(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014998
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】帳票取引装置、帳票管理システムおよび帳票取引装置におけるデータ処理方法
(51)【国際特許分類】
G07D 11/00 20190101AFI20240125BHJP
G06Q 40/02 20230101ALI20240125BHJP
【FI】
G07D11/00
G06Q40/02
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023197373
(22)【出願日】2023-11-21
(62)【分割の表示】P 2019191257の分割
【原出願日】2019-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 真樹
(72)【発明者】
【氏名】野崎 剛
(72)【発明者】
【氏名】小林 成美
(72)【発明者】
【氏名】荷山 晋一
(57)【要約】
【課題】帳票に関して使い勝手の向上を図れる帳票取引装置、帳票管理システムおよび帳票取引装置におけるデータ処理方法を提供する。
【解決手段】帳票による取引を行う帳票取引装置1では、制御部54が、取引に関する取引データを表示操作部4や読取部29によって取得し、取引データに基づいて、帳票の発行元に向けた発行元向けデータを生成する。制御部54は、取引の実行タイミングよりも後の所定タイミングにおいて、I/F部56によって発行元向けデータを外部出力する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帳票による取引を行う帳票取引装置であって、
帳票に基づく取引を実行する取引部と、
前記取引部による前記取引に関する取引データを取得する取得部と、
前記取引データに基づいて、帳票の発行元に向けた発行元向けデータを生成する生成部と、
前記発行元向けデータを外部出力する出力部とを含み、
前記出力部は、前記取引部による前記取引の実行タイミングよりも後の所定タイミングに前記発行元向けデータを外部出力する、帳票取引装置。
【請求項2】
前記所定タイミングが、前記取引部による前記取引の終了時、締め作業時、および前記帳票取引装置の次回の起動時のいずれかのタイミングである、請求項1に記載の帳票取引装置。
【請求項3】
係員が操作可能な係員操作部をさらに含み、
前記所定タイミングは、前記係員操作部に所定操作が行われたタイミングである、請求項1に記載の帳票取引装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記取引部によって実行された複数の前記取引について、まとめて前記発行元向けデータを生成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の帳票取引装置。
【請求項5】
帳票による取引を行う帳票取引装置と、発行済の帳票のリストを管理する管理装置とを含む帳票管理システムであって、
前記帳票取引装置は、帳票に基づく取引を実行する取引部と、前記取引部による前記取引に関する取引データを取得する取得部と、前記取引データに基づいて、帳票の発行元が取引済みの帳票を特定するための発行元向けデータを生成する生成部と、前記発行元向けデータを外部出力する出力部とを含み、前記出力部は、前記取引部による前記取引の実行タイミングよりも後の所定タイミングに前記発行元向けデータを外部出力し、
前記管理装置は、前記出力部によって外部出力された前記発行元向けデータが入力される入力部と、前記入力部に入力された前記発行元向けデータに基づいて、取引済みの帳票のデータを前記リストから消し込む消込部とを含む、帳票管理システム。
【請求項6】
帳票による取引を行う帳票取引装置におけるデータ処理方法であって、
帳票に基づく取引を実行する取引ステップと、
前記取引ステップの前記取引に関する取引データを取得する取得ステップと、
前記取引データに基づいて、帳票の発行元に向けた発行元向けデータを生成する生成ステップと、
前記発行元向けデータを外部出力する出力ステップとを含み、
前記出力ステップは、前記取引ステップの前記取引の実行タイミングよりも後の所定タイミングに前記発行元向けデータを外部出力するステップを含む、データ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、帳票取引装置と、帳票取引装置を含む帳票管理システムと、帳票取引装置におけるデータ処理方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、金融機関に設置されて料金の払込取引を自動的に行う自動取引装置を開示している。払い込むべき料金の金額等の情報が印刷された帳票が届けられた利用者は、この帳票を金融機関に持ち込んで自動取引装置の取込排出口に挿入する。その後、利用者が現金を自動取引装置に投入する等によって当該料金について決済すると、取込排出口から自動取引装置内に取り込まれた帳票は、領収マークが記入された後に切断されて領収書と払込通知書とに分離される。領収書は、取込排出口から排出されて利用者に返却され、払込通知書は、自動取引装置内に回収された後に、料金の払い込み先(つまり帳票の発行元)に送付される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような自動取引装置での取引後に払込通知書が送付された発行元における一般的な処理として、発行元の係員が、事前に準備している発行済帳票のリストから当該払込通知書に対応する帳票の情報を消し込むことによって、発行済帳票についての料金の払い込みの有無を確認する。この際、係員は、金融機関から送付された払込通知書群についての梱包を解いて払込通知書の現物を取り出して払込通知書の中身を目視によって確認してから、この払込通知書に対応する帳票の情報をリストから探し出すといった手作業を行わねばならないので、係員にかかる負担が大きく、使い勝手の向上が望まれる。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、帳票に関して使い勝手の向上を図れる帳票取引装置、帳票管理システムおよび帳票取引装置におけるデータ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、帳票による取引を行う帳票取引装置を提供する。前記帳票取引装置は、前記取引に関する取引データを取得する取得部と、前記取引データに基づいて、帳票の発行元に向けた発行元向けデータを生成する生成部と、前記発行元向けデータを外部出力する出力部とを含む。そして、前記帳票取引装置が、帳票に基づく取引を実行する取引部をさらに含む。そして、前記出力部が、前記取引部による前記取引の実行タイミングよりも後の所定タイミングに前記発行元向けデータを外部出力する。
【0007】
また、本発明の一実施形態では、前記発行元向けデータが、前記取引の明細データを少なくとも含む。
【0008】
また、本発明の一実施形態では、前記取得部が、帳票から当該帳票の画像データを読み取る読取部を含み、前記発行元向けデータが、前記画像データを含む。
【0009】
また、本発明の一実施形態では、前記出力部が、処理部の処理タイミングに前記発行元向けデータを外部出力する。前記出力部は、前記取引部による前記取引の実行タイミングよりも後の所定タイミングに前記発行元向けデータを外部出力してもよい。前記所定タイミングが、前記取引部による前記取引の終了時であってもよい。前記所定タイミングが、締め作業時であってもよい。前記所定タイミングが、前記帳票取引装置の次回の起動時であってもよい。
前記帳票取引装置は、係員が操作可能な係員操作部をさらに含んでいてもよい。そして、前記所定タイミングは、前記係員操作部に所定操作が行われたタイミングであってもよい。
前記生成部は、前記取引部によって実行された複数の前記取引について、まとめて前記発行元向けデータを生成してもよい。
【0010】
また、本発明の一実施形態では、前記帳票取引装置が、帳票への記入および/または帳票のカットの処理を行う処理部を含む。そして、前記生成部が、帳票の様式についての様式データを、前記読取部が当該帳票から読み取った前記画像データに基づいて生成し、前記出力部が、前記処理部の処理タイミングよりも後のタイミングに前記様式データを外部出力する。
【0011】
また、本発明の一実施形態では、前記出力部が、前記処理タイミングにおいて前記発行元向けデータの外部出力に失敗した場合には、前記処理タイミングよりも後のタイミングに前記発行元向けデータを外部出力する。
【0012】
また、本発明の一実施形態では、帳票には、前記取引における必須データが記載されている。そして、前記取得部が、前記帳票取引装置との間において帳票による取引を行う利用者によって前記必須データの入力のために操作される操作部を含む。そして、前記取引には、前記読取部が読み取った前記画像データに含まれる前記必須データに基づく第1取引と、利用者による前記操作部の操作によって入力された前記必須データに基づく第2取引とがあり、前記第1取引の場合、前記出力部が、前記処理タイミングに前記発行元向けデータを外部出力し、前記第2取引の場合、前記出力部が、前記第2取引の終了時に前記発行元向けデータを外部出力する。
【0013】
また、本発明の一実施形態では、前記帳票取引装置が、前記取引の履歴についての電子ジャーナルを作成する作成部をさらに含む。
【0014】
また、本発明の一実施形態では、前記出力部が、前記帳票取引装置の起動時、前記帳票取引装置に発生したエラーの解除時、前記取引データの取消時、および、前記電子ジャーナルの作成時における少なくともいずれかのタイミングに前記発行元向けデータを外部出力する。
【0015】
また、本発明の一実施形態は、帳票による取引を行う帳票取引装置と、発行済の帳票のリストを管理する管理装置とを含む帳票管理システムを提供する。そして、前記帳票取引装置が、帳票に基づく取引を実行する取引部と、前記取引部による前記取引に関する取引データを取得する取得部と、前記取引データに基づいて、帳票の発行元が取引済みの帳票を特定するための発行元向けデータを生成する生成部と、前記発行元向けデータを外部出力する出力部とを含む。そして、前記出力部は、前記取引部による前記取引の実行タイミングよりも後の所定タイミングに前記発行元向けデータを外部出力する。そして、前記管理装置が、前記出力部によって外部出力された前記発行元向けデータが入力される入力部と、前記入力部に入力された前記発行元向けデータに基づいて、取引済みの帳票のデータを前記リストから消し込む消込部とを含む。
【0016】
また、本発明の一実施形態では、前記帳票管理システムが、前記出力部によって外部出力された前記発行元向けデータを前記入力部に中継する中継装置を含む。
