(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150023
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】クリーンブース
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20241016BHJP
F24F 9/00 20060101ALI20241016BHJP
H05F 3/04 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
F24F7/06 C
F24F9/00 A
H05F3/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063229
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】591243860
【氏名又は名称】日昌株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】青木 聡也
【テーマコード(参考)】
3L058
5G067
【Fターム(参考)】
3L058BF03
5G067AA11
5G067DA01
5G067DA19
(57)【要約】
【課題】作業が容易にできると共に、汚染空気が清浄空間内に入ってしまう事態を低減させることができるクリーンブースを提供する。
【解決手段】空気浄化装置3にて浄化された空気が一定量貯留されると、第1吹き出し口40より、4面体のうち開放されている正面から外部の浄化されていない空気が空間S1内に入ることがないよう、遮断流として空気浄化装置3にて浄化された空気K1が吹き出される。さらに、第2吹き出し口からは、空間S1内に層流として空気浄化装置3にて浄化された空気K2が吹き出されるようになっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多面体に構成されるフレーム枠と、
前記フレーム枠に取り付けられると共に、前記多面体の少なくとも一つの面を開放して他の面を包囲する包囲体と、
前記フレーム枠の天部に配置される空気浄化装置と、
前記フレーム枠の天部に配置されると共に、前記空気浄化装置にて浄化された空気を一定量貯留する陽圧部と、を有し、
前記陽圧部は、第1吹き出し口と、第2吹き出し口とを備え、
前記第2吹き出し口は、前記第1吹き出し口よりも開口幅が小さいか、又は、該第2吹き出し口に、前記第1吹き出し口よりも開口幅が小さい素材が取り付けられ、
前記空気浄化装置にて浄化された空気が一定量貯留されると、前記第1吹き出し口より、前記多面体のうち開放されている前記少なくとも一つの面から外部の浄化されていない空気が前記包囲体にて包囲された空間内に入ることがないよう、遮断流として前記空気浄化装置にて浄化された空気が吹き出される一方、前記第2吹き出し口から、又は、前記素材を通って、前記包囲体にて包囲された空間内に層流として前記空気浄化装置にて浄化された空気が吹き出されてなるクリーンブース。
【請求項2】
前記フレーム枠には、前記包囲体にて包囲された空間内を除電する除電装置が少なくとも一対、一定の距離を空けて設けられてなる請求項1に記載のクリーンブース。
【請求項3】
前記包囲体にて包囲された空間内にはラミネート装置が配置されてなる請求項1又は2に記載のクリーンブース。
【請求項4】
前記包囲体にて包囲された空間内には、前記ラミネート装置にて所定の材料の剥離及び/又は貼り合わせを行う際の空間部分を局所的に除電する局所除電装置が設けられてなる請求項3に記載のクリーンブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンブースに関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンブースは、フレーム枠に取り付けられたカーテンなどで簡易的に仕切られた空間内を、ファンフィルターユニットなどの空気浄化装置で浄化された空気で満たすものである。空気浄化装置は、外気を吸入して、外気に含まれる粉塵などを浄化した上で、清浄空間内に供給する。清浄空間内に供給された空気は、クリーンブースが配置される床面とカーテンの下端との間の隙間からクリーンブースの外部に排気される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなクリーンブースは、清浄空間内を浄化された空気で満たす必要があることから、外部の浄化されていない空気(汚染空気)が、清浄空間内に混入するのを防ぐ必要がある。