(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150031
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】毛髪処理剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/39 20060101AFI20241016BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20241016BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241016BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241016BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20241016BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20241016BHJP
A61Q 5/08 20060101ALI20241016BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
A61K8/39
A61Q5/00
A61K8/34
A61K8/86
A61K8/73
A61K8/81
A61Q5/08
A61Q5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063247
(22)【出願日】2023-04-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年4月22日に、毛髪処理剤が記載されたパンフレットの納品を依頼することにより配布
(71)【出願人】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 健太郎
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB012
4C083AB082
4C083AB312
4C083AB352
4C083AB412
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC172
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC352
4C083AC472
4C083AC552
4C083AC892
4C083AC902
4C083AD041
4C083AD071
4C083AD091
4C083AD241
4C083AD281
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD642
4C083BB05
4C083BB60
4C083CC31
4C083CC35
4C083CC36
4C083DD06
4C083EE01
4C083EE07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】経時的な粘度の増加を防止して、容器からの吐出性を向上させることができるとともに、容器への充填時における泡がみを防止して、第二剤と混合した際のねばり性および塗布操作性を向上させることができる毛髪処理剤を提供することを目的とする。
【解決手段】毛髪処理剤は、成分(A)として、炭素数が12~22である高級アルコールを含有し、成分(B)として、エチレンオキシドの平均付加モル数が8以下であり、HLB値が9未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有し、成分(C)として、エチレンオキシドの平均付加モル数が20以上50以下であり、HLB値が12以上であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有し、成分(D)として、エチレンオキシドの平均付加モル数が100以上200以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)として、炭素数が12~22である高級アルコールを2.5~20質量%含有し、
成分(B)として、エチレンオキシドの平均付加モル数が8以下であり、HLB値が9未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.1~4質量%含有し、
成分(C)として、エチレンオキシドの平均付加モル数が20以上50以下であり、HLB値が12以上であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.2~4質量%含有し、
成分(D)として、エチレンオキシドの平均付加モル数が100以上200以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.1~3質量%含有し、
成分(E)として、平均分子量が1000以上20000以下であるポリエチレングリコールを0.5~3質量%含有し、
成分(F)として、水溶性増粘剤を0.1~0.5質量%含有する
ことを特徴とする毛髪処理剤。
【請求項2】
前記成分(A)が、1-ドデカノール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール、及びセトステアリルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪処理剤。
【請求項3】
前記成分(B)が、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、及びポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪処理剤。
