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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150016
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】検査システム及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/02 20060101AFI20241016BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20241016BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20241016BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20241016BHJP
   G01D 21/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G08C17/02
G08C17/00 A
H04W52/02 111
H04W4/38
G01D21/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063221
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】國立 忠秀
(72)【発明者】
【氏名】金森 勝美
(72)【発明者】
【氏名】小林 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】松井 研輔
(72)【発明者】
【氏名】細川 元気
(72)【発明者】
【氏名】漆畑 卓朗
(72)【発明者】
【氏名】山川 慧士
【テーマコード(参考)】
2F073
2F076
5K067
【Fターム(参考)】
2F073AA12
2F073AA28
2F073AA31
2F073AB01
2F073AB04
2F073AB05
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC05
2F073CC12
2F073CC14
2F073CD11
2F073DD02
2F073DE02
2F073DE06
2F073DE13
2F073EE01
2F073EE13
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG05
2F073GG08
2F076BA05
2F076BE06
2F076BE09
2F076BE18
2F076BE19
5K067AA43
5K067BB27
5K067CC22
5K067DD27
5K067GG02
5K067KK05
(57)【要約】
【課題】端末で取得したデータを効率よく収集することが可能な検査システムを提供する。
【解決手段】検査システムは、検査対象物を搭載する治具板と、検査対象物に対する検査機能と、無線通信機能と、を有する複数の検査端末100と、検査データを収集して管理する管理装置と、を備える。検査端末100は、自端末用起動信号を受信する起動信号受信部112と、自端末を起動状態又はスリープ状態に遷移させる端末状態制御部111と、検査データを取得する検査データ取得部と、を有する。また、検査端末100は、検査データを管理装置に送信する検査結果送信部114と、他端末用起動信号を次の端末に送信する起動信号送信部115を有する。端末状態制御部111は、自端末の動作開始時には、自端末をスリープ状態に遷移させ、自端末用起動信号の受信に応じて、自端末を起動状態に遷移させ、他端末用起動信号の送信後に、自端末をスリープ状態に遷移させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査工程における検査対象物を搭載するための治具板と、
前記治具板に搭載され、前記検査対象物に対する検査機能と、無線通信機能と、を有する複数の検査端末と、
前記検査端末から送信される検査データを収集して管理する管理装置と、を備え、
前記検査端末は、
自端末に対する起動信号である自端末用起動信号を受信する起動信号受信部と、
前記自端末を起動状態又はスリープ状態になるように制御する端末状態制御部と、
前記検査対象物に対する検査の結果である前記検査データを取得する検査データ取得部と、
前記検査データを前記管理装置に送信する検査結果送信部と、
予め記憶部に記憶された設定情報に基づいて、他端末に対する起動信号である他端末用起動信号を次の端末に送信する起動信号送信部と、
を有し、
前記端末状態制御部は、前記自端末の動作開始時には、前記自端末を前記スリープ状態に遷移させ、前記自端末用起動信号の受信に応じて、前記自端末を起動状態に遷移させ、前記他端末用起動信号の送信後に、前記自端末を前記スリープ状態に遷移させる、検査システム。
【請求項2】
前記自端末用起動信号は、起動用の制御端末から送信される信号、又は一つ前の前記検査端末から送信される前記他端末用起動信号である、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