そのため、洗浄空間内をカーテンで全て仕切り必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように洗浄空間内をカーテンで全て仕切ってしまうと、例えば、ラミネート装置におけるテープの取り換えなどの作業がしづらくなってしまうという問題があった。他方で、作業性を考慮し、カーテンの仕切りを一部止めてしまうと、外部の浄化されていない空気(汚染空気)が清浄空間内に入ってしまうという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、上記問題に鑑み、作業が容易にできると共に、汚染空気が清浄空間内に入ってしまう事態を低減させることができるクリーンブースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0008】
請求項1のクリーンブースによれば、多面体に構成されるフレーム枠(2)と、
前記フレーム枠(2)に取り付けられると共に、前記多面体の少なくとも一つの面を開放して他の面を包囲する包囲体(5)と、
前記フレーム枠(2)の天部(天板22)に配置される空気浄化装置(3)と、
前記フレーム枠(2)の天部(天板22)に配置されると共に、前記空気浄化装置(3)にて浄化された空気を一定量貯留する陽圧部(陽圧箱4)と、を有し、
前記陽圧部(陽圧箱4)は、第1吹き出し口(40)と、第2吹き出し口(41)とを備え、
前記第2吹き出し口(41)は、前記第1吹き出し口(40)よりも開口幅が小さいか、又は、該第2吹き出し口(41)に、前記第1吹き出し口(40)よりも開口幅が小さい素材(42)が取り付けられ、
前記空気浄化装置(3)にて浄化された空気が一定量貯留されると、前記第1吹き出し口(40)より、前記多面体のうち開放されている前記少なくとも一つの面から外部の浄化されていない空気が前記包囲体(5)にて包囲された空間(S1)内に入ることがないよう、遮断流として前記空気浄化装置(3)にて浄化された空気(K1)が吹き出される一方、前記第2吹き出し口(41)から、又は、前記素材(42)を通って、前記包囲体(5)にて包囲された空間(S1)内に層流として前記空気浄化装置(3)にて浄化された空気(K2)が吹き出されてなることを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載のクリーンブース(1)において、
前記フレーム枠(2)には、前記包囲体(5)にて包囲された空間(S1)内を除電する除電装置(6)が少なくとも一対、一定の距離を空けて設けられてなることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明によれば、上記請求項1又は2に記載のクリーンブース(1)において、前記包囲体(5)にて包囲された空間(S1)内にはラミネート装置(第1ラミネート装置R1,第2ラミネート装置R2)が配置されてなることを特徴としている。
【0011】
請求項4の発明によれば、上記請求項3に記載のクリーンブース(1)において、前記包囲体(5)にて包囲された空間(S1)内には、前記ラミネート装置(第1ラミネート装置R1,第2ラミネート装置R2)にて所定の材料の剥離及び/又は貼り合わせを行う際の空間部分を局所的に除電する局所除電装置(7)が設けられてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
請求項1の発明によれば、空気浄化装置(3)にて浄化された空気が一定量貯留されると、第1吹き出し口(40)より、多面体のうち開放されている少なくとも一つの面から外部の浄化されていない空気が包囲体(5)にて包囲された空間(S1)内に入ることがないよう、遮断流として空気浄化装置(3)にて浄化された空気(K1)が吹き出されるようになっている。そして、第2吹き出し口(41)から、又は、素材(42)を通って、包囲体(5)にて包囲された空間(S1)内に層流として空気浄化装置(3)にて浄化された空気(K2)が吹き出されるようになっている。これにより、汚染空気が空間(S1)内に入ってしまう事態を低減させることができる
【0014】
さらに、請求項1の発明によれば、多面体のうち少なくとも一つの面が開放されているから、作業員は、その面から自由に出入りすることができる。これにより、クリーンブース(1)における作業員の作業が容易となる。
【0015】
