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特開2024-149934回転子、モータ、及び、回転子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149934
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】回転子、モータ、及び、回転子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20241016BHJP
   H02K 15/03 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H02K1/276
H02K15/03 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147210
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 修悟
(72)【発明者】
【氏名】米田 博
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622CA02
5H622CA06
5H622CB03
5H622CB05
5H622PP03
5H622PP10
5H622PP12
(57)【要約】
【課題】別途部材を使用することなく、永久磁石を保持することができる回転子、モータ、及び、回転子の製造方法を提供する。
【解決手段】回転子は、回転子鉄心20と、複数の永久磁石30と、回転軸と、を備える。回転子鉄心20は、複数の磁石配置穴110を有する。複数の永久磁石30は、複数の磁石配置穴110に対応し、各々が対応する磁石配置穴110の内部に配置される。回転軸は、回転子鉄心20に固定され、軸心を回転中心とする。回転子鉄心20は、第1内面121及び第2内面122と、突起120と、を有する。第1内面121及び第2内面122は、第1磁石配置穴110の内側に位置し、互いに対向する。突起120は、回転子鉄心20の塑性変形により形成され、第2内面122から第1内面121側に突出する。第1磁石配置穴110に配置される第1永久磁石30は、突起120によって第1磁石配置穴110内に保持される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁石配置穴を有する回転子鉄心と、
前記複数の磁石配置穴に対応し、各々が対応する磁石配置穴の内部に配置された複数の永久磁石と、
前記回転子鉄心に固定され、軸心を回転中心とする回転軸と、を備え、
前記回転子鉄心は、
複数の磁石配置穴に含まれる第1磁石配置穴の内側に位置し、互いに対向する第1内面及び第2内面と、
前記回転子鉄心の塑性変形により形成され、前記第2内面から前記第1内面側に突出する突起と、を有し、
前記複数の永久磁石のうち、前記第1磁石配置穴に配置される第1永久磁石は、前記突起によって前記第1磁石配置穴内に保持される、
回転子。
【請求項2】
前記第1内面と前記第2内面とは、前記回転軸の前記軸心が延伸する方向と直交する方向と交差する方向に対向する、
請求項1に記載の回転子。
【請求項3】
前記第1内面と前記第2内面とは、前記回転軸の前記軸心が延伸する方向と直交する方向に対向し、
前記突起は、前記回転子鉄心の外側に突出する、
請求項1に記載の回転子。
【請求項4】
前記突起は、前記回転子鉄心の所定の位置を前記回転軸の前記軸心が延伸する方向に加圧して前記回転子鉄心に塑性変形を生じさせることによって形成される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の回転子。
【請求項5】
前記回転子鉄心は、所定の位置に空洞を有し、
前記突起は、前記空洞を広げて前記回転子鉄心に塑性変形を生じさせることによって形成される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の回転子。
【請求項6】
前記第2内面からの前記突起の突出量は、前記第1永久磁石と前記第2内面との距離よりも大きい、
請求項1から5のいずれか1項に記載の回転子。
【請求項7】
前記突起は、前記第2内面と対向する前記第1永久磁石の面における、前記回転軸の前記軸心が延伸する方向に延びる中心軸に接触する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の回転子。
【請求項8】
前記突起は、前記第2内面に沿って延伸する長尺形状である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の回転子。
【請求項9】
前記回転子鉄心は、前記回転軸の前記軸心が延伸する方向において、前記突起と同じ側に同面側突起を更に有し、
前記同面側突起は、前記第1永久磁石を保持する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の回転子。
【請求項10】
前記同面側突起は、前記第2内面から前記第1内面側に突出する、
請求項9に記載の回転子。
【請求項11】
前記突起と前記同面側突起との間に、前記第2内面と対向する前記第1永久磁石の面における、前記回転軸の前記軸心が延伸する方向に延びる中心軸が位置する、
請求項10に記載の回転子。
【請求項12】
前記第1永久磁石は、前記第1内面に接した状態で保持される、
請求項1から11のいずれか1項に記載の回転子。
【請求項13】
前記同面側突起は、前記第1内面から前記第2内面側に突出する、
請求項9に記載の回転子。
【請求項14】
前記突起と前記同面側突起とが対向する方向は、前記第1内面と前記第2内面とが対向する方向と同方向である、
請求項13に記載の回転子。
【請求項15】
前記突起と前記同面側突起とが対向する方向は、前記第1内面と前記第2内面とが対向する方向と異なる方向である、
請求項13に記載の回転子。
【請求項16】
前記回転子鉄心は、前記回転軸の前記軸心が延伸する方向に第1端面と第2端面とを有し、
前記磁石配置穴は、前記回転子鉄心の前記第1端面から前記第2端面まで貫通する貫通孔であり、
前記突起は、前記第1端面側に形成され、
前記回転子鉄心は、前記第2端面側に、前記第1永久磁石を保持する対向側突起を更に有する、
請求項1から15のいずれか1項に記載の回転子。
【請求項17】
前記対向側突起は、前記第2内面から前記第1内面側に突出し、
前記第1永久磁石は、前記回転軸の前記軸心が延伸する方向に沿って前記第1内面に連続して接する、
請求項16に記載の回転子。
【請求項18】
前記対向側突起は、前記第1内面から前記第2内面に突出し、
前記第1永久磁石は、前記回転子鉄心の前記第1端面側で前記第1内面に接し、前記回転子鉄心の前記第2端面側で前記第2内面に接する、
請求項16に記載の回転子。
【請求項19】
前記回転子鉄心は、前記第2内面から前記第1内面側に突出する突出部を更に備え、
前記突出部が前記第2内面から突出する距離は、前記突起が前記第2内面から突出する距離と、前記第2内面と前記第1永久磁石との距離とのいずれよりも大きく、
前記突起と前記突出部とは、前記回転子鉄心の塑性変形により一体成型されている、
請求項1から18のいずれか1項に記載の回転子。
【請求項20】
前記回転子鉄心は、複数の板状磁性鋼が積層された積層体を有し、
前記複数の板状磁性鋼は、前記回転軸の前記軸心が延伸する方向における第1端面を含む第1鋼板群と、前記第1鋼板群に接する第2鋼板群とを含み、
前記第1鋼板群は、前記第1端面から前記第2鋼板群まで貫通する貫通孔が設けられ、
前記第2鋼板群は、前記貫通孔によって前記第1端面側に露出した部分が塑性変形することで形成された前記突起を有する、
請求項1から19のいずれか1項に記載の回転子。
【請求項21】
前記回転子鉄心は、
前記複数の磁石配置穴に含まれる第2磁石配置穴の内側に位置し、互いに対向する第3内面及び第4内面と、
前記回転子鉄心の塑性変形により形成され、前記第4内面から前記第3内面側に突出する、前記突起である第1突起とは異なる第2突起と、を更に有し、
前記複数の永久磁石のうち、前記第2磁石配置穴に配置される第2永久磁石は、前記第2突起によって前記第2磁石配置穴内に保持され、
第2突起が突出する方向と、前記回転軸の前記軸心が延伸する方向と直交し、かつ、前記軸心と前記第2突起とを通る方向とがなす角度は、前記突起が突出する方向と、前記軸心が延伸する方向と直交し、かつ、前記軸心と前記突起とを通る方向がなす角度と等しい、
請求項1から20のいずれか1項に記載の回転子。
【請求項22】
前記第1突起と、前記第2突起とは、前記回転軸の前記軸心が延伸する方向において同一の端面側に設けられる、
請求項21に記載の回転子。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか1項に記載の回転子と、
固定子と、を備える
モータ。
【請求項24】
複数の磁石配置穴を有する回転子鉄心と、前記複数の磁石配置穴に対応する複数の永久磁石と、軸心を回転中心とし前記軸心が延伸する方向に延びる回転軸とを備える回転子の製造方法であって、
前記軸心が延伸する前記方向に延伸する複数の磁石配置穴を有する前記回転子鉄心を準備し、
前記複数の永久磁石の各々を前記複数の磁石配置穴の対応する磁石配置穴に配置し、
前記軸心が延伸する方向に対向する前記回転子鉄心の第1端面と第2端面に対し、前記回転子鉄心の前記第1端面を前記第2端面に向かって加圧して前記回転子鉄心を塑性変形させ、前記複数の磁石配置穴の少なくとも1つの第1磁石配置穴の内面から突出し、前記複数の永久磁石のうち前記第1磁石配置穴に配置される第1永久磁石を保持する突起を形成する、
回転子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転子、モータ、及び、回転子の製造方法に関し、特に、永久磁石を備える回転子、回転子を備えるモータ、及び、永久磁石を備える回転子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、永久磁石を備える回転子が記載されている。
【0003】
回転子の回転子コア(回転子鉄心)には、永久磁石を埋設するための磁石埋設用孔(磁石配置穴)が複数形成されている。複数の磁石埋設用孔の各々には、永久磁石が保持されている。永久磁石の外面と磁石埋設用孔の内面との間には隙間が存在するため、これらの隙間にはばね性の金属板が挿入されている。永久磁石は、ばね性の金属板によって磁石埋設用孔の内部に保持されており、永久磁石と回転子鉄心との相対的位置関係が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-87075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の回転子では、磁石埋設用孔の内面と永久磁石の外面との間に金属板を設置する必要がある。
【0006】
本開示は上記の点に鑑みてなされたものであり、別途部材を使用することなく、永久磁石を回転子鉄心の磁石配置穴に保持することができる回転子、モータ、及び、回転子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る回転子は、回転子鉄心と、複数の永久磁石と、回転軸と、を備える。前記回転子鉄心は、複数の磁石配置穴を有する。前記複数の永久磁石は、前記複数の磁石配置穴に対応し、各々が対応する磁石配置穴の内部に配置されている。前記回転軸は、前記回転子鉄心に固定され、軸心を回転中心とする。前記回転子鉄心は、第1内面及び第2内面と、突起と、を有する。前記第1内面及び前記第2内面は、複数の磁石配置穴に含まれる第1磁石配置穴の内側に位置し、互いに対向する。前記突起は、前記回転子鉄心の塑性変形により形成され、前記第2内面から前記第1内面側に突出する。前記複数の永久磁石のうち、前記第1磁石配置穴に配置される第1永久磁石は、前記突起によって前記第1磁石配置穴内に保持される。
【0008】
本開示の一態様に係るモータは、前記回転子と、固定子と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る回転子の製造方法は、回転子鉄心と、複数の永久磁石と、回転軸とを備える回転子の製造方法である。前記回転子鉄心は、複数の磁石配置穴を有する。前記複数の永久磁石は、前記複数の磁石配置穴に対応する。前記回転軸は、軸心を回転中心とし前記軸心が延伸する方向に延びる。前記製造方法では、前記軸心が延伸する前記方向に延伸する複数の磁石配置穴を有する前記回転子鉄心を準備する。前記製造方法では前記複数の永久磁石の各々を前記複数の磁石配置穴の対応する磁石配置穴に配置する。前記製造方法では、前記回転子鉄心の第1端面を第2端面に向かって加圧して前記回転子鉄心を塑性変形させ、突起を形成する。前記第1端面と前記第2端面は、前記軸心が延伸する方向に対向する。前記突起は、前記複数の磁石配置穴の少なくとも1つの第1磁石配置穴の内面から突出し、前記複数の永久磁石のうち前記第1磁石配置穴に配置される第1永久磁石を保持する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様に係る回転子、モータ、及び回転子の製造方法によれば、回転子鉄心に設けられた突起により、回転子鉄心の磁石配置穴に永久磁石を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係るモータの概略図である。
