(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150024
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】電気化学反応セルスタック
(51)【国際特許分類】
H01M 8/2465 20160101AFI20241016BHJP
H01M 8/0273 20160101ALI20241016BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20241016BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20241016BHJP
C25B 9/23 20210101ALI20241016BHJP
C25B 9/77 20210101ALI20241016BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20241016BHJP
【FI】
H01M8/2465
H01M8/0273
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/23
C25B9/77
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063230
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】519322392
【氏名又は名称】森村SOFCテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 計介
(72)【発明者】
【氏名】林 千栄
【テーマコード(参考)】
4K021
5H126
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA01
4K021CA15
4K021DB06
4K021DB36
4K021DB53
5H126AA22
5H126BB06
5H126EE11
5H126JJ03
(57)【要約】
【課題】ガス流通空間の内圧の異常な上昇による空気極フレームの変形や破損を抑制でき、発電効率が低下することを抑制できる電気化学反応セルスタックを提供する。
【解決手段】燃料電池スタック10は、空気極114と、電解質層112と、燃料極116とがこの順に重なっている単セル110と、空気極114が面する空気室313を外部空間から区画する空気極フレーム130と、空気極フレーム130と隣接する単セル用セパレータ120と、同じく空気極フレーム130と隣接するIC用セパレータ180と、を備える複数の電気化学反応単位100Uを備え、各電気化学反応単位100Uにおいて、空気極フレーム130に、空気室313から外部空間に通じるガス抜き通路400が設けられている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気極と、電解質層と、燃料極とがこの順に重なっている単セルと、
前記空気極および前記燃料極のうち少なくとも一方が面するガス流通空間を外部空間から区画する区画部材と、
前記区画部材と隣接する隣接部材と、
を備える複数の電気化学反応単位を備え、
前記複数の電気化学反応単位のうち少なくとも1つの電気化学反応単位において、
前記区画部材、および、前記隣接部材において前記区画部材に接する面の少なくとも一方に、前記ガス流通空間から前記外部空間に通じるガス抜き通路が設けられている、電気化学反応セルスタック。
【請求項2】
前記区画部材または前記隣接部材が、前記ガス流通空間に面する第1の内面と、前記外部空間に面する外面と、を有し、
前記ガス抜き通路が、前記第1の内面に開口する第1の流入口を有するとともに、前記第1の流入口の開口位置から前記外面までの距離が非最短となる非最短経路を通っている、
請求項1に記載の電気化学反応セルスタック。
【請求項3】
前記第1の流入口の開口位置から前記外面までの距離が最短となる最短距離に対する前記非最短経路の長さの比が1.05以上である、
請求項2に記載の電気化学反応セルスタック。
【請求項4】
前記複数の電気化学反応単位のうち少なくとも1つの電気化学反応単位が、複数の前記ガス抜き通路を有する、
請求項1または請求項2に記載の電気化学反応セルスタック。
【請求項5】
前記ガス抜き通路が、前記区画部材において前記隣接部材に接する面、および、前記隣接部材において前記区画部材に接する面の少なくとも一方に配されたガス抜き溝を含む、
請求項1または請求項2に記載の電気化学反応セルスタック。
【請求項6】
前記区画部材が、前記ガス流通空間に面する第1の内面と、前記外部空間に面する外面と、前記第1の内面と前記外面とを接続する第1の主面および第2の主面と、を有し、
前記隣接部材が、前記第1の主面に隣接する第1の隣接部材と、前記第2の主面に隣接する第2の隣接部材と、を含み、
前記ガス抜き溝が、
前記第1の主面、および前記第1の隣接部材において前記第1の主面に接する面のうち少なくとも一方と、
前記第2の主面、および前記第2の隣接部材において前記第2の主面に接する面のうち少なくとも一方と、
の双方に配されている、
請求項5に記載の電気化学反応セルスタック。
【請求項7】
前記区画部材が、
前記第1の内面と前記外面とを接続する第1の主面を有するとともに、
前記第1の主面に対して略平行に配され、互いに重ねられた第1の層と第2の層と、を含み、
前記ガス抜き通路が、前記第1の層と前記第2の層との隙間が前記第1の内面から前記外面まで連なることで構成されており、
前記第1の層および前記第2の層において前記ガス抜き通路が配されている部位が、前記第1の主面に対して斜めに傾く傾斜部を有している、
請求項2に記載の電気化学反応セルスタック。
【請求項8】
前記複数の電気化学反応単位のうち少なくとも1つの電気化学反応単位において、
前記区画部材が、前記ガス流通空間に連通し、前記ガス流通空間にガスを供給または前記ガス流通空間からガスを排出するためのマニホールドを構成するマニホールド孔を備え、
前記区画部材、および、前記隣接部材において前記区画部材に隣接する面の少なくとも一方に、前記マニホールド孔から前記外部空間に通じるマニホールド用ガス抜き通路が設けられている、
請求項1に記載の電気化学反応セルスタック。
【請求項9】
前記区画部材または前記隣接部材が、前記マニホールド孔の内部空間に面する第2の内面と、前記外部空間に面する外面と、を有し、
前記マニホールド用ガス抜き通路が、前記第2の内面に開口する第2の流入口を有するとともに、前記第2の流入口の開口位置から前記外面までの距離が非最短となる非最短経路を通っている、
請求項8に記載の電気化学反応セルスタック。
【請求項10】
前記複数の電気化学反応単位のうち少なくとも1つの電気化学反応単位が、複数の前記マニホールド用ガス抜き通路を有する、
請求項8または請求項9に記載の電気化学反応セルスタック。
【請求項11】
前記マニホールド用ガス抜き通路が、前記区画部材において前記隣接部材に接する面、および、前記隣接部材において前記区画部材に接する面の少なくとも一方に配されたマニホールド用ガス抜き溝を含む、
請求項8または請求項9に記載の電気化学反応セルスタック。
【請求項12】
前記区画部材が、前記ガス流通空間に面する第1の内面と、前記外部空間に面する外面と、前記第1の内面と前記外面とを接続する第1の主面および第2の主面と、を有し、
前記隣接部材が、前記第1の主面に隣接する第1の隣接部材と、前記第2の主面に隣接する第2の隣接部材とを含み、
前記マニホールド用ガス抜き溝が、
前記第1の主面、および前記第1の隣接部材において前記第1の主面に接する面のうち少なくとも一方と、
前記第2の主面、および前記第2の隣接部材において前記第2の主面に接する面のうち少なくとも一方と、
の双方に配されている、
請求項11に記載の電気化学反応セルスタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、電気化学反応セルスタックに関する。
【背景技術】
【0002】
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物を含む電解質層を備える固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」という)が知られている。SOFCは、一般に、複数の構成単位(電気化学反応単位)が所定の方向に並べて配置された燃料電池スタックの形態で利用される。各電気化学反応単位は、固体酸化物を含む電解質層と、電解質層を挟んで互いに対向する空気極および燃料極と、を備える単セルと、空気極に面する空気流路、および燃料極に面する燃料流路の周囲をそれぞれシールする空気極フレームおよび燃料極フレームと、を備える(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のSOFCにおいて、空気流路の下流側に配される空気の排出流路に変形や異物の混入等が生じ、排出流路が狭くなったり、閉塞されたりする場合がある。このような場合には、空気流路の内圧が異常に上昇し、空気極フレームに変形や破損が生じることによって、発電効率が低下することが懸念される。燃料流路および燃料極フレームについても同様である。
【0005】
このような課題は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(以下、「SOEC」という。)の構成単位である電解セル単位を複数備える電解セルスタックにも共通の問題である。また、このような課題は、SOFCやSOECに限らず、他のタイプの電気化学反応セルスタックにも共通の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本明細書によって開示される電気化学反応セルスタックは、空気極と、電解質層と、燃料極とがこの順に重なっている単セルと、前記空気極および前記燃料極のうち少なくとも一方が面するガス流通空間を外部空間から区画する区画部材と、前記区画部材と隣接する隣接部材と、を備える複数の電気化学反応単位を備え、前記複数の電気化学反応単位のうち少なくとも1つの電気化学反応単位において、前記区画部材、および、前記隣接部材において前記区画部材に接する面の少なくとも一方に、前記ガス流通空間から前記外部空間に通じるガス抜き通路が設けられている。
【0007】
