(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150063
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】慣性センサーおよび慣性計測装置
(51)【国際特許分類】
G01P 15/08 20060101AFI20241016BHJP
G01P 15/125 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G01P15/08 102D
G01P15/125 Z
G01P15/08 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063289
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】小林 知永
(57)【要約】
【課題】過度な加速度によるMEMS構造の破損を抑制できる慣性センサーを提供すること。
【解決手段】慣性センサー100は、基板としての支持基板1と、支持基板1と対向して設けられる蓋2と、支持基板1と蓋2との間に設けられた可動フレーム21と、可動フレーム21に設けられた櫛歯可動電極としての第1櫛歯可動電極22aおよびまたは第2櫛歯可動電極22bと、支持基板1または蓋2の少なくとも一方に設けられ、平面視で、第1櫛歯可動電極22aおよびまたは第2櫛歯可動電極22bの先端または根元部分に重なる突起31およびまたは突起30と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板と対向して設けられる蓋と、
前記基板と前記蓋との間に設けられた可動フレームと、
前記可動フレームに設けられた櫛歯可動電極と、
前記基板または前記蓋の少なくとも一方に設けられ、平面視で、前記櫛歯可動電極の先端または根元部分に重なる突起と、を有する、
慣性センサー。
【請求項2】
前記基板と前記蓋との間に設けられた固定フレームと、
前記固定フレームに設けられた櫛歯固定電極と、を備え、
前記突起は、平面視で、前記櫛歯固定電極に重なる、
請求項1に記載の慣性センサー。
【請求項3】
前記突起は、平面視で、前記櫛歯可動電極と前記可動フレームとの付け根部分に重なる、
請求項1に記載の慣性センサー。
【請求項4】
前記突起は、平面視で、前記櫛歯可動電極の根元部分に重なる、
請求項1に記載の慣性センサー。
【請求項5】
前記突起は、平面視で、前記櫛歯可動電極の先端に重なる、
請求項1に記載の慣性センサー。
【請求項6】
前記突起は、平面視で、前記櫛歯可動電極の根元部分から先端までと、前記櫛歯固定電極の根元部分から先端までと、に重なる、
請求項2に記載の慣性センサー。
【請求項7】
前記櫛歯可動電極は、第1方向に延在する可動電極腕と、前記可動電極腕から前記第1方向に交差する第2方向に延在する可動電極指とを有し、
前記突起は、前記第1方向に沿って設けられる、
請求項1に記載の慣性センサー。
【請求項8】
前記突起は、平面視で、前記可動電極腕と前記可動電極指との付け根部分に重なる、
請求項7に記載の慣性センサー。
【請求項9】
前記突起は、平面視で、前記可動電極指の根元部分に重なる、
請求項7に記載の慣性センサー。
【請求項10】
前記突起は、平面視で、前記可動電極指の先端に重なる、
請求項7に記載の慣性センサー。
【請求項11】
前記基板と前記蓋との間に設けられた固定フレームと、
前記固定フレームに設けられた櫛歯固定電極と、を備え、
前記櫛歯固定電極は、前記可動電極腕に対向する固定電極腕と、前記固定電極腕から前記第2方向に延在する固定電極指と、を有し、
前記突起は、平面視で、前記可動電極指の根元部分から先端までと、前記固定電極指の根元部分から先端までと、に重なる、
請求項7に記載の慣性センサー。
【請求項12】
前記可動フレームを保持するバネ部と、
前記バネ部を介して、前記可動フレームを前記基板に固定する固定部と、を備え、
前記可動フレームは、
一端が前記バネ部の一端に接続された第1延在部と、
一端が前記バネ部の他端に接続された第2延在部と、
前記第1延在部の他端と前記第2延在部の他端との間を連結する連結部と、を有し、
前記櫛歯可動電極は、前記連結部に設けられる、
請求項1に記載の慣性センサー。
【請求項13】
前記可動フレームを保持するバネ部と、
前記バネ部を介して、前記可動フレームを前記基板に固定する固定部と、を備え、
前記可動フレームは、
前記櫛歯可動電極を囲む枠部を有し、
前記バネ部は、前記枠部の第1辺に接続され、
前記櫛歯可動電極は、前記第1辺に交差する第2辺に設けられる、
請求項1に記載の慣性センサー。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載の慣性センサーを備えた慣性計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慣性センサーおよび当該慣性センサーを備えた慣性計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical System)構造を利用した慣性センサーが開発されている。このような慣性センサーとして特許文献1には、Z軸方向の加速度を検出する加速度センサーが記載されている。
特許文献1に記載の加速度センサーは、第1導電部と、第1導電部に保持された第1電極と、第2導電部と、第2導電部に保持された第2電極と、を備え、第1電極の高さ方向の長さは、第1導電部の高さ方向の長さよりも短く、第2電極の高さ方向の長さは、第2導電部の高さ方向の長さよりも短い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような加速度センサーに過度な加速度が加わった場合、第1導電部や第1電極などのMEMS構造に亀裂や欠けなどが生じて、正常に動作しなくなる虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の一態様に係る慣性センサーは、基板と、前記基板と対向して設けられる蓋と、前記基板と前記蓋との間に設けられた可動フレームと、前記可動フレームに設けられた櫛歯可動電極と、前記基板または前記蓋の少なくとも一方に設けられ、平面視で、前記櫛歯可動電極の先端または根元部分に重なる突起と、を有する。
【0006】
本願の一態様に係る慣性計測装置は、上記に記載の慣性センサーを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図1のA-A線に沿う慣性センサーの断面図。
【
図6】
図5のB-B線に沿う慣性センサーの断面図。
【
図8】
図7のC-C線に沿う慣性センサーの断面図。
【
図10】慣性計測装置の概略構成を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
また、以下では、説明の便宜上、互いに直交する、X軸、Y軸、およびZ軸の3軸を図示しており、軸方向を図示した矢印の先端側を「+側」、基端側を「-側」としている。また、以下では、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」という。また、以下では、Z軸方向に見ることを「平面視」とし、Z軸を含む断面をY軸方向から見ることを「断面視」とする。
【0009】
さらに、以下の説明において、例えば基板に対して、「基板上に」との記載は、基板の上に接して配置される場合、基板の上に他の構造物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接して配置され、一部が他の構造物を介して配置される場合のいずれかを表すものとする。また、ある構成の上面との記載は、当該構成のZ軸方向+側の面、例えば「電極の上面」は電極のZ軸方向+側の面、を示すものとする。また、ある構成の下面との記載は、当該構成のZ軸方向-側の面、例えば「電極の下面」は電極のZ軸方向-側の面、を示すものとする。
【0010】
1.実施形態1
実施形態1に係る慣性センサー100の概略構成について、
図1から
図3を参照して説明する。
図1は、実施形態1に係る慣性センサー100を模式的に示す平面図である。
図2は、
図1におけるA-A線での断面図である。
図3は、素子部の部分拡大斜視図である。なお、
図1では、説明の便宜上、蓋2を透明化している。
【0011】
慣性センサー100は、概略逆U字形の可動フレーム21の変位による物理量の変化を、静電容量の変化として検出する物理量センサーである。本実施形態において慣性センサー100は、可動フレーム21の変位に基づいて、Z軸方向の加速度を測定する加速度センサーである。
【0012】
図2に示すように、慣性センサー100は、支持基板1と、支持基板1に接合される蓋2と、支持基板1と蓋2との間に設けられる素子部3とを有する。
【0013】
1.1.支持基板
支持基板1は、凹部からなるキャビティー1cを有し、キャビティー1cには、マウント部16、マウント部26、および突起31が設けられる。
本実施形態において、支持基板1は、シリコン基板からなり、シリコン基板をパターニングすることで形成することができる。なお、支持基板1は、ガラス基板やセラミックス基板であってもよい。
【0014】
1.2.蓋
蓋2は、凹部からなるキャビティー2cを有し、キャビティー2cには、突起30が設けられる。
本実施形態において、蓋2は、ガラス基板からなり、ガラス基板をパターニングすることで形成することができる。なお、蓋2は、シリコン基板やセラミックス基板であってもよい。
【0015】
1.3.素子部
素子部3は、キャビティー1cとキャビティー2cとからなる収容空間Sに設けられる。
素子部3は、例えば、リン(P)、ボロン(B)等の不純物がドープされたシリコン基板からなり、シリコン基板をパターニングすることで形成することができる。
図1に示すように、素子部3は、Z軸方向の加速度を検出する検出部Zを含む。
検出部Zは、可動電極部と固定電極部とを含む。
【0016】
1.3.1.可動電極部
可動電極部は、可動フレーム21、第1櫛歯可動電極22a、第2櫛歯可動電極22b、固定部25、および梁部27を含む。これら各部は、一体に形成され、電気的に接続されている。
【0017】
可動フレーム21は、概ね逆U字の形状を有する。可動フレーム21は、Y軸方向に延在する第1延在部21aおよび第2延在部21bと、X軸方向に延在する連結部21cと、からなる。
【0018】
可動フレーム21の連結部21cには、第1櫛歯可動電極22aと第2櫛歯可動電極22bとが設けられる。
第1櫛歯可動電極22aおよび第2櫛歯可動電極22bは、それぞれY軸方向に沿って延在し、Y軸方向+側の端が連結部21cに接続される。
【0019】
なお、本実施形態において、付け根部分は、例えば、第1櫛歯可動電極22aと連結部21cとが接続する部分である。より詳しくは、付け根を、第1櫛歯可動電極22aの固定端側の端とした場合、付け根部分は、付け根とその周辺部分を含む。また、本実施形態において、先端は、例えば、第1櫛歯可動電極22aの自由端側の端であり、根元部分は、例えば、第1櫛歯可動電極22aにおいて、第1櫛歯可動電極22aの付け根に近い部分である。以下、他の電極やフレームでも同様である。
【0020】
可動フレーム21の第1延在部21aおよび第2延在部21bのY軸方向-側の端は、梁部27を介して、固定部25に固定されている。
固定部25は、支持基板1のマウント部26の上面に接合される。
【0021】
梁部27は、バネ部としての機能をする。具体的に、梁部27は、トーションバーである。
