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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150064
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063290
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】依田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】仲保 達志
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 知仁
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB13
2C056EB45
2C056EC14
2C056EC28
2C056FA10
2C056HA46
2C056HA47
(57)【要約】
【課題】送風機から発生する騒音を低減する印刷装置を提供すること。
【解決手段】印刷装置1は、媒体90に液体を吐出する印刷部14と、媒体90に付着された液体を加熱する熱を発生させる熱源45と、媒体90に向けて気体を送風可能な送風機43と、送風機43を内部に有し、気体が流動する送風路44と、を備え、送風路44は、熱源45を囲むように設けられ、内面に吸音材101,103が配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に液体を吐出する印刷部と、
前記媒体に付着された前記液体を加熱する熱を発生させる熱源と、
前記媒体に向けて気体を送風可能な送風機と、
前記送風機を内部に有し、前記気体が流動する送風路と、を備え、
前記送風路は、前記熱源を囲むように設けられ、内面に吸音材が配置されることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記吸音材は、前記送風機の送風方向に沿って配置されることを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記送風路は、前記送風方向の下流に直線流路を有し、
前記吸音材は、前記直線流路に面して配置されることを特徴とする、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
押さえ部材を備え、
前記押さえ部材は、前記内面に配置される前記吸音材を、前記送風路の前記内面に露出させた状態で支持することを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記押さえ部材は、パンチングメタルから成ることを特徴とする、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記送風機は、前記気体の送風速度を変更可能であり、
前記パンチングメタルは、大きさが異なる孔を有することを特徴とする、請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記送風路を囲む外装部材を備え、
前記吸音材は、前記外装部材と前記押さえ部材とに挟まれて配置されることを特徴とする、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記熱源は、前記媒体と対向可能な赤外線ヒーターであることを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記熱源は、前記送風路に配置され、前記気体を加熱する電熱線であることを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記電熱線は、前記送風機によって送り出される前記気体を加熱することを特徴とする、請求項9に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、媒体に付着された印刷用インクなどの液体を、加熱しつつ送風して乾燥させる印刷装置が知られていた。例えば、特許文献1には、媒体の種類に応じて送風機の駆動量を変更する加熱装置が開示されている。該加熱装置は、送風機の駆動量を変更して、液体が付着された媒体の処理面の温度を制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-155653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、送風機の駆動量を増大させると、送風機の駆動によって発生する騒音を低減することが難しいという課題があった。すなわち、送風機から発生する騒音を低減する印刷装置が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
