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特開2024-150030発電設備規模算出プログラム及び発電設備規模算出方法
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  • 特開-発電設備規模算出プログラム及び発電設備規模算出方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150030
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】発電設備規模算出プログラム及び発電設備規模算出方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241016BHJP
   G06Q 10/00 20230101ALI20241016BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063244
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】510311621
【氏名又は名称】株式会社エクソル
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】川勝 一司
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L049AA04
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】最適な発電設備規模を算出することができる発電設備規模算出プログラム及び発電設備規模算出方法を提供する。
【解決手段】コンピュータ100は、複数の検討規模を設定するステップS4と、年間発電量(時系列)に基づいて算出された複数の検討規模毎の年間余剰量を取得するステップS7と、を実行する。そして、複数の検討規模毎の時系列の年間発電量から年間合計発電量を算出し、年間合計発電量と、年間余剰量と、に基づいて複数の検討規模毎の自家消費電力量を算出し、自家消費電力量と年間余剰量との差分値を曲線近似し、近似した曲線に基づいて複数の検討規模のうち最大となる規模を算出することで発電設備の最適規模を求めるステップS9を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電設備の設置予定条件に基づいて設定される所定の規模の範囲を複数に区分して、前記発電設備について複数の検討規模を設定する第1ステップと、
前記複数の検討規模毎の時系列の年間発電量に基づく年間の余剰量を取得する第2ステップと、
前記複数の検討規模毎の時系列の年間発電量から年間の合計発電量を算出し、前記合計発電量と、前記余剰量と、に基づいて前記複数の検討規模毎の自家消費電力量を算出する第3ステップと、
前記自家消費電力量と前記余剰量との前記複数の検討規模ごとの差分値に基づいて前記所定の規模の範囲から最適規模を求める第4ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする発電設備規模算出プログラム。
【請求項2】
前記第4ステップで求めた前記最適規模が、前記設置予定場所の設置可能面積に基づく設備規模又は前記設置予定場所の電気的制約に基づく設備規模を超えている場合は、前記設置予定場所の設置可能面積に基づく設備規模と、前記設置予定場所の電気的制約に基づく設備規模と、のうち小さい方の設備規模を前記最適規模とする第5ステップを前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に記載の発電設備規模算出プログラム。
【請求項3】
前記第5ステップで求めた前記最適規模における発電量に対する余剰率を求め、前記余剰率が所定の許容範囲に無い場合は前記最適規模を補正する第6ステップを前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項2に記載の発電設備規模算出プログラム。
【請求項4】
前記第1ステップは、前記設置予定場所の設置可能面積に基づく設備規模と、前記設置予定場所の電気的制約に基づく設備規模と、任意の条件に基づくモデルケースの設備規模と、のうち、最小値と最大値の範囲を複数に区分して、前記発電設備について複数の検討規模を設定することを特徴とする請求項1に記載の発電設備規模算出プログラム。
【請求項5】
発電設備の規模を算出する発電設備規模算出システムで実行される発電設備規模算出方法であって、
発電設備の設置予定条件に基づいて設定される所定の規模の範囲を複数に区分して、前記発電設備について複数の検討規模を設定する第1ステップと、
前記複数の検討規模毎の時系列の年間発電量に基づく年間の余剰量を取得する第2ステップと、
前記複数の検討規模毎の時系列の年間発電量から年間の合計発電量を算出し、前記合計発電量と、前記余剰量と、に基づいて前記複数の検討規模毎の自家消費電力量を算出する第3ステップと、
