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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149925
(43)【公開日】2024-10-22
(54)【発明の名称】景品獲得装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/30 20060101AFI20241015BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20241015BHJP
   E05D 13/00 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
A63F9/30 502C
E05D15/06 119
E05D13/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063115
(22)【出願日】2023-04-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年7月7日~令和5年4月4日に、先行品を、株式会社サードプラネット、株式会社大慶園、株式会社スタンダップ、株式会社友栄、万代書店、株式会社ホテル三日月、株式会社遊・LIFE、に販売。
(71)【出願人】
【識別番号】520313242
【氏名又は名称】スタンバイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147393
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 一基
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博之
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034BA15
2E034BE01
2E034CA04
2E034DA01
(57)【要約】
【課題】滑らかな開閉移動が可能であり、かつ、がたつきを抑制したスライド扉部を有する景品獲得装置を提供する。
【解決手段】閉止されるプレイ空間が内部に形成される筐体部を有し、前記筐体部は、透明の扉本体部と、前記扉本体部の上側に設けられており前記筐体部の前面に略垂直であって互いに一致する回転中心軸を有する一対の車輪を少なくとも1組有する車輪部と、を有し、前記前面の一部を構成し、前記プレイ空間を閉止および開放可能であるスライド扉部と、前記一対の車輪を移動可能に保持し、前記スライド扉部を上方から吊下げる上レール部と、を有し、前記スライド扉部の前記車輪部は、前記扉本体部に固定される接続金具と、前記一対の車輪の前記回転中心軸を支える軸支持部と、前記一対の車輪の一方と他方との間で上下方向に延びており前記接続金具と前記軸支持部とを接続する中央支持軸と、を有する景品獲得装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉止されるプレイ空間が内部に形成される筐体部と、
前記プレイ空間内に移動可能に設置される景品取得アーム部と、
前記プレイ空間の外部に配置されており、前記景品取得アーム部を操作する操作部と、を有し、
前記筐体部は、
透明の扉本体部と、前記扉本体部の上側に設けられており前記筐体部の前面に略垂直であって互いに一致する回転中心軸を有する一対の車輪を少なくとも1組有する車輪部と、を有し、前記前面の一部を構成し、前記プレイ空間を閉止および開放可能であるスライド扉部と、
前記一対の車輪を移動可能に保持し、前記スライド扉部を上方から吊下げる上レール部と、を有し、
前記スライド扉部の前記車輪部は、前記扉本体部に固定される接続金具と、前記一対の車輪の前記回転中心軸を支える軸支持部と、前記一対の車輪の一方と他方との間で上下方向に延びており前記接続金具と前記軸支持部とを接続する中央支持軸と、を有する景品獲得装置。
【請求項2】
前記スライド扉部は、前記扉本体部の下側に設けられており前記スライド扉部のスライド方向に沿って延びており下方に開口する溝部を有し、