【0017】
また、本発明の一実施形態では、前記帳票取引装置が、前記発行元向けデータを記憶する第1記憶部を含み、前記中継装置が、前記出力部によって外部出力された前記発行元向けデータを受信する受信部と、前記受信部が受信した前記発行元向けデータを記憶する第2記憶部と、前記第2記憶部に記憶された前記発行元向けデータを前記入力部に送信する送信部とを含む。
【0018】
また、本発明の一実施形態は、帳票による取引を行う帳票取引装置におけるデータ処理方法を提供する。そして、前記データ処理方法は、前記取引に関する取引データを取得する取得ステップと、前記取引データに基づいて、帳票の発行元に向けた発行元向けデータを生成する生成ステップと、前記発行元向けデータを外部出力する出力ステップとを含む。前記データ処理方法が、帳票に基づく取引を実行する取引ステップをさらに備えていてもよい。前記出力ステップが、前記取引ステップの前記取引の実行タイミングよりも後の所定タイミングに前記発行元向けデータを外部出力するステップを含んでいてもよい。
前記出力ステップは、前記取引ステップの前記取引の実行タイミングよりも後の所定タイミングに前記発行元向けデータを外部出力するステップを含んでいてもよい。前記所定タイミングが、前記取引ステップの前記取引の終了時であってもよい。前記所定タイミングが、締め作業時であってもよい。前記所定タイミングが、前記帳票取引装置の次回の起動時であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、帳票に関して使い勝手の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態において用いられる帳票の一例を示す模式図である。
【
図2】領収印の記入後に分離された状態における帳票を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る帳票管理システムの概要を示す模式図である。
【
図4】帳票管理システムを構成する帳票取引装置の斜視図である。
【
図5】帳票取引装置の内部構造を示す模式的な側面図である。
【
図6】帳票管理システムの電気的構成を示すブロック図である。
【
図7】帳票管理システムを構成する管理装置に記憶されるテーブルを示す図である。
【
図8】取引の際に帳票取引装置において行われる処理の内容を示すフローチャートである。
【
図9】取引の際に帳票取引装置において行われる処理の内容を示すフローチャートである。
【
図10】帳票取引装置の表示操作部の表示内容の一例を示す模式図である。
【
図11】表示操作部の表示内容の一例を示す模式図である。
【
図12】表示操作部の表示内容の一例を示す模式図である。
【
図13】表示操作部の表示内容の一例を示す模式図である。
【
図14】表示操作部の表示内容の一例を示す模式図である。
【
図15】表示操作部の表示内容の一例を示す模式図である。
【
図16】表示操作部の表示内容の一例を示す模式図である。
【
図17】表示操作部の表示内容の一例を示す模式図である。
【
図18】取引の際に帳票取引装置において行われる処理の内容を示すフローチャートである。
【
図19】表示操作部の表示内容の一例を示す模式図である。
【
図20】帳票取引装置から発行されるレシートの模式図である。
【
図21】起動時の帳票取引装置において行われる処理の内容を示すフローチャートである。
【
図22】係員による所定操作があった場合の帳票取引装置において行われる処理の内容を示すフローチャートである。
【
図23】営業時間終了後の帳票取引装置において行われる処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、この発明の一実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1および
図2は、この発明の一実施形態において用いられる帳票Fの一例を示す模式図である。帳票Fは、行政機関や販売業者等が発行する納付書または払込票等であり、この実施形態では、地方公共団体が発行する納付書である。帳票Fは、税金や公共料金等の料金を支払うべき利用者に郵送等によって届けられた後に、利用者によって料金の支払いのために銀行等の金融機関に持ち込まれる。
【0022】
帳票Fの全体は、例えば長方形状に形成された紙片である。帳票Fでは、料金の支払い後に利用者に返却される領収書F1と、控えF2とが、帳票Fの長手方向LDに並んで配置されている。この実施形態における控えF2は、料金の支払い後に金融機関等において保管される納入書F2Aと、料金の支払い後に帳票Fの発行元である地方公共団体に送付される納入通知書F2Bとを含む。
【0023】
領収書F1、納入書F2Aおよび納入通知書F2Bのそれぞれの表面FAには、それぞれのタイトルTと、支払うべき料金の額つまり支払額等に関する情報Jと、枠状の押印欄Rとが予め印刷されている。なお、情報Jには、文字や数字に限らず、例えばコンビニエンスストアにおける読み取りを想定したコード(バーコード等の二次元コード)といった様々な記号が含まれる。情報Jは、支払額に関する支払額情報J1と、料金を支払う期限つまり支払期限の情報J2とを少なくとも含む。また、図示していないが、情報Jは、利用者の個人情報(氏名や電話番号等)と、個々の帳票Fを特定するための識別情報とをさらに含む。
【0024】
利用者に届いた時点における帳票Fは、
図1に示すように、領収書F1と控えF2とが一体化された状態にある。帳票Fには、領収書F1と控えF2との境界線L1(破線参照)が設けられている。控え2Fには、納入書F2Aと納入通知書F2Bとの境界線L2(一点鎖線参照)が設けられている。境界線L1および境界線L2のそれぞれは、帳票Fにおいて長手方向LDと直交する短手方向SDに沿って直線状に延びて、帳票Fを横切っている。境界線L1および境界線L2は、帳票Fに予め印刷された直線である。この実施形態では、境界線L1には、短手方向SDに沿って境界線L1上を直線状に延びるミシン目Mが形成されている。
【0025】
利用者が帳票Fを金融機関における有人の窓口に持ち込んだ場合、窓口の係員は、帳票Fに記載されている支払額情報J1から、支払額を利用者に伝える。なお、利用者が金融機関を訪れた日が、帳票Fに記載された情報J2における支払期限を徒過している場合には、延滞金が発生している場合がある。また、帳票Fの発行元から利用者への督促が既に行われている場合には、延滞金に加えて督促手数料も発生している場合がある。そこで、窓口の係員は、延滞金額および督促手数料額といった加算額を調べ、支払額情報J1に記載された支払額に加算額を加算した合計額を、支払うべき料金の総額として利用者に伝える。利用者は、係員から伝えられた料金を現金やクレジットカードにて支払うことによって、料金について決済する。
【0026】
決済が完了すると、係員は、
図2に示すように、決済完了の証拠情報である領収印Aを帳票Fにおける各押印欄R内に記入する。その後、係員は、帳票Fを、領収書F1と控えF2とに分離する。係員が領収書F1を利用者に手渡すと、料金の支払いについての利用者と係員との間における取引が完了する。つまり、決済が完了しただけでは、取引は未完了であり、領収印Aが記入された領収書F1が決済完了後に利用者に手渡されることによって取引全体が完了する。
【0027】
控えF2は、金融機関によって一旦回収され、その後、納入書F2Aと納入通知書F2Bとに分離されてから、それぞれの送り先に郵送される。なお、納入書F2Aと納入通知書F2Bとを分離する際には、境界線L2をハサミ等で切断してもよいし、予め境界線L2にミシン目Mを設けておいて、境界線L1と同様の手順で、納入書F2Aと納入通知書F2Bとをミシン目Mにおいて分離してもよい。
【0028】
図3は、本発明の一実施形態に係る帳票管理システム100の概要を示す模式図である。帳票管理システム100は、金融機関の建物内における例えばATM(Automated Teller Machine)コーナーに設置された帳票取引装置1と、例えば金融機関の建物内におけるバックヤード等に設置された中継装置101と、金融機関の窓口に設置された窓口端末102とを含む。
【0029】
帳票取引装置1と窓口端末102とは、有線または無線の通信回線で構成されたLAN(Local Area Network)103を介して通信可能に接続されている。LAN103は、インターネット等の公衆回線104につながっている。中継装置101は、LAN103および公衆回線104を介して、または、LAN103だけを介して、帳票取引装置1および窓口端末102のそれぞれに対して通信可能に接続されている。なお、中継装置101は、帳票取引装置1または窓口端末102の一部であってもよいし、金融機関から離れた別の場所に設置されてもよい。
【0030】
帳票取引装置1は、先ほどの説明において利用者と係員との間において行われた帳票Fによる取引を利用者との間において行う自動取引装置である。なお、この実施形態における帳票取引装置1は、税金や公共料金に関する税公金処理機である。帳票Fに記載された支払額情報J1は、当該取引における必須データの一例である。中継装置101は、帳票取引装置1での決済が完了した取引の情報を取引履歴として記憶するサーバである。窓口端末102は、いわゆるパソコンであって、窓口の係員によって操作される。帳票管理システム100に関連して、金融機関の建物の外には、カード決済サーバ105、管理装置106および辞書サーバ107が設けられており、これらは、公衆回線104に接続されている。カード決済サーバ105は、クレジットカード会社によって保有されてもよいし、税公金処理機のメーカーによって保有されてもよい。管理装置106は、帳票Fの発行元(この実施形態では地方公共団体)によって保有されるサーバである。なお、発行元は、1つとは限らないので、管理装置106も複数存在してもよいが、以下の説明では、1つの発行元と、この発行元が保有する1つの管理装置106とに着目する。辞書サーバ107は、帳票Fの様式データを管理する組織(辞書配信センター等)によって保有されている。
【0031】
図4は、この発明の一実施形態に係る帳票取引装置1の斜視図である。帳票取引装置1は、縦長のボックス形状の装置本体2を含む。装置本体2における正面側の側面である前面3では、上側領域3Aが下側領域3Bよりも後側に一段ずれることにより、上側領域3Aと下側領域3Bとの間には水平に延びる境界領域3Cが形成されている。
【0032】
上側領域3Aの上側部分には、例えばタッチパネル付きの液晶モニタによって構成された表示操作部4が設けられている。表示操作部4は、取得部および操作部の一例として機能する。上側領域3Aにおいて表示操作部4よりも右側の領域には、後側へ窪んだ窪み3Dが形成されている、窪み3Dには、左右に細長いスリット状のレシート取出口5およびカード出入口6と、PINパッド等によって構成された入力部7とが上下に並んで設けられている。上側領域3Aにおいて表示操作部4よりも下側には、左右に細長いスリット状の取込排出口8と、取込排出口8の下端を縁取って前側へ水平に突出した板状のトレイ9とが設けられている。