印刷装置は、媒体に液体を吐出する印刷部と、前記媒体に付着された前記液体を加熱する熱を発生させる熱源と、前記媒体に向けて気体を送風可能な送風機と、前記送風機を内部に有し、前記気体が流動する送風路と、を備え、前記送風路は、前記熱源を囲むように設けられ、内面に吸音材が配置されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る印刷装置の構成を示す模式図。
図2】印刷装置の電気的な構成を示すブロック図。
図3】押さえ部材の一例を示す平面図。
図4】押さえ部材の一例を示す平面図。
図5】押さえ部材の一例を示す平面図。
図6】押さえ部材の一例を示す平面図。
図7】第2実施形態に係る熱源および送風機の配置を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に述べる実施の形態では、印刷が施された媒体をロール状に巻き取る印刷装置1を例示して、図面を参照して説明する。上記印刷が施された媒体、すなわち印刷物は、例えばサイネージなどの用途に供される。
【0008】
以下の各図においては、必要に応じて、X軸のみ、あるいは相互に直交する座標軸としてXYZ軸を付し、各矢印が指す方向を+方向とし、+方向と反対の方向を-方向とする。また、以下の各図では、図示の便宜上、各部材の大きさを実際とは異ならせている。
【0009】
印刷装置1における+Z方向を上方とし、-Z方向を下方とする。本明細書では、印刷装置1を水平面に沿う面に設置した状態について述べることとする。
【0010】
1.第1実施形態
図1に示すように、本実施形態に係る印刷装置1は、支持部12、搬送部13、印刷部14、加熱装置15、および制御部60を備える。支持部12は媒体90を支持する。搬送部13は支持部12に沿って媒体90を搬送する。印刷部14は、媒体90にインクなどの液体を吐出して付着させる。加熱装置15は、印刷部14により液体が付着した媒体90を加熱する。制御部60は、印刷装置1の各種構成の稼働を統合的に制御する。なお、図1の説明では、特に断りがない限り-X方向から側面視した状態を述べることとする。
【0011】
印刷装置1はインクジェットプリンターである。印刷装置1では、媒体90に液体としてのインクを付着させ、加熱装置15にてインクを加熱する。印刷装置1では、媒体90が原反であるロール体R1から送り出されて、印刷が成される。そして、印刷物がロール体R2に巻き取られる。印刷物をロール状に巻き取るために、巻き取る前にインクを加熱によって乾燥させる。
【0012】
原反から解かれて巻き取られるまでの媒体90の経路を搬送経路とし、搬送経路において、媒体90の原反側を搬送経路の上流ともいい、印刷物が巻き取られる側を搬送経路の下流ともいう。また、搬送経路において、媒体90が上流から下流に向かう方向を搬送方向ともいう。
【0013】
支持部12は、第1支持板16、第2支持板17、および第3支持板18を備える。搬送経路の上流から下流に向かって、第1支持板16、第2支持板17、第3支持板18がこの順番にて搬送経路に沿って配置される。第1支持板16は支持面19を有し、第2支持板17は支持面20を有し、第3支持板18は支持面21を有する。支持面19,20,21は、搬送部13によって搬送される媒体90を支持する。支持面20は印刷部14と対向して配置され、支持面21は加熱装置15と対向して配置される。
【0014】
搬送部13は、第1回転軸22および第2回転軸23を備える。搬送経路において、第1回転軸22は第1支持板16よりも上流に配置され、第2回転軸23は第3支持板18よりも下流に配置される。第1回転軸22は、媒体90の原反のロール体R1を回転可能に支持する。第2回転軸23は、印刷物がロール状に巻き取られたロール体R2を回転可能に支持する。
【0015】
第1支持板16と第2支持板17との間、および第2支持板17と第3支持板18との間には、各々一対の搬送ローラー対24が配置される。それぞれの搬送ローラー対24は、回転駆動する駆動ローラーと、駆動ローラーの回転に伴って従動回転する従動ローラーと、で構成される。一対の搬送ローラー対24は、各々媒体90を挟んで回転して媒体90を搬送する。本実施形態では、第2支持板17を挟むように配置された一対の搬送ローラー対24の構成を示しているが、第2支持板17よりも下流に搬送ローラー対24を配置せず、第2支持板17よりも上流にのみ搬送ローラー対24を配置する構成でもよい。
