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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150017
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20241016BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H01R13/42 F
H01R13/52 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063222
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】関野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】久保田 浩正
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087FF08
5E087GG15
5E087GG26
5E087GG31
5E087GG32
5E087MM05
5E087RR04
(57)【要約】
【課題】ハウジングの内部におけるリテーナの係止アームの可動領域をサイドリテーナが挿入される領域と併用ができるよう構成することにより、コネクタ全体の小型化を図る。
【解決手段】コネクタ1は、ハウジング3と、シール部材4と、リアリテーナ5と、サイドリテーナ6とを備える。リアリテーナ5は、本体部50と、本体部50から挿入方向A1に沿って突出して形成される係止アーム51とを有する。ハウジング3は、係止アーム51を係止する係止部(本係止部38a、仮係止部38b)を有し、サイドリテーナ6は、端子2が端子収容室34から抜けることを防止する抜け防止部61を有する。リアリテーナ5をハウジング3の内部に挿入する際に係止部(本係止部38a、仮係止部38b)との干渉によって係止アーム51が可動する可動領域AR1が、サイドリテーナ6の抜け防止部61が挿入される挿入領域AR2内に形成されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を収容する端子収容室を有するハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置され、前記端子収容室の内部に液体が浸入することを防止するシール部材と、
前記端子収容室への前記端子の挿入方向の前方又は後方から前記ハウジングに対して組み付けられるリテーナと、
前記挿入方向と交差する組付方向に沿って前記ハウジングに対して組み付けられるサイドリテーナと、を備え、
前記リテーナは、本体部と、前記本体部から前記挿入方向に沿って突出して形成される係止アームと、を有し、
前記ハウジングは、前記係止アームを係止する係止部を有し、
前記サイドリテーナは、前記端子が前記端子収容室から抜けることを防止する抜け防止部を有し、
前記リテーナを前記ハウジングの内部に挿入する際に前記係止部との干渉によって前記係止アームが可動する可動領域が、前記サイドリテーナの前記抜け防止部が挿入される挿入領域内に形成されている、
コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、左右一対の側壁部を有し、
前記係止部は、前記ハウジングの前記側壁部に配置される本係止部と、前記ハウジングの前記側壁部に前記本係止部よりも前記挿入方向の後方に配置される仮係止部と、を有し、
前記係止アームは、前記リテーナを前記ハウジングの内部に挿入する際に前記本係止部又は前記仮係止部と干渉して左右方向内側に撓むように構成され、
前記抜け防止部の前記挿入領域が、前記本係止部及び前記仮係止部の左右方向内側に形成されている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、上下一対の壁部を有し、
上下一対の前記壁部の一方には、前記サイドリテーナを挿入するための開口部が形成され、
前記係止アームは、前記リテーナの前記本体部の上下方向の中間部から前記開口部側にオフセットして形成されている、
請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングには、前記係止アームが前記挿入方向に沿って挿通される切欠部が形成され、