【請求項4】
前記成分(C)が、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、及びポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪処理剤。
【請求項5】
前記成分(D)が、ポリオキシエチレンステアリルエーテル及びポリオキシエチレンセチルエーテルの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪処理剤。
【請求項6】
前記成分(F)が、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、ビニルメチルエーテル・マレイン酸エチル共重合体、ポリビニルピロリドン、デキストリン、ペクチン、及びローカストビーンガムからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪処理剤。
【請求項7】
成分(G)として、アニオン性界面活性剤を1~10質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の毛髪処理剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染色処理や脱色処理等の毛髪の処理において使用する毛髪処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
2剤型の酸化染毛剤は、酸化染料及びアンモニア等のアルカリ剤を含有する第一剤と、酸化剤を含有する第二剤とから構成され、第一剤はアルカリ性に、第二剤は酸性に、それぞれ調整されており、第一剤と第二剤とが混合して使用される。
【0003】
そして、第一剤と第二剤とを混合すると、アルカリ性に調整された第一剤が、第二剤の酸化剤、例えば過酸化水素を活性化させ、この混合物を毛髪に塗布すると、第一剤のアルカリ剤が毛髪のキューティクルを開き、第一剤及び第二剤の双方の薬剤が毛髪内に浸透する。薬剤が浸透した毛髪内では、活性化した第二剤の酸化剤により、第一剤に含まれる酸化染料の酸化重合が進行して色素が形成され、当該色素による毛髪の発色が進行する。また、染料を含まない毛髪処理剤は、上述の機構により、脱色剤として作用する。
【0004】
第一剤の剤型としては、液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、エアゾールフォームなどの種々のタイプが挙げられるが、特に、プロフェッショナル用の酸化染毛剤および脱色剤においては、毛髪への塗布時の操作性が良いことから、クリーム状のものが好まれている。
【0005】
また、クリーム状の第一剤においては、乳化物中に酸化染料やアルカリ剤を含有させることが必要であるが、酸化染料やアルカリ剤の種類によっては、その配合量に比例して、乳化物の粘度が顕著に低下してしまい、クリーム状の剤型を維持することが困難になるため、塗布操作性が低下する場合があった。
【0006】
そこで、クリーム状の剤型を維持するために、特定の乳化剤や増粘剤等を添加して粘度を高めた第一剤が提案されている。より具体的には、例えば、14~30個の炭素原子を含む脂肪族アルコールから選択され、HLB値が6以下であり、少なくとも30℃の融点を有する界面活性剤と、1~20個のエチレンオキシド単位を有し、炭素数が8~30であるアルキルエーテルリン酸と、少なくとも25個のエチレンオキシド単位を有し、HLB値が7以上であるポリオキシエチレンアルキルエーテルとを含む第一剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、HLB値が10未満のノニオン界面活性剤(A)と、1分子中にオキシエチレン単位を100以上有するポリオキシエチレンアルキルエーテル(B)とを含有し、ノニオン界面活性剤(A)とポリオキシエチレンアルキルエーテル(B)との質量比(A:B)が、1:0.05~1:2.75であり、ノニオン界面活性剤(A)とポリオキシエチレンアルキルエーテル(B)との合計量が0.15~7.5質量%である第一剤が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5680830号公報
【特許文献2】特開2019-43874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1においては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを配合することで粘度を高めることはできるが、経時的な粘度の増加によって容器からの吐出性が低下するという問題があった。
【0009】
また、上記特許文献2においては、エチレンオキシドの平均付加モル数が100以上であり、HLB値が高いポリオキシエチレンアルキルエーテルを配合することにより、低粘度の状態になっているが、容器への充填時に泡がみが発生しやすく、また、第二剤と混合した際のねばり性が不十分であるため、染毛剤の塗布操作性に乏しいという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、経時的な粘度の増加を防止して、容器からの吐出性を向上させることができるとともに、容器への充填時における泡がみを防止して、第二剤と混合した際のねばり性および塗布操作性を向上させることができる毛髪処理剤(第一剤)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の毛髪処理剤は、成分(A)として、炭素数が12~22である高級アルコールを2.5~20質量%含有し、成分(B)として、エチレンオキシドの平均付加モル数が8以下であり、HLB値が9未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.1~4質量%含有し、成分(C)として、エチレンオキシドの平均付加モル数が20以上50以下であり、HLB値が12以上であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.2~4質量%含有し、成分(D)として、エチレンオキシドの平均付加モル数が100以上200以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.1~3質量%含有し、成分(E)として、平均分子量が1000以上20000以下であるポリエチレングリコールを0.5~3質量%含有し、成分(F)として、水溶性増粘剤を0.1~0.5質量%含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、経時的な粘度の増加を防止して、容器からの吐出性を向上させることができるとともに、容器への充填時における泡がみを防止して、第二剤と混合した際のねばり性および塗布操作性を向上させることができる毛髪処理剤を提供することができる。
【0013】
また、第二剤と混合して調製した染毛剤を、櫛やハケなどの塗布用具を用いて毛髪に塗布する際に、塗布用具から飛び散ることを防止することができ、塗布作業の作業性を向上させることができる。
【0014】
また、第二剤と混合して調製した染毛剤を、塗布用具を用いて毛髪に塗布する際に、毛髪上に伸び広がりやすくなるため、塗布作業時における染毛剤の伸び性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、適宜、変更して適用することができる。
【0016】
本発明の毛髪処理剤は、例えば、2剤型の酸化染毛剤において、酸化染料及びアルカリ剤を含有する第一剤として使用されるものである。
【0017】
<炭素数が12~22である高級アルコール>
本発明の毛髪処理剤は、炭素数が12~22である高級アルコールを成分(A)として含有している。
【0018】
この成分(A)としては、1-ドデカノール(炭素数12)、ミリスチルアルコール(炭素数14)、セチルアルコール(炭素数16)、ステアリルアルコール(炭素数18)、オレイルアルコール(炭素数18)、オクチルドデカノール(炭素数20)、ベヘニルアルコール(炭素数22)、及びセトステアリルアルコール(炭素数16、または18)が挙げられる。また、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
そして、成分(A)を使用することにより、経時的な粘度の増加を防止することが可能になるため、吐出性を向上させることが可能になる。
【0020】
なお、「吐出性」とは、毛髪処理剤(第一剤)を容器から出す際の性質のことを言い、粘度が適正な場合は、容器からの吐出性に優れていると言えるが、粘度が高いものは容器から出にくく、粘度が低いものは容器を開封した際にすぐに噴き出す、またはたれ落ちるため、吐出性に乏しいと言える。
【0021】
なお、吐出性を確実に向上させるとの観点から、毛髪処理剤の全体に対する成分(A)の含有量は、2.5~20質量%である。
【0022】
<エチレンオキシドの平均付加モル数が8以下であり、HLB値が9未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテル>
本発明の毛髪処理剤は、親油性の成分として、エチレンオキシド(酸化エチレン)の平均付加モル数(エチレンオキシドの繰り返し数)が8以下であり、HLB(Hydrophile -Lipophile Balance)値が9未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを成分(B)として含有している。
【0023】
この成分(B)としては、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(2E.O.)(HLB値:8)、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(3E.O.)(HLB値:8)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(2E.O.)(HLB値:8)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(2E.O.)(HLB値:7.5)、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(5E.O.)(HLB値:7)、及びポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル(5E.O.)(HLB値:7)が使用される。また、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
なお、括弧内の「E.O.」はエチレンオキシドの意味であり、「E.O.」の前の数値は、エチレンオキシドの平均付加モル数(1分子中のオキシエチレン単位の数)を意味している。
【0025】
そして、このような成分(B)を含有することにより、上述の成分(A)と同様に、経時的な粘度の増加を防止することが可能になるため、吐出性を向上させることが可能になる。
【0026】
なお、吐出性を確実に向上させるとの観点から、毛髪処理剤の全体に対する成分(B)の含有量は、0.1~4質量%である。
【0027】
<エチレンオキシドの平均付加モル数が20以上50以下であり、HLB値が12以上であるポリオキシエチレンアルキルエーテル>