上記の構成によれば、例えばガス流通空間よりも下流側のガス流路において、狭窄や閉塞などが生じることにより、ガス流通空間の内圧が、区画部材の変形や破損が懸念される程に大きくなるという異常事態が生じた場合に、ガス抜き通路を通ってガスが外部空間に排出されることにより、ガス流通空間の内圧を下げることができる。これにより、区画部材の変形や破損を抑制でき、セルスタックの発電効率が低下したり、セルスタックが発電不能となったりすることを抑制できる。
【0008】
(2)上記(1)に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、前記区画部材または前記隣接部材が、前記ガス流通空間に面する第1の内面と、前記外部空間に面する外面と、を有し、前記ガス抜き通路が、前記第1の内面に開口する第1の流入口を有するとともに、前記第1の流入口の開口位置から前記外面までの距離が非最短となる非最短経路を通っていても構わない。
【0009】
このような構成によれば、ガス抜き通路が、第1の流入口の開口位置から外面までの距離が最短となる最短経路を通って延びている場合と比較して長い。このため、ガス流通空間の内圧が、区画部材の変形や破損が懸念されない通常の内圧である場合に、ガスがガス抜き通路から排出されにくくなり、効率よく発電を行うために必要なガス流通空間の内圧を維持できる。
【0010】
(3)上記(2)に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、前記第1の流入口の開口位置から前記外面までの距離が最短となる最短距離に対する前記非最短経路の長さの比が1.05以上であっても構わない。
【0011】
このような構成によれば、ガス流通空間の内圧が、区画部材の変形や破損が懸念されない通常の内圧である場合に、ガスのガス抜き通路からの排出を確実に抑制でき、効率よく発電を行うために必要なガス流通空間の内圧を維持できる。
【0012】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の電気化学反応セルスタックにおいて、前記複数の電気化学反応単位のうち少なくとも1つの電気化学反応単位が、複数の前記ガス抜き通路を有していても構わない。
【0013】
このような構成によれば、ガス流通空間の内圧が異常に上昇した際に、ガスが複数のガス抜き通路から効率的に排出されるため、区画部材の変形や破損を、より確実に抑止できる。
【0014】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の電気化学反応セルスタックにおいて、前記ガス抜き通路が、前記区画部材において前記隣接部材に接する面、および、前記隣接部材において前記区画部材に接する面の少なくとも一方に配されたガス抜き溝を含んでいても構わない。
【0015】
区画部材または隣接部材の表面に配されるガス抜き溝は、区画部材の内部を貫通するように配されているガス抜き通路と比較して形成が容易であるから、製造工程の複雑化を避けることができる。
【0016】
(6)上記(5)に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、前記区画部材が、前記ガス流通空間に面する第1の内面と、前記外部空間に面する外面と、前記第1の内面と前記外面とを接続する第1の主面および第2の主面と、を有し、前記隣接部材が、前記第1の主面に隣接する第1の隣接部材と、前記第2の主面に隣接する第2の隣接部材と、を含み、前記ガス抜き溝が、前記第1の主面、および前記第1の隣接部材において前記第1の主面に接する面のうち少なくとも一方と、前記第2の主面、および前記第2の隣接部材において前記第2の主面に接する面のうち少なくとも一方と、の双方に配されていても構わない。
【0017】
このような構成によれば、ガス流通空間の内圧が異常に上昇した際に、ガスがガス抜き溝から効率的に排出されるため、区画部材の変形や破損を、より確実に抑止できる。
【0018】
(7)上記(2)から(6)のいずれか1つに記載の電気化学反応セルスタックにおいて、前記区画部材が、前記第1の内面と前記外面とを接続する第1の主面を有するとともに、前記第1の主面に対して略平行に配され、互いに重ねられた第1の層と第2の層と、を含み、前記ガス抜き通路が、前記第1の層と前記第2の層との隙間が前記第1の内面から前記外面まで連なることで構成されており、前記第1の層および前記第2の層において前記ガス抜き通路が配されている部位が、前記第1の主面に対して斜めに傾く傾斜部を有していても構わない。
【0019】
このような構成によれば、ガス抜き通路が、第1の流入口の開口位置から外面までの距離が非最短となる非最短経路を通ることとなる。つまり、ガス抜き通路が、最短経路を通って延びている場合と比較して長い。このため、ガス流通空間の内圧が、区画部材の変形や破損が懸念されない通常の内圧である場合に、ガスがガス抜き通路から排出されにくくなり、効率よく発電を行うために必要なガス流通空間の内圧を維持できる。
【0020】
(8)上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の電気化学反応セルスタックにおいて、前記複数の電気化学反応単位のうち少なくとも1つの電気化学反応単位において、前記区画部材が、前記ガス流通空間に連通し、前記ガス流通空間にガスを供給または前記ガス流通空間からガスを排出するためのマニホールドを構成するマニホールド孔を備え、前記区画部材、および、前記隣接部材において前記区画部材に隣接する面の少なくとも一方に、前記マニホールド孔から前記外部空間に通じるマニホールド用ガス抜き通路が設けられていても構わない。
【0021】
ガス流通空間よりも下流側のガス流路において、狭窄や閉塞などが生じることにより、マニホールド孔の内圧も、区画部材の変形や破損が懸念される程に大きくなる場合がある。このような場合に、マニホールド用ガス抜き通路を通ってガスが外部空間に排出されることにより、マニホールド孔の内圧を下げることができる。これにより、セルスタックの発電効率が低下したり、セルスタックが発電不能となったりすることを抑制できる。
【0022】
(9)上記(8)に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、前記区画部材または前記隣接部材が、前記マニホールド孔の内部空間に面する第2の内面と、前記外部空間に面する外面と、を有し、前記マニホールド用ガス抜き通路が、前記第2の内面に開口する第2の流入口を有するとともに、前記第2の流入口の開口位置から前記外面までの距離が非最短となる非最短経路を通っていても構わない。
【0023】
このような構成によれば、マニホールド用ガス抜き通路が、第2の流入口の開口位置から外面までの距離が最短となる最短経路を通って延びている場合と比較して長い。このため、マニホールド孔の内圧が、区画部材の変形や破損が懸念されない通常の内圧である場合に、ガスがマニホールド用ガス抜き通路から排出されにくくなり、効率よく発電を行うために必要なマニホールド孔の内圧を維持できる。
【0024】
(10)上記(8)または(9)に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、前記複数の電気化学反応単位のうち少なくとも1つの電気化学反応単位が、複数の前記マニホールド用ガス抜き通路を有していても構わない。
【0025】
このような構成によれば、マニホールド孔の内圧が異常に上昇した際に、ガスが複数のマニホールド用ガス抜き通路から効率的に排出されるため、区画部材の変形や破損を確実に抑止できる。
【0026】
(11)上記(8)から(10)のいずれか1つに記載の電気化学反応セルスタックにおいて、前記マニホールド用ガス抜き通路が、前記区画部材において前記隣接部材に接する面、および、前記隣接部材において前記区画部材に接する面の少なくとも一方に配されたマニホールド用ガス抜き溝を含んでいても構わない。
【0027】
区画部材または隣接部材の表面に配されているマニホールド用ガス抜き溝は、区画部材の内部を貫通するように配されているマニホールド用ガス抜き通路と比較して形成が容易であるから、製造工程の複雑化を避けることができる。
【0028】
(12)上記(11)に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、前記区画部材が、前記ガス流通空間に面する第1の内面と、前記外部空間に面する外面と、前記第1の内面と前記外面とを接続する第1の主面および第2の主面と、を有し、前記隣接部材が、前記第1の主面に隣接する第1の隣接部材と、前記第2の主面に隣接する第2の隣接部材とを含み、前記マニホールド用ガス抜き溝が、前記第1の主面、および前記第1の隣接部材において前記第1の主面に接する面のうち少なくとも一方と、前記第2の主面、および前記第2の隣接部材において前記第2の主面に接する面のうち少なくとも一方と、の双方に配されていても構わない。
【0029】
このような構成によれば、マニホールド孔の内圧が異常に上昇した際に、ガスが区画部材の第1の面と第2の面とに配されたマニホールド用ガス抜き溝から効率的に排出されるため、区画部材の変形や破損を確実に抑止できる。
【発明の効果】
【0030】
本明細書によって開示される電気化学反応セルスタックによれば、ガス流通空間の内圧の異常な上昇による区画部材の変形や破損を抑制でき、発電効率が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施形態1の燃料電池スタックの外観構成を示す斜視図
【
図2】実施形態1の燃料電池スタックを
図1のII-II線で切断して示す断面図
【
図3】実施形態1の燃料電池スタックを
図1のIII-III線で切断して示す断面図
【
図4】実施形態1の燃料電池スタックを
図1のIV-IV線で切断して示す断面図
【
図5】実施形態1の燃料電池スタックにおける隣り合う2つの電気化学反応単位を、
図1のII-II線と同じ位置で切断して示す断面図
【
図6】実施形態1の燃料電池スタックにおける隣り合う2つの電気化学反応単位を、
図1のIII-III線と同じ位置で切断して示す断面図
【
図8】実施形態1の空気極フレームを、
図7のVIII-VIII線で切断して示す断面図
【
図9】実施形態2において、単セル用セパレータおよびIC用セパレータにおけるガス抜き溝が配された部位の断面を模式的に示す図
【
図10】実施形態3において、空気極フレームにおけるガス抜き通路が配された部位の断面を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書によって開示される技術の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0033】
