(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149931
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/08 20060101AFI20241016BHJP
H02K 3/46 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H02K5/08 Z
H02K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144325
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 康司
【テーマコード(参考)】
5H604
5H605
【Fターム(参考)】
5H604AA05
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB10
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC16
5H604DA14
5H604DB01
5H604PB03
5H604QA01
5H605AA04
5H605AA07
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB14
5H605CC01
5H605CC02
5H605FF06
5H605GG04
(57)【要約】
【課題】振動を抑制するモータを提供する。
【解決手段】モータ1は、ロータと、ステータ3と、ハウジング2と、を備える。ロータは、回転軸41を含む。ハウジング2は、ロータ、及びステータ3を収容又は保持する。ハウジング2は、ブラケット22と、フレーム21と、を含む。ブラケット22は、回転軸41の第1端を回転保持する。フレーム21は、回転軸41の第2端を回転自在に保持する。ブラケット22は、ベース221と、撓み部63と、を有する。撓み部63は、ベース221の端部220から突出し、フレーム21の開口部210からフレーム21の内部に挿入される。撓み部63は、凸部61及び凹部62のうちの一方を有し、フレーム21は、凹部62及び凸部61のうちの他方を有する。ブラケット22は、凸部61が凹部62に嵌合することで、フレーム21における開口部210に挿入される態様でフレーム21に固定される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心を回転中心とし、前記軸心が延伸する方向に延びる回転軸を含むロータと、
前記ロータと向かい合って位置し、前記ロータを回転する磁力を供給するステータと、
前記ロータ、及び前記ステータを収容又は保持するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、
前記回転軸の第1端を回転保持するブラケットと、
前記回転軸の第2端を回転自在に保持するフレームと、を含み、
前記フレームは、開放された開口部を有し、
前記ブラケットは、
ベースと、
前記ベースの端部から突出し、前記フレームにおける前記開口部から前記フレームの内部に挿入される撓み部と、を有し、
前記撓み部は、凸部及び凹部のうちの一方を有し、
前記フレームは、前記凹部及び前記凸部のうちの他方を有し、
前記ブラケットは、前記凸部が前記凹部に嵌合することで、前記フレームにおける前記開口部に挿入される態様で前記フレームに固定される、
モータ。
【請求項2】
前記撓み部は、前記フレームの内部への挿入時に撓みながら前記フレームの前記内部に収容される、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記フレームは、前記凸部を有し、
前記凸部は、前記フレームの内側面から前記回転軸に向けて突出し、
前記撓み部は、前記凹部を有し、前記回転軸に垂直な方向に可動である、
請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記フレーム及び前記ブラケットの各々は、金属又は樹脂で形成されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記フレームは金属で形成されていて、前記ブラケットは樹脂で形成されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項6】
前記撓み部は、前記ブラケットに1又は複数形成されている、
請求項1~5のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項7】
前記ブラケットは、前記ベースの前記端部から突出する位置決め部を更に有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項8】
前記位置決め部において前記ベースの前記端部から突出する長さは、前記撓み部において前記ベースの前記端部から突出する長さよりも長い、
請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記ステータは、
ステータコアと、
前記ステータコアの内側面から前記回転軸に向けて突出する複数のティースと、
前記複数のティースのそれぞれに導線が巻き回されることによって形成され、電流が流れることにより磁界を発生することで前記ロータを回転させるコイルと、
前記複数のティースのそれぞれに嵌合するインシュレータと、を有し、
前記インシュレータは、前記インシュレータの外周に前記コイルが形成されることで前記複数のティースの各々と前記コイルとを電気的に絶縁し、
前記モータは、一端部に複数の前記コイルが接続され、他端部に前記コイルに通電する電源が入力される渡り線を更に備え、
前記インシュレータは、前記渡り線を収容する突起部を有し、
前記位置決め部の前記ブラケットにおける周方向の位置は、前記軸心が延伸する方向から見て、前記インシュレータの前記突起部とは重ならない、
請求項7又は8に記載のモータ。
【請求項10】
前記ステータは、
ステータコアと、
前記ステータの内側面から前記回転軸に向けて突出する複数のティースと、
前記複数のティースのそれぞれに導線が巻き回されることによって形成され、電流が流れることにより磁界を発生することで前記ロータを回転させるコイルと、
前記複数のティースのそれぞれに嵌合し、その外周に前記コイルが形成されることで前記複数のティースの各々と前記コイルとを電気的に絶縁するインシュレータと、を有し、