前記切欠部は、前記ハウジングの上下方向の中間部から前記開口部側にオフセットして形成されている、
請求項3に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタとしては、端子収容室を有するハウジングと、端子収容室に収容される端子とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このようなコネクタでは、端子収容室への端子の挿入方向の前方又は後方からハウジングに対してリテーナ(フロントリテーナ又はリアリテーナ)が組み付けられる。このリテーナは、本体部と、本体部から突出して形成される係止アームとを有する。その一方、ハウジングの内部には、リテーナの係止アームを係止する係止部(本係止部及び仮係止部)が形成され、また、リテーナをハウジングの内部に挿入する際に係止部との干渉によって係止アームが撓み変形する領域(可動領域)が形成される。そして、リテーナをハウジングの内部に挿入して係止アームを係止部に係止することにより、リテーナによってハウジングの内部にシール部材(パッキン)又は端子が保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-16261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コネクタの外形サイズが決まる要素の一つとして、リテーナの係止アームの可動領域があり、このリテーナの係止アームの可動領域に必要な大きさの分だけ、コネクタ全体が大きくなってしまう。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、ハウジングの内部におけるリテーナの係止アームの可動領域をサイドリテーナが挿入される領域と併用ができるよう構成することにより、コネクタ全体の小型化を図ることができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係るコネクタは、端子を収容する端子収容室を有するハウジングと、ハウジングの内部に配置され、端子収容室の内部に液体が浸入することを防止するシール部材と、端子収容室への端子の挿入方向の前方又は後方からハウジングに対して組み付けられるリテーナと、挿入方向と交差する組付方向に沿ってハウジングに対して組み付けられるサイドリテーナと、を備え、リテーナは、本体部と、本体部から挿入方向に沿って突出して形成される係止アームと、を有し、ハウジングは、係止アームを係止する係止部を有し、サイドリテーナは、端子が端子収容室から抜けることを防止する抜け防止部を有し、リテーナをハウジングの内部に挿入する際に係止部との干渉によって係止アームが可動する可動領域が、サイドリテーナの抜け防止部が挿入される挿入領域内に形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ハウジングの内部におけるリテーナの係止アームの可動領域をサイドリテーナが挿入される領域と併用ができるよう構成することにより、コネクタ全体の小型化を図ることができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るコネクタの一例を示す分解斜視図である。
図2図1とは反対側から見たハウジング及びリアリテーナの斜視図である。
図3】ハウジングの斜視図である。
図4】ハウジングの平断面を示す斜視図である。
図5】下方から見たハウジング及びサイドリテーナの斜視図である。
図6】リアリテーナの仮係止状態におけるハウジングの側断面図である。
図7】リアリテーナの仮係止状態を示すハウジングの平断面図である。
図8図7のA-A線による断面図である。
図9】リアリテーナを仮係止状態からさらに挿入した中途挿入状態を示すハウジングの平断面図である。
図10図9のB-B線による断面図である。
図11】リアリテーナの本係止状態を示すハウジングの平断面図である。
図12図11のC-C線による断面図である。
図13】サイドリテーナをハウジングの内部の挿入領域に挿入した状態を示すハウジングの平断面図である。
