IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-給湯装置 図1
  • 特開-給湯装置 図2
  • 特開-給湯装置 図3
  • 特開-給湯装置 図4
  • 特開-給湯装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150008
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 4/02 20220101AFI20241016BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20241016BHJP
   F24H 15/10 20220101ALI20241016BHJP
   F24H 15/219 20220101ALI20241016BHJP
   F24H 15/38 20220101ALI20241016BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20241016BHJP
   F24H 15/34 20220101ALI20241016BHJP
   F24H 15/242 20220101ALI20241016BHJP
【FI】
F24H4/02 C
F24H1/18 L
F24H15/10
F24H15/219
F24H15/38
F24H15/395
F24H15/34
F24H15/242
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063209
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直毅
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼見 護寿
(72)【発明者】
【氏名】河村 伸義
(72)【発明者】
【氏名】風間 史郎
(72)【発明者】
【氏名】青嶋 成佳
(72)【発明者】
【氏名】飯島 雅彦
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122BA27
3L122BC02
3L122BC18
3L122DA22
3L122EA62
3L122FA02
3L122FA24
(57)【要約】
【課題】
圧縮機を保護停止させることなく沸き上げ運転を継続できる給湯装置を提供する。
【解決手段】
給湯装置は、冷媒回路と、液体回路と、圧縮機と減圧装置を接続する冷媒配管を流れる冷媒と、液体配管を流れる液体との熱交換を行う第2の熱交換器と、圧縮機と第2の熱交換器との間の冷媒配管に設けられ、圧縮機から吐出された冷媒の圧力を検知する圧力センサと、送水ポンプ及び圧縮機を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、圧力センサが検出した圧力が、予め設定された設定圧力を超えた場合に、送水ポンプの回転数が、予め定められた最大回転数に達しているか否かを判定し、送水ポンプの回転数が、最大回転数に達している場合に、圧縮機の運転周波数を下げる制御を行う。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機の下流側に設けられ、冷媒を減圧する減圧装置と、前記減圧装置の下流側でかつ前記圧縮機の上流側に設けられ、減圧された冷媒と空気とで熱交換を行う第1の熱交換器と、前記圧縮機、前記減圧装置、前記第1の熱交換器を接続する冷媒配管と、を含む冷媒回路と、
液体を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンクの排出口に接続されるとともに、前記貯湯タンクの供給口に接続される液体配管と、前記液体配管の中の液体を循環させる送水ポンプと、を含む液体回路と、
前記圧縮機と前記減圧装置を接続する冷媒配管を流れる冷媒と、前記液体配管を流れる液体との熱交換を行う第2の熱交換器と、
前記圧縮機と前記第2の熱交換器との間の冷媒配管に設けられ、前記圧縮機から吐出された冷媒の圧力を検知する圧力センサと、
前記送水ポンプ及び前記圧縮機を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記圧力センサが検出した圧力が、予め設定された設定圧力を超えた場合に、前記送水ポンプの回転数が、予め定められた最大回転数に達しているか否かを判定し、前記送水ポンプの前記回転数が、前記最大回転数に達している場合に、前記圧縮機の運転周波数を下げることを特徴とする