前記筐体部は、前記スライド方向に沿って延びており、少なくとも一部が前記溝部の中に位置しており、かつ、前記溝部の上底に対して離間して下方から対向する先端部を有するガイド突起部を有する請求項1に記載の景品獲得装置。
【請求項3】
前記車輪部は、前記一対の車輪を少なくとも2組有し、
前記軸支持部は、2組の前記一対の車輪のうちの1組と、2組の前記一対の車輪のうちの他の1組とが、前記スライド方向に並ぶように、それぞれの前記回転中心軸を支持しており、
前記中央支持軸は、前記スライド方向に関して、2組の前記一対の車輪のうち1組と、2組の前記一対の車輪のうち他の1組との間で、前記軸支持部に接続する請求項1に記載の景品獲得装置。
【請求項4】
前記スライド扉部は、前記車輪部を少なくとも2セット有し、2セットの前記車輪部のうちの1セットは、2セットの前記車輪部のうち他の1セットに対して、前記スライド方向に離間して前記扉本体部の上側に設けられる請求項1に記載の景品獲得装置。
【請求項5】
前記筐体部は、前記プレイ空間を開放した際に、前記プレイ空間を閉止する際に比べて互いの重複領域が大きくなる、2枚の前記スライド扉部を有する請求項1に記載の景品獲得装置。
【請求項6】
2枚の前記スライド扉部の一方と他方の前記車輪部および前記上レール部は、前記スライド方向から見て互いに略対称である請求項5に記載の景品獲得装置。
【請求項7】
前記上レール部は、前記回転中心軸に直交し前記一対の車輪の一方に対向する第1側壁と、前記第1側壁の下端から曲がって延びており前記一対の車輪の一方に下側から接触する第1底部と、前記回転中心軸に直交し前記一対の車輪の他方に対向する第2側壁と、前記第2側壁の下端から曲がって延びており前記一対の車輪の他方に下側から接触する第2底部と、前記第1側壁と前記第2側壁との上端を接続する接続上壁と、を有し、前記第1底部と前記第2底部とは前記回転中心軸に沿う方向に互いに離間しており、前記車輪部の前記中央支持軸は、前記第1底部と前記第2底部との間を通過する請求項1に記載の景品獲得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーム部を操作して景品を獲得する景品獲得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーンゲーム装置などの景品獲得装置は、プレイ空間内に設置されたアーム部を、プレイ空間外部の操作部を介してプレイヤーが操作することにより、閉止されるプレイ空間内の景品載置領域にある景品を景品落下口まで移動させて獲得する装置である。
【0003】
景品獲得装置には、景品載置領域に載置する景品を補充したり、景品載置領域に載置する景品を入れ替えるために、プレイ空間を閉止および開放可能である扉が設けられている。このような扉としては、たとえば引き戸などが採用されている。また、プレイ空間を閉止および開放可能である扉として、吊り戸タイプのものも提案されている(特許文献1)。吊り戸タイプの扉は、扉の下側にあるレールの上をスライド移動する引き戸タイプの扉に比べて、滑らかな開閉移動が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-68345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の吊り戸タイプの扉は、特に扉における下側部分でのがたつきが大きい傾向にあり、たとえば2枚の扉の間の隙間部分に、その隙間を広げる力を扉に加えることで、比較的容易に隙間の大きさが変化してしまう課題がある。このような景品獲得装置では、誤って扉の隙間に異物を挟んでしまい、扉の開閉動作に支障をきたす場合があり、問題となっている。また、このような景品獲得装置では、故意に扉の隙間に異物を挟むなどの迷惑行為の対象となる場合があり、保守の観点からも好ましくない。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、滑らかな開閉移動が可能であり、かつ、がたつきを抑制したスライド扉部を有する景品獲得装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る景品獲得装置は、