図2図2Aは、実施形態に係る回転子の回転子鉄心における回転子ブロックの概略平面図である。図2Bは、同上の回転子ブロックにおける、図2AのX-X断面に対応する概略断面図である。
図3図3Aは、回転子の製造工程における第1工程を示す概略図である。図3Bは、回転子の製造工程における第2工程を示す概略図である。図3Cは、回転子の製造工程における第3工程を示す概略図である。
図4図4Aは、変形例1に係る回転子ブロックの概略平面図である。図4Bは、変形例2に係る回転子ブロックの概略平面図である。
図5図5Aは、変形例3に係る回転子ブロックの概略平面図である。図5Bは、変形例3に係る他の回転子ブロックの概略平面図である。
図6図6Aは、変形例4に係る回転子ブロックの概略断面図である。図6Bは、変形例5に係る回転子ブロックの概略断面図である。
図7図7Aは、変形例6に係る回転子ブロックの概略断面図である。図7Bは、変形例7に係る回転子ブロックの概略断面図である。
図8図8Aは、変形例8に係る回転子ブロックの概略平面図である。図8Bは、同上の回転子ブロックにおける、図8AのX1-X1断面に対応する概略断面図である。
図9図9Aは、変形例9に係る回転子ブロックの概略平面図である。図9Bは、変形例10に係る回転子ブロックの概略平面図である。
図10図10Aは、変形例10に係る他の回転子ブロックの概略平面図である。図10Bは、変形例10に係る他の回転子ブロックの概略平面図である。
図11図11Aは、変形例11に係る回転子ブロックの概略平面図である。図11Bは、変形例12に係る回転子ブロックの概略平面図である。
図12図12Aは、変形例13に係る回転子ブロックの概略平面図である。図12Bは、同上の回転子ブロックにおける、図12AのX2-X2断面に対応する概略断面図である。
図13図13Aは、実施形態に係る回転子鉄心の部分平面図である。図13Bは、変形例9に係る回転子鉄心の部分平面図である。
図14図14Aは、変形例に係る回転子ブロックの製造途上の概略平面図である。図14Bは、同上の回転子ブロックの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態に係る回転子、モータ、及び、回転子の製造方法について図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例に過ぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
(1)概要
本開示の実施形態に係るモータ1は、ブラシレスモータである。モータ1は、図1に示すように、固定子2と、固定子2の内部に配置される、本開示の実施形態に係る回転子10と、を備える。なお、図1は、回転子10の回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からのモータ1の平面図である。
【0014】
回転子10は、回転子鉄心20と、複数(図1では10個)の永久磁石30と、回転軸40と、を有している。複数の永久磁石30は、回転子鉄心20に保持されている。固定子2は、固定子鉄心60と、複数(図1では12個)のコイル69と、を有している。固定子鉄心60は、回転子鉄心20の周囲に配置されている。すなわち、固定子鉄心60は、回転子鉄心20を囲んでいる。複数のコイル69は、固定子鉄心60に巻かれている。回転子10は、固定子2に対して回転する。すなわち、複数のコイル69から発生する磁束(磁力)が複数の永久磁石30に作用することにより、回転子10が回転する。回転子10の回転力(駆動力)は、回転軸40からモータ1の外部に出力される。
【0015】
(2)回転子の詳細
(2-1)概要
回転子10は、上述したように、回転子鉄心20と、回転軸40と、複数の永久磁石30と、を含む。
【0016】
回転子鉄心20は、円筒形状に形成されている。回転子鉄心20は、複数の鋼板が厚さ方向に積層されて形成している、いわゆる積層コアである。複数の鋼板の積層方向は、図2Bに示すように、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1である。回転子鉄心20は、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1における一方に第1端面21を有する。回転子鉄心20は、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1において第1端面21と対向する第2端面22を有する。回転子鉄心20の中心には、図3Bに示すように、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に回転子鉄心20を貫通し、第1端面21と第2端面22とでそれぞれ開口する軸孔100が形成されている。
【0017】
また、回転子鉄心20は、図1に示すように、回転子鉄心20の周方向Rに沿って、同一の構造(以下、「回転子ブロック50」という)が、永久磁石30の数だけ隙間なく繰り返し並んでいる。周方向Rとは、回転軸40の軸心Aが延伸する方向に直交する仮想平面において、回転軸40の軸心Aを中心とする円の円周に沿った方向である。すなわち、回転子鉄心20は、回転子鉄心20の周方向Rに沿って、複数(図1では10個)の回転子ブロック50を含む。回転子鉄心20は、回転子ブロック50ごとに、磁石配置穴110が形成されている。磁石配置穴110の各々は、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に沿って延伸し、少なくとも第1端面21で開口する。磁石配置穴110の各々は、略直方体状である。実施形態では、磁石配置穴110の各々は、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に沿って回転子鉄心20を貫通し、第2端面22で開口する貫通孔である。
【0018】
回転軸40は、棒状の部材である。回転軸40は、回転子鉄心20の軸孔100に挿入される。回転軸40は、回転子鉄心20に対して相対移動しないよう回転子鉄心20の軸孔100に保持される。
【0019】
永久磁石30は、回転子鉄心20の磁石配置穴110に挿入される。永久磁石30は、例えば、直方体状である。永久磁石30は、互いに対向する外面を3対有する。永久磁石30は、後述するように、回転子鉄心20に対して相対移動しないように回転子鉄心20の磁石配置穴110に挿入される。永久磁石30の6つの外面のうち、磁石配置穴110に設置されたときに回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に延伸する4つの外面を外面31、32、33、34という。外面31と外面32とは互いに対向する。また、外面33と外面34とは互いに対向する。
【0020】
(2-2)回転子ブロック
図2Aは、1つの回転子ブロック50を回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1から平面視した概略図である。なお、図2Aは、回転子鉄心20の磁石配置穴110に永久磁石30が挿入された状態を示している。磁石配置穴110は、回転子鉄心20の径方向Dに長尺の長方形状である。ここで、回転子鉄心20の径方向Dとは、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に直交し、かつ、回転軸40の軸心Aと着目位置とを結ぶ方向をいう。すなわち径方向Dは、着目位置と回転軸40の軸心Aとの相対的位置関係に依存する。着目位置とは、径方向Dがどの向きかを判断する位置であり、ここでは磁石配置穴110である。すなわち、磁石配置穴110は、磁石配置穴110と回転軸40の軸心Aとを結ぶ方向に長尺である。回転子鉄心20は、回転子鉄心20の径方向Dに互いに対向する内面111と内面112とを有する。また、回転子鉄心20は、回転子鉄心20の周方向Rに互いに対向する内面113と内面114とを有する。4つの内面111、112、113、114によって囲まれた領域が磁石配置穴110である。
【0021】
回転子鉄心20は、図2Bに示すように、主部201と、磁石保持部202とを含む。主部201と、磁石保持部202とは、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に沿って並んでいる。磁石保持部202は、第1端面21を含む。磁石保持部202は、図2A及び図2Bに示すように、磁石配置穴110の1つの内面に向かって突出する突起120を有する。磁石配置穴110の内面のうち、突起120と対向する内面を第1内面121という。また、磁石配置穴110の内面のうち、第1内面121に対向する内面のうち、突起120を除く部分を第2内面122という。実施形態において、第1内面121は、内面113の全域である。実施形態において、第2内面122は、内面114と、突起120とからなる。第2内面122は、図2Aに示すように、磁石保持部202における内面114のうち、突起120以外の部分を含む。また、図2Bに示すように、主部201には突起120は存在しないので、第2内面122は、内面114のうち主部201に含まれる部分を含む。すなわち、突起120は、第2内面122から突出している。
【0022】
また、突起120の突出方向は、第2内面122から第1内面121へ向かう方向である。実施形態において、突起120の突出方向は、回転子鉄心20の周方向Rである。言い換えると、実施形態において、突起120の突出方向は、回転子鉄心20の径方向Dに直交する。そして、磁石保持部202において、永久磁石30の外面31が磁石配置穴110の内面113と回転子鉄心20の周方向Rに接している。
【0023】
また、磁石保持部202において、永久磁石30の外面31と対向する外面32が、磁石配置穴110の突起120と回転子鉄心20の周方向Rに接している。更に、突起120の第2内面122からの突出量は、永久磁石30の外面31と第2内面122との距離以上である。ここで、突起120の第2内面122からの突出量とは、突起120の第1内面121側の端と、突起120を除く内面114との距離である。また、永久磁石30の外面31と第2内面122との距離とは、永久磁石30の外面31と、突起120を除く内面114との距離である。これにより、永久磁石30は、回転子鉄心20の周方向Rにおいて、互いに対向する内面113と突起120とによって挟まれ保持されている。すなわち、永久磁石30は、磁石保持部202において、磁石配置穴110の第1内面121と突起120とによって挟まれ保持されている。これにより、永久磁石30が回転子鉄心20に対して回転子鉄心20の周方向Rに相対移動することが抑止される。
【0024】
なお、磁石配置穴110の突起120は、例えば、図2Aに示すように、永久磁石30の外面32の中心軸321上で外面32に接する。外面32の中心軸321とは、回転軸40の軸心Aの延伸する方向に延伸する平面であって、第1内面と第2内面とが対向する方向と直交する方向に永久磁石30を二等分する平面35と、外面32との交点である直線である。実施形態では、外面32の中心軸321は、永久磁石30を回転子鉄心20の径方向Dに二等分する平面35と外面32との交点である。実施形態では、永久磁石30が直方体状であるので、外面32の中心軸321は、外面32を回転子鉄心20の径方向Dに二等分する直線と一致する。このような構成とすることで、永久磁石30に突起120を中心とする回転モーメントが生じることを抑止し、永久磁石30の外面31と磁石配置穴110の内面113(第1内面121)との密着度を向上させることができる。すなわち、回転子鉄心20が永久磁石30をより強固に保持することができる。また、永久磁石30の外面31を磁石配置穴110の内面113に固定することができる。したがって、永久磁石30の回転子鉄心20に対する相対位置を、磁石配置穴110の回転子鉄心20に対する相対位置に基づいて容易に制御することができる。例えば、回転子鉄心20の複数の磁石配置穴110に対して上述の構成とすることで、その複数の磁石配置穴110に挿入される永久磁石30の位置を、磁石配置穴110の内面113に基づく位置に固定できる。したがって、その複数の磁石配置穴110に挿入される永久磁石30について、回転子鉄心20の径方向D及び周方向Rにおいて磁束密度のばらつきを抑止することができる。
【0025】