発電部及び蓄電素子を有する電源装置をさらに備え、
前記電源装置は、複数の前記検査端末に電力を供給する、請求項1に記載の検査システム。
【請求項4】
前記発電部は、光によって発電する太陽電池である、請求項3に記載の検査システム。
【請求項5】
前記発電部は、前記治具板がコンベア上を移動する際の振動によって発電する振動発電である、請求項3に記載の検査システム。
【請求項6】
コンピュータによって実行される検査方法であって、
自端末の動作開始時に、前記自端末をスリープ状態に遷移させ、
前記自端末に対する起動信号である自端末用起動信号を受信し、
前記自端末用起動信号の受信に応じて、前記自端末を起動状態に遷移させ、
検査対象物に対する検査の結果である検査データを取得し、
前記検査データを収集して管理する管理装置に、前記検査データを送信し、
予め記憶部に記憶された設定情報に基づいて、他端末に対する起動信号である他端末用起動信号を次の端末に送信し、
前記他端末用起動信号の送信後に、前記自端末を前記スリープ状態に遷移させる、検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査システム及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造工場等における製造ラインの検査工程において、無線通信を利用して検査端末からデータを集約し、管理するシステムが提案されている。特許文献1には、データをセンシングする複数の無線子機と、無線子機から伝送されたデータを集約する無線親機と、で構成される無線センサシステムが開示されている。特許文献1に開示された無線センサシステムの無線子機は、無線親機からのデータ取得要求の受信後に、予め設定された待機時間を経て、センサ部を起動し、得られたデータを無線親機に伝送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-23349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された無線センサシステムにおいては、無線親機が無線子機に対してデータ要求を送信し、データ要求を受信した無線子機は、予め定められた待機時間、処理を待機させ、待機時間の経過後に、センシング処理を行う。そのため、当該無線センサシステムにおいては、無線子機から各無線子機へのデータ要求の送信に伴い、無線親機と、無線子機との間の通信トラフィックが増大し、システムの処理性能の低下につながる場合がある。また、各無線子機は、データ要求の受信後、予め定められた時間の経過後にセンシング処理を行うが、通信の遅延等の発生により、待機の開始が遅れた場合には、センシング結果の送信処理が、他の無線子機と重なり、通信帯域を圧迫する場合がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、端末で取得したデータを効率よく収集することが可能な検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る検査システムは、検査工程における検査対象物を搭載するための治具板と、治具板に搭載され、検査対象物に対する検査機能と、無線通信機能と、を有する複数の検査端末と検査端末から送信される検査データを収集して管理する管理装置と、を備え、検査端末は、自端末に対する起動信号である自端末用起動信号を受信する起動信号受信部と、自端末を起動状態又はスリープ状態になるように制御する端末状態制御部と、検査対象物に対する検査の結果である検査データを取得する検査データ取得部と、検査データを管理装置に送信する検査結果送信部と、予め記憶部に記憶された設定情報に基づいて、他端末に対する起動信号である他端末用起動信号を次の端末に送信する起動信号送信部と、を有し、端末状態制御部は、自端末の動作開始時には、自端末をスリープ状態に遷移させ、自端末用起動信号の受信に応じて、自端末を起動状態に遷移させ、他端末用起動信号の送信後に、自端末をスリープ状態に遷移させる。
【0007】
本発明の他の態様に係る検査方法は、コンピュータによって実行される検査方法であって、自端末の動作開始時に、自端末をスリープ状態に遷移させ、自端末に対する起動信号である自端末用起動信号を受信し、自端末用起動信号の受信に応じて、自端末を起動状態に遷移させ、検査対象物に対する検査の結果である検査データを取得し、検査データを収集して管理する管理装置に、検査データを送信し、予め記憶部に記憶された設定情報に基づいて、他端末に対する起動信号である他端末用起動信号を次の端末に送信し、他端末用起動信号の送信後に、自端末をスリープ状態に遷移させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、端末で取得したデータを効率よく収集することが可能な検査システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る検査システムの構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る検査システムについて説明するための図である。
図3】本実施形態に係る検査端末の構成を示す図である。
