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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149980
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】バラン回路および半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/42 20060101AFI20241016BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20241016BHJP
   H04B 1/40 20150101ALI20241016BHJP
   H03H 7/38 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H03H7/42
H01L27/04 L
H04B1/40
H03H7/38 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063176
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】柴田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】日下 祐一
【テーマコード(参考)】
5F038
5K011
【Fターム(参考)】
5F038AZ04
5F038EZ20
5K011DA02
5K011DA12
5K011EA06
(57)【要約】
【課題】送信動作時と受信動作時とでバラン回路に含まれるインダクタのインダクタンス値を変更する。
【解決手段】
バラン回路Baは、送信機および受信機が接続される共通のアンテナ端子TAと、送信機との間に配置される。バラン回路Baは、一端または両端が送信機に接続されたインダクタL1と、受信機の入力ノードN1と、グランドまたは第1のバイアス電源との間に配置されたインダクタL2とを備える。インダクタL2は、インダクタL1と相互インダクタンスを有するインダクタを含む。インダクタL2は、可変インダクタである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機および受信機が接続される共通のアンテナ端子と、前記送信機との間に配置されたバラン回路であって、
一端または両端が前記送信機に接続された第1のインダクタと、
前記受信機の入力ノードと、グランドまたは第1のバイアス電源との間に配置された第2のインダクタと
を備え、
前記第2のインダクタは、前記第1のインダクタと相互インダクタンスを有するインダクタを含み、
前記第2のインダクタは、可変インダクタである
バラン回路。
【請求項2】
前記送信機および前記受信機が互いに排他的に動作する
請求項1に記載のバラン回路。
【請求項3】
前記第1のインダクタの他端が、前記グランドまたは第2のバイアス電源に接続される
請求項1に記載のバラン回路。
【請求項4】
前記第2のインダクタのインダクタンス値が、受信動作時と送信動作時とで異なる
請求項1に記載のバラン回路。
【請求項5】
受信動作時の前記第2のインダクタのインダクタンス値は、送信動作時の前記第2のインダクタのインダクタンス値より大きい
請求項4に記載のバラン回路。
【請求項6】
前記受信機の初段に設けられた低雑音増幅器をさらに備え、
前記低雑音増幅器は、ゲート接地型の増幅回路である
請求項1に記載のバラン回路。
【請求項7】
前記第2のインダクタは、前記第1のインダクタと相互インダクタンスを有する二次側インダクタ、および前記二次側インダクタに直列接続されたチョークコイルを含み、
前記チョークコイルに並列に接続されたスイッチが、受信動作時にはオフ状態に制御され、かつ、送信動作時にはオン状態に制御される
請求項1に記載のバラン回路。
【請求項8】
受信動作時の前記二次側インダクタのインダクタンス値は、送信動作時の前記二次側インダクタのインダクタンス値より小さい
請求項7に記載のバラン回路。
【請求項9】
前記第1のインダクタに並列に接続された可変インピーダンスをさらに備え、
前記二次側インダクタのインダクタンス値は、前記可変インピーダンスによって変更される
請求項8に記載のバラン回路。