梁部27は、可動フレーム21がZ軸方向の慣性力を受けると、固定部25をアンカーとして捩れる。この捩れ作用によって、可動フレーム21は、梁部27を回転軸として、Z軸方向に揺動する。
このように可動電極部は、片側シーソー構造と言われる構造を有する。
【0022】
1.3.2.固定電極部
固定電極部は、第1固定フレーム11a、第2固定フレーム11b、第1櫛歯固定電極12a、および第2櫛歯固定電極12bを含む。
第1固定フレーム11aおよび第2固定フレーム11bは、それぞれ支持基板1のマウント部16の上面に接合される。
第1櫛歯固定電極12aは、Y軸方向に沿って延在し、Y軸方向-側の端が第1固定フレーム11aに接続される。
第2櫛歯固定電極12bは、Y軸方向に沿って延在し、Y軸方向-側の端が第2固定フレーム11bに接続される。
【0023】
第1櫛歯固定電極12aは、配線5aを介して電極パッド6aに電気的に接続される。
第2櫛歯固定電極12bは、配線5bを介して電極パッド6bに電気的に接続される。
第1櫛歯可動電極22aおよび第2櫛歯可動電極22bは、配線5cを介して電極パッド6cに電気的に接続される。
【0024】
1.3.3.突起
支持基板1は、突起31を有する。また、蓋2は、突起30を有する。なお、図示しないが、突起30の平面形状は、突起31とほぼ同じである。
突起31および突起30は、いずれも、第1櫛歯可動電極22a、第2櫛歯可動電極22b、第1櫛歯固定電極12a、およびまたは第2櫛歯固定電極12bが、大きく振れることを抑制するためのストッパーである。
【0025】
突起31および突起30をストッパーとして機能させるため、突起31および突起30は、平面視で、第1櫛歯可動電極22a、第2櫛歯可動電極22b、第1櫛歯固定電極12a、およびまたは第2櫛歯固定電極12bと重なる位置に配置される。
【0026】
本実施形態では、突起31および突起30は、平面視で、第1櫛歯可動電極22aおよび第2櫛歯可動電極22bの先端と重なる。また、突起31および突起30は、平面視で、第1櫛歯固定電極12aおよび第2櫛歯固定電極12bの根元部分と重なる。
【0027】
なお、本実施形態では、突起31と突起30とは、平面視で、重なる位置に配置されるが、突起31と突起30とは、平面視で、重ならない位置に配置してもよい。例えば、突起31を、平面視で、第1櫛歯可動電極22aおよび第2櫛歯可動電極22bの先端と重なる位置に配置し、突起30を、平面視で、第1櫛歯可動電極22aおよび第2櫛歯可動電極22bの根元部分と重なる位置に配置してもよい。
また、突起31または突起30のいずれか一方の配置を省略してもよい。
【0028】
また、突起31は、複数の突起で構成されていてもよい。例えば、突起31が2つの突起で構成される場合、一方の突起31を、第1櫛歯可動電極22aの先端と重なるように設け、他方の突起31を、第2櫛歯可動電極22bの先端と重なるように設けてもよい。
また、突起30は、複数の突起で構成されていてもよい。例えば、突起30が2つの突起で構成される場合、一方の突起30を、第1櫛歯可動電極22aの先端と重なるように設け、他方の突起30を、第2櫛歯可動電極22bの先端と重なるように設けてもよい。
【0029】
慣性センサー100に過度な加速度が加わった場合、第1櫛歯可動電極22aおよびまたは第2櫛歯可動電極22bは、振れ幅が計測範囲を超えて、過度に大きくなる前に、突起31または突起30に接触する。また、第1櫛歯固定電極12aおよびまたは第2櫛歯固定電極12bは、振れ幅が過度に大きくなる前に、突起31または突起30に接触する。
【0030】
換言すると、第1櫛歯可動電極22a、第2櫛歯可動電極22b、第1櫛歯固定電極12a、および第2櫛歯固定電極12bは、突起31およびまたは突起30によって、振れ幅が過度に大きくならないように制限されている。
【0031】
したがって、本実施形態の慣性センサー100は、突起31およびまたは突起30を備えることで、慣性センサー100に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極22a、第2櫛歯可動電極22b、第1櫛歯固定電極12a、およびまたは第2櫛歯固定電極12bに、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0032】
また、突起31は、第1櫛歯可動電極22a、第2櫛歯可動電極22b、第1櫛歯固定電極12a、およびまたは第2櫛歯固定電極12bがキャビティー1cの底面に接触ないし衝突することを抑制する。また、突起30は、第1櫛歯可動電極22a、第2櫛歯可動電極22b、第1櫛歯固定電極12a、およびまたは第2櫛歯固定電極12bがキャビティー2cの底面に接触ないし衝突することを抑制する。
【0033】
換言すると、第1櫛歯可動電極22a、第2櫛歯可動電極22b、第1櫛歯固定電極12a、およびまたは第2櫛歯固定電極12bは、突起31によって、キャビティー1cの底面に接触ないし衝突しないように保護されている。また、第1櫛歯可動電極22a、第2櫛歯可動電極22b、第1櫛歯固定電極12a、およびまたは第2櫛歯固定電極12bは、突起30によって、キャビティー2cの底面に接触ないし衝突しないように保護されている。
【0034】
したがって、本実施形態の慣性センサー100は、突起31およびまたは突起30を備えることで、慣性センサー100に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極22a、第2櫛歯可動電極22b、第1櫛歯固定電極12a、およびまたは第2櫛歯固定電極12bに、亀裂や欠けが生じることを抑制することができる。
【0035】
また、突起31およびまたは突起30は、第1櫛歯可動電極22a、第2櫛歯可動電極22b、第1櫛歯固定電極12a、およびまたは第2櫛歯固定電極12bが、支持基板1や蓋2に貼り付くことを抑制する作用も有する。
【0036】
1.3.4.検出部
検出部Zは、検出部ZAおよび検出部ZBを含み。検出部ZAおよび検出部ZBは、それぞれZ軸方向の加速度を検出する。
検出部ZAは、第1櫛歯可動電極22aと、第1櫛歯可動電極22aに隣り合う第1櫛歯固定電極12aとを含む。また、検出部ZBは、複数の第2櫛歯可動電極22bと複数の第2櫛歯固定電極12bとを含む。
【0037】
図3に示すように、第1櫛歯可動電極22aは、凹部R1を有する。凹部R1は、第1櫛歯可動電極22aのZ軸方向における厚みが一部で凹んでいる部分である。具体的には、第1櫛歯可動電極22aは、凹部R1において、
図3の符号aにより示される範囲だけ、Z軸方向における厚みが薄くなっている。
【0038】
第1櫛歯可動電極22aは、付け根部分から一定の範囲までは、可動フレーム21のZ軸方向での厚みと同じ厚みになっているが、主に第1櫛歯固定電極12aと対向する領域においては、Z軸方向の厚みが薄くなっている。
他方、第1櫛歯固定電極12aは、付け根部分から先端までの全域において、第1固定フレーム11aのZ軸方向での厚みと同じ厚みになっている。
【0039】
第2櫛歯固定電極12bは、凹部R2を有する。凹部R2は、第2櫛歯固定電極12bのZ軸方向における厚みが一部で凹んでいる部分である。
第2櫛歯固定電極12bは、付け根部分から一定の範囲までは、第2固定フレーム11bのZ軸方向での厚みと同じ厚みになっているが、主に第2櫛歯可動電極22bと対向する領域においては、Z軸方向の厚みが薄くなっている。
他方、第2櫛歯可動電極22bは、付け根部分から先端までの全域において、可動フレーム21のZ軸方向での厚みと同じ厚みになっている。
【0040】
このように第1櫛歯可動電極22aと第2櫛歯固定電極12bとの厚みが一部で薄くなっていることによって、慣性センサー100は、Z軸方向+側の加速度が生じたときは、検出部ZAにおいて第1櫛歯可動電極22aと第1櫛歯固定電極12aとの対向面積が減少し、Z軸方向-側の加速度が生じたときは、検出部ZBにおいて第2櫛歯可動電極22bと第2櫛歯固定電極12bとの対向面積が減少する。
【0041】
従って、本実施形態の慣性センサー100は、検出部ZA、ZBでの対向面積の減少を、静電容量の変化として検出することで、Z軸方向+側及びZ軸方向-側の加速度を検出できる。
【0042】
可動フレーム21の連結部21cの一部には、凹部R3が設けられている。凹部R3は、凹部R1による可動フレーム21の連結部21cのX軸方向での質量の不均一性を解消する。従って、可動フレーム21のZ軸方向の加速度による回転運動のずれを是正することができる。
【0043】
1.4.変形例
前述した突起31および突起30の実施形態は多様に変形され得る。突起31および突起30の具体的な変形の態様を以下に例示する。
【0044】
1.4.1.変形例1
図4Aは、変形例1に係る素子部の拡大平面図であり、
図1において、破線で示した素子部3の検出部Zの範囲を拡大した図である。
【0045】
突起32は、変形例1に係る突起を示す。突起32は、上述した突起31およびまたは突起30に対応する。
図4Aでは、突起32の配置位置を破線で示す。また、突起32は、支持基板1および蓋2の両方に設けられていてもよいし、いずれか一方のみに設けられていてもよい。後述する他の変形例でも同様である。
【0046】
突起32は、平面視で、第1櫛歯可動電極22aの根元部分と、第2櫛歯可動電極22bの根元部分と、に重なる。また、突起32は、平面視で、第1櫛歯固定電極12aの先端と、第2櫛歯固定電極12bの先端と、に重なる。
【0047】
1.4.2.変形例2
図4Bは、変形例2に係る素子部の拡大平面図であり、
図1において、破線で示した素子部3の検出部Zの範囲を拡大した図である。
【0048】
突起33は、変形例2に係る突起を示す。突起33は、上述した突起31およびまたは突起30に対応する。
図4Bでは、突起33の配置位置を破線で示す。
【0049】
突起33は、平面視で、第1櫛歯可動電極22aの付け根部分および根元部分と、第2櫛歯可動電極22bの付け根部分および根元部分と、に重なる。また、突起33は、平面視で、第1櫛歯固定電極12aの先端と、第2櫛歯固定電極12bの先端と、に重なる。
【0050】
1.4.3.変形例3
図4Cは、変形例3に係る素子部の拡大平面図であり、
図1において、破線で示した素子部3の検出部Zの範囲を拡大した図である。
【0051】
突起34は、変形例3に係る突起を示す。突起34は、上述した突起31およびまたは突起30に対応する。
図4Cでは、突起34の配置位置を破線で示す。
【0052】
突起34は、平面視で、第2櫛歯可動電極22bの付け根部分と根元部分とに重なり、第1櫛歯可動電極22aに重ならない。
配線の引き回しなどによって、突起を設けられない場合は、変形例3のように、第1櫛歯可動電極22aおよび第2櫛歯可動電極22bのうちの一部が、突起と重ならない構成としてもよい。なお、突起34を設ける場合は、突起34を複数個設けて、第1櫛歯可動電極22aおよび第2櫛歯可動電極22bが、複数の突起34のうちのいずれか一つと重なるようにすることが好ましい。
【0053】
1.4.4.変形例4
図4Dは、変形例4に係る素子部の拡大平面図であり、
図1において、破線で示した素子部3の検出部Zの範囲を拡大した図である。
【0054】
突起35および突起36は、変形例4に係る突起を示す。突起35は、上述した突起31およびまたは突起30に対応する。突起36は、上述した突起31およびまたは突起30に対応する。
図4Dでは、突起35および突起36の配置位置を破線で示す。
【0055】
突起35は、平面視で、第1櫛歯可動電極22aの付け根部分および根元部分と、第2櫛歯可動電極22bの付け根部分および根元部分と、に重なる。