なお、回転子鉄心20の径方向Dにおいて、永久磁石30の外面33は磁石配置穴110の内面111と接している。また、回転子鉄心20の径方向Dにおいて、永久磁石30の外面34と磁石配置穴110の内面112とは離間している。しかしながら、永久磁石30は、回転子鉄心20の周方向Rにおいて、互いに対向する内面113と突起120とによって保持されている。したがって、永久磁石30が回転子鉄心20に対して回転子鉄心20の径方向Dに相対移動することも抑止される。なお、永久磁石30の外面のうち、第1内面121にも突起120にも触れない面は、回転子鉄心20に接触しないとしてもよい。すなわち、実施形態において、永久磁石30の外面33と外面34とは、いずれも回転子鉄心20に接しないとしてもよい。このような場合であっても、永久磁石30は回転子鉄心20に保持され、永久磁石30が回転子鉄心20に対して相対移動することが抑止される。
【0026】
また、突起120は、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1において、回転子鉄心20の磁石保持部202に形成されている。少なくとも磁石保持部202において、永久磁石30の外面31は、磁石配置穴110の内面113(第1内面121)に接している。したがって、永久磁石30が回転子鉄心20に対して回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に相対移動することも抑止される。
【0027】
(2-3)突起周辺の構造
回転子鉄心20は、回転子ブロック50の各々に対し、凹部130が形成されている。凹部130は、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視において、磁石配置穴110の内面114から、回転子鉄心20の周方向Rに沿って突起120とは反対側に形成されている。すなわち、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視において、磁石配置穴110の内面113、突起120、凹部130が、回転子鉄心20の周方向Rにこの順に並ぶ。言い換えると、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視において、第1内面121、第2内面122、凹部130がこの順に並ぶ。
【0028】
凹部130は、第1端面21に形成され、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に沿って第2端面22に向かって延びる。凹部130は、後述するように、突起120を形成する際に形成される。凹部130は、例えば、円筒状又は半球状であり、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視において円形である。
【0029】
(3)回転子の製造方法
次に、回転子10の製造方法を説明する。ただし、以下に説明する製造方法は一例であり、一部の工程の順番が入れ替わっても構わない。なお、以下に説明する製造方法は、種々の製造装置によって自動化されているが、一部の工程が人の手で行われても構わない。また、回転子鉄心20の製造方法の説明は省略する。
【0030】
以下に説明する回転子10の製造方法(以下、製造方法と略す)は、少なくとも第1工程、第2工程、第3工程、及び、第4工程を含む。
【0031】
第1工程は、複数の磁石配置穴110を有する回転子鉄心20を準備する工程である。複数の磁石配置穴110は、回転子鉄心20において、周方向Rにおいて均等な角度で配置されている。
【0032】
第2工程は、回転子鉄心20に永久磁石30を取り付ける工程である。図3Aに示すように、複数の磁石配置穴110が開設された回転子鉄心20に対し、磁石配置穴110の各々に永久磁石30を挿入する。
【0033】
第3工程は、回転子鉄心20に回転軸40を取り付ける工程である。図3Bに示すように、保持された回転子鉄心20の軸孔100に、回転軸40を圧入する。
【0034】
第4工程は、突起120を形成する工程である。図3Cに示すように、永久磁石30が挿入された磁石配置穴110に対し、磁石配置穴110の内面114から回転子鉄心20の周方向Rに沿って所定の距離だけ離れた位置である凹部形成位置139を、回転軸40の軸心Aが延伸する方向に加圧する。回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に回転子鉄心20の凹部形成位置139が加圧されることで、回転子鉄心20において、凹部形成位置139から放射状に圧縮応力が発生する。したがって、回転子鉄心20の磁石配置穴110の4つの内面111~114のうち、最も凹部形成位置139に近い内面114では、回転子鉄心20の周方向Rに沿って内面113に近づくように飛び出す向きの応力が生じる。したがって、回転子鉄心20が塑性変形すると、凹部形成位置139に凹部130が形成される。また、磁石配置穴110の内面114から、回転子鉄心20の周方向Rに沿って内面113に近づく方向に突出する突起120が形成される。また、永久磁石30は、突起120によって回転子鉄心20の周方向Rに沿って内面113に近づく方向に押される。したがって、永久磁石30の外面31が磁石配置穴110の内面113と接し、永久磁石30が磁石配置穴110の内面113と突起120とによって保持される。そして、永久磁石30が挿入された全ての磁石配置穴110に対し、回転子鉄心20を回転軸40の軸心Aが延伸する方向に沿って加圧して凹部130と突起120とを形成することで、回転子10が構成される。
【0035】
なお、第4工程の後、回転子鉄心20の磁石配置穴110と永久磁石30との間隙に、接着剤を塗布して樹脂層を形成してもよい。樹脂層を形成することで、永久磁石30を回転子鉄心20に対してより強固に固定することができる。
【0036】
なお、第3工程は上述の順に限らず、第1工程と第2工程との間、又は、第4工程の後のいずれか一方で実施してもよい。
【0037】
(4)モータのその他の構成
以下、モータ1の回転子10以外の構成である固定子2について説明する。
【0038】
固定子鉄心60の各々は、複数の鋼板が厚さ方向に積層されて形成している、いわゆる積層コアである。図1に示すように、固定子鉄心60は、中央コア61と、外周部66と、を有している。
【0039】
中央コア61は、円筒形の内筒部62と、複数(図1では12個)のティース63と、を有している。内筒部62の内側には、回転子鉄心20が配置されている。複数のティース63の各々は、胴部64と、凸部65と、を含む。胴部64は、内筒部62から内筒部62の径方向において外向きに突出している。複数のティース63の胴部64は、内筒部62の周方向(回転子10の回転方向)において等間隔に設けられている。凸部65は、胴部64の先端から突出している。複数のティース63は、複数のコイル69に一対一に対応する。各ティース63の胴部64には、対応するコイル69が巻かれる。
【0040】
外周部66の形状は、例えば、角筒状である。外周部66は、複数の外周片67を有する。複数の外周片67は、外周部66の複数の辺と一対一に対応する。各外周片67は、外周部66の対応する辺を構成する部位である。回転軸40の軸心Aが延伸する方向から見て、外周片67の形状は、長方形状である。
【0041】
外周部66は、中央コア61を囲むように中央コア61の複数のティース63に取り付けられている。そして、外周部66は、中央コア61の内側に配置された回転子鉄心20を囲んでいる。これにより、中央コア61の複数のティース63は、外周部66から回転子鉄心20に向かって突出するように設けられている。外周部66は、ティース63と同数の凹部68を有している。複数の凹部68の各々は、外周部66の内周面に設けられた窪みである。複数の凹部68は、外周部66の周方向において等間隔に設けられている。複数の凹部68は、複数のティース63と一対一で対応している。複数の凹部68の各々と、複数のティース63のうちこの凹部68に対応するティース63の凸部65とが嵌り合う。これにより、外周部66が複数のティース63に取り付けられる。
【0042】
このように固定子鉄心60は、複数の分割コアへと分割されている。すなわち、中央コア61と外周部66とがそれぞれ分割コアである。そして、複数の分割コアは、互いに連結されている。
【0043】
(5)効果
実施形態に係る回転子10では、回転子鉄心20の各々の磁石配置穴110において、突起120と、突起120に対向する磁石配置穴110の第1内面121とによって永久磁石30が保持される。すなわち、永久磁石30と回転子鉄心20との間に別途部材を使用する必要がない。したがって、磁石配置穴110の内面111~114と永久磁石30の外面31~34との間に間隙があったとしても、永久磁石30を回転子鉄心20に固定することができる。すなわち、回転子10の信頼性を容易に向上させることができる。
【0044】
また、実施形態に係る回転子10では、少なくとも回転子鉄心20の磁石保持部202において、永久磁石30の外面31~34のいずれか1つと、磁石配置穴110の第1内面121とが接している。したがって、永久磁石30と回転子鉄心20との相対位置関係を、磁石配置穴110の内面113(第1内面121)に永久磁石30を接触させることによって容易に制御することができる。
【0045】
また、実施形態に係る回転子10では、回転子鉄心20の第1端面21上の凹部形成位置139を回転軸40の軸心Aが延伸する方向に沿って第2端面22側に加圧して、凹部130と、凹部130に対応する突起120とを形成する。したがって、磁石配置穴110に対する凹部形成位置139の回転子鉄心20の径方向D及び周方向Rにおける相対位置、及び、凹部形成位置139に加圧される応力を制御することで、突起120の位置及び形状を制御できる。突起120の位置は、例えば、磁石配置穴110を構成する4つの内面111~114に対する突起120の相対位置である。突起120の形状は、例えば、突起120の突出量であり、第2内面122から突起120の第1内面121側の先端までの距離である。したがって、例えば、複数の回転子ブロック50のそれぞれに対して、磁石配置穴110に対する凹部形成位置139の径方向D及び周方向Rにおける相対位置、及び、凹部形成位置139に加圧される応力を均一化してもよい。このような手法により、複数の回転子ブロック50の間で、突起120の位置及び形状を均一化できる。したがって、例えば、永久磁石30の磁石配置穴110に対する、回転子鉄心20の径方向D及び周方向Rにおける相対位置を均一化することができる。これにより、例えば、回転子鉄心20の周方向Rにおける永久磁石30の距離を均一化し、回転子鉄心20の周方向Rにおける回転子10からの磁束密度のばらつきを抑止して磁気バランスを向上させることができる。
【0046】
(6)回転子ブロックの変形例
(6-1)変形例1
変形例1に係る回転子ブロック50aは、図4Aに示すように、磁石配置穴110の突起120が、永久磁石30の外面32に接する位置が異なる点で、実施形態に係る回転子ブロック50(図2A参照)と異なる。
【0047】
変形例1に係る回転子ブロック50aでは、図4Aに示すように、磁石配置穴110の突起120は、永久磁石30における外面32の中心軸321とは異なる位置で外面32に接する。外面32の中心軸321とは、上述したように、永久磁石30を二等分する平面35と、外面32との交点である直線である。
【0048】
変形例1に係る回転子ブロック50aでは、例えば、永久磁石30の外面32と突起120との接点と、中心軸321との距離が短い場合には、実施形態と同様に、永久磁石30は、突起120と磁石配置穴110の第1内面121とによって保持される。すなわち、永久磁石30は、突起120と磁石配置穴110の内面113(第1内面121)とが対向する回転子鉄心20aの周方向Rに沿った保持力で保持される。
【0049】
また、例えば、永久磁石30の外面32と突起120との接点と、中心軸321の距離が長い場合には、突起120と、磁石配置穴110の第2内面122以外の内面とによって定まる姿勢で、永久磁石30は保持される。すなわち、永久磁石30は、突起120と磁石配置穴110の第1内面121とが対向する方向の保持力と、永久磁石30と磁石配置穴110の内面との接触によって生じる力とが釣り合う姿勢で、磁石配置穴110内に保持される。すなわち、永久磁石30の外面32と突起120との接点の位置にかかわらず、永久磁石30は、回転子鉄心20aの径方向D及び周方向Rにおける突起120の位置、突出量、突出する向きに依拠して定まる姿勢で、磁石配置穴110内に保持される。したがって、永久磁石30の回転子鉄心20aに対する姿勢を制御した上で、永久磁石30を回転子鉄心20aに固定することができる。
【0050】
(6-2)変形例2
変形例2に係る回転子ブロック50bは、図4Bに示すように、磁石配置穴110の第2内面122から複数の突起が突出する点で、実施形態に係る回転子ブロック50(図2A参照)と異なる。
【0051】
変形例2に係る回転子ブロック50bでは、図4Bに示すように、回転子鉄心20bは、磁石配置穴110の第2内面122から第1内面121側に突出する複数の突起を有する。複数の突起は、突起120bと、同面側突起150bとを含む。突起120b、同面側突起150bの各々は、磁石配置穴110の第2内面122から、第1内面121である内面113側に突出している。突起120b、同面側突起150bの各々は、永久磁石30の外面32に接している。すなわち、変形例2では、磁石配置穴110の内面113が、第1内面121である。また、変形例2では、内面114は、突起120bと、同面側突起150bと、第2内面122とを含む。
