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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150022
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
G09F9/00 358
G09F9/00 362
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063228
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 吉寿
【テーマコード(参考)】
5G435
【Fターム(参考)】
5G435AA01
5G435BB12
5G435CC02
5G435EE02
5G435EE49
5G435FF03
5G435GG09
5G435GG43
5G435HH02
5G435KK02
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】奥行感や立体感のある表示を行える表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、運転者Dが直接視認できない位置に水平に設けられる表示器3と、表示器3から出射された光を運転者Dの方向に反射するように傾けて設けられる反射部4と、表示器3及び反射部4を収容するケース2と、を備えている。そして、表示器3の表示面と反射部4の反射面とがなす角度θが、45°<θ<90°の範囲となっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察者が直接視認できない位置に水平に設けられた表示器と、
前記表示器から出射された光を前記観察者の方向に反射するように傾けて設けられる反射部と、
前記表示器及び前記反射部を収容するケースと、を備え、
前記表示器の表示面と前記反射部の反射面とがなす角度θが、以下の(1)式を満たす範囲であることを特徴とする表示装置。
45°<θ<90°・・・(1)
【請求項2】
前記観察者は車両の運転席に着席した運転者であり、
前記ケースは前記車両のダッシュボード上に設けられており、
前記角度θは、65°以上70°以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ケースにはスモークガラスで構成された表ガラスが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記ケース内には、前記観察者を撮像する撮像部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記反射部がハーフミラーで構成され、
前記撮像部は、前記観察者から見て前記反射部の裏側に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示器に表示される画像のうち少なくとも一部は、歪補正処理が施されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のメータ等として使用される表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両において、液晶ディスプレイを使ったグラフィックメータが増え、メータ内に表示するコンテンツもパースを付けて奥行感や立体感を表現するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、制御手段が、加飾や立体感の演出を目的として、加飾リング画像、加飾指標部背景画像、パース線画像の表示を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-20686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、平面のディスプレイ上でパースを付加した表示をするのみでは立体感や奥行感として有効な効果が得られないことが多い。また、立体感を表現するために、3Dディスプレイを使用することも可能ではあるが、コストが高く低価格な車両に適用するのは現実的ではない。
【0006】
また、運転者がステアリングの外周部よりも上方から視認するようにメータを配置した場合、視線移動が少なく視認性が良い反面、メータ表示がステアリングにより隠れる部分が発生し、視認出来ない領域が出来てしまう場合があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、奥行感や立体感のある表示を行える表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、観察者が直接視認できない位置に水平に設けられた表示器と、前記表示器から出射された光を前記観察者の方向に反射するように傾けて設けられる反射部と、前記表示器及び前記反射部を収容するケースと、を備え、前記表示器の表示面と前記反射部の反射面とがなす角度θが、以下の(1)式を満たす範囲であることを特徴とする表示装置である。
45°<θ<90°・・・(1)