前記モータは、一端部に複数の前記コイルが接続され、他端部に前記コイルに通電する電源が入力される渡り線を更に備え、
前記インシュレータは、前記渡り線を収容する突起部を有し、
前記撓み部の前記ブラケットにおける周方向の位置は、前記軸心が延伸する方向から見て、前記インシュレータの前記突起部と重なる、
請求項6~9のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項11】
前記凹部の形状は、前記ブラケットの径方向の正面から見て長方形状である、
請求項1~10のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項12】
前記凹部の形状は、前記ブラケットの径方向の正面から見て円形状である、
請求項1~10のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項13】
前記凹部の形状は、前記ブラケットの径方向の正面から見て楕円形状である、
請求項1~10のいずれか1項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にモータに関し、より詳細にはブラケットを備えるモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはブラシレスモータが開示されている。このブラシレスモータは、玉軸受け及び回転軸を介して、回転子マグネット等を回転保持するエンドブラケットを有する。エンドブラケットは、エンジニアリングプラスチック材による合成樹脂で形成されている。エンドブラケットの一部には、磁極位置検出用ホール素子を精度よく装着するためのホール素子装着孔が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブラケットを備えるモータでは、ロータの振動がブラケットに伝わり、ブラケットが振動することがある。
【0005】
本開示は上記課題に鑑みてなされ、ブラケットの振動を抑制するモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るモータは、ロータと、ステータと、ハウジングと、を備える。前記ロータは、軸心を回転中心とし、前記軸心が延伸する方向に延びる回転軸を含む。前記ステータは、前記ロータと向かい合って位置し、前記ロータを回転する磁力を供給する。前記ハウジングは、前記ロータ、前記ステータを収容又は保持する。
【0007】
前記ハウジングは、ブラケットと、フレームと、を含む。前記ブラケットは、前記回転軸の第1端を回転保持する。前記フレームは、前記回転軸の第2端を回転自在に保持する。前記フレームは、開放された開口部を有する。前記ブラケットは、ベースと、撓み部と、を有する。前記撓み部は、前記ベースの端部から突出し、前記フレームにおける前記開口部から前記フレームの内部に挿入される。前記撓み部は、凸部及び凹部のうちの一方を有する。前記フレームは、前記凹部及び前記凸部のうちの他方を有する。前記ブラケットは、前記凸部が前記凹部に嵌合することで、前記フレームにおける前記開口部に挿入される態様で前記フレームに固定される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によると、ブラケットの振動を抑制するモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るモータの外観図である。
【
図2】
図2は、同上のモータのフレームを外した斜視図である。
【
図3】
図3は、同上のモータのブラケットの外観図である。
【
図4】
図4は、同上のモータのブラケットを外した上面図である。
【
図6】
図6は、実施形態の第1変形例に係るモータの外観図である。
【
図7】
図7は、同上のモータのフレームを外した斜視図である。
【
図8】
図8は、同上のモータのブラケットの外観図である。
【
図10】
図10Aは、同上のモータにおける
図9のZ1領域の拡大図である。
図10Bは、実施形態の第2変形例に係るモータの嵌合部を説明するための図である。
【
図11】
図11は、実施形態の第3変形例に係るモータのブラケットの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明する各実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、各実施形態及び変形例に限定されない。これらの実施形態及び変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(実施形態)
以下、本実施形態に係るモータ1について、
図1~
図5を用いて説明する。
【0012】
(1)概要
図1は、一実施形態に係るモータ1の外観図である。
図2は、一実施形態に係るモータ1のフレーム21を外した斜視図である。
図3は、一実施形態に係るモータ1のブラケット22の外観図である。
図4は、一実施形態に係るモータ1のブラケット22を外した上面図である。
図5は、一実施形態のモータ1の断面図である。
【0013】
図1に示す本実施形態のモータ1は、例えば、自動車のブレーキに使用されるモータである。ただし、モータ1は、車載用のモータに限定されず、例えば家電機器等の電気機器に適用されるモータでもよい。
【0014】
ここで本実施形態のモータ1は、
図2及び
図5に示すように、ロータ4と、ステータ3と、ハウジング2と、を備える。
【0015】
ロータ4は、回転軸41を含む。回転軸41は、軸心C1を回転中心とし、軸心C1が延伸する方向に延びる。ロータ4は、後述するステータ3で発生する磁力によって回転する。ステータ3は、ロータ4と向かい合って位置する。ステータ3は、ロータ4を回転する磁力を供給する。ハウジング2は、ロータ4、及びステータ3を収容する。ハウジング2は、ロータ4、及びステータ3を直接あるいは間接に保持する。
【0016】
ハウジング2は、回転軸41の第1端を回転保持するブラケット22と、回転軸41の第2端を回転自在に保持するフレーム21と、を含む。フレーム21は、開放された開口部210を有する。ブラケット22は、ベース221と、撓み部63とを有する。撓み部63は、ベース221の端部220から突出し、フレーム21における開放された開口部210からフレーム21の内部に挿入される。撓み部63は、凸部61及び凹部62のうちの一方を有し、フレーム21は、凹部62及び凸部61のうちの他方を有する。ブラケット22は、凸部61が凹部62に嵌合することで、フレーム21における開放された開口部210に挿入される態様でフレーム21に固定される。