給湯装置。
【請求項2】
前記液体回路は、前記第2の熱交換器を通った液体の出湯温度を検知する出湯温度センサを備え、
前記制御装置は、前記送水ポンプの前記回転数が、前記最大回転数に達していない場合は、前記出湯温度の目標値である出湯温度目標値を下げることを特徴とする
請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記出湯温度が前記出湯温度目標値よりも低い場合に、前記送水ポンプの前記回転数を下げることを特徴とする
請求項2に記載の給湯装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記出湯温度が前記出湯温度目標値より大きい場合に、前記送水ポンプの前記回転数を上げることを特徴とする
請求項2に記載の給湯装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記圧力センサが検出した圧力が前記設定圧力以下となっているか否かを継続して判定することを特徴とする
請求項1に記載の給湯装置。
【請求項6】
制御状態を使用者に報知する報知手段を備え、
前記制御装置は、前記冷媒の圧力を制御する冷媒高圧保護制御を実施している場合、前記報知手段によって報知を実行することを特徴とする
請求項1に記載の給湯装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記冷媒の圧力を制御する冷媒高圧保護制御を実施し、前記運転周波数が予め定められた最低運転周波数よりも低い運転周波数で前記圧縮機を作動させる必要がある場合に、前記圧縮機を停止するようにしたことを特徴とする
請求項1記載の給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒートポンプ式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、ヒートポンプサイクルを用いたヒートポンプ式給湯装置において、運転動作中に冷媒の圧力が所定の値に到達した場合には、ポンプの回転数を通常状態よりも大きく上昇させ、給湯用熱交換機における水と冷媒の熱交換量を増大させることで冷媒の圧力上昇を抑制している。さらに圧力が上昇し、別の所定の値に到達した場合には、圧縮機を停止させることが開示されている。(例えば、特許文献1。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-255593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、圧縮機を停止させるため、圧縮機が停止した時点から再起動まで時間を要する。再起動までの時間沸き上げ運転ができない状態が継続するため、湯切れを起こす可能性があるという課題があった。
【0005】
本開示は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、圧縮機を保護停止させることなく沸き上げ運転を継続できる給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る給湯装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機の下流側に設けられ、冷媒を減圧する減圧装置と、減圧装置の下流側でかつ圧縮機の上流側に設けられ、減圧された冷媒と空気とで熱交換を行う第1の熱交換器と、圧縮機、減圧装置、第1の熱交換器を接続する冷媒配管と、を含む冷媒回路と、液体を貯える貯湯タンクと、貯湯タンクの排出口に接続されるとともに、貯湯タンクの供給口に接続される液体配管と、液体配管の中の液体を循環させる送水ポンプと、を含む液体回路と、圧縮機と減圧装置を接続する冷媒配管を流れる冷媒と、液体配管を流れる液体との熱交換を行う第2の熱交換器と、圧縮機と第2の熱交換器との間の冷媒配管に設けられ、圧縮機から吐出された冷媒の圧力を検知する圧力センサと、送水ポンプ及び圧縮機を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、圧力センサが検出した圧力が、予め設定された設定圧力を超えた場合に、送水ポンプの回転数が、予め定められた最大回転数に達しているか否かを判定し、前記送水ポンプの回転数が、最大回転数に達している場合に、圧縮機の運転周波数を下げるものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る給湯装置によれば、沸き上げ運転中にヒートポンプサイクルの圧力が上昇し保護値を超えた際に、圧縮機を停止させることなくヒートポンプサイクルの圧力を保護値以下へ制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態1に係る給湯装置の概略図である。