【請求項10】
前記アンテナ端子と前記入力ノードとの間に配置されたインピーダンス整合回路をさらに備える
請求項1に記載のバラン回路。
【請求項11】
前記受信機の初段に設けられた低雑音増幅器、前記送信機の最終段に設けられたパワーアンプ、および前記バラン回路が、1つの半導体チップ上に形成される
請求項1に記載のバラン回路。
【請求項12】
送信機の最終段に設けられたパワーアンプと、
受信機の初段に設けられた低雑音増幅器と、
前記パワーアンプおよび低雑音増幅器が接続される共通のアンテナ端子と、前記パワーアンプとの間に配置されたバラン回路と
を備え、
前記バラン回路は、
一端または両端が前記送信機に接続された第1のインダクタと、
前記受信機の入力ノードと、グランドまたは第1のバイアス電源との間に配置された第2のインダクタと
を備え、
前記第2のインダクタは、前記第1のインダクタと相互インダクタンスを有するインダクタを含み、
前記第2のインダクタは、可変インダクタである
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバラン回路および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、受信用の低雑音増幅器と送信用のパワーアンプとが共通のアンテナ端子に接続されたRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)に関する技術が記載されている。送信専用のインピーダンス整合回路に含まれる2つの容量素子の容量値を変えることで、高周波信号の損失が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-88707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のRFICが送信専用のインピーダンス整合回路を備えない場合、送信時の損失を抑えつつ、受信性能の低下を防ぐことが難しい。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態によるバラン回路は、送信機および受信機が接続される共通のアンテナ端子と、前記送信機との間に配置されたバラン回路であって、
一端または両端が前記送信機に接続された前記第1のインダクタと、
前記受信機の入力ノードと、グランドまたは第1のバイアス電源との間に配置された第2のインダクタと
を備え、
前記第2のインダクタは、前記第1のインダクタと相互インダクタンスを有するインダクタを含み、
前記第2のインダクタは、可変インダクタである。
【0007】
一実施の形態による半導体装置は、送信機の最終段に設けられたパワーアンプと、
受信機の初段に設けられた低雑音増幅器と、
前記パワーアンプおよび低雑音増幅器が接続される共通のアンテナ端子と、前記パワーアンプとの間に配置されたバラン回路と
を備え、
前記バラン回路は、
一端または両端が前記送信機に接続された前記第1のインダクタと、
前記受信機の入力ノードと、グランドまたは第1のバイアス電源との間に配置された第2のインダクタと
を備え、
前記第2のインダクタは、前記第1のインダクタと相互インダクタンスを有するインダクタを含み、
前記第2のインダクタは、可変インダクタである。
【発明の効果】
【0008】
前記一実施の形態によれば、送信動作時と受信動作時とでバラン回路に含まれるインダクタのインダクタンス値を変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1にかかる半導体装置の構成を説明する図である。
図2】実施形態1の変形例にかかる半導体装置の構成を説明する図である。
図3】実施形態2にかかる半導体装置の構成を説明する図である。
図4】実施形態2の変形例にかかる半導体装置の構成を説明する図である。
図5】実施形態3にかかる半導体装置の構成を説明する図である。
図6】実施形態3の変形例にかかる半導体装置の構成を説明する図である。
図7】実施形態4にかかる半導体装置の構成を説明する図である。
図8】実施形態4の第1の変形例にかかる半導体装置の構成を説明する図である。
図9】実施形態4の第2の変形例にかかる半導体装置の構成を説明する図である。
図10】実施形態4の第3の変形例にかかる半導体装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