【0017】
回転軸41は、回転するロータ4によって軸心C1の周りで回転して回転動力を出力する。
【0018】
つまり、凸部61と凹部62とが嵌め合わされることで形成される嵌合部6によって、ハウジング2におけるフレーム21とブラケット22とを固定している。
【0019】
ところで、従来、モータの振動がブラケットに伝わり、ブラケットがモータの固有振動数で振動して騒音となることがある。例えば、車載などの分野において、ブラケットの振動を抑制することは、乗車している人の乗り心地を快適にするために重要である。特に、使用温度範囲の広範な、例えば、-40℃~120℃の車載用途では、圧入だけでフレームとブラケットとを保持することは容易でない。また、フレームとブラケットとが圧入だけで固定された場合、共振周波数の振動がブラケットに伝わりやすくなり、振動が大きくなる可能性がある。ここで共振周波数とは、物体(例えば、モータ1)が持っている固有周波数と同じ周波数が物体(例えば、モータ1)に与えられると振動が増幅され、強い揺れが生じる周波数のことである。すなわち、モータ1の固有振動数に対して、モータ1に同じ周波数の振動が加わると、振動が大きくなる。
【0020】
本実施形態のモータ1における構成によれば、凸部61及び凹部62のうちの一方を有するフレーム21と、凹部62及び凸部61のうちの他方を有するブラケット22において、凸部61と凹部62とが嵌合することでブラケット22がフレーム21に固定される。よって、本実施形態のモータ1における構成によれば、ブラケット22の振動を抑制することができる。
【0021】
(2)構成
以下、本実施形態に係るモータ1について、詳しく説明する。
【0022】
モータ1は、
図1、
図4及び
図5に示すように、ハウジング2と、ステータ3と、ロータ4と、ボールベアリング7と、複数の渡り線44と、複数の接続端子45と、を備える。
【0023】
(2-1)ロータ
ロータ4は、
図5に示すように、筒状のロータコア40と、回転軸41と、複数(本実施形態では10個)の永久磁石46と、を備える。複数の永久磁石46は、ロータコア40の表面に取り付けられている。複数の永久磁石46は、筒状を成すロータコア40の側面を覆うように配置されている。ロータコア40は、円筒状でも、軸心C1が延伸する方向と交差する断面形状が多角形である筒状でもよい。
【0024】
ロータコア40は、複数の鋼板を含んでいる。ロータコア40は、複数の鋼板を厚さ方向(軸心C1が延伸する方向)に積層して形成されている。各鋼板は、磁性材料(例えば、ケイ素鋼板)により形成されている。
【0025】
つまり、ロータ4は、複数の永久磁石46を有し、複数の永久磁石46による磁界とステータ3のコイル42に電流が流れることにより発生する磁界とで回転し、発生するトルクを回転軸41に伝える。ロータコア40の材料は、例えば、鉄である。より詳細には、ロータコア40には、例えば、ケイ素が混入されたケイ素鋼、パーマロイ、フェライトが用いられる。また、ロータコア40は、発生するトルクを回転軸41に伝えるために高強度が求められることから、鉄、ニッケル、銅、炭素等の合金が使用されることもある。
【0026】
複数(本実施形態では10個)の永久磁石46の各々は、例えば、ネオジム磁石である。複数の永久磁石46の磁極であるN極とS極とは、ロータコア40の周方向A1において交互に並んでいる。つまり、複数の永久磁石46の周方向の外周には磁石のN極とS極が交互に配置される。
【0027】
ロータコア40の内側には、回転軸41が保持されている。回転軸41は、ロータコア40と、軸心C1とを同軸として、ロータコア40の内部に保持されている。
図5に示すように、ロータコア40は、回転軸41が通される軸孔を有している。ロータコア40は、回転軸41とともにステータ3に対して回転可能であり、ステータ3が有する複数のコイル42に電流が流れることで発生する磁界により回転する。
【0028】
(2-2)ステータ
ステータ3は、
図4及び
図5に示すように、ステータコア30と、複数のティース43と、複数(本実施形態では12個)のコイル42と、インシュレータ5と、を備える。
【0029】
ステータコア30は、
図2及び
図5に示すように、複数の鋼板を厚さ方向(軸心C1が延伸する方向)に積層して形成されている。各鋼板は、磁性材料により形成されており、例えば、ケイ素鋼板である。
【0030】
複数のティース43の各々は、ステータコア30の内周面から軸心C1の方向に向けて突出している。なお、ステータコア30の内周面から軸心C1への方向とは、軸心C1が延伸する方向と交差する方向であり、例えば、軸心C1が延伸する方向と直交する方向である。
【0031】
複数のティース43の各々には、電気絶縁性を有するインシュレータ5を介して導線が巻き回されることによって、対応するコイル42が形成される。複数のティース43は、分割可能に構成されていてもよい。複数のティース43が分割できることにより、分割された状態でコイル42を形成し、後からステータ3を形成する。そのため、コイル42の占積率が向上し、銅損が低下し、モータ1の効率が向上する。ここで、占積率とは、銅線を巻く部分に対する銅線の占める面積のことを意味している。
【0032】
インシュレータ5は、電気絶縁性を有する部材である。インシュレータ5は、例えば、PPS(Poly Phenylene Sulfide)やPBT(Poly Butylene Terephtalate)等を用いることができる。例えば、高い耐熱性が求められる用途や車載用には、ガラス繊維等のフィラーを約30~50重量%含むPPS等の樹脂が用いられる。高い耐熱性が求められない用途では、インシュレータ5は、ガラス繊維等のフィラーを約15~30重量%含むPBT等の樹脂を用いてもよい。インシュレータ5は、本実施形態では、軸心C1の方向において、2つに分割可能に構成されている。コイル42は、インシュレータ5で被覆されたティース43に導線が巻き回されて形成されている。つまり、インシュレータ5には、回転軸41が含む軸心C1が延伸する方向と交差する方向(径方向)を巻回軸とするコイル42が形成されている。
【0033】
(2-3)ハウジング