図4】本実施形態に係る検査端末の構成を説明するためのブロック図である。
図5】本実施形態に係る検査端末の機能的構成を示すブロック図である。
図6】本実施形態に係る検査システムにおける検査処理について説明するためのシーケンス図である。
図7】本実施形態に係る検査端末の処理の一例を示すフローチャートである。
図8A】他の実施形態に係る検査システムについて説明するための図である。
図8B】他の実施形態に係る検査システムについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本実施形態に係る検査システム10について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0011】
(検査システム10の構成)
図1は、本実施形態に係る検査システム10の構成を示す図である。図1に示すように、検査システム10は、複数の検査端末100と、制御端末102と、管理装置200と、電源装置300と、治具板400と、を含んで構成される。
【0012】
検査システム10は、例えば、製造工場等の製造ラインにおける検査工程に適用される。本実施形態において検査システム10は、図2に示すように、検査対象物であるワイヤーハーネス500に取り付けられたクリップについて検査するシステムである。図2に示す例においては、ワイヤーハーネス500にクリップが正常に取り付けられているか否かを、検査端末100が検査する。また、検査システム10は、各検査端末100が検査した結果を管理装置200が集約(収集)し、管理するシステムである。
【0013】
検査端末100は、治具板400に搭載され、検査対象物に対する検査機能と、無線通信機能と、を有する。検査端末100の検査機能は、検査端末100に設けられたCF103(チェッカフィクスチャ、チェッキングフィクスチャ)により実施される。CF103の詳細については後述する。
【0014】
本実施形態に係る検査端末100の無線通信機能は、例えば、利用する際にライセンスが不要な2.4GHzの周波数の通信規格が適用される。なお、この検査端末100で適用される無線通信機能における周波数は、2.4GHzに限定されるものではない。例えば、検査端末100で適用される周波数帯は、IoTで利用される920MHz帯や無線LANで利用される5GHz帯、新しい無線LAN規格である6GHz帯や60GHz帯であってもよい。さらには、検査端末100で適用される周波数帯は、5Gと呼ばれる次世代通信規格を特定の領域のみで使えるようにしたローカル5G(L5G)規格を用いてもよい。
【0015】
また、本実施形態において、検査端末100は、図1に示すように検査用の検査端末100C、検査端末100C、及び検査端末100Cである場合の例を示している。
【0016】
検査用の検査端末100Cは、起動用の制御端末102から送られてきた他端末用起動信号を、自端末用起動信号として受信する。その後、検査用の検査端末100Cは、検査を実施し、検査結果を管理装置200に送り、さらに、次の検査端末100Cに他端末用起動信号を送る。この検査用の検査端末100での処理が、検査端末100Cまで実施されることで、ワイヤーハーネス500にクリップが正しく取り付けられているか否かを検査する。
【0017】
なお、以降、検査端末100C、・・・、検査端末100Cのそれぞれを区別して説明する必要がない場合は、単に「検査端末100」と表記する。
【0018】
起動用の制御端末102は、例えば、ユーザ(作業者)が治具板400の検査開始スイッチ(図示なし)を押下した情報を取得する。その後、起動用の制御端末102は、検査用の検査端末100Cに他端末用起動信号を送付する。
【0019】
管理装置200は、検査端末100から送信される検査データを収集して管理する。本実施形態において、管理装置200は、無線端末210と、検査装置220(チェッカー)と、を含んで構成される。無線端末210は、各検査端末100から送信される検査データを受信し、検査装置220に送る。また、検査装置220は、各検査端末100から送信された検査データをチェックし、管理、表示(通知)する。例えば、検査装置220は、収集した検査データに問題がある場合は、アラームを報知することで、ユーザに通知する。また、ユーザは、検査装置220に表示された検査結果を確認し、検査工程で問題がないか確認してもよい。
【0020】
このように、検査システム10は、検査端末100から無線通信機能を用いて送信された検査結果を管理装置200で集約、管理する。これにより、検査システム10は、製造工程における管理装置200と、コンベアを移動する検査端末100との接続を無くし、製造工程における冗長な配線を削除することができる。
【0021】
電源装置300は、電源線331及びGND線332で構成される電源バス330を介して、各検査端末100に電力を供給する。電源装置300は、発電部310及び蓄電素子320(図3参照)を備え、複数の検査端末100に電力を供給する。図1に示す例においては、電源装置300の発電部310は、光によって発電する太陽電池によって構成される例を示している。
【0022】