突起36は、平面視で、第1櫛歯固定電極12aの付け根部分および根元部分と、第2櫛歯固定電極12bの付け根部分および根元部分と、に重なる。
【0056】
1.4.5.変形例5
図4Eは、変形例5に係る素子部の拡大平面図であり、
図1において、破線で示した素子部3の検出部Zの範囲を拡大した図である。
【0057】
突起37は、変形例5に係る突起を示す。突起37は、上述した突起31およびまたは突起30に対応する。
図4Eでは、突起37の配置位置を破線で示す。
【0058】
突起37は、平面視で、第1櫛歯可動電極22aの根元部分から先端までと、第2櫛歯可動電極22bの根元部分から先端までと、に重なる。また、突起37は、平面視で、第1櫛歯固定電極12aの付け根部分から先端までと、第2櫛歯固定電極12bの付け根部分から先端までと、に重なる。なお、突起37は、第1櫛歯可動電極22aの付け根部分およびまたは第2櫛歯可動電極22bの付け根部分に重なっていてもよい。また、突起37は、第1櫛歯固定電極12aの付け根部分およびまたは第2櫛歯固定電極12bの付け根部分に重ならなくてもよい。換言すると、突起37は、平面視で、第1櫛歯固定電極12aの根元部分から先端までと、第2櫛歯固定電極12bの根元部分から先端までと、に重なる。
【0059】
以上、述べたとおり、本実施形態の慣性センサー100は、基板としての支持基板1と、支持基板1と対向して設けられる蓋2と、支持基板1と蓋2との間に設けられた可動フレーム21と、可動フレーム21に設けられた櫛歯可動電極としての第1櫛歯可動電極22aおよびまたは第2櫛歯可動電極22bと、支持基板1または蓋2の少なくとも一方に設けられ、平面視で、第1櫛歯可動電極22aおよびまたは第2櫛歯可動電極22bの先端または根元部分に重なる突起31およびまたは突起30と、を有する。
【0060】
このように、平面視で、第1櫛歯可動電極22aおよびまたは第2櫛歯可動電極22bの先端または根元部分に重なる突起31およびまたは突起30を有することで、慣性センサー100に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極22aおよびまたは第2櫛歯可動電極22bに、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
したがって、故障の原因となるMEMS構造の亀裂や欠けなどの発生を抑制して、信頼性の高い慣性センサー100を実現することができる。
【0061】
本実施形態の慣性センサー100は、さらに、支持基板1と蓋2との間に設けられた固定フレームとしての第1固定フレーム11aおよびまたは第2固定フレーム11bと、第1固定フレーム11aに設けられた櫛歯固定電極としての第1櫛歯固定電極12aおよびまたは第2固定フレーム11bに設けられた第2櫛歯固定電極12bとを備え、突起31およびまたは突起30は、平面視で、第1櫛歯固定電極12aおよびまたは第2櫛歯固定電極12bに重なる。
【0062】
このように、平面視で、第1櫛歯固定電極12aおよびまたは第2櫛歯固定電極12bに重なる突起31およびまたは突起30を有することで、慣性センサー100に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯固定電極12aおよびまたは第2櫛歯固定電極12bに、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0063】
本実施形態の慣性センサー100は、さらに、突起31または突起30は、平面視で、第1櫛歯可動電極22aおよびまたは第2櫛歯可動電極22bと可動フレーム21との付け根部分に重なる。
このように、突起31およびまたは突起30は、平面視で、第1櫛歯可動電極22aと可動フレーム21との付け根部分およびまたは第2櫛歯可動電極22bと可動フレーム21との付け根部分に重なるため、慣性センサー100に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極22a、第2櫛歯可動電極22b、およびまたは可動フレーム21に、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0064】
本実施形態の慣性センサー100は、さらに、突起31およびまたは突起30は、平面視で、第1櫛歯可動電極22aおよびまたは第2櫛歯可動電極22bの根元部分に重なる。
【0065】
このように、突起31およびまたは突起30は、平面視で、第1櫛歯可動電極22aの根元部分およびまたは第2櫛歯可動電極22bの根元部分に重なるため、慣性センサー100に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極22a、第2櫛歯可動電極22b、およびまたは可動フレーム21に、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0066】
本実施形態の慣性センサー100は、さらに、突起31およびまたは突起30は、平面視で、第1櫛歯可動電極22aおよびまたは第2櫛歯可動電極22bの先端に重なる。
【0067】
このように、突起31およびまたは突起30は、平面視で、第1櫛歯可動電極22aの先端およびまたは第2櫛歯可動電極22bの先端に重なるため、慣性センサー100に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極22a、第2櫛歯可動電極22b、およびまたは可動フレーム21に、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0068】
本実施形態の慣性センサー100は、さらに、突起31または突起30は、平面視で、第1櫛歯可動電極22aおよびまたは第2櫛歯可動電極22bの根元部分から先端までと、第1櫛歯固定電極12aおよびまたは第2櫛歯固定電極12bの根元部分と、に重なる。
【0069】
このように、突起31およびまたは突起30は、平面視で、第1櫛歯可動電極22aおよびまたは第2櫛歯可動電極22bの根元部分から先端までと、第1櫛歯固定電極12aおよびまたは第2櫛歯固定電極12bの根元部分から先端までと、に重なるため、慣性センサー100に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極22a、第2櫛歯可動電極22b、第1櫛歯固定電極12a、およびまたは第2櫛歯固定電極12bに、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0070】
本実施形態の慣性センサー100は、さらに、可動フレーム21を保持するバネ部としての梁部27と、梁部27を介して、可動フレーム21を支持基板1に固定する固定部25と、を備え、可動フレーム21は、一端が梁部27の一端に接続された第1延在部21aと、一端が梁部27の他端に接続された第2延在部21bと、第1延在部21aの他端と第2延在部21bの他端との間を連結する連結部21cと、を有し、第1櫛歯可動電極22aおよび第2櫛歯可動電極22bは、連結部21cに設けられる。
【0071】
このように、第1櫛歯可動電極22aおよび第2櫛歯可動電極22bは、可動フレーム21の連結部21cに設けられているため、慣性センサー100に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極22aおよびまたは第2櫛歯可動電極22bに、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0072】
2.実施形態2
実施形態2に係る慣性センサー200の概略構成について、
図5および
図6を参照して説明する。
図5は、実施形態2に係る慣性センサー200を模式的に示す平面図である。
図6は、
図5におけるB-B線での断面図である。なお、
図5では、説明の便宜上、蓋202を透明化している。
【0073】
慣性センサー200は、四角形の枠状の可動フレーム212の変位による物理量の変化を、静電容量の変化として検出する物理量センサーである。本実施形態において慣性センサー200は、可動フレーム212の変位に基づいて、Y軸方向の加速度を測定する加速度センサーである。
【0074】
図6に示すように、慣性センサー200は、支持基板102と、支持基板102に接合される蓋202と、支持基板102と蓋202との間に設けられる素子部302とを有する。
【0075】
2.1.支持基板
支持基板102は、凹部からなるキャビティー102cを有し、キャビティー102cには、第1マウント部162a、第2マウント部162b、マウント部44、および突起312,322,332,372が設けられる。
本実施形態において、支持基板102は、シリコン基板からなり、シリコン基板をパターニングすることで形成することができる。なお、支持基板102は、ガラス基板やセラミックス基板を用いることもできる。
【0076】
2.2.蓋
蓋202は、凹部からなるキャビティー202cを有し、キャビティー202cには、突起392が設けられる。
本実施形態において、蓋202は、ガラス基板からなり、ガラス基板をパターニングすることで形成することができる。なお、蓋202は、シリコン基板やセラミックス基板を用いることもできる。
【0077】
2.3.素子部
素子部302は、キャビティー102cとキャビティー202cとからなる収容空間Sに設けられる。
素子部302は、例えば、リン、ボロン等の不純物がドープされたシリコン基板からなり、シリコン基板をパターニングすることで形成することができる。
素子部302は、可動電極部と固定電極部とを含む。
【0078】
2.3.1.可動電極部
可動電極部は、可動フレーム212、第1櫛歯可動電極222a、第2櫛歯可動電極222b、第3櫛歯可動電極222c、第4櫛歯可動電極222d、第1バネ部282a、第2バネ部282b、第1固定部252a、第2固定部252b、導電部42、および配線51a,51bを含む。これら各部は、一体に形成され、電気的に接続されている。
【0079】
導電部42は、マウント部44の上面に接合される。第1固定部252aは、第1マウント部162aの上面に接合される。第2固定部252bは、第2マウント部162bの上面に接合される。
【0080】
可動フレーム212は、第1バネ部282aと第2バネ部282bとによって、Y軸方向に沿って揺動可能に保持される。可動フレーム212は、平面視で、四角形の枠部212Fを有する。
【0081】
枠部212Fは、第1辺212a、第2辺212b、第3辺212c、および第4辺212dを含み、第1バネ部282aは、枠部212Fの第1辺212aと第1固定部252aとの間に設けられる。また、第2バネ部282bは、枠部212Fの第3辺212cと第2固定部252bとの間に設けられる。
【0082】
第1櫛歯可動電極222a、第2櫛歯可動電極222b、第3櫛歯可動電極222c、および第4櫛歯可動電極222dは、それぞれ可動電極腕232と可動電極指242とを有する。
【0083】
第1櫛歯可動電極222aにおいて、可動電極腕232は、枠部212Fの第2辺212bからX軸方向+側に延在するように設けられる。また、可動電極指242は、可動電極腕232からY軸方向+側に延在するように設けられる。
【0084】
第2櫛歯可動電極222bにおいて、可動電極腕232は、枠部212Fの第4辺212dからX軸方向-側に延在するように設けられる。また、可動電極指242は、可動電極腕232からY軸方向-側に延在するように設けられる。
【0085】
第3櫛歯可動電極222cにおいて、可動電極腕232は、枠部212Fの第2辺212bからX軸方向+側に延在するように設けられる。また、可動電極指242は、可動電極腕232からY軸方向+側に延在するように設けられる。