図2】本開示の実施の形態1に係る給湯装置の制御動作例のフローチャートである。
図3】本開示の実施の形態1に係る給湯装置の制御動作例を示す概略図である。
図4】本開示の実施の形態1に係る給湯装置の制御動作例を示す概略図である。
図5】本開示の実施の形態1に係る給湯装置の流入温度と性能の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、図面は模式的に示されたものであり、異なる図面にそれぞれ示されているサイズ及び位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されたものではなく、適宜変更され得る。また、以下の説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称及び機能も同一又は同様のものとする。よって、それらについての詳細な説明を省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
実施の形態1における給湯装置1について、図1から5を用いて説明する。図1は実施の形態1に係る給湯装置1の概略図である。図1に示す矢印は、冷媒回路7中の冷媒又は液体回路12中の液体の流れる方向を示している。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態に係る給湯装置1は、冷媒回路7と、液体回路12と、冷媒回路7と液体回路12の熱交換を行う水-冷媒熱交換器3(以降、第2の熱交換器3と称す)、制御装置16を含む。なお、液体回路12は、沸き上げ回路ともいう。
【0012】
冷媒回路7は、冷媒を圧縮する圧縮機2と圧縮機の下流側に設けられ、冷媒を減圧する減圧装置4と、減圧装置4の下流側でかつ圧縮機の上流側に設けられ、減圧された冷媒と空気とで熱交換を行う第1の熱交換器5と、圧縮機2、減圧装置4、第1の熱交換器5を接続する冷媒配管6と、第1の熱交換器5に風を送る送風ファン8と、を含む。冷媒回路7をヒートポンプ又はヒートポンプ回路ともいう。
【0013】
液体回路12は、液体を蓄える貯湯タンク9と、貯湯タンク9の排出口に接続されるとともに貯湯タンク9の供給口に接続される液体配管11と、液体配管11の中の液体を循環させる送水ポンプ10とを含む。第2の熱交換器3は、圧縮機2と減圧装置4を接続する冷媒配管6を流れる冷媒と、液体配管11を流れる液体との熱交換を行う。
【0014】
圧縮機2は、低温低圧の冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮し、高温高圧の冷媒を吐出する。圧縮機2の吐出側は第2の熱交換器3と接続されている。圧縮機2の吸入側は第1の熱交換器5と接続されている。
【0015】
圧縮機2として、例えば、インバータ圧縮機などが用いられる。インバータ圧縮機は、運転周波数を変化させることにより、単位時間あたりの送出量である容量が制御される。制御装置16は、圧縮機2の運転周波数を制御し、圧縮機2の回転周波数を変化させることで冷媒流量を調整し、冷媒の加熱能力を制御する。圧縮機2の運転周波数が上がると、回転周波数が上がる。圧縮機2の回転周波数が上がると、冷媒回路7の冷媒流量が上がる。冷媒回路7の冷媒流量が上がると加熱能力が上がる。
【0016】
冷媒回路7は圧縮機2と減圧装置4との間の冷媒配管である冷媒側流路17を含む。また、液体回路12は、液体配管11の一部が液体側流路18を含む。第2の熱交換器3は、冷媒側流路17と、液体側流路18とが内部を貫通し熱交換する機能を備えている。すなわち、第2の熱交換器3の冷媒側流路17の流入側(冷媒流入側)は、圧縮機2に接続される。また、第2の熱交換器3の冷媒側流路17の流出側(冷媒流出側)は、減圧装置4に接続される。また、液体側流路18の流入側(液体流入側)及び液体側流路18の流出側(液体流出側)は、それぞれ液体配管11に接続される。
【0017】
