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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000150
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/60 20060101AFI20231225BHJP
   B60Q 1/50 20060101ALI20231225BHJP
   F21S 45/00 20180101ALI20231225BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20231225BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20231225BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231225BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20231225BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20231225BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20231225BHJP
【FI】
B60S1/60 200
B60Q1/50 Z
F21S45/00
F21W103:20
F21Y101:00 100
F21Y101:00 300
F21Y115:10
F21Y115:30
F21W102:13
F21W103:55
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098752
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】澤田 昌宏
【テーマコード(参考)】
3D225
3K339
【Fターム(参考)】
3D225AA04
3D225AB01
3D225AC10
3D225AD14
3D225AG78
3K339AA02
3K339AA22
3K339AA25
3K339AA28
3K339AA29
3K339AA31
3K339AA34
3K339BA05
3K339BA07
3K339BA11
3K339BA18
3K339BA22
3K339BA23
3K339BA25
3K339BA28
3K339BA30
3K339CA01
3K339CA11
3K339CA12
3K339CA13
3K339CA14
3K339CA21
3K339CA25
3K339DA01
3K339DA04
3K339DA05
3K339DA06
3K339EA09
3K339GB01
3K339GB21
3K339GB26
3K339HA01
3K339JA21
3K339JA22
3K339JA26
3K339KA11
3K339KA27
3K339KA37
3K339KA40
3K339MA06
3K339MC70
(57)【要約】
【課題】消費電力を低減しつつ融雪を行うことが可能な車両用灯具を提案する。
【解決手段】車両用灯具は、開口部を有するランプハウジングと、前記開口部を閉塞するカバーと、前記ランプハウジングと前記カバーとによって形成される灯室に配置される発光部と、前記カバーに形成され電流が印加されることにより発熱するヒータ部と、温度を検出する温度センサと、前記ヒータ部の駆動電流を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記駆動電流の制御として、前記温度センサによる検出温度が第1温度未満且つ第2温度以上とされた場合にパルス幅変調によって実効電流が可変とされた可変制御を行い、前記検出温度が前記第2温度未満とされた場合に前記実効電流が一定とされた固定制御を行うものとした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するランプハウジングと、
前記開口部を閉塞するカバーと、
前記ランプハウジングと前記カバーとによって形成される灯室に配置される発光部と、
前記カバーに形成され電流が印加されることにより発熱するヒータ部と、
温度を検出する温度センサと、
前記ヒータ部の駆動電流を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記駆動電流の制御として、前記温度センサによる検出温度が第1温度未満且つ第2温度以上とされた場合にパルス幅変調によって実効電流が可変とされた可変制御を行い、前記検出温度が前記第2温度未満とされた場合に前記実効電流が一定とされた固定制御を行う
車両用灯具。
【請求項2】
前記制御部は、前記検出温度が低くなるほど実効電流が高くなるように前記可変制御を行う
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記制御部は、前記固定制御において、前記パルス幅変調におけるデューティー比を100%とする