前記自家消費電力量と前記余剰量との差分値を曲線近似し、前記近似した曲線に基づいて前記所定の規模の範囲から最適規模を求める第4ステップと、
を含むことを特徴とする発電設備規模算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電などの発電設備の最適規模を算出する発電設備規模算出プログラム及び発電設備規模算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油等の化石燃料に依存しない太陽光発電システムや風力発電システムなどの自然エネルギーを利用した発電設備が注目されている。
【0003】
この種の発電設備を導入した際においては、いわゆる電力会社からの購入電力と導入した発電設備による発電と、がバランス良く行われるように電力供給の監視を行うことが知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、電力需給監視端末は、電力提供時間帯が始まると、受電電力が逆潮電力より大きいかこれと等しい場合に受電電力から逆潮電力を減算した値を購入電力として積算する。逆潮電力が受電電力よりも大きい場合に逆潮電力から受電電力を減算した値を提供電力として積算する動作を電力提供時間帯が終了するまで繰り返し、電力返還時間帯が始まると、受電電力が逆潮電力より大きい場合に受電電力から逆潮電力から減算した値を返還電力として積算する動作を、電力返還時間帯が終了するか、積算された返還電力が返還可能電力量を超過するまで繰り返すことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-148382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、既に設置済みの発電設備に対する電力需要の監視や制御を行うものである。しかしながら、発電設備が電力消費量との関係で過大設備であるのか、あるいは、過小設備であるのかを評価することは示唆されていない。また、既存の需要設備に増設して、自家消費を目的に発電設備をこれから設ける場合は、設置可能面積や既存需要設備との保護協調など種々の条件に基づいて、多面的に検討して設備規模を計画する必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、最適な発電設備規模を算出することができる発電設備規模算出プログラム及び発電設備規模算出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、発電設備の設置予定条件に基づいて設定される所定の規模の範囲を複数に区分して、前記発電設備について複数の検討規模を設定する第1ステップと、前記複数の検討規模毎の時系列の年間発電量に基づく年間の余剰量を取得する第2ステップと、前記複数の検討規模毎の時系列の年間発電量から年間の合計発電量を算出し、前記合計発電量と、前記余剰量と、に基づいて前記複数の検討規模毎の自家消費電力量を算出する第3ステップと、前記自家消費電力量と前記余剰量との前記複数の検討規模ごとの差分値に基づいて前記所定の規模の範囲から最適規模を求める第4ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする発電設備規模算出プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明は、複数の検討規模を設定し、各検討規模について求めた自家消費電力量と余剰量との差分の近似曲線に基づいて、複数の検討規模を含む規模の範囲から最適な発電設備の規模を求めているので、精度良くかつ効率的に最適な発電設備規模を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかる発電設備規模算出プログラムが実行されるコンピュータの概略構成図である。
図2図1に示された発電設備規模算出プログラムの動作のフローチャートである。
図3図2に示されたステップS4及びステップS5の説明図である。
図4】補正動作のフローチャートである。
図5】設備規模とエネルギー収支の関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる発電設備規模算出プログラムを実行するコンピュータの概略構成図である。なお、以下の説明では、コンピュータをパーソナルコンピュータとして説明するが、発電設備規模算出プログラムをクラウドサーバ等のサーバコンピュータで実行してもよい。
【0012】
図1に示したコンピュータ100は、CPU101と、ROM102と、RAM103と、記憶装置104と、ビデオI/F105と、入力I/F106と、周辺機器I/F107と、ネットワークI/F108と、を有している。
【0013】
CPU101は、ROM102に格納されているプログラムや記憶装置104に格納されているプログラムを実行する中央処理装置(Central Processing Unit)である。