本実施形態において適用される太陽電池は、製造ラインにおける低照度の屋内照明でも動作することが可能なものが用いられる。また、本実施形態においては、素子面積の大きさも制限されるため、発電量が検査端末100の消費電力より少なくなる場合があるため、電池などの蓄電素子320を併用してもよい。
【0023】
治具板400は、検査工程における検査対象物を搭載する板である。検査システム10において治具板400は、図1に示すように、コンベアラインに沿って所定の方向に移動し、各工程の検査が実施される。
【0024】
(検査端末100の構成)
図3は、本実施形態に係る検査端末100の構成を説明するための図である。検査端末100は、無線機101と、CF103と、アンテナ104を含んで構成される。検査端末100は、電源装置300から電源線331を介して供給された電力によって駆動する。
【0025】
CF103は、一般的なチェッカフィクスチャ(チェッキングフィクスチャ)によって実現され、クリップの有無を検知することが可能なスイッチにより検査される。具体的には、CF103に検査対象物であるワイヤーハーネス500のクリップ(図示なし)を取り付けることで、CF103に内部にあるスイッチをクリップが押し下げる。これにより、電気的に回路がオンとなり、検査端末100は、この電気的に回路がオンとなった信号を取得することで、クリップが取り付けられていることを判定することが可能となる。
【0026】
アンテナ104は、検査端末100と、管理装置200と、の間での通信、及び検査端末100間での通信を可能とするための装置である。
【0027】
次に、検査端末100に設けられた無線機101について説明する。図4は、本実施形態に係る無線機101の構成を示すブロック図である。図4に示すように、無線機101は、制御部110(CPU)と、記憶部120(メモリ)と、入出力IF130(Interface)と、通信IF140と、を含む汎用のマイクロコンピュータを備えるシステムとして構成してもよい。この場合、マイクロコンピュータには、無線機101として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされていてもよい。コンピュータプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータは、無線機101が備える複数の情報処理回路として機能する。
【0028】
なお、本実施形態においては、ソフトウェアによって検査端末100が備える複数の情報処理機能を実現する例を示す。検査端末100は、コンピュータプログラムを実行することにより、検査端末100が備える複数の情報処理回路として機能する。
【0029】
また、別の構成としては、検査端末100は、各情報処理機能を実行するための専用のハードウェアを用意して、システムLSI(Large Scale Integration)等により当該情報処理機能を構成することも可能である。また、複数の情報処理機能を個別のハードウェアによりシステムを構成してもよい。制御部110及び記憶部120の詳細については後述する。
【0030】
制御部110は、記憶部120に格納されたプログラム(図示なし)に基づいて動作し、無線機101が備える各機能を実行する。なお、プログラムは、記憶部120に格納される形態に限定されず、例えば、検査端末100内の、ROM等(図示なし)に記憶された構成としてもよい。
【0031】
記憶部120は、図5に示すように、設定情報DB121(Data Base)、及び検査結果情報DB122に格納される情報をデータとして記憶部120に記憶する。設定情報DB121は、各検査端末100に対する検査順番を示す情報が格納されている。また、検査結果情報DB122には、各検査端末100で取得した検査結果に関する情報が格納される。
【0032】
また、記憶部120は、上述の通り、制御部110において実行される各機能に対するプログラムを記憶してもよい。なお、記憶部120に格納される情報やプログラムは、一つのストレージデバイスの中に物理的又は論理的に分けて設けられた領域として構成されていてもよい。あるいは、物理的に異なる複数のストレージデバイスに各データの記憶部120を設ける構成としてもよい。
【0033】
入出力IF130は、無線機101と、CF103と、の間においてやりとりさせる情報を送受信するためのインタフェースである。具体的には、入出力IF130は、CF103で取得したクリップの取り付けに関する検査結果を制御部110及び記憶部120に送る。
【0034】
通信IF140は、アンテナ104を介して、検査端末100と、管理装置200と、の間での通信、及び検査端末100間での通信を可能とするためのインタフェースである。
【0035】
(検査端末100の機能的構成)
図5は、検査端末100の機能的構成について説明するための図である。図5に示すように、検査端末100の制御部110は、端末状態制御部111と、起動信号受信部112と、クリップ状態検出部113と、検査結果送信部114と、起動信号送信部115と、を機能として備える。
【0036】