<実施形態1>
実施形態1を、
図1から
図8を参照しつつ説明する。本実施形態の燃料電池スタック10(電気化学反応セルスタックの一例)は、固体酸化物を含む電解質層112を備える固体酸化物形の燃料電池に用いられる。
【0034】
(燃料電池スタック10の全体構成)
燃料電池スタック10は、
図1-
図4に示すように、発電ブロック100と、末端セパレータ230と、第1プレート232と、第2プレート260と、第1ターミナルプレート240と、第2ターミナルプレート250と、絶縁部220と、第1エンドプレート210と、第2エンドプレート270と、4つのガス通路部材280と、を備える。第1エンドプレート210、絶縁部220、末端セパレータ230、第1ターミナルプレート240、発電ブロック100、第2ターミナルプレート250、第2プレート260、および第2エンドプレート270は、ほぼ同じ大きさの矩形の外形を有しており、所定の配列方向(
図2の上下方向)に、この順に重なって配置されている。
【0035】
燃料電池スタック10は、
図1および
図4に示すように、4つの角部付近に、それぞれ、第1エンドプレート210から第2エンドプレート270まで貫通するボルト孔BHを有している。各ボルト孔BHにはボルトBが挿入されている。各ボルトBの両端部にはナットNがねじ付けられている。これらのボルトBおよびナットNにより、第1エンドプレート210から第2エンドプレート270までの部材が一体に締結されている。
図2-
図4に示すように、第1プレート232は末端セパレータ230に支持されており、4つのガス通路部材280は第2エンドプレート270に接続されている。
【0036】
発電ブロック100は、
図2-
図4に示すように、所定の配列方向(
図2の上下方向)に並んで配置された複数(本実施形態では7つ)の電気化学反応単位100U(以下、「反応単位100U」と略記することがある)によって構成される。
【0037】
(電気化学反応単位100Uの全体構成)
図5および
図6に示すように、電気化学反応単位100Uは、単セル110と、単セル用セパレータ120(隣接部材の一例)と、空気極フレーム130(区画部材の一例)と、燃料極フレーム140と、燃料極集電部材144と、2つのインターコネクタ190と、2つのIC用セパレータ180と、を備える。一方のIC用セパレータ180(隣接部材、第2の隣接部材の一例)、空気極フレーム130、単セル用セパレータ120(隣接部材、第1の隣接部材の一例)、燃料極フレーム140、他方のIC用セパレータ180が、この順に重なって配置されている。単セル110は単セル用セパレータ120に支持され、2つのインターコネクタ190は2つのIC用セパレータ180にそれぞれ支持され、燃料極集電部材144は単セル110とインターコネクタ190との間に配されている。
【0038】
図5および
図6に示すように、IC用セパレータ180およびインターコネクタ190は、隣り合う2つの反応単位100Uに共有されている。但し、
図2に示すように、複数の反応単位100Uのうち一端(
図2の下端)に位置する反応単位100Uは、燃料極フレーム140に隣り合うIC用セパレータ180とインターコネクタ190とを備えておらず、燃料極フレーム140に第2ターミナルプレート250が重なっている。
【0039】
(単セル110)
単セル110は、電解質層112と、空気極114と、燃料極116と、を備える。
図5および
図6に示すように、空気極114と、電解質層112と、燃料極116とが、この順に重なって配されており、電解質層112と空気極114との間には、反応防止層118が介在している。本実施形態の単セル110は、燃料極116によって単セル110を構成する他の層(電解質層112、空気極114、反応防止層118)が支持される燃料極支持形の単セルである。
【0040】
電解質層112は、矩形の平板状の部材であって、空気極114が配された一面(
図5、
図6の上面)と、燃料極116が配され、一面に平行な他面(
図5、
図6の下面)と、を有する。電解質層112は、固体酸化物(例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア))を含む層である。空気極114は、電解質層112より小さい矩形の外形を有する層であり、例えばペロブスカイト型酸化物(例えば、LSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物))を含む。燃料極116は、電解質層112と略同じ大きさの矩形の外形を有する層であり、例えば、Ni(ニッケル)、Niとセラミック粒子からなるサーメット、Ni基合金等を含む。反応防止層118は、空気極114と略同じ大きさの矩形の外形を有する層であり、例えばGDC(ガドリニウムドープセリア)とを含む。反応防止層118は、空気極114から拡散した元素(例えば、Sr)が電解質層112に含まれる元素(例えば、Zr)と反応して高抵抗な物質(例えば、SrZrO
3)が生成されることを抑制する機能を有する。
【0041】
(単セル用セパレータ120)
単セル用セパレータ120は、
図5および
図6に示すように、中央付近に略矩形の貫通孔121を有する矩形のフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。単セル用セパレータ120の板厚は、比較的薄く、例えば0.05mm以上、0.2mm以下である。単セル用セパレータ120における貫通孔121の周縁部は、電解質層112の一面(空気極114が配された面:
図5、
図6の上面)の周縁部に、接合部124によって接合されている。接合部124は、例えばロウ材(Agロウ)により形成されている。
【0042】
(空気極フレーム130)
空気極フレーム130は、
図5-
図7に示すように、中央付近に略矩形の貫通孔131を有する矩形のフレーム状の部材であり、例えば、絶縁性を有するセラミックス(マイカ等)により形成されている。空気極フレーム130の厚さは、0.5-5mmであることが好ましい。
【0043】
(燃料極フレーム140)
燃料極フレーム140は、
図6に示すように、中央付近に略矩形の貫通孔141を有する矩形のフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。
【0044】
(IC用セパレータ180)
IC用セパレータ180は、
図5および
図6に示すように、中央付近に貫通孔181を有する矩形のフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。
【0045】
(インターコネクタ190、および、燃料極集電部材144)
インターコネクタ190は、
図5および
図6に示すように、矩形の平板形状の平板部191と、平板部191の一面から空気極114に向かって突出した複数の板状の空気極集電部192と、被覆層193と、を備えている。平板部191と空気極集電部192とは、導電性を有し、金属(例えば、フェライト系ステンレス)により形成されている。被覆層193は、導電性を有し、空気極集電部192の表面と、平板部191において空気極集電部192が配された面と、を覆うように配されている。平板部191は、IC用セパレータ180における貫通孔181の周縁部に、例えば溶接により接合されている。
【0046】
燃料極集電部材144は、インターコネクタ190と燃料極116とを接続する部材であって、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等の導電性材料により形成されている。燃料極集電部材144は、
図5および
図6に示すように、インターコネクタ対向部146と、インターコネクタ対向部146に平行な電極対向部145と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを備え、全体としてU字状をなしている。電極対向部145は、燃料極116に接触しており、インターコネクタ対向部146は、インターコネクタ190の平板部191に接触している。
【0047】
上記したように、インターコネクタ190は、隣り合う2つの反応単位100Uに共有されている。より具体的には、
図5および
図6に示すように、空気極集電部192は、例えばスピネル型酸化物により構成された導電性接合材196を介して、隣り合う2つの反応単位100Uのうち一方に備えられる単セル110の空気極114に接合されており、これにより空気極114に電気的に接続されている。平板部191は、燃料極集電部材144を介して、隣り合う2つの反応単位100Uのうち他方に備えられる単セル110の燃料極116に電気的に接続されている。これにより、隣り合う2つの反応単位100U間の電気的導通が確保されている。
【0048】
但し、上述したように、複数の反応単位100Uのうち一端(
図2の下端)に位置する反応単位100Uは、燃料極116側のインターコネクタ190を備えていない。この反応単位100Uに備えられる燃料極116は、燃料極集電部材144を介して第2ターミナルプレート250に接続されている。
【0049】
電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間には、例えばマイカにより形成されたスペーサー149が配置されている。そのため、燃料極集電部材144が温度サイクルや反応ガス圧力変動による反応単位100Uの変形に追随し、燃料極集電部材144を介した燃料極116とインターコネクタ190(または第2ターミナルプレート250)との電気的接続が良好に維持される。
【0050】
(空気室313および燃料室323)
図5および
図6に示すように、単セル用セパレータ120および単セル110と、空気極フレーム130と、IC用セパレータ180およびインターコネクタ190と、で区画される空間は、空気極114に面し、酸化剤ガスOGが流通する空気室313(ガス流通空間の一例)となっている。空気極フレーム130は、空気室313を全周にわたって外部空間から区画するとともに、単セル用セパレータ120とIC用セパレータ180との間をシールし、空気室313から外部空間へガスが漏れ出ることを防ぐ役割を果たしている。
【0051】
また、単セル用セパレータ120および単セル110と、燃料極フレーム140と、IC用セパレータ180およびインターコネクタ190と、で区画される空間は、燃料極116に面し、燃料ガスFGが流通する燃料室323となっている。燃料極フレーム140は、燃料室323を全周にわたって外部空間から区画するとともに、単セル用セパレータ120とIC用セパレータ180との間をシールし、燃料室323から外部空間へガスが漏れ出ることを防ぐ役割を果たしている。