閉止されるプレイ空間が内部に形成される筐体部と、
前記プレイ空間内に移動可能に設置される景品取得アーム部と、
前記プレイ空間の外部に配置されており、前記景品取得アーム部を操作する操作部と、を有し、
前記筐体部は、
透明の扉本体部と、前記扉本体部の上側に設けられており前記筐体部の前面に略垂直であって互いに一致する回転中心軸を有する一対の車輪を少なくとも1組有する車輪部と、を有し、前記前面の一部を構成し、前記プレイ空間を閉止および開放可能であるスライド扉部と、
前記一対の車輪を移動可能に保持し、前記スライド扉部を上方から吊下げる上レール部と、を有し、
前記スライド扉部の前記車輪部は、前記扉本体部に固定される接続金具と、前記一対の車輪の前記回転中心軸を支える軸支持部と、前記一対の車輪の一方と他方との間で上下方向に延びており前記接続金具と前記軸支持部とを接続する中央支持軸と、を有する。
【0008】
本発明に係る景品獲得装置は、スライド扉部が上レール部から吊り下げられており、円滑な開閉動作が可能である。また、車輪部が、一対の車輪の一方と他方との間で上下方向に延びる中央支持軸を有するため、吊下げる扉本体部の重さにより回転中心軸が傾く問題を好適に防止し、スライド扉部のがたつきを抑制することができる。
【0009】
また、たとえば、前記スライド扉部は、前記扉本体部の下側に設けられており前記スライド扉部のスライド方向に沿って延びており下方に開口する溝部を有してもよく、
前記筐体部は、前記スライド方向に沿って延びており、少なくとも一部が前記溝部の中に位置しており、かつ、前記溝部の上底に対して離間して下方から対向する先端部を有するガイド突起部を有してもよい。
【0010】
このような景品獲得装置では、ガイド突起部の先端部が、扉本体部の下側に設けられる溝部に位置することで、スライド扉部のがたつきを、より好適に防止できる。
【0011】
また、たとえば、前記車輪部は、前記一対の車輪を少なくとも2組有してもよく、
前記軸支持部は、2組の前記一対の車輪のうちの1組と、2組の前記一対の車輪のうちの他の1組とが、前記スライド方向に並ぶように、それぞれの前記回転中心軸を支持してもよく、
前記中央支持軸は、前記スライド方向に関して、2組の前記一対の車輪のうち1組と、2組の前記一対の車輪のうち他の1組との間で、前記軸支持部に接続してもよい。
【0012】
このようなスライド扉部は、車輪部が有する各車輪に対してバランスよく荷重がかかるため、スライド扉部のがたつきや傾きを防止するとともに、より滑らかな開閉動作が可能となる。
【0013】
また、たとえば、前記スライド扉部は、前記車輪部を少なくとも2セット有してもよく、2セットの前記車輪部のうちの1セットは、2セットの前記車輪部のうち他の1セットに対して、前記スライド方向に離間して前記扉本体部の上側に設けられてもよい。
【0014】
2セット以上の車輪部が、互いに離間して扉本体部の上側に設けられていることにより、このようなスライド扉部は、上レール部からバランスよく吊り下げられ、がたつきや傾きを防止し、滑らかな開閉動作を実現する。
【0015】
また、たとえば、前記筐体部は、前記プレイ空間を開放した際に、前記プレイ空間を閉止する際に比べて互いの重複領域が大きくなる、2枚の前記スライド扉部を有してもよい。
【0016】
このような景品獲得装置では、スライド扉部を左右どちらにも開くことができるので、プレイ空間への景品の出し入れや、アーム部のメンテナンスなどが容易である。また、車輪部の構造などにより、2枚のスライド扉部の間に形成される隙間が扉のがたつきにより変動する問題を、好適に防止できる。
【0017】
また、たとえば、2枚の前記スライド扉部の一方と他方の前記車輪部および前記上レール部は、前記スライド方向から見て互いに略対称であってもよい。
【0018】
このような景品獲得装置では、狭い空間に2枚のスライド扉部を配置した場合にも、車輪部が有する各車輪に対してバランスよく扉本体部の荷重を作用させることができる。したがって、このような景品獲得装置では、一対の車輪の回転中心軸が傾く問題を防止しながら、2枚のスライド扉部が有する車輪部をコンパクトに配置できる。