第2の熱交換器3は、冷媒回路7のうち、圧縮機2の下流側と接続された冷媒側流路17を流れる冷媒と、液体回路12に接続された液体側流路18を流れる液体との間で熱交換を行い、冷媒側流路17を流れる冷媒の熱を液体側流路18を流れる液体に放熱して、液体回路12の液体の温度を上昇させる。本実施例では、液体は例えば、水とすることができる。給湯装置1が動作状態にある場合、例えば、液体回路12を流れる液体の温度は外気温よりも高くなる。なお、実施例において、液体の温度は様々な値、例えば、0℃~100℃の間で任意の温度とすることが可能である。
【0018】
第2の熱交換器3が、冷媒の熱を液体回路12の液体に与えることで、液体側流路18の沸き上げ回路を流れる湯水は、設定された出湯温度目標値Th℃に従って、例えば、65℃~90℃程度に加熱される。
【0019】
減圧装置4の冷媒流入側は、第2の熱交換器3と接続される。減圧装置4の冷媒流出側は、第1の熱交換器5が接続される。
【0020】
減圧装置4は、第2の熱交換器3から流入した冷媒を減圧する。減圧装置4は、例えば、電子式膨張弁等の開度の制御が可能な弁を含む。減圧装置4の弁の開度は、制御装置16によって制御される。
【0021】
第1の熱交換器5の冷媒流入側は、減圧装置4と冷媒配管6で接続される。第1の熱交換器5の冷媒流出側は、圧縮機2と冷媒配管6で接続される。
【0022】
第1の熱交換器5は、送風ファン8によって供給される室外空気と減圧装置4の下流側でかつ圧縮機の上流側を循環する冷媒との間で熱交換を行い、冷媒を蒸発させる。
【0023】
冷媒配管6は、圧縮機2と、第2の熱交換器3を通る冷媒側流路17と、減圧装置4と、第1の熱交換器5とを接続し、冷媒回路7を形成する。冷媒は冷媒回路7を循環する。
【0024】
冷媒回路7は、圧縮機2と、第2の熱交換器3を通る冷媒側流路17と、減圧装置4と、第1の熱交換器5と、冷媒配管6とを含む。
【0025】
送風ファン8は第1の熱交換器5に隣接して設けられ、第1の熱交換器5に外部に存在する空気を供給する。制御装置16は、送風ファン8の回転数を制御する。制御装置16が、送風ファン8の回転数を制御することにより、第1の熱交換器5への送風量が調整される。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態に係る給湯装置1において、液体回路12は、貯湯タンク9と、送水ポンプ10と、液体配管11とを含む。
【0027】
貯湯タンク9は液体を貯える。例えば、給水された水及び第2の熱交換器3で加熱された湯水を貯留する。貯湯タンク9は供給口と排出口とを含む。貯湯タンク9の供給口は、第2の熱交換器3の液体側流路18の出口に液体配管11を介して接続される。貯湯タンク9の排出口は、送水ポンプ10と液体配管11を介して接続される。
【0028】
送水ポンプ10は、貯湯タンク9の下部に存在する排出口から排出される液体を、第2の熱交換器3の液体側流路18に送る。また、送水ポンプ10は、第2の熱交換器3の液体側流路18から流出する液体を貯湯タンク9の上部に存在する供給口に送る。
【0029】
また、送水ポンプ10は、図示しないモーターによって駆動される。また、送水ポンプ10の回転数は、制御装置16によって制御される。
【0030】
液体配管11は、第2の熱交換器3を通る液体側流路18と、貯湯タンク9と、送水ポンプ10とを接続し、液体回路12を形成する。液体配管11は貯湯タンクの排出口に接続される。また、液体配管11は、第2の熱交換器3を通り貯湯タンクの供給口に接続される。液体回路12中の液体は、例えば、湯水である。
【0031】
また、図1に示すように、本実施の形態に係る給湯装置1は、流入温度センサ13と、出湯温度センサ14と、圧力センサ15とを含む。
【0032】
流入温度センサ13は、例えば、液体配管11のうち第2の熱交換器3と送水ポンプ10との間に設けられており、第2の熱交換器3の液体側流路18の入口に取付けられている。流入温度センサ13は、第2の熱交換器3の液体側流路18に流入する液体の流入温度を検知する。
【0033】
流入温度センサ13は、例えば、サーミスタである。
【0034】
出湯温度センサ14は、例えば、液体配管11のうち第2の熱交換器3と貯湯タンク9との間に設けられており、第2の熱交換器3の液体側流路18の出口に取付けられている。第2の熱交換器3を通り、第2の熱交換器3の液体側流路18から流出する液体の出湯温度、すなわち、水の沸き上げ温度を検知する。
【0035】
出湯温度センサ14は、例えば、サーミスタである。
【0036】