端末状態制御部111は、自端末を起動状態又はスリープ状態になるように制御する。具体的には、端末状態制御部111は、自端末の動作開始時には、自端末をスリープ状態に遷移させる。また、端末状態制御部111は、自端末用起動信号の受信に応じて、自端末を起動状態に遷移させる。さらに、端末状態制御部111は、他端末に対する起動信号である他端末用起動信号の送信後に、自端末をスリープ状態に遷移させる。このように、検査システム10は、検査を実施しない検査端末100をスリープ状態にしておくことで、無線機101が無線送信を行わない場合の待機電力を抑えることが可能となる。また、検査システム10は、検査を実施しない検査端末100をスリープ状態にさせることで、消費電力を抑えることが可能となり、電源装置300の発電部310や蓄電素子320の小型化を図ることが可能となる。
【0037】
起動信号受信部112は、自端末に対する起動信号である自端末用起動信号を受信する。本実施形態において、自端末用起動信号は、起動用の制御端末102から送信される信号、又は一つ前に動作する検査端末100から送信される他端末用起動信号である。なお、本実施形態において、起動用の制御端末102から送信される信号、及び一つ前に動作する検査端末100から送信される他端末用起動信号は端末起動フレーム信号に相当する。また、端末起動フレーム信号は、起動用の制御端末102と、検査端末100との通信、及び検査端末100間の通信に適用される無線通信フレームである。
【0038】
クリップ状態検出部113は、検査対象物に対する検査の結果である検査データを取得する。また、クリップ状態検出部113は、取得した検査データを、記憶部120の検査結果情報DB122に格納する。なお、クリップ状態検出部113は、検査データ取得部に相当する。
【0039】
検査結果送信部114は、検査データを管理装置200に送信する。具体的には、検査結果送信部114は、記憶部120の検査結果情報DB122に格納された検査データ(検査結果データ)を通信IF140、アンテナ104を介して、管理装置200に送信する。
【0040】
起動信号送信部115は、予め記憶部120に記憶された設定情報に基づいて、他端末に対する起動信号である他端末用起動信号を次の端末に送信する。予め記憶部120に記憶された設定情報は、記憶部120の設定情報DB121に格納された情報であって、例えば、各検査端末100に対する検査順番を示す情報である。なお、他端末用起動信号は、端末起動フレームに相当する。
【0041】
(検査システム10の処理フローの概略)
図6は、本実施形態に係る検査システム10における処理の流れを示すシーケンス図である。図6に示す例においては、検査端末100として、検査端末100Cn-2、100Cn-1、100C、及び管理装置200における処理の流れの例を示している。
【0042】
ステップS601において、検査端末100Cn-2は、検査処理を実施する。その後、検査端末100Cn-2は、管理装置200に、検査結果データを送信する(ステップS602)。さらに、検査端末100Cn-2は、次の端末である検査端末100Cn-1に、端末起動フレームである他端末用起動信号を送信する(ステップS603)。
【0043】
ステップS604において、検査端末100Cn-1は、一つ前の検査端末100Cn-2から送信された他端末用起動信号を自端末用起動信号として受信し、自端末を起動させる。また、検査端末100Cn-1は、検査処理を実施する。その後、検査端末100Cn-1は、管理装置200に、検査結果データを送信する(ステップS605)。さらに、検査端末100Cn-1は、次の端末である検査端末100Cに、端末起動フレームである他端末用起動信号を送信する(ステップS606)。
【0044】
ステップS607において、検査端末100Cは、一つ前の検査端末100Cn-1から送信された他端末用起動信号を自端末用起動信号として受信し、自端末を起動させる。また、検査端末100Cは、検査処理を実施する。その後、検査端末100Cは、管理装置200に、検査結果データを送信する(ステップS608)。
【0045】
上述の通り、本実施形態に係る検査システム10は、各検査端末100が、検査処理を実施し、その後、検査結果データを管理装置200に送り、さらに、次の検査端末100に起動信号を送る。これにより、本実施形態に係る検査システム10は、管理装置200からのデータ要求信号を全ての検査端末100に送る必要はなく、通信トラフィックの無駄を削減することができる。すなわち、検査システム10は、検査端末100で取得したデータを効率よく収集することが可能なシステムを実現することができる。
【0046】
(検査端末100の処理フローの概略)
次に、図7に示すフローチャートを用いて検査端末100における処理の流れを示す。図7のフローチャートに示す検査端末100の一連の動作は、検査端末100が起動されると開始され、作業終了により処理を終了する。また、図7に示すフローチャートは、電源オフや処理終了の割り込みによっても処理は終了する。また、以下のフローチャートの説明において、上述の検査システム10及び検査端末100の説明で記載した内容と同じ内容については、省略又は簡略化して説明する。
【0047】
ステップS701において、端末状態制御部111は、電源がオンになった後に、自端末をスリープ状態に遷移させる。その後、処理は、ステップS702に進む。
【0048】