【0019】
また、たとえば、前記上レール部は、前記回転中心軸に直交し前記一対の車輪の一方に対向する第1側壁と、前記第1側壁の下端から曲がって延びており前記一対の車輪の一方に下側から接触する第1底部と、前記回転中心軸に直交し前記一対の車輪の他方に対向する第2側壁と、前記第2側壁の下端から曲がって延びており前記一対の車輪の他方に下側から接触する第2底部と、前記第1側壁と前記第2側壁との上端を接続する接続上壁と、を有してもよく、前記第1底部と前記第2底部とは前記回転中心軸に沿う方向に互いに離間してもよく、前記車輪部の前記中央支持軸は、前記第1底部と前記第2底部との間を通過してもよい。
【0020】
このような上レール部は、一対の車輪の回転中心軸が傾く問題を好適に防止しつつ、バランスよくスライド扉部を吊下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る景品獲得装置の正面図である。
図2図2は、図1に示す景品獲得装置のスライド扉部および上レール部を示す正面図である。
図3図3は、図1に示す景品獲得装置のスライド扉部、上レール部およびガイド突起部を示す斜視図である。
図4図4は、上レール部、車輪部および扉本体部の一部を示す断面図である。
図5図5は、扉本体部、溝部およびガイド突起部の一部を示す断面図である。
図6図6は、スライド扉部における車輪部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る景品獲得装置としてのクレーンゲーム装置10の正面図である。図1に示すように、クレーンゲーム装置10は、略直方体状の筐体部20を有する。筐体部20の内部には、プレイ空間21が形成されている。プレイ空間21は、景品補充時やメンテナンス時などを除き、筐体部20の一部を構成する透明のスライド扉部60a、60bなどによって閉止されている。
【0023】
クレーンゲーム装置10のプレイ空間21内には、景品取得アーム部としてのクレーン50が移動可能に設置されている。クレーン50は、クレーンゲーム装置10の筐体部20の前面23に配置される操作部56の操作により、プレイ空間21内を上下方向および水平方向に移動する。クレーン50は、景品を把持して移動させることのできるアーム52を有する。クレーン50は、アーム52の開閉動作とプレイ空間21内の移動とを組み合わせることにより、プレイ空間21内に配置される景品を把持し、把持した景品を移動させることができる。
【0024】
図1に示す実施形態では、景品獲得装置としてクレーンを有するクレーンゲーム装置を例に挙げて説明を行うが、景品獲得装置としては、クレーンゲーム装置のみには限定されない。たとえば、ショベルアーム状の景品取得アーム部を有するものや、景品を引っ掛けて移動させるフック状の景品取得アーム部を有するなど、クレーン以外の景品取得アーム部を有する装置も、本発明に係る景品獲得装置に含まれる。
【0025】
操作部56は、プレイ空間21の外部に配置されており、クレーン50を操作するレバーやボタンを有する。クレーンゲーム装置10のプレイヤーは、操作部56のレバーやボタンを操作することによりクレーン50を操作し、後述するように、プレイ空間21内に設置される景品の獲得を目指す。
【0026】
操作部56は、子供を含むプレイヤーが、立った状態で操作部56のボタンやレバーを操作しやすいように、たとえば、クレーンゲーム装置10の設置面から40~80cm程度の高さに設けることができる。なお、図1に示すクレーンゲーム装置10は、奥行きおよび幅が120cm程度で、高さが200cm程度の略直方体形状であるが、クレーンゲーム装置10の大きさおよび形状は、特に限定されない。また、クレーンゲーム装置10の説明では、図1に示すように、高さ方向をZ方向、幅方向をX方向、奥行き方向をY方向として説明を行う。
【0027】
図1に示すように、クレーンゲーム装置10のプレイ空間21は、筐体部20の内部のうち、下方側略3分の1を除く上方側略3分の2の領域に形成されている。プレイ空間21の底部21aは、操作部56の高さと同程度の高さであるが、プレイ空間21の底部21aの高さは、操作部56の高さと異なっていてもよい。