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
報知用発光体を備え、
前記制御部は、前記駆動電流の制御を実行中である場合に前記報知用発光体の点灯制御を行う
請求項1から請求項3の何れかに記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記制御部は、前記駆動電流の制御の開始時に前記発光部の少なくとも一部を第1発光パターンで発光させ、前記駆動電流の制御の終了時に前記発光部の少なくとも一部を第2発光パターンで発光させる
請求項4に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用灯具に関し、融雪のための機構を備えた車両用灯具についての技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両のヘッドランプやリアコンビネーションランプ等の車両用灯具において、カバーに雪や氷が付着した場合には、適切な光の照射の妨げとなる。このため、例えば下記特許文献1等に開示されるように、給電により発熱するヒータ部をアウターカバーに設けて、カバーに付着した雪や氷についての融雪や解氷を行う車両用灯具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-185988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、車両用灯具は、所定の電流をヒータ部に印加することにより融雪を行うことが一般的である。しかし、融雪に必要となる電流値は条件によって異なるため、従来の車両用灯具においては適切な制御が行われているとは言い難かった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み為されたものであり、消費電力を低減しつつ融雪を行うことが可能な車両用灯具を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用灯具は、開口部を有するランプハウジングと、前記開口部を閉塞するカバーと、前記ランプハウジングと前記カバーとによって形成される灯室に配置される発光部と、前記カバーに形成され電流が印加されることにより発熱するヒータ部と、温度を検出する温度センサと、前記ヒータ部の駆動電流を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記駆動電流の制御として、前記温度センサによる検出温度が第1温度未満且つ第2温度以上とされた場合にパルス幅変調によって実効電流が可変とされた可変制御を行い、前記検出温度が前記第2温度未満とされた場合に前記実効電流が一定とされた固定制御を行うものである。
可変制御と固定制御を行うことにより、常時固定制御を行う場合と比較して、ヒータ部8における電流の実効値が小さく抑えられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、消費電力を低減しつつ融雪を行うことが可能な車両用灯具を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の車両用灯具を概略的に示す分解斜視図である。
図2】車両用灯具の機能構成を示すブロック図である。
図3】ヒータ部及び制御部の構成例を示す図である。
図4】検出温度の変化の一例に基づいて変化する制御信号を説明するための図である。
図5】制御部が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態としての車両用灯具1について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、車両用灯具1の概略分解斜視図である。なお、本実施の形態においては、車両の後部に取り付けられるリアコンビネーションランプを例に挙げるが、本発明の実施はこれに限らず、車両に取り付けられる各種の灯具に適用することが可能である。
【0010】
また、以下の説明においては、車両の進行方向を前方として前後方向を示す。
【0011】
車両用灯具1は、後方に開口された開口部2aを有するランプハウジング2と、ランプハウジング2の開口部2aを閉塞するカバー3とにより内部空間としての灯室4を有した箱状に形成されている。
【0012】
車両用灯具1は、その灯室4に拡散板ユニット5とその前方(車両後方から見たときには奥側)に配置される回路基板6とが配置されて成る。
【0013】
拡散板ユニット5は、透明度を有する1または複数の拡散板から成り、該拡散板の前面側(車両後方から見たときには奥側)に複数の発光体7を備えている。発光体7は、例えばLED(Light Emitting Diode)とされる。
【0014】
LEDは、例えばフィラメントを有する白熱灯等の他の発光素子と比較して発光時における発熱量が少ない。このため、車両用灯具1の光源としてLEDを用いた場合には、発光素子の発光に伴う発熱を利用して融雪や解氷を行うことが難しい。
【0015】