【0033】
前面3の下側領域3Bの上部において例えば右寄りの領域には、左右に細長いスリット状の紙幣投入口10および紙幣出金口11が上下に並んで設けられている。紙幣投入口10および紙幣出金口11は、下側領域3Bと境界領域3Cとに跨って略L字状に折り曲げられたシャッタ12によって一括開閉される。下側領域3Bの上部において紙幣投入口10および紙幣出金口11よりも左側の領域には、硬貨出金口13が設けられ、境界領域3Cにおいて左右方向において硬貨出金口13と同じ位置には、硬貨投入口14が設けられている。硬貨出金口13および硬貨投入口14は、シャッタ12と同様に略L字状に折り曲げられたシャッタ15によって一括開閉される。なお、シャッタ12は、紙幣投入口10だけを開閉するシャッタと、紙幣出金口11だけを開閉するシャッタとに分かれていてもよい。同様に、シャッタ15は、硬貨出金口13だけを開閉するシャッタと、硬貨投入口14だけを開閉するシャッタとに分かれていてもよい。
【0034】
なお、表示操作部4、レシート取出口5、カード出入口6、入力部7、取込排出口8、紙幣投入口10、紙幣出金口11、硬貨出金口13および硬貨投入口14のそれぞれの位置は、利用者にとってアクセスしやすい位置であれば、任意に変更できる。また、紙幣投入口10と紙幣出金口11とが紙幣入出金口としてまとめられてもよいし、硬貨出金口13と硬貨投入口14とが硬貨入出金口としてまとめられてもよい。
【0035】
帳票取引装置1で行える取引には、帳票Fを用いた自動取引である第1取引と、第1取引とは別の取引であって帳票Fを用いなくてもよい第2取引とがある。第1取引について簡単に説明すると、利用者は、まず、帳票取引装置1の前に立つ。そして、利用者は、帳票取引装置1の前後方向において長手かつ水平な姿勢にあって表面FAが上向きになった帳票Fを、領収書F1が最後尾となるように、つまり控えF2が先頭となるようにトレイ9に載せて取込排出口8に挿入する。これにより、帳票Fが取込排出口8から装置本体2内に取り込まれる。すると、帳票取引装置1では、帳票Fの画像データが読み取られ、この画像データに含まれる支払額情報J1(
図1等参照)が、支払額として表示操作部4に表示される。
【0036】
支払額について現金決済する利用者は、開放された紙幣投入口10や硬貨投入口14に現金を投入する。支払額についてクレジットカード決済したい利用者は、自身のクレジットカードをカード出入口6に挿入した後に、入力部7によって暗証番号等を入力する。なお、この実施形態における決済方法は、現金決済およびクレジットカード決済であるが、決済方法の他の例として、利用者の口座から支払い先に振り込む口座決済もあり得る。その場合、利用者は、自身のキャッシュカードをカード出入口6に挿入した後に、入力部7によって暗証番号等を入力する。
【0037】
以上の決済が完了すると、帳票取引装置1内では、帳票Fにおける各押印欄R内に領収印Aが記入され、帳票Fが、ミシン目Mにおいて切断されて、領収書F1と控えF2とに分離される(
図2参照)。控えF2は、帳票取引装置1内に回収され、領収書F1は、取込排出口8から装置本体2の外に排出されて利用者に返却される。現金決済において釣銭が発生した場合には、釣銭が、紙幣出金口11や硬貨出金口13から利用者に返却される。また、今回の取引の内容を示したレシートがレシート取出口5から発行される。このように第1取引は、決済、帳票Fへの領収印Aの記入、帳票Fの分離および利用者への領収書F1の返却が、帳票取引装置1内で完結する取引である。
【0038】
一方、第2取引は、帳票取引装置1での取り扱い対象外の帳票Fについて、利用者が支払額(帳票Fに記載された支払額情報J1)を表示操作部4により手入力して支払額の決済を帳票取引装置1にて行い、帳票Fへの領収印Aの記入と帳票Fの分離と利用者への領収書F1の返却とを窓口の係員によって行う取引である。
【0039】
以上のように、第1取引は、帳票Fから読み取られた画像データに含まれる支払額情報J1に基づく取引であり、第2取引は、利用者による表示操作部4の操作によって手入力された支払額情報J1に基づく取引である。以下では、第1取引を「通常取引」といい、第2取引を「手入力取引」ということがある。第1取引および第2取引については、後で詳しく説明する。
【0040】
次に、帳票取引装置1の要部について説明する。
図5は、帳票取引装置1の上部における内部構造を右側から見た模式図である。
図5における左側は、帳票取引装置1の前側であり、
図5における右側は、帳票取引装置1の後側であり、
図5の紙面に垂直な方向は、帳票取引装置1の左右方向である。以下では、帳票取引装置1の前後方向、左右方向および上下方向を用いて説明を行う。なお、説明の便宜上、
図4にて説明したレシート取出口5、カード出入口6および入力部7等の図示が
図5では省略されている。帳票取引装置1の装置本体2内の上部には、処理部の一例としての帳票処理ユニット20が設けられている。
【0041】
帳票処理ユニット20に関連して、装置本体2内には、取込排出口8に挿入された帳票Fを搬送するための搬送路21が設けられている。搬送路21は、装置本体2内にて搬送される帳票Fの軌跡に沿って延びるスペースである。搬送路21の幅方向は、左右方向と一致している。搬送路21は、取込排出口8から装置本体2の後面22の手前まで後側へ水平に延びる第1搬送路21Aと、第1搬送路21Aの後端から湾曲した後に下側へ延びる第2搬送路21Bと、第2搬送路21Bの下端から湾曲した後に前側へ延びる第3搬送路21Cとを含む。
【0042】
取込排出口8に挿入されて搬送路21内に取り込まれた帳票Fは、第1搬送路21A、第2搬送路21Bおよび第3搬送路21Cにおいて、この順番にて搬送される。そのため、搬送路21では、帳票Fの搬送方向(以下では単に「搬送方向」という)において、第1搬送路21Aが、取込排出口8に近い上流側に位置し、第3搬送路21Cが、取込排出口8から離れた下流側に位置している。搬送路21内にて搬送される帳票Fは、通常では、帳票Fにおける二辺(
図1に示す上下の二辺)が前後方向と整合した姿勢を保って、前後方向に沿って進行する。帳票処理ユニット20は、搬送部25と、回収部26と、取込排出部27と、分離部28と、取得部の一例としての読取部29と、アライメント部31と、記入部33と、検出部34とを含む。
【0043】
搬送部25は、搬送路21の全域に分散して配置された複数の搬送ローラ40を複数含む。各搬送ローラ40は、左右方向に細長く延びる円柱体である。搬送部24は、これらの搬送ローラ40を正逆回転させるモータ(図示せず)も含む。正回転する搬送ローラ40は、この搬送ローラ40の外周面に接触した帳票Fを搬送路21内において搬送方向の下流側へ搬送する。逆回転する搬送ローラ40は、この搬送ローラ40の外周面に接触した帳票Fを搬送路21内において搬送方向の上流側へ搬送する。搬送ローラ40は、対をなして対向配置されて搬送路21内において接触していてもよい。対になった2つの搬送ローラ40は、その間に帳票Fを挟持した状態にて互いに反対の方向に回転することによって、この帳票Fを搬送路21内において上流側または下流側へ搬送する。なお、後述する他のローラ(補正ローラ47は除く)についても、搬送ローラ40と同様に構成される。
【0044】
回収部26は、分離後の帳票Fにおける控えF2(
図2参照)を収納するために装置本体2内に確保されたスペースである。回収部26は、第3搬送路21Cにおいて搬送方向における下流側の端部、つまり第3搬送路21Cの前端部に接続されている。回収部26に収納された控えF2を取り出せるように、回収部26は、装置本体2に対して着脱可能であってもよい。または、装置本体2の表面に設けられた扉(図示せず)を開くことによって、装置本体2の外から回収部26にアクセスできてもよい。
【0045】
取込排出部27は、取込排出口8に挿入された帳票Fを第1搬送路21A内に取り込んだり、第1搬送路21A内の帳票Fの全部または一部を取込排出口8に排出したりするための構成である。取込排出部27は、第1搬送路21Aにおいて取込排出口8に隣接した前端部を上下から挟むように配置された少なくとも一対の取込排出ローラ41と、これらの取込排出ローラ41を正逆回転させるモータ(図示せず)とを含む。
【0046】
分離部28は、帳票Fをミシン目Mにおいて分離するための構成であって、第1搬送路21Aにおいて取込排出部27よりも搬送方向の下流側、つまり後側に配置されている。分離部28は、切断部材42と、アクチュエータ43と、第1ローラ44および第2ローラ45と、第1ローラ44および第2ローラ45を正逆回転させるモータ(図示しない)とを含む。
【0047】
切断部材42は、金属製または樹脂製のカッターであり、その刃先42Aの刃渡り方向は、左右方向に延びている。切断部材42は、刃先42Aが第1搬送路21Aを横切れるように、第1搬送路21Aに対して交差または直交する移動方向(
図5では上下方向)に移動可能である。
図5に示すように待機位置にある切断部材42は、その移動方向における一方側(
図5では上側)へ第1搬送路21Aから離れている。アクチュエータ43は、例えばモータによって構成されていて、切断部材42を移動方向に沿って移動させる。
【0048】
第1ローラ44および第2ローラ45のそれぞれは、第1搬送路21Aに沿って少なくとも一対ずつ設けられている。各対における2つの第1ローラ44は、第1搬送路21A内において接触するように互いに対向配置され、各対における2つの第2ローラ45は、第1搬送路21A内において接触するように互いに対向配置されている。なお、第1ローラ44および第2ローラ45のそれぞれは、左右方向から見て重なるように、左右方向に並んで複数配置されていてもよい。第1ローラ44は、搬送方向において、第2ローラ45よりも上流側に位置し、切断部材42は、搬送方向において、第1ローラ44と第2ローラ45との間に位置している。
【0049】
読取部29は、第1搬送路21Aにおいて分離部28よりも搬送方向の下流側に配置され、第1搬送路21Aを左右方向に横切っている。読取部29は、帳票Fの表面のイメージを上側から光学的に読み取って帳票Fの画像データを取得するためのものであり、例えば、CIS(Contact Image Sensor)等のラインセンサによって構成されている。
【0050】
アライメント部31は、帳票Fの姿勢を矯正して斜行状態を解消つまり斜行補正するための構成であり、第1搬送路21Aにおいて搬送方向における分離部28の周囲に配置されている。アライメント部31は、位置決め部46と、補正ローラ47と、補正ローラ47を回転させるモータ(図示せず)とを含む。
【0051】
