(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150012
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20241016BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20241016BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20241016BHJP
F16B 2/22 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H02G3/04 037
H02G3/04
H02G3/30
H01B7/00 301
F16B2/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063216
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】田村 一成
(72)【発明者】
【氏名】唐木 拓也
【テーマコード(参考)】
3J022
5G309
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
3J022DA11
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC14
3J022EC22
3J022FA05
3J022FA08
3J022FB04
3J022FB08
3J022FB12
3J022HB02
3J022HB06
5G309AA09
5G357DA06
5G357DA10
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DE08
5G363AA12
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA15
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】電子部品の構造を複雑化することなく、電線に対する電子部品の配置位置を安定して保持することができるワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】電線3と、電線3の外周に配置される電子部品と、電線3が取り付けられる電線取付部15と電子部品が取り付けられる部品取付部17とを有するプロテクタ7とを備えたワイヤハーネスにおいて、電線取付部15が、少なくとも電線3との当接面21に弾性材料からなる弾性部23を有した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、
前記電線の外周に配置される電子部品と、
前記電線が取り付けられる電線取付部と前記電子部品が取り付けられる部品取付部とを有するプロテクタと、
を備え、
前記電線取付部は、少なくとも前記電線との当接面に弾性材料からなる弾性部を有するワイヤハーネス。
【請求項2】
前記電線取付部は、前記当接面が、前記電線の外形に対応して形成された外形対応部を有する請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記電線取付部は、前記当接面がそれぞれ設けられ、前記電線を挟持する一対の挟持部を有する請求項1又は2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記電線取付部と前記部品取付部とは、前記電線の径方向に重なり合って配置され、
前記プロテクタには、外周にテープを巻き付けることにより、前記電線取付部に前記電線が固定され、前記部品取付部に前記電子部品が固定されている請求項1又は2に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤハーネスとしては、電線と、電線の外周に配置される電子部品とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。このワイヤハーネスでは、電子部品が、回路体の表裏両面を、可撓性を有する絶縁樹脂シートで挟んで形成されている。このため、電子部品は、可撓性を有し、電線の外周面の湾曲に沿わせて配置することができる。このようなワイヤハーネスでは、電線の外周に、電子部品を外周面の湾曲に沿わせて配置した後、テープを巻き付けることによって、電線に電子部品が取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のワイヤハーネスでは、電子部品を、可撓性を有する絶縁樹脂シートで覆うことによって、電子部品を電線の外周に密着させているが、回路体を絶縁シートで覆うなどの加工が必要であり、電子部品の構造が複雑化していた。また、単に、簡易な構造の電子部品を、電線の外周に、テープ巻きで取り付けただけでは、電子部品が、電線の外周上を回転するなど、電子部品の配置位置が不安定になっていた。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、電子部品の構造を複雑化することなく、電線に対する電子部品の配置位置を安定して保持することができるワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係るワイヤハーネスは、電線と、前記電線の外周に配置される電子部品と、前記電線が取り付けられる電線取付部と前記電子部品が取り付けられる部品取付部とを有するプロテクタとを備え、前記電線取付部は、少なくとも前記電線との当接面に弾性材料からなる弾性部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子部品の構造を複雑化することなく、電線に対する電子部品の配置位置を安定して保持することができるワイヤハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るワイヤハーネスの斜視図である。