【0016】
印刷部14は、ヘッド25、キャリッジ26、およびガイド軸27を備える。キャリッジ26は、ヘッド25を保持すると共にX軸に沿って往復移動する。ガイド軸27は、X軸に沿って延在し、キャリッジ26の上記往復移動を案内する。
【0017】
ヘッド25は、第2支持板17の支持面20と対向可能に配置される。ヘッド25は、支持面20と対向可能な位置に、図示しない複数のノズルを有する。ヘッド25には、例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローなどの各色を呈する液体としてのインクが個別に供給される。複数のノズルは、各色インクを支持面20に支持される媒体90に向けて吐出する。なお、ヘッド25が吐出する液体は、インクに限定されず、例えば処理液やコート材などであってもよい。
【0018】
以上により、媒体90を搬送しながらヘッド25をX軸に沿って往復移動させて、任意のタイミングで媒体90にインクを付着させることにより、媒体90にテキスト、写真、模様などの画像が形成される。
【0019】
媒体90の表裏両面のうち、ヘッド25から吐出された液体が付着する面が、処理面91となる。すなわち、処理面91は、支持面20に媒体90が支持された際に、ヘッド25とZ軸に沿う方向に対向する面である。
【0020】
加熱装置15は、第3支持板18の支持面21と対向して配置される。加熱装置15は、印刷部14によって液体が付着されて、搬送部13によって搬送される媒体90を加熱する。詳しくは、加熱装置15は、支持面21に支持される媒体90の処理面91を加熱する。これにより、処理面91の液体は、揮発成分が加熱によって揮散して乾燥する。
【0021】
加熱装置15は、支持面21に対して間隔をあけて配置される。処理面91および支持面21と、加熱装置15との間の空間は、加熱装置15によって加熱される加熱領域30である。液体が付着された媒体90は、加熱領域30を通過することにより加熱される。
【0022】
加熱装置15は、加熱部41、送風機43、送風路44、吸音材101,103、押さえ部材102,104、および筐体42を備える。加熱部41は2つの熱源45を含む。送風機43は、空気などの気体を送風路44へ気流として送りだす。筐体42は上記の各構成を収容する。
【0023】
熱源45は、赤外線ヒーターであって、媒体90に付着された液体を加熱する熱を発生させる。2つの熱源45は、各々略円柱状であり、円柱の高さ方向がX軸に沿うと共に、X軸と交差する搬送方向に並んで支持面21と対向して配置される。すなわち、各熱源45は、媒体90が支持面21に支持されると、媒体90の処理面91と対向可能である。熱源45が赤外線ヒーターであることにより、比較的に効率よく熱を発生させることができる。なお、本発明の熱源は赤外線ヒーターに限定されない。
【0024】
2つの熱源45には各々反射板46が付設される。各反射板46は、対応する熱源45に対して、支持面21と反対側の領域を囲うように配置される。これにより、2つの反射板46は、対応する熱源45から発せられる赤外線を支持面21に向けて反射させる。加熱領域30の範囲は、熱源45と反射板46との配置によって調整可能である。
【0025】
筐体42は、X軸に沿う方向から見た断面が搬送方向に沿う細長い形状を有している。筐体42は、加熱部41を囲む内壁51と、内壁51の外側に配置されて内壁51を囲む外壁52と、を備える。外壁52は、本発明の外装部材の一例である。外壁52は送風路44を囲んでおり、内壁51と外壁52との間には気体が流れる送風路44が形成される。
【0026】
筐体42には、流入口53および吹出口54が設けられる。流入口53は、筐体42において、搬送経路の下流に対応する側面に配置される。詳しくは、流入口53は、加熱部41に対して、印刷部14が位置する側とは反対側に配置される。つまり、流入口53は、搬送経路において加熱部41よりも下流に位置する。
【0027】
吹出口54は、加熱部41に対して、印刷部14が位置する側に配置される。つまり、吹出口54は、搬送経路において加熱部41よりも上流に位置する。
【0028】
吹出口54は、搬送経路の下流を向くように開口する。つまり、吹出口54では、流入口53の位置する下流へ向かって気体が吹き出される。
【0029】
流入口53では、送風路44に空気が吸引される。吹出口54では、加熱領域30に向かって空気が吹き付けられる。流入口53から吹出口54までの間が送風路44である。送風路44は、加熱部41の熱源45を囲むように設けられる。