ステップS702において、起動信号受信部112は、起動信号を受信したか否かを判定する。起動信号は、起動用の制御端末102から送られてきた信号又は一つ前の検査用の検査端末100から送られてきた他端末用起動信号を、自端末用起動信号として受信したものである。
【0049】
ステップS702において、起動信号受信部112は、起動信号を受信したと判定した場合(ステップS702:YES)には、処理はステップS703に進む。一方で、ステップS702において、起動信号受信部112は、起動信号を受信していないと判定した場合(ステップS702:NO)には、処理はステップS702を繰り返し実施する。すなわち、検査端末100は、起動信号を受信するまで、スリープ状態となる。
【0050】
ステップS703において、端末状態制御部111は、検査端末100を起動する。具体的には、端末状態制御部111は、自端末をスリープ状態から起動状態に遷移させる。その後、処理は、ステップS704に進む。
【0051】
ステップS704において、クリップ状態検出部113は、検査対象物に対する検査の結果である検査データを取得する。具体的には、クリップ状態検出部113は、ワイヤーハーネス500にクリップが正常に取り付けられているかを示す検査結果を取得する。また、クリップ状態検出部113は、取得した検査データを、記憶部120の検査結果情報DB122に格納する。なお、クリップ状態検出部113は、検査データ取得部に相当する。その後、処理はステップS705に進む。
【0052】
ステップS705において、検査結果送信部114は、検査データを管理装置200に送信する。具体的には、検査結果送信部114は、記憶部120の検査結果情報DB122に格納された検査データ(検査結果データ)を通信IF140、アンテナ104を介して、管理装置200に送信する。その後、処理はステップS706に進む。
【0053】
ステップS706において、起動信号送信部115は、予め記憶部120に記憶された設定情報に基づいて、他端末に対する起動信号である他端末用起動信号を次の検査端末100に送信する。なお、他端末用起動信号は、端末起動フレーム信号に相当する。また、予め記憶部120に記憶された設定情報は、記憶部120の設定情報DB121に格納された情報であって、例えば、各検査端末100に対する検査順番を示す情報である。その後、処理はステップS707に進む。
【0054】
ステップS707において、端末状態制御部111は、検査が終了したか否かを判定する。本実施形態において、検査の終了は、例えば、作業者が治具板400又は管理装置200の終了ボタン(図示なし)を押下することにより実施される。例えば、作業者は、管理装置200に表示された検査結果に基づいて、当該検査工程を終了させるか否かを判断する。
【0055】
なお、本実施形態における終了処理は、実施形態の構成を限定するものではない。例えば、終了処理における作業者が終了ボタンを押下したことを示す情報は、起動用の制御端末102から検査用の検査端末100に送られる構成としてもよい。あるいは、終了処理における作業者が終了ボタンを押下したことを示す情報は、管理装置200から検査用の検査端末100に送られる構成としてもよい。
【0056】
ステップS707において、端末状態制御部111は、検査が終了したと判定した場合(ステップS707:YES)には、処理は終了する。一方で、ステップS707において、端末状態制御部111は、検査が終了していないと判定した場合(ステップS707:NO)には、処理はステップS701に戻り、ステップS701からの処理が繰り返し実施される。
【0057】
なお、図7に示すフローチャートにおいて、ステップS705における検査結果の送信処理及び、ステップS706における次の端末の起動フレーム送信処理は、この順番で実施される構成に限定されない。例えば、検査端末100は、ステップS706における次の端末の起動フレーム送信処理を先に実施し、その後で、ステップS705における検査結果の送信処理を実施してもよい。例えば、検査端末100の検査処理に所定の時間がかかる場合には、先に次の検査端末100を起動させておくことで、各検査端末100からの検査結果の送信を効率よく実施することが可能となる。
【0058】
上述の通り、本実施形態に係る検査システム10は、検査工程における検査対象物を搭載するための治具板400と、治具板400に搭載され、検査対象物に対する検査機能と、無線通信機能と、を有する複数の検査端末100と、を備える。また検査システム10は、検査端末100から送信される検査データを収集して管理する管理装置200を備える。検査端末100は、自端末に対する起動信号である自端末用起動信号を受信する起動信号受信部112を有する。また検査端末100は、自端末を起動状態又はスリープ状態になるように制御する端末状態制御部111を有する。また、検査端末100は、検査対象物に対する検査の結果である検査データを取得する検査データ取得部を有する。また、検査端末100は、検査データを管理装置200に送信する検査結果送信部114を有する。さらに、検査端末100は、予め記憶部120に記憶された設定情報に基づいて、他端末に対する起動信号である他端末用起動信号を次の端末に送信する起動信号送信部115を有する。端末状態制御部111は、自端末の動作開始時には、自端末をスリープ状態に遷移させ、自端末用起動信号の受信に応じて、自端末を起動状態に遷移させ、他端末用起動信号の送信後に、自端末をスリープ状態に遷移させる。