【0052】
永久磁石30は、磁石配置穴110の第1内面121と、突起120bと、同面側突起150bと、によって保持される。変形例2では、突起120b、同面側突起150bの各々は、回転子鉄心20bの周方向Rに突出している。突起120bは、凹部130bの形成によって形成される。また、同面側突起150bは、凹部131bの形成によって形成される。
【0053】
変形例2に係る回転子ブロック50bでは、突起120b、同面側突起150bの各々は、回転子鉄心20bの周方向Rに沿って、内面113側に突出している。すなわち、突起120b、同面側突起150bの各々は、磁石配置穴110の第2内面122から、同一方向である第1内面121側に突出している。したがって、第1内面121と第2内面122が対向する方向において、回転子鉄心20bが永久磁石30を保持する保持力がより強固になる。
【0054】
なお、変形例2に係る回転子ブロック50bでは、図4Bに示すように、永久磁石30における外面32の中心軸321を挟むように、突起120bと同面側突起150bとが永久磁石30の外面32に接する。すなわち、永久磁石30の外面32において、突起120bと同面側突起150bとのそれぞれが接している2つの位置の間に、中心軸321が位置する。このような構成とすることで、永久磁石30と回転子鉄心20bの内面113(第1内面121)への密着度を向上させることができ、回転子鉄心20bに対する永久磁石30の相対的姿勢がより安定する。
【0055】
なお、複数の突起の数は2個に限られず、回転子鉄心20bは、磁石配置穴110の第2内面122から第1内面121側に突出する突起を3以上有してもよい。
【0056】
また、永久磁石30における外面32の中心軸321が、突起120bと永久磁石30の外面32との接点と、同面側突起150bと永久磁石30の外面32の接点との間に存在しなくてもよい。このような場合、変形例1と同様、永久磁石30は、回転子鉄心20bの径方向D及び周方向Rにおける突起120b及び同面側突起150bのそれぞれの位置、突出量、突出する向きに依拠して定まる姿勢で、磁石配置穴110内に保持される。
【0057】
(6-3)変形例3
変形例3に係る回転子ブロック50cは、図5Aに示すように、磁石配置穴110の第1内面121から第2内面122側に同面側突起150cが突出する点で、実施形態に係る回転子ブロック50(図2A参照)と異なる。
【0058】
変形例3に係る回転子ブロック50cでは、図5Aに示すように、回転子鉄心20cは、磁石配置穴110の第2内面122から第1内面121側に突出する突起120cを有する。突起120cは、内面114に形成され、回転子鉄心20cの周方向Rに沿って内面113側に突出する。また、回転子鉄心20cは、磁石配置穴110の第1内面121から第2内面122側に突出する同面側突起150cを有する。同面側突起150cは、内面113に形成され、回転子鉄心20cの周方向Rに沿って内面114側に突出する。すなわち、内面114は、突起120cと第2内面122とを含む。また、内面113は、同面側突起150cと第1内面121とを含む。突起120cは、凹部130cの形成によって形成される。同面側突起150cは、凹部131cの形成によって形成される。
【0059】
変形例3に係る回転子ブロック50cでは、図5Aに示すように、突起120cと同面側突起150cは、磁石配置穴110の第1内面121と第2内面122が対向する回転子鉄心20cの周方向Rに対向する。永久磁石30は、突起120cと同面側突起150cとによって、磁石配置穴110の第1内面121と第2内面122が対向する回転子鉄心20cの周方向Rに保持されている。
【0060】
変形例3に係る回転子ブロック50cでは、永久磁石30を回転子鉄心20cの磁石配置穴110を構成する内面111~114に接触させることなく回転子鉄心20cに保持させることができる。このような構成により、例えば、回転子鉄心20cと永久磁石30との接触によって生じ得る永久磁石30の破損を抑止することができる。
【0061】
図5Bは、変形例3に係る他の回転子ブロック50dを示す。回転子ブロック50dでは、図5Bに示すように、突起120dと同面側突起150dとが対向する向きと、磁石配置穴110の第1内面121と第2内面122が対向する向きとが一致しない。このような構成により、例えば、永久磁石30を磁石配置穴110に対して回転軸40の軸心Aの延伸する方向A1に沿って回転させた姿勢で回転子鉄心20dに保持することができる。
【0062】
なお、変形例3に係る回転子ブロック50cにおいて、変形例2と同様に、内面114が複数の突起を備えてもよいし、内面113が複数の突起を備えてもよい。
【0063】
(6-4)変形例4
変形例4に係る回転子ブロック50eは、図6Aに示すように、回転子鉄心20eの第2端面22側に第2内面122から突出する対向側突起160eが形成されている点で、実施形態に係る回転子ブロック50(図2B参照)と異なる。
【0064】
回転子鉄心20eは、図6Aに示すように、主部201と、磁石保持部202eと、磁石保持部203eとを含む。磁石保持部202eは、第1端面21を含む。磁石保持部203eは、第2端面22を含む。磁石保持部202eは、磁石配置穴110の第2内面122から第1内面121側に突出する突起120eを有する。突起120eは、内面114に形成され、回転子鉄心20eの周方向Rに沿って内面113側に突出する。磁石保持部203eは、磁石配置穴110の第2内面122から第1内面121側に突出する対向側突起160eを有する。すなわち、内面113は、第1内面121である。また、内面114は、突起120eと、対向側突起160eと、第2内面122とを含む。突起120eは、凹部130eが回転子鉄心20eの第1端面21に形成されることで形成される。対向側突起160eは、凹部132eが回転子鉄心20eの第2端面22に形成されることで形成される。
【0065】
変形例4に係る回転子ブロック50eでは、図6Aに示すように、永久磁石30は、磁石保持部202eにおいて、突起120eと第1内面121とによって保持される。そして、永久磁石30は、磁石保持部203eにおいて、対向側突起160eと第1内面121とによって更に保持される。つまり、永久磁石30は、磁石保持部202eと磁石保持部203eとの両方で保持される。したがって、永久磁石30が回転子鉄心20eに対して回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に沿って相対移動することを抑止できるとともに、永久磁石30が回転子鉄心20eにより強固に保持される。
【0066】
また、変形例4に係る回転子ブロック50eでは、永久磁石30の外面31は、回転子鉄心20eの少なくとも磁石保持部202eと磁石保持部203eとの両方で磁石配置穴110の内面113に接する。したがって、例えば、永久磁石30の外面31は、その全域が磁石配置穴110の内面113と接していてもよい。このような構成により、永久磁石30を回転子鉄心20eの磁石配置穴110に密着させて永久磁石30の位置を容易に調整することができる。
【0067】
(6-5)変形例5
変形例5に係る回転子ブロック50fは、図6Bに示すように、回転子鉄心20fの第2端面22側において第1内面121から突出する対向側突起160fが形成されている。変形例5に係る回転子ブロック50fは、上述した点で、実施形態に係る回転子ブロック50(図2B参照)及び変形例4に係る回転子ブロック50e(図6A参照)と異なる。
【0068】
変形例5に係る回転子ブロック50fでは、図6Bに示すように、主部201と、磁石保持部202fと、磁石保持部203fとを含む。磁石保持部202fは、第1端面21を含む。磁石保持部203fは、第2端面22を含む。磁石保持部202fは、磁石配置穴110の第2内面122から第1内面121側に突出する突起120eを有する。突起120eは、内面114に形成され、回転子鉄心20fの周方向Rに沿って内面113側に突出する。磁石保持部203fは、磁石配置穴110の第1内面121から第2内面122側に突出する対向側突起160fを有する。すなわち、内面113は、第1内面121と、対向側突起160fとを含む。また、内面114は、突起120eと、第2内面122とを含む。突起120eは、凹部130eが回転子鉄心20fの第1端面21に形成されることで形成される。対向側突起160fは、凹部132fが回転子鉄心20fの第2端面22に形成されることで形成される。
【0069】
変形例5に係る回転子ブロック50fでは、図6Bに示すように、永久磁石30は、磁石保持部202fにおいて、突起120eと第1内面121とによって保持される。そして、永久磁石30は、磁石保持部203fにおいて、対向側突起160fと第2内面122とによって更に保持される。つまり、永久磁石30は、磁石保持部202fと磁石保持部203fとの両方で保持される。したがって、永久磁石30が回転子鉄心20fに対して回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に沿って相対移動することを抑止できるとともに、永久磁石30が回転子鉄心20fにより強固に保持される。
【0070】
また、変形例5に係る回転子ブロック50fでは、永久磁石30の外面31は、磁石保持部202fで磁石配置穴110の第1内面121に接するが、第2端面22側で磁石配置穴110の第1内面121に接しない。また、永久磁石30の外面32は、回転子鉄心20fの第2端面22側で磁石配置穴110の第2内面122に接するが、第1端面21側で磁石配置穴110の第2内面122に接しない。すなわち、永久磁石30の外面31及び32は、いずれも、磁石配置穴110の第1内面121又は第2内面122とは、一部しか接しない。このような構成により、例えば、永久磁石30が回転子鉄心20fの磁石配置穴110の内面111~114に接触することで発生する永久磁石30の破損を抑止することができる。
【0071】
(6-6)変形例6
変形例6に係る回転子ブロック50gは、図7Aに示すように、突起120gと対向側突起160gとの各々と一体の突出部171、172が形成されている点で、変形例4に係る回転子ブロック50e(図6A参照)と異なる。
【0072】
変形例6に係る回転子ブロック50gでは、図7Aに示すように、磁石保持部202gにおいて、回転子鉄心20gは、突起120gを有する。また、磁石保持部202gにおいて、回転子鉄心20gは突出部171を有する。突起120gは、第2内面122から、第1内面121側に距離D1だけ突出している。突出部171は、第2内面122から、第1内面121側に距離D2だけ突出している。距離D1は、永久磁石30の外面32と、第2内面122との距離と等しい。距離D2は、距離D1よりも大きい。すなわち、突出部171は、突起120gよりも突出量が大きい。突起120gと突出部171とは、凹部130gの形成によって単一突起170aとして一体に形成される。言い換えると、突起120gは、凹部130gの形成によって形成された単一突起170aのうち、第2内面122からの突出量が距離D1以下の部分である。また、突出部171は、単一突起170aのうち、第2内面122からの突出量が距離D1より大きい部分である。
【0073】
同様に、磁石保持部203gにおいて、回転子鉄心20gは、対向側突起160gを有する。また、磁石保持部203gにおいて、回転子鉄心20gは突出部172を有する。対向側突起160gは、第2内面122から、第1内面121側に距離D3だけ突出している。突出部172は、第2内面122から、第1内面121側に距離D4だけ突出している。距離D3は、永久磁石30の外面32と、第2内面122との距離と等しい。距離D4は、距離D3よりも大きい。すなわち、突出部172は、対向側突起160gよりも突出量が大きい。対向側突起160gと突出部172とは、凹部132gの形成によって単一突起170bとして一体に形成される。言い換えると、対向側突起160gは、凹部132gの形成によって形成された単一突起170bのうち、第2内面122からの突出量が距離D3以下の部分である。また、突出部172は、単一突起170bのうち、第2内面122からの突出量が距離D3より大きい部分である。
【0074】
変形例6に係る回転子ブロック50gでは、変形例4に係る回転子ブロック50eと同様、永久磁石30は、磁石保持部202gと磁石保持部203gとの両方で保持される。変形例6に係る回転子ブロック50gでは、更に、突出部171及び172が、永久磁石30の回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に沿った移動を妨げる。すなわち、突出部171及び172が、永久磁石30の磁石配置穴110からの脱落を抑止する。したがって、永久磁石30が回転子鉄心20gに対して回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に沿って相対移動することを抑止できるとともに、永久磁石30が回転子鉄心20gにより強固に保持される。