【0052】
単セル用セパレータ120により、空気室313と燃料室323とが区画され、単セル110の周辺において空気極114側から燃料極116側、または燃料極116側から空気極114側へのガスのリーク(クロスリーク)が抑制される。また、IC用セパレータ180とインターコネクタ190とにより、隣り合う反応単位100U間のガスのリークが抑制される。
【0053】
(第1エンドプレート210)
第1エンドプレート210は、1枚の板状部材をプレス加工(屈曲)することにより形成された部材であり、例えばステンレス等の導電材料により形成されている。第1エンドプレート210は、
図1-
図4に示すように、中央付近に貫通孔212を有する矩形のフレーム状の平面部211と、平面部211から絶縁部220と反対方向(
図2の上方)に突出する外側凸部213および内側凸部214と、を備えている。平面部211は、上述したボルト孔BHを構成する孔を有している。外側凸部213は、平面部211の外周縁から突出している。外側凸部213は、平面部211の外周部の全周にわたって形成されている。内側凸部214は、平面部211の内周縁から突出している。内側凸部214は、平面部211の内周部の全周にわたって形成されている。
【0054】
(絶縁部220)
絶縁部220は、中央付近に貫通孔を有する矩形のフレーム状の部材であり、例えば絶縁性材料により形成されている。絶縁部220は、
図2に示すように、第1エンドプレート210と末端セパレータ230との間に挟み込まれており、これにより、第1エンドプレート210と末端セパレータ230との絶縁性が確保されている。
【0055】
(末端セパレータ230)
末端セパレータ230は、
図2-
図4に示すように、中央付近に貫通孔231を有する矩形のフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。
【0056】
(第1プレート232)
第1プレート232は、矩形の平板状の部材であり、例えばステンレス等の導電材料により形成されている。第1プレート232は、
図2-
図4に示すように、末端セパレータ230における貫通孔231の周縁部分に、例えば溶接により接合されている。末端セパレータ230と第1プレート232とは、発電ブロック100を燃料電池スタック10の外部空間から区画する。
【0057】
第1プレート232は、発電ブロック100を構成する複数の反応単位100Uのうち他端(
図2の上端)に配された反応単位100Uに備えられるインターコネクタ190に、燃料極集電部材144と同一構造の接続部材を介して接続されており、これにより、この反応単位100Uと第1プレート232とが電気的に接続されている。
【0058】
(第1ターミナルプレート240)
第1ターミナルプレート240は、中央付近に貫通孔241を有する矩形のフレーム状の部材であり、例えば表面にアルミナの酸化被膜を形成するフェライト系ステンレス等の導電材料により形成されている。第1ターミナルプレート240は、発電ブロック100を構成する複数の反応単位100Uのうち他端(
図2の上端)に配された反応単位100Uに、第1プレート232、および末端セパレータ230を介して電気的に接続されている。第1ターミナルプレート240の一端部(
図2の右端部)は、発電ブロック100から側方に張り出しており、この張り出し部分は、燃料電池スタック10のプラス側の出力端子として機能する。
【0059】
(第2ターミナルプレート250)
第2ターミナルプレート250は、矩形の板状の部材であり、例えば表面にアルミナの酸化被膜を形成するフェライト系ステンレス等の導電材料により形成されている。上述したように、第2ターミナルプレート250は、上述したように、複数の反応単位100Uのうち一端(
図2の下端)に配された反応単位100Uに備えられる燃料極116に、燃料極集電部材144を介して接続されており、これにより、この反応単位100Uと第2ターミナルプレート250とが電気的に接続されている。第2ターミナルプレート250の一端部(
図2の右端部)は、発電ブロック100から側方に張り出しており、この張り出し部分は、燃料電池スタック10のマイナス側の出力端子として機能する。
【0060】
(第2プレート260)
第2プレート260は、矩形の平板状の部材であり、例えば絶縁材料により形成されている。第2プレート260の周縁部は、第2ターミナルプレート250と第2エンドプレート270との間に挟み込まれており、これにより、第2ターミナルプレート250と第2エンドプレート270との絶縁性が確保されている。
【0061】
(第2エンドプレート270)
第2エンドプレート270は、1枚の板状部材をプレス加工(屈曲)することにより形成された部材であり、例えばステンレス等の導電材料により形成されている。第2エンドプレート270は、中央付近に貫通孔272を有する矩形のフレーム状の平面部271と、平面部271から第2ターミナルプレート250と反対方向(
図2の下方)に突出する外側凸部273および内側凸部274と、を備えている。平面部271は、上述したボルト孔BHを構成する孔を有している。外側凸部273は、平面部271の外周縁から突出している。外側凸部273は、平面部271の外周部の全周にわたって形成されている。内側凸部274は、平面部271の内周縁から突出している。内側凸部274は、平面部271の内周部の全周にわたって形成されている。
【0062】
(マニホールド311、312、321、322)
図1、
図2および
図3に示すように、燃料電池スタック10は、発電ブロック100から第2エンドプレート270まで貫通する4つの孔を有している。4つの孔は、それぞれ、酸化剤ガス供給マニホールド311(マニホールドの一例)、酸化剤ガス排出マニホールド312(マニホールドの一例)、燃料ガス供給マニホールド321、燃料ガス排出マニホールド322である。
【0063】
図2に示すように、酸化剤ガス供給マニホールド311は、燃料電池スタック10の外部から導入された酸化剤ガスOGを各反応単位100Uの空気室313に供給するガス流路である。酸化剤ガス排出マニホールド312は、各反応単位100Uの空気室313から排出された酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック10の外部へ排出するガス流路である。酸化剤ガスOGとしては、例えば空気が使用される。酸化剤ガス供給マニホールド311と酸化剤ガス排出マニホールド312とは、空気室313を挟んで、互いに反対側に配されている。
【0064】
図3に示すように、燃料ガス供給マニホールド321は、燃料電池スタック10の外部から導入された燃料ガスFGを各反応単位100Uの燃料室323に供給するガス流路である。燃料ガス排出マニホールド322は、各反応単位100Uの燃料室323から排出された燃料オフガスFOGを燃料電池スタック10の外部へ排出するガス流路である。燃料ガスFGとしては、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。燃料ガス供給マニホールド321と燃料ガス排出マニホールド322とは、燃料室323を挟んで、互いに反対側に配されている。
【0065】
各空気極フレーム130は、
図7に示すように、酸化剤ガス供給マニホールド311を構成する孔である第1マニホールド孔311A(マニホールド孔の一例)と、酸化剤ガス排出マニホールド312を構成する孔である第2マニホールド孔312A(マニホールド孔の一例)と、を有している。空気極フレーム130を構成する4つの辺のうち1つの辺130A(
図7の右側の辺)に第1マニホールド孔311Aが配され、辺130Aに平行な他の辺130B(
図7の左側の辺)に第2マニホールド孔312Aが配されている。
【0066】
空気極フレーム130は、さらに、第1マニホールド孔311Aと空気室313とを連通する酸化剤ガス供給連通流路132と、空気室313と第2マニホールド孔312Aとを連通する酸化剤ガス排出連通流路133と、を有している。
【0067】
また、各燃料極フレーム140は、詳細に図示しないが、空気極フレーム130と同様に、燃料ガス供給マニホールド321、燃料ガス排出マニホールド322をそれぞれ構成するマニホールド孔と、これらのマニホールド孔と燃料室323とをそれぞれ連通する燃料ガス供給連通流路および燃料ガス排出連通流路と、を有している。
【0068】
(ガス通路部材280)
4つのガス通路部材280のそれぞれは、
図2および
図3に示すように、本体部281と、フランジ部282と、を備えている。本体部281は、両端が開口した筒状をなしている。フランジ部282は、本体部281の一端(
図2の下端)から外側に張り出すように設けられている。フランジ部282は、複数のボルト孔284を有している。各ボルト孔284には、燃料電池スタック10を外部装置に接続するためのボルト(図示せず)が挿入される。4つのガス通路部材280に備えられる本体部281の一端(
図2、
図3の上端)が、第2エンドプレート270に対して例えば溶接により接合され、本体部281の内部空間は、それぞれマニホールド311、312、321、322に連通している。各本体部281には、ガスの供給または排出のためのガス配管が接続されている。
【0069】
(ガス抜き通路400)
空気極フレーム130は、
図7および
図8に示すように、複数のガス抜き通路400を有する。複数のガス抜き通路400は、空気室313から燃料電池スタック10の外部空間に通じる通路である。複数のガス抜き通路400は、複数のガス抜き溝410、420と、複数のガス抜き孔430と、を含む。
【0070】
空気極フレーム130は、
図5-7に示すように、第1の主面130F1と、第2の主面130F2と、第1の内面130F3と、外面130F4と、を有している。第1の内面130F3は、空気室313に面している。外面130F4は、燃料電池スタック10の外部空間に面している。第1の主面130F1と第2の主面130F2とは、第1の内面130F3と外面130F4とを接続する面である。第1の主面130F1は、単セル用セパレータ120に接している。第2の主面130F2は、第1の主面130F1とは反対側の面であって、IC用セパレータ180に接している。
【0071】