【0014】
ROM102は、コンピュータ100の起動時に実行されるプログラムやデータ等が格納されている読み出し専用メモリである。RAM103は、CPU101が各種プログラム等を実行する際のデータ等が一時的に格納されるランダムアクセスメモリである。記憶装置104は、後述する発電設備規模算出プログラム1を含むCPU101で実行されるプログラムや当該プログラムで使用されるデータ(情報)が格納されているハードディスクドライブや不揮発性半導体メモリなどによる記憶装置である。
【0015】
ビデオI/F105は、液晶ディスプレイ等の表示装置(不図示)へ表示するためのインターフェース(I/F)であり、CPU101の処理結果等を表示装置(不図示)の表示形式に変換し表示させる。入力I/F106は、例えばキーボードやマウス等の入力装置が接続され、入力装置からの入力信号をCPU101等へ出力する。周辺機器I/F107は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等の拡張用のI/Fであり、プリンタや外付けHDD等の外部周辺機器が接続される。ネットワークI/F108は、インターネット等の外部ネットワークとの接続用I/Fであり、有線通信、無線通信のいずれであってもよい。
【0016】
そして、CPU101と、ROM102と、RAM103と、記憶装置104と、ビデオI/F105と、入力I/F106と、周辺機器I/F107と、ネットワークI/F108と、は、バス109で相互に接続されている。
【0017】
次に、上述したコンピュータ100のCPU101で実行される本発明の一実施形態にかかる発電設備規模算出プログラム1を図2図5を参照して説明する。図2は、発電設備規模算出プログラム1の動作のフローチャートである。なお、以下の説明では発電設備規模算出プログラム1が対象とする発電設備を太陽光発電システムとする。
【0018】
まず、任意の設備規模(以下Piとする)の年間発電量の算定をする(ステップS1)。このPiとは、発電設備を設置する場所(地点)の設置形態や日射属性などに基づいて過去の実績等から設定されるモデルケースである。ここで設備規模とは、例えば太陽光発電システムの場合は太陽電池パネル(太陽電池モジュールともいう)の枚数となる。設備規模にはパネル枚数だけでなく、あるいは、PCS(Power Conditioning Sub-system)の台数としてもよいが以下の説明では理解を容易にするために単にパネル枚数で説明する。このPiは、任意の値であるので、発電設備規模算出プログラムの使用者が上記した条件を考慮して入力すればよい。
【0019】
年間発電量は、このモデルケースにおける例えば1年間の発電量であり、年間の合計値ではなく、例えば1年間における時系列の発電量のデータである。年間発電量は1年に限らず複数年(経年)であってもよい。したがって、以下の説明で算出される年間発電量等も経年であってよい。
【0020】
次に、物理的条件より決まる設備規模(以下Paとする)を決める(ステップS2)。物理的条件とは、設置場所の設置可能面積や設置形態に基づいて物理的に設置ができる上限の規模(枚数)である。
【0021】
次に、電気的条件より決まる設備規模(以下Peとする)の決める(ステップS3)。電気的条件とは、設置場所の既存需要設備(契約対象トランス容量あるいは契約電力)と保護協調より決まる上限の規模(枚数)である。
【0022】
次に、検討範囲を決定する(ステップS4)。検討範囲は、上記したPi、Pa、Peのうち、最小値(min)と最大値(max)を抽出し、最小値と最大値との間の範囲とする。
【0023】
即ち、設置予定場所の設置可能面積に基づく設備規模と、設置予定場所の電気的制約に基づく設備規模と、任意の条件に基づくモデルケースの設備規模と、のうち、最小値と最大値の範囲を複数に区分して、発電設備について複数の検討規模を設定している。
【0024】
次に、検討規模および年間発電量の推定を行う(ステップS5)。本ステップでは、ステップS4で決定した最小値から最大値の範囲をn等分して検討規模を設定する。この等分の方法は、検討規模(枚)をPm(m=1~n+1)とすると以下の(1)式で求めることができる。
Pm=(max(Pi,Pa,Pe)-min(Pi,Pa,Pe))/n×m+min(Pi,Pa,Pe)・・・(1)
【0025】
なお、最小値から最大値の範囲は等分するのが好ましいが等分でなくてもよい。例えば最小値から最大値の範囲のうち特定の範囲を細かく分割してもよいし、特定の範囲を粗く分割してもよい。即ち、所定の規模の範囲を複数に区分して、発電設備について複数の検討規模を設定している。
【0026】
各検討規模の年間発電量Gmは、Piの年間発電量をGiとすると、以下の(2)式で求めることができる。ここで、年間発電量Gmの設置形態はPiと同等で、設備規模に正比例するものとする。なお、本ステップで算出する年間発電量は時系列の発電量である。
Gm=Gi×Pm/Pi・・・(2)
【0027】