位置決め部46は、前後に長手のブロック状に形成されている。位置決め部46において第1搬送路21Aに臨んだ側面は、第1搬送路21A内における帳票Fの進行方向に沿って平坦な寄せ当て面である。補正ローラ47は、前後方向において位置決め部46と同じ位置に配置されて、第1搬送路21Aに臨んでいる。補正ローラ47は、他のローラとは異なり、前後方向に延びる回転軸線(図示せず)まわりに回転する。第1搬送路21A内において搬送される帳票Fは、回転する補正ローラ47に接触することによって、位置決め部46の寄せ当て面に寄せられる。帳票Fが進行方向に対して傾斜した斜行状態にて搬送される場合があるが、この帳票Fが寄せ当て面に寄せられることによって、この帳票
Fの姿勢が矯正されて斜行状態が解消する。
【0052】
記入部33は、第1搬送路21Aにおいて読取部29よりも搬送方向の下流側つまり第1搬送路21Aの後端部において、上側から第1搬送路21Aに臨んで配置されている。記入部33の下端面は、帳票Fにおける各押印欄R内に領収印A(
図2参照)を記入するための押印部33Aが設けられている。押印部33Aには、領収印Aを反転させたものと一致した模様が刻まれている。押印部33Aは、この模様だけで構成されてもよいし、押印部33Aの一部または全部が、ドットインパクトプリンタ等によって構成された印刷ヘッド(図示せず)によって構成されてもよい。この場合、領収印Aの全体や、領収印Aにおける支払日の日付部分が、印刷ヘッドによって再現されて帳票Fに印刷される。記入部33は、領収印A以外の情報を帳票Fに記入できてもよい。帳票処理ユニット20は、記入部33を昇降させるアクチュエータ等の駆動部(図示せず)も含む。
【0053】
検出部34は、一例として、搬送方向における読取部29と記入部33との間に配置されている。検出部34は、例えばフォトインタラプタであって、第1搬送路21Aを上下に挟んで配置された発光素子34Aおよび受光素子34Bを含む。発光素子34Aと受光素子34Bとの間に帳票Fが存在しない状態では、発光素子34Aによって発光された検知光(図示せず)が受光素子34Bによって受光される。発光素子34Aと受光素子34Bとの間に帳票Fが存在すると、検知光が帳票Fによって遮光される。発光素子34Aと受光素子34Bとの間を帳票Fが通過すると、検知光が再び受光素子34Bに受光される。検出部34は、このような検知光の遮光や受光によって、発光素子34Aと受光素子34Bとの間における帳票Fの通過を検出する。
【0054】
図6は、帳票管理システム100の電気的構成を示すブロック図である。帳票取引装置1の装置本体2内には、帳票処理ユニット20の他に、レシート印刷部51と、カード処理部52および現金処理部53とが設けられている。レシート印刷部51は、レシートを印刷するプリンタ等であり、レシート印刷部51としてレーザプリンタやサーマルプリンタを用いることができる。レシート印刷部51は、レシートを印刷してレシート取出口5に排出する。カード処理部52は、クレジットカード決済のために、カード出入口6に挿入されたクレジットカードから必要な情報を読み取ったり、取引の中止や終了に応じてクレジットカードをカード出入口6から排出したりする。現金処理部53は、現金決済のために、紙幣投入口10や硬貨投入口14に投入された現金を計数して収納したり、釣銭を算出したり、釣銭等の返却用の現金を紙幣出金口11や硬貨出金口13に投出したりする。
【0055】
帳票取引装置1は、取引部、取得部、生成部、出力部、処理部および作成部の一例としての制御部54を含む。制御部54は、CPUやROMやRAMやタイマ等を含んだマイクロコンピュータによって構成されている。制御部54には、表示操作部4、入力部7、帳票処理ユニット20、レシート印刷部51、カード処理部52および現金処理部53のそれぞれが電気的に接続されている。制御部54は、表示操作部4における表示内容を制御したり、利用者等による表示操作部4のタッチパネルや入力部7の操作を受け付けたりする。制御部54は、取引のために、帳票処理ユニット20、レシート印刷部51、カード処理部52および現金処理部53のそれぞれに対して、それぞれの処理を実行させる。特に、制御部54と帳票処理ユニット20の読取部29とは、OCR(Optical Character Reader)を構成している。
【0056】
帳票取引装置1は、制御部54に対して電気的に接続される別の部品として、シャッタ用アクチュエータ55と、出力部の一例としてのインターフェース(I/F)部56と、第1記憶部の一例としての記憶部57とをさらに含む。制御部54は、シャッタ用アクチュエータ55を動作させることによってシャッタ12やシャッタ15を開閉させる。I/F部56は、前述したLAN103に接続されていて、制御部54は、I/F部56を介して中継装置101や窓口端末102等と通信することができる。
【0057】
記憶部57には、様々な情報が記憶されているが、特に、帳票取引装置1での取り扱い対象となる帳票Fの種類を特定するための情報が、帳票Fの種類毎にまとめられて予め記憶されている。具体的には、記憶部57には、読取部29が取得した画像データを制御部54がOCR処理する場合に参照される辞書データ57Aが記憶されている。辞書データ57Aは、種類毎の帳票Fの様式についての様式データを含む。様式データは、取り扱い対象の帳票Fの種類に応じて複数設けられている。様式データとして、対応する種類の帳票Fの形状や大きさ、文字、数字等の記載位置、文字、数字の種類等が挙げられる。
【0058】
また、様式データは、対応する種類の帳票Fのサイズや罫線の特徴的なパターンといった外見上の識別情報、帳票Fにおける押印欄Rの位置情報、ミシン目Mの有無、および、帳票Fにおける分離位置の情報を含む。このような様式データを含む辞書データ57Aは、帳票Fの画像データに含まれる様々な情報から帳票Fの種類を特定する際に基準となるデータである。様々な様式データは、辞書サーバ107に登録されている。制御部54は、I/F部56を介して辞書サーバ107と通信して、辞書サーバ107に記憶された最新の様式データを取得して辞書データ57Aを更新することができる。
【0059】
対応する様式データが辞書データ57Aに存在する帳票Fは、帳票取引装置1での取り扱い対象となる帳票Fであり、対応する様式データが辞書データ57Aに登録されていない帳票Fは、帳票取引装置1での取り扱い対象外の帳票Fである。取り扱い対象外の帳票Fには、例えば支払額情報J1等の一部の情報が手書きされている帳票Fも含まれる。
【0060】
中継装置101は、マイクロコンピュータによって構成された制御部110と、公衆回線104につながったI/F部111と、第2記憶部の一例としての記憶部112とをさらに含む。制御部110およびI/F部111は、受信部および送信部の一例として機能する。制御部110には、I/F部111および記憶部112のそれぞれが電気的に接続されている。
【0061】
管理装置106は、マイクロコンピュータによって構成された制御部115と、公衆回線104につながったI/F部116と、記憶部117とをさらに含む。制御部115は、入力部および消込部の一例として機能し、I/F部116は、入力部の一例として機能する。制御部115には、I/F部116および記憶部117のそれぞれが電気的に接続されている。管理装置106を帳票管理システム100の一部とみなすことができる。
【0062】
記憶部117には、管理装置106を保有する発行元(地方公共団体)が発行済の帳票Fのリストが、例えば
図7のテーブル118として記憶されている。つまり、管理装置106は、発行済の帳票Fのリストを管理している。テーブル118には、発行済であって料金が未払いの各帳票Fについて、発行日、発行元、支払う料金の種類、帳票F毎に割り当てられた識別情報、料金の請求先(つまり利用者)の個人情報、料金および支払期限等の様々な帳票情報が記憶されている。発行元の情報には、収納先つまり料金の支払先となる各部署(例えば市役所における水道局)の情報が含まれてもよい。
【0063】
取引の際に帳票取引装置1において行われる処理の内容を、
図8および
図9のフローチャートを主に参照して説明する。待機状態における帳票取引装置1の表示操作部4には、
図10に示す待機画面61が表示されている。待機画面61には、案内文61Aが表示されるとともに、取引開始キー62、手入力取引選択キー63および係員呼出キー64といったタッチキーも表示される。なお、以下で語尾に「キー」と付く名称のものは、全てタッチキーである。
【0064】
帳票Fを持参して金融機関にやって来た利用者(または、利用者の依頼を受けた金融機関の係員でもよい)は、待機画面61の取引開始キー62にタッチする。すると、帳票取引装置1の制御部54は、通常取引が選択されたことを受け付ける。一方、手入力取引選択キー63がタッチされると、制御部54は、手入力取引が選択されたことを受け付ける。このように、表示操作部4における取引開始キー62および手入力取引選択キー63のどちらかにタッチすることによって、通常取引および手入力取引のどちらかを選択することができる。係員呼出キー64がタッチされると、制御部54は、例えば帳票取引装置1に設けられたブザー(図示せず)を鳴らすことによって、係員を呼び出す。
【0065】
取引開始キー62がタッチされることによって通常取引が選択されると(ステップS1)、制御部54は、利用者の帳票Fを取り込む(ステップS2)。具体的には、まず、取引開始キー62のタッチに応じて、制御部54は、
図11に示す開始画面65を表示操作部4に切替表示する。なお、待機画面61と開始画面65との間には、破れやすい帳票Fを挿入しない等の注意を促す注意画面(図示せず)が表示されてもよい。
【0066】
開始画面65には、係員呼出キー64が表示されるとともに、帳票Fの挿入を促す旨の案内文65Aと、今回の取引をキャンセルするためにタッチされる取消キー66とが表示される。開始画面65には、帳票取引装置1において帳票Fを差し込む位置を示すイラストが表示されてもよい。案内文65Aを見た利用者が、表面FAが上向きになった帳票Fを、控えF2が先頭となるように取込排出口8に挿入する。この帳票Fにおいて控えF2側の先端部が一対の取込排出ローラ41の間に挟まると、制御部54は、取込排出ローラ41および搬送ローラ40を正回転させることにより、帳票Fを取込排出口8から装置本体2内の第1搬送路21Aに取り込む(ステップS2)。これにより、帳票Fは、前後方向に長手かつ水平な姿勢を維持しながら、控えF2を先頭として第1搬送路21A内において後側へ搬送され、読取部29を通過する。
【0067】