複数のガス抜き溝410、420のうち一部は、第1の主面130F1に配される第1ガス抜き溝410であり、残りは、第2の主面130F2に配される第2ガス抜き溝420である。第1ガス抜き溝410は、直線状に延びていてもよく、途中で折れ曲がったり、湾曲したりしていてもよく、分岐していても構わない。各第1ガス抜き溝410は、
図7に示すように、第1の内面130F3に開口する流入口410A(第1の流入口の一例)を有する。各第1ガス抜き溝410は、流入口410Aの開口位置から外面130F4までの距離が最短となる最短経路Rs1とは異なる経路であって、最短経路Rs1よりも長い非最短経路を通っている。なお、非最短経路は、最短経路Rs1に対して一部でも重なっていない部分があればよい。第1ガス抜き溝410の深さは、例えば1μm以上40μmとすることができる。第2ガス抜き溝420についても同様である。
【0072】
ガス抜き孔430は、空気極フレーム130において、第1の内面130F3から外面130F4まで貫通する孔である。ガス抜き孔430は、直線状に延びていてもよく、途中で折れ曲がったり、湾曲したりしていても構わない。各ガス抜き孔430は、
図7に示すように、第1の内面130F3に開口する流入口430A(第2の流入口の一例)を有する。各ガス抜き孔430は、流入口430Aの開口位置から外面130F4までの距離が最短となる最短経路Rs2とは異なり、最短経路Rs2よりも長い非最短経路を通っている。なお、非最短経路は、最短経路Rs2に対して一部でも重なっていない部分があればよい。
【0073】
(マニホールド用ガス抜き通路440)
空気極フレーム130は、
図7および
図8に示すように、複数のマニホールド用ガス抜き通路440を有している。マニホールド用ガス抜き通路440は、第1マニホールド孔311Aまたは第2マニホールド孔312Aから外部空間に通じる通路である。
【0074】
第1マニホールド孔311Aに通じる複数のマニホールド用ガス抜き通路440は、複数のマニホールド用ガス抜き溝450、460と、複数のマニホールド用ガス抜き孔470と、を含む。
【0075】
複数のマニホールド用ガス抜き溝450、460のうち一部は、第1の主面130F1に配される第1マニホールド用ガス抜き溝450であり、残りは、第2の主面130F2に配される第2マニホールド用ガス抜き溝460である。第1マニホールド用ガス抜き溝450は、直線状に延びていてもよく、途中で折れ曲がったり、湾曲したりしていてもよく、分岐していても構わない。空気極フレーム130は、
図7に示すように、第1マニホールド孔311Aに面する第2の内面130F5を有しており、各第1マニホールド用ガス抜き溝450は、第2の内面130F5に開口する流入口450A(第2の流入口の一例)を有する。各第1マニホールド用ガス抜き溝450は、流入口450Aの開口位置から外面130F4までの距離が最短となる最短経路Rs3とは異なり、最短経路Rs3よりも長い非最短経路を通っている。なお、非最短経路は、最短経路Rs3に対して一部でも重なっていない部分があればよい。第1マニホールド用ガス抜き溝450の深さは、例えば1μm以上40μmとすることができる。第2マニホールド用ガス抜き溝460についても同様である。
【0076】
マニホールド用ガス抜き孔470は、空気極フレーム130において、第2の内面130F5から外面130F4まで貫通する孔である。各マニホールド用ガス抜き孔470は、直線状に延びていてもよく、途中で折れ曲がったり、湾曲したりしていても構わない。各マニホールド用ガス抜き孔470は、
図7に示すように、第2の内面130F5に開口する流入口470A(第2の流入口の一例)を有する。各マニホールド用ガス抜き孔470は、流入口470Aの開口位置から外面130F4までの距離が最短となる最短経路Rs4とは異なり、最短経路Rs4よりも長い非最短経路を通っている。なお、非最短経路は、最短経路Rs4に対して一部でも重なっていない部分があればよい。
【0077】
第2マニホールド孔312Aに通じるマニホールド用ガス抜き通路440は、第1マニホールド孔311Aに通じるマニホールド用ガス抜き通路440と同様の構成を有しているので、同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。なお、第2マニホールド孔312Aに通じるマニホールド用ガス抜き通路440が有するマニホールド用ガス抜き溝450、460、およびマニホールド用ガス抜き孔470の数および形状は、第1マニホールド孔311Aに通じるマニホールド用ガス抜き通路440と異なっていても構わない。
【0078】
(燃料電池スタック10の動作)
図2および
図5に示すように、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材280を介して酸化剤ガス供給マニホールド311に供給され、各空気極フレーム130が有する第1マニホールド孔311Aから、酸化剤ガス供給連通流路132を介して空気室313に供給される。酸化剤ガスOGは、空気室313の内部を、第1マニホールド孔311Aが配された辺130Aから、第2マニホールド孔312Aが配された辺130Bに向かって(
図7の矢印方向に)流れていく。
【0079】
また、
図3および
図6に示すように、燃料ガスFGは、ガス配管からガス通路部材280を介して燃料ガス供給マニホールド321に供給され、各燃料極フレーム140が有する燃料ガス供給マニホールド321を構成する孔から、燃料ガス供給連通流路を介して燃料室323に供給される。
【0080】
各反応単位100Uの空気室313に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室323に燃料ガスFGが供給されると、単セル110において酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。上記したように、インターコネクタ190は、隣り合う2つの反応単位100Uに共有されており、インターコネクタ190によって隣り合う2つの反応単位100U間の導通が確保されている。つまり、燃料電池スタック10に含まれる複数の反応単位100Uは、電気的に直列に接続されている。また、複数の反応単位100Uのうち一端(
図2の下端)に位置する反応単位100Uには、第2ターミナルプレート250が電気的に接続されており、他端(
図2の上端)に位置する反応単位100Uには、第1ターミナルプレート240が電気的に接続されている。これにより、燃料電池スタック10の出力端子として機能するターミナルプレート240、250から、各反応単位100Uにおいて生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック10が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
【0081】
図2および
図5に示すように、各反応単位100Uの空気室313から酸化剤ガス排出連通流路133を介して酸化剤ガス排出マニホールド312に排出された酸化剤オフガスOOGは、本体部281の内部空間を通って燃料電池スタック10の外部に排出される。また、
図3および
図6に示すように、各反応単位100Uの燃料室323から燃料ガス排出連通流路を介して燃料ガス排出マニホールド322に排出された燃料オフガスFOGは、本体部281の内部空間を通って燃料電池スタック10の外部に排出される。
【0082】
ここで、例えば酸化剤ガスOGの流通経路において、空気室313よりも下流側の酸化剤ガス排出マニホールド312に変形や異物の混入等が生じ、流路が狭くなったり、閉塞されたりすることがある。このような場合には、空気室313の内圧が、空気極フレーム130の変形や破損が懸念される程に大きくなることが懸念される。
【0083】
本実施形態では、空気極フレーム130が、ガス抜き通路400を有している。このような構成によれば、空気室313の内圧が大きくなると、ガス抜き通路400を通って酸化剤ガスOGが外部空間に排出されることにより、空気室313の内圧が下がる。これにより、空気極フレーム130の変形や破損が抑制され、燃料電池スタック10の発電効率が低下したり、燃料電池スタック10が発電不能となったりすることが抑制される。
【0084】
また、本実施形態では、空気極フレーム130が、マニホールド用ガス抜き通路440を有している。このような構成によれば、マニホールド孔311A、312Aの内圧が大きくなると、マニホールド用ガス抜き通路440を通って酸化剤ガスOGが外部空間に排出されることにより、マニホールド孔311A、312Aの内圧が下がる。これにより、空気極フレーム130の変形や破損が抑制され、燃料電池スタック10の発電効率が低下したり、燃料電池スタック10が発電不能となったりすることが抑制される。
【0085】
本実施形態では、ガス抜き通路400が複数設けられている。このような構成によれば、空気室313の内圧が異常に上昇した際に、酸化剤ガスOGが複数のガス抜き通路400から分散して排出される。これにより、ガス抜き通路が1つしか設けられていない場合と比較して、1つのガス抜き通路400の周辺部に大きな圧力がかかることが避けられ、空気極フレーム130の変形や破損が生じることが抑制される。また、酸化剤ガスOGを速やかに排出し、空気室313の内圧を速やかに下げることができるため、空気極フレーム130の変形や破損が、より確実に抑止される。マニホールド用ガス抜き通路440についても同様である。
【0086】
また、空気室313の内圧が、空気極フレーム130の変形や破損を引き起こすほどには大きくない場合には、酸化剤ガスOGのガス抜き通路400からの排出がされにくく、空気室313の内圧が発電に支障のない高さに保たれることが好ましい。このような観点から、本実施形態では、ガス抜き通路400が、流入口410A、430Aの開口位置から外面130F4までの距離が最短となる最短経路Rs1、Rs2とは異なる非最短経路を通るようになっている。すなわち、ガス抜き通路400が、最短経路Rs1、Rs2を通って延びている場合と比較して長くなっている。このような構成は、空気室313の内圧がそれほど大きくない場合には、酸化剤ガスOGのガス抜き通路400からの排出が緩やかとなり、効率よく発電を行うために必要な空気室313の内圧を維持しやすくなる、という観点から好ましい。マニホールド用ガス抜き通路440についても同様である。
【0087】