図14図13のD-D線による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本実施形態に係るコネクタについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0011】
図1図6に、本実施形態に係るコネクタ1を示す。図1において、矢印Xは「前後方向」を示し、矢印Yは「左右方向」を示し、矢印Zは「上下方向」を示す。また、図1において、矢印A1は「端子の挿入方向」を示し、矢印A2は「サイドリテーナの組付方向」を示す。
【0012】
図1図6に示すように、コネクタ1は、端子2(図1及び図6参照)と、端子2を収容するハウジング3と、ハウジング3に装着されるシール部材4と、ハウジング3に装着されるリアリテーナ5と、ハウジング3に装着されるサイドリテーナ6と、を備える。リアリテーナ5は、ハウジング3に対して後方から組み付けられるが、当該リアリテーナ5に代えて、ハウジング3に対して前方から組み付けられるフロントリテーナを採用してもよい。
【0013】
端子2は、1枚の金属板に対してプレス加工及び曲げ加工等を施すことにより形成されている。端子2は、箱部20と、箱部20の後方に位置する電線接続部21と、箱部20及び電線接続部21を連結する連結部22と、を備えている。この端子2は、前後方向に延びる形状を有するメス端子である。
【0014】
箱部20は、前後方向に延びる略矩形筒状の形状を有しており、箱部20の内部には、板バネ状の接点部23が形成されている。また、箱部20は、箱部20の下部から突出して延びる左右一対の突出片部24,24(図1及び図7参照)を有している。コネクタ1と相手側コネクタ(図示せず)との嵌合時、相手側コネクタが有する相手側端子(オス端子)が、箱部20の内部に挿入されて、接点部23と互いに押し付け合うように接触する。これにより、端子2と相手側端子とが電気的に接続される。電線接続部21には、電線7の端部が接続されている。
【0015】
ハウジング3は、樹脂成形体であり、左右方向に広がり且つ前後方向に延びる略直方体形状のハウジング本体30を備えている。このハウジング本体30は、上下一対の壁部(上壁部31、下壁部32)と、左右一対の側壁部33,33と、を一体に有している。
【0016】
ハウジング本体30の内部には、複数(図示例では、3つ)の端子収容室34が、左右方向に間隔を空けて一列に並ぶように形成されている。各端子収容室34の後端は開口して、後端開口30aが形成されている。各端子収容室34の前端部は、前後方向に延びる挿通孔34aを介して外部と連通している。電線7が接続された端子2は、挿入方向A1の後方から、ハウジング本体30の後端開口30aを介して端子収容室34に挿入されて収容される。コネクタ1と相手側コネクタとの嵌合時、相手側端子は、挿通孔34aを介して、端子収容室34に収容された端子2の箱部20の内部に挿入される。
【0017】
また、ハウジング本体30の内部には、複数(3つ)の端子収容室34に対応して、複数(3つ)のランス35が左右方向に間隔を空けて一列に並ぶように形成されている。各ランス35は、ハウジング本体30の下壁部32から斜め上前方に向けて延びる片持ち梁状の形状を有し、上下方向に弾性変形可能となっている。端子2が端子収容室34の正規位置にある状態(図6参照)にて、ランス35は、その前端部が、端子2の箱部20の下面に形成されたランスホール25に嵌入されるように配置されることで、端子2の後方への抜けを防止する機能を果たす。
【0018】
ハウジング本体30の下壁部32には、開口部36が形成されており、開口部36を介して複数の端子収容室34の後方領域が下方に露出している。サイドリテーナ6のハウジング本体30への装着時、開口部36は、後述するサイドリテーナ6の下板部60によって塞がれる。
【0019】
ハウジング本体30の内部の後方領域には、段差面37aを有する隔壁部37が形成されている。ハウジング本体30の隔壁部37の左右両側端部には、後述するリアリテーナ5の係止アーム51が挿入方向A1(前後方向)に沿って挿通される切欠部37bが形成されている。これら切欠部37bは、ハウジング本体30の上下方向の中間部から開口部36側(下方)にオフセットして(ずらして)形成されている。サイドリテーナ6のハウジング本体30への装着時、サイドリテーナ6の係止アーム51が、後方から、切欠部37bを介してハウジング本体30に装着される。
【0020】