帳票Fが読取部29を通過する際に、制御部54は、帳票Fの表面FAの画像データを読取部29によって読み取る(ステップS3)。ステップS3では、制御部54は、OCR処理として、帳票Fから読み取った表面FAの画像データを記憶部57の辞書データ57Aに照合することによって、その画像データに対応する帳票Fの種類を特定する。制御部54が種類を特定できた帳票Fは、帳票取引装置1において受付可能な帳票Fである。さらに、制御部54は、OCR処理として、当該画像データに含まれる文字や数字を識別することによって、当該画像データの中から支払額情報J1等を取得する。当該画像データおよび当該画像データに含まれる情報(つまり帳票Fにおける記載情報)は、今回の取引に関する取引データの一例である。
【0068】
制御部54が種類を特定できなかった帳票Fは、帳票取引装置1において受付不可能な対象外の帳票Fである。制御部54は、帳票Fの種類を特定できなかった場合には(ステップS4でNO)、搬送ローラ40および取込排出ローラ41を逆転させることによって、この帳票Fを取込排出口8から返却する(ステップS5)。なお、取込排出口8は、帳票Fを取り込むため取込口と、帳票Fを排出するため排出口とに分かれていてもよい。
【0069】
制御部54は、帳票Fの種類を特定できた場合には(ステップS4でYES)、この受付可能な帳票Fを搬送路21内にて一時保留した状態において、
図12に示す確認画面67を表示操作部4に切替表示する(ステップS6)。確認画面67には、係員呼出キー64および取消キー66が表示されるとともに、支払内容の確認を促す旨の案内文67Aと支払額表示欄67Bと、納付書表示キー68と、確認キー69とが表示される。制御部54は、ステップS3において帳票Fから読み取った支払額情報J1における支払額を、支払額表示欄67Bに表示する。利用者によって納付書表示キー68がタッチされると、制御部54は、ステップS3において読み取った帳票Fの表面FAの画像データそのものを表示操作部4に表示させる。
【0070】
支払額を確認した利用者が確認キー69にタッチすると、制御部54は、
図13に示す入力画面70を表示操作部4に切替表示して、利用者を特定するための個人情報の入力を受け付ける(ステップS7)。入力画面70には、係員呼出キー64および取消キー66が表示されるとともに、個人情報の入力を促す旨の案内文70Aと、個人情報表示欄70Bと、入力キー71と、削除キー72と、続行キー73とが表示される。この実施形態における個人情報は、一例として利用者の電話番号であり、これに応じて、入力キー71はテンキーである。利用者は、入力キー71を操作することによって自身の電話番号を入力する。制御部54は、利用者が入力した電話番号を個人情報表示欄70Bに表示させる。利用者は、間違った電話番号を入力した場合には、削除キー72にタッチして入力内容を削除し、電話番号を入力し直すことができる。なお、入力画面70では、利用者の氏名等といった他の個人情報の入力(例えば氏名のカナ入力)ができてもよく、この場合の入力キー71は、キーボードによって構成される。
【0071】
個人情報を入力した利用者が続行キー73にタッチすると、制御部54は、前述した現金決済またはクレジットカード決済等による決済を行う(取引ステップ、ステップS8)。そのため、制御部54は、決済方法選択画面(図示せず)を表示操作部4に切替表示して、決済方法についての利用者の選択を決済方法選択画面において受け付ける。
【0072】
現金決済が選択された場合には、制御部54は、
図14に示す現金決済画面74を表示操作部4に切替表示する。現金決済画面74には、係員呼出キー64および取消キー66が表示されるとともに、入金を促す旨の案内文74Aと、支払額表示欄74Bと、入金額表示欄74Cと、釣銭額表示欄74Dと、完了キー75とが表示される。現金決済画面74には、帳票取引装置1において現金を投入する位置を示すイラストが表示されてもよい。
【0073】
制御部54は、ステップS3において帳票Fから読み取った支払額情報J1における支払額を、支払額表示欄74Bに表示する。制御部54は、利用者によって紙幣投入口10や硬貨投入口14に投入された現金の総額を、入金額として入金額表示欄74Cに表示する。入金額が支払額よりも多い場合には、制御部54は、その差額を釣銭額として釣銭額表示欄74Dに表示する。入金額が支払額以上になった状態において利用者が完了キー75にタッチすると、決済が完了する。このように、ステップS8では、制御部54は、通常取引の決済として、ステップS3にて読取部29が帳票Fから取得した画像データに含まれる支払額情報J1に基づく支払いを受け付ける(取引ステップ)。
【0074】
クレジットカード決済が選択された場合には、制御部54は、
図15に示すクレジットカード決済画面76を表示操作部4に切替表示する。クレジットカード決済画面76には、係員呼出キー64および取消キー66が表示されるとともに、カード出入口6へのクレジットカードの挿入および暗証番号の入力を促す旨の案内文76Aと、暗証番号表示欄76Bと、入力キー77と、削除キー78と、続行キー79とが表示される。この実施形態における入力キー77はテンキーである。利用者は、入力キー77を操作することによって暗証番号を入力する。制御部54は、利用者が入力した暗証番号(詳しくは暗証番号の入力をあらわす黒丸)を暗証番号表示欄76Bに表示させる。利用者は、間違った暗証番号を入力した場合には、削除キー78にタッチして入力内容を削除し、暗証番号を入力し直すことができる。
【0075】
クレジットカードをカード出入口6に挿入してから暗証番号を入力した利用者が続行キー79にタッチすると、制御部54は、I/F部56を介して外部のカード決済サーバ105(
図3参照)と通信する。その際、制御部54は、カード処理部52がクレジットカードから読み取った情報に基づいてクレジットカード決済を行う(取引ステップ)。
【0076】
現金決済またはクレジットカード決済の完了後に、制御部54は、今まで搬送路21内にて一時保留していた帳票Fの処理(以下では「帳票処理」という)を行う(取引ステップ、ステップS9)。帳票処理は、通常取引の一環であり、この実施形態では帳票Fへの領収印Aの記入と当該帳票Fのカットとの両方を含むが、どちらか一方だけでもよい。具体的には、制御部54は、搬送ローラ40を逆転させることによって帳票Fを取込排出口8へ向けて搬送し、その際、アライメント部31によって帳票Fの姿勢を矯正する。そして、制御部54は、第1搬送路21A内での搬送方向における帳票Fの位置を搬送部25によって調整してから、記入部33を下降させて記入部33の押印部33Aを帳票Fの表面FAに接触させ、表面FAの該当箇所に領収印Aを記入する。その後、制御部54は、押印後の帳票Fのミシン目Mが分離部28の切断部材42の真下に到達するまで帳票Fを搬送部25によって搬送する。そして、制御部54は、待機位置の切断部材42を少なくともミシン目Mまで下降させて帳票Fを分離する。領収印Aの記入と帳票Fのカットに要する時間(つまり帳票処理の所要時間)は、帳票Fの長さにもよるが、20秒から40秒である。
【0077】
制御部54は、ステップS9において、今回の取引についてのアーカイブファイルの生成も行う。アーカイブファイルは、帳票Fの発行元に向けた発行元向けデータを含んだファイルであり、その形式は例えばcsvである。発行元向けデータは、今回の取引の明細データを少なくとも含む。明細データの内訳は、例えば、以下の項目(1)~(17)によって構成されている。
項目(1)帳票取引装置1が設置されている金融機関の名称およびその識別情報(店番)
項目(2)帳票取引装置1の識別情報である号機番号
項目(3)今回の取引が行われた日時である処理日時
項目(4)利用者である顧客に割り振られる顧客処理通番
項目(5)利用者がステップS7にて入力した個人情報(電話番号やカナ氏名等)
項目(6)今回の取引の種類(通常取引または手入力取引)
項目(7)今回の料金の決済方法(現金決済またはクレジットカード決済)
項目(8)帳票Fに記入した領収印Aにおける日付
項目(9)クレジットカード決済の場合に後で発行するレシートに付すカード伝票番号
項目(10)営業日の当日中に取引される各帳票Fに順番に付される処理連番
項目(11)今回生成するアーカイブファイルのファイル名
項目(12)帳票Fに記載された支払期限の日付
項目(13)帳票Fに記載された料金の合計および内訳
項目(14)帳票Fの発行元を表わす持出区分(例えば市役所)
項目(15)帳票Fの発行元の詳細である収納先(例えば市役所における水道局)
項目(16)料金の種類(例えば水道料金)
項目(17)個々の帳票Fを特定するための識別情報
【0078】
項目(1)および(2)は、帳票取引装置1の記憶部57に予め記憶されている。項目(3)~(11)は、取引中に制御部54によって取得されたり割り振られたりする。
項目(12)、(13)および(17)は、ステップS3でのOCR処理によって制御部54によって取得される。なお、項目(13)における料金の内訳に関し、前述した加算額(延滞金や督促手数料)が発生している場合には、当該加算額と支払額とが内訳であり、これらの合計が当該料金である。帳票Fの発行時に加算額が発生している場合には、帳票Fに加算額の情報が記載されている。項目(14)~(16)のそれぞれは、例えば、帳票Fに予め記載されていて、ステップS3でのOCR処理によって制御部54によって取得される。項目(17)は、前述したバーコードが帳票Fに記載されている場合には、当該バーコードの情報である。
【0079】
これらの項目(1)~(17)は、今回の取引に関する取引データの一例である。制御部54は、これらの取引データに基づいて、発行元向けデータを生成し、アーカイブファイルとして記憶部57における一時保管フォルダ57B(
図6参照)に記憶する。一時保管フォルダ57Bのフォルダ名は、本日の日付を含んだ名称に設定され、一時保管フォルダ57Bには、本日行われた全ての取引についてのアーカイブファイルが蓄積される。なお、発行元向けデータの生成の際において、項目(1)~(17)の全てが明細データとして必須とは限らず、適宜取捨選択されてもよい。また、一時保管フォルダ57Bは、発行元の数に応じて複数存在してもよい。また、料金の合計(以下では「取引金額」という)が所定額(例えば1万円)以上であれば、制御部54は、ステップS3にて取得した帳票Fの画像データも発行向けデータに含める。この場合における画像データの形式は、例えば暗号化されたJPEGである。なお、帳票Fへの領収印Aの記入後のタイミング(つまりステップS3とは別のタイミング)に帳票Fの画像データが取得されて、この画像データが発行向けデータに含まれてもよい。
【0080】