拡散板ユニット5は、例えば、赤色やアンバー色など異なる色を有する複数の区画から成り、それぞれの区画に対応して設けられた発光体7が所定のタイミングで発光することにより、制動灯(ブレーキランプ)や尾灯(テールランプ)、方向指示灯(ターンシグナルランプ)や後退灯(バックランプ)などの発光部として機能する。
【0016】
カバー3は透明性を有して形成されており、ヒータ部8が設けられている。
【0017】
ヒータ部8は、電熱線8aと電熱線8aに対する給電のための電極8bとを有しており、電熱線8a及び電極8bはカバー3の内面(灯室4側)側に形成されている。電熱線8a及び電極8bがカバー3の内面側に形成されることで、電熱線8a及び電極8bの保護が図られる。
【0018】
なお、ヒータ部8の電熱線8aや電極8bは、必ずしもカバー3の内面側(灯室4側)に設けられる必要はなく、カバー3の外面側(後面側)やカバー3の厚み方向の内部に設けられていてもよい。また、ヒータ部8とカバー3の間に熱伝導材料を介していてもよい。
【0019】
本例において、電熱線8aは、ペースト状の導電性材料(例えば銀(Ag)ペースト)をカバー3に塗布することで形成されている。電熱線8aの線幅は、例えば、0.5mm~1.0mm程度である。
【0020】
本例では、電熱線8aは、二次元の配線パターンにより形成されている。図1では、電熱線8aが上方向に凸、下方向に凸となる部分をそれぞれ複数箇所有するように配線された例を示している。具体的には、上方向に凸となる部分と下方向に凸となる部分とが横方向において交互に配置される配線パターンが採用されている。
【0021】
ヒータ部8の電極8bは図示しない配線ケーブルを介して車載バッテリなどとされた電源部9(図1において不図示)と電気的に接続される。電源部9から印加される電圧によって生じる電流は回路基板6に設けられた制御回路によって制御される。
【0022】
なお、回路基板6は、発光体7に対して所定の駆動電圧を印加するためのドライバとしての機能を有する。
【0023】
回路基板6はヒータ部8に対する制御状態に応じて発光する報知用発光体10が設けられている。なお、報知用発光体10は、発光状態が車両用灯具1の外部から視認可能とされていればよい。従って、報知用発光体10は、灯室4に設けられていてもよいし、車両用灯具1の外部に設けられていてもよい。また、灯室4に報知用発光体10が設けられていた場合には、拡散板ユニット5を介して発光が確認可能とされていてもよいし、拡散板ユニット5を介さずに発光が確認可能とされていてもよい。そのために、拡散板ユニット5に報知用発光体10の発光状態を視認するための孔が形成されていてもよい。
【0024】
車両用灯具1における所定位置には、温度センサ11が設けられている。図1に示す例においては、ランプハウジング2の外周面に温度センサ11が設けられている。但し、温度センサ11は、融雪対象となるカバー3の温度を検出できる位置に設けられていればよい。従って、温度センサ11は、灯室4に設けられていてもよいし、カバー3の温度を相対的に推測可能なそれ以外の位置に設けられていてもよい。
【0025】
車両用灯具1の機能構成についてのブロック図を図2に示す。なお、以降の説明においては、車両右側のリアコンビネーションランプを右側ランプユニット1R、車両左側のリアコンビネーションランプを左側ランプユニット1Lと称する。
【0026】
右側ランプユニット1Rと左側ランプユニット1Lの構成は左右対称に構成されており、その構成要素は同一であるため、以下の説明においては右側ランプユニット1Rについて主に説明する。
【0027】
右側ランプユニット1Rと左側ランプユニット1Lには電源部9からそれぞれ所定の駆動電圧が供給される。
【0028】
右側ランプユニット1Rは、ターンシグナルランプLtと、制御部12と、ヒータ部8と、温度センサ11と、報知用発光体10とが設けられている。
【0029】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するマイクロコンピュータなどが回路基板6に設けられることにより構成されている。
【0030】
制御部12は、拡散板ユニット5の前方に設けられた発光体7(図1参照)に対して駆動電圧を印加することにより、リアコンビネーションランプとしての上述した各機能を実現するが、図2においてはターンシグナルランプLt以外の構成を省略している。
【0031】
制御部12は、温度センサ11から出力されたセンシング値を受け取りヒータ部8の制御に用いる。また、ヒータ部8の制御に応じて報知用発光体10の発光を行う。
【0032】
また、制御部12は、ヒータ部8の発熱制御の開始時と終了時にターンシグナルランプLtを所定のパターンで点滅させる。ヒータ部8の発熱制御の開始時の点滅パターンと終了時の点滅パターンは異なったパターンとされる。具体的には、ヒータ部8の発熱制御の開始時において、制御部12はターンシグナルランプLtを第1発光パターンで点滅させ、ヒータ部8の発熱制御を終了時において、ターンシグナルランプLtを第2発光パターンで点滅させる。
【0033】