ステップS4及びS5の説明図を図3に示す。図3は、Pi<Pa<Peの場合であり、Pi~Peの範囲でn等分して、検討規模P1~Pmとする。Piの時系列の年間発電量Giは既知であるので、(2)式により各検討規模P1~Pmの時系列の年間発電量G1~Gmが求められる。
【0028】
次に、検討規模ごとに求めた時系列の年間発電量に対して、プロセス解析を行い、検討規模ごとに年間余剰量を求める(ステップS6)。本ステップでは、年間発電量(時系列)から、実績消費電力(時系列)を引くことで年間余剰量(時系列)を求める。ここで求めた余剰量は時系列の値となるので、その時系列の値を年間で積算して検討規模ごとに年間余剰量を求める。なお、実績消費電力とは、設置場所となる家屋やビル等の施設における時系列の年間消費電力量(時系列年間消費電力量)の実績値である。
【0029】
ある時間帯において、発電量<消費電力であれば足りない量に関わらず余剰量は0になる。この場合、発電量はすべて自家消費量となり、足りない量は商用電源等の他の電力源で賄うことになる。一方、発電量≧消費電力であれば消費電力が自家消費量となり、消費電力を超える部分が余剰量となる。
【0030】
ステップS6のプロセス解析は、発電量の推移と電力消費量の推移との関係で自家消費の効果を示す外部のシステムを用いてもよく、そのシステムの結果を後述するステップS7で取得するようにしてもよい。
【0031】
次に、ステップS6で算出された年間余剰量を取得する(ステップS7)。即ち、ステップS7では、複数の検討規模毎の時系列の年間発電量に基づく複数の検討規模毎の年間の余剰量を取得している。
【0032】
次に、上記した変数mがn+1以上であるか判定する(ステップS8)。判定の結果NOである場合は、ステップS5に戻り、変数mをインクリメントして次の検討規模について年間発電量と年間余剰量とを求める。
【0033】
一方、判定の結果YESである場合は、エネルギー収支条件上の最適点を求める(ステップS9)。ここでいう最適点(最適な規模)は、余剰売電が無いものとすると、自家消費量が大きく(他の電力源に頼らない)、余剰量が小さい(発電電力を余らせない)ことである。そこで、まず、検討規模の年間発電量(時系列)を年間で積算した検討規模の年間合計発電量G1~Gmから年間余剰量R1~Rmを減算することで、検討規模毎の自家消費量を算出する。そして、自家消費量-年間余剰量が最も大きい規模を設定すればよい。
【0034】
本実施形態では、検討規模毎の自家消費量-年間余剰量の発電量に対する近似式を求める。つまり、検討規模毎の自家消費量-年間余剰量を曲線近似し、最適となる規模を算出している。即ち、近似された曲線の変曲点Δf=0となる点を最適点とする。この最適点における規模をPbとする。
【0035】
次に、Pa、Pe、Pbのうち、最小規模のものを最適な設備規模(仮)とする(ステップS10)。PbがPaを超えていると物理的条件を満たせず設置不可であり、PbがPeを超えていると電気的条件を満たせず設置不可である。そこで、これらのうち最も小さい値を最適設備規模(仮)とする。したがって、Pbが最も小さい場合は、ステップS9の段階で最適設備規模(仮)が求まることになる。
【0036】
次に、ステップS10で求めた最適設備規模(仮)の時の余剰率を、検討規模毎の余剰量より求め、許容できるか判断し、許容できない場合は補正する動作を図4を参照して説明する。図4の内容も発電設備規模算出プログラム1の一部である。
【0037】
まず、余剰率=余剰量/発電量とし、設備規模に対する平均余剰率の曲線の近似式を求める。つまり、近似式は上記検討規模ごとの余剰率から求める。そして、近似式によりステップS9で求めた最適設備規模(仮)の発電量の時の余剰率を求める(ステップS11)。
【0038】
次に、ステップS11で求めた余剰率(Rt%)が予め定めた許容余剰率(Rr%)以内であるか判定する(ステップS12)。
【0039】
余剰率(Rt%)が許容余剰率(Rr%)を超えている場合は、近似式から許容余剰率時の設備規模(Pr)を求める(ステップS13)。即ち、余剰率が所定の許容範囲に無い場合は最適規模を補正している。そして、ステップS13で求めた設備規模(Pr)が最終的な最適設備規模となる(ステップS14)。
【0040】
なお、ステップS13では、補正により求めた設備規模(Pr)がP00~Pm(検討範囲の最大値)の範囲内にあることを確認してもよい。ここでP00はパネル枚数=0を示す。例えば、PrがP00未満の場合は、P01(パネル枚数=1)を最適設備規模とする。PrがP00以上最大値(Pm)以下の場合は、Prをそのまま最適設備規模とする。PrがPmを超える場合は、Pm(最大値)を最適設備規模とする。なお、PrがP00未満の場合は、検討範囲の最小値(例えばPi)を最適設備規模としてもよい。
【0041】
一方、余剰率(Rt%)が許容余剰率(Rr%)以下の場合は、ステップS10で求めた最適設備規模(仮)を最終的な最適設備規模とする(ステップS14)。
【0042】