本発明の毛髪処理剤は、親水性の成分として、エチレンオキシドの平均付加モル数が20以上50以下であり、HLB値が12以上であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを成分(C)として含有している。
【0028】
この成分(C)としては、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.)(HLB値:18)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.)(HLB値:20)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(50E.O.)(HLB値:18)、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(30E.O.)(HLB値:18)、及びポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル(20E.O.)(HLB値:13)が使用される。また、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
そして、このような成分(C)を含有することにより、チューブ状容器への充填時における泡がみを防止することができるとともに、第二剤と混合した際のねばり性および塗布操作性を向上させることが可能になる。
【0030】
なお、ここで言う「泡がみ」とは、毛髪処理剤(第一剤)が気泡を含む状態のことを言う。
【0031】
また、「ねばり性」は、毛髪処理剤(第一剤)と第二剤とを混合して調製した染毛剤が毛髪上において伸びる性質、または毛髪に付着する性質のことを言う。
【0032】
一般に、「泡がみ」があると、第一剤と第二剤との混合が困難になり、毛髪処理剤(第一剤)と第二剤とを混合して調製した染毛剤を、毛髪の所望の部分に所望の量を塗布することが困難になり、毛髪に対して染毛剤を塗布している時の染毛剤の塗布操作性が低下する。
【0033】
また、「ねばり性」が不十分であると、染毛剤が伸びない、染毛剤が伸びすぎる、染毛剤が毛髪に付着しない、及び染毛剤が毛髪に付着しすぎて重たい状態となるため、染毛剤を毛髪の所望の部分に所望の量を塗布することが困難になり、毛髪に対して染毛剤を塗布している時の染毛剤の塗布操作性が低下する。
【0034】
なお、泡がみを確実に防止するとともに、ねばり性および塗布操作性を確実に向上させるとの観点から、毛髪処理剤の全体に対する成分(C)の含有量は、0.2~4質量%である。
【0035】
また、少量の成分(B)と少量の成分(C)により、十分な乳化能力を発揮させるとの観点から、成分(B)と成分(C)との質量比が、成分(B):成分(C)=5:1~1:5であることが好ましい。
【0036】
<エチレンオキシドの平均付加モル数が100以上200以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテル>
本発明の毛髪処理剤は、エチレンオキシドの平均付加モル数が100以上200以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを成分(D)として含有している。
【0037】
この成分(D)としては、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(100E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(150E.O.)、及びポリオキシエチレンステアリルエーテル(200E.O.)が使用される。また、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
そして、このような成分(D)を含有することにより、上述の成分(C)と同様に、チューブ状容器への充填時における泡がみを防止することができるとともに、第二剤と混合した際のねばり性および塗布操作性を向上させることが可能になる。
【0039】
なお、泡がみを確実に防止するとともに、ねばり性および塗布操作性を確実に向上させるとの観点から、毛髪処理剤の全体に対する成分(D)の含有量は、0.1~3質量%である。
【0040】
また、液だれを確実に防止するとともに、塗布操作性を確実に向上させるとの観点から、成分(C)と成分(D)との質量比が、成分(C):成分(D)=3:1~1:3であることが好ましい。
【0041】
<平均分子量が1000以上20000以下であるポリエチレングリコール>
本発明の毛髪処理剤は、平均分子量が1000以上20000以下であるポリエチレングリコールを成分(E)として含有している。
【0042】
なお、ここでいう「平均分子量」とは、末端水酸基価から計算される分子量のことを指し、医薬部外品原料規格2021(外原規2021)に記載された平均分子量(医薬部外品原料規格2021に記載された測定方法による値)のことを言う。
【0043】
そして、このような成分(E)を含有することにより、ナトリウム等のミネラルおよび炭酸水素アンモニウム等の電解質に対する耐性が向上するとともに、毛髪繊維に対するクリーム状の毛髪処理剤の接着力が向上することになるため、毛髪処理剤(第一剤)と第二剤とを混合して調製した染毛剤を、櫛やハケなどの塗布用具を用いて毛髪に塗布する際に、塗布用具から飛び散ることを防止することができ、塗布作業の作業性を向上させることが可能になる。
【0044】
なお、塗布用具からの飛び散りを確実に防止するとの観点から、毛髪処理剤の全体に対する成分(E)の含有量は、0.5~3質量%である。
【0045】
<水溶性増粘剤>
本発明の毛髪処理剤は、水溶性(親水性)増粘剤を成分(F)として含有している。
【0046】