【0030】
送風路44は内部に送風機43を有する。詳しくは、送風機43は、送風路44において、外壁52に沿う領域のほぼ中央に配置される。送風機43は、電動式の送風ファンであり、後述するモーターによって回転駆動される。送風機43は、支持面21に支持される媒体90に向けて、気体を送風することが可能である。図示しないが、送風機43は、媒体90の幅(搬送方向と交差する方向の長さ)に応じて、X軸に沿って複数配置する。送風路44は、送風機43毎に仕切られた流路を有する構成としてもよいし、複数の送風機43に対して1つの流路を有する構成としてもよい。
【0031】
図1では、流入口53から吸引されて吹出口54から吹き出される気体の流れを、破線の矢印で示している。この気体の流れる方向を送風方向とする。筐体42の外界の空気は、送風機43の稼働によって、主に流れAとして送風路44に吸引される。送風路44に吸引された空気は、略直線的に流れ、送風機43を経てさらに直線的に進む。送風路44において、空気が略直線的に進む領域を直線流路という。
【0032】
送風路44は、送風機43に対する吹出口54側に、換言すれば送風機43に対する送風方向の下流に直線流路を有する。また、送風路44は、送風機43に対する流入口53側にも、換言すれば送風機43に対する送風方向の上流にも直線流路を有する。上記直線流路における送風方向は、支持面21における媒体90の搬送方向に対して略反対方向となる。
【0033】
直線流路を経て、気体は、送風路44の略上方の外壁52に沿って方向が屈曲され、流れBとして吹出口54から処理面91へ向けて吹き出される。すなわち、送風機43は、処理面91と対向する側から、加熱領域30に向けて気体を送風する。
【0034】
吹出口54から吹き出された気体は、支持面21に支持される媒体90の処理面91に吹き付けられる。次いで、処理面91に沿って流れCとして搬送方向へ流れる。そして、吹出口54から送り出された気体は、加熱領域30を経て処理面91に沿って進み、主に流れDとして、処理面91および支持面21と加熱装置15の下方の端部との間から外界へ放出される。そして、外界へ放出された気体の一部は、再び流入口53から送風路44へ吸引される。これにより、送風路44および加熱領域30を含む循環路55が形成される。
【0035】
循環路55を循環する気体は、加熱部41によって加熱される。そのため、吹出口54から吹き出す気体の温度は、気体を循環させない場合に比べて高くなる。つまり、処理面91に沿って流れる気体には、加熱部41によって既に加熱された気体が含まれる。そのため、処理面91に沿って流れる気体の温度は、気体を循環させない場合に比べて高くなる。また、加熱部41を囲むように送風路44が配置されるため、加熱部41から生じる熱により、送風路44内の温度も高くなる。循環路55を循環する気体が、送風路44内を通過するため、2つの熱源45が発する熱が回収されて液体の加熱に再利用される。
【0036】
加熱部41が媒体90を加熱すると、媒体90に付着された液体の揮発成分が蒸発して蒸気が発生する。発生した蒸気が媒体90の処理面91付近に漂っていると、媒体90の液体が乾燥され難くなる。そのため、加熱装置15は、気体の流れDと共に、液体が発する蒸気を外界に排出して、循環路55における湿度の上昇を抑制する。
【0037】
加熱装置15は、支持面21に支持される媒体90を加熱しつつ、媒体90に気体を吹き付けて、媒体90に付着した液体を乾燥させる。詳しくは、先ず、印刷が成された媒体90は支持部12に沿って搬送される。次いで、媒体90が加熱領域30に到達すると、2つの熱源45が発する熱と、吹出口54から吹き出される気体とによって、媒体90の液体の乾燥が促進される。加熱装置15は、熱源45からの輻射熱と、送風機43による気体の送風とによって、媒体90の液体を乾燥させる。
【0038】
送風機43は気体の送風速度、すなわち風速を変更可能である。また、風速を変えることにより処理面91の温度を変えることが可能なため、処理面91の温度は送風機43の駆動量によって制御される。具体的には、処理面91の温度は、2つの熱源45の出力を一定として、送風機43のファンの回転数によって調整される。従来の装置では、送風ファンの回転数を上げると、送風ファンなどから発生する騒音が増大する場合があった。これに対して、本実施形態の印刷装置1は、吸音材101,103によって送風機43などから発せられる騒音を低減する。お、処理面91の温度は、送風機43のファンの回転数に加えて、それ以外で調整されてもよい。
【0039】