樹脂製(ゴム製)のブロック状のシール部材4が、後方から、ハウジング本体30に挿入されて、隔壁部37の段差面37aに当接するようにハウジング本体30に対して組み付けられる。シール部材4には、複数(3つ)の端子挿通孔41が左右方向に間隔を空けて一列に並ぶように形成されている。さらに、シール部材4の左右両側端部には、サイドリテーナ6の係止アーム51が挿通される係止アーム挿通孔42が形成されている。これら係止アーム挿通孔42は、シール部材4の上下方向の中間部から開口部36側(下方)にオフセットして(ずらして)形成されている。
【0021】
ハウジング本体30に対して組み付けられたシール部材4は、コネクタ1と相手側コネクタとの嵌合時、端子2に接続された電線7とハウジング本体30との間の隙間、及びリアリテーナ5の係止アーム51とハウジング本体30との間の隙間をシール(封止)する。このため、ハウジング本体30に対して組み付けられたシール部材4は、当該隙間を介した液体(水等)の端子収容室34内への浸入を防止する止水機能を果たす。
【0022】
ハウジング本体30の側壁部33の内側面には、リアリテーナ5を本係止状態に保持すべく係止アーム51を係止するための本係止部38aが形成されている。また、ハウジング本体30の側壁部33の内側面には、本係止部38aよりも挿入方向A1の後方に配置され、リアリテーナ5を仮係止状態に保持すべく係止アーム51を係止する仮係止部38bが形成されている。これら本係止部38a及び仮係止部38bは、ハウジング本体30の側壁部33の内側面から左右方向内側に突出させて形成されている。また、これら本係止部38aと仮係止部38bとは、前後方向に間隔を空けて配置されている。
【0023】
本係止部38a及び仮係止部38bは、ハウジング本体30の後方から挿入されるリアリテーナ5の前後方向の係止位置を規定する機能を有する。具体的には、リアリテーナ5は、係止アーム51が仮係止部38bに係合した状態にて、仮係止状態(図7参照)に係止され、係止アーム51が本係止部38aに係合した状態にて、本係止状態(図11参照)に係止される。
【0024】
リアリテーナ5は、ハウジング3のハウジング本体30に後方から前方に向けて相対移動されながら装着される部材であり、シール部材4の後方への抜けを防止して保持する機能を主に果たす部材である。
【0025】
リアリテーナ5は、樹脂成形体であり、左右方向に広がるブロック状の本体部50と、本体部50から前方へ(端子2の挿入方向A1に沿って)突出して形成される係止アーム51と、を一体に有している。本体部50には、複数(3つ)の端子挿通部52が左右方向に間隔を空けて一列に並ぶように形成されている。係止アーム51の前端部には、左右方向外側に突出する突条である係止突起53が形成されている。この係止アーム51は、サイドリテーナ6の本体部50の上下方向の中間部から開口部36側(下方)にオフセットして(ずらして)形成されている。
【0026】
サイドリテーナ6は、ハウジング3のハウジング本体30に下方から上方に向けて(組付方向A2に沿って)相対移動されながら装着される部材であり、端子2の中途挿入を検知する機能、並びに端子2の後方への抜けを防止する機能を果たす部材である。
【0027】
サイドリテーナ6は、樹脂成形体であり、サイドリテーナ6のハウジング本体30への装着時に開口部36を塞ぐ下板部60を備えている。この下板部60には、複数(図示例では、4つ)の抜け防止部61が左右方向に間隔を空けて形成されている。この抜け防止部61は、サイドリテーナ6のハウジング本体30への装着時に端子2の一部(突出片部24)に当接して端子2の後方への抜けをして保持する機能を主に果たす。
【0028】
ところで、リアリテーナ5をハウジング3の内部に挿入する際、リアリテーナ5の係止アーム51が本係止部38a又は仮係止部38bを乗り越えて前方へ移動すると、係止アーム51は左右方向内側に撓むように変形する。このときに係止アーム51が可動する可動領域AR1が、サイドリテーナ6の抜け防止部61が挿入される挿入領域AR2内に形成されている(図9参照)。すなわち、係止アーム51は、リアリテーナ5をハウジング3の内部に挿入する際に本係止部38a又は仮係止部38bと干渉して左右方向内側に撓むように構成されている。そして、抜け防止部61の挿入領域AR2が、本係止部38a及び仮係止部38bの左右方向内側に形成されている。
