供することを課題とする。さらに、係る方法であって、美容院等で行うことができる方法を提供することを課題にする。
【0007】
毛髪のつやを得るために用いる用具を提供することを課題とする。毛髪のつやを得るための用具であって毛髪を痛めることなく簡易に用いることのできる用具を提供することを課題とする。さらに、係る用具であって、美容院等で用いることができる用具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)一束の毛髪に研磨紙をあてがうステップと、前記研磨紙を毛髪の毛先に向けて擦り動かして毛髪を研磨するステップと、を備えた毛髪のつやを出す方法によって課題を解決する。
(2)一束の毛髪を研磨紙で挟むステップと、前記研磨紙で挟んだ毛髪を毛先に向けて研磨するステップと、を備えた毛髪のつやを出す方法によって課題を解決する。
(3)研磨紙で挟んだ毛髪を毛髪の根元から毛先に向けて一方向に研磨することを特徴とする(2)に記載の毛髪のつやを出す方法によって課題を解決する。
(4)毛髪の根元付近おける直径に応じて選択された研磨紙を用いて行う(2)に記載の毛髪のつやを出す方法によって課題を解決する。
(5)先に行った研磨に引き続いて行う後の研磨であって先に行った研磨で用いた研磨紙よりも目の細かい研磨紙を用いて研磨するステップを備えた請求項2に記載の毛髪のつやを出す方法によって課題を解決する。
(6)研磨材がダイヤモンドで成る研磨紙を用いて行う(2)に記載の毛髪のつやを出す方法によって課題を解決する。
(7)研磨する者の手指に研磨紙を配備して行う(1)から(6)のいずれかに記載の毛髪のつやを出す方法によって課題を解決する。
(8)手指が挿入される位置の手袋の指袋表面に研磨紙を配備した手袋を用いて行う(7)に記載の毛髪のつやを出す方法によって課題を解決する。
(9)手指が挿入される位置の手袋の指袋表面に研磨紙が配備された手袋を装着した研磨者が一束の毛髪の根元付近を前記研磨紙で挟むステップと、前記研磨者が前記一束の毛髪を毛髪の根元付近から毛先に向けて一方向に研磨するステップとを備えた毛髪のつやを出す方法であって、前記研磨紙には被研磨者の毛髪の根元の直径に応じて選択された研磨紙が用いられ、前記研磨紙にはダイヤモンドで成る研磨材が用いられる毛髪のつやを出す方法によって課題を解決する。
(10)手指が挿入される位置の手袋の指袋表面に研磨紙が配備された手袋であって、一束の毛髪を研磨紙で挟むステップと、前記研磨紙で挟んだ毛髪を毛先に向けて研磨するステップと、を備えた毛髪のつやを出す方法を実施する際に用いる手袋によって課題を解決する。
(11)手指が挿入される位置の手袋の指袋表面であって、装着した際に装着者の二本の手指の腹が合わさる位置のそれぞれに、2000~8000番手の研磨紙が取り付けられた手袋によって課題を解決する。
【0009】
毛髪を研磨紙で研磨するにあたり、一枚の研磨紙で研磨してもよく、二枚の研磨紙で毛束を挟んで研磨してもよい。二枚の研磨紙で毛束を挟んで研磨することにより、毛髪を効率よく研磨することができる。
【0010】
毛髪の毛束を作って毛束を研磨紙で挟み、髪の根元から毛先に向けて一方向に研磨することにより、毛髪の表面の凹凸を取り除きつつ毛髪の流れを揃えることができる。毛髪の流れを揃えることにより毛髪のつやを得ることができる。
【0011】
毛髪の研磨を、毛髪の太さに応じた適切な研磨紙を用いて行うことにより、毛髪を傷めることなく、かつ、毛髪の表面の凹凸を充分に取り除くことができる。
まず目の粗い研磨紙(例えば2000~3000番手)で研磨し、その後に目の細かい研磨紙で研磨する、といったように複数種類の研磨紙を用いることもできる。これにより一層良好なつやを出すことができる。
【0012】
研磨の作業者の手指に研磨紙を配備する手段は、研磨紙を取り付けた指サックを指にはめることでもかまわない。研磨紙を取り付けた指サックを指にはめる場合、指サックを回転させることにより指に対する研磨紙の位置の調節ができる。また、指サックを嵌める指を自在に変更できる。また、研磨の作業者の手指に研磨紙を配備する手段は、研磨の作業者の手指に、研磨紙を直接貼りつけることでもかまわない。
【0013】
毛髪の研磨に用いる用具として、例えば研磨紙と手袋をセットにして販売することができる。研磨の作業者は、手袋の手指のいずれの場所に研磨紙を貼りつけるのが研磨に適しているかを判断し、手袋の好みの場所に研磨紙を貼りつけることができる。研磨紙と手袋のセットに、毛髪の太さを測るためのマイクロメータを加えて販売することもできる。毛髪の太さを測る装置を加えたセットとすることにより、毛髪の太さを計測し、毛髪の太さに適応した研磨紙を用いることができる。
【発明の効果】
【0014】
毛髪のつやを得る方法であって毛髪の太さに応じた適切な方法を得ることができる。さらに、係る方法であって、美容院等で行うことができる方法を得ることができる。