また、複数のガス抜き通路400の一部が、屈曲または湾曲形状を有するようになっている。このような構成は、ガス抜き通路が直線形状を有している場合と比較して、空気室313の内圧がそれほど大きくない場合には、酸化剤ガスOGのガス抜き通路400からの排出が緩やかとなり、効率よく発電を行うために必要な空気室313の内圧を維持しやすくなる、という観点から好ましい。また、同様の観点から、ガス抜き通路400は、空気室313の内圧がそれほど大きくない場合には、酸化剤ガスOGのガス抜き通路400からの排出が緩やかとなるような狭い通路であることが好ましく、少なくとも、酸化剤ガス供給連通流路132、酸化剤ガス排出連通流路133よりも狭い通路であることが好ましい。マニホールド用ガス抜き通路440についても同様である。
【0088】
また、本実施形態では、ガス抜き通路400が、空気極フレーム130の第1の主面130F1に配される第1ガス抜き溝410と、第2の主面130F2とに配される第2ガス抜き溝420と、を含む。このように空気極フレーム130の表面に配されるガス抜き溝410、420は、ガス抜き通路が空気極フレームの内部を貫通している場合と比較して、形成が容易であり、製造工程の複雑化を避けることができるという観点から好ましい。また、ガス抜き溝410、420が空気極フレーム130の第1の主面130F1と第2の主面130F2とに配される構成は、ガス抜き溝が第1の主面と第2の主面とのいずれか一方にしか配されていない構成と比較して、ガス抜き通路400が配されている面の周辺部に大きな圧力がかかることを抑制でき、空気極フレーム130の変形や破損が生じることを効果的に抑制できる、という観点から好ましい。マニホールド用ガス抜き通路440についても同様である。
【0089】
(作用効果)
以上のように本実施形態の燃料電池スタック10は、空気極114と、電解質層112と、燃料極116とがこの順に重なっている単セル110と、空気極114が面する空気室313を外部空間から区画する空気極フレーム130と、空気極フレーム130と隣接する単セル用セパレータ120と、同じく空気極フレーム130と隣接するIC用セパレータ180と、を備える複数の電気化学反応単位100Uを備え、各電気化学反応単位100Uにおいて、空気極フレーム130に、空気室313から外部空間に通じるガス抜き通路400が設けられている。
【0090】
上記の構成によれば、例えば空気室313よりも下流側のガス流路において、狭窄や閉塞などが生じることにより、空気室313の内圧が、空気極フレーム130の変形や破損が懸念される程に大きくなるという異常事態が生じた場合に、ガス抜き通路400を通ってガスが外部空間に排出されることにより、空気室313の内圧を下げることができる。これにより、空気極フレーム130の変形や破損を抑制でき、燃料電池スタック10の発電効率が低下したり、燃料電池スタック10が発電不能となったりすることを抑制できる。
【0091】
また、空気極フレーム130が、空気室313に面する第1の内面130F3と、外部空間に面する外面130F4と、を有し、ガス抜き通路400が、第1の内面130F3に開口する流入口410A、430Aを有するとともに、流入口410A、430Aの開口位置から外面130F4までの距離が非最短となる非最短経路を通っている。
【0092】
このような構成によれば、ガス抜き通路400が、最短経路Rs1、Rs2を通って延びている場合と比較して長いため、空気室313の内圧が、空気極フレーム130の変形や破損が懸念されない通常の内圧である場合に、ガスがガス抜き通路400から排出されにくくなり、効率よく発電を行うために必要な空気室313の内圧を維持できる。
【0093】
また、電気化学反応単位100Uが、複数のガス抜き通路400を有している。
【0094】
このような構成によれば、空気室313の内圧が異常に上昇した際に、ガスが複数のガス抜き通路400から効率的に排出されるため、空気極フレーム130の変形や破損を、より確実に抑止できる。
【0095】
また、ガス抜き通路400が、空気極フレーム130において単セル用セパレータ120に接する第1の主面130F1に配された第1ガス抜き溝410と、IC用セパレータ180に接する第2の主面130F2に配された第2ガス抜き溝420と、を含む。
【0096】
このように空気極フレーム130の表面に配されるガス抜き溝410、420は、ガス抜き通路が空気極フレームの内部を貫通するように配されている場合と比較して、形成が容易であるので、製造工程の複雑化を避けることができる。
【0097】
また、ガス抜き溝410、420が、第1の主面130F1と第2の主面130F2と、の双方に配されている。
【0098】
このような構成によれば、ガス抜き溝が第1の主面と第2の主面とのいずれか一方にのみ配されている場合と比較して、空気室313の内圧が異常に上昇した際に、ガスが効率的に排出されるため、空気極フレーム130の変形や破損を、より確実に抑止できる。
【0099】
また、空気極フレーム130が、空気室313に連通し、空気室313にガスを供給または空気室313からガスを排出するためのマニホールド311、312を構成するマニホールド孔311A、312Aを備え、空気極フレーム130に、マニホールド孔311A、312Aから外部空間に通じるマニホールド用ガス抜き通路440が設けられている。
【0100】
空気室313よりも下流側のガス流路において、狭窄や閉塞などが生じることにより、マニホールド孔311A、312Aの内圧も、空気極フレーム130の変形や破損が懸念される程に大きくなる場合がある。このような場合に、マニホールド用ガス抜き通路440を通ってガスが外部空間に排出されることにより、マニホールド孔311A、312Aの内圧を下げることができる。これにより、空気極フレーム130の変形や破損を抑制でき、燃料電池スタック10の発電効率が低下したり、燃料電池スタック10が発電不能となったりすることを抑制できる。
【0101】
また、空気極フレーム130が、マニホールド孔311A、312Aの内部空間に面する第2の内面130F5と、外部空間に面する外面130F4と、を有し、マニホールド用ガス抜き通路440が、第2の内面130F5に開口する流入口450A、470Aを有するとともに、流入口450A、470Aの開口位置から外面130F4までの距離が非最短となる非最短経路を通っている。
【0102】
このような構成によれば、マニホールド用ガス抜き通路440が、最短経路Rs3、Rs4を通って延びている場合と比較して長いため、マニホールド孔311A、312Aの内圧が、空気極フレーム130の変形や破損が懸念されない通常の内圧である場合に、ガスがマニホールド用ガス抜き通路440から排出されにくくなり、効率よく発電を行うために必要なマニホールド孔311A、312Aの内圧を維持できる。
【0103】
また、電気化学反応単位100Uが、複数のマニホールド用ガス抜き通路400を有している。
【0104】
このような構成によれば、マニホールド孔311A、312Aの内圧が異常に上昇した際に、ガスが複数のマニホールド用ガス抜き通路440から効率的に排出されるため、空気極フレーム130の変形や破損を確実に抑止できる。
【0105】
また、マニホールド用ガス抜き通路400が、空気極フレーム130において単セル用セパレータ120に接する第1の主面130F1に配された第1マニホールド用ガス抜き溝450と、IC用セパレータ180に接する第2の主面130F2に配された第2マニホールド用ガス抜き溝460と、を含む。
【0106】
このように空気極フレーム130の表面に配されるマニホールド用ガス抜き溝450、460は、空気極フレームの内部を貫通するように配されているマニホールド用ガス抜き通路と比較して、形成が容易であるので、製造工程の複雑化を避けることができる。
【0107】
また、マニホールド用ガス抜き溝450、460が、第1の主面130F1と、第2の主面130F2と、の双方に配されている。
【0108】
このような構成によれば、マニホールド用ガス抜き溝が第1の主面および第2の主面のいずれか一方にのみ配されている場合と比較して、マニホールド孔311A、312Aの内圧が異常に上昇した際に、ガスが効率的に排出されるため、空気極フレーム130の変形や破損を確実に抑止できる。
【0109】
<実施形態2>
実施形態2を、
図9を参照しつつ説明する。本実施形態は、ガス抜き溝521、531(ガス抜き通路の一例)が、単セル用セパレータ520(隣接部材、第1の隣接部材の一例)およびIC用セパレータ530(隣接部材、第2の隣接部材の一例)に設けられている点で、実施形態1と異なる。
【0110】
実施形態1と同様に、燃料電池スタックに備えられるIC用セパレータ530、空気極フレーム510(区画部材の一例)、および単セル用セパレータ520は、この順に重なって配されている。空気極フレーム510は、実施形態1と同様に、空気室313を外部空間から区画する矩形のフレーム状の部材であって、単セル用セパレータ520に接する第1の主面510F1と、IC用セパレータ530に接する第2の主面510F2と、を有している。単セル用セパレータ520は、実施形態1と同様に、矩形のフレーム状の部材であり、単セル110を支持する。IC用セパレータ530は、実施形態1と同様に、矩形のフレーム状の部材であり、インターコネクタ190を支持する。
【0111】
単セル用セパレータ520は、第1の内面520F1と、外面520F2とを有している。第1の内面520F1のうち周縁部は、空気極フレーム510の第1の主面510F1に接しており、この周縁部よりも内側の領域は、空気室313に面している。外面520F2は、外部空間に面している。ガス抜き溝521は、第1の内面520F1に配され、空気室313から外部空間に通じる通路であって、第1の内面520F1に開口する流入口521A(第1の流入口の一例)を有している。ガス抜き溝521は、流入口521Aから外面520F2までの距離が非最短となる非最短経路を通っていてもよい。ガス抜き溝521は、屈曲または湾曲していてもよい。また、単セル用セパレータ520は、複数のガス抜き溝521を有していてもよい。
【0112】
IC用セパレータ530は、第1の内面530F1と、外面530F2とを有している。第1の内面530F1のうち周縁部は、空気極フレーム510の第2の主面510F2に接しており、この周縁部よりも内側の領域は、空気室313に面している。外面530F2は、燃料電池スタックの外部空間に面している。ガス抜き溝531は、第1の内面530F1に配され、空気室313から外部空間に通じる通路であって、第1の内面530F1に開口する流入口531A(第1の流入口の一例)を有している。ガス抜き溝531は、流入口521Aから外面520F2までの距離が非最短となる非最短経路を通っていてもよい。ガス抜き溝531は、屈曲または湾曲していてもよい。また、IC用セパレータ530は、複数のガス抜き溝531を有していてもよい。