圧力センサ15は、冷媒配管6のうち圧縮機2と第2の熱交換器3との間に設けられており圧縮機2の出口に取付けられている。圧力センサ15は、圧縮機2から吐出された冷媒の圧力を検知する。圧力センサ15は、圧縮機2から吐出された冷媒の圧力、すなわち、冷媒回路7を循環する冷媒のうち高圧部分の冷媒の圧力を検知する。
【0037】
次に、実施の形態1の給湯装置1の沸き上げ運転について説明する。本実施の形態に係る制御装置16は、例えば、沸き上げ運転における動作を制御する。
【0038】
沸き上げ運転は、ヒートポンプによって低温の水(液体)を高温に沸き上げる。沸き上げられた湯水を貯湯タンク9に貯留する。給湯装置1は、貯湯タンク9に貯留する湯水が特定の熱量以上となるように運転し、深夜電力時間帯が終了する前に沸き上げ運転が完了するように実施される。
【0039】
給湯装置1の沸き上げ運転における冷媒回路7内のサイクル動作を説明する。低温低圧の冷媒が圧縮機2によって圧縮され、高温高圧の冷媒となって吐出される。圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒は、第2の熱交換器3の冷媒側流路17に流入し、第2の熱交換器3の液体回路12の液体側流路18に流れる水と熱交換する。液体回路12に流れる水と熱交換した冷媒は、低温高圧となって第2の熱交換器3から流出する。
【0040】
第2の熱交換器3から流出した低温高圧の冷媒は、減圧装置4によって減圧され低温低圧の気液二相冷媒となる。低温低圧の気液二相冷媒は、第1の熱交換器5に流入し、送風ファン8により第1の熱交換器5を通過する空気と熱交換する。第1の熱交換器5を通過する空気と熱交換した冷媒は、低温低圧のガス冷媒となって圧縮機2に吸入される。
【0041】
給湯装置1の沸き上げ運転における液体回路12の動作を説明する。送水ポンプ10により貯湯タンク9の下部から低温の水が流出され、水が第2の熱交換器3に流入する。流入した水は、高温高圧の冷媒と熱交換することで水温が上昇し、第2の熱交換器3から流出される。第2の熱交換器3から流出された湯水は、液体配管11を通り貯湯タンク9の上部に流入する。
【0042】
貯湯タンク9に高温の湯水を貯留し、給湯装置1として必要な熱量を生成する。必要熱量を確保する為の指標として出湯温度の目標値である出湯温度目標値が設定される。制御装置16は、出湯温度が出湯温度目標値に到達するよう送水ポンプ10の回転数を制御する。
【0043】
送水ポンプ10の回転数を大きくすることで、出湯温度を小さくでき、送水ポンプ10の回転数を小さくすることで、出湯温度を大きくできる。
【0044】
本実施の形態に係る給湯装置1の動作について説明する。図2は実施の形態1に係る給湯装置1の制御動作例のフローチャートである。また、図2のフローチャートには、給湯装置1の動作を終了する処理が示されていないが、給湯装置1は、制御装置16から運転を終了する旨の指令を受信したら動作を終了することができる。また、図2に示す制御を冷媒高圧保護制御と呼ぶ。
【0045】
まず、沸き上げ運転を開始する(ステップS101)。沸き上げ運転の開始は例えば、ユーザーが図示しないコントローラから指示することによって実行される。次に、圧縮機2、送風ファン8、及び送水ポンプ10の動作を開始する(ステップS102)。
【0046】
次に、圧力センサ15が検出した冷媒回路7の高圧、すなわち、圧縮機2から吐出された冷媒の圧力が、予め定められた設定圧力a(保護値)以下であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0047】
圧力センサ15が検出した冷媒回路7の圧力が予め定められた設定圧力aを超えた場合(ステップS103;NO)、送水ポンプ10の回転数が予め定められた最大回転数bに達しているか否かを判定する(ステップS104)。制御装置16は、現在の送水ポンプ10の回転数を取得してステップS104の判定を行う。
【0048】
圧力センサ15が検出した冷媒回路7の圧力が予め定められた設定圧力a以下である場合(ステップS103;YES)、ステップS107へ移行する。
【0049】
送水ポンプ10の回転数が予め定められた最大回転数bに達している場合(ステップS104;YES)、圧縮機2の運転周波数を下げる。すなわち、圧縮機2の運転周波数の補正を行う(ステップS105)。
【0050】
ステップS105では、ステップS104の判断時の圧縮機2の運転周波数に対して補正を行う。ステップS104の判断時の圧縮機2の周波数から、ΔF[Hz]下げる。ステップS105の補正後の周波数は、ステップS104の判断時の周波数-ΔF[Hz]となる。圧縮機2の周波数の補正が終了した後、ステップS103に戻る。