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運転者が視認する虚像が奥に傾いているように見えるため、奥行感や立体感のある表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかる表示装置の構成図である。
図2図1に示された表示装置の正面図である。
図3図1に示された表示装置において、車両のメータに適用した場合の好適な構成図である。
図4】表示部に表示される画像の例である。
図5】歪補正処理の例である。
図6】ドライバーモニターシステム用のカメラの設置位置の例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態にかかる表示装置の構成図である。
【0012】
図1に示した表示装置1は、例えば自動車等の車両に設けられている。表示装置1は、ケース2を備えている。ケース2には、表示器3と、反射部4と、が収容されている。
【0013】
ケース2は、例えば車室内のダッシュボードに設けられ、車両のメータとして機能させる。ダッシュボードは、車両前方の車室空間を仕切る部材であり、所要の形状に成形されている。
【0014】
また、本実施形態の表示装置1は、図1図2に示したように運転席に着席した観察者である運転者Dが視認するような位置に設けられている。図2は、図1に示された表示装置1の正面から見た図、即ち運転者Dから見た図である。
【0015】
表示器3は、例えば液晶ディスプレイで構成されている。表示器3には、表示面3aに例えばメータとして速度計や燃料計等の情報が表示される。表示器3は、ケース2内において表示面3aを上に向けて水平に配置されている。
【0016】
また、表示器3は、図1に示したように運転者Dからは直接視認できない位置に設けられている。図1においては、後述する表ガラス5の位置が表示器3の表示面3aの直上に位置づけられているので、ステアリングSよりも遠い位置にある運転者Dの目Eの視野の範囲(図1の一点鎖線)に表示面3aが含まれない。したがって、表示器3は運転者Dから直接視認できない。
【0017】
反射部4は、反射面4aが例えばフルミラーで構成されている。反射部4は、反射面4aにより表示器3に表示された画像等を示す光を運転者Dの目Eの方向に向けて反射する。反射部4は、運転者Dから見て表示器3よりも奥側に配置されている。さらに、反射部4は、反射部4の反射面4aが表示器3からの光を運転者Dの目Eへ反射できるように、反射面4aが表示面3aに向くように傾けて配置されている。
【0018】
ケース2には、反射部4で反射された光を透過する表ガラス5が設けられている。本実施形態の表ガラス5は、スモークガラスを用いるのが好ましい。そして、ケース2の表ガラス5以外の部分は光を透過しない部材で構成され、表ガラス5もスモークガラスとすることで、ケース2の内部を暗部とすることができる。
【0019】
図1に示した構成において、表示器3に表示され反射部4で反射された光(画像)は、運転者Dには虚像20として視認される。ここで、本実施形態では、表示器3の表示面3aと反射部4の反射面4aとからなる角度θは、45°<θ<90°の関係を満たすようにする。
【0020】
虚像20は、表示器3と反射部4を挟んで線対称の位置に形成されるため、表示器3が水平の場合に角度θを45°とすると、虚像20は直立している(垂直に立っている)ように見える。この場合、単に文字等を表示するのであれば好適であるが、奥行感や立体感は得られない。反射部4を角度θが45°を超える角度になるようにすると、虚像20が、運転者Dから見て奥に傾いているように見える。つまり、虚像20の下端側よりも上端側が奥に位置するように見える。したがって、奥行感や立体感が得られる。一方、角度θが90°以上になると、表示器3に表示された画像を反射できなくなり虚像20が得られない
【0021】
また、虚像20が傾いて見えると、図1図2に示したように、上下方向(天地方向)の幅を狭くすることができる。つまり、ケース2の高さ方向を小さくすることができ、メータの高さを抑えることができる。そのため、運転者Dの視界を遮ることが少なくなる。
【0022】
図1では基本的な構成による原理を説明したが、図3により車両のメータに適用した場合の好適な構成を説明する。
【0023】
図3において、図1に説明した構成についての説明は省略する。図3では、運転者DがステアリングS外周部よりも上から視認するようにダッシュボード10上の位置に表示装置1が設置される場合であって、運転者の目Eから反射部4(4a、4b)までの距離を1000mmとする。
【0024】
この場合、上下方向の視野角、つまり、目Eと虚像20の上端及び下端とからなる角度を3.5°以内の範囲に収めるとすると、反射部4の角度θは65°(図3の符号41)以上、70°(図3の符号42)以下の範囲とするのが好適である。角度θが65°の場合の虚像を符号21で示し、角度θが70°の場合の虚像を符号22で示す。
【0025】