帳票取引装置1の制御部54は、ステップS9において、今回の取引について生成したアーカイブファイルをI/F部56から外部出力する。つまり、通常取引の場合、制御部54は、ステップS9において帳票Fに領収印Aを記入したり当該帳票Fをカットしたりする帳票処理の処理タイミングにおいて、帳票処理と並行してアーカイブファイルを外部出力する。前述したように取引金額が所定額以上であるか否かに応じて、制御部54は、画像データもアーカイブファイルの一部として外部出力するか否かを判断する。画像データは、容量が大きいことから大きな通信負荷になるので、このように取引金額が所定額以上である場合にのみ、画像データを含んだアーカイブファイルが外部出力される。なお、例えば法律等によってアーカイブファイルの保存期間が定められている場合には、この保存期間についての情報とともにアーカイブファイルが外部出力される。保存期間は、取引金額に応じて変更されてもよい。例えば、取引金額が1万円以上であれば、保存期間は7年間に設定され、取引金額が1万円未満であれば、保存期間は7年未満の任意の期間に設定される。
【0081】
アーカイブファイルの外部出力先は、中継装置101である。中継装置101の制御部110は、外部出力されたアーカイブファイルをI/F部111において受信して記憶部112に記憶する(
図6参照)。具体的には、金融機関の名称および店番(前述した項目(1))と、取引を行った号機番号(前述した項目(2))とを合わせた名称をフォルダ名とする個別フォルダ112Aが記憶部112に設けられ、各個別フォルダ112Aの配下には、一時保管フォルダ57Bと同様に日付をフォルダ名とする日付フォルダ112Bが設けられている(
図6参照)。各個別フォルダ112A内には、フォルダ名の日付が異なる複数の日付フォルダ112Bが設けられている。個別フォルダ112Aは、金融機関の店舗数や帳票取引装置1の数等に応じて複数存在する。制御部110は、アーカイブファイルに含まれる項目(1)の名称および店番ならびに項目(2)の号機番号に基づいて個別フォルダ112Aを特定して、この個別フォルダ112A内においてアーカイブファイルの処理日時(前述した項目(3))と同じ日付フォルダ112Bに、当該アーカイブファイルを記憶する。
【0082】
帳票取引装置1と中継装置101との間におけるアーカイブファイルの送受信は、帳票取引装置1の一時保管フォルダ57Bと、中継装置101において該当する日付フォルダ112Bとの間におけるミラーリング処理(同期処理)によって行われる。ミラーリング処理は、帳票取引装置1の制御部54と中継装置101の制御部110との協働によって実行される。ミラーリング処理の一例として、一時保管フォルダ57Bに存在するのに日付フォルダ112Bに存在しないデータは、日付フォルダ112Bに追加される。また、一時保管フォルダ57Bに存在しないのに日付フォルダ112Bに存在するデータは、日付フォルダ112Bから削除される。
【0083】
中継装置101の制御部110は、記憶部112の日付フォルダ112Bに記憶されたアーカイブファイルをI/F部111から管理装置106のI/F部116に送信することによって、帳票取引装置1から外部出力されたアーカイブファイルをI/F部116に中継する(
図6参照)。中継装置101から管理装置106へのアーカイブファイルの送信は、中継装置101が帳票取引装置1からアーカイブファイルを受信する度に逐次行われてもよいし、複数のアーカイブファイルが日付フォルダ112Bに一旦蓄積された後に所定のタイミングにまとめて送信されてもよい。なお、アーカイブファイルの保存期間が経過すると、制御部110は、このアーカイブファイルを記憶部112から順次削除する。その場合、該当する日付フォルダ112Bごと削除してもよい。
【0084】
管理装置106の制御部115は、I/F部116に入力されたアーカイブファイルにおける発行元向けデータに基づいて、今回の取引済みの帳票Fのデータを記憶部117のテーブル118から自動的に消し込む(
図6および
図7参照)。具体的には、制御部115は、当該発行元向けデータに含まれる個人情報(前述した項目(5))や帳票Fの識別情報(前述した項目(17))等から、テーブル118においてこれらと同じ情報に紐付いた取引済みの帳票Fを特定する。そして、制御部115は、この帳票Fについては料金が支払い済であると判断して、テーブル118において当該帳票Fのデータ(
図7における横一列のすべてのデータ)を削除する。なお、テーブル118において当該帳票Fのデータを削除せずに、例えば、支払い有無を示すフラグをテーブル118に登録しておいて、このフラグを「未払い」から「支払い済」に変更してもよい。この場合には、料金が支払い済みの帳票Fのデータもテーブル118に残る。
【0085】
このように、発行元向けデータは、支払い済の帳票Fのデータをテーブル118から消し込むための消し込みデータである。なお、テーブル118における支払い済の帳票Fのデータの消し込みは自動的に行われるのでなく、係員によるチェックおよび消し込み指示に応じて行われてもよい。その場合、管理装置106にはモニタ(図示せず)が設けられ、モニタには、アーカイブファイルにおける発行元向けデータと、テーブル118において該当する帳票Fのデータとが並列表示されるので、係員は、これらのデータを見比べることによってチェックすることができる。なお、アーカイブファイル内のデータは、すぐに閲覧できるように圧縮されていないことが望ましい。
【0086】
帳票取引装置1の制御部54がステップS9においてアーカイブファイルを外部出力すると、外部出力先である中継装置101の制御部110は、記憶部112の日付フォルダ112Bへのアーカイブファイルの記憶が完了したことに応じて、外部出力が成功した旨の成功通知を帳票取引装置1に送信する。制御部54は、アーカイブファイルを外部出力してから所定時間以内に中継装置101から成功通知を受信した場合には、アーカイブファイルの外部出力が成功したと判断する。当該所定時間は、ステップS9における帳票処理(領収印Aの記入および帳票Fのカット)に要する時間(前述した20秒から40秒)を超えない値(例えば20秒)に設定されている。一方、当該所定時間についてタイムアウトした場合、つまり、制御部54がアーカイブファイルを外部出力してから所定時間の経過後も中継装置101から成功通知を受信しない場合には、制御部54は、アーカイブファイルの外部出力が失敗したと判断する。
【0087】
アーカイブファイルの直前の外部出力の成否を表わす送信予約フラグが、帳票取引装置1の記憶部57に記憶されている。アーカイブファイルの外部出力が失敗であれば(ステップS10にてNO)、制御部54は、送信予約フラグを0(零)から1に変更してから(ステップS11)、次のステップS12の処理に進む。アーカイブファイルの外部出力が成功であれば(ステップS10にてYES)、制御部54は、送信予約フラグを0のま
ま変更せずに、次の処理に進む。
【0088】
控えF2が先頭となるように取り込まれた帳票Fでは、ステップS9での分離後において、領収書F1が控えF2よりも取込排出口8に近くに位置して一対の第1ローラ44によって挟まれていて、控えF2が一対の第2ローラ45によって挟まれている(
図5参照)。この状態において、制御部54は、第1ローラ44と、第1ローラ44よりも上流側の搬送ローラ40および取込排出ローラ41とを逆回転させる。これにより、領収書F1は、第1搬送路21A内を前進して取込排出口8から装置本体2の外に排出されて、利用者に返却される(ステップS12)。
【0089】
領収書F1を返却する際、制御部54は、
図16に示す返却画面80を表示操作部4に切替表示する。返却画面80には、係員呼出キー64が表示されるとともに、領収書F1の受け取りを促す旨の案内文80Aと、領収書F1等の返却物の取り忘れを注意する旨の注意文81とが表示される。返却画面80には、帳票取引装置1において領収書F1が返却される位置を示すイラストが表示されてもよい。また、釣銭がある場合には、領収書F1の返却後に釣銭が返却される旨の案内文が、返却画面80に表示されてもよい。
【0090】
また、領収書F1の返却と同じタイミングにおいて、制御部54は、第2ローラ45と、第2ローラ45よりも下流側の搬送ローラ40とを正回転させる。これにより、控えF2は、第1搬送路21A内を後進し、第2搬送路21Bおよび第3搬送路21Cを順に通過して、装置本体2内の回収部26に回収される。
【0091】
利用者が取引したい帳票Fが2枚以上あれば、利用者は、1枚目の帳票Fの領収書F1が返却されたことに応じて、2枚目の帳票Fを1枚目と同じように取込排出口8に挿入する。2枚目つまり次の帳票Fにおいて控えF2側の先端部が一対の取込排出ローラ41の間に挟まると(ステップS13にてYES)、制御部54は、この帳票Fを取込排出口8から装置本体2内の第1搬送路21Aに取り込み(ステップS2)、この帳票Fについても、ステップS3~S12の処理を繰り返す。3枚目以降の帳票Fについても同様である。
【0092】
取込排出口8に挿入される次の帳票Fがなければ(ステップS13にてNO)、制御部54は、今回の取引の内容を示したレシートをレシート印刷部51によってレシート取出口5から発行する(
図9のステップS14)。その際、制御部54は、
図17に示すレシート発行画面82を表示操作部4に切替表示する。レシート発行画面82には、係員呼出キー64が表示されるとともに、レシートの受け取りを促す旨の案内文82Aも表示される。レシート発行画面82には、帳票取引装置1においてレシートが発行されるレシート取出口5の位置を示すイラストが表示されてもよい。クレジットカード決済の場合のレシートには、前述したカード伝票番号が記載されている。現金決済の場合において釣銭が発生している場合には、制御部54は、ステップS14において、シャッタ12およびシャッタ15において該当するシャッタを開いて釣銭の返却も行う。その場合の案内文82Aは、釣銭の受け取りを促す旨も含む。
【0093】
制御部54は、今回の取引に係る帳票Fの様式データを、ステップS3において当該帳票Fから読み取った画像データに基づいて作成し、I/F部56から外部出力する(ステップS15)。様式データの外部出力は、この実施形態ではステップS9での帳票処理の処理タイミングよりも後のタイミングに行われるが、様式データの作成は、ステップS15でなく、例えばステップS3に行われてもよい。外部出力された様式データは、辞書サーバ107(
図3参照)に送信されて登録されることにより、辞書サーバ107における最新の様式データが更新される。つまり、様式データの外部出力先(辞書サーバ107)は、アーカイブファイルの外部出力先(中継装置101)と異なっている。また、通信負荷の低減のために、様式データは、圧縮された状態にて外部出力されてもよい。
【0094】
最後に、制御部54は、記憶部57に記憶されている送信予約フラグを確認する(ステップS16)。送信予約フラグが0である場合、つまり、ステップS9でのアーカイブファイルの送信が成功だった場合には(ステップS16にてNO)、今回の通常取引が完了する。一方、送信予約フラグが1である場合、つまり、ステップS9での処理タイミングにおけるアーカイブファイルの送信が失敗だった場合には(ステップS16にてYES)、制御部54は、当該処理タイミングよりも後のタイミングにおいてアーカイブファイルを再び外部出力する(ステップS17)。今回のアーカイブファイルの外部出力も失敗であれば(ステップS18にてNO)、制御部54は、送信予約フラグを1のまま維持して、アーカイブファイルの送信を強制的に中止する(ステップS19)。アーカイブファイルの外部出力が成功であれば(ステップS18にてYES)、制御部54は、送信予約フラグを1から0にリセットして(ステップS20)、今回の通常取引を完了する。