【0113】
その他の構成は、実施形態1と同様であるので、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0114】
本実施形態によれば、ガス抜き通路が、単セル用セパレータ520において空気極フレーム130に接する第1の内面520F1に配されたガス抜き溝521と、IC用セパレータ530において空気極フレーム130に接する第1の内面530F1に配されたガス抜き溝531と、を含んでいる。
【0115】
このような構成によれば、実施形態1と同様に、空気室313の内圧が異常に上昇した場合に、ガス抜き溝521、531を通ってガスが外部空間に排出されることにより、空気室313の内圧を下げることができる。これにより、空気極フレーム510の変形や破損を抑制でき、発電効率の低下を抑制できる。
【0116】
また、単セル用セパレータ520およびIC用セパレータ530の表面に配されるガス抜き溝521、531は、空気極フレーム130の内部を貫通するように配されているガス抜き通路と比較して、形成が容易であるので、製造工程の複雑化を避けることができる。
【0117】
また、ガス抜き溝521、531が、空気極フレーム510の第1の主面510F1に接する単セル用セパレータ520の第1の内面520F1と、空気極フレーム510の第2の主面510F2に接するIC用セパレータ530の第1の内面530F1と、の双方に配されている。これにより、空気室313の内圧が異常に上昇した際に、ガスがガス抜き溝521、531から効率的に排出されるため、空気極フレーム510の変形や破損を、より確実に抑止できる。
【0118】
<実施形態3>
実施形態3を、
図10および
図11を参照しつつ説明する。本実施形態は、空気極フレーム610が有するガス抜き通路612の構成が実施形態1と異なる。
【0119】
実施形態1と同様に、燃料電池スタックに備えられる空気極フレーム610(区画部材の一例)は、中央付近に略矩形の貫通孔131を有する矩形のフレーム状をなし、空気室313を外部空間から区画している。
図10に示すように、空気極フレーム130は、第1の主面610F1と、第2の主面610F2と、第1の内面610F3と、外面610F4と、を有している。第1の内面610F3は、空気室313に面している。外面610F4は、燃料電池スタックの外部空間に面している。第1の主面610F1と第2の主面610F2とは、第1の内面610F3と外面610F4とを接続する面である。第1の主面610F1は、単セル用セパレータ120に接している。第2の主面610F2は、第1の主面610F1とは反対側の面であって、IC用セパレータ180に接している。
【0120】
本実施形態の空気極フレーム610は、
図10に示すように、薄いシート状に構成されたフレーム構成層611の複数が重なり合うことで全体として板状に構成された部材である。各フレーム構成層611は、
図11に示すように、フレーク状のマイカの粒子611Pが多数重なり合うことによって構成されている。このため、各フレーム構成層611の表面には凹凸があり、一の空気極層(第1のフレーム構成層611A:第1の層の一例)と、これと隣り合う他の空気極層(第2のフレーム構成層611B:第2の層の一例)との間には、隙間がある。この隙間が第1の内面610F3から外面610F4まで連なって、空気室313から外部空間に通じる複数のガス抜き通路612となっている。
【0121】
図10に示すように、第1のフレーム構成層611Aは、ガス抜き通路612が配されている部位に、それぞれ、第1の主面610F1に対して傾く傾斜部611AS1、611AS2を有している。同様に、第2のフレーム構成層611Bは、ガス抜き通路612が配されている部位に、それぞれ、第1の主面610F1に対して傾く傾斜部611BS1、611BS2を有している。
【0122】
本実施形態では、第1のフレーム構成層611Aにおいて第1の内面610F3と外面610F4との間の中間位置に、単セル用セパレータ120に向かってV字状に歪む部位が配されることにより、傾斜部611AS1、611AS2が形成されている。一の傾斜部611AS1は、第1の内面610F3に近づくにつれて第1の主面610F1に近づくように傾いている。他の傾斜部611AS2は、一の傾斜部611Aに連なり、第1の内面610F3に近づくにつれて第1の主面610F1から離れるように傾いている。このような傾斜部611AS1、611AS2は、例えば空気極フレーム610に対して部分的なプレス処理を行うことにより形成することができる。第2のフレーム構成層611Bに備えられる傾斜部611BS1、611BS2についても、同様である。
【0123】
このような傾斜部611AS1、611AS2、611BS1、611BS2の存在により、ガス抜き通路612は、第1の内面610F3に開口する流入口612A(第1の流入口の一例)から外面610F4までの距離が最短となる最短経路Rs5とは異なり、最短経路Rs5よりも長い非最短経路を通ることとなる。
【0124】
その他の構成は、実施形態1と同様であるので、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0125】
本実施形態によれば、実施形態1と同様に、空気室313の内圧が異常に上昇した場合に、ガス抜き通路612を通ってガスが外部空間に排出されることにより、空気室313の内圧を下げることができる。これにより、空気極フレーム130の変形や破損を抑制でき、発電効率の低下を抑制できる。
【0126】
また、空気極フレーム130が、空気室313に面する第1の内面610F3と、外部空間に面する外面610F2と、第1の内面610F3と外面610F4とを接続する第1の主面610F1を有するとともに、第1の主面610F1に対して略平行に配され、互いに重ねられた第1のフレーム構成層611Aと第2のフレーム構成層611Bと、を含み、ガス抜き通路612が、第1のフレーム構成層611Aと第2のフレーム構成層611Bとの隙間が第1の内面610F3から外面610F4まで連なることで構成されており、第1のフレーム構成層611Aおよび第2のフレーム構成層611Bにおいてガス抜き通路612が配されている部位が、第1の主面610F1に対して斜めに傾く傾斜部611AS1、611AS2、611BS1、611BS2を有している。
【0127】
このような構成によれば、ガス抜き通路612が、流入口612Aの開口位置から外面610F4までの距離が非最短となる非最短経路を通ることとなる。つまり、ガス抜き通路612が、最短経路Rs5を通って延びている場合と比較して長い。このため、空気室313の内圧が、空気極フレーム610の変形や破損が懸念されない通常の内圧である場合に、ガスがガス抜き通路612から排出されにくくなり、効率よく発電を行うために必要な空気室313の内圧を維持できる。
【0128】
<試験例>
(試験例1)
1.試験方法
1)試験装置の構成
ガス抜き通路を有しないマイカ製の空気極フレームのサンプルS1と、サンプルS1と同様の空気極フレームの一方の表面にレーザ加工により10本のガス抜き通路400A、400B、400C、400Dを形成した4種のサンプルS2、S3、S4、S5と、を準備した(
図12‐
図16参照)。ガス抜き通路400A、400B、400C、400Dはいずれも、深さ10μm、幅10μmとした。サンプルS1-S5をそれぞれ用いて、上記実施形態1と同様の構成を有する燃料電池スタックを準備し、試験装置とした。サンプルS2-S5に形成されたガス抜き通路400A、400B、400C、400Dの構成は、以下のとおりである。
【0129】
(サンプルS2)
図13に示すように、第1マニホールド孔311Aから第2マニホールド孔312Aへのガスの流れ方向(図中の矢印方向)の側方にガス抜き通路400Aが配置されたサンプルS2を準備した。より具体的には、ガス抜き通路400Aを、空気極フレームにおいて第1マニホールド孔311Aが配された辺130Aと、第2マニホールド孔312Aが配された辺130Bとを繋ぐ他の2つの辺130C、130Dに、それぞれ5本ずつ配した。各ガス抜き通路400Aを、空気室313に面する第1の内面130F3から外面130F4に近づくにつれて、ガスの流れの上流側(辺130A側)に近づくように傾斜させた。つまり、ガス抜き通路400Aを、流入口の開口位置から外面130F4までの距離が非最短となる非最短経路を通り、かつ、ガスの流れ方向(図中の矢印方向)とは反対方向に傾斜するように形成した。
【0130】
(サンプルS3)
サンプルS3は、ガス抜き通路400Bの形状がガス抜き通路400Aとは異なる点を除き、サンプルS2と同様である。
図14に示すように、各ガス抜き通路400Bを、屈曲形状を有するように形成した。より具体的には、各ガス抜き通路400Bにおいて、第1の内面130F3に隣接する部分を、第1の内面130F3に対して垂直に延びるように形成し、外面130F4に隣接する残りの部分を、外面130F4に近づくにつれて、ガスの流れの上流側(辺130A側)に近づくように傾斜させた。つまり、ガス抜き通路400Bを、流入口の開口位置から外面130F4までの距離が非最短となる非最短経路を通り、かつ、外面130F4側の一部がガスの流れ方向(図中の矢印方向)とは反対方向に傾斜するように形成した。
【0131】
(サンプルS4)
サンプルS4は、ガス抜き通路400Cの傾きがガス抜き通路400Aとは異なる点を除き、サンプルS2と同様である。
図15に示すように、各ガス抜き通路400Cを、空気室313に面する第1の内面130F3から外面130F4に近づくにつれて、ガスの流れの下流側(辺130B側)に近づくように傾斜させた。つまり、ガス抜き通路400Bを、流入口の開口位置から外面130F4までの距離が非最短となる非最短経路を通り、かつ、ガスの流れ方向(図中の矢印方向)と同方向に傾斜するように形成した。
【0132】
(サンプルS5)
サンプルS5は、ガス抜き通路400Dの傾きがガス抜き通路400Aとは異なる点を除き、サンプルS2と同様である。
図16に示すように、各ガス抜き通路400Dを、第1の内面130F3および外面130F4に対して垂直に延びるように形成した。つまり、ガス抜き通路400Bを、流入口の開口位置から外面130F4までの距離が最短となる最短経路を通るように形成した。
【0133】
2)試験方法