【0015】
毛髪のつやを得るための用具であって毛髪を痛めることなく簡易に用いることのできる用具を得ることができる。さらに、係る用具であって、美容院等で用いられる用具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1を示す。
図2】実施例2を示す。
図3】実施例2で用いる用具を示す。
図4】実施例2を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例0018】
実施例1では、毛髪の太さを計測する。また、毛髪の太さの計測結果を用いて毛髪のいたみの度合いを把握する。
【0019】
毛髪の太さの測定には、外径測定用のマイクロメータを用いる。毛髪の太さは約40μmから約100μmであるので、最小読み取り量が1μm以下のマイクロメータが望ましい。図1に毛髪の太さを計測するマイクロメータ10を示す。マイクロメータ10は、スピンドル15とフレーム13とレバー(図示せず)とディスプレイ17を備える。フレーム13にはアンビル(図示せず)が備わり、計測対象の毛髪をスピンドル15とアンビルの間に挟むことにより、毛髪の直径を測ることができる。図1に示す通り、計測者は、右手の親指をレバー(図示せず)に指をひっかけてレバーを押し下げる。レバーを押し下げるとスピンドル15が上昇する(図1(a))。指をレバーから離してレバーをもとの位置に戻すとスピンドル15が降下する(図1(b))。スピンドル15が降下すると、スピンドルの先端とアンビルとの間に髪が挟まれた状態になり、毛髪の直径を測ることができる。計測結果がディスプレイ17に表示される。
【0020】
図1の(a)では、計測者は、右手にマイクロメータ10を持ちマイクロメータ10のレバー(図示せず)を親指に引っ掛けてレバーを降下させてスピンドル15を上昇させている。計測者は、さらに、計測対象の毛髪を一本選んで左手に持ち、計測対象の毛髪をフレーム13上のアンビル(図示せず)に載せている。図1の(b)では、計測者は、右手親指からレバーを離してスピンドルを降下させ、スピンドル15とアンビルとの間に髪の毛を挟んでいる。この時点で計測位置における毛髪の直径がディスプレイ17に表示される。
【0021】
毛髪は毛母細胞の分裂・増殖により伸びていくところ、毛根から身体の外部に出たときの構造のまま毛根から押し出されるようにして伸びる。従って一度傷んだ毛髪は元に戻ることはなく、このため一本の毛は毛先ほどいたみが進んでいる。従って、毛髪の傷み度合いは、毛髪の根元の直径と先端の直径の差で表すことができる。
【0022】
計測対象である人の、最も長い毛髪については、根元付近、根元と先端の間、先端、の三か所について直径を計測する。最も長い毛髪を対象にする理由は、最も長い毛髪が最も傷んでいると予想されるからである。最も長い毛髪以外についても、目視で傷んでいることが予想される場合にはその箇所の直径を計測する。直径を計測することによって傷んだ場所を知ることができる。
【0023】
根元付近は、身体の外部に出て間もない毛髪であるため、計測対象の人の頭のその位置における本来の毛髪の直径である。
【0024】
根元と先端の中間地点は、キューティクルのめくれが生じたり、縮毛や薬品による凝固が生じたりするために、根元よりも太くなっているケースが多い。先端付近の直径は通常、三か所の中で最も細い。
【0025】
原則として、計測対象である人の、頭頂部、側頭部、等、様々な位置の合計5か所の毛髪を計測する。同一人の様々な位置の毛髪を計測することにより、計測対象の人の毛髪全体の状態を把握することができる。
【0026】
表1に実際の計測結果を示す。計測対象の人の頭部五か所の毛髪であり、毛髪Aは左側頭部、毛髪Bは後頭部、毛髪Cは頭頂部、毛髪Dは右側頭部、毛髪Eは前方部の毛髪である。毛髪Cが最も長いため、毛髪Cについては根元付近に加えて、根元と先端の間、及び先端付近についても直径を計測した。毛髪Cの傷み度合いは、根元付近の直径(90μm)-先端付近の直径(75μm)=15である。また、根元付近の直径の平均は89μmである。
【0027】
【表1】
【実施例0028】
実施例2では毛髪を研磨する。図2図3により毛髪の研磨を説明する。
【0029】
毛髪の研磨には手袋30を用いる(図3)。手袋30には研磨紙(33,35)が取り付けてある。研磨紙(33,35)は、手袋を装着してひとさし指の腹とおや指の腹を合わせた際に二つの指の腹が密着する位置に取り付ける。すなわち、手袋30のひとさし指の腹側の指先が来る位置に研磨紙35を取り付け、おや指の腹側の指先が来る位置に研磨紙33を取り付ける(図3)。手袋30では、研磨紙はひとさし指とおや指に取り付けてあるが、この指に限定されるものではなく、研磨する者の操作しやすい指に取り付ければよい。
【0030】