【0095】
一方、利用者が持参した帳票Fが手入力取引の対象である場合の処理の内容を、
図18のフローチャートを主に参照して説明する。この場合、利用客は、前述した待機画面61(
図10参照)の手入力取引選択キー63にタッチすることによって、手入力取引を選択する。すると(ステップS1)、制御部54は、
図19に示す支払画面83を表示操作部4に切替表示して、支払画面83において、利用者による支払額の入力を受け付けて、帳票Fに記載された支払額情報J1を取得する(ステップS21)。なお、帳票Fには、支払額情報J1を示す二次元コードが記載されていてもよく、その場合には、利用者が、帳票取引装置1に設けられた二次元コードリーダ等の読取部(図示せず)に当該二次元コードにかざすことによって、制御部54は、支払額情報J1の入力を受け付けてもよい。支払画面83には、係員呼出キー64、取消キー66および完了キー75が表示されるとともに、支払額の入力を促す旨の案内文83Aと、支払額表示欄83Bと、テンキー84とが表示される。
【0096】
利用者がテンキー84を操作して1件分つまり1枚の帳票Fの支払額(支払額情報J1)を入力してテンキー84の確定キー84Aにタッチすると、制御部54は、支払額表示欄83Bに支払額を表示する。帳票Fの支払額を入力し終えた利用者が完了キー75にタッチすると、制御部54は、前述した処理連番を、この帳票Fに割り当てて支払額に紐付ける。
【0097】
次に、制御部54は、ステップS7と同様に入力画面70(
図13参照)を表示して、利用者による個人情報の入力を受け付け(ステップS22)、先ほどの処理連番に紐付ける。個人情報の入力を受け付けた制御部54は、ステップS8と同様に現金決済画面74(
図14参照)またはクレジットカード決済画面76(
図15参照)を表示して、決済を行う(ステップS23)。
【0098】
次に、制御部54は、ステップS14と同様に、レシート発行画面82(
図17参照)を表示して、今回の取引の内容を示したレシート85をレシート取出口5から発行する(ステップS24)。現金決済の場合において釣銭が発生している場合には、制御部54は、ステップS24において、釣銭の返却も行う。
【0099】
ただし、手入力取引の場合に発行されるレシート85は、通常取引の場合に発行されるレシート(図示せず)とは異なる。具体的には、
図20に示すように、レシート85には、タイトル85Aと、レシート85を窓口へ持って行く旨を利用者に促す案内文85Bと、今回の手入力取引の取引内容85Cとが記載されている。案内文85Bと同じ旨は、レシート発行画面82に表示されてもよい。取引内容85Cとして、今回の帳票Fに割り当てられた処理連番と、処理連番に対応する個人情報(ここでは電話番号)と、決済された支払額とが記載されている。なお、制御部54は、窓口において取引を受け付ける順番である受付番号を自動採番してレシート85に記載してもよいし、受付番号が記載された番号札をレシート85に続いて発行してもよい。もちろん、番号札は、利用者もしくは係員の操作、またはレシート85の発行に応じて、帳票取引装置1とは別の発券機(図示せず)から発行されてもよい。
【0100】
次に、制御部54は、ステップS9と同様に、今回の手入力取引についてのアーカイブファイルを生成する(ステップS25)。ただし、手入力取引では、帳票Fが帳票取引装置1内に取り込まれて読み取られることがないので、このアーカイブファイルにおける発行元向けデータは、帳票Fから読み取られる項目(12)、(13)および(17)を少なくとも含まない。帳票Fの発行元に関する項目(14)~(16)は、手入力取引中に利用者による表示操作部4の操作等によって入力されることにより、制御部54によって取得されてもよい。
【0101】
また、制御部54は、ステップS25において、送信予約フラグを0から1に変更する。これにより、制御部54は、
図9のステップS16を経て、今回の手入力取引に係るアーカイブファイルを外部出力する(ステップS17)。アーカイブファイルの外部出力が失敗であれば(ステップS18にてNO)、制御部54は、アーカイブファイルの送信を中止する(ステップS19)。アーカイブファイルの外部出力が成功であれば(ステップS18にてYES)、今回の手入力取引について帳票取引装置1で行うべき処理は完了である。手入力取引の場合、制御部54は、このように手入力取引の終了時(実際にはある程度のタイムラグがあってもよい)にアーカイブファイルを外部出力する。手入力取引でのアーカイブファイルを受信した中継装置101では、制御部110が、「未完了」という取引状態フラグに紐付けて当該アーカイブファイルを記憶部112に記憶する。
【0102】
手入力取引の場合において帳票取引装置1での決済を済ませた利用者がレシート85および帳票Fを窓口に持参して窓口の係員に手渡すと、係員は、受け取った帳票Fに記載された支払額と、レシート85に記載された支払額とを見比べる。帳票Fに記載された支払額とレシート85に記載された支払額とが一致すれば、係員は、この帳票Fについての決済が完了したものと判断して、この帳票Fにおける各押印欄R内に領収印Aを記入して、この帳票Fを分離し、分離後の領収書F1を利用者に手渡す。そして、係員は、窓口端末102を操作して、今回の手入力取引に対応するアーカイブファイルにおける取引状態フラグを「未完了」から「完了」に更新するように中継装置101に指示を送信する。中継装置101の制御部110は、この指示の受信に応じて、該当する取引状態フラグを「未完了」から「完了」に更新する。これにより、今回の手入力取引が完了したことになる。
【0103】
なお、一度の手入力取引において、複数の帳票Fについて決済できてもよい。その場合には、ステップS21では、複数の帳票Fの支払額が入力でき、各支払額に別々の処理連番が割り当てられる。そして、ステップS23では、これらの支払額をまとめて決済でき、レシート85には、これらの支払額と、対応する処理連番とがまとめて記載される。そして、ステップS25では、各帳票Fに応じた複数のアーカイブファイルが生成される。
【0104】
以上のように、帳票取引装置1では、帳票Fによる取引に関して帳票Fの発行元に向けた発行元向けデータを含むアーカイブファイルが生成され、外部出力される。そのため、発行済の帳票Fのリストであるテーブル118を管理装置106において管理している発行元では、管理装置106が、外部出力されたアーカイブファイルを自動的に受け取り、このアーカイブファイルに含まれる発行元向けデータに基づいて取引済みの帳票Fのデータをリストから消し込むことができる。つまり、発行済の帳票Fについての発行元での取り扱いについて、現物管理でなく、電子データでの管理が可能になる。
【0105】
これにより、取引済みの帳票Fについての後処理である消し込み処理では、発行元の係員による手作業を減らすことができるので、係員の負担を軽減することができる。また、金融機関からの納入通知書F2Bの現物が発行元に届くタイミングよりも前の段階において消し込み処理を実行できるし、発行元では、従来のように納入通知書F2Bに基づいて消し込み用データを作成せずに済む。以上の結果、帳票Fの取り扱いに関して使い勝手の向上を図れる。なお、発行元での消し込み処理では、金融機関から郵送された納入通知書F2Bとアーカイブファイルとの突き合わせによる追加のチェックが行われてもよく、これにより、消し込み処理の精度向上を図れる。
【0106】
また、通常取引の場合には、帳票Fへの記入および/または帳票Fのカットが行われる帳票処理の処理タイミング(ステップS9)にアーカイブファイルの外部出力も行われる。これにより、取引完了までの利用者の待ち時間の短縮を図ることができる。また、アーカイブファイルは、様式データの外部出力タイミング(ステップS15)よりも先の処理タイミングを利用して外部出力される。そのため、これらのデータが同じタイミングに外部出力される場合と比べて、取引完了までの利用者の待ち時間の短縮を図ることができる。アーカイブファイルが帳票Fの画像データも含む場合には、アーカイブファイルの容量が大きくなるが、帳票処理の処理タイミングを利用することによって、アーカイブファイルを効率的に外部出力することができる。このように、帳票F毎のアーカイブファイルおよび様式データを一度に外部送信するのではなくて、別々のタイミングに分散して外部送信することにより、通信負荷の低減により取引に要する時間の短縮を図れるので、使い勝手の一層の向上を図れる。
【0107】
また、前述した帳票処理の処理タイミングにおけるアーカイブファイルの外部出力が失敗した場合には、その後のタイミングにおいてリトライが行われるので、管理装置106がアーカイブファイルを受け取る可能性を高めることにより、発行元の係員の負担軽減を促進することができる。
【0108】
アーカイブファイルを外部出力するタイミングには、前述した処理タイミングに限らず、各取引の終了後のタイミングや、金融機関の営業時間終了後の締め作業等のタイミング等のように様々なバリエーションがある。例えば、
図21に示すように、電源がONになって帳票取引装置1が起動されると(ステップS31)、制御部54は、記憶部57に記憶されている送信予約フラグを確認する(ステップS32)。この送信予約フラグは、帳票取引装置1の電源が直前にOFFになる時点における未送信のアーカイブファイルの有無を表わしている。つまり、制御部54は、ステップS32において、未送信のアーカイブファイルの有無を確認する。
【0109】
未送信のアーカイブファイルが無ければ送信予約フラグが0であるので(ステップS32にてNO)、制御部54は、起動後に行うべき他の処理を実行する。一方、未送信のアーカイブファイルが有れば送信予約フラグが1であるので(ステップS32にてYES)、制御部54は、アーカイブファイルを外部出力する(ステップS33)。所定時間(例えば900秒)が経過しても中継装置101からの成功通知がなければ、アーカイブファイルの外部出力が失敗である。アーカイブファイルの外部出力が失敗であれば(ステップS34にてNO)、制御部54は、送信予約フラグを1のまま維持して、アーカイブファイルの送信を中止する(ステップS35)。アーカイブファイルの外部出力が成功であれば(ステップS34にてYES)、制御部54は、送信予約フラグを1から0にリセットして(ステップS36)、次の処理を実行する。なお、電源起動時に一時保管フォルダ57Bが記憶部57に存在すれば、送信予約フラグとは関係なく、当該一時保管フォルダ57B内のアーカイブファイルが外部出力されてもよい。