【0086】
第4櫛歯可動電極222dにおいて、可動電極腕232は、枠部212Fの第4辺212dからX軸方向-側に延在するように設けられる。また、可動電極指242は、可動電極腕232からY軸方向-側に延在するように設けられる。
【0087】
2.3.2.固定電極部
固定電極部は、第1固定フレーム112a、第2固定フレーム112b、第3固定フレーム112c、第4固定フレーム112d、第1櫛歯固定電極122a、第2櫛歯固定電極122b、第3櫛歯固定電極122c、第4櫛歯固定電極122d、導電部41a,41b、および配線52a,52b,52c,52dを含む。
【0088】
導電部41a,41bは、マウント部44の上面に接合される。第1固定フレーム112aおよび第2固定フレーム112bは、第1マウント部162aの上面に接合される。第3固定フレーム112cおよび第4固定フレーム112dは、第2マウント部162bの上面に接合される。
【0089】
第1櫛歯固定電極122a、第2櫛歯固定電極122b、第3櫛歯固定電極122c、および第4櫛歯固定電極122dは、それぞれ固定電極腕132と固定電極指142とを有する。
【0090】
第1櫛歯固定電極122aの固定電極腕132は、第1櫛歯可動電極222aの可動電極腕232とY軸方向に所定のギャップを空けて対向する。また、第1櫛歯固定電極122aにおいて、固定電極腕132に設けられる固定電極指142は、第1櫛歯可動電極222aの可動電極指242とX軸方向に所定のギャップを空けて対向する。
【0091】
第2櫛歯固定電極122bの固定電極腕132は、第2櫛歯可動電極222bの可動電極腕232とY軸方向に所定のギャップを空けて対向する。また、第2櫛歯固定電極122bにおいて、固定電極腕132に設けられる固定電極指142は、第2櫛歯可動電極222bの可動電極指242とX軸方向に所定のギャップを空けて対向する。
【0092】
第3櫛歯固定電極122cの固定電極腕132は、第3櫛歯可動電極222cの可動電極腕232とY軸方向に所定のギャップを空けて対向する。また、第3櫛歯固定電極122cにおいて、固定電極腕132に設けられる固定電極指142は、第3櫛歯可動電極222cの可動電極指242とX軸方向に所定のギャップを空けて対向する。
【0093】
第4櫛歯固定電極122dの固定電極腕132は、第4櫛歯可動電極222dの可動電極腕232とY軸方向に所定のギャップを空けて対向する。また、第4櫛歯固定電極122dにおいて、固定電極腕132に設けられる固定電極指142は、第4櫛歯可動電極222dの可動電極指242とX軸方向に所定のギャップを空けて対向する。
【0094】
2.3.3.突起
支持基板102は、突起312,322,332,372を有する。また、蓋202は、突起392を有する。なお、図示しないが、突起392の平面形状は、Z軸方向に対向する突起312,322,332,372とほぼ同じである。
【0095】
突起312,322,332,372,392は、いずれも、第1櫛歯可動電極222a、第2櫛歯可動電極222b、第3櫛歯可動電極222c、第4櫛歯可動電極222d、第1櫛歯固定電極122a、第2櫛歯固定電極122b、第3櫛歯固定電極122c、およびまたは第4櫛歯固定電極122dが、大きく振れることを抑制するためのストッパーである。
【0096】
突起312,322,332,372,392をストッパーとして機能させるため、突起312,322,332,372,392は、平面視で、第1櫛歯可動電極222a、第2櫛歯可動電極222b、第3櫛歯可動電極222c、第4櫛歯可動電極222d、第1櫛歯固定電極122a、第2櫛歯固定電極122b、第3櫛歯固定電極122c、およびまたは第4櫛歯固定電極122dと重なる位置に配置される。
【0097】
なお、本実施形態では、突起312,322,332,372の配置位置は、配置位置のバリエーションの説明のためにそれぞれ異なる配置としているが、突起312,322,332,372の配置位置は、すべて同じであってもよいし、一部同じであり他は異なっていてもよい。
【0098】
突起312および突起312に対向する突起392は、平面視で、第1櫛歯可動電極222aおよび第1櫛歯固定電極122aと重なる。突起312および突起312に対向する突起392は、平面視で、第1櫛歯可動電極222aの可動電極指242の根元部分と、第1櫛歯固定電極122aの固定電極指142の先端とに重なる。
【0099】
突起322および突起322に対向する突起392は、平面視で、第2櫛歯可動電極222bおよび第2櫛歯固定電極122bと重なる。突起322および突起322に対向する突起392は、平面視で、第2櫛歯可動電極222bの可動電極指242の根元部分と、第2櫛歯固定電極122bの固定電極指142の先端とに重なる。
【0100】
突起332および突起332に対向する突起392は、平面視で、第3櫛歯可動電極222cおよび第3櫛歯固定電極122cと重なる。突起332および突起332に対向する突起392は、平面視で、第3櫛歯可動電極222cの可動電極指242の先端と、第3櫛歯固定電極122cの固定電極指142の根元部分および固定電極指142と固定電極腕132との付け根部分とに重なる。
【0101】
突起372および突起372に対向する突起392は、平面視で、第4櫛歯可動電極222dおよび第4櫛歯固定電極122dと重なる。突起372および突起372に対向する突起392は、平面視で、第4櫛歯可動電極222dの可動電極指242と可動電極腕232との付け根部分から第4櫛歯固定電極122dの固定電極指142と固定電極腕132との付け根部分までに重なる。
【0102】
なお、本実施形態では、突起312,322,332,372と突起392とは、平面視で、重なる位置に配置されるが、突起312,322,332,372と突起392とは、平面視で、重ならない位置に配置してもよい。
また、突起312,322,332,372,392に代えて、他の実施形態で示したものを採用してもよい。
【0103】
慣性センサー200に過度な加速度が加わった場合、第1櫛歯可動電極222a、第2櫛歯可動電極222b、第3櫛歯可動電極222c、第4櫛歯可動電極222d、第1櫛歯固定電極122a、第2櫛歯固定電極122b、第3櫛歯固定電極122c、および第4櫛歯固定電極122dは、Z軸方向の振れ幅が過度に大きくなる前に、突起312、突起322、突起332、突起372、または突起392に接触する。
【0104】
本実施形態では、可動電極腕232、可動電極指242、固定電極腕132、または固定電極指142が、突起312、突起322、突起332、突起372、または突起392に接触する。
【0105】
換言すると、可動電極腕232、可動電極指242、固定電極腕132、およびまたは固定電極指142は、突起312、突起322、突起332、突起372、または突起392によって、振れ幅が過度に大きくならないように制限されている。
【0106】
したがって、本実施形態の慣性センサー200は、突起312、突起322、突起332、突起372、およびまたは突起392を備えることで、慣性センサー200に過度な加速度が加わった場合であっても、可動電極腕232、可動電極指242、固定電極腕132、およびまたは固定電極指142に、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0107】
また、突起312、突起322、突起332、およびまたは突起372は、可動電極腕232、可動電極指242、固定電極腕132、およびまたは固定電極指142がキャビティー102cの底面に接触ないし衝突することを抑制する。また、突起392は、可動電極腕232、可動電極指242、固定電極腕132、およびまたは固定電極指142がキャビティー202cの底面に接触ないし衝突することを抑制する。
【0108】
換言すると、可動電極腕232、可動電極指242、固定電極腕132、およびまたは固定電極指142は、突起312、突起322、突起332、およびまたは突起372によって、キャビティー102cの底面に接触ないし衝突しないように保護されている。また、可動電極腕232、可動電極指242、固定電極腕132、およびまたは固定電極指142は、突起392によって、キャビティー202cの底面に接触ないし衝突しないように保護されている。
【0109】
したがって、本実施形態の慣性センサー200は、突起312、突起322、突起332、突起372、およびまたは突起392を備えることで、慣性センサー200に過度な加速度が加わった場合であっても、可動電極腕232、可動電極指242、固定電極腕132、およびまたは固定電極指142に、亀裂や欠けが生じることを抑制することができる。
【0110】
また、突起312、突起322、突起332、突起372、およびまたは突起392は、可動電極腕232、可動電極指242、固定電極腕132、およびまたは固定電極指142が、支持基板102や蓋202に貼り付くことを抑制する作用も有する。
【0111】
2.3.4.検出部
検出部は、第1櫛歯可動電極222aと第1櫛歯固定電極122aとからなる第1検出部、第2櫛歯可動電極222bと第2櫛歯固定電極122bとからなる第2検出部、第3櫛歯可動電極222cと第3櫛歯固定電極122cとからなる第3検出部、および第4櫛歯可動電極222dと第4櫛歯固定電極122dとからなる第4検出部を含む。
第1検出部、第2検出部、第3検出部、および第4検出部は、それぞれY軸方向の加速度を検出する。
【0112】
慣性センサー200は、Y軸方向-側の加速度が生じたときは、第1検出部および第3検出部において、可動電極腕232と固定電極腕132とのギャップが小さくなると共に可動電極指242と固定電極指142との対向面積が増加し、第2検出部および第4検出部において、可動電極腕232と固定電極腕132とのギャップが大きくなると共に可動電極指242と固定電極指142との対向面積が減少する。
【0113】
また、Y軸方向+側の加速度が生じたときは、第1検出部および第3検出部において、可動電極腕232と固定電極腕132とのギャップが大きくなると共に第1検出部および第3検出部において可動電極指242と固定電極指142との対向面積が減少し、第2検出部および第4検出部において、可動電極腕232と固定電極腕132とのギャップが小さくなると共に可動電極指242と固定電極指142との対向面積が増加する。
【0114】
従って、本実施形態の慣性センサー200は、第1検出部および第3検出部での対向面積の増加または減少と、第2検出部および第4検出部での対向面積の減少または増加とを、静電容量の変化として検出することで、Y軸方向+側及びY軸方向-側の加速度を検出できる。およびまたは、第1検出部および第3検出部でのギャップの縮小または拡大と、第2検出部および第4検出部でのギャップの拡大または縮小とを、静電容量の変化として検出することで、Y軸方向+側及びY軸方向-側の加速度を検出できる。
【0115】
2.3.5.その他
本実施形態では、第1櫛歯可動電極222a、第2櫛歯可動電極222b、第3櫛歯可動電極222c、および第4櫛歯可動電極222dが、可動電極腕232と可動電極指242とを含み、第1櫛歯固定電極122a、第2櫛歯固定電極122b、第3櫛歯固定電極122c、および第4櫛歯固定電極122dが、固定電極腕132と固定電極指142とを含む、と説明した。