また、上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1にかかる半導体装置100の構成を説明する図である。半導体装置100は、アンテナ端子TA、低雑音増幅器LNA、パワーアンプPA、およびバラン回路Baを備えている。低雑音増幅器LNA、パワーアンプPA、およびバラン回路Baは、1つの半導体チップ上に形成されてもよい。
【0013】
アンテナ端子TAは、アンテナANTに接続される。アンテナ端子TAは、送信機および受信機が接続される共通のアンテナ端子である。半導体装置100が備えるRFの入出力ピンの数は、1つであってよい。
【0014】
低雑音増幅器LNAは、受信機の初段に設けられる。パワーアンプPAは、送信機の最終段に設けられる。
【0015】
例えば、低雑音増幅器LNAは第1の電源スイッチ(不図示)を介して電源が供給されるように構成され、パワーアンプPAは第2の電源スイッチ(不図示)を介して電源が供給されるように構成されてもよい。そして、第1の電源スイッチおよび第2の電源スイッチは、図示しないアンプ制御回路の指示に従ってそれぞれ低雑音増幅器LNAおよびパワーアンプPAへの電力の供給と遮断を切り替える。アンプ制御回路は、低雑音増幅器LNAとパワーアンプPAとを排他的に動作させる。つまり、受信動作時には、低雑音増幅器LNAが動作し、パワーアンプPAは動作しない。送信動作時には、パワーアンプPAが動作し、低雑音増幅器LNAは動作しない。送信動作時には低雑音増幅器LNAが動作しないため、低雑音増幅器LNAのインピーダンスが大きく、送信時の損失が小さい。
【0016】
低雑音増幅器LNAの入力ノードN1とアンテナ端子TAの間の経路に、インピーダンス整合回路(不図示)が配置されていてもよい。インピーダンス整合回路は、受信用のインピーダンス整合回路と送信用のインピーダンス整合回路とが共通化された回路である。なお、インピーダンス整合回路を含まない実施例も、実施形態1には含まれ得る。
【0017】
バラン回路Baは、アンテナ端子TAとパワーアンプPAとの間に配置されている。バラン回路Baは、インダクタL1およびインダクタL2を備えている。バラン回路Baは、例えば、パワーアンプPAから出力された不平衡信号を平衡信号に変換する回路である。
【0018】
インダクタL1の第1の端子は、パワーアンプPAの出力端子に接続されている。インダクタL1の第2の端子は、グランドまたはバイアス電圧源(第2のバイアス電源とも言われる)に接続されている。
【0019】
インダクタL2は、低雑音増幅器LNAの入力ノードN1とグランドまたはバイアス電源(第1のバイアス電源とも言われる)との間に配置されている。より具体的には、インダクタL2の第1の端子が入力ノードN1に接続され、インダクタL2の第2の端子がグランドまたは第1のバイアス電源に接続されている。なお、第1のバイアス電源と第2のバイアス電源は同一の電源であってもよく、別電源であってもよい。
【0020】
インダクタL2は、複数のインダクタ(インダクタ素子とも言われる)を含んでいてもよい。この場合、複数のインダクタが互いに直列に接続されていてもよい。図示されたインダクタL2は、入力ノードN1とグランド等との間の経路に含まれるインダクタンス成分を模式的に表していると考えてもよい。
【0021】
インダクタL2は、インダクタL1と相互インダクタンスを有するインダクタを含む。インダクタL1と相互インダクタンスを有するインダクタは、二次側インダクタとも言われる。より具体的には、インダクタL2は、二次側インダクタと、二次側インダクタに直列接続されたチョークコイルとを含んでいてもよい。もちろん、インダクタL2は、単一のインダクタンス素子で構成されていてもよい。インダクタL2は、例えば、インダクタL1と相互インダクタンスを有するチョークコイルであってもよい。
【0022】
インダクタL2は、可変インダクタである。インダクタL2が複数のインダクタを含む場合、全てのインダクタが可変インダクタとして構成されている必要はない。また、二次側インダクタが可変インダクタとして構成されている必要もない。二次側インダクタに直列に接続されたインダクタ(例:チョークコイル)が可変インダクタとして構成されていてもよい。
【0023】