この成分(F)としては、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、ビニルメチルエーテル・マレイン酸エチル共重合体、ポリビニルピロリドン、デキストリン、ペクチン、及びローカストビーンガムが使用される。また、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
また、カルボキシビニルポリマーは、市販品を使用することができる。カルボキシビニルポリマーの市販品としては、後述の実施例27において使用しているLubrizol社製のCarbopol Ultrez 10 polymerや、住友精化社製のAQUPEC HV-501等が挙げられる。
【0048】
また、同様に、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体についても、市販品を使用することができる。アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の市販品としては、後述の実施例28において使用しているLubrizol社製のCarbopol ETD 2020 Polymerや、住友精化社製のAQUPEC HV-501ER等が挙げられる。
【0049】
そして、このような成分(F)を含有することにより、毛髪処理剤(第一剤)と第二剤とを混合して調製した染毛剤を、櫛やハケなどの塗布用具を用いて毛髪に塗布する際に、毛髪上に伸び広がりやすくなるため、塗布作業時における染毛剤の伸び性を向上させることが可能になる。
【0050】
なお、塗布作業時における染毛剤の伸び性を確実に向上させるとの観点から、毛髪処理剤の全体に対する成分(F)の含有量は、0.1~0.5質量%である。
【0051】
<アニオン性界面活性剤>
本発明の毛髪処理剤は、アニオン性界面活性剤を成分(G)として含有している。
【0052】
この成分(G)としては、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸(10E.O.)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、及びステアロイルメチルタウリンナトリウムが使用される。また、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
そして、このような成分(G)を含有することにより、毛髪に対する酸化染料の浸透性が向上するため、染色性を向上させることが可能になる。
【0054】
なお、染色性を確実に向上させるとの観点から、毛髪処理剤の全体に対する成分(G)の含有量は、1~10質量%である。
【0055】
(液状油)
また、本発明の毛髪処理剤は、毛髪に対して良好な感触とツヤを与えるとの観点から、液状の油性成分(液状油)を含有してもよい。この液状油としては、例えば、パルミチン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、流動パラフィン、スクワラン、マカダミアナッツ油、アーモンド油、テトラステアリン酸ペンタエリスリチル、オクチルドデカノール、及びオレイルアルコール等が挙げられる。
【0056】
ここで、本発明の毛髪処理剤の剤型としては、例えば、クリーム状が挙げられるが、本発明の毛髪処理剤が液状油を含有する場合、毛髪処理剤の全体に対する液状油の含有量は2質量%以下が好ましい。液状油の含有量が2質量%以下であれば、クリーム状の毛髪処理剤の粘度低下を抑制することができるため、毛髪処理剤の保存安定性を維持することが可能になる。
【0057】
(アルカリ剤)
アルカリ剤は、無機アルカリ剤及び有機アルカリ剤を用いることができる。無機アルカリ剤としては、例えば、アンモニア;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウムなどの炭酸塩;炭酸グアニジンなどのグアニジウム塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩;酒石酸カリウムナトリウムなどの酒石酸塩;クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウムなどのクエン酸塩;リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウムなどのリン酸塩;ピロリン酸ナトリウムなどのピロリン酸塩;ケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩;メタケイ酸ナトリウムなどのメタケイ酸塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウムなどの酢酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリ塩類が挙げられる。また、有機アルカリ剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノブタノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールなどの有機アミン類が挙げられる。
【0058】
(酸化染料)