【0051】
給湯装置1が運転する環境により、通常運転時に送水ポンプ10の回転数が最大に近い運転となる条件であり、送水ポンプ10の回転数の増加のみでは冷媒回路7の圧力上昇を回避できない場合であっても、圧縮機2の周波数を下げることによって、冷媒回路7の圧力上昇を回避することができる。すなわち、圧縮機を保護停止させることなく沸き上げ運転を継続できる。
【0052】
送水ポンプ10の回転数が予め定められた最大回転数bに達していない場合(ステップS104;NO)、制御装置16は、出湯温度目標値を下げる、すなわち、出湯温度目標値の補正を行う(ステップS106)。
【0053】
ステップS106では、制御装置16が、ステップS104の判断時の出湯温度目標値に対して補正を行う。すなわち、ステップS104の判断時の出湯温度目標値から、ΔT[℃]下げる補正を行う。ステップS106の補正後の出湯温度目標値は、ステップS104の判断時の出湯温度目標値-ΔT[℃]となる。出湯温度目標値を下げる補正を行うことで、出湯温度を下げることができる。出湯温度目標値の補正が終了した後、ステップS107へ移行する。
【0054】
ステップS107では、制御装置16が、現在の出湯温度Th[℃]が現在の出湯温度目標値TH[℃]に対し±α[℃]以内の温度範囲に入っているか否かを判定する。なお、αは0以上の任意の値を設定することができる。
【0055】
現在の出湯温度Th[℃]が現在の出湯温度目標値TH[℃]に対し±α[℃]以内の温度範囲に入っている場合(ステップS107;YES)、ステップS103に戻る。
【0056】
現在の出湯温度Th[℃]が現在の出湯温度目標値TH[℃]に対し±α[℃]以内の温度範囲に入っていない場合(ステップS107;NO)、現在の現在の出湯温度Th[℃]が現在の出湯温度目標値TH[℃]に対してTH-α[℃]≧Th[℃]の関係が成り立つか否かを判定する(ステップS108)。
【0057】
現在の現在の出湯温度Th[℃]が現在の出湯温度目標値TH[℃]に対してTH-α[℃]≧Th[℃]の関係が成り立つ場合(ステップS108;YES)、制御装置16が、送水ポンプ10の回転数を下げる。すなわち、送水ポンプ10の回転数の補正を行う(ステップS109)。送水ポンプ10の回転数を下げることで、出湯温度を上げることができる。
【0058】
ステップS109では、ステップS108の判断時の送水ポンプ10の回転数に対して補正を行う。ステップS108の判断時の送水ポンプ10の回転数から、ΔR[rpm]下げる。ステップS109の補正後の回転数は、ステップS108の判断時の回転数-ΔR[rpm]となる。送水ポンプ10の回転数の補正が終了した後、ステップS103に戻る。
【0059】
現在の現在の出湯温度Th[℃]が現在の出湯温度目標値TH[℃]に対してTH-α[℃]≧Th[℃]の関係が成り立たない場合(ステップS108;NO)、送水ポンプ10の回転数を上げる。すなわち、送水ポンプ10の回転数の補正を行う(ステップS110)。送水ポンプ10の回転数を上げることで、出湯温度を下げることができる。
【0060】
ステップS110では、ステップS108の判断時の送水ポンプ10の回転数に対して補正を行う。ステップS108の判断時の送水ポンプ10の回転数から、ΔR[rpm]上げる。ステップS109の補正後の回転数は、ステップS108の判断時の回転数+ΔR[rpm]となる。送水ポンプ10の回転数の補正が終了した後、ステップS103に戻る。
【0061】
ステップS108の判断時の回転数+ΔR[rpm]と、最大回転数bとの関係について、例えば、ステップS108の判断時の回転数+ΔR[rpm]が最大回転数bを越えてしまう場合でも、最大回転数bは送水ポンプの性能、設計値に対し余裕を持たせた値であるため、給湯装置1を停止することなく連続して作動させることが可能である。
【0062】
ステップS103へ継続して戻すことにより、変化した冷媒回路7の圧力値に対し、予め設定された設定圧力aを超えているか否かを継続して判断する。継続して判断することで、冷媒の圧力が設定圧力aを超えている状態が続くことを防ぐことができる。
【0063】
図3は実施の形態1に係る給湯装置1の制御動作例を示す概略図である。図3において、上からそれぞれ冷媒圧力、送水ポンプ回転数、出湯温度目標値、圧縮機2の運転周波数の時間変化を示している。圧縮機2から吐出された冷媒の圧力が、保護値である設定圧力aを超えた時刻をt1とする。時刻t1のとき、圧縮機2から吐出された冷媒の圧力が保護値である設定圧力aを超えており、ステップS103からステップS104に移行する。