インダクタL2のインダクタンス値は、図示しない制御回路からの信号に応じて変更される。例えば、インダクタL2は、並列接続されたスイッチおよびインダクタ素子を含み、スイッチのオン状態とオフ状態とが切り替えられてもよい。なお、インダクタL2は、上記の構成に限られず、任意の公知の回路を含むことができる。
【0024】
または、スイッチなどの可変インピーダンスが、インダクタL1に並列に接続されていてもよい。例えば、スイッチのオン状態とオフ状態とを切り替えることで、二次側インダクタの等価的なインダクタンス値が切り替えられ得る。
【0025】
インダクタL2のインダクタンス値は、受信動作時には大きく、送信動作時には小さくなるように制御されてもよい。つまり、受信動作時のインダクタンス値が、送信動作時のインダクタンス値よりも大きくてもよい。これにより、送信時の損失を抑えつつ、受信性能の低下を防止できる。
【0026】
インダクタL2が二次側インダクタおよびチョークコイルを含む場合、スイッチ(不図示)がチョークコイルに並列に接続される。受信動作時にはスイッチはオフ状態に制御され、送信動作時にはスイッチはオン状態に制御される。したがって、受信動作時にはインダクタンス値が大きく、送信動作時にはインダクタンス値が小さくなる。なお、スイッチは、二次側インダクタに並列に接続されてもよい。
【0027】
また、受信動作時には、インダクタL1に並列に接続されたスイッチがオン状態に制御され、送信動作時には、インダクタL1に並列に接続されたスイッチがオフ状態に制御されてもよい。受信動作時には、二次側インダクタの等価的なインダクタンス値が小さくなる。これにより、相互インダクタンスにより受信性能が低下することを防止できる。
【0028】
なお、チョークコイルと二次側インダクタの両方が可変インダクタであってもよい。この場合、2つのインダクタンス値の和が、受信動作時には大きく、送信動作時には小さくなるように設計されてもよい。
【0029】
実施形態1にかかる半導体装置では、送信動作時と受信動作時とでバラン回路Baに含まれるインダクタのインダクタンス値を変更できる。
【0030】
実施形態1にかかる半導体装置は、送信用の端子と受信用の端子を共通化できる。また、アンテナの接続先を送信用の回路と受信用の回路とに切り替えるアンテナスイッチを設ける必要がないため、受信動作時の損失が小さく、かつ、遅延量が小さいという利点がある。
【0031】
実施形態1にかかる半導体装置は、UWB(Ultra Wide Band)やBLE(Bluetooth Low Energy)(登録商標)向けの製品に適用されてもよい。半導体装置100は、特に500MHz以上の周波数の信号を送受信してもよい。
【0032】
(変形例)
図2は、実施形態1の変形例にかかる半導体装置100aの構成を説明する図である。図1図2を比較すると、パワーアンプPAが、シングルエンド型から差動型に変わっている。インダクタL1の両端にパワーアンプPAの差動出力端子が接続される。パワーアンプPAが差動型である半導体装置100aも、半導体装置100と同様の効果を奏する。
【0033】
(実施形態2)
図3は、実施形態2にかかる半導体装置200の構成を説明する図である。実施形態2は、実施形態1の具体例である。
【0034】
図1図3を比較すると、可変インピーダンスZが追加されている。可変インピーダンスZは、インダクタL1に並列に接続されている。
【0035】
可変インピーダンスZのインピーダンスは、変更可能に構成される。可変インピーダンスZのインピーダンスは、図示しない制御回路からの信号に応じて変更される。可変インピーダンスZのインピーダンスは受信動作時には小さく、送信動作時には大きくなるように制御される。したがって、受信動作時のインピーダンスは、送信動作時のインピーダンスよりも小さい。
【0036】
可変インピーダンスZは、例えば、可変キャパシタであってもよい。可変キャパシタのキャパシタンス値は、受信動作時には大きく、送信動作時には小さくなるように制御されてもよい。また、可変インピーダンスZは、スイッチであってもよい。スイッチは、受信動作時にはオン状態に制御され、送信動作時にはオフ状態に制御されてもよい。
【0037】