図3の場合、ステアリングS外周部よりも上から視認するため、運転者の目Eは、表示装置1よりも上方向に位置する。そのため、表示器3を水平に設置した場合、角度θが45°では、直立よりも手前に傾いているように見えてしまう。そこで、本発明者が図3の構成でシミュレーションを行ったところ、角度θが65°以上であれば奥行感や立体感が得られることが明らかとなった。一方、角度θが70°を超えると虚像20bの傾きが大きすぎて文字や図形等が読み取りにくくなることが明らかとなった。
【0026】
図4に表示器3に表示される画像の例を示す。図4は、車両のメータとして使用した場合の画像例である。また、本実施形態の表示装置1は、フルミラーである反射部4で反射するため、表示器3に表示する画像は左右が反転した画像となる。
【0027】
また、図4に示した画像のうち、奥行感や立体感を出す必要が無い文字等については、図5に示したように、上端よりも下端が狭くなるようなパースを付けるなど虚像を傾けることにより生じる歪みを補正する処理を施す。本実施形態では、予め必要な部分に歪補正処理を施した画像を不図示のメモリ等に格納し、表示時には、当該メモリから読み出して表示する。
【0028】
また、本実施形態の表示装置1は、ドライバーモニターシステム用のカメラを配置することもできる。ケース2内にドライバーモニターシステム用のカメラを配置した例を図6を参照して説明する。図6は、図1図3に示した構成と基本的な構成を同じである。図6においては、ドライバーモニターシステム用にカメラ6a、6bがケース2内に配置されている。カメラ6aとカメラ6bとは両方設ける必要はなくいずれかのみでよい。即ち、カメラ6a、6bは、運転者を撮像する撮像部として機能する。
【0029】
ドライバーモニターシステムとは、運転者の顔をカメラで撮影し、画像解析により運転者の状態を検出するシステムである。ドライバーモニターシステムにより、運転中の不注意やわき見、居眠りなどを検知することができ、注意喚起することができる。
【0030】
図6においてカメラ6aは、反射部4の裏側、つまり反射面4aでない面と相対するように設けられている。この場合、反射部4はハーフミラーとする。また、カメラ6bは、表ガラス5の裏側上端部に設けられている。
【0031】
従来、ドライバーモニターシステム用のカメラをメータ内に配置する場合、表示器上部の中央にカメラを設置するため、表示エリアが削られた専用のディスプレイが必要であった。図6に示したような構成とすると、表示エリアが削られない通常のディスプレイが使用できるようになり、コストアップを抑えることができる。
【0032】
カメラ6aの位置に設置した場合、運転者Dが視認するのは反射部4で反射された虚像であるため、反射部4の裏側に設置したカメラ6aは虚像20に視認に影響を与えない。また、カメラ6bの位置に設置した場合、運転者Dの視野角(一点鎖線)の範囲外であれば、虚像20の視認に影響を与えないし、視野角の範囲に一部がかかっていても表示器3に表示される画像データ等を修正すればよく、表示エリアが削られた専用のディスプレイは不要である。
【0033】
本実施形態によれば、表示装置1は、運転者Dが直接視認できない位置に水平に設けられる表示器3と、表示器3から出射された光を運転者Dの方向に反射するように傾けて設けられる反射部4と、表示器3及び反射部4を収容するケース2と、を備えている。そして、表示器3の表示面と反射部4の反射面とがなす角度θが、45°<θ<90°の範囲となっている。
【0034】
表示装置1が、上記のように構成されることにより、運転者Dが視認する虚像20が奥に傾いているように見えるため、奥行感や立体感のある表示を行うことができる。
【0035】
また、車両のメータとして使用する場合は、角度θは、65°以上70°以下の範囲であるのが好ましい。このよう構成することで、車両のメータとして使用した際に奥行感や立体感のある表示を行うことができる。
【0036】
また、虚像20が傾いて見えるため、ケース2の高さ(上下方向の幅)を小さく(狭く)することができる。そのため、運転者Dから見てステアリングSの上にメータが配置されるように表示装置1を設けた場合にステアリングSによる表示隠れのない表示を行うことができる。さらに、メータが運転者の視界を遮ることも少なくなる。
【0037】
また、ケース2にはスモークガラスで構成された表ガラス5が設けられているので、ケース2の内部を暗部とすることができる。したがって、ディスプレイのような額縁感が低減され浮遊感のある表示をすることができる。
【0038】
また、ケース2内には、運転者Dを撮像するカメラ6が設けられているので、ドライバーモニターシステム用のカメラ6をメータ内に設ける際に矩形状のディスプレイを表示器として使用することができ、カメラ6の搭載位置の自由度も向上する。
【0039】
表示器に表示される画像にうち少なくとも一部は、歪補正処理が施されているので、速度表示等の奥行感等を得る必要の無い表示は通常の表示とすることができる。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の表示装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0041】
1 表示装置
2 ケース
3 表示器
3a 表示面
4 反射部
4a 反射面
5 表ガラス
6a カメラ(撮像部)
6a カメラ(撮像部)
20 虚像
D 運転者
E 目
図1
図2
図3
図4
図5
図6