【0075】
なお、変形例6では、回転子鉄心20gは、突出部172及び対向側突起160gを有する。しかしながら、例えば、回転子鉄心20gは突出部172を有さず、単一突起170bが対向側突起160gで構成されるとしてもよい。又は、回転子鉄心20gは、単一突起170bを有さないとしてもよい。
【0076】
(6-7)変形例7
変形例7に係る回転子ブロック50hは、図7Bに示すように、突起120gと対向側突起160hの各々と一体で突出部171、173が形成されている点で、変形例5に係る回転子ブロック50f(図6B参照)と異なる。
【0077】
変形例7に係る回転子ブロック50hでは、図7Bに示すように、磁石保持部202gにおいて、回転子鉄心20hは、突起120gを有する。また、磁石保持部202gにおいて、回転子鉄心20hは突出部171を有する。突起120gは、第2内面122から、第1内面121側に距離D1だけ突出している。突出部171は、第2内面122から、第1内面121側に距離D2だけ突出している。距離D1は、磁石保持部202gにおける、永久磁石30の外面32と、第2内面122との距離と等しい。距離D2は、距離D1よりも大きい。すなわち、突出部171は、突起120gよりも突出量が大きい。突起120gと突出部171とは、凹部130gの形成によって単一突起170aとして一体に形成される。言い換えると、突起120gは、凹部130gの形成によって形成された単一突起170aのうち、第2内面122からの突出量が距離D1以下の部分である。また、突出部171は、単一突起170aのうち、第2内面122からの突出量が距離D1より大きい部分である。
【0078】
同様に、磁石保持部203hにおいて、回転子鉄心20hは、対向側突起160hを有する。また、磁石保持部203hにおいて、回転子鉄心20hは突出部173を有する。対向側突起160hは、第1内面121から、第2内面122側に距離D5だけ突出している。突出部173は、第1内面121から、第2内面122側に距離D6だけ突出している。距離D5は、磁石保持部203hにおける、永久磁石30の外面31と、第1内面121との距離と等しい。距離D6は、距離D5よりも大きい。すなわち、突出部173は、対向側突起160hよりも突出量が大きい。対向側突起160hと突出部173とは、凹部132hの形成によって単一突起170cとして一体に形成される。言い換えると、対向側突起160hは、凹部132hの形成によって形成された単一突起170cのうち、第1内面121からの突出量が距離D5以下の部分である。また、突出部173は、単一突起170cのうち、第1内面121からの突出量が距離D5より大きい部分である。
【0079】
変形例7に係る回転子ブロック50hでは、変形例5に係る回転子ブロック50fと同様、永久磁石30は、磁石保持部202gと磁石保持部203hとの両方で保持される。変形例7に係る回転子ブロック50hでは、更に、突出部171及び173が、永久磁石30の回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に沿った移動を妨げる。すなわち、突出部171及び173が、永久磁石30の磁石配置穴110からの脱落を抑止する。したがって、永久磁石30が回転子鉄心20hに対して回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に沿って相対移動することを抑止できるとともに、永久磁石30が回転子鉄心20hにより強固に保持される。
【0080】
なお、変形例7では、回転子鉄心20hは単一突起170cを有する。しかしながら、例えば、回転子鉄心20hは、単一突起170cに替えて対向側突起160hを有するとしてもよい。
【0081】
(6-8)変形例8
変形例8に係る回転子ブロック50iは、図8Bに示すように、磁石保持部202iと磁石保持部203iとの各々が回転子鉄心20iの第1端面21と第2端面22とを含まない点で、変形例5に係る回転子ブロック50f(図6B参照)と異なる。
【0082】
変形例8に係る回転子鉄心20iは、図8Bに示すように、主部201と、磁石保持部202iと、磁石保持部203iとに加えて、端面保護部204と、端面保護部205とを有する。回転子鉄心20iでは、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に沿って、端面保護部204、磁石保持部202i、主部201、磁石保持部203i、端面保護部205の順に並ぶ。以下、端面保護部204を第1鋼板群204とも言う。また、磁石保持部202iを第2鋼板群202iとも言う。なお、図8Bは、回転子鉄心20iを構成する板状磁性鋼23を模式的に示している。しかしながら、図8Bは、主部201、磁石保持部202i、磁石保持部203i、端面保護部204、端面保護部205、のそれぞれを構成する板状磁性鋼23の枚数を限定する意図ではない。回転子鉄心20iの主部201、磁石保持部202i、磁石保持部203i、端面保護部204、端面保護部205、のそれぞれを構成する板状磁性鋼23の枚数は、任意でよい。
【0083】
端面保護部(第1鋼板群)204は、回転子鉄心20iの第1端面21を含む。端面保護部204は、1以上(図8Bでは1つ)の板状磁性鋼23を含む。端面保護部204は、磁石保持部(第2鋼板群)202iと回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に接している。端面保護部204は、磁石保持部202iに形成されている凹部130iに対応して貫通孔231が設けられる。すなわち、図8A及び図8Bに示すように、磁石保持部202iに形成されている凹部130iは、貫通孔231を通じて、回転子鉄心20iの第1端面21側に露出している。
【0084】
磁石保持部202iは、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1において主部201と端面保護部204とに挟まれている。磁石保持部202iは、1以上(図8Bでは2つ)の板状磁性鋼23を含む。磁石保持部202iは、凹部130iと、突起120iとが形成されている。図8A及び図8Bでは、突起120iは、内面114に形成される。
【0085】
端面保護部205は、回転子鉄心20iの第2端面22を含む。端面保護部205は、1以上(図8Bでは1つ)の板状磁性鋼23を含む。端面保護部205は、磁石保持部203iと回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に接している。端面保護部205は、磁石保持部203iに形成されている凹部132iに対応して貫通孔232が設けられる。すなわち、図8A及び図8Bに示すように、磁石保持部203iに形成されている凹部132iは、貫通孔232を通じて、回転子鉄心20iの第2端面22側に露出している。
【0086】
磁石保持部203iは、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1において主部201と端面保護部205とに挟まれている。磁石保持部203iは、1以上の板状磁性鋼23を含む。磁石保持部203iは、凹部132iと、対向側突起160iとが形成されている。図8A及び図8Bでは、突起120iは、内面114に形成される。
【0087】
すなわち、変形例8において、内面113は第1内面121である。また、内面114は、第2内面122と、突起120iと、対向側突起160iとを含む。
【0088】
変形例8に係る回転子鉄心20iでは、貫通孔231を通じて露出した磁石保持部202iを回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に加圧することで、凹部130iと突起120iとを形成することができる。また、変形例8に係る回転子鉄心20iでは、貫通孔232を通じて露出した磁石保持部203iを回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に加圧することで、凹部132iと対向側突起160iとを形成することができる。一方で、回転子鉄心20iでは、凹部130i、132iと突起120iと対向側突起160iとを形成する際に、端面保護部204と、端面保護部205とに応力を直接印加しない。したがって、例えば、磁石保持部202i、203iにおいて凹部130i、132i以外に回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に沿った変形が生じても、端面保護部204と、端面保護部205とに回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に沿った変形が生じづらい。すなわち、突起120i及び対向側突起160iを形成する工程による、回転子鉄心20iの第1端面21及び/又は第2端面22の変形を抑止することができる。
【0089】
なお、上述した通り、図8Bにおける主部201、磁石保持部202i、磁石保持部203i、端面保護部204、端面保護部205、のそれぞれの板状磁性鋼23の数は例示に過ぎず、それぞれの板状磁性鋼23の数は任意である。
【0090】
また、変形例8では、突起120iと対向側突起160iを形成する。しかしながら、例えば、対向側突起160iを形成しないとしてもよい。この場合、端面保護部205に貫通孔232を設けなくてもよい。また、端面保護部204に複数の貫通孔を設け、同面側突起を形成するとしてもよい。この場合、端面保護部204は、複数の貫通孔に替えて、突起120i及び同面側突起のそれぞれに対応する複数の凹部を全て露出する単一の貫通孔を有してもよい。
【0091】
(6-9)変形例9
変形例9に係る回転子ブロック50jでは、図9Aに示すように、突起120jが、回転子鉄心20jの径方向Dに沿って、回転子鉄心20jの内周側から外周側に突出している点で、実施形態に係る回転子ブロック50(図2A参照)と異なる。
【0092】
変形例9に係る回転子ブロック50jでは、図9Aに示すように、回転子鉄心20jは、第2内面122から第1内面121側に突出する突起120jを有する。変形例9に係る回転子ブロック50jでは、内面112が第1内面121である。また、内面111は、突起120jと、第2内面122とを有する。すなわち、突起120jは、磁石配置穴110の内面111から突出しており、突起120jの突出方向は、回転子鉄心20jの径方向Dに沿って内周側から外周側に向かう方向である。
【0093】
変形例9に係る回転子ブロック50jにおいても、永久磁石30は互いに対向する突起120jと磁石配置穴110の第1内面121とによって保持される。したがって、磁石配置穴110の内面111~114と永久磁石30の外面31~34との間隙の大きさに係わらず、永久磁石30を回転子鉄心20に固定することができる。
【0094】
また、変形例9に係る回転子ブロック50jでは、磁石配置穴110の内面112に永久磁石30が接触するように、永久磁石30の回転子鉄心20jに対する相対位置を制御できる。したがって、回転子鉄心20jの径方向Dにおける永久磁石30の回転子鉄心20jに対する位置を制御することができる。
【0095】
また、回転子10において、全ての回転子ブロックを、変形例9に係る回転子ブロック50jとすることで、回転子10内の全ての永久磁石30を、対応する磁石配置穴110の各々の内面112に接触するように位置を定めることができる。すなわち、全ての永久磁石30に対し、回転子鉄心20jの径方向Dにおける位置を揃えることができる。更に、全ての永久磁石30の回転子10における位置を、回転子鉄心20jの径方向Dにおける外側に配置することができる。したがって、永久磁石30を回転子鉄心20jの径方向Dにおける外側に配置して、回転子10を備えるモータの出力を向上させることができる。
【0096】
(6-10)変形例10
変形例10に係る回転子ブロック50kでは、図9Bに示すように、突起120kを形成するために形成される凹部130kが、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視で多角形である。変形例10に係る回転子ブロック50kでは、上述した点で、変形例9に係る回転子ブロック50j(図9A参照)と異なる。
【0097】
変形例10に係る回転子ブロック50kでは、変形例8と同様、回転子鉄心20kの磁石配置穴110において、第2内面122から第1内面121側に突出する突起120kが形成される。回転子鉄心20kの第1端面21には、突起120kの形成のために形成された凹部130kが形成される。凹部130kは、磁石配置穴110の第2内面122に対して突起120kの反対側に形成される。すなわち、凹部130kは、磁石配置穴110の内面111よりも回転子鉄心20kの径方向Dにおける内側に形成される。