【0028】
プレイ空間21は、後述するスライド扉部60a、60bなどによって閉止されており、クレーン50が移動可能な構造上の最大領域を規定する。
【0029】
図1に示すように、クレーンゲーム装置10は、プレイ空間21の下方に、景品落下部38を有する。景品落下部38は、プレイ空間21の底部21aの一部に形成される景品落下口を介してプレイ空間21に連通している。クレーン50が、景品落下口の上方で把持する景品を落とすと、その景品は、景品落下口を通って、プレイ空間21から景品落下部38に移動する。
【0030】
景品落下部38は、筐体部20の前面23であってプレイ空間21より下方に形成される景品取出口39を有する。プレイヤーは、クレーン50の操作によってプレイ空間21から景品落下部38に移動させた景品を、景品取出口39から取り出すことができる。
【0031】
クレーンゲーム装置10の筐体部20の底部には、キャスター46が備えられている。クレーンゲーム装置10は、通常時においては、キャスター46をロックした状態で固定設置されているが、必要に応じてキャスター46のロックを解除し、クレーンゲーム装置10を移動させることができる。
【0032】
図1に示すように、筐体部20は、筐体部20の前面23の一部を構成し、プレイ空間21を閉止および開放可能である2枚のスライド扉部60a、60bを有する。2枚のスライド扉部60a、60bは、筐体部20の正面から見て互いの重複領域が狭くなった状態で、筐体部20の前面23の広い範囲をカバーし、プレイ空間21を閉止する。スライド扉部60a、60bの一方は、図1に示す状態から、他方のスライド扉部60a、60bに対してX方向にスライド移動し、プレイ空間21を閉止する際に比べて互いの重複領域が大きくなり、プレイ空間21を開放する。
【0033】
また、筐体部20は、スライド扉部60a、60bを上から吊り下げる上レール部71a、71bと、スライド扉部60a、60bの下端に備えらえる溝部81a、81bに挿入される先端部88を介してスライド扉部60a、60bをガイドするガイド突起部87a、87b(図5参照)とを有する。上レール部71a、71bは、スライド扉部60a、60bが有する車輪部62A、62Bを移動可能に保持する。
【0034】
図2は、クレーンゲーム装置10が有するスライド扉部60a、60bと上レール部71a、71bの正面図である。スライド扉部60aは、透明の扉本体部61と、扉本体部61の上側に設けられる車輪部62A、62Bを有する。扉本体部61は、樹脂やガラス等の透明の板材で構成される。各車輪部62A、62Bの詳細は後述するが、スライド扉部60aは、車輪部62Aまたは車輪部62Aを1セットと考えると、車輪部を少なくとも2セット有する。2セットの車輪部62A、62Bのうちの1セットである車輪部62Aは、2セットの車輪部62A、62Bのうち他の1セットである車輪部62Bに対して、スライド扉部60aのスライド方向であるX方向に関して互いに離間して、扉本体部61の上側に設けられる。
【0035】
図6は、スライド扉部60aが有する車輪部62Aの概略斜視図である。図6に示すように、車輪部62Aは、互いに一致する回転中心軸64を有する一対の車輪63と、互いに一致する回転中心軸66を有する一対の車輪65とを有する。車輪部62Aは、一対の車輪63または一対の車輪65を1組と考えると、一対の車輪を少なくとも2組(実施形態では2組)有する。なお、車輪部62Aは、2組以上の一対の車輪63、65を有することで、スライド扉部60aが上レール部71aによって安定的に支持され好ましいが、車輪部62Aとしては、一対の車輪63を1組のみ有するものであってもかまわない。
【0036】
図4は、図2に示す上レール部71a、71bおよびスライド扉部60a、60bの車輪部62A、62B周辺をスライド方向(X軸方向)から見た部分断面図である。図4に示すように、一対の車輪63、65の回転中心軸64、66は、筐体部20の前面23に略垂直であり、一対の車輪63、65が回転することにより、スライド扉部60a、60bは、回転中心軸64、66とは垂直であるスライド方向(X軸方向)に、滑らかに移動する。なお、本明細書では、このような車輪63、65の回転を伴うスライド扉部60a、60bのX軸方向への移動も、スライド移動の一種であると考える。