ハウジング2は、フレーム21及びブラケット22を含み、フレーム21及びブラケット22の各々は、金属又は樹脂で形成されている。つまり、フレーム21は金属又は樹脂、ブラケット22は金属又は樹脂で形成されている。このため、フレーム21とブラケット22との材質の組み合わせは、双方とも金属、双方とも樹脂、フレーム21が金属でブラケット22が樹脂、及びフレーム21が樹脂でブラケット22が金属、の組み合わせの4通りが存在する。本実施形態では、上記組み合わせのうち、フレーム21は金属で形成されていて、ブラケット22は樹脂で形成されている場合について説明する。金属は、例えば、鉄である。また、樹脂は、例えば、エンジニアリングプラスチックである。
【0034】
金属を用いた場合には、強度が強く、また放熱性に優れているため、フレーム21に用いた場合には、強度及び放熱性の良さが期待できる。一方、樹脂を用いた場合には、形状の自由度が高く、軽量であり、低コストであり、例えば、樹脂をブラケット22に用いた場合には、上述したモータ1の共振周波数が変化するために、ブラケット22の振動を抑制することができる。
【0035】
ハウジング2は、上述したように、金属製のフレーム21と、樹脂製のブラケット22と、を含んでいる。金属製のフレーム21は、
図1に示すように、円筒状の形状を有している。フレーム21は、その一端に、開放された開口部210を有している。また、
図5に示すように、フレーム21における開口部210のある一端とは反対側の他端211に円形状の凸部212を有している。フレーム21は、開口部210とは反対側の他端211に凸部212を有することで、凸部212が形成する空間213にボールベアリング7を収容することができる。ボールベアリング7は、回転軸41を回転自在に保持する。ボールベアリング7は、内輪が回転軸41に固定され、外輪はモータ1のフレーム21に固定される。ボールベアリング7の内輪は、ロータ4の回転とともに回転軸41と一緒に回転する一方で、ボールベアリング7のリテーナーに保持されたボールと潤滑油をシールしていることにより、回転は滑らかに行いながらボールベアリング7の外輪は回転軸41を保持することができる。ボールベアリング7の主な材料は、例えば、高炭素クロム鋼、中炭素鋼、窒化シリコンセラミックスである。
【0036】
本実施形態では、回転軸41は中実軸であるが、中実軸に限定する趣旨ではない。回転軸41は、ロータコア40と軸心C1を同軸として、ロータコア40の内部に保持されている。軸心C1は、仮想軸であって、モータ1の回転する中心に相当する。
【0037】
本実施形態のフレーム21は、
図2に示すように、フレーム21の内周面において、回転軸41に向かって凸となる半抜き部66(凸部61)を有する。半抜き部66は、抜き加工において、ダボ(又はハーフピアスともいう)によって、完全に穴を抜くのではなく、半抜きを行っている部位である。本実施形態では、半抜き部66は、後述するブラケット22の凹部62と嵌合することで嵌合部6を形成する。半抜き部66は、フレーム21において、軸心C1(仮想軸)に垂直な円周上にあって、本実施形態では、8つある。なお、
図2では、6つの半抜き部66(そのうち3つは裏側を図示)だけが図示されている。
【0038】
8つの半抜き部66は、2箇所ずつ4つのペアになっている。1つのペアを形成する半抜き部66は、軸心C1を挟んで対称となる位置に形成されている。例えば、
図2に示すように、凸部611は、軸心C1を挟んで凸部615とペアとなっており、凸部612は、軸心C1を挟んで凸部614とペアとなっている。本実施形態の4つの半抜き部66のペアは、それぞれが対称の位置にある一方で、フレーム21において、軸心C1に垂直な円周上を均等に分割することは必須ではない。
【0039】
本実施形態においても、8箇所の半抜き部66は、フレーム21の円周上を均等には分割していない。具体的には、
図2に示すように、凸部611と凸部612、及び凸部614と凸部615とは円周上の距離L1でそれぞれ設けられている。一方、凸部611と凸部613、及び凸部615と凸部616とは円周上の距離L2でそれぞれ設けられている。本実施形態では、距離L1と距離L2とは同等ではないため、8つの凸部61は、フレーム21の円周上において、均等には設けられていない。なお、8つの半抜き部66は、フレーム21において、軸心C1に垂直な円周上を均等に分割していてもよい。すなわち、上述した例で言うと、距離L1と距離L2とが等しく設けられていてもよい。
【0040】
樹脂製のブラケット22は、
図3に示すように、円形状のベース221を有する。円形状のベース221は、
図3に示すように、中心部にベース221と同心円状の円形の孔222を有する。また、ベース221は、接続端子45を導出するための導出孔223を有する。また、
図3に示すように、ブラケット22は、撓み部63を有する。撓み部63は、ブラケット22に1又は複数形成されている。撓み部63は、ブラケット22をフレーム21に挿入する場合に撓む。撓み部63の数は、振動を抑制すること及びバランス等を考慮して、3つ以上であることが好ましい。ただし、撓み部63の数は、モータ1の芯出しができていれば、1つでもよいし、2つでもよい。また、撓み部63の数は4つ以上であってもよい。本実施形態では、撓み部63の数は8つである。なお、
図3では、8つの撓み部63のうち、3つを図示している。
【0041】
本実施形態では、ブラケット22に含まれるベース221の径方向A2の方向における端部220から軸心C1が延伸する方向のうちボールベアリング7の方向に向かって(
図3では下方に向かって)、複数(本実施形態では8つ)の撓み部63と、後述する複数(本実施形態では8つ)の位置決め部64と、が突出している。
【0042】
撓み部63は、ブラケット22がフレーム21の内部への挿入時に撓みながらフレーム21の内部に収容される。本実施形態では、フレーム21が凸部61を有し、ブラケット22の撓み部63は、凹部62を有する。すなわち、本実施形態では、フレーム21は、フレーム21の内側面から回転軸41に向けて突出する凸部61を有し、ブラケット22の撓み部63は、凹部62を有し回転軸41に垂直な方向に可動である。可動とは、本実施形態では、撓むことに相当する。撓み部63は、ブラケット22がフレーム21への挿入時には回転軸41の方向(ブラケット22の内側)に撓むが、凸部61と凹部62とが嵌合すると挿入時に撓んでいた変形は弾性復帰により、やや撓みは解消される。
【0043】
本実施形態では、
図3に示すように、ブラケット22は、1又は複数の位置決め部64を更に有している。ここでは一例として、ブラケット22は、8つの位置決め部64を有している。なお、
図3では、8つの位置決め部64のうち、4つを図示している。複数の撓み部63は、ブラケット22に形成された複数のスリット65により、ブラケット22の周方向A1において、複数の位置決め部64とは独立して設けられている。複数の位置決め部64は、