したがって、本発明によれば、作業が容易にできると共に、汚染空気が清浄空間内に入ってしまう事態を低減させることができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、異物が帯電し、作業しているワークに異物が付着しないようにすることができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、ラミネート装置(第1ラミネート装置R1,第2ラミネート装置R2)は、ロールを設置したり、巻き取られたものを回収したりする等の作業が伴うことから、包囲体(5)にて包囲された空間(S1)内にはラミネート装置(第1ラミネート装置R1,第2ラミネート装置R2)を配置するのが好適である。
【0018】
請求項4の発明によれば、所定の材料の剥離及び/又は貼り合わせを行った際、かなり強力な静電気が発生したとしても、その静電気を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るクリーンブースの正面図である。
【
図2】(a)は、同実施形態に係るクリーンブースの側面図、(b)は、遮断流としての空気と、層流としての空気が吹き出されたことを示す同実施形態に係るクリーンブースの側面図である。
【
図3】(a)は、同実施形態に係る空気浄化装置と陽圧箱の平面図、(b)は、同実施形態に係る陽圧箱の裏面図である。
【
図4】同実施形態に係るクリーンブースをラミネート装置に適用した例を示す正面図である。
【
図5】同実施形態に係るクリーンブースをラミネート装置に適用した際、右包囲体,左包囲体に貫通孔を設ける例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るクリーンブースの一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0021】
<クリーンブースの概略説明>
本実施形態に係るクリーンブースは、作業が容易にできると共に、汚染空気が清浄空間内に入ってしまう事態を低減させることができるものである。具体的には、
図1に示すように、クリーンブース1は、フレーム枠2と、空気浄化装置3と、陽圧箱4と、で構成されている。以下、各構成について詳しく説明する。
【0022】
<フレーム枠の説明>
フレーム枠2は、4本の支柱20(
図1及び
図2では、2本の支柱20を図示している)が一定間隔を空けて設けられることにより、4面体(すなわち、矩形状)を構成している。そして、
図1及び
図2に示すように、この支柱20の下部には、床面G上を移動可能な車輪21が取り付けられている。そしてさらに、
図1及び
図2に示すように、支柱20の上部には、これら4本の支柱20を連結する矩形状の天板22が取り付けられている。
【0023】
かくして、このようにして、フレーム枠2が構成されることとなる。なお、
図2に示すように、フレーム枠2の左右側面に位置する一対の支柱20間には、中間部分に、横長矩形状の中間連結部23が取り付け固定され、下側部分に、横長矩形状の下部連結部24が取り付け固定されている。
【0024】
ところで、このようなフレーム枠2には、
図1及び
図2(a)に示すようなフレーム枠2の内部の空間S1を取り囲むように、包囲体5が取り付けられている。具体的に説明すると、包囲体5は、ポリ塩化ビニルなどの透明な樹脂で形成されているカーテンで構成されており、
図1及び
図2に示すように、フレーム枠2の右側面を包囲する右包囲体5aと、フレーム枠2の左側面を包囲する左包囲体5bと、フレーム枠2の背面を包囲する背面包囲体5cと、フレーム枠2の正面の一部を包囲する正面包囲体5dで構成されている。
【0025】
かくして、このような右包囲体5a及び左包囲体5b並びに背面包囲体5cは、
図1に示すように、上端が天板22に取り付け固定されると共に、下端が鉛直下方向に延びて、床面Gとの間に僅かな隙間S2が形成されるところまで延びている。一方、正面包囲体5dは、
図1に示すように、上端が天板22に取り付け固定されると共に、下端が鉛直下方向に僅かだけ延びて、床面Gとの間にかなりの隙間S3が形成されるようになっている。すなわち、従来と同様、フレーム枠2の右側面は、右包囲体5aに包囲され、フレーム枠2の左側面は、左包囲体5bに包囲され、フレーム枠2の背面は、背面包囲体5cに包囲されるようになっているものの、フレーム枠2の正面は、従来と異なり、開放された状態となっている。そのため、この状態であれば、外部の浄化されていない空気(汚染空気)が、フレーム枠2の正面から、空間S1内に入り込むこととなるが、本実施形態においては、そのような事が無いよう対策を施している。この点の詳細は、後述することとする。
【0026】