【0064】
図3に示す時刻t1では、送水ポンプ10の回転数が予め定められた最大回転数bに達していない。よって、ステップS104からステップS106に移行し、ステップS106の処理が行われる。すなわち、出湯温度目標値が下げられる。
【0065】
図4は実施の形態1に係る給湯装置1の制御動作例を示す概略図である。図4では図3に示した各構成の動作のさらに後の動作を追加で示したものである。圧縮機2から吐出された冷媒の圧力が、保護値である設定圧力aを超えた時刻をt2とする。時刻t2は時刻t1よりも後の時点を示しており、図4におけるt1は図3におけるt1と同じタイミングを示す。時刻t2のとき、圧縮機2から吐出された冷媒の圧力が保護値である設定圧力aを超えており、ステップS103からステップS104に移行する。
【0066】
図4に示す時刻t2では、送水ポンプ10の回転数が予め定められた最大回転数bに達している。よって、ステップS104からステップS105に移行し、ステップS105の処理が行われる。すなわち、圧縮機の周波数が下げられる。圧縮機の周波数は、例えば、複数回に分けて段階的に下げられ、例えば、10[Hz]ずつ下げられる。
【0067】
また、送水ポンプ10の回転数も、例えば、段階的に変更され、例えば、10[rpm]ずつ変更される。
【0068】
図5は実施の形態1に係る給湯装置の沸き上げ運転における流入温度と性能の一例を示す概略図である。沸き上げ運転中に貯湯タンク9内に湯水が増加した影響により、貯湯タンク9下部から第2の熱交換器3へ流入する水の温度が上昇する場合がある。図5に示すt3は、第2の熱交換器3への流入温度が上昇し始める時刻である。
【0069】
図5(a)に示すように、第2の熱交換器3への流入温度が上昇した場合、冷媒回路7における第2の熱交換器3の出口の温度が上昇し第2の熱交換器3の入口の温度との差が小さくなる為、図5(b)に示すように、第2の熱交換器3の加熱能力が低下する。
【0070】
第2の熱交換器3への流入温度が上昇した場合の圧縮機2への影響について説明する。第2の熱交換器3への流入温度が上昇した場合、冷媒回路7における第2の熱交換器3の熱交換量が低下し、圧縮機2から吐出された冷媒の圧力が上昇する。圧縮機2から吐出された冷媒の圧力の上昇に伴い、圧縮機吸入エンタルピーと吐出エンタルピーの差が大きくなる為、図5(c)に示すように、圧縮機入力増加に繋がる。
【0071】
第2の熱交換器3の加熱能力低下と、圧縮機入力増加により、COP(Coefficient Of Performance)が悪化する。COPは、COP=加熱能力÷全入力で定義される。
【0072】
本実施の形態により圧縮機の周波数を下げる動作とすることで圧縮機単体効率を上昇させることにより、COP悪化幅を緩和することができる。
【0073】
本実施の形態に係る給湯装置1によると、沸き上げ運転中にヒートポンプサイクルの圧力が上昇し保護値を超えた際に、圧縮機2を停止させることなくヒートポンプサイクルの圧力を保護値以下へ制御することができる。
【0074】
また、沸き上げ運転中に流入温度が上昇した場合においても、ヒートポンプサイクルの圧力が上昇し保護値を超えた際に、圧縮機2を停止させることなくヒートポンプサイクルの圧力を保護値以下へ制御するとともに、COP悪化を緩和し省エネルギー性を向上させることができる。
【0075】
なお、上述した冷媒高圧保護制御を実施していること、すなわち制御状態を使用者に報知する報知手段を備えてもよい。制御装置16は、冷媒の圧力を制御する冷媒高圧保護制御を実施している場合、報知手段によって報知を実行する。
【0076】
報知手段は例えば、給湯装置1のリモコンや、給湯装置1とネットワークを経由して相互に情報を送受信可能なスマートフォンなどの情報端末による画面表示や音声による報知としてもよい。
【0077】
報知手段で報知することで、給湯装置1の動作状態変更を確実かつ容易に把握でき、さらに動作状態変更が、故障や不具合かもしれないなどの誤解を使用者が招くことも防止できる。
【0078】
また、制御装置16は冷媒高圧保護制御を実施し圧縮機2の周波数を下げるとき、下げる周波数に下限値を設け、当該下限値より低い周波数とする必要が生じた場合は圧縮機を停止するように制御してもよい。すなわち、制御装置16は、圧縮機2の運転周波数が予め定められた最低運転周波数よりも低い運転周波数で圧縮機を作動させる場合に、圧縮機を停止するよう制御してもよい。