酸化染料を構成する染料中間体としては、例えば、p-フェニレンジアミン、p-トルイレンジアミン、N-メチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-2-メチル-p-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、クロル-p-フェニレンジアミン、2-(2’-ヒドロキシエチルアミノ)-5-アミノトルエン、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、メトキシ-p-フェニレンジアミン、2,6-ジクロル-p-フェニレンジアミン、2-クロル-6-ブロム-p-フェニレンジアミン、2-クロル-6-メチル-p-フェニレンジアミン、6-メトキシ-3-メチル-p-フェニレンジアミン、2,5-ジアミノアニソール、N-(2-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、N-2-メトキシエチル-p-フェニレンジアミンなどの、1種又は2種以上の-NH2基、-NHR基及び/又は-NR2基(Rは、炭素数1~4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基)を有するp-フェニレンジアミン類;2,5-ジアミノピリジン誘導体;p-アミノフェノール、2-メチル-4-アミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、2-クロロ-4-アミノフェノール、3-クロロ-4-アミノフェノール、2,6-ジメチル-4-アミノフェノール、3,5-ジメチル-4-アミノフェノール、2,3-ジメチル-4-アミノフェノール、2,5-ジメチル-4-アミノフェノール、2,4-ジアミノフェノール、5-アミノサリチル酸などのp-アミノフェノール類及びo-アミノフェノール類;o-フェニレンジアミン類が挙げられる。
【0059】
また、酸化染料を構成するカップラーとしては、例えば、α-ナフトール、o-クレゾール、m-クレゾール、2,6-ジメチルフェノール、2,5-ジメチルフェノール、3,4-ジメチルフェノール、3,5-ジメチルフェノール、ベンズカテキン、ピロガロール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、5-アミノ-2-メチルフェノール、5-(2’-ヒドロキシエチルアミノ)-4-メトキシ-2-メチルフェノール、ヒドロキノン、2,4-ジアミノアニソール、m-トルイレンジアミン、4-アミノフェノール、レゾルシン、レゾルシンモノメチルエーテル、m-フェニレンジアミン、1-フェニル-3-メチル-5-ピラゾロン、1-フェニル-3-アミノ-5-ピラゾロン、1-フェニル-3,5-ジケトピラゾリジン、1-メチル-7-ジメチルアミノ-4-ヒドロキシ-2-キノロン、m-アミノフェノール、4-クロロレゾルシン、2-メチルレゾルシン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2,6-ジアミノピリジン、3,5-ジアミノトリフロロメチルベンゼン、2,4-ジアミノフロロベンゼン、3,5-ジアミノフロロベンゼン、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,4,6-トリアミノピリミジン、2-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン、4-アミノ-2,6-ジヒドロキシピリミジン、4,6-ジアミノ-2-ヒドロキシピリミジンが挙げられる。
【0060】
(溶媒)
また、本発明の毛髪処理剤において使用される溶媒(分散媒)は特に限定されず、例えば、水(精製水等)が使用されるが、必要に応じて、エタノール、イソプロパノール等の有機溶媒を、人体に接触しても無害な濃度で、水に含有させてもよい。
【0061】
なお、本発明の毛髪処理剤の態様は、溶液に限定されず、必要に応じて添加する成分が懸濁ないし乳化されているものであってもよい。
【0062】
(pH調整剤)
また、本発明の毛髪処理剤は、pH調整剤を含有してもよい。このpH調整剤は、特に限定されず、通常、毛髪処理剤に用いられるものであればよい。例えば、ピロリン酸ナトリウム、乳酸、リン酸、炭酸グアニジン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、セスキ炭酸塩、アルギニン、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、モノエタノールアミン、アンモニア、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、水酸化ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、及び、リン酸水素二アンモニウムなどが挙げられる。そして、本発明の毛髪処理剤は、これらのpH調整剤により、pHを8.0~11.5に設定することができる。
【0063】
(その他の成分)
本発明の毛髪処理剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を配合することができる。例えば、油性成分(例えば、スフィンゴ脂質、セラミド類、コレステロール誘導体、フィトステロール誘導体、リン脂質、パーフルオロポリエーテル等)、植物油(例えば、オリーブ油、シア脂、マカデミアナッツ油等)、ロウ類(例えば、ホホバ種子油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ等)、炭化水素(例えば、ワセリン、イソドデカン、イソヘキサデカン等)、高級脂肪酸(例えば、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、分岐脂肪酸(C(炭素数)14-28)、ヒドロキシステアリン酸等)、アルコール類(例えば、セトステアリルアルコール、セタノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、水添ナタネ油アルコール、コレステロール、シトステロール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2-ヘキサンジオール等)、糖及びその誘導体類(例えば、ブドウ糖、ショ糖、D-ソルビトール、マルトース、トレハロース、