<空気浄化装置の説明>
空気浄化装置3は、従来周知の構造からなるファンフィルターユニットなどで構成されており、
図3(a)に示すように、平面視縦長矩形状に形成されている。このような空気浄化装置3は、
図3(a)に示すように、上面3aに複数のファン30(図示では、2個)が設けられており、これらファン30によって、外部の空気を吸入加圧し、その吸入加圧した外部の空気に含まれる粉塵などを、空気浄化装置3内に設けられているHEPAフィルタ(図示せず)によって浄化した上で、浄化した空気を供給できるようになっている。
【0027】
かくして、このような空気浄化装置3は、
図1及び
図3(a)に示すように、陽圧箱4の上面4aに所定間隔を空けて、複数(図示では、3個)配置されている。そのため、空気浄化装置3にて浄化された空気は、陽圧箱4に供給されることとなる。
【0028】
<陽圧箱の説明>
陽圧箱4は、
図1及び
図2に示すように、横長矩形状に形成されており、フレーム枠2の天板22の上面に設置されている。そして、このような陽圧箱4の内部は、空洞(中空)に形成されており、その内部に、
図1及び
図3(a)に示すように、陽圧箱4の上面4aに配置されている空気浄化装置3から供給された浄化された空気が貯留されるようになっている。なお、言うまでもないが、空気浄化装置3と陽圧箱4の内部とは浄化された空気が供給できるように連なっている。
【0029】
一方、
図3(b)に示すように、陽圧箱4の下面4bには、下部4c側に、細長矩形状の第1吹き出し口40が設けられている。また、陽圧箱4の下面4bには、
図3(a)に示す空気浄化装置3が配置されている箇所と対向する箇所に、それぞれ、第2吹き出し口41が設けられており、この第2吹き出し口41には、微細な開口が形成されている素材42が全面にそれぞれ取り付けられている。この素材42の開口径は、第1吹き出し口40の開口径(縦幅の径)(例えば、約20mm)よりも小さくなるように設定されている。なお、この素材42は、例えば、パンチングメタルやメッシュ等で形成される。
【0030】
かくして、このように構成される陽圧箱4の内部に、浄化された空気が空気浄化装置3より供給されると、その内部に一定量貯留されることとなる。この際、空気は、陽圧から陰圧に流れる性質があり、さらには、開口径の大きいところから最初に流れる性質がある。そのため、この性質によって、陽圧箱4の内部に浄化された空気が一定量貯留されると、第1吹き出し口40からは、素材42を通って吹き出される風量よりも強い風量(例えば、1~3m/sの風量)の浄化された空気が吹き出され、そして、第2吹き出し口41からは、素材42を通って、第1吹き出し口40から吹き出される風量よりも弱い風量(例えば、0.2~0.5m/sの風量)の浄化された空気が吹き出されることとなる。これにより、
図2(b)に示すように、フレーム枠2の正面の開口を遮断するように、第1吹き出し口40から強い風量(例えば、1~3m/sの風量)の浄化された空気K1が、床面Gに向かって吹き出されることとなる(矢印Y1参照)。すなわち、この空気K1は、遮断流として第1吹き出し口40から吹き出され、外部の空気よりも陽圧となるから、外部の浄化されていない空気が空間S1内に入り込めないようにすることができる。なお、この風量は、第1吹き出し口40の開口径(縦幅の径)(例えば、約20mm)を事前に調整することで決定される。
【0031】
一方、
図2(b)に示すように、フレーム枠2の空間S1内に、第2吹き出し口41から素材42を通って、弱い風量(例えば、0.2~0.5m/sの風量)の浄化された空気K2が、床面Gに向かって吹き出されることとなる(矢印Y2参照)。すなわち、この空気K2は、陽圧箱4の内部に浄化された空気を一定量貯留してから吹き出すと共に、素材42の開口径のサイズを調整することで風量を調整しているものである。これにより、空気K2は、層流として、空間S1内全域に均一に流れることとなる。そのため、空間S1内に空気の乱流が起きないため、換気時間を短くすることができると共に、浮遊粒子が起き難い空間S1を形成することができる。なお、空間S1内全域に均一に流れた空気K2は、床面Gとの間に形成されている僅かな隙間S2(
図1参照)から排気されることとなる。
【0032】
したがって、このようにすれば、フレーム枠2の正面が、従来と異なり、開放された状態となっていたとしても、第1吹き出し口40から吹き出される遮断流としての空気K1によって、外部の浄化されていない空気が空間S1内に入り込めないようにすることができる。さらに、素材42を通って吹き出される層流としての空気K2によって、浮遊粒子が起き難い空間S1を形成することができる。