図5に上述した設備規模とエネルギー収支の関係を示す。図5において、縦軸は電力量(kWh)であり、横軸は設備規模(Kw)を示す。この横軸は太陽電池パネルの枚数ではなく発電設備から出力される電力であるが、太陽電池パネルの枚数とは比例関係にあるとみなせる。
【0043】
図5の実線は、発電量であり、Piが最小値、Peが最大値となった場合である。破線は、余剰量を示すものであり、逆潮流量ともいう。一点鎖線は、自家消費量-余剰量を曲線近似したものである。
【0044】
図5において、一点鎖線の変曲点(Δf=0)となる設備規模に対応する実線上の点が最適点Pbとなる。そして、PaがPbとPeの間であったとすると、Pbが最小となるので最適設備規模(仮)となる。そして、Pbが許容余剰率を超えていたとすると、許容余剰率時の設備規模Prを最終的な最適設備規模Psとする。
【0045】
以上の説明から明らかなように、コンピュータ100は発電設備規模算出システムとして機能し、ステップS4、S5が第1ステップ、ステップS7が第2ステップ、ステップS9が第3、第4ステップとして機能する。そして、ステップS10が第5ステップ、ステップS12、S13が第6ステップとして機能する。
【0046】
本実施形態によれば、コンピュータ100は、設置予定場所の設置可能面積に基づく設備規模Paと、設置予定場所の電気的制約に基づく設備規模Peと、任意の条件に基づくモデルケースの設備規模Piと、のうち、最小値と最大値とを設定して、その最小値と最大値の範囲を複数に等分して、複数の検討規模を設定するステップS4と、年間発電量(時系列)と、実績消費電力(時系列)と、に基づいて算出された複数の検討規模毎の年間余剰量を取得するステップS7と、を実行する。そして、複数の検討規模毎の時系列の年間発電量から年間合計発電量を算出し、年間合計発電量と、年間余剰量と、に基づいて複数の検討規模毎の自家消費電力量を算出し、自家消費電力量と年間余剰量との差分値を曲線近似し、近似した曲線に基づいて最小値から最大値までの範囲のうち発電設備の最適規模を求めるステップS9を実行する。
【0047】
発電設備規模算出プログラムが上記のように構成されることにより、Pa、Pe、Piのうち最小値と最大値の範囲から複数の検討規模を設定し、各検討規模について求めた自家消費電力量と年間余剰量との差分の近似曲線に基づいて、最大値から最小値までの範囲で最適な発電設備の規模を求めているので、精度良くかつ効率的に最適な発電設備規模を算出することができる。
【0048】
また、検討規模の範囲としてPa、Pe、Piのうち最小値と最大値を設定しているので、物理的に設置可能は設備規模と設置予定場所の電気的な制約により設置可能な設備規模とを考慮して検討規模を設定することができる。
【0049】
また、ステップS9で求めた最適規模Pbが、Pa又はPeを超えている場合は、PaとPeとのうち小さい方の設備規模を最適規模としている。このようにすることにより、現実的に設置可能な規模を提案することができる。
【0050】
また、第4ステップで求めた最適規模における発電量に対する余剰率を求め、その余剰率が所定の許容範囲に無い場合は最適規模を補正している。このようにすることにより、余剰率が大きい場合は、適正な範囲となるように補正することが可能となる。
【0051】
なお、上述した実施形態では、太陽光発電システムで説明したが、例えば風力発電等の他の方式の発電設備についても適用することができる。また、上述した実施形態では、太陽電池パネルや風車等の直接発電する設備部分について説明したが、蓄電池等の貯蔵設備も含めて発電設備としてもよい。貯蔵設備がある場合には、ピークシフトによる充放電が負荷として作用し、結果、自家消費量に反映される。
【0052】
また、本実施形態では検討規模を設定する際の規模として、Pa及びPeを用いていたが、地理的条件、設備上の条件を含む設置形態による制約条件である設置予定条件に基づく任意の設備規模に基づいて設定してもよい。
【0053】
また、本発明の発電設備規模算出システムは、1つのコンピュータで構成されるに限らず、複数のコンピュータで構成されていてもよい。つまり、発電設備規模算出プログラムが複数のコンピュータで実行されるように複数のプログラムに分割される構成であってもよい。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の発電設備規模算出プログラム及び発電設備規模算出方法の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
1 発電設備規模算出プログラム
100 コンピュータ(発電設備規模算出システム)
S4 検討範囲の決定(第1ステップ)
S5 検討規模および年間発電量の推定(第1ステップ)
S7 年間余剰量の取得(第2ステップ)
S9 エネルギー収支条件上の最適点を求める(第3ステップ、第4ステップ)
S10 最適設備規模(仮)決定(第5ステップ)
S12 余剰率が予め定めた許容余剰率以内であるか判定(第6ステップ)
S13 補正(第6ステップ)
図1
図2
図3
図4
図5