吸音材101,103および押さえ部材102,104は、送風路44の内面に配置される。詳しくは、吸音材101,103は、外壁52の内側にあって、送風機43の送風方向に沿って配置される。吸音材101は、送風機43に対して、送風方向の上流の直線流路に面して配置される。吸音材103は、送風機43に対して、送風方向の下流の直線流路に面して配置される。
【0040】
吸音材101,103および押さえ部材102,104は、略板状の部材である。吸音材101,103には、グラスウールなどの公知の吸音材が適用される。押さえ部材102,104には、金属板や樹脂板が適用される。
【0041】
吸音材101,103が送風方向に沿って配置されるため、送風路44内の気体の流れが妨げられ難くなる。これにより、送風機43の送風効率および媒体90上の液体の乾燥性を向上させることができる。
【0042】
吸音材101,103が直線流路に面して配置されることから、吸音材101,103を、板状などの比較的に単純な形状とすることが可能となる。これにより、吸音材101,103の加工や設置に要する労力などを抑えることができる。
【0043】
押さえ部材102は送風路44の内面に配置される吸音材101を支持し、押さえ部材104は上記内面に配置される吸音材103を支持する。詳しくは、吸音材101は外壁52と押さえ部材102とに挟まれて配置され、吸音材103は外壁52と押さえ部材104とに挟まれて配置される。
【0044】
これにより、例えば、粘着材などによって吸音材101,103を外壁52に貼り付ける場合と比べて、熱に起因する吸音材101,103の剥がれや脱落を防ぐことができる。また、吸音材101,103が挟まれて配置されることから、より着実に支持されて吸音材101,103の位置ずれを防ぐことができる。さらに、吸音材101,103が断熱材としても機能するため、加熱部41や送風路44の気体の熱が伝播し難くなる。これによって外壁52の過熱が抑えられる。
【0045】
図示を省略するが、押さえ部材102,104は、後述する孔を有する。押さえ部材102,104は、該孔を介して、送風路44の内面に吸音材101,103を露出させた状態で支持する。押さえ部材102,104の詳細については後述する。
【0046】
図2に示すように、制御部60は、CPU(Central Processing Unit)61と、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などを含む記憶部62と、を備える。記憶部62には、印刷装置1を制御する種々のプログラムが記憶される。制御部60は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア(特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、制御部60は、コンピュータープログラム(ソフトウェア)にしたがって動作する1つ以上のプロセッサー、ASICなどの1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいはこれらの組み合わせを含む回路として構成されてもよい。
【0047】
制御部60は、印刷部14および搬送部13と電気的に接続される。制御部60は、熱源45およびモーター71などの制御に加えて、印刷部14および搬送部13の上述した搬送ローラー対24などの稼働も制御する。
【0048】
プロセッサーは、CPU、ならびに、RAMおよびROMなどのメモリーを含む。メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリー、すなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセス可能なあらゆるものを含む。
【0049】
加熱装置15は、送風機43を駆動するモーター71、およびモーター71を駆動する駆動回路72を備える。駆動回路72は、モーター71に加えられる電圧を制御して送風機43の駆動量を制御するモータードライバーである。駆動回路72は、PWM(Pulse Width Modulation)制御にて送風機43の駆動量を制御してもよい。駆動回路72は、モーター71の制御により送風機43の駆動量を制御可能であれば、特に限定されない。
【0050】
印刷装置1は、制御部60に電気的に接続される入力部63を備える。入力部63を介して、印刷部14の印刷に適用される媒体90の種類などが制御部60に入力される。入力部63は、例えば、印刷装置1の使用者によって操作される操作パネルである。制御部60は、入力部63を介して入力された媒体90の種類に応じて、駆動回路72を制御する。