しかし、可動電極腕232が、可動フレーム212に含まれるとし、可動電極指242のみが、第1櫛歯可動電極222a、第2櫛歯可動電極222b、第3櫛歯可動電極222c、および第4櫛歯可動電極222dに対応すると読み替えてもよい。また、固定電極腕132が、第1固定フレーム112a、第2固定フレーム112b、第3固定フレーム112c、および第4固定フレーム112dに含まれるとし、固定電極指142のみが、第1櫛歯固定電極122a、第2櫛歯固定電極122b、第3櫛歯固定電極122c、および第4櫛歯固定電極122dに対応すると読み替えてもよい。
このように読み替えることで、本実施形態において、各突起と各電極との配置関係は、実施形態1と同様の配置になっている、と見做すことができる。
【0116】
すなわち、本実施形態において、付け根部分は、可動電極指242と可動電極腕232とが接続する部分である。より詳しくは、付け根を、可動電極指242の固定端側の端とした場合、付け根部分は、付け根とその周辺部分を含む。また、本実施形態において、先端は、可動電極指242の自由端側の端であり、根元部分は、可動電極指242において、可動電極指242の付け根に近い部分である。また、付け根部分は、固定電極指142と固定電極腕132とが接続する部分である。より詳しくは、付け根を、固定電極指142の固定端側の端とした場合、付け根部分は、付け根とその周辺部分を含む。また、本実施形態において、先端は、固定電極指142の自由端側の端であり、根元部分は、例えば、固定電極指142において、固定電極指142の付け根に近い部分である。
【0117】
以上、述べたとおり、本実施形態の慣性センサー200によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の慣性センサー200は、支持基板102と対向して設けられる蓋202と、支持基板102と蓋202との間に設けられた可動フレーム212と、可動フレーム212に設けられた第1櫛歯可動電極222a、第2櫛歯可動電極222b、第3櫛歯可動電極222c、または第4櫛歯可動電極222dと、支持基板102または蓋202の少なくとも一方に設けられ、平面視で、第1櫛歯可動電極222a、第2櫛歯可動電極222b、第3櫛歯可動電極222c、または第4櫛歯可動電極222dの先端または根元部分に重なる突起312、突起322、突起332、または突起372と、を有する。
【0118】
このように、平面視で、第1櫛歯可動電極222a、第2櫛歯可動電極222b、第3櫛歯可動電極222c、または第4櫛歯可動電極222dの先端または根元部分に重なる突起312、突起322、突起332、または突起372を有することで、慣性センサー200に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極222a、第2櫛歯可動電極222b、第3櫛歯可動電極222c、または第4櫛歯可動電極222dに、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
したがって、故障の原因となるMEMS構造の亀裂や欠けなどの発生を抑制して、信頼性の高い慣性センサー200を実現することができる。
【0119】
本実施形態の慣性センサー200は、さらに、支持基板102と蓋202との間に設けられた第1固定フレーム112aと、第1固定フレーム112aに設けられた第1櫛歯固定電極122aと、を備え、突起312は、平面視で、第1櫛歯固定電極122aに重なる。
【0120】
このように、突起312は、平面視で、第1櫛歯固定電極122aに重なるため、慣性センサー200に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯固定電極122aまたは第1固定フレーム112aに、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0121】
本実施形態の慣性センサー200は、さらに、第1櫛歯可動電極222a、第2櫛歯可動電極222b、第3櫛歯可動電極222c、および第4櫛歯可動電極222dは、第1方向に延在する可動電極腕232と、可動電極腕232から第1方向としてのX軸方向に交差する第2方向としてのY軸方向に延在する可動電極指242とを有し、突起312は、X軸方向に沿って設けられる。
このように、可動電極腕232の延在方向は突起312の延在方向と同じであるため、可動電極腕232およびまたは可動電極指242に、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0122】
本実施形態の慣性センサー200において、突起312は、平面視で、可動電極腕232と可動電極指242との付け根部分に重なる。
このように、突起312は、平面視で、可動電極腕232と可動電極指242との付け根部分に重なるため、可動電極腕232およびまたは可動電極指242に、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0123】
本実施形態の慣性センサー200において、突起322は、平面視で、可動電極指242の根元部分に重なる。
このように、突起322は、平面視で、可動電極指242の根元部分に重なるため、可動電極指242に、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0124】
本実施形態の慣性センサー200において、突起332は、平面視で、可動電極指242の先端に重なる。
このように、突起332は、平面視で、可動電極指242の先端に重なるため、可動電極指242に、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0125】
本実施形態の慣性センサー200において、支持基板102と蓋202との間に設けられた第4固定フレーム112dと、第4固定フレーム112dに設けられた第4櫛歯固定電極122dと、を備え、第4櫛歯固定電極122dは、可動電極腕232に対向する固定電極腕132と、固定電極腕132から第2方向としてのY軸方向に延在する固定電極指142とを有し、突起372は、平面視で、可動電極指242の根元部分から先端までと、固定電極指142の根元部分から先端までと、に重なる。
【0126】
このように、突起372は、平面視で、可動電極指242の根元部分から先端までと、固定電極指142の根元部分から先端までと、に重なるため、可動電極指242およびまたは固定電極指142に、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0127】
本実施形態の慣性センサー200は、さらに、可動フレーム212を保持する第1バネ部282aと、第1バネ部282aを介して、可動フレーム212を支持基板102に固定する第1固定部252aと、を備え、可動フレーム212は、第1櫛歯可動電極222aを囲む枠部212Fを有し、第1バネ部282aは、枠部212Fの第1辺212aに接続され、第1櫛歯可動電極222aは、第1辺212aに交差する第2辺212bに設けられる。
【0128】
このように、第1櫛歯可動電極222aは、可動フレーム212に設けられているため、慣性センサー200に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極222aに、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0129】
3.実施形態3
実施形態3に係る慣性センサー300の概略構成について、
図7および
図8を参照して説明する。
図7は、実施形態3に係る慣性センサー300を模式的に示す平面図である。
図8は、
図7におけるC-C線での断面図である。なお、
図7では、説明の便宜上、蓋203を透明化している。
【0130】
慣性センサー300は、枠状の可動フレーム213の変位による物理量の変化を、静電容量の変化として検出する物理量センサーである。本実施形態において慣性センサー300は、可動フレーム213の変位に基づいてX軸方向の加速度を測定する加速度センサーである。
【0131】
図8に示すように、慣性センサー300は、支持基板103と、支持基板103に接合される蓋203と、支持基板103と蓋203との間に設けられる素子部303とを有する。
【0132】
3.1.支持基板
支持基板103は、凹部からなるキャビティー103cを有し、キャビティー103cには、マウント部163、および突起313a,313bが設けられる。
本実施形態において、支持基板103は、シリコン基板からなり、シリコン基板をパターニングすることで形成することができる。なお、支持基板103は、ガラス基板やセラミックス基板を用いることもできる。
【0133】
3.2.蓋
蓋203は、凹部からなるキャビティー203cを有し、キャビティー203cには、突起393a,393bが設けられる。
本実施形態において、蓋203は、ガラス基板からなり、ガラス基板をパターニングすることで形成することができる。なお、蓋203は、シリコン基板やセラミックス基板を用いることもできる。
【0134】
3.3.素子部
素子部303は、キャビティー103cとキャビティー203cとからなる収容空間Sに設けられる。
素子部303は、例えば、リン、ボロン等の不純物がドープされたシリコン基板からなり、シリコン基板をパターニングすることで形成することができる。
素子部303は、可動電極部と固定電極部とを含む。
【0135】
3.3.1.可動電極部
可動電極部は、可動フレーム213、第1櫛歯可動電極223a、第2櫛歯可動電極223b、第3櫛歯可動電極223c、第4櫛歯可動電極223d、第1バネ部283a、第2バネ部283b、および固定部253を含む。これら各部は、一体に形成され、電気的に接続されている。
【0136】
固定部253は、マウント部163の上面に接合される。固定部253は、マウント部163から中心線L1に沿って延在する部分を有する。
可動フレーム213と固定部253とは、第1バネ部283aと第2バネ部283bとを介して接続される。これよって、可動フレーム213は、X軸方向に揺動可能に設けられる。
【0137】
可動フレーム213は、平面視で、四角形の枠部213Fを有する。
枠部213Fは、第1辺213a、第2辺213b、第3辺213c、第4辺213d、第1延在部213e、および第2延在部213fを含む。
【0138】
第1バネ部283aは、枠部213Fの第1辺213aと固定部253との間に設けられる。また、第2バネ部283bは、枠部213Fの第3辺213cと固定部253との間に設けられる。
【0139】
枠部213Fの第2辺213bには、第1櫛歯可動電極223aが、複数本設けられる。複数の第1櫛歯可動電極223aは、それぞれ第2辺213bからY軸方向-側に延在するように設けられる。複数の第1櫛歯可動電極223aにおいて、それぞれのY軸方向の長さは、X軸方向+側に向けて漸減している。
【0140】
枠部213Fの第1延在部213eには、第2櫛歯可動電極223bが、複数本設けられる。複数の第2櫛歯可動電極223bは、それぞれ第1延在部213eからY軸方向+側に延在するように設けられる。複数の第2櫛歯可動電極223bにおいて、ぞれぞれのY軸方向の長さは、X軸方向+側に向けて漸増している。
【0141】
枠部213Fの第2延在部213fには、第3櫛歯可動電極223cが、複数本設けられる。複数の第3櫛歯可動電極223cは、それぞれ第2延在部213fからY軸方向-側に延在するように設けられる。複数の第3櫛歯可動電極223cにおいて、それぞれのY軸方向の長さは、X軸方向+側に向けて漸増している。
【0142】
枠部213Fの第4辺213dには、第4櫛歯可動電極223dが、複数本設けられる。複数の第4櫛歯可動電極223dは、それぞれ第4辺213dからY軸方向+側に延在するように設けられる。複数の第4櫛歯可動電極223dにおいて、それぞれのY軸方向の長さは、X軸方向+側に向けて漸減している。