受信動作時には可変インピーダンスZのインピーダンスが小さいため、二次側インダクタのインダクタンス値が小さい。送信動作時には可変インピーダンスのインピーダンスが大きいため、二次側インダクタのインダクタンス値が大きい。したがって、相互インダクタンスにより受信性能が低下することを防止できる。受信動作時には、二次側インダクタは直流電流が流れる経路にもなる。
【0038】
実施形態2は、二次側インダクタのインダクタンス値を変化させることができる。
【0039】
(変形例)
図4は、実施形態2の変形例にかかる半導体装置200aの構成を説明する図である。図3図4を比較すると、パワーアンプPAが、シングルエンド型から差動型に変わっている。インダクタL1および可変インピーダンスZの各々の両端にパワーアンプPA11の差動出力端子が接続される。パワーアンプPA11が差動型である半導体装置200aも、半導体装置200と同様の効果を奏する。
【0040】
(実施形態3)
図5は、実施形態3にかかる半導体装置300の構成を説明する図である。実施形態3は、実施形態2の具体例である。
【0041】
図3図5を比較すると、低雑音増幅器LNAの入力ノードN1とアンテナ端子TAとの間の経路にインピーダンス整合回路Zmatが追加されている。インピーダンス整合回路Zmatは、受信用のインピーダンス整合回路と送信用のインピーダンス整合回路とが共通化された回路である。
【0042】
インピーダンス整合回路Zmatにより、半導体装置300はアンテナANTとのパワー伝送を効率的に行える。インピーダンス整合回路Zmatは、半導体チップに搭載されていてもよい。これにより、部品点数を減らし、コストを削減できる。
【0043】
インピーダンス整合回路Zmatは、例えば、π型のLCフィルタであってもよい。この場合、インピーダンス整合回路Zmatは、インダクタL3、可変キャパシタC1、および可変キャパシタC2を備える。インダクタL3は、アンテナ端子TAと入力ノードN1との間に配置される。可変キャパシタC1は、インダクタL3の一端とグランドとの間に配置される。可変キャパシタC2は、インダクタL3の他端とグランドとの間に配置される。
【0044】
実施形態3にかかる半導体装置は、共通のインピーダンス整合回路Zmatを備えるため、従来技術と比べてインピーダンス整合回路の面積を低減し、コストを削減できる。
【0045】
(変形例)
図6は、実施形態3の変形例にかかる半導体装置300aの構成を説明する図である。図5図6を比較すると、パワーアンプPAが、シングルエンド型から差動型に変わっている。インダクタL1および可変インピーダンスZの各々の両端にパワーアンプPA11の差動出力端子が接続される。パワーアンプPA11が差動型である半導体装置300aも、半導体装置300と同様の効果を奏することができる。
【0046】
(実施形態4)
図7は、実施形態4にかかる半導体装置400の構成を説明する図である。実施形態4は、実施形態3の具体例である。パワーアンプPAはシングルエンド型であってもよい。
【0047】
図6図7を比較すると、低雑音増幅器LNAの具体的な構成が示され、可変インピーダンスZの具体的な構成が示され、かつ、バラン回路Baの具体的な構成が示されている。なお、インピーダンス整合回路Zmatの具体的な構成は既に説明済みである。
【0048】
低雑音増幅器LNAは、ゲート接地型の増幅回路として構成されている。低雑音増幅器LNAは、キャパシタC3、nMOSトランジスタM、インダクタL4、可変キャパシタC4、およびキャパシタC5を備えている。
【0049】
増幅回路の入力ノードN1とインピーダンス整合回路Zmatの間には、キャパシタC3が配置されている。nMOSトランジスタMのソースおよびドレインは、入力ノードN1と出力ノードN2との間に配置されている。出力ノードN2は、互いに並列接続されたインダクタL4および可変キャパシタC4を介して電源に接続されている。nMOSトランジスタMのゲートは電圧源に接続され、キャパシタC5を介してグランドに接続されている。
【0050】
可変インピーダンスZは、互いに直列に接続されたスイッチSW1およびSW2で構成されている。受信動作時には各スイッチがオン状態に制御され、送信動作時には各スイッチがオフ状態に制御される。
【0051】
バラン回路Baは、インダクタL1、インダクタL21、およびL22を備えている。インダクタL21およびL22は、入力ノードN1とグランドとの間に、この順で直列接続されている。つまり、上述したインダクタL2は、インダクタL21およびL22を含んでいる。