図2の(a)に示す通り、毛髪の一部をつまんで約1cm幅の薄い毛束21を作る。毛束21の根元を、研磨紙35と研磨紙33で挟んでつまみ、つまんだまま、図2の(b)の矢印で示す方向に毛先まで擦り動かす。擦り動かすスピードは、櫛で髪をとかす際と同様のスピードである。操作者の右手が毛先まで来た際には、同時に左手で毛束の根元を掴んで毛束21の束が乱れないよう維持する(b)。次に、右手と左手の位置を交換して、再度(a)に示す通り、右手で毛束21の根元を掴み、左手で毛束21の毛先を掴み、右手で毛束21をつまんだまま(b)の矢印で示す方向に毛先まで指を擦り動かす。このように毛髪を研磨することにより毛髪の表面の凹凸が削り取られ、毛髪の表面は滑らかになる。この動作を数回繰り返す。数回繰り返すと、あるときから研磨者は毛髪の凸凹がなくなったことを感じ取ることができる。毛髪の凸凹がなくなったことを感じ取ったことを、擦り動かす動作をやめる合図にすることができる。
【0031】
次に、研磨対象の人の頭の別の位置において、毛髪の一部をつまんで約1cm幅の薄い毛束を作り、同様の操作により研磨する。この作業を繰り返し、大半の毛髪を研磨する。毛髪の直径の計測の際に傷んでいることが判明した個所については、重点的に研磨する。
【0032】
一本の毛髪の表面には、キューティクルの剥がれや、不十分な洗髪による残留物(例えば整髪料やワックス等)、酸化により毛髪が溶けて部分的に固まる等、様々な理由により、凸凹がある。上記のように毛束を研磨紙で挟んで擦り動かすことにより、毛髪の凹凸を取り除き、毛髪の表面を滑らかにすることができる。髪のつやは、毛髪の表面で反射する光の方向が揃うことによって生じるところ、毛髪一本一本の表面を滑らかにする結果、毛髪の流れをそろえることができ、毛髪の表面で反射する光の方向が揃う。その結果、髪全体のつやを得ることができる。
【0033】
研磨紙の番手と研磨材の粒度は、毛髪の太さに応じて選択する。毛髪の直径に対して研磨材の粒度が過大な研磨紙を用いると毛髪を傷める可能性があり、また研磨材の粒度が過小な研磨材を用いると毛髪の表面の凹凸を充分に取り除くことができない可能性がある。複数の試験の結果、毛髪の直径に応じた適切な研磨紙は、表2のとおりであることが判明した。毛髪の太さに応じてこのような研磨紙を用いることにより、毛髪を傷めることなく、かつ毛髪の表面の凹凸を充分に取り除くことができる。ここにいう「毛髪の太さ」とは、原則として毛髪の根元の太さである。毛髪の根元の太さを基準にする理由は、根元の太さがその毛髪の元来の太さだからである。研磨の際には元来の太さを超えた箇所を削り取れば足り、削り取った結果元来の太さよりも細くなることは避けるべきだからである。このような条件下、表2に示す研磨紙が最も好ましい。
【0034】
複数の毛髪の根元の直径を計測した場合には、複数の毛髪の根元の直径の平均値を用いる。例えば表1に示す計測結果の場合、毛髪の太さとして根元付近の直径の平均値89μmを用いる。
【0035】
【表2】
【0036】
適切な研磨紙は、上記の通りであるところ、上記条件を満たす研磨紙として、研磨材は、酸化アルミニウム、珪素、ダイヤモンド、があり、いずれの研磨材であっても研磨はできる。複数の試験の結果、ダイヤモンドの研磨材が、研磨紙から剥がれ落ちる頻度が他の研磨材よりも低く、最も適することが判明した。
【0037】
#3000~#2000の研磨紙で研磨する場合、研磨紙の目が粗いために充分なつやが得られないことがある。そのような場合には、#3000~#2000の研磨紙で研磨した後に、目の細かい研磨紙を用いてさらに研磨することが好ましい。目の細かい研磨紙で研磨することにより良好なつやが出る。
【0038】
図4に研磨を施した髪の例を写真で示す。図4の(a)に研磨前の状態を示し、(b)に研磨後の状態を示す。研磨前は髪にうねりがあり、また髪の方向が揃わず、ほとんどつやが見られない。これに対し、研磨後は、各毛髪が滑らかになり、毛髪の流れる方向が揃いつやが現れている。研磨によるこのような効果は数カ月維持される。
【実施例0039】
コーム又はブラシに研磨材を練り込み、コーム又はブラシの表面に研磨紙の表面と同様の目を露出させる。また、研磨材を練り込んだ繊維を利用した手袋を用いる。そのようなコーム、ブラシ又は手袋を用いて毛髪を研磨する。
【符号の説明】
【0040】
10 マイクロメータ
13 フレーム
15 スピンドル
17 ディスプレイ
20 毛髪
21 毛髪の束
30 手袋
33 研磨紙
35 研磨紙
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-08-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一束の毛髪を研磨紙で挟むステップと、
前記研磨紙で挟んだ毛髪を毛髪の根元から毛先に向けて一方向に研磨するステップを備えた毛髪のつやを出す方法。
【請求項2】