【0059】
これにより、検査システム10は、管理装置200からのデータ要求信号を全ての検査端末100に送る必要はなく、通信トラフィックの無駄を削減することができる。すなわち、検査システム10は、検査端末100で取得したデータを効率よく収集することが可能なシステムを実現することができる。
【0060】
また、自端末用起動信号は、起動用の制御端末102から送信される信号、又は一つ前に動作する検査端末100から送信される他端末用起動信号であってもよい。これにより、検査システム10の検査端末100は、管理装置200からのデータ要求信号が必要なく、制御端末102からの信号や検査端末100間の簡易な通信で連続した検査端末100の起動を実現することが可能となる。
【0061】
また、検査システム10は、発電部310及び蓄電素子320を有する電源装置300をさらに備え、電源装置300は、複数の検査端末100に電力を供給してもよい。これにより、検査システム10は、製造工場などの設備に備えられた電源から電線を介して電力を供給する必要がなく、工程ラインにおける製造工程における冗長な配線を削除することができる。
【0062】
また、検査端末100の発電部310は、光によって発電する太陽電池であってもよい。これにより、検査システム10は、製造工場の電灯などの明かりで発電することが可能となり、製造工場等の電力消費を削減することが可能となる。
【0063】
(他の実施形態)
実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本実施形態が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0064】
上述の通り、本実施形態に係る検査システム10においては、作業者が起動スイッチを押下することで、検査が開始される構成を示した。この検査の開始はこの構成に限定されるものではなく、例えば、コンベアラインの移動に伴う治具板400が所定の位置に到達したタイミングで検査が自動で開始される構成としてもよい。
【0065】
例えば、図8A及び図8Aの上面図である図8Bに示すように、ライン上に固定の固定柱420を設置し、治具板400には、起動スイッチに連動した可倒式バー410を設ける構成としてもよい。この可倒式バー410がライン上の固定柱420に接触することで、可倒式バー410が倒れて開始スイッチが入る構成としてもよい。これにより、可倒式バー410と起動スイッチとを連動させることで、ラインの流れを阻害することなく、スイッチのオン動作を実施することが可能となる。
【0066】
また、上述の実施形態において電源装置300の発電部310は、太陽電池で実現される構成を示したが、この構成は、実施形態の構成を限定するものではない。例えば、電源装置300の発電部は、治具板400がコンベア上を移動する際の振動によって発電する振動発電であるであってもよい。この構成によれば、例えば、製造工場の屋内の照明が暗く、発電効果が得られないような場合であっても、検査端末100を駆動させることが可能となる。すなわち、検査システム10は、発電部310を振動発電で構成することで、製造工場内における照明に係る電力を削減し、検査システム10を省エネルギーで実現することが可能となる。
【0067】
また、上述の実施形態においては、製造工程における検査治具として、クリップ検査における検査システム10の構成を示したが、実施形態はこの構成に限定されるものではない。例えば、検査システム10は、環境発電や電池を利用する他の機器においても同様に利用することができる。
【0068】
また、上述の実施形態においては、ユーザが治具板400の検査開始スイッチを押下した情報を、制御端末102が取得し、検査用の検査端末100C1に他端末用起動信号を送付する構成について示した。この検査端末100C1の起動は、制御端末102によるものに限定されない。例えば、製造治具が検査領域に入ってきたことを検査装置220が認識した場合に、検査端末100C1を起動する構成としてもよい。この検査装置220による、製造治具が検査領域に入ってきたことの認識は、制御端末102からの信号や、前工程の作業終了における終了スイッチ連動であってもよい。また、検査装置220による、製造治具が検査領域に入ってきたことの認識は、図8A及び図8Bに示すような、コンベア上を流れる治具の位置を検査装置220が確認することにより実施されるものであってもよい。
【0069】
また、上述した検査端末100における処理(検査方法)をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム(検査プログラム)、及びそのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、本実施形態の範囲に含まれる。ここで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体の種類は任意である。また、上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【0070】