【0143】
3.3.2.固定電極部
固定電極部は、第1固定フレーム113a、第2固定フレーム113b、第1櫛歯固定電極123a、第2櫛歯固定電極123b、第3櫛歯固定電極123c、および第4櫛歯固定電極123dを含む。
【0144】
第1固定フレーム113aおよび第2固定フレーム113bの一端は、それぞれマウント部163の上面に接合される。
第1固定フレーム113aおよび第2固定フレーム113bの他端は、それぞれ細長い棒状の形状を有する。第1固定フレーム113aおよび第2固定フレーム113bの他端は、平面視で、X軸およびY軸のそれぞれに対して傾斜した方向に延在している。
【0145】
具体的には、第1固定フレーム113aの中心線L2および第2固定フレーム113bの中心線L3は、その先端側に向けて中心線L1との離間距離が大きくなるように傾斜している。第1固定フレーム113aおよび第2固定フレーム113bの中心線L1に対する傾きは、特に限定されないが、10°以上、45°以下であること好ましく、10°以上、30°以下であることがより好ましい。これにより、第1櫛歯固定電極123a、第2櫛歯固定電極123b、第3櫛歯固定電極123c、および第4櫛歯固定電極123dのY軸方向への広がりを抑制することができ、素子部303の小型化を図ることができる。
【0146】
第1櫛歯固定電極123aは、第1固定フレーム113aからY軸方向+側に延在する。また、第1櫛歯固定電極123aは、第1櫛歯可動電極223aとの間に所定のギャップを空けて対向する。
第2櫛歯固定電極123bは、第1固定フレーム113aからY軸方向-側に延在する。また、第2櫛歯固定電極123bは、第2櫛歯可動電極223bとの間に所定のギャップを空けて対向する。
【0147】
第3櫛歯固定電極123cは、第2固定フレーム113bからY軸方向+側に延在する。また、第3櫛歯固定電極123cは、第3櫛歯可動電極223cとの間に所定のギャップを空けて対向する。
第4櫛歯固定電極123dは、第2固定フレーム113bからY軸方向-側に延在する。また、第4櫛歯固定電極123dは、第4櫛歯可動電極223dとの間に所定のギャップを空けて対向する。
【0148】
第1櫛歯固定電極123aおよび第2櫛歯固定電極123bは、第1固定フレーム113a、コンタクト部c2、および溝g2に設けられた配線53bを介して電極パッド63bに電気的に接続される。
第3櫛歯固定電極123cおよび第4櫛歯固定電極123dは、第2固定フレーム113b、コンタクト部c3、および溝g3に設けられた配線53cを介して電極パッド63cに電気的に接続される。
【0149】
第1櫛歯可動電極223a、第2櫛歯可動電極223b、第3櫛歯可動電極223c、および第4櫛歯可動電極223dは、可動フレーム213、第1バネ部283a、第2バネ部283b、固定部253、コンタクト部c1、および溝g1に設けられた配線53aを介して電極パッド63aに電気的に接続される。
【0150】
3.3.3.突起
支持基板103は、突起313a,313bを有する。また、蓋203は、突起393a,393bを有する。なお、図示しないが、突起393a,393bの平面形状は、Z軸方向に対向する突起313a,313bとほぼ同じである。
【0151】
突起313a,313b,393a,393bは、いずれも、第1櫛歯可動電極223a、第2櫛歯可動電極223b、第3櫛歯可動電極223c、第4櫛歯可動電極223d、第1櫛歯固定電極123a、第2櫛歯固定電極123b、第3櫛歯固定電極122c、およびまたは第4櫛歯固定電極122dが、大きく振れることを抑制するためのストッパーである。
【0152】
突起313a,313b,393a,393bをストッパーとして機能させるため、突起313aおよび突起393aは、平面視で、第1櫛歯可動電極223aおよび第2櫛歯可動電極223bの先端と、第1櫛歯固定電極123aおよび第2櫛歯固定電極123bの根元部分および付け根部分とに重なる位置に配置される。また、突起313bおよび突起393bは、平面視で、第3櫛歯可動電極223cおよび第4櫛歯可動電極223dの先端と、第3櫛歯固定電極123cおよび第4櫛歯固定電極123dの根元部分と付け根部分とに重なる位置に配置される。
【0153】
なお、本実施形態では、突起313aと突起393aとは、平面視で、重なる位置に配置されるが、突起313aと突起393aとは、平面視で、重ならない位置に配置してもよい。また、突起313bと突起393bとは、平面視で、重なる位置に配置されるが、突起313bと突起393bとは、平面視で、重ならない位置に配置してもよい。
【0154】
また、突起313a,313b,393a,393bに代えて、他の実施形態で示したものを採用してもよい。
例えば、突起313aおよびまたは突起393aは、第1櫛歯可動電極223aの根元部分およびまたは付け根部分に重なる位置に配置されてもよい。
また、突起313aおよびまたは突起393aは、第2櫛歯可動電極223bの根元部分およびまたは付け根部分に重なる位置に配置されてもよい。
また、突起313bおよびまたは突起393bは、第3櫛歯可動電極223cの根元部分およびまたは付け根部分に重なる位置に配置されてもよい。
また、突起313bおよびまたは突起393bは、第4櫛歯可動電極223dの根元部分およびまたは付け根部分に重なる位置に配置されてもよい。
【0155】
また、突起313a,393aは、第1櫛歯可動電極223aの付け根部分または根元部分から第2櫛歯可動電極223bの付け根部分または根元部分までに重なる位置に配置されてもよい。
また、突起313b,393bは、第3櫛歯可動電極223cの付け根部分または根元部分から第4櫛歯可動電極223dの付け根部分または根元部分までに重なる位置に配置されてもよい。
【0156】
慣性センサー300に過度な加速度が加わった場合、第1櫛歯可動電極223a、第2櫛歯可動電極223b、第3櫛歯可動電極223c、第4櫛歯可動電極223d、第1櫛歯固定電極123a、第2櫛歯固定電極123b、第3櫛歯固定電極123c、または第4櫛歯固定電極123dは、Z軸方向の振れ幅が過度に大きくなる前に、突起313a、突起313b、突起393a、およびまたは突起393bに接触する。
【0157】
したがって、本実施形態の慣性センサー300は、突起313a、突起313b、突起393a、およびまたは突起393bを備えることで、慣性センサー300に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極223a、第2櫛歯可動電極223b、第3櫛歯可動電極223c、第4櫛歯可動電極223d、第1櫛歯固定電極123a、第2櫛歯固定電極123b、第3櫛歯固定電極123c、およびまたは第4櫛歯固定電極123dに、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0158】
また、突起313aは、第1櫛歯可動電極223a、第2櫛歯可動電極223b、第1櫛歯固定電極123a、およびまたは第2櫛歯固定電極123bがキャビティー103cの底面に接触ないし衝突することを抑制する。また、突起393aは、第1櫛歯可動電極223a、第2櫛歯可動電極223b、第1櫛歯固定電極123a、およびまたは第2櫛歯固定電極123bがキャビティー203cの底面に接触ないし衝突することを抑制する。
【0159】
換言すると、第1櫛歯可動電極223a、第2櫛歯可動電極223b、第1櫛歯固定電極123a、およびまたは第2櫛歯固定電極123bは、突起313aによって、キャビティー103cの底面に接触ないし衝突しないように保護されている。また、第1櫛歯可動電極223a、第2櫛歯可動電極223b、第1櫛歯固定電極123a、およびまたは第2櫛歯固定電極123bは、突起393aによって、キャビティー203cの底面に接触ないし衝突しないように保護されている。
【0160】
また、突起313bは、第3櫛歯可動電極223c、第4櫛歯可動電極223d、第3櫛歯固定電極123c、およびまたは第4櫛歯固定電極123dがキャビティー103cの底面に接触ないし衝突することを抑制する。また、突起393bは、第3櫛歯可動電極223c、第4櫛歯可動電極223d、第3櫛歯固定電極123c、およびまたは第4櫛歯固定電極123dがキャビティー203cの底面に接触ないし衝突することを抑制する。
【0161】
換言すると、第3櫛歯可動電極223c、第4櫛歯可動電極223d、第3櫛歯固定電極123c、およびまたは第4櫛歯固定電極123dは、突起313bによって、キャビティー103cの底面に接触ないし衝突しないように保護されている。また、第3櫛歯可動電極223c、第4櫛歯可動電極223d、第3櫛歯固定電極123c、およびまたは第4櫛歯固定電極123dは、突起393bによって、キャビティー203cの底面に接触ないし衝突しないように保護されている。
【0162】
したがって、本実施形態の慣性センサー300は、突起313a、突起313b、突起393a、およびまたは突起393bを備えることで、慣性センサー300に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極223a、第2櫛歯可動電極223b、第3櫛歯可動電極223c、第4櫛歯可動電極223d、第1櫛歯固定電極123a、第2櫛歯固定電極123b、第3櫛歯固定電極123c、およびまたは第4櫛歯固定電極123dに、亀裂や欠けが生じることを抑制することができる。
【0163】
また、突起313a、突起313b、突起393a、およびまたは突起393bは、第1櫛歯可動電極223a、第2櫛歯可動電極223b、第3櫛歯可動電極223c、第4櫛歯可動電極223d、第1櫛歯固定電極123a、第2櫛歯固定電極123b、第3櫛歯固定電極123c、およびまたは第4櫛歯固定電極123dが、支持基板103や蓋203に貼り付くことを抑制する作用も有する。
【0164】
3.3.4.検出部
検出部は、第1櫛歯可動電極223aおよび第1櫛歯固定電極123aと第2櫛歯可動電極223bおよび第2櫛歯固定電極123bとからなる第1検出部、ならびに第3櫛歯可動電極223cおよび第3櫛歯固定電極123cと第4櫛歯可動電極223dおよび第4櫛歯固定電極123dとからなる第2検出部を含む。第1検出部および第2検出部は、それぞれX軸方向の加速度を検出する。
【0165】
慣性センサー300は、X軸方向-側の加速度が生じたときは、第1検出部において、第1櫛歯可動電極223aおよび第1櫛歯固定電極123aと第2櫛歯可動電極223bおよび第2櫛歯固定電極123bとのギャップが大きくなり、第2検出部において、第3櫛歯可動電極223cおよび第3櫛歯固定電極123cと第4櫛歯可動電極223dおよび第4櫛歯固定電極123dとのギャップが小さくなる。
【0166】
また、X軸方向+側の加速度が生じたときは、第1検出部において、第1櫛歯可動電極223aおよび第1櫛歯固定電極123aと第2櫛歯可動電極223bおよび第2櫛歯固定電極123bとのギャップが小さくなり、第2検出部において、第3櫛歯可動電極223cおよび第3櫛歯固定電極123cと第4櫛歯可動電極223dおよび第4櫛歯固定電極123dとのギャップが大きくなる。
【0167】
従って、本実施形態の慣性センサー300は、第1検出部でのギャップの拡大または縮小と、第2検出部でのギャップの縮小または拡大とを、静電容量の変化として検出することで、X軸方向+側及びX軸方向-側の加速度を検出できる。
【0168】