【0033】
したがって、本実施形態によれば、汚染空気が空間S1内に入ってしまう事態を低減させることができる
【0034】
さらに、本実施形態によれば、フレーム枠2の正面が、従来と異なり、開放された状態となっているから、作業員は、フレーム枠2の正面からクリーンブース1内に自由に出入りすることができる。これにより、クリーンブース1における作業員の作業が容易となる。
【0035】
<除電装置の説明>
ところで、フレーム枠2の正面からクリーンブース1内に作業員が自由に出入りできるとなると、作業員に付着している粉塵などの異物が空間S1内を浮遊して、作業しているワークに異物が付着してしまう可能性がある。
【0036】
そこで、本実施形態においては、ワークに異物が付着するのは、異物が帯電しているのが原因であることから、異物が帯電し、作業しているワークに異物が付着しないように、空間S1内を除電するようにしている。具体的には、
図2に示すように、フレーム枠2の天板22の内周面(空間S1側)に一対の除電装置6が取り付け固定されている。この除電装置6は、
図1に示すように正面視細長棒状に形成されており、さらに、
図2に示すように、フレーム枠2の天板22の内周面(空間S1側)に一定の間隔を空けて設けられている。かくして、このような除電装置6は、マイナスイオンと、プラスイオンを交互に放出できるもので、一対の除電装置6のうち一方の除電装置6がマイナスイオンを放出していれば、他方の除電装置6は、プラスイオンを放出し、又、一方の除電装置6がプラスイオンを放出していれば、他方の除電装置6は、マイナスイオンを放出するというように、一定時間毎に切り替えて一対の除電装置6から、マイナスイオン及びプラスイオンを放出するようにしている。
【0037】
したがって、このようにすれば、空間S1内にマイナスイオン及びプラスイオンが放出されることとなるから、プラスに帯電している異物にはマイナスイオンが結合することでプラスに帯電している異物の帯電が除去され、マイナスに帯電している異物にはプライスイオンが結合することで、マイナスに帯電している異物の帯電が除去されることとなる。これにより、異物が帯電し、作業しているワークに異物が付着しないようにすることができる。
【0038】
また、本実施形態においては、一対の除電装置6から放出されたマイナスイオン及びプラスイオンが空間S1内にそのまま居続け、空間S1内が帯電しないように、空間S1内に配置されるワーク付近で、一対の除電装置6から放出されるマイナスイオン及びプラスイオンが結合して消失するように、一対の除電装置6をフレーム枠2の天板22の内周面(空間S1側)に一定の間隔を空けて設けるようにしている。そのため、空間S1内が帯電しなければ、本実施形態にて例示した位置に限らず、一対の除電装置6はどこに配置しても良い。また、除電装置6は一対に限らず、3つ以上設けても良いが、空間S1内が帯電しないようにする必要がある。
【0039】
<クリーンブースの一使用例の説明>
次に、上記のように構成されるクリーンブース1の一使用例について、
図4及び
図5を参照して説明する。
【0040】
図4に示すクリーンブース1の一使用例は、ラミネート装置に適用した例を示している。具体的には、
図4に示すように、図示左側に位置するクリーンブース1の空間S1には、第1ラミネート装置R1が配置され、図示右側に位置するクリーンブース1の空間S1には、第2ラミネート装置R2が配置されている。そして、
図4に示すように、この第1ラミネート装置R1と、第2ラミネート装置R2との間には、連続プレス装置PRが配置されている。なお、この連続プレス装置PRは、
図4に示すように、クリーンブース1の空間S1には配置されていない。以下、第1ラミネート装置R1,第2ラミネート装置R2,連続プレス装置PRについて説明する。
【0041】
<第1ラミネート装置の説明>
第1ラミネート装置R1は、
図4に示すように、繰り出しロールR1aを備えており、この繰り出しロールR1aには、セパレータが貼り付けられたキャリア材CAがロール状に巻回され、セパレータが剥離されて、
図4に示す貼り合わせ機構R1cに繰り出されるようになっている。なお、剥離されたセパレータは、巻き取りロールR1bにて巻き取られることとなる。
【0042】
一方、
図4に示すように、第1ラミネート装置R1は、さらに、繰り出しロールR1dを備えており、この繰り出しロールR1dには、片面テープを備えた主材KSがロール状に巻回され、貼り合わせ機構R1cに繰り出されるようになっている。そして、貼り合わせ機構R1cにて主材KSと、キャリア材CAとが貼り合わされ、第1貼合品ZR1として、剥離貼り合わせ機構R1eに送り出されるようになっている。