【0029】
以下、コネクタ1の作用について説明する。
【0030】
(1)リアリテーナ5の仮係止状態
図7及び図8に示すように、サイドリテーナ6が仮係止状態であると、リアリテーナ5の係止アーム51が撓むスペース(可動領域AR1)が左右方向内側にあり、リアリテーナ5をハウジング3の内部に挿入することが可能である。
【0031】
(2)リアリテーナ5の中途挿入状態
図9及び図10に示すように、リアリテーナ5が仮係止状態からさらに挿入した中途挿入状態で、係止アーム51が左右方向内側に撓んだ状態であると、サイドリテーナ6の抜け防止部61が撓んだ状態の係止アーム51と干渉し得る。リアリテーナ5の中途挿入状態では、リアリテーナ5の係止アーム51がサイドリテーナ6の抜け防止部61の挿入領域AR2に突出しているため、サイドリテーナ6を本係止状態に完全挿入することが抑制される。また、サイドリテーナ6を本係止状態に完全挿入することができないと、リアリテーナ5が中途挿入状態(図9参照)にあると検知(認識)することができる。
【0032】
(3)リアリテーナ5の本係止状態
図11及び図12に示すように、リアリテーナ5が挿入されて本係止状態であると、係止アーム51がサイドリテーナ6の抜け防止部61の挿入領域AR2に位置することはなく、サイドリテーナ6を本係止状態に完全挿入することが可能になる。
【0033】
(4)サイドリテーナ6をハウジング3の内部の挿入領域AR2に挿入した状態
図13及び図14に示すように、リアリテーナ5の挿入後に、サイドリテーナ6を本係止状態に完全挿入することにより、端子2の突出片部24の後方にサイドリテーナ6の抜け防止部61が位置することで、端子2の後方への抜けを抑制することができる。また、リアリテーナ5の係止アーム51の背面(左右内側面)にサイドリテーナ6の抜け防止部61が位置することで、係止アーム51の撓み変形を抑制し、リアリテーナ5の保持性を確保することができる。すなわち、リアリテーナ5の後方への抜けを抑制することが可能になる。
【0034】
リアリテーナ5をハウジング3の内部に挿入する際、リアリテーナ5の係止アーム51がサイドリテーナ6の抜け防止部61の挿入領域AR2内で左右方向内側に撓む。このため、リアリテーナ5の係止アーム51の可動領域AR1を、サイドリテーナ6の抜け防止部61の挿入領域AR2と併用(共用)することができる。
【0035】
ハウジング3に挿入されたリアリテーナ5を本係止状態に移行させる際に、リアリテーナ5の係止アーム51がサイドリテーナ6の抜け防止部61の挿入領域AR2内で左右方向内側に撓む。リアリテーナ5の中途挿入状態では、係止アーム51が左右方向内側に撓むため、サイドリテーナ6を本係止状態に完全挿入しようとすると、撓んだ係止アーム51と干渉し、サイドリテーナ6が本係止状態に完全挿入されることを抑制することができる。
【0036】
サイドリテーナ6をハウジング3に挿入する際、リアリテーナ5の係止アーム51が正規状態(撓んでいない状態)になることで、サイドリテーナ6を本係止状態に移行させることが可能なスペース(挿入領域AR2)が確保できる。このため、サイドリテーナ6が本係止状態に移行されると、リアリテーナ5の係止アーム51が左右方向内側に撓んで後方へ抜けることを抑制することができる。
【0037】
次に、コネクタ1の効果について説明する。
【0038】
このように、本実施形態の第一の態様に係るコネクタ1は、端子2を収容する端子収容室34を有するハウジング3と、ハウジング3の内部に配置され、端子収容室34の内部に液体が浸入することを防止するシール部材4とを備える。コネクタ1は、端子収容室34への端子2の挿入方向A1の前方又は後方からハウジング3に対して組み付けられるリテーナ(リアリテーナ5)と、挿入方向A1と交差する組付方向A2に沿ってハウジング3に対して組み付けられるサイドリテーナ6とを備える。リテーナ(リアリテーナ5)は、本体部50と、本体部50から挿入方向A1に沿って突出して形成される係止アーム51とを有する。ハウジング3は、係止アーム51を係止する係止部(本係止部38a、仮係止部38b)を有し、サイドリテーナ6は、端子2が端子収容室34から抜けることを防止する抜け防止部61を有する。リテーナ(リアリテーナ5)をハウジング3の内部に挿入する際に係止部(本係止部38a、仮係止部38b)との干渉によって係止アーム51が可動する可動領域AR1が、サイドリテーナ6の抜け防止部61が挿入される挿入領域AR2内に形成されている。