図3に示すように、第1位置決め部64Aと第2位置決め部64Bとの2種類により構成されている。各位置決め部64は、周壁(周壁69A又は周壁69B)と、1つ又は2つの位置決め片641とを有する。
【0044】
第1位置決め部64Aの数は、一例として、4つである。各第1位置決め部64Aは、周壁69Aと1つの位置決め片641とを有し、周方向A1の両側2つのスリット65を介して、2つの撓み部63と隣接している。
【0045】
一方、第2位置決め部64Bの数は、一例として、4つである。各第2位置決め部64Bは、周壁69Bと2つの位置決め片641とを有する。各第2位置決め部64Bは、周方向A1の両側2つのスリット65を介して、2つの撓み部63と隣接している。位置決めを行う位置決め片641は、ブラケット22の周方向A1に12個形成されている。スリット65が設けられていることにより、撓み部63、第1位置決め部64A、及び第2位置決め部64Bは、ブラケット22の周方向A1において、互いに独立して設けられている。また、ブラケット22の端部220から周壁(周壁69A又は周壁69B)の先端までの長さと、ブラケット22の端部220から撓み部63の先端までの長さとは、略同じとなっている(つまり、互いの突出量が略同じ)。位置決め部64は、位置決め片641の分だけ撓み部63よりも長くなっている。なお、位置決め片641の数は、本実施形態では12個であるが、全ての位置決め片641の形状は同一となっている。撓み部63と位置決め部64とは、周方向A1において、それぞれ独立していることにより、モータ1の振動がブラケット22に伝わりにくくなる。すなわち、ブラケット22の全周で振動を受けずに、凸部61と凹部62との嵌合部6(本実施形態では8つ)で振動を受けることになるので、ブラケット22には部分的にしか振動が伝わりにくくなり、ブラケット22の振動を抑制することができる。
【0046】
ブラケット22が含むベース221の端部220から突出する位置決め部64において、ブラケット22の端部220から突出する長さは、撓み部63においてブラケット22のベース221の端部220から突出する長さよりも長い。つまり、本実施形態では、ベース221から見て、位置決め部64の突出する長さは、撓み部63の突出する長さよりも長くなっている。本実施形態では、位置決め部64の位置決め片641は、12個であるが、12個に限定する趣旨ではない。位置決め部64は、位置決め片641がティース43と接触することで、フレーム21に対するブラケット22の位置を間接的に決める。
【0047】
複数の撓み部63は、軸心C1を挟んで対称に2つずつの複数(本実施形態では4つ、合計8箇所)のペアが設けられる。撓み部63の各ペアは、フレーム21とブラケット22との保持のバランスを考慮してブラケット22の周方向A1において対称に設けられる。複数の撓み部63は、例えば、ブラケット22の内部に設けられるリブ等の影響により、ブラケット22の周方向A1において均等に配置されていなくてもよい。なお、複数の撓み部63は、ブラケット22の周方向A1において、均等に設けられていてもよい。
【0048】
撓み部63は、上述の通り、フレーム21が含む凸部61と嵌合する凹部62を有している。本実施形態では、凹部62は、フレーム21が含む凸部61(半抜き部66)と嵌合することにより、嵌合部6を形成する。各撓み部63は、その他の撓み部63及び複数の位置決め部64からブラケット22の周方向A1において、スリット65が設けられることで独立している。フレーム21とブラケット22とは、複数(本実施形態では8つ)の嵌合部6で嵌合する。すなわち、本実施形態では、フレーム21とブラケット22とは、8つの嵌合部6を介して結合している。このため、フレーム21とブラケット22とが圧入により固定されている場合よりも振動を受ける面積が小さいために、ブラケット22に振動が伝わりにくくなり、その結果としてブラケット22の振動を抑制することができる。
【0049】
撓み部63は、フレーム21の開口部210からフレーム21の内部に挿入されるときに撓みながらフレーム21の内部に収容される。具体的には、ブラケット22がフレーム21に挿入されるときに撓み部63は撓み、凸部61と凹部62とが嵌合すると弾性復帰によりやや撓みは解消される。
【0050】
複数の位置決め部64は、複数の位置決め部64の各々の先端である位置決め片641がティース43の位置に当たるように、インシュレータ5を避けるように設けられる。インシュレータ5は、上述したように、渡り線44を物理的に保護し、電気的に絶縁する突起部51を有する。位置決め部64は、突起部51を避けるように設けられる。言い換えると、位置決め部64のブラケット22における周方向A1の位置は、軸心C1の方向から見て、インシュレータ5の突起部51とは重ならない。すなわち、軸心C1の方向から見て、突起部51と位置決め部64とは、異なる位置に設けられる。
【0051】
一方、撓み部63のブラケット22における周方向A1の位置は、軸心C1の方向から見て、インシュレータ5の突起部51と重なる。つまり、撓み部63と突起部51とは、フレーム21の軸心C1の方向において、同じ位置にあると言い得る。撓み部63は、位置決め部64よりもブラケット22の端部220からの突出量が小さくなっており、撓み部63と突起部51とは軸心C1の方向において位置は一致するが、干渉はしない。
【0052】
本実施形態では、凹部62の形状は、
図3に示すように、ブラケット22の径方向(A2)から見て、長方形状である。すなわち、フレーム21が含む凸部61の形状に合うように形成されている。
【0053】
(2-4)ステータにおけるコイルの配線の詳細
次に、ステータ3におけるコイル42の配線の詳細について
図4及び
図5を参照して説明する。
【0054】
複数のコイル42は、
図4に示すように、複数相(本実施形態ではU相、V相、W相の3相)のコイルU1~U4、V1~V4、W1~W4を含んでいる。複数のティース43には、複数相のコイルU1~U4、V1~V4、W1~W4が一対一に設けられている。
【0055】
コイル42は、12個のティース43に対応して12個備えられている。複数のコイル42は、同相のコイル42同士が渡り線44を介して接続され、接続端子45と接続されている。渡り線44とは同相のコイル42同士を接続する電線であり、一端部には複数(本実施形態では4つ)のコイル42が接続され、他端部には接続端子45(
図1、
図2及び