毛髪の根元付近おける直径に応じて選択された研磨紙であって
2000番手から8000番手の研磨紙を用いて行う請求項1に記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項3】
根元付近における直径が49ミクロンメートル以下の毛髪に8000番手の研磨紙を用いて行う請求項1に記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項4】
根元付近における直径が50ミクロンメートルから59ミクロンメートルの毛髪に6000番手の研磨紙を用いて行う請求項1に記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項5】
根元付近における直径が60ミクロンメートルから69ミクロンメートルの毛髪に4000番手の研磨紙を用いて行う請求項1に記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項6】
根元付近における直径が70ミクロンメートルから79ミクロンメートルの毛髪に3000番手の研磨紙を用いて行う請求項1に記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項7】
根元付近における直径が80ミクロンメートル以上の毛髪に2000番手の研磨紙を用いて行う請求項1記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項8】
先に行った研磨に引き続いて行う後の研磨であって
先に行った研磨で用いた研磨紙よりも目の細かい研磨紙を用いて研磨するステップを備えた請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項9】
研磨材がダイヤモンドで成る研磨紙を用いて行う請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項10】
研磨する者の手指に研磨紙を配備して行う請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項11】
手指が挿入される位置の手袋の指袋表面に研磨紙を配備した手袋を用いて行う請求項10に記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項12】
手指が挿入される位置の手袋の指袋表面に研磨紙が配備された手袋を装着した研磨者が一束の毛髪の根元付近を前記研磨紙で挟むステップと、
前記研磨者が前記一束の毛髪を毛髪の根元付近から毛先に向けて一方向に研磨するステップとを備えた毛髪のつやを出す方法であって、
前記研磨紙は2000番手から8000番手であり、
前記研磨紙にはダイヤモンドで成る研磨材が用いられる毛髪のつやを出す方法。
【請求項13】
手指が挿入される位置の手袋の指袋表面に研磨紙が配備された手袋であって、
一束の毛髪を研磨紙で挟むステップと、前記研磨紙で挟んだ毛髪を毛髪の根元から毛先に向けて一方向に研磨するステップを備えた毛髪のつやを出す方法を実施する際に用いる手袋。
【請求項14】
手袋の指袋表面であって装着した際に装着者の親指の腹と人差指の腹が合わさる位置の、
親指の腹と人差指の腹のみに研磨紙が取り付けられた手袋であって、
研磨紙は2000番手~8000番手である手袋。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪の直径を計測するステップと、
毛髪の根元付近における直径に応じた粒度の研磨紙を選択するステップと、
選択した前記研磨紙で一束の毛髪を挟むステップと、
前記研磨紙で挟んだ毛髪を毛髪の根元から毛先に向けて一方向に研磨するステップを備えた毛髪のつやを出す方法。
【請求項2】
研磨する者の手指に研磨紙を配備して行う請求項1に記載の毛髪のつやを出す方法。
【請求項3】
毛髪の直径を計測するステップと、
毛髪の根元付近における直径に応じた粒度の研磨紙を選択するステップと、
手指が挿入される位置の手袋の指袋表面に選択した前記研磨紙が配備された手袋を装着した研磨者が一束の毛髪の根元付近を前記研磨紙で挟むステップと、
前記研磨者が前記一束の毛髪を毛髪の根元付近から毛先に向けて一方向に研磨するステップとを備えた毛髪のつやを出す方法であって、
前記研磨紙は2000番手から8000番手であり、
前記研磨紙にはダイヤモンドで成る研磨材が用いられる毛髪のつやを出す方法。
【請求項4】
手指が挿入される位置の手袋の指袋表面に研磨紙が配備された手袋であって、
毛髪の直径を計測するステップと、一束の毛髪を研磨紙で挟むステップと、前記研磨紙で挟んだ毛髪を毛髪の根元から毛先に向けて一方向に研磨するステップを備えた毛髪のつやを出す方法を実施する際に用いる手袋であって、
前記研磨紙は研磨対象の毛髪の根元付近における直径に応じた粒度の研磨紙である手袋