以上、述べたとおり、本実施形態の慣性センサー300によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の慣性センサー300は、支持基板103と、支持基板103と対向して設けられる蓋203と、支持基板103と蓋203との間に設けられた可動フレーム213と、可動フレーム213に設けられた第1櫛歯可動電極223aと、支持基板103または蓋203の少なくとも一方に設けられ、平面視で、第1櫛歯可動電極223aの先端または根元部分に重なる突起313aおよびまたは突起393aと、を有する。
【0169】
このように、平面視で、第1櫛歯可動電極223aの先端または根元部分に重なる突起313aおよびまたは突起393aを有することで、慣性センサー300に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極223aおよびまたは第2櫛歯可動電極223bに、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
したがって、故障の原因となるMEMS構造の亀裂や欠けなどの発生を抑制して、信頼性の高い慣性センサー300を実現することができる。
【0170】
本実施形態の慣性センサー300は、さらに、支持基板103と蓋203との間に設けられた第1固定フレーム113aと、第1固定フレーム113aに設けられた第1櫛歯固定電極123aと、を備え、突起313aおよびまたは突起393aは、平面視で、第1櫛歯固定電極123aに重なる。
【0171】
このように、平面視で、第1櫛歯固定電極123aに重なる突起313aおよびまたは突起393aを有することで、慣性センサー300に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯固定電極123aに、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0172】
本実施形態の慣性センサー300は、さらに、突起313aおよびまたは突起393aは、平面視で、第1櫛歯可動電極223aと可動フレーム213との付け根部分に重なる。
このように、突起313aおよびまたは突起393bは、平面視で、第1櫛歯可動電極223aと可動フレーム213との付け根部分に重なるため、慣性センサー300に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極223aまたは可動フレーム213に、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0173】
本実施形態の慣性センサー300は、さらに、突起313aは、平面視で、第1櫛歯可動電極223aの根元部分に重なる。
【0174】
このように、突起313aおよびまたは突起393aは、平面視で、第1櫛歯可動電極223aの根元部分に重なるため、慣性センサー300に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極223aまたは可動フレーム213に、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0175】
本実施形態の慣性センサー300は、さらに、突起313aおよびまたは突起393aは、平面視で、第1櫛歯可動電極223aの先端に重なる。
【0176】
このように、突起313aおよびまたは突起393aは、平面視で、第1櫛歯可動電極223aの先端に重なるため、慣性センサー300に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極223aまたは可動フレーム213に、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0177】
本実施形態の慣性センサー300は、さらに、突起313aおよびまたは突起393aは、平面視で、第1櫛歯可動電極223aの根元部分から先端までと、第1櫛歯固定電極123aの根元部分から先端までと、に重なる。
【0178】
このように、突起313aおよびまたは突起393aは、平面視で、第1櫛歯可動電極223aの根元部分から先端までと、第1櫛歯固定電極123aの根元部分から先端までと、に重なるため、慣性センサー300に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極223aおよびまたは第1櫛歯固定電極123aに、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0179】
本実施形態の慣性センサー300は、さらに、可動フレーム213を保持する第1バネ部283aおよび第2バネ部283bと、第1バネ部283aおよび第2バネ部283bを介して、可動フレーム213を支持基板103に固定する固定部253と、を備え、可動フレーム213は、第1櫛歯可動電極223aを囲む枠部213Fを有し、第1バネ部283aは、枠部213Fの第1辺213aに接続され、第1櫛歯可動電極223aは、第1辺213aに交差する第2辺213bに設けられる。
【0180】
このように、第1櫛歯可動電極223aは、可動フレーム213に設けられているため、慣性センサー300に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極223aに、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0181】
4.実施形態4
実施形態4に係る慣性センサー400の概略構成について、
図9を参照して説明する。
図9は、実施形態4に係る慣性センサー400を模式的に示す平面図である。なお、
図9では、説明の便宜上、蓋204を透明化している。また、上記各実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0182】
慣性センサー400は、X軸、Y軸、及びZ軸の加速度を独立して検知することのできる三軸加速度センサーである。
慣性センサー400は、支持基板104と、支持基板104に接合される蓋204と、支持基板104と蓋204の間に設けられる素子部304x、素子部304y、および素子部304zと、を備える。
【0183】
4.1.支持基板
支持基板104は、凹部からなるキャビティーCx, Cy,Czを有する。
キャビティーCxおよびキャビティーCyには、それぞれマウント部162a,162b,44および突起352,362が設けられる。
キャビティーCzには、マウント部16,26および突起31,32が設けられる。
【0184】
支持基板104は、シリコン基板からなり、シリコン基板をパターニングすることで形成することができる。なお、支持基板104は、ガラス基板やセラミックス基板であってもよい。
【0185】
4.2.蓋
蓋204は、支持基板104のキャビティーCx, Cy,Czのそれぞれに対応する図示しないキャビティーを有する。また、蓋204のキャビティーには、突起31,32,352,362に対向する突起が設けられる。
本実施形態において、蓋204は、ガラス基板からなり、ガラス基板をパターニングすることで形成することができる。なお、蓋204は、シリコン基板やセラミックス基板であってもよい。
【0186】
4.3.素子部
本実施形態において、素子部は、素子部304x、素子部304y、および素子部304zからなる3つの素子部を有する。
【0187】
4.3.1.素子部304x
素子部304xは、X軸方向の加速度を検出する。
素子部304xは、実施形態2の素子部302と同様の構造を有し、X軸方向の加速度を検出できるように、櫛歯可動電極222と櫛歯固定電極122との配置方向を、実施形態2のものに対して、反時計回りに90度回転させている。
【0188】
櫛歯可動電極222は、可動電極腕232と可動電極指242とを含む。また、櫛歯可動電極222に対向する櫛歯固定電極122は、固定電極腕132と固定電極指142とを含む。
【0189】
櫛歯可動電極222と櫛歯固定電極122とは、平面視で、突起352および突起362と重なる。
突起352は、可動電極腕232と可動フレーム212との付け根部分と、可動電極腕232の根元部分と、固定電極腕132の先端と、に重なる。
突起362は、固定電極腕132と固定フレーム112との付け根部分と、固定電極腕132の根元部分と、可動電極腕232の先端と、に重なる。
なお、突起352およびまたは突起362に代えて、他の実施形態に示したものを採用してもよい。例えば、突起352およびまたは突起362に代えて、実施形態2に示した突起312、突起322、突起332、または突起372のうちの一つまたは複数を採用してもよい。
【0190】
4.3.2.素子部304y
素子部304yは、Y軸方向の加速度を検出する。素子部304yは、実施形態2の素子部302と同様の構造を有する。
【0191】
櫛歯可動電極222は、可動電極腕232と可動電極指242とを含む。また、櫛歯可動電極222に対向する櫛歯固定電極122は、固定電極腕132と固定電極指142とを含む。
【0192】
櫛歯可動電極222と櫛歯固定電極122とは、平面視で、突起352および突起362と重なる。なお、突起352およびまたは突起362に代えて、他の実施形態に示したものを採用してもよい。例えば、突起352およびまたは突起362に代えて、実施形態2に示した突起312、突起322、突起332、または突起372のうちの一つまたは複数を採用してもよい。
【0193】
4.3.3.素子部304z
素子部304zは、Z軸方向の加速度を検知する。素子部304zは、実施形態1の素子部3と同様の構造を有する。
【0194】
第1櫛歯可動電極22aおよび第2櫛歯可動電極22bと、第1櫛歯固定電極12aおよび第2櫛歯固定電極12bとは、平面視で、突起31および突起32と重なる。なお、突起31およびまたは突起32に代えて、他の実施形態に示したものを採用してもよい。例えば、突起31およびまたは突起32に代えて、実施形態1に示した突起33、突起34、突起35、または突起37のうちの一つまたは複数を採用してもよい。
【0195】
以上、述べたとおり、本実施形態の慣性センサー400によれば、上述した各実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の慣性センサー400は、支持基板104と、支持基板104と対向して設けられる蓋204と、支持基板104と蓋204との間に設けられた可動フレーム21と、可動フレーム21に設けられた第1櫛歯可動電極22aと、支持基板104または蓋204の少なくとも一方に設けられ、平面視で、第1櫛歯可動電極22aの先端または根元部分に重なる突起31または突起32と、を有する。
【0196】
このように、平面視で、第1櫛歯可動電極22aの先端または根元部分に重なる突起31または突起32を有することで、慣性センサー400に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極22aに、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
したがって、故障の原因となるMEMS構造の亀裂や欠けなどの発生を抑制して、信頼性の高い慣性センサー400を実現することができる。
【0197】
本実施形態の慣性センサー400は、支持基板104と、支持基板104と対向して設けられる蓋204と、支持基板104と蓋204との間に設けられた可動フレーム212と、可動フレーム212に設けられた櫛歯可動電極222と、支持基板104または蓋204の少なくとも一方に設けられ、平面視で、櫛歯可動電極222の先端または根元部分に重なる突起352または突起362と、を有する。
【0198】