【
図2】本実施形態に係るワイヤハーネスの電線にプロテクタを取り付けたときの斜視図である。
【
図3】本実施形態に係るワイヤハーネスのプロテクタに電子部品を取り付けたときの上面図である。
【
図4】本実施形態に係るワイヤハーネスのプロテクタの正面図である。
【
図5】本実施形態に係るワイヤハーネスのプロテクタの斜視図である。
【
図6】本実施形態に係るワイヤハーネスのプロテクタの要部拡大斜視図である。
【
図7】本実施形態に係るワイヤハーネスのプロテクタの要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係るワイヤハーネスについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係るワイヤハーネス1は、例えば、車両に搭載された電源(不図示)と機器(不図示)との間を電気的に接続し、車両に所定の形状で配置される。
図1~
図7に示すように、ワイヤハーネス1は、電線3と、電子部品5と、プロテクタ7とを備えている。
【0011】
図1~
図3に示すように、電線3は、例えば、複数の電線を束ねた電線束からなり、幹線を構成する。電線3の両端部には、例えば、電源の電気接続部と機器の電気接続部とに対して嵌合可能なコネクタ(不図示)が電気的に接続されている。電線3を構成する幹線から分岐する分岐線9には、電子部品5が電気的に接続されている。
【0012】
図1,
図3に示すように、電子部品5は、例えば、車両にどのような種類の電源が搭載されているかを抵抗値によって識別するレジスタとなっている。電子部品5は、長方形の筐体の内部に回路基板が配置され、回路基板が分岐線9に電気的に接続されている。このため、電子部品5は、特別な加工を施すような複雑な構造をしておらず、簡易な構造となっている。なお、本実施形態において、電子部品5は、2つ設けられている。電子部品5に電気的に接続された分岐線9は、例えば、車両に搭載された各機構の作動を制御するメインECUに電気的に接続された電源ECUに電気的に接続されている。電子部品5は、プロテクタ7を介して電線3の外周に取り付けられる。
【0013】
図1~
図7に示すように、プロテクタ7は、例えば、ゴムなどの弾性材料からなる。プロテクタ7は、長方形の板状に形成された連結部11の長さ方向の両端部に、それぞれ一対の挟持部13,13が連続する一部材で形成され、全体としてU字状に形成されている。プロテクタ7は、電線3が取り付けられる電線取付部15と、電子部品5が取り付けられる部品取付部17とを備えている。
【0014】
電線取付部15は、連結部11の厚さ方向の電線3と対向する側に配置されている。電線取付部15は、外形対応部19と、一対の挟持部13,13とを有する。
【0015】
外形対応部19は、連結部11の厚さ方向の電線3と対向する面から電線3に向けて連結部11と連続する一部材で突出して形成されている。外形対応部19の電線3と対向する面は、電線3の外形に対応して、電線3の外形と同様の円弧状に形成されている。外形対応部19の円弧状の面は、プロテクタ7を電線3に取り付けたときに、電線3の外周面と当接する当接面21となっている。外形対応部19の当接面21は、プロテクタ7が弾性材料からなるので、弾性部23となっている。このため、外形対応部19の当接面21が電線3の外周面に当接した状態では、当接面21が電線3の外周面に密着し、プロテクタ7が電線3の外周上を回転、或いは移動することを規制することができる。
【0016】
一対の挟持部13,13は、連結部11の長さ方向の両端部から電線3に向けて板状に延出して形成されている。一対の挟持部13,13は、連結部11側を基端とし、電線3側を自由端とするように、連結部11に弾性変形可能に設けられている。一対の挟持部13,13の自由端の間は、電線3の径より狭く設定されている。一対の挟持部13,13の自由端側には、それぞれプロテクタ7を電線3に取り付けたときに、電線3の外周面と当接する当接面21が設けられている。挟持部13の当接面21は、プロテクタ7が弾性材料からなるので、弾性部23となっている。このため、一対の挟持部13,13の当接面21が電線3の外周面に当接した状態では、当接面21が電線3の外周面に密着し、プロテクタ7が電線3の外周上を回転、或いは移動することを規制することができる。
【0017】
部品取付部17は、連結部11の厚さ方向の電子部品5と対向する側に配置されている。このため、部品取付部17と電線取付部15とは、電線3の径方向に重なり合って配置されている。部品取付部17は、部品対応部25と、一対の固定部27,27とを有する。
【0018】
部品対応部25は、連結部11の厚さ方向の電子部品5と対向する面となっており、電子部品5の外面に対応して、電子部品5の外面と同様の平面状に形成されている。なお、本実施形態において、部品対応部25の平面状の面は、電子部品5が2つ設けられているので、2つの電子部品5を隣接して配置したときの外面形状に対応している。部品対応部25の平面状の面は、プロテクタ7に電子部品5を取り付けたときに、電子部品5の外面と当接する部品当接面29となっている。部品対応部25の部品当接面29は、プロテクタ7が弾性材料からなるので、弾性部23となっている。このため、部品対応部25の部品当接面29が電子部品5の外面に当接した状態では、部品当接面29が電子部品5の外面に密着し、電子部品5がプロテクタ7に対して移動することを規制することができる。