【0079】
圧縮機2の周波数の下限値は、圧縮機単体の効率的運転可能な最低回転数として設定されたものであってもよい。このように下限値を下回る状態で運転させないようにすることで、圧縮機故障のリスクを下げることができる。
【0080】
なお、本明細書で説明した上記の各実施の形態では、各構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係又は実施の条件等について記載している場合があるが、これらは全ての局面において例示であって、各実施の形態が記載されたものに限られることはない。よって、例示されていない無数の変形例が、各実施の形態の範囲内において想定される。例えば、任意の構成要素を変形する場合、追加する場合又は省略する場合、さらには、少なくとも1つの実施形態における少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれる。
【0081】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0082】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0083】
(付記1)
冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機の下流側に設けられ、冷媒を減圧する減圧装置と、前記減圧装置の下流側でかつ前記圧縮機の上流側に設けられ、減圧された冷媒と空気とで熱交換を行う第1の熱交換器と、前記圧縮機、前記減圧装置、前記第1の熱交換器を接続する冷媒配管と、を含む冷媒回路と、
液体を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンクの排出口に接続されるとともに、前記貯湯タンクの供給口に接続される液体配管と、前記液体配管の中の液体を循環させる送水ポンプと、を含む液体回路と、
前記圧縮機と前記減圧装置を接続する冷媒配管を流れる冷媒と、前記液体配管を流れる液体との熱交換を行う第2の熱交換器と、
前記圧縮機と前記第2の熱交換器との間の冷媒配管に設けられ、前記圧縮機から吐出された冷媒の圧力を検知する圧力センサと、
前記送水ポンプ及び前記圧縮機を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記圧力センサが検出した圧力が、予め設定された設定圧力を超えた場合に、前記送水ポンプの回転数が、予め定められた最大回転数に達しているか否かを判定し、前記送水ポンプの前記回転数が、前記最大回転数に達している場合に、前記圧縮機の運転周波数を下げることを特徴とする
給湯装置。
(付記2)
前記液体回路は、前記第2の熱交換器を通った液体の出湯温度を検知する出湯温度センサを備え、
前記制御装置は、前記送水ポンプの前記回転数が、前記最大回転数に達していない場合は、前記出湯温度の目標値である出湯温度目標値を下げることを特徴とする
付記1に記載の給湯装置。
(付記3)
前記制御装置は、前記出湯温度が前記出湯温度目標値よりも低い場合に、前記送水ポンプの前記回転数を下げることを特徴とする
付記2に記載の給湯装置。
(付記4)
前記制御装置は、前記出湯温度が前記出湯温度目標値より大きい場合に、前記送水ポンプの前記回転数を上げることを特徴とする
付記2に記載の給湯装置。
(付記5)
前記制御装置は、前記圧力センサが検出した圧力が前記設定圧力以下となっているか否かを継続して判定することを特徴とする
付記1から4のいずれか1項に記載の給湯装置。
(付記6)
制御状態を使用者に報知する報知手段を備え、
前記制御装置は、前記冷媒の圧力を制御する冷媒高圧保護制御を実施している場合、前記報知手段によって報知を実行することを特徴とする
付記1から5のいずれか1項に記載の給湯装置。
(付記7)
前記制御装置は、前記冷媒の圧力を制御する冷媒高圧保護制御を実施し、前記運転周波数が予め定められた最低運転周波数よりも低い運転周波数で前記圧縮機を作動させる必要がある場合に、前記圧縮機を停止するようにしたことを特徴とする
付記1から6のいずれか1項に記載の給湯装置。
【符号の説明】
【0084】
1 給湯装置、2 圧縮機、3 第2の熱交換器、4 減圧装置、5 第1の熱交換器、6 冷媒配管、7 冷媒回路、9 貯湯タンク、10 送水ポンプ、11 液体配管、12 液体回路、14 出湯温度センサ、15 圧力センサ、16 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5