【0098】
凹部130kは、図9Bに示すように、回転子鉄心20kの回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視で、回転子鉄心20kの径方向Dにおける内側に頂点、外側に辺が位置する三角形状である。すなわち、凹部130kは、突起120k側に辺が位置し、突起120kとは反対側に頂点が位置する三角形状である。凹部130kは、例えば、先端が三角錐状の加圧部材で回転子鉄心20kの第1端面21を加圧することで形成される。これにより、凹部130kを形成する際の回転子鉄心20kの応力分布が実施形態に係る回転子鉄心20と異なる。したがって、突起120kの形状を突起120の形状と異ならせることができる。
【0099】
なお、凹部130kの形状は、回転子鉄心20kの径方向Dにおける内側に頂点、外側に辺が位置する三角形状に限られない。
【0100】
図10Aは、変形例10に係る他の回転子ブロック50lを示す模式図である。凹部130lは、図10Aに示すように、回転子鉄心20lの回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視で、回転子鉄心20lの径方向Dにおける内側に辺、外側に頂点が位置する三角形状である。これにより、凹部130lを形成する際の回転子鉄心20lの応力分布が、実施形態に係る回転子鉄心20及び変形例9に係る回転子鉄心20kと異なる。したがって、突起120lの形状を突起120の形状及び突起120kの形状と異ならせることができる。
【0101】
また、図10Bは、変形例10に係る他の回転子ブロック50mを示す模式図である。凹部130mは、回転子鉄心20mの回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視で、回転子鉄心20mの径方向Dにおける内側と外側に辺が位置する四角形である。これにより、凹部130mを形成する際の回転子鉄心20mの応力分布が、実施形態に係る回転子鉄心20及び変形例9に係る回転子鉄心20k、20mと異なる。したがって、突起120mの形状を、突起120の形状、突起120kの形状、及び、突起120lの形状のいずれとも異ならせることができる。
【0102】
なお、凹部130k、130l、130mの形状は上述の場合に限られず、任意の形状でよい。回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視において凹部130の形状は、例えば、多角形、半円等である。また、実施形態及び変形例1~8のように、突起120が回転子鉄心20の周方向Rに沿って突出する場合においても、凹部130の形状を変化させてよい。
【0103】
(6-11)変形例11
変形例11に係る回転子ブロック50nでは、図11Aに示すように、突起120nと凹部130nとが、第1内面121と第2内面122とが対向する方向と交差する方向に長尺である点で、変形例9に係る回転子ブロック50j(図9A参照)と異なる。
【0104】
変形例11に係る回転子ブロック50nでは、図11Aに示すように、凹部130nは、回転子鉄心20nの周方向Rに沿って長尺である。また、突起120nも同様に、回転子鉄心20nの周方向Rに沿って長尺である。回転子鉄心20nの周方向Rは、回転子鉄心20nの径方向Dと交差する。回転子鉄心20nの径方向Dは、磁石配置穴110の第1内面121と第2内面122とが対向する方向である。永久磁石30は、突起120nと、磁石配置穴110の内面112(第1内面121)とによって保持される。
【0105】
変形例11に係る回転子ブロック50nでは、突起120nが回転子鉄心20nの周方向Rに長尺である。したがって、永久磁石30と突起120nとの接点が回転子鉄心20nの周方向Rに長尺となる。したがって、回転子鉄心20nが永久磁石30を保持する保持力がより強固となる。また、永久磁石30と突起120nとの接触面積が広くなるため、永久磁石30において突起120nを中心としての回転モーメントが発生し辛い。すなわち、永久磁石30の回転子鉄心20nに対する相対移動を抑止することができる。
【0106】
なお、突起120nの突出方向は上述の場合に限らない。例えば、実施形態及び変形例1~8のように、突起120が回転子鉄心20の周方向Rに沿って突出する場合においても、凹部130及び突起120の形状を、第1内面121と第2内面122とが対向する方向と交差する方向に長尺としてもよい。また、変形例4~8に係る対向側突起160e~iにおいて、突起120nと同様に、第1内面121と第2内面122とが対向する方向と交差する方向に長尺であるとしてもよい。
【0107】
(6-12)変形例12
変形例12に係る回転子ブロック50pでは、図11Bに示すように、永久磁石30が、突起120pと、第1内面121と、第1内面121及び第2内面122とは異なる磁石配置穴110の内面とで保持されている。変形例12に係る回転子ブロック50pは、上述した点で、実施形態に係る回転子ブロック50(図2A参照)と異なる。
【0108】
変形例12に係る回転子ブロック50pでは、図11Bに示すように、凹部130pと突起120pは、回転子鉄心20pの周方向Rにおいて磁石配置穴110の内面111の中心より内面114側に形成されている。突起120pは、永久磁石30の外面32に接する。一方、永久磁石30の外面31は、回転子鉄心20pの周方向Rにおいて、その一部のみが磁石配置穴110の内面112(第1内面121)と接する。また、永久磁石30の外面33は、回転子鉄心20pの径方向Dにおいて、その一部のみが磁石配置穴110の内面113と接する。すなわち、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視において、永久磁石30は、突起120pと、磁石配置穴110の第1内面121と、内面113とによって保持される。また、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視において、永久磁石30の長軸方向と、磁石配置穴110の長軸方向とは一致しない。したがって、回転子鉄心20pの径方向D及び周方向Rにおける、突起120pの位置、突出距離及び突出方向を制御することにより、磁石配置穴110の形状や向きに係わらず、永久磁石30の回転子鉄心20pに対する姿勢を制御することができる。
【0109】
なお、突起120pの突出方向は上述の場合に限られない。例えば、実施形態及び変形例1~8のように、突起120が回転子鉄心20の周方向Rに沿って突出するとしてもよい。
【0110】
(6-13)変形例13
変形例13に係る回転子ブロック50qでは、図12A及び図12Bに示すように、突起120qの第2内面122からの突出量が、永久磁石30qの突起120qに対向する外面32と磁石配置穴110の第2内面122との距離より大きい。変形例13に係る回転子ブロック50qは、上述した点で、実施形態に係る回転子ブロック50(図2A及び図2B参照)とは異なる。
【0111】
変形例13に係る回転子ブロック50qでは、永久磁石30qは、例えば、直方体状の磁性材料の表面全体を樹脂材料でコーティングされて形成されている。すなわち、永久磁石30qは、樹脂層の内部に磁性体部を有する。永久磁石30qは、図12A及び図12Bに示すように、突起120qと、磁石配置穴110の第1内面121(内面113)とで保持されている。突起120qの第1内面121側の先端と、第2内面122との距離D8は、磁石配置穴110の第2内面122と永久磁石30qの外面32との距離D7よりも大きい。すなわち、突起120qの第2内面122からの突出量D8は、磁石配置穴110の第2内面122と、第2内面122に対向する永久磁石30qの外面32との距離D7よりも大きい。そして、突起120qの第1内面121側の先端は、永久磁石30qの樹脂層に埋没している。
【0112】
変形例13に係る回転子ブロック50qでは、突起120qの一部が永久磁石30qに埋没しているので、回転子鉄心20qが永久磁石30qを保持する保持力が更に強固になる。
【0113】
なお、突起120qの突出方向は上述の場合に限られない。例えば、変形例9~12のように、突起120jが回転子鉄心20jの径方向Dに沿って突出しているとしてもよい。
【0114】
(7)回転子ブロックの配置
回転子10における、回転子ブロック50等の配置について図1を参照して説明する。
【0115】
上述した通り、回転子10の回転子鉄心20は、同一の構造である回転子ブロック50が回転子鉄心20の周方向Rに沿って隙間なく構成されている。したがって、回転子鉄心20の周方向Rに隣接する2つの永久磁石30は、回転子鉄心20の周方向R及び径方向Dにおいて、回転子鉄心20との相対位置関係が等しくなる。
【0116】
以下、図面を用いてより具体的に説明する。図13Aは、実施形態に係る回転子ブロック50が回転子鉄心20の周方向Rに沿って2つ並んだ状態を示している。
【0117】
永久磁石30-1は、磁石配置穴110-1に配置される。突起120-1は、磁石配置穴110-1の第2内面122-1から第1内面121-1方向に突出する。突起120-1の突出方向は、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視において、磁石配置穴110-1の中心における回転子鉄心20の周方向に沿った方向である。言い換えると、突起120-1の突出方向は、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視において、磁石配置穴110-1の中心における回転子鉄心20の径方向D-1に対して直交する。
【0118】
永久磁石30-2は、磁石配置穴110-2に配置される。突起120-2は、磁石配置穴110-2の第2内面122-2から第1内面121-2方向に突出する。突起120-2の突出方向は、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視において、磁石配置穴110-2の中心における回転子鉄心20の周方向に沿った方向である。言い換えると、突起120-2の突出方向は、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視において、磁石配置穴110-2の中心における回転子鉄心20の径方向D-2に対して直交する。
【0119】
すなわち、いずれの回転子ブロック50においても、突起120の突出方向は、突起120が形成されている位置における回転子鉄心20の径方向D及び周方向Rに対して、同一の相対方向である。言い換えると、いずれの突起120においても、突起120の突出方向と、突起120が形成されている位置における回転子鉄心20の径方向Dとのなす角度は等しい。図13Aに示す例では、突起120の突出方向と、突起120が形成されている位置における回転子鉄心20の径方向Dとのなす角度は、どの突起120においても90°である。
【0120】
図13Bは、変形例9に係る回転子ブロック50jが回転子鉄心20jの周方向Rに沿って2つ並んだ状態を示している。
【0121】
永久磁石30-3は、磁石配置穴110-3に配置される。突起120j-3は、磁石配置穴110-3の第2内面122-3から第1内面121-3方向に突出する。突起120j-3の突出方向は、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視において、磁石配置穴110-3の中心における回転子鉄心20の径方向D-3に沿った方向である。
【0122】
永久磁石30-4は、磁石配置穴110-4に配置される。突起120j-4は、磁石配置穴110-4の第2内面122-4から第1内面121-4方向に突出する。突起120j-4の突出方向は、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1からの平面視において、磁石配置穴110-4の中心における回転子鉄心20の径方向D-4に沿った方向である。
【0123】
すなわち、いずれの回転子ブロック50jにおいても、突起120jの突出方向は、突起120jが形成されている位置における回転子鉄心20jの径方向D及び周方向Rに対して、同一の相対方向である。言い換えると、いずれの突起120jにおいても、突起120jの突出方向と、突起120jが形成されている位置における回転子鉄心20jの径方向Dとのなす角度は等しい。図13Bに示す例では、突起120jの突出方向と、突起120jが形成されている位置における回転子鉄心20jの径方向Dとのなす角度は、どの突起120jにおいても0°である。
【0124】
以上説明したように、複数の回転子ブロック50の間で、突起120の位置及び突出量、突出方向を、突起120が形成されている位置における回転子鉄心20の径方向D及び周方向Rに対して、同一の相対関係となるように回転子10を形成する。このようにすることで、隣接する永久磁石30において、永久磁石30が存在する位置における回転子鉄心20の径方向D及び周方向Rに対する、永久磁石30の姿勢が均一化する。また、磁石配置穴110が回転子鉄心20の径方向D及び周方向Rに対して対称に設けられている場合、隣接する永久磁石30の間隔が均一化する。したがって、回転子鉄心20の周方向Rにおける回転子10の磁束密度が均一化する。これにより、回転子10をモータの回転子として用いた場合、回転子鉄心20の周方向Rにおける力のムラが生じず、回転特性が向上する。