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、グリセリルグルコシド等)、アミノ酸及びその誘導体類(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、セリン、メチオニン、トリメチルグリシン、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、N-ラウロイル-L-リジン等)、PPT及びタンパク類(例えば、加水分解シルク、加水分解コムギ、加水分解ダイズ、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、シリル化加水分解シルク、シリル化加水分解コムギ、カチオン化加水分解シルク、カチオン化加水分解コラーゲン、ケラチン等)、天然高分子類(例えば、アルギン酸塩、マンナン、アラビアゴム、タマリンドガム、キトサン、カラギーナン、ムチン、セラック、ヒアルロン酸塩、カチオン化ヒアルロン酸、キサンタンガム、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース、グァーガム、カチオン化グァーガム、ハチミツ等)、合成高分子(例えば、アニオン性高分子、カチオン性高分子、非イオン性高分子、両性高分子、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等)、カチオン性界面活性剤(例えば、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩等)、両性界面活性剤(例えば、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグルコシド、新油型モノステアリン酸グリセリル等)、染料(例えば、タール色素、天然色素等)、植物エキス類(例えば、カミツレエキス、コンフリーエキス、セージエキス、ローズマリーエキス、カキタンニン、チャ乾留液、銅クロロフィリンナトリウム等)、ビタミン類(例えば、L-アスコルビン酸、DL-α-トコフェロール、D-パンテノール、天然ビタミンE等)、紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、フェルラ酸等)、防腐剤(例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラベン、フェノキシエタノール等)、酸化防止剤(例えば、亜硫酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン等)、金属封鎖剤(例えば、エデト酸塩、ポリリン酸ナトリウム、フィチン酸等)、その他無機化合物(例えば、酸化チタン、銀、白金、塩化鉄、酸化鉄、臭素酸ナトリウム、過酸化水素等)、その他有機化合物(例えば、尿素、ヒドロキシエチル尿素、dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム、グルコン酸銅等)、溶剤(例えば、ベンジルアルコール等)、及び香料等の公知の化粧品各成分を配合することができる。
【0064】
また、本発明の毛髪処理剤の剤型は、例えば、クリーム状が挙げられる。第一剤である本発明の毛髪処理剤がクリーム状であると、酸化剤を含有する第二剤との混合が容易になるため好ましい。また、長期にわたって良好な保存安定性が可能になる。さらに、毛髪のコンディショニング効果に優れるとともに、良好な染色性、又は脱色性を得ることが可能になる。
【0065】
なお、ここで言う「クリーム状」とは、吐出口が5~7mmφのチューブ状容器に本発明の毛髪処理剤を充填し、25℃の条件のもと、本発明の毛髪処理剤を吐出したときに1時間以上吐出した状態を保つ状態のことをいう。
【0066】
(第二剤)
本発明の毛髪処理剤(第一剤)と混合される第二剤としては、特に限定されず、主剤である酸化剤を含有するものであればよい。
【0067】
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、アルカリ金属の臭素酸塩、アルカリ金属の過酸塩(例えば、過臭素酸塩、過硫酸塩、過ホウ酸塩)などが挙げられる。なお、酸化剤の含有量は、特に限定されず、例えば、第二剤の全体に対して、0.5~12.0質量%であってもよく、1.0~6.0質量%であってもよい。
【0068】
また、本発明の毛髪処理剤(アルカリ剤を含有する第一剤)と酸化剤を含有する第二剤とを混合して使用する場合、第一剤と第二剤の質量比は、例えば、第一剤:第二剤=1:1~1:3の範囲とすることができる。
【実施例0069】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
【0070】
(実施例1~65及び比較例1~48)
<毛髪処理剤(第一剤)の製造>
水(精製水)と各原料を配合して、表1~15に示す組成(質量%)を有する実施例1~65及び比較例1~48の毛髪処理剤(第一剤)を製造した。なお、各毛髪処理剤(第一剤)はクリーム状であった。
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
<酸化剤を含有する第二剤の製造>
水(精製水)と各原料を配合して、表16に示す組成(質量%)を有する第二剤を製造した。
【0087】
【0088】
<サンプル用の毛髪の準備>
長さ30cmの直毛の毛髪からなる毛束(5g)を用い、化学的処理として市販のヘアカラーを用いて、2回の染色処理を行い、さらに市販のパーマ液で、パーマネントウェーブ処理を行った。その後、処理を行った毛髪を、50℃に保ったポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液(5質量%)に一晩浸漬させ、十分に水洗したものをサンプル毛髪とした。
【0089】