【0037】
図4および図6に示すように、車輪部62Aは、扉本体部に固定される接続金具67と、一対の車輪63、65の回転中心軸64、66を支える軸支持部68と、接続金具67と軸支持部68とを接続する中央支持軸69とを有する。図4に示すように、中央支持軸69は、回転中心軸64、66に沿うY軸方向に関して、一対の車輪63の一方と他方の間(および一対の車輪65の一方と他方の間)で上下方向に延びている。
【0038】
このような車輪部62Aは、吊り下げる扉本体部61の重さにより回転中心軸64、66が傾く問題を好適に防止し、スライド扉部60aのがたつきを抑制することができる。一方、図4に示すように、接続金具67は、扉本体部61の上端付近に形成される貫通孔を挿通するボルト等を介して、扉本体部61に固定されている。
【0039】
図4に示すように、車輪部62Aの軸支持部68は、中央支持軸69の上端に接続している。図6に示すように、軸支持部68は、2組の一対の車輪63、65のうちの1組である一対の車輪63と、2組の一対の車輪63、65のうち他の1組とが、スライド方向であるX軸方向に並ぶように、2組の一対の車輪63、65それそれの回転中心軸64、66を支持している。中央支持軸69は、スライド方向であるX軸方向に関して、2組の一対の車輪63、65のうちの1組である一対の車輪63と、2組の一対の車輪63、65のうち他の1組である一対の車輪65との間で、軸支持部68に接続する。
【0040】
このような車輪部62Aは、2組の一対の車輪63、65に対してバランスよく荷重がかかるため、スライド扉部60aのがたつきや傾きを防止するとともに、より滑らかな開閉動作が可能となる。なお、車輪部62Bは、車輪部62Aと同様の構成であるため、車輪部62Bの詳細については、説明を省略する。
【0041】
図4は、上レール部71a、71b、車輪部62A、62bおよび扉本体部61の一部を示す断面図である。図4に示すように、上レール部71aは、スライド扉部60aにおける車輪部62Aの一対の車輪63を、スライド扉部60aのスライド方向であるX軸方向に移動可能に収容する。上レール部71aは、第1側壁72と、第1側壁72と対向する第2側壁74と、第1側壁72の下端から曲がって延びる第1底部73と、第2側壁74の下端から曲がって延びる第2底部75と、第1側壁72と第2側壁74との上端を接続する接続上壁76とを有する。
【0042】
第1側壁72は、回転中心軸64に直交し、一対の車輪63の一方に対向する。また、第2側壁74は、回転中心軸64に直交し、一対の車輪63の他方に対向する。第1底部73は、一対の車輪63の一方に下側から接触し、これを下方から支持する。また、第2底部75は、一対の車輪63の他方に下側から接触し、これを下方から支持する。
【0043】
図4に示すように、第1底部73と第2底部75とは、回転中心軸64に沿うY軸方向に互いに離間しており、車輪部62Aの中央支持軸69は、上レール部71aにおける第1底部73と第2底部75との間を通過する。上レール部71aと一対の車輪65の関係および上レール部71bと一対の車輪63、65との関係も同様である。このような上レール部71a、71bは、一対の車輪63、65の回転中心軸64、66が傾く問題を好適に防止しつつ、バランスよくスライド扉部60a、60bを吊下げることができる。また、上レール部71a、71bの各内壁が、一対の車輪63、65を適切な姿勢に保つことに寄与することにより、2枚のスライド扉部60a、60bの間の隙間の大きさが、外力等により変動する問題を、好適に防止できる。
【0044】
図2に示すスライド扉部60bは、スライド扉部60aと同様に、2組の車輪部62A、62Bと、扉本体部61とを有する。図4に示すように、スライド扉部60bは、スライド扉部60aと同様の構成を有するが、スライド扉部60aとは略対称に配置される。すなわち、2枚のスライド扉部60a、60bの一方であるスライド扉部60aと、2枚のスライド扉部60a、60bの他方であるスライド扉部60bとは、スライド方向であるX軸方向から見て互いに略対称である。また、スライド扉部60aを上から吊り下げる上レール部71aは、スライド扉部60bを上から吊り下げる上レール部71bとは、スライド方向であるX軸方向から見て互いに略対称である。