図5参照)と接続されている。各相の渡り線44は、U相接続部441、V相接続部442、及びW相接続部443と接続されている。具体的には、複数のコイル42のうち、U相を構成するコイルU1~U4は、U相接続端子451と接続されている。また、複数のコイル42のうち、V相を構成するコイルV1~V4は、V相接続端子452と接続されている。さらに、複数のコイル42のうち、W相を構成するコイルW1~W4は、W相接続端子453と接続されている。U相接続部441、V相接続部442、及びW相接続部443と、U相接続端子451、V相接続端子452、及びW相接続端子453とは、樹脂で一体に成型されている。
【0056】
本実施形態では、
図4に示すように、複数のコイル42は、コイルU1を起点として左回りに、コイルU1、コイルU2、コイルW1、コイルW2、コイルV3、コイルV4、コイルU3、コイルU4、コイルW3、コイルW4、コイルV1、コイルV2の順に配置されている。
【0057】
上記実施形態では、複数のコイル42、すなわち、コイルU1~U4、コイルV1~V4及びコイルW1~W4は、Δ結線(デルタ結線)である。Δ結線の場合、例えば、2つのコイルU1,U2の直列回路と2つのコイルU3,U4の直列回路とが並列に接続されており、2つのコイルV1,V2の直列回路と2つのコイルV3,V4の直列回路とが並列に接続されており、2つのコイルW1,W2の直列回路と2つのコイルW3,W4の直列回路とが並列に接続されている。U相、V相、W相の各々において、いわゆる2直2並の回路が採用される。
【0058】
なお、本開示の特徴は、Δ結線に限定されるものではない。複数のコイル42は、Y結線(スター結線)であってもよい。
【0059】
(3)動作
各コイルU1~U4、V1~V4、W1~W4には、通電によって電流が流れると、磁界が発生する。各コイルU1~U4、V1~V4、W1~W4に対する通電を制御する各スイッチ回路は、電流の流れる向き、通電の入り切りを切替えることにより、発生する磁界の向き、大きさを変えることができる。また、各スイッチ回路は、ロータ4の回転位置に応じて駆動電流を供給する。このことにより、ロータ4は、回転位置に応じた駆動力を得ることができる。
【0060】
コイルU1~U4、V1~V4、W1~W4は、軸心C1を中心として、同一円周上に配置される。本実施形態では、コイル42は12個のコイルU1~U4,V1~V4,W1~W4で構成されている。
【0061】
例えば、モータ1は、10極12スロットのモータであり、コイルU1~U4、コイルV1~V4、コイルW1~W4は、ロータ4の回転に合わせて通電を切替えることにより、ロータ4の回転を維持している。つまり、スイッチングFET回路がコイルU1~U4、コイルV1~V4、コイルW1~W4のそれぞれの電流の大きさ及び向きを変えることにより、ロータ4は回転している。
【0062】
ロータ4は、回転するときに、特定の速度領域で振動が大きくなる共振を起こすことがある。共振は、モータ1の固有振動数とモータ1の動作時の振動が原因で発生する。このため、本実施形態では、ハウジング2において、金属のフレーム21と、樹脂のブラケット22とを使用することで、モータ1及び機構の固有振動数と、モータ1の動作時の振動とを変化させ、振動を抑制している。
【0063】
(4)利点
本実施形態のモータ1は、ロータ4と、ステータ3と、ハウジング2と、を備える。
【0064】
ハウジング2は、ロータ4、及びステータ3を収容又は保持する。ハウジング2は、回転軸41の第1端を回転保持するブラケット22と、回転軸41の第2端を回転自在に保持するフレーム21と、を含む。フレーム21は、開放された開口部210を有する。ブラケット22は、ベース221と、撓み部63と、を有する。撓み部63は、ベース221の端部220から突出し、フレーム21における開口部210からフレーム21の内部に挿入される。撓み部63は、凸部61及び凹部62のうちの一方を有し、フレーム21は、凹部及び凸部のうちの他方を有する。ブラケット22は、凸部61が凹部62に嵌合することで、フレーム21における開口部210に挿入される態様でフレーム21に固定される。
【0065】
この構成によると、振動を抑制するモータ1を提供することができる。
【0066】
本実施形態では、フレーム21が金属であり、ブラケット22が樹脂である。
【0067】
この構成によると、モータ1及び機構の固有振動数と、モータ1の動作時の振動が原因で発生する共振において、モータ1は、樹脂のブラケット22を採用することで、固有振動数及びモータ1の動作時の振動を変化させ、振動を抑制することができる。また、樹脂は形状自由度が高いために、ブラケット22の凹部62を加工し易い利点がある。
【0068】
(5)変形例
以下に、変形例について列記する。なお、以下に説明する変形例は、上記実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
【0069】
(5-1)第1変形例
上記実施形態では、撓み部63の凹部62は、長方形の半抜き部66とする構成としたが、この構成に限定されない。第1変形例に係るモータ1Aの外観図を
図6に示す。モータ1Aの撓み部63に形成される凹部は、
図7及び
図8に示すように、丸型の凹部67であってもよい。また、モータ1Aの断面図を
図9に示す。また、丸型の凹部67を含む嵌合部6Aの断面(Z1領域)の拡大図を
図10Aに示す。丸型の凹部67とした場合、フレーム21Aとブラケット22Aとが押し合う方向及び引っ張り合う方向に力が加わった場合にも、丸型の嵌合部6A(凸部61A及び凹部67)は、嵌合する力を発揮することができる。このため、実施形態1の凹部62の形状である長方形の半抜き部66よりも汎用性が高くなる可能性がある。
【0070】
(5-2)第2変形例
上記実施形態では、
図10Aに示すように、ブラケット22Aの凹部67とフレーム21Aの凸部61Aとが嵌合して嵌合部6Aを形成する構成としたが、この構成に限定されない。
図10Bに示すように、フレーム21Bが凹部67Bを有し、ブラケット22Bが凸部61Bを有する構成であってもよい。
【0071】
(5-3)第3変形例
上記実施形態では、
図3及び
図5に示すように、撓み部63の凹部62は、長方形の半抜き部66とする構成としたが、この構成に限定されない。撓み部63の凹部は、
図11に示すように、楕円型の凹部68であってもよい。楕円型の凹部68の場合、フレームとブラケット22Cとが押し合う方向及び引っ張り合う方向に力が加わった場合にも、楕円形の嵌合部は、嵌合する力を発揮することができる。また、楕円型の凹部68とすることで、嵌合部の面積を大きくし、力が加わった場合の強度を丸型の凹部67(