<染毛処理>
次に、準備した毛髪に対して、下記(A)~(C)の染色処理を行った。
【0090】
(A)まず、サンプル用の毛髪5gに対して、実施例及び比較例の各毛髪処理剤(第一剤)と上述の第二剤を用意し、質量比で第一剤:第二剤=1:1の比率(どちらも10gの使用)により、毛髪処理剤(第一剤)と第二剤とを混合して、染毛剤を調製した。
【0091】
(B)次に、調製した染毛剤を毛髪全体に均一に塗布し、25分放置した。
【0092】
(C)そして、25分の染毛処理後、毛髪を洗い流し、シャンプーとトリートメントを行い、その後、ドライヤーを用いて毛髪を乾燥させた。
【0093】
<クリーム状の毛髪処理剤(第一剤)の吐出性>
実施例及び比較例の各毛髪処理剤(第一剤)をアルミチューブ(吐出口が5~7mmφのチューブ状容器)に充填し、40℃で3ヵ月保存した。そして、3ヵ月保存後の第一剤の粘度に基づいて、吐出性を評価した。具体的には、以下の評価基準に基づいて、専門パネラー10名による評価を行った。以上の結果を表1~15に示す。
【0094】
第一剤の粘度が適正で、容器からの吐出性が非常に優れている:◎
第一剤の粘度がやや高いまたはやや低いが、容器からの吐出性が優れている:〇
第一剤の粘度が高く、容器から吐出しにくい、または粘度が低く、容器からの吐出性が悪い:△
第一剤の粘度が高すぎて容器から吐出しない、または粘度が低すぎて容器からたれ落ち、容器からの吐出性が非常に悪い:×
【0095】
<クリーム状の毛髪処理剤(第一剤)の泡がみ、及び染毛剤の塗布操作性>
上述のアルミチューブに充填された毛髪処理剤(第一剤)について、その泡がみの様子を目視にて評価した。また、この泡がみと、毛髪処理剤(第一剤)と第二剤を混合した際のクリーム状の染毛剤のねばり性に基づいて、染毛剤の塗布操作性を評価した。具体的には、以下の評価基準に基づいて、専門パネラー10名による評価を行った。以上の結果を表1~15に示す。
【0096】
第一剤の泡がみがなく、第二剤との混合後の染毛剤のねばり性が適度であり、塗布操作性に優れる:◎
第一剤の泡がみが少しあるが、第二剤との混合後の染毛剤のねばり性が適度であり、塗布操作性が良い:〇
第一剤の泡がみが少しあり、第二剤との混合後の染毛剤のねばり性が不十分であるため、塗布操作性に乏しい:△
第一剤の泡がみがあり、第二剤との混合後の染毛剤のねばり性が悪いため、塗布操作性が悪い:×
【0097】
<染毛剤の飛び散り性>
上述の毛髪処理剤(第一剤)と第二剤とを混合して調製した染毛剤を、塗布用具(櫛やハケ)を用いて毛髪に塗布する際に、染毛剤が付着した塗布用具を毛髪の塗布箇所まで動かす間における、塗布用具からの染毛剤の飛び散り性を評価した。具体的には、以下の評価基準に基づいて、専門パネラー10名による評価を行った。以上の結果を表1~15に示す。
【0098】
塗布作業中も塗布用具から染毛剤が飛び散らず、塗布作業性に非常に優れる:◎
塗布作業中に塗布用具から染毛剤が数滴落ちてしまうが、飛び散ることはなく、塗布作業性に優れる:〇
塗布作業中に塗布用具から染毛剤が少量飛び散る:△
塗布作業中に塗布用具から染毛剤が大量に飛び散る:×
【0099】
<染毛剤の伸び性>
毛髪に対して、上述の毛髪処理剤(第一剤)と第二剤とを混合して調製した染毛剤を塗布し始めた時の、毛髪上における染毛剤の伸び性(30cmの毛束の片側に染毛剤を塗布し、毛髪の根元から毛先などの反対へ染毛剤を伸び広げた時の伸び性)を評価した。具体的には、以下の評価基準に基づいて、専門パネラー10名による評価を行った。以上の結果を表1~14に示す。
【0100】
毛髪処理剤(第一剤)と第二剤とを混合して調製した染毛剤の粘度が適正で、毛髪に載せた染毛剤が非常にスムーズに伸び広がる:◎
毛髪処理剤(第一剤)と第二剤とを混合して調製した染毛剤の粘度が適正で、毛髪に載せた染毛剤をスムーズに伸び広がる:〇
毛髪処理剤(第一剤)と第二剤とを混合して調製した染毛剤の粘度が不十分で、毛髪に載せた染毛剤がスムーズに伸び広がらない:△
毛髪処理剤(第一剤)と第二剤とを混合して調製した染毛剤の粘度が悪く、毛髪に載せた染毛剤を伸び広げることができない:×
【0101】
<染色性評価>
上述の染色処理を行った毛髪に対して、実施例及び比較例の各毛髪処理剤(第一剤)を含有する上述の染毛剤が、染色処理の仕上がり感に及ぼす効果について、官能評価を行った。具体的には、以下の評価基準に基づいて、専門パネラー10名による評価を行った。
【0102】
毛髪全体が深く色付き、染色力が非常にある:◎
毛髪全体がやや深く色付き、染色力がある:〇
毛髪全体がやや浅く色付き、染色力がややない:△
毛髪全体が浅く色付き、染色力がない:×
【0103】
なお、上述の吐出性評価、泡がみ、塗布操作性評価、飛び散り性評価、伸び性評価、及び染色性評価において、専門パネラー10名が、「◎」、「〇」、「△」、及び「×」から選択した最も多い評価基準を最終評価とした。また、「◎」は特に優れていると評価し、「○」は優れていると評価した。また、「△」と「×」は不十分であると評価した。以上の結果を表1~表15に示す。
【0104】
表1~15に示すように、実施例1~65の毛髪処理剤(第一剤)においては、経時的な粘度の増加を防止して、容器からの吐出性を向上させることができるとともに、容器への充填時における泡がみを防止して、第二剤と混合した際のねばり性および塗布操作性を向上させることができることが分かる。
【0105】
また、第二剤と混合して調製した染毛剤を、塗布用具を用いて毛髪に塗布する際に、塗布用具から飛び散ることを防止することができ、塗布作業の作業性を向上させることができることが分かる。
【0106】
また、第二剤と混合して調製した染毛剤を、塗布用具を用いて毛髪に塗布する際に、毛髪上に伸び広がりやすくなるため、塗布作業時における染毛剤の伸び性を向上させることができることが分かる。