【0051】
これにより、モーター71に加えられる電圧を、媒体90の種類に応じて変化させることが可能となり、媒体90の種類に応じて送風機43の駆動量を変更することができる。送風機43の駆動量によって、送風機43から送風される気体の風速は変化する。送風機43の駆動量を増大させると、送風機43から送風される気体の風速が速くなる。ここで、送風機43の駆動量が変更されると、送風機43から発せられる騒音の周波数も変わる場合がある。
【0052】
以下、媒体90に付着された液体を乾燥させる際に制御部60が行う加熱装置15の制御について、説明する。制御部60は熱源45の出力を制御する。制御部60は、熱源45の出力を媒体90の種類によらず一定に保つ。例えば、熱源45の出力は最大出力、すなわち100%に保たれる。なお、ここでいう一定の出力には、熱源45の発する熱に影響を与えない、あるいは上記熱に与える影響が無視できる程度の出力の変動が含まれてもよい。換言すれば、媒体90の乾燥に影響を与えない程度の出力の変動は、「一定」に含まれる。
【0053】
制御部60は、媒体90の種類に応じて、送風機43の駆動量を変更することにより、加熱領域30を流れる気体の風速を変化させる。また、制御部60は、媒体90の種類に加えて、媒体90に付着される液体の量に応じて、送風機43の駆動量を変更する。
【0054】
制御部60は、熱源45の出力を一定にした状態で、気体の風速を変化させて、媒体90の表面温度、すなわち処理面91の温度を制御する。制御部60は、処理面91の温度が許容温度を超えることなく、かつ媒体90の乾燥に足る液体の蒸発量が確保されるように、送風機43の駆動量を制御する。
【0055】
なお、媒体90の乾燥に足る液体の蒸発量は、媒体90に吐出された液体の量や媒体90の種類などによって異なる。また、図2では、制御部60が加熱装置15に含まれる構成として図示した。そのため、加熱装置15は、印刷装置1から独立して機能させることも可能である。これに限定されず、制御部60は、加熱装置15に含まれなくてもよく、印刷装置1全体を統括する位置付けとして、搬送部13、印刷部14、および加熱装置15を制御してもよい。
【0056】
図3に示すように、吸音材103および押さえ部材104は、共に略矩形の板状部材である。ここで、図3および後述する図4から図6は、板状の吸音材103の主面に対して、法線方向から平面視した状態を示している。図3から図6では、図の下方が送風方向の上流に対応し、図の上方が送風方向の下流に対応する。
【0057】
吸音材101および押さえ部材102は上記平面視した場合の大きさが異なるが、それ以外は吸音材103および押さえ部材104と同様な形態である。したがって、吸音材101および押さえ部材102の説明は省略する。なお、吸音材101および吸音材103は一体に形成されていてもよく、押さえ部材102および押さえ部材104も一体に形成されていてもよい。
【0058】
押さえ部材104は、略円形の複数の孔104hを有するパンチングメタルから成る。吸音材103は、複数の孔104hを介して、上述した送風路44の内面に露出する。これにより、吸音材103が着実に押さえ部材104に支持されると共に、騒音を低減することができる。
【0059】
図3では孔104hを略円形としているが、孔104hの形状はこれに限定されない。孔104hは多角形や不定形であってもよい。また、複数の孔104hには、異なる形状が混在していてもよい。複数の孔104hの数や大きさは、送風機43から発せられる騒音に応じて設定される。
【0060】
図4に示すように、押さえ部材102,104に代えて、押さえ部材106を用いてもよい。押さえ部材106は、押さえ部材102,104と同様にパンチングメタルから成る。該パンチングメタル、すなわち押さえ部材106は、大きさが異なる複数種類の孔106h1,106h2,106h3を有する。
【0061】
孔106h1,106h2,106h3は、略円形であって、互いに大きさが異なる。孔106h1の直径は孔106h2の直径より小さく、孔106h3の直径は孔106h2の直径より大きい。
【0062】
上述した通り、送風機43の駆動量が変更されてファンの回転数が変わると、送風機43から発せられる騒音の周波数が変化する場合がある。具体的には、例えば、上記回転数が低いと騒音の周波数は比較的に低くなり、上記回転数が高いと騒音の周波数は比較的に高くなる。
【0063】