【0052】
インダクタL21は、インダクタL1と相互インダクタンスを有する。インダクタL21は、上述した二次側インダクタに相当する。インダクタL21は、可変インダクタである。インダクタL21のインダクタンス値(第1のインダクタンス値と言われる)は、スイッチSW1およびSW2のオンオフに応じて変化する。第1のインダクタンス値は、受信動作時には小さく、かつ、送信動作時には大きくなるように制御されてもよい。つまり、受信動作時には、インダクタL22に含まれるインダクタ素子(例:チョークコイル)以外のインダクタンス値が小さい。
【0053】
インダクタL22は、互いに並列に接続されたスイッチおよびインダクタ素子(例:チョークコイル)を含んでいる。インダクタL22は、可変インダクタである。スイッチは、受信動作時にはオフ状態に制御され、送信動作時にはオン状態に制御される。したがって、インダクタL22のインダクタンス値(第2のインダクタンス値と言われる)は、受信動作時には大きく、送信動作時には小さくなるように制御される。
【0054】
インダクタL22は、インダクタL1と相互インダクタンスを有していなくてもよい。もちろん、インダクタL22も、インダクタL1と相互インダクタンスを有していてもよい。
【0055】
実施形態4にかかる半導体装置は、ゲート接地型の低雑音増幅器を備えている。したがって、ソース接地型の低雑音増幅器を備えた従来の半導体装置に比べて、広帯域化を実現できる。
【0056】
(第1の変形例)
図8は、実施形態4の第1の変形例にかかる半導体装置400aの構成を説明する図である。図7図8を比較すると、可変インピーダンスZの構成が異なっており、スイッチSW1およびSW2が、それぞれ可変キャパシタC6および可変キャパシタC7に置き換わっている。受信動作時には各可変キャパシタのキャパシタンス値が大きくなり、送信動作時には各可変キャパシタのキャパシタンス値が小さくなるように制御される。これにより、受信動作時には可変インピーダンスZのインピーダンスが小さくなり、送信動作時には可変インピーダンスZのインピーダンスが大きくなるように制御される。実施形態4の第1の変形例にかかる半導体装置400aも、半導体装置400と同様の効果を奏することができる。
【0057】
(第2の変形例)
図9は、実施形態4の第2の変形例にかかる半導体装置400bの構成を説明する図である。図7図9を比較すると、インダクタL22がインダクタL21よりもグランド側に配置されている。実施形態4の第1の変形例にかかる半導体装置400bも、半導体装置400と同様の効果を奏することができる。
【0058】
(第3の変形例)
図10は、実施形態4の第3の変形例にかかる半導体装置400cの構成を説明する図である。図7図10を比較すると、インピーダンス整合回路Zmatに含まれるインダクタL3および可変キャパシタC2の位置が異なっており、インダクタL3に並列に接続されたスイッチSW3が追加されている。
【0059】
インダクタL3の一端は入力ノードN1に接続され、インダクタL3の他端はインダクタL22の一端に接続されている。キャパシタC2は、入力ノードN1とグランドとの間に配置されている。
【0060】
スイッチSW3は、受信動作時にはオフ状態に制御され、送信動作時にはオン状態に制御される。これにより、アンテナANTで受信した高周波信号が効率よく吸収され、かつ、送信信号の損失を低減できる。
【0061】
実施形態4の第3の変形例にかかる半導体装置400cも、半導体装置400と同様の効果を奏することができる。
【0062】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0063】
100、100a、200、200a、300、300a、400、400a、400b、400c 半導体装置
TA アンテナ端子
LNA 低雑音増幅器
PA パワーアンプ
Ba バラン回路
N1 入力ノード
N2 出力ノード
L1、L2、L21、L22、L3、L4 インダクタ
C1、C2、C4 可変キャパシタ
C3、C5 キャパシタ
M nMOSトランジスタ
Z 可変インピーダンス
Zmat インピーダンス整合回路
SW1、SW2、SW3 スイッチ
ANT アンテナ
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10