なお、発熱制御の開始及び終了の際の点滅パターンは、右側ランプユニット1RのターンシグナルランプLtと左側ランプユニット1LのターンシグナルランプLtとで同期したものとされる。このために、右側ランプユニット1Rの制御部12と左側ランプユニット1Lの制御部12は制御線Lsで接続されている。
【0034】
左右のランプユニットにおいてターンシグナルランプLtを同期して点滅させることにより、右折時や左折時の点滅とは異なるものであると後続車両に認識させることができる。
【0035】
制御部12によってターンシグナルランプLtを点滅させることにより、車内のインストゥルメンタルパネルにおけるターンシグナルランプLtに対応したインジケータが同期して点滅表示される。これにより、運転者はヒータ部8における発熱制御が開始されたことや終了されたことを認識することができる。
【0036】
ヒータ部8及び制御部12の構成例について図3に示す。
【0037】
制御部12は定電流制御部12aと制御信号出力部12bとして機能する。
【0038】
定電流制御部12aは、電源部9から出力される電圧に基づいて定電流を生成しヒータ部8に入力する。
【0039】
制御信号出力部12bは、パルス幅変調された制御信号Sを生成しヒータ部8に入力する。
【0040】
ヒータ部8は、スイッチ13と発熱部14とを有して構成される。
【0041】
スイッチ13は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等のトランジスタで構成され、制御部12の定電流制御部12aと発熱部14の間に挿入されている。
【0042】
発熱部14は例えば発熱する電熱線8aを有して構成され、一端がスイッチ13に接続され、他端が接地されている。
【0043】
スイッチ13は制御信号出力部12bによってパルス幅変調された制御信号SによってON状態とOFF状態が制御される。
【0044】
ここで、制御信号出力部12bによって生成される制御信号Sは、温度センサ11から取得したセンシング値としての検出温度に応じてデューティー比が決定されたものである。
従って、スイッチ13においては、検出温度に応じてON/OFFのデューティー比が変化する。これにより、発熱部14の駆動電流の実効値が変化する。
【0045】
即ち、制御部12の制御信号出力部12bは、制御信号Sのデューティー比を制御することにより発熱部14における発熱量をコントロールする。
【0046】
制御部12は、制御信号Sのデューティー比を変化させる可変制御と、デューティー比を固定させることにより駆動電流の実効値を固定させた固定制御を行うことが可能とされている。そして、制御部12は、温度センサ11の検出温度に応じて可変制御と固定制御を切り替える。
【0047】
なお、制御部12の定電流制御部12aは、電流の出力を停止すること可能とされている。即ち、外気温が高いなど融雪や氷解が不要とされる状況において、定電流制御部12aは電流の出力を停止することにより消費電力の抑制を図る。
【0048】
制御部12の制御信号出力部12bが出力する制御信号Sは、車両用灯具1のカバー3付近の温度の変化に応じて適宜変更される。
制御信号Sの具体例について図4に示す。
【0049】
制御信号出力部12bは温度センサ11による検出温度と閾値としての第1温度T1、第2温度T2及び第3温度T3を比較することにより、制御を異ならせる。なお、各閾値の関係性は、第3温度T3よりも第1温度T1の方が低く、第1温度T1よりも第2温度T2の方が低くされている。
【0050】
図4に示す例は、第3温度T3よりも高温とされた状態から温度が下降することにより第2温度T2よりも低くなり、その後温度が上昇することにより第3温度T3よりも高くなる温度変化の例である。
【0051】
先ず、検出温度が第1温度T1以上とされた期間P1においては、デューティー比が0%とされた制御信号S、即ち、信号レベルがLow(図中のLo)に固定された制御信号Sが出力される。これにより、スイッチ13は常にOFF状態に制御される。
なお、図4では説明の便宜上、信号レベルがLowに固定された制御信号Sが制御信号出力部12bから出力される例を示しているが、融雪等を行う必要が無い期間P1においては、定電流制御部12aからの電流の出力が停止されているため、制御信号Sの信号レベルは必ずしもLowに固定されている必要はなく、また、制御信号Sの出力自体が停止されていてもよい。
【0052】
続いて、検出温度が第1温度T1未満且つ第2温度T2以上とされた期間P2においては、デューティー比が0%よりも大きく100%未満とされた制御信号Sが出力される。
更に、検出温度が第1温度T1に近い(高い)ほどデューティー比が低くされ、第2温度T2に近い(低い)ほどデューティー比が高くされる。
【0053】
検出温度が第2温度T2未満とされた期間P3においては、デューティー比が100%とされた制御信号S、即ち、信号レベルがHi(図中のHi)に固定された制御信号Sが出力される。これにより、スイッチ13は常にON状態に制御される。
【0054】
第2温度T2以上且つ第3温度T3未満とされた期間P4においては、デューティー比が0%よりも大きく100%未満とされた制御信号Sが出力される。