サンプルS1を用いた試験装置に、発電していない条件下で、定常運転時に供給する流量と同等量(30L/min)の空気を供給し、空気室から外部空間へのガス噴出量の測定を行った。酸化剤ガス供給マニホールドに供給された空気の流量と、酸化剤ガス排出マニホールドから排出された空気の流量とを測定し、酸化剤ガス供給マニホールドに供給された空気の流量から酸化剤ガス排出マニホールドから排出された空気の流量を減じた値を「ガス噴出量」とした。
【0134】
空気室に空気を供給した状態で、空気室よりも下流側の流路(酸化剤ガス排出マニホールド)の開閉弁を閉じることにより、空気室内の圧力を上昇させた。開閉弁を閉じてからサンプルS1が破損するまでの時間を基準時間とした。
【0135】
サンプルS2‐S5を用いた試験装置を用い、同様に試験を行って、基準時間と同じ時間だけ開閉弁を閉じた後のサンプルS2-S5の破損の有無を確認した。
【0136】
2.結果
表1に試験結果を示した。表1において、サンプルS2の「経路長/最短距離」の値は、1本のガス抜き通路400Aの経路の長さを、ガス抜き通路400Aの流入口410Aの開口位置から外面130F4までの距離が最短となる最短経路Rs1の長さで除した値である(
図13参照)。他のサンプルS3、S4、S5についても同様である。
【0137】
【0138】
ガス抜き通路400A、400B、400C、400Dを有するサンプルS2-S5を用いた試験では、ガス抜き通路を有しないS1が破損するまでの時間(基準時間)と同じ時間だけ開閉弁を閉じた後でも、破損が生じなかった。サンプルS2-S5を用いた試験では、ガス抜き通路400A、400B、400C、400Dから空気が排出されることによって、サンプルS1を用いた場合よりも空気室313の内圧が下がったためであると考えられる。
【0139】
空気室313の内部が通常の圧力に保たれている状態では、ガス抜き通路400Dが最短経路を通っているサンプルS5と比較して、ガス抜き通路400A、400B、400Dが非最短経路を通っており、「経路長/最短距離」の値が1.05であるサンプルS2、がS3、S4の方が、ガス噴出量が少なく、空気室313内部の圧力が保たれていることが確認された。また、ガス抜き通路400Cがガスの流れ方向と同方向に傾斜するサンプルS4と比較して、ガス抜き通路400B、400Cがガスの流れ方向と反対方向に傾斜する部分を有するサンプルS2、S3の方が、ガス噴出量が少なく、空気室313内部の圧力が保たれていることが確認された。
【0140】
(試験例2)
1.試験方法
上記のサンプルS1と同様の空気極フレームの一方の表面に、レーザ加工により3本のガス抜き通路400E、400Fを形成した2種のサンプルS6、S7を準備した。ガス抜き通路400E、400Fはいずれも、深さ10μm、幅10μmとした。サンプルS6、S7をそれぞれ用いて、上記実施形態と同様の構成を有する燃料電池スタックを準備して試験装置とし、試験例1と同様にして試験を行った。サンプルS6、S7に形成されたガス抜き通路400E、400Fの構成は、以下のとおりである。
【0141】
(サンプルS6)
図17に示すように、第1マニホールド孔311Aから第2マニホールド孔312Aへのガスの流れ方向(図中の矢印方向)の下流側にガス抜き通路400Eが配置された。より具体的には、空気極フレームにおいて第2マニホールド孔312Aが配された辺130Bに、3本のガス抜き通路400Eが配置された。各ガス抜き通路400Eは、流入口410Aの開口位置から外面130F4までの距離が非最短となる非最短経路を通るように形成された。
【0142】
(サンプルS7)
サンプルS7は、ガス抜き通路400Fの傾きがガス抜き通路400Eとは異なる点を除き、サンプルS6と同様である。
図18に示すように、各ガス抜き通路400Fは、流入口410Aの開口位置から外面130F4までの距離が最短となる最短経路を通るように形成された。
【0143】
2.結果
表2に試験結果を示した。「経路長/最短距離」については上記のサンプルS2と同様である。
【0144】
【0145】
ガス抜き通路400E、400Fを有するサンプルS6、S7を用いた場合には、ガス抜き通路を有しないS1が破損するまでの時間(基準時間)と同じ時間だけ開閉弁を閉じた後でも、破損が生じなかった。サンプルS6、S7を用いた場合には、ガス抜き通路400E、400Fから空気が排出されることによって、サンプルS1を用いた場合よりも空気室313の内圧が下がったためであると考えられる。
【0146】
空気室313の内部が通常の圧力に保たれている状態では、ガス抜き通路400Fが最短経路を通っており、「経路長/最短距離」の値が1.05であるサンプルS7と比較して、ガス抜き通路400Eが非最短経路を通っているサンプルS6の方が、ガス噴出量が少なく、空気室313内部の圧力が保たれていることが確認された。
【0147】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、空気極フレーム130、510、610の材質としてマイカを例示したが、区画部材の材質はマイカ以外のセラミック、ガラス、金属であってもよく、異なる材料からなる部材の複数が互いに重ね合わせられた複合部材であっても構わない。
(2)上記実施形態では、空気極フレーム130、510、610が、空気室313を全周にわたって外部空間から区画していたが、区画部材が、例えばU字型、I字型などの、ガス流通空間を全周にわたって囲まない形状を有しており、ガス流通空間の一部が外部空間と連通していても構わない。
(3)上記実施形態では、空気極フレーム130、510、610がフレーム状の部材であったが、例えば、区画部材が、底壁と、底壁の周縁部から立ち上がりガス流通空間を囲むフレーム状の側壁部と、を有する有底容器状であっても構わない。
(4)上記実施形態では、ガス流通空間が空気室313であり、区画部材が空気極フレーム130、510、610であったが、ガス流通空間が、燃料極が面する燃料室であり、区画部材が、燃料室を外部空間から区画する燃料極フレームであっても構わない。
(5)上記実施形態では、隣接部材が単セル用セパレータ120、520、およびIC用セパレータ180、530であったが、隣接部材は、例えば隣り合う単セル間の電気的接続を行うインターコネクタや、単セルに備えられる電解質層や、単セルを支持する金属支持体であっても構わない。
(6)実施形態1では、ガス抜き通路400が、空気極フレーム130の第1の主面130F1に配される第1ガス抜き溝410と、空気極フレーム130の第2の主面130F2に配される第2ガス抜き溝420と、空気極フレーム130を貫通するガス抜き孔430と、を含んでいたが、ガス抜き溝は、例えば区画部材の表裏両面のうち一面にのみ配されていても構わない。あるいは、ガス抜き通路がガス抜き溝のみを含んでいてもよく、ガス抜き孔のみを含んでいても構わない。マニホールド用ガス抜き通路についても同様である。
(7)実施形態1では、空気極フレーム130が、ガス抜き通路400とマニホールド用ガス抜き通路440とを有していたが、区画部材がマニホールド用ガス抜き通路を備えていても、いなくても構わない。
(8)実施形態1では、ガス抜き通路400、およびマニホールド用ガス抜き通路440が非最短経路を通っていたが、ガス抜き通路、およびマニホールド用ガス抜き通路のうち一方または双方が、最短経路を通っていても、非最短経路を通っていても構わない。また、ガス抜き通路、およびマニホールド用ガス抜き通路のうち一部が最短経路を通り、残りが非最短経路を通っていても構わない。
(9)実施形態2では、単セル用セパレータ520とIC用セパレータ530とが、それぞれガス抜き溝521、531を有していたが、ガス抜き溝が、区画部材と隣接する2つの隣接部材のうちどちらか一方のみに配されていても構わない。
(10)実施形態1では、区画部材がガス抜き通路を有し、実施形態2では、隣接部材がガス抜き溝を有していたが、区画部材がガス抜き通路を有し、かつ、隣接部材がガス抜き溝を有していても構わない。
(11)実施形態1では、区画部材がマニホールド用ガス抜き通路を有していたが、隣接部材がマニホールド用ガス抜き通路(マニホールド用ガス抜き溝)を有していても構わない。
(12)実施形態3では、第1のフレーム構成層611Aと第2のフレーム構成層611Bとにおいて、第1の内面610F3と外面610F4との間の中間位置に、単セル用セパレータ120に向かってV字状に凹む部位が設けられることにより、傾斜部611AS1、611AS2、611BS1、611BS2が形成されていたが、傾斜部の配置および形状は任意である。
(13)実施形態3では、
図10において、空気極フレーム610を構成するフレーム構成層611が5層である例を示したが、区画部材を構成する層の数は、任意である。
(14)上記実施形態では、電気化学反応セルスタックが、固体酸化物形の燃料電池(SOFC)に用いられるセルスタックであったが、上記の構成は、固体高分子形燃料電池(PEFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)といった他のタイプの燃料電池に用いられるセルスタック、あるいは、固体酸化物形電解セル(SOEC)の構成単位である電解セル単位を単セルとして備える電解セルスタックにも適用可能である。
【符号の説明】
【0148】
10:電気化学反応セルスタック 100U:電気化学反応単位 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 120、520:単セル用セパレータ(隣接部材、第1の隣接部材) 130、510、610:空気極フレーム(区画部材) 130F1、510F1、610F1:第1の主面 130F2、510F2、610F2:第2の主面 130F3、610F3:第1の内面 130F4、610F4:外面 130F5:第2の内面 180、530:IC用セパレータ(隣接部材、第2の隣接部材) 311、312、321、322:マニホールド 311A、312A:マニホールド孔 313:空気室(ガス流通空間) 400、612:ガス抜き通路 410:第1ガス抜き溝(ガス抜き通路、ガス抜き溝) 410A、430A、612A:流入口(第1の流入口) 420:第2ガス抜き溝(ガス抜き通路、ガス抜き溝) 440:マニホールド用ガス抜き通路 450:第1マニホールド用ガス抜き溝(マニホールド用ガス抜き溝) 450A、470A:流入口(第2の流入口) 460:第2マニホールド用ガス抜き溝(マニホールド用ガス抜き溝) 521、531:ガス抜き溝 611A:第1のフレーム構成層(第1の層) 611B:第2のフレーム構成層(第2の層) 611AS1、611AS2、611BS1、611BS2:傾斜部