【0110】
起動後の帳票取引装置1において、
図22に示すように、係員(メンテナンスに来た作業員でもよい)が、帳票取引装置1に設けられた鍵86の鍵穴86A(係員操作部、
図4参照)に専用キーを差し込んで所定位置まで回す等の所定操作を行うと(ステップS41にてYES)、制御部54は、係員向けの係員画面(図示せず)を表示操作部4に切替表示する(ステップS42)。制御部54は、記憶部57に記憶されている送信予約フラグを確認する(ステップS43)。
【0111】
送信予約フラグが1であれば(ステップS43にてYES)、制御部54は、表示操作部4における係員画面上に、未送信のアーカイブファイルが有る旨の警告を、例えばポップアップ表示する(ステップS44)。制御部54は、警告を所定時間表示した後に、表示操作部4における係員画面の表示を終了する(ステップS45)。警告を受けた係員は、表示操作部4を操作すること等によって、アーカイブファイルを外部出力するように帳票取引装置1に指示してもよい。一方、未送信のアーカイブファイルが存在しないことにより、送信予約フラグが0であれば(ステップS43にてNO)、制御部54は、例えば所定時間の経過後に、表示操作部4における係員画面の表示を終了する(ステップS45)。
【0112】
帳票取引装置1には、帳票取引装置1におけるエラーを検出するエラー検出部(図示せず)と、エラー解除のために係員によってタッチされる解除キー(図示せず)とが設けられてもよい。例えば、通常取引でのステップS9の帳票処理中にエラーが発生して処理が中断した場合において係員が解除キーにタッチしてエラー解除を開始すると、制御部54は、ステップS9において中断していたアーカイブファイルの生成を再開して、生成後のアーカイブファイルを外部出力した後に、前述したステップS10以降の処理を実行する。ただし、この場合のステップS10においてアーカイブファイルの外部出力の成否(前述したタイムアウト)の判断基準となる所定時間は、前述した20秒よりも長い60秒に設定される。
【0113】
手入力取引の場合には、利用者による手違いによって間違った支払額等が入力されたままアーカイブファイルが外部出力されてしまう場合が想定される。この場合には、利用者または利用者の依頼を受けた係員が表示操作部4や窓口端末102を操作して帳票取引装置1に取消コマンドを入力することによって、正しい支払額等が反映された新しいアーカイブファイルを帳票取引装置1に外部出力させて元のアーカイブファイルと差し替えることができる。これにより、元のアーカイブファイルは取り消される。具体的には、取消コマンドの入力に応じて、帳票取引装置1の制御部54は、新しいアーカイブファイルを作成して外部送信する。アーカイブファイルの外部出力が失敗すれば、制御部54は、送信予約フラグを0から1に変更する。そのため、制御部54は、以降に送信予約フラグを確認するタイミングにおいて、アーカイブファイルを再度外部出力する。
【0114】
例えば、帳票取引装置1が設置された金融機関において営業時間が終了すると、締め作業として、係員が、帳票取引装置1に設けられた完了キー(図示せず)にタッチする。その場合、
図23に示すように、完了キーのタッチに応じて(ステップS51にてYES)、帳票取引装置1の制御部54は、所定期間内(具体的には本日の営業時間内)の全ての取引の履歴を印字した紙ジャーナルをレシート印刷部51によって作成してレシート取出口5に発行する(ステップS52)。この履歴は、当該所定期間内に生成されたアーカイブファイル(画像データは除く)をまとめたものに相当する。次に、制御部54は、当該履歴についての電子データである電子ジャーナルを作成して記憶部57に記憶する(ステップS53)。
【0115】
次に、制御部54は、一時保管フォルダ57Bに記憶されているアーカイブファイルを外部出力する(ステップS54)。所定時間(例えば60秒)内に中継装置101からの成功通知があれば、アーカイブファイルの外部出力は成功である。アーカイブファイルの外部出力が成功すれば(ステップS55にてYES)、制御部54は、一時保管フォルダ57B内における送信済みの全てのアーカイブファイルまたは一時保管フォルダ57Bそのものを削除して(ステップS56)、電子ジャーナルを上位装置(例えば中継装置101)に送信する(ステップS57)。
【0116】
一方、所定時間が経過しても中継装置101からの成功通知がなければ、アーカイブファイルの外部出力は失敗なので、この場合(ステップS55にてNO)、制御部54は、アーカイブファイルの外部出力が失敗した旨の警告画面(図示せず)を、例えば表示操作部4にポップアップ表示する(ステップS58)。警告画面には、アーカイブファイルの外部出力をリトライするためのリトライキーが表示されている。警告画面には、帳票取引装置1の再起動や、翌日のリトライ等を促す旨が記載されてもよい。警告画面を見た係員がリトライキーにタッチすると(ステップS59にてYES)、制御部54は、ステップS54以降の処理を繰り返す。警告画面の表示後に所定時間が経過してもリトライキーのタッチがなければ(ステップS59にてNO)、制御部54は、送信予約フラグを0から1に変更してから(ステップS60)、電子ジャーナルを送信する(ステップS57)。この場合には、記憶部57内のアーカイブファイルは引き続き存在する。そのため、次回に帳票取引装置1が起動されたときに、アーカイブファイルが再び外部出力される(
図21参照)。
【0117】
紙ジャーナルに比べて保存等の取り扱いが容易な電子ジャーナルが作成されるので、使い勝手の向上を図れる。なお、電子ジャーナルは、帳票取引装置1および中継装置103の両方において保存される。また、帳票取引装置1の記憶部57内の一時保管フォルダ57B内から削除されたアーカイブファイルは、記憶部57内に設けられた別の保存用フォルダ57C(
図6参照)に保存される。電子ジャーナルも保存用フォルダ57Cに保存されてもよい。その後の帳票取引装置1の起動時には、一時保管フォルダ57Bに存在しないのに中継装置101の日付フォルダ112Bには存在するファイルが想定されるが、当該ファイルについては、帳票取引装置1の起動時のミラーリング処理がスキップされて、そのまま日付フォルダ112Bに存在してもよい。
【0118】
電子ジャーナルが作成される場合には、紙ジャーナルの運用を中止してもよく、これに応じて、紙ジャーナルに関するステップS52の処理が省略されてもよい。なお、帳票取引装置1内における現金の有高情報が、電子ジャーナルと同様に上位装置に送信されることによって、上位装置において遠隔監視されてもよい。また、アーカイブファイルが電子ジャーナルを含んでいてもよく、その場合、ステップS57が省略されて、ステップS54において、電子ジャーナルを含むアーカイブファイルが外部出力される。
【0119】
以上のように、制御部54は、帳票取引装置1の起動時(
図21参照)、帳票取引装置1に発生したエラーの解除時、取引データ(支払額等が誤入力されたアーカイブファイル)の取消時、および、電子ジャーナルの作成時(
図23参照)における少なくともいずれかのタイミングにアーカイブファイルを外部出力してもよい。
【0120】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0121】
例えば、帳票管理システム100において、前述した中継装置101が省略されてもよく、その場合には、帳票取引装置1から発行元の管理装置106に対してアーカイブファイルが直接外部出力される。これにより、帳票取引装置1と管理装置106との間では、ミラーリング処理が行われて、アーカイブファイル等がリアルタイムにて共有される。
【0122】
前述した実施形態では、種類を特定できなかった帳票Fを、帳票取引装置1にて受付不可能な帳票Fとしているが、種類を特定できても帳票取引装置1での通常処理の対象外と指定されている帳票Fも、帳票取引装置1にて受付不可能な帳票Fとして手入力取引の対象としてもよい。
【0123】
帳票取引装置1は、金融機関でなく、コンビニエンスストア等の店舗に設置されてもよい。その場合には、店舗の店員が、前述した窓口の係員の役割を担う。
【0124】
この実施形態における帳票取引装置1は、カード決済サーバ105(
図3参照)等の外部装置と通信可能である。例えば、カード決済サーバ105側での不具合や落雷等によって帳票取引装置1とカード決済サーバ105との間における通信回線(例えば公衆回線104)が一時的に遮断される通信トラブルが想定される。通信トラブル中の帳票取引装置1では、クレジットカード決済はできないものの、現金決済による縮退運転の取引が可能である。通信トラブルは、帳票取引装置1の再起動によって解消される。具体的には、帳票取引装置1の再起動後に、帳票取引装置1の制御部54がカード決済サーバ105との間でのオンラインテストを自動的に実施する。帳票取引装置1とカード決済サーバ105との間において、オンラインテスト用の信号の送受信が成功すれば、オンラインテストが合格であり、帳票取引装置1は、通信トラブルから復旧した状態になる。オンラインテストでは制御部54への負担が大きいので、取引が行われていないタイミングにオンラインテストを実施することが望ましい。
【0125】
そこで、オンラインテストに関連して、所定の待ち時間が設定される。待ち時間内に取引がなければ、帳票取引装置1の周辺には利用客がいない可能性が高いので、取引が行われていないタイミングにオンラインテストを実施することができる。具体的には、通信トラブルが発生すると、制御部54は、帳票取引装置1を再起動させ、再起動後では縮退運転による取引を行う。取引を終えてから待ち時間が経過するまでの間に次の取引がなければ、制御部54は、待ち時間の経過に応じてオンラインテストを実施する。オンラインテストが合格であれば、帳票取引装置1が完全復旧した状態になるので、制御部54は、現金決済だけでなく、クレジットカード決済も可能になる。帳票取引装置1が無人店舗に設置される場合には、通信トラブルの解消のために係員が駆け付けずに済むので、特に便利である。ただし、再起動しても自動復旧しないトラブル(エラー休止やレシート用紙切れ等)や、現金決済による縮退運転ができないトラブルの場合には、オンラインテストの自動実施は行われず、係員が現地に駆け付けることによる対処が必要である。
【0126】
以上に説明した様々な特徴は、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0127】
1 帳票取引装置
4 表示操作部
20 帳票処理ユニット
29 読取部
54 制御部
56 I/F部
57 記憶部
100 帳票管理システム
101 中継装置
106 管理装置
110 制御部
111 I/F部
112 記憶部
115 制御部
116 I/F部
118 テーブル
F 帳票
J1 支払額情報