【0045】
このようなクレーンゲーム装置10では、狭い空間に2枚のスライド扉部60a、60bを配置した場合にも、車輪部62A、62Bが有する各一対の車輪63、65に対してバランスよく扉本体部61の荷重を作用させることができる。したがって、このようなクレーンゲーム装置10では、一対の車輪63、65の回転中心軸64、66が傾く問題を防止しながら、2枚のスライド扉部60a、60bが有する車輪部62A、62Bをコンパクトに配置できる。
【0046】
なお、図4に示すように、接続金具67は、スライド扉部60a、60bの面のうち、一方が他方のスライド扉部60a、60bに対して向き合う対向面61a側に接続していることも好ましい。接続金具67が対向面61a側に接続していることにより、スライド扉部60a、60bの隙間を小さくした場合にでも、スライド扉部60a、60bの傾きを抑制することができる。
【0047】
図3は、上レール部71a、71bと、スライド扉部60a、60bと、ガイド突起部87a、87bの概略形状を示す斜視図である。図3に示すように、スライド扉部60aは、扉本体部61の下側に設けられる下金具80aを有する。下金具80aは、扉本体部61の下端部付近に、スライド方向であるY軸方向に沿って取り付けられている。
【0048】
図5は、スライド扉部60a、60bの下端部周辺をスライド方向から見た部分断面図である。図5に示すように、下金具80aは、スライド方向に垂直な断面がH状であり、スライド方向に沿って延びており上方に開口する係合溝部83aと、スライド方向に沿って延びており下方に開口する溝部81aとを有する。
【0049】
図5に示すように、下金具80aの係合溝部83aには、扉本体部61の下端が挿入されており、下金具80aが扉本体部61に対して固定されている。これに対して、下金具80aにおいて下方に開口する溝部81aには、筐体部20に備えられるガイド突起部87aが挿入される。
【0050】
ガイド突起部87aは、スライド方向であるX軸方向に延びており、少なくとも一部が溝部81aの中に位置している。また、ガイド突起部87aの先端部88は、溝部81aの上底82に対して離間しており、上底82に対して下方から対向する。ガイド突起部87aは、スライド方向に垂直な断面が略矩形であり、ガイド突起部87aのY軸方向の幅W1は、溝部81aのY軸方向の開口幅W2に対して好ましくは60%以上100%未満、さらに好ましくは75%以上95%以下である。
【0051】
図5に示すように、スライド扉部60bも、スライド扉部60aと同様の下金具80bを有しており、下金具80bの係合溝部83bにはスライド扉部60bの下端が挿入されており、下金具80bの溝部81bには、上述したガイド突起部87aと同様のガイド突起部87bが挿入される。このようなスライド扉部60a、60bを有するクレーンゲーム装置10は、ガイド突起部87a、87bの先端部88が、スライド扉部60a、60bの下端に設けられる溝部81a、81bに位置することで、スライド扉部60a、60bのがたつきを、より好適に防止できる。特に、スライド扉部60a、60b側が溝状の溝部81a、81bであり、スライド扉部60a、60bのがたつきを規制する側が突起状であるガイド突起部87a、87bであることにより、規制する側であるガイド突起部87a、87bの強度を好適に確保することができ、溝と突起が逆の関係である場合より好適にがたつきが抑制できる。
【0052】
以上、実施形態を挙げて本発明について説明してきたが、本発明の技術的範囲は上述した実施形態にのみには限定されず、他の実施形態や変形例を多く含むことは言うまでもない。たとえば、一対の車輪63、65は、軸支持部68を挟んで配置される一対の車輪であればよく、一方または他方の車輪の幅や、一方または他方の車輪が一重の車輪であるか二重以上の車輪であるかは、扉本体部61の重量などに応じて適宜選択できる。