【0043】
一方、
図4に示すように、第1ラミネート装置R1は、さらに、繰り出しロールR1fを備えており、この繰り出しロールR1fには、セパレータが貼り付けられた保護テープHTがロール状に巻回され、剥離貼り合わせ機構R1eに繰り出されるようになっている。そして、この剥離貼り合わせ機構R1eにて、保護テープHTのセパレータが剥離され、剥離された保護テープHTは、第1貼合品ZR1に貼り合わせされることととなる。これにより、保護テープHTが貼り合わせられた第1貼合品ZR1は、
図4に示すように、第2貼合品ZR2として、第1ラミネート装置R1から、連続プレス装置PRに送り出されることとなる。なお、剥離されたセパレータは、巻き取りロールR1gにて巻き取られることとなる。
【0044】
かくして、このような第1ラミネート装置R1は、上記説明した繰り出しロールR1a,R1d,R1fにロールを設置したり、巻き取りロールR1b,R1gに巻き取られたセパレータを回収したりする等の作業が伴う。そのため、作業員が、フレーム枠2の正面からクリーンブース1内に自由に出入りすることができる、本実施形態におけるクリーンブース1が好適である。
【0045】
また、第1ラミネート装置R1は、上記説明したように、材料同士の貼り合わせや剥離を行うことから、静電気が発生し易い。そのため、一対の除電装置6によって空間S1内を除電することできる、本実施形態におけるクリーンブース1は、さらに好適である。
【0046】
ただ、材料同士の貼り合わせや剥離の際、かなり強力な静電気が発生する可能性があることから、一対の除電装置6によって空間S1内を除電するだけでは、除電しきれず、異物が材料に引き寄せられる可能性がある。
【0047】
そこで、本実施形態においては、別途、局所除電装置7を設置している。すなわち、
図4に示すように、繰り出しロールR1aと、繰り出しロールR1dとの間に、局所除電装置7を設置し、貼り合わせ機構R1cと、剥離貼り合わせ機構R1eとの間に、局所除電装置7を設置し、剥離貼り合わせ機構R1eの後段(図示右方向)に、局所除電装置7を設置している。この局所除電装置7は、マイナスイオン及びプラスイオンを同時に放出することができるものである。そのため、材料同士の貼り合わせや剥離の際、かなり強力な静電気が発生したとしても、この局所除電装置7によって、その静電気を除去することができる。したがって、このようにすれば、
図4に示す最終のラミネート製品RSに異物が混入してしまうという事態が無いようにすることができる。
【0048】
ところで、
図4に示す第1ラミネート装置R1から、第2貼合品ZR2を連続プレス装置PRに送り出すにあたって、第2貼合品ZR2が、右包囲体5aを通り抜けられるように、
図5に示すように、右包囲体5aには、矩形状の貫通孔5a1が設けられている。そのため、この貫通孔5a1を通って、第2貼合品ZR2が、連続プレス装置PRに送り出されることとなる。
【0049】
<連続プレス装置の説明>
連続プレス装置PRは、
図4に示すように、型抜き機構PRaを備えており、この型抜き機構PRaにて、第1ラミネート装置R1から送り出された第2貼合品ZR2が、所定の形状に型抜きされる。そして、所定の形状に型抜きされた第2貼合品ZR2は、第3貼合品ZR3として、連続プレス装置PRがさらに備えている
図4に示す送り機構PRbにて、第2ラミネート装置R2に送り出されることとなる。なお、
図4に示すように、連続プレス装置PRの上部には、一対の除電装置6が設置されている。
【0050】
<第2ラミネート装置の説明>
第2ラミネート装置R2は、
図4に示すように、剥離機構R2aを備えており、この剥離機構R2aは、連続プレス装置PRから送り出された第3貼合品ZR3の型抜きされた際のカスを剥離するようになっている。なお、剥離されたカスは、巻き取りロールR2bにて巻き取られることとなる。
【0051】
一方、カスが巻き取られた第3貼合品ZR3は、
図4に示すように、第4貼合品ZR4として、送り出され、鋭角となった部分から、キャリア材CA以外が剥離されラミネート製品RSとして分離されることとなる。なお、キャリア材CAは、
図4に示す巻き取りロールR2cにて巻き取られることとなる。
【0052】
かくして、このような第2ラミネート装置R2も、巻き取りロールR2bに巻き取られたカスを回収したり、巻き取りロールR2cに巻き取られたキャリア材CAを回収したりする等の作業が伴うこととなる。そのため、作業員が、フレーム枠2の正面からクリーンブース1内に自由に出入りすることができる、本実施形態におけるクリーンブース1が好適である。