なお、第1温度T1以上且つ第3温度T3未満とされた期間P4aにおいては、第1温度T1に達した際のデューティー比が継続されることにより最低限の電流実効値が維持されるように制御される。
【0055】
第3温度T3以上とされた期間P5においては、デューティー比が0%とされた制御信号Sが出力され、スイッチ13は常にOFF状態に制御される。
【0056】
このように、第1温度T1と第3温度T3が異なりヒステリシスが設けられる。
【0057】
なお、期間P4aにおいては、第1温度T1に達した際のデューティー比が継続されてもよいが、徐々にデューティー比が0%になるように段階的に電流実効値を低下させてもよい。
【0058】
次に、車両用灯具1が備える制御部12が実行する処理の流れについてフローチャートを図5に示す。
【0059】
先ず、ステップS101において、車両用灯具1に対して電源電圧が供給される。
これに応じて、車両用灯具1の制御部12は、ヒータ部8を用いた融雪及び解氷のための制御を開始する。
【0060】
具体的に、制御部12はステップS102において、温度センサ11における検出温度が第1温度T1(例えば摂氏5度)未満であるか否かを判定する。
【0061】
検出温度が第1温度T1以上であると判定した場合、制御部12はステップS102の処理を繰り返し実行する。
【0062】
一方、検出温度が第1温度T1未満であると判定した場合、制御部12はステップS103において、ターンシグナルランプLtを第1発光パターンで点滅させる制御を行う。
【0063】
続いて、制御部12はステップS104において、報知用発光体10を点灯させる。
【0064】
制御部12はステップS105において、検出温度に応じた制御信号Sを生成して出力する。このとき、検出温度が第2温度T2(例えば摂氏-20度)以上である場合には、デューティー比が0%よりも大きく100%未満とされた制御信号Sが出力され、検出温度が第2温度T2未満である場合には、デューティー比が100%とされた制御信号Sが出力される。
【0065】
制御部12はステップS106において、温度センサ11における検出温度が第3温度T3(例えば摂氏15度)以上であるか否かを判定する。
【0066】
検出温度が第3温度T3未満であると判定した場合、制御部12はステップS105の処理を行う。即ち、検出温度が第3温度T3以上となるまで、検出温度に応じたデューティー比の制御信号Sがヒータ部8に出力される。
【0067】
一方、検出温度が第3温度T3以上であると判定した場合、制御部12はステップS107において、定電流制御部12aによる定電流出力と制御信号出力部12bによる制御信号Sの出力を共に停止する。なお、定電流出力と制御信号Sの出力何れか一方を停止させてもよい。
【0068】
そして、制御部12は、ステップS108においてターンシグナルランプLtを第2発光パターンで点滅させ、ステップS109において報知用発光体10を消灯させる。
【0069】
制御部12が図5に示す一連の処理を実行することにより、検出温度に応じて適切な電流実効値とされた電流がヒータ部8の発熱部14に流れ、融雪のための熱が放出される。
【0070】
なお、上述した実施の形態においては各種の変形例を適用することが可能である。
例えば、電熱線8aの配線パターンが二次元の配線パターンであれば、格子状等の他の配線パターンを採用することが考えられる。また、二次元に限らず例えば三次元等の二次元以外の配線パターンを採用することも考えられる。
【0071】
また、電熱線8aは、導電性ペーストの塗布により形成することに限定されず、例えばワイヤー状の導電性材料を接着剤によりカバー3に貼り付けたり、フィルム状のヒータ部8を採用する場合にあってはワイヤー状の導電性材料をフィルムに貼り付ける、又はフィルム内に埋め込んだりする等、導電性ペースト以外の導電性材料を電熱線8aとして用いてヒータ部8を形成することもできる。
【0072】
また、これまでの説明では、本発明のリアコンビネーションランプへの適用例を説明したが、本発明は、例えばヘッドランプ(車両用前照灯)やデイタイムランニングランプ等、車両が備える灯具一般に広く好適に適用することができる。
【0073】
また、これまでの説明では、灯部の光源としてLEDを備えた車両用灯具1を例示したが、本発明は、灯部の光源として例えば白熱灯やハロゲンランプ、HID(High Intensity Discharge lamp)、レーザー発光素子等、LED以外の光源を備える場合にも好適に適用することができる。
【0074】
上述した例では、制御部12はパルス幅変調制御によって制御信号Sを生成し、そのデューティー比を100%にすることにより実効電流が一定とされた固定制御を行う例を挙げたが、可変制御を行うためのパルス幅変調を行う回路と固定制御を行うための回路とを別々に設け、制御部12はそれらの回路を切り替えることにより上述した可変制御と固定制御の切り替えを行ってもよい。
【0075】
また、車両はリアコンビネーションランプとしての車両用灯具1として右側ランプユニット1Rと左側ランプユニット1Lを備えている。そして、右側ランプユニット1Rと左側ランプユニット1Lは同様の構成を備えている例を説明したが、一部の構成が一方の車両用灯具1にのみ設けられていてもよい。