【符号の説明】
【0053】
10…クレーンゲーム装置
20…筐体部
21…プレイ空間
21a…底部
23…前面
38…景品落下部
39…景品取出口
46…キャスター
50…クレーン
52…アーム
54…操作部
60a、60b…スライド扉部
61…扉本体部
61a…対向面
62A、62B…車輪部
63、65…一対の車輪
64、66…回転中心軸
67…接続金具
68…軸支持部
69…中央支持軸
71a、71b…上レール部
72…第1側壁
73…第1底部
74…第2側壁
75…第2底部
76…接続上壁
80a、80b…下金具
81a、81b…溝部
82…上底
83a、83b…係合溝部
87a、87b…ガイド突起部
88…先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉止されるプレイ空間が内部に形成される筐体部と、
前記プレイ空間内に移動可能に設置される景品取得アーム部と、
前記プレイ空間の外部に配置されており、前記景品取得アーム部を操作する操作部と、を有し、
前記筐体部は、
透明の扉本体部と、前記扉本体部の上側に設けられており前記筐体部の前面に略垂直であって互いに一致する回転中心軸を有する一対の車輪を少なくとも1組有する車輪部と、を有し、前記前面の一部を構成し、前記プレイ空間を閉止および開放可能であるスライド扉部と、
前記一対の車輪を移動可能に保持し、前記スライド扉部を上方から吊下げる上レール部と、を有し、
前記スライド扉部の前記車輪部は、前記扉本体部に固定される接続金具と、前記一対の車輪の前記回転中心軸を支える軸支持部と、前記一対の車輪の一方と他方との間で上下方向に延びており前記接続金具と前記軸支持部とを接続する中央支持軸と、を有し、
前記スライド扉部は、前記扉本体部の下側に設けられる下金具を有し、前記下金具は前記スライド扉部のスライド方向に垂直な断面がH状であり、前記スライド方向に沿って延びており上方に開口する係合溝部と、前記スライド方向に沿って延びており下方に開口する溝部を有し、前記下金具の前記係合溝部には、扉本体部の下端が挿入されており、
前記筐体部は、前記スライド方向に沿って延びており、少なくとも一部が前記下金具の前記溝部の中に位置しており、かつ、前記溝部の上底に対して離間して下方から対向する先端部を有するガイド突起部を有する景品獲得装置。
【請求項2】
前記車輪部は、前記一対の車輪を少なくとも2組有し、
前記軸支持部は、2組の前記一対の車輪のうちの1組と、2組の前記一対の車輪のうちの他の1組とが、前記スライド方向に並ぶように、それぞれの前記回転中心軸を支持しており、
前記中央支持軸は、前記スライド方向に関して、2組の前記一対の車輪のうち1組と、2組の前記一対の車輪のうち他の1組との間で、前記軸支持部に接続する請求項1に記載の景品獲得装置。
【請求項3】
前記スライド扉部は、前記車輪部を少なくとも2セット有し、2セットの前記車輪部のうちの1セットは、2セットの前記車輪部のうち他の1セットに対して、前記スライド方向に離間して前記扉本体部の上側に設けられる請求項1に記載の景品獲得装置。
【請求項4】
前記筐体部は、前記プレイ空間を開放した際に、前記プレイ空間を閉止する際に比べて互いの重複領域が大きくなる、2枚の前記スライド扉部を有する請求項1に記載の景品獲得装置。
【請求項5】
2枚の前記スライド扉部の一方と他方の前記車輪部および前記上レール部は、前記スライド方向から見て互いに略対称である請求項に記載の景品獲得装置。
【請求項6】
前記上レール部は、前記回転中心軸に直交し前記一対の車輪の一方に対向する第1側壁と、前記第1側壁の下端から曲がって延びており前記一対の車輪の一方に下側から接触する第1底部と、前記回転中心軸に直交し前記一対の車輪の他方に対向する第2側壁と、前記第2側壁の下端から曲がって延びており前記一対の車輪の他方に下側から接触する第2底部と、前記第1側壁と前記第2側壁との上端を接続する接続上壁と、を有し、前記第1底部と前記第2底部とは前記回転中心軸に沿う方向に互いに離間しており、前記車輪部の前記中央支持軸は、前記第1底部と前記第2底部との間を通過する請求項1に記載の景品獲得装置。