【0039】
リアリテーナ5をハウジング3の内部に挿入する際、リアリテーナ5の係止アーム51がサイドリテーナ6の抜け防止部61の挿入領域AR2内で可動する。このようにすることにより、リアリテーナ5の係止アーム51の可動領域AR1を、サイドリテーナ6の抜け防止部61の挿入領域AR2と併用(共用)することができる。
【0040】
また、リアリテーナ5の係止アーム51の背面(左右内側面)にサイドリテーナ6の抜け防止部61が位置することで、係止アーム51の撓み変形を抑制し、リアリテーナ5の保持性を確保することができる。すなわち、リアリテーナ5の後方への抜けを抑制することが可能になる。
【0041】
さらに、リアリテーナ5の中途挿入状態では、リアリテーナ5の係止アーム51がサイドリテーナ6の抜け防止部61の挿入領域AR2に突出しているため、サイドリテーナ6を本係止状態に完全挿入することが抑制される。また、サイドリテーナ6を本係止状態に完全挿入することができないと、リアリテーナ5が中途挿入状態(図9参照)にあると検知(認識)することができる。
【0042】
本実施形態によれば、ハウジング3の内部におけるリテーナ(リアリテーナ5)の係止アーム51の可動領域AR1をサイドリテーナ6が挿入される領域(挿入領域AR2)と併用ができるよう構成することにより、コネクタ1全体の小型化を図ることができる。
【0043】
本実施形態の第二の態様に係るコネクタ1において、ハウジング3は、左右一対の側壁部33,33を有してもよい。係止部は、ハウジング3の側壁部33に配置される本係止部38aと、ハウジング3の側壁部33に本係止部38aよりも挿入方向A1の後方に配置される仮係止部38bとを有してもよい。係止アーム51は、リテーナ(リアリテーナ5)をハウジング3の内部に挿入する際に本係止部38a又は仮係止部38bと干渉して左右方向内側に撓むように構成されてもよい。抜け防止部61の挿入領域AR2が、本係止部38a及び仮係止部38bの左右方向内側に形成されていてもよい。
【0044】
リアリテーナ5をハウジング3の内部に挿入する際、リアリテーナ5の係止アーム51がサイドリテーナ6の抜け防止部61の挿入領域AR2内で左右方向内側に撓む。このようにすることにより、リアリテーナ5の係止アーム51の可動領域AR1を、サイドリテーナ6の抜け防止部61の挿入領域AR2と併用(共用)することができる。
【0045】
本実施形態の第三の態様に係るコネクタ1において、ハウジング3は、上下一対の壁部(上壁部31、下壁部32)を有してもよい。上下一対の壁部(上壁部31、下壁部32)の一方には、サイドリテーナ6を挿入するための開口部36が形成され、係止アーム51は、リアリテーナ5の本体部50の上下方向の中間部から開口部36側にオフセットして形成されていてもよい。
【0046】
コネクタ1では、係止アーム51を開口部36側(下方)にオフセットして(ずらして)形成することにより、サイドリテーナ6の抜け防止部61の高さを抑制することができ、サイドリテーナ6の大型化が抑制される。
【0047】
本実施形態の第四の態様に係るコネクタ1において、ハウジング3には、係止アーム51が挿入方向A1に沿って挿通される切欠部37bが形成され、切欠部37bは、ハウジング3の上下方向の中間部から開口部36側にオフセットして形成されていてもよい。
【0048】
コネクタ1では、切欠部37bを開口部36側(下方)にオフセットして(ずらして)形成することにより、リアリテーナ5を上下逆さにした状態でのハウジング3の挿入が抑制され、リアリテーナ5の誤組み付けが抑制される。
【0049】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 コネクタ
2 端子
3 ハウジング
4 シール部材
5 リアリテーナ
6 サイドリテーナ
31 上壁部
32 下壁部
33 側壁部
34 端子収容室
37b 切欠部
38a 本係止部
38b 仮係止部
50 本体部
51 係止アーム
61 抜け防止部
A1 挿入方向
A2 組付方向
AR1 可動領域
AR2 挿入領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14