これに対して、孔106h1,106h2,106h3は、互いに大きさが異なるため、露出する吸音材103の表面積が異なり、低減される騒音の周波数の範囲が広くなる。すなわち、孔106h1は直径が小さいため、比較的に周波数が高い騒音に対応する。孔106h3は直径が大きいため、比較的に周波数が低い騒音に対応する。孔106h2は中程度の周波数の騒音に対応する。これにより、異なる周波数の騒音を低減することができる。
【0064】
押さえ部材106において大きさが異なる孔種は3種類であるが、孔種は3種類に限定されない。また、押さえ部材106では、送風方向において、上流に孔106h3が配置され、下流に孔106h1が配置されているが、配置はこれに限定されない。例えば、上流に孔106h1が配置され、下流に孔106h3が配置されてもよい。
【0065】
本発明の押さえ部材には、吸音材101,103が着実に支持されればパンチングメタル以外の部材を用いてもよい。例えば、図5に示すように、押さえ部材102,104に代えて、押さえ部材108を用いてもよい。押さえ部材108はエキスパンドメタルである。押さえ部材108によって吸音材103が着実に支持されると共に、押さえ部材108を介して吸音材103が送風路44の内面に露出する。これにより、押さえ部材104と同様な効果を得ることができる。
【0066】
また、例えば、図6に示すように、押さえ部材102,104に代えて押さえ部材109を用いてもよい。押さえ部材109は略棒状の部材である。押さえ部材109によって吸音材103が着実に支持されると共に、押さえ部材109を介して吸音材103が送風路44の内面に露出する。押さえ部材109では、押さえ部材104に比べて送風路44に露出する吸音材103の表面積が増加する。そのため、押さえ部材109は、押さえ部材104と比べて騒音をさらに低減することができる。
【0067】
本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0068】
送風機43から発生する騒音を低減することができる。詳しくは、送風機43の騒音は、ファンの風切り音やモーター71の駆動音などである。これらの騒音は、送風機43の送風と共に送風路44内を伝播する。吸音材101,103が送風路44の内面に配置されるため、上記騒音を効果的に低減することが可能となる。したがって、送風機43などから発生する騒音を低減する印刷装置1を提供することができる。
【0069】
2.第2実施形態
本実施形態に係る印刷装置1は、第1実施形態の加熱装置15に代えて加熱装置215を適用している。以下の説明では、第1実施形態と同一の構成部位には同一の符号を使用して、重複する説明は省略する。
【0070】
図7に示すように、加熱装置215は、加熱部である熱源241、送風機43、送風路44、吸音材101,103、押さえ部材102,104、および筐体42を備える。熱源241は、送風路44の内部にあって、送風機43の送風方向の上流に配置される。この点が上記実施形態の加熱装置15とは異なる。
【0071】
送風路44は、熱源241を内包して囲むように設けられる。熱源241は、空気などの気体を加熱する電熱線である。そのため、加熱装置215は、加熱領域30に対して、加熱された高温の気体を吹き付けることになる。送風機43は、気体の送風速度、すなわち風速を変えることにより、加熱された気体の吹き付け量を変化させて、加熱領域30の温度を調整することが可能である。本実施形態によれば、風速が速い方が加熱された気体の吹き付け量が増えるため、加熱領域30の温度を高められる。
【0072】
これにより、上記実施形態の熱源45と比べて、比較的に簡便かつ安価な構成で熱を発生させることができる。また、上記実施形態と比べて、熱源241が外壁52の近くに配置されるものの、吸音材101,103が断熱材としても機能するため、外壁52の過熱が抑えられる。
【0073】
なお、熱源241は、送風機43の送風方向の上流に配置されることに限定されず、上記送風方向の下流に配置されてもよい。すなわち、熱源241の電熱線は、送風機43によって送り出される気体を加熱する構成であってもよい。これにより、熱源241が送風機43より送風方向の上流にある場合と比べて、送風機43のファンの過熱を抑えることができる。
【0074】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0075】
1…印刷装置、43…送風機、44…送風路、45,241…熱源、52…外装部材としての外壁、90…媒体、101,103…吸音材、102,104,106,108,109…押さえ部材、106h1,106h2,106h3…大きさが異なる孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7