図8参照)よりも大きくすることができる。さらに、嵌合部の面積が大きくなることで、楕円型の凹部68は、実施形態の凹部62(半抜き部66)よりも大きな嵌合力を発揮する可能性がある。
【0072】
(5-4)第4変形例
上記実施形態では、モータ1は、金属のフレーム21と樹脂のブラケット22との組み合わせの構成としたが、この構成に限定されない。凸部61及び凹部62を含めた嵌合部6と、ヒンジ状に撓む撓み部63の構成が担保されていれば、フレーム21とブラケット22との組み合わせは、金属のフレーム21と金属のブラケット22、樹脂のフレーム21と金属のブラケット22、樹脂のフレーム21と樹脂のブラケット22の構成であってもよい。金属が材料として使用される場合には、強度及び放熱性が期待でき、樹脂が材料として使用される場合には、形状の設計自由度、振動の抑制、軽量、低コスト等が期待できる。
【0073】
(5-5)第5変形例
上記実施形態では、10極の3相モータである構成としたが、この構成に限定されない。10極よりも少ない8極であってもよいし、10極よりも多い18極であってもよい。また、極数に応じて、位置決め部64の個数及び撓み部63の個数も変わっていてもよい。撓み部は3箇所以上が好ましいが、1箇所でもよいし、2箇所でもよいし、4箇所以上でもよい。
【0074】
(5-6)第6変形例
上記実施形態では、ブラケット22の端部から突出する位置決め部64の長さは、ブラケット22の端部から突出する撓み部63の長さよりも長い構成としたが、この構成に限定されない。例えば、圧入されているコアに切り欠きがあるような場合には、位置決め部64の長さよりも撓み部63の長さの方が長くなっていてもよい。
【0075】
(5-7)第7変形例
上記実施形態では、ロータ4は、ロータコア40の表面に複数の永久磁石46が配置されている表面磁石形回転子すなわちSPM(Surface permanent Magnet)形回転子であるが、ロータ4は、SPM形回転子であることに限定されない。ロータ4は、ロータコア40に複数の永久磁石46が埋め込まれている埋込磁石形回転子すなわちIPM(Interior Permanent Magnet)形回転子であってもよい。ロータ4がIPM形回転子である場合、例えば、板状に形成された永久磁石46は、ロータコア40に穿たれた複数の孔にそれぞれ嵌合される。
【0076】
(まとめ)
以上、説明したように、第1の態様に係るモータ(1、1A)は、ロータ(4)、ステータ(3)、及びハウジング(2)を備える。
【0077】
ロータ(4)は、回転軸(41)を含む。回転軸(41)は、軸心(C1)を回転中心とし、軸心(C1)が延伸する方向に延びる。ステータ(3)は、ロータ(4)と向かい合って位置する。ステータ(3)は、ロータ(4)を回転する磁力を供給する。ハウジング(2)は、ロータ(4)、及びステータ(3)を収容又は保持する。ハウジング(2)は、回転軸(41)の第1端を回転保持するブラケット(22)と、回転軸(41)の第2端を回転自在に保持するフレーム(21)と、を含む。フレーム(21)は、開放された開口部(210)を有する。ブラケット(22)は、ベース(221)と、撓み部(63)と、を有する。撓み部(63)は、ベース(221)の端部(220)から突出し、フレーム(21)における開口部(210)からフレーム(21)の内部に挿入される。撓み部(63)は、凸部(61)及び凹部(62)のうちの一方を有し、フレーム(21)は、凹部(62)及び凸部(61)のうちの他方を有する。ブラケット(22)は、凸部(61)が凹部(62)に嵌合することで、フレーム(21)における開口部(210)に挿入される態様でフレーム(21)に固定される。
【0078】
この態様によると、ハウジング(2)を成すフレーム(21)及びブラケット(22)のうち一方が凸部(61)を有し、他方が凹部(62)を有する。凸部(61)と凹部(62)とは、嵌合することでフレーム(21)及びブラケット(22)を固定する。このため、フレーム(21)及びブラケット(22)が全周にわたって固定される場合と比較して、固定される部位が限定され、モータ(1、1A)の振動が伝わりにくくなる。したがって、振動を抑制することができる。
【0079】
第2の態様に係るモータ(1、1A)では、撓み部(63)は、第1の態様において、フレーム(21)の内部への挿入時に撓みながらフレーム(21)の内部に収容される。
【0080】
この態様によると、ブラケット(22)をフレーム(21)に挿入する際に撓み部(63)が撓むことで、ブラケット(22)をフレーム(21)に挿入し易くなる。また、撓み部(63)が撓むことで、モータ(1、1A)の振動を吸収することができるので、振動を抑制することができる。
【0081】
第3の態様に係るモータ(1、1A)では、第1又は第2の態様において、フレーム(21)は、凸部(61)を有する。凸部(61)は、フレーム(21)の内側面から回転軸(41)に向けて突出する。撓み部(63)は、凹部(62)を有し、回転軸(41)に垂直な方向(径方向)に可動である。
【0082】
この構成によると、フレーム(21)は、フレーム(21)の内側面から回転軸(41)に向けて突出する凸部(61)を有することで、フレーム(21)を加工する場合に加工し易くなる。また、撓み部(63)は、凹部(62)を有し、回転軸(41)に垂直な方向に可動であることで、振動を吸収することができるので、振動を抑制することができる。
【0083】
第4の態様に係るモータ(1、1A)では、第1~第3のいずれかの態様において、フレーム(21)及びブラケット(22)の各々は、金属又は樹脂で形成されている。
【0084】
この構成によると、金属は樹脂と比較して強度を有しており、放熱性に優れるという特性を有しており、樹脂は金属と比較して形状の自由度が高く、軽量であり、低コストである特性を有している。このため、フレーム(21)及びブラケット(22)の各々は、金属又は樹脂で形成されていることで、材料の選択肢が広がり、それぞれの材料の特性を生かすことができる。
【0085】
第5の態様に係るモータ(1、1A)では、第1~第3のいずれかの態様において、フレーム(21)は金属で形成されていて、ブラケット(22)は樹脂で形成されている。
【0086】