【0019】
一対の固定部27,27は、連結部11の長さ方向の両端部から電子部品5に向けて板状に延出して形成されている。一対の固定部27,27は、連結部11側を基端とし、電子部品5側を自由端とするように、連結部11に弾性変形可能に設けられている。一対の固定部27,27の自由端の間は、隣接する2つの電子部品5の幅と同等、或いは僅かに狭く設定されている。一対の固定部27,27の対向面は、それぞれプロテクタ7に電子部品5を取り付けたときに、電子部品5の外面と当接する部品当接面29となっている。固定部27の部品当接面29は、プロテクタ7が弾性材料からなるので、弾性部23となっている。このため、一対の固定部27,27の部品当接面29が電子部品5の外面に当接した状態では、部品当接面29が電子部品5の外面に密着し、電子部品5がプロテクタ7に対して移動することを規制することができる。
【0020】
なお、一対の固定部27,27は、隣接する2つの電子部品5の幅方向の外側に配置されているが、これに限らず、電子部品5,5の間に固定部27を設けてもよい。この場合には、1つの電子部品5に対して、一対の固定部27,27が配置された状態となる、加えて、一対の固定部27,27の自由端側に、例えば、電子部品5の外面に設けられた凹部からなる被係合部に係合される凸部からなる係合部を設けてもよい。
【0021】
また、プロテクタ7は、弾性材料で形成されているが、これに限らず、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料で形成してもよい。この場合には、電線3に当接する当接面21及び電子部品5に当接する部品当接面29の少なくとも一部に、例えば、ゴムなどの弾性材料からなるシート状の弾性部23を配置すればよい。
【0022】
このようなプロテクタ7は、まず、
図2に示すように、電線3に対して、一対の挟持部13,13が電線3の外周を挟み込み、外形対応部19が電線3の外周面に当接するように、電線取付部15が取り付けられる。次に、
図3に示すように、部品取付部17に対して、一対の固定部27,27が2つの電子部品5を挟み込み、電子部品5の外面が部品対応部25に当接するように、電子部品5が取り付けられる。そして、
図1に示すように、プロテクタ7の外周にテープ31を巻き付けることにより、プロテクタ7が電線3に固定され、電子部品5がプロテクタ7に固定される。このとき、電線取付部15と部品取付部17とは、電線3の径方向に重なり合って配置されているので、テープ31を電線3の長さ方向に広げる必要がなく、テープ31の巻き付け作業を簡易化することができる。加えて、テープ31によって、プロテクタ7を電線3に強固に固定することができる。
【0023】
このようなワイヤハーネス1では、電線3と、電線3の外周に配置される電子部品5と、電線3が取り付けられる電線取付部15と電子部品5が取り付けられる部品取付部17とを有するプロテクタ7とを備えている。そして、電線取付部15は、少なくとも電線3との当接面21に弾性材料からなる弾性部23を有する。
【0024】
プロテクタ7は、電子部品5が取り付けられる部品取付部17を有するので、電子部品5の構造を複雑化する必要がない。電線取付部15は、少なくとも電線3との当接面21に弾性材料からなる弾性部23を有するので、当接面21が電線3の当接した状態では、弾性部23によって、当接面21が電線3の外周面に密着した状態となる。このため、プロテクタ7が電線3の外周上を回転、或いは移動することを規制することができる。
【0025】
従って、このようなワイヤハーネス1では、電子部品5の構造を複雑化することなく、電線3に対する電子部品5の配置位置を安定して保持することができる。
【0026】
また、電線取付部15は、当接面21が、電線3の外形に対応して形成された外形対応部19を有する。
【0027】
このため、外形対応部19の当接面21と電線3の外周面との密着性を向上でき、電線3に対するプロテクタ7の移動を安定して規制することができる。
【0028】
さらに、電線取付部15は、当接面21がそれぞれ設けられ、電線3を挟持する一対の挟持部13,13を有する。
【0029】
このため、一対の挟持部13,13による電線3の挟み込みによって、一対の挟持部13,13の当接面21と電線3の外周面との密着性を向上でき、電線3に対するプロテクタ7の移動を安定して規制することができる。
【0030】
また、電線取付部15と部品取付部17とは、電線3の径方向に重なり合って配置されている。そして、プロテクタ7には、外周にテープ31を巻き付けることにより、電線取付部15に電線3が固定され、部品取付部17に電子部品5が固定されている。
【0031】
このため、テープ31を電線3の長さ方向に広げる必要がなく、テープ31の巻き付け作業を簡易化することができる。加えて、テープ31によって、プロテクタ7を電線3に強固に固定することができる。
【0032】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0033】
例えば、本実施形態に係るワイヤハーネスでは、電子部品がレジスタとなっているが、これに限らず、電子部品はどのようなものであってもよい。加えて、電子部品は、1つ、或いは3つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 ワイヤハーネス
3 電線
5 電子部品
7 プロテクタ
13 挟持部
15 電線取付部
17 部品取付部
19 外形対応部
21 当接面
23 弾性部
31 テープ