【0125】
また、複数の回転子ブロック50の間で、回転子鉄心20の第1端面21側である磁石保持部202に、複数の突起120を配置する。複数の突起120を回転子鉄心20の第1端面21側に形成する場合、対応する複数の凹部130を全て回転子鉄心20の第1端面21に形成することができる。したがって、複数の突起120と対応する複数の凹部130の形成が容易になる。また、複数の回転子ブロック50の間で突起120の回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1における位置を揃えることで、突起120の突出量及び突起120の突出方向を揃えれば永久磁石30の回転子鉄心20に対する相対位置も揃えることができる。すなわち、周方向Rに対して対称性の高い回転子10の製造が容易となる。
【0126】
なお、回転子ブロック50の配置は、上述の場合に限られない。例えば、回転子鉄心20の周方向Rに対して、2種類の回転子ブロック50を交互に配置してもよい。又は、2種類の回転子ブロック50を、例えば2:1の比率で規則的に配置してもよい。すなわち、回転子10が、回転子鉄心20の周方向Rへの(360/n)°(nは2以上の整数)の回転に対して対称であればよい。例えば、回転子10が、回転子鉄心20の周方向Rへの60°の回転に対して対称とすることができる。なお、回転子10が、回転子鉄心20の周方向Rへの(360/n)°(nは2以上の整数)の回転に対して完全に対称である必要はなく、対称となっている部分を有することで、回転特性が改善する。すなわち、例えば、永久磁石30を10個有する回転子10において、特定の回転子ブロック50と、回転軸40を介してその特定の回転子ブロック50と互いに対向する回転子ブロック50が同一の構造であってもよい。
【0127】
(8)その他の変形例
実施形態及び各変形例では、凹部130は回転子鉄心20の凹部形成位置139を回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に加圧して形成する。しかしながら、凹部130と突起120との形成方法は、上述の場合に限られない。例えば、以下のように凹部を形成してもよい。まず、図14Aに示すように、回転子鉄心20raの凹部形成位置139に予め空洞138を形成し、永久磁石30を磁石配置穴110に挿入する。次に、図14Bに示すように、空洞138を押し広げて凹部130rとすることで回転子鉄心20rに突起120を形成する。空洞138を押し広げる方法は、例えば、円錐形の部材の先端を空洞138に挿し込み、部材を回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に沿って空洞138に押し込む方法である。このような方法によれば、空洞138を所望の位置に形成しておくことで、凹部130rを所望の位置に形成することができる。したがって、突起120の形状をより容易に制御できる。
【0128】
実施形態及び各変形例では、回転子鉄心20は、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1から平面視して円形である。しかしながら、回転子鉄心20は、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1から平面視して多角形であってもよいし、外周縁に凸部や凹部を有してもよい。このような場合、着目位置における回転子鉄心20の径方向Dとは、回転軸40の軸心Aの延伸する方向A1と直交し、かつ、回転軸40の軸心A上の位置から着目位置へ向かう方向を指す。また、回転子鉄心20の周方向Rとは、着目位置において、回転軸40の軸心Aの延伸する方向A1と直交し、かつ、着目位置における回転子鉄心20の径方向Dと直交する方向を指す。
【0129】
実施形態及び各変形例では、磁石配置穴110は回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1から平面視して長方形状であり、一対の内面が径方向Dに対向し、一対の内面が周方向Rに対向する。しかしながら、磁石配置穴110の長尺方向は回転子鉄心20の径方向Dに対する角度が回転子鉄心20において一様であれば、どの向きであってもよい。例えば、回転子鉄心20に設けられる全ての磁石配置穴110は、回転子鉄心20の径方向Dに対して30°をなしていてもよい。また、回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1から平面視したときの磁石配置穴110は長方形状に限られず、任意の形状であってよい。
【0130】
実施形態及び各変形例では、磁石配置穴110は回転子鉄心20を回転軸40の軸心Aが延伸する方向A1に沿って貫通する。しかしながら、磁石配置穴110は、回転子鉄心20の第1端面21で開口し、第2端面22では開口しない、としてもよい。
【0131】
実施形態及び各変形例では、モータ1は実施形態に係る固定子2を備える。しかしながら、本開示の態様に係るモータは、永久磁石30を備える回転子10を駆動させることができる固定子であれば、任意の固定子を備えてよい。
【0132】
(9)まとめ
第1の態様に係る回転子(10)は、回転子鉄心(20~20r)と、複数の永久磁石(30;30q)と、回転軸(40)と、を備える。回転子鉄心(20~20r)は、複数の磁石配置穴(110)を有する。複数の永久磁石(30;30q)は、複数の磁石配置穴(110)に対応し、各々が対応する磁石配置穴(110)の内部に配置される。回転軸(40)は、回転子鉄心(20~20r)に固定され、軸心(A)を回転中心とする。回転子鉄心(20~20r)は、第1内面(121)及び第2内面(122)と、突起(120~120q)と、を有する。第1内面(121)及び第2内面(122)は、複数の磁石配置穴に含まれる第1磁石配置穴(110)の内側に位置し、互いに対向する。突起(120~120q)は、回転子鉄心(20~20r)の塑性変形により形成され、第2内面(122)から第1内面(121)側に突出する。複数の永久磁石のうち、第1磁石配置穴(110)に配置される第1永久磁石(30;30q)は、突起(120~120q)によって第1磁石配置穴(110)内に保持される。
【0133】
第1の態様に係る回転子(10)によれば、別途部材を用いることなく、第1永久磁石(30;30q)を回転子鉄心(20~20r)の第1磁石配置穴(110)に強固に保持することができる。したがって、回転子(10)の信頼性を容易に高めることができる。
【0134】
第2の態様に係る回転子(10)では、第1の態様において、第1内面(121)と第2内面(122)とは、回転軸(40)の軸心(A)が延伸する方向(A1)と直交する方向(D)と交差する方向に対向する。
【0135】
第2の態様に係る回転子(10)によれば、第1永久磁石(30;30q)を、第1磁石配置穴(110)に対して回転子鉄心(20~20i;20q;20r)の周方向(R)に位置合わせして保持することができる。したがって、永久磁石(30;30q)の回転子鉄心(20~20i;20q;20r)に対する周方向(R)の相対位置を容易に制御することができる。
【0136】
第3の態様に係る回転子(10)では、第1の態様において、第1内面(121)と第2内面(122)とは、回転軸(40)の軸心(A)が延伸する方向(A1)と直交する方向に対向する。突起(120j~120p)は、回転子鉄心(20j~20p)の外側に突出する。
【0137】
第3の態様に係る回転子(10)によれば、第1永久磁石(30)を、第1磁石配置穴(110)に対して回転子鉄心(20j~20p)の径方向(D)に位置合わせして保持することができる。したがって、永久磁石(30)の回転子鉄心(20~20p)に対する径方向(D)の相対位置を容易に制御することができる。
【0138】
第4の態様に係る回転子(10)では、第1~第3の態様のいずれかにおいて、突起(120~120q)は、回転子鉄心(20~20q)の所定の位置を回転軸(40)の軸心(A)が延伸する方向(A1)に加圧して回転子鉄心(20~20q)に塑性変形を生じさせることによって形成される。
【0139】
第4の態様に係る回転子(10)によれば、回転子鉄心(20~20q)の所定の位置を軸心(A)が延伸する方向(A1)に加圧することで突起(120~120q)が形成される。したがって、容易な方法で、突起(120~120q)を形成できる。
【0140】
第5の態様に係る回転子(10)では、第1~第3の態様のいずれかにおいて、回転子鉄心(20r)は、所定の位置に空洞(138)を有し、突起(120)は、空洞(138)を広げて回転子鉄心(20r)に塑性変形を生じさせることによって形成される。
【0141】
第5の態様に係る回転子(10)によれば、回転子鉄心(20r)の所定の位置に空洞(138)を形成し、その空洞(138)を拡張することで突起が形成される。したがって、容易な方法で、突起(120)を形成でき、突起(120)の形状の制御も容易となる。
【0142】
第6の態様に係る回転子(10)では、第1~第5の態様のいずれかにおいて、第2内面(122)からの突起(120q)の突出量(D8)は、第1永久磁石(30q)と第2内面(122)との距離(D7)よりも大きい。
【0143】
第6の態様に係る回転子(10)によれば、例えば、第1永久磁石(30q)が樹脂等で被覆されている場合に、第1永久磁石(30q)の被覆の内側を突起(120q)で固定することができる。したがって、永久磁石(30q)をより強い力で保持することができる。
【0144】
第7の態様に係る回転子(10)では、第1~第6の態様のいずれかにおいて、突起(120)は、第2内面(122)と対向する第1永久磁石の面(32)における、回転軸(40)の軸心(A)が延伸する方向(A1)に延びる中心軸(321)に接触する。
【0145】
第7の態様に係る回転子(10)によれば、第1永久磁石(30)が第1磁石配置穴(110)の第1内面(121)に対して密着しやすくなる。したがって、回転子鉄心(20)の第1磁石配置穴(110)に対して第1永久磁石(30)の位置を制御しやすくなる。
【0146】
第8の態様に係る回転子(10)では、第1~第6の態様のいずれかにおいて、突起(120n)は、第2内面(122)に沿って延伸する長尺形状である。
【0147】
第8の態様に係る回転子(10)によれば、突起(120n)と第1永久磁石(30)との接触面積が増大する。したがって、第1永久磁石(30)を回転子鉄心(20n)がより強い力で保持することができる。
【0148】
第9の態様に係る回転子(10)は、第1~第6の態様のいずれかにおいて、回転子鉄心(20b;20c;20d)は、回転軸(40)の軸心(A)が延伸する方向(A1)において、突起(120b;120c;120d)と同じ側に同面側突起(150b;150c;150d)を更に有する。同面側突起(150b;150c;150d)は、第1永久磁石(30)を保持する。
【0149】
第9の態様に係る回転子(10)によれば、第1永久磁石(30)が突起(120b;120c;120d)と同面側突起(150b;150c;150d)で保持される。したがって、突起(120;120c;120d)と同面側突起(150b;150c;150d)との配置によって第1永久磁石(30)の保持姿勢を所望の姿勢に制御することが容易となる。
【0150】
第10の態様に係る回転子(10)では、第9の態様において、同面側突起(150b)は、第2内面(122)から第1内面(121)側に突出する。
【0151】
第10の態様に係る回転子(10)によれば、突起(120b)と同面側突起(150b)とが同方向に第1永久磁石(30)を保持するため、第1永久磁石(30)がより強い力で回転子鉄心(20b)に保持される。
【0152】
第11の態様に係る回転子(10)では、第10の態様において、突起(120b)と同面側突起(150b)との間に、第2内面(122)と対向する第1永久磁石(30)の面(32)における、回転軸(40)の軸心(A)が延伸する方向(A1)に延びる中心軸(321)が位置する。
【0153】
第11の態様に係る回転子(10)によれば、第1内面(121)と第2内面(122)とが対向する方向に交差する方向において、第1永久磁石(30)を保持する力のばらつきを小さくすることができる。したがって、第1永久磁石(30)に生じる回転モーメントを抑止し、第1永久磁石(30)の回転子鉄心(20b)に対する相対的な姿勢を安定化させることができる。
【0154】
第12の態様に係る回転子(10)では、第1~第11の態様のいずれかにおいて、第1永久磁石(30;30q)は、第1内面(121)に接した状態で保持される。
【0155】