この構成によると、フレーム(21)は金属で形成されており、ブラケット(22)は樹脂で形成されていることで、モータ(1、1A)の固有の振動数を変更することができ、振動を抑制することができる。また、ブラケット(22)は樹脂で形成されることで、樹脂の形状自由度を生かして凹部(62)を加工し易くなる。
【0087】
第6の態様に係るモータ(1、1A)では、第1~第5のいずれかの態様において、撓み部(63)は、ブラケット(22)に1又は複数形成されている。
【0088】
この態様によると、撓み部(63)は、1又は複数形成されていることで、フレーム(21)とブラケット(22)とを固定し、振動を抑制することができる。
【0089】
第7の態様に係るモータ(1、1A)では、第1~第6のいずれかの態様において、ブラケット(22)は、ベース(221)の端部(220)から突出する位置決め部(64)を更に有する。
【0090】
この態様によると、位置決め部(64)は、フレーム(21)とブラケット(22)との軸心(C1)から見た位置関係を決めることができるので、フレーム(21)とブラケット(22)との軸心(C1)の方向の位置関係が安定する。
【0091】
第8の態様に係るモータ(1、1A)では、第7の態様について、位置決め部(64)においてベース(221)の端部(220)から突出する長さは、撓み部(63)においてベース(221)の端部(220)から突出する長さよりも長い。
【0092】
この態様によると、位置決め部(64)は、撓み部(63)よりも長いことで、ブラケット(22)とフレーム(21)との位置が安定した状態で嵌合部(6、6A)を形成することができる。
【0093】
第9の態様に係るモータ(1、1A)では、第7又は第8の態様において、ステータ(3)は、ステータコア(30)と、複数のティース(43)と、コイル(42)と、インシュレータ(5)と、を有する。複数のティース(43)は、ステータコア(30)の内周面から回転軸(41)に向けて突出する。コイル(42)は、複数のティース(43)のそれぞれに導線が巻き回されることによって形成され、電流が流れることにより磁界を発生することでロータ(4)を回転させる。インシュレータ(5)は、複数のティース(43)のそれぞれに嵌合する。し、インシュレータ(5)の外周にコイル(42)が形成されることで複数のティース(43)の各々とコイル(42)とを電気的に絶縁する。モータ(1、1A)は、一端部に複数のコイル(42)が接続され、他端部にコイルに通電する電源が入力される渡り線(44)を更に備える。インシュレータ(5)は、渡り線(44)を収容する突起部(51)を有する。位置決め部(64)のブラケット(22)における周方向(A1)の位置は、フレーム(21)の軸心(C1)が延伸する方向から見て、インシュレータ(5)の突起部(51)と重ならない。
【0094】
この態様によると、位置決め部(64)のブラケット(22)における周方向(A1)の位置は、軸心(C1)が延伸する方向から見て、インシュレータ(5)の突起部(51)と重ならないようにすることで、位置決め部(64)は、フレーム(21)とブラケット(22)とを安定して位置決めを行うことができる。
【0095】
第10の態様に係るモータ(1、1A)では、第6~第9のいずれかの態様において、ステータ(3)は、ステータコア(30)と、複数のティース(43)と、コイル(42)と、インシュレータ(5)と、を有する。複数のティース(43)は、ステータコア(30)の内周面から回転軸(41)に向けて突出する。コイル(42)は、複数のティース(43)のそれぞれに導線が巻き回されることによって形成され、電流が流れることにより磁界を発生することでロータ(4)を回転させる。インシュレータ(5)は、複数のティース(43)のそれぞれに嵌合し、その外周にコイル(42)が形成されることで複数のティース(43)の各々とコイル(42)とを電気的に絶縁する。モータ(1、1A)は、一端部に複数のコイル(42)が接続され、他端部にコイルに通電する電源が入力される渡り線(44)を更に備える。インシュレータ(5)は、渡り線(44)を収容する突起部(51)を有する。撓み部(63)のブラケット(22)における周方向(A1)の位置は、軸心(C1)が延伸する方向から見て、インシュレータ(5)の突起部(51)と重なる。
【0096】
この態様によると、撓み部(63)のブラケット(22)における周方向(A1)の位置は、フレーム(21)の軸心(C1)の方向から見て、インシュレータ(5)の突起部(51)と重なることで、周方向(A1)の空間を有効に利用することができる。
【0097】
第11の態様に係るモータ(1)では、第1~第10のいずれかの態様において、凹部(62)の形状は、ブラケット(22)の径方向(A2)の正面から見て、長方形状である。
【0098】
この態様によると、凹部(62)の形状が長方形状であることで、嵌合部(6)は長方形となり、フレーム(21)とブラケット(22)とが逆方向に引っ張られる場合に、嵌合の強度を発揮することができる。
【0099】
第12の態様に係るモータ(1A)では、第1~第10のいずれかの態様において、凹部(62)の形状は、ブラケット(22A)の径方向(A2)の正面から見て、円形状である。
【0100】
この態様によると、凹部(62)の形状が丸型の凹部(67)であることで、嵌合部(6A)は丸型となり、フレーム(21A)とブラケット(22A)とが互いに押し合う方向及びその逆方向に引っ張られる方向に力が加わった場合に、嵌合の強度を発揮することができる。
【0101】
第13の態様に係るモータ(1)では、第1~第10のいずれかの態様において、凹部(62)の形状は、ブラケット(22C)の径方向(A2)の正面から見て、楕円形状である。
【0102】
この態様によると、凹部(62)の形状が楕円型の凹部(68)であることで、嵌合部は楕円型となり、フレームとブラケット(22C)とが互いに互いに押し合う方向及びその逆方向に引っ張られる方向に力が加わった場合に、嵌合の強度を発揮することができる。丸型の凹部(67)よりも面積が大きくなることで、楕円型の凹部(68)は、丸型の凹部(68)よりも嵌合の強度が強くなる。
【符号の説明】
【0103】
1、1A モータ
2 ハウジング
3 ステータ
4 ロータ
5 インシュレータ
6、6A 嵌合部
21、21A、21B フレーム
22、22A、22B、22C ブラケット
41 回転軸
42 コイル
43 ティース
44 渡り線
51 突起部
61、61A、61B 凸部
62 凹部
63 撓み部
64 位置決め部
66 半抜き部
67 丸形の凹部
68 楕円型の凹部
210 開口部
220 端部
221 ベース
A1 周方向
C1 軸心