このように、平面視で、櫛歯可動電極222の先端または根元部分に重なる突起352または突起362を有することで、慣性センサー400に過度な加速度が加わった場合であっても、櫛歯可動電極222に、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
したがって、故障の原因となるMEMS構造の亀裂や欠けなどの発生を抑制して、信頼性の高い慣性センサー400を実現することができる。
【0199】
本実施形態の慣性センサー400は、さらに、可動フレーム21を保持するバネ部としての梁部27と、梁部27を介して、可動フレーム21を支持基板104に固定する固定部25と、を備え、可動フレーム21は、一端が梁部27の一端に接続された第1延在部21aと、一端が梁部27の他端に接続された第2延在部21bと、第1延在部21aの他端と第2延在部21bの他端との間を連結する連結部21cと、を有し、第1櫛歯可動電極22aは、連結部21cに設けられる。
【0200】
このように、第1櫛歯可動電極22aは、可動フレーム21の連結部21cに設けられているため、慣性センサー400に過度な加速度が加わった場合であっても、第1櫛歯可動電極22aに、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0201】
本実施形態の慣性センサー400は、さらに、可動フレーム212を保持する第1バネ部282aと、第1バネ部282aを介して、可動フレーム212を支持基板104に固定する第1固定部252aと、を備え、可動フレーム212は、櫛歯可動電極222を囲む枠部212Fを有し、第1バネ部282aは、枠部212Fの第1辺212aに接続され、櫛歯可動電極222は、第1辺212aに交差する第2辺212bに設けられる。
【0202】
このように、櫛歯可動電極222は、可動フレーム212に設けられているため、慣性センサー400に過度な加速度が加わった場合であっても、櫛歯可動電極222に、亀裂や欠けが生じることを、抑制ないし回避することができる。
【0203】
5.実施形態5
5.1.慣性計測装置の概要
次に、
図10および
図11を参照して、慣性センサー100を備えた慣性計測装置5000について、説明する。
図10は、実施形態5に係る慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)5000の概略構成を示す分解斜視図である。
図11は、慣性計測装置5000に搭載され、慣性センサー100が実装された基板の斜視図である。
【0204】
慣性計測装置5000は、自動車、ロボット、スマートホン、携帯型の活動量計などの被装着装置に搭載され、被装着装置の姿勢や、挙動などを検出する装置として用いられる。
【0205】
図10に示すように、慣性計測装置5000は、アウターケース501、接合部材510、センサーモジュール525を含み、アウターケース501に、接合部材510を介在させて、センサーモジュール525を篏合または挿入した構成となっている。
【0206】
アウターケース501は、外形が直方体で蓋のない箱状の容器である。アウターケース501の材質は、例えば、アルミニウムである。なお、亜鉛やステンレスなど他の金属や、樹脂、または、金属と樹脂の複合材などを用いても良い。
【0207】
アウターケース501の外形は、平面形状が略正方形の直方体であり、正方形の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に、それぞれ通し孔502が形成されている。通し孔502は、被装着装置に、慣性計測装置5000を取り付ける際に用いる。
【0208】
センサーモジュール525は、インナーケース520と、回路基板515とから構成されている。
回路基板515には、慣性センサー100が組み込まれた加速度検出ユニット101や外部接続用のコネクター516などが実装されている。
【0209】
インナーケース520は、回路基板515を支持する部材であり、アウターケース501の内部に収まる形状となっている。インナーケース520の材質には、アウターケース501と同様の材質を用いることができる。
インナーケース520の下面には、回路基板515との接触を防止するための凹部531やコネクター516を露出させるための開口521が形成されている。
【0210】
図11を参照して、慣性センサー100が実装された回路基板515の構成について説明する。
図11に示すように、回路基板515は、複数のスルーホールが形成された多層基板であり、ガラスエポキシ基板を用いている。なお、ガラスエポキシ基板に限定するものではなく、例えば、コンポジット基板やセラミック基板などのリジット基板を用いても良い。
【0211】
回路基板515の上面および側面には、コネクター516、加速度検出ユニット101、および角速度センサー517x,517y,517zなどが実装されている。
加速度検出ユニット101は、慣性センサー100を搭載し、Z軸方向の加速度を測定するための加速度センサーである。
コネクター516は、プラグ型のコネクターであり、X軸方向に等ピッチで配置された二列の接続端子を備えている。本実施形態では、一列10ピンで二列の合計20ピンの接続端子を備えるが、接続端子の数は、設計仕様に応じて適宜変更しても良い。
【0212】
角速度センサー517zは、Z軸方向における1軸の角速度を検出するジャイロセンサーである。好適例として、水晶を振動子として用い、振動する物体に加わるコリオリの力から角速度を検出する振動ジャイロセンサーを用いている。なお、振動ジャイロセンサーに限定するものではなく、振動子としてセラミックや、シリコンを用いたセンサーを用いても良い。
【0213】
また、回路基板515のX軸方向の側面には、実装面がX軸と直交するように、X軸方向における1軸の角速度を検出する角速度センサー517xが実装されている。同様に、回路基板515のY軸方向の側面には、実装面がY軸と直交するように、Y軸方向における1軸の角速度を検出する角速度センサー517yが実装されている。
【0214】
なお、角速度センサー517x,517y,517zは、X軸、Y軸、Z軸の軸ごとの三つの角速度センサーを用いる構成に限定するものではなく、3軸の角速度が検出可能なセンサーであれば良く、例えば、一つのデバイスまたはパッケージで3軸の角速度が検出可能なセンサーデバイスを用いても良い。
【0215】
加速度検出ユニット101は、Z軸方向の加速度を測定するための加速度センサーであるが、X軸方向またはY軸方向を測定するものであってもよい。また、複数の慣性センサー100を搭載して、二軸方向、例えばZ軸方向とY軸方向、Z軸方向とX軸方向など、あるいは、三軸方向、すなわち、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の加速度を検出するものとしてもよい。
【0216】
回路基板515の下面には、制御部としての制御IC519が実装されている。
制御IC519は、MCU(Micro Controller Unit)であり、不揮発性メモリーを含む記憶部や、A/Dコンバーターなどを内蔵しており、慣性計測装置5000の各部を制御する。記憶部には、加速度、および角速度を検出するための順序と内容を規定したプログラムや、検出データをデジタル化してパケットデータに組込むプログラム、付随するデータなどが記憶されている。なお、回路基板515には、その他にも複数の電子部品が実装されている。
【0217】
このような慣性計測装置5000によれば、慣性センサー100を含む加速度検出ユニット101を用いているため、耐衝撃性に優れ、信頼性を向上させた慣性計測装置5000を提供することができる。
【0218】
以上、述べたとおり、本実施形態の慣性センサー100を備えた慣性計測装置5000によれば、実施形態1の効果に加え、信頼性の高い慣性計測装置を提供することができる。
【0219】
本実施形態では、慣性計測装置5000は、慣性センサー100を備えるが、慣性計測装置5000は、慣性センサー200、慣性センサー300、およびまたは慣性センサー400を備えてもよい。
【0220】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。また、本発明の各部の構成は、上述の実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換でき、また、任意の構成を付加できる。
【符号の説明】
【0221】
1…支持基板、1c…キャビティー、2…蓋、2c…キャビティー、3…素子部、5a,5b,5c…配線、6a,6b,6c…電極パッド、11a…第1固定フレーム、11b…第2固定フレーム、12a…第1櫛歯固定電極、12b…第2櫛歯固定電極、16…マウント部、21…可動フレーム、21a…第1延在部、21b…第2延在部、21c…連結部、22a…第1櫛歯可動電極、22b…第2櫛歯可動電極、25…固定部、26…マウント部、27…梁部、30,31,32,33,34,35,36,37…突起、41a,41b,42…導電部、44…マウント部、51a,51b,52a,52b,52c,52d,53a,53b,53c…配線、63a,63b,63c…電極パッド、100…慣性センサー、101…加速度検出ユニット、102…支持基板、102c…キャビティー、103…支持基板、103c…キャビティー、104…支持基板、112…固定フレーム、112a…第1固定フレーム、112b…第2固定フレーム、112c…第3固定フレーム、112d…第4固定フレーム、113a…第1固定フレーム、113b…第2固定フレーム、122…櫛歯固定電極、122a…第1櫛歯固定電極、122b…第2櫛歯固定電極、122c…第3櫛歯固定電極、122d…第4櫛歯固定電極、123a…第1櫛歯固定電極、123b…第2櫛歯固定電極、123c…第3櫛歯固定電極、123d…第4櫛歯固定電極、132…固定電極腕、142…固定電極指、162a…第1マウント部、162b…第2マウント部、163…マウント部、200…慣性センサー、202…蓋、202c…キャビティー、203…蓋、203c…キャビティー、204…蓋、212…可動フレーム、212a…第1辺、212b…第2辺、212c…第3辺、212d…第4辺、212F…枠部、213…可動フレーム、213a…第1辺、213b…第2辺、213c…第3辺、213d…第4辺、213F…枠部、213e…第1延在部、213f…第2延在部、222…櫛歯可動電極、222a…第1櫛歯可動電極、222b…第2櫛歯可動電極、222c…第3櫛歯可動電極、222d…第4櫛歯可動電極、223a…第1櫛歯可動電極、223b…第2櫛歯可動電極、223c…第3櫛歯可動電極、223d…第4櫛歯可動電極、232…可動電極腕、242…可動電極指、252a…第1固定部、252b…第2固定部、253…固定部、282a…第1バネ部、282b…第2バネ部、283a…第1バネ部、283b…第2バネ部、300…慣性センサー、302,303,304x,304y,304z…素子部、313a,313b,312,322,332,352,362,372,392…突起、393a,393b…突起、400…慣性センサー、501…アウターケース、502…通し孔、510…接合部材、515…回路基板、516…コネクター、517x,517y,517z…角速度センサー、519…制御IC、520…インナーケース、521…開口、525…センサーモジュール、531…凹部、5000…慣性計測装置、c1,c2,c3…コンタクト部、L1,L2,L3…中心線、R1,R2,R3…凹部、S…収容空間、Z…検出部、ZA…第1検出部、ZB…第2検出部、g1,g2,g3…溝、Cx,Cy,Cz…キャビティー。