【0076】
例えば、温度センサ11は一方のランプユニットのみに設けられていてもよい。また、報知用発光体10についても一方のランプユニットのみに設けられていてもよい。
これにより、部品点数の削減を図りコスト削減を図ることができる。
【0077】
なお、温度センサ11が右側ランプユニット1Rと左側ランプユニット1Lの双方に設けられている場合には、制御部12は、それぞれの温度センサ11の検出温度に応じてそれぞれのランプユニットについてのヒータ制御を行ってもよいし、何れか一方の検出温度に応じて双方の制御部12がヒータ制御を行ってもよい。
【0078】
そして、何れか一方の温度センサ11の検出温度に応じて双方の制御部12がヒータ制御を行う場合には、低い方の検出温度を用いてヒータ制御を行うことにより、一方の温度センサ11が故障した場合であっても融雪及び解氷を確実に行うことができる。
【0079】
以上説明したように、実施の形態としての車両用灯具1(右側ランプユニット1R、左側ランプユニット1L)は、開口部2aを有するランプハウジング2と、開口部2aを閉塞するカバー3と、ランプハウジング2とカバー3とによって形成される灯室4に配置される発光部(拡散板ユニット5及び発光体7)と、カバー3に形成され電流が印加されることにより発熱するヒータ部8と、温度を検出する温度センサ11と、ヒータ部8の駆動電流を制御する制御部12と、を備え、制御部12は、駆動電流の制御として、温度センサ11による検出温度が第1温度T1未満且つ第2温度T2以上とされた場合にパルス幅変調によって実効電流が可変とされた可変制御を行い、検出温度が前記第2温度T2未満とされた場合に実効電流が一定とされた固定制御を行う。
可変制御と固定制御を行うことにより、常時固定制御を行う場合と比較して、ヒータ部8における電流の実効値が小さく抑えられ、消費電力の削減を図ることができる。特に、常時固定制御を行う場合には、最も厳しい条件でも融雪や解氷が行えるように電流値が定められ消費電力が大きくなるため、本構成を採用することによる消費電力の削減効果は大きくなる。
また、可変制御としてパルス幅変調制御を用いることにより、検出温度に応じた適切な電流によって適切な発熱量を確保することができる。
これにより、効率的に融雪及び解氷を行うことができる。
【0080】
車両用灯具1の制御部12は、検出温度が低くなるほど実効電流が高くなるように可変制御を行ってもよい。
これにより、雪や氷が付着しやすい状況ほど電流の実効値が高くなり、適切な融雪及び解氷を行うことができる。
【0081】
車両用灯具1の制御部12は、固定制御において、パルス幅変調におけるデューティー比を100%としてもよい。
これにより、可変制御用の回路と固定制御用の回路を切り替えずに適切な融雪等を行うことができる。従って、回路規模の大型化を防止することができる。
【0082】
車両用灯具1において、報知用発光体10を備え、制御部12は、駆動電流の制御を実行中である場合に報知用発光体10の点灯制御を行ってもよい。
報知用発光体10を確認することにより、車外からヒータ制御の実行有無を確認することができ、適切な対応を行うことができる。具体的には、車両用灯具1に雪が付着しているにも関わらず報知用発光体10が点灯していない場合には、ヒータ制御についての何らかの故障を推測することができ、手で雪を払うなどして即席に対処すると共に車両用灯具1の点検を早めに行うことができる。これにより運行上の安全性の向上に寄与することができる。
【0083】
車両用灯具1の制御部12は、駆動電流の制御の開始時に発光部(拡散板ユニット5及び発光体7)の少なくとも一部を第1発光パターンで発光させ、駆動電流の制御の終了時に発光部の少なくとも一部を第2発光パターンで発光させてもよい。
発光部は、例えば、発光に伴ってインストゥルメンタルパネルのインジケータが点灯する発光部であることが好ましい。具体的には、ターンシグナルランプLtとして機能する拡散板ユニット5の一部及びそれに対応して設けられた発光体7などである。
これにより、運転者は、インジケータの点滅パターンにより、ヒータ制御の開始や終了を把握することができる。
なお、第1発光パターンと第2発光パターンは異なる発光パターンとされる。異なる発光パターンとは、点灯の時間長と消灯の時間長の何れか一方が異なっていてもよいし、点灯の時間長と消灯の時間長の比率が異なっていてもよいし、点灯と消灯の回数が異なっていてもよい。
【0084】
上述した各種の例は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 車両用灯具、1R 右側ランプユニット(車両用灯具)、1L 左側ランプユニット(車両用灯具)、2 ランプハウジング、2a 開口部、3 カバー、4 灯室、8 ヒータ部、10 報知用発光体、11 温度センサ、12 制御部、T1 第1温度、T2 第2温度
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図5