【0053】
また、第2ラミネート装置R2も、上記説明したように、材料同士の剥離を行うことから、静電気が発生し易い。そのため、一対の除電装置6によって空間S1内を除電することできる、本実施形態におけるクリーンブース1は、さらに好適である。
【0054】
また、本実施形態においても、別途、局所除電装置7を設置している。すなわち、
図4に示すように、剥離機構R2a付近に局所除電装置7を設置し、第4貼合品ZR4が鋭角となった部分から、キャリア材CA以外が剥離されラミネート製品RSとして排出される付近に局所除電装置7を設置している。このようにすれば、材料同士の剥離の際、かなり強力な静電気が発生したとしても、その静電気を除去することができる。したがって、このようにすれば、
図4に示す最終のラミネート製品RSに異物が混入してしまうという事態が無いようにすることができる。
【0055】
また、本実施形態においては、
図4に示すように、連続プレス装置PRから送り出された第3貼合品ZR3が、クリーンブース1の空間S1内に入ってくる箇所にも、局所除電装置7を設置している。このようにすれば、第3貼合品ZR3に異物が付着していたとしても、異物の帯電を除去することができ、帯電を除去された異物は、
図2(b)に示す層流としての空気K2によって、クリーンブース1外に排出されることとなる。なお、
図4に示す連続プレス装置PRから、第3貼合品ZR3を第2ラミネート装置R2に送り出すにあたって、第3貼合品ZR3が、左包囲体5bを通り抜けられるように、
図5に示すように、左包囲体5bには、矩形状の貫通孔5b1が設けられている。そのため、この貫通孔5b1を通って、第3貼合品ZR3が、第2ラミネート装置R2に送り出されることとなる。
【0056】
したがって、本実施形態に示すクリーンブース1は、様々な装置に使用することが可能であるが、上記説明したように、第1ラミネート装置R1,第2ラミネート装置R2に適用するのが好適である。なお、本使用例では、第1ラミネート装置R1と第2ラミネート装置R2を、別々のクリーンブース1内に配置する例を示したが、それに限らず、大型のクリーンブース1を用意し、第1ラミネート装置R1と、第2ラミネート装置R2と、連続プレス装置PRとを全て空間S1内に配置するようにしても良い。
【0057】
<変形例の説明>
なお、本実施形態において示した形状等はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態において示したクリーンブース1の形状はあくまで一例であり、どのような形状にでも変更可能である。
【0058】
また、本実施形態においては、フレーム枠2として、4面体を構成する例を示したが、それに限らず、3面体でも、5面体以上でも、多面体であれば、どのように構成しても良い。
【0059】
また、本実施形態においては、空気浄化装置3を陽圧箱4に複数配置する例を示したが、単数で問題無ければ、単数でも良い。
【0060】
また、本実施形態においては、フレーム枠2の4面体うち、1面体(正面部分)だけ開放する例を示したが、陽圧箱4にて、遮断流としての空気K1を吹き出すことができるのであれば、1面体(正面部分)だけでなく、他の面を開放するようにしても良い。
【0061】
また、本実施形態においては、包囲体5として、フレーム枠2の正面の一部を包囲する正面包囲体5dを構成する例を示したが、それに限らず、不要であれば設ける必要はない。しかしながら、設けた方が好ましい。このような正面包囲体5dを設けるようにすれば、正面包囲体5dがガイドとなり、空気K1の流れを確実に、
図2(b)に示すような流れにすることができる。そのため、このようにすれば、空気K1が遮断流として、フレーム枠2の正面の開口を確実に遮断することができる。
【0062】
また、本実施形態においては、第2吹き出し口41に素材42を取り付ける例を示したが、それに限らず、第2吹き出し口41に何も取り付けず、第2吹き出し口41自体の開口径を、第1吹き出し口40の開口径(縦幅の径)よりも小さくなるように設定しても良い。
【符号の説明】
【0063】
1 クリーンブース
2 フレーム枠
22 天板(天部)
3 空気浄化装置
4 陽圧箱(陽圧部)
40 第1吹き出し口
41 第2吹き出し口
42 素材
6 除電装置
7 局所除電装置
S1 空間
K1 (遮断流としての)空気
K2 (層流としての)空気
R1 第1ラミネート装置(ラミネート装置)
R2 第2ラミネート装置(ラミネート装置)