以下に、検査システム10及び検査方法の特徴について記載する。
【0071】
第1の態様に係る検査システム10は、検査工程における検査対象物を搭載するための治具板400と、治具板400に搭載され、検査対象物に対する検査機能と、無線通信機能と、を有する複数の検査端末100と、を備える。また検査システム10は、検査端末100から送信される検査データを収集して管理する管理装置200を備える。検査端末100は、自端末に対する起動信号である自端末用起動信号を受信する起動信号受信部112を有する。また検査端末100は、自端末を起動状態又はスリープ状態になるように制御する端末状態制御部111を有する。また、検査端末100は、検査対象物に対する検査の結果である検査データを取得する検査データ取得部を有する。また、検査端末100は、検査データを管理装置200に送信する検査結果送信部114を有する。さらに、検査端末100は、予め記憶部120に記憶された設定情報に基づいて、他端末に対する起動信号である他端末用起動信号を次の端末に送信する起動信号送信部115を有する。端末状態制御部111は、自端末の動作開始時には、自端末をスリープ状態に遷移させ、自端末用起動信号の受信に応じて、自端末を起動状態に遷移させ、他端末用起動信号の送信後に、自端末をスリープ状態に遷移させる。
【0072】
上記構成によれば、検査システム10は、管理装置200からのデータ要求信号を全ての検査端末100に送る必要はなく、通信トラフィックの無駄を削減することができる。すなわち、検査システム10は、検査端末100で取得したデータを効率よく収集することが可能なシステムを実現することができる。
【0073】
第2の態様に係る検査システム10の自端末用起動信号は、起動用の制御端末102から送信される信号、又は一つ前に動作する検査端末100から送信される他端末用起動信号であってもよい。
【0074】
上記構成によれば、検査システム10の検査端末100は、管理装置200からのデータ要求信号が必要なく、制御端末102からの信号や検査端末100間の簡易な通信で連続した検査端末100の起動を実現することが可能となる。
【0075】
第3の態様に係る検査システム10は、発電部310及び蓄電素子320を有する電源装置300をさらに備え、電源装置300は、複数の検査端末100に電力を供給してもよい。
【0076】
上記構成によれば、検査システム10は、製造工場などの設備に備えられた電源から電線を介して電力を供給する必要がなく、工程ラインにおける製造工程における冗長な配線を削除することができる。
【0077】
第4の態様に係る検査システム10の発電部310は、光によって発電する太陽電池であってもよい。
【0078】
上記構成によれば、検査システム10は、製造工場の電灯などの明かりで発電することが可能となり、製造工場等の電力消費を削減することが可能となる。
【0079】
第5の態様に係る検査システム10の発電部310は、治具板400がコンベア上を移動する際の振動によって発電する振動発電であってもよい。
【0080】
上記構成によれば、検査システム10は、製造工場の屋内の照明が暗く、発電効果が得られないような場合であっても、検査端末100を駆動させることが可能となる。すなわち、検査システム10は、発電部310を振動発電で構成することで、製造工場内における照明に係る電力を削減し、検査システム10を省エネルギーで実現することが可能となる。
【0081】
第6の態様に係る検査方法は、コンピュータによって実行される検査方法である。検査方法は、自端末の動作開始時に、自端末をスリープ状態に遷移させる。また、検査方法は、自端末に対する起動信号である自端末用起動信号を受信する。また、検査方法は、自端末用起動信号の受信に応じて、自端末を起動状態に遷移させる。また、検査方法は、検査対象物に対する検査の結果である検査データを取得する。また、検査方法は、検査データを収集して管理する管理装置200に、検査データを送信する。また、検査方法は、予め記憶部120に記憶された設定情報に基づいて、他端末に対する起動信号である他端末用起動信号を次の端末に送信する。さらに、検査方法は、他端末用起動信号の送信後に、自端末をスリープ状態に遷移させる。
【0082】
上記構成によれば、検査方法は、管理装置200からのデータ要求信号を全ての検査端末100に送る必要はなく、通信トラフィックの無駄を削減することができる。すなわち、検査方法は、検査端末100で取得したデータを効率よく収集することが可能なシステムを実現することができる。
【符号の説明】
【0083】
10 検査システム
100、100C、100C、100Cn-2、100Cn-1、100C 検査端末
101 無線機
102 制御端末102
103 CF
104 アンテナ
110 制御部
111 端末状態制御部
112 起動信号受信部
113 クリップ状態検出部
114 検査結果送信部
115 起動信号送信部
120 記憶部
130 入出力IF
140 通信IF
200 管理装置
300 電源装置
330 電源バス
331 電源線
332 GND線
400 治具板
410 可倒式バー
420 固定柱
500 ワイヤーハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B