第12の態様に係る回転子(10)によれば、第1永久磁石(30;30q)が第1内面(121)と突起(120~120b;120e~120q)とによって、第1内面(121)と第2内面(122)との対向する向きに両側から保持される。また、第1永久磁石(30;30q)と第1内面(121)とは、広い面積で接触する。したがって、第1永久磁石(30;30q)が強い力で回転子鉄心(20~20b;20e~20r)に保持され、回転子(10)に対する第1永久磁石(30;30q)の相対移動を抑止することができる。
【0156】
第13の態様に係る回転子(10)では、第9の態様において、同面側突起(150c;150d)は、第1内面(121)から第2内面(122)側に突出する。
【0157】
第13の態様に係る回転子(10)によれば、互いに対向する突起(120c;120d)と同面側突起(150c;150d)によって第1永久磁石(30)を保持する。したがって、磁石配置穴(110)と第1永久磁石(30)の形状にかかわらず、所望の姿勢で第1永久磁石(30)を保持することができる。
【0158】
第14の態様に係る回転子(10)では、第13の態様において、突起(120c)と同面側突起(150c)とが対向する方向は、前記第1内面と前記第2内面とが対向する方向と同方向である。
【0159】
第14の態様に係る回転子(10)によれば、第1磁石配置穴(110)と第1永久磁石(30)とを密着させることなく、回転子鉄心(20c)が第1永久磁石(30)を保持することができる。また、第1内面(121)と第2内面(122)とが対向する向きにおいて、回転子鉄心(20c)が第1永久磁石(30)を強固に保持することができる。
【0160】
第15の態様に係る回転子(10)では、第13の態様において、突起(120d)と同面側突起(150d)とが対向する方向は、第1内面(121)と第2内面(122)とが対向する方向と異なる方向である。
【0161】
第15の態様に係る回転子(10)によれば、第1内面(121)と第2内面(122)とが対向する向きとは異なる方向に回転子鉄心(20d)が第1永久磁石(30)を強固に保持することができる。また、回転子鉄心(20d)が、第1永久磁石(30)を第1磁石配置穴(110)に対して傾けて保持することが容易となる。
【0162】
第16の態様に係る回転子(10)では、第1~第15のいずれかの態様において、回転子鉄心(20e~20i)は、回転軸(40)の軸心(A)が延伸する方向(A1)に第1端面(21)と第2端面(22)とを有する。磁石配置穴(110)は、回転子鉄心(20e~20i)の第1端面(21)から第2端面(22)まで貫通する貫通孔である。突起(120e~120i)は、第1端面(21)側に形成される。回転子鉄心(20e~20i)は、第2端面(22)側に、第1永久磁石(30)を保持する対向側突起(160e~160i)を更に有する。
【0163】
第16の態様に係る回転子(10)では、軸心(A)が延伸する方向(A1)における回転子鉄心(20e~20i)の第1端面(21)側と第2端面(22)側との各々に突起(120e~120i)と対向側突起(160e~160i)とを形成する。これにより、第1永久磁石(30)を軸心(A)が延伸する方向(A1)においても回転子鉄心(20e~20i)に対して相対移動しないように回転子鉄心(20e~20i)が保持することができる。
【0164】
第17の態様に係る回転子(10)では、第16の態様において、対向側突起(160e;160g;160i)は、第2内面(122)から第1内面(121)側に突出する。第1永久磁石(30)は、回転軸(40)の軸心(A)が延伸する方向に沿って第1内面(121)に連続して接する。
【0165】
第17の態様に係る回転子(10)によれば、第1永久磁石(30)が第1磁石配置穴(110)を構成する第1内面(121)に密着するような、第1永久磁石(30)と回転子鉄心(20e;20g;20i)との相対的位置関係を容易に実現することができる。したがって、第1永久磁石(30)と回転子鉄心(20e;20g;20i)との相対的な位置関係を容易に制御することができる。
【0166】
第18の態様に係る回転子(10)では、第16の態様において、対向側突起(160f;160h)は、第1内面(121)から第2内面(122)に突出する。第1永久磁石(30)は、回転子鉄心(20f;20h)の第1端面(21)側で第1内面(121)に接し、回転子鉄心の第2端面(22)側で第2内面(122)に接する。
【0167】
第18の態様に係る回転子(10)によれば、第1永久磁石(30)を第1磁石配置穴(110)の内面に密着させずに第1永久磁石(30)を強い保持力で回転子鉄心(20f;20h)が保持することができる。したがって、例えば、第1永久磁石(30)の形状と第1磁石配置穴(110)の形状の際にかかわらず、第1永久磁石(30)と回転子鉄心(20f;20h)の接触に起因する第1永久磁石(30)の破損を抑止することができる。
【0168】
第19の態様に係る回転子(10)は、第1~18の態様のいずれかにおいて、回転子鉄心(20g;20h)は、第2内面(122)から第1内面(121)側に突出する突出部(171)を更に備える。突出部(171)が第2内面(122)から突出する距離(D2)は、突起(120g)が第2内面(122)から突出する距離(D1)と、第2内面(122)と第1永久磁石(30)との距離(D1)とのいずれよりも大きい。突起(120g)と突出部(171)とは、回転子鉄心(20g)の塑性変形により一体成型されている。
【0169】
第19の態様に係る回転子(10)によれば、突出部(171)によって軸心(A)が延伸する方向(A1)に第1永久磁石(30)が移動し、第1永久磁石(30)が磁石配置穴(110)から脱落することを抑止できる。
【0170】
第20の態様に係る回転子(10)では、第1~第19のいずれかの態様において、回転子鉄心(20i)は、複数の板状磁性鋼(23)が積層された積層体を有する。複数の板状磁性鋼(23)は、回転軸(40)の軸心(A)が延伸する方向(A1)における第1端面(21)を含む第1鋼板群(204)と、第1鋼板群(204)に接する第2鋼板群(202i)とを含む。第1鋼板群(204)は、第1端面(21)から第2鋼板群(202i)まで貫通する貫通孔(231)が設けられる。第2鋼板群(202i)は、貫通孔(231)によって第1端面(21)側に露出した部分(130i)が塑性変形することで形成された突起(120i)を有する。
【0171】
第20の態様に係る回転子(10)によれば、突起(120i)を形成するための塑性変形を第2鋼板群(202i)に生じさせるため、第1鋼板群(204)の塑性変形を抑止することができる。したがって、回転子鉄心(20i)の第1端面(21)の変形を抑止することができる。
【0172】
第21の態様に係る回転子(10)では、第1~第20のいずれかの態様において、回転子鉄心(20;20j)は、第3内面(121-2;121-4)及び第4内面(122-2;122-4)と、第2突起(120-2;120j-4)と、を更に有する。第3内面(121-2;121-4)及び第4内面(122-2;122-4)は、複数の磁石配置穴に含まれる第2磁石配置穴(110-2;110-4)の内側に位置し、互いに対向する。第2突起(120-2;120j-4)は、回転子鉄心(20;20j)の塑性変形により形成され、第4内面(122-2;122-4)から第3内面(121-2;121-4)側に突出する。第2突起(120-2;120j-4)は、突起である第1突起(120-1;120j-3)とは異なる。複数の永久磁石のうち、第2磁石配置穴(110-2;110-4)に配置される第2永久磁石(30-2;30-4)は、第2突起(120-2;120j-4)によって第2磁石配置穴(110-2;110-4)内に保持される。第2突起(120-2;120j-4)が突出する方向と、回転軸(40)の軸心(A)が延伸する方向(A1)と直交し、かつ、軸心(A)と第2突起(120-2;120j-4)とを通る方向(D-2;D-4)とがなす角度は、突起(120-1;120j-3)が突出する方向と、軸心(A)が延伸する方向(A1)と直交し、かつ、軸心(A)と突起(120-1;120j-3)とを通る方向(D-1;D-3がなす角度と等しい。
【0173】
第21の態様に係る回転子(10)によれば、第1永久磁石(30-1;30-3)と、第2永久磁石(30-2;30-4)とが、回転子鉄心(20;20j)の径方向(D)に対して同一の角度をなす方向に突起(120)で保持される。したがって、回転子鉄心(20;20j)の径方向(D)及び/又は周方向(R)に対して、第1永久磁石(30-1;30-3)と第2永久磁石(30-2;30-4)の相対位置を揃えることができる。したがって、回転子鉄心(20;20j)に対する永久磁石(30)の相対位置の偏りを抑止できる。したがって、磁束密度の均一化により回転子(10)の特性を向上させることができる。
【0174】
第22の態様に係る回転子(10)では、第21の態様において、第1突起(120-1;120-3)と、第2突起(120-2;120-4)とは、回転子鉄心(20;20j)の軸心(A)が延伸する方向において同一の端面(21)側に設けられる。
【0175】
第22の態様に係る回転子(10)によれば、第1永久磁石(30-1;30-3)と第2永久磁石(30-2;30-4)との各々の回転子鉄心(20;20j)に対する径方向(D)及び/又は周方向(R)の相対位置を同一とすることが容易となる。また、第1永久磁石(30-1;30-3)と第2永久磁石(30-2;30-4)との各々の回転子鉄心(20;20j)に対する軸心(A)が延伸する方向(A1)の相対位置を同一とすることも容易となる。したがって、磁束密度の均一化により回転子(10)の特性を向上させることができる。
【0176】
第23の態様に係るモータ(1)は、第1~第22の態様のいずれかの回転子(10)と、固定子(2)と、を備える。
【0177】
第23の態様に係るモータ(1)によれば、別途部材を用いることなく、第1永久磁石(30;30q)を回転子鉄心(20~20r)の所定の位置に強固に保持することができる。したがって、回転子(10)の信頼性を容易に高めることができる。
【0178】
第24の態様に係る回転子(10)の製造方法は、回転子鉄心(20~20r)と、複数の永久磁石(30;30q)と、回転軸(40)とを備える回転子(10)の製造方法である。回転子鉄心(20~20r)は、複数の磁石配置穴(110)を有する。複数の永久磁石(30;30q)は、複数の磁石配置穴(110)に対応する。回転軸(40)は、軸心(A)を回転中心とし、軸心(A)が延伸する方向(A1)に延びる。第24の態様に係る回転子(10)の製造方法では、軸心(A)が延伸する方向(A1)に延伸する複数の磁石配置穴(110)を有する回転子鉄心(20~20r)を準備する。第24の態様に係る回転子(10)の製造方法では、複数の永久磁石(30;30q)の各々を複数の磁石配置穴の対応する磁石配置穴(110)に配置する。第24の態様に係る回転子(10)の製造方法では、回転子鉄心(20~20r)の第1端面(21)を第2端面(22)に向かって加圧して回転子鉄心(20~20r)を塑性変形させ、突起(120~120q)を形成する。第1端面(21)と第2端面(22)は、軸心(A)が延伸する方向(A1)に対向する。突起(120~120q)は、複数の磁石配置穴の少なくとも1つの第1磁石配置穴(110)の内面(122)から突出し、複数の永久磁石のうち第1磁石配置穴(110)に配置される第1永久磁石(30;30q)を保持する。
【0179】
第24の態様に係る回転子(10)の製造方法によれば、別途部材を用いることなく、第1永久磁石(30;30q)を回転子鉄心(20~20r)の所定の位置に強固に保持することができる。したがって、回転子(10)の信頼性を容易に高めることができる。
【符号の説明】
【0180】
10 回転子
20,20a,20b,20c,20d,20e,20f,20g,20h,20i,20j,20k,20l,20m,20n,20p,20q,20r 回転子鉄心
21 第1端面(端面)
22 第2端面
202i 第2鋼板群
23 板状磁性鋼
204 第1鋼板群
231 貫通孔
110 磁石配置穴(第1磁石配置穴)
120,120b,120c,120d,120e,120g,120i,120j,120k,120l,120m,120n,120p,120q 突起(第1突起、第2突起)
121 第1内面(第3内面)
122 第2内面(内面、第4内面)
138 空洞
150b,150c,150d 同面側突起
160e,160f,160g,160h,160i 対向側突起
171 突出部
30;30q 永久磁石(第1永久磁石、第2永久磁石)
321 中心軸
40 回転軸
1 モータ
2 固定子
A 軸心
A1 軸心の延伸する方向
D 径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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